JP2006350062A - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透過性が良く、偏光性、面内の光学特性均一が良好、且つ耐久性に優れた偏光フィルムのロングラン性が良い製造方法を提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系フィルムを延伸して得られる沃素系偏光フィルムであって、その製造工程に於いて特徴的に、性能依存性の大きい酸性浴架橋工程での、延伸に対して4段以上、8段以下の多段階延伸で行うとともに、各段階の延伸倍率を累積倍率とし各々の延伸基点を累積倍率基点として速度比率で制御して、延伸架橋最終前段までの各段階の累積延伸倍率を結ぶ線を一定の傾斜角度とし、延伸架橋最終段で延伸架橋緩和させて偏光フィルムを製造する。この際の、同工程の最終段累積延伸倍率は1.5〜4.0倍とするのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ(PD)、等の画像表示装置。特に液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(EL)表示装置に使用するポリビニルアルコール系フィルムを延伸して得られる沃素系偏光フィルムの製造方法及びこの方法によって得られる偏光フィルムに関する。
液晶表示装置に使用する偏光フィルムは、明るく、且つ、光学再現性の良い、高透過率と、高偏光度を兼ね備える偏光フィルムが必要とされる。
このような偏光フィルムは、従来ポリビニルアルコール(以下PVAと略記することがある)系フィルムに、二色性を有するヨウ素又は二色性染料で染色する染色工程、ホウ酸やホウ砂、等で架橋させる酸性浴架橋工程、又は、一軸延伸との併用の酸性浴架橋工程後、色相調整、乾燥工程で乾燥させトリアセチルセルロース(以下TACと略記することがある)フィルム又は位相差膜などで、PVA偏光膜を保護する層と貼合わせをすると共に、光学機能を向上させ、偏光板を製造する。重ねて言及するならば、水洗、膨潤、染色、架橋、延伸、補色、洗浄、PVA乾燥の各工程は、別々に行う必要は無く、同時に行っても、且つ、各工程の順番も任意で良い。
近年では、特に液晶表示画面の大型化、高性能化に伴いそれらに用いる偏光フィルムも大型化と同時に光学特性向上及び面内均一性の向上が特に求められている。湿式延伸製造法が工程上での延伸架橋最終段、及び、又延伸架橋と同時に他の工程と、併用する工程において多用されるのは、PVAを偏光膜として使用する限り不可欠要素である。
酸性浴架橋工程における延伸方法については、これまで、例えば、特許文献1にはホウ素化合物での処理中で、まず4.5倍以下に一軸延伸し、続いて2倍以下に一軸延伸することで偏光性、耐久性に優れた偏光フィルムが得られることが記載されている。また、特許文献2には、架橋剤の入った浴を2浴以上設け、1浴目の延伸倍率が1倍以上4倍以下、2浴目以降の延伸倍率が一浴目の延伸倍率よりも高い延伸率で延伸することにより、特許文献1では困難であった高透過率かつ高偏光度の特性を有する偏光板の製造方法が記載されている。更に、特許文献3には、架橋剤を含む浴で架橋させるに際し、架橋浴に入る前までの延伸倍率が1〜5倍の範囲(ただし、染色浴中に架橋剤が入る場合は架橋前に含む)で、その後の架橋処理浴を含む以降の架橋中〜後の延伸倍率が1.01倍以上4倍以下の範囲であり、かつ、PVA成膜原反から最終製品までのトータル延伸倍率が8倍以下である偏光板の製造方法が記載されている。
特許第2512408号公報 特開2001−290026号公報 特開2001−296427号公報
しかしながら従来の方法では、配向フィルムの一軸性が低下すると共に面内均一性が悪くなり、均質な光学特性(面内光学特性が均一で配向度の高い偏光フィルム)を持つ偏光フィルムを得ることは困難であった。本発明は、上記課題を解決して、均質な光学特性を持つ偏光フィルムを長時間安定して生産する(以下、ロングラン性と略記することがある。)方法を提供することを目的とする。そして、この製造方法で得られた偏光フィルムは他の光学フィルムと積層し、前記の偏光フィルム、あるいは、他の光学フィルムを適用した画像表示装置に用いられる。
本発明は、原料PVA系フィルムの延伸架橋工程に注視し、偏光フィルムの製造工程において、延伸架橋時の延伸倍率を各段及び延伸架橋工程の1段前の工程の倍率から安定倍率領域を決め、安定域内で延伸架橋を行うとともに多段延伸架橋工程での最終段においては、特に延伸架橋緩和段を設けることで偏光度等の光学性能特性と、安定性に優れた、偏光フィルムが得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ポリビニルアルコール(PVA)系偏光フィルム製造における酸性浴架橋工程の延伸架橋段数が4段以上、8段以下であって、延伸架橋最終前段(nE−1)までの累積延伸倍率を結ぶ線がほぼ直線状であって、該直線のX軸との傾斜角度が35〜43度となるように延伸架橋を行い、延伸架橋最終段(nE)においては0.85〜1.80倍の倍率で延伸架橋することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
