JP2006348785A - 2サイクル内燃エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】従来機構成に大きな改造を必要とすることなく低コストで、未燃混合気の吹き抜け量を可及的に少なくできるとともに、サイクル毎の燃焼変動を低減できるようにされた2サイクル内燃エンジンを提供する。
【解決手段】掃気出口(31b、31b、32b’、32b)がシリンダボア(10a)に開口する、基本的には反転掃気式をとる左右一対又は複数対の掃気通路(31、31、32’、32)が設けられている2サイクル内燃エンジン(1)であって、
ピストン(15)の下降行程において、前記掃気出口(31b、31b、32b’、32b)から前記ピストン(20)上方に形成される燃焼作動室(15)に導入される混合気(M)が、排気口(34)の開口面に対して略平行な面内で縦渦を生成するように構成されてなる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば携帯型動力作業機等に使用される2サイクル内燃エンジンに係り、特に、燃焼に供せられることなく排出される混合気量、いわゆる吹き抜け量を可及的に少なくできるとともに、サイクル毎の燃焼変動を低減できるようにされた2サイクル内燃エンジンに関する。
従来より、刈払機やチェーンソー等の携帯型動力作業機に使用されている一般的な2サイクルガソリンエンジンは、通常、シリンダの頭部には点火プラグが配設され、シリンダボア(内周壁面)にはピストンにより開閉される吸気口、掃気口、排気口(掃気出口)が開口せしめられ、吸気、排気のためだけの独立した行程はなく、前記ピストンの2行程で機関の1サイクルを完了するようになっている。
より詳細には、前記ピストンの上昇行程により、前記吸気口から前記ピストン下方のクランク室に、気化器等の混合気生成手段により生成される、空気と燃料及び潤滑油が混合されてなる混合気を吸入するとともに、該混合気を前記ピストンの下降行程により前記クランク室内で予圧縮し、前記掃気口から前記予圧縮された混合気を前記ピストン上方の燃焼作動室(燃焼室、作動室、シリンダ室等とも呼ばれるが、本明細書ではこれらを総称して燃焼作動室と称する)に吹き出すことにより、燃焼廃ガスの前記排気口への排出を行う、言い換えれば、混合気のガス流動を利用して燃焼廃ガスの掃気を行うようになっている。
そのため、燃焼廃ガス(排ガス)中に未燃混合気が混入しやすく、燃焼に供せられることなくそのまま大気中へ排出される混合気量、いわゆる吹き抜け量が大きく、4サイクルエンジンに比して燃費が悪いだけでなく、排ガス中に有害成分であるHC(燃料の未燃成分)やCO(燃料の不完全燃焼成分)等が多く含まれ、小型とはいえ、環境汚染が懸念されるとともに、これからますます厳しくなるであろう排ガス規制にどのようにして対応していくかが課題となっており、特に、排ガス中のHC(トータルHC)低減化には難儀しているのが実情である。
また、かかる2サイクル内燃エンジンでは、その特性上、前記燃焼作動室内における残留ガス濃度や流れ・乱れがサイクル毎に大きく変化するため、燃焼変動が大きいという問題もある。
ところで、前記の如くの特性を有する2サイクル内燃エンジンの改善に関する従来技術として、例えば、下記特許文献1には、前記各掃気口のうち排気口を挟んで一方側の掃気口を斜め上向きに傾斜してシリンダボアに開口する一方、排気口を挟んで他方側の掃気口を、略横向きにしてシリンダボアに開口し、さらに、ピストンの頂面のうち前記一方側掃気ポートに近い部位に、前記他方側掃気ポートからの掃気を斜め上向きに偏流するための傾斜面を備えた***部を設けることが提案されている。
かかる提案の2サイクル内燃エンジンでは、次のような作用効果が得られる、との記載がある。すなわち、各掃気口から燃焼作動室(シリンダ内)に吹き込まれた給気(掃気)の主流は、排気口と反対側の部位から点火プラグをかすめて排気口に向かう縦方向のスワール流になるとともに、当該スワール流を含む平面と直角の方向にも大きく旋回しながら排気口に向かうことになるから、排気口に向かって素通りする給気の量を大幅に低減できるとともに、燃焼作動室(シリンダ内)の略中央部に残留ガスの掃気残しが発生することを確実に低減でき、その結果、2サイクル内燃エンジンにおける給気効率と、掃気効率とを確実に向上でき、出力のアップ、排気ガスのクリーン化、及び、燃料消費量を低減を達成できる、とされている。
