JP2007020024A - リニアモータ式スピーカ - Google Patents

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Fukuji Kawakami
福司 川上
Katsuhiko Masuda
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Abstract

【課題】低音再生に好適なハイファイ・高出力のリニアモータ式スピーカを提供する。
【解決手段】筒状電磁石10の空洞内には、空洞寸法よりわずかに小さい外形寸法を有する筒状磁石14を配置する。磁石14は、内側及び外側をそれぞれ異極性の第1及び第2の磁極とするもので、振動板16が磁石14の空洞内の空気流を遮断するように装着されている。多数のコイル群12のうち1つのコイル群以外の他のコイル群には電磁石10の内側を第2の磁極と同一極性の磁極として磁石14を磁気浮上させるように通電すると共に該1つのコイル群には他のコイル群とは磁極の極性を反転させるように通電する。オーディオ信号の振幅変化に対応して極性反転に係る磁極により磁石14を磁気浮上のまま往復変位させて振動板16を振動させるように複数のコイル群の電流の向きを切換制御する。
【選択図】図1

Description

この発明は、エッジレス・ダンパレス構造を有する筒状のリニアモータ式スピーカに関し、更に詳しくは従来の動電型のような加速度制御式のスピーカとは異なり、振幅の変位そのものを制御する変位制御式スピーカに関するものである。
従来、エッジレス構造を有する円筒状の動電型スピーカとしては、図10に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図10に示すスピーカにおいて、ベース1の上には、下部ダンパ支持台2A、下部プレート3A、永久磁石4、上部プレート3B、上部ダンパ支持台2Bが各々の中央孔をベース1の中央孔1Aに位置合せした状態で積層配置されている。このような積層体を取囲むように円筒状のヨーク8が配置されており、ヨーク8の下端部は、ベース1の外周部に連結されている。ヨーク8とプレート3A,3Bとの間には、それぞれ磁気ギャップGa,Gbが定められている。
コイル支持体5は、相互接続された下部ボイスコイル5A及び上部ボイスコイル5Bを有するもので、コイル5A,5Bの巻回方向は互いに逆になっている。コイル支持体5は、コイル5A,5Bがそれぞれ下方及び上方に半分ずつオフセットした状態で磁気ギャップGa,Gb内に配置されるようにして下部ダンパ6A及び上部ダンパ6Bによりそれぞれ支持台2A及び2Bに支持されている。コイル支持体5の上部には、振動板7が装着されている。ベース1の中央孔1Aから上部ダンパ支持台2Bの中央孔まで連続する縦孔は、振動板7と上部ダンパ6Bとの間の空間を外気に連通させるための孔であり、ベース1に設けた貫通孔1a,1bは、下部ダンパ6Aとベース1との間の空間を外気に連通させるための孔である。
コイル5A,5Bにオーディオ信号に応じて電流を供給すると、コイル5A,5Bが上下方向に駆動されて振動板7が振動する。このため、オーディオ信号が音響に変換される。
特開平9−182188号公報
上記した従来技術によると、振動板7がコイル支持体5でのみ支持され(ヨーク8に支持されていない)、いわゆるエッジレス構造になっている。このため、エッジにより振動板7の振幅が制限されることはなくなる。
しかしながら、二個所にダンパ6A,6Bが設けられており、これらのダンパによって振動板7の振幅が制限される。このため、低音再生が制約を受けると共に、ダンパの機械的非線形性(力−変形の非線形性)によりスピーカの音響出力に歪みが生ずるのを免れない。また、コイル5A,5Bを磁気ギャップGa,Gb内にオフセット状態で配置したことで駆動範囲を拡大できるものの、ダンパ6A,6Bでコイル支持体5及び振動板7の中心支持を行なう構造上から駆動範囲が制約され、高出力を得るのが容易でない。その上、ダンパ6A,6Bの耐久性には限界があり、動作や音質を長期間にわたって安定化させるのが困難である。
