JP2007004143A - 位相差フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 光弾性係数の小さいポリエステルを用いた位相差フィルムを提供する。
【解決手段】 光弾性係数が−40×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1であるポリエステルを用いた位相差フィルムとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は位相差フィルムに関する。
位相差フィルムは主に液晶ディスプレイの視野角を拡大する部材、あるいは円偏光板の構成部材として利用されている。
位相差フィルムとして、特許文献1にポリカーボネートの開示がある。しかしながらポリカーボネートは光弾性係数が大きいために「額縁不良」と呼ばれる画面周辺部の位相差ムラの問題がある。この問題は液晶ディスプレイの大画面化と共に顕在化し、光弾性係数の小さい位相差フィルムが求められている。
特許文献2には環状ポリオレフィン系樹脂の開示がある。環状ポリオレフィン系樹脂は低光弾性係数、低吸水率などの優れた特性を有していることから広く位相差フィルムとして利用されているが、高コストであり、安価な位相差フィルムが求められている。
一方、ポリエステルフィルムは高透明かつ安価であることから広く利用されており、特許文献3に開示があるように位相差フィルムとしての応用も検討されているが、光弾性係数が大きく、また延伸条件に対して位相差特性が鋭敏に影響されるため、適当な位相差に制御することは困難であった。また、特許文献4には複屈折の小さいポリエステルの開示があるが、光弾性係数が大きいという問題があった。さらに特許文献5には複屈折の小さいポリエステルの開示があるがガラス転移転移点温度が低いため液晶ディスプレイの製造工程や使用環境で位相差が変化する問題があった。また、特許文献6には複屈折の小さいポリエステルの開示があるが、位相差フィルムに必要な光弾性係数、波長分散性については検討されておらず、またフィルム成形性が不良であり、均一なフィルムを得ることができない問題があった。
特開2001−318233号公報 特開2004−151573号公報 特開2000−162419号公報 特許第2843215号公報 特許第2854796号公報 特許第3331121号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明の目的は、光弾性係数の小さいポリエステルを用いた位相差フィルムを提供することにある。
上記した目的を達成するための本発明は、光弾性係数が−40×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1であるポリエステルを用いた位相差フィルムを特徴としている。
ここで、位相差フィルムの遅相軸方向をxとし、フィルムの面内でこれと直交する方向をyとし、これらx、yと直交する方向をzとし、x、yおよびz方向における屈折率をそれぞれnx、ny、nzとしたとき、次式(1)および(2)を満足する、上記の位相差フィルムであることも好ましい。
nx ≧ ny ・・・ (1)
−0.001 < ny−nz < 0.001 ・・・ (2)
また、上記ポリエステルのガラス転移温度が100℃以上であることも好ましい。
本発明により、フラットパネルディスプレイなど位相差フィルムを用いる多様な光学部材を低コスト化することができる。
本発明の位相差フィルムは光弾性係数が−40×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1である。光弾性係数が−40×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1であることにより、大画面の液晶テレビに用いたとき、位相差フィルムと貼り合わされた他の部材の熱膨張、あるいは残留応力等に起因して、位相差フィルムに応力が与えられた場合にも位相差の変化が小さいため好ましい。光弾性係数は絶対値が小さいほど、応力に対する位相差変化が小さいため好ましく、好ましくは絶対値が1×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1、より好ましくは1−12Pa−1〜30×10−12Pa−1である。光弾性係数の絶対値は小さいほど好ましく、0が理想であるが、本発明のポリエステルはエステル基に起因する極性から、その下限は1程度となる。さらに光弾性係数は、好ましくは−30×10−12Pa−1〜30×10−12Pa−1、好ましくは−20×10−12Pa−1〜20×10−12Pa−1、より好ましくは−5×10−12Pa−1〜5×10−12Pa−1である。最も好ましくは−3×10−12Pa−1〜3×10−12Pa−1である。通常、位相差は非等方的な延伸により付与する。位相差を付与する前のフィルム、例えば未延伸フィルムの光弾性係数が−3×10−12Pa−1〜3×10−12Pa−1であると目的の位相差を付与できないことがある。しかし、目的の位相差を付与した後の光弾性係数は理想的には0であることが望ましい。
