以下、本発明の実施形態に係る電気的接続装置について、添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る電気的接続装置の要部を示す断面図、図2は被検査体を裏面から示す斜視図、図3は電気的接続装置を示す断面図、図4は電気的接続装置を示す平面図、図5は電気的接続装置を示す図4のA−A線矢視断面図、図6は電気的接続装置のベースを示す平面図である。
図1に示す電気的接続装置1は、被検査体2の検査のための補助装置として用いられる。被検査体2は、ICデバイスや液晶表示パネル等の、検査信号を通電させる必要のあるものである。被検査体2の一例を図1及び図2に示す。この被検査体2は、四角台形状でその下部にフランジ部2Aを備えて構成されている。この被検査体2のフランジ部2Aに、信号の出入力のための電極部3を備えている。電極部3は並列に複数配置されている。
電気的接続装置1は、図1、図3〜5に示すように主に、配線基板4と、ベース5と、カバー6と、接触子7とから構成されている。
配線基板4は、接触子7を介して被検査体2に試験用の電気信号を伝送するための導電部である。配線基板4は電気絶縁材料で形成されている。この配線基板4の一方の面に、印刷配線技術により信号配線9が形成されている。信号配線9は、接触子7の配設位置に合わせたパターンに形成されている。この信号配線9に接触子7の基端部が電気的に接触される。
ベース5は、図1,3,6に示すように、肉厚の四角形板状に形成されている。ベース5には、ネジ穴10と、バネ座11と、接触子収納凹部12と、デバイスガイド13とから構成されている。
ネジ穴10は、ベース5を配線基板4に固定する固定ネジ15を通すための穴である。ネジ穴10は、ベース5の四隅近傍に4つ設けられている。バネ座11は、カバー6をベース5に対して弾性的に近接離間できるようにするための圧縮バネ16の端部を支持するための凹部である。このバネ座11は、隣り合う2つのネジ穴10の中間位置に設けられ、全体のバランスを取りながらカバー6をスライド可能に支持するようになっている。なお、固定ネジ15によるカバー6の支持態様については後述する。
接触子収納凹部12は、接触子7を回動可能に支持するための凹部である。接触子収納凹部12は、接触子7を左右に5個ずつ配設して支持するようになっている。各接触子7は、被検査体2の電極部3に合わせた位置に配設されている。そして、各接触子7の位置に合わせてスロット18が設けられている。このスロット18は、接触子収納凹部12の上側面と配線基板4の信号配線9とを連通している。これにより、接触子7がスロット18に挿入されて、信号配線9に接触するようになっている。
接触子収納凹部12には二本の弾性体19が取り付けられる。この弾性体19は、弾性を有する円柱状の合成樹脂で構成されている。弾性体19は、5個ずつ配設される各接触子7を全て横切る方向に配設されている。各弾性体19の両端部は接触子収納凹部12の縁部に設けられた弾性体支持部20に嵌合して固定されている。接触子収納凹部12内では、半円形溝状の弾性体嵌合部21が設けられている。この弾性体嵌合部21は、それに嵌合される弾性体19の中心位置がスロット18の縁部付近に位置するように配設されている。
接触子収納凹部12の中心位置には、被検査体載置台22が設けられている。被検査体載置台22は、四角形状で僅かに***させて構成されている。被検査体載置台22の中心部には通気孔23が設けられている。被検査体載置台22に被検査体2が載置された状態で、電極部3が被検査体載置台22からはみ出して接触子7と接触しやすいようになっている。
デバイスガイド13は、被検査体2を被検査体載置台22に載置する際に、被検査体2を案内するための部材である。デバイスガイド13は、傾斜面を有し、各接触子7の配列方向の両側に被検査体載置台22を挟んでそれぞれ設けられている。被検査体2は、デバイスガイド13の傾斜面に案内されて被検査体載置台22に載置される。
固定ネジ15は、図5に示すように、ネジ部25と、ガイド部26と、ネジ頭部27とから構成されている。ネジ部25は、配線基板4のネジ穴4Aにねじ込まれて固定される部分である。ネジ部25がネジ穴4Aにねじ込まれることで、ネジ部25よりも直径の大きいガイド部26の縁部がベース5に当接してベース5を配線基板4側に固定している。ガイド部26は、カバー6をスライド可能に支持する部分である。ガイド部26にカバー6のガイド穴30が嵌合して、カバー6がスライド可能に支持される。ネジ頭部27は、カバー6のガイド部26からの抜け落ちを防止するストッパとなっている。
