JP2007002198A - 記録液、記録液カートリッジ及び記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐擦過性に優れ、安定した吐出特性を有する記録液、記録液カートリッジ、及びこの記録液を用いた記録方法を提供する。
【解決手段】 顔料と、顔料を溶解又は分散させる水と、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを含有する記録液、この記録液を収容した記録液カートリッジ、及び、この記録液を発熱抵抗素子で加圧し、吐出口から記録液を吐出し、被記録媒体に記録液を着弾させて記録する記録方法。
【選択図】なし
【解決手段】 顔料と、顔料を溶解又は分散させる水と、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを含有する記録液、この記録液を収容した記録液カートリッジ、及び、この記録液を発熱抵抗素子で加圧し、吐出口から記録液を吐出し、被記録媒体に記録液を着弾させて記録する記録方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、被記録媒体に画像や文字等を記録する際に用いられる記録液、記録液カートリッジ、及びこの記録液を用いた記録方法に関する。
記録液を液滴の状態にして吐出して記録を行う記録方法には、記録液としてインクを吐出し、画像や文字等を記録するインクジェット記録方式がある。インクジェット記録方式は、プリンタ装置に備わるインクジェット用ヘッドのノズルからインクを微小な液滴の状態で紙、布、フィルム等の被記録媒体に吐出し、被記録媒体に文字や画像等の記録を行う方法として用いられる。このインクジェット記録方式は、記録時の騒音の発生が少なく、カラー化に対応させることが容易であり、高解像度且つ高品位な画像を高速で記録が可能である。
このインクジェット記録方式のプリンタ装置では、インクとして、各種水溶性染料を水又は水と有機溶剤との混合液に溶解させたものが用いられる。水溶性染料を用いた場合には、これらの水溶性染料は本来耐光性が劣るため、記録画像の耐光性が問題となる場合が多い。また、水溶性染料を用いた場合には、インクが水溶性であるために、記録画像の耐水性が問題となる場合が多い。これらのことから、水溶性染料を用いたインクでは、記録画像に雨、汗又は飲食用の水等がかかったりした場合、記録画像がにじんだり、消失したりすることがある。そこで、インクとしては、耐光性、耐水性の問題を解決するため、水溶性染料に代わって、顔料インクを用いることが提案されている。
顔料を用いたインクでは、染料と異なり記録媒体上に顔料が粒子として残り、画質を形成する。このため、顔料を用いたインクで形成した記録画像は、顔料が脱落しやすく、耐擦過性に劣ってしまう。耐擦過性を向上させる方法としては、例えば下記の特許文献1に記載されているように、インクにポリマーエマルジョンを含有させる方法が提案されている。この方法によれば、印画物の耐擦過性の良好な画像が得られるようになる。また、他の方法としては、下記の特許文献2に記載されているように、インクに金属イオンとキレートを形成する配位子構造を有するポリマー微粒子を含有させ、記録媒体上で固着させることで耐擦過性を向上させることが提案されている。
しかしながら、顔料インクは、発熱抵抗体を加熱し、その熱エネルギーの作用によりインクを吐出する方式のインクジェットプリンタ装置に適用した場合、発熱抵抗体上にコゲーションが発生し、熱エネルギーがインクに適切に作用されず、吐出安定性が著しく低下してしまう。また、顔料インクには、吐出特性に優れているが、耐擦過性が良くないものなどがあり、吐出特性と耐擦過性を同時に満足するものはなかった。
本発明は、耐擦過性に優れ、安定した吐出特性を有する記録液、記録液カートリッジ、及びこの記録液を用いた記録方法を提供することを目的とする。
本発明に係る記録液は、顔料と、この顔料を溶解又は分散させる水と、スルホン化イソプレン樹脂及びポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを含有する。
また、本発明に係る記録液カートリッジは、上記記録液を収容したものである。
また、本発明に係る記録方法は、本発明に係る記録液を収容した記録液カートリッジから供給された記録液を発熱抵抗素子で加圧し、吐出口から記録液を吐出し、被記録媒体に記録液を着弾させて記録するものである。
本発明によれば、記録液中にスルホン化イソプレン樹脂及びポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが共に含有されているため、被記録媒体に対する記録液の定着性が向上し、耐擦過性に優れ、安定した吐出特性が得られる。
以下、本発明が適用された記録液、記録液カートリッジ及び記録方法について、図面を参照して説明する。記録液は、例えば図1に示すようなインクジェットプリンタ装置1で印刷を行う際のインクiとして用いられる。
具体的に、インクiは、顔料と、この顔料を溶解又は分散させる水と、記録紙Pへの定着性を向上させるスルホン化イソプレン樹脂と、色落ちを防止するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとが含有されている。インクiは、顔料、スルホン化イソプレン樹脂、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが水等の水性媒体に溶解又は分散されている水性顔料インクである。インクiは、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを有する。
顔料には、有機顔料が用いられる。イエローインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1,2,3,12,13,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,114,128,129,151,154等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Red5,7,12,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,112,122,168,184,202等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Blue1,2,3,15,15:3,15:34,16,22,60やC.I.Vat Blue4,60等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
