JP2007012505A - 燃料電池および燃料電池製造方法 - Google Patents

燃料電池および燃料電池製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 燃料利用効率が高く、酸化剤極におけるフラディングと過度の乾燥とを抑制し、寿命がより長い燃料電池及びその燃料電池の生産コストを低減する燃料電池製造方法を提供する。
【解決手段】 燃料が供給される燃料極6と、酸素が供給される酸化剤極7とを備えている。このとき、酸化剤極7は、プロトンを伝導することができるプロトン伝導性材料33と、プロトンと酸素とから水を合成する化学反応を進める触媒32と、制限透過層34とを備えている。制限透過層34は、炭素から形成される主鎖にペンダント基が結合された高分子を主成分として含んでいる。そのペンダント基は、フルオロアルキル基を含有している。
【選択図】 図3

Description

本発明は、燃料電池および燃料電池製造方法に関し、特に、アルコールを用いて電力を生成する燃料電池およびその燃料電池を生産する燃料電池製造方法に関する。
メタノールを用いて電力を生成する直接メタノール型燃料電池が知られている。その直接メタノール型燃料電池は、アノードにメタノール水溶液(またはメタノール蒸気と水と)が供給され、カソードに酸素が供給されることにより、電力を生成する。このとき、そのアノードでは、次の反応式:
CHOH+HO→6H+CO+6e
により表現される電極反応が進行する。そのカソードでは、次の反応式:
3/2O+6H+6e→3H
により表現される電極反応が進行する。
その直接メタノール型燃料電池は、水素を用いて電力を生成する燃料電池に比較して、反応速度や出力密度が劣っているが、燃料の貯蔵が容易であり、改質器が不要であり、エネルギー密度が非常に高い。その直接メタノール型燃料電池は、さらに、その燃料電池に比較して、小型化、負荷応答性の向上、低コスト化等の可能性を有している。このため、その直接メタノール型燃料電池は、可搬型の小型発電機、車載動力源への応用が期待されている。
その直接メタノール型燃料電池は、カソードに水分が留まると、カソードの拡散経路を塞ぎ(フラッディング)、酸化剤(酸素)の供給が阻害され、反応効率が低下する。その直接メタノール型燃料電池は、カソードで生成される水を蒸散させて速やかに除去することが望まれている。
特開平09−245800号公報には、カソードにおける生成水の排水性および電解質層への給水性と、アノードにおける給水性とを向上させ、電極におけるガス透過性を確保する燃料電池が開示されている。その燃料電池は、電解質層と、該電解質層を挟持する陽電極および陰電極を備える燃料電池において、前記陽電極は、親水処理を施された電極基材の少なくとも前記電解質層側の表面に、撥水性物質を有する撥水層を形成してなる。このような燃料電池は、酸化剤極で生成された水が速やかに排出されて除去され、酸化剤極と電解質膜とが乾燥しやすい。酸化剤極と電解質膜とは、乾燥するとプロトン伝導性が低下して燃料電池の発電効率が低下する。酸化剤極と電解質膜とは、乾燥を抑制することが望まれている。
酸化剤極の親水部からなる基材の両面が撥水材料で覆われる燃料電池が知られている。このような燃料電池は、一定量の生成水や単位時間当たりの生成水に対して、その親水部においてスムーズに吸収され、排出される。しかしながら、親水部が持つ生成水を吸収し排出することができる量に限界があり、このような燃料電池は、その生成水がその限界を超えると、その生成水が親水部から排出できないでフラッディングが生じる。このため、このような燃料電池は、短時間もしくは低電流(低出力)で駆動するときの出力が安定しているが、長時間(たとえば24時間以上)の駆動や、高電流(たとえば2A以上)での駆動においては安定した出力が得られない。長時間の駆動や、高電流での駆動で出力が安定する燃料電池が望まれている。
特開2003−68330号公報には、電極および固体高分子電解質層に存在する過剰な水を除去して、電極内へのガスの拡散を促進させ、発電効率の高い燃料電池が開示されている。その固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質層の両側に燃料極および酸化剤極が対設され、燃料極を臨む側に燃料流路を、酸化剤極を臨む側に酸化剤流路を備えた燃料電池セルであって、燃料極および/または酸化剤極上に、導電性材料と保水性樹脂とから形成され、複数の貫通孔を有する保水層が備えられる。このような固体高分子型燃料電池は、撥水加工時に使われる樹脂(フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重体等)がその保水性樹脂との密着性が低く、長期の使用によりその樹脂が剥離するなどの問題が発生することがある。このような固体高分子型燃料電池は、さらに、製造過程が多く、その作業工程が複雑である。
その直接メタノール型燃料電池は、酸化剤極におけるフラディングと過度の乾燥とを抑制することが望まれている。すなわち、酸化剤極における電池反応に十分なプロトン伝導性を確保することが望まれている。その直接メタノール型燃料電池は、さらに、電池反応に必要な酸化剤を酸化剤極に充分に供給することが望まれている。すなわち、酸化剤極の生成水を速やかに除去して、酸化剤の拡散経路を充分に確保することが望まれている。その直接メタノール型燃料電池は、さらに、作業効率を高くし、作業工程を少なくし、歩留まりを高くして低コストで生産することが望まれ、取り扱いの容易な材料を採用することが望まれている。その直接メタノール型燃料電池は、さらに、寿命を長期化することが望まれている。
特開2002−8677号公報には、起動初期において大電流を流す場合であってもフラッディングの発生が十分に防止され、高い電池出力を起動初期から長期間にわたり安定して得ることのできる固体高分子型燃料電池の製造方法が開示されている。その固体高分子型燃料電池の製造方法は、アノードとカソードとの間に高分子電解質膜を配置し、前記カソードには、ガス拡散層と前記高分子電解質膜との間に配置される複数の触媒層とを形成して積層する固体高分子型燃料電池の製造方法であって、前記複数の触媒層を、それぞれ、−SOF基を有する含フッ素重合体を加水分解し、次いで酸型化処理してスルホン酸基を有する含フッ素重合体を得る加水分解工程と、前記スルホン酸基を有する含フッ素重合体を触媒及び溶媒と混合して塗工液を調製する塗工液調製工程と、前記塗工液により触媒層を形成する触媒層形成工程と、により形成し、前記複数の触媒層のうち、前記高分子電解質膜に接する最内部の触媒層は、溶融押し出し温度X[℃]を有する−SOF基を有する含フッ素重合体を用いて形成し、前記ガス拡散層に接する最外部の触媒層は、前記加水分解工程において、溶融押し出し温度Y[℃]を有する−SOF基を有する含フッ素重合体を用いて形成し、前記X及びYは、下記式:
100≦X≦290 (1)
110≦Y≦300 (2)
10≦(Y−X)≦200 (3)
の条件を同時に満たすことを特徴としている。
特開2002−100371号公報には、起動初期において大電流を流す場合であってもフラッディングの発生が十分に防止され、高い電池出力を起動初期から長期間にわたり安定して得ることのできる固体高分子型燃料電池の製造方法が開示されている。その固体高分子型燃料電池は、アノードと、ガス拡散層及び触媒層を有するカソードと、前記アノードと前記カソードの間に配置された高分子電解質膜と、前記カソードの外側に配置された前記カソードと接する面に入口と出口とを有するガス流路が形成されたセパレータとを有する固体高分子型燃料電池であって、前記触媒層は、触媒と、−SOF基を有する重合体からなる前駆体を加水分解し酸型化してなる2種以上のスルホン酸基を有する含フッ素重合体とを含有しており、かつ、前記触媒層における前記ガス流路の入口近傍領域と出口近傍領域とでは異なる前記含フッ素重合体が含有されており、前記入口近傍領域に含有される前記含フッ素重合体は、その前記前駆体の溶融押し出し温度が前記出口近傍領域に含有される前記含フッ素重合体の前記前駆体の溶融押し出し温度よりも5℃〜200℃低い樹脂であることを特徴とする。
特開2002−117863号公報には、燃料効率のよいメタノール燃料電池を形成する方法が開示されている。その燃料電池の形成方法は、触媒材料を用意する工程と、前記触媒材料をイオノマー及び撥水性材料と混合して混合触媒材料を形成する工程と、前記混合触媒材料を電極のバッキング材料に付ける工程とを含んでなる。
特開平09−245800号公報 特開2003−68330号公報 特開2002−8677号公報 特開2002−100371号公報 特開2002−117863号公報
本発明の課題は、燃料利用効率が高い燃料電池を提供することにある。
本発明の他の課題は、酸化剤極におけるフラディングと過度の乾燥とを抑制する燃料電池を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、寿命がより長い燃料電池を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、燃料電池の生産コストを低減する燃料電池製造方法を提供することにある。
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明による燃料電池は、燃料が供給される燃料極(6)と、酸素が供給される酸化剤極(7)とを備えている。このとき、酸化剤極(7)は、プロトンを伝導することができるプロトン伝導性材料(33)(44)と、プロトンと酸素とから水を合成する化学反応を進める触媒(32)(43)と、制限透過層(34)(46)とを備えていることが好ましい。制限透過層(34)(46)は、炭素から形成される主鎖にペンダント基が結合された高分子を主成分として含んでいる。そのペンダント基は、フルオロアルキル基を含有している。
その制限透過層(34)(46)は、触媒(32)(43)とプロトン伝導性材料(33)(44)とを被覆することが好ましい。
その主鎖は、フッ素に結合されないことが好ましい。
そのフルオロアルキル基は、カルボン酸エステル基を介して主鎖に結合されることが好ましい。
そのフルオロアルキル基のうちのカルボン酸エステル基に結合される炭素は、第一級炭素原子であることが好ましい。
本発明による燃料電池は、フルオロアルキル基に含まれるフッ素の原子数xとフルオロアルキル基に含まれる水素の原子数yとを用いて、次数式:
z=x÷(x+y)
により表現されるフッ素含有率zは、0.3〜1であることが好ましい。
そのフルオロアルキル基は、炭素の原子数が3〜15であることが好ましい。
その高分子は、分子量が1000〜50000であることが好ましい。
その高分子は、ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルであることが好ましい。または、その高分子は、ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルであることが好ましい。
その制限透過層(34)(46)は、高分子と、カルボキシル基の水素がアルキル基に置換されたアルキルアルコールエステル基が炭素から形成される主鎖に結合された他の高分子との混合物であることが好ましい。そのアルキルアルコールエステル基は、炭素の原子数が2〜10であることが好ましい。その高分子は、ポリメタクリル酸シクロヘキシルであることが好ましい。
