本発明は、ヒトβ2−アドレナリン受容体(β2AR)遺伝子などの標的核酸における配列変異を増幅し、検出するためのオリゴヌクレオチドおよび方法に関する。好ましい方法では、血液、組織、および体液からのアレル特異的な配列を増幅し、検出するために、核酸プライマーおよびアダプター介在性ユニバーサル検出プローブによる蛍光リアルタイム好熱性鎖置換増幅(thermophilic Strand Displacement Amplification)(SDA)を用いる。
本出願は、米国特許出願第09/894,788号の一部継続出願であり、後者は、米国特許出願第09/590,691号(現在米国特許第6,316,200号)の優先権を主張し、かつ米国特許出願第09/335,218号の一部継続出願である。これらの全内容を参照により本明細書に組み込む。
標識オリゴヌクレオチドプローブの配列特異的ハイブリダイゼーションは、長い間、選択されたヌクレオチド配列の検出および同定を行う方法として用いられており、そのようなプローブの蛍光標識によるラベリングは、プローブハイブリダイゼーションの検出を容易にする比較的高感度で非放射性の方法を提供してきた。最近開発された検出方法は、プローブハイブリダイゼーションを検出するのに、蛍光強度を直接的に検出するより、むしろ蛍光エネルギー移動(FET)の過程を利用する。蛍光エネルギー移動は、ドナーフルオロフォアとクエンチャー色素(フルオロフォア(fluorophore)でも、フルオロフォアでなくてもよい)との間で、一方(クエンチャー)の吸収スペクトルがもう一方(ドナー)の放出スペクトルと重なり合い、かつこれら2つの色素が近接しているときに起こる。このような特性を有する色素は、ドナー/クエンチャー色素対、またはエネルギー移動色素対と呼ばれる。ドナーフルオロフォアの励起状態エネルギーは、共鳴双極子によって誘発される双極子相互作用によって、隣接しているクエンチャーに移動する。この結果、ドナー蛍光の消光が起こる。場合によって、クエンチャー(「アクセプター」とも呼ばれる)がフルオロフォアであるときには、その蛍光の強度が強化されることもある。エネルギー移動の効率は、ドナーとクエンチャーとの間の距離に強く依存しており、これらの関係を予測する方程式がフォルスター(Forster)(非特許文献1)により開発されている。エネルギー移動効率が50%であるドナーとクエンチャー色素との間の距離は、フォルスター距離(R0)と呼ばれる。例えば、電荷移動および衝突消光を含めた、蛍光消光の他の機構も知られている。これらの場合では、クエンチャーはフルオロフォアでもよいが、クエンチャーがフルオロフォアである必要はない。FETに基づいたものではない蛍光消光機構は、通常、クエンチャーの吸収スペクトルとドナーフルオロフォアの放出スペクトルとの間にはっきりとしたオーバーラップを必要としない。
エネルギー移動、および消光を発生するのに近接した2つの色素の相互作用を必要とする他の機構は、ヌクレオチド配列を検出または同定するための方法としては、そのようなアッセイは均質フォーマットで行うことができるため、魅力的なものとなっている。不均質アッセイでは、通常、ハイブリッド形成した標識を遊離標識から分離する追加ステップを必要とするため、均質アッセイフォーマットは、単一フルオロフォア標識の蛍光検出に依存する従来のプローブハイブリダイゼーションアッセイより単純である。通常、FETおよび関連の方法は、2つの相補的オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションによって、2つの色素標識が引き合わされた際に、一方または両方の色素標識の蛍光特性が変化するのをモニターすることに依存してきた。このフォーマットにおいて、蛍光特性の変化は、エネルギー移動量の変化として、または、通常、色素の1つの蛍光強度の増加として表される蛍光消光量の変化として測定することができる。このようにして、対象とするヌクレオチド配列を、ハイブリッド形成していないオリゴヌクレオチドと、ハイブリッド形成したオリゴヌクレオチドとを分離せずに検出することができる。ハイブリッド形成は、1つがドナーフルオロフォアで標識され、1つがクエンチャーで標識された2つの別々の相補的オリゴヌクレオチドの間で行われてもよい。一本鎖オリゴヌクレオチドと比較したとき、二本鎖形態では、ドナー蛍光が減弱(消光が増大)しており、および/またはエネルギー移動が増大している。FETハイブリダイゼーションアッセイのいくつかのフォーマットに関しては、非特許文献2に総説がある。あるいは、ドナーおよびクエンチャーは、単一のオリゴヌクレオチドに連結して、オリゴヌクレオチドがハイブリッド形成していないときと、オリゴヌクレオチドが相補的配列にハイブリッド形成したときとで、一方または両方の蛍光特性に検出可能な相違が生じるようにすることもできる。このフォーマットでは、オリゴヌクレオチドがハイブリッド形成したとき、通常、ドナー蛍光が増強しており、エネルギー移動/消光が減少している。例えば、ドナー色素とクエンチャー色素とで標識されたオリゴヌクレオチドは、塩基対合によりヘアピンを形成して、エネルギー移動および消光が起こりうる空間的に近接した状態に2つの色素を導くことができる自己相補性配列を含有する。このオリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドの相補的配列にハイブリッド形成することによって、ヘアピンが破壊され、さらに2つの色素の間の距離を広げ、これによって消光を減少させる。非特許文献3、非特許文献4、および特許文献1を参照。核酸増幅の検出に、エネルギー移動または蛍光消光の他の機構を利用する均質法について記載されている。二重標識された検出プローブが、PCR中に標的の増幅に特異的な方法で切断されるリアルタイム検出法が開示されている(非特許文献5)。検出プローブは、Taqポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によって検出プローブが消化され、それによってエネルギー移動色素対を形成する2つの蛍光色素が分離されるように、増幅プライマーの下流にハイブリダイズされる。蛍光強度は、プローブが切断されるのに従って増強される。
増幅プライマーがハイブリッド形成する部位の下流で標的配列にハイブリッド形成する、核酸増幅の均質検出用シグナルプライマー(時には、検出プローブとも呼ばれる)について、記載されている(特許文献2。この開示を参照により本明細書に組み込む)。このシグナルプライマーは、増幅プライマーの伸長と同様にポリメラーゼによって伸長させる。増幅プライマーが伸長することによって、シグナルプライマーの伸長産物が標的増幅に依存しながら置換され、それによって標的増幅の指標として検出されうる二本鎖の二次増幅産物が生成される。一本鎖のシグナルプライマーを用いた均質検出法の例について、特許文献3(親油性色素および制限部位の組込みについて)および特許文献4(蛍光偏光検出について)に記載されている。さらに最近では、2次構造のアンフォールディングを利用したFET/蛍光消光法を用いた核酸標的検出に、シグナルプライマーを適合させている(例えば、特許文献5および特許文献6を参照)。ドナー/クエンチャー色素対で標識された部分的に一本鎖で、かつ部分的に二本鎖であるシグナルプライマーについても、最近記載されている。例えば、特許文献7には、一本鎖の制限エンドヌクレアーゼ認識部位に隣接した、ドナー/クエンチャー色素対付きのシグナルプライマーが開示されている。標的の存在下では、この制限部位が二本鎖となり、制限エンドヌクレアーゼによって切断可能となる。切断によって、色素対が分離され、ドナー消光が低減される。特許文献8には、ハイブリッド形成して二重鎖を形成する2つの相補的オリゴヌクレオチドを含む検出核酸について記載されている(この開示を参照により本明細書に組み込む)。これらのオリゴヌクレオチドの1つは、もう一方より長く、標的配列に結合できる一本鎖のテール配列を含有している。2つのオリゴヌクレオチドは、フルオロフォア/クエンチャー色素対も含んでおり、2つのオリゴヌクレオチドが相互にハイブリッド形成する際、フルオロフォアおよびクエンチャーが空間的に近接したままなので、蛍光は実質上消光されたままで残っている。長い方のオリゴヌクレオチドにある一本鎖テールに標的配列をハイブリッド形成させることにより、長い方のオリゴヌクレオチドから、短い方のオリゴヌクレオチドを、ポリメラーゼの媒介によって置換することが可能となり、その結果、フルオロフォアからクエンチャーが分離され、それに対応して、試料の蛍光が増加する。
特許文献9(この開示を参照により本明細書に組み込む)には、2つの相補的オリゴヌクレオチドから成るシグナルプライマーであって、標的配列に結合可能な一本鎖テールを追加として含有するオリゴヌクレオチドの1つとハイブリッド形成して二重鎖を形成するシグナルプライマーについても、開示されている。しかしこの場合、2つのオリゴヌクレオチドのうち短い方は、フルオロフォアおよびクエンチャーの両方を含有し、これらは、標識されていない長い方のオリゴヌクレオチドに、短い方のオリゴヌクレオチドがハイブリッド形成する際、空間的に離れて保持される。長い方のオリゴヌクレオチドの一本鎖テールに標的配列がハイブリッド形成することは、短い方のオリゴヌクレオチドがポリメラーゼの媒介で置換される引き金となる。置換の際、短い方のオリゴヌクレオチドは、フルオロフォアおよびクエンチャーを近接した状態にする立体配座をとり、そのため標的の存在下では蛍光が減弱する。PCRの増幅プライマーにおける、蛍光標識されたヘアピンの使用について、特許文献10に記載がある。ヘアピンプライマーの3’末端は、第2のプライマーによって標的に追加された非標的配列の相補体にハイブリッド形成する。このシステムで、ヘアピンプライマーは、標的配列の増幅において不可欠の役割を果たし、伸長可能でなければならない。対照的に、本発明では、レポータープローブは標的配列の増幅に参加せず、標的の増幅と同時に起こる別のシリーズの反応ステップでシグナルを生成するため、レポータープローブが伸長可能である必要はない。さらに対照的なことに、本発明のシグナルプライマーは標的の内部配列(すなわち、増幅プライマーの間)にハイブリッド形成するため、シグナル発生反応は、増幅産物ではなく標的自体の部分配列を検出する。
個体相互および種相互にあるDNA塩基配列の変異を検出、同定することによって、進化的関係、遺伝性疾患、後天性疾患、ならびに、感染性疾患または非感染性疾患への素因、および治療効果の予測を含めた分子遺伝学の他の側面に関する洞察を提供してきた。配列変異の分析は、慣行的に制限断片長多型(RFLP)の分析によって行われてきたが、これは、配列変化の結果、制限断片の長さが変化することに依存したものである。RFLP分析は、ゲル上での制限断片のサイズ分離と、適切なプローブによるサザンブロットとを必要とする。この技法は、時間がかかり、かつ多大な労力を必要とし、しかも配列変化の結果として、新規制限部位の出現、または制限部位の解消が起きない場合には用いることができない。
さらに最近では、DNAの配列分析を容易にするためにPCRが用いられている。例えば、アレル特異的なオリゴヌクレオチドをプローブとして用いた疾患診断用PCR産物のドットブロットが行われている。点突然変異によって制限部位が生成されるか、または解消される場合には、PCR産物の切断を遺伝子診断(例えば、鎌状赤血球貧血)に用いることができる。配列変異を分析するための一般的PCR技術が報告されている。S.Kwokら(非特許文献6)は、配列変異に対して許容性を有するであろうHIV増幅用プライマーの設計を目的として、多様なプライマー−テンプレートミスマッチによるPCRに対する影響の評価を行った。この著者らは、彼らの研究によって、アレル特異的増幅用のプライマーの開発を容易にすることができるとも認識した。Kwokらは、PCRプライマーの3’端末ミスマッチによって、生成する結果が可変的になることを報告している。対照的に、3’Tミスマッチを除いて、プライマーの最終4ヌクレオチド中に第2のミスマッチを伴った3’端末ミスマッチでは、全般的に、増幅産物の生成が劇的に減少する。この著者らは、3’末端より1ヌクレオチド(N−1)、3’末端より2ヌクレオチド(N−2)、または3’末端より3ヌクレオチド(N−3)の位置における単一ミスマッチは、PCRによる増幅効率に対して影響をもたないことを報告した。C.R.Newtonら(非特許文献7)は、ゲノムDNA中のどのような既知変異を分析するPCRも対象とした改良を報告している。このシステムは、増幅リフラクトリー変異システム(Amplification Refractory Mutation System)またはARMS法と呼ばれ、アレル特異的PCRプライマーを利用する。PCR増幅プライマーの3’端末ヌクレオチドはアレル特異的であり、したがって、それが標的に対してミスマッチである場合、PCRにおいて増幅プライマーとして機能しないだろう。この著者らは、場合によっては、増幅プライマーの3’末端近くでの追加ミスマッチによってアレル識別能が改善されることも報告している。
米国特許第5607834号明細書
米国特許第5547861号明細書
米国特許第5550025号明細書
米国特許第5593867号明細書
米国特許第5691145号明細書
米国特許第5928869号明細書
米国特許第5846726号明細書
米国特許第6130047号明細書
米国特許第6379888号明細書
米国特許第5866336号明細書
米国特許第6316200号明細書
米国特許第6258546号明細書
米国特許第5455166号明細書
米国特許第5270184号明細書
欧州特許第0684315号明細書
米国特許第5919630号明細書
米国特許第5800989号明細書
米国特許第5593867号明細書
米国特許第5641633号明細書
欧州特許出願公開第0881302号明細書
Forster, 1948. Ann. Phys. 2, 55-75
"Nonisotopic DNA Probe Techniques", 1992. Academic Press, Inc., pgs. 311-352
Tyagi and Kramer, 1996. Nature Biotech. 14, 303-308
B. Bagwell, et al., 1994. Nuc. Acids Res. 22, 2424-2425
L. G. Lee, et al., 1993. Nuc. Acids Res. 21, 3761-3766
Kwok, et al., 1990. Nucl. Acids Res. 18:999-1005
C. R. Newton, et al., 1989. Nucl. Acids Res. 17:2503-2516
Drysdale et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 2000; 97: 10483-10488
