JP2007008876A - 脊髄損傷を治療するための補体阻害タンパク質の使用 - Google Patents

脊髄損傷を治療するための補体阻害タンパク質の使用 Download PDF

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Abstract

【課題】
脊髄への外傷は、周辺の組織に二次的損傷を引き起こす炎症反応を起こし、それによって初期損傷の影響を悪化させる。これらの二次的損傷の影響は、一部には、補体の活性化および関連する損傷部位での炎症反応に起因する。脊髄損傷を受けている患者の予後を改善する方法の提供。
【解決手段】
初期損傷が生じた後できる限り速やかに個体に補体阻害タンパク質を投与することによって、これらの二次的影響を治療および/または改善する。ならびに脊髄損傷を受けた脊椎動物の運動機能を改善する。
【選択図】なし

Description

本発明は、脊髄損傷を治療するための補体阻害タンパク質、特に可溶性補体レセプターI(sCR1)の使用に関する。
米国では毎年7800人が脊髄損傷(SCI)を患い、約250,000〜400,000人が現在なんらかの形の脊髄損傷または脊髄機能障害を患っていると推定される (全米脊髄損傷学会, National Spinal Cord Injury Association)。現在、脊髄損傷のための治療法はない。
SCIは、結果として適切に機能する能力および神経インパルスを伝達する能力の減少または喪失を伴う、神経組織の挫傷を特徴とする状態である。SCI事象後のすべての神経損傷が即座に起こるわけではないことが示されている。初期損傷に続いて、おそらく損傷に対する免疫反応の一部として、もともとの損傷部位を越えて組織損傷を促進する一連の退行変性過程が開始される。損傷時の初期の神経および神経線維の機械的破壊後、出血は通常30分以内に損傷部位で観察され、その後数時間に渡って拡大しうる。損傷後数時間以内に、炎症細胞、例えば、好中球およびマクロファージはその部位に浸潤し、神経組織に対する更なる損傷、すなわち、細胞媒介性損傷を引き起こす。これらの外傷後の事象は「二次的損傷」と呼ばれる。
初期外傷後、二次的損傷の影響を予防するためのできる限り速やかな治療によって、脊髄損傷後の脊髄および周辺組織への更なる損傷を予防することは有益であろう。
現在のところ、二次的損傷から生じる障害を減少させるかまたは最小限に抑えるための従来の治療は、グルココルチコイド、メチルプレドニゾロンの静脈注射である(Bracken ら、JAMA, 277(20): 1597-1604 (1997))。残念なことに、グルココルチコイドの長期投与は、例えば、敗血症および肺炎の発症率の増加などの有害な全身的副作用があり、治療期間の範囲は限られている。
最近、Stokesらは、脊髄に挫傷型の損傷を受けたLewisラットにおいて、ジクロロメチレンジホスホン酸(「C12MBP」)を含むリポソームの注入後の運動機能の改善を報告した(米国特許第5,932,563号)。更に、a-リポ酸および/またはジヒドロリポ酸(DHL)(米国特許第6,432,434号)、ad モノクローナル抗体(米国特許第6,432,404号)、ならびにモノシアロガングリオシド(GM1)(米国特許第6,620,793号)を用いた治療による、脊髄損傷後の運動機能の改善における進歩が報告されている。
ニューロンおよび乏突起膠細胞は特に補体介在性細胞死を受けやすい可能性があり(Gasqueら、1995, Journal of Immunology, 154(9): 4726-4733; Agoropoulouら、1998, Neuroreport, 9(5): 927-932; Wrenら、1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 86: 9025-9029)、これは、補体活性化が脱髄および神経変性の原因となることにより、損傷を受けたCNSの障害を悪化させ得ることを示唆する。更に、C5aの細胞レセプターの内在化はまたアポトーシスを誘導し得る(Farkasら、1998, Neuroscience, 86(3): 903-911; Farkasら、1998, J. Physiology, 507(3): 679-687)。
正常血清中のグロブリンの約10%を構成する補体系は、外来抗原に対する免疫系の応答において重要な多くの異なるタンパク質から成る。補体系は、その一次成分が断片化され、その断片が単独でまたは他のタンパク質とともに更なる補体タンパク質を活性化して、タンパク質分解カスケードを引き起こす時に、活性化される。補体系の活性化は、血管透過性の増加、食細胞の走化性、炎症細胞の活性化、異物のオプソニン化、細胞の直接死滅、および、脊髄の二次的損傷に見られるような組織損傷を引き起こす。脊髄損傷に対する効果的な治療の継続的な必要性を考慮すると、外傷後の現象に対応するための新たなアプローチが望まれる。
発明の概要