特許第3279810号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載の2サイクル内燃エンジンは、燃料を燃料噴射弁から燃焼室に直接噴射供給する筒内噴射式エンジンであり、掃気口から燃焼作動室(シリンダ内)に吹き込まれるのは、混合気ではなく空気(燃料を含まない)であるので、本発明の適用対象である、気化器等の混合気生成手段を備えた、一般的に多用されている2サイクル内燃エンジンとは、本質的に異なる。すなわち、筒内噴射式2サイクルエンジンでは、燃料を適時に適量だけ噴射供給できるので、前記未燃混合気の吹き抜けはさほど課題とはならず、また、サイクル毎の燃焼変動の点でもさほど問題とはならない。
本発明は、前記した如くの事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来機に大きな改造を必要とすることなく低コストで、未燃混合気の吹き抜け量を可及的に少なくできるとともに、サイクル毎の燃焼変動を低減できるようにされた2サイクル内燃エンジンを提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明に係る2サイクル内燃エンジンは、掃気出口がシリンダボアに開口する、基本的には反転掃気式をとる左右一対又は複数対の掃気通路が設けられ、ピストンの下降行程において、前記掃気出口から前記ピストン上方に形成される燃焼作動室に導入される混合気が、排気口の開口面に対して略平行な面内で縦渦を生成するように構成される。
この場合、好ましくは、前記燃焼作動室に導入される混合気が、前記燃焼作動室を画成する壁面に沿って旋回流動するように構成される。
また、好ましい態様では、気化器等の混合気生成手段を備える。
具体的な好ましい態様では、前記左右一対又は複数対の掃気通路のうちの左右いずれか一方側における少なくとも一つの前記掃気出口から前記燃焼作動室に導入される混合気が、点火プラグが臨設された燃焼室部に向かい、かつ、前記左右一対又は複数対の掃気通路のうちの左右いずれか他方側における少なくとも一つの前記掃気出口から前記燃焼作動室に導入される混合気が、前記ピストンの上面に沿って流動するように構成される。
この場合、より具体的な好ましい態様では、前記左右一対又は複数対の掃気通路のうちの左右いずれか一方側における少なくとも一つが、該掃気通路の掃気出口から前記燃焼作動室に導入される混合気を前記燃焼室部に向かわせるように形成され、前記左右一対又は複数対の掃気通路のうちの左右いずれか他方側における少なくとも一つが、該掃気通路の掃気出口から前記燃焼作動室に導入される混合気を前記ピストンの上面に沿わせて流動させるように形成される。
他の具体的な好ましい態様では、前記ピストンの上面に、前記左右一対又は複数対の掃気通路のうちの左右いずれか一方側における少なくとも一つの前記掃気出口から前記燃焼作動室に導入される混合気を前記燃焼室部に向かわせるとともに、前記左右一対又は複数対の掃気通路のうちの左右いずれか他方側における少なくとも一つの前記掃気出口から前記燃焼作動室に導入される混合気を、前記燃焼作動室を画成する前記ピストンの上面を含む壁面に沿わせて流動させるための、案内壁部が設けられる。
さらに好ましい態様では、前記掃気通路が複数対設けられ、それらの掃気通路のうちの吸気口側に位置するものの少なくとも一つが、該掃気通路の掃気出口から前記燃焼作動室に導入される混合気を前記燃焼室部に向かわせるようにされる。
前記の如くの構成とされた本発明に係る2サイクル内燃エンジンの好ましい態様では、ピストンの上昇行程において、クランク室の圧力が低下するに伴い、気化器等の混合気生成手段からの混合気が、前記クランク室に吸入されて貯留される。そして、前記ピストン上方の燃焼作動室内の圧縮された混合気が点火せしめられて爆発燃焼すると、前記ピストンが燃焼ガスにより押し下げられる。このピストンの下降行程においては、前記クランンク室及び掃気通路の混合気が前記ピストンにより圧縮せしめられるとともに、まず最初に、例えば、排気口が開かれ、さらに前記ピストンが下降すると、前記掃気通路下流端の掃気出口が開かれ、前記掃気通路及び前記クランク室内で圧縮された混合気が、前記掃気出口から掃気流として前記燃焼作動室に吹き出される。
ここで、本発明の2サイクル内燃エンジンでは、前記ピストンの下降行程において、前記掃気出口から前記燃焼作動室に導入される混合気が、排気口の開口面に対して略平行な面内で縦渦を生成するように、より好ましくは、前記燃焼作動室に導入される混合気が、前記燃焼作動室を画成する壁面(前記ピストンの上面を含む)に沿って旋回流動するように構成されているので、次のような作用効果が得られる。
