JP2006507297A - ケロイドおよび他の皮膚または内部創傷または病変における異常瘢痕形成の処置および予防 - Google Patents
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Abstract
本発明は、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)の活性が、異常な瘢痕の形成についての原因として知られている過度のコラーゲン沈積を抑制するという発見に関するものである。これらの異常な瘢痕には、限定されるわけではないが、ケロイド、癒着、肥厚性瘢痕、皮膚の外観を損なう状態、線維症、線維性嚢胞状態、拘縮および強皮症があり、これらは全て創傷治癒過程における過度のコラーゲン沈積に伴うかまたはそれに誘発される。したがって、本発明の局面は、PAI−1活性の低減化により、過度のコラーゲン蓄積を減少させ、異常な瘢痕の形成を阻止し、および/または過度のコラーゲン蓄積から生じる異常な瘢痕を処置することである。PAI−1活性は、限定されるわけではないが、例えばPAI−1中和性抗体、ジケトピペラジンに基く化合物、テトラミン酸に基く化合物、ビタミンC、ビタミンE、ミフェプリストン(RU486)、およびスピロノラクトンを含むPAI−1阻害剤により低減化され得る。本発明の別の局面は、創傷治癒過程におけるPAI−1活性を測定し、異常瘢痕形成の傾向を測定する方法に関するものである。
Description
関連出願
この出願は、2002年5月13日付の米国仮出願第60/380696号の利益を主張するもので、これについては図面を含む本明細書全体において出典明示で援用する。
この出願は、2002年5月13日付の米国仮出願第60/380696号の利益を主張するもので、これについては図面を含む本明細書全体において出典明示で援用する。
政府認可との関係
本発明は、米国立総合医科学研究所による認可GM55081のもと政府の支援により為された。米国政府は、この発明においてある種の権利を有し得る。
本発明は、米国立総合医科学研究所による認可GM55081のもと政府の支援により為された。米国政府は、この発明においてある種の権利を有し得る。
発明の分野
本発明は、異常瘢痕形成の処置または予防に関するものである。具体的には、本発明は、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1の活性の低減化による、ケロイド、肥厚性瘢痕、癒着および他の皮膚または内部創傷または病変を含む異常な瘢痕を誘発する創傷治癒過程における過度のコラーゲン沈積の減少に関するものである。
本発明は、異常瘢痕形成の処置または予防に関するものである。具体的には、本発明は、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1の活性の低減化による、ケロイド、肥厚性瘢痕、癒着および他の皮膚または内部創傷または病変を含む異常な瘢痕を誘発する創傷治癒過程における過度のコラーゲン沈積の減少に関するものである。
発明の背景
創傷治癒は、一般に4つの別々の相:1)凝固、2)炎症、3)遊走および増殖、および4)リモデリングに分割される連続過程である。
創傷治癒は、一般に4つの別々の相:1)凝固、2)炎症、3)遊走および増殖、および4)リモデリングに分割される連続過程である。
対象における創傷発生直後に、創傷治癒過程がフィブリンおよびフィブロネクチンの凝固により開始され、創傷部位においてマトリックスまたは血餅および血小板の凝集を形成する。血小板が凝固すると、炎症細胞、例えば好中球、リンパ球およびマクロファージもまた創傷部位に誘引され、創傷治癒因子を放出する。例えば、マクロファージは、サイトカインおよび成長因子、例えば線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、腫瘍壊死増殖因子(tumor necrosis growth factors)(TNF−α)、血管内皮増殖因子(VEGF)、インターロイキン−1(IL−1)、インターフェロン−ガンマ(INF−γ)、および上皮増殖因子様物質を分泌する。活性化された血小板はまた、上皮増殖因子(EGF)、PDGF、トランスフォーミング増殖因子α、β1およびβ2(それぞれTGF−α、TGF−αおよびTGF−β)、血小板由来上皮増殖因子(PDEGF)、血小板活性化因子(PAF)、インスリン様増殖因子−1(INF−1)、フィブロネクチンおよびセロトニンを放出する。これらの生物学的因子は合わさって、ケラチノサイト、線維芽細胞および内皮細胞の浸潤、増殖および遊走に関与する。炎症相の終結に向かって、タンパク質、脂肪および架橋新生コラーゲンは、一緒に凝集し、一時的スカホールドを形成する。
遊走および増殖相の間、創傷部位へ遊走した細胞では急速な有糸***および分化が行なわれる。これらの細胞には、ケラチノサイトおよび線維芽細胞が含まれる。一方では、ケラチノサイトで上皮形成過程が行なわれ、細胞は層化および分化して上皮被膜を形成する。ケラチノサイトはまた、新脈管形成を刺激するケラチノサイト増殖因子(KGF)およびVEGF、化学誘引物質としてのTGF−α、細胞外マトリックス(ECM)形成を促進するPDGF、および生育不能組織およびフィブリンバリアーを溶かすプロテアーゼを放出する。他方、遊走した線維芽細胞は、コラーゲンおよびプロテオグリカンを合成および沈積させ、増殖因子、例えばKGF、結合組織増殖因子(CTGF)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)およびTGF−βを放出する。ケラチノサイト同様、線維芽細胞もまた、後続のリモデリング過程を促進するプロテアーゼを放出する。遊走および増殖相におけるこれらの細胞活性、例えば遊走、増殖、分化、一時的スカホールドの分解、および新生マトリックスの合成は全て、線維増殖過程として記載されることが多い。
創傷治癒の最終段階には、マトリックス成分の沈積パターンを変えるリモデリング過程が必然的に含まれる。記載した通り、初期マトリックスは、ホメオスタシスから生じるフィブリンおよびフィブロネクチンの血餅である。線維芽細胞の増殖および遊走に伴い、プロテアーゼからの助けにより初期マトリックスを置き換え、再配置しながらコラーゲンが合成され、沈積される。コラーゲン線維は徐々に厚みが増し、創傷のストレス線に沿って整列する。正常な瘢痕形成の最後に、最終瘢痕は、表皮とほとんど平行であるコラーゲン線維を示す。(概説については、Hunt et al.、Physiology of Wound Healing、Adv.Skin Wound Care 13:6−11(2000);Ferguson et al.、Scar Formation: The Special Natur of Fetal and Adult Wound Repair、Plas.Reconstr.Surg.97:854−60(1996);Gailit & Clark、Wound Repair in the Context of Extracellular Matrix、Curr.Opin.Cell Biol.6:717−25(1994)参照)。
すなわち、創傷治癒過程は、増殖および分解間で微妙にバランスのとれた平衡状態である。この過程で異常が生じると、創傷治癒における病理学的異常または瘢痕形成組織の過度の沈積に向かってバランスが傾き得る。例えば、創傷治癒過程中の皮膚における瘢痕組織の過度の沈積は、例えばケロイドまたは肥厚性瘢痕を生じさせ得る。ケロイドは創傷治癒における疾患であって、過度の瘢痕組織がもともとの創傷の境界を越えて増殖する。対照的に、肥厚性瘢痕は、外傷または傷害が深層の真皮に至るときに生じる。しかしながら、瘢痕組織の過度の沈積は、もともとの創傷の縁部に制限される。両方の場合において、コラーゲンの過剰蓄積または発現が原因であると考えられている。Tuan & Nichter、The Molecular Basis of Keloid and Hypertrophic Scar Formation、Mol.Med.Today 4:19−24(1998)。
皮膚において異常形成された瘢痕の存在は、多くの場合罹患個体にとって美容上許容でいないものである。事実、創傷治癒における異常または異常瘢痕を避けるかまたは処置するための治療戦略は、化粧品業界における推進力の一つである。さらに、異常な瘢痕は、苦痛であるかまたは掻痒症を起こし得、ある種の運動範囲を制限し得る。深刻な症例では、創傷が生じたとき、それが組織または臓器の機能不全に至り得る。すなわち、創傷治癒における異常および異常な瘢痕により、臨床研究および医学的処置が正当化される。
異常な瘢痕形成の細胞および分子原因論は、徹底的な研究が為されている対象である。研究者らは、増殖因子が異常な瘢痕形成の病理に関与していることを示した。特に、TGF−βファミリーの要員は、重要な生物学的役割を演じる。TGF−β1およびTGF−β2は、正常な皮膚線維芽細胞培養物と比べると高レベルでケロイド線維芽細胞培養物において同定されることから、それらは異常な瘢痕形成および線維症に伴うものであると報告されている。Lee et al.、Expression of Transforming Growth Factor β1,2and 3 Proteins in Keloids、Ann.Plast.Surg.43:179−184(1999)。
異常形成された瘢痕についての慣用的予防または処置には、創傷部位への直接的コルチコステロイド注入による線維芽細胞増殖の阻止、シリコーンゲルシートによるケロイドに伴う掻痒症の処置、熱傷またはケロイド死を誘発する冷凍療法(cyrotherapy)、外科的切除による過剰増殖瘢痕組織の除去、およびIFN−α、INF−βおよびIFN−γの使用によるインターフェロン療法による、皮膚線維芽細胞における細胞メッセンジャーリボ核酸合成を低減化することによるコラーゲン合成の阻止がある。しかしながら、異常な瘢痕形成についての根本的原因が認識されていないため、これらの処置は深刻な副作用または異常瘢痕の再発を伴うことを示している。現在までのところ、異常な瘢痕を軽減または予防する一般に許容された処置は存在しない。Alster & West、Treatment of Scars: A Review、Ann.Plast.Surg. 39:418−432(1995)。
従って、依然として創傷治癒における異常または異常瘢痕の新規処置または予防方法が要望されている。
発明の要約
本発明の一局面は、異常な瘢痕の形成に至り得る創傷治癒過程におけるコラーゲンの過度の蓄積または沈積を低減化する方法であって、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)の活性を低減化する段階を含む方法に関するものである。
本発明の一局面は、異常な瘢痕の形成に至り得る創傷治癒過程におけるコラーゲンの過度の蓄積または沈積を低減化する方法であって、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)の活性を低減化する段階を含む方法に関するものである。
本発明の別の局面は、異常な瘢痕の形成を予防する方法であって、PAI−1活性を低減化する段階を含む方法に関するものである。
本発明のさらに別の局面は、PAI−1活性の低減化を通して異常な瘢痕を処置する方法に関するものである。
本発明のさらに別の局面は、PAI−1活性のレベルを測定することによる創傷治癒過程における異常な瘢痕形成の傾向を測定する方法に関するものである。
本発明の一態様では、PAI−1活性をPAI−1阻害剤により低減化する。PAI−1阻害剤の例としては、限定される訳ではないが、フォシノプリル、イミダプリル、カプトプリル、エナラプリル、L158809、エプロサルタン、トログリタゾン、ビタミンC、ビタミンE、ペリンドルプリル、ミフェプリストン(RU486)、スピロノラクトンおよび反応性中心ループペプチド、PAI−1中和性抗体、ジケトピペラジンに基く化合物、テトラミン酸に基く化合物、ヒドロキシキノリノンに基く化合物、および11−ケト−9(E),12(E)−オクタデカジエン酸がある。
本発明の別の態様では、PAI−阻害剤は、限定されるわけではないが、経口、腸溶、頬側、鼻、局所、直腸、膣、エーロゾル、経粘膜、表皮、経皮、眼、肺、および/または非経口投与を含む投与経路を通して対象に投与される。
本発明の別の態様では、PAI−1活性は、例えば色素原検定法、酵素結合イムノソルベント検定法、フィブリンオーバーレイ検定法、および逆フィブリンオーバーレイ検定法により測定される。
本発明の別の態様では、異常な瘢痕は、過度のコラーゲン蓄積から生じる創傷治癒過程における異常である。異常な瘢痕の例には、限定されるわけではないが、ケロイド、外科的癒着、肥厚性瘢痕、皮膚の外観を損なう状態、例えばざ瘡およびしわ状セリュライト形成、新形成線維症、線維症、線維性嚢胞状態、拘縮、強皮症、デュピュイトラン病、ペーロニー病および関節の硬直がある。
図面の簡単な説明
添付図面は、本発明の実例を提供し、本発明の原理を説明すべく明細書に組み入れられ、その一部を形成している。図面は、本発明がいかに為され、使用され得るかの好ましい代替的態様を説明することを目的としているに過ぎない。勿論、図面は、本発明の概念を表し、説明することを意図したものであると理解すべきである。図面は、発明を制限するものではなく、説明的な実例に過ぎないものとしてみなされる。本発明の様々な利点および特徴は、記載された明細書および添付図面について熟考することにより明らかになるはずである。
添付図面は、本発明の実例を提供し、本発明の原理を説明すべく明細書に組み入れられ、その一部を形成している。図面は、本発明がいかに為され、使用され得るかの好ましい代替的態様を説明することを目的としているに過ぎない。勿論、図面は、本発明の概念を表し、説明することを意図したものであると理解すべきである。図面は、発明を制限するものではなく、説明的な実例に過ぎないものとしてみなされる。本発明の様々な利点および特徴は、記載された明細書および添付図面について熟考することにより明らかになるはずである。
図1は、正常皮膚、正常瘢痕およびケロイドにおけるuPAおよびPAI−1発現の免疫組織化学試験を示す。メラニン細胞が免疫組織化学的に暗褐色を表すアフリカ系アメリカ人患者からケロイドおよび正常皮膚標本を採取した。Ctrl:一次抗体を伴わない対照。「*」:表皮。「J」、「k」および「l」は、ケロイド瘢痕の深層皮膚領域からである。パネル「b」および「c」における黒矢印のヘッドは血管を示す。パネル「h」、「k」、「i」および「l」における白矢印のヘッドは線維芽細胞を示す。写真画像を100×倍率で撮影した。
図2は、正常皮膚、正常瘢痕またはケロイド由来の線維芽細胞からのPAI−1のメッセンジャーRNAのノーザンブロット分析を示す。正常皮膚(N65およびN77)、正常瘢痕(NS70およびNS75)、およびケロイド(K76およびK80)線維芽細胞を、8×103細胞/cm2の密度で培養し、ノーザンブロット分析用に抽出した。20μgの全RNAを各レーンにローディングした。試料をβ−アクチンのレベルに標準化した。
図3は、16日の期間にわたってフィブリンゲルで培養した正常およびケロイド線維芽細胞を比較するコラーゲン蓄積の時間推移試験を示す。正常またはケロイド線維芽細胞のいずれかにより合成されたコラーゲンを、本明細書記載の手順に従って精製した。各時点での精製コラーゲンの量をcpm/細胞で表す。
図4は、正常およびケロイド線維芽細胞を比較する14日の期間にわたるuPAおよびPAI−1の発現を示す。上方パネル:uPA活性を立証するフィブリンオーバーレイ検定法。下方パネル:PAI−1活性を立証する逆フィブリンオーバーレイ検定法。2本鎖uPAは、50kDaまでの分子量で存在する。1本鎖uPAは30kDまでの分子量で存在する。高分子量タンパク質(〜110kD)は、uPA/PAI−1複合体である。ヒトPAI−1は、50kD前後の分子量を示す。