本発明者らは、脊髄損傷後の、補体阻害タンパク質、特に可溶性補体レセプターI、すなわちsCR1の投与が、炎症を阻害し、脊髄損傷と関連する上述の二次的損傷の影響を改善するための、意外にも効果的な方法であることを発見した。可溶性CR1処理は、本明細書においてin vivoでラット脊髄損傷モデルを用いて証明されるように、外傷性脊髄損傷後の運動機能の改善に効果的である。
従ってその最も広義の態様では、本発明は、脊髄損傷後に補体阻害タンパク質を投与することを含む、脊椎動物被験体において脊髄損傷を治療する方法に関する。本治療は、外傷部位における二次的損傷の悪影響の改善または抑制、および運動機能の改善に効果的である。補体阻害タンパク質は、損傷部位で起こる補体活性化の悪影響を予防するために、脊髄損傷後できる限り速やかに投与されることが好ましい。好ましい実施形態では、補体阻害タンパク質は可溶性補体レセプターI(sCR1)、すなわち、末端切断された補体レセプターIの非膜結合型断片であり、その断片は天然型のまたは完全長のCR1タンパク質の補体調節特性、特に補体活性化を阻害する能力および/あるいは補体タンパク質C3bもしくはC4b、または(好ましくは)C3bとC4b両方に結合する能力を保持している。
更に、本発明は、脊椎動物における脊髄損傷後の二次的損傷の影響を改善または抑制する方法を対象とし、その影響は損傷部位での補体活性化に関連する。好ましくは、前記治療は、初期損傷後できる限り速やかな補体阻害タンパク質の投与を含む。好ましくは、補体阻害タンパク質は、少なくともCR1のN末端の2つの短いコンセンサス反復配列(SCR)を含む可溶性CR1であり、より好ましくは、例えば、成熟ヒトCR1の1〜1930アミノ酸を含む完全長ヒトCR1の細胞外ドメイン、最も好ましくは、配列番号3のアミノ酸配列を有するsCR1ポリペプチド(TP10; AVANT Immunotherapeutics, Inc., Needham, MA (USA))である。好ましくは、補体阻害タンパク質は、製薬上許容されうる担体で投与される。
更に別の態様では、本発明は、脊髄損傷を患った脊椎動物において運動機能を改善する方法を提供し、その方法は、例えば、脊髄の周辺の組織に更なる損傷を引き起こす、補体活性化およびその結果生じる炎症反応によって起こる二次的損傷の影響を減少させるために、初期損傷後に補体阻害タンパク質を投与することを含む。好ましい実施形態では、補体阻害タンパク質は、少なくともCR1のN末端の2つの短いコンセンサス反復配列(SCR)を含む可溶性CR1であり、より好ましくは、例えば、成熟ヒトCR1の1〜1930アミノ酸を含む完全長ヒトCR1の細胞外ドメイン、最も好ましくは、配列番号3のアミノ酸配列を有するsCR1ポリペプチド(TP10; AVANT Immunotherapeutics, Inc.)である。好ましくは、前記sCR1は、製薬上許容されうる担体で投与される。
別の態様では、本発明は、脊髄損傷後の二次的損傷を阻害するために適した医薬組成物を提供し、前記組成物は、補体活性化および外傷後の補体活性化の結果生じる損傷部位での二次的組織損傷を阻害するために適した補体阻害分子を含む。好ましい実施形態では、補体阻害タンパク質は、少なくともCR1のN末端の2つの短いコンセンサス反復配列(SCR)を含む可溶性CR1であり、より好ましくは、例えば、成熟ヒトCR1の1〜1930アミノ酸を含む完全長ヒトCR1の細胞外ドメイン、最も好ましくは、配列番号3のアミノ酸配列を有するsCR1ポリペプチドである。
更に別の態様では、本発明は、補体阻害タンパク質の投与によって脊髄損傷部位での補体活性化の結果としての好中球活性化および好中球浸潤を防ぐ方法を提供する。好ましい実施形態では、補体阻害タンパク質は、少なくともCR1のN末端の2つの短いコンセンサス反復配列(SCR)を含む可溶性CR1であり、より好ましくは、例えば、成熟ヒトCR1の1〜1930アミノ酸を含む完全長ヒトCR1の細胞外ドメイン、最も好ましくは、配列番号3のアミノ酸配列を有するsCR1ポリペプチドである。
特に好ましい実施形態では、本発明は、損傷が生じた後できる限り速やかなsCR1の全身投与により、脊髄損傷を受けたヒトの治療に適切であることが想定される。
本発明の方法は、例えば、CR1、H因子、C4結合タンパク質(C4-BP)、膜補因子タンパク質(MCP)、崩壊促進因子(DAF)、または補体阻害特性を保持しているその断片などの、任意の補体阻害タンパク質の使用によって実施され得る。あるいは、補体阻害タンパク質は、補体タンパク質、活性化された補体タンパク質、または補体タンパク質の断片に特異的な抗体であり得るものであり、このような抗体は補体活性化を阻害するために有用である(例えば、抗C3、抗C5b-9等)。しかし、本発明の好ましい実施形態では、補体阻害タンパク質はヒトCR1であり、より好ましくは、可溶性CR1(sCR1)であり、最も好ましくは、成熟ヒトCR1の細胞外ドメインを含むCR1ポリペプチドまたは配列番号3のアミノ酸配列を有する可溶性CR1ポリペプチドである。
発明の詳細な説明