本発明において、位相差フィルムはポリエステルを用いていることが重要である。溶融製膜可能な汎用樹脂であるポリエステルを用いることにより、安価な位相差フィルムを提供できる。ここで、ポリエステルとは主鎖にエステル結合を有する高分子を言い、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が例示できる。
本発明において、位相差フィルムの遅相軸方向をxとし、フィルムの面内でこれと直交する方向をyとし、これらx、yと直交する方向をzとし、x、yおよびz方向における屈折率をそれぞれnx、ny、nzとしたとき、次式(1)および(2)を満足していることが好ましい。
nx ≧ ny ・・・ (1)
−0.001 < ny−nz < 0.001 ・・・ (2)
式(2)において、nyは進相軸の屈折率、nzは厚み方向の屈折率を示す。nyとnzの屈折率に大きな差があると、視野角特性が低下することがある。
本発明において、位相差フィルムに用いられているポリエステルのガラス転移温度(Tg)は100℃以上であることが好ましい様態である。液晶ディスプレイはバックライトなど内部の熱や、外部環境の熱により加熱されるが、この加熱により位相差が変化しない耐熱性が必要である。環境温度がTgを超えると、分子が動きやすくなるため、位相差が変化することがある。室内で使用される一般的な液晶テレビに使用する位相差フィルムとして、100℃以上のTgを有しているポリエステルを用いることが重要となる。より好ましくは屋外や、車内での使用に耐えるために、120℃以上のTgを有するポリエステルを用いることが好ましい。
本発明において用いるポリエステルは脂環構造を有していることが好ましい。ポリエステルのTgを向上せしめることを目的に芳香族構造を多く導入すると、Tgと同時に光弾性係数が上昇(以下「悪化」ということがある)する傾向にある。一方、光弾性係数の低下を目的に直鎖脂肪族構造を多く導入すると、Tgが低下してしまう。脂環構造は低い光弾性係数と、高いTgを両立せしめることができるため好ましい。
また、本発明で用いるポリエステルはカルド構造を有していることが好ましい。カルド構造とは、例えば後述する化学式(I)に示した構造中に表れているように、主鎖部分のベンゼン環2個と、フルオレン環がちょうつがい状に結合されている構造を一般にこう呼ぶ。
ポリエステルのTgを向上することを目的に芳香族構造を多く導入すると、光弾性係数が悪化してしまうことを説明したが、カルド構造を持つ芳香族化合物は特異的に直鎖方向と、直交する方向の芳香族が光弾性を打ち消し合うため、高いTgを持ちながら、小さな光弾性係数を得ることが可能となる。ここで、カルド構造の主鎖部分の芳香環の数をAr(x)、主鎖とカルド構造により交差する部分の芳香環の数をAr(y)としたとき、次式(3)を満足することがさらに好ましい。また、式(3)を満たすことにより、逆分散特性を得ることができる。
0.9 < Ar(y)/Ar(x) < 1.1 ・・・ (3)
ここで、芳香環の数は例えば次のように数える(カッコ内に芳香環の数を示す)。ベンゼン(1)、ナフタレン(2)、ビフェニル(2)、フルオレン(2)。フルオレンは3環式構造であるが、5員環部位は共鳴構造を取り得ない脂環構造である。このため、芳香環の数は2個と数える。
さらに本発明で用いるポリエステルの脂環構造およびカルド構造について詳しく説明する。
脂環構造:例えば化学式(VII)に示す脂環構造を有するジオールまたはカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体をポリエステル原料として用いることにより、脂環構造をポリエステル中に導入できる。この中で、より好ましくは原料の入手の容易さとコストの低さからジオールとしては3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン(以下「スピログリコール」)が好ましく、ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体としてはシクロヘキサンジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。シクロヘキサンジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体はシス体(イス型)、トランス体(船型)の2つの異性体を持つが、Tgを向上する目的ではトランス体が多い方が好ましい。一方、光弾性係数を悪化せずにTgを向上する目的ではTgの向上はトランス体よりは小さいが、シス体の多い方が好ましい。
Figure 2007004143