但し、傾斜角度は、累積延伸倍率をY軸(原点:最大延伸倍率))に、延伸架橋段数をX軸として、累積延伸倍率の目盛幅(1倍):延伸架橋段数の目盛幅(1段)が1:1.25の図表上で測定される値である。
(2)酸性浴架橋工程終了後の後工程において延伸倍率が0.85〜0.95倍となるように延伸架橋倍率を調整緩和させることを特徴とする(1)記載の偏光フィルムの製造方法。
(3)下記式で表される最終段延伸ストレス緩和係数(P)が0.5〜1.0であることを特徴とする(2)記載の偏光フィルムの製造方法。
P=(b−c)/(b−a)
但し、a:延伸架橋最終前段(nE−1)の累積延伸倍率
b:延伸架橋最終段(nE)の累積延伸倍率
c:全行程累積延伸倍率(後工程終了後の累積延伸倍率)
(4)下記式で表される延伸架橋工程、後工程連結ストレス緩和係数(L)が−0.1〜0.3であることを特徴とする(2)又は(3)記載の偏光フィルムの製造方法。
L=c−a
但し、a:延伸架橋最終前段(nE−1)の累積延伸倍率
c:全行程累積延伸倍率(後工程終了後の累積延伸倍率)
(5)延伸段数に応じた酸性浴架橋漕を使用することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
(6)製造工程における全延伸倍率が、4.5〜8.0倍であり、酸性浴架橋工程の総延伸倍率が1.5〜4.0倍であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
(7)原料ポリビニルアルコール系フィルムの重合度が1700〜3500であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
(8)(1)乃至(7)のいずれか記載の方法で製造された、透過率43.5%以上、偏光度99.95%以上であって、直交透過率が0.04%以下である偏光フィルム、
を要旨とするものである。
本発明によって、偏光フィルム製造における延伸架橋処理を行う工程の延伸倍率を詳細に多段に区分して製造し、延伸架橋最終段(nE)においてPVA原反フィルムへのストレス残留を後工程に影響しないまで極小にすることが容易にできるので、原反フィルム幅に係わらず偏光度等の光学特性に優れた偏光フィルムを得られ、表示斑のない大型画像表示装置に最適な偏光フィルムを提供することが可能となった。
原料ポリビニルアルコール系フィルムに用いるポリビニルアルコール(PVA)系樹脂としてはPVAや部分ホルマール化PVA等が挙げられるが、ヨウ素による染色性が優れている事から、特にPVAが好ましい。また、親水性を強調せずに製造でき、光学特性を向上させるために数モル%のエチレン等を共重合で付加し精製した樹脂も使用できる。使用するPVA系樹脂の重合度は、一般に100〜10000であり、好ましい範囲は、1700〜3500であり、より好ましくは、2400〜2600である。また、鹸化度は水への溶解性の点から89モル%以上が好ましく、より好ましくは95モル%以上、特に好ましくは99.99モル%以上であり、酢酸ソーダ分は0.08wt%以下であることが好ましい。
本発明で用いる原料PVA系フィルムは、上述したPVA系樹脂粉末又は、顆粒状樹脂を温水又は、有機溶媒に溶解した原液を流延法、キャスト法、押出法等任意の方法で製造したものであり、PVA系フィルムであれば、無延伸・延伸に係わらず、特に制約することなく使用できる。また、原料PVA系フィルムの厚さは75μm、50μmである。本発明においてはこのような条件を満たす市場販売品をそのまま使用することができる。また、原料PVA系フィルムの幅方向(TD方向と略記する。)のフィルムリタディション値は有効全幅で35nm以下、好ましくは15nm以下である。
PVA系偏光フィルムの製造方法としては、一般に広く主流を占める湿式延伸法があり、一部乾式延伸とも協調しつつあるが、本発明は、湿式延伸法(溶液中延伸法と略記する場合がある。)に関するものである。
偏光フィルムの製造工程としては、求める偏光フィルムの光学特性、物理特性に応じ適宜に方法を選択できる。工程としては、例えば、原料PVA系フィルムを乾燥工程、貼合工程を除く主要工程の各工程では延伸倍率を調整し、水洗浄膨潤、ヨウ素染色、架橋、調整染色、水洗冷却等一連の製造工程があり各処理工程では、各種の溶液を配合した各浴中で浸漬し、処理をする。各処理工程の、工程順序は架橋工程を除いて、工程順も制約を受ける事はない。