本発明は脊髄損傷を治療する組成物および方法を対象とする。特に、本発明は、初期損傷を悪化させることが知られ、少なくとも一部は補体活性化に起因することが知られている二次的影響を阻害する組成物および方法を対象とする。特に、本発明は、初期外傷の結果として生じる二次的損傷の影響を改善または抑制するために、初期脊髄損傷後できる限り速やかな補体阻害タンパク質の投与を含む、脊髄損傷を治療する方法を対象とする。脊髄損傷(SCI)を引き起こす初期の外傷的事象後、損傷部位における炎症反応は、周辺組織への更なる障害を引き起こし、それによって損傷の影響を悪化させ、回復を遅らせまたは妨げる。本発明による、初期損傷後できる限り速やかなsCR1などの補体阻害タンパク質の投与は、その後の補体介在性炎症反応を阻害または減少させ、次には、二次的損傷の重症度および影響を改善する。本明細書に記載される治療は、外傷性脊髄損傷を受けた被験体において運動機能を時間とともに改善することができる。
本発明の方法は、補体活性化を遮断するために効果的な任意の補体阻害タンパク質を用いて実施され得る。このような補体阻害タンパク質は、例えば、補体レセプターI (CR1)、H因子、C4結合タンパク質(C4-BP)、膜補因子タンパク質(MCP)、崩壊促進因子(DAF)、または、補体活性化を阻害する能力、C3bに結合する能力、C4bに結合する能力、もしくはC3bおよびC4bの両方に結合する能力のような、補体阻害特性を保持しているそれらの断片を含む。あるいは、補体阻害タンパク質は、補体タンパク質、活性化された補体タンパク質、または補体タンパク質の断片に特異的な抗体であり得るものであり、このような抗体は補体活性化を阻害するために効果的である(例えば、抗C3、抗C5b-9等、「補体阻害抗体」と総称される)。好ましくは、本明細書に記載される方法において用いられる補体阻害タンパク質は、ヒトCR1の可溶型(非膜結合型)である。適切な可溶性CR1ポリペプチドおよび調製品は、例えば、米国特許第5,981,481号、米国特許第5,456,909号、および米国特許第6,193,979号に詳細に記載される。米国特許第6,193,979号に記載されるように、糖鎖付加修飾され、シアリルルイスX部分を示す可溶性CR1ポリペプチド(sCR1-sLex)が特筆される。より好ましくは、本発明の方法は、成熟ヒトCR1(完全長の成熟ヒトCR1配列については、配列番号2参照)の細胞外ドメインを含むポリペプチドを使用する。最も好ましくは、本発明の方法および本発明を実施するために有用な医薬組成物は、配列番号3のアミノ酸配列を有する可溶性ヒトCR1タンパク質を含む。
下記において更に十分に記載されるように、ラット脊髄損傷モデルにおける脊髄損傷後のsCR1の投与は、生理食塩水処理した対照と比較して、sCR1処理したラットにおいて全般的な回復、すなわち運動機能を改善するだけでなく、組織の好中球浸潤の活性およびレベルを減少させ、損傷部位での補体関連タンパク質の発現レベルを減少させることが、本明細書において実証された。本発明者らは、このように、脊椎動物被験体における脊髄損傷後の補体阻害タンパク質の投与が、初期の脊髄損傷後の補体活性化によって引き起こされる二次的損傷の影響を減少させることを発見した。
特定の実施形態では、本発明は、可溶性CR1ポリペプチドおよび脊髄損傷の治療のためのそれらの使用に関する。本明細書において用いられる場合、「可溶性CR1ポリペプチド」または「可溶性CR1」または「sCR1」は、天然のCR1タンパク質とは異なり、膜貫通タンパク質のように細胞表面に発現しない、完全長CR1タンパク質の一部を指すために使用されるものとする。特に、実質的に膜貫通領域を欠く、または好ましくは、CR1の細胞外部分の全部もしくは一部を含むCR1ポリペプチドが可溶性CR1ポリペプチドである。好ましい実施形態では、本発明に有用な可溶性CR1ポリペプチドは、それらを発現する細胞によって分泌される。
補体レセプターI(CR1)またはCD35と呼ばれるヒトC3b/C4b受容体は、赤血球、単球/マクロファージ、顆粒球、B細胞、いくつかのT細胞、脾臓の濾胞樹状細胞、および糸球体の有足細胞の膜上に存在する(Fearon D.T., 1980, J. Exp. Med., 152: 20, Wilson, J.G., ら、1983, J. Immunol., 131: 684)。CR1はC3b、C4b、およびiC3bに特異的に結合する。
CR1は古典経路および第二経路のC3/C5転換酵素を阻害することができ、かつI因子によるC3bおよびC4bの切断のための補因子として機能し得るので、CR1はまた受容体としての機能に加えて補体調節機能をも有することを示している(Fearon, D.T., 1979, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 76: 5867; Iida, K. I.およびNussenzweig, V., 1981, J. Exp. Med., 153: 1138)。補体活性化の第二経路では、二分子複合体C3b-BbがC3酵素(転換酵素)である。CR1はC3bと結合でき、それによって複合体からのBb断片の解離を促進する。更に、C3bのCR1への結合は、C3bのI因子による不可逆的なタンパク質分解性不活性化を受けやすくし、C3bの不活性化された誘導体(すなわち、iC3b、C3dおよびC3dg)の産生を引き起こす。補体活性化の古典経路では、C3bC4bC2a複合体がC5転換酵素である。CR1はC4bおよび/またはC3bに結合し、それによって複合体からのC2aの解離を促進する。その結合は、C4bおよび/またはC3bのI因子による不可逆的なタンパク質分解性不活性化を受けやすくする。
