JP2006347982A - F−91636化合物及びその製造方法 - Google Patents

F−91636化合物及びその製造方法 Download PDF

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睦男 中島
Takahisa Ooyama
高央 大山
Michiko Miyazaki
道子 宮崎
Itsushin Tanaka
一新 田中
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Abstract

【課題】糸状菌培養液中から抗菌活性を有する新規化合物を見出し、その化合物を生産するアスペルギルス属に属する微生物を単離同定し、該微生物の培養物を用いた該化合物の製造法を提供する。
【解決手段】
下記式(I)で表される化合物又はその塩。
Figure 2006347982

【選択図】なし

Description

本発明は抗菌剤として有用な新規化合物F−91636A及びF−91636Bまたはそれらの塩、該化合物の製造方法、該化合物を生産する微生物、該化合物を含有する医薬等に関する。
従来、細菌感染症の予防および治療には各種ベータラクタム抗生物質、アミノ配糖体、マクロライド、グリコペプチド、キノロンなどが使われてきたが、最近これらの抗生物質に耐性を示す感染菌が増加しており(非特許文献1)、従来のタイプとは異なる抗生物質が渇望されている。
現在までにF−91636化合物と同様の炭素骨格を有する抗菌物質は知られていない。
ワルシュ(Walsh,C)著、「アンチバイオティクス:アクションズ・オリジンズ・レジスタンス(Antibiotics : actions, origins, resistance)」、アメリカン・ソサエティ・フォー・マイクロバイオロジー・プレス(American Society for Microbiology press)版、2003年
本発明者らは、糸状菌培養液中から抗菌活性を有する新規化合物F−91636A及びF−91636Bを見出し、該化合物を生産するアスペルギルス(Aspergllus)属に属する微生物を単離同定し、該微生物の培養物を用いた該化合物の製造方法を確立した。更に、該化合物が病原菌に対し抗菌活性を有することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下に示される化合物又はその塩に関する。
(1) 下記式(I)で表される化合物又はその塩。
Figure 2006347982

(2) 下記式(II)で表される化合物又はその塩。
Figure 2006347982

(3) 下記の1)乃至9)の物理化学的性質を示す化合物又はその塩:
1)性質:酸性、黄色粉末;
2)溶解性:ジメチルスルホキシド、メタノールに可溶;
3)分子式:C2724
4)分子量:492;
5)紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε)
メタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは、次の通りである。
398 (14400)、225 (45800);
6)赤外線吸収スペクトル(KBr):νmax cm−1
KBrディスク法で測定した赤外線吸収スペクトルは、次の通りである:
3398、1718、1626、1544、1517、1461、1404、1329、1311、1201、1108;
7) 1H−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
重メタノール溶液中で測定した核磁気共鳴スペクトル(500MHz)は、次の通りである。(TMSのシグナルを0.00 ppmとした。)
1.47 (3H, s), 1.76 (3H, dd, J=1.9, 7.0 Hz), 2.16 (3H, s), 2.17 (3H, s), 5.06 (1H, d, J=13.2), 5.09 (1H, d, J=13.2 Hz), 5.30 (1H, s), 5.83 (1H, dq, J=1.9, 15.4 Hz), 6.27 (1H, s), 6.29 (1H, s), 6.47 (1H, dq, J=7.0, 15.4 Hz)
8)13C−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
重メタノール溶液中で測定した核磁気共鳴スペクトル(125MHz)は、次の通りである。(重メタノールのシグナルを49.0 ppmとした。)
18.5, 23.3, 23.6, 24.8, 55.7, 65.3, 77.4, 105.3, 112.1, 114.1, 116.0, 116.4, 120.3, 125.8, 127.2, 128.4, 132.6, 133.3, 136.4, 141.4, 141.7, 146.1, 146.3, 155.7, 163.7, 194.5, 210.4
9)比旋光度;
[α]D 26 145° (c 1.0、メタノール)。