その高分子は、カルボキシル基の水素がアルキル基に置換されたアルキルアルコールエステル基が主鎖にさらに結合されていることが好ましい。そのアルキルアルコールエステル基は、炭素の原子数が2〜10であることが好ましい。そのアルキル基は、シクロヘキシルであることが好ましい。
酸化剤極(7)は、接着層(46)をさらに備えていることが好ましい。このとき、その制限透過層(46)は、接着層(46)を介して触媒(43)とプロトン伝導性材料(44)とを被覆している。
その接着層(46)は、ポリビニルアルコール、セルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、寒天、アルブミンから形成される集合から選択される1つ以上の物質を含有していることが好ましい。
接着層(46)は、シランカップリング剤から形成されることが好ましい。シランカップリング剤は、γ−アミノプロピルトリエトキシシランであることが好ましい。
酸化剤極(7)は、触媒(32)(43)を担持する担持体(31)(42)をさらに備えていることが好ましい。
本発明による燃料電池製造方法は、本発明による燃料電池を生産する燃料電池製造方法である。その燃料電池は、燃料が供給される燃料極(6)と、酸素が供給される酸化剤極(7)とを備えている。このとき、酸化剤極(7)は、触媒(32)(43)と、プロトンを伝導することができるプロトン伝導性材料(33)(44)と、制限透過層(34)(46)とを備えている。制限透過層(34)(46)は、フルオロアルキル基を含有するペンダント基が主鎖に結合された高分子を含んでいる。本発明による燃料電池製造方法は、触媒(32)(43)とプロトン伝導性材料(33)(44)とを備えている酸化剤極中間生成物を調製するステップと、高分子を含有する溶液を調製するステップと、酸化剤極中間生成物に溶液を塗布して乾燥させことにより、酸化剤極(7)を形成するステップとを備えていることが好ましい。
本発明による燃料電池製造方法は、燃料極(6)と酸化剤極(7)とに挟まれて配置される電解質膜(5)をさらに備えている。このとき、溶液は、酸化剤極中間生成物が電解質膜(5)に接合された後に、その酸化剤極中間生成物に塗布されることが好ましい。
酸化剤極(7)は、酸素を触媒(32)(43)に通す拡散層(14)をさらに備えている。このとき、溶液は、拡散層(14)を通してその酸化剤極中間生成物に塗布されることが好ましい。
その溶液は、ディップコート法によりその酸化剤極中間生成物に塗布されることが好ましい。または、その溶液は、スプレーコート法により酸化剤極中間生成物に塗布されることが好ましい。
その高分子は、不飽和炭化水素と不飽和カルボン酸と不飽和アルコールとから形成される集合から選択されるモノマーの重合体から合成されることが好ましい。
その高分子は、ポリカルボン酸から合成されることが好ましい。そのポリカルボン酸は、ポリメタクリル酸と、ポリアクリル酸と、メタクリル酸とアクリル酸との共重合体とから形成される集合から選択される物質であることが好ましい。その高分子は、ポリカルボン酸とフルオロアルコールとをエステル化して合成されることが好ましい。
その制限透過層(34)(46)は、高分子と、カルボキシル基の水素がアルキル基に置換されたアルキルアルコールエステル基が炭素から形成される主鎖に結合された他の高分子との混合物であることが好ましい。他の高分子は、ポリカルボン酸とアルキルアルコールとをエステル化して合成される。
本発明による燃料電池は、燃料利用効率を向上させることができる。本発明による燃料電池製造方法は、その燃料電池をより安価に製造することができる。
図面を参照して、本発明による燃料電池の実施の形態を記載する。その燃料電池は、図1に示されているように、アノード集電体1とカソード集電体2と電極・電解質膜接合体3とを備えている。アノード集電体1は、カーボンまたはステンレスから形成され、帯状に形成されている。なお、アノード集電体1は、カーボンまたはステンレスと異なる材料から形成されることもできる。その材料は、電気的に低抵抗の材料であり、かつ、酸、アルカリおよび有機溶剤により腐食し難い材料である。さらに、その材料としては、バイポーラ型の電極などを用いることもできる。なお、アノード集電体1は、帯状以外の形状に形成されることもできる。
カソード集電体2は、カーボンまたはステンレスから形成され、帯状に形成されている。なお、カソード集電体2は、カーボンまたはステンレスと異なる材料から形成されることもできる。その材料は、電気的に低抵抗の材料であり、かつ、酸、アルカリおよび有機溶剤により腐食し難い材料である。さらに、その材料としては、バイポーラ型の電極などを用いることもできる。なお、カソード集電体2は、帯状以外の形状に形成されることもできる。
電極・電解質膜接合体3は、板状に形成されている。なお、本発明による燃料電池は、電極・電解質膜接合体3を複数個備えることができる。本発明による燃料電池は、電極・電解質膜接合体3を複数備えているときに、その複数の電極・電解質膜接合体3が平行に重ねられたスタック積層型に形成され、その複数の電極・電解質膜接合体3が同一平面上に配列された平面スタック型に形成され、または、その平面スタック型に形成されたものをさらに複数重ねられた形状に形成される。このとき、アノード集電体1とカソード集電体2とは、直列つなぎになるように電極・電解質膜接合体3を接続し、または、並列つなぎになるように電極・電解質膜接合体3を接続する。
電極・電解質膜接合体3は、電解質膜5と燃料極6と酸化剤極7とを備えている。電解質膜5は、燃料極6と酸化剤極7との間に挟まれて配置されている。電解質膜5は、プロトン伝導性を示す有機高分子から形成されている。その有機高分子としては、炭化水素系の有機高分子またはフッ素系の有機高分子であり、芳香族縮合系高分子、スルフォン酸基含有パーフルオロカーボン、カルボキシル基含有パーフルオロカーボンが例示される。その芳香族縮合系高分子としては、スルフォン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルフォン化ポリベンゾイミダゾール等が例示される。そのスルフォン酸基含有パーフルオロカーボンとしては、デュポン社製「ナフィオン」(登録商標)、旭化成社製「アシプレックス」が例示される。そのカルボキシル基含有パーフルオロカーボンとしては、旭硝子社製「フレミオンS膜」(登録商標)が例示される。電解質膜5の材料としては、プロトン伝導性を示すものであればよく、その材料は特に限定されるものでない。電解質膜5の材料としては、プロトン伝導性がより高く、メタノール溶液の透過性がより低く、物理的強度がより高いものが好ましい。
燃料極6は、ガス拡散層11と触媒層12との2層が積層されて形成されている。ガス拡散層11は、多孔性材料から形成され、板状に形成されている。その多孔性材料は、電気的に低抵抗であり、多数の穴が形成されている材料である。その穴は、メタノール水溶液(またはメタノール蒸気)が速やかに浸透する程度のサイズに形成されている。その多孔性材料としては、カーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属、金属繊維シート、多孔質の金属が例示される。その多孔性材料としては、集電特性に優れている材料がさらに好ましく、焼結金属、発泡金属、金属繊維シート、多孔質の金属が好適である。ガス拡散層11は、燃料極6のアノード集電体1の側に配置され、アノード集電体1に電気的に接続されている。触媒層12は、ガス拡散層11と電解質5との間に配置され、ガス拡散層11に接触し、電解質5に接触している。
酸化剤極7は、ガス拡散層14と触媒層15との2層が積層されて形成されている。ガス拡散層14は、多孔性材料から形成され、板状に形成されている。その多孔性材料は、電気的に低抵抗であり、多数の穴が形成されている材料である。その穴は、酸素が速やかに浸透する程度のサイズに形成されている。その多孔性材料としては、カーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属、金属繊維シート、多孔質の金属が例示される。その多孔性材料としては、集電特性に優れている材料がさらに好ましく、焼結金属、発泡金属、金属繊維シート、多孔質の金属が好適である。ガス拡散層14は、酸化剤極7のカソード集電体2の側に配置され、カソード集電体2に電気的に接続されている。触媒層15は、ガス拡散層14と電解質5との間に配置され、ガス拡散層14に接触し、電解質5に接触している。
図2は、触媒層12を示している。触媒層12は、担持体21と触媒22とプロトン伝導性材料23とから形成されている。担持体21は、炭素から形成される炭素粒子から形成されている。その炭素粒子は、触媒を均一に担持することができる点で好ましい。その炭素粒子としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンが例示される。担持体21としては、ケッチェンブラックを適用することが触媒を均一に担持することができる点でさらに好ましい。
触媒22は、貴金属から形成され、担持体21に担持されている。その貴金属としては、単体金属、合金が例示される。その単体金属としては、白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、レニウム、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウムが例示される。その合金としては、白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、レニウム、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウムから選択される複数の金属の合金が例示される。触媒22としては、白金または白金ルテニウム合金がさらに好ましい。その白金ルテニウム合金としては、組成が50atom%Ruである合金が例示される。なお、触媒22としては、白金黒から形成されることもできる。このとき、触媒層12は、担持体21を必要としない。
プロトン伝導性材料23は、プロトンを伝導するプロトン伝導性を示す高分子電解質から形成され、担持体21と触媒22との少なくとも一部分を被覆している。その高分子電解質は、炭化水素系高分子またはフッ素系高分子である。プロトン伝導性材料23としては、芳香族縮合系高分子、スルフォン酸基含有パーフルオロカーボン、カルボキシル基含有パーフルオロカーボンが例示される。その芳香族縮合系高分子としては、スルフォン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルフォン化ポリベンゾイミダゾールが例示される。そのスルフォン酸基含有パーフルオロカーボンとしては、デュポン社製「ナフィオン」(登録商標)、旭化成社製「アシプレックス」が例示される。そのカルボキシル基含有パーフルオロカーボンとしては、旭硝子株式会社製「フレミオンS膜」(登録商標)が例示される。このような高分子電解質は、熱安定性や酸、アルカリおよびメタノール等の耐薬品性が高く、長期間に渡って安定したプロトン伝導性を保持することが可能である。
図3は、触媒層15を示している。触媒層15は、担持体31と触媒32とプロトン伝導性材料33と制限透過層34とから形成されている。担持体31は、炭素から形成される炭素粒子から形成されている。その炭素粒子は、触媒を均一に担持することができる点で好ましい。その炭素粒子としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンが例示される。担持体31としては、ケッチェンブラックを適用することが触媒を均一に担持することができる点でさらに好ましい。