図5は、13日の培養期間にわたるドナー‐および解剖部位‐適合正常(N86)およびケロイド(K86)線維芽細胞からのuPAおよびPAI−1の発現を示す。上方パネル:uPA活性を立証するフィブリンオーバーレイ検定法。下方パネル:PAI−1活性を立証する逆フィブリンオーバーレイ検定法。2本鎖uPAは、50kDaまでの分子量で存在する。1本鎖uPAは30kDまでの分子量周囲に存在する。高分子量タンパク質(〜110kD)は、uPA/PAI−1複合体である。ヒトPAI−1は、50kD前後の分子量を示す。
図6は、フィブリン、フィブリン−コラーゲンまたはコラーゲンゲルで培養された正常またはケロイド線維芽細胞のuPAおよびPAI−1の発現を示す。上方パネル:uPA活性を立証するフィブリンオーバーレイ検定法。下方パネル:PAI−1活性を立証する逆フィブリンオーバーレイ検定法。2本鎖uPAは、50kDaまでの分子量で存在する。1本鎖uPAは30kDまでの分子量周囲に存在する。ヒトPAI−1は、50kD前後の分子量を示す。
図7は、フィブリンまたはコラーゲンゲルで培養された正常またはケロイド線維芽細胞のコラーゲン蓄積を示す。線維芽細胞により合成されたコラーゲンを本明細書記載の要領で精製し、cpm/細胞として表す。
図8は、フィブリンゲルで培養されたケロイド線維芽細胞のコラーゲン蓄積に対する抗PAI−1中和性抗体の効果を示す。線維芽細胞により合成されたコラーゲンを、本明細書記載の手順に従って精製し、cpm/細胞として表す。挿入:PAI−1活性を示す逆フィブリンオーバーレイ。
図9は、ケロイド線維症の主たる発見を要約し、組織損傷修復の鍵となる事象/要素にそれらを結び付ける概略図を示す。プラスミノーゲン活性化因子/プラスミンおよびPAI−1系は、マトリックスリモデリングにとって中心である。それはフィブリン分解を調節し、TGF−ベータおよびマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性に影響を及ぼし、そして細胞外マトリックス(ECM)への細胞接着/遊走を調節する。ケロイド線維芽細胞は、TGF−βへの曝露時にさらに増強され得る、高いレベルのコラーゲン蓄積だけでなく、それらのPAI−1活性増加およびuPA活性減少に起因するフィブリン分解における欠損を呈した。PAI−1中和性抗体が、正常線維芽細胞と同等のレベルまでケロイド線維芽細胞のコラーゲン蓄積を低減化することが観察されたとき、またはコラーゲン含有マトリックスゲルにおいてケロイド線維芽細胞を培養することによりuPA活性が増強されたとき、PAI−1活性増加およびケロイド線維芽細胞の過度のコラーゲン蓄積間の関係が確立された。黒塗り矢印は、活性レベルを示す。
発明の詳細な記載
本発明は、異常形成瘢痕からの線維芽細胞が過度のコラーゲン蓄積を呈し、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)の高い活性を表すこと、およびPAI−1活性を減少させることにより、異常瘢痕からの線維芽細胞におけるコラーゲンの過度の沈積が減じられるという発見に関するものである。
本発明は、異常形成瘢痕からの線維芽細胞が過度のコラーゲン蓄積を呈し、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)の高い活性を表すこと、およびPAI−1活性を減少させることにより、異常瘢痕からの線維芽細胞におけるコラーゲンの過度の沈積が減じられるという発見に関するものである。
特に、正常形成瘢痕および異常形成瘢痕(例えば、ケロイド)の皮膚線維芽細胞は、両方ともウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)およびPAI−1を発現するが、異常形成瘢痕からの線維芽細胞はかなり高いPAI−1発現性を有することが、免疫組織化学試験を通して発見されている。長期三次元フィブリンゲル培養物は、正常線維芽細胞が、uPAおよびPAI−1の中程度の調節された活性レベルを表すことを示す。対照的に、ケロイド線維芽細胞は、一貫して高レベルのPAI−1および低レベルのuPAを表した。ケロイド線維芽細胞の高いPAI−1活性は、フィブリンゲル培養物におけるそれらの高いコラーゲン蓄積と相関関係を示す。さらに、抗PAI−1中和性抗体でフィブリンゲル培養物におけるPAI−1活性を減少させることにより、ケロイド線維芽細胞における高い蓄積が低減化されることが観察されている。
いかなる理論にも結び付けられることは望まないが、これらの発見は、PAI−1過剰発現または高いPAI−1活性が、インビトロおよびインビボの両方における異常形成瘢痕からの線維芽細胞の永続的な特徴であることを示唆している。PAI−1活性の減少が過度のコラーゲン蓄積の低減化をまねくと仮定すれば、PAI−1は、異常形成瘢痕からの線維芽細胞の高いコラーゲン蓄積において原因となる役割を演じると思われる。したがって、本発明の一局面は、異常瘢痕または創傷治癒における異常の線維芽細胞におけるコラーゲンの過度の沈積または蓄積を予防または低減化する方法であって、PAI−1活性を低減化させる段階を含む方法に関するものである。
フィブリンマトリックスのタンパク質加水分解およびそれに続く線維芽細胞により産生されるコラーゲンの置換は、創傷治癒過程の特に線維増殖およびリモデリング段階での本質的特徴であることは、当業界では公知である。また、コラーゲンの過度の沈積または過剰発現は、異常瘢痕をもたらす創傷治癒過程における異常を誘発することも報告されている。Tuan & Nichter、The Molecular Basis of Keloid and Hypertrophic Scar Formation、Mol.Med.Today 4:19−24(1998)。いかなる理論にも結び付けられることは望まないが、PAI−1活性の低減化により、過度のコラーゲン沈積により誘発される創傷治癒過程における異常が予防され得ると思われる。さらに、PAI−1活性を減少させることにより、異常瘢痕形成の病理学的推移が覆され、創傷治癒過程がその正常な経過に引き戻され得ると思われる。従って、本発明の別の局面は、過度のコラーゲン沈積から生じる創傷治癒における異常または異常瘢痕の予防および/または低減化方法であって、PAI−1活性を低減化する段階を含む方法に関するものである。
PAI−1の活性は、当業界で公知の方法、例えば本明細書に記載されている色素原検定法、フィブリンオーバーレイ検定法および逆フィブリンオーバーレイ検定法により測定され得るため、正常な創傷治癒経過または正常な瘢痕形成中におけるPAI−1活性のレベルが決定され、標準PAI−1活性として示され得る。創傷治癒過程の通常の経過における標準PAI−1活性は、創傷治癒過程にある創傷部位でのPAI−1活性のレベルとの比較に使用され得る。通常の創傷治癒過程における標準PAI−1活性は、創傷部位でのPAI−1活性を測定する公知方法または検定法、またはGaffney & Edgell、The international standard for plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)activity、Thromb.Haemost.76:80−83(1996)で示された方法を用いて確立され得る。過度のコラーゲン沈積により誘発される異常形成瘢痕は、持続的に高レベルのPAI−1を表すため、創傷治癒過程における創傷部位で示される高レベルのPAI−1活性は、過度のコラーゲン蓄積の可能性または異常瘢痕または創傷治癒過程における異常を形成する傾向を表し得る。したがって、本発明の別の局面は、過度のコラーゲン沈積の可能性または異常瘢痕形成の傾向を測定する方法であって、創傷部位の位置を確認し、創傷部位におけるPAI−1活性のレベルを測定する段階を含む方法に関するものである。さらに、上記方法は、正常な創傷治癒過程における標準PAI−1活性と創傷部位でのPAI−1活性を比較し、異常な瘢痕を形成する可能性を測定する段階を含む。
プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)
本明細書で使用されているPAI−1は、セリンプロテアーゼ阻害剤(SERPIN)ファミリーの一員であり、セリンプロテアーゼウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)および組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)の両方にとっての主たる阻害剤である。プラスミノーゲン活性化因子のPAI−阻害は、プラスミノーゲン活性化因子についての天然基質、プラスミノーゲンを模倣する、PAI−1タンパク質のベイトペプチド結合(#346(Arg)および#347(Met)間のアミノ酸残基)を通して伝達されることが見出された。
本明細書で使用されているPAI−1は、セリンプロテアーゼ阻害剤(SERPIN)ファミリーの一員であり、セリンプロテアーゼウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)および組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)の両方にとっての主たる阻害剤である。プラスミノーゲン活性化因子のPAI−阻害は、プラスミノーゲン活性化因子についての天然基質、プラスミノーゲンを模倣する、PAI−1タンパク質のベイトペプチド結合(#346(Arg)および#347(Met)間のアミノ酸残基)を通して伝達されることが見出された。
uPAおよびtPAは両方とも、プラスミノーゲンをプラスミンに変換する酵素である。そしてプラスミンは、細胞外マトリックス(ECM)における他の糖タンパク質の分解、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の活性化、およびトランスフォーミング成長因子TGF−Bの放出に関与する。Rifkin et al.、Plasminogen/plasminogen activator and growth factor activation、Ciba.Found.Symp. 212:105−115(1997)。したがって、インビボでのプラスミノーゲン活性化の一次調節因子として、PAI−1は、創傷治癒過程中における細胞外マトリックス代謝に関与すると思われる。インビボでのPAI−1の発現が増加すると、組織の正常な線維分解系が抑制され、組織損傷部位におけるフィブリンの病的沈積をもたらし得る局所前血栓状態が形成されることが報告されている。Yamamoto & Saito、A Pathological Role of Increased Expression of Plasminogen Activator Inhibitor-1 in Human or Animal Disorders、Int'l.J.Hematol. 68:371−385(1998)。
PAI−1についての分子基盤は、充分に特性確認されている。特に、ヒトおよび動物由来の完全長PAI−1をコードするDNA配列がクローン化および配列決定されている。例えば、ヒトPAI−1のcDNA配列およびそのエンコーディングアミノ酸配列は、Genbank受入番号X047444で列挙されている。マウスPAI−1のcDNA配列およびそのエンコーディングアミノ酸配列は、GenBank受入番号M33960で列挙されている。本発明で使用されているPAI−1は、ヒトPAI−1をいう。
PAI−1の特徴の一つは、PAI−1が自発的にその活性立体配座から、プラスミノーゲン活性化因子に結合し得ず、そしてそれを阻害し得ない潜在的不活性立体配座へ変換し得ることである。Sancho,et al.、Conformational studies on plasminogen activator inhibitor(PAI-1) in active,latent,substrate,and cleaved forms、Biochem. 34:1064−1069(1995)。反応性中心ループとも呼ばれている、PAI−1の#333(Ser)から#346(Lys)までのアミノ酸残基は、プラスミノーゲン活性化因子に対するPAI−1の阻害効果に関与していることが報告されている。Eitzman et al.、Peptide-mediated inactivation of recombinant and platelet plasminogen activator inhibitor-1 in vitro、J.Clin.Invest. 95:2416−2420(1995)。PAI−1の活性形態では、反応性中心ループ(RCL)は、タンパク質の表面から突出し、偽基質としてプラスミノーゲン活性化因子にベイトペプチド結合(Arg346−Met347)を露出させている。しかしながら、潜在性不活性立体配座では、反応性中心ループは、β−シートAへ中心鎖として挿入されている。同上。さらに、PAI−反応性中心ループに対応する14アミノ酸ペプチド(RCLペプチド)は、PAI−1機能および活性を弱めることが示された。同上。
PAI−1活性の低減化
PAI−1の低減化は、PAI−1の発現、活性または存在を縮小、減少、排除または除去する方法により達成され得る。例えば、PAI−1活性は、PAI−1遺伝子またはタンパク質の除去を通して減らされ得る。好適に製造されたPAI−1ノックアウトマウスは、ブレオマイシン誘導肺線維症に対して保護されていると思われると報告されている。Hattori et al.、Bleomycin-Induced Pulmonary Fibrosis in Fibrinogen-Null Mice、J.Invest.Invest. 106:1341−1350(2000)。PAI−1活性はまた、本明細書に記載された通りコラーゲンまたはフィブリン‐コラーゲンゲルで線維芽細胞をインビトロ培養することにより増加しているuPA活性を通して低減化され得る。
PAI−1の低減化は、PAI−1の発現、活性または存在を縮小、減少、排除または除去する方法により達成され得る。例えば、PAI−1活性は、PAI−1遺伝子またはタンパク質の除去を通して減らされ得る。好適に製造されたPAI−1ノックアウトマウスは、ブレオマイシン誘導肺線維症に対して保護されていると思われると報告されている。Hattori et al.、Bleomycin-Induced Pulmonary Fibrosis in Fibrinogen-Null Mice、J.Invest.Invest. 106:1341−1350(2000)。PAI−1活性はまた、本明細書に記載された通りコラーゲンまたはフィブリン‐コラーゲンゲルで線維芽細胞をインビトロ培養することにより増加しているuPA活性を通して低減化され得る。
本発明の一実施態様では、PAI−1活性は、PAI−1阻害剤により低減化される。PAI−1阻害剤は、PAI−1の活性を直接的または間接的に阻害(抑制またはダウンレギュレーション)する分子または高分子である。