(4) 下記の1)乃至9)の物理化学的性質を示す化合物又はその塩:
1)性質:酸性、黄色粉末;
2)溶解性:ジメチルスルホキシド、メタノールに可溶;
3)分子式:C2726
4)分子量:494;
5)紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε)
メタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは、次の通りである。
367 (10200)、223 (44800);
6)赤外線吸収スペクトル(KBr):νmax cm−1
KBrディスク法で測定した赤外線吸収スペクトルは、次の通りである:
3408、1720、1614、1518、1461、1400、1315、1238、1223、1199、1107;
7) 1H−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
重メタノール溶液中で測定した核磁気共鳴スペクトル(500MHz)は、次の通りである。(TMSのシグナルを0.00 ppmとした。)
0.81 (3H, t, J=7.3 Hz), 1.46 (2H, sextet, J=7.3 Hz), 1.47 (3H, s), 2.13 (2H, t, J=7.3 Hz), 2.19 (3H, s), 2.20 (3H, s), 5.05 (1H, d, J=13.2), 5.09 (1H, d, J=13.2 Hz), 5.22 (1H, s), 6.28 (1H, s), 6.31 (1H, s)
8)13C−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
重メタノール溶液中で測定した核磁気共鳴スペクトル(125MHz)は、次の通りである。(重メタノールのシグナルを49.0 ppmとした。)
13.7, 21.2, 23.4, 23.7, 24.7, 36.8, 55.7, 65.5, 77.3, 103.5, 112.0, 113.9, 116.0, 116.4, 119.3, 127.1, 128.4, 132.7, 133.3, 141.4, 141.7, 146.2, 146.3, 155.3, 172.0, 194.7, 210.5
9)比旋光度;
[α]D 31 85° (c 1.0、メタノール)。
また、本発明は、以下にしめされる上記化合物の製造方法に関する。

(5) アスペルギルス(Aspergillus)属に属する(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の化合物の生産菌を培養し、その培養物より(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の化合物を回収することを特徴とする、(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の化合物の製造方法。
(6) アスペルギルス(Aspergillus)属に属する(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の化合物の生産菌がアスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor) SANK 21005株(FERM BP−10333)であることを特徴とする、(5)に記載の製造方法。
さらに、本発明は、以下に示される微生物に関する。

(7) アスペルギルス(Aspergillus)属に属する(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の化合物を生産する微生物。

(8) アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor) SANK 21005株(FERM BP−10333)である(7)に記載の微生物。
またさらに、本発明は以下に示される、上記化合物又はその塩を含有する医薬に関する。