触媒32は、貴金属から形成され、担持体31に担持されている。その貴金属としては、単体金属、合金が例示される。その単体金属としては、白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、レニウム、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウムが例示される。その合金としては、白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、レニウム、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウムから選択される複数の金属の合金が例示される。触媒32としては、白金または白金ルテニウム合金がさらに好ましい。なお、触媒32としては、白金黒から形成されることもできる。このとき、触媒層15は、担持体31を必要としない。
プロトン伝導性材料33は、プロトン伝導性を示す高分子電解質から形成され、担持体31と触媒32との少なくとも一部分を被覆している。その高分子電解質は、炭化水素系高分子またはフッ素系高分子である。プロトン伝導性材料33としては、芳香族縮合系高分子、スルフォン酸基含有パーフルオロカーボン、カルボキシル基含有パーフルオロカーボンが例示される。その芳香族縮合系高分子としては、スルフォン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルフォン化ポリベンゾイミダゾールが例示される。そのスルフォン酸基含有パーフルオロカーボンとしては、デュポン社製「ナフィオン」(登録商標)、旭化成社製「アシプレックス」が例示される。そのカルボキシル基含有パーフルオロカーボンとしては、旭硝子社製「フレミオンS膜」(登録商標)が例示される。このような高分子電解質は、熱安定性や酸、アルカリおよびメタノール等の耐薬品性が高く、長期間に渡って安定したプロトン伝導性を保持することが可能である。
制限透過層34は、高分子を主成分として含んでいる絶縁性高分子材料から形成され、担持体31と触媒32とプロトン伝導性材料33との少なくとも一部分を被覆している。制限透過層34は、厚さが10nm〜500nmである。制限透過層34は、薄いときに、膜の強度が低下して破損しやすくなり、被覆性が低減する。制限透過層34は、厚いときに、制限透過性が大きくなり、フラッディングが生じやすくなり、酸化剤(酸素)の拡散経路が狭められてしまう。このために、その厚さは、30nm〜200nmであることがより好ましい。その厚さは、50nm〜150nmであることが更に好ましい。
その高分子は、炭素から形成される主鎖を有し、フッ素を含有するペンダント基を有している。その主鎖を構成する炭素は、フッ素に結合されていないことが好ましい。そのペンダント基は、フルオロアルキレン基を含有していることが好ましい。さらに、そのフルオロアルキレン基は、カルボン酸エステル基を介してその主鎖に結合していることが好ましい。そのフルオロアルキル基のうちのカルボン酸エステル基に結合される炭素は、第一級炭素原子であることが好ましい。そのカルボン酸エステル基は、適度な極性を有し、このとき、制限透過層34は、担持体31と触媒32とプロトン伝導性材料33との密着性を向上させることができる。制限透過層34は、フルオロアルキレン基の炭素数が少なすぎると、良好な制限透過性が得られなくなる。制限透過層34は、さらに、炭素数が多くなりすぎると、溶媒に溶けにくくなり、溶液の調製が困難になり、制限透過層34を均一な薄膜に形成することが困難となる。このため、そのペンダント基は、そのペンダント基に含まれる炭素の原子数が3〜15であることが好ましく、8〜10であることがさらに好ましい。
制限透過層34は、そのペンダント基のフッ素原子数が水素原子数よりも少なくなると、撥水性が低下し、良好な制限透過性が得られなくなる。このため、そのペンダント基は、そのペンダント基に含まれるフッ素の原子数xとそのペンダント基に含まれる水素の原子数yとを用いて、次式:
z=x÷(x+y)
により表現されるフッ素含有率zが0.3〜1.0であることが好ましく、0.8〜1.0であることがさらに好ましい。
その高分子としては、ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチル、ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルなどが例示される。
その高分子は、分子量が大きすぎると溶液の調製が困難になり、制限透過膜の形成が困難になる。その高分子は、分子量が小さすぎると十分な制限透過性が得られない。このため、その高分子の分子量は、制限透過性と調製の容易性との点で1000〜50000であることが好ましく、3000〜15000であることがさらに好ましい。その分子量は、数平均分子量であり、GPC(Gel Permeation Chromatography)により測定される。このとき、制限透過層34は、均一かつ耐久性に優れる制限透過性を示している。
本発明による燃料電池製造方法の実施の形態は、本発明による燃料電池を生産する方法であり、電極・電解質膜接合体中間製品を調製する工程と絶縁性高分子材料液を合成する工程と制限透過層34を形成する工程とを備えている。
電極・電解質膜接合体中間製品を調製する工程では、まず、触媒22を担持させた担持体21とプロトン伝導性材料23の水溶液とを混合して燃料極触媒ペーストが調製される。その燃料極触媒ペーストがガス拡散層11に約1μmから2mmの厚さで塗布され、所定の加熱温度で所定の加熱時間だけ加熱乾燥されて燃料極シートが調製される。その塗布の方法としては、刷毛塗り、スプレー塗布、スクリーン印刷が例示される。その加熱温度と加熱時間とは、プロトン伝導性材料23に応じて設計される。たとえば、プロトン伝導性材料23が「ナフィオン」であるときに、その加熱温度は、130℃である。
触媒32を担持させた担持体31とプロトン伝導性材料33の水溶液とを混合して酸化剤極触媒ペーストが調製される。その酸化剤極触媒ペーストがガス拡散層14に約1μmから2mmの厚さで塗布され、所定の加熱温度で所定の加熱時間だけ加熱乾燥されて酸化剤極シートが調製される。その塗布の方法としては、刷毛塗り、スプレー塗布、スクリーン印刷が例示される。その加熱温度と加熱時間とは、プロトン伝導性材料33に応じて設計される。たとえば、プロトン伝導性材料33が「ナフィオン」であるときに、その加熱温度は、130℃である。
電解質膜5の材料である有機高分子材料が溶媒に溶解されて、または、その有機高分子材料が分散媒に分散されて液体が調製される。その液体が剥離性シートにキャストされ乾燥させて剥離されて、電解質膜5が調製される。その剥離性シートとしては、ポリテトラフルオロエチレンから形成されるシートが例示される。
電解質膜5をその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟んでホットプレスして電極・電解質膜接合体中間製品を調製する。このとき、電解質膜5は、その燃料極シートの燃料極触媒ペーストが塗布された面が接触し、その酸化剤極シートの酸化剤極触媒ペーストが塗布された面が接触するように、その燃料極シートとその酸化剤極シートとの間に挟まれる。そのホットプレスは、所定の温度で所定の圧力で所定の時間だけプレスされて実行される。その温度と圧力と時間とは、プロトン伝導性材料23とプロトン伝導性材料33と電解質膜5とに応じて設計される。その温度は、プロトン伝導性材料23とプロトン伝導性材料33と電解質膜5との軟化温度またはガラス転移温度を超える温度であり、たとえば、80℃〜300℃程度である。たとえば、その圧力は、5kgf〜200kgf程度であり、その時間は、10秒〜1000秒程度である。
絶縁性高分子材料液を合成する工程では、制限透過層34を形成するための高分子がポリカルボン酸エステルであるときに、まず、不飽和カルボン酸を重合させてポリカルボン酸を生成する。その不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸が例示される。そのポリカルボン酸は、その不飽和カルボン酸の単独重合体または共重合体であり、ポリメタクリル酸と、ポリアクリル酸と、メタクリル酸とアクリル酸との共重合体であることが好ましい。そのポリカルボン酸とフルオロアルコールとをエステル化してその高分子を生成する。そのフルオロアルコールは、第一級アルコールであることが好ましい。このとき、その高分子のエステル化率は、特に、制限が無い。その制限透過層34は、その主鎖に結合されるカルボキシル基のうちのエステル化されたカルボキシル基の個数の割合を示すエステル化率が低いときに、触媒32と担持体31とプロトン伝導性材料33との密着力が低下する。このため、そのエステル化率は、その高分子の用途と製造コストとに応じて適切な値に設計される。たとえば、その制限透過層34は、エステル化率が10%以上であるときに、フルオロアルコールエステル基の含有率が適度となり、制限透過性が良好に維持され、担持体31と触媒32とプロトン伝導性材料33との密着性も良好に維持される。エステル化率が80%以上である高分子を合成するコスト(製造時間と製造時の品質管理コスト)は、エステル化率が80%以下である高分子を合成するコストより大きい。このため、そのエステル化率は、10%〜80%であることが好ましい。
なお、その主鎖は、不飽和炭化水素の重合体、不飽和アルコールの重合体、不飽和炭化水素と不飽和カルボン酸との共重合体、不飽和炭化水素と不飽和アルコールとの共重合体、不飽和カルボン酸と不飽和アルコールとの共重合体、不飽和炭化水素と不飽和カルボン酸と不飽和アルコールとの共重合体から合成することもできる。このとき、その高分子は、カルボン酸エステル基を介してフルオロアルキレン基がその主鎖に結合するように合成される。
次いで、その高分子が有機溶剤に溶解されて、絶縁性高分子材料液が調製される。その有機溶剤は、炭化フッ素系の溶媒であり、パーフルオロヘキサン、パーフルオロジブチルメチルアミン、キシレンヘキサフロライドが例示される。
制限透過層34を形成する工程では、まず、その絶縁性高分子材料液がその電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に塗布され、所定の温度で所定の時間だけ加熱乾燥して電極・電解質膜接合体3が調製される。その塗布の方法としては、ディップコーティング法、スプレーコート法が例示される。その温度は、40℃〜150℃程度であり、その時間は、30分〜4時間程度である。なお、その乾燥は、常温下で実行することもできる。
本発明による燃料電池製造方法によれば、本発明による燃料電池をより容易に製造することができ、本発明による燃料電池の製造コスト(製造時間と製造時の品質管理コスト)を低減することができる。
本発明による燃料電池は、ガス拡散層11にメタノール水溶液が供給され、ガス拡散層14に酸素が供給されることにより、発電する。そのメタノール水溶液のメタノールの濃度は、8v/v%〜25v/v%程度である。このとき、燃料極6では、次の反応式:
CHOH+HO→6H+CO+6e
により表現される電極反応が進行する。酸化剤極7では、次の反応式:
3/2O+6H+6e→3H