カルド構造:例えば化学式(VIII)に示すカルド構造を有するジオールまたはカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体をポリエステル原料として用いることにより、カルド構造をポリエステル中に導入できる。
Figure 2007004143
:それぞれ独立に任意の置換基
n:それぞれ独立に0〜4の整数
この中で、水酸基が芳香環に直結したジオールは反応性が低くなることがある。好ましくは、エーテル結合とエチレンを介して水酸基が芳香環に結合した構造であり、さらに好ましくは入手の容易さから化学式(IX)に示す化合物(以下「BPEF」という)が好ましい。
Figure 2007004143
脂環構造とカルド構造の好ましいモル分率(%)について説明する。本発明のポリエステルは化学式(I)、(II)、(III)または(IV)で示される構造単位を含み、かつ、化学式(I)、(II)、(III)および(IV)で示される構造単位のモル分率(%)をそれぞれl、m、n、oとしたとき、次式(4)〜(5)を満足することが好ましい。
80<l+m+n+o≦100 ・・・ (4)
10≦l+m≦100 ・・・ (5)
Figure 2007004143
:脂環構造を有する基
:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
Figure 2007004143
:芳香族基
:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
Figure 2007004143
:脂環構造を有する基
:炭素数2〜4の脂肪族炭化水素または脂環構造を有する基
Figure 2007004143
:芳香族基
:炭素数2〜4の脂肪族炭化水素または脂環構造を有する基
化学式(I)、(II)、(III)および(IV)において、l+mはジオール由来のカルド構造を有する構造のモル分率(%)を示す。カルド構造は光弾性係数の悪化が小さく、Tgを向上する効果を有するため好ましい。l+mは10以上100以下であることが好ましく、より好ましくは50以上100以下、さらに好ましくは70以上100以下である。
上記において、RおよびRは、脂環構造を有する基であることが好ましい。位相差フィルムは、その製造工程および使用環境において、寸法変化、位相差変化が小さいことが求められる。このためには光弾性係数が−40×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1であることが必要であり、かつガラス転移温度が100℃以上であることが好ましい。光弾性係数を低減するためには芳香族成分を低減し、脂肪族成分を増加せしめることが有用である。しかしながら、直鎖脂肪族を導入すると、ガラス転移温度が例えば100℃以下になったりして、その製造工程および使用環境において、寸法変化、位相差変化が生じる原因となることがある。脂環構造は、光弾性係数の小さい脂肪族構造でありながら、直鎖脂肪族に対し、ガラス転移温度が高いことが知られている。すなわち、芳香族と比較して、ガラス転移温度を大きく下げること無く、光弾性係数を低下せしめることが可能であり、かつ直鎖脂肪族と比較して、光弾性係数を大きく悪化することなく、ガラス転移温度を向上せしめることが可能である。ここで脂環構造に特に限定はなく、任意の脂環構造が用いられるが、RおよびRは、カルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体残基であり、この原料であるカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が容易に入手できるものであることが好ましい。入手容易なカルボン酸としてはシクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ビシクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボン酸エチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンなどが挙げられ、RおよびRは、これらの残基である化学式(V)に示す何れかの構造であることが好ましい。
Figure 2007004143
また、上記において、入手が容易であり、得られるポリエステルの物性に優れることからRおよびRがシクロヘキサン、シクロヘキセンおよび/またはデカリン構造であることも好ましい。RおよびRはシクロヘキサン構造であることがより好ましい。
さらに、位相差フィルムは、その用途に於いて、制御された光弾性係数を有することが好ましい。光弾性係数の制御は異方性結晶の添加や、分子構造の変更によって可能であるが、極性基や芳香族を分子鎖に組み込む方法が、得られる光弾性係数の安定性や、他物性悪化の影響が少ないことから好ましい。特に芳香族を分子鎖に組み込む方法が同時にガラス転移温度の向上も図れるため好ましい。ここで、光弾性係数を正の方向に増加する目的では主鎖方向に芳香族を組み込むことが有用である。また、光弾性係数を負の方向に増加する目的では主鎖と直交する方向に芳香族を組み込むことが有用である。さらには主鎖及び主鎖と直交する方向に芳香族を導入することによって、厚み方向の屈折率や位相差の波長分散性を制御できるため好ましい。芳香族化合物は特に限定されないが、RおよびRが化学式(VI)に示す何れかの構造であることが好ましい。