ブラックインクとして使用される顔料としては、キャボット社製のRegal 400R,330RやRega 1660R,Mogul L,Monarch 700,800,880,900,1000,1100,1300,1400等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。これらの顔料のインクi中における含有量は、インクi全重量に対して0.1〜10.0重量%である。
顔料を溶媒中に分散させる分散剤としては、例えばスチレンマレイン酸アクリル酸等を用いる。
顔料を分散又は溶解させる溶媒には、例えば、水や水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が用いられ、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を使用することが好ましい。水溶性有機溶媒としては、インクiの乾燥防止効果を有するものが特に好ましい。
水溶性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール及びtert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール及びジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むポリオール類、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート、グリセリン、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、単独又は混合物で用いることができる。また、水としては、脱イオン水を用いることが好ましい。
インクi中の水溶性有機溶媒の含有量は、特に限定されないが、インクi全重量に対して3重量%〜50重量%の範囲が好適である。また、インクi中の水の含有量は、インク全重量に対して50重量%〜95重量%の範囲が好適である。
添加剤として溶媒に分散又は溶解させるスルホン化イソプレン樹脂は、インクiの記録紙Pに対する定着性を向上させる。このスルホン化イソプレン樹脂は、インクiが記録紙Pに着弾すると、塗膜を形成し、インクiの定着性を向上させる。
スルホン化イソプレン樹脂は、アルカリ中和したものが好ましく、アルカリ金属や有機アンモニウムで中和されている。アルカリ金属としては、Na、Li、K等が挙げられる。有機アンモニウムとしては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリヒドロキシメチルアミン、ジヒドロキシメチルアミン、モノヒドロキシメチルアミン、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、N−メチルモノエタノールアンモニウム、N−メチルジエタノールアンモニウム、モノプロパノールアンモニウム、ジプロパノールアンモニウム、トリプロパノールアンモニウム等が挙げられる。これらの有機アンモニウムは、夫々に相当する有機アミンから誘導される。
インクi中のスルホン化イソプレン樹脂の含有量は、インクi全重量に対して0.2重量%〜7重量%、好ましくは0.5重量%〜4.0重量%である。スルホン化イソプレン樹脂の含有量が0.2重量%よりも少ない場合には、定着性が向上しなくなってしまうからである。一方、スルホン化イソプレン樹脂の含有量が7重量%よりも多い場合には、インクiの定着性は向上するが、コゲーションが生じたり、吐出特性が低下してしまうからである。また、スルホン化イソプレン樹脂の含有量が7重量%よりも多い場合には、ノズル近傍で増粘し、ノズル詰まりが生じてしまう。
また、インクi中に添加剤としてスルホン化イソプレン樹脂と共に含有されるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、添加剤としてインクi中に含有され、疎水性であり、記録紙P上に着弾したインクiの表面をすべりやすくする。インクiでは、このポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが含有されていることによって、記録紙P上に着弾したインクiの表面が擦れても、記録紙P上に粒子として残っている顔料が記録紙Pから脱落することを防止でき、色落ちを防止することができる。また、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、圧力発生素子として熱エネルギーを発生させる発熱抵抗素子を用いた場合に、スルホン化イソプレン樹脂によるコゲーションの発生を防止する。
インクi中のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有量は、インクi全重量に対して0.02〜1.0重量%であり、特に好ましくは0.3重量%〜0.8重量%である。ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有量が0.02重量%よりも少ない場合には、記録紙Pの表面に着弾したインクiから顔料が脱落してしまい、色落ちが生じるからである。一方、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有量が1.0重量%よりも多い場合には、インクi中で分離してしまったり、定着性を低下させてしまうからである。また、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有量は、インクi中にスルホン化イソプレン樹脂と共にポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含有させることにより、0.02重量%ほどの少量で効果を得ることができる。