この発明の目的は、このような制約や非線形性を有するエッジやダンパを一切排除することにより低音再生に好適なハイファイ(高忠実度)・高出力の変位制御方式のリニアモータ式スピーカを提供することにある。
この発明に係るリニアモータ式スピーカは、
非磁性体からなる細長い筒状体と、この筒状体の長手方向に沿って並設された多数のコイル群とを有する筒状電磁石であって、各コイル群としては、前記筒状体の周方向に沿って配置され且つ直列に接続された巻回方向同一の多数のコイルを含むコイル群を有するものと、
前記筒状体の空洞内に配置され、前記筒状体の長手方向に直交する方向の空洞寸法よりわずかに小さい外形寸法を有する筒状磁石であって、その内側及び外側をそれぞれ互いに極性を異にする第1及び第2の磁極とするものと、
前記筒状磁石の空洞内の空気流を遮断するように前記筒状磁石に装着された振動板と、
前記多数のコイル群のうち1又は複数のコイル群以外の他のコイル群には前記筒状体の内側を前記第2の磁極と同一極性の磁極として前記筒状磁石を磁気浮上させるように通電すると共に該1又は複数のコイル群には前記他のコイル群とは磁極の極性が反転するように通電する通電手段と、
オーディオ信号の振幅変化に対応して極性反転に係る磁極により前記筒状磁石を磁気浮上のまま往復変位させて前記振動板を振動させるように前記多数のコイル群のうちの複数のコイル群の電流の向きを切換制御する制御手段と
を備えたものである。
この発明のリニアモータ式スピーカによれば、振動板を保持する筒状磁石を筒状電磁石内で磁気浮上状態で往復駆動する構成にしたので、振動板は、エッジレス・ダンパレス構造となり、エッジやダンパによる振幅の制限と、エッジやダンパが有する非線形性とを免れることができる。すなわち、振動板は、低域から高域まで位置(変位)の直接制御によりピストンモーションさせることができ、特に低域では大きな体積排除量を確保することができる。このため、ハイファイ・高出力の音響再生が可能であり、特に大振幅の低音再生に好適となる。
この発明のリニアモータ式スピーカにおいて、筒状磁石は、電磁石で構成してもよいが、高磁束密度の永久磁石で構成することもできる。電磁石で構成した場合、電力供給用の配線が筒状磁石や振動板の動きに及ぼす影響を少なくする必要がある。これに対し、筒状磁石を永久磁石で構成した場合には、配線が不要であって、筒状磁石や振動板の動きは何の制約も受けないが、振動板の質量を極力小さくするため、軽量且つ高磁束密度の磁石を使う必要がある。
この発明によれば、筒状のリニアモータ式スピーカをエッジレス・ダンパレス構造としたので、ハイファイ・高出力の音響再生を行なえる効果が得られる。また、エッジやダンパがないので、耐久性に優れ、動作や音質を長期間にわたって安定化できる効果もある。
また、この発明によるスピーカは基本的に「変位振幅制御型」であり、その構造上変位を制限するのは、外管(筒状体)の長さだけであるため、一般の動電型スピーカ(コーンスピーカなど)が有する低域での制約、つまり低域における大きな減衰という欠点を有しない。
すなわち、一般のコーンスピーカにおける変位振幅の尖頭値ξと音響出力Wとの関係は、Rをコーンの有効半径、fを周波数(振動数)とすると、一般に次の数1の式で与えられる。
Figure 2007020024
すなわち、Wを一定とすると、必要な振幅は、周波数fの自乗に反比例して大きくなる。このため、1オクターブ下がる毎に振幅を4倍(12dB)ずつ大きくする必要があり、現実的には最低共振周波数f付近から下方(低域)に向かい出力が一定の傾きで減衰することになる。これに対し、この発明によるスピーカの場合は、低域におけるこのような制約がなく、外管(筒状体)さえ大きくすれば超低域でも非常に大きな出力を得ることができる。一方、高域においては、ゼロでない質量(コーン紙、振動板)が高速で繰り返し多数回変位する必要があるが、前掲の数1の式に従えば高域ほど小さな振幅でよいので、無理なくこれを実現することができる。結果として、この発明によるスピーカは、全帯域にわたり振幅(出力)や歪みの制約を受けずピストンモーションを基本としており、高域でも分割振動しにくいので、理想的なレスポンス周波数特性を提供することができる。