CR1のいくつかの可溶性(非膜結合型)断片は、発現されているDNAから膜貫通領域および細胞質領域を削除することによって、組み換えDNA法により生成されている(例えば、Fearonら、国際特許公開番号WO 89/09220, 1989年10月5日; Fearonら、国際特許公開番号WO 91/05047, 1991年4月18日を参照せよ)。可溶性CR1断片は機能的に活性である、すなわち、CR1断片が有する天然のCR1領域に依存して、C3bおよび/またはC4bに結合する能力を保持しており、補体活性化を阻害し、I因子の補因子活性を示す。このような構築物はin vitroにおいて、好中球の活性酸素発生(oxidative burst)、補体介在性溶血、ならびにC3aおよびC5aの生成などの、補体活性化の結果を阻害する。可溶性の構築物、sCR1/pBSCR1cはまた、逆受動アルサス反応におけるin vivoでの活性を示し(Fearonら、1989, 1991, 上述; Yehら、1991, J. Immunol., 146:250 (1991))、虚血後の心筋の炎症および壊死を抑制し(Fearonら、上述; Weismanら、1990, Science, 249: 146-151)、移植後の生存率を延長した(Pruittら、1991, J. Surg. Res., 50: 350; Pruittら、1991, Transplantation, 52: 868 (1991))。
ヒトCR1タンパク質の完全なcDNAコード配列は配列番号1に示される。成熟ヒトCR1のアミノ酸配列は配列番号2に示される。
完全長CR1遺伝子の単離、完全長タンパク質およびその活性断片の発現および精製、ならびに完全長タンパク質および完全長タンパク質に由来する断片における活性の証明は、米国特許第5,981,481号に記載され、参照により本明細書に組み入れられる。
本発明の方法に有用なsCR1などの補体阻害タンパク質は、宿主細胞において、例えば細菌細胞、哺乳動物細胞、または植物細胞などにおいても、タンパク質を発現する組み換えDNA技術を用いて、有利に多量に生成される。本明細書において企図される補体阻害タンパク質のためには、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはアフリカミドリザル腎臓(COS)細胞などの、哺乳動物宿主細胞が好ましい。望ましいタンパク質をコードする単離された遺伝子は、適切なクローニングベクターに挿入され得る。当技術分野において知られている多数のベクター-宿主系が使用されうる。考えられるベクターはプラスミドまたは改変されたウイルスを含むが、それらに限定されない。ベクター系は使用される宿主細胞に適合していなければならない。このようなベクターは、ラムダ派生物のようなバクテリオファージ、またはpBR322もしくはpUCプラスミドもしくはCDM8プラスミドのようなプラスミド(Seed, B., 1987, Nature, 329: 840-842)、またはそれらのよく知られているベクターの派生物を含むが、それらに限定されない。組み換え分子は形質転換、トランスフェクション、感染、エレクトロポレーション等によって宿主細胞に導入され得る。
好ましい型のsCR1を生成する組み換え細胞は、the American Type Culture Collection, Rockville, MD(受入番号CRL 10052)から入手可能である。寄託された細胞は、配列番号3のアミノ酸配列を有する可溶性CR1をコードしている、プラスミドpBSCR1c/pTCSgptクローン35.6を含む、チャイニーズハムスター卵巣細胞株DUX B11である。精製された形でのこのようなsCR1タンパク質は、製品名TP10でAVANT Immunotherapeutics, Inc.(Needham, MA)によって製造されている。
宿主細胞での発現後、可溶性CR1分子は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、およびサイズ分画カラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差を含む標準的な方法によって、またはタンパク質の精製のための他の任意の標準的な技術によって単離、精製されうる。好ましい精製方法は、米国特許第6,316,604号、米国特許第5,252,216号、および米国特許第5,840,858号に記載される。
