JP2006515568A - 複合媒体から組み換えタンパク質を精製する方法およびそれにより得られる精製タンパク質 - Google Patents

複合媒体から組み換えタンパク質を精製する方法およびそれにより得られる精製タンパク質 Download PDF

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    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/14Extraction; Separation; Purification

Abstract

本発明は、複合媒体から所望の組み換えタンパク質を予備精製および濃縮する方法であって、前記方法は、複合媒体を、少なくとも1種類のケイソウ土と十分な時間接触させて所望の組み換えタンパク質をケイソウ土に吸着させる工程と、所望の予備精製および濃縮をした組み換えタンパク質をケイソウ土から脱着させる工程とを含む方法に関する。

Description

本発明は、複合媒体、すなわち、固形粒子および/または様々な不純物(望まないタンパク質、核酸、脂質、ポリフェノール、色素、リポ多糖類、二次代謝産物、多糖類、ウイルスなど)を多く含む媒体に存在する、一般的にはタンパク質の精製、具体的には組み換えタンパク質の精製の分野に関する。複合媒体の適当な例は、植物エキス、哺乳類組織抽出液、原核細胞または真核細胞溶解液あるいは加水分解物、およびバイオリアクターで得られた培養液である。
目的分子または重要分子の精製を可能にする方法の中で、本発明は、固形粒子が全くなく、一方同時に、試料の濃縮を可能にし、特にかなりの量の不純物を除去することを通じてある程度の予備精製も可能にする抽出物を得るために有利に使用することができる。上記の予備精製した抽出物を得ることは、液体クロマトグラフィー等のさらなる任意の補足的な処理工程に対して極めて重要であり、それによる目詰まりの減少、ひいてはクロマトグラフィーまたは分離カラムの能力を増大させることによる目的分子または重要分子の改良された精製を可能にする。本発明の技術は、実施するのが容易であり、コスト効率が非常に良いので、特にシステムコスト、汚染性液体排出物などに関しての何らかの大きな不都合のない工業規模の生産によく適合する。
一般に、目的分子、とりわけタンパク質を精製する方法は、4つの主な工程に分けることができる:
<清澄化工程
<捕獲工程
<精製工程
<ポリッシング工程
捕獲、精製およびポリッシングの工程は、従来から、液相クロマトグラフィーを使用して行われている。清澄化工程として知られている第1の工程に関しては、いくつかの異なる可能性があり得る:
<深層濾過法
<遠心分離法またはデカント法
<限外濾過法またはクロスフロー精密濾過法
上記技術は、水性媒体中に存在する固形粒子を分離することを可能にする。しかしながら、工業規模でこれらの技術が設置されるためには高価なシステムを必要とする。
さらに、複合媒体が含まれる場合、特に小さい固形粒子または多分散系の微粒子が存在する場合、デカント法では、完全に透明な、すなわち、固形粒子が取り除かれた抽出液の調製は不可能である。そのため、このタイプの系の場合、必要な結果を得るために、各処理において、異なる条件での何回もの処理がしばしば必要となる。
ケイソウ土を使用する濾過
この材料は、ビールおよびワインの製造等の食品産業、化学、製薬および冶金産業で、濾過補助材として使用される。これらの例においては、その土の単なるフィルター能または特性を応用して、脱着工程は何ら考慮せずに、不純物を取り除くために必要な吸着工程をもっぱら使用する。その土は、殆どの場合、プレ-レイアー(pre-layer)として使用するか、または、液体抽出物に加える(スラリー化)えて、その後に補足の濾過工程を行う。より一般的にはプレ-レイアー/スラリー化工程を組み合わせて使用する。
清澄化および濃縮/濾過(濾過カスケード)
濾過は、目的分子または重要分子を含んでいる抽出液の清澄化および濃縮を可能にする。複合抽出液に対しては、最も高い粒度分布の粒子を除去するための粗い濾過から始まり、次々に細かくなるその後の濾過の工程が続き、それから、一旦透明な液体抽出物が得られたら、重要分子濃縮のための1回または複数回の限外濾過工程が続くカスケード式の濾過システムを確立することが必要である。しかしながら、工業規模の場合、上記システムは、急速に費用がかかり過ぎるようになり、流速および濁度等の様々に異なる濾過状態を正確に規定する必要性等、一定の技術的困難をもたらす。加えて、使用する膜への非特異的吸着によって重要分子を失う危険が著しく増大する。上記カスケード式システムの他の問題は、特にそれが、膜の再生、現場での洗浄および現場での殺菌の工程を含む場合には、それを実施するためにかかる時間の長いことである。
沈殿剤による沈殿
この技術は、依然として最初の精製工程として最も頻繁に使用されている。多数の沈殿剤が文献に記載されておりそれらの手順は完全に確定されている。この技術は、実験室規模で使用するのは簡単であるが、工業規模の方法まで持ち上げようとするとき沈殿技術は実際の問題に遭遇する。
主な問題は、原料の初期コストにも増して重要となる汚染性液体排出物の生成である。例えば、硫酸アンモニウムは、非常に一般的な沈殿剤であるが、非常に高い量の窒素を含有する液体排出物を発生し、液体排出物中の窒素の放出量が厳しく規制されている工業規模では再処理問題を引き起こす。さらに、複雑な分子の精製が含まれる場合、例えばタンパク質では、沈殿は、そのタンパク質に関係する沈殿物の再溶解の問題を引き起こす可能性がある。これは再溶解を非常に長引かせる傾向があり、緩衝条件の細かい調整を必要とし、それはタンパク質が構造変化を受けて、その結果、結合能力、酵素活性その他といった所望される分子の特性の喪失を導く危険を伴う。そのような場合、再生工程がしばしば必要であり、再生は決してと言っていいほど完全ではないためこれは低い収率をもたらすことになる。
流動層(expanded bed)クロマトグラフィー
この技術は、目的分子の清澄化、濃縮および部分精製のすべてを1工程で行うための別法であると思われる。高い固形粒子総数を有する不純物の多い抽出液を、膨張状態の大きな直径のビーズのマトリックスを含むカラムに直接注入することができる。その膨張状態は、適切な流速を適用することによりカラム中で安定化されたビーズの懸濁液ができることを通じて得られる。この技術は、工業規模の組み換えヒト血清アルブミンタンパクを製造するために現在使用されている。
その技術は比較的最近のことであるので、それを使用することの全体的な意味合い、特に、ランニングコスト、再現性および繰り返し精度、ならびにシステム保守に関して評価するためのデータを殆ど得ることができない。
システムの据え付け費は別として、目的分子の捕獲を最適化するために、多数のパラメーターを非常に正確に調整しなければならず、その中には以下のものがある:
・注入される抽出液の性質および濁度に応じる膨張のために必要な流速;
・抽出液中に存在する不純物の量および性質に依存するマトリックスの運用年数;
・注入した抽出液中に存在する粒子の非常に低い粒度分布(50μm未満);
・使用されるマトリックス上に適用されるタンパク質の流速/吸着動態の比率。
これらのパラメーターはすべて、そのプロセスが工業規模で経済的に操業できるようになる前に、比較的長期の開発段階をもたらす。
米国特許第2626888号は、ケイソウ土へのビタミンB12の吸着について記載しているが、詳細な指摘は何もない。