好ましい実施態様では、PAI−1阻害剤は、直接的にPAI−1と相互作用するかまたはそれに結合することにより、PAI−1の活性を低減化する直接PAI−1阻害剤である。さらに好ましい実施態様において、直接PAI−1阻害剤には、限定されるわけではないが、1)ジケトピペラジンXR330およびXR334、Bryans et al.、Inhibition of plasminogen activator inhibitor-1 activity by two diketopiperazines produced by Streptomyces sp.、J.Antibiot.49:1014−1021(1996);2)ジケトピペラジンXR1853およびXR5082、Charlton et al.、Evaluation of a low molecular weight modulator of human plasminogen activator inhibitor-1 activity、Thromb.Haemost. 75:808−15(1996);3)XR5118およびXR5118から誘導されたジケトピペラジンに基く化合物、例えばFolkes et al.、Synthesis and In Vitro Evaluation of a Series of Diketopiperazine Inhibitors of Plasminogen Activator Inhibitor-1、Bioorg.Medicinal Chem.Lett. 11:2589−2592(2001)に報告されている、化合物#24、25、33、34、35、36、37および38、4)Folkes et al.、Design,synthesis,and in vitro evaluation of potent,novel,small molecule inhibitors of plasminogen activator inhibitor-1、Bioorg.Med.Chem.Lett. 12:1063−1066(2002)に報告されているテトラミン酸に基く化合物およびヒドロキシキノリノンに基く化合物、および5)11−ケト−9(E),12(E)−オクタデカジエン酸、Chikanishi et al.、Inhibition of plasminogen activator inhibitor-1 by 11‐keto-9(E),12(E)-octadecadienoic acid, a novel fatty acid produced by Trichodermasp.、J.Antibiot. 52:797−802(1999)がある。また、PAI-1の活性を阻害する低分子量化学的化合物については、米国特許第5902812号、米国特許第5891877号、および米国特許第5750535号参照、これらについては出典明示で援用する。
本発明の別のさらに好ましい実施態様において、直接PAI−1阻害剤には、本明細書に記載されているPAI−1中和性抗体、およびPAI−1阻害性モノクローナル抗体、例えば限定されるわけではないが、ヒトPAI−1 MA−44E4、MA−42A2F6、MA−56A7C10、MA−33B8に対するネズミモノクローナル抗体がある。Verhamme et al.、Accelerated conversion of human plasminogen activator inhibitor-1 to its latent form by antibody binding、J.Biol.Chem.、274:17522−17517(1999);Bijnens et al.、The distal hinge of the reactive site loop and its proximity: A target to modulate plasminogen activator inhibitor-1 activity、J.Biol.Chem.、276:44912−44918(2001)参照。反応性中心ループ(PAI−1のSer333−Lys346)はPAI−1構造の表面から突出し、プラスミノーゲン活性化因子へのベイトペプチド結合(Aug346-Met347)を呈するため、反応性中心ループに対するポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、直接PAI−1阻害剤であると考えられる。PAI−1中和性または阻害性抗体は、PAI−1に結合し、プラスミノーゲン活性化因子とのその相互作用を阻害することによりその活性を遮断し得る。別法として、PAI−1中和性または阻害性抗体は、PAI−1の活性立体配座から潜在性不活性形態への変換を促進することによりPAI−1活性を抑制し得る。Verhamme、前出参照。
本発明の別の実施態様において、PAI−1阻害剤は、間接的にPAI−1の活性を阻害(抑制またはダウンレギュレーション)する分子または高分子である間接的PAI−1阻害剤である。例えば、細胞および分子レベルでは、間接的PAI−1阻害剤は、PAI−1遺伝子の転写または発現を特異的に阻害する因子または化合物、PAI−1の発現を遮断するPAI−1配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、PAI−1 mRNAの分解についてのRNA干渉を誘導するポリヌクレオチド構築物、または順次PAI−1のmRNAを分解するsiRNAを生産するダイサー、プラスミノーゲン活性化因子との酵素反応においてPAI−1と競合する分子であり得る。PAI−1の発現が、因子、例えば内毒素、トロンビン、TNF−アルファ、TGF−β、インターロイキン−1、インシュリン、デキサメタゾン、PDGF、EGF、リポタンパク質およびアンギオテンシンIIにより高められ得ることは、当業界では公知である。従って、間接的PAI−1阻害剤は、間接的にPAI−1の発現を低減化するその因子に対する阻害剤であり得る。
間接的PAI−1阻害剤は、PAI−1の発現を抑制する化合物であることがさらに好ましい。PAI−1の発現を抑制または弱化する間接的PAI−1阻害剤としては、限定されるわけではないが、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(例、フォシノプリル、イミダプリル、カプトプリル、エナラプリル)、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト(L158809、エプロサルタン)、トログリタゾン、ビタミンC、ビタミンE、ペリンドプリル、ミフェプリストン(RU486)およびスピロノラクトンが挙げられることは、当業界では公知である。Eitzman et al.、Peptide-mediated inactivation of recombinant and platelet plasminogen activator inhibitor-1 in vitro、J. Clin. Invest. 95:2416-2420 (1995); Pawlowska et al., Natriuretic peptides reduce plasminogen activator inhibitor-1 expression in human endothelial cells、 Cell Biol. Lett. 7:1153-1157 (2002); Mitsui et al.、Imidapril, an angiotensin-converting enzyme inhibitor, inhibits thrombosis via reduction in aortic plasminogen activator inhibitor type-1 levels in spontaneously hypertensive rats、 Biol. Pharm. Bull. 22:863-865 (1999); Brown et al.、Aldosterone modulates plasminogen activator inhibitor-1 and glomerulosclerosis in vivo、Kidney Int. 58:1219-1227 (2000); Wong et al.、Gene expression in rats with renal disease treated with the angiotensin II receptor antagonist, Eprosartan、Physiol. Genomics 4:35-42 (2000); Papp et al.、Biological mechanisms underlying the clinical effects of mifepristone (RU 486) on the endometrium、Early Pregnancy 4:230-239 (2000); Oikawa et al.、Modulation of plasminogen activator inhibitor-1 in vivo: a new mechanism for the anti-fibrotic effect of renin-angiotensin inhibition、Kidney Int. 51:164-172 (1997); Fogari et al.、Losartan and perindopril effects on plasma plasminogen activator inhibitor-1 and fibrinogen in hypertensive type 2 diabetic patients、Am. J. Hypertens. 15:316-320 (2002); Pahor et al.、Fosinopril versus amlogipine comparative treatments study: a randomized trial to assess effects on plasminogen activator inhibitor-1、Circulation 105:457-461 (2002); Orge et al.、Vitamins C and E attenuate plasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1) expression in a hypercholesterolemic porcine model of angioplasty、Cardiovasc. Res. 49:484-492 (2001); Gottschling-Zeller et al.、Troglitazone reduces plasminogen activator inhibitor-1 expression and secretion in cultured human adipocytes、Diabetologia 43:377-383 (2000); Katoh et al.、Angiotensin-converting enzyme inhibitor prevents plasminogen activator inhibitor-1 expression in a rat model with cardiovascular remodeling induced by chronic inhibition of nitric oxide synthesis、J. Mol. Cell Cardiol. 32:73-83 (2000)参照。
別のさらに好ましい実施態様では、間接的PAI−1阻害剤は、PAI−1およびプラスミノーゲン活性化因子間の反応を妨げることにより、間接的にPAI−1活性を低減化させるペプチドである。例えば、PAI−1の反応性中心ループの配列を含むペプチド(RCLペプチド)は、PAI−1活性を阻害することが知られている。Verhamme、前出。
分子または高分子がPAI-1阻害剤であるか否かを決定する場合、当業者に公知の色素原検定法を実施して、分子または高分子の存在下におけるPAI−1活性を測定することが多い。色素原検定法では、まず、分子を、PAI−1含有溶液またはPAI−1を分泌する細胞を含む細胞培養物に混合する。次いで、一定量の組織プラスミノーゲン活性化因子を生成した混合物に加え、PAI−1と反応させる。中性pHのGlu−プラスミノーゲン、ポリD−リシンおよび色素原基質の混合物を反応物に加えることにより、残留tPAを測定する。残留tPA活性は、プラスミノーゲンからさらに色素原基質を加水分解するプラスミンへの変換を触媒する。現われた色の度合は、分子の阻害性および有効性を順次表すtPAの量と比例の相関関係を示す。色素原検定法は、Wysocki et al、Temporal Expression of Urokinase Plasminogen Activator, Plasminogen Activator Inhibitor and Gelatinase-A in Chronic Wound Fluid Switches from a Chronic to Acute Wound Profile with Progression to Healing, Wound Repair Regen. 7: 154-165 (1999)に詳述されている。さらに、分子がPAI−1の発現を抑制するか否かはまた、フィブリンオーバーレイ検定法、逆フィブリンオーバーレイ検定法、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)により測定され得、これらは全て当業界では公知であるか、および/または本明細書に記載されている。
PAI−1阻害剤により誘発される過度のコラーゲン蓄積の低減化の有効性を調べるため、インビトロ三次元フィブリンマトリックスゲル培養系を使用する。3−Dフィブリンマトリックスゲル培養系は、創傷治癒過程中の細胞および細胞外マトリックス間における相互作用を試験すべく確立されたインビトロ線維増殖モデルである。Tuan et al.、In vitro Fibroplasia: Matrix Contraction, Cell Growth and Collagen Production of Fibroblasts Cultured in 3-Dimensional Fibrin Matrix、Exp. Cell Res. 223: 127-134 (1996)。3−Dフィブリンマトリックスゲル培養系は、線維増殖の鍵となる特徴を呈する。特に、この系は、細胞増殖、フィブリン再組織および分解、および創傷治癒におけるコラーゲン合成および沈積を模倣する。従って、この系は、インビボ線維増殖過程を効果的に表す。3−Dフィブリンマトリックスゲル培養系におけるPAI−1阻害剤の存在は、PAI−1活性の低減化およびそれに続いてコラーゲン合成の低減化を誘発する。コラーゲン合成レベルは、当業界で公知の方法を用いて測定され得る。Tuan et al.、In vitro Fibroplasia: Matrix Contraction, Cell Growth and Collagen Production of Fibroblasts Cultured in 3-Dimensional Fibrin Matrix、Exp. Cell Res. 223: 127-134 (1996)。
PAI−1活性は色素原検定法を用いて測定され得るため、通常の瘢痕形成経過中におけるPAI−1活性のレベルは、異常な瘢痕形成経過におけるPAI−1活性と比較される標準PAI−1活性として測定され、示され得る。従って、異常な瘢痕形成の傾向は、各瘢痕形成段階で測定され得、PAI−1阻害剤は、異常な瘢痕形成を予防するかまたは異常瘢痕を形成する可能性を減らすのに適切な治療有効量で投与され得る。
創傷治癒における異常
上述した通り、本発明の一局面は、異常な瘢痕形成を回避するかまたは過度のコラーゲン沈積により誘発される創傷治癒における異常を処置する方法であって、PAI−1活性を低減化する段階を含む方法に関するものである。本明細書で使用されている「創傷」の語については、少なくとも身体または身体組織または臓器、例えば皮膚、肺、腎臓、肝臓、心臓、消化管、骨、腱、眼または神経の内部および外部表面の粘膜または上皮層への傷害、損傷または外傷を例として挙げることができるが、これらに限定はされない。創傷は、外傷、手術、切開、感染、火傷、剥離、穿刺、打撃、水疱、汚染物質または毒素により誘発され得る。一旦創傷が生じると、創傷領域または創傷部位では、通常、損なわれた組織または臓器を修復するための創傷治癒過程が進行する。通常の創傷治癒過程は、創傷部位の組織または臓器を可能な限り傷の無い状態に戻す。しかしながら、創傷治癒過程は、多くの段階に掛かり合い、上記の多くの因子により影響される、専ら特定目的のために進行する過程である。何らかの逸脱があると、この過程は乱され、正常な創傷治癒からの逸脱として異常または異常瘢痕形成が誘発され得る。