また、インクiには、顔料、スルホン化イソプレン樹脂、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの他に、更に必要に応じて所望の物性値を付与するため、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
以上のような構成からインクiでは、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとが含有されていることによって、記録紙P上に着弾するとスルホン化イソプレン樹脂により塗膜が形成され、定着性が得られ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンにより表面が滑りやすくなり、顔料の脱落を防止できる。また、インクiでは、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを含有することによって、発熱抵抗体を用いた場合、スルホン化イソプレン樹脂によるコゲーションを防止でき、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが分離することもなく、安定した吐出特性が得られる。これにより、インクiでは、優れた耐擦過性が得られ、安定した吐出特性が維持される。
また、インクiは、インクジェットプリンタ装置による印刷に用いる他、筆記具用インクとしても用いることができる。インクiは、インクジェットプリンタ装置のインクとして用いる場合に、インクiに力学的エネルギーを作用させ、インク液滴を吐出する印刷方法及びインクiに熱エネルギーを加えてインクiの発泡によりインク液滴を吐出する印刷方法の何れの印刷方法に用いることができる。
また、インクiは、インクジェットプリンタ装置による印刷に用いる場合、インクジェットプリンタヘッドカートリッジから吐出可能である特性を有することが好ましい。インクiとしては、インクジェットプリンタヘッドカートリッジからの吐出特性という観点から、例えば、その粘度が1〜15cPs、表面張力が25dyn/cm以上であることが好ましく、特には粘度が1〜5cPs、表面張力が25〜50dyn/cmであることがより好ましい。
以下に、インクiを用いたインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタ装置という。)1について具体的に説明する。プリンタ装置1は、図1に示すように、対象物となる例えば記録紙Pに対して上述したインクiを吐出するインクジェットプリンタヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジという。)2と、このヘッドカートリッジ2が装着される装置本体3とを備える。このプリンタ装置1は、記録紙Pの幅方向、すなわち図1中矢印W方向にインク吐出口(ノズル)が略ライン状に1列以上並設した、いわゆるライン型のプリンタ装置である。プリンタ装置1は、ヘッドカートリッジ2が装置本体3に対して着脱可能である。
先ず、プリンタ装置1を構成するヘッドカートリッジ2について説明する。ヘッドカートリッジ2は、例えば圧力発生素子として電気熱変換式を用いた発熱抵抗体を用いて上述したインクiを吐出し、記録紙Pの主面にインクiを着弾させる。ヘッドカートリッジ2には、図2及び図3に示すように、インクiが収容された容器である記録液カートリッジとなるインクタンク11が装着される。インクタンク11は、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクの色毎に、イエローインクのインクタンク11y、マゼンタインクのインクタンク11m、シアンインクのインクタンク11c、ブラックインクのインクタンク11kを備える。インクタンク11は、記録紙Pの幅方向の寸法と略同じ寸法をなす略矩形状に形成されている。具体的に、インクタンク11は、図3に示すように、インクiを収容するインク収容部12と、インク収容部12からヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21にインクiを送り出すためのインク供給部13とを備える。
インク収容部12には、上面中央部に外部の空気を取り込む際の孔となる外部連通孔14が設けられている。インク収容部12は、外部連通孔14から内部に向かって延長して設けられた空気導入管15を介して、内部に空気が取り込むことができる。これにより、インクタンク11では、インクiがカートリッジ本体21に供給された際に、減少したインクiの分に相当する空気がインク収容部12に外部連通孔14を介して空気が取り込まれる。
インク供給部13は、インク収容部12の下側略中央部に設けられている。このインク供給部13は、インク収容部12と連通した略突形状のノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ2の接続部25に嵌合されることにより、インクタンク11のインク収容部12とヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21とを接続する。
インク供給部13は、インクタンク11の底面側にインクiをカートリッジ本体21側に供給する供給口が設けられ、詳細を図示しない供給口を開放、閉塞する弁機構を備える。供給口は、インクタンク11がカートリッジ本体21に装着される前において、弁により閉塞されている。これにより、インクタンク11では、供給口からインクiが漏れ出ることが防止される。インクタンク11は、カートリッジ本体21に装着され、インク供給部13とヘッドカートリッジ2の接続部25が接続されると、弁が供給口から離れ、供給口が開放され、ヘッドカートリッジ2側にインクiが送り出される。
インクタンク11が装着されるヘッドカートリッジ2は、図2及び図3に示すように、カートリッジ本体21を有する。カートリッジ本体21には、インクタンク11が装着される装着部22と、インクiを吐出するインク吐出ヘッド23と、インク吐出ヘッド23を保護するヘッドキャップ24とを備える。