フランス特許第2467214号(味の素および日本ケミカルリサーチ)は、pHを調整した後の尿に由来するエリスロポエチンを精製するためのケイソウ土の使用について記載している。この文書に記載されている様々な担体(キトサン、XAD7吸着剤樹脂、ハイフロスーパーセル(Hyflo super-cell)ケイソウ土)の中では、後者が最悪の回収率(それぞれ90.8%および79%に対して50.8%)を与えている。吸着の収率についてはデータが示されていない。ケイソウ土対試料の割合は約1%である。この文書は、その方法が、ヒトの尿に由来するエリスロポエチンの精製に関係することをはっきりと述べているが、ヒトの尿は処理される植物の抽出物またはその他の宿主細胞抽出物と比較して複合媒体とはみなされない。その上、濾過効果は望まれても行われてもおらず、この文書には大規模の場合に使用される濾過技術についても言及されていない。大規模工業生産に至るシステムの延長について説明する言及はこの文書のどこにも存在しない。当該出願人らは、この文書に記載されている技術の用途は、明らかに、吸着が吸着剤樹脂に起こる場合はアルコール系溶媒により、または吸着剤がキトサンのときはアルカリ溶液による溶離技術としてのものであることを断定している。土を使用する場合、溶離は、pHの修正により起こる。
欧州特許第0480525号(centro de Ingeniera y biotechnologia)は、ワクチン製剤において活性のあるB型肝炎表面抗原(HEP B)を製造する方法について記載している。その組み換え分子は、Pichia Pastoris中に発現する。酸性pH(pH3〜5)で吸着させ、洗浄によって混入物質を溶出させ、pHが7.5から9のアルカリ性溶液を用いて脱着を行う。カオトロピック剤をライシス緩衝液中に使用する。使用したケイソウ土は、セライト(Celite)(ハイフロースーパーセル(high flow supercell)、Fluka製)であり、マトリックスのキロ当たり、約0.35gの抗原を生じる。得られるタンパク質の純度は約40から50%であり、穏やかな溶離条件を使用するために変性はない。溶離の収率は約30%である。実施例3のみがケイソウ土の使用を取り上げている。その土は、遠心分離、濾過、およびデカント法を用いて回収している。
米国特許第5075430号(Biorad)は、カオトロープの存在下で固定化し、続いてアルコール溶液で洗浄し、水または弱塩水中で溶離することによる、バクテリア溶解物からのDNAの精製について記載している。使用された土は、セライト(Celite)(スーパーファインスーパーフロス(superfine super floss)560、545)であって、それは活性土である。この文書はまた、異なる種類の利用可能な土についての説明(種類、粒度分布、活性化の重要性)も付け加えている。高い濃度のカオトロープが存在するためにタンパク質の保持は期待されず、それによって土対試料の比率は土のグラム当たり9mgのDNAである。1/10の脱着容量で90%の収率が得られている。したがって、この文書は、カオトロープの存在下でDNAを抽出および生成するための土の使用を独自に開示しているだけである。
米国特許第4690892号(Union Carbide Corp)は、液体/多相液体抽出法において相循環させる方法について記載している。取り上げられている担体のいくつかには、二酸化チタン、アルミン酸塩、ゼオライト、焼成アルミノケイ酸塩が含まれている。意図された目的物は、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、デキストラナーゼ、インベルターゼ、イソメラーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、ペクチナーゼである。この文書において、担体は混入タンパク質を吸着するためにだけ使用されており、脱着については何も述べられていない。
米国特許第4309505号(CPC International Inc.)は、培養条件を改善することによってフルクトーストランスフェラーゼの生産を如何に増やすかについて記載している。その特許は、ケイソウ土への酵素の吸着、発酵培地への土の添加、タンパク質の沈殿と土への吸着を引き起こして脱着はさせない(生体触媒として使用する)溶媒(アセトンまたは2-プロパノール)の添加を含む培養条件の最適化に基本的に焦点が合わされている。
残念ながら、ケイソウ土は、一定の不都合な点を有しており、その中には以下の事柄がある:
<低い特異性
<一定しない化学組成
<一定しない粒度分布
<一般的には酸性および中性pHである限定されたpH範囲
<不十分なイオンキャパシティー
<小さい表面積(一般的には10-3kg/m2
米国特許第2626888号 フランス特許第2467214号 欧州特許第0480525号 米国特許第5075430号 米国特許第4690892号 米国特許第4309505号
本発明は、従来技術の技法の既知の不都合を克服することを狙いとする。したがって、本発明の1つの目的は、複合媒体から所望の組み換えタンパク質を予備精製および濃縮する方法を提供することである。
前記方法は、
・前記複合媒体を、少なくとも1種類のケイソウ土と十分な時間接触させて、前記所望の組み換えタンパク質を前記ケイソウ土に吸着させる工程と、
・前記所望の予備精製および濃縮をした組み換えタンパク質を前記ケイソウ土から脱着させる工程
とを含む。
濾過の補助物質としてのその使用は知られているが、本発明によるケイソウ土は、吸着のための担体としてもまた使用される。出願人らは、意外にも、その土の濾過特性を、目的タンパク質を清澄化、濃縮、および予備精製するための吸着特性と組み合わせることができることを見出した。したがって、その技術は、どんな発現系が使用されようとも、タンパク質、特に組み換えタンパク質を精製するために使用することができる。
特に、本発明の方法は、以下の利点を有する:
<沈殿剤を必要とせず、汚染物質の液体排出物問題を削減または排除する;
<清澄化および濃縮が単一の工程で可能である;
<費用効率が高く、それ故、大規模な工業生産での使用に適合する;
<精製すべき目的分子の濃縮機能としては、使用する土の量が非常に少なく、すなわちわずか数%である;
<有機溶媒または水性緩衝液による中間の洗浄工程を行うことが可能である。
本発明の好ましい実施形態によれば、脱着工程は、沈殿剤またはカオトロピック剤なしで行う。
カオトロープ(無秩序メーカー)という用語は、最初は、タンパク質および細胞膜をそれぞれ安定化および不安定化する溶質を意味した。その後、それはそれぞれ、水の構造化を増大するかまたは減少するかに明らかに関連する特性を称した。その用語は、有用ではあるが、上記特性が状況によって変化し得るので時々誤解されやすい。例えば、溶質は、異なる濃度において、または巨大分子もしくはゲルの存在下では常に同じ様には作用しない。また、いくつかのあまりはっきりしていない性質の溶質(例えば尿素)も、時々カオトロープとして分類される。水素結合の範囲と強さは、両方とも、溶質により独立して変化し得るが、これらのいずれも序列をつくる基準として使用することができ、使用されてきた。しかしながら、それは、真のカオトロープがES<>CSの均衡を右にシフトするときに決定的に重要な良質な水素結合の程度に対する効果である。
イオン性カオトロープは、非イオン性溶質とは異なるように処理すべきである。一般に、イオン性挙動はホフマイスター順列のとおりである。低い荷電密度を有する大きな一価イオン(例えば、H2PO4 -、HSO4 -、HCO3 -、I-、Cl-、NO3 -、NH4 +、Cs+、K+および水とそれ自身より弱い水との相互作用を示すテトラメチルアンモニウムイオン)は、カオトロープである。弱く水和したイオン(カオトロープ、K+、Rb+、Cs+、Br-、I-)は、イオン-水の水和の強さがバルク溶液中の水-水の相互作用とほぼ同等である場合に起こる強いイオン性の水和から弱いイオン性の水和への移行による強い水-水の相互作用によって、弱く水和した表面に「押し付けられ」得る。イオン性のカオトロープは、水の水素結合の網様構造による干渉を避けることにより、より低い密度(ES)環境内で包接体を形成する傾向がある。したがって、低密度の水中に選択的に分配するカオトロープの決定的特性がうなずける。カオトロープは、水素結合した水の網様構造を破壊し、それにより巨大分子のより大きい構造の自由度を与え、タンパク質の拡大および変性を促進する。カオトロープは、水の序列を下げ、その表面張力を増大し、巨大分子構造(高濃度の塩化グアニジニウムおよび尿素等)を不安定化する。最近の研究は、尿素が水素結合および疎水性相互作用の両方を弱めることを示した。尿素のその奇異な挙動は、多分、その濃度依存性のオリゴマー化、すなわち、モノマー毎に異なる挙動をする環式の水素結合ダイマーおよびオリゴマーによる。