本発明は、ジェネリックなまたはユニバーサルな標識レポータープローブによる検出を媒介するための5’アダプター配列を含む無標識シグナルプライマーを用いて、対象とする核酸配列中の配列変異を同定する方法を提供する。
この方法は、特許文献11(この開示を参照により本明細書に組み込む。)に記載されるユニバーサル検出システム(図1A、B)に基づいている。レポータープローブの3’末端は、5’アダプター配列の相補体にハイブリッド形成して、5’オーバーハングを生成する。ポリメラーゼを用いて、オーバーハングを充填し、レポータープローブの5’オーバーハングの相補体を合成する。レポータープローブ相補体の合成は、特定の標的アレルの存在を示す指標として、直接的または間接的に検出される。
シグナルプライマーの5’テール配列は、標的(アダプター配列)にハイブリッド形成しない配列を含む。異なった3’標的結合配列を有する様々なシグナルプライマーにおいて、アダプター配列が同一となるように、アダプター配列を選択することができる(すなわち、「ユニバーサル」5’テール配列)。これにより、単一のレポータープローブ配列を、所望のどのような標的配列の検出にも用いることが可能となり、これは、レポータープローブの合成が標識化のため、さらに複雑である場合に有利である。さらに、本発明は、標的特異的なシグナルプライマーの合成を単純化するものである。シグナルプライマーは標識されないので、異なった標的に特異的な異なった標的結合配列を有するシグナルプライマーをさらに簡便かつ効率的に合成することができる。したがって、本発明の方法は、多くの異なった変異を、一対の検出可能なレポータープローブを用いて検出することを可能にし、これは、アレル変異性の検出に標的特異的レポータープローブを用いる他のシステムにまさる明確な利点を提供するものである。本発明は、新規なアッセイを開発する費用と速度に関して、そのような技法にまさる大幅な利益を提供する。
本発明の方法は、限定されるものではないが、評価するべき標的配列(例えば、遺伝子の突然変異アレル)と第2の核酸配列(例えば、同一遺伝子の野生型アレル)との間にある単一ヌクレオチドの相違を検出および同定するのに特に適しており、これは、本発明の方法が、標的中の対象とする部位における第1のヌクレオチドと第2のヌクレオチドとを識別するのに、シグナルプライマーの3’末端近傍でのヌクレオチドミスマッチを利用するためである。各標的に特異的なシグナルプライマーを組み込むことによって、野生型アレルと変異体アレルとの両方を、同一の反応で検出することができる(図2A、B。)好ましい実施形態では、診断用ヌクレオチド(SNP部位)は、シグナルプライマーの3’末端より1塩基(N−1)の位置にある。これは、シグナルプライマーの3’末端において、塩基対形成の安定性と塩基のスタッキング相互作用とを減少させることによって、非特異的なポリメラーゼ伸長の効率を低減させるものである。本発明の別の実施形態では、SNP部位(N−1)の近傍1ヌクレオチドまたは複数ヌクレオチドの位置(例えば、N−2、N−3、N−4、およびN−5)で、シグナルプライマー配列に人工的ミスマッチを生成する。これにより、シグナルプライマーの3’末端におけるハイブリッド形成の安定性をさらに低減し、プライマー:標的ハイブリットの融解温度を低下させる。これは、シグナルプライマーのハイブリッド形成とは独立して起こるので、この実施形態は、標的核酸の増幅効率に変化を与えない。しかし、検出効率、特に複数のミスマッチを含有する標的配列をシグナルプライマーで検出する効率は減少され、それによってアレルの識別が促進される。DNAのG−Cリッチ領域では、塩基対合および塩基スタッキング相互作用が非常に強く、そこに位置する配列変異を識別するために設計されたシステムにおいては、このことが特に重要でありうる。そのようなミスマッチは、ポリメラーゼ伸長の効率に同様の低減を引き起こすために、診断用ヌクレオチドの下流(例えば、診断用ヌクレオチド、δに対して相対的に、δ+1、δ+2、δ+3、δ+4)でシグナルプライマー中に導入することもできる。開示された方法は、診断用ヌクレオチドが増幅プライマーに組み込まれている点において、他のプライマー伸長をベースしたシステムに比べて、アレル識別に明確な利点を有する。本発明の方法では、同一の増幅プライマーを、各変異に特異的な無標識のシグナルプライマーと組み合わせて用いることで、標的配列中にある複数の変異を検出することができる。これによって、個々の変異それぞれを検出するのに、複数の増幅システムを設計し、最適化する必要が取り除かれる。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、標的を増幅する方法として鎖置換増幅(SDA)を用いる。SDAは、標的核酸を増幅するにあたり、DNAポリメラーゼと制限酵素との連携した活性に依存している。したがって、SDAには、理想的には、標的配列がSDA制限酵素認識部位を含むべきではないという制限がある。多くの適用において、この制限は、標的領域を慎重に選択することで克服することができる。しかし、特定部位における特定の変異を同定しなければならないSNP分析では、望ましくない制限部位の回避がいつも可能であるわけではない。この障害を克服するために、バンパー配列中および増幅プライマー配列中に人工的に生成したミスマッチを用いて、アンプリコンをSDAで用いられる制限酵素による消化から保護することができる(図3A、B)。
本発明の等温増幅方法では、N−1からN−4の間のミスマッチと、3’端末の相補的なヌクレオチドとによって、特に任意選択による第2の診断用でない(nondiagnostic)ミスマッチが含まれている場合は、優れたアレル識別が得られる。したがって、本発明の検出プライマー/増幅プライマーは、この実施形態が好ましい。
別の好ましい実施形態では、特許文献2(この開示を参照により本明細書に組み込む)に教示されるように、検出プライマーが等温増幅反応においてシグナルプライマー(検出プローブとも呼ばれる)として用いられる。この増幅反応においては、シグナルプライマーが増幅プライマーの下流で標的配列とハイブリッド形成するため、シグナルプライマーおよびその伸長産物は、増幅プライマーの伸長によって置換される。伸長後、シグナルプライマーは、第2増幅プライマー用のハイブリッド形成部位である下流配列を含む。第2増幅プライマーは、伸長したシグナルプライマーにハイブリッド形成して、相補鎖合成のプライミングを行う。単に標的配列の存在を示す指標として、これら二本鎖二次増幅産物の生成が検出されるだけではなく、本発明の方法において、検出プライマー(検出/シグナルプライマー)に特有の配列を有するシグナルプライマーは、標的配列中にあるSNPの検出および/または同定を容易にすることもできる。この実施形態では、N−1からN−4までの間か、または3’末端(N)にある診断用ミスマッチによって、優れたアレル識別が提供される。
出願人らは、診断用ミスマッチが検出/増幅プライマーの3’末端にある場合と比較して、診断用ミスマッチが検出/シグナルプライマーの3’末端にある場合に得られた結果が異なるのは、少なくとも部分的には、動力学的な作用によるものであろうと仮定する。シグナルプライマーは、それがハイブリッド形成した標的上で効率的に伸長されない場合(例えば、シグナルプライマーがミスマッチを含有する場合)、上流の増幅プライマーの伸長によって、テンプレートから速やかに置換されるだろう。シグナルプライマーが効率的に伸長される場合には、シグナルプライマーが標的から置換される前に、伸長が起こるだろう。すなわち、上流の増幅プライマー(通常、完全一致し、効率的に伸長される)によって、検出/シグナルプライマーは、伸長の「タイムリミット」が課せられる。対照的に、等温増幅反応における増幅プライマーは、等温増幅反応の追加成分、または熱サイクルによって、伸長のタイムリミットが課されることはない。したがって、検出/増幅プライマーは、伸長反応の効率が悪いときでさえ、十分な時間があれば、最終的に伸長されうる。この現象は、等温増幅反応において3’端末にミスマッチを有する検出/増幅プライマーを利用する際、アレル間の識別を低下させるかもしれない。さらに、増幅プライマーが標的とのミスマッチを修正できることは、これらの観測に寄与するかもしれない。増幅プライマーは、それらを生成する増幅プライマーに完全一致したアンプリコンを生成し、したがって、アレル識別の基礎を排除する。対照的に、そのような「修正」は、シグナルプライマーでは起こらない。
別の実施形態では、増幅プライマーの標的結合配列に少なくとも部分的に同一な標的結合配列を有するシグナルプライマーが用いられる(図4)。増幅/検出システムにおける2つのオリゴヌクレオチド間の競合的ハイブリッド形成については、核酸の定性的検出および定量的検出のために、以前に記載されている(特許文献12。この開示を参照により本明細書に組み込む)。このアプローチは、内部プローブを使用することから得られる特異性を保持しながら、その全体が増幅プライマーの間にある従来のシグナルプライマーを用いたアプローチと、同程度か、またはさらに優れた検出効率を提供する。増幅プライマーのハイブリッド形成領域と、シグナルプライマーのハイブリッド形成領域との間のオーバーラップは、アッセイデザインに柔軟性を与え、さらにアンプリコンの全長の短縮を可能にし、その結果、増幅効率を向上させる可能性をもたらすものである。これは、プライマー間相互作用、制限酵素認識、アンプリコン2次構造、および過度にG−C含有率が高い領域を避けるために、システムデザインの柔軟性が必要であるので、重要である。シグナルプライマーおよび増幅プライマーのオーバーラップは、標的配列とのハイブリッド形成に、密接に関連した配列間の競合をもたらすことによって、アレル識別を向上させることもできる。所与の遺伝子座における2つのアレルそれぞれに特異的な、2つのシグナルプライマーを含むこのようなシステムでは、特定のシグナルプライマーのハイブリッド形成が熱力学的に支持されるが、この構造の形成は、ミスマッチを有するシグナルプライマー、および増幅プライマーの両方が標的配列とハイブリッド形成しようとする競合の結果である。
開示された方法の好ましい実施形態の利点は、大規模な試料処理を必要とせずに、広範囲な臨床標本の配列変異を検出できることである。SDAと共に特異的シグナルプライマーを用いてSNPを検出する開示された方法は、血液、尿、および頬側スワブ検体を含めたさまざまなタイプの試料において、あらかじめ核酸の精製を行わずに遺伝子型決定を行う性能を提供する。必要とする大幅な試料処理がないことは、費用を削減し、さらに結果を得るための所要時間の改善を提供する。
本発明のシグナルプライマーアダプター媒介性ユニバーサル検出システムは、SNP分析、ハプロタイプ決定、および、他の核酸配列変異検出のための、単純、迅速、高感度、かつ特異的な方法を提供する。本発明の最も好ましい実施形態は、血液、組織、および体液試料などの法医学試料を含めた試料の均質リアルタイム遺伝子型決定を、SDAを用いて、最小限の試料処理で行うものである。本発明は、核酸試料調製を伴う場合、または伴わない場合での、臨床検査、科学捜査、および薬物発見における遺伝子型決定のための強力なツールである。
本明細書に用いられた特定の用語を、以下の通り定義する。
「増幅プライマー」は、プライマー伸長により標的配列を増幅するためのプライマーである。SDAでは、増幅プライマーの3’末端(標的結合配列)が標的配列の3’末端でハイブリッド形成する。増幅プライマーは、制限エンドヌクレアーゼ用の認識部位を、その5’末端近傍に含む。この認識部位は、特許文献13、特許文献14、および特許文献15に開示されているように、認識部位が半修飾されているときにDNA2本鎖の1つのストランドを切断する(「ニッキング」)であろう制限エンドヌクレアーゼのためのものである。増幅反応を進行させるのに、特別な配列も、または特別な構造も必要ないため、PCR用増幅プライマーは、標的結合配列のみで構成されてもよい。対照的に、3SR用、およびNASBA用の増幅プライマーは、5’末端近傍にRNAポリメラーゼプロモーターを含む。プロモーターは、標的配列に付加され、多数の標的RNAコピーの転写を指示することによって、増幅反応を駆動する働きを行う。
「伸長産物」は、プライマーまたはプライマーの一部と、プライマー結合部位の下流にある配列の相補体として新たに合成されたストランドとを含む核酸である。伸長産物は、相補配列を含有するテンプレートにプライマーがハイブリッド形成し、このテンプレートを用いてポリメラーゼが伸長反応を行う結果生じるものである。
「標的」または「標的配列」という用語は、増幅または検出されるべき核酸配列のことをいう。これらの核酸配列には、増幅されるべきオリジナルの核酸配列と、それに相補的な第2ストランドと、複製または増幅によって生成されるオリジナル配列のコピーのどちらかのストランドとが含まれる。標的配列は、ハイブリッド形成したプライマーが伸長するためのテンプレートとして言及されることもある。
本発明による「シグナルプライマー」は、標的中の相補配列にハイブリッド形成する3’標的結合配列を含み、かつ、標的に相補的でない5’テール配列(アダプター配列)をさらに含む。このアダプター配列は、それに対する相補配列が、以下に記載されるレポータープローブの3’末端にハイブリッド形成するように選択される。本発明のある実施形態では、アダプター配列は、その相補配列がレポータープローブの3’末端と、レポータープローブのレポーター部分内の配列との両方に結合するように選択される。本発明の好ましい実施形態では、シグナルプライマーは検出可能な標識を含まない。
本発明の「診断用ヌクレオチド」は、シグナルプライマーおよび標的配列がハイブリッド形成する際、標的中における対象とする多型ヌクレオチドまたは変異ヌクレオチドとワトソン−クリック相補的塩基対を形成する、シグナルプライマーのヌクレオチドである。診断用ヌクレオチドは、シグナルプライマーが正しい標的アレル、標的SNP、または標的配列変異にハイブリッド形成した場合にのみワトソンークリック塩基対に加わるため、異なったアレル相互、SNP相互、または配列変異相互の識別を可能にするものである。正しくないアレル、SNP、または配列変異にシグナルプライマーがハイブリッド形成すると、診断用ヌクレオチドは、塩基対ではなく、むしろミスマッチを、正しくない標的の変異ヌクレオチドと形成するだろう。例えば、正しい標的アレルが変異ヌクレオチド部位で塩基Gを含有している場合、このアレルのためのシグナルプライマーは、シグナルプライマーが正しい標的アレルとハイブリッド形成することにより、シグナルプライマーの診断用ヌクレオチドと、標的の変異ヌクレオチドとの間でC:G塩基対が形成されるように、塩基Cを診断用ヌクレオチドとして含有するだろう。変異ヌクレオチドとして、例えば、塩基Aを含有する、正しくないアレルとシグナルプライマーがハイブリッド形成すると、診断用ヌクレオチドと正しくない標的との間のC:Aミスマッチを生成することになるだろう。シグナルプライマーの効率的な伸長は、シグナルプライマーが仮想(potential)標的配列にハイブリッド形成する際に、診断用ヌクレオチドがワトソン−クリック塩基対に加わる場合にのみ起こるだろう。診断用ヌクレオチドが、適切なワトソンークリック対ではなく、ミスマッチに加わる場合には、シグナルプライマーの伸長は遅くなるだろう。