可溶性CR1タンパク質は、補体介在性疾患、すなわち、不適切なもしくは望ましくない補体活性化を特徴とする疾患または状態の調節において、治療上有用である。C3bもしくはC4bに結合でき、および/または第二経路もしくは古典経路のC3もしくはC5転換酵素を阻害する能力を保持している、および/またはI因子の補因子活性を保持している、可溶性CR1タンパク質あるいは断片は、補体活性化を阻害するために使用され得る。本発明において本発明者らは、可溶性CR1が、例えば補体活性化に起因する外傷後の炎症状態のような、外傷性脊髄損傷後の望ましくない補体活性化を改善または抑制するために使用され得ることを実証した。
本発明の方法において、補体活性化を軽減するために、脊髄損傷に関連した炎症を減少または阻害するために、およびこのような炎症に関連した有害な二次的損傷の影響を減少または阻害するために、可溶性CR1のような補体阻害タンパク質は、脊髄損傷を受けた脊椎動物被験体に対して、好ましくは静脈内に投与される。
本発明に従った脊髄損傷の治療方法では、治療有効量の補体阻害タンパク質またはその調製品が、このような治療を必要とする被験体に投与される。好ましい被験体はヒトである。投与される量は、例えば、損傷した組織への好中球浸潤の減少または好中球活性の減少などのように、補体活性化の阻害または脊髄損傷に続く急性炎症の二次的影響の阻害に十分でなくてはならない(実施例3、上述を参照)。治療上有効な投与量の決定は当業者の能力の範囲内であるが、一例として、脊髄損傷の治療のためにsCR1を用いる本明細書に記載される方法の実施形態では、有効な投与量は、患者の体重あたり0.01〜100 mg/kg、好ましくは0.1〜10 mg/kg、最も好ましくは1〜10mg/kgの範囲内であろう。医薬組成物は脊髄損傷後できる限り速やかに投与されるべきであり、例えば補体活性化を減少または阻害するのに有効な量を維持するために、反復投与が企図される。例えば、下記の実施例において実証されるように、有効なsCR1の投与計画は、脊髄損傷の当日におけるsCR1の単回投与(6 mg/kg)に続き、その後毎日、治療経過の間、静脈注射による同様の投与量で構成された。
投与のために、sCR1または他の治療タンパク質は、適切な医薬組成物に調製されうる。このような組成物は一般的に、治療有効量のsCR1または他のタンパク質、および、生理食塩水、緩衝生理食塩水、リン酸バッファー、デキストロース、もしくは滅菌水などの製薬上許容されうる賦形剤または担体を含む。組成物はまた、マンノースまたはマンニトールを含む糖のような特定の安定剤を含みうる。
例えば、リポソームへのカプセル化、微粒子、またはマイクロカプセルなどの、様々な送達システムが知られており、CR1およびCR1の可溶性断片の送達のために使用され得る。適切な投与方法は、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、髄腔内、または硬膜外注射、および経口または肺送達を含むが、それらに限定されない。
好ましい実施形態では、本発明に使用されるための医薬組成物は、常法に従って、脊髄損傷を受けた個体への静脈内投与のための医薬組成物として調製されうる。一般的に静脈内投与のための組成物は、滅菌した水性緩衝液の溶液である。必要であれば、組成物はまた、可溶化剤、およびリドカインのような注射部位での痛みを緩和するための局所麻酔薬を含みうる。通常、その成分は、例えばアンプルもしくは小袋などの密封容器中の凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として、別々にあるいは混合して単位投与剤型にして提供され、活性単位で活性物質の量を表示している。組成物が注射によって投与される場合、投与前にその成分が混合されうるように、注射のための滅菌水または生理食塩水のアンプルが提供されうる。
医薬組成物の1以上の成分を充填した1以上の容器を含む医薬品のパックもまた企図される。これは、脊髄損傷の治療のための本発明の方法に従った補体阻害タンパク質の投与が救急隊員によってその場で、例えば脊髄損傷を引き起こす自動車事故の現場で、都合良く投与され得ることが理解され、補体阻害タンパク質が損傷後できる限り速やかに、好ましくは即座にまたは初期の脊髄損傷が生じた後数時間もしくは数分以内に、脊髄損傷を受けた個体に投与されることが重要であるので、特に有利である。
以下の実施例は本発明の方法を例示する。それらは例示のために提供され、限定を目的としない。
すべてのデータは平均値±標準偏差(x±s)として示された。SPSS 10.0統計解析ソフトウェアを用いて、異なる時点による処理群と対照群との間で、等分散性の検定を最初に行い、次にt検定を行った。
実施例1
補体阻害タンパク質の投与が脊髄に関する外傷的事象後の二次的損傷を改善または抑制できるかどうか、および運動機能を時間とともに改善できるかどうかを検査するために、改変したAllenの打撃法(Blackら、1988, Neuro. Surg., 22:51-60)によって、標的部位(T10分節)に設置された直径2mmの凹面プラスチックパッドおよび50g/cmの打撃力を用いて、すべて250g〜300gの間のSprague-Dawley(SD)ラット(n = 80)(Experimental Animal Department of China Medical University)に脊髄損傷を施した。