により表現される電極反応が進行して電力が生成される。なお、本発明による燃料電池は、ガス拡散層11にメタノール蒸気と水蒸気とが供給され、ガス拡散層14に酸素が供給されることにより、発電することもできる。このとき、燃料極6と酸化剤極7とで、同様の電極反応が進行する。
本発明による燃料電池は、制限透過層34の撥水性により、発電するときに酸化剤極7で生成される水が蒸散して酸化剤極7から速やかに除去される。このため、本発明による燃料電池は、酸化剤極7の酸素の拡散経路を確保することができ、発電効率を向上させることができる。
本発明による燃料電池の実施の他の形態は、既述の実施の形態における制限透過層34が形成される絶縁性高分子材料が他の絶縁性高分子材料に置換されている。その絶縁性高分子材料は、第1高分子と第2高分子との混合物から形成されている。
その第1高分子は、制限透過層34が形成される絶縁性高分子材料と同様に、炭素から形成される主鎖を有し、フッ素を含有するペンダント基を有している。その主鎖を構成する炭素は、フッ素に結合されていないことが好ましい。そのペンダント基は、フルオロアルキレン基を含有していることが好ましい。さらに、そのフルオロアルキレン基は、カルボン酸エステル基を介してその主鎖に結合していることが好ましく、すなわち、その第1高分子がポリカルボン酸エステルであることが好ましい。そのペンダント基は、そのペンダント基に含まれる炭素の原子数が3〜15であることが好ましく、8〜10であることがさらに好ましい。そのペンダント基は、そのペンダント基に含まれるフッ素の原子数xとそのペンダント基に含まれる水素の原子数yとを用いて、次式:
z=x÷(x+y)
により表現されるフッ素含有率zが0.3〜1.0であることが好ましく、0.8〜1.0であることがさらに好ましい。
その第1高分子としては、ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチル、ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルなどが例示される。その第1高分子の分子量は、制限透過性と調製の容易性との点で1000〜50000であることが好ましく、3000〜15000であることがさらに好ましい。その分子量は、数平均分子量である。
その第2高分子は、炭素から形成される主鎖を有し、フッ素を含有しないペンダント基を有している。その主鎖を構成する炭素は、フッ素に結合されていないことが好ましい。そのペンダント基は、フルオロアルキレン基を含有していることが好ましい。さらに、そのフルオロアルキレン基は、カルボン酸エステル基を介してその主鎖に結合していることが好ましい。その第2高分子は、そのペンダント基の含有率が低下すると強度低下が起こる場合があり、逆にその含有率が高すぎると、膜としての均一性や密着性が低下する場合がある。このため、その第2高分子は、そのペンダント基の含有率が1質量%〜50質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
その第2高分子としては、ポリメタクリル酸シクロヘキシルなどが例示される。その第2高分子の分子量は、制限透過性と調製の容易性との点で1000〜50000であることが好ましく、3000〜15000であることがさらに好ましい。
その絶縁性高分子材料は、その第1高分子の含有率が低下すると、強度低下がおこる場合があり,逆に含有率が高すぎると、膜としての均一性や密着性が低下する場合がある。このため、その絶縁性高分子材料は、その第1高分子の含有率が50質量%〜95質量%であることが好ましく、その第1高分子の含有率が70質量%〜80質量%であることがより好ましい。
このような制限透過層は、既述の実施の形態における制限透過層34と同様にして、良好な制限透過性が得られ,担持体31と触媒32とプロトン伝導性材料33との密着性も良好に維持される。このため、このような燃料電池は、その制限透過層の撥水性により、発電するときに酸化剤極7で生成される水が蒸散して酸化剤極7から速やかに除去される。このため、本発明による燃料電池は、酸化剤極7の酸素の拡散経路を確保することができ、発電効率を向上させることができる。
このとき、本発明による燃料電池製造方法は、既述の実施の形態における絶縁性高分子材料液を合成する工程が他の工程に置換されている。その工程は、第1高分子を合成する工程と第2高分子を合成する工程とを備えている。
第1高分子を合成する工程では、まず、既述の実施の形態における制限透過層34を形成する高分子と同様にして、第1高分子が合成される。すなわち、第1第1高分子がポリカルボン酸エステルであるときに、まず、不飽和カルボン酸を重合させてポリカルボン酸を生成する。その不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸が例示される。そのポリカルボン酸は、その不飽和カルボン酸の単独重合体または共重合体であり、ポリメタクリル酸と、ポリアクリル酸と、メタクリル酸とアクリル酸との共重合体であることが好ましい。そのポリカルボン酸とフルオロアルコールとをエステル化してその第1高分子を生成する。このとき、その第1高分子のエステル化率は、10%〜80%であることが好ましい。
なお、その主鎖は、不飽和炭化水素の重合体、不飽和アルコールの重合体、不飽和炭化水素と不飽和カルボン酸との共重合体、不飽和炭化水素と不飽和アルコールとの共重合体、不飽和カルボン酸と不飽和アルコールとの共重合体、不飽和炭化水素と不飽和カルボン酸と不飽和アルコールとの共重合体から合成することもできる。このとき、その第1高分子は、カルボン酸エステル基を介してフルオロアルキレン基がその主鎖に結合するように合成される。
その第2高分子を合成する工程では、その第2高分子がポリカルボン酸エステルであるときに、不飽和カルボン酸を重合させてポリカルボン酸を生成する。その不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸が例示される。そのポリカルボン酸は、その不飽和カルボン酸の単独重合体または共重合体であり、ポリメタクリル酸と、ポリアクリル酸と、メタクリル酸とアクリル酸との共重合体であることが好ましい。そのポリカルボン酸とアルキルアルコールとをエステル化してその第2高分子を生成する。このとき、その第2高分子のエステル化率は、特に、制限が無い。その制限透過層34は、その主鎖に結合されるカルボキシル基のうちのエステル化されたカルボキシル基の個数の割合を示すエステル化率が低いときに、触媒32と担持体31とプロトン伝導性材料33との密着力が低下する。このため、そのエステル化率は、その第2高分子の用途と製造コストとに応じて適切な値に設計される。たとえば、その制限透過層34は、エステル化率が10%以上であるときに、アルキルアルコールエステル基の含有率が適度となり、制限透過性が良好に維持され、担持体31と触媒32とプロトン伝導性材料33との密着性も良好に維持される。エステル化率が80%以上である第2高分子を合成するコスト(製造時間と製造時の品質管理コスト)は、エステル化率が80%以下である第2高分子を合成するコストより大きい。このため、そのエステル化率は、10%〜80%であることが好ましい。
なお、その主鎖は、不飽和炭化水素の重合体、不飽和アルコールの重合体、不飽和炭化水素と不飽和カルボン酸との共重合体、不飽和炭化水素と不飽和アルコールとの共重合体、不飽和カルボン酸と不飽和アルコールとの共重合体、不飽和炭化水素と不飽和カルボン酸と不飽和アルコールとの共重合体から合成することもできる。このとき、その高分子は、カルボン酸エステル基を介してアルキレン基がその主鎖に結合するように合成される。
次いで、その第1高分子とその第2高分子とが有機溶剤に溶解されて、絶縁性高分子材料液が調製される。その有機溶剤は、炭化フッ素系の溶媒であり、パーフルオロヘキサン、パーフルオロジブチルメチルアミン、キシレンヘキサフロライドが例示される。第1高分子とその第2高分子とから形成される絶縁性高分子材料は、第1高分子の含有率が低いと強度が低下する場合があり、その含有率が高いと膜としての均一性や密着性が低下する場合がある。このため、絶縁性高分子材料液は、絶縁性高分子材料の第1高分子の含有率が50質量%〜95質量%になるように調製されることが好ましく、その含有率が70質量%〜80質量%になるように調製されることがより好ましい。
本発明による燃料電池の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における制限透過層34が形成される絶縁性高分子材料が他の絶縁性高分子材料に置換されている。その絶縁性高分子材料は、炭素から形成される主鎖を有し、複数のペンダント基を有している高分子を主成分として含んでいる。その主鎖を構成する炭素は、フッ素に結合されていないことが好ましい。
その複数のペンダント基は、第1ペンダント基と第2ペンダント基とを含んでいる。その第1ペンダント基は、フルオロアルキレン基を含有している。さらに、そのフルオロアルキレン基は、カルボン酸エステル基を介してその主鎖に結合していることが好ましい。その第1ペンダント基は、その第1ペンダント基に含まれるフッ素の原子数xとそのペンダント基に含まれる水素の原子数yとを用いて、次式:
z=x÷(x+y)
により表現されるフッ素含有率zが0.3〜1.0であることが好ましく、0.8〜1.0であることがさらに好ましい。
その第2ペンダント基は、アルキル基を含有している。さらに、そのアルキル基は、カルボン酸エステル基を介してその主鎖に結合していることが好ましい。そのアルキル基は、鎖状または環状の炭化水素の1つの水素原子を除いた基を示している。そのアルキル基は、炭素の原子数が2〜8であることが好ましく、5〜7であることがより好ましい。そのアルキル基としては、ヘキシル基やシクロヘキシル基等が例示される。
第1ペンダント基の数aと第2ペンダント基の数bとを用いて表現される比率a/bは、特に制限はないが、50/50〜99/1であることが好ましく、80/20〜95/5であることがより好ましい。
そのカルボン酸エステル基は、適度な極性を有し、このとき、制限透過層は、担持体31と触媒32とプロトン伝導性材料33との密着性を向上させることができる。その高分子は、分子量が大きすぎると溶液の調製が困難になり、制限透過膜の形成が困難になる。その高分子は、分子量が小さすぎると十分な制限透過性が得られない。このため、その高分子の数平均分子量は、1000〜50000であることが好ましく、3000〜15000であることがさらに好ましい。このとき、制限透過層34は、均一かつ耐久性に優れる制限透過性を示している。
その高分子としては、第1ペンダント基Rfと第2ペンダント基Rと2以上の整数nとを用いて、次構造式:
Figure 2007012505
により表現されるポリカルボン酸エステル化合物が例示される。そのポリカルボン酸エステル化合物は、第2ペンダント基Rがシクロヘキシルであるときに、熱安定性がさらに良好になる。このような高分子としては、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルとメタクリル酸シクロヘキシルの共重合体が例示される。
このような制限透過層は、既述の実施の形態における制限透過層34と同様にして、良好な制限透過性が得られ,担持体31と触媒32とプロトン伝導性材料33との密着性も良好に維持される。このため、このような燃料電池は、その制限透過層の撥水性により、発電するときに酸化剤極7で生成される水が蒸散して酸化剤極7から速やかに除去される。このため、本発明による燃料電池は、酸化剤極7の酸素の拡散経路を確保することができ、発電効率を向上させることができる。