(9) (1)乃至(4)のいずれか1項に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
(10) 感染症治療薬及び/または予防薬である(9)に記載の医薬。
本明細書において、「F−91636A」とは、上記式(I)で表される構造からなる化合物、又は、上記(3)に記載の物理化学的性質を有する化合物をいう。また、「F−91636B」とは、上記式(II)で表される構造からなる化合物、又は、上記(4)に記載の物理化学的性質を有する化合物をいう。本明細書では、F−91636AとF−91636Bを総称して「F−91636化合物」といい、また「本発明の化合物」と呼ぶこともある。
F−91636化合物は、種々の異性体を有する。本発明においては、これらの異性体がすべて単一の式で表されているが、ラセミ化合物等それらの異性体ならびにそれらの異性体の混合物も全てF−91636化合物に含まれる。立体特異的合成法、あるいは光学活性化合物を原料化合物とする合成法により、本発明の化合物の各異性体を直接製造することができる。また、先ず各異性体の混合物を製造し、次いで該混合物より所望の各異性体を公知の手法を用いて分離することができる。
F−91636化合物はフェノール性水酸基等を有し、当業者に周知の方法を用いて塩にすることができる。本発明には、このようなF−91636化合物の塩も包含される。F−91636化合物の塩としては特に限定はないが、医薬の有効成分として用いられる場合は薬理学的に許容される塩が選択される。また、F−91636化合物の塩が医薬以外の用途に用いられる場合、例えば中間体として使用される場合には、該用途に用いることのできるものであれば特に限定されない。F−91636化合物の塩としては、例えば、アンモニウム塩のような無機塩;ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニア塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;および、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、アスパラギン塩のようなアミノ酸塩を挙げることができる。F−91636化合物の好適な塩としては、薬理学的に許容される塩として好ましく使用されるもの、すなわち、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩等を挙げることができる。
また、F−91636化合物及び/又はその塩は溶剤和物になり得る。例えば、大気中での放置、再結晶などを経て、吸着水の付加、水和物化等が時に生じ得る。それらの溶剤和物も本発明に包含される。
さらに、本発明は、生体内において代謝されてF−91636化合物及び/又はその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグも全て包含する。
1.F−91636化合物生産菌
F−91636化合物を生産する微生物としては、F−91636化合物を生産する限り特に限定されるものではないが、例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属に属する糸状菌等を挙げることができ、好適にはアスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)であり、より好適にはアスペルギルス・ベルシコロル SANK 21005株(以下、単に「SANK 21005株」という。)である。SANK 21005株は、茨城県において採集した植物試料より分離された。
SANK 21005株をクリックの文献(Klich, M. A. 2002. Identification of common Aspergillus species. The Centraalbureau voor Schimmelcultures, Utrecht)に従い、4種類の培地(CYA培地、MEA培地、CY20S培地、CZ培地)に接種して、菌学的性状を観察した。4種類の培地(CYA培地、MEA培地、CY20S培地、CZ培地)の組成は以下の通りである。
[CYA培地{ザペックイーストアガー(Czapek Yeast Extract Agar) 培地}]
(KHPO 1.0 g、*ザペック濃縮液 10 ml、イーストエキス 5 g、シュークロース 30 g、寒天 15 g、蒸留水 1000 ml)
*ザペック濃縮液(NaNO 30 g、KCl 5 g、MgSO・7HO 5 g、FeSO・7HO 0.1 g、ZnSO・7HO 0.1 g、CuSO・5HO 0.05 g、蒸留水 100 ml)
[MEA培地{モルトエキスアガー(Malt Extract Agar)培地}]
(モルトエキス 20 g、ペプトン 1 g、グルコース 20 g、寒天 20 g、蒸留水 1000 ml)
[CY20S培地{20%シュークロースザペックイーストアガー(Czapek Yeast Extract Agar with 20% Sucrose)培地}]
(KHPO 1.0 g、*ザペック濃縮液 10 ml、イーストエキス 5 g、シュークロース 200 g、寒天 15 g、蒸留水 1000 ml)
[CZ培地{ザペックドックスアガー(Czapek Dox Agar)培地}]
(*ザペック濃縮液 10 ml、KHPO 1.0 g、シュークロース 30 g、寒天 17.5 g、蒸留水 1000 ml)。
色調の表示は「メチューン・ハンドブック・オブ・カラー」 (Kornerup, A. & Wanscher, J. H. 1978. Methuen handbook of colour (3rd. edition). Erye Methuen, London)に従った。