Figure 2007004143
また、上記のおいて、RおよびRはTgを向上する目的では例えばスピログリコール残基などの脂環構造が好ましい。一方、溶融製膜を可能にすることを目的にTgを調整する場合には、反応性、入手の容易性および光弾性係数を悪化させないことからエチレンなど炭素数2〜4の脂肪族炭化水素構造であることが好ましい。中でも原料の入手の容易性からスピログリコール残基またはエチレン構造であることも好ましい。
次に、カルド構造と関連する位相差の「波長分散性」および「逆分散」について説明する。
「位相差フィルム」とは、ある波長の光が通過する時に進相軸の位相と、遅相軸の位相に差を生じさせるフィルムであり、本発明において、位相差フィルムとは、例えば1/4波長の位相差を与えるλ/4位相差フィルム、1/2波長の位相差を与えるλ/2位相差フィルムや、視野角拡大フィルム、光学補償フィルムなど位相差を与えるフィルム全てをいう。
ここで進相軸とは光が最も早く通過する面内の方向であり、遅相軸とは、これと直交する面内の方向である。
位相差フィルムには1/4波長位相差フィルム、1/2波長位相差フィルム等があるが、例えば1/4波長位相差フィルムは、可視光波長域で、位相差をそれぞれの波長の1/4であることが好ましい。ここで、波長x(nm)の位相差をR(x)(nm)と記載する。即ち、1/4波長位相差フィルムにおいて波長R(400)、R(500)、R(600)(nm)の理想値は下式(6)〜(8)の通りである。
R(400) = 400/4 = 100 ・・・ (6)
R(500) = 500/4 = 125 ・・・ (7)
R(600) = 600/4 = 150 ・・・ (8)
これらの式を満たしている位相差フィルムを例えば反射型液晶テレビの位相差フィルムとして使用したときに、波長による光漏れが少なくなるため好ましい。
しかしながら、現在市販されている位相差フィルムは、この理想値から大きく離れており、全ての可視光波長域を理想値に近づける目的で、通常は2枚あるいはそれ以上の位相差フィルムをその主軸が平行にならないように積層する方法が用いられる。複数の位相差フィルムを積層して使用する場合、下式(9)、(10)に示すように、入射する波長によらず、一定の位相差を与えることが好ましい。下式(9)、(10)に近い位相差フィルムを「波長分散が小さい」と表現し、特に位相差フィルムを複数枚積層して使用する場合においては「波長分散性に優れる」と表現する。
R(400)/R(500) = 1.00 ・・・ (9)
R(600)/R(500) = 1.00 ・・・ (10)
ここでは簡単のために、R(400)、R(500)、R(600)について説明したが、通常は人間の視感度の最も高いR(550)を中心に、R(450)、R(650)について説明する。即ち下式(11)、(12)を満たす、または近い位相差フィルムを複数枚積層して使用する場合に「波長分散性に優れる」と表現する。
R(450)/R(550) = 1.00 ・・・ (11)
R(550)/R(650) = 1.00 ・・・ (12)
以上は、あくまで、複数枚の位相差フィルムを積層して使用する場合の好ましい様態であり、1枚で全ての波長をカバーする、即ち広帯域位相差フィルムとするためには、下式(13)を満たすことが好ましい。
R(450)/R(550) = 450/550 = 0.818 ・・・(13)
これに対し、通常のポリカーボネート、環状ポリオレフィンなどは下式(14)である。位相差の波長分散について、下式(14)の状態を順分散であるという。
R(450)/R(550) > 1 ・・・ (14)
一方、理想に近い下式(15)の状態を逆分散であるという。さらには式(13)に示した0.818という値が理想である。
R(450)/R(550) < 1 ・・・ (15)
構成部材の削減および貼合コストの削減から1枚で上式(15)を満たす位相差フィルムが求められている。
逆分散を得るための分子設計としては、分子内で複数の位相差フィルムが重ね合わされた場合と同じ効果が有ればよい。例えば、延伸方向が進相軸、即ち正の複屈折を持つポリマーと延伸方向が遅相軸、即ち負の複屈折を持つポリマーを共重合すると2種類の位相差フィルムを直交して貼り合わせたと同じ効果が得られ、ある条件化において逆分散が得られることがある。本願発明においては、カルド構造を有する1種類のポリマーが、主鎖方向および主鎖に直交する方向に2種類の位相差フィルムを重ね合わせたと同じ効果を発現し、従来、正、負の複屈折性高分子の共重合またはブレンド以外では困難であった逆分散を得ることができる。