すなわち、左右の掃気出口から吹き出される掃気流同士の衝突が少なくなるので、前記燃焼作動室内のガス流動は、排気口の開口面に対して略平行な略一方向の規則正しい縦渦状の流れとなり、混合気中の燃料成分は、空気に比べて比重が重いため、遠心力により縦渦の外周部に集まり、また、前サイクルの既燃焼ガス(燃焼廃ガス)は、温度が高く、新規導入空気(混合気中の)に比べて比重が小さいため、縦渦の中心部に集まる(いわゆる、サーマルピンチ効果)。
これにより、燃焼廃ガスの掃気効率を高めつつ、未燃混合気(中の燃料成分)の吹き抜けを、既存の一般的な反転掃気式(シュニューレ掃気式)をとるものと同等以上にすることができる(本発明のように一方向流を生成するものでは、前記シュニューレ掃気式をとるものより吹き抜け量が多くなるのが普通である)。
そして、前記ピストンが下死点から上昇して前記燃焼作動室の容積が小さくなってくると、生成された縦渦の半径が徐々に小さくなり、縦渦外周部に集まっていた混合気中の燃料成分は、燃焼室部に臨設された点火プラグ近傍に寄せられる。これにより、前記燃焼作動室(燃焼室部)内の混合気濃度分布は、濃い(リッチ)混合気を中心にしてその周りを薄い(リーン)混合気が取り囲むサンドイッチ構造(薄−濃−薄)になる。
つまり、前記点火プラグ(の電極)近傍は、点火しやすい比較的濃い混合気が位置し、その周辺部に薄い混合気が位置することになり、これにより、層状的燃焼が実現されて燃焼安定性が増し、その結果、従来機に大きな改造を必要とすることなく低コストで、未燃混合気の吹き抜け量を可及的に少なくできるとともに、サイクル毎の燃焼変動を低減でき、騒音振動等を低減でき、さらには、燃費や排気エミッション特性等も改善される。
以下、本発明の2サイクル内燃エンジンの実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る2サイクル内燃エンジンの一実施形態の基本構造を示すピストン上死点時の縦断面図、図2は、ピストンが下死点近くにあるときにおける、図1のII−II矢視断面図、図3は、ピストンが下死点近くにあるときにおける、図1に対応する拡大縦断面図、図4は、図1のIV−IV矢視断面図である。なお、説明の都合上、図4においては、排気口34、吸気口33、掃気出口31b、31b、32b、32b’が同一平面上に位置しているものとして描かれている。
図1に示される2サイクル内燃エンジン1は、チェーンソー等の携帯型動力作業機等に使用される、いわゆる四流掃気式の小型空冷式2サイクルガソリンエンジン(例えば、排気量は約67mL)であり、ピストン20が上下方向に往復動自在に嵌挿されるシリンダ10を有し、該シリンダ10の下側には、クランクケース12が密封状態で締結されている。前記クランクケース12は、前記シリンダ10の下方にクランク室18を画成するとともに、往復昇降する前記ピストン20の作動によって、ピストンピン21及びコンロッド24を介して回転させられるクランク軸22を、回転に支持させるようになっている。
前記シリンダ10の外周部には、多数の冷却フィン16が設けられ、その頭部には、燃焼作動室15の上部を構成する断面台形のドーム状の燃焼室部15aが設けられ、該燃焼室部15aにおける後述する吸気口33側には、点火プラグ17が臨設されている。
また、前記シリンダ10内のシリンダボア10aの一側には、排気口34が開口せしめられ、他側には、前記排気口34より低い(前記クランク室18側)位置に吸気口33が開口せしめられ、前記排気口34及び前記吸気口33を二分割する縦断面F−Fを挟んで、基本的には、反転掃気式(シュニューレ掃気式)をとる、掃気入口31a・32a及び掃気出口31b、31b、32b’、32bが、共に前記シリンダボア10aに開口するC型掃気通路としての、前記排気口34側に位置する左右一対の掃気通路31、31、及び、前記排気口34とは反対側に位置する左右一対の掃気通路32’、32が設けられている。なお、前記掃気入口31a・32aは、前記掃気通路31及び前記掃気通路32に対しての共通入口となっている。
前記吸気口33には、エアークリーナ51、連結管52、混合気生成手段としての気化器55、ヒートインシュレータ56を介して混合気Mが導入され、また、前記排気口34にはマフラー57が連結されている。