本発明による「レポータープローブ」は標識を含み、この標識は、ドナー/クエンチャー色素対、すなわち蛍光ドナー色素、およびこのドナーフルオロフォア用クエンチャーのうちの少なくとも一方であることが好ましい。標識は、標的配列に直接ハイブリッド形成しないレポータープローブ(レポーター部分)中の配列または構造に連結される。レポーター部分の3’側におけるレポータープローブの配列は、シグナルプライマーアダプター配列の相補体にハイブリッド形成するように選択される。一般的には、レポータープローブの3’末端は、標的配列に対するどんな有意の相補性を有する配列も含有しない。しかし場合によっては、レポータープローブは、アダプター相補体にハイブリッド形成する配列と、標的相補体の短い断片に3’末端でハイブリッド形成する別の短い配列とを含有することがある。この場合、標的の相補性領域は、レポータープローブのアダプター特異的領域の同時のハイブリッド形成なしには、有意なハイブリッド形成を可能にするほど十分に長くない。レポータープローブの標識は、レポーター部分を二本鎖にする、レポーター部分の相補体の存在を示す指標として検出され、それによって標的の存在または増幅を示すものである。レポータープローブの3’末端は、ポリメラーゼによる伸長を防止するためにキャッピングすることもできるし、またはそれが伸長可能であってもよい。キャッピングは、バックグランドシグナル、並びに、プライマー二量体形成および他の誤ったプライミング事象の結果生じる偽性副反応における非生産的な試薬消費を低減することによって性能を向上させることができる。
どのような核酸配列または構造も、本発明の方法によって生成されたその相補体の存在が、標的配列の存在を示すように標識することができるものは、レポータープローブのレポーター部分として機能することができる。レポーター部分は、ドナー蛍光が標的検出前に消光され、さらに、標的の存在を示す指標として、ドナー蛍光の消光が減少するように、ドナー/クエンチャー色素対で標識されることが好ましい。レポーター部分は、特許文献6に記載されているようなレポータープローブの5’末端における、ステムループ(もしくは、ヘアピン)、または特許文献5に開示されているようなグアニンカルテットなどの2次構造であってもよい。2次構造は、折りたたまれた際にドナーとクエンチャーとが近接して、その結果、ドナー蛍光の消光が起きるように標識される。標的存在下では、標的依存的なプライマー伸長反応において2次構造がアンフォールディングされ、ドナーとクエンチャーとの間の距離が増大する。これは、消光を低減し、標的配列の存在を示す指標として検出できるドナー蛍光の増強を引き起こす。別法として、レポーター部分は、特許文献7および特許文献16に記載されているような、消光を起こすのに十分な近傍にあるドナーおよびクエンチャーで標識されており、一本鎖の制限酵素認識部位(RERS)を含有する、レポータープローブ5’末端の一本鎖配列であってもよい。一本鎖のレポータープローブにおいて、RERSは切断可能ではない。しかし、標的存在下では、一本鎖のRERSは、標的依存的プライマー伸長反応によって二本鎖形態に変換されて、それによって切断可能になる。適切な制限エンドヌクレアーゼで処理することによって、2つの色素間にあるRERSが切断される。これに伴う色素間距離の増加によって、ドナー蛍光の消光が低減され、これが標的配列の存在を示す指標として検出できる。別の実施形態では、RERSレポーター部分は、特許文献7、および特許文献16に教示されるように、標的依存的プライマー伸長反応によってニッキング可能にすることもできる。この実施形態では、RERSが二本鎖にされたとき、制限エンドヌクレアーゼによって、ドナーおよびクエンチャーが連結されているストランドにニックが入れられる。ポリメラーゼがニックから伸長を行い、色素の1つが連結されている一本鎖フラグメントをレポータープローブから置換する。これもまた、ドナーとクエンチャーとの間の距離を広げ、消光の低減によるドナー蛍光の増強を引き起こす。レポーター部分は、特許文献8参照に記載されているような、レポータープローブ5’末端における二本鎖の配列であってもよい。この場合、フルオロフォアおよびクエンチャーは、レポータープローブの5’末端を含む、異なったオリゴヌクレオチド上にあり、2つのオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成によって、空間的に近接した状態に保たれる。標的がレポータープローブの3’末端にハイブリッド形成することによって、ポリメラーゼに媒介された、2つのオリゴヌクレオチドの分離と、フルオロフォアからのクエンチャーの分離とが引き起こされ、この結果、蛍光の増強がもたらされる。特許文献9には、レポータープローブ5’末端における、別の二本鎖レポーター部分についても記載されている。この場合、フルオロフォアおよびクエンチャーは、同一オリゴヌクレオチド上にあり、このオリゴヌクレオチドが、レポータープローブの第2オリゴヌクレオチドを含む相補的オリゴヌクレオチドにハイブリッド形成しているときに、分離した状態に保たれる。第2オリゴヌクレオチドは、無標識であり、かつ標識されたオリゴヌクレオチドより長く、そして、レポータープローブの3’末端を含む一本鎖配列を含有する。標的が3’末端にハイブリッド形成することにより、短い方の標識されたオリゴヌクレオチドの、ポリメラーゼに媒介された置換が引き起こされ、次にこのオリゴヌクレオチドが、クエンチャーとフルオロフォアとを空間的に近接した状態にする立体配座に折りたたまれ、これにより蛍光が低減する。したがって、この場合、標的の存在は試料における蛍光の低減によって示される。
SDAに適用される、本発明の方法の一実施形態を、図1Aに模式的に図示す。反応の最初のステップは、特許文献2に記載されたシグナルプライマー反応に相当する。3’標的結合配列(B)、および非相補的5’テール(A)を有するシグナルプライマーは、増幅プライマー(S1)より下流で標的にハイブリッド形成する(ステップ1)。図示されているように、シグナルプライマーのハイブリッド形成部位全体が、増幅プライマーのハイブリッド形成部位の下流にある。ただし、標的上の、シグナルプライマーおよび増幅プライマーのハイブリッド形成部位は、本発明の方法に顕著な影響を与えずに、部分的にオーバーラップすることもある(通常、数ヌクレオチドのみ)。本明細書において、標的上の、シグナルプライマーおよび増幅プライマーのハイブリッド形成部位に関して、「より下流にある」という用語は、標的中において、オーバーラップしていない部位と、部分的にオーバーラップした部位とを包含するものである。標的へのハイブリッド形成に続いて、増幅プライマーおよびシグナルプライマーは、標的配列上で同時に伸長され、増幅プライマーの伸長によって、一本鎖のシグナルプライマー伸長産物が置換される(ステップ2)。第2の増幅プライマー(S2)は、シグナルプライマー伸長産物にハイブリッド形成し(ステップ3)、シグナルプライマー伸長産物および増幅プライマーの両方が伸長して、半修飾されたRERSを末端にもつ二本鎖の二次増幅産物を生成する(ステップ4)。SDAでは、RERS(ステップ4における矢印で示される)の修飾されていないS2ストランドにニックを入れ、ニックの下流にあるストランドを置換することによって、シグナルプライマーの相補体を含む一本鎖オリゴヌクレオチドを生成する(ステップ5)。シグナルプライマーの相補体、および二本鎖の二次増幅産物は、標的が存在するときのみ、生成、増幅される。したがって、これらは標的増幅の指標として検出することができる。
特許文献2に教示されている検出方法では、二本鎖の二次増幅産物が検出される。対照的に、本発明は、ニッキング後に二本鎖の二次増幅産物から置換される一本鎖オリゴヌクレオチドを検出する。このオリゴヌクレオチドは、シグナルプライマーの相補体を含むので、レポータープローブの3’末端は、このオリゴヌクレオチドにハイブリッド形成する(ステップ6)。レポータープローブの5’末端は、標識された構造または配列を含有し、ポリメラーゼの適当な基質である、2つの陥凹3’末端を有するオーバーハングを形成する。レポータープローブに伸長防止のためのキャッピングがされていない場合、レポータープローブおよび一本鎖オリゴヌクレオチドの両方が伸長して、完全な二本鎖分子を生成する(ステップ7)。レポータープローブが伸長可能でない場合、一本鎖オリゴヌクレオチド(シグナルプライマーの相補体を含む)の陥凹3’末端のみが伸長され、産物は、部分的に一本鎖であり、かつ部分的に二本鎖である。どちらの場合でも、レポータープローブの標識された構造または配列に相補的な配列が合成され、これを二本鎖にする。図1Aは、ドナー蛍光の消光が起こるようなドナー/クエンチャー色素対で標識されたヘアピンレポーター部分を用いた本発明を例示するものである。この例から、検出されるためには、レポーター部分を完全な二本鎖にする必要がないことが理解されるだろう。例えば、ヘアピン構造の部分的な相補体は、ステムのアームが相互にハイブリッド形成するのを防止するのに十分でありうる。本明細書において、「二本鎖レポーター部分」とは、それらがレポーター部分を検出可能にするのに十分な程度に二本鎖であるなら、完全な二本鎖と、部分的な二本鎖との両方を包含するものである。レポーター部分がプライマー伸長反応で二本鎖にされる際、ヘアピンはアンフォールディングされる。アンフォールディングによって、2つの色素が空間的に十分分離されて、クエンチャーによるドナー蛍光の消光が低減、または解消される。この結果によるドナー蛍光の増強、または蛍光消光に変化に伴う他の蛍光パラメターの変化(蛍光寿命、蛍光偏光、またはクエンチャー/アクセプター色素の発光における変化など)は、標的配列の増幅を示す指標として検出することができる。さらに、図1Aに図示されているように、複数のレポーター部分を単一のレポータープローブに結合することもでき、例えば、標識されたヘアピンは、一本鎖の「ループ」に一本鎖のRERSを含むことができる。この実施形態では、レポーター部分の相補体を合成することで、ヘアピンをアンフォールディングして蛍光の増強を引き起こすだけではなく、同時に、RERSが切断可能、または「ニッキング可能」になり、通常、蛍光をさらに増強させる。
図1Aに示されているように、レポータープローブにおける折りたたまれたレポーター部分(例えば、ヘアピン)は、アダプター配列の相補体にハイブリッド形成しない。しかし、アダプター配列は、その相補配列がレポータープローブにおける折りたたまれたレポーター部分の全体または一部にハイブリッド形成するように、選択することができる。この場合、ハイブリッド形成の後の、ポリメラーゼで触媒された伸長が必要ではなく、ハイブリッド形成のみで、シグナルを生成するレポーター部分がアンフォールディングされるか、または部分的にアンフォールディングされるだろう。この実施形態における折りたたまれたレポーター部分は、レポータープローブ配列の全体、または一部を含むことができる。そのような実施形態の実施例において、レポータープローブは、非特許文献3に記載されるように、ビーコンヘアピンのループがアダプター配列の全体または一部を含む分子ビーコンであってもよい。アダプター配列の相補体は、標的増幅中に合成されるので、分子ビーコンに結合してこの構造をアンフォールディングし、それによって蛍光を増強する。別の実施形態では、レポータープローブは、折りたたまれたレポーター部分の3’側に一本鎖の配列を含有して、増幅中にアダプター配列が生成される際、この一本鎖の配列と、折りたたまれたレポーター部分の全体もしくは一部との両方が、アダプター配列に相補的な配列にハイブリッド形成するようにする。
他の代替実施形態では、図1Aの反応スキームにおいて、他のレポーター部分を代用することもできる。例えば、グアニンカルテットなどの他の折りたたみ核酸構造を代用し、同様の標的依存的方法でこれをアンフォールディングさせ、蛍光消光を低減させることもできる。あるいは、例えばRERSなど、特殊化した直鎖配列をレポーター部分として用いることもできる。RERSをレポーター部分として用いる場合、ドナーおよびクエンチャーは、RERSが二本鎖にされて、標的依存的な方法で切断されるとき、2つの色素が別々の核酸フラグメントに分離されるように、切断部位に隣接して連結される(ステップ8、図1A)。これらの代替2次構造は、グアニンカルテット中のRERSなど、特殊化した配列に結合することもできる。RERSは、その二本鎖形態において、切断可能となる代わりに、ニッキング可能となるようにすることもできる。修飾ヌクレオチドの取込みと、ニッキング可能なRERSの生成は、増幅反応の不可欠の部分であるので、これはSDAで使用するのに特に適した実施形態である。レポータープローブにニッキング可能なRERSを生成するには、図1Aの反応スキームにいくつかの追加副反応が付加される(図1Bに示す)。図1Bは、図1Aのステップ7に図示された二本鎖分子のRERSが、切断されるのではなく、ニックを入れられる場合の反応を図示する。図1Bを参照すると、ポリメラーゼがニックから伸長する際、2つの産物が生成される。すなわち、二本鎖分子が再生され(その結果、2つの色素のうち一方のみを有する。)、そして、ニックより下流の一本鎖分子が置換される(ステップ9、2つの色素のうち、もう一方を有する)。この二本鎖分子は、別の一本鎖分子で置換されたことによって、再びニックを入れることができ、また、置換された一本鎖分子は、増幅プライマーにハイブリッド形成し(ステップ10)、さらに伸長されて、完全な二本鎖分子にニッキング可能なRERSを生成する(ステップ11、およびステップ12)。ニッキングおよび置換をさらに行うことで、前のレポータープローブに由来する部分的RERSを一方の末端に有する、無標識の一本鎖分子が生成される(ステップ13)。ヘアピンは、開閉して、部分的なRERSのハイブリッド形成を可能にするので、この一本鎖分子は、新規のレポータープローブにハイブリッド形成して(ステップ14)、陥凹末端が伸長可能になる。陥凹末端の充填によって、RERSがニッキング可能になり(ステップ15)、そして、置換された一本鎖分子が反応に再入して、サイクルが反復される。これによって、初めに単一のシグナルプライマー/標的相互作用から生成されたシグナルは、どのようなそれ以上の標的増幅にも依存せずに起こる別個の反応によって、増幅される。