損傷後、80匹のラットを無作為に8ラット/群の個別の10群に分けた。10群のうち5群(n = 40)はsCR1(TP10, AVANT Immunotherapeutics, Inc.)の注射を受けているラットから構成され、残りの5群(n = 40)は生理食塩水の注射のみを受けている対照ラットから構成された。sCR1群の各々および生理食塩水群の各々は、別々の評価時点、すなわち、それぞれ初期脊髄損傷後12時間、1日、3日、7日、および14日間が割り当てられた。sCR1の注射を受けているすべてのラット(n = 40)は、初期損傷の1時間後に6mg/kgの尾静脈注射を投与され、続いて実験期間中1日1回の注射(6mg/kg)を受けた。対照ラット(n = 40)は、初期損傷の1時間後に生理食塩水の尾静脈注射(6mg/kg)を受け、続いて実験期間中1日1回の注射(6mg/kg)を受けた。
神経機能の評価
下肢の運動機能の経時的な回復は、傾斜板法を用いて検査された。損傷の12時間、1日、3日、7日、および14日間後に、ラットを同一の平坦な板上に置いた。ラットの体軸を傾斜板の縦軸に沿って整列させた。傾斜板の縦角度を5°ずつ上げ、運動の回復を、ラットが板上での位置を維持できる最大傾斜角度の関数として評価した。各ラットを3回検査し、平均角度を記録した。傾斜板実験の結果は表1に示される。
Figure 2007008876
表1において見られるように、損傷後12時間および1日間sCR1処理したラットおよび生理食塩水処理した(対照)ラットが傾斜板上で維持できる角度に有意差はなかったが、処理後3日、7日、および14日間sCR1処理したラットの運動機能は、生理食塩水処理した対照より有意に向上していた。表1での結果は、脊髄損傷後のsCR1の投与が損傷部位での神経損傷を阻害し、運動機能の回復における改善をもたらすことを実証する。
実施例2
病理組織学的検査
各時点群からの3匹のラットをそれらのそれぞれの時点(損傷後12時間、1日、3日、7日、および14日間)で麻酔し、損傷部位から1 cmの脊髄組織を採取し、固定、脱水した。凍結ミクロトームを用いて12μmの厚さの連続切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色またはC3c、C9もしくはCD59免疫組織化学染色のために下処理した。ウサギ抗ラットC3c抗体はZymed Laboratories(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)から購入した。ウサギ抗ラットC9抗体およびウサギ抗CD59抗体はMorgan教授(Wales University, U.K.)から入手した。HE染色キットはSigma-Aldrich Biotechnology Center(SABC; Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO)から購入した。
結果: HE染色
HE染色の結果は顕微鏡によって観察された(200×)。生理食塩水対照群のラットでは、損傷後12時間で、灰白質に斑点状の出血があり、好中球が損傷部位の周辺の組織に浸潤し始めた。生理食塩水群では損傷後1日間で、ニューロンが膨張しており、核の非対称を示した。損傷後3日間で、生理食塩水ラットのニューロンは明らかに丸くなり膨張し、(アポトーシスを示唆する)核濃縮および核の断片化が見られた。更に、損傷部位由来の組織に多量の好中球浸潤があり、灰白質に大きな斑点状の出血があった。損傷後7日間で、遺残ニューロンの数は減少したが、いくらかの好中球浸潤は依然として灰白質に存在した。損傷後14日間で、より少ない遺残ニューロンの残存およびより少量の灰白質の好中球浸潤が観察された。空洞形成が見られた。
sCR1群と対照群の両方において、損傷した脊髄は時間とともに悪化し、損傷後3日目前後にピークに達し、損傷後14日間までに安定化する傾向にあった。しかし、sCR1処理群では、損傷部位での二次的影響に関連したすべての症状、すなわち、ニューロン細胞の膨張、変性、および好中球浸潤は、上述のような対照群のラットより著しく軽症であった。
結果: C3c免疫組織化学染色
損傷部位でのC3cの存在は、補体活性化がその部位で起こっていることを示す。C3c免疫組織化学染色の結果は、C3c発現レベルが生理食塩水処理した対照よりsCR1処理したラットにおける損傷部位でより低いことを実証した。
各群のそれぞれのラットから解析のために、3枚のC3c免疫組織化学染色切片を選択した。灰白質の前角から後角までの5つの高倍率視野を選択した。C3c陽性反応物質の平均濃淡値(AG)は、MetaMorph(登録商標)自動カラー画像解析装置(Universal Imaging Corp., Downington, PA)を用いて検出された。平均濃淡値はC3c免疫反応強度に反比例する。C3c免疫組織化学染色の結果は表2に示される。
Figure 2007008876