菌学的性状
CYA培地上でのコロニーは、25℃、7日の培養で直径22−24 mmである。コロニーは放射状と同心円状の溝を有する。分生子形成は培養10日目以降に旺盛で、分生子形成部はビロード状、ダルグリーン(27D4)からグレイッシュグリーン(26E6)を呈する。菌糸体は白色を呈する。浸出液が観察され、無色である。菌核や可溶性色素は観察されない。裏面はペールイエロー(3A3)を呈する。
MEA培地上でのコロニーは、25℃、7日の培養で直径14−15 mmである。分生子形成部はビロード状、グレイッシュグリーン(27D5−26E6)を呈する。菌糸体は目立たない。浸出液は観察されない。裏面はライトイエロー(4A5)を呈する。
CY20S培地上でのコロニーは、25℃、7日の培養で直径29−30 mmである。分生子形成部はビロード状、グレイッシュグリーン(28E5)を呈する。浸出液は観察されない。裏面はペールイエロー(4A3)を呈し、ペールレッド(8A3)の可溶性色素が観察される。
CZ培地上でのコロニーは、25℃、7日の培養で直径9−16 mmである。分生子形成部はグレイッシュグリーン(27B3)で気菌糸が多い。裏面はペールレッド(8A3)を呈する。37℃では生育しない。分生子頭は放射状である。分生子柄は400−600 × 5−7 μm、平滑、無色である。頂のうは幅10−16 μm、洋なし形からへら形である。アスペルジラは二列である。メトレは4−5.5 × 3−5 μm、頂のうの全体に形成される。フィアライドは4−5 × 2−3 μmである。矮小な分生子頭が多く形成され、ペニシリ形である。分生子は直径2−3 μm、球形から亜球形、微細な粗面である。ヒューレ細胞を有し、直径12−18 μmである。
以上の菌学的性状より、本菌に該当する菌を検索したところ、クリックの文献(Klich, M. A. 2002. Identification of common Aspergillus species. The Centralbureau vor Schimmelcultures, Utrecht)に記載されているアスペルギルス・ベルシコロルの性状に、ほぼ一致した。よって、SANK 21005株をアスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)と同定した。なお、SANK 21005株は、アスペルギルス・ベルシコロル SANK 21005株として、2005年5月11日付で日本国茨城県つくば市東1−1−1の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託され、受託番号 FERM BP−10333を付与された。
2.培養
周知の通り、真菌類は自然界において、または人工的な操作(例えば、紫外線照射、放射線照射、化学薬品処理等)により、変異を起こしやすく、本発明の提供するSANK 21005株も同様である。本発明において、SANK 21005株は、F−91636化合物を生産する性質を有する限り、その全ての変異株を包含する。また、これらの変異株の中には、遺伝的方法、たとえば組み換え、形質導入、形質転換等によりえられたものも包含される。即ち、F−91636化合物を生産する限り、SANK 21005株、それらの変異株およびそれらと明確に区別されない菌株は、全てSANK 21005株に包含される。
F−91636化合物の製造を目的とした該化合物生産菌の培養は、通常発酵生成物を生産するために使用される培地を用いて行うことができる。このような培地には、微生物が同化し得る炭素源、窒素源および無機塩が含まれる。
炭素源としては、グルコース、フルクトース、マルトース、シュークロース、マンニトール、グリセリン、デキストリン、澱粉、オート麦、ライ麦、ジャガイモ、トウモロコシ粉、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸等を単一に、あるいは併用して用いることができる。培地の炭素源含量は、通常、培地量の1乃至10重量%で変量する。
窒素源としては、蛋白質若しくはその加水分解物を含有する物質又は無機塩を用い、大豆粉、フスマ、落花生粉、綿実油、カゼイン加水分解物、ファーマミン、魚粉、コーンスチープリカー、ペプトン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マルトエキス、ゼラチン、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等を例示することができる。これらの窒素を単一であるいは併用して培地に含有せしめる場合の量は、通常培地量の0.2乃至10重量%の範囲で変量する。
栄養無機塩としては、ナトリウム、アンモニウム、カルシウム、フォスフェート、サルフェート、クロライド、カーボネート等のイオンを得ることのできる通常の塩類を広く用いることができる。カリウム、カルシウム、コバルト、マンガン、鉄、マグネシウム等の金属も培地に微量含まれ得る。
液体培養に際しては、シリコン油、植物油、界面活性剤等が、消泡剤として使用される。
F−91636化合物の製造を目的として該化合物生産菌を液体培養する際の液体培地のpHは、特に限定されるものではないが、通常4.0乃至7.0である。
F−91636化合物生産菌の生育温度は、特に限定されるものではないが、通常15乃至35℃であり、好適には20乃至33℃である。また、F−91636化合物の製造を目的として該化合物生産菌を培養する際の温度は、特に限定されないが、通常20乃至33℃であり、好適には20℃乃至26℃である。F−91636化合物の製造を目的としてSANK 21005株を培養する際のより好適な温度は、23℃である。