本発明による燃料電池の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における触媒層15が他の触媒層に置換されている。その触媒層41は、図4に示されているように、担持体42と触媒43とプロトン伝導性材料44と接着層45と制限透過層46とから形成されている。担持体42は、既述の実施の形態における担持体31と同様にして形成される。すなわち、担持体42は、炭素から形成される炭素粒子から形成されている。その炭素粒子は、触媒を均一に担持することができる点で好ましい。その炭素粒子としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンが例示される。担持体42としては、ケッチェンブラックを適用することが触媒を均一に担持することができる点でさらに好ましい。
触媒43は、既述の実施の形態における触媒32と同様にして形成される。すなわち、触媒43は、貴金属触媒から形成され、担持体42に担持されている。その貴金属触媒としては、単体金属、合金が例示される。その単体金属としては、白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、レニウム、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウムが例示される。その合金としては、白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、レニウム、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウムから選択される複数の金属の合金が例示される。触媒43としては、白金または白金ルテニウム合金がさらに好ましい。なお、触媒43としては、白金黒から形成されることもできる。このとき、触媒層41は、担持体42を必要としない。
プロトン伝導性材料44は、既述の実施の形態におけるプロトン伝導性材料33と同様にして形成される。すなわち、プロトン伝導性材料44は、プロトン伝導性を示す高分子電解質から形成され、担持体42と触媒43とプロトン伝導性材料44との少なくとも一部分を被覆している。その高分子電解質は、炭化水素系高分子またはフッ素系高分子である。プロトン伝導性材料44としては、芳香族縮合系高分子、スルフォン酸基含有パーフルオロカーボン、カルボキシル基含有パーフルオロカーボンが例示される。その芳香族縮合系高分子としては、スルフォン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルフォン化ポリベンゾイミダゾールが例示される。そのスルフォン酸基含有パーフルオロカーボンとしては、デュポン社製「ナフィオン」(登録商標)、旭化成社製「アシプレックス」が例示される。そのカルボキシル基含有パーフルオロカーボンとしては、旭硝子社製「フレミオンS膜」(登録商標)が例示される。このような高分子電解質は、熱安定性や酸、アルカリおよびメタノール等の耐薬品性が高く、長期間に渡って安定したプロトン伝導性を保持することが可能である。
接着層45は、ポリビニルアルコール、セルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、寒天、アルブミン、シランカップリング剤が例示される材料から形成されている。そのカップリング剤としては、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランが例示される。接着層45としては、これらの材料のうちの2種類以上の材料が混合された混合物を用いることもできる。接着層45としては、これらの材料のうち、特に、シランカップリング剤が用いられることが好ましい。接着層45は、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを用いることが担持体42と触媒43とプロトン伝導性材料44と制限透過層46との密着性に優れる点でさらに好ましい。
制限透過層46は、既述の実施の形態における制限透過層34と同様にして形成される。すなわち、制限透過層46は、高分子を主成分として含んでいる絶縁性高分子材料から形成されている。制限透過層46は、厚さが10nm〜500nmである。制限透過層46は、薄いときに、膜の強度が低下して破損しやすくなり、被覆性が低減する。制限透過層46は、厚いときに、制限透過性が大きくなり、フラッディングが生じやすくなり、酸化剤(酸素)の拡散経路が狭められてしまう。このために、その厚さは、30nm〜200nmであることがより好ましい。その厚さは、50nm〜150nmであることが更に好ましい。
その高分子は、炭素から形成される主鎖を有し、フッ素を含有するペンダント基を有している。その主鎖を構成する炭素は、フッ素に結合されていないことが好ましい。そのペンダント基は、フルオロアルキレン基を含有していることが好ましい。さらに、そのペンダント基は、エステル基を介してその主鎖に結合していることが好ましい。そのエステル基は、適度な極性を有し、このとき、制限透過層46は、触媒担持体42と触媒43とプロトン伝導性材料44との密着性を向上させることができる。
なお、その絶縁性高分子材料は、既述の実施の形態における第1高分子と第2高分子との混合物から形成される絶縁性高分子材料に置換することもでき、既述の実施の形態における第1ペンダント基と第2ペンダント基とを有している高分子を含む絶縁性高分子材料に置換することもできる。
本発明による燃料電池製造方法の実施の他の形態は、既述の実施の形態における制限透過層34を形成する工程が制限透過層46を形成する工程に置換されている。その工程では、まず、接着層45を形成する材料が適当な溶媒に溶解されて接着液が調製される。その溶媒としては、水、アルコールが例示される。その接着液の材料の濃度は、1v/v%であることが好ましい。その接着液がその電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に滴下されて塗布され、所定の雰囲気で所定の時間だけ加熱乾燥される。その乾燥条件は、その接着液に応じて設計される。たとえば、その接着液が1v/v%のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液であるときに、その接着液は、温度が100〜150℃の窒素雰囲気下で30分〜2時間乾燥される。
その絶縁性高分子材料液がその電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に塗布され、所定の温度で所定の時間だけ加熱乾燥して電極・電解質膜接合体3が調製される。その塗布の方法としては、ディップコーティング法、スプレーコート法が例示される。その温度は、40℃〜150℃程度であり、その時間は、30分〜4時間程度である。なお、その乾燥は、常温下で実行することもできる。
このようにして形成される燃料電池は、接着層45により、プロトン伝導性を示す高分子電解質から形成され、担持体42と触媒43とプロトン伝導性材料44とにプロトン伝導性材料44をより強固により長期に接着することができる。このため、この燃料電池は、保管寿命を拡大することができる。
比較例1における電極・電解質膜接合体は、電解質膜がデュポン社製「ナフィオン117」(登録商標)から形成され、燃料極のガス拡散層と酸化剤極のガス拡散層とが東レ社製カーボンペーパー「TGP−H−120」から形成され、担持体がケッチェンブラックから形成され、燃料極の触媒が50atom%Ruのルテニウム白金合金から形成され、酸化剤極の触媒が白金から形成され、プロトン伝導性材料がデュポン社製「ナフィオン」(登録商標)から形成されている。
比較例1における電極・電解質膜接合体の調製では、燃料極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。燃料極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその燃料極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。酸化剤極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。酸化剤極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその酸化剤極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。比較例1における電極・電解質膜接合体は、その電解質膜がその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟まれて、150℃で10kgf/cmでホットプレスされて調製される。
実施例1における電極・電解質膜接合体は、電解質膜がデュポン社製「ナフィオン117」(登録商標)から形成され、燃料極のガス拡散層と酸化剤極のガス拡散層とが東レ社製カーボンペーパー「TGP−H−120」から形成され、担持体がケッチェンブラックから形成され、燃料極の触媒が50atom%Ruのルテニウム白金合金から形成され、酸化剤極の触媒が白金から形成され、プロトン伝導性材料がデュポン社製「ナフィオン」(登録商標)から形成され、制限透過層がアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルとメタクリル酸シクロヘキシルとの共重合体から形成されている。
実施例1における電極・電解質膜接合体の調製では、燃料極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。燃料極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその燃料極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。酸化剤極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。酸化剤極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその酸化剤極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。電極・電解質膜接合体中間製品は、その電解質膜がその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟まれて、150℃で10kgf/cmでホットプレスされて調製される。
絶縁性高分子材料液は、濃度が0.7w/v%−ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルで0.3w/v%−ポリメタクリル酸シクロヘキシルになるように、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルとメタクリル酸シクロヘキシルとの共重合体がパーフルオロヘキサンに溶解されて調製される。実施例1における電極・電解質膜接合体は、ピペットを用いて0.1mlの絶縁性高分子材料液が電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に滴下されて酸化剤極にディップコーティングされ、オーブンを用いて40℃で1時間乾燥されて調製される。