装着部22の長手方向略中央には、装着部22に装着されたインクタンク11のインク供給部13と接続される接続部25が設けられている。この接続部25は、装着部22に装着されたインクタンク11のインク供給部13からカートリッジ本体21の底面に設けられたインクiを吐出するインク吐出ヘッド23にインクiを供給するインク供給路となる。接続部25は、インクタンク11からインク吐出ヘッド23へのインクiの供給を弁機構で調整している。
接続部25からインクiが供給されるインク吐出ヘッド23は、カートリッジ本体21の底面に沿って配設されている。インク吐出ヘッド23は、接続部25から供給されるインクiを吐出する吐出口である後述するノズル27aが記録紙Pの幅方向、すなわち図3中矢印W方向に略ライン状に並設されている。インク吐出ヘッド23は、インクiを吐出する際に、記録紙Pの幅方向に移動することなく、ノズルライン毎にインクiを吐出する。
インク吐出ヘッド23には、図4に示すように、電気熱変化式の発熱抵抗体26aが設けられた回路基板26と、ノズル27aが形成されたノズルシート27と、回路基板26とノズルシート27との間に設けられたフィルム28とによって、接続部25から供給されたインクiを各ノズル27aに供給するインク流路29が形成されている。このインク流路29は、ノズル27aが並設されている方向、即ち図3中矢印W方向に長く形成されている。これにより、インク吐出ヘッド23では、インクタンク11からヘッドカートリッジ2の接続部25を介してインクiがインク流路29に流れ込み、インク流路29から各ノズル27aにインクiが供給されるようになる。
また、インク吐出ヘッド23には、回路基板26と、ノズルシート27と、フィルム28とによって囲まれ、発熱抵抗体26aがインクiを加圧するインク液室30が形成されている。
以上のような構成からなるインク吐出ヘッド23では、印刷データに基づいて選択された発熱抵抗体26aに対して、例えば1〜3マイクロ秒程度の間パルス電流が供給される。これにより、インク吐出ヘッド23では、発熱抵抗体26aが急速に加熱される。インク吐出ヘッド23では、発熱抵抗体26aが加熱されると、図4(A)に示すように、発熱抵抗体26aと接するインクiに気泡bが発生する。そして、インク吐出ヘッド23では、図4(B)に示すように、気泡bが膨張しながらインクiを加圧し、押し退けられたインクiが液滴の状態となってノズル27aより吐出される。また、インク吐出ヘッド23においては、インク液滴iが吐出された後は、インク流路29を通してインクiがインク液室30に供給されることによって、再び吐出前の状態へと戻る。インク吐出ヘッド23では、印刷データに基づいて、上述した動作を繰り返す。
インク吐出ヘッド23の吐出面23aを保護するためのヘッドキャップ24は、図2及び図5に示すように、インクiを吐出せず、印刷をしない間、インク吐出ヘッド23の吐出面23aを閉塞し、ノズル27aを乾燥等から保護している。印刷を行う際には、ヘッドキャップ24は、ヘッドカーリッジ2の底面から移動し、インク吐出ヘッド23の吐出面23aを外部に露出させる。このヘッドキャップ24には、吐出面23aに付着している余分なインクiを拭き取るクリーニングローラ24aが設けられている。ヘッドキャップ24は、吐出面23aを開放する際に、クリーニングローラ24で吐出面23aをクリーニングする。
ヘッドカートリッジ2が装着される装置本体3には、図1に示すように、ヘッドカートリッジ装着部41にヘッドカートリッジ2が装着される。また、装置本体3には、前面下側に設けられた給紙口42に印刷される前の記録紙Pが積層して収納された給紙トレイ43が取り付けられ、前面上側に設けられた排紙口44に印刷後の記録紙Pを収納する排紙トイレ45が取り付けられている。
装置本体3には、図5に示すように、記録紙Pを搬送する給排紙機構46及びヘッドカートリッジ23の吐出面23aに設けられたヘッドキャップ24を開閉するキャップ開閉機構47が設けられている。
以上のような構成からプリンタ装置1は、外部に設けられた情報処理装置から入力された印刷データに基づき、給排紙機構46、ヘッドキャップ開閉機構47、インク吐出ヘッド23に供給する電流の供給を制御する制御回路に設けられた制御部によって制御される。
具体的に、プリンタ装置1では、先ず、装置本体3に設けられた操作ボタン3aの操作により制御部に印刷開始の命令がされると、制御部からの制御信号により給排紙機構46、ヘッドキャップ開閉機構47が駆動して、図5に示すように、印刷が可能な状態となる。
プリンタ装置1では、ヘッドキャップ開閉機構63により、ヘッドキャップ24をヘッドカートリッジ2に対して給紙トレイ43及び排紙トレイ44が設けられている前面側に移動する。これにより、プリンタ装置1では、インク吐出ヘッド23の吐出面23aに設けられたノズル27aが外部に露出し、インクiが吐出できるようになる。
また、プリンタ装置1では、給排紙機構46により、給紙トレイ43から給紙ローラ51によって記録紙Pを引き出し、互いに反対方向に回転する一対の分離ローラ52a,52bによって1枚だけ引き出された記録紙Pを反転ローラ53に搬送して搬送方向を反転させて、インク吐出ヘッド23の吐出面23aと対向する位置に設けた搬送ベルト48に記録紙Pを搬送する。プリンタ装置1では、搬送ベルト48に搬送させた記録紙Pをプラテン板49で所定の位置に支持し、記録紙Pを吐出面23aと対向させる。
次に、プリンタ装置1では、インク吐出ヘッド23に設けられた発熱抵抗体26aに印刷データの制御信号に基づいて、発熱抵抗体26aを加熱する。プリンタ装置1では、発熱抵抗体26aを加熱することによって、図4に示すように、印刷位置に搬送された記録紙Pに対してノズル27aより上述したインクiが液滴の状態にして吐出され、インクドットからなる画像や文字等が印刷される。
そして、プリンタ装置1では、インク液滴iをノズル27aより吐出すると、インクiを吐出した量と同量のインクiがインクタンク11から接続部25を介してインク吐出ヘッド23に補充される。
次に、プリンタ装置1では、印刷された記録紙Pを排紙口44方向に回転する搬送ベルト48と、搬送ベルト48と対向し、排紙口44側に設けられた排紙ローラ54とによって記録紙Pを排紙口44に送り出す。