典型的な沈殿剤は、例えば、硫酸アンモニウム、亜鉛、バリウム、カドミウム等の金属カチオン、またはピクリン酸塩、タングステン酸塩、タンニン酸塩、モリブデン酸塩、トリクロロ酢酸塩、過塩素酸塩、スルホサリチル酸塩等の大きいアニオンを含む化合物であって、それらは実験室規模ではタンパク質を分離するために一般によく使用されるが工業規模の生産では汚染物液体排出物を含む多量の窒素またはその他の汚染性化合物または組成物を発生する不都合を有する。他の既知の沈殿剤は、有機溶媒(エタノール、ブタノール、アセトン、メタノールなど)、有機化合物(例えば、ポリエチレングリコール)である。これらの沈殿剤は、しかしながら、タンパク質を変性し、それによって収率の損失およびしばしばタンパク質の適合および活性の損失を引き起こす不都合を有する。
本発明の他の好ましい実施形態においては、脱着の工程を汚染液体排出物のない状態で行う。上記排出物は、既に述べたように例えば排出規制の対象となるものであるか、またはその分解生成物が排出規制の対象となる。典型的な汚染液体排出物は、例えば、窒素、リン、ハロゲンまたはハロゲンを含む化合物、鉛、スズ、カドミウム、水銀等の重金属およびそれらの塩を含んでいるか、または分解して生ずるものである。
本発明は、ケイソウ土を使用する。キーゼルグール(kieselguhr)またはダイアトマイト(diatomite)としても知られるケイソウ土は、珪藻、微細な単細胞藻により分泌された含水シリカの破片および殻から主としてなるゆるく凝集した白亜状の堆積岩である。その粒子は、非常に微細で表面積が大きい。シリカ含量は、94%もの高さであり得る。ケイソウ土を形成する珪藻骨格の複雑な構造により、そのシリカは、それが引き起こす他の形態とは非常に異なる物理的構造を有している。ケイソウ土は、天然、焼成、フラックス焼成の3つの形態で市販されている。焼成ケイソウ土は、約980℃の高温焼成により処理した土である。フラックス焼成ケイソウ土は、一般にソーダ灰または塩化ナトリウムであるフラックスの存在下で天然産出物を焼成することによって調製する。これはまた活性化として知られている。この処理によって珪藻粒子の表面積が減少し、色合いが自然の淡黄色から白色に変化し、不純物が不溶性となる。フラックス焼成ケイソウ土は、いくつかの供給源、例えばClarcel、から商業的に調達でき、フランスのCECA ATOから入手できる。
好ましくは、ケイソウ土は、焼成土、またはフラックス焼成土としても知られている活性化ケイソウ土、および非活性化または天然ケイソウ土からなるものから選択する。
さらにより好ましくは、該ケイソウ土は、本質的に疎水性である。
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、当該ケイソウ土は、非活性化または天然物であり、clarcel CBRおよびclarcel CBLケイソウ土からなる群から選択する。好ましくは、そのケイソウ土は、clarcel CBR3またはclarcel CBLである。
本発明のさらに他の好ましい実施形態によれば、当該ケイソウ土は、以下の金属酸化物:SiO2、Al2O3、Fe2O3、TiO2、CaO、MgO、K2O、Na2Oから構成されている。
本出願人は、ケイソウ土が、実質的に約10から約20ミクロンの粒度分布を有しているときに本発明の方法により、最も好ましく、驚くべきかつ有利な結果が得られることを見出した。このことは、本発明で使用するケイソウ土は、土の約97%が1μmを超え、好ましくは約1μmから350μmまで、さらにより好ましくは約1μmから200μmまでの粒径を有する約1μmから約500μmまで変化する粒度分布を有することができることを意味する。本発明により使用される最も好ましい土の粒子の大部分は、約2μmから約100μmまでの大きさを有する。
本発明の好ましい実施形態において、当該土は、前記複合媒体と接触させる前に予め湿潤させる。出願人は、これによりその土の極性の削減が可能となり、さらに本発明の方法の吸着と脱着工程の再現性が増すことを意外にも見出した。好ましくは、その土は、水と、そしてさらにより好ましくは脱イオン水で予め湿潤させる。
本発明によれば、複合媒体は、乾燥または湿潤状態の細胞全体、細胞の一部、例えば、細胞抽出物または溶解物、細胞培養物、構造化または非構造化組織、臓器、および同種のものであり得る。好ましくは、その複合媒体は、固体または実質的に固体であり、乾燥状態の細胞または細胞の一部から実質的に構成されている。より好ましくは、その複合媒体は、獣類、ヒト、酵母、細菌、昆虫、カビ、および植物に由来する細胞または細胞の一部を含む群から選択される。植物細胞が選択される複合媒体である場合、前記複合媒体は、植物の葉、植物の茎、花、植物の花粉、植物の種子、植物の子葉、植物の根、および植物の生殖器官からなる群から選択される。
植物を該複合媒体として選択する場合、被子植物が好ましい植物の種類である。上記植物は、単子葉または双子葉植物であり得る。典型的な双子葉植物は、タバコ、レタス、トマト、およびナス科の植物、ヒマワリ、紅花、セイヨウアブラナ、十字花科の植物、キュウリ、メロン、ズッキーニ(courgette)、ズッキーニ(zucchini)、カボチャ、ウリ科の植物、キャベツ、ダイコン、カリフラワー、アブラナ科の植物、ニンジン、ルツェルン、カノーラ、およびシロイヌナズナ、などである。典型的な単子葉植物は、オオムギ、小麦、メイズ、エンバク、サメイズ、イネ、その他等イネ科に属するものである。
好ましい実施形態において、該複合媒体は、タバコの葉である。
他の好ましい実施形態において、該複合媒体は、トウモロコシ(メイズ)の種子である。
さらに他の好ましい実施形態において、該複合媒体は、トウモロコシの種子であって、その種子は胚が除去されていない。
なおさらに他の好ましい実施形態において、該複合媒体は、トウモロコシの種子であって、その種子は胚が除去されている。
最も好ましい実施形態において、該複合媒体は粉砕されている。例えば、葉は、例えば液体窒素中で冷凍粉砕するか、または乾燥凍結により凍結してから粉砕することができ、種子はすりつぶして微細な粉末の形にすることができる。
他の好ましい実施形態において、該複合媒体は、約200ミクロンと約5mmの間の粒度分布を有している。
本発明の他の好ましい実施形態において、該複合媒体は、固体または実質的に固体であり、少なくとも1種類のケイソウ土とそれを接触させる前に、浸漬緩衝液中での浸漬工程を行う。好ましくは、その土は、該複合媒体の湿潤工程を行う前に浸漬緩衝液または水で予め湿潤させる。その浸漬緩衝液は、重要な分子を固相内から液相に引き出すために固相を液相と接触させるように設計されている、一定のpH、イオン強度を、好ましくは一定の界面活性剤を有する、塩に基づく液体緩衝液であり得る。
有利には、形成される固相は、例えば濾過またはデカントすることにより液相から分離する。
既に述べたように、複合媒体は、吸着を生じるように少なくとも1種類のケイソウ土と接触させる。この吸着のために割り当てる時間は、5分と60分の間であることが有利であるように見出されている。
