JP2007022944A - 抗菌、防かび性プラスチック成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 抗菌性、防かび性を有するプラスチック成形体の提供。
【解決手段】 無機微粒子よりなる抗菌剤12をプラスチック原料に混合してプラスチック成形体を型成形し、得られたプラスチック成形体に、無機微粒子より成る抗菌剤12′を撃ち込むことによって、プラスチック成形体の表面に、無機微粒子より成る抗菌剤12′を固定するとともに、プラスチック成形体の表面付近にある無機微粒子よりなる抗菌剤(12)を覆っているプラスチック皮膜13を剥離し、抗菌剤の微粒子を露出させる。これによりプラスチック表面における混合による無機微粒子の分布密度と、打ち込みによる表面分布密度の合計よりも表面分布密度を大きくする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、水回り用品及び水回りの設備に効果的な、抗菌性、防かび性を有するプラスチック成形体及びその製造方法に関するものである。
例えば台所、洗面所、浴室など、いわゆる水回りの部分は、かびに悩まされる典型的な箇所である。タイルに発生したかびは強力な塩素系のかび取り剤を用いれば取り去ることができるが、強い刺激臭が呼吸器系その他の粘膜組織に悪影響を及ぼし、健康を損なう原因となる。しかしプラスチックに発生したかびは薬剤では取れない場合もある。かびが発生していることは、雑菌が発生している可能性があるということでもあり、清潔とはいえず、大きな浴場などではレジオネラ菌が発生して集団感染する場合もあるから、かびや雑菌は適時に除去しなければならない。
これに対して特開2001−123077号のものは、表面に微細な凹凸構造を有するものとし、かつ界面活性剤を化学結合させて防汚性を改善し、特に水回りで使用する場合に汚れがつきにくく、細菌やかびの増殖を抑制可能な人工大理石を提案している。実施には、人工大理石表面に微細な凹凸構造を後加工した上、人工大理石基材を、界面活性剤を溶かした化学調整液に浸漬するもので、同発明により、極めて大きな撥水性が得られ、汚水成分との親和性が減少して防汚性が改善されるとする。しかし同発明は、細菌やかびもそれらの餌となる汚れの付着が少なくなるので増殖が抑制される、というメカニズムであり、存在している細菌やかびを積極的に滅却しようというものではない。
また、実開平6−27571号は、ポリエチレンの粉末中に銀イオンと無機イオンとの無機化合物から成る抗菌剤を約1%の重量比で混合し、その粉末を浮遊させた中に、約350℃に加熱した金属製の物品を入れ、粉末を付着させ、ついで物品を約350℃に再加熱してポリエチレンを定着させ、抗菌剤を含むコーティングを形成する。この場合、手触りや外観の悪化を防ぐことができるが、抗菌剤はコーティングの内部に取り込まれることになり、抗菌剤の有する抗菌性が相当程度抑制されてしまうことになる。
プラスチック製品の表面に抗菌剤を固定することができれば、最も良くその抗菌性を発揮させることができることは明らかであり、この観点から本件の発明者は、先に、溶射法によって抗菌剤をプラスチック表面に固定する方法を提案した(特開2004−238359号)。さらにそれと関連するものとして特開2005−132866号の発明を出願した。それは抗菌剤に対するプラスチック材料の濡れ性が良いために、抗菌剤の粒子がプラスチックに覆われがちであるので、表面エネルギーの小さい物質を濡れ性制御物質として混合することにより、抗菌剤の粒子がプラスチックで覆われるのを制限し、抗菌効果を高めようとするものである。
しかしながら、濡れ性が良いということはプラスチックと抗菌性の微粒子との親和性が良いということであるから、微粒子の固定という面からは歓迎すべき事項ということも可能であり、一方濡れ性を制限する方向に制御するということは、プラスチックと抗菌剤の微粒子との親和性を制限するという結果をもたらす可能性もある。つまりプラスチックと抗菌剤の微粒子との濡れ性の良好なことは、マイナス要因ばかりという訳ではない。