以上のように、プリンタ装置1では、記録紙Pに印刷を行う。この印刷方法では、インクi中にスルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとが含有されていることによって、記録紙P上に着弾するとスルホン化イソプレン樹脂により塗膜が形成され、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンにより表面が滑りやすくなる。これにより、この印刷方法では、インクiの定着性が向上し、顔料の脱落を防止できる。
また、この印刷方法では、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを含有することによって、スルホン化イソプレン樹脂による発熱抵抗体のコゲーションを防止でき、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが分離せず、安定した吐出特性が得られる。これらのことから、この印刷方法では、安定した吐出特性が維持され、耐擦過性に優れた画像が得られる。
また、上述したプリンタ装置1では、発熱抵抗体26aによってインクiを加熱し、ノズル27aからインクiを吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えばピエゾ素子といった圧電素子等の電気機械変換素子等によってインクiを電気機械的にノズルより吐出させる電気機械変換方式を採用したものであってもよい。
また、上述では、ライン型のプリンタ装置1を例に挙げて説明したが、このことに限定されることはなく、例えばヘッドカートリッジが記録紙Pの走行方向と略直交する方向に移動するシリアル型のプリンタ装置にも適用可能である。
以下、本発明を適用したインクを調製した実施例および比較例について説明する。先ず、以下に示す各色の分散液を作製し、これらの分散液を用いて実施例及び比較例のインクを作製した。
〈分散液1〉
分散液1は、顔料としてC.I ピグメントブルー15:3(チバスペシャリティケミカルズ社製 商品名Blue8700)が15重量%、分散剤としてスチレンーマレイン酸コポリマー(第一工業製薬株式会社製 KS140)が3重量%、純水が82重量%となるように混合し、ペイントシェーカー(メディアは、ジルコニア1mm径、メディア充填率70%)で分散し、遠心分離機にて粗粒分を除去し分散液1とした。
分散液1は、顔料としてC.I ピグメントブルー15:3(チバスペシャリティケミカルズ社製 商品名Blue8700)が15重量%、分散剤としてスチレンーマレイン酸コポリマー(第一工業製薬株式会社製 KS140)が3重量%、純水が82重量%となるように混合し、ペイントシェーカー(メディアは、ジルコニア1mm径、メディア充填率70%)で分散し、遠心分離機にて粗粒分を除去し分散液1とした。
〈分散液2〉
分散液2は、顔料としてC.I ピグメントレッド122(チバスペシャリティケミカルズ社製 商品名DMQ)が15重量%、分散剤としてスチレンーマレイン酸コポリマー(第一工業製薬株式会社製 KS140)が5重量%、純水が80重量%となるように混合し、ペイントシェーカー(メディアは、ジルコニア1mm径、メディア充填率70%)で分散し、遠心分離機にて粗粒分を除去し分散液2とした。
分散液2は、顔料としてC.I ピグメントレッド122(チバスペシャリティケミカルズ社製 商品名DMQ)が15重量%、分散剤としてスチレンーマレイン酸コポリマー(第一工業製薬株式会社製 KS140)が5重量%、純水が80重量%となるように混合し、ペイントシェーカー(メディアは、ジルコニア1mm径、メディア充填率70%)で分散し、遠心分離機にて粗粒分を除去し分散液2とした。
以上のようにして作製した分散液1及び分散液2を用いて実施例及び比較例のインクを作製した。
〈実施例1〉
実施例1では、次のようにしてシアンインクを作製した。シアンインクを作製する際は、分散液1が13.3重量%、水溶性有機溶媒として1,5ペンタンジオールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が1.3重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK307(ビックケミー株式会社製)が0.5重量%、イオン交換水が69.9重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、シアンインクを作製した。なお、シアンインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を1.3重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が0.2重量%含有されている。
実施例1では、次のようにしてシアンインクを作製した。シアンインクを作製する際は、分散液1が13.3重量%、水溶性有機溶媒として1,5ペンタンジオールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が1.3重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK307(ビックケミー株式会社製)が0.5重量%、イオン交換水が69.9重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、シアンインクを作製した。なお、シアンインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を1.3重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が0.2重量%含有されている。
〈実施例2〉
実施例2では、次のようにしてシアンインクを作製した。シアンインクを作製する際は、分散液1が13.3重量%、水溶性有機溶媒として1,5ペンタンジオールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が46.7重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK307(ビックケミー株式会社製)が0.02重量%、イオン交換水が24.98重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、シアンインクを作製した。なお、シアンインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を46.7重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が7.0重量%含有されている。