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1種類のケイソウ土は、0.5w/v%から2w/v%含む量で使用される。
有利なように選ばれる本発明の実施形態によれば、脱着は、5分から60分の間の時間で行う。
最も好ましい実施形態において、該脱着は、2から10の間のpH、好ましくはpH2.5からpH8の間で行う。
本出願人は、本発明のケイソウ土の使用を通じて、目的タンパク質を濃縮するために使用する脱着緩衝液の容量を削減することが同様に可能であり、それはその方法の国際性のための全体の液体容量を削減する有利な影響を有しているものと判断した。それ故、脱着は、バッチ処理用に約15倍から約20倍容量の脱着緩衝液を用いて好ましくは行い、好ましくは続いて静的処理用に約5倍から10倍容量の脱着緩衝液を使用する。
場合によって、該少なくとも1種類のケイソウ土は、吸着工程の後および脱着工程の前に洗浄する。上記工程は、目的タンパク質の予備精製および予備濃縮を可能にし、吸着された隙間の液体分並びに混入物質を除去する助けをする。その上、上記洗浄工程は、偽の脂質、ミネラル、望ましくないタンパク質および様々な不純物の除去を可能にする。
最も好ましい実施形態において、本発明の一般的技術の主要な改良は、ケイソウ土への吸着工程を開始する直前に濃縮工程を追加することによって行うことができる。意外なことに、濃縮工程による容量の減少は、吸着/脱着工程を大幅に少ないケイソウ土および緩衝液で行うことを可能にし、それにより操作をかなり単純化する。特に、この追加の技術を使用することにより:
・吸着の途中で濾過する液体の容量が、約5から約10倍まで削減される;
・ケイソウ土の量を約4倍削減することができ、それによりさらに一般に変質物質を含んでいる大容量の土を処分しなければならないことが避けられる;
・脱着緩衝液の量が約4倍削減される(ケイソウ土の量と比例);
・最後の脱着した液体は、クロマトグラフィーのカラムに直接入れることができ、高濃度の組み換えタンパク質を包含している。
当該方法に含まれるこの最も好ましい実施形態により、より小さいフィルターおよび容器を使用することが必要なだけであり、少ないケイソウ土と脱着緩衝液を使用するので原料のコストが低下し、運転持続時間、人員および発生する固体廃棄物の量等のその他のコストおよび環境要因が削減されるために、投資に対して強力な好ましい効果がある。
複合媒体を植物から得る場合、濃縮工程に加えて、その濃縮工程の前に殆どの固体粒子、植物色素およびその他の植物抽出物からの大きな凝集体を除去し、かくして濃縮流速を増大するために、ポリッシング工程を導入するのが好ましい。このポリッシング工程は、例えばクロスフロー(tangential flow)精密濾過を使用するか、または加圧フィルターを使用するなどの様々な方法で行うことができる。最初の場合においては、ポリッシング作用は、膜を通ることができない固体または分子を退ける多孔質膜により与えられる。当業者などにはよく知られている無機質/セラミック膜または有機質の膜、例えばポリエーテル、ポリスルホン膜等の様々な種類の膜を満足に使用することができる。孔の直径は、0.1μmと5μmの間であり得る。膜組成物および孔の直径は、ポリッシング効果と、目的の組み換えタンパク質の回収率と、濾過の流速と、膜の洗浄に要する時間との間のバランスを得るために選択する。2番目の場合、ポリッシング作用は、粉砕した植物粒子を保持することができる布材料を備えた加圧フィルターを使用することにより成し遂げられる。この別の解決法は、最初の方法と同様に有効であり、しばしばさらに簡単でさらに迅速である。意外なことに、複合媒体が加圧フィルター内に保持されるトウモロコシ粉を含む場合、その時の水性媒体の液体成分は、それが加圧フィルターを通って供給され、トウモロコシ粉によってケーキが形成されて粉の粒子によって濾過されるために、その粉もまた付加的な濾過媒体として非常に効果的に作用する。加圧フィルターおよびトウモロコシ粉により形成されたケーキを通過して得られた液体は、完全に精製される。目的の組み換えタンパク質の損失は、無視できるほどであり、濾過の流速は、時間当たり数立方メートルもの高さであり得る。
ポリッシングの後、清澄化した抽出液を濃縮する。その目的は、主として低温または周囲温度で水を除去し、それにより存在する組み換えタンパク質を濃縮することである。この作業を行う1つの方法は、限外濾過法が発明者等により最良の技術であると判断されたのでそれによるものである。様々な膜を既知の無機質および有機質の膜から選択することができる。膜のカットオフは、無視できる透過液中のタンパク質損失および満足な透過液流速を得るために、目的の組み換えタンパク質の分子量に適応させる。通常、膜のカットオフは、約5,000Daと約100,000Daの間で選択する。複合媒体が植物の抽出物を含み、良く精製されている場合、非常に良好な濃縮速度を得ることができる。例えば、対照として、固体の遠心分離を用いる古典的な清澄化工程と比較するとゲインは約5倍であり、清澄化が優れている場合は、10倍以上であり得る。
なおさらに他の好ましい実施形態において、該複合媒体は、吸着前に少なくとも1つの凝集および/または凝固剤で処理をする。これは、例えば、複合媒体がタバコの葉であり、目的のタンパク質が組み換えコラーゲンであるとき、凝集および/または凝固剤をこの場合に使用することが、増大した濾過速度および組み換えコラーゲンの改良された抽出を可能にするために有利である。凝集剤は、100万から3000万まで変動する分子量、すなわち、14,000と420,000モノマー単位の間の重合度を有する親水性のポリマーである。それらの水溶性は、分子鎖の様々な部分が解離するように、それらが包含しているイオン性または非イオン性のいずれかの極性基の十分に強い溶媒和に由来している。殆どの凝集剤は、現在アクリルアミドに基づいており、単独重合により非イオン性をもち、共重合により、イオン性の度合いが0%と100%の間で変動するカチオン性またはアニオン性をもつことができる。凝固剤は、コロイドのマイナスの電荷を中和するための非常に高いカチオン電荷および媒体中および粒子の周りでの急速な拡散を可能にする20000から100万まで変動する比較的低い分子量により現在のところ特徴付けられる。好ましくは凝固剤の3つの大きな系統群、すなわち、有機凝固剤である第四級ポリアミン、塩化アリルのジメチルアミンとの反応によって得られるポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(ポリDADMAC)、およびジアシアンジアミンをホルムアルデヒドと縮合させ、続いて塩化アンモニウムで第四級化することによって得られるジシアンジアミド樹脂が使用される。本発明の詳細な説明の中で示すように、その方法は、任意の重要な組み換えタンパク質を抽出および予備精製するために使用することができる。それ故、望ましい組み換えタンパク質は、治療および/または栄養補助活性を有する組み換えタンパク質から選択するのが好ましい。治療活性とは、当該組み換えタンパク質が、ヒトまたは動物の病的状態の治療に関係するかまたは重要な生物活性を有することと理解される。栄養補助活性とは、当該組み換えタンパク質が、ヒトまたは動物の栄養の改善または補助に関係するかまたは重要な生物活性を有することと理解される。例えば、上記治療用タンパク質は、ヘミンタンパク質、抗体、抗体断片、コラーゲンポリペプチド、鉄結合タンパク質、免疫促進または免疫調整タンパク質、消化酵素、免疫反応促進糖タンパク質、血管タンパク質、脳タンパク質および神経タンパク質であり得る。
本発明の方法により精製することができる典型的な組み換えタンパク質は、胃リパーゼ、膵リパーゼ、ラクトフェリン、コラーゲン、モノクロナール抗体、ヘモグロビン、フィブリノゲン、モノクニン、ビクニンからなる群から選択することができる。