プラスチック原料に抗菌剤を混合して成形するいわゆる練込法で得られるプラスチック成形体の場合、その表面における抗菌剤の分布密度が混合量ほどに高まらないことを発明者は把握しており、その原因は、抗菌剤に対するプラスチックの濡れ性が良いため、抗菌剤の粒子がプラスチックに覆われて、十分に表面に現われないことによると考えられる。プラスチック表面への撃ち込みによって得られる抗菌剤の分布密度も、常法による限り、高いものとはならない。従って、プラスチック成形体の表面に露出する抗菌剤の分布密度を、常法によりこれまで以上に高めることができるならば、かびの発生を抑制し得ることはもちろん、既に繁殖しているかびを撲滅し、清潔な状況を回復することも可能になると考えられる。本発明者はこのような見通しのもとに、プラスチック表面における抗菌剤の分布密度を高める研究を行ない、本発明を完成するに到ったものである。
特開2004−238359号 特開2005−132866号
本発明は前記の経緯からなされたもので、その課題は、水回り用品及び水回り設備のプラスチック成形体におけるかびの発生を防止し、雑菌の発生を抑制することである。また本発明の他の課題は、水回り用品及び水回り設備におけるかびの撲滅を可能にすることである。
前記の課題を解決するため本発明は、抗菌性、防かび性を有するプラスチック成形体について、プラスチック成形体の表面における、無機微粒子よりなる抗菌剤の分布密度が、無機微粒子よりなる抗菌剤をプラスチック原料に混合して型成形したときにプラスチック成形体の表面に得られる分布密度と、プラスチック成形体の表面に無機微粒子よりなる抗菌剤を撃ち込むことによって得られる抗菌剤の分布密度、との合計よりも高いものを提供するという手段を講じたものである。
上記の、無機微粒子よりなる抗菌剤を、プラスチック原料に混合して得られる分布密度は、プラスチック原料中に分散している抗菌剤の内、プラスチック成形体の表面にあらわれている抗菌剤の分布密度である。一般的に、この分布密度は、プラスチック原料中への抗菌剤の混合量に比例すると考えられる。しかし、無機微粒子、とりわけイオン化傾向の大きい金属微粒子に対するプラスチックの濡れ性が概して良好であり、そのため、プラスチック成形体の表面に分布する抗菌剤がプラスチックの皮膜によって覆われてしまい、露出するものが少ない、という知見を得ていることは既に述べたとおりである。分散媒がプラスチックである場合、プラスチックでない分散媒表面にあらわれる抗菌剤の分布密度よりも低いものとなると考えられる。
前記のように、抗菌剤をプラスチック原料に混合して型形成したときにプラスチック成形体表面に得られる分布密度は、濡れ性のために、プラスチックではない分散媒表面にあらわれる抗菌剤の分布密度よりも相当低いと考えられるのであるが、プラスチック成形体の表面を適当な方法で2次加工することによって、プラスチック皮膜を除去することができるのであれば、プラスチック成形体表面における抗菌剤の分布密度を高めることができることになる。このプラスチック皮膜を除去する効果的な手段の一つとして、抗菌剤をプラスチック成形体に撃ち込む方法を適用することができるものであり、その結果、抗菌剤をプラスチック原料に混合して型成形された、プラスチック成形体表面に得られる抗菌剤の分布密度は著しく高められることになる。
本発明では、無機微粒子より成る抗菌剤をプラスチック成形体の表面に撃ち込むことによって、実質上はプラスチック成形体の表面に存在するといって良いが、濡れ性によりプラスチック皮膜で覆われ露出を阻まれている抗菌剤を露出させようとするものである。一方、撃ち込みによって得られるプラスチック成形体の表面における抗菌剤の分布密度には濡れ性の問題がない。故にどの程度の撃ち込み条件で何秒間抗菌剤の撃ち込みを実施するか、によって分布密度を希望する値に近付けることは可能である。
請求項1に記載したように、抗菌剤をプラスチック原料に混合して型成形したときにプラスチック成形体の表面に得られる抗菌剤の分布密度と、プラスチック成形体の表面に抗菌剤を撃ち込むことによって得られる抗菌剤の分布密度、との合計よりも、プラスチック成形体の表面における、抗菌剤の分布密度を高めることが、プラスチック皮膜を除去することによって可能になる。そしてプラスチック皮膜を除去する手段として抗菌剤を撃ち込む方法を適用した場合には、プラスチック皮膜の除去と、抗菌剤の撃ち込みによる固定という1石2鳥の利益を得ることができるものである。
撃ち込み方法としては、溶射法、ブラスト法などの方法を適用することができる。溶射法は、成膜法の一つとして知られているが、本発明の抗菌剤撃ち込みの場合には、成膜するほど多量の材料を必要としない。またプラスチック成形体表面を溶射する熱にさらす時間を調整することも必要である。しかし、プラスチック成形体表面を熱にさらすことは、既にプラスチック成形体の表面に存在し、プラスチック皮膜によって覆われている抗菌剤のプラスチック皮膜を軟化させることにより、除去しやすくする作用を加えることにもなる。