化学式(I)および(II)において、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基である。カルド構造を有するポリエステルは主鎖とカルド構造で結合した部位、即ち化学式(I)および(II)においてフルオレン環はほぼ直交しているが、R、R、あるいはフルオレン環に置換基を付与することにより角度が変化することがあり、波長分散性が良くなることがある。フルオレン環に付与する置換基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の芳香族基が例示できるが、これらに限定されるものではない。また、フルオレン環に置換基を導入する方法は種々の方法を用いることができる。たとえば、フルオレンの2,7位をN−ブロモスクシンイミドを用いて臭素化し、導入したい基を、この臭素と置換する方法などが例示できる。
化学式(I)、(II)、(III)および(IV)において、R、R、R、Rとしてカルド構造を用いる場合も同様である。
次に脂環構造について説明する。
化学式(I)、(II)、(III)および(IV)において、l+nはRおよびRで示すジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体由来の脂環構造のモル分率(%)を示す。脂環構造もカルド構造同様に小さい光弾性係数の悪化で、Tgを向上する効果を有するため好ましい。ただし、Tg向上の効果はカルド構造よりは小さく、光弾性係数悪化はカルド構造よりは小さい。l+nは10以上100以下であることが好ましく、より好ましくは50以上100以下、さらに好ましくは70以上100以下である。
およびRはTgを向上する目的では例えばスピログリコール残基などの脂環構造が好ましい。一方、溶融製膜を可能にすることを目的にTgを調整する場合には、反応性、入手の容易性および光弾性係数を悪化させないことからエチレンなど炭素数2〜4の脂肪族炭化水素構造であることが好ましい。
本発明の位相差フィルムに使用するポリエステルの原料はカルド構造を持つもの、脂環構造を持つものが好ましいが、他の成分としては特に制約はなく、一般的なポリエステル樹脂の原料を用いることができる。例えばジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体成分としてはテレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、デカリンジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル、ノルボルナンジカルボン酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、イソホロンジカルボン酸、3,9−ビス(2−カルボキシエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸並びに、これらジカルボン酸のエステル、酸ジハライド、酸無水物が例示できる。
ジオール成分としては1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、ペンタシクロドデカンジメタノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール等の脂環族ジオール類、エチレングリコール、トリメチレングリコール、2−メチルプロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等が例示できる。
本発明の位相差フィルムに使用するポリエステル樹脂を製造する方法に特に制限はなく、種々の方法を適用することができる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法または溶液重合法を挙げることができる。エステル交換触媒、エステル化触媒、エーテル化防止剤、また重合に用いる重合触媒、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も種々のものを用いることができる。エステル交換触媒として、マグネシウム、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウム等の化合物、またエステル化触媒として、マグネシウム、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウム等の化合物、またエーテル化防止剤としてアミン化合物等が例示される。
重縮合触媒としては特に限定はなく、種々のものが利用できる。例えば二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモンエチレングリコレート等のアンチモン化合物、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム等のチタン化合物が例示できる。これらは単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。また熱安定剤としてトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、エチルアシッドホスフェート、トリフェニルホスフェート、亜燐酸、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト等の各種リン化合物を加えることも有効である。