発明の詳細な説明
出願人は、出願人が考える最適条件であるものを含む操作条件の範囲を確定するために、この技術の開発のためのいくつかのパラメーターについて検討した:
<粗抽出液に対して
<pH
<存在する塩の種類および濃度
<不純物または混入物質の存在
<濁度
<温度
<抽出液の均質性、すなわち攪拌/かきまぜの質
<ケイソウ土に対して
<予備湿潤
<入手できる場所の数
<表面電荷(炭酸ナトリウムで活性化/非活性化)
<接触時間(吸着/脱着)
<吸着表面特異性
<濃度
<組成(様々な金属酸化物の存在)
<粒径および浸透性
<精製すべき目的分子(例えばタンパク質)に対して
<一次配列
<正味荷電
<疎水性度
<分子量
<等電点
<酵素活性(酵素が目的である場合)
<既知の特定親和性位置
考慮しなければならないパラメーターの数は、固体粒子を取り除き、部分的に精製および濃縮した抽出液の調製を可能にする清澄化および濃縮工程としてのこの技術を開発することの困難さの主な原因となり得る。
3-2)手順
予備湿潤
この工程は、実施するのは簡単であるが、タンパク質の担体への吸着および担体からの脱着の両方に影響し得ることが本出願人により見出されている。予備湿潤は、一方で、担体の極性の低下を可能にする。この工程は、したがって、その現象が望まれない場合はそれを完全に抑えるように上記現象を調節することが可能である。その予備湿潤工程は、他方で、担体の溶媒和と関係する脱着の収率を増大する。
したがって、無水のケイソウ土は、使用前に、好ましくは水で、または浸漬緩衝液中で予備湿潤させるのが好ましい。
吸着
その土は、好ましくは浸漬中に使用する条件を変更することなく、すなわち、例えばpH調整、カオトロープまたは沈殿剤の添加なしで、精製すべきタンパク質を包含する液体試料と接触させることができる。複合媒体に存在する目的タンパク質の量が比較的低い組み換えタンパク質の場合、使用する土の量も低くてよく、好ましくは5重量%未満、より好ましくは0.5重量%と2重量%の間である。最適の接触時間は、スクリーニングの間に決定することができ、好ましくは最高で2時間、好ましくは5分と60分の間である。例えば、組み換え型犬胃リパーゼの場合、その接触時間は、どうしても比較的短く、さもないとそのタンパク質は担体との表面接触が最大限となる傾向があり、それによってその後の脱着の効率が低下してしまう。混合物は、かきまぜまたは同等の攪拌手段を用いたまま維持し、タンパク質とケイソウ土の間の最大限の接触を可能にさせる。吸着後、その混合物は適当な技術によって分離し、タンパク質を吸着した土を保持する。実験室規模における上記技術の1例は、遠心分離してその後濾過および普通のデカンテーションを行うものが挙げられる。工業規模に際しては、遠心分離、真空下での平面フィルターまたは回転式フィルターによって進行させることができる。
洗浄
目的分子を粗抽出液から吸着した固形分を分離した後、その土は、残留している隙間内の粗抽出液および/または脂質、タンパク質、無機塩等の残留している可能性のある任意の不純物を除去するために適用または選択した緩衝液により洗浄することができる。除去すべき不純物の種類と量に応じて、洗浄緩衝液は、容量で、例えば最大25倍容量、好ましくは5倍から15倍容量まで適合させることができ、組成物中にはその場合、DNAおよび不要のタンパク質のような不純物を除去するために水を使用することができ、色素を除去するには有機溶媒を好ましくは希釈して使用することができる。その洗浄工程は、バッチ式工程として、またはより好ましくは固定式で行うことができる。
脱着
吸着および任意の洗浄工程の後、その土は、最も満足できる脱着の収率を可能にする緩衝液である脱着緩衝液と接触させる。その土は、その緩衝液中に再懸濁させ、均一に分散するまで攪拌する。使用する脱着緩衝液の容量は、可能な限り少量が好ましく、例えば乾燥土の分量に対して10倍から30倍容量まで、好ましくは10倍から20倍容量まで、そして最も好ましくは15倍から20倍容量までの緩衝液である。脱着時間は、スクリーニングの間に最適化することができるが、一般に比較的短く、好ましくは最高で2時間、さらにより好ましくは5分から60分までである。脱着後、固体/液体混合物は、上で記した吸着した目的分子を粗抽出液から吸着した目的分子を分離するための技術を使用して分離する。得られた乾燥ケーキは、脱着緩衝液と再び、一回もしくは数回、バッチ式でまたは好ましくは固定式で、小容量の、好ましくは1倍から5倍容量までの脱着緩衝液と接触させることができる。固定式で処理するこの2度目の脱着工程は、それが脱着した試料の過剰の希釈を引き起こすことなく脱着の収率を著しく向上させるので好ましい。
4-1)トウモロコシから抽出した組み換えリパーゼ(実施例1)
犬の胃リパーゼをコードする遺伝子を発現するトウモロコシの種子を微細に粉砕し、グリシン50mM、NaCl 250mMおよびTriton X100 1mMからなり、pHを塩酸またはスルファミン酸の添加(後者が抽出装置に対して腐食が低いので好ましい)により2.5に調整した浸漬緩衝液の16倍容量中に、攪拌下周囲温度で16時間浸軟させた。
浸漬後、最も大きい粒子を除去するために、Miraclothにより粗い濾過を行った。pHを酢酸ナトリウム塩の添加によって4.0に調節した。非活性化ケイソウ土、すなわち炭酸ナトリウム処理により活性化してない土(Clarcel CBL型、CECA ATOから入手可能)を10倍容量の水道水中で予備湿潤させ、続いてブフナー濾過器上で乾燥し、乾燥重量で2w/v%の濃度で、pH 4.0の浸軟処理した抽出液に加えた。その混合物を15分間攪拌してケイソウ土への組み換えリパーゼの吸着を可能にした。例えば、実験室規模ではブフナー濾過器上で、工業規模では真空下の平面フィルターもしくは回転式フィルターまたは円筒フィルターによる濾過後、得られた土のケーキを20倍容量の脱着緩衝液中に再懸濁させる。その緩衝液は、以下の組成を有していた:
・グリシン50mM
・NaCl 5mM
・Triton X100 2mM
・塩酸の添加によりpHを2.5に調整
その混合物を30分間攪拌し、続いて前に記した方式の1つにより濾過し、そのケーキを2回それぞれ脱着緩衝液の5倍容量ですすいだ。得られた3つのアリコートをプールし、それは、例えば、クロマトグラフィーカラムでのまたは限外濾過による補足的な精製に直接使用することができた。
前述の操作条件で、極めてかすかに着色した完全に透明な試料を得ることが可能であった。吸着および脱着の収率は、100%に近く、濃縮係数は1.67であった。
4-2)トウモロコシから抽出した組み換えリパーゼ(実施例2)
粗抽出液をケイソウ土と混合するところまで実施例1に対するものと同じ方法を使用した。濾過後、その土のケーキを10倍容量の脱イオン水で洗浄し、続いて以下の組成を有する15倍容量の脱着緩衝液中に再懸濁させた:
・グリシン50mM
・NaCl 5mM
・Triton X100 2mM
・塩酸の添加によりpHを2.5に調整
その混合物を攪拌下で30分間維持し、続いて前に記したようにして濾過した。得られたケーキを5倍容量の脱着緩衝液ですすいだ。得られた2つのアリコートをプールし、補足的な精製工程に直接使用することができた。
上記の条件内で得られた試料は完全に透明で極わずかに着色しているのみである。吸着および脱着の収率は、ほぼ100%であった。保持されなかった部分またはすすぎの部分には組み換えリパーゼは検出されず、組み換えリパーゼの損失は示さなかった。濃縮係数は2.5であった。
4-3)トウモロコシから抽出した組み換えリパーゼ(実施例3)
実施例3は、脱着緩衝液の組成を除いて実施例2と同じであり、その組成は以下のとおりである:
・グリシン50mM
・NaCl 75mM
・Triton X100 2mM
・塩酸の添加によりpHを2.5に調整