F−91636化合物は、該化合物生産菌を好気的な条件下で培養することにより製造することができる。好気的条件下の培養方法としては、通常当該分野において使用される好気的培養方法であれば特に限定されないが、例えば、固体培養法、振とう培養法、通気攪拌培養法等を挙げることができる。
F−91636化合物を比較的大量に製造するための該化合物生産菌の培養は、通常、小規模な培養から開始し、段階的に培養規模を拡大することが好ましい。まず、少量の種培地を用いた前培養から初め、段階的に培養の規模を拡大し、多量の栄養培地に必要量の前培養液を接種することにより本培養を行うことができる。例えば、SANK 21005株のスラントから、少量の種培地を入れた三角フラスコへ該株を接種し、23℃にて数日間振盪培養を行い、該株を十分成長させる。必要に応じ、該前培養の規模を段階的に拡大した後、得られた培養物の全量又は必要量を栄養培地へ接種し、本培養を行う。
F−91636化合物生産菌を大量に培養するに際し、攪拌機又は通気装置を有するタンクを使用すれば、本培養用の栄養培地をタンクの中で調製し、滅菌することが可能であり好ましい。通常、栄養培地の滅菌温度は121℃であり、滅菌後培地が十分冷却してから前培養物を接種し、前述の温度にて通気攪拌培養を行う。
3.F−91636化合物の回収
培養終了後、珪藻土等を助剤とするろ過操作又は遠心分離操作により、培養物を可溶性画分(培養上清)および不溶性画分(菌体)に分別し、次いで得られた各画分中に存在するF−91636化合物を、その物理化学的性状を利用して通常用いられる手法により抽出精製することによってF−91636化合物を回収することができる。例えば、以下のような分離精製操作を挙げることができる。
前述の培養により得られるF−91636化合物生産菌の培養上清を、n−ブタノール、酢酸エチルなど水と混和しない有機溶媒の1つ又は2つ以上と混合し、得られた有機層画分からF−91636化合物を精製することができる。
得られた有機層画分を、各種吸着用樹脂を用いたクロマトグラフィーに供することができる。吸着剤としては、活性炭、アンバーライトXAD−2、XAD−4(以上ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオンHP−10、HP−20、HP−50、CHP20P(以上三菱化学(株)社製)等を挙げることができる。前記の有機層画分をこれらの吸着剤と接触させてF−91636化合物を吸着せしめた後、メタノール水、アセトン水等の含水溶媒を用いて所望のF−91636化合物を溶出することにより、F−91636化合物含有画分を得ることができる。反対に、前記の有機画分を、不純物を吸着させる目的で通常用いられる公知の吸着剤と接触させて不純物を吸着せしめ、所望のF−91636化合物を素通り画分中に回収することによりF−91636化合物含有画分を得ることもできる。
得られたF−91636化合物含有画分を、イオン交換クロマトグラフィーに供することができる。イオン交換樹脂としては、ダウエックス 50Wx4、ダウエックス1x2、ダウエックス SBR−P(以上、ダウ・ケミカル社製)等を挙げることができる。F−91636化合物含有画分をイオン交換樹脂と接触させてF−91636化合物を吸着せしめた後、塩酸、アンモニア等の溶媒を用いて所望のF−91636化合物を溶出することができる。反対に、前記の抽出物をこれらのイオン交換樹脂と接触させて不純物を吸着せしめ、所望のF−91636化合物を素通り画分中に回収することもできる。
得られたF−91636化合物含有画分を、さらに、シリカゲル、マグネシウム−シリカゲル系のフロリジル等の担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、TSKゲルトヨパールHW−40F(登録商標、トーソー(株)社製)、セファデックスLH−20(登録商標、アマシャムバイオサイエンス社製)等を用いた分配カラムクロマトグラフィー、コスモシル140C18(登録商標、ナカライテスク社製)等を用いた逆相カラムクロマトグラフィー、順相もしくは逆相カラムを用いたHPLC等により精製し、所望のF−91636化合物を単離することができる。該精製工程において、前記のカラム分離又はクロマトグラフィー操作は単独で用いることもできるし、二つ以上の操作を組み合わせて用いてもよい。
本発明のF−91636化合物を精製する際の、各精製工程における該物質の挙動は、例えば、次の条件によるHPLCにより追跡することができる。
[F−91636化合物を検出するためのHPLCの条件]
分離カラム: SunFire C18(5 μm、φ4.6 × 150 mm: Waters社製)
移動相: アセトニトリル:0.3%トリエチルアミンリン酸緩衝液(pH3)=4:6
流速: 1.0 ml/分
検出波長: 254 nm
保持時間: F−91636A:5.5分、F−91636B:6.2分。
4.F−91636化合物の作用
本発明は、F−91636化合物又はその塩を含むことからなる医薬組成物、並びに、該物質を有効成分として含有する細菌感染症の治療又は予防剤を提供する。
本発明のF−91636化合物又はその塩は、医薬としてヒト又はヒト以外の動物に投与されるに際し、種々の形態をとり得る。その投与形態は、製剤、年齢、性別、疾患等に依存する。例えば、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤等は経口投与される。注射剤等は静脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与又は腹腔内投与される。坐剤は直腸内投与される。軟膏等は外用剤として使用される。