本発明の位相差フィルムには、表面形成、加工性改善、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、核剤、可塑剤、着色剤、分散剤、赤外線吸収剤、充填剤等の添加剤を添加することができる。
添加物は無色であっても有色であっても構わないが、本発明の位相差フィルムの特徴を損ねないためには無色透明であることが好ましい。表面形成を目的とした添加剤としては例えば、無機粒子ではSiO、TiO、Al、CaSO、BaSO、CaCO、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば、架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆等の処理を施した無機粒子が挙げられる。
なお、上記した本発明の位相差フィルムに2色性色素を添加し、偏光板とすることも可能である。
本発明の位相差フィルムの製膜には、種々の方法を使用することができる。すなわち、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、好ましくは、インフレーション法、T−ダイ法、キャスト法、ホットプレス法が使用できる。インフレーション法やT−ダイ法による製造法の場合、単軸あるいは二軸押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。好ましくはL/D=25以上120以下の二軸混練押出機が着色を防ぐために好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。キャスト方法は溶融した樹脂をギアーポンプで計量した後にT−ダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸のフィルムを得ることができる。
また、流延法により未延伸のフィルムを製造する場合、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の溶剤が使用可能であり、好ましくはアセトン、メチルエチルケトンあるいはN−メチルピロリドン等が使用できる。該フィルムは、本発明のポリエステル組成物を前記の1種以上の溶剤に溶かし、その溶液をバーコーター、T−ダイ、バー付きT−ダイ、ダイ・コートなどを用いて、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱フィルム、スチールベルト、金属箔などの平板または曲板(ロール)上に流延し、溶剤を蒸発除去する乾式法あるいは溶液を凝固液で固化する湿式法等を用いることにより製造できる。
位相差フィルムは、さらにフィルムを一軸延伸、二軸延伸および/または厚み方向に延伸して得る。二軸延伸の延伸方式は特には限定されず、逐次二軸延伸方式、同時二軸延伸方式などの方法を用いることができる。同時二軸延伸法により延伸する場合は、例えばリニアモーターを利用した駆動方式(特公昭63−12772号公報に記載の方法等)によるテンターを用いて同時二軸延伸する方法が好ましいが、特に限定されず、フィルム把持クリップの駆動方式には、チェーン駆動方式、スクリュー方式、パンタグラフ方式、などを採用することもできる。同時二軸延伸の温度としては、ポリエステルのガラス転移温度Tg以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下であることが好ましい。延伸温度がこの範囲をはずれると、均一延伸ができにくくなり、厚みむらやフィルム破れが生じやすくなる。延伸倍率には特に限定はなく、目的とした位相差に応じて適宜決定すればよい。延伸速度としては特に限定されないが、100〜50,000%/分が好ましい。
厚み方向の延伸方法としては、熱収縮の大きな工程フィルムに被延伸フィルムを粘着し、この積層体を熱処理することによって、行うことが出来る。
また、逐次二軸延伸により延伸する場合は、得られた未配向のフィルムをポリエステルの(ガラス転移温度Tg−30℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下に加熱されたロール群上で接触昇温させて、長手方向に1.1〜10倍延伸し、これを一旦冷却した後に、テンタークリップに該フィルムの端部を噛ませて幅方向にポリエステルの(ガラス転移温度Tg+5℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)の温度雰囲気下の中で1.1〜10倍延伸し、二軸配向したポリエステル樹脂フィルムを得るのである。