さらに別の実施形態では、図1Aの反応スキームにおいて、二本鎖レポーター部分を代用することができる。例えば、図1Aに示すヘアピン部分の代わりに、特許文献8および特許文献9の二本鎖レポーター部分を代用することができる。この場合、レポータープローブの3’テールは、ステップ5(図1A)で生成されたアダプター配列の相補体にハイブリッド形成するだろう。アダプターに相補的な配列を伸長することによって、二本鎖レポーター部分の短い方のオリゴヌクレオチドは、長い方のオリゴヌクレオチドから分離され、これによって、特許文献8および特許文献9に記載されるような特定の機構に応じて、蛍光の増強または減弱をもたらすだろう。
一般的には、シグナルプライマーにおけるアダプター配列の相補体と、レポータープローブとの間の分子間塩基対合に関与する配列の長さは、重要ではない。しかし、シグナルプライマーにおいては、概して、標的結合配列のTmがアッセイ効率により大きな影響を与えること、そして、一般的には、標的結合配列が長いほど、より大きな蛍光シグナルが、アッセイにおいて生成することが観測されている。これは、シグナルプライマーと、上流の増幅プライマーの伸長産物との間で、標的配列にハイブリッド形成するための競合があるためかもしれない。シグナルプライマーおよびレポータープローブの適切な長さは、選択された反応条件下に、部分的な二本鎖分子を維持するための安定した塩基対合に必要なヌクレオチド数によって決定され、これは当技術分野における通常技術の範囲内にある。便宜上、塩基対合に関与する配列の長さは、通常、約8〜75ヌクレオチドである。最大の長さは、オリゴヌクレオチドの合成および回収の容易さや効率などの実用的な問題によってのみ限定される。
反応における、シグナルプライマーおよびレポータープローブの適切な濃度の選択も、当技術分野における通常技術の範囲内にある。シグナルプライマーおよびレポータープローブの濃度は、比較的高いことが好ましく、上流の増幅プライマーの濃度は、比較的低いことが好ましいが、これは、反応において、より高い蛍光シグナルの生成が得られるためである。
二本鎖標的配列の、第2の相補的ストランドにハイブリッド形成する第2のシグナルプライマーは、第1のシグナルプライマー、および第2のシグナルプライマーが互いにハイブリッド形成しない場合には、任意選択で、反応に含めることができる。第2のシグナルプライマーは、第2の増幅プライマーの下流にある標的配列の第2のストランドにハイブリッド形成し、第2の増幅プライマーの伸長によって伸長し、置換される。第2のシグナルプライマー伸長産物は、第1の増幅プライマーのハイブリッド形成および伸長によって二本鎖にされる。標識された二本鎖構造または二本鎖配列の生成、および色素対の分離は、標的配列の第1のストランドに関して進められる。第2のシグナルプライマーは、単一のレポータープローブで両方の標的ストランドの増幅産物を検出することが可能となるように、第1のシグナルプライマーと同一の5’アダプター配列を含むことが好ましい。
さらに、望ましい場合には、標的ストランドあたり複数のシグナルプライマーを、それぞれ、同一ストランド上で他の標的配列の下流にハイブリッド形成し、かつすべてのシグナルプライマーが増幅プライマーの下流にハイブリッド形成するようにして用いることもできる。この方法では、各シグナルプライマーが上流の検出核酸の伸長によって置換され、そして、最も5’側のシグナルプライマーは増幅プライマーによって置換される。複数のシグナルプライマーを使用することには、標的ごとに生成されるシグナルを増強または増幅する利点があり、アッセイの感度を増強するものである。この場合においても、単一のレポータープローブを用いて、すべての反応生成物を検出できるようにするために、すべてのシグナルプライマーが同一の5’アダプター配列を含むことが、必要ではないが、好ましい。
複数のシグナルプライマーは、同時に複数の異なった標的配列を検出するのに用いることもできる。この場合、シグナルプライマーの5’アダプター配列は、検出される標的ごとに異なっていることが好ましい。標的特異的なシグナルプライマーそれぞれの5’アダプター配列に特異的なレポータープローブを、識別可能なドナー/クエンチャー色素対で標識すれば、各標的に対するレポータープローブの蛍光が消光されている程度の変化を検出することによって、各標的の存在を決定することができる。本発明のこの実施形態は、特に、なんらかの病状および病態に関連した単一ヌクレオチド配列変異の検出に有用である。各シグナルプライマーの標的結合配列は、標的における特定の配列変異用に選択することもできる。標的にハイブリッド形成するための正しい標的結合配列を含むシグナルプライマーのみが、ハイブリッド形成を行い、伸長され、そして、アダプター配列の相補体の生成をもたらすだろう。次いで、このアダプター配列相補体に特異的なレポータープローブは、どの配列変異が存在するかを、識別可能な標識に基づいて指示するシグナルを生成するだろう。
別法として、複数の異なった標的を別々にアッセイするために、同一の5’アダプター配列を、複数の異なった標的配列に向けたシグナルプライマーで用いることもできる。シグナルプライマーの3’標的結合配列を変えることによって、異なった標的配列に対する特異性が得られる。このアプローチは、シグナルプライマーのデザインおよび合成を単純化するだけではなく、それによって、どのような所望の標的配列を検出するのにも、同一のレポータープローブが使用できるようにするものである。これは、さまざまな標的のアッセイシステムを生産するのに、生成する必要のあるレポータープローブが単一のものであり、したがって、生産費用を引き下げ、新規標的のためのアッセイの開発を単純にするという商業的な利点を有する。さらに、シグナルプライマーは標識する必要がないので、様々なシグナルプライマーの合成も単純化されており、より安価である。
本発明の方法は、標的核酸に含まれている核酸配列の変異を検出するのに有用である。詳細には、本発明の方法は、対象とする核酸配列(例えば、アレル)におけるSNPを検出することを目的とし、さらに任意選択で、そのようなSNPまたはアレルを同定することを目的とする。そのようなヌクレオチド配列変異は、標的配列の増幅中に、分析するべき試料中で直接検出することができる。本発明の方法は、他の場合では相補的な配列にハイブリッド形成するプライマーの3’末端、または3’末端近傍にミスマッチがあるとき、DNAポリメラーゼがプライマー伸長する効率が相対的に低下することに基づいている。出願人らは、シグナルプライマーの3’末端、または3’末端近傍のヌクレオチドを、シグナルプライマーが標的核酸の第1のアレルにハイブリッド形成するときには1つまたは複数のミスマッチが生じ、シグナルプライマーが標的核酸の第2のアレルにハイブリッド形成するときには正しい塩基対合が起こるであろうように選択すれば、標的核酸にどのアレルが含有されているかを示すのに、シグナルプライマーが2つの異なったアレルにハイブリッド形成する際のポリメラーゼ伸長における効率の相違が利用できることを発見した。複数のアレルのうちどの1つもが存在しうるときには、3’末端または3’末端近傍にそれぞれが異なった潜在的ミスマッチを有する複数のシグナルプライマーをアッセイで用いる。最も効率的に伸長されるシグナルプライマーによって、アレルのアイデンティティ(すなわち、分析される標的配列に存在するヌクレオチドのアイデンティティ)が提供される。例えば、同定されるべきアレルの部位において、A、G、C、およびTを含む1セットのシグナルプライマーが対象とする標的にハイブリッド形成して、伸長される場合、このアレルのアイデンティティは、ポリメラーゼによって最も効率的に伸長されたシグナルプライマーにあるヌクレオチドの相補体であるだろう。1回の反応でアレルを同定するためには、それぞれが別々に検出可能なアダプター配列およびレポータープローブを有する(すなわち、シグナルプライマーのアダプターテールが異なり、かつそれらは、レポータープローブの混合物中で個別に識別可能な異なったフルオロフォアで標識されたレポータープローブを用いることで検出可能となっている。)、複数のシグナルプライマーが反応に含まれる。
さらに詳細には、本発明のシグナルプライマーは、対象とする標的配列にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドであり、増幅反応中にDNAポリメラーゼによって伸長される。シグナルプライマーのヌクレオチド配列は、それらの大部分の塩基が、典型的なワトソン−クリック様式で、標的と正しく塩基対形成して、対象とする標的核酸にハイブリッド形成するように選択される。シグナルプライマーの3’末端、または3’末端近傍におけるヌクレオチド配列は、標的配列における異なったアレル、SNP、または他の変異を相互に識別するように選択される。したがって、シグナルプライマーは、3’末端、または3’末端近傍に「診断用ヌクレオチド」(上記に定義される)を含有している。診断用ヌクレオチドは、選択された標的における、特定のアレルの分析(例えば、検出または同定)を可能にする。診断用ヌクレオチドは、シグナルプライマーが標的にハイブリッド形成したとき、意図された標的の選択されたヌクレオチド変異と、適切なワトソン−クリック塩基対を形成するように選択される。対照的に、シグナルプライマーが正しくない配列変異にハイブリッド形成したときには、診断用ヌクレオチドと、(正しくない)標的の変異ヌクレオチドとの間で、ワトソンークリック塩基対ではなく、ミスマッチの形成が引き起こされるだろう。効率的なシグナルプライマー伸長は、診断用ヌクレオチドが標的の変異ヌクレオチドと共に適切なワトソンークリック塩基対に加わるときのみに起こるだろう。シグナルプライマーが正しくない配列変異にハイブリッド形成する場合、診断用ヌクレオチドは適切なワトソン−クリック塩基対ではなく、ミスマッチに加わり、シグナルプライマーの伸長は遅くなる。診断用ヌクレオチドが標的配列と塩基対またはミスマッチに加わることに起因した、シグナルプライマー伸長の効率における、この相違は、アレル変異または単一ヌクレオチド変異相互の識別を向上させる。プライマー中のミスマッチが、増幅反応において、どのようにしてアレルが識別を可能にするかを示す例として、診断用ヌクレオチドの位置にC残基を有するシグナルプライマーが、シグナルプライマーの効率的な伸長を示すシグナルを強く生成する場合、これは、標的アレルがGであることを示すものである。対照的に、シグナルプライマーの伸長を示すシグナルが弱い場合には、標的アレルがGでないことを示す。標的中に生じると予測されるSNPが1つである場合には、分析を行うために1つのシグナルプライマーを使用することで、アレルの同定が可能となる。同一のヌクレオチドの位置に複数の異なったアレルが存在しうる場合には、1つのシグナルプライマーによって、このシグナルプライマーが診断するアレルが存在するか、または存在しないかに関する情報が提供されるだろう。複数のSNPが存在しうるときに、アレルを同定するためには、SNPの部位にA、T、およびGを含有する複数のシグナルプライマーを、標的アレルを同定するのに用いることができ、すなわち、シグナルプライマー伸長産物に付随するシグナルを最も強く生成するシグナルプライマーに、標的中のSNPの相補体であるヌクレオチドが含有されている。本発明では、シグナルプライマーにおいてミスマッチの可能性を有するヌクレオチドは、3’末端、または3’末端から約1〜4ヌクレオチド残基の位置(すなわち、N、N−1、N−2、N−3またはN−4位置の)に配置される。
多くの場合において、シグナルプライマーに、対象とするアレルの検出または同定を目的とするものではない、第2のミスマッチを配置するのが好ましいということが分かっている。第2の、診断用でないミスマッチは、検出または同定されるSNP相互の識別レベルをしばしば向上させ、分析される標的アレルにかかわらず診断用でないミスマッチが生じるように、変化することが予測されない標的配列の領域に基づいて選択されることが好ましい。第2のミスマッチは、アレル識別に好ましい効果を与えるなら、シグナルプライマー中のどの部位に生じてもよいが、通常は、診断用ヌクレオチド近傍にあるときに、最も大きな改善を生み出す。これは通常、診断用ヌクレオチドより1から15ヌクレオチドの範囲内であるが、好ましくは、検出プライマーの診断用ヌクレオチドより約1〜5ヌクレオチドの範囲内である。診断用でないミスマッチは、シグナルプライマーにおいて、診断用ヌクレオチドの5’側に配置しても、または3’側に配置してもよい。出願人らは、診断用でないミスマッチが診断用ミスマッチから遠くに動かされるのに従って、アレル識別に関するポジティブな効果が減弱するという観測に基づき、第2の診断用でないミスマッチは、シグナルプライマーのTmに対する全般的な効果ではなく、位置効果を有すると考える。当業者ならば、通常の実験によって、シグナルプライマーを用いてアレル識別への効果を評価することで、シグナルプライマーにおける、診断用でないミスマッチの適切な配置を決定することができる。
ハイブリッド形成には、より短いオリゴヌクレオチドにおけるミスマッチの方が、より長いオリゴヌクレオチドのミスマッチより、大きな影響をもつことが知られているが、本発明のシグナルプライマーを用いたアレル識別は、すべて、Tmに関連したハイブリッド形成効果の結果であるとは考えることができない。例えば、診断用ヌクレオチドの位置を、シグナルプライマーの3’末端から離して、分子の中心に向かって動かすと、識別能は実質的に低減する。アレル相互の識別を行う唯一の機構がTmに関連したハイブリッド形成効率であるなら、アレル識別能は、この位置変動によって低減せず、むしろ増強されるだろう。
シグナルプライマーが3’末端またはその近傍においてミスマッチを形成すると、ミスマッチしている標的の検出効率は低減する。それに伴う、伸長したシグナルプライマー(すなわち、増幅産物またはアンプリコン)の検出におけるシグナルの低減は、標的中の、シグナルプライマーとの診断ミスマッチが生じた位置における、SNPの存在またはアイデンティティを示すものである。シグナルプライマーがアダプターテールを含み、それにより、シグナルプライマーの伸長の結果としてアダプターの相補体が合成されるときに、シグナルに変化が生じる場合には、標的の増幅が起こるときにリアルタイムで伸長産物を検出することができる。これは、増幅の後に伸長産物を検出する追加ステップを不要にする。SDAなどの等温増幅反応では、シグナルプライマーにおけるN−1またはN−2の単一ミスマッチは、全般に、3’末端の単一ミスマッチより効率的なアレル識別を提供できる。本発明の等温増幅方法でも、シグナルプライマー上の、診断用ヌクレオチドに近接したミスマッチによって、優れたアレル識別が得られる。したがって、後者の配置は、本発明のシグナルプライマーの好ましい実施形態を表すものである。