F−91636化合物を有効成分として含有する医薬製剤は、常法に従い、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解剤、矯味矯臭剤、コーティング剤等、医薬製剤分野において通常使用し得る公知の補助剤を用いて製造することができる。
錠剤の形態に成形するに際しては、担体として当該分野で公知のものを広く使用することができ、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、珪酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、澱粉等の保湿剤、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状珪酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を挙げることができる。錠剤は、必要に応じ、通常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多重錠とすることができる。
丸剤の形態に成形するに際しては、担体として当該分野で公知のものを広く使用することができ、例えば、ブドウ糖、乳糖、澱粉、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤を挙げることができる。
注射剤として調製される場合、液剤及び懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であることが好ましく、これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に形成するに際しては、希釈剤として当該分野において公知のものを広く使用することができ、例えば、水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エポキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。等張を維持するために充分な量の食塩、ブドウ糖又はグリセリンを含有せしめてもよい。溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤糖、着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤、他の薬剤等を含有せしめてもよい。
なお、注射剤を静脈内投与する場合、単独で、ブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して、又は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等とのエマルジョンとして投与される。
坐剤の形態に成形するに際しては、担体として当該分野で公知のものを広く使用することができ、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。
軟膏等の外用剤の形態に成形するに際しては、賦型剤として、疎水性基剤(油脂性軟膏基剤)、吸水基剤、親水性基剤(クリーム)ならびに水溶性基剤(非グリース製軟膏基剤)のいずれか一つに属する、当該分野で公知のものを広く使用することができる。
上述の医薬製剤に含有せしめるF−91636化合物又はその塩の量は、特に限定されないが、上限は30乃至70重量%、下限は1重量%であり、好適な範囲は1乃至30重量%である。
F−91636化合物又はその塩の投与量は、症状、年齢、体重、投与方法、剤形等に依存するが、通常成人に対して1日当たり投与するF−91636化合物又はその塩の量は、上限が100乃至1000 mg、下限が1乃至10 mgであり、好適な範囲は10乃至100 mgである。
F−91636化合物又はその塩の投与回数は、数日に1回、1日1回、又は1日複数回である。
本発明の提供するF−91636化合物は抗菌作用を示し、該化合物又はその塩を有効成分として含有する医薬は各種細菌感染症の予防薬または治療薬として有用である。
次に、実施例、試験例、製剤例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1).F−91636化合物生産菌の培養
アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)SANK 21005株を培地組成−2で示される種培地30 mlを含む100 ml容三角フラスコ1本に、スラントより接種し、回転振盪培養機を用いて、210 rpm、23℃で96時間培養したものを前培養液とした。次いで、培地組成−2で示される栄養培地50 mlを300 ml容三角フラスコ25本に入れ、121℃で20分間加熱滅菌した。これを23℃に冷却した後、各三角フラスコに前培養液約1 mlを接種し、回転数210 rpm、23℃で168時間振盪することにより本培養を行った。
[培地組成−1]
可溶性澱粉 2.0 %
グリセリン 3.0 %
グルコース 3.0 %
大豆粉 1.0 %
ゼラチン 0.25 %
イーストエキス 0.25 %
NHNO 0.25 %
寒天 0.3 %
消泡剤CB−442 0.005 %
(滅菌前のpH6.5)