以上のように、この発明は、発音体の構成において、
(イ)ゆっくりであれば、質量がゼロでなくても大きな距離(振幅)を無理なく動けること、
(ロ)高い周波数では、反面小さな距離を動けばよいこと
を基礎とし、「一定出力を得るために必要となる振動板の加速度は周波数fに依存せず常に一定」という合理的な動作原理を実現するものである。
図1は、この発明の一実施形態に係るリニアモータ式スピーカを示すもので、図1のA−A’線に沿う断面は、図2に示されている。
筒状電磁石10は、例えばプラスチック(合成樹脂)等の非磁性体からなる細長い筒状体11と、この筒状体11の長手方向に沿って並設された多数のコイル群12とを備えている。筒状体11は、一例として図2に示すように横断面が円形状である円筒状とするが、図3に示すように横断面が四辺形等の多角形状である角筒状としてもよい。多数のコイル群12中の各コイル群は、図2,3に示すように筒状体11の周方向に沿って配置され且つ直列接続された巻回方向同一の多数のコイル12a…12b…12c…12d…12aを含むコイル群からなっている。ここで、「12a…12b」のような記載は、コイル12aとコイル12bとの間にも多数のコイルが存在することを意味する。図5には、多数のコイル群12中のコイル群C,RC,RC,LC,LCについて各コイル群毎に該コイル群を構成する多数のコイルを直列接続した状態が示されている。
筒状体11の空洞内には、筒状体11の長手方向に直交する方向の空洞寸法より若干小さい外形寸法を有する筒状磁石14が配置される。磁石14は、図2,3に例示するように筒状体11に適合した円筒状又は角筒状の形状を有する。磁石14としては、永久磁石を使用するが、電力供給用の配線を配置することが許容される場合には電磁石を使用してもよい。磁石14は、一例として内側及び外側がそれぞれN極及びS極となるように磁極の極性が定められているが、これとは逆に磁極の極性を定めてもよい。筒状体11の長さを50〜100[cm]とすると、磁石14の両端間の長さを10〜15[cm]とし、図2に示す磁石14の直径(又は図3に示す磁石14の一辺の長さ)を20〜30[cm]とし、筒状体11−磁石14間の間隙GPを0.1〜1.0[mm]程度とすることができる。
筒状磁石14には、空洞内の空気流を遮断するように振動板(ダイアフラム)16が装着されている。振動板16の取付個所は、一例として磁石14の先端部としたが、磁石14の空洞内の中間部等であってもよい。振動板16の材料としては、軽量且つ高剛性の材料が用いられ、例えばアルミニウム合金、チタン、ベリリウム、プラスチック、紙等を用いることができる。振動板16は、一例として後方に凸状のものを用いたが、平面状のものでもよく、前方に凸状(ドーム形)のものでもよい。
スピーカを発音させるにあたり、多数のコイル群12のうち1つ(複数でも可)のコイル群と、該1つのコイル群以外の他のコイル群とでは互いに逆方向に電流を流して初期状態を設定する。すなわち、初期状態では、1つのコイル群以外の他のコイル群には電磁石10の内側を磁石4の外側のS極と同一極性の磁極(S極)として磁石14を磁気反発力により磁気浮上させるように通電すると共に、該1つのコイル群には他のコイル群とは磁極の極性が反転する(電磁石10の内側及び外側をそれぞれN極及びS極とする)ように通電する。そして、音声信号、楽音信号等のオーディオ信号の振幅変化に対応して極性反転に係る磁極により磁石14を初期状態から磁気浮上のまま矢印で示すように往復変位させて振動板16を振動させるように多数のコイル群12中の複数のコイル群の電流の向きを切換制御する。この結果、オーディオ信号が音響に変換され、振動板16からは、変換に係る音が放射される。上記のような発音動作の詳細については、図5〜8を参照して後述する。因みに、振動板及び磁石などの移動部分は、上記のように十分軽量に構成されているので、入力のオーディオ信号の振幅変化に対して遅滞なく追従するものとする。