上記実施形態では、通常、シグナルプライマーは、ポリメラーゼによって伸長可能ないかなるプライマーからも下流で標的にハイブリッド形成し、そのため、第2のプライマーの伸長は、シグナルプライマーも、および、生成されるかもしれないどのようなシグナルプライマー伸長産物も、置換する。別の実施形態は、増幅プライマーの標的結合配列に、少なくとも部分的に同一な標的結合配列を有するシグナルプライマーを用いる(図4)。増幅/検出システムにおける2つのオリゴヌクレオチド相互の競合的なハイブリッド形成については、以前に、核酸の定性的または定量的な検出用に記載されている(特許文献12。この開示を参照により本明細書に組み込む)。このアプローチは、内部プローブを使用することから得られる特異性を保持しながら、その全体が増幅プライマーの間にある従来のシグナルプライマーを用いたアプローチと、同程度か、またはさらに優れた検出効率を提供する。増幅プライマーのハイブリッド形成領域と、シグナルプライマーのハイブリッド形成領域との間のオーバーラップは、アッセイデザインに柔軟性を与え、さらに総合的なアンプリコンの長さの短縮を可能にし、その結果、増幅効率を向上させる可能性をもたらすものである。これは、プライマー間相互作用、制限酵素認識、アンプリコン2次構造、および過度にG−C含有率が高い領域を避けるために、システムデザインの柔軟性が必要であるので、重要である。シグナルプライマーおよび増幅プライマーのオーバーラップは、標的配列とのハイブリッド形成に、密接な関係にある配列の競合をさらにもたらすことによって、アレル識別を向上させることもできる。それぞれが所与の遺伝子座における2つのアレルの1つに特異的な、2つのシグナルプライマーと、上流の増幅プライマーとを含有する従来のシステムでは、2つのシグナルプライマーの間で、標的配列にハイブリッド形成するための競合がある。しかし、特定のアレルにおけるハイブリッド形成が熱力学的に支持され、その結果、特定のアレルにおけるシグナルの上昇が引き起こされる。本発明の別の実施形態では、オーバーラップを有する増幅プライマーによって、シグナルプライマーが標的にハイブリッド形成するための競合がさらに提供されるときに、特異的なシグナルの増強(または、非特異的なシグナルの減弱)が期待できる。
出願人らは、本発明のシグナルプライマーで得られたアレル識別の効率は、少なくとも部分的には動力学的な作用によるものと仮定する。シグナルプライマーは、それがハイブリッド形成した標的上で効率的に伸長されない場合(例えば、シグナルプライマーがミスマッチを含有する場合)、上流の(またはオーバーラップした)増幅プライマーの伸長によって、テンプレートから速やかに置換されるだろう。シグナルプライマーが効率的に伸長される場合には、シグナルプライマーが標的から置換される前に、伸長が起こるだろう。すなわち、上流の(またはオーバーラップした)増幅プライマー(通常、完全一致し、効率的に伸長される)によって、シグナルプライマーは、伸長の「タイムリミット」が課せられる。これは、増幅プライマー中の末端または末端近傍でのミスマッチに依存したアレル識別の方法を改良するものである。このようなシステムでは、等温増幅反応における増幅プライマーは、等温増幅反応の追加成分、または熱サイクルによって、伸長のタイムリミットが課されることはない。したがって、完全に一致していない増幅プライマーは、伸長反応の効率が悪いときでさえ、十分な時間があれば、最終的に伸長されうる。この現象は、等温増幅反応において3’端末にミスマッチを有する増幅プライマーを利用する際、アレル間の識別能を損なうかもしれない。さらに、増幅プライマーが標的とのミスマッチを修正できることも、これらの観測に寄与するかもしれない。増幅プライマーは、それらを生成する増幅プライマーに完全一致したアンプリコンを生成し、したがって、アレル識別の基礎を排除する。対照的に、そのような「修正」は、シグナルプライマーでは起こらない。
シグナルプライマーがハイブリッド形成することによって、分析される標的における診断用ヌクレオチドポジションで、正しい塩基対形成がなされるか、またはミスマッチがもたらされるかの決定は、DNAポリメラーゼによる検出プライマー伸長の相対的効率を評価することによって行われる。この決定は、定量的であっても、または定性的であってもよい。シグナルプライマー伸長は、3’末端または3’末端近傍にミスマッチが存在するとき、より効率が悪く、3’末端全体が標的と正しく塩基対形成するとき、より効率が良い。すなわち、3’末端近傍で正しい塩基対形成がなされると、比較的多くのシグナルプライマー伸長産物が合成される。本発明の方法によると、伸長したシグナルプライマーは、通常、5’アダプターテール配列によって検出される。アダプターテールは、増幅過程中に複製されて、レポータープローブにハイブリッド形成することで検出できる相補的オリゴヌクレオチドを生成する。レポータープローブによって生成されるシグナルの相対量は、反応中に伸長したシグナルプライマーの量と相関する。異なったシグナルプライマー/レポーターの組合せに伴うシグナルを比較することで、シグナルプライマー伸長の相対的効率が示され、異なるアレル相互の識別が可能となる。
増幅反応中に生成されたシグナルプライマー伸長産物の存在または量を決定する当技術分野で公知の技法が数多くある。第1に、シグナルプライマーの伸長産物は、それらのサイズが増大していることによって、例えば、伸長しなかった検出プライマーからゲル電気泳働で分離することによって、または、固相表面に伸長したシグナルプライマーを選択的に捕捉することによって、検出および/または定量化することができる。しかし、好ましい実施形態では、シグナルプライマーは、シグナルプライマーが伸長され、かつ反応中にその相補体が合成されたときにのみ検出可能な5’アダプター配列を含む。シグナルプライマー相補体は、検出可能なレポータープローブにハイブリッド形成することによって検出される。このような検出可能な標識の一例は、それらが連結されているオリゴヌクレオチドが標的配列にハイブリッド形成して、標的配列上で伸長される際に、蛍光偏光の変化を示す蛍光色素である。蛍光偏光の変化を利用して、シグナルプライマーのハイブリッド形成および伸長を検出する方法については、特許文献17、特許文献18、および特許文献19に記載されている。これらの特許は、標的増幅を検出するために、シグナルプライマーが二本鎖(標的配列上でシグナルプライマーがうまく伸長することで可能となる)になったときに起こる蛍光偏光変化の使用を記載するものである。本発明の方法では、蛍光標識されたレポータープライマーの蛍光偏光変化を、伸長効率を評価するために、または、増幅されている標的中のSNPを検出または同定するために用いることができる。
プライマー伸長を示すシグナルにおいて検出可能な変化を示す標識の第2の例は、蛍光ドナー/クエンチャー色素対である。クエンチャー色素も、蛍光体であってもよいが、必ずしもその必要はない。ドナーおよびクエンチャーが近接しているとき、ドナー蛍光は消光される。これらの色素がさらに離れるように動かされるのに従って、消光は減少し、ドナー蛍光は増強される。標的核酸を検出するために、標的存在下において色素間の距離を広げるさまざまな機構で、そのようなドナー/クエンチャー色素対を使用することについては、特許文献7;特許文献5および特許文献20に記載されている。シグナルプライマー増幅システムにおけるドナー/クエンチャー色素対の使用と、増幅されていない標的、または増幅後の標的を検出するための伸長可能なプライマー/プローブにおけるドナー/クエンチャー色素対の使用との両方が開示されている。本発明では、本発明のレポータープローブは、ドナー/クエンチャー色素対で標識され、当技術分野で公知であるように、標的中のSNPを検出および/または同定するために利用できる。
以上の参照で開示されているように、さまざまなプライマー伸長検出システムは、本質的にはどのような核酸増幅反応における使用に関しても公知である。これらは、プライマー伸長の迅速かつリアルタイムの検出を提供する等温増幅反応に、特に適している。本発明の方法では、シグナルプライマーは、シグナルプライマーがうまく伸長されたときのみに検出可能なアダプター配列を含むことができる。好ましい実施形態は、シグナルプライマー伸長産物を検出するために、ドナー/クエンチャー色素対を用いる。本発明のシグナルプライマーは、SDAに加えて、他のプライマー伸長増幅法(例えば、PCR、3SR、TMA、またはNASBA)で使用するために適合させることもできることは、明白であろう。例えば、この方法は、PCR増幅プライマーを置き換えて、さらに5’→3’エキソヌクレアーゼ活性をもたず、ストランドを置換するDNAポリメラーゼ(例えば、Promega社のシークエンシンググレードTaq、またはNew England BioLabs社のexo−Vent、もしくはexo−Deep Vent)を用いることによって、PCRでの使用に適合させることができる。シグナルプライマーは、PCR増幅プライマーより下流で標的にハイブリッド形成する。これらは、本質的にはSDAのために記載されたように、伸長され、標的から置換され、そして二本鎖にされる。シグナルプライマー5’アダプター配列の相補体を含む一本鎖のオリゴヌクレオチドは、二本鎖二次増幅産物の変性と、それに続く、レポータープローブ中の標識されたレポーター部分の相補的ストランドを合成するためのレポータープローブのハイブリッド形成、およびポリメラーゼ伸長とによって生成される。SDAシステムにおいてと同様に、直接的または間接的な、相補的ストランドの合成は、ドナーおよびクエンチャー色素の近接性の変化を提供し、蛍光消光の程度を変化させる。それに伴う、強度などの蛍光パラメターの変化は、標的増幅を示す指標として機能する。
本発明の方法を、3SR、TMAまたはNASBAに適合させるには、シグナルプライマーを増幅プライマーの下流でRNA標的にハイブリッド形成させ、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性をもたず、ストランドを置換する活性をもつ逆転写酵素を用いる。前に記載されたものと同様の反応スキームにおいて、ハイブリッド形成したシグナルプライマーは、1)伸長され、さらに、2)上流の増幅プライマーの伸長によって置換される。置換されたシグナルプライマー伸長産物は、次に、RNAポリメラーゼプロモーターを含有する、第2の増幅プライマーのハイブリッド形成および伸長によって完全な二本鎖にされる。このプロモーター配列は、第2の増幅プライマーの5’テール上に位置し、シグナルプライマー伸長産物の3’末端の伸長によって二本鎖にされる。RNAポリメラーゼは、二本鎖のプロモーターから、シグナルプライマー伸長産物に相補的なRNAコピーを生成する。RNAコピーそれぞれの3’末端は、シグナルプライマーのアダプター配列に相補的な配列を含有している。この配列はその後レポータープローブの相補的な領域にハイブリッド形成する。レポータープローブが伸長可能である場合、逆転写酵素は、RNAテンプレート上でプローブの3’末端を伸長して、レポータープローブ伸長産物を生成するだろう。次に、RNアーゼHによってこのヘテロデュプレックスのRNA鎖を分解して、レポータープローブ伸長産物を遊離し、これがプロモーター配列を含有する第2の増幅プライマーとハイブリッド形成するだろう。プロモーター配列の二本鎖形態への変換は、RNA合成の新規のラウンドが開始させ、レポータープローブ伸長産物に相補的で、完全なレポーター部分配列を含む産物を生成するだろう。レポータープローブをこれらのRNA標的にハイブリッド形成することによって、レポーター部分のアンフォールディングが引き起こされ、ドナー色素とクエンチャー色素とが分離されて、消光が減少するため、シグナルが生成されるだろう。さらに、上述のように、レポータープローブはRNA標的上で伸長されるだろう、そして、サイクルは反復されるだろう。
レポータープローブが伸長可能でない(キャッピングされている)場合、シグナルプライマーのアダプター配列は、アダプター配列の相補体がレポータープローブのレポーター部分にハイブリッド形成するような配列を含有するものを選択しなければならない。この反応は、キャッピングされたレポータープローブが伸長されず、シグナルプライマー伸長産物のRNA相補体がキャッピングされたレポータープローブ(レポーター部分を含む)にハイブリッド形成することを除けば、上述の通りに進行する。レポーター部分がアンフォールディングして、ハイブリッド形成中にドナー蛍光の消光が軽減するので、シグナルが生成されるだろう。
バックグランドを減少させるために、本発明のシグナルプライマーは、上述のように、シグナルプライマー伸長産物が上流の増幅プライマーの伸長によって置換されることで標的配列から分離されるようにして用いることが好ましい。しかし、様々な核酸増幅反応に用いられることが公知の増幅プライマーは、それ自体、そのプライマーが適切なアダプター配列を含有する場合、レポータープローブのハイブリッド形成に用いることができるのは、明白であろう。この実施形態では、SDAプライマーのアダプター配列は、SDAを引き起こすニッキング可能な制限エンドヌクレアーゼ部位と、標的結合配列との間に位置する。このプライマーを用いたSDAは、レポータープローブに相補的な配列を、その3’末端に含有する増幅産物を生成するだろう。レポータープローブがこの相補配列に結合することで、上述同様に、シグナルが生成するだろう。PCRおよびNASBAでは、増幅プライマーは、シグナルプライマーに関する上の記載のように、非相補的な5’テールの添加によって修飾されている。NASBAの場合では、RNAポリメラーゼプロモーターをもたないプライマーが、5’アダプター配列で修飾されるプライマーである。シグナルプライマーに関する上の記載と同様、PCRおよびNASBAの反応中に、アダプターを含有するプライマー伸長産物の相補体は、生成される。これらの相補配列は、熱変性(PCR)、またはRNAテンプレートの酵素分解(NASBAでは、RNアーゼH)によって一本鎖にされ、その後、シグナルプライマーに関する上の記載のように、一本鎖の相補体がレポータープローブに結合する。増幅プライマーをシグナルプライマーとして使用することによって、反応における別のシグナルプライマーの必要性を排除するが、この実施形態ではバックグランドが高くなるので、アッセイの感度が低下する場合がある。