なお、抗菌剤をプラスチック製品の表面に固定するには幾つかの方法がある。例えば、燃焼ガスを熱源とするフレーム溶射、高速フレーム溶射、爆発溶射の各方法、電気を熱源とするアーク溶射その他の各種のプラズマ溶射方法、レーザー光線を熱源にする場合のレーザー溶射方法、その他には、コールドスプレー法、熱源を必要としない方法としてショットピーニングのようなブラスト法等様々な溶射方法がある。本発明の場合これらのほぼすべての方法を適用することが可能である。しかし一長一短があるので、どのような溶射法も適用できるとしても、特性を考慮して適用を決める。例えば高速フレーム溶射法は粒子の飛行速度が極めて速く、かつ温度が低い溶射法である。またコールドスプレー法も好適であるが、数千万円以上の設備投資を必要とする。また室温ブラスト法は低コストで実施可能であるので実用的である。
抗菌剤は、微生物及び超微生物の破壊又は成長阻害を起こす化学物質のことであり、本発明ではイオン化しやすい金属が抗菌効果を持つことを利用するものである。即ち或る金属Mがイオン化すると、M+++2e となり、電荷した金属、電子が抗菌効果を持つようになる。イオン化しやすい金属としては様々な面から亜鉛(Zn)が好適である。亜鉛は重金属の一として公害訴訟で知られたことから毒性のある物質として扱われる傾向があるが、実際は反対で、人体に不可欠な物質であり、水に触れると、Zn+++2e のようにイオン化し、強い抗菌作用がある。抗菌剤として有効な他の金属としては銀(Ag)があり、亜鉛と同様に使用し得るものであるが、コストについて問題がある。なお亜鉛も銀もそれらの酸化物、及び合金を含む。
本発明に係る抗菌性、防かび性を有するプラスチック成形体を製造するには、無機微粒子よりなる抗菌剤をプラスチック原料に混合してプラスチック成形体を型成形し、得られたプラスチック成形体に、無機微粒子よりなる抗菌剤を撃ち込むことによって、プラスチック成形体の表面に、無機微粒子よりなる抗菌剤を固定し、かつまた、プラスチック成形体の表面付近にある無機微粒子よりなる抗菌剤を覆っているプラスチック皮膜を剥離し、抗菌剤の微粒子を露出させる方法によって製造することが望ましい。請求項2に記載されている方法である。
上記の製造方法において、プラスチック成形体の表面に、抗菌剤を撃ち込むことによって固定し、かつ抗菌剤を覆っているプラスチック皮膜を剥離して抗菌剤を露出させることは既に説明したとおりである。抗菌剤を覆っているプラスチック皮膜を剥離する方法は、ブラスト法によるのが基本的方法である。しかし可能性としては、一部触れたように、熱にさらして軟化させたり、或いは溶かして除去したり、さらには皮膜を削り取ったりするような方法も考えられる。
抗菌剤は、プラスチック原料に混合するものの場合粒径は数μm平均で、最大でも20μmを越えない範囲が良い。これに対して、撃ち込み用の抗菌剤の粒径は1桁大きく、数十μm、大きいものでは百μmを越えることもある。その理由は粒径が小さいと粉塵と同様であり、プラスチック表面に突き刺さらないからである。なお、抗菌剤の撃ち込みは、通常のブラスト加工と同様ほぼ0.5Mpaの圧力レベルにおいて行うことを想定している。
プラスチック成形体の原料としては、例えばプラスチック製日用品類の原料として公知のポリエチレン、ポリプロピレンをはじめとする熱可塑性プラスチックが、多くの場合、本発明の対象となる。けれども、これらに限られるものではなく、プラスチック全般が本発明の対象である。つまり、ほとんど全てのプラスチックの場合、亜鉛に代表される金属に対する濡れ性が良好であり、プラスチック原料に混合して型成形したときに表面にあらわれる抗菌剤を皮膜で覆うことになるからである。
本発明の実施対象として想定されるプラスチック成形体は、例えば風呂場用の湯桶や洗面器、浴用いす、石けん台、浴槽のふた、シンクマット、或いは台所用の食器洗い桶、三角コーナー、水切り、まないたのような調理用品その他の水回り用品が主である。さらに洗面所のシンクや浴槽自体などの水回り設備に属する物品、及びプラスチック製の配水管なども、本発明におけるプラスチック成形体の対象となる。これらの水回り用品及び設備に、本発明を適用することにより、湯桶の中の湯に例えばZn++、2e が含まれ、中の湯水が床にこぼれ、周囲の壁に飛び散るようになるため、その範囲の全ての部分に抗菌、防かび効果が及ぶことになり、最終的には風呂場全体からかびが消失して行き、ぬるぬるした状態も解消するに到る。