そして、酸性浴架橋工程では、架橋剤を含む調整槽液に、前工程を終えた加工途中のポリマーフィルムを、浸漬しながら架橋させる。本発明は、この酸性浴架橋工程における延伸架橋段数を4段以上、8段以下とし、しかも延伸架橋最終前段(nE−1)までの累積延伸倍率を結ぶ線がほぼ直線状であって、該直線のX軸との傾斜角度が35〜43度となるように延伸架橋を行い、延伸架橋最終段(nE)においては0.85〜1.80倍の倍率で延伸架橋することを特徴とするものである。
但し、傾斜角度は、累積延伸倍率をY軸(原点:最大延伸倍率))に、延伸架橋段数をX軸として、累積延伸倍率の目盛幅(1倍):延伸架橋段数の目盛幅(1段)が1:1.25の図表上で測定される値である。
本発明では、多段延伸としたので延伸倍率を各段(n1〜n8)で任意に変更出来る。同工程段数は、4段階〜8段階、好ましくは4段階〜6段階(段階を槽と読み替えても良く)であって関連する条件特に、濃度−温度−時間−倍率(緩和を含む)−洗浄−速度等すべての項目に於ける製造条件関連比率等については特に制限はない。また、酸性浴延伸架橋工程での総延伸倍率は、1.5〜4.0累積倍率であり、好ましくは2〜2.7倍であり、延伸架橋工程のn1段では、その倍率を1.5倍以内すること。その工程の下限倍率は、0.95倍である。製造工程総延伸倍率は4.5〜8.0倍である。
このような、多段延伸は延伸段数に応じた個数のピンチロールを用いて、ピンチロール間に速度差を設けることによって達成することができるが、架橋槽を延伸架橋段数に応じて使用し、各架橋漕におけるピンチロールの速度差で延伸させる方が、延伸累積倍率、濃度範囲、浸漬時間温度などを必要によって適宜選択できるので好ましい。
以下に、本発明の酸性浴架橋工程における延伸架橋について詳細に説明する。
例えば、8段の多段延伸をする場合(8段未満の場合は、選択した段数迄が該当)、各延伸架橋段をn1〜n8、前工程までの累積倍率をA0(酸性浴架橋工程入口ロール(基点ロール)の累積延伸倍率)、各延伸架橋段の出口ロールにおける累積延伸倍率をA1〜A8、各延伸架橋段の延伸倍率をα1〜α8とした場合の各段の延伸倍率、累計延伸倍率は以下のようになる。
前工程までの累積倍率 (A0) 多段延伸架橋倍率の基点ロール
多段延伸架橋1段出口ロール(A1) n1 A1=A0*α1 α1:1段目倍率
多段延伸架橋2段出口ロール(A2) n2 A2=A1*α2 α2:2段目倍率
多段延伸架橋3段出口ロール(A3) n3 A3=A2*α3 α3:3段目倍率
多段延伸架橋4段出口ロール(A4) n4(nE)A4=A3*α4 α4:4段目倍率
多段延伸架橋5段出口ロール(A5) n5(nE)A5=A4*α5 α5:5段目倍率
多段延伸架橋6段出口ロール(A6) n6(nE)A6=A5*α6 α6:6段目倍率
多段延伸架橋7段出口ロール(A7) n7(nE)A7=A6*α7 α7:7段目倍率
多段延伸架橋8段出口ロール(A8) n8(nE)A8=A7*α8 α8:8段目倍率
但し(nE)は多段延伸架橋における最終段を意味していて、4段の多段延伸の場合は4段目が、5段の多段延伸では5段目が、8段の多段延伸の場合は8段目が相当する。また、酸性浴架橋工程終了後に行う後工程の延伸倍率を(B0)とする。
そして、本発明においては、Y軸(原点:最大延伸倍率))に累積延伸倍率を、X軸に延伸架橋段数を取って、各延伸架橋段の累積延伸倍率(A0、A1、A2、A3、・・・AnE)をプロットした場合に、以下の要件を満足するように延伸架橋を行う点に最大の特徴を有している。なお、この場合の累積延伸倍率の目盛幅(1倍):延伸架橋段数の目盛幅(1段)は1:1.25となるように作図するものとする。
すなわち、基点ロール(A0)から延伸架橋最終前段(nE−1)までの累積延伸倍率をプロットした場合に、プロットを結ぶ線がほぼ直線状、すなわち、少なくとも各段の値と直線との差が、−0.2〜+0.2、好ましくは−0.05〜+0.1、であって該直線のX軸との傾斜角度が35〜43度、好ましくは38度〜40度となるように延伸架橋を行い、延伸架橋最終段(nE)においては0.85〜1.80倍の倍率で延伸架橋することを特徴とするものである。
具体的には、5段の多段延伸の場合は、A0、A1、A2、A3、A4(延伸架橋最終前段に相当)の各点を結ぶ線がほぼ直線状であって、その傾斜角が上記条件を満たすことが必要となる。また、延伸架橋最終段(n5)においては、前記よりA5=A4*α5、すなわちα5の値が0.85〜1.80倍となるように延伸架橋を行うのである。なお、傾斜角度の35〜43度は、ラジアン表記した場合は0.6109〜0.7505rad、更に延伸架橋段1段当たりの累積延伸倍率の増分(乗算ではなく加算した場合)で表現すると約0.85〜1.20倍/段となる。