実施例2における電極・電解質膜接合体は、電解質膜がデュポン社製「ナフィオン117」(登録商標)から形成され、燃料極のガス拡散層と酸化剤極のガス拡散層とが東レ社製カーボンペーパー「TGP−H−120」から形成され、担持体がケッチェンブラックから形成され、燃料極の触媒が50atom%Ruのルテニウム白金合金から形成され、酸化剤極の触媒が白金から形成され、プロトン伝導性材料がデュポン社製「ナフィオン」(登録商標)から形成され、制限透過層がアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルとメタクリル酸シクロヘキシルとの共重合体から形成されている。
実施例2における電極・電解質膜接合体の調製では、燃料極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。燃料極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその燃料極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。酸化剤極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。酸化剤極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその酸化剤極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。電極・電解質膜接合体中間製品は、その電解質膜がその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟まれて、150℃で10kgf/cmでホットプレスされて調製される。
絶縁性高分子材料液は、濃度が1.4w/v%−ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルで0.3w/v%−ポリメタクリル酸シクロヘキシルになるように、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルとメタクリル酸シクロヘキシルとの共重合体がパーフルオロヘキサンに溶解されて調製される。実施例2における電極・電解質膜接合体は、ピペットを用いて0.1mlの絶縁性高分子材料液が電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に滴下されて酸化剤極にディップコーティングされ、オーブンを用いて40℃で1時間乾燥されて調製される。
実施例3における電極・電解質膜接合体は、電解質膜がデュポン社製「ナフィオン117」(登録商標)から形成され、燃料極のガス拡散層と酸化剤極のガス拡散層とが東レ社製カーボンペーパー「TGP−H−120」から形成され、担持体がケッチェンブラックから形成され、燃料極の触媒が50atom%Ruのルテニウム白金合金から形成され、酸化剤極の触媒が白金から形成され、プロトン伝導性材料がデュポン社製「ナフィオン」(登録商標)から形成され、制限透過層がアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルの重合体から形成されている。
実施例3における電極・電解質膜接合体の調製では、燃料極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。燃料極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその燃料極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。酸化剤極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。酸化剤極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその酸化剤極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。電極・電解質膜接合体中間製品は、その電解質膜がその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟まれて、150℃で10kgf/cmでホットプレスされて調製される。
絶縁性高分子材料液は、濃度が0.7w/v%になるように、ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルがパーフルオロジブチルメチルアミンに溶解されて調製される。実施例3における電極・電解質膜接合体は、ピペットを用いて0.1mlの絶縁性高分子材料液が電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に滴下されて酸化剤極にディップコーティングされ、オーブンを用いて40℃で1時間乾燥されて調製される。
実施例4における電極・電解質膜接合体は、電解質膜がデュポン社製「ナフィオン117」(登録商標)から形成され、燃料極のガス拡散層と酸化剤極のガス拡散層とが東レ社製カーボンペーパー「TGP−H−120」から形成され、担持体がケッチェンブラックから形成され、燃料極の触媒が50atom%Ruのルテニウム白金合金から形成され、酸化剤極の触媒が白金から形成され、プロトン伝導性材料がデュポン社製「ナフィオン」(登録商標)から形成され、接着層がγ−アミノプロピルトリエトキシシランから形成され、制限透過層がポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルから形成されている。
実施例4における電極・電解質膜接合体の調製では、燃料極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。燃料極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその燃料極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。酸化剤極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。酸化剤極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその酸化剤極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。電極・電解質膜接合体中間製品は、その電解質膜がその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟まれて、150℃で10kgf/cmでホットプレスされて調製される。
接着液は、濃度が1v/v%になるようにγ−アミノプロピルトリエトキシシランが純水に溶解されて調製される。絶縁性高分子材料液は、濃度が0.7w/v%になるように、ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルがパーフルオロジブチルメチルアミンに溶解されて調製される。実施例4における電極・電解質膜接合体は、接着液が電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に滴下されて酸化剤極にディップコーティングされてオーブンを用いて110℃で1時間乾燥された後に、ピペットを用いて0.1mlの絶縁性高分子材料液が電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に滴下されて酸化剤極にディップコーティングされ、オーブンを用いて40℃で1時間乾燥されて調製される。
実施例5における電極・電解質膜接合体は、電解質膜がデュポン社製「ナフィオン117」(登録商標)から形成され、燃料極のガス拡散層と酸化剤極のガス拡散層とが東レ社製カーボンペーパー「TGP−H−120」から形成され、担持体がケッチェンブラックから形成され、燃料極の触媒が50atom%Ruのルテニウム白金合金から形成され、酸化剤極の触媒が白金から形成され、プロトン伝導性材料がデュポン社製「ナフィオン」(登録商標)から形成され、制限透過層がポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルから形成されている。
実施例5における電極・電解質膜接合体の調製では、燃料極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。燃料極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその燃料極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。酸化剤極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。酸化剤極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその酸化剤極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。電極・電解質膜接合体中間製品は、その電解質膜がその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟まれて、150℃で10kgf/cmでホットプレスされて調製される。
絶縁性高分子材料液は、濃度が0.7w/v%になるように、ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルがパーフルオロジブチルメチルアミンに溶解されて調製される。実施例5における電極・電解質膜接合体は、スプレーを用いて0.1mlの絶縁性高分子材料液が電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側にスプレーされて酸化剤極にスプレーコーティングされ、オーブンを用いて40℃で1時間乾燥されて調製される。
実施例6における電極・電解質膜接合体は、電解質膜がデュポン社製「ナフィオン117」(登録商標)から形成され、燃料極のガス拡散層と酸化剤極のガス拡散層とが東レ社製カーボンペーパー「TGP−H−120」から形成され、担持体がケッチェンブラックから形成され、燃料極の触媒が50atom%Ruのルテニウム白金合金から形成され、酸化剤極の触媒が白金から形成され、プロトン伝導性材料がデュポン社製「ナフィオン」(登録商標)から形成され、制限透過層がポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルから形成されている。
実施例6における電極・電解質膜接合体の調製では、燃料極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。燃料極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその燃料極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。酸化剤極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。酸化剤極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその酸化剤極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。電極・電解質膜接合体中間製品は、その電解質膜がその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟まれて、150℃で10kgf/cmでホットプレスされて調製される。