上述した通り、本発明の一局面は、異常な瘢痕形成を回避するかまたは過度のコラーゲン沈積により誘発される創傷治癒における異常を処置する方法であって、PAI−1活性を低減化する段階を含む方法に関するものである。本明細書で使用されている「創傷」の語については、少なくとも身体または身体組織または臓器、例えば皮膚、肺、腎臓、肝臓、心臓、消化管、骨、腱、眼または神経の内部および外部表面の粘膜または上皮層への傷害、損傷または外傷を例として挙げることができるが、これらに限定はされない。創傷は、外傷、手術、切開、感染、火傷、剥離、穿刺、打撃、水疱、汚染物質または毒素により誘発され得る。一旦創傷が生じると、創傷領域または創傷部位では、通常、損なわれた組織または臓器を修復するための創傷治癒過程が進行する。通常の創傷治癒過程は、創傷部位の組織または臓器を可能な限り傷の無い状態に戻す。しかしながら、創傷治癒過程は、多くの段階に掛かり合い、上記の多くの因子により影響される、専ら特定目的のために進行する過程である。何らかの逸脱があると、この過程は乱され、正常な創傷治癒からの逸脱として異常または異常瘢痕形成が誘発され得る。
本明細書で使用されている「異常(な)瘢痕」、「異常(な)瘢痕形成」、「創傷治癒における異常」または「創傷治癒における障害」または「創傷治癒障害」の語は、過度のコラーゲン沈積または蓄積により誘発される通常の創傷治癒過程からの逸脱をいう。異常瘢痕または創傷治癒における異常には、限定されるわけではないが、線維症、線維腫症、ケロイド症、癒着(例、外科的癒着)、肥厚性瘢痕、線維性嚢胞状態、および関節の硬直がある。異常瘢痕または創傷治癒における異常はまた、創傷が生じている組織型に基いた様々な状態に分類され得る。皮膚における異常瘢痕形成は、例えばケロイド、肥厚性瘢痕、拘縮、または強皮症に至り得る。消化管での創傷治癒における異常は、例えば狭窄、癒着または慢性膵炎に至り得る。創傷治癒における異常は、例えば、腎臓における糸球体腎炎、眼における水晶体後線維増殖症、肝臓における肝硬変および胆道閉鎖症、肺における間質性線維症または気管支肺異形成症、および心臓におけるリウマチ心疾患または心室瘤を誘発し得る。Sabiston Textbook of Surgery: The Biological Basis of Modern Surgical Practice、12章(第16版、2001)参照。
好ましくは、皮膚に伴う創傷治癒障害または異常瘢痕には、限定されるわけではないが、肥厚性瘢痕、ケロイド、皮膚の外観を損なう問題、例えばざ瘡、しわ、セリュライト形成および新形成線維症、デュピュイトラン病、ペーロニー病、および他の皮膚または内部創傷または皮膚病変が含まれる。さらに好ましくは、異常瘢痕形成は、肥厚性瘢痕、ケロイドおよび皮膚の外観を損なう問題を含む。ケロイドは、もともとの創傷の境界を越えて増殖する瘢痕組織の過度の沈積から生じる。瘢痕組織の過度の沈積がもともとの創傷の周辺に制限されているとき、肥厚性瘢痕が形成される。ケロイドおよび肥厚性瘢痕の両方において、過度の瘢痕がコラーゲンの病的に過剰な発現および蓄積により誘発されることは当業界では公知である。Haverstock, Hypertrophic Scars and Keloids, Clin. Podiatr. Med. Surg. 18: 147-159 (2001)。
さらに好ましくは、創傷治癒障害は線維症である。線維症は、過度のコラーゲン蓄積を示し、組織における創傷部位が異常瘢痕に取って代わられたとき、組織または臓器の機能を損なう。線維症の例には、心臓のポンプ機能を損なう心臓発作後の瘢痕組織の形成、腎機能の進行性喪失に至る糖尿病からの腎臓における異常な瘢痕形成、並びに拘縮および疼痛を誘発する術後の臓器間の線維性癒着があるが、これらに限定はされない。主要臓器または組織に基く線維症には、糖尿病または高血圧により誘発される腎臓線維症、アルコールまたはウイルス性肝炎により誘発される肝臓線維症、肺線維症、心臓線維症、黄斑変性および網膜および硝子体網膜症があるが、これらに限定はされない。
本明細書で使用されている「過度のコラーゲン蓄積」、「過度のコラーゲン沈積」または「コラーゲンの過剰発現」の語は、通常の治癒過程が進行している創傷部位または正常に形成された瘢痕におけるコラーゲンの通常レベルより高い創傷部位または瘢痕における高レベルのコラーゲンをいう。好ましくは、コラーゲンの高レベルとは、通常レベルよりも少なくとも約20%高いことをいう。さらに好ましくは、コラーゲンのレベルとは少なくとも約30%高いことをいう。コラーゲン蓄積レベルは、インビボ検定法およびインビトロ検定法を用いて測定され得る。インビボ検定法では、創傷部位または瘢痕に存在するコラーゲンの量を、当業界でよく知られているパンチ生検を用いることによる形態学的評価または生化学的評価により測定する。インビトロ検定法では、創傷部位からの線維芽細胞を集め、インビトロ三次元フィブリンマトリックス培養系へ導入する。通常の瘢痕または正常組織からの線維芽細胞(対照線維芽細胞)を対照として使用する。これらの線維芽細胞から新たに合成されたコラーゲンを精製し、標識アミノ酸を用いることにより測定する。Tuan et al.、In vitro fibroplasia: matrix contraction, cell growth and collagen production of fibroblasts cultured in fibrin gels、Exp.Cell.Res.223:127−134(1996)参照。新たに合成されたコラーゲンのレベルが対照線維芽細胞のレベルよりも高い、好ましくは少なくとも約20%高い、さらに好ましくは少なくとも約30%高い場合、創傷部位または瘢痕は、過度のコラーゲン沈積または蓄積を有するものと見なされ得る。
PAI−1阻害剤の投与
本発明の一態様は、創傷を負った対象にPAI−1阻害剤組成物を投与することによる異常な瘢痕形成の予防または異常瘢痕の処置方法に関するものである。PAI−1阻害剤組成物は、PAI−1阻害剤そのものまたはPAI−1阻害剤および医薬上許容される担体を含むPAI−1阻害剤医薬のいずれかである。
本発明の一態様は、創傷を負った対象にPAI−1阻害剤組成物を投与することによる異常な瘢痕形成の予防または異常瘢痕の処置方法に関するものである。PAI−1阻害剤組成物は、PAI−1阻害剤そのものまたはPAI−1阻害剤および医薬上許容される担体を含むPAI−1阻害剤医薬のいずれかである。
PAI−1阻害剤組成物は、限定する訳ではないが、経口、腸溶、頬側、鼻、局所、直腸、膣、エーロゾル、経粘膜、表皮、経皮、眼、肺および/または非経口投与を含む、当業界で公知の投与経路により対象に投与され得る。表皮または局所投与とは、創傷部位へのPAI−1阻害剤の直接的送達をいう。結膜投与とは、角膜および結膜表面から眼および/または身体の残部および創傷部位へのPAI−1阻害剤の送達をいう。鼻投与は、鼻粘膜上皮から末梢循環系へのPAI−1阻害剤の送達をいう。頬側投与とは、頬または舌上皮から末梢循環系への送達をいう。経口投与とは、頬上皮を経るが主に嚥下され、胃および消化管で吸収されるPAI−1阻害剤の送達をいう。直腸投与とは、下部消化管粘膜を介した末梢循環系へのPAI−1阻害剤の送達をいう。膣投与とは、末梢循環系への膣粘膜を通したPAI−1阻害剤の送達をいう。末梢循環系は、PAI−1阻害剤を創傷部位へ運ぶ。非経口投与とは、限定されるわけではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊椎内および/または胸骨内注射および/または注入を含む典型的には注射に関する投与経路をいう。
本明細書で使用されている「医薬上許容される担体」の語は、PAI−1阻害剤を身体の一組織、臓器または一部から身体の別の組織、臓器または一部へ運ぶかまたは輸送する際に必要とされる医薬上許容される材料、組成物または賦形剤、例えば液体または固体増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料を包含する。各担体は、処方物の他の成分、例えばPAI−1阻害剤と適合性があり、ヒトおよび動物の組織または臓器と接触させた状態での使用に適切であり、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性、または他の問題または合併症を伴うことが無く、利点/危険性が妥当な比率で釣り合っているという意味で「医薬上許容される」ものでなくてはならない。医薬上許容される担体としての機能を果たし得る材料の例には、(1)糖類、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース、(2)澱粉、例えばトウモロコシ澱粉およびジャガイモ澱粉、(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース、(4)粉末状トラガカントゴム、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えばカカオバターおよび坐剤蝋、(9)油脂類、例えば落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油、(10)グリコール類、例えばプロピレングリコール、(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール、(12)エステル類、例えばエチルオレエートおよびエチルラウレート、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)発熱物質不含有水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル溶液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、および(21)医薬処方物で使用される他の非毒性適合性物質がある。
典型的には、PAI−1阻害剤組成物は、各投与経路に適切な処方物または調製物形態で対象に与えられる。本発明方法において有用な処方物は、1種またはそれ以上のPAI−1阻害剤、そのための1種またはそれ以上の医薬上許容される担体、および所望による他の治療成分を含む。処方物は、好都合には単位用量形態で提供され得、医薬業界で公知の方法により製造され得る。単一用量形態を製造するために担体材料と組み合わされ得る有効成分の量は、処置されている対象および特定投与方式により異なる。医薬有効量を製造するために担体材料と組み合わされ得るPAI−1阻害剤の量は、一般的に治療効果を生じるPAI−1阻害剤の量である。一般的に、100パーセントのうち、この量は、約1パーセントから約99パーセントの割合のPAI−1阻害剤、好ましくは約5パーセントから約70パーセントの範囲である。
これらの処方物または組成物の製造方法は、PAI−1阻害剤を1種またはそれ以上の医薬上許容される担体および所望により1種またはそれ以上の副成分と合わせる工程を含む。一般に、処方物は、PAI−1阻害剤を液状担体、または微細分割固体担体、またはその両方と均一および緊密に合わせ、次いで必要ならば生成物を成型することにより製造される。
経口投与に適切な処方物は、カプセル剤、カシェ剤、丸薬、錠剤、ロゼンジ(味付けした基剤、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを用いる)、散剤、顆粒剤、または水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、または水中油または油中水エマルションとして、またはエリキシルまたはシロップとして、またはトローチ剤(不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアを用いる)として、および/または口腔洗浄液などとしての形態を取り得、各々予め定められた量のPAI−1阻害剤を有効成分として含有する。化合物はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与され得る。
経口投与用固体用量形態(例、カプセル剤、錠剤、丸薬、糖衣錠、散剤、顆粒剤など)では、PAI−1阻害剤を1種またはそれ以上の医薬上許容される担体、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または以下の成分:(1)増量剤またはエキステンダー、例えば澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/または珪酸、(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシア、(3)湿潤(希釈)剤、例えばグリセリン、(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウム、(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン、(6)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、(7)湿潤剤、例えばアセチルアルコールおよびグリセリンモノステアレート、(8)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土、(9)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物、および(10)着色料のいずれかと混合する。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合、医薬組成物はまた、緩衝剤を含み得る。また類似タイプの固体組成物は、賦形剤、例えばラクトースまたは乳糖類、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを用いることにより、ゼラチン軟および硬カプセル剤における増量剤として使用され得る。
錠剤は、所望により1種またはそれ以上の副成分と共に、圧縮または成型により製造され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、澱粉グリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性または分散剤を用いて製造され得る。成型錠剤は、適切な機械において不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状ペプチドまたはペプチドミメティックの混合物を成型することにより製造され得る。
錠剤、および他の固体用量形態、例えば糖衣錠、カプセル剤、丸薬および顆粒剤には、所望により割線を入れるか、またはコーティングおよびシェル、例えば腸溶コーティングおよび製薬業界で公知の他のコーティングを施すことによりそれらを製造し得る。それらはまた、例えば、所望の放出プロフィール、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを提供する様々な比率でのヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることによりそこに含まれるPAI−1阻害剤の放出が遅延または制御されるように処方され得る。それらは、例えば、細菌捕捉(bacteria-retaining)フィルターによる濾過により、または使用直前に滅菌水に溶解され得る無菌固体組成物形態の滅菌剤、または他の滅菌注射可能媒質を組入れることにより滅菌され得る。これらの組成物はまた、所望により遮光(opacifying)剤を含み得、PAI−1阻害剤(複数も可)のみを、または優先的に消化管のある部分で、所望により遅延方式で放出する組成物に属し得る。使用され得る埋封組成物の例には、ポリマー物質および蝋がある。PAI−1阻害剤はまた、適切な場合、上記賦形剤の1種またはそれ以上によるマイクロカプセル化形態であり得る。
経口投与用液体用量形態には、医薬上許容されるエマルション、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルがある。PAI−1阻害剤に加えて、液体用量形態は、当業界で常用される不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびごま油)、グリセリン、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤以外に、経口組成物はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、調味料、着色料、香料および保存剤を含み得る。