これらの条件の下で得られた試料は完全に透明で極わずかに着色しているのみであった。保持されなかった部分またはすすぎの部分にはリパーゼは検出されなかった。吸着および脱着の収率は、ほぼ100%であり、濃縮係数は2.5であった。NaCl濃度の増加により試料の伝導性が増し、それはひいては後のイオン交換クロマトグラフィーの精製工程において有利に使用することができる。
4-4)トウモロコシから抽出した組み換えリパーゼ(実施例4)
実施例3は、脱着緩衝液の組成を除いて実施例1と同じであり、その組成は以下のとおりである:
・脱イオン水、またはpH 3.5に調整した脱イオン水。
これらの条件の下で吸着の収率はほぼ100%であったが、脱着の収率は非常に低く、それぞれ3.55%および2.2%であった。
4-5)トウモロコシから抽出した組み換えリパーゼ(実施例5)
胚を取り除いたトウモロコシの種子であること以外は実施例1におけるのと同一条件を使用し、得られた試料は、完全に透明で極わずかに着色しているのみである。この場合、吸着および脱着の収率は、それぞれ75%および65%であった。
4-6)トウモロコシから抽出した組み換えリパーゼ(実施例6)
当該土を予備加湿工程にかけなかったことを除いて、実施例1におけるのと同一条件を使用し、得られた試料は、完全に透明で極わずかに着色しているのみであった。吸着の収率は、ほぼ100%のままであったが、脱着の収率は最大で85%であった。
4-7)トウモロコシから抽出した組み換えリパーゼ(実施例7)
媒体環境の影響を判断するために精製した組み換えリパーゼ粉末を、水、緩衝液(実施例1に記載のもの、pH 3.5)または非形質転換トウモロコシの粗抽出液(調整したpH)と再接触させた。
Figure 2006515568
これらの結果は、リパーゼの脱着が複合媒体の環境に依存していることを示している。
4-8) タバコの葉から抽出した組み換えコラーゲン(実施例8)
1型コラーゲンをコードする遺伝子を発現するタバコの葉を、冷凍粉砕し、以下の組成を有する5倍容量の浸漬緩衝液中に4℃の温度の攪拌下で30分間浸軟するままにした:
・酢酸500mM、
・NaCl 200mM、
・EDTA 2.5mM、
・pHは、約2.5と約2.8の間である。
浸漬後、10μの布による粗い濾過を行って最も大きい固体粒子を除去した。Clarcel CBL型のケイソウ土を、固体重量で2w/v%の濃度で粗抽出液に加えた。その混合物を、該組み換えタンパク質のその土への吸着が可能となるように15分間攪拌した。濾過後、その土のケーキを以下の組成を有する20倍容量の脱着緩衝液中に再懸濁させた:
・グリシン50mM pH 2.5
・NaCl 5mM
・Triton X100 2mM
その混合物を30分間攪拌し、続いて前に記した方式の1つにより濾過し、その後、そのケーキを5倍容量の脱着緩衝液ですすいだ。集めた2つのアリコートをプールし、補足的な精製に直接使用することができた。
これらの条件の下で、得られた試料は、完全に透明であり、ほんの少し着色しているだけであった。吸着および脱着の収率はほぼ100%であり、濃縮係数は2.5であった。
4-9)タバコの葉から抽出した組み換えコラーゲン(実施例9)
脱着緩衝液が以下の組成を有していた以外は実施例7に対するものと同じ条件を使用した:
・グリシン50mM
・NaCl 75mM
・Triton X100 2mM
・pH 2.5
これらの条件の下で、吸着の収率はほぼ100%を留めたが、脱着の収率は約50%に低下した。
4-10)タバコ細胞培養培地から抽出した組み換えヒト血清アルブミン(HSA)
定量試験
ヒト血清アルブミン(HSA)を、250mMのNaCl、1mMのEDTA、および1mMのTriton X100を含むpH 4の200mMの緩衝酢酸溶液中に0.1mg/mLの濃度で可溶化した。その溶液に2w/v%のケイソウ土(Clarcel CBR3またはCBL)を加え、その混合物を次に攪拌下に30分間置いた。
濾過後、その土のケーキを、以下の組成を有する10倍容量の脱着緩衝液中に再懸濁させた:
・リン酸緩衝液200mM
・NaCl 250mM
・EDTA 1mM
・Triton X100a 1mM
・pH 8.0
その混合物を15分間攪拌し、続いて濾過した。
これらの条件の下で、使用した2種類の土(CBR3およびCBL)に対して、吸着の収率は、それぞれCBR3で85%およびCBLで98%、脱着の収率は、固定式すすぎなしで、それぞれCBR3で83%およびCBLで75%であった。濃縮係数は5であった。
定量試験
分泌された組み換えHSAを含有するタバコ細胞培養培地を、出発複合媒体として使用した。上記培地は、一般にMurashige-Skoog増殖培地に基づいており、数日間の細胞増殖の後に回収した。その培地は色が黄色っぽく、多糖類、無機塩、色素および内在性分泌タンパク質が豊富である。回収の際、その培地は5.21のpHを有していた。1Mの塩酸を添加することによってそのpHを4.0に調節することができた。Clarcel CBR3およびCBLの種類のケイソウ土を、培養培地の別々の試料に2w/v%の濃度で加えた。その混合物を周囲温度で30分間攪拌した。その混合物が複合的である場合、洗浄工程は、吸着されなかった不純物を除去するために既に記した緩衝酢酸溶液により行うことができる。
その混合物を濾過し、その土のケーキを既に記したようにして再懸濁させた。
SDS-PAGEおよびWestern blotsを用いるゲル電気泳動分析により、組み換えHSAが、使用したケイソウ土に完全に保持され、良好な収率で脱着することが示されたが、その収率の正確な測定は、培養培地中の目的分子の量が非常に少ないことから困難であった。
5)メカニズム
必要となる相互作用の性質は複雑であり、使用されるケイソウ土および精製されるべき目的分子の特性および特徴に強く依存する。
5-1)ケイソウ土
ケイソウ土は、粉末または顆粒、すなわち、粗面化されていて、安定な山を形づくることができ圧縮に耐える堅固な粒子として利用可能である。それらは、高度に化学的不活性で、低密度で非常に高い空隙の割合を有している。
それらの化学的組成は様々であるが、一般に、それらは主として二酸化ケイ素(SiO2)結晶骨格で構成されており、様々の異なる種類の他の金属酸化物、例えば、Al2O3、CaO、Na2O、Fe2O3、K2O、MgO、MnO、P2O5および数パーセントの変異種が存在する。土中の二酸化ケイ素は、それらを親水性にする傾向がある。
ケイソウ土は、かくして、静電双極子/双極子型の相互作用と関連する極性化合物に対してと、水性媒体中に存在する疎水性分子に対しても大きな吸着能力を有する。その上、酸化物として存在するが不活性な金属は、ルイス酸として作用し、目的分子の担体上への保持現象に関与することができる。
一般に白い外観の、炭酸ナトリウムにより活性化された形態、および、一般にピンクまたはピンクがかった茶色の外観の、非活性化の形態の基本的に2種類の土が存在する。土の製造の間に発生するこの違いは、使用する土によっては、静電的相互作用の変調を可能にし、同様に疎水性相互作用の変調をも可能にする。
5-2)タンパク質(実施例4と合致)
<リパーゼ
実験室規模
当該土の予備加湿の後、それによってその極性を低下させ、その土を、アルカリを加えたpH 4.0と250mMのNaCl濃度の水性緩衝液中に存在するタンパク質と接触させる。組み換えタンパク質(遺伝子組み換えトウモロコシ(メイズ)種子中に既に発現させた)は、メイズの種子を粉砕することによって得た粉の中に存在し、それを次にその水性緩衝液中に浸漬して懸濁液を得た。このpHにおいてタンパク質の正味荷電はほぼ0である(Piは、ほぼ5)。リパーゼは、脂肪酸に加水分解する能力のある活性部位を有するエステラーゼである。この活性部位の位置する領域は、比較的疎水性と考えることができる。水性緩衝液と比較して、当該土は、タンパク質にとってより好ましい環境を意味する。そのタンパク質は、したがって、疎水性領域の領域が土の表面に吸着される。無極性溶媒の存在下で生体触媒として使用するためのCelite等のシリカ担体に結合しているリパーゼは、水溶液単独中よりも大きい酵素活性の回復を可能にすることが実証されている。このことは、無極性溶媒が、活性な疎水性部位を外側に配向させ、一方で水性緩衝液単独中ではその活性部位は、内側に担体の表面に向かって配向させられるようであることを示す傾向がある。