他の代わりとなる実施形態では、本発明のシグナルプライマーは、標的配列を検出するのに、非増幅性のアッセイ形式で用いることもできる。標的を増幅しない第1の実施形態では、シグナルプライマーの3’一本鎖標的結合配列は、標的配列の3’末端にハイブリッド形成し、それにより、5’アダプター配列は5’オーバーハングを形成する。標的配列は、シグナルプライマーに相補的なストランドを合成するためのプライマーとして機能し、ポリメラーゼを用い、テンプレートとして5’オーバーハングを用いることで標的配列を伸長する。シグナルプライマーの標的結合配列が標的配列の一部のみにハイブリッド形成する場合には、標的配列も5’オーバーハングを形成し、シグナルプライマーは、同様に、標的の5’オーバーハングをテンプレートとして用いることで伸長できる。あるいは、本発明のこの実施形態では、標的配列のコピーの合成は必要でないので、シグナルプライマーは伸長できないものであってもよい。どちらの場合でも、シグナルプライマーのアダプター配列の相補体は生成される。2本のストランドが分離される際、標的中のシグナルプライマーアダプター配列の相補体は、レポータープローブの3’末端にハイブリッド形成し、アダプター配列相補体の陥凹3’末端をポリメラーゼ伸長することによって、標識されたレポーター部分を二本鎖にするだろう。特許文献10に記載された反応にまさる、この実施形態の利点は、オーバーハングの使用によって、2ステップではなく、1ステップの伸長で、アダプター配列の相補体を生成することが可能になるということである。すなわち、アダプター配列の相補体は、オリジナルの標的に直接付加され、したがって、増幅を必要とすることなく、標的の検出が可能となる。標的を増幅しない第2の、本発明の好ましい実施形態では、シグナルプライマーは、標的の内部配列にハイブリッド形成し、追加のプライマー(通常、「バンパー」プライマーと呼ばれる)がシグナルプライマーの上流にハイブリッド形成して、これを置換する。シグナルプライマーおよびバンパープライマーは、伸長されて、シグナルプライマー伸長産物が標的配列から置換される。プライマーの第2対が伸長産物にハイブリッド形成して、さらに伸長され、アダプター配列の相補体を含有する下流のプライマー伸長産物は、そのバンパープライマーの伸長によって、シグナルプライマー伸長産物から置換される。レポータープローブは、アダプター配列の相補体にハイブリッド形成し、アダプター配列は、本明細書に記載されているように、伸長されて、レポーター部分の相補体を生成する。これは、鎖置換に依存して相補的ストランドを分離する等温反応であるので、標的は、第1のバンパープライマーの伸長によって、二本鎖となり、それ以降のいかなる反応ステップに参加することもできなくなる。1コピーが生成され、さらに置換されるが、このコピーは、標的の存在を示す指標として検出される標的の部分配列を表し、オリジナルの標的配列あたり、1コピーの部分配列が生成されるのみなので、これは標的増幅であるとはみなされない。
以上の開示は、主として、レポーター部分が蛍光ドナー/クエンチャー色素対で標識され、レポーター部分の相補体の生成が蛍光の増加によって検出される、好ましい実施形態に関する。この標識システムは、リアルタイムで、および/または均質なアッセイ(すなわち、検出前に標識が分離されない)によって、相補体生成の検出を可能にする。しかし、本発明で有用な他の標識も、当業者には明らかであるだろう。例えば、単一の蛍光標識をレポーター部分に用い、レポーター部分の相補体の存在下における、蛍光偏光の変化を検出することもできる(特許文献4を参照)。非蛍光性標識も有用である。例えば、レポーター部分は、親油性色素で標識され、かつレポーター部分の相補体の存在下で切断される制限部位を含有することもできる(特許文献3を参照)。あるいは、レポータープローブは、放射性同位元素標識されてもよく、レポーター部分の相補体の生成によって生じる産物は、電気泳働で分離し、オートラジオグラフィーで可視化することができる。免疫標識を用いることもできる。ハプテンによって標識されたレポータープローブは、レポーター部分の相補体の生成後に、まず反応しなかったレポータープローブを取り除き(例えば、アダプター特異的に固相表面に捕捉することによって)、次に、反応したレポータープローブ上のハプテン標識を、標準的な化学発光か、または比色分析ELISAで検出することによって、検出することができる。ハプテンの代わりに、ビオチン標識に代えて、当技術分野で公知の方法を用いて検出することもできる。
レポーター部分の相補体の存在を示す標識は、反応における選択された終了点で検出できる。しかし、ドナーとクエンチャーとの間の距離が広がっているオリゴヌクレオチドは、ハイブリッド形成およびプライマー伸長と同時に生成されるので、標識は、反応が起こっているときに、すなわち、「リアルタイムで」、モニターすることもできる。この均質、かつリアルタイムのアッセイ形式は、存在する標的の初期量を示す準定量的または定量的な情報を提供するのに用いることができる。例えば、反応中に(標的増幅の一部として、または非増幅性検出法において)標識(例えば、蛍光強度)が変化する速度は、標的の初期レベルを示す指標である。結果として、標的配列の初期コピーがより多く存在するときには、標識は、選択された閾値により迅速に到達する(すなわち、より短い時間で陽性になる)。さらに、反応過程中に標識が変化する速度は、含有される標的の初期量が多い試料では、含有される標的の初期量が少ない試料より、迅速である。このような測定、または当技術分野で公知の他の測定は、標的の存在を示す指標として、または、標的増幅を示す指標として行うことができる。標的の初期量は、通常、実験結果を、既知量の標的における結果と比較することで決定される。
当技術分野で公知の多数のドナー/クエンチャー色素対が、本発明の好ましい実施形態で有用である。これらには、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)/テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、FITC/テキサスレッド(商標、Molecular Probes社)、FITC/N−ヒドロキシスクシンイミジル 1−ピレンブチラ−ト(PYB)、FITC/エオシンイソチオシアネート(EITC)、N−ヒドロキシスクシンイミジル 1−ピレンスルホネート(PYS)/FITC、FITC/ローダミンX、FITC/テトラメチルローダミン(TAMRA)などが含まれる。特定のドナー/クエンチャー対の選択は、あまり重要でない。エネルギー移動消光機構としては、ドナーフルオロフォアの発光波長がクエンチャーの励起波長とオーバーラップしていることのみが必要であり、すなわち、2つの色素間の効率的なエネルギー移動を可能にするのに十分なスペクトルオーバーラップ、電荷移動、または蛍光消光がなければならない。P−(ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)は、例えば、フルオレセイン、または5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン(EDANS)のような、隣接したフルオロフォアからの蛍光を、効果的に消光する非蛍光性クエンチャー色素である。特定のドナー/クエンチャー対が上記に例示され、そして、以下の実施例にも例示されているが、他のものも当業者には明白であり、また、本発明においても有用である。本発明のレポータープローブで蛍光消光を生じるどのような色素対も、消光が起こる機構にかかわらず、本発明の方法において有用である。端末標識法、および内部標識法も、当技術分野で公知であり、レポータープローブ中のそれぞれの部位で、ドナーおよびクエンチャー色素に連結するのに日常的に使用することができる。
本発明によるシグナルプライマーを含有する鎖置換増幅反応は、本質的には、合成標的配列の検出に関する特許文献2に記載されているように行った。第1の反応は、標的配列106コピー、合成標的配列の増幅に適当なSDA増幅プライマー、標的に特異的な標的結合配列とレポータープローブの3’配列に同一な5’テール配列とを含む本発明によるシグナルプライマー100nM、ならびにレポータープローブ200nMを含有した。レポータープローブの配列は、フルオレセインおよびローダミンX(Rox)に隣接した5’領域にRERSを含有し、RERSが無傷なときにはフルオレセイン蛍光が消光されるようにした。シグナルプライマーおよびレポータープローブの配列(5’から3’方向に示す)を以下に示す。標的結合配列を斜字体で示し、シグナルプライマーにおける5’アダプター配列、およびレポータープローブにおける同一の3’配列にアンダーラインを引き、レポータープローブのRERSは太字である。
第2の反応は、標的を含まず、第1の反応と同じシグナルプライマーを含有した。第3の反応は、106コピーの標的、およびレポータープローブのみを含有した(すなわち、シグナルプライマーを含まない)コントロール反応であった。フルオレセイン蛍光は、増幅反応中にリアルタイムで検出した。図5に示すように、ドナー蛍光は、標的の非存在下では弱く、かつ定常的に維持された。これは、レポータープローブのRERSが二本鎖形態に変換されておらず、また、切断されていないため、反応中終始、蛍光消光があることを示す。シグナルプライマーの非存在下では、ドナー蛍光は、増幅反応中終始、消光されたままであった。しかし、標的、シグナルプライマー、およびレポータープローブの存在下では、ドナー蛍光が初めは弱かったが、増幅反応過程中に、レポータープローブのRERSが二本鎖形態に変換され、さらに切断されて、蛍光消光の程度を減少させるに従って、増強された。これらの結果は、本発明のシグナルプライマーおよびレポータープローブを用いて、蛍光消光の程度の変化をモニターすることで、核酸標的配列を検出できることを実証する。
それぞれが同一の配列をもつが、異なったドナー/クエンチャー色素対で標識された2つのレポータープローブのうち1つと組み合わせて、様々なシグナルプライマーを使用した同様の実験において、0コピーおよび250コピーのクローニングしたHIV標的DNAの検出を行った。シグナルプライマーおよびレポータープローブの配列を、以下に、5’から3’方向に示す。標的結合配列を斜字体で示し、シグナルプライマーの5’アダプター配列、およびレポータープローブの同一の3’配列にアンダーラインを引き、レポータープローブのRERSは太字である。
これらのシグナルプライマーは、標的結合配列およびレポーター結合配列の長さおよびTmが異なっていた。フルオレセイン蛍光は、増幅中にモニターした。レポータープローブ/シグナルプライマーの組合せを比較するために、結果は、蛍光カーブの下の領域、すなわち「MOTA」として表した。曲線下面積がより大きいほど、特定のレポータープローブ/シグナルプライマーの組合せで生成された蛍光がより多く、また、増幅産物の検出がより効率的である。両方のレポータープローブは、すべてのシグナルプライマーとの組合せにおいて、HIV標的を検出するのによく機能したが、効率としては、概ね、ヘアピンレポーター部分を含有するレポータープローブほど良くはなかった。しかし、これらのような直鎖状レポータープローブは、2次構造を含有するレポータープローブより短く、したがって、より簡単に、より高い収率で合成される。フルオレセイン−dabcylレポータープローブを用いることで、より高いMOTA値が得られた。これは、この色素対が、より高い消光効率をもちうることを示唆する。
SDA反応は、実施例1に示した様々なシグナルプライマー、0コピーまたは5000コピーのクローニングされたHIV標的、およびレポータープローブを含有するように調製した。レポータープローブの配列は以下の通りであった。
配列番号16は、5’末端のヘアピン構造における一本鎖ループに、BsoBI RERSを含有している。SDA反応は、500nMのSDA増幅プライマー、50nMのバンパープライマー、ならびにそれぞれ200nMのシグナルプライマーおよびレポータープローブを含有した。ローダミン蛍光は、増幅中にモニターした。シグナルプライマー/レポータープローブのそれぞれの組合せで、ローダミン蛍光は、標的存在下において、増幅反応中に増強された。標的の非存在下では、ローダミン蛍光は反応中終始、弱いままであった。これらの反応のうち1つの結果を、図6Aに示す。これは、シグナルプライマー配列番号3の結果であり、複数のカーブは反復試料を表す。これらの結果は、アダプター配列の長さおよびTmがアッセイの効率に有意な影響を与えらなかったことを示す。しかし、シグナルプライマーにおける標的結合配列のTmは、シグナル生成に影響を与え、より長い標的結合配列を含むシグナルプライマーは、より短い標的結合配列を含むシグナルプライマーより、よい効率を示した。
配列番号16を含めた3つの異なったレポータープローブを用いて、実験を反復した。追加されたレポータープローブは以下の通りであった。
この実験では、上流の増幅プライマーの濃度を100nMまで低下させた。増幅は、0コピー、または250コピーの標的DNAの存在下で行った。標的を含有する反応は、5分間という短いインキュベーションの後に、フルオレセイン蛍光の急速な増強を示した。対照的に、標的を含まない反応では、反応時間中終始、弱いフルオレセイン蛍光を示した。配列番号8と配列番号17を含有する反応の結果を図6Bに示すが、複数のカーブは反復試料を表す。レポータープローブ/シグナルプライマーの組合せでは、配列番号16/配列番号4、および配列番号17/配列番号8が同様のMOTA値を示し(それぞれ62147、および66051)、配列番号18/配列番号12の組合せは、効率がこれらより悪く(MOTA=49879)、プローブおよびプライマーの長さがより短いことで、ハイブリッド形成および変換の効率がより悪くなっていることを示唆する。
この実験では、ヘアピンと、切断可能ではなくニッキング可能なBsoBI RERSとを含むレポータープローブをSDAでテストした。レポータープローブは、以下の配列(配列番号19、TBD13.1)を有した。
このレポータープローブは、シグナルプライマーとして配列番号4と併せて増幅反応で用いた。250コピーのHIV標的DNAの存在下において、48000の平均MOTA値が得られ、ネガティブコントロールで得られた150未満のスコアと比較された。同じ3’テール配列を有するレポータープローブ配列番号16と比較して、より低いMOTAスコアが観測されたのは、BsoBI部位のニッキングの後に残される短鎖オリゴヌクレオチドから、ポリメラーゼをプライミングする効率が良くないことによるかもしれない。反応の性能は、ヘアピンの長さを延長して、このオリゴヌクレオチドを安定化させ、ポリメラーゼが結合するためのさらに大きな領域を提供することによって、高められるかもしれない。
この実験では、レポーター部分としてグアニンカルテット構造およびRERSを含有するレポータープローブを用いて、SDAを行った。このレポータープローブは、以下の配列(配列番号20、TBD14)を有した。
フルオレセイン蛍光の増強が、250コピーのHIV標的DNAの増幅過程中に観測された。標的の非存在下では、そのような蛍光の増強は観測されなかった。