図1のスピーカを使用する際には、通常のスピーカと同様に種々の装備を施し、効率を上げたり、制約を緩和して特性を改善したりすることができる。例えば、筒状体11の前端部には、ホーン18を装着することができる。ホーン18としては、折り曲げホーン等を用いてもよい。筒状体11の後端部には、内面にグラスウール等の吸音材22を配設した密閉形キャビネット20を装着し、後面(背面)からの逆相の音の回り込みを回避することができる。キャビネット20の代りにバスレフ形キャビネット等を装着してもよい。
図4(A)〜(F)は、筒状磁石14の製法の一例を示すものである。図4(A)の工程では、N−S方向に細長い角柱状の磁石14aに圧縮処理を施して図4(B)に示すようにN−S方向に比べてN−S方向に直交する左右方向に若干細長い角柱状の磁石14bを得る。図4(B)の工程では、磁石14bをN−S方向に直交する左右方向に更に長くするように磁石14bに伸張処理を施して図4(C)に示すように左右方向に細長い角柱状の磁石14cを得る。図4(C)の工程では、磁石14cの幅をN−S方向及び左右方向に直交する前後方向に広げるように磁石14cに拡幅処理を施して図4(D)に示すように長方形状の磁石14dを得る。
次に、図4(D)の工程では磁石14dにN極が内側になるように円筒化処理を施して図4(E)に示すように円筒に近い形状の磁石14eを得る。図4(E)の工程では、磁石14eの端部同士が接触するように更に円筒化処理を続行し、図4(F)に示すように磁石14eの端部同士を連結して円筒状の磁石14を得る。磁石14は、内側及び外側がそれぞれN極及びS極となる。なお、図4(F)に示すように予め円筒化した強磁性体に着磁処理を施して図4(F)に示すような円筒状の磁石14を得てもよい。
図5は、図1のスピーカを駆動するための駆動回路の一例を示すもので、この駆動回路は、オーディオ信号源30、増幅器31、小型コンピュータ32、切換回路群34等を含んでいる。
小型コンピュータ32において、バス35には、A/D(アナログ/ディジタル)変換器36、CPU(中央処理装置)38、ROM(リード・オンリィ・メモリ)40、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)42、出力回路44等が接続されている。オーディオ信号源30からの音声信号、楽音信号等のオーディオ信号は、増幅器31を介してA/D変換器36に入力される。増幅器31では、オーディオ信号の音量、音色等を適宜調整可能である。A/D変換器36では、オーディオ信号が所定のサンプリング周期毎に振幅データに変換される。各サンプル点毎の振幅データは、該サンプル点での入力振幅を量子化し、量子化振幅を所定ビット数のディジタルコードで表わしたものである。CPU38は、ROM40にストアされたプログラムに従って図6に関して後述するような駆動処理を実行するもので、駆動処理に際してはRAM42内のいくつかの記憶領域をレジスタ等として使用する。出力回路44は、電磁石10の多数のコイル群12にそれぞれ対応した多数の出力レジスタを含むもので、各出力レジスタには1又は0を表わす制御信号がセットされる。切換回路群34は、多数のコイル群12にそれぞれ対応した多数の切換回路を含むもので、各切換回路は、出力回路44内の対応する出力レジスタからの制御信号に応じて多数のコイル群12中の対応するコイル群に動作電流を供給する。