水による洗浄は、実験で観察されるようにタンパク質を溶離せずに不純物を除去する。その溶離は、緩衝液中のTriton X100の濃度を増大し、一方で同時に塩NaClの濃度を低下する(250mMから5mMまで)ことによって実施する。塩化ナトリウムの存在は、良好な脱着の収率を得るために必要であり、それによって、TX100単独では、約40%の脱着の収率を与え、NaCl単独は、約45%の脱着の収率を与え、そして両方が共に、95%を超える吸着の収率を与えることが観察された。
吸着は、疎水性の相互作用によって独自に制御されるようであるが、脱着は、疎水性相互作用(Triton X100の役割の重要性)によるのと、他に静電的相互作用(NaClの重要性)によるのとの両方によって影響されるようである。
リパーゼについての結論:
最適脱着pH: 2.5
最適脱着時間: 30分
これらの条件は、最適の脱着の動態を与える。
最適脱着容量: 20倍容量緩衝液(バッチ)に続いて5倍容量の緩衝液(静的)
最適種子使用法: 種子全体、胚を取り除かない(トウモロコシ、単子葉植物)
土の予備加湿(メイズ由来の浸軟処理物)、粗抽出液への直接添加による予備加湿。
最適条件(トウモロコシリパーゼ):
2%CBLに吸着、土の5倍容量のH2O w/vにより15分間
プレ-レイアーなしで濾過
固定式すすぎ、土の10倍容量H2O w/v
20倍容量緩衝液(バッチ式)30分、続いて5倍容量緩衝液(固定式)による脱着
緩衝液: グリシン50mM、NaCl 75mM、Triton X100 2 mM、pH 2.5
パイロット規模
パイロット規模での抽出を、70kgの形質転換トウモロコシの胚を取り除いてない種子を用いて実施した。方法は、実験室規模レベルで用いた方法と類似していた。
Figure 2006515568
得られた結果は以下のことを示している:
・吸着の工程の間、リパーゼは、保持されるが、それに対して混入タンパク質の47.5%は、F1中に留まる。
・脱着工程の後、全タンパク質(EB)の5.7%が脱着物中に見出された。これは、この工程により、混入タンパク質の約95%の除去と比活性の増加(ファクター22)が可能となることを意味する。
約700kgの形質転換トウモロコシの丸ごとの種子のバッチ式による工業規模レベルで、同程度の結果が得られた。
<HSA
HSAについて、正味荷電がほぼ0の、pH 4.0の水性緩衝液中に存在するそのタンパク質を、接触前に予め湿潤しておらずそのため高い極性を有する土に吸着させる。pHを4から7まで変化させることによって、そのタンパク質の正味荷電は、全体的にマイナスとなるように切り替わり、シラノール基による反発とそれによるタンパク質の溶離をもたらす。この場合、吸着と脱着は、双極子/双極子型の静電的相互作用により影響されるようである。
<コラーゲン
実験室規模レベル
プラスの正味荷電をもち、pH 2.5の水性塩緩衝液中に存在する組み換えコラーゲンを、予め湿潤してないCBLケイソウ土と接触させる。その吸着は、Miraclothで前もって濾過した浸軟処理物について行い、1.5w/v%と激しい攪拌の下で30分間接触させた。吸着後、ブフナー濾過を行ってその土と吸着したタンパク質を残留している液体から分離した。この液体は、保持しておいてタンパク質含量の分析をした。
脱着は、30分間の激しい攪拌下で、異なる組成の20倍容量の緩衝液を加えることによって得られた:
a)グリシン50mM、NaCl 400mM、Triton X100 1mM、pH 2.5で、
b)グリシン50mM、NaCl 400mM、Triton X100 2mM、pH 2.5で、
c)グリシン50mM、NaCl 5mM、Triton X100 2mM、pH 2.5で、
d)リン酸緩衝液50mM、NaCl 5mM、Triton X100 2mM、pH 8で。
脱着後、ブフナー濾過を行って、水溶液中の脱着したタンパク質を土から分離した。この液体を続いてタンパク質含量の分析にかけた。上記の工程工程により、工業規模で意義のある試料の濃縮およびその予備精製の両方が可能となることが観測された。
この場合、その吸着は、主として双極子/双極子型の静電的相互作用によるようであり、それに反して脱着は、主として疎水性相互作用によるように見られる。
パイロット規模レベル
75kgの形質転換タバコの葉について、パイロット規模レベルで抽出を実施した。その手順は、実験室規模レベルで使用したものと類似していた。
パイロット規模レベルにおいても、実験室規模レベルと比較して類似した結果が観測された。
さらなる実験においては、以下の手順を用いた:
(実施例10)
胚を取り除いた組み換え犬胃リパーゼを生成する1トンのトウモロコシを、粗い粉を得るために粉砕した。この粉を8000リットルの抽出緩衝液と攪拌容器中で混合した。8時間の浸軟処理の後、湿潤固体を150ミクロンのふるいを取り付けた振動ふるいにより回収した。得られた予め清澄化した液体は、100%の相対活量単位を含有していた。それを加圧フィルターで濾過することによりポリッシングをし、そのフィルターケーキは続いて廃棄した。その清澄化した液体は、約7200リットルを示した。それは、95%の相対活量単位を含有していた。その清澄化した液体のpHを4.0±0.2に調整した。その清澄化した液体を、次に、30,000Daにカットオフを有するセラミック膜を装着した限外濾過ユニットにより10倍の720リットルまで濃縮した。その濃縮物は、80%の相対活量単位を含有していた。その720リットルの濃縮した抽出液に5%のケイソウ土(36kg)を加え、約15分間混合した。100%の組み換え胃リパーゼが、ケイソウ土に吸着された。その土を濾過して回収し、続いて再び720リットルの脱着緩衝液と混合した。組み換え胃リパーゼが、ケイソウ土から脱着した。その土と吸着された不純物は濾過によって除去した。最終収率73%の相対活量単位が、濾過液中に回収された。
(実施例11)
胚を取り除いた組み換え犬胃リパーゼを生成する1トンのトウモロコシを、粗い粉を得るために粉砕した。この粉を8000リットルの抽出緩衝液と攪拌容器中で混合した。8時間の浸軟処理の後、湿潤固体を150ミクロンのふるいを取り付けた振動ふるいにより回収した。得られた予め清澄化した液体は、100%の相対活量単位を含有していた。それを遠心分離によりポリッシングをした。その固体は廃棄した。その清澄化した液体は、約6800リットルを示した。それは、90%の相対活量単位を含有していた。その清澄化した液体のpHを4.0±0.2に調整した。その清澄化した液体を、次に、30,000Daにカットオフを有するセラミック膜を装着した限外濾過ユニットにより5倍の1360リットルまで濃縮した。その濃縮物は、76%の相対活量単位を含有していた。その1360リットルの濃縮した抽出液に5%のケイソウ土(68kg)を加え、約15分間混合した。100%の組み換え犬胃リパーゼが、ケイソウ土に吸着された。その土を濾過して回収し、続いて再び1360リットルの脱着緩衝液と混合した。組み換え犬胃リパーゼが、ケイソウ土から脱着した。その土と吸着された不純物は濾過によって除去した。最終収率65%の相対活量単位が、濾過液中に回収された。
(実施例12)