前記掃気通路31、31及び前記掃気通路32’、32の前記掃気出口31b、31b、32b’、32bの高さ位置は同一とされていて、前記各掃気出口31b、31b、32b’、32bの上端の高さ位置は、前記排気口34の上端より所定の距離だけ低くされており、それらの前記各掃気出口31b、31b、32b’、32bは、前記ピストン20の下降時に、前記排気口34より若干遅れて、四つ同時に開くようになっている。
また、前記掃気通路31、31及び前記掃気通路32’、32の下端(上流端)に設けられた前記掃気入口31a・32aは、前記ピストン20の下降行程(掃気行程)において、前記ピストン20により、その実効開口面積が漸減せしめられるようにされている。
そして、図2において左側で前記吸気口33側(図4参照)に位置する掃気通路32’以外の三つの掃気通路31、31、32は、それらの上端(下流端)に設けられた各掃気出口31b、31b、32bと前記掃気入口31a・32aとの間に中間内壁部36、36、37が設けられており、それらの各掃気出口31b、31b、32bは、それぞれ通常の反転掃気式(シュニューレ掃気式)をとるC型掃気通路と同様に、所定の水平掃気角を有し、混合気Mを横方向(略水平方向=前記ピストン20の上面20aに沿う方向)に吹き出すようにされている。
それに対し、残り一つの前記掃気通路32’は、その掃気出口32b’から前記燃焼作動室15に吹き出される混合気Mが、前記排気口34の開口面に対して略平行な面内で縦渦を生成するように、すなわち、前記燃焼作動室15を画成する壁面に沿いながら前記点火プラグ17が臨設された燃焼室部15aに向かうとともに、前記他の掃気出口31b、31b、32bから吹き出される混合気Mに合流して、前記燃焼作動室15を画成する壁面(前記ピストン20の上面20aを含む)に沿って縦方向に旋回流動するように、従来機構成の通路外周側にその通路断面積を狭めるように、断面三日月状に案内用肉盛り部38が付設されるとともに、前記中間内壁部36が除去され、掃気流が前記燃焼室部15aを指向する様にされている。
このような構成とされた本実施形態の2サイクル内燃エンジン1では、ピストン20の上昇行程において、クランク室18の圧力が低下するに伴い、気化器55からの混合気Mが、前記吸気口33を介して前記クランク室18に吸入されて貯留される。そして、前記ピストン20上方の燃焼作動室15内の圧縮された混合気Mが点火せしめられて爆発燃焼すると、前記ピストン20が燃焼ガスEにより押し下げられる。このピストン20の下降行程においては、前記クランンク室18及び掃気通路31、31,32’、32の混合気Mが前記ピストン20により圧縮せしめられるとともに、まず最初に、例えば、排気口34が開かれ、さらに前記ピストン20が下降すると、前記掃気通路31、31,32’、32下流端の掃気出口31b、31b、32b’、32bが開かれ、前記掃気通路31、31、32’、32及び前記クランク室18内で圧縮された混合気Mが、前記掃気出口31b、31b、32b’、32bから掃気流として前記燃焼作動室15に吹き出される。
ここで、本実施形態の2サイクル内燃エンジン1では、四つある掃気通路31、31、32’、32のうちの一つ(32’)の形状を他のものと異ならせることによって、前記ピストン20の下降行程において、前記掃気出口31b、31b、32b’、32bから前記燃焼作動室に導入される混合気Mが、前記排気口34の開口面に対して略平行な面内で縦渦を生成するように、すなわち、前記燃焼作動室15に導入される混合気Mが、前記燃焼作動室15を画成する壁面(前記ピストン20の上面20aを含む)に沿って縦方向に旋回流動するように構成されている(図2〜図4において、前記一つの掃気出口32’から吹き出された混合気Mの流動方向が一点鎖線矢印で、また、他の三つの掃気出口31b、31b、32bから吹き出された混合気Mの流動方向が破線矢印で示されている)ので、次のような作用効果が得られる。
すなわち、通常の反転掃気式(シュニューレ掃気式)のものに比して、左右の掃気出口31b、31b、32b’、32bから吹き出される掃気流同士の衝突が少なくなるので、前記燃焼作動室15内のガス流動は、略一方向の規則正しい流れとなり、混合気M中の燃料成分は、空気に比べて比重が重いため、遠心力により縦渦の外周部に集まり、また、前サイクルの既燃焼ガス(燃焼廃ガス)Eは、温度が高く、新規導入空気(混合気M中の)に比べて比重が小さいため、縦渦の中心部に集まる(いわゆる、サーマルピンチ効果)。