圧縮バネ16は、図3に示すように、カバー6を弾性的に支持するためのバネである。この圧縮バネ16は、その基端部がベース5のバネ座11に嵌合され、先端部がカバー6のバネ座31に嵌合されて装着されている。圧縮バネ16によって、カバー6がベース5に対して近接離間可能に支持されている。これにより、カバー6は、押し下げられることで、図1の左側の状態から右側の状態のようにベース5に近づけられて接触子7が回動され、被検査体2の電極部3への接触子7の押圧が解除されるようになっている。
カバー6は、図1、3〜5に示すように、被検査体2の電極部3への接触子7の押圧を解除するための部材である。カバー6の四隅近傍には、固定ネジ15のガイド部26にスライド可能に嵌合するためのガイド穴30が設けられている。ガイド穴30に固定ネジ15のガイド部26が挿入されることで、カバー6がスライド可能に支持されると共に、固定ネジ15のネジ頭部27でカバー6の抜け落ちが防止される。カバー6の裏面には、バネ座31が設けられている。バネ座31は、カバー6をベース5に対して弾性的に近接離間できるようにするための圧縮バネ16の端部を支持するための凹部である。このバネ座31は、隣り合う2つのガイド穴30の中間位置に設けられ、全体のバランスを取りながらカバー6をスライド可能に支持するようになっている。カバー6の中央には、被検査体2の出し入れ開口32が設けられている。さらに、出し入れ開口32の縁部は、接触子7の解除レバー部39の押圧部33となっている。これにより、カバー6が押し下げられることで、接触子7が回動して(図1中の右側の実線の接触子7の状態に回動して)、接触子7の電極当接部35と被検査体2の電極部3との当接が解除するようになっている。即ち、解除状態になるようになっている。また、この解除状態で、被検査体2が出し入れされる。
接触子7は、図1、3、6に示すように、被検査体2の電極部3と配線基板4の信号配線9とを電気的に接続するための部材である。この接触子7は、導電性板材を用いて全体をほぼT字状に形成され、その両側に電極当接部35及び解除レバー部39が、下端に配線当接部37が配設されている。具体的には接触子7は、電極当接部35と、ガイド面36と、配線当接部37と、弾性体支持部38と、解除レバー部39とから構成されている。
電極当接部35は、上記被検査体2の側面に位置する電極部3に直接当接する部分である。電極当接部35は、被検査体2が装着された状態で電極部3との当接面がほぼ垂直になるように設定されている。この当接面の具体的な角度は、被検査体2の種類に応じて設定される。本実施形態の例では、当接面の下部が電極部3側へせり出すように、垂直から僅かに倒した状態に設定される。なお、被検査体2は被検査体載置台22に載置されて電極部3の下側に隙間があるため、その電極部3に当接する電極当接部35を、電極部3の形状に合わせて形成してもよい。具体的には、電極当接部35をL字状に形成して、電極部3の下側へ回り込んで電気的に接触するようにしてもよい。また、L字状に限らず、電極当接部35の下部から電極部3の下側へ延ばして設けられ、電極部3の下側へ回り込んで電極部3と接触する下側接触部を設けてもよい。
ガイド面36は、被検査体2を被検査体載置台22に載置する際に、被検査体2を案内するための斜面である。ガイド面36は、電極当接部35の上側に連続して形成された傾斜面によって構成されている。これにより、被検査体載置台22を挟んで互いに向き合って配設される各接触子7の各ガイド面36とデバイスガイド13とで、被検査体2が案内されて被検査体載置台22に載置される。
配線当接部37は、配線基板4に形成された信号配線9に当接するための部分である。配線当接部37が信号配線9に当接して電気的に接続される。配線当接部37の先端部はほぼ円弧状に湾曲して形成され、配線当接部37が多少回動しても信号配線9との接触状態を維持できるようになっている。