胚を取り除いた組み換え犬胃リパーゼを生成する1トンのトウモロコシを、粗い粉を得るために粉砕した。この粉を8000リットルの抽出緩衝液と攪拌容器中で混合した。8時間の浸軟処理の後、湿潤固体を遠心デカンターにより回収した。得られた予め清澄化した液体は、約7200リットルを示した。それは、100%の相対活量単位を含有していた。その予め清澄化した液体は、0.5ミクロンのカットオフを有するセラミック膜のクロスフロー精密濾過によりポリッシングをした。入り込む予め清澄化した液体の85%を透過液中に回収した。その透過液は、初期の組み替え犬胃リパーゼ含量の75%を含有していた。その濃縮水は廃棄した。約6100リットルを示したその透過液を、pH 4.0±0.2に調整した。それを、次に、30,000Daにカットオフを有するセラミック膜を装着した限外濾過ユニットにより10倍の610リットルまで濃縮した。その濃縮物は、64%の相対活量単位を含有していた。その610リットルの濃縮した抽出液に5%のケイソウ土(30kg)を加え、約15分間混合した。100%の組み換え胃リパーゼが、ケイソウ土に吸着された。その土を濾過して回収し、続いて再び610リットルの脱着緩衝液と混合した。組み換え犬胃リパーゼが、ケイソウ土から脱着した。その土と吸着された不純物は濾過によって除去した。最終収率59%の相対活量単位が、濾過液中に回収された。
タバコ工場で生産された組み換えコラーゲンの本発明による抽出および精製の青色Coomassie Gelを示す図である。図1におけるレーンは、以下のように確認されている: レーン1: 組み換えコラーゲン(対照) レーン2: 濾過した浸軟処理物 レーン3: 1.5%のケイソウ土による濾過した浸軟処理物の吸着および30分間の激しい攪拌の後に集めた濾過液。 レーン4: 脱着緩衝液(a)による脱着後集めた脱着物質 レーン5: レーン3で集めた濾過液 レーン6: 脱着緩衝液(b)による脱着後集めた脱着物質 レーン7: レーン3で集めた濾過液 レーン8: 脱着緩衝液(c)による脱着後集めた脱着物質 レーン9: レーン3で集めた濾過液 レーン10: 脱着緩衝液(d)による脱着後集めた脱着物質

Claims (40)

  1. 複合媒体から所望の組み換えタンパク質を予備精製および濃縮する方法であって、前記方法が、
    ・前記複合媒体を、少なくとも1種類のケイソウ土と十分な時間接触させて、前記所望の組み換えタンパク質を前記ケイソウ土に吸着させる工程と、
    ・前記所望の予備精製および濃縮をした組み換えタンパク質を前記ケイソウ土から脱着させる工程
    とを含む方法。
  2. 前記脱着工程を、沈殿剤またはカオトロピック剤なしで行う請求項1に記載の方法。
  3. 前記脱着工程を、汚染液体排出物なしで行う請求項1に記載の方法。
  4. 前記ケイソウ土を、活性化および非活性化ケイソウ土からなるものから選択する請求項1に記載の方法。
  5. 前記複合媒体が、固体または実質的に固体であり、前記少なくとも1種類のケイソウ土と接触させる前に浸漬緩衝液中で浸漬工程を行う請求項1に記載の方法。
  6. 前記複合媒体が、固体または実質的に固体であり、乾燥状態の細胞または細胞の一部から実質的に構成されている請求項1に記載の方法。
  7. 前記複合媒体が、細胞培養物、細胞溶解物、構造化または非構造化組織、臓器、および同種のものを含む群から選択される請求項1に記載の方法。
  8. 前記複合媒体が、獣類、ヒト、酵母、細菌、昆虫、カビ、および植物に由来する細胞または細胞の一部を含む群から選択される請求項1に記載の方法。
  9. 前記複合媒体が、植物の葉、植物の茎、花、植物の花粉、植物の種子、植物の子葉、植物の根、および植物の生殖器官からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  10. 前記複合媒体が、被子植物から選択される請求項1に記載の方法。
  11. 前記複合媒体が、単子葉植物または双子葉植物から選択される請求項1に記載の方法。
  12. 前記複合媒体が、タバコの葉である請求項1に記載の方法。
  13. 前記複合媒体が、トウモロコシ(メイズ)の種子である請求項1に記載の方法。
  14. 前記複合媒体が、粉砕されている請求項1に記載の方法。
  15. 前記複合媒体が、約200ミクロンと約5mmの間を含む粒度分布を有する請求項1に記載の方法。
  16. 前記ケイソウ土が、本質的に疎水性である請求項1に記載の方法。
  17. 前記ケイソウ土が、活性化されておらず、clarcel CBRおよびclarcel CBLケイソウ土からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  18. 前記ケイソウ土が、clarcel CBR3またはclarcel CBLである請求項1に記載の方法。
  19. 前記ケイソウ土が、以下の金属酸化物:SiO2、Al2O3、Fe2O3、TiO2、CaO、MgO、K2O、Na2Oから構成されている請求項1に記載の方法。
  20. 前記ケイソウ土が、約10から約20ミクロンの粒度分布を有している請求項1に記載の方法。
  21. 前記土を、前記複合媒体と接触させる前に予め湿潤させる請求項1に記載の方法。
  22. 前記土を、水または浸漬緩衝液で予め湿潤させる請求項1に記載の方法。
  23. 前記土を、脱イオン水で予め湿潤させる請求項1に記載の方法。
  24. 前記複合媒体が、トウモロコシの種子であり、該種子が胚を取り除かれていない請求項1に記載の方法。
  25. 前記複合媒体が、トウモロコシの種子であり、該種子が胚を取り除かれている請求項1に記載の方法。
  26. 前記複合媒体を、吸着が生ずるように前記少なくとも1種類の土と、5分から60分の間を含む時間接触させる請求項1に記載の方法。
  27. 前記少なくとも1種類のケイソウ土が、0.5w/v%から2w/v%含む量で使用される請求項1に記載の方法。
  28. 前記脱着を、5分から60分の間を含む時間で行う請求項1に記載の方法。
  29. 前記脱着を、2から10の間を含むpH、好ましくはpH 2.5とpH 8の間で行う請求項1に記載の方法。
  30. 前記脱着を、バッチ処理用に約15倍から約20倍容量の脱着緩衝液を用いて行い、好ましくは続いて静的処理用に約5倍から10倍容量の脱着緩衝液を使用する請求項1に記載の方法。
  31. 前記少なくとも1種類のケイソウ土を、前記吸着工程の後および前記脱着工程の前に洗浄する請求項1に記載の方法。
  32. 前記複合媒体を、吸着前に少なくとも1種類の凝集剤で処理する請求項1に記載の方法。
  33. 前記方法が、前記浸漬工程後に、浸漬緩衝液中で組み換えタンパク質を濃縮する工程をさらに含む請求項5に記載の方法。
  34. 前記濃縮を、前記組み換えタンパク質および複合媒体を包含している浸漬緩衝液の限外濾過により行う請求項33に記載の方法。
  35. 前記方法が、浸漬緩衝液中での浸漬の後に複合媒体についてのポリッシング工程を実施して、前記浸漬緩衝液中の複合媒体から固形粒子、色素およびその他の大きな凝集体を除去することをさらに含む請求項5に記載の方法。
  36. 前記ポリッシング工程を、濃縮工程の前に行う請求項35に記載の方法。
  37. 前記ポリッシング工程を、浸漬した複合媒体のクロスフロー精密濾過により行う請求項35に記載の方法。
  38. 前記ポリッシング工程を、浸漬した複合媒体を加圧フィルターで加圧濾過することにより行う請求項36に記載の方法。
  39. 前記加圧フィルターが、粉砕された複合媒体、好ましくは植物粒子を保持することができる布材料を備えている請求項38に記載の方法。
  40. 前記フィルターが、フィルターケーキを形成する粉砕された複合媒体である請求項38または請求項39に記載の方法。
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