説明の便宜上、図5に示すように電磁石10の筒状体11に関して外側をS極とする初期位置をi=0とし、その右側に並ぶN極の位置を順次にi=1,2…の位置とし、i=0の左側に並ぶN極の位置を順次にi=−1,−2…としたとき、多数のコイル群12で位置i=0,1,2,−1,−2にそれぞれ対応した5つのコイル群をC,RC,RC,LC,LCとすると共に、切換回路群34中でコイル群C,RC,RC,LC,LCにそれぞれ対応した切換回路をSW,RSW,RSW,LSW,LSWとする。切換回路SW,RSW,RSW…,LSW,LSW…には、それぞれ出力回路44内の対応する出力レジスタから制御信号CN,RCN、RCN…,LCN,LCN…が供給され、コイル群C,RC,RC…,LC,LC…には、それぞれ切換回路SW,RSW,RSW…,LSW,LSW…から動作電流が供給される。コイル群C,RC,RC…,LC,LC…において、切換回路側とは反対側の端子は、いずれも接地点(基準電位0)に接続される。
初期状態において、1つのコイル群Cには電磁石10の内側及び外側をそれぞれN極及びS極とするように通電すると共に、コイル群C以外の他のコイル群RC,RC…,LC,LC…には、電磁石10の内側及び外側をそれぞれS極及びN極とするように通電することにより磁石14を初期位置i=0にセットする。このためには、制御信号CNを0として切換回路SWから負の電源電位−Eに基づいてコイル群Cに動作電流を供給すると共に、制御信号RCN,RCN…,LCN,LCN…をいずれも1として切換回路RSW,RSW…,LSW,LSW…からの正の電源電位+Eに基づいてコイル群RC,RC…,LC,LC…にそれぞれ動作電流を供給する。このような初期状態では、筒状体11内で磁石14のS極と電磁石10のS極とが半径方向に互いに反発し合い、ある向きに磁石14が変位すると反発力が強まり、本来の位置に押し戻される向きにより強い力が働く。このため、半径方向において内向きの力と外向きの力がバランスし、磁石14は、空中に磁気浮上した状態で保持される。
次に、図6を参照して図5の回路における駆動処理を説明する。図6の駆動処理は、システム電源スイッチのオン操作等に応じてスタートする。
ステップ50では、初期設定処理を行なう。RAM42内には、A/D変換器36から振幅データを取得するたびに該振幅データをセットするための第1のレジスタと、この第1のレジスタに今回の振幅データをセットする前に第1のレジスタから前回の振幅データを受取る第2のレジスタとが存在する。初期設定処理では、第1及び第2のレジスタにいずれも0をセットする。
初期設定処理では、図5に関して前述したように磁石14を初期位置i=0にセットする。磁石14は、スピーカ使用前に必ずしも初期位置i=0に存在するとは限らない。また、図1のスピーカは、筒状体11を立てた状態で使用することもありうる。そこで、A/D変換器36には、図7(B)に示すような初期設定信号Sを入力して磁石14が初期位置i=0にセットされるのを可能にする。図7(B)において、横軸は、時間t[sec]を、縦軸は電圧x[V]をそれぞれ表わす。初期設定信号Sは、点P〜Pを通る正弦波状の振幅変化を示す。初期設定信号Sが点Pで振幅値0のときは、図5に示すようにコイル群Cが筒状体11の外側でS極となり、コイル群C以外の他のコイル群はいずれも筒状体11の外側がN極となる。i=0の位置の右側に多数n個のコイル群が存在するものとすると、信号Sが点Pで正のピーク振幅値に達したときにS極はi=nの位置に到達する。そして、信号Sが点Pで振幅値0になると、S極は、i=0の位置に戻る。i=0の位置の左側に多数のn個のコイル群が存在するものとすると、信号Sが点Pで負のピーク振幅値に達したときにS極はi=−nの位置に到達する。そして、信号Sが点Pで振幅値0になると、S極は、i=0の位置に戻る。