弾性体支持部38は、接触子7全体を弾性的に支持するための部分である。即ち、弾性体支持部38は、弾性体19に嵌合されてこの弾性体19と弾性的に接触することで、接触子7全体を弾性的に支持している。弾性体支持部38は、円柱状の弾性体19に合わせて円弧状に切り欠いて構成されている。この円弧状の弾性体支持部38に弾性体19が嵌合して接触子7を弾性的に支持する。具体的には、カバー6で解除レバー部39が押し下げられて、対向する両側の接触子7の電極当接部35が左右に押し広げられた解除状態(弾性体19が押し縮められた状態)で被検査体2が装着されて、弾性体19の反発力で電極当接部35が電極部3に押し付けられると共に、弾性体支持部38のうち弾性体19の下側に回り込んだ部分が弾性体19の反発力で押されて配線当接部37が信号配線9に押し付けられるようになっている。
解除レバー部39は、それ自体が押し下げられることで接触子7が回動して対向する両側の接触子7の電極当接部35の間隔を広げて被検査体2を装着しやすくすると共に、被検査体2の電極部3と電極当接部35との当接を解除するための部材である。解除レバー部39は、弾性体支持部38を挟んで電極当接部35と反対側に設けられ、カバー6の出し入れ開口32の押圧部33で押し下げられることで、接触子7が回動して(図1中の右側の接触子7のように破線から実線の状態に回動して)、電極部3と電極当接部35との当接が解除されるようになっている。このとき、配線当接部37がスロット18の内側面に当接して支点となり、電極当接部35を電極部3から引き離すように接触子7を回動させるようになっている。
[動作]
以上のように構成された電気的接続装置1は、次のように動作する。
まず、カバー6を押し下げる。これにより、カバー6は、圧縮バネ16で上方へ移動した待機状態から、降下して押圧部33で接触子7の解除レバー部39を押し下げる。これにより、接触子7を回動させた解除状態(図1中の右側の実線の状態)にして、被検査体2を被検査体載置台22に載置する。このとき、弾性体19は押し潰された状態になっており、弾性体19の反発力によって接触子7が押し戻される方向に力が作用している。
このカバー6を押し下げる動作は、被検査体2の装着時に行われる。即ち、被検査体2を手動又は自動で電気的接続装置1のカバー6の出し入れ開口32に挿入する際に、カバー6が押し下げられて解除状態となる。これにより、被検査体2は、接触子7のガイド面36とデバイスガイド13とに案内されて正確に位置決め調整され、ベース5の被検査体載置台22に載置される。このとき、被検査体2の電極部3が接触子7の電極当接部35に整合する。
次いで、カバー6を上昇させる。これにより、接触子7が弾性体19の反発力によって被検査体2側へ押される。これによって、接触子7の電極当接部35が被検査体2の電極部3に押し付けられる。
さらに、弾性体19の反発力は、接触子7の弾性体支持部38の下部にも及び、配線当接部37が信号配線9に押し付けられる。このとき、電極当接部35と電極部3との間及び配線当接部37と信号配線9との間は、僅かに滑りながら押し付けられる。これにより、信号配線9と配線当接部37との間、電極当接部35と電極部3との間が電気的に確実に接触される。
次いで、電気信号が、信号配線9及び接触子7を介して送信されて、検査が行われる。
検査が終了すると、カバー6を押し下げる。これにより、接触子7の解除レバー部39が押し下げられて解除状態になって、被検査体2の電極部3と接触子7の電極当接部35が離される。これにより、被検査体2を取り出す。次いで、新しい被検査体2を挿入して上記処理を繰り返す。
以上のように、被検査体2を左右から押圧して検査を行うため、被検査体2に必要以上に圧力を掛ける必要がなくなり、圧力の掛け過ぎによる検査不良を解消することができる。
被検査体2の各電極部3と接触子7の電極当接部35とを、容易にかつ、電気的に安定して確実に接触させることができるようになる。これにより、検査装置に対する信頼性を向上させることができる。
カバー6を押し下げるだけで容易に解除状態にすることができるため、被検査体2の検査作業の効率化を図ることができる。
1:電気的接続装置、2:被検査体、3:電極部、4:配線基板、5:ベース、6:カバー、7:接触子、9:信号配線、10:ネジ穴、11:バネ座、12:接触子収納凹部、13:デバイスガイド、15:固定ネジ、16:圧縮バネ、18:スロット、19:弾性体、20:弾性体支持部、21:弾性体嵌合部、22:被検査体載置台、23:通気孔、25:ネジ部、26:ガイド部、27:ネジ頭部、30:ガイド穴、31:バネ座、32:出し入れ開口33:押圧部、35:電極当接部、36:ガイド面、37:配線当接部、38:弾性体支持部、39:解除レバー部。