本発明は上記のように構成されかつ作用するものであるから、水回り用品及び設備におけるプラスチック成形体にかびが発生することを防止し、さらに雑菌の発生を抑制することができ、かくして最終的には水回り用品及び設備におけるかびや雑菌の撲滅を可能にすることができるという効果を奏する。
以下図面を参照して本発明をより詳細に説明する。図1〜図4Bは、プラスチック成形体10の表面11における、無機微粒子より成る抗菌剤12である亜鉛微粉末の分布密度が、抗菌剤12をプラスチック原料に混合して型成形したときにプラスチック成形体10の表面に得られる分布密度と、プラスチック成形体10の表面に抗菌剤12を撃ち込むことによって得られる抗菌剤12の分布密度、との合計よりも高い状態の水回り用品を示している。
ここで、図3Aと図4Aは、抗菌剤12をプラスチック原料に混合して型成形したときに、プラスチック成形体10の表面に得られる分布密度を示しており、この状態では表面付近に分布している抗菌剤12は5個の内3個がプラスチック皮膜13によって覆われている。図3A、図4Aのものにおいて、プラスチック成形体10の表面付近に分布している抗菌剤5個のうち露出している抗菌剤12は2個に過ぎず、他の3個はプラスチック皮膜13によって覆われているので、抗菌性に寄与していない。
一方図3Bと図4Bは、抗菌剤をプラスチック原料に混合してプラスチック成形体10を型成形し、得られた図3Aのプラスチック成形体10に、抗菌剤12′を撃ち込むことによって、プラスチック成形体10の表面に新たに抗菌剤12′を固定し、かつ図3A、図4Aにおいて抗菌剤12を覆っているプラスチック皮膜13を剥離した状態を示している。つまり、新たに抗菌剤12′を撃ち込むことによって1個の抗菌剤12′が増え、さらに3個が露出している。抗菌剤を撃ち込むことによって得られる抗菌剤12′の数は1個であるが、3個の抗菌剤12がプラスチック皮膜13の剥離により露出するので、全部で6個の抗菌剤12、12′が分布することになる。
請求項1の記載内容に即して説明すると、無機微粒子より成る抗菌剤12をプラスチック原料に混合して型成形したときにプラスチック成形体の表面に得られる抗菌剤12の単位面積当たりの分布密度2個(図3A、図4A)と、プラスチック成形体の表面に無機微粒子より成る抗菌剤12′を撃ち込むことによって得られる抗菌剤12′の単位面積当たりの分布密度1個、との合計2個+1個=3個よりも、本発明に係るプラスチック成形体の表面における無機微粒子より成る抗菌剤12、12′の単位面積当たりの分布密度6個(図3B、図4B)は高い、ということである。
また請求項2の記載内容に即して説明すると、上記の抗菌性、防かび性を有するプラスチック成形体10は、無機微粒子よりなる抗菌剤12をプラスチック原料に混合してプラスチック成形体10を型成形し、得られたプラスチック成形体10に、無機微粒子よりなる抗菌剤12′を撃ち込むことによって、プラスチック成形体10の表面に、無機微粒子よりなる抗菌剤12′を固定し、かつまた、プラスチック成形体10の表面付近にある無機微粒子よりなる抗菌剤12を覆っているプラスチック皮膜13を剥離し、抗菌剤12の微粒子を露出させて製造されたものである。
<実施例>
このような本発明の実施例を次に示す。実施例は、図1に示した湯桶に関する。即ち、粒径約4μmのZn微粒子を抗菌剤としてポリプロピレン樹脂に混合し、射出成形機を用いて、常法によりプラスチック成形体として湯桶を型成形し、得られた湯桶の底に粒径40〜70μmのZn粒子を新たな抗菌剤として0.5Mpaのブラスト圧力で撃ち込み、湯桶の底に粒径40〜70μmの上記抗菌剤を固定するとともに、湯桶底部の表面付近にあって粒径約4μmの抗菌剤を覆っていたポリプロピレン皮膜を剥離し、露出させて、抗菌、防かび性を有するプラスチック成形体である湯桶を製造した。
実施例で得られた抗菌、防かび性を有する湯桶の底面を顕微鏡観察したところ、ポリプロピレン原料に混合し型成形した状態にて得られた、粒径約4μmの抗菌剤の底部表面における分布密度は1mm あたり148個であり、同じ底部表面に対して粒径40〜70μmの抗菌剤を0.5Mpaでブラストした結果、撃ち込みによって固定されたものは1mm あたり1〜2個であり、抗菌剤撃ち込み後、ポリプロピレン皮膜が剥離され露出した抗菌剤を含む全抗菌量は1mm あたり266個であった。なお、上記数値は湯桶の底面の2ケ所について計数したものの平均値である。表1は上記数値をまとめたものである。本発明に係る方法を実施することにより、1mm あたりの抗菌剤量は148個から266個と80%近く増大していることが分かる。