この実験では、ヒトβ2AR遺伝子内の配列変異と、その上流5’非翻訳領域中の配列変異とを標的として用いて、本発明の方法による6つの異なったアダプターで媒介されるSNP検出システムの開発を行った。2つのバンパープライマー、2つの増幅プライマー、および2つのアレル特異的なシグナルプライマーを含むSDAシステムを、6か所のSNP部位(−654、−367、−47、+46、+491、および+523)(表1、図7)についてそれぞれ設計した。各システム中の、2つのシグナルプライマーは、3’末端から1塩基上流(N−1)に配置された診断用ヌクレオチドを除いて、同一の配列を含んでいた。それぞれのSDAシステムでは、一対の共通のユニバーサルレポータープローブを用いた検出が可能となるように、一対の同一アダプター配列をシグナルプライマーの5’末端に付加した。シグナルオリゴヌクレオチドの変異ポジションは、アデノシン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)またはチミン(T)を含有した。この研究が目的とするところでは、「野生型」アレル(または、アレルA)とは、GeneBank(登録番号M15169)に示されている配列のことをいい、一方、「変異体」(または、アレルB)とは、それに代わりうる別のヌクレオチド(SNP)を表す。6か所の標的SNPそれぞれのアレルAおよび/またはアレルBを含有するβ2AR標的配列は、プールされたヒトゲノムDNAから、pUC19中にクローニングした。
6か所のSNPのSDA分析は、以下の通りに行った。簡潔には、クローニングしたβ2AR SNP標的(1反応あたり1x105コピー)を、共通のSDA緩衝液中で、5分間、95℃で変性し、室温に冷却した。変性した標的は、SDAプライマー、バンパープライマー、2つのアレル特異的シグナルプライマー、およびユニバーサルレポータープローブ(表1)を含有したプライミングマイクロウェルに添加した。標的−プライマー混合物は、5分間、室温でインキュベートした。その後、プライミングマイクロウェルは、起こったかもしれないどんな非特異的ハイブリッド形成も変性されるように、10分間、72℃で加熱した。同時に、乾燥したBst DNAポリメラーゼ、およびBsoBI制限酵素を含有した増幅マイクロウェルを、52℃で事前に平衡化させた。100μLの標的プライマーミックスを増幅マイクロウェルに移し、密封して、ProbeTec(商標)ETシステムにおいて、52℃で、インキュベートした。最終反応液は、燐酸カリウム(pH7.6)24.5mM、ビシン101mM、水酸化カリウム82mM、ジメチルスルホキシド(DMSO)12.5%、酢酸マグネシウム5mM、アセチル化ウシ血清アルブミン10μg、上流プライマー100〜500nM、下流プライマー100〜500nM、バンパープライマー50nM、シグナルプライマー100〜250nM、レポータープローブ150〜500nM、デオキシアデノシン三リン酸0.1mM、デオキシグアノシン三リン酸0.1mM、チミジン三リン酸0.1mM、2’−デオキシシチジン 5’−O−(1−チオトリホスフェート)S異性体0.5mM、Bst DNAポリメラーゼ約120ユニット、およびBsoBI制限酵300ユニット素を含有していた。
特定の増幅産物は、適切なシグナルプライマー相補体へのレポータープローブのハイブリッド形成、これに続くシグナルプライマー相補体の伸長、およびその結果得られた二本鎖産物の切断に伴う蛍光強度の変化をモニターすることで検出した。反応過程中、毎分、ウェルごとに、フルオレセイン(FAM)(変異体シグナル)計測1回と、ローダミン(ROX)(野生型シグナル)計測1回とを行った。各試料のFAM蛍光、およびROX蛍光の計測値を60分より長い時間プロットした。野生型標的のみを含有するSNP反応では、時間と共に増強するROX蛍光があったが、これと比較して、FAM蛍光の増強は目立たないものであった。対照的に、変異体標的DNAを含有する試料の蛍光プロフィールは、その逆であった。野生型DNA標的および突然変異DNA標的の両方を含有する試料では、両方の光学範囲で蛍光が増強し、試料中に両方のアレルが存在することを示した。
アレル特異的な蛍光シグナルは、SNP V2.6アルゴリズム(整理番号020187.0150)を用いて分析した。最大密度計量(ROXシグナルおよびFAMシグナルの比率から得られる(ln(ROX/FAM))を用いて、どのアレルが試料中に存在するかを決定した。高い正の数(通常>1.0)はアレルA(ホモ野生型)を示し、低い負の数(通常<−1.0)はアレルB(ホモ変異体)を示し、ゼロに近い値(通常−1.0から+1.0)はアレルAおよびアレルB両方の混合物の存在(異形接合)を示した(図8)。
図9A〜Dは、−654 SNPを含有する、クローニングされたβ2AR標的の遺伝子型決定で得られた結果を示す。どの場合も、SDA結果は、クローニングされたDNA標的の配列分析に基づく結果と相関させた。標的配列に対して完全な相補性を有するシグナルプライマーは、優先的に伸長され、診断用ヌクレオチドの位置にミスマッチを含有したものに優先して検出された。
β2AR遺伝子における同一の増幅標的領域にある2か所のSNP部位の配列変異は、個々のSNPそれぞれに特異的なシグナルプライマーと共に、対象とする領域にまたがった1対のSDAプライマーを設計することによって検出された。実施例5と同様、シグナルプライマー中の診断用ヌクレオチドは、3’末端から二番目の位置(N−1)にある残基に配置した。増幅プライマー、バンパープライマー、シグナルプライマー、およびレポータープローブ配列は、表1に記載した。共通の増幅プライマーの用いることによって、近接した複数の配列アレルまたは配列変異の同時同定が可能となる。本発明の方法によると、1セットの増幅条件(緩衝液、酵素濃度、温度など)における1回の反応で、複数の配列アレルを同定する便利で、信頼できて、安価な方法が提供できる。
β2AR遺伝子のアミノ酸164(ヌクレオチド+491)、およびアミノ酸175(ヌクレオチド+523)における単一ヌクレオチド変異は、2か所の標的SNPに特異的なアレル特異的診断用シグナルプライマーと併せて、共通の増幅プライマー、バンパープライマー、およびレポータープローブを用いることで検出、同定した。実施例5と同様、野生型という用語は、GeneBank登録番号M15169に記録された配列のことをいい、変異体はそれに代わりうる別のアレルを表す。+491ヌクレオチドポジションでは、野生型アレルはCであるが、変異体アレルは、この位置でTである。このヌクレオチド変異は、トレオニンからイソロイシンへのアミノ酸変異を引き起こす。+523ヌクレオチドポジションでは、野生型アレルはCであるが、変異体アレルは、この位置でAである。
SDAは、概ね、実施例5で記載したように行った。100μLの各反応液中の成分最終濃度は、ビシン 101mM、KOH 82mM、KiPO4(pH7.6)24.5mM、MgOAc 5.0mM、dTTP、dGTP、dATP 各0.1mM、dCTPαS 0.5mM、アセチル化ウシ血清アルブミン 10μg、BsoBI 約300ユニット、Bstポリメラーゼ 約120ユニットであった。増幅の標的は、β2AR遺伝子の491位および523位に、野生型または変異体ヌクレオチドを含有するクローニングされた二本鎖DNA塩基配列から成るものであった。
SDA反応は、105コピーの標的存在下において52℃で行った。コントロール反応は、標的DNAを含有しなかった。反応過程中、毎分、ウェルごとに、FAM(変異体シグナルを検出する。)計測1回と、ROX(野生型シグナルを検出する。)計測1回を行った。各試料タイプの蛍光計測値を60分より長い時間プロットした。両SNPアッセイで、野生型標的のみを含有する反応では、時間と共に有意に増強するROX蛍光があったが、これと比較して、FAM蛍光の増強は比較的目立たないものであった。対照的に、変異体標的DNAを含有する試料の蛍光プロフィールは、その逆であった。野生型DNAおよび突然変異DNAの両方を含有する試料では、両方の光学範囲で蛍光が増強し、試料中に両方のアレルが存在することを示した。SNP +491および+523のシステムに関するクローニングされたβ2AR SNP標的から得られた最大密度の結果を、表2に示す。これらの結果は、2つの増幅プライマーの間にあるDNA領域中の多数のアレル変異を検出するための本発明の方法の実現可能性を確認するものである。
この実施例では、本発明の方法による、ヒトβ2AR遺伝子中の6か所のSNP検出を実証する。開示されたプライマーおよびアッセイシステムは、最も一般的な5対のβ2ARハプロタイプの同定を可能にする(非特許文献8を)。ハプロタイプ分析は、薬理ゲノム学という新興分野においてますます重要になってきているが、この分野において、表現型は、通常、ゲノム全体にまたがる数か所の遺伝子座の相互作用によるものである。個別のSNPに基づく予測に威力がない状況では、複数のSNP検出が重要である。開示された発明の利点は、共通の増幅条件(緩衝液、酵素、温度など)を用いて多数の遺伝子座の遺伝子型決定ができることであり、それによって、既存の方法にまさる、改善された作業フローと、使いやすさとを提供することである。6か所のSNPをアッセイするプライマー、アダプター、およびプローブの配列は、表1に記載する。各アッセイシステムでは、シグナルプライマーの診断用ヌクレオチドは、3’末端から二番目の位置(N−1)にある残基に配置され、これによって、非特異的なプライミングを減少させ、識別能を増強する。
β2AR遺伝子の5’上流配列およびコード配列中の、ヌクレオチド−654、−367、−47、+46、+491、および+523における単一ヌクレオチド変異は、本質的には、実施例2に記載されているように検出した。増幅の標的は、β2AR遺伝子における6か所の標的SNP遺伝子座すべてにまたがる、約1.5kbのクローニングされた二本鎖DNA塩基配列2つから成った。個別のクローンは、配列分析で遺伝子型決定した。各SNPのヘテロ接合標的プールを生成するために、野生型クローンおよび変異体クローンの均等混合物を調製した。反応は、実施例5で記載したように、105コピーの標的存在下において52℃で行った。コントロール反応は、標的DNAを含有しなかった。反応時間60分間の反応過程中、毎分、ウェルごとに、FAM(変異体シグナル)計測1回と、ROX(野生型シグナル)計測1回とを行った。所定の遺伝子座における野生型標的のみを含有するSDA反応では、時間と共に有意に増強するROX蛍光があったが、これと比較して、FAM蛍光の増強は比較的目立たないものであった。対照的に、変異体標的DNAのみを含有する試料の蛍光プロフィールは、その逆であった。特定の遺伝子座における野生型標的および突然変異標的の両方を含有する試料では、両方の光学範囲で蛍光が増強し、試料中に両方のアレルが存在することを示した。
実施例5で記載されるように、ROX対FAM蛍光の比率はそれぞれのSNP遺伝子座に存在しているヌクレオチド塩基を決定するのに用いた。6か所のSNP部位すべてからの結果を併せて、クローニングされた標的それぞれのハプロタイプを提供した。どちらの場合でも、各遺伝子座の特定のアレル、および全ハプロタイプは、DNA配列分析(表3)と一致した。
増幅プライマーの標的ハイブリッド形成領域が、シグナルプライマーの標的ハイブリッド形成領域(表1、図4)とオーバーラップするように、−367 β2AR SNPの改変SDAプライマーを設計した。増幅/検出システムにおける2つのオリゴヌクレオチド間の競合的ハイブリッド形成については、核酸の定性的検出および定量的検出のために、以前に記載されている(特許文献12。この開示を参照により本明細書に組み込む)。−367システムにおける増幅プライマーとシグナルプライマーとの間の広範囲なオーバーラップは、従来のデザインで可能であったものより、全体的に短いアンプリコンを提供した。これは、このSNP周辺の配列が約78%という、ほとんどの増幅方法で推奨されている60%カットオフをはるかに超えた、G−Cリッチであるため、重要な属性である。アンプリコンのサイズを縮小できるということは、さらに活発な増幅反応を提供する可能性を有し、分析感度も損なわれているようには見えない。重要なことは、ほぼ完全にオーバーラップする増幅プライマーおよびシグナルプライマーを設計することによって、必然的に増幅および検出の効率を抑制する非特異的な相互作用に使用されうる配列の量が限定されるということである。
反応混合液の1つに、新規のSDAプライマーが含まれていることを除いて、増幅条件は、実施例5で記載したものと同じであった。反応は、標的アレルA(ホモ接合体)、アレルB(ホモ接合体)、またはアレルAおよびアレルBの混合物(ヘテロ接合体)を含有する106コピーのオリゴヌクレオチドの存在下に、52℃で行った。コントロール反応は、標的DNAを含有しなかった。図10は、従来の−367SNPアッセイの増幅カーブと、オーバーラッププライマーデザインで得られた増幅カーブを示す。両方のSDAシステムで、アレルA、およびアレルBが良好に識別された。
実施例5に記載した実験を、−654SNPのアッセイをするために反復したが、ここで異なる点は、標的結合配列の3’末端側に別のミスマッチを追加するように、2つのシグナルプライマーを改変したことである。人工的に生成されたミスマッチは、3’末端より3塩基の位置(N−3ポジション)、つまり診断用ヌクレオチド(N−1)より2塩基上流に導入した。これら2つのアレル特異的シグナルプライマーのそれぞれは、実施例5で記載した−654SNPアッセイシステムで用いた他のSDAプライマーと共に使用した。SDA反応は、104コピーまたは106コピーのアレルA(ホモ接合体)を表す合成標的オリゴヌクレオチド、アレルB(ホモ接合体)を表すオリゴヌクレオチド、またはアレルAおよびアレルBを表すオリゴヌクレオチドの混合物(ヘテロ接合体)を含めて行った。結果は、追加された診断用でない、標的とのミスマッチを含むプライマーを用いて得られたシグナル強度が、元のデザインで得られたシグナル強度より低いことを示した。しかし、改変されたシグナルプライマーによるアレル識別は、大幅に改善されていた(表4)。アレルA標的のみを含有する反応では、強いROXシグナルが得られたが、FAMシグナルは大幅に抑制されていた。アレルB標的を含有する反応では、その正反対であった。アレルAおよびアレルBの混合物が存在した場合、ROXチャネルおよびFAMチャネルの両方でシグナルを得た。
この実施例は、本発明の方法のシグナルプライマーに人工的に生成されたミスマッチを用いることで、アレル識別を強化できることを示す。そのようなミスマッチは、診断用ヌクレオチドの上流に配置しても、または下流に配置してもよく、シグナルプライマーの3’末端で塩基対合を不安定化させ、それによって、ポリメラーゼ伸長の効率を低下させる働きをもつ。これは、塩基対形成および塩基スタッキング相互作用が特に強い、高度にG−CリッチなDNAにあるSNPを識別するために設計されたシステムにおいて、特に重要でありうる。