損傷後12時間で、sCR1処理ラットおよび生理食塩水処理ラットの両方では、脊髄前角でのいくらかのニューロン細胞膜および細胞質において散在性のC3c陽性発現が観察された。損傷後1日目では、C3c発現は両群において増加した。損傷後3日目では、遺残ニューロン細胞膜、神経網(neuropilem)およびニューロン細胞質において高レベルのC3c陽性発現が明白であった。損傷後7日目には、C3c発現は徐々に減少した。損傷後14日目では、いくらかのC3c陽性ニューロンが依然として灰白質に存在し、低レベルのC3c発現が神経網において明白であった。
sCR1処理群と対照群の両方において、脊髄損傷組織におけるC3c陽性発現は、損傷後3日目前後にピークに達し、その後減少し始め、損傷後2週間で安定した。しかし、表2において見られるように、C3c陽性発現レベルは、生理食塩水処理したラットと比較して、すべての時点でsCR1処理したラットにおいて有意に低かった(P < 0.01)。
結果: C9およびCD59免疫組織化学染色
C9およびCD59免疫組織化学染色からのデータは、C3c発現の検出に使用されたものと同じ方法を用いて得られ、光学顕微鏡(200X)によって観察された。
C3およびC9は補体系の重要な内在性の成分である。C3は古典補体活性化経路および第二補体活性化経路の合流点にあり、補体活性化カスケードにおけるハブとしての機能を果たす。その不活性化後のC3の分解産物であるC3cの存在は、補体系の活性化がC3レベルに進行していることを示す。膜傷害性複合体(MAC)を構成する最後の分子であるC9はまた、標的細胞を攻撃し、破壊する補体系の活性化のための最も重要な補体成分である。本明細書において使用された抗C9抗体は、MACに取り込まれたC9である、組織に沈着したC9に特異的であった。従って、C9の検出はMAC発現状態を完全に反映した。
C3cと同様に、C9はsCR1群および生理食塩水(対照)群の両方において、損傷後の各時点での脊髄損傷組織に存在することが見いだされ、それは急性脊髄損傷において補体カスケード反応が誘発され得、最終段階まで活性化され得ることを示す。
本実験において検出されたC9の存在は、上述のC3cアッセイにおいて観察されたものと同様であった。C9検出アッセイの画像解析結果は表3に示される。
Figure 2007008876
表3のデータから分かるように、sCR1処理群におけるC9発現は、生理食塩水処理群において観察されるより有意に低かった(P < 0.01)。
CD59は補体の最終段階における同種制限因子である。その主な生物学的活性はMACの形成の継続を阻害し、細胞融解を防ぐことであるため、それは重要な保護的補体調節因子である。
C3cおよびC9と同様に、CD59はsCR1群および生理食塩水(対照)群の両方において、損傷後の各時点での脊髄損傷組織に存在することが見いだされ、それは急性脊髄損傷において補体カスケード反応が誘発され得、最終段階まで活性化され得ることを示す。
本実験において検出されたCD59の存在は、上述のC3c およびC9アッセイにおいて観察されたものと同様であった。CD59検出アッセイの画像解析結果は表4に示される。
Figure 2007008876
表4において見られるように、損傷後12時間、1日、3日および7日間でのsCR1処理群は、生理食塩水処理した対照との有意差を示し、sCR1が補体活性化を阻害していることを示した。14日目までには、CD59発現における差はもはや有意ではなくなったが、それはおそらくsCR1による長期治療が、脊髄損傷組織におけるCD59発現細胞(例えば、ニューロン、神経膠細胞)の破壊を減少する保護効果を持っていることを示唆するのであろう。
損傷したニューロンの膨張、変性および壊死は、すべての時点でsCR1処理群においてより軽度であった。また、sCR1処理群から取られたサンプルでは、損傷した組織のより少ない好中球浸潤が観察された。
実施例3
ミエロペルオキシダーゼ活性
ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は、急性炎症反応に関与する主要な炎症細胞である好中球についての指標酵素である。ミエロペルオキシダーゼは過酸化水素(H2O2)および塩化物陰イオン(Cl-)の次亜塩素酸(HOCl)への変換を触媒する。次亜塩素酸は細胞毒性があり、好中球によって産生され、侵入する細菌および他の病原体を破壊する。損傷部位でのミエロペルオキシダーゼの存在およびレベルは、従ってその部位での好中球浸潤の活性およびレベルの直接的な指標である。
損傷部位でのミエロペルオキシダーゼ活性のレベルを測定するために、各時点、すなわち、損傷後12時間、1日、3日、7日、および14日間で各群から5匹のラットを麻酔し、脊髄損傷部位から1 cmの組織サンプルを採取した。組織を液体窒素中で保存し、秤量後、剪断した。
ホモジナイズする前に、0.5%臭化セトリモニウム(CTBA)を含む三塩基性リン酸カリウムバッファー溶液を加えた。その後、各サンプルを20分間4℃で超音波によって破砕し、次に12,500 rpmで30分間遠心分離した。上清を取り、0.5%ジアニシジン塩酸および0.0005%過酸化水素を含む2.9 mlのリン酸バッファー(pH 7.0)に添加した。ミエロペルオキシダーゼレベルは460nmで2分間の分光光度法によって測定された。1ユニットのミエロペルオキシダーゼ活性は、25℃で1分間あたり1μmolの過酸化水素の分解として定義された。ミエロペルオキシダーゼレベルは、脊髄組織のグラムあたりのミエロペルオキシダーゼ活性のユニットとして表される。