これにより、燃焼廃ガスEの掃気効率を高めつつ、未燃混合気(中の燃料成分)Mの吹き抜けを、既存の一般的な反転掃気式をとるものと同等以上にすることができる(本実施形態のように一方向流を生成するものでは、前記シュニューレ掃気式をとるものより吹き抜け量が多くなるのが普通である)。
そして、前記ピストン20が下死点から上昇して前記燃焼作動室15の容積が小さくなってくると、生成された縦渦の半径が徐々に小さくなり、縦渦外周部に集まっていた混合気M中の燃料成分は、燃焼室部15aに臨設された点火プラグ17近傍に寄せられる。これにより、前記燃焼作動室15(燃焼室部15a)内の混合気濃度分布は、濃い(リッチ)混合気を中心にして、その周りを薄い(リーン)混合気が取り囲むサンドイッチ構造(薄−濃−薄)になる。
つまり、前記点火プラグ17の電極近傍は、点火しやすい比較的濃い混合気が位置し、その周辺部に薄い混合気が位置することになり、これにより、層状的燃焼が実現されて燃焼安定性が増し、その結果、従来機に大きな改造を必要とすることなく低コストで、未燃混合気の吹き抜け量を可及的に少なくできるとともに、サイクル毎の燃焼変動を低減でき、騒音振動等を低減でき、さらには、燃費や排気エミッション特性等も向上する。
このような効果を検証すべく、同一排気量、同一基本構成の、通常の反転掃気式の2サイクル内燃エンジン(従来機)と前記実施形態の2サイクル内燃エンジン1(本発明機)とを用意し、同じ条件下で、シリンダ(前記燃焼作動室15)内圧力の時間履歴を計測する比較試験を行った結果を、図7(本発明機)、図8(従来機)に示す。
この比較試験から、本発明機は従来機に比して、シリンダ内圧力変動、すなわち、サイクル毎の燃焼変動のばらつきが小さく、均一になっていることが理解されよう。なお、図9は、本発明機におけるピーク圧力の出現頻度を棒グラフで表したもので、これからも、本発明機ではピーク圧力の分布が狭い範囲(図9のUで示される範囲)に収まることがわかる。
これ等の結果からも本発明機での騒音・振動低減効果が裏付けられる。
また、上記と同様に、燃料消費率の比較試験を行った結果を図10に示す。この比較試験から、本発明機は、従来機に比較して、燃費も大幅に向上することがわかる。
なお、前記実施形態では、四つある掃気通路31、31、32’、32のうちの一つ(32’)の形状を他のものと異ならせることによって、前記ピストン20の下降行程において、前記掃気出口31b、31b、32b’、32bから前記燃焼作動室15に導入される混合気Mが、前記排気口34の開口面に対して略平行な面内で縦渦を生成するように、すなわち、前記燃焼作動室15に導入される混合気Mが、前記燃焼作動室15を画成する壁面(前記ピストン20の上面20aを含む)に沿って、前記排気口34の周りを縦方向に旋回流動するように構成しているが、これに代えて、図5、図6に示される如くに、通常の反転掃気式をとるC形掃気通路である左右で対をなす掃気通路31、31、32、32を設け、前記ピストン20の上面20aに、前記掃気通路31、31、32、32のうちの左右いずれか一方側における少なくとも一つの前記掃気出口32bから前記燃焼作動室15に導入される混合気Mを前記燃焼室部15aに向かわせるとともに、前記掃気通路31、31、32、32のうちの左右いずれか他方側における少なくとも一つの前記掃気出口31b、32bから前記燃焼作動室15に導入される混合気を前記燃焼作動室15を画成する壁面(前記ピストン20の上面20aを含む)に沿わせて流動させるための、断面山形状の案内壁部20bを設けるようにしてもよい。
このように、従来機のピストン20の上面20aに適宜の案内壁部20bを設けるだけでも、前記実施形態と略同様な作用効果が得られる。
本発明に係る2サイクル内燃エンジンの一実施形態の基本構造を示すピストン上死点時の縦断面図。 ピストンが下死点近くにあるときにおける、図1のII−II矢視断面図。 ピストンが下死点近くにあるときにおける、図1に対応する拡大縦断面図。 図1のIV−IV矢視断面図。 他の実施形態の説明に供される、ピストンが下死点近くにあるときにおける、図2に相当する図。 他の実施形態の説明に供される、図4に相当する図。 本発明の効果を検証すべく行った比較試験結果のうちの本発明機のシリンダ内圧力の時間履歴を示す図。 本発明の効果を検証すべく行った比較試験結果のうちの従来機のシリンダ内圧力の時間履歴を示す図。 本発明の効果を検証すべく行った比較試験結果のうちの本発明機のシリンダ内ピーク圧力の出現頻度を示すグラフ。 本発明の効果を検証すべく行った比較試験結果のうちの燃料消費率を示すグラフ。