更に、本発明においては、酸性浴架橋工程終了後の後工程において延伸倍率が0.85〜0.98倍となるように延伸架橋倍率を調整緩和させるのが好ましい。
より詳しくは、延伸架橋最終前段(nE−1段)の累積延伸倍率を(a)、延伸架橋最終段(nE段)の累積延伸倍率を(b)、全行程累積延伸倍率(後工程終了時の累積延伸倍率)を(c)とした場合に、下記式Iで表される最終段延伸ストレス緩和係数(P)が0.5〜1.0、好ましくは0.6〜0.9の範囲とすることで偏光度等の光学特性向上と、工程のロングラン性、品質安定性など工程及び品質に係わる偏光膜光学特性に優れた偏光フィルムを得ることができる。

P=(b−c)/(b−a) (I)

また、延伸架橋最終前段(nE−1段)の累積延伸倍率を(a)、全行程累積延伸倍率(後工程終了時の累積延伸倍率)を(c)とした場合に、下記式IIで表される延伸架橋工程、後工程連結ストレス緩和係数(L)が、原料PVA系フィルムの厚みが35〜50μmの場合は−0.1〜0.3、好ましくは0.15〜0.25の範囲とすることで工程通過時のフィルム厚みを13〜19μmを保ち光学特性と共に面内均一性が向上できる。また、原料PVA系フィルムの厚みが60〜75μmの場合は、0.05〜0.25、好ましくは0.07〜0.20の範囲とすることで、より光学特性維持と製造工程の安定性を確保出来、より優れた偏光フィルムが得られる。

L=c−a (II)
酸性浴架橋工程における架橋はホウ酸、ホウ砂などのホウ素化合物やグリオキザール、グルタルアルデヒド等のPVA架橋剤を単独で又は混合して通常水100重量部あたり0.01〜15重量部、好ましくは0.5〜9重量部配合した水溶液からなる酸性浴中で行われる。水溶液には、更に、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化カルシウム、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化チタン等のヨウ化物などの助剤を0.01〜15重量部、好ましくは、0.5〜9重量部を添加するのが面内の均一光学特性を得る上からも特に好ましい。
また、PVA架橋剤と前記助剤との配合比は、2:7〜8:2、特に6:4〜5:5〜3:7の範囲とするのが好ましい。なお、延伸架橋工程においても染色工程と同様に、架橋剤、助剤を塗布しても噴霧する方法でも良い。
また、酸性浴漕の液温については、液中平均温度で15〜75℃、好ましくは、40〜70℃であり、且つ工程途中のフィルム浸漬時間は、5秒〜25分、好ましくは、15秒〜13分程度が良い。
更に、延伸架橋工程中の延伸倍率は累積倍率で1.5倍〜4.0倍、好ましくは、2.5倍〜3.2倍で、且つ多段延伸架橋工程で染色工程後のフィルム浸漬時間を5分〜25分、好ましくは7分〜13分である。また延伸架橋工程の最終段(nE)における累積延伸倍率は4.5〜8.0倍が好ましく、延伸架橋工程単独での累積延伸倍率は、1.0〜5.0倍程度。より好ましくは、1.5〜3.5倍程度が良い。
すなわち、本発明は、酸性浴架橋工程における各延伸架橋段の累積延伸倍率を結ぶ線を特定の傾斜角度に保つとともに、延伸架橋最終段(nE)においてはその角度を緩ませ、更に、酸性浴架橋工程の後の後工程においても前記最終段延伸ストレス緩和係数(P)、延伸架橋工程、後工程連結ストレス緩和係数(L)の指数を満たすパターンとすることで工程の安定性の検証。ロングラン性の向上。そして、透過率43.5%以上、偏光度99.95%以上、直交透過率が0〜0.04%を達成する偏光性能等光学特性のより優れた偏光フィルムを得ることができた。また、この偏光フィルムに一層以上の光学フィルム層を積層した光学フィルムとして、或いは前記光学フィルムを適用した液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(EL)表示装置、プラズマディスプレイ(PD)等にも活用することができる。
以下に、偏光フィルムの各製造工程について説明する。
水洗浄膨潤工程では、原料PVA系フィルムを、水温を一定に保持した槽中でまず原料フィルム表面の汚れ、添加異物、などを水洗浄し、且つ槽中で膨潤をさせ染色斑、レタテーション値の緩和等を行う。本工程の膨潤槽の浴内にはホウ酸、グリセリン、ヨウ化カリウム等を添加するが、ホウ酸については、その濃度を1.5wt%以下で使用する。それ以上の濃度では、フィルム幅方向の膨潤に影響が出るので好ましくない。また、他の添加物も5wt%以下であることが好ましい。膨潤槽中の温度は、10〜25℃、好ましくは、15〜20℃である。また、この槽での浸漬時間は10秒〜10分、より好ましくは3〜5.5分である。なお、面内均一性の観点から、又、後段運転のロングラン性を向上させるためにも洗浄膨潤と同時に延伸を行う。延伸倍率は、原料フィルムTD方向膨潤幅調整と関連あり。無延伸原料フィルムは槽での延伸倍率(速度差率と略記する場合がある。)を1.0〜2.1倍。延伸処理後原料フィルムでは、0.6〜1.4倍程度が良い。