この実施例は、増幅プライマーにおいて、SDAによる検出を妨害するであろう制限酵素部位を改変または除去するための、診断用でないミスマッチの使用を示す。前述の実施例で記載したSDAシステムでは、Bst DNAポリメラーゼおよび制限酵素BsoBIの協同的な活性によって、増幅が実現した。BsoBI認識配列を含有する標的核酸が相補的なプライマーにハイブリッド形成することによって、酵素切断のための二本鎖基質が形成されるだろう(図3A、B)。あるいは、プライマーがBsoBI認識配列部位の上流でハイブリッド形成し、ポリメラーゼによってこのプライマーが、制限部位を通過して伸長されても、切断可能な基質が形成されるであろう。これらのシナリオのどちらかが起こったとしたら、標的配列はSDAのテンプレートとして機能することができないだろう。ほとんどの診断応用では、SDA酵素の認識部位をもたない標的配列を慎重に選択することで、SDAシステムデザインのこの限界は、容易に克服される。しかし、SNP分析では、標的配列の選択に許容度が全くないため、この限界は、さらに難しい問題として現れる。この問題を克服するために、SDAシステムは、バンパープライマー、または増幅プライマーのハイブリッド形成配列中に、標的との意図的なミスマッチをもつように設計することができる。前述の実施例で記載されたSNP −367システムでは、左の増幅プライマー標的結合配列における標的ハイブリッド形成領域の5’末端より3塩基の位置にミスマッチが合成された(表1)。これは、BsoBI認識配列にC:Aミスマッチを生成し、それによって、プライマー:標的ハイブリットの切断を防止する。同様に、+46、+491、および+523システムでは、左のバンパー配列の中央にミスマッチが生成され、これによってBsoBI酵素による切断を防止する。
この実施例は、標的DNAの反対のストランドにハイブリッド形成するシグナルプライマーを用いた配列変異の検出を示す。このアプローチは、多型検出の効率を低下させるかもしれない分子内相互作用または分子間相互作用(例えば、ヘアピン形成、またはプライマー二量体)を改変、または除去するのに役立つことができる。上述の実施例で記載したSDAシステムでは、特定の多型を検出するために、配列3’末端の診断用ヌクレオチドを除いて同一な標的ハイブリッド形成領域を有するシグナルプライマーペアが設計された。このアプローチを+46 SNPに対するシグナルプライマーの設計に用いた際、アレルBのシグナルプライマーは、強い分子内2次構造(すなわち、ヘアピン)を形成し、このアレルの検出を妨害することがわかった。この相互作用を軽減するために、SNP部位のどちらかの側で、標的ハイブリッド形成領域が標的配列の反対のストランドと相補的になるように、+46 β2AR SNPのシグナルプライマーを設計した。シグナルプライマーの1つは、アレルAを同定するために設計され、フォワード増幅プライマーの標的ハイブリッド形成領域とオーバーラップし、一方、第2のシグナルプライマーは、アレルBを同定するために設計され、リバース増幅プライマーのハイブリッド形成領域とオーバーラップした(図12A)。分子内相互作用、および分子間相互作用をなお、さらに減弱させるために、アレルAおよびアレルBを検出するのに用いられたシグナルプライマーの5’アダプターテールを交換した(すなわち、ROXレポータープローブのアダプター配列を、アレルBのためのシグナルプライマーに付加し、一方、FAMレポーターのアダプター配列を、アレルAのためのシグナルプライマーに付加した)。+46SNP遺伝子座周辺の配列は約68%のG−Cリッチであるので、この領域は、増幅および/または検出を妨害することが公知の過酷な分子内相互作用、および分子間相互作用をもつ傾向が強い。したがって、反対のストランド上にシグナルプライマーをもつアッセイシステムが開発できるということは、アッセイの最適化に重要な柔軟性を提供するものである。
SDAは、概ね、実施例5で記載したように行った。反応は、標的アレルA(ホモ接合体)、アレルB(ホモ接合体)、またはアレルAおよびアレルBの混合物(ヘテロ接合体)を含有する105コピーのオリゴヌクレオチドの存在下に、52℃で行った。コントロール反応は、標的DNAを含有しなかった。+46 SNP遺伝子座にあるヌクレオチドのアイデンティティを決定するために、最大密度(Muximum Density)計量を用いた。結果を標準化するために、従来のシグナルプライマーシステムで得られたデータを、比率In(ROX/FAM)を用いて分析し、一方、反対のシグナルプライマーに基づくシステムで得たデータは、比率In(FAM/ROX)を用いて分析した。これは、シグナルプライマーテール配列の交換によって、アレルAおよびアレルBに関する光学条件の反転が引き起こされたことを反映するものである。従来のアッセイシステムでは、アレルBのシグナルが抑制された。対照的に、反対のシグナルプライマーデザインでは、アレルAのシグナルと、アレルBのシグナルの両方が得られ、両者の間の識別も良好であった。この実施例は、SNP遺伝子座の反対のストランドに設計されたシグナルプライマーを用いて、増幅および/または検出を阻害するかもしれない強い塩基対形成および塩基スタッキング相互作用を除去できることを示す。
β2AR遺伝子中の6か所のSNPを、本発明のアダプターに媒介された検出システムを用いて、ヒト血液試料中で直接検出した。SDAは、いくらかの変更を加え、実施例7で記載したように行った。ビシン 101mM、KOH 82mM、KiPO4(pH7.6)24.5mM、MgOAc 5.0mM、dTTP、dGTP、dATP 各0.1mM、dCTPαS 0.5mM、アセチル化ウシ血清アルブミン 10μg、BsoBI 約300ユニット、Bstポリメラーゼ 約120ユニットを含む、最終反応容積100μLのSDA成分に、8個体からの全血を混合した。各反応あたり、20μLの血液を直接SDA増幅緩衝液と混合し、100℃で5分間加熱し、10000×gで1分間遠心分離し、SDA反応液に直接移した。最終反応混合物は、13容積%の血液を含有した。SDAによる6か所のSNP遺伝子座の分析から得た結果を、PCR産物の直接配列決定、および市販のDNA精製法(QIAamp(登録商標)DNA Blood Mini Kit)によって処理された血液から得た結果と比較した。各アッセイシステムで、野生型標的のみを含有するSDA反応は、時間と共に有意に増強するROX蛍光を示したが、これと比較して、FAMシグナルの増強は目立たないものであった。対照的に、変異体標的DNAを含有する試料では、その逆であった。ヘテロ接合体標的を含有する試料では、両方の光学チャネルで蛍光が増強し、試料中に両方のアレルが存在することを示した。データは、実施例5で記載されるように収集、分析して、6か所のSNP遺伝子座全てのSDAベース分析の結果を表5にまとめた。すべての場合で、SDAベース分析は、配列データと完全に一致した。表6は、β2AR遺伝子のヌクレオチド−654に関する、SDA SNP検出を、DNA配列決定分析と比較した代表的なデータを示す。
試料処理をせずに、血液から直接増幅して良好なアッセイができることは、予想外のことであった。重要な操作を経ておらず、核酸を単離および精製していない血液では、ほとんどの増幅操作が阻害されることを示唆した文献が多数ある。これらの結果は、本発明のSDAベースのシステムは、作業フローおよび結果までの時間という点において、核酸を増幅、検出する前に、数分間から何時間ものDNA精製を必要とする操作手順にまさる、明確な利点をもつ可能性が高いことを示唆する。
発現した頬側スワブ検体から得た標的核酸を用いて、本発明の方法によりβ2AR遺伝子中のSNPを分析した。4個体から得た頬側スワブ検体は、1mLのSDA緩衝液中で発現され、沸騰水中で5分間加熱し、10000×gで1分間遠心して細胞残骸を沈殿させた。上清中の変性した標的DNAは、追加すべき反応成分と混合して、101mM ビシン、KOH 82mM、KiPO4(pH7.6)24.5mM、MgOAc 5.0mM、dTTP、dGTP、dATP 各0.1mM、dCTPaS 0.5mM、アセチル化ウシ血清アルブミン 10μg、BsoBI 約300ユニット、Bstポリメラーゼ 約120ユニットを含む、最終反応容積100μLとした。データは、実施例5で記載されるように、収集、分析した。SDAの結果は、PCR増幅された標的の直接配列分析と比較した。野生型標的のみを含有するSDA反応は、時間と共に有意に増強するROX蛍光を示したが、これと比較して、FAMシグナルの増強は目立たないものであった。変異体標的DNAを含有する試料では、逆の結果を得た。ヘテロ接合体標的DNAを含有する試料では、両方の光学範囲で蛍光が増強し、試料中に両方のアレルが存在することを示した。−654遺伝子座に関する、頬側スワブ検体から得たSDAベース分析の結果は、配列データと完全に一致した(表6)。頬側スワブ検体からの直接的なSNP分析は、作業フローおよび結果までの時間という点において、核酸を増幅し、検出する前に、数分間から何時間ものDNA精製を必要とする操作手順にまさる、明確な利点を提供する。試料処理がないことと同様に、非侵襲的性質の頬側スワブの採取は、頬側スワブ検体を遺伝子型決定およびハプロタイプ分析のための魅力的な試料タイプにするものである。
第1採集尿から回収した標的DNAを用いて、本発明の方法により、β2AR −654 SNP遺伝子座を分析した。SDAは、いくらかの改変を加え、概ね、実施例5で記載したように行った。4個体のそれぞれから得た2mLの尿を、1000×gで遠心し、存在するどのようなヒト細胞も濃縮した。上清をデカントで除き、細胞ペレットをTE 50μLおよびSDA緩衝液 250μLに再懸濁した。その後、細胞懸濁液を100℃で5分加熱して、細胞を溶解し、標的核酸を変性させた。標的−緩衝液混合物120μLを、実施例5で記載したように、プライミングマイクロウェルに添加した。その後、プライミングマイクロウェルの内容物を増幅マイクロウェルに移すことによって、増幅を開始した。各最終反応容積100μLは、ビシン 101mM、KOH 82mM、KiPO4(pH7.6 )24.5mM、MgOAc 5.0mM、dTTP、dGTP、dATP 各0.1mM、dCTPαS 0.5mM、アセチル化ウシ血清アルブミン 10μg、BsoBI 約300ユニット、Bstポリメラーゼ 約120ユニットを含有した。SDAベースのSNP分析の結果は、尿を提供した個体の血液から得られたゲノムDNAの直接配列決定によって得られた結果と比較した。すべての場合で、SDAベースの結果は配列データと完全に一致した。β2AR遺伝子の−654 SNPに関する、代表的なデータを表6に示す。野生型標的のみを含有するSDA反応は、時間と共に有意に増強するROX蛍光を示したが、これと比較して、FAMシグナルの増強は比較的目立たないものであった。変異体標的DNAを含有する試料では、逆の結果が得られた。野生型DNAおよび突然変異DNAの両方を含有する試料では、両方の光学範囲で蛍光が増強し、試料中に両方のアレルが存在することを示した。
頬側スワブ検体(実施例13)から直接的に遺伝子型決定できることと同様に、試料タイプとして尿を使用することには、収集の容易さという点で明確な利点を有する。これに関連して、開示された操作手順に必要な試料処理が最小限であることは、作業フローおよび結果までの時間という点において、核酸を増幅し、検出する前に、数分間から何時間ものDNA精製を必要とする操作手順にまさる、明確な利点を提供する。尿試料が容易に利用可能であること、および必要な試料処理が最小限であることによって、尿試料は遺伝子型決定およびハプロタイプ分析のための魅力的な試料タイプとなっている。他の試料タイプ(例えば、爪、髪、血液滴、痰)も、試料処理が全くないか、またはごくわずかである本発明の方法による配列変異の分析に適している場合がある。
発現した皮膚スワブ検体から得た標的核酸を用いて、本発明の方法により、β2AR遺伝子中のSNP −654を分析した。表6の対象Dから得た皮膚スワブ検体は、0.4mLのSDA緩衝液中で発現され、その後これを沸騰水浴中で5分間加熱した。その後、変性された標的DNAは、追加すべき反応成分に混合して、ビシン 101mM、KOH 82mM、KiPO4(pH7.6)24.5mM、MgOAc 5.0mM、dTTP、dGTP、dATP 各0.1mM、dCTPαS 0.5mM、アセチル化ウシ血清アルブミン 10μg、SDAプライマー、バンパープライマー、2つのアレル特異的シグナルプライマー、2つのユニバーサルレポータープローブ、BsoBI 約300ユニット、およびBstポリメラーゼ 約120ユニットを含有する最終反応容積100μLとした。データは、実施例5で記載されるように、収集し、分析した。両方の光学範囲(ROXとFAM)で蛍光が増強し、試料中に両方のアレルが存在することを示した。これらの結果は、血液から得られたゲノムDNAの直接配列決定によって得られた結果、および血液、頬側スワブ検体、および尿から得られた他のSDAベース遺伝子型決定の結果と一致した(表6)。皮膚スワブ検体からの直接的SNP分析は、作業フローおよび結果までの時間という点において、核酸を増幅、検出する前に、数分間から何時間ものDNA精製を必要とする操作手順にまさる、明確な利点を提供する。試料処理がないことと同様に、非侵襲的性質の皮膚スワブの採取は、頬側スワブ検体を遺伝子型決定およびハプロタイプ分析のための魅力的な試料タイプにするものである。
本発明の方法による鎖置換増幅(SDA)反応における、核酸標的配列の検出を示す図である。
レポータープローブ中の蛍光標識された配列がニッキング可能なRERSである場合に、起こりうる追加反応ステップを示す図である。
本発明の方法による配列変異の検出を示す図である。
本発明の方法による配列変異の検出を示す図である。
鎖置換増幅に関与する制限酵素による消化からの標的配列の保護を示す図である。
鎖置換増幅に関与する制限酵素による消化からの標的配列の保護を示す図である。
配列変異を検出するための、オーバーラップした増幅プライマーおよびシグナルプライマーの使用を示す図である。
実施例1の結果を示す図である。
実施例2の結果を示す図である。
実施例2の結果を示す図である。
ハプロタイプ分析に関与する6か所の主要なβ2AR SNPの位置を示す図である。
6種のβ2ARSNPアッセイから実施例5で得た結果を、最大密度アルゴリズムを用いて示す図である。
AからDは、実施例5で、−654 β2AR SNPのアッセイから得られた増幅カーブを示す図である。
−367 β2AR SNPの検出において従来のシグナルプライマーおよびオーバーラップシグナルプライマーを用いて、実施例8で得られたシグナルの比較を示す図である。
実施例9において、アレル識別を強化するためにシグナルプライマーに追加のミスマッチの導入を示す図である。
+46 β2AR SNPの検出のための、標的配列の反対のストランドに向けられた反対のシグナルプライマーの、実施例11における使用を示す図である。
実施例11で、+46β2ARアッセイシステムに反対のシグナルプライマー配置を用いて得られた結果を示す図である。