懸濁液は、PAI−1阻害剤に加えて、懸濁剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、並びにそれらの混合物を含み得る。
直腸または膣投与用処方物は坐剤として提供され得、それらは1種またはそれ以上のPAI−1阻害剤を、例えばカカオバター、ポリエチレングリコール、坐剤蝋またはサリチラートを含む1種またはそれ以上の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより製造され得、室温では固体であるが体温では液状であるため、直腸または膣腔で溶解し、有効成分を放出する。また膣投与に適切な処方物には、当業界で適切であることが知られている上記担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡沫またはスプレー処方物がある。
PAI−1阻害剤組成物の局所または経皮または表皮投与用処方物には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチおよび吸入剤がある。活性成分は、無菌条件下で医薬上許容される担体、および必要とされ得る保存剤、緩衝剤または高圧ガスと混合され得る。軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、PAI−1阻害剤組成物に加えて、賦形剤、例えば動物および植物脂肪、油類、蝋、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、珪酸、タルクおよび酸化亜鉛またはそれらの混合物を含み得る。粉末およびスプレーは、PAI−1阻害剤組成物に加えて、賦形剤、例えばラクトース、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含み得る。スプレーは、さらに常用高圧ガス、例えばクロロフルオロ炭化水素および揮発性非置換炭化水素、例えばブタンおよびプロパンを含み得る。
別法として、PAI−1阻害剤組成物はエーロゾルにより投与され得る。これは、PAI−1阻害剤を含有する水性エーロゾル、リポソーム調製物または固体粒子を製造することにより達成される。非水性(例、フルオロカーボン高圧ガス)懸濁液が使用され得る。超音波ネブライザーもまた使用され得る。水性エーロゾルは、慣用的な医薬上許容される担体および安定剤と一緒に薬剤の水溶液または懸濁液を処方することにより製造される。担体および安定剤は、特定化合物の必要条件により異なるが、典型的には非イオン性界面活性剤(トウィーン、プルロニクス、またはポリエチレングリコール)、無害のタンパク質様血清アルブミン、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、アミノ酸、例えばグリシン、緩衝液、塩類、糖類または糖アルコールを含有する。エーロゾルは、一般的に等張溶液から調製される。
また経皮パッチは、PAI−1阻害剤組成物を異常瘢痕に送達するのに使用され得る。上記処方物は、薬剤を適切な媒質に溶解または分散させることにより製造され得る。また、皮膚におけるペプチドミメティックのフラックスを高めるために吸収促進剤が使用され得る。上記フラックス速度は、速度制御膜を設けるかまたはペプチドミメティックをポリマーマトリックスまたはゲルに分散させることにより制御され得る。
眼用処方物、眼用軟膏、粉末、液剤などもまた、本発明の範囲内に含まれるものとみなされる。
非経口投与に適切な処方物は、酸化防止剤、緩衝液、静菌薬、処方物を意図したレシピエントの血液と等張性にする溶質または懸濁もしくは増粘剤を含み得る、1種またはそれ以上の医薬上許容される滅菌等張水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルション、または使用直前に滅菌注射可能溶液または分散液に再構成され得る滅菌粉末と組合わせてPAI−1阻害剤を含む。
非経口投与に適切な処方物で使用され得る適切な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、および注射可能有機エステル、例えばエチルオレエートがある。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えばレシチンの使用により、分散液の場合に必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持され得る。
非経口投与に適切な処方物はまた、アジュバント、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含み得る。微生物の作用の阻止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含ませることにより確実にされ得る。また、等張剤、例えば糖類、塩化ナトリウムなどを組成物に含ませるのが望ましい場合もあり得る。さらに、注射可能医薬形態の長時間吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含ませることにより達成され得る。
場合によっては、PAI−1阻害剤の効果を長引かせるため、皮下または筋肉内注射からの薬剤の吸収を減速させることが望ましいこともある。これは、水に対する溶解度が低い結晶性または非晶質材料の液体懸濁液の使用により達成され得る。また、薬剤の吸収速度はその溶解速度により変化し、その速度は、結晶サイズおよび結晶形態により左右され得る。別法として、非経口投与処方物の吸収遅延は、PAI−1阻害剤組成物を油性賦形剤に溶解または懸濁することにより達成される。
注射可能デポー形態は、PAI−1阻害剤のマイクロカプセル化マトリックスを形成するかまたは生物分解性ポリマー、例えばポリラクチド‐ポリグリコリドを用いることにより製造される。PAI−1阻害剤対ポリマーの割合、および使用される特定ポリマーの性質によって、薬剤放出速度が制御され得る。他の生物分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)がある。デポー注射可能処方物はまた、身体組織と適合し得るリポソームまたはマイクロエマルジョンにPAI−1阻害剤を包括させることにより製造される。
本発明の好ましい実施態様では、PAI−1阻害剤組成物を治療有効量で創傷部位に送達する。本明細書で使用されている「医薬有効量」の語は、所望の治療効果を生じさせるのに有効であるか、または異常瘢痕の形成に至る創傷治癒における過度のコラーゲン蓄積または発現を低減化することにより、または創傷治癒での異常においてコラーゲン蓄積レベルを通常の創傷治癒の場合のレベルに低下させることにより、またはPAI−1阻害剤が投与されない場合には異常な瘢痕を形成する傾向を示す創傷部位で通常の瘢痕形成が観察されることにより、または異常形成瘢痕の鎮静が観察されることにより反映される、PAI−1阻害剤、PAI−1阻害剤組成物、またはPAI−1阻害剤医薬の量をいう。薬理学業界で公知の通り、所定の患者における処置効力に関して最も有効な結果を生じるPAI−1阻害剤の医薬有効量の正確な量は、少し例を挙げれると、例えば、特定PAI−1阻害剤の活性、特定の性質、薬物動態学、薬力学および生物学的利用能、対象の生理学的条件(人種、年齢、性別、体重、食餌療法、病気のタイプおよび段階、全般的体調、所定の医薬用量およびタイプに対する応答性を含む)、処方物における医薬上許容される担体の性質、使用されている投与経路および頻度、並びに創傷または異常瘢痕形成の重症度または傾向により異なる。しかしながら、上記指針は、処置を微調整する、例えば最適投与量を決定するための基礎として使用され得、対象のモニタリングおよび用量の調節から成る常用手順での実験法をもはや必要とはしない。Remington: The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro編、第20版、Williams & Wilkins、ペンシルベニア、米国)(2000)。
本発明について概説したが、説明を目的として下記に示した具体的な実施例によりさらに本発明についての理解を深めることができるはずである。
材料および方法
細胞単離:外植片(エクスプラント)方法を用いて、ヒト正常皮膚、瘢痕およびケロイドのドナーから線維芽細胞を確立した。皮膚および瘢痕収集についてのプロトコールは、チルドレンズ・ホスピタル・ロスアンゼルスおよびCharles R. Drewユニヴァーシティー・オブ・メディシン・アンド・サイエンスの両方により承認された。生じたケロイド瘢痕のコア領域を線維芽細胞単離用に使用した。100U/mlのペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンおよび10%胎児牛血清(ライフ・テクノロジーズ、インコーポレイテッド)を含むダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)(ライフ・テクノロジーズ、インコーポレイテッド、グランドアイランド、ニューヨーク)において線維芽細胞を増殖させた。培養物を、5%CO2および95%空気の雰囲気中、加湿インキュベーター中でインキュベーションした。ハンクス溶液中に0.05%エチレンジアミン四酢酸を含む0.25%トリプシン(ライフ・テクノロジーズ、インコーポレイテッド)を用いて線維芽細胞を培養物から採取し、週に1回継代した。線維芽細胞の初期継代(2〜10)を、実験で使用した。細胞継代を、一次培養物からの週1回の細胞増殖として定義する。本発明で使用する線維芽細胞の各株の供給源を表1に列挙する。これらの標本は、8年の期間を通じて為された試料獲得における研究努力を表すものであった。本発明で提示した各実験を実施し、可能なときは必ずドナー年齢および解剖学的部位を対で適合させながら正常およびケロイド線維芽細胞の多株間で比較した。
細胞単離:外植片(エクスプラント)方法を用いて、ヒト正常皮膚、瘢痕およびケロイドのドナーから線維芽細胞を確立した。皮膚および瘢痕収集についてのプロトコールは、チルドレンズ・ホスピタル・ロスアンゼルスおよびCharles R. Drewユニヴァーシティー・オブ・メディシン・アンド・サイエンスの両方により承認された。生じたケロイド瘢痕のコア領域を線維芽細胞単離用に使用した。100U/mlのペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンおよび10%胎児牛血清(ライフ・テクノロジーズ、インコーポレイテッド)を含むダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)(ライフ・テクノロジーズ、インコーポレイテッド、グランドアイランド、ニューヨーク)において線維芽細胞を増殖させた。培養物を、5%CO2および95%空気の雰囲気中、加湿インキュベーター中でインキュベーションした。ハンクス溶液中に0.05%エチレンジアミン四酢酸を含む0.25%トリプシン(ライフ・テクノロジーズ、インコーポレイテッド)を用いて線維芽細胞を培養物から採取し、週に1回継代した。線維芽細胞の初期継代(2〜10)を、実験で使用した。細胞継代を、一次培養物からの週1回の細胞増殖として定義する。本発明で使用する線維芽細胞の各株の供給源を表1に列挙する。これらの標本は、8年の期間を通じて為された試料獲得における研究努力を表すものであった。本発明で提示した各実験を実施し、可能なときは必ずドナー年齢および解剖学的部位を対で適合させながら正常およびケロイド線維芽細胞の多株間で比較した。
フィブリンゲルの調製:ヒトフィブリノーゲン(カルビオケム、サンディエゴ、カリフォルニア)を、フィブリンゲル調製用に使用した。フィブリノーゲンを蒸留H2O中で再構成し、10mg/mlに調節し、−20℃で貯蔵した。1〜5mg/mlのフィブリノーゲンを1〜2単位/mlのヒトトロンビンと混合し、37℃で30分間インキュベーションすることにより、フィブリノーゲンの凝血能を測定した。形成された血餅を試験管の壁から分離させた。管を15分間12000gでの遠心分離にかけることにより、血餅を沈降させ、可溶性フィブリノーゲンを集めた。上清に残存する可溶性非凝血性フィブリノーゲンを、OD280でのタンパク質濃度により測定した。使用したフィブリノーゲンは全て95〜98%凝血性であった。
フィブリンゲル調製方法は、以前の出版物に記載されている。Tuan & Grinnell、Fibronectin and fibrinolysis are not required for fibrin gel contraction by human skin fibroblasts、J.Cell Physiol. 140:577−583(1989)。簡単に述べると、DMEM中のヒト皮膚線維芽細胞を、24℃のフィブリノーゲン溶液に加えた。フィブリノーゲンおよび線維芽細胞の最終濃度は、それぞれ2.5mg/mlおよび0.5×106細胞/mlであった。線維芽細胞/フィブリノーゲン混合物のアリコート(180ml)を、1試料当たり1単位のトロンビンと共に24ウェル組織培養プレート(コスター、ケンブリッジ、マサチューセッツ)のウェルに導入した。各アリコートは、ウェル内の16mm直径の円形切り込み線で輪郭を描いた領域を占めた。調製物を、5%CO2含有加湿インキュベーター中1時間37℃でインキュベーションすることにより、フィブリンの重合を確実にした。インキュベーション期間の最後に、10%FCSを含む1.0mlのDMEMを各ウェルに加えることにより、ゲルを覆った。
uPAおよびPAI−1試験用に選択した試料を、まずDMEMにより充分にすすぎ(5回)、DMEM中でさらに24時間インキュベーションした。条件培養培地を集め、フィブリンオーバーレイおよび逆フィブリンオーバーレイ検定法にかけた。
コラーゲンゲルの調製:Tuan et al.、Dermal fibroblasts activate keratinocyte outgrowth on collagen gels、J.Cell.Sci. 107:2285−2289(1994)で以前に報告された方法に従って、コラーゲンゲルを調製した。ビトロジェン(コヒージョン・テクノロジーズ、インコーポレイテッド、パロアルト、カリフォルニア)という、主にI型コラーゲンの製品を使用した。簡単に述べると、4℃で10×最少必須培地(MEM)(シグマ・ケミカル・カンパニー)および0.1NのNaOHによりコラーゲンを生理学的イオン強度およびpHに調節した。最終コラーゲン濃度は1.5mg/mlであった。線維芽細胞を、0.5×106細胞/mlの最終濃度で再構成コラーゲン中に組込んだ。コラーゲン/線維芽細胞懸濁液の試料を、24ウェル培養プレートへ分配した。各180μlアリコートを、ウェルの基部へ切込み線を入れた16mm直径の円内に含ませた。次いで、培養プレートを、45分間5%CO2を含む37℃のインキュベーター中に置いて、コラーゲンを重合させた。
フィブリンおよびコラーゲン混合物ゲル:フィブリノーゲンおよびコラーゲンを異なる比率(フィブリン:コラーゲン;100%:0%、50%:50%、0%:100%)で混合することにより、ゲルを調製した。線維芽細胞を0.5×106細胞/mlの最終密度でマトリックス中に組込ませた。アリコート(180μl)のゲル−線維芽細胞混合物を、上記の類似フォーマットに従って1試料当たり1単位のトロンビンと共に24ウェル組織培養プレートのウェルに入れた。