さらに従来技術の膨潤工程でPVAフィルム幅方向(TD方向)の膨潤倍率(以下幅膨潤倍率と略記する場合がある)は無延伸原料PVA系フィルムにあっては、1.0〜2.1倍、又延伸処理後原料PVA系フィルムにあっては、幅膨潤倍率は、0.6〜1.4倍が好ましく同工程槽の液温は、10℃〜25℃、より好ましくは、15〜20℃が良い。
染色工程では、前記の原料フィルムをヨウ素等の二色性物質を投入した染色槽に、浸漬することで二色性物質を、特にヨウ素系の二色性物質については原料フィルムの表面層だけでなく深部にまで、浸透させフィルム分子レベルへの吸着をさせる。また、有機、無機染料については、表層部への吸着に止まるため水溶液への再溶出は0.5〜30wt%程度あり、温度を低くする事により前記の溶出の最少化と、前記ポリマーフィルムの表面を架橋開始させる重要である。
前記二色性物質としては、従来からの公知の物質が使用可能であり、ヨウ素や有機染料などが良好であり、染料例としては、有機染料では、レッド類、レモンイエロー、ブルー類、コンゴーレッド、オレンジ類などがある。これら二色性物質は染色用途としては、その内の一種類でも良いし、二種類又は、それ以上を併用しても何ら差支えない。有機染料を使用する場合は、光学使用用途領域のニュートラル化を図る事からも、二種以上を組み合わせる事が良く知られており、レッド類とブルー類、オレンジ類とブルー類等、又ブラック類との組み合わせ等が挙げられる。
染色工程に於ける溶液は、水を基本に二色性物質を溶解させるが水と相溶性のある溶媒を2〜7wt%程度添加しても良い。そのような溶媒としてはメチルアルコール、エチルアルコール等のOH基を持つ溶媒を選択するのが好ましい。ヨウ素や有機染料は、通常水及び溶媒混合水100部あたり0.005〜20部の濃度範囲が良い。又、0.01〜15部がより好ましく、0.018〜7部が最高に好ましい。
染色処理工程において、二色性物質としてヨウ素を使用するときは、染色効率をより向上させるためにヨウ化物の助剤を添加することが好ましい。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、同リチウム、同ナトリウム、同亜鉛、同アルミニゥム、同鉛、同銅、同バリウム、同カルシゥム、並びにヨウ化チタン等が列挙される。これらの助剤の添加割合は、ヨウ素比の5〜70倍が好ましく、より好ましくは、15〜50倍。助剤としてヨウ化物を使用することは公知技術として広く活用されているが、その中でも特にヨウ化カリウムが一般的に使用される。濃度比と共に染色槽の槽液中浸漬時間、浴温、延伸条件、槽中原料フィルム溶解濃度についても染色工程において偏光膜性能を決定する事項の一要素となる。
染色工程における浸漬時間は、この項目単独で偏光フィルムの光学特性を決め得るものではないが0.5〜25分が好ましく、2〜20分がより好ましい。本工程の槽液中温度は5〜45℃が良く、より好ましくは、10〜40℃である。染色工程に於いて偏光フィルム製造上の公知技術として工程上での延伸がヨウ素に対して前記フィルムの溶解液が温度と浸漬時間を与える事により染色工程は安定し、光学特性が良好な偏光フィルムが得られる。特に染色溶液中のポリビニルアルコールは、0.02〜0.3wt%程度とすることが良く。又前記工程での延伸倍率は原反巻き出しから当工程終了の累積延伸倍率で1.05〜4.5倍程度であり、より好ましい状態は1.8〜3.5倍程度である。
また、染色処理工程としてはヨウ素又は、二色性染料を水溶液中で溶解し所定濃度に調合しつつ、浸漬、染色をするのみでなく原反ポリマーフィルムに、前記を塗布、または噴霧する工程を設けても良くあらかじめ二色性物質をフィルム製造工程で添加剤、助剤として附加混合しておいても良い。
水洗処理工程では、槽数は限定することなく当工程では工程内前段で水洗時助剤として水100部に対してホウ酸等を0.1〜10.0部、好ましくは、1.0〜9.0部を添加しても良い。また、同工程内では、前記添加物に水溶液100部に対して0.01〜15.0部が良く好ましくは、2.0〜9.0部のヨウ化カリウム等をくわえても良い。同工程の最終部について水溶液は、温度と共に、水溶液中の不純分、異物除去を可能な限りにおいて行うのが望ましい。また、水温は5〜13℃が良く次工程能力、品質向上効果も期待できる溶媒としてメチルアルコール、エチルアルコール等を助剤として使用しても差し支えるものではない。