実施例2では、次のようにしてシアンインクを作製した。シアンインクを作製する際は、分散液1が13.3重量%、水溶性有機溶媒として1,5ペンタンジオールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が46.7重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK307(ビックケミー株式会社製)が0.02重量%、イオン交換水が24.98重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、シアンインクを作製した。なお、シアンインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を46.7重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が7.0重量%含有されている。
〈実施例3〉
実施例3では、次のようにしてマゼンタインクを作製した。マゼンタインクを作製する際は、分散液2が26.67重量%、水溶性有機溶媒としてプロピレングリコールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が3.3重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK333(ビックケミー株式会社製)が1.0重量%、イオン交換水が54.03重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、マゼンタインクを作製した。なお、マゼンタインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を3.3重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が0.5重量%含有されている。
実施例3では、次のようにしてマゼンタインクを作製した。マゼンタインクを作製する際は、分散液2が26.67重量%、水溶性有機溶媒としてプロピレングリコールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が3.3重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK333(ビックケミー株式会社製)が1.0重量%、イオン交換水が54.03重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、マゼンタインクを作製した。なお、マゼンタインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を3.3重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が0.5重量%含有されている。
〈実施例4〉
実施例4では、次のようにしてマゼンタインクを作製した。マゼンタインクを作製する際は、分散液2が26.67重量%、水溶性有機溶媒としてプロピレングリコールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が26.7重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK307(ビックケミー株式会社製)が0.75重量%、イオン交換水が30.88重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、マゼンタインクを作製した。なお、マゼンタインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を26.7重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が4.0重量%含有されている。
実施例4では、次のようにしてマゼンタインクを作製した。マゼンタインクを作製する際は、分散液2が26.67重量%、水溶性有機溶媒としてプロピレングリコールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が26.7重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK307(ビックケミー株式会社製)が0.75重量%、イオン交換水が30.88重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、マゼンタインクを作製した。なお、マゼンタインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を26.7重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が4.0重量%含有されている。
〈比較例1〉
比較例1では、自己分散型の顔料を用いてインクを作製した。インクを作製する際は、顔料として自己分散型のC300(CABOT社製)が33.3重量%、水溶性有機溶媒として1,5ペンタンジオールが15重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK307(ビックケミー株式会社製)が0.5重量%、イオン交換水が51.2重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、インクを作製した。
比較例1では、自己分散型の顔料を用いてインクを作製した。インクを作製する際は、顔料として自己分散型のC300(CABOT社製)が33.3重量%、水溶性有機溶媒として1,5ペンタンジオールが15重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK307(ビックケミー株式会社製)が0.5重量%、イオン交換水が51.2重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、インクを作製した。
〈比較例2〉