符号の説明
1 2サイクル内燃エンジン
10a シリンダボア
15 燃焼作動室
15a 燃焼室部
17 点火プラグ
20 ピストン
20a 上面
20b 案内壁部
31、31 掃気通路
32’、32 掃気通路
31b、31b 掃気出口
32b’、32b 掃気出口
33 吸気口
34 排気口
55 気化器(混合気生成手段)
M 混合気

Claims (7)

  1. 掃気出口(31b、31b、32b’、32b)がシリンダボア(10a)に開口する、基本的には反転掃気式をとる左右一対又は複数対の掃気通路(31、31、32’、32)が設けられている2サイクル内燃エンジン(1)であって、
    ピストン(20)の下降行程において、前記掃気出口(31b、31b、32b’、32b)から前記ピストン(20)上方に形成される燃焼作動室(15)に導入される混合気(M)が、排気口(34)の開口面に対して略平行な面内で縦渦を生成するように構成されていることを特徴とする2サイクル内燃エンジン。
  2. 前記燃焼作動室(15)に導入される混合気(M)が、前記燃焼作動室(15)を画成する壁面に沿って旋回流動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の2サイクル内燃エンジン。
  3. 気化器等の混合気生成手段(55)を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の2サイクル内燃エンジン。
  4. 前記左右一対又は複数対の掃気通路(31、31、32’、32)のうちの左右いずれか一方側における少なくとも一つの前記掃気出口(32b’)から前記燃焼作動室(15)に導入される混合気(M)が、点火プラグ(17)が臨設された燃焼室部(15a)に向かい、かつ、前記左右一対又は複数対の掃気通路(31、31、32’、32)のうちの左右いずれか他方側における少なくとも一つの前記掃気出口(31b、32b)から前記燃焼作動室(15)に導入される混合気(M)が、前記ピストン(20)の上面(20a)に沿って流動するように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の2サイクル内燃エンジン。
  5. 前記左右一対又は複数対の掃気通路(31、31、32’、32)のうちの左右いずれか一方側における少なくとも一つ(32’)が、該掃気通路(32’)の掃気出口(32b’)から前記燃焼作動室(15)に導入される混合気(M)を前記燃焼室部(15a)に向かわせるように形成され、前記左右一対又は複数対の掃気通路(31、31、32’、32)のうちの左右いずれか他方側における少なくとも一つ(31、31)が、該掃気通路(31、31)の掃気出口(31b、32b)から前記燃焼作動室(15)に導入される混合気(M)を前記ピストン(20)の上面(20a)に沿わせて流動させるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の2サイクル内燃エンジン。
  6. 前記ピストン(20)の上面(20a)に、前記左右一対又は複数対の掃気通路(31、31、32、32)のうちの左右いずれか一方側における少なくとも一つの前記掃気出口(32b)から前記燃焼作動室(15)に導入される混合気(M)を前記燃焼室部(15a)に向かわせるとともに、前記左右一対又は複数対の掃気通路(31、31、32、32)のうちの左右いずれか他方側における少なくとも一つの前記掃気出口(31b、32b)から前記燃焼作動室(15)に導入される混合気(M)を、前記燃焼作動室(15)を画成する前記ピストン(20)の上面(20a)を含む壁面に沿わせて流動させるための、案内壁部(20b)が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の2サイクル内燃エンジン。
  7. 前記掃気通路が複数対(31、31、32、32)設けられ、それらの掃気通路(31、31、32、32)のうちの吸気口(33)側に位置するもの(32、32)の少なくとも一つが、該掃気通路(32)の掃気出口(32b)から前記燃焼作動室(15)に導入される混合気(M)を前記燃焼室部(15a)に向かわせるようにされていることを特徴とする請求項5又は6に記載の2サイクル内燃エンジン。
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