フィルム乾燥工程では、ヨウ素及び、二色性物質を吸着・架橋延伸を施したポリマーフィルムを20〜85℃、好ましくは、40〜70℃で、1〜15分間温風乾燥させることで偏光フィルムが得られる。本工程の前段工程に水温5〜65℃、好ましくは25〜40℃の、濃度0.1〜10wt%のヨウ化カリウム等のヨウ化物液に0.1〜1.0分浸漬した後10〜15℃の冷風でフィルム表層を乾燥しても良い。フィルム乾燥終了後は保護フィルムと貼り合わせ、貼り合わせ後貼合乾燥工程を経て偏光板を完成。
本発明の偏光フィルム製造方法では、各工程又は工程中に配置した延伸処理を目的としたフィルムピンチロールを大気中に、または処理水溶液中に配置し、各工程のフィルムを液中で延伸する。各工程の二次側でフィルムを処理液から引き上げるときには、液垂れの発生を起こさないようにするため、従来技術で公知の液切りロールを用いる。又は、エアーナイフ等を使い水溶液をフィルムから吹き落とす等の方法により余分な水溶液を取り除いて良い。
本発明の製造方法で製造した偏光フィルムの厚さは特に限定されず30μm以下程度である事が好ましい。厚さが10μm以上であれば物理的強度を低下させる事なく、且つ厚さが27μm以下であれば光学特性が低下せず保護フィルム等との組み合わせで偏光板に適用して薄型化を実現できる。
本発明による偏光フィルムには、実用に際して各種の光学層を積層することができる。用いる光学層としては要求される光学特性を満たすものであれば限定されるものではない。たとえば偏光フィルムの片面又は両面に偏光フィルムの保護を目的とした透明保護層、及び前記透明保護層の偏光フィルムと接着する面と反対の面や偏光フィルム自体の片面、両面に対してハードコート処理、反射防止処理、ステッキング処理、拡散やアンチグレア化目的の表面処理等を行ったり、視覚補償などを目的とした配向液晶層や、光学特性を持つ他のフィルムを積層するための粘着、接着層を積層することなどが挙げられる。さらに光学層として偏光、配向変換素子群、反射板、半透過版、位相差板(1/2、1/4等の波長版・・・λ板を含む)、視覚補償、輝度向上フィルム等の液晶画面表示装置などの構成に使う光学フィルムを1層又は、2層ないしは、それ以上積層した積層体があげられる。特に前記の偏光フィルムと透明保護層を積層した偏光板には、反射板、または半透過型反射板が積層される反射型偏光板または半透過型偏光板、位相差板が積層している偏光板が一般的に良い。又、前記光学層あるいは、前記の光学フィルムを透明保護層と積層するのは、偏光フィルムと貼合した前後どちらでも良く特に制約はない。
前記偏光フィルムの片面又は、両面に設けられる透明保護層の材質としては、透明性,機械・物理的強度、熱安定性、水分隔離性、等方性、等に優れた性能を示すものが好ましい。以下に優れた性能を示す材料、材質の例を挙げる。ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系ポリマー。ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマーやスチレン共重合体を含むスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、アミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、エポキシ系ポリマー又は、前記ポリマーのブレンド品なども透明保護層を形成するポリマーの例として、列挙できる。透明保護層はアクリル、ウレタン、アクリルウレタンエポキシシリコーン各系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として使用できる。前記の中でも本発明による偏光フィルムと貼合する透明保護層は、表面を鹸化処理したトリアセチルセルロース系樹脂フィルムが好ましい。
前記透明保護層を偏光フィルムに積層するときには、その片面毎に異なる特性を持つフィルムを積層しても良い。その特性は、特に異なる特性のフィルムに限定されるものではない。たとえばハードコート処理などは、偏光フィルム又は偏光フィルムと透明保護層を積層した偏光板表面の受傷防止などを目的にして対処されるものであり、たとえば、アクリル、シリコーン系等の紫外線硬化型樹脂のように硬度や滑り性などに優れた硬化被膜を透明保護層の表面に附加して使用する事も出来る。反射防止等も前記と同様に使用される。
前記偏光板と透明保護層を接着する場合、その接着処理は、特に限定しないが、ビニルポリマー系接着剤、あるいはホウ酸やほう砂、グルタルアルデヒド、メラミン,シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤型接着剤を介して行う。この水溶性は必要に応じて他の添加剤や酸などの触媒を含め、配合使用できる。