絶縁性高分子材料液は、濃度が0.3w/v%になるように、ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルがキシレンヘキサフロライドに溶解されて調製される。実施例6における電極・電解質膜接合体は、ピペットを用いて0.1mlの絶縁性高分子材料液が電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に滴下されて酸化剤極にディップコーティングされ、オーブンを用いて40℃で1時間乾燥されて調製される。
実施例7における電極・電解質膜接合体は、電解質膜がデュポン社製「ナフィオン117」(登録商標)から形成され、燃料極のガス拡散層と酸化剤極のガス拡散層とが東レ社製カーボンペーパー「TGP−H−120」から形成され、担持体がケッチェンブラックから形成され、燃料極の触媒が50atom%Ruのルテニウム白金合金から形成され、酸化剤極の触媒が白金から形成され、プロトン伝導性材料がデュポン社製「ナフィオン」(登録商標)から形成され、制限透過層がポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルから形成されている。
実施例7における電極・電解質膜接合体の調製では、燃料極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。燃料極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその燃料極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。酸化剤極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。酸化剤極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその酸化剤極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。電極・電解質膜接合体中間製品は、その電解質膜がその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟まれて、150℃で10kgf/cmでホットプレスされて調製される。
絶縁性高分子材料液は、濃度が0.7w/v%になるように、ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルがキシレンヘキサフロライドに溶解されて調製される。実施例7における電極・電解質膜接合体は、ピペットを用いて0.1mlの絶縁性高分子材料液が電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に滴下されて酸化剤極にディップコーティングされ、オーブンを用いて40℃で1時間乾燥されて調製される。
実施例8における電極・電解質膜接合体は、電解質膜がデュポン社製「ナフィオン117」(登録商標)から形成され、燃料極のガス拡散層と酸化剤極のガス拡散層とが東レ社製カーボンペーパー「TGP−H−120」から形成され、担持体がケッチェンブラックから形成され、燃料極の触媒が50atom%Ruのルテニウム白金合金から形成され、酸化剤極の触媒が白金から形成され、プロトン伝導性材料がデュポン社製「ナフィオン」(登録商標)から形成され、制限透過層がポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルから形成されている。
実施例8における電極・電解質膜接合体の調製では、燃料極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。燃料極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその燃料極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。酸化剤極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。酸化剤極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその酸化剤極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。電極・電解質膜接合体中間製品は、その電解質膜がその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟まれて、150℃で10kgf/cmでホットプレスされて調製される。
絶縁性高分子材料液は、濃度が1.4w/v%になるように、ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルがキシレンヘキサフロライドに溶解されて調製される。実施例8における電極・電解質膜接合体は、ピペットを用いて0.1mlの絶縁性高分子材料液が電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に滴下されて酸化剤極にディップコーティングされ、オーブンを用いて40℃で1時間乾燥されて調製される。
実施例9における電極・電解質膜接合体は、電解質膜がデュポン社製「ナフィオン117」(登録商標)から形成され、燃料極のガス拡散層と酸化剤極のガス拡散層とが東レ社製カーボンペーパー「TGP−H−120」から形成され、担持体がケッチェンブラックから形成され、燃料極の触媒が50atom%Ruのルテニウム白金合金から形成され、酸化剤極の触媒が白金から形成され、プロトン伝導性材料がデュポン社製「ナフィオン」(登録商標)から形成され、制限透過層がポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルから形成されている。
実施例9における電極・電解質膜接合体の調製では、燃料極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。燃料極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその燃料極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。酸化剤極触媒ペーストは、超音波混合器を用いて、触媒を担持させた担持体100mgと5%−プロトン伝導性材料水溶液とを50℃で3時間撹拌して調製される。酸化剤極シートは、大きさが1cm×1cmのガス拡散層にその酸化剤極触媒ペーストが2mg/cmで塗布されて130℃で乾燥されて調製される。電極・電解質膜接合体中間製品は、その電解質膜がその燃料極シートとその酸化剤極シートとで挟まれて、150℃で10kgf/cmでホットプレスされて調製される。
絶縁性高分子材料液は、濃度が2.8w/v%になるように、ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルがキシレンヘキサフロライドに溶解されて調製される。実施例9における電極・電解質膜接合体は、ピペットを用いて0.1mlの絶縁性高分子材料液が電極・電解質膜接合体中間製品の酸化剤極シートの側に滴下されて酸化剤極にディップコーティングされ、オーブンを用いて40℃で1時間乾燥されて調製される。
図5は、比較例における電極・電解質膜接合体と実施例における電極・電解質膜接合体との出力時間特性を示している。この出力時間特性は、電池性能評価装置を用いて8v/v%メタノール水溶液を電極・電解質膜接合体の燃料極のガス拡散層に供給するときに、その供給の開始からの時間に対する電極・電解質膜接合体により生成される電力を示している。この出力時間特性は、実施例1の電極・電解質膜接合体と実施例2の電極・電解質膜接合体との出力が初期に比較例における電極・電解質膜接合体の出力と概ね等しいことを示している。比較例の電極・電解質膜接合体の出力は、24時間後に、0.37W程度にまで低下し、実施例1の電極・電解質膜接合体と実施例2の電極・電解質膜接合体との出力は、24時間後に、0.4W以上を維持している。すなわち、この出力時間特性は、制限透過層により電極・電解質膜接合体の出力が緩やかに低下することを示し、本発明による燃料電池が初期の出力を概ね維持することができることを示している。
燃料電池は、燃料利用効率を評価することができる。その燃料利用効率は、電池性能評価装置を用いて8v/v%メタノール水溶液を電極・電解質膜接合体の燃料極のガス拡散層に24時間供給するときに、比較例の電極・電解質膜接合体により24時間で生成される電力量を100%としたときの実施例の電極・電解質膜接合体により24時間で生成される電力量を示している。すなわち、その燃料利用効率は、値が大きい程、効率が高くて好ましいことを示している。その評価結果は、実施例1の電極・電解質膜接合体の燃料利用効率が113.7%であることを示し、実施例2の電極・電解質膜接合体の燃料利用効率が112.2%であることを示し、実施例3の電極・電解質膜接合体の燃料利用効率が113.7%であることを示し、実施例4の電極・電解質膜接合体の燃料利用効率が113.4%であることを示し、実施例5の電極・電解質膜接合体の燃料利用効率が113.7%であることを示している。その評価結果は、制限透過層により燃料利用効率を最大で約114%に最低でも約112%に向上させることができることを示している。その評価結果は、本発明による燃料電池の燃料利用効率が大きく好ましいことを示している。
燃料電池は、電池性能評価装置を用いて特性維持効果を評価することができる。その特性維持効果は、初めに測定される燃料利用効率と、その測定の後から窒素雰囲気中に2ヶ月間保管した後に再度測定される燃料利用効率とを示している。その燃料利用効率は、初めの測定時に比較例の電極・電解質膜接合体により24時間で生成される電力量を100%としたときに、2ヵ月後の測定時に電極・電解質膜接合体により24時間で生成される電力量を示している。その結果は、比較例の電極・電解質膜接合体の2ヶ月後の燃料利用効率が85.5であることを示し、実施例3の電極・電解質膜接合体の2ヶ月後の燃料利用効率が108.8であることを示し、実施例4の電極・電解質膜接合体の2ヶ月後の燃料利用効率が113.9であることを示している。その結果は、本発明による燃料電池が良好な燃料利用効率を長期間維持することができることを示している。その結果は、さらに、接着層が良好な燃料利用効率を長期間維持することができることを示している。
燃料電池は、SEMを用いて制限透過層の剥離の程度を評価することができる。その剥離の程度は、観察面積のうちの剥離部分の面積を百分率で表現されている。その結果は、実施例3の電極・電解質膜接合体の酸化剤極の触媒層の10%の制限透過層が剥離していることを示し、実施例4の電極・電解質膜接合体の酸化剤極の触媒層の1%の制限透過層が剥離していることを示している。その結果は、制限透過層の剥離の防止に接着層が有効であることを示している。