このような磁極移動動作において、筒状体11の外側で移動するS極を生成する1つのコイル群以外の他のコイル群は、いずれも筒状体11の外側及び内側をそれぞれN極及びS極とするので、磁石14は磁気浮上状態にある。磁石14が筒状体11内のどこに存在しようとも、磁石14は筒状体11の内側を往復移動するN極に吸引されてi=0の初期位置にセットされる。上記した説明では、A/D変換器36の出力に応じた出力回路44や切換回路群34の動作について説明を省略したが、これらの回路の動作は、ステップ52〜60において後述するものと同様である。なお、磁石14を初期位置i=0にセットするには、A/D変換器36に初期設定信号Sを入力する代りに、ROM40に記憶した波形データ等の初期設定データに応じて筒状体11の内側でのN極移動(外側でのS極移動)を制御してもよい。
上記のような初期設定処理の後、ステップ52では、前述の第1のレジスタ内のデータを前述の第2のレジスタに移すと共に、A/D変換器36から振幅データを取得して第1のレジスタにセットする。そして、ステップ54では、第2のレジスタ内の振幅データが示す前回の振幅値Aと第1のレジスタ内の振幅データが示す今回の振幅値Aとを比較し、ステップ56では、比較結果が、A=A、A>A及びA<Aの3つのうちいずれか判定する。
この発明の原理では、振動部(振動板、磁石など)が十分軽く、入力のオーディオ信号の瞬時振幅によって決まる位置(すなわち、内側の移動磁石と釣り合って振動板の位置を決定する1又は複数のコイル群によって決まる位置)に振動板が遅滞なく移動することを旨としているが、ゼロではない質量を有する磁石などにより構成される実際の振動部の制御にあたっては、以下のような方法が考えられる。
比較結果がA=Aであったときは何の処理も行なわずにステップ62に移る。比較結果がA>Aであったときは、ステップ58で差分(A−A)に応じた前進処理を行なってからステップ62に移る。比較結果がA<Aであったときは、ステップ60で差分(A−A)に応じた後退処理を行なってからステップ62に移る。ステップ62では、システム電源スイッチのオフ操作等の終了指示があったか判定し、この判定結果が否定的(N)ならばステップ52に戻ってそれ以降の処理を上記したと同様に繰返す。この結果、A/D変換器36から振幅データを取得するたび該振幅データとその前の振幅データとが比較され、比較結果がA>Aであればステップ58の前進処理が、比較結果がA>Aであればステップ60の後退処理がそれぞれ行なわれることとなる。ステップ62の判定結果が肯定的(Y)になると、処理エンドとする。
ステップ58の前進処理では、初期位置i=0から差分(A−A)に対応するコイル群数だけ右側に反転磁極により磁石14を変位させる。簡単のため、差分(A−A)は、移動すべきコイル群数と1対1に対応するものとするが、1対複数又は複数対1の対応関係であってもよい。初期状態では、制御信号CN=0に応じて切換回路SWから電位−Eに基づいてコイル群Cに動作電流が供給されており、磁石14は、図5に示すようにi=0の初期位置にて筒状体11の内側でN極により吸引されて静止状態にある。この状態は、図8の時刻tの状態に対応する。図8において、横軸は時間tを、縦軸は電圧Vを表わし、位置i=0,1,2,3,−1,−2のコイル群にそれぞれ対応した電位制御状態が示されている。
差分(A−A)が1であるときは、出力回路44において制御信号CNを1とし且つ制御信号RCNを0とするように制御信号CN,RCNに対応する出力レジスタの内容を変更する。切換回路SWでは、制御信号CN=1に応じて図8に波形Wで示すように電位を−Eから+Eに滑らかに切換えると共に、切換回路RSWでは、制御信号RCN=0に応じて図8に波形Wで示すように電位を+Eから−Eに滑らかに切換える。図8の時刻tの状態では、電位+Eに基づいてコイル群Cに動作電流が供給されると共に、電位−Eに基づいてコイル群RCに動作電流が供給される。すなわち、時刻tに向けてコイル群C,RCのいずれにおいても電流の向きが滑らかに切換えられる。このため、コイル群C,RCでは、筒状体11の外側で磁極の極性がN,Sにそれぞれ反転され、筒状体11の外側でS極はi=0の初期位置からi=1の位置に移動する。この結果、磁石14は、筒状体11の内側でN極に吸引されて図5に破線で示すようにi=1の位置に前進(変位)する。なお、切換回路群34中の各切換回路は、例えば電位−Eから電位0に向けて変化する放電波形及び電位0から電位+Eに向けて変化する充電波形を有する時定数回路等を用いて構成可能である。
