JP2006521505A - ピストンリング - Google Patents
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Abstract
合い口部を形成するスリットと、接触面と、内周面と、それらの間を延びる上側および下側の側面を備え、周方向に見て合い口部の領域において、合い口部に直径上で向かい合う領域よりも大きく構成されている不均等な横断面変化部が内周面の領域に設けられたピストンリングであって、ピストンリングは、周方向に変化した壁厚を有しており、この壁厚は、合い口部の領域において、合い口部に直径上で向かい合う領域におけるよりも薄く構成されており、壁厚と横断面変化部の間の比率が、常に、ピストンリングが、全周にわたって見て一定のねじれ角を有するように構成されている、ピストンリング。
Description
本発明は、合い口部を形成するスリットと、接触面(Laufflache)と、内周面と、それらの間を延びる上側および下側の側面を備え、周方向に見て合い口部の領域において、合い口部に直径上で向かい合う領域よりも大きく形成された不均等な横断面変化部が内周面の領域に設けられているピストンリングに関する。
組み付けられた状態の時、上側の側面でピストンの溝側面の中央に内側まで接触する、気体を密封するセルフタイトニング式のピストンリングが特許文献1に記載されている。下側の側面は、この側面も同様に中央に内側まで接触するように、溝側面に対して傾いている。面取り部として形成された横断面変化部が内周領域に設けられている。
様々に形成された横断面変化部を内周面の領域に備えるピストンリングが特許文献2に記載されている。特許文献3によって、全周にわたって見て様々な壁厚を有する、内燃機関用のピストンリングが公知となっている。
独国特許第3920449号明細書
米国特許出願公開第2,591,920号明細書
特開平09−196171号公報
今日、市場で入手できるピストンリングは、しばしば、ピストンリングの全周にわたって均等な横断面変化部(例えば内側の面取り部や角部)によって、ピストンリングのねじれに対処している。このような一定の横断面変化部は、ピストンリングの理論に基づく、リングの取り付け曲げ応力の作用によって、全周にわたって見てピストンリングの、不均等なねじれを引き起こす。
本発明の目的は、当該分野に属するピストンリングを、ピストンリングがどの運動段階でも、ガス圧によって荷重をかけられることなく、接触面の、下側のエッジでのみでシリンダ壁に当接し、内側エッジで溝の、下側の側面に当接し、同時に、オイル消費量制御の改善に貢献するように改良することにある。
この目的は、ピストンリングが、周方向に変化している壁厚を有しており、壁厚が、合い口部の領域において、合い口部に直径上で向かい合う領域におけるよりも薄く構成されており、壁厚と横断面変化部の間の比率が、常に、ピストンリングが全周にわたって見て一定のねじれ角を有するように構成されていることによって達成される。
本発明の対象物の有利な他の態様が従属請求項に記載されている。
今や、ピストンリングの壁厚と、不均等な横断面変化部を変化させ、あるいは重ね合せることによって、ピストンリングの全周にわたって見て一定のねじれ角を生じる、ピストンリングのねじれを引き起こすことができる。したがって、本発明の対象物によって、ピストンリングが接触面の、下側のエッジのみでシリンダ壁に当接し、内側エッジで溝の、下側の側面に当接するようにすることができる。壁厚を、要求される各横断面変化部に関連させて変化させることによって、様々ではあるが全周にわたって均等なねじれ角を生じさせることができる。
ピストンリングの全周にわたって不均等に変化した横断面変化部によって、リングのねじれが全周にわたって均等に調整されるように、断面2次極モーメントをリングの全周にわたって変化させることができる。
横断面変化部は、内側の面取り部によって形成することも、内側の角状部によって形成することもでき、上側の側面の領域または下側の側面の領域のいずれかに設けることができる。
壁厚と横断面変化部の間の比率は、ピストンリングの全周にわたって均等なねじれ角を実現するために、次式を満たす必要がある:
φ=Mt/G×I(φ)
この際、
φはねじれ角
Mtは曲げ荷重
Gは弾性率
Iは断面2次極モーメントである。
φ=Mt/G×I(φ)
この際、
φはねじれ角
Mtは曲げ荷重
Gは弾性率
Iは断面2次極モーメントである。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、例えば、ピストン(図示せず)の第1または第2の溝に嵌め込むことができるピストンリング1を示している。ピストンリング1は平面図で示されており、その結果、接触面2と、内周面3と、上側の側面4だけが分かる。ピストンリング1は、スリットによって形成された合い口部5に、予め設定可能な壁厚を有している。ピストンリング1の壁厚は、合い口部5(0°)を起点として、これと直径上で向かい合うリング背部6を形成している領域(180°)の方向へと変化している。壁厚は、リング背部6において、合い口部の領域側の材料横断面に比べて厚くなっている。面取り部の形態の、内周面3へと延びる横断面変化部7が上側の側面4の領域に設けられているのが図1に示されている。この面取り部、すなわち横断面変化部7は、合い口部5において等しい大きさの横断面で始まり、周方向両側にリング背部6に向かって連続的に小さくなっている。このような方策によって、全周にわたって一定の、すなわち不変のねじれ角を備えるピストンリング1が得られる。