燃料電池は、エリプソメトリを用いて膜厚を測定することができる。その測定結果は、実施例6の電極・電解質膜接合体の制限透過層の膜厚が30nmであることを示し、実施例7の電極・電解質膜接合体の制限透過層の膜厚が90nmであることを示し、実施例8の電極・電解質膜接合体の制限透過層の膜厚が140nmであることを示し、実施例9の電極・電解質膜接合体の制限透過層の膜厚が300nmであることを示している。その測定結果は、0.7〜1.4w/v%のポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチル溶液により形成される制限透過層の厚さが90nmから140nmであることを示している。
燃料電池は、電流−電位測定により最大出力を評価することができる。その結果は、実施例6の電極・電解質膜接合体の最大出力が0.6Wであることを示し、実施例7の電極・電解質膜接合体の最大出力が1.1Wであることを示し、実施例8の電極・電解質膜接合体の最大出力が1.0Wであることを示し、実施例9の電極・電解質膜接合体の最大出力が0.5Wであることを示している。その結果は、制限透過層の厚さが90nmから140nmの範囲外で最大出力が低下することを示し、制限透過層の厚さが90nmから140nmであることが適切であることを示している。
燃料電池は、電池性能評価装置を用いて8v/v%メタノール水溶液を電極・電解質膜接合体の燃料極のガス拡散層に24時間供給した後に酸化剤極を目視することにより、酸化剤極のフラッディングの発生の有無を目視により評価することができる。その目視の結果は、比較例の電極・電解質膜接合体にフラッディングの発生があることを示し、実施例1の電極・電解質膜接合体にフラッディングの発生がないことを示し、実施例2の電極・電解質膜接合体にフラッディングの発生がないことを示し、実施例3の電極・電解質膜接合体にフラッディングの発生がないことを示し、実施例4の電極・電解質膜接合体にフラッディングの発生がないことを示し、実施例5の電極・電解質膜接合体にフラッディングの発生がないことを示し、実施例6の電極・電解質膜接合体にフラッディングの発生が若干あることを示し、実施例7の電極・電解質膜接合体にフラッディングの発生がないことを示し、実施例8の電極・電解質膜接合体にフラッディングの発生がないことを示し、実施例9の電極・電解質膜接合体にフラッディングの発生があることを示している。その目視の結果は、本発明による燃料電池がフラッディングの発生を防止することができることを示している。その目視の結果は、さらに、絶縁性高分子材料の塗布方法に関わらないでフラッディングの発生を防止することができることを示している。その目視の結果は、さらに、制限透過層の厚さが90nmから140nmであるときにフラッディングを抑制することができることを示している。
図1は、本発明による燃料電池の実施の形態を示す断面図である。 図2は、アノード触媒層を示す断面図である。 図3は、カソード触媒層を示す断面図である。 図4は、他のアノード触媒層を示す断面図である。 図5は、本発明による実施例における電極・電解質膜接合体の出力時間特性を示すグラフである。
符号の説明
1 :アノード集電体
2 :カソード集電体
3 :電極・電解質膜接合体
5 :電解質膜
6 :燃料極
7 :酸化剤極
11:ガス拡散層
12:触媒層
14:ガス拡散層
15:触媒層
21:担持体
22:触媒
23:プロトン伝導性材料
31:担持体
32:触媒
33:プロトン伝導性材料
34:制限透過層
41:触媒層
42:担持体
43:触媒
44:プロトン伝導性材料
45:接着層
46:制限透過層

Claims (31)

  1. 燃料が供給される燃料極と、
    酸素が供給される酸化剤極とを具備し、
    前記酸化剤極は、
    プロトンを伝導することができるプロトン伝導性材料と、
    前記プロトンと前記酸素とから水を合成する化学反応を進める触媒と、
    制限透過層とを備え、
    前記制限透過層は、炭素から形成される主鎖にペンダント基が結合された高分子を含み、
    前記ペンダント基は、フルオロアルキル基を含有する
    燃料電池。
  2. 請求項1において、
    前記制限透過層は、前記触媒と前記プロトン伝導性材料とを被覆する
    燃料電池。
  3. 請求項2において、
    前記主鎖は、フッ素に結合されない
    燃料電池。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
    前記フルオロアルキル基は、カルボン酸エステル基を介して前記主鎖に結合される
    燃料電池。
  5. 請求項4において、
    前記フルオロアルキル基のうちの前記カルボン酸エステル基に結合される炭素は、第一級炭素原子である
    燃料電池。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかにおいて、
    前記フルオロアルキル基に含まれるフッ素の原子数xと前記フルオロアルキル基に含まれる水素の原子数yとを用いて、次数式:
    z=x÷(x+y)
    により表現されるフッ素含有率zは、0.3〜1である
    燃料電池。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかにおいて、
    前記フルオロアルキル基は、炭素の原子数が3〜15である
    燃料電池。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかにおいて、
    前記高分子は、分子量が1000〜50000である
    燃料電池。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれかにおいて、
    前記高分子は、ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルである
    燃料電池。
  10. 請求項1〜請求項8のいずれかにおいて、
    前記高分子は、ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルである
    燃料電池。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれかにおいて、
    前記制限透過層は、
    前記高分子と、
    カルボキシル基の水素がアルキル基に置換されたアルキルアルコールエステル基が炭素から形成される主鎖に結合された他の高分子との混合物である
    燃料電池。
  12. 請求項11において、
    前記アルキルアルコールエステル基は、炭素の原子数が2〜10である
    燃料電池。
  13. 請求項12において、
    前記他の高分子は、ポリメタクリル酸シクロヘキシルである
    燃料電池。
  14. 請求項1〜請求項13のいずれかにおいて、
    前記高分子は、カルボキシル基の水素がアルキル基に置換されたアルキルアルコールエステル基が前記主鎖に更に結合される
    燃料電池。
  15. 請求項14において、
    前記アルキルアルコールエステル基は、炭素の原子数が2〜10である
    燃料電池。
  16. 請求項15において、
    前記アルキル基は、シクロヘキシルである
    燃料電池。
  17. 請求項1〜請求項16のいずれかにおいて、
    前記酸化剤極は、接着層を更に備え、
    前記制限透過層は、前記接着層を介して前記触媒と前記プロトン伝導性材料とを被覆する
    燃料電池。
  18. 請求項17において、
    前記接着層は、ポリビニルアルコール、セルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、寒天、アルブミンから形成される集合から選択される1つ以上の物質を含有する
    燃料電池。
  19. 請求項17において、
    前記接着層は、シランカップリング剤から形成される
    燃料電池。
  20. 請求項19において、
    前記シランカップリング剤は、γ−アミノプロピルトリエトキシシランである
    燃料電池。
  21. 請求項1〜請求項20のいずれかにおいて、
    前記酸化剤極は、前記触媒を担持する担持体を更に備える
    燃料電池。
  22. 燃料が供給される燃料極と、
    酸素が供給される酸化剤極とを備え、
    前記酸化剤極は、
    触媒と、
    プロトンを伝導することができるプロトン伝導性材料と、
    制限透過層とを備え、
    前記制限透過層は、フルオロアルキル基を含有するペンダント基が主鎖に結合された高分子を含む
    燃料電池を生産する燃料電池製造方法であり、
    前記触媒と前記プロトン伝導性材料とを備える酸化剤極中間生成物を調製するステップと、
    前記高分子を含有する溶液を調製するステップと、
    前記酸化剤極中間生成物に前記溶液を塗布して乾燥させことにより、前記酸化剤極を形成するステップ
    とを具備する燃料電池製造方法。
  23. 請求項22において、
    前記燃料電池は、前記燃料極と前記酸化剤極とに挟まれて配置される電解質膜を更に備え、
    前記溶液は、前記酸化剤極中間生成物が前記電解質膜に接合された後に、前記酸化剤極中間生成物に塗布される
    燃料電池製造方法。
  24. 請求項23において、
    前記酸化剤極は、前記酸素を前記触媒に通す拡散層を更に備え、
    前記溶液は、前記拡散層を通して前記酸化剤極中間生成物に塗布される
    燃料電池製造方法。
  25. 請求項22〜請求項24のいずれかにおいて、
    前記溶液は、ディップコート法により前記酸化剤極中間生成物に塗布される
    燃料電池製造方法。
  26. 請求項22〜請求項24のいずれかにおいて、
    前記溶液は、スプレーコート法により前記酸化剤極中間生成物に塗布される
    燃料電池製造方法。
  27. 請求項22〜請求項26のいずれかにおいて、
    前記高分子は、不飽和炭化水素と不飽和カルボン酸と不飽和アルコールとから形成される集合から選択されるモノマーの重合体から合成される
    燃料電池製造方法。
  28. 請求項27において、
    前記高分子は、ポリカルボン酸から合成される
    燃料電池製造方法。
  29. 請求項28において、
    前記ポリカルボン酸は、
    ポリメタクリル酸と、
    ポリアクリル酸と、
    メタクリル酸とアクリル酸との共重合体
    とから形成される集合から選択される物質である
    燃料電池製造方法。
  30. 請求項28または請求項29のいずれかにおいて、
    前記高分子は、前記ポリカルボン酸とフルオロアルコールとをエステル化して合成される
    燃料電池製造方法。
  31. 請求項22〜請求項30のいずれかにおいて、
    前記制限透過層は、
    前記高分子と、
    カルボキシル基の水素がアルキル基に置換されたアルキルアルコールエステル基が炭素から形成される主鎖に結合された他の高分子との混合物であり、
    前記他の高分子は、前記ポリカルボン酸とアルキルアルコールとをエステル化して合成される
    燃料電池製造方法。
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