逐次二軸延伸により延伸する場合、ロールとフィルムの接触による傷を低減する目的でカバーフィルムを少なくとも一方の面に貼り合わせて延伸することが好ましい。カバーフィルムは、種々の樹脂のフィルムを使用することができる。カバーフィルムの具体例としては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられる。特に好ましくは、ポリプロピレンフィルムおよび/またはポリエチレンナフタレートフィルムである。
本発明の位相差フィルムの厚みは、0.01μm〜10mmであることが好ましい。より好ましくは5μmから100μm、さらに好ましくは10μmから30μmである。フィルムの厚みが10mmを超えると光線透過率が低くなることがある。またフィルムの厚みが0.01μm未満ではたとえば加工性が低下することがある。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)光弾性係数
光弾性係数(単位:10−12Pa−1
短辺1cm、長辺7cmのサンプルを切り出した。このサンプルの厚みをd(μm)とする。このサンプルを島津(株)社製TRANSDUCER U3C1−5Kを用いて、上下1cmずつをサンプル支持具に挟み長辺方向に1kg/mm(9.81×10Pa)の張力(F)をかけた。この状態で、ニコン(株)社製偏光顕微鏡5892を用いて位相差R(nm)を測定した。光源としてはナトリウムD線(589nm)を用いた。これらの数値を光弾性係数=R/(d×F)にあてはめて光弾性係数を計算した。
(2)屈折率
JIS−K7105−1981に従って、下記測定器を用いて測定した(測定範囲:〜1.87)。
装置:アッベ屈折計 4T(株式会社アタゴ社製)
光源:ナトリウムD線
測定温度:25℃
測定湿度:65%RH
マウント液:ヨウ化メチレン
屈折率が1.87を超える場合は、以下の方法で測定することができる。この場合、590nmにおける測定結果をナトリウムD線での屈折率とする。
手法:エリプソメトリー
装置:位相差測定装置NPDM−1000(株式会社ニコン社製)
光源:ハロゲンランプ
検出器:Si−Ge
偏光子・検光子:グラムトムソン
検光子回転数:2回
入射角:45°〜80°、0°
測定波長:590nm
(3)ガラス転移温度(Tg)
装置:ロボットDSC RDC220(セイコー電子工業社製)
昇温速度:10℃/分
ガラス転移温度(Tg):DSCカーブの変曲点をTgとした。
(4)位相差
下記測定器を用いて測定した。
装置:王子計測(株)社製の自動複屈折計(KOBRA−21ADH)
測定径:φ5mm
測定波長:480.4nm, 548.3nm, 628.2nm, 752.7nm
測定波長以外の波長の位相差:
R(480.4), R(548.3), R(628.2), R(752.7)を用い、以下のコーシーの波長分散式
(R(λ)=a+b/λ+c/λ+d/λ
における各a〜dの係数を求め、このコーシーの波長分散式に求めたい波長を代入して求めた。
(5)屈折率差(ny−nz)
下記測定器を用いて測定した。
装置:王子計測(株)社製の自動複屈折計(KOBRA−21ADH)
測定径:φ5mm
測定波長:590nm
(実施例1)
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル1モルに対して、9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレン0.4モル、エチレングリコール2.2モルを原料とし、触媒として、酢酸カルシルム0.0005モル、酢酸マンガン0.00004モルを用い、これらを反応槽に投入し、撹拌しながら常法に従って190℃から245℃に徐々に加熱してエステル交換反応を行った。所定量のメタノールを系外へ抜き出した後、重合触媒である酸化ゲルマニウム0.0012モルと、着色を防止するため、リン酸トリメチル0.0015モルを投入して、昇温と減圧を徐々に行い、発生するエチレングリコールを系外へ排出しながら、加熱槽温度を290℃、減圧度を1Torr以下に到達させた。この条件を維持し、粘度の上昇を待ち、2時間経過後反応を終了し、反応物を水中に押し出してペレットを得た。
ペレットを220℃でプレスし、厚み120μmのフィルムを得た。得られたフィルムを100℃で2.5倍延伸して、厚み155μm、R(550)=406nmの位相差フィルムを得た。この事から実施例1の位相差フィルムは溶媒コスト、溶媒回収コストなどを必要としない溶融製膜で製膜可能なことが分かり、低コストで製膜出来る事が分かった。
(実施例2〜30,比較例1〜8)
原料組成比を変えた他は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
測定した結果を、表1に示す。
なお、各実施例、比較例で用いた原料の構造は以下の通りである。
A:BBAFジメチルエステル(JFEケミカル(株)社製BBAFをエステル化した)
B:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(和光純薬(株)社製)
Ba:シス/トランス比率(重量比)が70/30
Bb:シス/トランス比率(重量比)が30/70
C:2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル(三菱瓦斯化学(株)社製)
D:テレフタル酸ジメチル(和光純薬(株)社製)
E:1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(東京化成(株)社製)
F:BPEF(JFEケミカル(株)社製)
G:スピログリコール(日本ヒドラジン工業(株)社製)
H:1,4−シクロヘキサンジメタノール(東京化成(株)社製)
I:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール(東京化成(株)社製)
J:エチレングリコール(和光純薬(株)社製)
Figure 2007004143
(比較例9)
ポリカーボネート製位相差フィルムとして、ポリビスフェノールAカーボネート(アルドリッチ社製分子量64,000)のペレットを220℃、260℃、300℃の3条件でプレスしたが、良好なフィルムを得ることができなかった。ポリカーボネート製位相差フィルムは溶融製膜困難であることが分かった。
Figure 2007004143

Claims (12)

  1. 光弾性係数が−40×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1であるポリエステルを用いた位相差フィルム。
  2. 位相差フィルムの遅相軸方向をxとし、フィルムの面内でこれと直交する方向をyとし、これらx、yと直交する方向をzとし、x、yおよびz方向における屈折率をそれぞれnx、ny、nzとしたとき、次式(1)および(2)を満足する、請求項1に記載の位相差フィルム。
    nx ≧ ny ・・・ (1)
    −0.001 < ny−nz < 0.001 ・・・ (2)
  3. ポリエステルのガラス転移温度が100℃以上である、請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  4. ポリエステルが脂環構造を有している、請求項1〜3の何れかに記載の位相差フィルム。
  5. ポリエステルがカルド構造を有している、請求項1〜4の何れかに記載の位相差フィルム。
  6. ポリエステルがカルド構造を有しており、主鎖部分の芳香環の数をAr(x)とし、主鎖とカルド構造により交差する部分の芳香環の数をAr(y)としたとき、次式(3)を満足する、請求項1〜5の何れかに記載の位相差フィルム。
    0.9 < Ar(y)/Ar(x) < 1.1 ・・・ (3)
  7. ポリエステルが化学式(I)、(II)、(III)または(IV)で示される構造単位を含み、かつ、化学式(I)、(II)、(III)および(IV)で示される構造単位のモル分率(%)をそれぞれl、m、n、oとしたとき、次式(4)および(5)を満足する、請求項1〜6の何れかに記載の位相差フィルム。
    80<l+m+n+o≦100 ・・・ (4)
    10≦l+m≦100 ・・・ (5)
    Figure 2007004143
    :脂環構造を有する基
    :水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
    Figure 2007004143
    :芳香族基
    :水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
    Figure 2007004143
    :脂環構造を有する基
    :炭素数2〜4の脂肪族炭化水素または脂環構造を有する基
    Figure 2007004143
    :芳香族基
    :炭素数2〜4の脂肪族炭化水素または脂環構造を有する基
  8. およびRが化学式(V)に示す何れかの構造である、請求項7に記載の位相差フィルム。
    Figure 2007004143
  9. およびRがシクロヘキサン、シクロヘキセンおよび/またはデカリン構造である、請求項7または8に記載の位相差フィルム。
  10. およびRがシクロヘキサン構造である、請求項7または8に記載の位相差フィルム。
  11. およびRが化学式(VI)に示す何れかの構造である、請求項7〜10の何れかに記載の位相差フィルム。
    Figure 2007004143
    :それぞれ独立に任意の置換基
    n:それぞれ独立に0〜4の整数
  12. およびRがスピログリコール残基またはエチレン構造である、請求項7〜11の何れかに記載の位相差フィルム。
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