本発明の偏光フィルムや前記の積層光学材料には、液晶セルなどの他部材と接着する為の粘着層を設けることができる。その粘着層に使用する部材は特に限定されず、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ゴム系、シリコーン系などの従来公知技術で適宜な粘着剤の使用が出来る。この粘着剤は、吸湿による発砲や剥がれ現象の防止、熱膨張、熱収縮差等による光学特性の低下や液晶セルの反りを防ぐ。また、吸湿率が低くて耐熱性の良い粘着層を形成する事が必要であり、さらに偏光フィルム等の乾燥時間が短いものが好ましい。粘着層として各種の有機、無機を問わず微粒子を含有し、光拡散を示す粘着剤などを使用することも出来る。粘着層は、必要によって必要な面に設ければよく、本発明のような偏光フィルムと透明保護層から出来ている偏光板については、必要によって保護層片面又は、保護層両面に粘着層を設ければよい。これら偏光板や光学部材の透明保護層、光学層や粘着層等の各層には、紫外線吸収能を持たせるものとしてサルチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を附加しても良い。
以下に実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれら実施例、比較例によって限定されるものではない。
実施例1
厚さ75μm、フィルム幅670mmの、原料ポリビニルアルコールフィルム(重合度2600)を用いて、水洗膨潤、染色、架橋、水洗、乾燥の各処理工程を経て、厚さ25μmの偏光フィルムを得た。前記工程中、特に、架橋延伸工程においては図1に示した特徴ある複数のロールを用いて加工中のフィルムを搬送しながら多段延伸を行った。前記ロールはピンチロールであり同工程では、各々のピンチロールの回転速度に差(ロール周速差と略記読み替える場合もある。)をつけて延伸を行った。
架橋延伸工程の前後の工程を含む条件は、下記の通りとした。
<水洗膨潤処理工程>
15℃の純水中で、1.2倍程度延伸、TD(フィルム幅側と略記する場合がある。)方向膨潤を120%にした。(補助添加剤投入なし。)(延伸間距離1350mm)
<染色処理工程>
30℃で0.017wt%ヨウ素水溶液(ヨウ素(I)/ヨウ化カリウム(KI)重量比:1/30)の中で760秒間染色と同時に累積延伸倍率2.6倍まで延伸(延伸間総距離3470mm)した。
なお、本実施例においては前記水洗膨潤処理工程と染色延伸処理工程とを集約して前工程とした。
<酸性浴架橋処理工程>
酸性浴架橋処理工程では5段の多段延伸架橋を行った。酸性浴溶液は各段共通濃度(ホウ酸5wt%+5wt%ヨウ化カリウム(KI)水溶液)とし、温度は、1〜2段延伸架橋までは50℃、残りの3〜5段延伸架橋までは55℃、浸漬時間は480秒とした。また、本工程内延伸間距離は6950mm(ピンチロール間平均距離1390mm)とした。この時の偏光フィルム製造の全工程累積延伸倍率を6.39倍、酸性浴架橋工程の総延伸倍率を2.5倍となるように延伸架橋を行った。本工程5段(延伸架橋最終段(nE))の累積延伸倍率は6.51倍である。延伸架橋の諸条件(係数P及びL、傾斜角度)及び得られた偏光フィルムの性能を表1に示す。また、その時の各延伸架橋段と累積延伸倍率A1〜A5との関係を図2に示した。
<後工程>
本実施例においては水洗処理、乾燥処理等の工程を後工程として包含した。
後工程終了時の累積延伸倍率は6.39倍(乾燥工程を含む)とした。また、各後工程の処理温度は、水洗処理10℃、調整35℃、乾燥50℃とし、浸漬時間は、乾燥工程を除外して87秒、乾燥時間は、60秒とした。更に、後工程ピンチロール間総距離3230mm(但し、乾燥工程のピンチロール間距離1620mmは含まず)とした。
なお、本実施例において表1に示す、係数P及びLを算出するための延伸架橋最終前段(nE−1段)の累積延伸倍率(a)は4段目の累積延伸倍率(A4)であり、延伸架橋最終段(nE段)の累積延伸倍率(b)は5段目の累積延伸倍率(A5)=6.51倍であり、全行程累積延伸倍率(後工程終了時の累積延伸倍率)(c)は6.39倍である。
得られた偏光フィルム光学特性面内均一性については、図3に示すサンプル群で測定した結果、表1に示すとおり透過率43.63〜43.60%、偏光度100〜99.97%、直交透過率0.0〜0.02%であった。
実施例2
前工程、後工程などは実施例1とほぼ同様として、表1に示した条件で酸性浴架橋工程の延伸架橋を行った。結果は表1の通りであって、光学特性、面内均一性共良好な偏光フィルムが得られた。
実施例3
前工程、後工程などは実施例1とほぼ同様として、表1に示したように4段で酸性浴架橋工程の延伸架橋を行った。結果は表1の通りであって、光学特性、面内均一性共良好な偏光フィルムが得られた。