ミエロペルオキシダーゼアッセイの結果は表5に示される。
Figure 2007008876
sCR1処理ラットおよび生理食塩水処理ラットにおけるミエロペルオキシダーゼのレベルは、損傷後12時間で増加し始め、損傷後3日目にピークレベルに達し、その後減少し始めた。しかし、表5において見られるように、sCR1処理群のミエロペルオキシダーゼレベルは、一貫して各時点で対照群より低かった(P < 0.01)(表5参照)。
これらの結果は明らかに、脊髄損傷後のsCR1の投与が損傷部位での好中球浸潤のレベルおよび量を減少させ、その結果、炎症および炎症に関連する二次的損傷の影響を減少させることを実証する。
上述の実施例のデータは、脊椎動物での脊髄損傷後のsCR1の投与が補体の活性化を阻害し、炎症を阻害することを実証する。また、損傷後の運動機能の回復の改善も、sCR1による治療後に観察された。これらのデータは、ヒトを含む脊椎動物における脊髄損傷の治療に対する、本明細書に開示された方法の適合性を実証する。
多数の実施形態が上記に記載されてきたが、本発明の開示または添付の請求項の範囲から逸脱することなく、記載された組成物および方法の改良および変更が行われうることは、当業者によって理解されるであろう。本明細書において引用された論文および出版物は参照により組み入れられる。

Claims (18)

  1. 脊椎動物被検体において脊髄損傷を治療する方法であって、前記損傷後できる限り速やかに前記脊椎動物に補体阻害タンパク質を投与することを含む方法。
  2. 前記補体阻害タンパク質が補体レセプターI(CR1)、H因子、C4結合タンパク質(C4-BP)、膜補因子タンパク質(MCP)、崩壊促進因子(DAF)、補体阻害特性を保持しているその断片、補体阻害抗体、およびsCR1-sLexからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記脊椎動物がヒトである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記補体阻害タンパク質が可溶性CR1タンパク質である、請求項2に記載の方法。
  5. 前記可溶性CR1が少なくとも完全長ヒトCR1のN末端の2つの短いコンセンサス反復配列を含むポリペプチドである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記可溶性CR1が成熟ヒトCR1の細胞外ドメインを含むポリペプチドである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記可溶性CR1が配列番号3のアミノ酸配列を有する、請求項4に記載の方法。
  8. 脊髄損傷を受けている脊椎動物被検体の運動機能を改善する方法であって、前記損傷後できる限り速やかに前記被検体に補体阻害タンパク質を投与することを含む方法。
  9. 前記補体阻害タンパク質が補体レセプターI(CR1)、H因子、C4結合タンパク質(C4-BP)、膜補因子タンパク質(MCP)、崩壊促進因子(DAF)、補体阻害特性を保持しているその断片、補体阻害抗体、およびsCR1-sLexからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記脊椎動物がヒトである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記補体阻害タンパク質が可溶性CR1タンパク質である、請求項9に記載の方法。
  12. 前記可溶性CR1が少なくとも完全長ヒトCR1のN末端の2つの短いコンセンサス反復配列を含むポリペプチドである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記可溶性CR1が成熟ヒトCR1の細胞外ドメインを含むポリペプチドである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記可溶性CR1が配列番号3のアミノ酸配列を有する、請求項11に記載の方法。
  15. 脊髄損傷の治療のための可溶性補体レセプターI(sCR1)の使用。
  16. 治療上有効な量の可溶性CR1タンパク質および製薬上許容されうる賦形剤または担体を含む、脊髄損傷の治療に使用するための医薬組成物。
  17. 可溶性CR1タンパク質が成熟ヒトCR1の細胞外ドメインを含むポリペプチドである、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 可溶性CR1タンパク質が配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、請求項16に記載の医薬組成物。
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