比較例2では、次のようにしてマゼンタインクを作製した。マゼンタインクを作製する際は、分散液2が26.67重量%、水溶性有機溶媒としてプロピレングリコールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が11.3重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK333(ビックケミー株式会社製)が1.5重量%、イオン交換水が45.53重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、マゼンタインクを作製した。なお、マゼンタインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を11.3重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が1.7重量%含有されている。
比較例2では、次のようにしてマゼンタインクを作製した。マゼンタインクを作製する際は、分散液2が26.67重量%、水溶性有機溶媒としてプロピレングリコールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が11.3重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK333(ビックケミー株式会社製)が1.5重量%、イオン交換水が45.53重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、マゼンタインクを作製した。なお、マゼンタインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を11.3重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が1.7重量%含有されている。
〈比較例3〉
比較例3では、次のようにしてマゼンタインクを作製した。マゼンタインクを作製する際は分散液2が26.67重量%、水溶性有機溶媒としてプロピレングリコールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が53.3重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK333(ビックケミー株式会社製)が0.5重量%、イオン交換水が4.53重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、マゼンタインクを作製した。なお、マゼンタインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を53.3重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が8.0重量%含有されている。
比較例3では、次のようにしてマゼンタインクを作製した。マゼンタインクを作製する際は分散液2が26.67重量%、水溶性有機溶媒としてプロピレングリコールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR株式会社製、固形分15wt%)が53.3重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK333(ビックケミー株式会社製)が0.5重量%、イオン交換水が4.53重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、マゼンタインクを作製した。なお、マゼンタインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を53.3重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が8.0重量%含有されている。
〈比較例4〉
比較例4では、次のようにしてシアンインクを作製した。シアンインクを作製する際は、分散液1が13.3重量%、水溶性有機溶媒として1,5−ペンタンジオールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR社製、固形分15wt%)が20.0重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK307(ビックケミー株式会社製)が0.01重量%、イオン交換水が51.69重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、マゼンタインクを作製した。なお、シアンインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を20.0重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が3.0重量%含有されている。
比較例4では、次のようにしてシアンインクを作製した。シアンインクを作製する際は、分散液1が13.3重量%、水溶性有機溶媒として1,5−ペンタンジオールが15重量%、スルホン化イソプレン樹脂としてダイナフローK202(JSR社製、固形分15wt%)が20.0重量%、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしてBYK307(ビックケミー株式会社製)が0.01重量%、イオン交換水が51.69重量%となるように混合し、十分に攪拌してフィルターを用いて濾過して、マゼンタインクを作製した。なお、シアンインク中には、固形分15wt%のダイナフローK202を20.0重量%含有しているため、スルホン化イソプレン樹脂が3.0重量%含有されている。
以上のようにして調整した実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例4について、擦過性、ノズル詰まりの評価を行った。以下の表1に、評価結果を示す。
擦過性については、インクジェットプリンタ装置(ソニー株式会社製、LPR−5000)に用いて、写真光沢紙(ソニー株式会社製、EPP−20A4GB)に印画紙し、染色物摩擦堅牢試験機(株式会社 大栄科学精器製作所製、RT−200S)で擦過性の確認を行った。擦過性試験の条件は、接触部分にベンコット(旭化成株式会社製 M−3)を使用し、加重200g、5往復(40往復/min)で行った。