実施例4
前工程、後工程などは実施例1とほぼ同様として、表1に示したように6段で酸性浴架橋工程の延伸架橋を行った。結果は表1の通りであって、光学特性、面内均一性共良好な偏光フィルムが得られた。
比較例1、2
実施例1とほぼ同様に前工程を行った後、酸性浴架橋工程の延伸架橋段数を5段として2段階目までは、傾斜角度44度で、3、4、5段目では、各段階の延伸倍率を小さくして傾斜角度を比較例1で17度、比較例2で20度として延伸架橋を行った。結果は表1の通りであって、ロングラン性は良かったものの、光学特性は不十分であった。
比較例3、4
実施例1とほぼ同様に前工程を行った後、酸性浴架橋工程の延伸架橋段数を4段とし、延伸架橋最終段まで同じ傾斜角度で延伸架橋を行った。結果は表1の通りであって、ロングラン性、面内均一性が不十分であった。
比較例5
延伸架橋工程を3段階延伸とし、延伸架橋最終前段までの傾斜角度が47度、延伸架橋最終段までの傾斜角度44度で表1に示す通り延伸架橋を行った。表1に示すように光学特性が不十分であった。なお、延伸架橋工程フィルム浸漬時間は、3.8分とした。
比較例6
表1に示す条件で延伸架橋を行った。表1に示すように光学特性が不十分であり、光学特性面内均一性は、Ty±0.05%、Py±0.03%、で未到達であった。
Figure 2006350062
全体として表1の結果からも、明らかなように実施例に係る製造方法においては光学特性、ロングラン性ともに良好であった。特に、ロングラン性についてはフィルム製造が2日連続から7日〜11日連続が可能となった。また、透過率、偏光度、直交透過率等についても安定した値を示すとともに関連する面内均一性についても良好なる値を示した。したがって、光学特性、面内均一性に優れた偏光フィルムが製造できるので、今後の次世代化、耐久性の向上等の可能性を示唆した。
本発明における多段延伸架橋工程を説明する説明図である。 本発明における傾斜角度、緩和係数P値、L値を説明する説明図である。 光学特性測定のためのサンプリング方法を示す説明図である。

Claims (8)

  1. ポリビニルアルコール(PVA)系偏光フィルム製造における酸性浴架橋工程の延伸架橋段数が4段以上、8段以下であって、延伸架橋最終前段(nE−1)までの累積延伸倍率を結ぶ線がほぼ直線状であって、該直線のX軸との傾斜角度が35〜43度となるように延伸架橋を行い、延伸架橋最終段においては0.85〜1.80倍の倍率で延伸架橋することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
    但し、傾斜角度は、累積延伸倍率をY軸(原点:最大延伸倍率))に、延伸架橋段数をX軸として、累積延伸倍率の目盛幅(1倍):延伸架橋段数の目盛幅(1段)が1:1.25の図表上で測定される値である。
  2. 酸性浴架橋工程終了後の後工程において延伸倍率が0.85〜0.95倍となるように延伸架橋倍率を調整緩和させることを特徴とする請求項1記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 下記式で表される最終段延伸ストレス緩和係数(P)が0.5〜1.0であることを特徴とする請求項2記載の偏光フィルムの製造方法。
    P=(b−c)/(b−a)
    但し、a:延伸架橋最終前段(nE−1)の累積延伸倍率
    b:延伸架橋最終段(nE)の累積延伸倍率
    c:全行程累積延伸倍率(後工程終了後の累積延伸倍率)
  4. 下記式で表される延伸架橋工程、後工程連結ストレス緩和係数(L)が−0.1〜0.3であることを特徴とする請求項2又は3記載の偏光フィルムの製造方法。
    L=c−a
    但し、a:延伸架橋最終前段(nE−1)の累積延伸倍率
    c:全行程累積延伸倍率(後工程終了後の累積延伸倍率)
  5. 延伸段数に応じた酸性浴架橋漕を使用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
  6. 製造工程における全延伸倍率が、4.5〜8.0倍であり、酸性浴架橋工程の総延伸倍率が1.5〜4.0倍であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
  7. 原料ポリビニルアルコール系フィルムの重合度が1700〜3500であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか記載の方法で製造された、透過率43.5%以上、偏光度99.95%以上であって、直交透過率が0.04%以下である偏光フィルム。
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