フィブリンオーバーレイおよび逆オーバーレイ:簡単に述べると、アリコート(25μl)の血清不含有条件培養培地を、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、シグマ)含有10%ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動にかけた。ゲルを室温で1時間2.5%トリトンX−100中で洗浄することにより、SDSを除去した。蒸留水中で簡単にすすいだ後、1%低温ゲル化アガロース、ヒトプラスミノーゲン(9μg/ml、シグマ、セントルイス、ミズーリ)、トロンビン(0.7U/ml、シグマ)およびフィブリノーゲン(2mg/ml)を含むインジケーターゲル層(プラスミノーゲン活性化因子(PA)検出用フィブリンオーバーレイ検定法)上にゲルを置いた。PAIを検出するため、SDS−ポリアクリルアミドゲルを2.5%トリトンX−100中室温で1時間洗浄し、インジケーターゲル(上記)と類似した基質ゲルの上部に置き、uPA(0.2U/ml、シグマ)を加えた(逆フィブリンオーバーレイ検定法)。両調製物を37℃の加湿チャンバー中に置いた。PAの活性は、線維素溶解を示す不透明フィブリンインジケーター層における透明ゾーンとして現われた。PAIの活性は、線維素溶解の阻害を示す透明逆オーバーレイ基質層における不透明ゾーンとして現われた。結果を写真撮影した。
色素原基質検定法:2段階間接的酵素検定法、スペクトロライズ(pL)PAI(アメリカン・ダイアグノスティカ#101201)を、血漿中におけるPAI−1活性の定量的測定に使用した。段階1では、一定量の組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)を、試料に加え、存在するPAI−1と反応させた。次いで、試料を酸性化して、α−2−抗プラスミンおよび別な形でtPA検定法を妨げる他の潜在的プラスミン阻害剤を破壊した。段階2では、中性pHでGlu−プラスミノーゲン、ポリD−リシンおよび色素原基質から成る混合物に試料を加えることにより、残留tPA活性を測定した。試料中の残留tPA活性は、プラスミノーゲンからプラスミンへの変換を触媒し、次いでこれが色素原基質を加水分解する。発生した色の量は、試料中におけるtPA活性の量と比例している。ポリD−リシンは、プラスミノーゲンからプラスミンへのtPA触媒変換の刺激因子である。次いで、試料のPAI含有量は、加えられたtPAの量および回収されたtPAの量間の差異として認識される。1UのPAI活性(U)は、英国ロンドン、ホリーヒルのNIBSACにより分類されたtPAロット86/670についての国際標準に対して換算した1IUのヒト1本鎖tPAを阻害するPAIの量として定義される。
コラーゲン合成、精製、および表現型分析:[3H]プロリンを用いて、線維芽細胞により新たに合成されたコラーゲンを標識した。トリプリケイトの試料を、48時間β−アミノプロプリオニトリル(62.5μg/ml)を補ったDMEM−10%FCS中のL−(5−[3H]プロリン)(50μCi/ml)(アマーシャム、アーリントン・ハイツ、イリノイ)により標識した。標識付けの最後に、全試料を0.5M酢酸に調節し、4℃で24時間1mg/mlのペプシン(PMグレード、ワーシントン、フリーホールド、ニュージャージー)で処理することにより、無傷コラーゲン以外のタンパク質を消化した。トリスを加えて50mMにし、pH7.4に滴定することにより、ペプシンを不活化した。以前に記載された連続中性塩および酸性塩沈澱によりコラーゲンを精製した。Tuan et al.、In vitro fibroplasia: matrix contraction, cell growth, and collagen production of fibroblasts cultured in fibrin gels、Exp Cell. Res. 223: 127-134 (1996)。最終コラーゲンペレットを50mMのトリスおよび40%エタノール中ですすぎ、0.5M酢酸に溶かした。試料をSOSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた後、蛍光光度法を行った。細胞計数用に指定された試料をトリプシンおよびコラーゲンで処理し、そしてトリパンブルーの存在下血球計を用いて生存できる細胞の数を推定した。精製コラーゲンをcpm/細胞として表した。提示されたデータは、3反復試料の平均であった。群間および群内での統計的差異を、一方向分散分析を用いて評価した。
ノーザンブロット:標準ノーザンブロット分析を用いて、RNA発現を試験した。Sambrook et al.、Molecular Cloning. A Laboratory Manual.(ニューヨーク・コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、1989)。簡単に述べると、グアニジニウムチオシアネートを用いてRNA試料を抽出し、塩化セシウムによる遠心分離により分離した。全RNA(20μg/レーン)を、電気泳動により分離し、ナイロンフィルターに移し、そして真空下80℃で2時間焼いた。プレハイブリダイゼーション後、放射性標識DNAプローブを40℃で20時間フィルターとハイブリダイゼーションさせ、洗浄し、−70℃でのx線フィルムへの曝露により視覚化した。Feinberg & Vogelstein, A technique for radiolabeling DNA restriction endonuclease fragments to high specific activity, Addendum, Anal. Biochem. 137: 266-267 (1984)に記載された方法に従って、cDNAプローブを標識した。全試料を、各細胞株におけるβ−アクチンの発現レベルに標準化した。uPAヌクレオチド623〜1039およびPAI−1 cDNA(完全長)に特異的なヒトcDNAプローブを、ハイブリダイゼーションプローブとして使用した。Laug et al., Complex expression of the genes coding for plasminogen activators and their inhibitors in HeLa-smooth muscle cell hybrids, Cell Growth Differ. 3: 191-197 (1992)。
免疫組織化学:採取したばかりの皮膚および瘢痕試料を、氷冷PBS中ですすぎ、4℃で24時間4%パラホルムアルデヒド(シグマ、pH7.5)に固定した。試料を脱水前に24時間70%エタノールで処理した。脱水後、試料をパラフィン(60℃)中に埋封し、そしてミクロトームを用いて5μm厚さの切片を調製した。切片を再水和し、H2O2で処理した。非特異的結合を最小限にするため、まず切片を室温で30分間1.5%BSA/PBSにより処理した。1:50希釈率でのヒトuPAに対するマウスモノクローナル抗体(#3698および#394、アメリカン・ダイアグノスティカ・インコーポレイテッド、グリーンウィッチ、コネティカット)および1:25希釈率でのヒトPAI−1に対するネズミモノクローナル抗体(#3785、アメリカン・ダイアグノスティカ・インコーポレイテッド)を、それぞれuPAおよびPAI−1検出に使用した。一次抗体処理後、切片をPBSで3回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体(アマーシャム・ファルマシア・バイオテック・リミテッド、バッキンガムシャー、英国)と50分間インキュベーションした。PBSで充分にすすいだ後、切片を3,3'−ジアミノベンジジン(DAB、シグマ)で処理すると、抗体−抗原反応が示された。また切片を核染色用ヘマトキシリンで軽く染色した。
結果
PAI−1発現は、ケロイド病変の線維芽細胞では高い
ケロイド線維芽細胞は、培養において高いPAI−1発現を呈する。Tuan et al., Elevated levels of plasminogen activator inhibitor-1 may account for the altered fibrinolysis by keloid fibroblasts, J. Invest. Dermatol. 106: 1007-1011 (1996)。PAI−1過剰発現がインビボでも起こるか否かを調べるため、PAI−1およびuPAの両方のタンパク質発現を、免疫組織化学におけるPAI−1またはuPAに対する抗体を用いてケロイド病変(n=5)で試験した。結果を正常皮膚(n=3)および通常瘢痕(n=3)試料と比較した。ケロイドは真皮におけるコラーゲン沈積の過剰を特徴とするため、本試験はまた、ケロイド病変の深層皮膚領域を包含する(図1、ケロイド深層皮膚(Keloid Deep Dennis):j、kおよびl)。コラーゲン以外に、線維芽細胞および様々なサイズの血管は、真皮における主たる可視構造成分であった(図1)。正常皮膚において、PAI−1およびuPAの染色は血管に局在していた(図1bおよび1c)。通常瘢痕およびケロイドでは、血管および線維芽細胞は両方ともuPAおよびPAI−1について陽性染色を示したが、それらの染色強度は全く異なっていた。PAI−1染色は、正常瘢痕線維芽細胞よりもケロイド線維芽細胞における方がかなり強く現われ(図1hおよび1k対1e)、uPA染色は、ケロイド線維芽細胞よりも正常瘢痕線維芽細胞における方が強かった(図1f対1iおよび1L)。5(80%)ケロイド試料のうち4試料において高レベルのPAI−1染色が観察された。表皮もまたuPAおよびPAI−1について陽性であり(図1「*」)、またケロイドの表皮は正常皮膚または通常瘢痕の場合よりも強いPAI−1染色を示した(図1h対1eおよび1b)。ケロイドおよび正常皮膚試料を、表皮の基底層におけるメラニン細胞が免疫組織化学では暗褐色を表すアフリカ系アメリカ人患者から集めた。染色は全対照群において陰性であった(図1、対照:a、d、gおよびj)。
PAI−1発現は、ケロイド病変の線維芽細胞では高い
ケロイド線維芽細胞は、培養において高いPAI−1発現を呈する。Tuan et al., Elevated levels of plasminogen activator inhibitor-1 may account for the altered fibrinolysis by keloid fibroblasts, J. Invest. Dermatol. 106: 1007-1011 (1996)。PAI−1過剰発現がインビボでも起こるか否かを調べるため、PAI−1およびuPAの両方のタンパク質発現を、免疫組織化学におけるPAI−1またはuPAに対する抗体を用いてケロイド病変(n=5)で試験した。結果を正常皮膚(n=3)および通常瘢痕(n=3)試料と比較した。ケロイドは真皮におけるコラーゲン沈積の過剰を特徴とするため、本試験はまた、ケロイド病変の深層皮膚領域を包含する(図1、ケロイド深層皮膚(Keloid Deep Dennis):j、kおよびl)。コラーゲン以外に、線維芽細胞および様々なサイズの血管は、真皮における主たる可視構造成分であった(図1)。正常皮膚において、PAI−1およびuPAの染色は血管に局在していた(図1bおよび1c)。通常瘢痕およびケロイドでは、血管および線維芽細胞は両方ともuPAおよびPAI−1について陽性染色を示したが、それらの染色強度は全く異なっていた。PAI−1染色は、正常瘢痕線維芽細胞よりもケロイド線維芽細胞における方がかなり強く現われ(図1hおよび1k対1e)、uPA染色は、ケロイド線維芽細胞よりも正常瘢痕線維芽細胞における方が強かった(図1f対1iおよび1L)。5(80%)ケロイド試料のうち4試料において高レベルのPAI−1染色が観察された。表皮もまたuPAおよびPAI−1について陽性であり(図1「*」)、またケロイドの表皮は正常皮膚または通常瘢痕の場合よりも強いPAI−1染色を示した(図1h対1eおよび1b)。ケロイドおよび正常皮膚試料を、表皮の基底層におけるメラニン細胞が免疫組織化学では暗褐色を表すアフリカ系アメリカ人患者から集めた。染色は全対照群において陰性であった(図1、対照:a、d、gおよびj)。
PAI−1過剰発現がmRNAレベルでも起こるか否かを測定するため、皮膚線維芽細胞を正常皮膚、通常瘢痕およびケロイド試料から単離し、ノーザンブロット技術を用いて分析した。結果は、PAI−1が2つのRNAメッセージ、それぞれ3.0kbおよび2.2kbを有することを示した(図2)。ケロイド線維芽細胞における2.2kb PAI−1 mRNAは、正常皮膚および正常瘢痕線維芽細胞の両方よりも一貫して高かった。従って、PAI−1過剰発現は、インビトロおよびインビボの両方におけるケロイド線維芽細胞の終始一貫した特徴である。
ケロイド線維芽細胞は、長期フィブリンゲル培養物において高いコラーゲン蓄積および持続的に高いPAI−1活性を呈する
ケロイド線維芽細胞におけるPAI−1過剰発現がそれらのコラーゲン過剰産生と相関関係を示すか否かを調べるため、インビトロ線維増殖モデルを用いて、PA/PAIおよびコラーゲン産生を2週間にわたって試験した。Tuan et al., In vitro fibroplasia: matrix contraction, cell growth, and collagen production of fibroblasts cultured in fibrin gels, Exp. Cell Res. 223: 127-134 (1996)。毎回一ケロイドおよび一正常株の線維芽細胞を用いて実験を実施し、最小限6ケロイドおよび6正常株の線維芽細胞を調べた。
ケロイド線維芽細胞におけるPAI−1過剰発現がそれらのコラーゲン過剰産生と相関関係を示すか否かを調べるため、インビトロ線維増殖モデルを用いて、PA/PAIおよびコラーゲン産生を2週間にわたって試験した。Tuan et al., In vitro fibroplasia: matrix contraction, cell growth, and collagen production of fibroblasts cultured in fibrin gels, Exp. Cell Res. 223: 127-134 (1996)。毎回一ケロイドおよび一正常株の線維芽細胞を用いて実験を実施し、最小限6ケロイドおよび6正常株の線維芽細胞を調べた。
線維芽細胞により産生される全コラーゲンを、本明細書の記載に従って精製した。フィブリンゲルでは、ケロイド線維芽細胞は正常線維芽細胞と類似した速度で成長した。少量のIII型(γ)およびV型(ν)コラーゲンが検出されたが、I型コラーゲン(α1およびα2)がケロイドおよび正常線維芽細胞により産生される主たるコラーゲンであった。典型的実験結果を図3に示す。全コラーゲンの量を細胞数に正規化し、cpm/細胞として表した。2週間試験では、コラーゲン蓄積の全般的パターンは、各細胞型の種々の株間で高い再現性を示した。正常線維芽細胞については、コラーゲン蓄積は最初の10日で徐々に増加した。それは13〜15日あたりでピークに達し、培養期間の最後(16日目)には減少した(図3、正常)。他方、ケロイド線維芽細胞は、コラーゲン蓄積における同様の増加を示した。しかしながら、レベルは、正常線維芽細胞の場合よりも持続的に2〜3倍高かった(図3、ケロイド)。正常線維芽細胞におけるコラーゲンレベルよりも高い、高レベルのコラーゲンが、過度のコラーゲン蓄積を指す。
μPAおよびPAIおよびそれらの活性を検出するため、条件培地を指定された時点で培養物から集め、フィブリンオーバーレイおよび逆オーバーレイ検定法にかけた。各々最小限4株の正常およびケロイド線維芽細胞を調べた。典型的実験の結果を図4に示す。フィブリンオーバーレイ検定法は、正常線維芽細胞が、uPAの2本鎖形態(50kD)および触媒的フラグメント1本鎖形態(30kD)の両方を発現することを明らかにした(図4、正常:上方パネル)。50kDのuPAは、初期培養期間(3〜5日間)で発現され、後期培養期間(12日後)で再び現われた。30kDのuPAは、培養期間のほとんどの間終始低レベルで発現され、後の培養期間に高レベルに増加した(図4、正常:上方パネル)。対照的に、ケロイド線維芽細胞は、中程度のレベルの30kD uPAを呈し、後期培養期間に現われただけであった(図4、ケロイド:上方パネル)。
逆フィブリンオーバーレイ検定法は、正常線維芽細胞が、可変活性レベルでPAI−1を発現することを明らかにした(図4、正常:下方パネル)。極めて対照的に、ケロイド線維芽細胞は、全培養期間を通じて持続的に高いレベルのPAI−1を表した(図4、ケロイド:下方パネル)。