差分(A−A)が1より大きい値である(入力振幅の変化が急峻である)ときは、コイル群C,RCについて上記したと同様の電流切換処理を初期位置i=0から差分値に対応するコイル群数だけ右側の範囲内の複数のコイル群に対して隣り合うコイル群毎に順次に適用する。一例として、差分値が2であるとすると、コイル群C,RCとコイル群RC,RCとについて順次に上記したと同様の電流切換処理を行なう。この場合、コイル群C,RCについては、前述したと同様に図8の時刻tに向けてコイル群C,RCのいずれにおいても電流の向きが滑らかに切換えられる。
図8の時刻tでは、出力回路44において制御信号RCNを1とし且つ制御信号RCNを0とするようにRCN,RCNに対応する出力レジスタの内容を変更する。切換回路RSWでは、制御信号RCN=1に応じて図8に波形Wで示すように電位を−Eから+Eに滑らかに切換えると共に、切換回路RSWでは、制御信号RCN=0に応じて図8に波形Wで示すように電位を+Eから−Eに滑らかに切換える。図8の時刻tの状態では、電位+Eに基づいてコイル群RCに動作電流が供給されると共に、電位−Eに基づいてコイル群RCに動作電流が供給される。すなわち、時刻tに向けてコイル群RC,RCのいずれにおいても電流の向きが滑らかに切換えられる。このため、コイル群RC,RCでは、筒状体11の外側で磁極の極性がN,Sにそれぞれ反転され、筒状体11の外側でS極はi=0の初期位置からi=2の位置に移動する。この結果、磁石14は、筒状体11の内側でN極により吸引されてi=2の位置まで前進する。
差分値が3であるときは、上記したと同様の電流切換動作がi=3のコイル群まで行なわれる。図8の時刻tの状態において、コイル群RC(i=2)には波形Wで示すように電位+Eに基づいて動作電流が供給されると共に、i=3の位置のコイル群には波形Wで示すように電位−Eに基づいて動作電流が供給される。従って、この場合は、i=3の位置まで磁石14が前進する。上記したように差分値が大きくなるほど磁石14の変位量を大きくすると、入力振幅の急峻な変化に追従して振動板16を振動させることができる。
図7(A)は、A/D変換器36に入力される入力信号の一例として、振幅が直線的に増大する信号x=x(t)を示すものである。上記した駆動処理によれば、磁石14は、入力信号x=x(t)に応じて差分値に対応した一定の速度で右方向に移動する。図8に示したW〜W等の切換波形は、図7(A)に示したような入力信号xに対して最も直線性が良く且つ円滑に動作する(歪が最小となる)ように調整される。
ステップ60の後退処理では、初期位置i=0から差分値(A−A)に対応する群数だけ左側(i=−1,−2…の位置)へ反転磁極により磁石14を変位させる。具体的な動作は、制御信号CN,LCN,LCN…及び切換回路SW,LSW,LSW…を用いてステップ58の前進処理について前述したと同様に行なわれる。このような動作の詳細については、前進処理の説明から自明であるので、説明を省略する。ステップ58の前進処理とステップ60の後退処理とにより磁石14がオーディオ信号の振幅の変化に対応して往復駆動されて振動板16が振動するので、オーディオ信号が音響に変換される。
上記したリニアモータ式スピーカによれば、振動板16を固定的に支持するエッジやダンパがないので、エッジやダンパによる振幅制限や非線形性による歪みがなくなり、低域から高域までハイファイ再生が可能になる。また、振動板16の最大振幅は電磁石10の長さにのみ左右され、大振幅動作が可能であるため、高出力が得られる。その上、振動板16を保持する磁石14は、電磁石10とは非接触の磁気浮上状態で往復変位するので、エッジやダンパに伴う種々の歪をなくすことができる。さらに、エッジやダンパのないシンプルな構造であるため、耐久性があり、動作や音質を長期間にわたって安定化させることができる。