図2から図4は、図1に示すピストンリング1の様々な断面図を、合い口部5(0°)を起点として示している。図2は、合い口部5の近くの、約10°の所での断面図を示している。図3は、ほぼ90°の所でのリング1の断面図を示している。図4は、ほぼ180°(リングの背部6)の所でのリング1の断面図を示している。
図2から図4の断面図は、接触面2と、内周面3と、内周面3から上側の側面4へと延びる面取り部として形成された横断面変化部7を示している。これらの断面図は、面取り部、すなわち横断面変化部7が合い口部5(図1)の所でその最大の長さを有しており、リング背部6の方向に小さくなっていっているのを示している。このようにして、周方向に見て様々な角度αが上側の側面4と内周面3との間に形成されている。
図1から図4では、横断面変化部7を面取り部の形態として説明した。しかしながら横断面変化部7を、不均等な形の角状(winkelformige)断面によって構成してもよい。
図5は、従来技術に属するピストンリング8を、ねじられた、すなわち取り付けられた状態で示している。このピストンリング8は一貫して同じ壁厚を有しており、周方向に不変の内側面取り部9を横断面変化部として備えている。
図6のグラフは、このピストンリング8が、合い口部(0°)を起点としてリング背部の方向に様々なねじれ角を備えているのが示されている。一定の横断面変化部は、半径方向に不変の壁厚の場合、リング8の、ピストンリングの理論に基づく、取り付け曲げ応力の作用によって、ピストンリング8の、全周にわたって不均等なねじれを生じさせる。ピストンリング8では、本来、リングがどの運動段階でも、ガス圧によって荷重をかけられることなく、ねじれ角が均等な状態で接触面の、下側のエッジのみによってシリンダ壁に当接し、内側のエッジが溝の、下側の側面に当接することが達成されるべきであるが、これは、特に図6から分かるように、周方向に見て不均等なねじれのために最善に実現することができない。
図1から図4に示すようなピストンリング1によって初めて、ねじれ角を、全周にわたって見て均等にすることができ、それによって、リング1のどの運動段階でも、ガス圧によって荷重をかけられることなく、望ましい効果を実現することができ、さらに、オイル消費量の制御を改善することができる。
Claims (7)
- 合い口部(5)を形成するスリットと、接触面(2)と、内周面(3)と、それらの間を延びる上側および下側の側面(4)とを備え、周方向に見て、前記合い口部(5)に直径上で向かい合う領域(6)におけるよりも前記合い口部(5)の領域において大きく構成された不均等な横断面変化部(7)が前記内周面(3)の領域に設けられているピストンリングにおいて、
前記ピストンリングは、周方向に変化している壁厚を有しており、該壁厚は、前記合い口部(5)に直径上で向かい合う前記領域(6)におけるよりも前記合い口部(5)の領域において薄く形成されており、前記壁厚と前記横断面変化部の比率が、前記ピストンリングが、全周にわたって見て一定のねじれ角(φ)を有するように常に構成されていることを特徴とするピストンリング。 - 全周にわたって見て一定の前記ねじれ角(φ)が、所与の抵抗モーメント(Wt)と曲げ荷重(Mt)の時に、取り付けられた状態で、
φはねじれ角、
Gは弾性率、
Iは断面2次極モーメント、
Mtは曲げ荷重として、次式
(φ)=Mt/G×I(φ)
を満たすように、前記壁厚と前記横断面変化部の比率が常に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のピストンリング。 - 前記横断面変化部(7)は面取り部によって形成されている、請求項1または2に記載のピストンリング。
- 前記面取り部(7)は角度αで周方向に延びており、前記角度αは周方向に変化している、請求項3に記載のピストンリング。
- 前記面取り部(7)は角度αで周方向に延びており、前記角度αは周方向に一定である、請求項3に記載のピストンリング。
- 前記横断面変化部は角状の切欠きによって形成されている、請求項1または2に記載のピストンリング。
- 前記横断面変化部(7)は上側または下側の前記側面(4)の領域に設けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載のピストンリング。
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