<表1>
Figure 2007022944

上記の抗菌、防かび性を有する本発明に係る湯桶を試料1とし、ブラスト加工を行わないほかは本発明と同様に型成形した在来型の湯桶を試料2として、財団法人日本食品分析センターに依頼して抗菌力試験を行ったので、その結果を表2に示す(試験報告書、第105042154−001号)。表2によれば、試料NO.1の本発明に係る湯桶では、接種後24時間を経過した時点における大腸菌の生菌数は10個以下であり、これに対して、試料NO.2の在来型湯桶では6.4×10 個であって本発明に係る湯桶の著しい抗菌力を有することが分かる。また、JIS規格によれば、抗菌性能として抗菌活性値2以上が抗菌性能基準値とされており、在来型湯桶で4.2を示すのに対して、本発明の湯桶は6.0以上という類をみない抗菌活性値を示しており、本発明の有効性の顕著であることが良く理解される。

<表2>大腸菌

Figure 2007022944
注):無加工試験片としてポリエチレンフィルムを使用した。
このように本発明に係る抗菌、防かび性プラスチック成形体は、抗菌剤をプラスチック原料に混合したり、或いはプラスチック成形体に抗菌剤を撃ち込んだりしただけでは得ることができない、極めて高性能の抗菌、防かび性を具有するものである。そしてこのような成果は、プラスチック原料に混合して混合した抗菌剤が、濡れ性によりプラスチック皮膜で覆われてしまうという事実、この皮膜を剥離するにはどうしたら良いかという見通しと対策によって得ることができたものである。また、これまでの抗菌、防かび性プラスチック成形体と同等の抗菌、防かび性を得るのであれば、抗菌剤の使用量は著しく少なくて済むことも明らかである。
本発明は前述したとおりの水回り用品、水回り設備に適用することができるものであるが、さらに公衆トイレをはじめとして男子トイレなどにも使用されるマット、そして魚、野菜、衣料品などを輸送するときに用いる、プラスチック製の通い箱のように、水のかかりやすい物品にも適用することができる。また、プラスチックシート、及び発泡シートにも本発明を適用可能であり、そのようなシート状物の場合、厚さも0.1mm〜10mm或いはそれ以上と自由である。
本発明に係る抗菌、防かび性プラスチック成形体の1例である湯桶を示す縦断面図。 同上底部の拡大図。 プラスチック成形体表面の状態を示すもので、Aは抗菌剤をプラスチック皮膜が覆っている状態、Bは抗菌剤の撃ち込みによりプラスチック皮膜が剥離された状態を夫々示す断面図。 同じくプラスチック成形体表面の状態を示すもので、Aは図3Aに対応する状態、Bは図3Bに対応する状態を夫々示す平面図。
符号の説明
10 プラスチック成形体
11 表面
12 抗菌剤(プラスチック原料に混合したもの)
12′ 新たな抗菌剤(プラスチック成形体表面に撃ち込んだもの)
13 プラスチック皮膜

Claims (2)

  1. 抗菌性、防かび性を有するプラスチック成形体であって、プラスチック成形体の表面における、無機微粒子よりなる抗菌剤の分布密度が、無機微粒子よりなる抗菌剤をプラスチック原料に混合して型成形したときにプラスチック成形体の表面に得られる分布密度と、プラスチック成形体の表面に無機微粒子よりなる抗菌剤を撃ち込むことによって得られる抗菌剤の分布密度、との合計よりも高いことを特徴とする抗菌、防かび性プラスチック成形体。
  2. 抗菌性、防かび性を有するプラスチック成形体の製造方法であって、無機微粒子よりなる抗菌剤をプラスチック原料に混合してプラスチック成形体を型成形し、得られたプラスチック成形体に、無機微粒子よりなる抗菌剤を撃ち込むことによって、プラスチック成形体の表面に、無機微粒子よりなる抗菌剤を固定し、かつまた、プラスチック成形体の表面付近にある無機微粒子よりなる抗菌剤を覆っているプラスチック皮膜を剥離し、抗菌剤の微粒子を露出させることを特徴とする抗菌、防かび性プラスチック成形体の製造方法。


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