上記したリニアモータ式スピーカにおいては、電磁石10の各コイル群に流す電流を大きくしたり、磁石14をネオジム合金などで構成して磁束密度を高めたりすることにより大きな磁力を発生可能とすれば、振動板16の過渡応答を一層改善することができる。また、電磁石10における反転磁極の位置変化を大きくすれば、振動板16は大きな範囲を移動し、大振幅の音を発生可能となる。なお、電磁石10及び磁石14について図1,4,5に示した磁極の極性は、図示したものとは反対にしてもよいこと勿論である。
図9は、この発明に係るリニアモータ式スピーカの設置例を示すもので、図1と同様の部分には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図9の例では、電磁石10の後端部に導管(ダクト)24を装着し、導管24を床26に設けた孔を介して床下の空間に連通させている。他の例としては、導管24を壁28に設けた孔を介して別室に連通させてもよい。いずれの例においても、電磁石10の後方から生ずるスピーカ音が電磁石10の前方に到来してレスポンス周波数特性を悪化させるのを防止することができる。
この発明の一実施形態に係るリニアモータ式スピーカを示す一部側面断面図である。 図1のA−A’線に沿う断面図である。 変形例に係るスピーカの断面図である。 (A)〜(F)は、いずれも筒状磁石の製法における処理工程を示す斜視図である。 スピーカ駆動回路を示す回路図である。 図5の回路における駆動処理の流れを示すフローチャートである。 (A)及び(B)は、それぞれ入力信号及び初期設定信号を示す波形図である。 図5の回路における磁極移動動作を説明するための信号波形図である。 スピーカ設置例を示す断面図である。 従来の円筒状の動電型スピーカを示す断面図である。
符号の説明
10:筒状電磁石、12a〜12d:コイル、12,C,RC,RC,LC,LC:コイル群、14:筒状磁石、16:振動板、18:ホーン、20:キャビネット、22:吸音材、24:導管、26:床、28:壁、30:オーディオ信号源、31:増幅器、32:小型コンピュータ、34:切換回路群。

Claims (2)

  1. 非磁性体からなる細長い筒状体と、この筒状体の長手方向に沿って並設された多数のコイル群とを有する筒状電磁石であって、各コイル群としては、前記筒状体の周方向に沿って配置され且つ直列に接続された巻回方向同一の多数のコイルを含むコイル群を有するものと、
    前記筒状体の空洞内に配置され、前記筒状体の長手方向に直交する方向の空洞寸法よりわずかに小さい外形寸法を有する筒状磁石であって、その内側及び外側をそれぞれ互いに極性を異にする第1及び第2の磁極とするものと、
    前記筒状磁石の空洞内の空気流を遮断するように前記筒状磁石に装着された振動板と、
    前記多数のコイル群のうち1又は複数のコイル群以外の他のコイル群には前記筒状体の内側を前記第2の磁極と同一極性の磁極として前記筒状磁石を磁気浮上させるように通電すると共に該1又は複数のコイル群には前記他のコイル群とは磁極の極性が反転するように通電する通電手段と、
    オーディオ信号の振幅変化に対応して極性反転に係る磁極により前記筒状磁石を磁気浮上のまま往復変位させて前記振動板を振動させるように前記多数のコイル群のうちの複数のコイル群の電流の向きを切換制御する制御手段と
    を備えたリニアモータ式スピーカ。
  2. 前記筒状磁石が永久磁石からなっている請求項1記載のリニアモータ式スピーカ。
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