擦過性の良否の判断は、試験前後、印画部分の濃度低下のないものを表1中に○印で示し、初期との差で残存率が80%以上のものを△印で示し、80%以下を×印で示した。なお、印画濃度測定には、TR924(Macbeth社製)を使用した。
ノズル詰まりについては、インクジェットプリンタ装置(ソニー株式会社製、LPR−5000)に用いて、写真光沢紙(ソニー株式会社製、EPP−20A4GB)に印画紙し、印画物の状態を目視により確認し、評価した。
ノズル目詰まりの良否の判断は、印画状態が良好であったものを表1中に○印で示し、カスレが生じたものを△印で示し、印画ができなかったものを×印で示した。
表1に示す結果から、実施例1〜実施例4は、比較例1〜比較例4と比べて、擦過性及びノズル目詰まりの評価が共に良好であった。
比較例1では、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンのみ含有され、スルホン化イソプレン樹脂が含有されていないため、写真光沢紙上に着弾したインクが塗膜を形成せず、定着性が向上しなかった。これにより、比較例1では、耐擦過性が得られず、擦過性の評価が悪くなった。
比較例2では、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとが含有されているが、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有量が1.5重量%であり、1.0重量%よりも多いため、インク中でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが分離してしまい、耐擦過性が向上せず、擦過性の評価が悪くなった。
比較例3では、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとが含有されているが、スルホン化イソプレン樹脂の含有量が8重量%であり、7.0重量%よりも多いため、インクが増粘し、ノズル詰まりが生じ、ノズル目詰まりの評価が悪くなった。
比較例4は、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとが含有されているが、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有量が0.01重量%であり、0.02重量%よりも少ないため、擦れた際に顔料が脱落し、擦過性の評価が悪くなった。
これらの比較例に対して、実施例1〜実施例4は、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとが含有され、更にスルホン化イソプレン樹脂の含有量が0.2重量%〜7.0重量%の範囲であり、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有量が0.02重量%〜1.0重量%の範囲で含有されている。実施例1〜実施例4では、スルホン化イソプレン樹脂によりインクが写真光沢紙上に着弾すると塗膜を形成し、定着性が向上した。また、実施例1〜実施例4では、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンにより、顔料の脱落が防止され、色落ちが防止された。これらのことから、実施例1〜実施例4では、擦過性の評価が良好となった。
また、実施例1〜実施例4では、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとが共に含有されているため、インクの粘度が高くなりすぎることなく、ノズル詰まりが防止された。
1 プリンタ装置、2 ヘッドカートリッジ、3 装置本体、11 インクタンク、21 カートリッジ本体、23 インク吐出ヘッド、26 回路基板、26a 発熱抵抗体、27 ノズルシート、27a ノズル、28 フィルム、29 インク流路、30 インク液室
Claims (9)
- 顔料と、
上記顔料を溶解又は分散させる水と、
スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを含有することを特徴とする記録液。 - 上記スルホン化イソプレン樹脂の含有量は、0.2〜7.0重量%であることを特徴とする請求項1記載の記録液。
- 上記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有量は、0.02〜1.0重量%であることを特徴とする請求項2記載の記録液。
- 記録液を収容した記録液カートリッジにおいて、
上記記録液は、顔料と、上記顔料を溶解又は分散させる水と、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを含有することを特徴とする記録液カートリッジ。 - 上記スルホン化イソプレン樹脂の含有量は、0.2〜7.0重量%であることを特徴とする請求項4記載の記録液カートリッジ。
- 上記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有量は、0.02〜1.0重量%であることを特徴とする請求項5記載の記録液カートリッジ。
- 記録液を収容した記録液カートリッジから供給された上記記録液を発熱抵抗素子で加圧し、吐出口から上記記録液を吐出し、被記録媒体に上記記録液を着弾させて記録する記録方法において、
上記記録液には、顔料と、上記顔料を溶解又は分散させる水と、スルホン化イソプレン樹脂とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとが含有されていることを特徴とする記録方法。 - 上記記録液には、上記スルホン化イソプレン樹脂が0.2〜7.0重量%含有されていることを特徴とする請求項7記載の記録方法。
- 上記記録液には、上記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが0.02〜1.0重量%含有されていることを特徴とする請求項8記載の記録方法。
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