また、色素原基質検定法(アメリカン・ダイアグノスティカ)を用いてPAI−1活性を測定した。この検定法において、ケロイド線維芽細胞は、典型的には正常線維芽細胞よりも2〜3倍高いレベルでPAI活性を示した(3独立測定値で、K:N、45:10;80:45;40:16IU/ml)。少量のuPA/PAI−1複合体が、正常およびケロイド線維芽細胞の両方の培養物から検出された(図4、上方パネル:uPA/PAI−1複合体)。複合体はその場では(in situ)触媒的に不活性であり、フィブリンオーバーレイで現われるその線維素溶解活性は、SDS−PAGE手順中におけるSDS処理の人工産物によるものであった。Granelli-Piperno & Reich, A study of proteases and protease-inhibitor complexes in biological fluids, J. Exp. Med. 148: 223-234 (1978)。
また、uPAおよびPA1の活性を、ドナーおよび解剖部位を適合させた試料、N86およびK86の対で調べた。結果を図5に示す。発現時間およびレベルの僅かな差異はあるが、他の正常線維芽細胞と比較した時(図4、正常:上方パネル)、N86はuPA発現の非常に類似したパターンを呈した(図5、N86:上方パネル)。しかしながら、N86はそのPAI−1発現が異なっており、培養期間の前半では非常に高いレベルで出現し、後半には消失した(図5、N86:下方パネル)。K86によるuPAおよびPAI−1の発現パターンは他のケロイド線維芽細胞と非常に類似しており、30kD形態のuPAが11日目に中程度の量で出現し、そしてPAI−1が全培養期間を通しては過剰発現された(図5、K86)。ケロイド試料におけるuPA/PAI−1複合体(〜110kD)の存在(図4および5)は、ケロイド線維芽細胞により分泌されたuPAがPAI−1により主として結合されていることを示していた。従って、長期フィブリンゲル培養物では、正常線維芽細胞はuPAおよびPAI−1の調節された発現を呈し、ケロイド線維芽細胞は低レベルのuPAおよび持続的に高いレベルのPAI−1を呈する。さらに、ケロイド線維芽細胞によるPAI−1過剰発現は、高コラーゲン蓄積と相関関係を示す。
高いPAI−1活性は、ケロイド線維芽細胞の高コラーゲン蓄積の原因となる
フィブリンマトリックスにおける線維芽細胞は、活発にマトリックスを再編成し、コラーゲンを産生してフィブリンと置き換える。Tuan et al., In vitro fibroplasia: matrix contraction, cell growth, and collagen production of fibroblasts cultured in fibrin gels, Exp. Cell Res. 223: 127-134 (1996)。フィブリンゲルにおける線維芽細胞によるuPAまたはPAI−1の発現パターンが変化する細胞外マトリックス(ECM)環境(すなわち、フィブリンからコラーゲンへ)により影響されたか否かを測定するため、フィブリン、フィブリン‐コラーゲン、またはコラーゲンゲルを細胞培養で使用することにより、インビトロ線維増殖中における初期、中期または後期段階のマトリックス表現型を模倣した。結果は、正常線維芽細胞では、uPA発現が、コラーゲンの存在下(フィブリン−コラーゲンおよびコラーゲンゲル)において50kD2本鎖形態から50kDおよび30kD形態へトランジション(変化)することを示していた(図6、正常、上方パネル)。興味深いことに、ゲルマトリックスにおけるコラーゲンの濃度が50%から100%へ増加すると、PAI−1発現レベルは減少した(図6、正常、下方パネル)。ケロイド線維芽細胞は、30kDのuPAを発現することによりマトリックスにおけるコラーゲンの存在に応答した。しかしながら、それらのPAI−1レベルに顕著な変化は無かった(図6、ケロイド)。したがって、正常線維芽細胞のuPAおよびPAI−1の両方の発現はECMにより調節され、ケロイド線維芽細胞のuPA発現のみがECMによる調節を受けた。フィブリン、コラーゲンまたはフィブリン‐コラーゲンハイブリッドゲルの培養物間で細胞生長に差異は無かった。従って、PAI−1過剰発現は、ECMにおけるコラーゲンレベルに関係の無い、ケロイド線維芽細胞固有の特徴である。
フィブリンマトリックスにおける線維芽細胞は、活発にマトリックスを再編成し、コラーゲンを産生してフィブリンと置き換える。Tuan et al., In vitro fibroplasia: matrix contraction, cell growth, and collagen production of fibroblasts cultured in fibrin gels, Exp. Cell Res. 223: 127-134 (1996)。フィブリンゲルにおける線維芽細胞によるuPAまたはPAI−1の発現パターンが変化する細胞外マトリックス(ECM)環境(すなわち、フィブリンからコラーゲンへ)により影響されたか否かを測定するため、フィブリン、フィブリン‐コラーゲン、またはコラーゲンゲルを細胞培養で使用することにより、インビトロ線維増殖中における初期、中期または後期段階のマトリックス表現型を模倣した。結果は、正常線維芽細胞では、uPA発現が、コラーゲンの存在下(フィブリン−コラーゲンおよびコラーゲンゲル)において50kD2本鎖形態から50kDおよび30kD形態へトランジション(変化)することを示していた(図6、正常、上方パネル)。興味深いことに、ゲルマトリックスにおけるコラーゲンの濃度が50%から100%へ増加すると、PAI−1発現レベルは減少した(図6、正常、下方パネル)。ケロイド線維芽細胞は、30kDのuPAを発現することによりマトリックスにおけるコラーゲンの存在に応答した。しかしながら、それらのPAI−1レベルに顕著な変化は無かった(図6、ケロイド)。したがって、正常線維芽細胞のuPAおよびPAI−1の両方の発現はECMにより調節され、ケロイド線維芽細胞のuPA発現のみがECMによる調節を受けた。フィブリン、コラーゲンまたはフィブリン‐コラーゲンハイブリッドゲルの培養物間で細胞生長に差異は無かった。従って、PAI−1過剰発現は、ECMにおけるコラーゲンレベルに関係の無い、ケロイド線維芽細胞固有の特徴である。
また、正常またはケロイド線維芽細胞のコラーゲン蓄積を試験し、フィブリンおよびコラーゲンゲルの培養物間で比較した。結果は、正常線維芽細胞によるコラーゲン蓄積レベルは、フィブリンおよびコラーゲンゲルの培養物間で類似していることを示した(図7、正常)。対照的に、ケロイド線維芽細胞をコラーゲンゲルで培養したとき、フィブリンゲルで観察されるそれらの通常高レベルのコラーゲン蓄積は、正常線維芽細胞と同等のレベルまで低減化された(図7、ケロイド)。コラーゲン蓄積における同様の低減化は、ケロイド線維芽細胞をフィブリン‐コラーゲンゲルで培養したときのそれらの細胞でも見出された。同様のデータは、ケロイド線維芽細胞の2種の追加株でも得られた。これらの結果は、コラーゲンまたはフィブリン‐コラーゲンハイブリッドゲルでケロイド細胞を培養することによるuPA活性の増加がケロイド線維芽細胞のコラーゲン蓄積の低減化をまねくため、高いPAI−1活性が、ケロイド線維芽細胞による高コラーゲン蓄積を維持するのに必要であることを示している。
高いPAI−1活性がコラーゲン蓄積の増加をまねくか否かをさらに試験するため、フィブリンゲルの培養物におけるケロイド線維芽細胞のコラーゲン蓄積を、PAI−1中和性抗体の存在下で試験した。製造業者によると、抗体(ウサギ抗PAI−1抗体、#395R、アメリカン・ダイアグノスティカ)は、ヒトPAI−1の全形態と反応する。50%阻害点で、この抗体1mgは、1000IU以下のPAI−1を阻害し得る。結果は、非免疫IgGではなく、抗PAI−1抗体がPAI−1活性を減少させ(図8、挿入)、ケロイド線維芽細胞のコラーゲン蓄積を低減化することを示していた(図8、「フィブリンゲル+抗PAI−1におけるケロイド」)。また、ケロイド線維芽細胞の2種の追加株を、コラーゲン蓄積に対する抗PAI−1中和性抗体の効果について試験した。正常線維芽細胞のフィブリンゲル培養物またはケロイド線維芽細胞のコラーゲンゲル培養物におけるコラーゲン蓄積の試験も比較するため同時に実施した(図8、「フィブリンゲルにおける正常」および「コラーゲンゲルにおけるケロイド」)。
検討
本発明における実施例は、PAI−1過剰発現が、インビトロおよびインビボの両方におけるケロイド線維芽細胞の一貫した特徴であることを立証している。長期フィブリンゲル培養物では、正常線維芽細胞が調節されたレベルのuPAおよびPAI−1並びにコラーゲン蓄積を呈し、ケロイド線維芽細胞は持続的に高いレベルのPAI−1およびコラーゲン蓄積を呈する。PAI−1活性を低減化する条件は、ケロイド線維芽細胞の高いコラーゲン蓄積を廃するものである。これらの条件として挙げられるのは、コラーゲンまたはフィブリン‐コラーゲンゲルで線維芽細胞を培養することによりuPAを高めるか、またはフィブリンゲル培養物において線維芽細胞に対するPAI−1中和性抗体を加えるかまたは本明細書記載の他の方法によりPAI−1活性を減少させることである。したがって、ケロイド線維芽細胞のPAI−1活性増加は、フィブリンゲル培養物におけるそれらの高いコラーゲン蓄積の原因であり得る。
本発明における実施例は、PAI−1過剰発現が、インビトロおよびインビボの両方におけるケロイド線維芽細胞の一貫した特徴であることを立証している。長期フィブリンゲル培養物では、正常線維芽細胞が調節されたレベルのuPAおよびPAI−1並びにコラーゲン蓄積を呈し、ケロイド線維芽細胞は持続的に高いレベルのPAI−1およびコラーゲン蓄積を呈する。PAI−1活性を低減化する条件は、ケロイド線維芽細胞の高いコラーゲン蓄積を廃するものである。これらの条件として挙げられるのは、コラーゲンまたはフィブリン‐コラーゲンゲルで線維芽細胞を培養することによりuPAを高めるか、またはフィブリンゲル培養物において線維芽細胞に対するPAI−1中和性抗体を加えるかまたは本明細書記載の他の方法によりPAI−1活性を減少させることである。したがって、ケロイド線維芽細胞のPAI−1活性増加は、フィブリンゲル培養物におけるそれらの高いコラーゲン蓄積の原因であり得る。
線維増殖は、関与する細胞、ECMおよび可溶性伝達物質間に一定の相互作用およびフィードバックを組込む動的過程である。Clark, Wound Repair: Overview and General Considerations, The Molecular and Cellular Biology of Wound Repair,22-32頁 (編集Clark RA. ニューヨーク、プレナム・プレス、1996)。正常皮膚線維芽細胞がフィブリンマトリックスを活発に再編成し、それをコラーゲン含有瘢痕様組織へ再モデリングすることは以前に示された。Tuan et al., In vitro fibroplasia: matrix contraction, cell growth, and collagen production of fibroblasts cultured in fibrin gels, Exp. Cell Res. 223: 127-134 (1996)。本発明における実施例から、正常線維芽細胞はコラーゲンを合成し、フィブリンマトリックスへ沈積させるため、uPAおよびPAI−1の活性レベルもまた調節されていることが証明されている(図4および5)。uPAおよびPAI−1発現においてこのECMが介する変化は、フィブリン、フィブリン‐コラーゲン混合物、またはコラーゲンゲルを用いた後続の実験で証明されている(図6)。ECMからのインテグリン関与または離脱により、細胞の表現型におけるインテグリン種特異的変化が伝達され得るため、インテグリンは、線維芽細胞およびECM間での上記動的相互作用の伝達における有望な候補である。Xu & Clark, Extracellular matrix alters PDGF regulation of fibroblast integrins, J. Cell Biol. 132: 239-249 (1996)。さらにコラーゲンゲルの試験からも証拠が誘導され得る。コラーゲンゲルにおいて、コラーゲンへのα2β1インテグリンの結合により、細胞生存およびECM産生は増加する。対照的に、コラーゲンへのα2β1結合の破壊により、MMP2産生/活性化、したがってマトリックス分解が誘導される。Ellerbroek et al.、Functional interplay between type I collagen and cell surface matrix metalloproteinase activity, J. Biol. Chem. 276: 24833-24842 (2001)。線維芽細胞は、ανサブユニットを含むインテグリンを用いてフィブリンに結合できることが示されている。Gailit et al., Human fibroblasts bind directly to fibrinogen at RGD sites through integrin alpha(v)beta3, Exp. Cell Res. 232: 118-126 (1997)。しかしながら、試験で使用されるフィブリノーゲンが痕跡量のフィブロネクチン(<0.1μg/mgのフィブリノーゲン)を含み、そして10%FCS(フィブロネクチンを含む)がコラーゲン合成検定法で使用されたため、フィブロネクチンが、α5β1インテグリンを通したフィブリンゲルマトリックスへの線維芽細胞の結合に関与し得ることは、現行試験では排除されない。Clark, Wound Repair: Overview and General Considerations, The Molecular and Cellular Biology of Wound Repair、22-32頁(編集 Clark RA.、ニューヨーク、プレナム・プレス、1996)。従って、フィブリンおよびコラーゲンゲル間でのuPAおよびPAI−1発現の差異は、フィブリン/フィブロネクチンへのαν含有インテグリンまたはα5β1結合および/またはコラーゲンへのα2β1結合により伝達され得る。
PAI−1活性の増加は、組織および臓器線維症の顕著な特徴である。PAI−1発現の遺伝学的測定レベルおよび炎症性肺損傷の結果として起こるコラーゲン蓄積程度間に直接的な相関関係が存在するという証拠がある。この証拠は、トランスジェニックマウスにおけるブレオマイシン誘導肺線維症の試験から導き出された。Eitzman et al., Bleomycin-induced pulmonary fibrosis in transgenic mice that either lack or overexpress the murine plasminogen activator inhibitor-1 gene, J. Clin. Invest. 97: 232-237 (1996)。これらの試験は、過度のPAI−1活性がフィブリン蓄積をまねき、次いで肺修復に対する線維形成誘導効果を誘発するという根本的理由に基づいていた。フィブリンは、プラスミンの最もよく知られている基質であり、その分解産物は炎症細胞に対し走化性である。Clark, Wound Repair: Overview and General Considerations、前出。従って、組織損傷部位におけるフィブリンの蓄積は、組織線維症の原因である。さらに、正常およびケロイド線維芽細胞間におけるuPA:PAI−1比の差異は、フィブリンマトリックス分解度合に反映されており、短時間検定法では、正常線維芽細胞はフィブリンマトリックス分解を誘発するが、ケロイド線維芽細胞は誘発しなかった。Tuan et al., Elevated levels of plasminogen activator inhibitor-1 may account for the altered fibrinolysis by keloid fibroblasts, J. Invest. Dermatol. 106: 1007-1011 (1996)。さらに、TGF−β、すなわちPAI−1の強力な誘導物質(Keski-Oja et al., Regulation of mRNAs for type-1 plasminogen activator inhibitor, fibronectin, and type I procollagen by transforming growth factor-beta. Divergent responses in lung fibroblasts and carcinoma cells, J. Biol. Chem. 263: 3111-3115 (1988))により正常線維芽細胞を処理すると、フィブリン分解が阻止された。臨床観察は、ケロイド形成前に罹患領域では長い炎症反応が先行することを明らかにしている。さらに、ほとんどのケロイドは、3つの特有領域:紅斑性外縁(拡大/成長領域)、非紅斑性***内側縁(古典的ケロイド)、および中心後退領域を有する。フィブリンは炎症に関与するため、ケロイド病変、特に外縁は、フィブリンの多大な蓄積を含み得ると当業界では考えられている。
にもかかわらず、フィブリンが線維症の原因あるという意見は、肺損傷修復試験で最近攻撃された。フィブリノーゲンのαまたはγ鎖を欠き、循環系に無傷フィブリノーゲンを含まない突然変異体マウスでは、ブレオマイシン処理後の肺線維症の程度は野生型マウスと同等であった。Wilberding et al., Development of pulmonary fibrosis in fibrinogen-deficient mice, Ann. N. Y. Acad. Sci. 936: 542-548 (2001)。これらの試験は、フィブリンは線維症を促進し得るが、線維症の先行必要条件であるとは思われないことを示している。本発明実施例から、PAI−1中和性抗体をフィブリン培養物に加えるかまたは細胞をフィブリン‐コラーゲンまたはコラーゲンゲル(uPA発現を誘発する)で培養することによるケロイド線維芽細胞のコラーゲン蓄積の低減化は、フィブリンではなくPAI−1の過剰発現が、ケロイド線維症における過度のコラーゲン蓄積の鍵を握るものであり得ることを強く示唆している。PAI−1過剰発現(図2)(また、Tuan et al., Elevated levels of plasminogen activator inhibitor-1 may account for the altered fibrinolysis by keloid fibroblasts, J. Invest. Dermatol. 106: 1007-1011 (1996); Higgins et al., Differential regulation of PAI-1 gene expression in human fibroblasts predisposed to a fibrotic phenotype、 Exp. Cell Res. 248: 634-642 (1999)参照)およびコラーゲン過剰産生(Uitto et al., Altered steady-state ratio of type VIII procollagen mRNAs correlates with selectively increased type I procollagen biosynthesis in cultured keloid fibroblasts、 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82: 5935-5939 (1985))が両方とも、フィブリンの非存在下での普通の細胞培養表面におけるケロイド線維芽細胞培養物で見出されるという事実は、ケロイド線維症におけるPAI−1の関与をさらに裏付けるものである。
ペプシン処理による本発明実施例で使用されるコラーゲン精製プロトコールは無傷のコラーゲンのみを回収し、コラーゲン蓄積を反映するということは注目に値する。Epstein, Alphal-3 human skin collagen. Release by pepsin digestion and preponderance in fetal life、 J. Biol. Chem. 249: 3225-3231 (1974)。コラーゲン産生はマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)ファミリーのプロテアーゼにより翻訳後調節され得るため(Rossert & Crombrugghe, Structure, Synthesis, and Regulation of Type I Collagen. Principles of Bone Biology、サンディエゴ・アカデミック・プレス、 pp. 127-142 (1996))、コラーゲンまたはフィブリン‐コラーゲンゲルで培養されたケロイド線維芽細胞によるコラーゲン蓄積の低減化は、プラスミン伝達MMP活性化(図9で概説されている経路)により誘発されたコラーゲン分解によるものであるという可能性がある。別法として、PAI−1は、細胞生長およびアポトーシスに対するその効果に加え、uPAおよびビトロネクチンへのその結合を通してインテグリン伝達による細胞接着および遊走を調節できるため、インテグリン伝達による機構も関与し得る。Stefansson & Lawrence, The serpin PAI-1 inhibits cell migration by blocking integrin alpha V beta 3 binding to vitronectin, Nature 383: 441-443 (1996)。したがって、上記条件下でのケロイド線維芽細胞のuPA:PAI−1比の変化は、ゲル‐マトリックスへのケロイド線維芽細胞の結合に影響を及ぼし、それに続いて、線維芽細胞分化およびコラーゲン合成状態を改変させ得る。Ellerbroek et al., Functional interplay between type I collagen and cell surface matrix metalloproteinase activity, J. Biol. Chem. 276: 24833-24842 (2001); Streuli, Extracellular matrix remodelling and cellular differentiation, Curr. Opin. Cell Biol. 11: 634-640 (1999)。これらの動きは、インビトロ線維増殖モデルを用いることによりさらに試験され得る。
コラーゲンゲルでの培養時、正常線維芽細胞はuPAの増加およびPAI−1レベルの減少を呈するが、コラーゲン蓄積レベルに変化はないという結果は興味深いものであった(図6および7)。これは、ゲルの線維芽細胞収縮中にマトリックスで展開される等長性緊張に起因し得る。細胞−マトリックス相互作用の結果としてECMマトリックスで展開される等長性緊張が細胞の代謝状態を決定し得ることは以前に示されている。Nakagawa et al., Extracellular matrix organization modulates fibroblast growth and growth factor responsiveness, Exp. Cell Res. 182: 572-582 (1989)。従って、比較的小さな緊張下で線維芽細胞がコラーゲンマトリックスを収縮させ得る、組織培養皿から分離されたコラーゲンゲルにおける線維芽細胞は、コラーゲンをごく僅かしか産生しない。対照的に、結合したコラーゲンゲルにおける線維芽細胞は、マトリックスを収縮させ、緊張増加を誘発するため、基底コラーゲン合成が維持される。Nakagawa et al.、前出。本発明実施例では、フィブリンおよびコラーゲンゲルは両方とも培養皿に結合されていた。したがって、コラーゲン蓄積における差異は全く観察されなかった。
ケロイドの表皮もまた、正常皮膚および通常瘢痕の場合よりも強いPAI−1発現を示した(図1)。成人ケラチノサイトは通常PAI−1を発現しないため、これもまた臨床的推測であり得る。その発現は、表皮移動を伴い、創傷修復中に起こるだけである。Li et al., Targeted inhibition of wound-induced PAI-1 expression alters migration and differentiation in human epidermal keratinocytes, Exp. Cell. Res. 258: 245-253 (2000)。他のセリンまたはMMPプロテアーゼ阻害剤、例えばアルファ−1抗トリプシン、アルファ−2マクログロブリン、および組織アルファ−グロブリンもまた、ケロイド病変で検出された。Diegelmann et al., Tissue alpha-globulins in keloid formation, Plast. Reconstr. Surg. 59: 418-423 (1977)。ケロイド線維芽細胞に対するこれらのタンパク質の効果はまた、インビトロモデルシステムを用いて将来的に試験され得る。結論として、三次元マトリックスゲル系を用いることにより、本発明実施例は、PAI−1過剰発現がケロイド線維芽細胞による高いコラーゲン蓄積と相関関係を示すことを立証した。PAI−1活性が阻害または低減化されるとき、異常なコラーゲン蓄積が廃されるため、2者間の原因となる関係をもたらす。ケロイド線維芽細胞における主たる発見を描き、それらを組織損傷修復の鍵となる事象/成分と結び付ける概略図は、図9に示されている。
本開示で引用されている出版物および特許については、出典明示で援用する。本記述、具体的実施例および図面は、好ましい態様を示し、説明および実例を挙げて与えられており、本発明を制限する意図はないものとする。本発明の範囲内における様々な変化および修正は、本明細書に含まれている開示から当業者にとっては容易に理解できるものである。従って、請求の範囲の精神および範囲は、本明細書に含まれている好ましいものの記載に限定されるべきではない。
Claims (32)
- PAI−1活性を低減化する段階を含む、創傷治癒過程における過度のコラーゲン蓄積を低減化する方法。
- PAI−1活性をPAI−阻害剤により低減化させる、請求項1記載の方法。
- PAI−1阻害剤が、間接的PAI−1阻害剤または直接的PAI−1阻害剤である、請求項2記載の方法。
- 間接的PAI−1阻害剤が、フォシノプリル、イミダプリル、カプトプリル、エナラプリル、L158809、エプロサルタン、トログリタゾン、ビタミンC、ビタミンE、ペリンドルプリル、ミフェプリストン(RU486)、スピロノラクトンおよびRCLペプチドから成る群から選択される、請求項3記載の方法。
- 直接的PAI−1阻害剤が、PAI−1中和性抗体、ジケトピペラジンに基く化合物、テトラミン酸に基く化合物、ヒドロキシキノリノンに基く化合物、および11−ケト−9(E),12(E)−オクタデカジエン酸から成る群から選択される、請求項3記載の方法。
- PAI−1阻害剤を、創傷治癒過程にある対象に投与する、請求項2記載の方法。
- PAI−1阻害剤を、表皮投与、経皮投与、肺投与、鼻投与、眼投与、頬側投与、経口投与、直腸投与、膣投与および非経口投与から成る群から選択される経路により投与する、請求項6記載の方法。
- 過度のコラーゲン蓄積が、ケロイド、癒着、肥厚性瘢痕、皮膚の外観を損なう状態、線維症、線維性嚢胞状態、拘縮、強皮症、デュピュイトラン病、ペーロニー病および関節の硬直から成る群から選択される異常な瘢痕に至る、請求項1記載の方法。
- 線維症が、間質性線維症、腎臓線維症、肝臓線維症、肺線維症、心臓線維症、網膜および硝子体網膜症から成る群から選択される、請求項8記載の方法。
- 過度のコラーゲン蓄積から生じる異常な瘢痕の形成を阻止する方法であって、PAI−1活性を低減化する段階を含む方法。
- PAI−1活性をPAI−阻害剤により低減化する、請求項10記載の方法。
- PAI−1阻害剤が、間接的PAI−1阻害剤または直接的PAI−1阻害剤である、請求項11記載の方法。
- 間接的PAI−1阻害剤が、フォシノプリル、イミダプリル、カプトプリル、エナラプリル、L158809、エプロサルタン、トログリタゾン、ビタミンC、ビタミンE、ペリンドルプリル、ミフェプリストン(RU486)、スピロノラクトンおよびRCLペプチドから成る群から選択される、請求項12記載の方法。
- 直接的PAI−1阻害剤が、PAI−1中和性抗体、ジケトピペラジンに基く化合物、テトラミン酸に基く化合物、ヒドロキシキノリノンに基く化合物、および11−ケト−9(E),12(E)−オクタデカジエン酸から成る群から選択される、請求項12記載の方法。
- PAI−1阻害剤が対象に投与され、過度のコラーゲン蓄積が対象において観察されている、請求項11記載の方法。
- PAI−1阻害剤を、表皮投与、経皮投与、肺投与、鼻投与、眼投与、頬側投与、経口投与、直腸投与、膣投与および非経口投与から成る群から選択される経路により投与する、請求項15記載の方法。
- 異常な瘢痕が、ケロイド、癒着、肥厚性瘢痕、皮膚の外観を損なう状態、線維症、線維性嚢胞状態、拘縮、強皮症、デュピュイトラン病、ペーロニー病および関節の硬直から成る群から選択される、請求項10記載の方法。
- 線維症が、間質性線維症、腎臓線維症、肝臓線維症、肺線維症、心臓線維症、網膜および硝子体網膜症から成る群から選択される、請求項17記載の方法。
- 過度のコラーゲン蓄積から生じる異常な瘢痕の処置方法であって、PAI−1活性を低減化する段階を含む方法。
- PAI−1活性をPAI−阻害剤により低減化させる、請求項19記載の方法。
- PAI−1阻害剤が、間接的PAI−1阻害剤または直接的PAI−1阻害剤である、請求項20記載の方法。
- 間接的PAI−1阻害剤が、フォシノプリル、イミダプリル、カプトプリル、エナラプリル、L158809、エプロサルタン、トログリタゾン、ビタミンC、ビタミンE、ペリンドルプリル、ミフェプリストン(RU486)、スピロノラクトンおよびRCLペプチドから成る群から選択される、請求項21記載の方法。
- 直接的PAI−1阻害剤が、PAI−1中和性抗体、ジケトピペラジンに基く化合物、テトラミン酸に基く化合物、ヒドロキシキノリノンに基く化合物、および11−ケト−9(E),12(E)−オクタデカジエン酸から成る群から選択される、請求項21記載の方法。
- 異常な瘢痕を有する対象にPAI−1阻害剤を投与する、請求項20記載の方法。
- PAI−1阻害剤を、表皮投与、経皮投与、肺投与、鼻投与、眼投与、頬側投与、経口投与、直腸投与、膣投与および非経口投与から成る群から選択される経路により投与する、請求項24記載の方法。
- 異常な瘢痕が、ケロイド、癒着、肥厚性瘢痕、皮膚の外観を損なう状態、線維症、線維性嚢胞状態、拘縮、強皮症、デュピュイトラン病、ペーロニー病および関節の硬直から成る群から選択される、請求項19記載の方法。
- 線維症が、間質性線維症、腎臓線維症、肝臓線維症、肺線維症、心臓線維症、網膜および硝子体網膜症から成る群から選択される、請求項26記載の方法。
- 異常な瘢痕の形成傾向を測定する方法であって、
a)創傷部位の位置を確認し、そして
b)PAI−1活性のレベルを測定する
段階を含む方法。 - さらに、標準PAI−1活性とPAI−1活性を比較し、異常な瘢痕を形成する可能性を測定する段階を含む、請求項28記載の方法。
- ELISA、色素原検定法、フィブリンオーバーレイ検定法、または逆フィブリンオーバーレイ検定法によりPAI−1活性のレベルを測定する、請求項28記載の方法。
- 異常な瘢痕が、ケロイド、癒着、肥厚性瘢痕、皮膚の外観を損なう状態、線維症、線維性嚢胞状態、拘縮、強皮症、デュピュイトラン病、ペーロニー病および関節の硬直である、請求項28記載の方法。
- 線維症が、間質性線維症、腎臓線維症、肝臓線維症、肺線維症、心臓線維症、網膜および硝子体網膜症から成る群から選択される、請求項31記載の方法。
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