[培地組成−2]
培地組成−1の組成から寒天を除いたもの。
(実施例2).F−91636化合物の単離
実施例1で得られた培養物1 lを遠心分離操作により、培養物を可溶性画分(培養上清)および不溶性画分(菌体)に分別した。得られた菌体500 mlにアセトン500 mlを加えて抽出した後、これを遠心分離してアセトン抽出液を得た。このアセトン抽出液を減圧下濃縮してアセトンを留去後、培養上清と合わせて1.5 lとした。この合併液をpH3.0に調整後、1.5 lの酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水して脱脂綿でろ過後、減圧下濃縮乾固して、F−91636化合物を含む抽出物4.5 gを得た。
次いで、コスモシルカラム・クロマトグラフィーを行った。すなわち、前記抽出物4.5 gに20 mlのMeOHで溶解後、10 gのコスモシル(Cosmosil 75C18−OPN)を加え均一とした後、懸濁液を減圧下濃縮してメタノールを留去し、吸着せしめた。ここにメタノール:0.3%トリエチルアミンリン酸緩衝液(pH3)=3:7、10 mlを加え再懸濁した後、予めアセトニトリル:0.3%トリエチルアミンリン酸緩衝液(pH3)=3:7で平衡化したコスモシルカラム(Cosmosil 75C18−OPN、容積400 ml)に付した。該カラムを、メタノール:0.3%トリエチルアミンリン酸緩衝液(pH3)=3:7(1.5 l)で洗浄した後、アセトニトリル:0.3%トリエチルアミンリン酸緩衝液(pH3)=4:6(1.5 l)を用いてF−91636化合物を溶出させ回収した。得られたF−91636化合物含有画分を減圧下で濃縮することによりアセトニトリルを留去後、900 mlの酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水した。それを脱脂綿でろ過後、減圧下濃縮乾固して、F−91636化合物を含む部分精製物2.3 gを得た。
この部分精製物をHPLCカラム(Cosmosil 5C18−AR φ20×250 mm:ナカライテスク社製)で分離した。部分精製物500 mgをアセトニトリル:0.3%トリエチルアミンリン酸緩衝液(pH3)=3:7、4 mlに溶解したものを試料溶液とした。この試料溶液200 μlを、あらかじめアセトニトリル:0.3%トリエチルアミンリン酸緩衝液(pH3)=3:7で平衡化したカラムに注入後、アセトニトリル:0.3%トリエチルアミンリン酸緩衝液(pH3)=3:7を溶媒として、流速15 ml/分で溶出した。検出波長210 nmで溶出液をモニターし保持時間29.5から32.0分までに溶出されるF−91636A含有画分と36.5分から38.5分までに溶出されるF−91636B含有画分を分取した。残りの試料溶液についても同様の操作を行い、750 mlのF−91636A含有画分と600 mlのF−91636B含有画分を得た。減圧下濃縮してアセトニトリルを留去後、500 mlの酢酸エチルで2回抽出し、その抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水した。それを脱脂綿でろ過後、減圧下濃縮乾固して、F−91636Aを含む黄色粉末53 mgとF−91636Bを含む黄色粉末35 mgとを得た。このF−91636Aを含む部分精製物をHPLCカラム(Waters SYMMETRY C18 φ19×100mm:Waters社製)で分離した。部分精製物53 mgをアセトニトリル:メタノール:水=6:3:11.0.5 mlに溶解したものを試料溶液とした。この試料溶液100 μlを、あらかじめアセトニトリル:メタノール:水=6:3:11で平衡化したカラムに注入後、アセトニトリル:メタノール:水=6:3:11を溶媒として、流速15 ml/分で溶出した。検出波長210 nmで溶出液をモニターし、保持時間14.0から18.0分までの溶出液を分取した。残りの試料溶液についても同様の操作を行い、F−91636A含有画分600 mlを得た。減圧下濃縮してアセトニトリルを留去後、300 mlの酢酸エチルで2回抽出した。その抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水した。それを脱脂綿でろ過後、減圧下濃縮乾固して、F−91636Aの黄色粉末37 mgを得た。F−91636Bを含む部分精製物35 mgをアセトニトリル:メタノール:水=6:3:11.0.2 mlに溶解したものを試料溶液とし同一条件で分離し、保持時間17.0から21.5分までの溶出液を分取し、F−91636B含有画分135 mlを得た。減圧下濃縮してアセトニトリルを留去後、70 mlの酢酸エチルで2回抽出した。その抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水した。それを脱脂綿でろ過後、減圧下濃縮乾固して、F−91636Bの黄色粉末10 mgを得た。
(試験例1).抗菌作用
一般グラム陽性および陰性細菌に対するF−91636化合物の最小発育阻止濃度(MIC)の測定は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)FDA209P JC−1株(以降S.aureus209P株と略記)および大腸菌(Escherichia coli)K12 MG1655 ΔtolC株(以降ΔtolC株と略記)を被検菌として、以下のブロス希釈法で行った。F−91636化合物をジメチルスルフィド:メタノール:水(1:1:2)に溶解して得られた2.5 mg/mlの検体溶液を、順次ジメチルスルフィド:メタノール:水(1:1:2)にて2倍希釈し、9段階の希釈液を調製した。被検菌S.aureus209P株をトリプトソイブイヨン(TSB)培地(栄研化学社製)にて37℃、一夜前培養した。又、ΔtolC株をLuria−Bertani(LB)培地(和光純薬工業社製)にて37℃、一夜前培養した。試験当日、得られた菌液を、TSBまたはLBを用いて2000倍に希釈し、その菌液190 μlに検体溶液10 μlを加え、37℃、20時間培養した後、MICを判定した。
結果を表1に示す。
[表1]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
被検菌 最小阻止濃度(MIC)(μg/ml)
F−91636A F−91636B
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
S.aureus 209P株 62.5 62.5
ΔtolC 62.5 31.3
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(製剤例).F−91636化合物含有経口カプセル剤
―――――――――――――――――――――――――――――――
F−91636化合物 30 mg
乳糖 170 mg
トウモロコシ澱粉 150 mg
ステアリン酸マグネシウム 2 mg
―――――――――――――――――――――――――――――――
合計 352 mg
―――――――――――――――――――――――――――――――
上記処方の粉末を混合し、60メッシュのふるいに通した後、この粉末をゼラチンカプセルに入れ、カプセル剤とする。

Claims (10)

  1. 下記式(I)で表される化合物又はその塩。
    Figure 2006347982

  2. 下記式(II)で表される化合物又はその塩。
    Figure 2006347982

  3. 下記の1)乃至9)の物理化学的性質を示す化合物又はその塩:
    1)性質:酸性、黄色粉末;
    2)溶解性:ジメチルスルホキシド、メタノールに可溶;
    3)分子式:C2724
    4)分子量:492(ESI−TOFMSスペクトルにより決定);
    5)紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε)
    メタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは、次の通りである。
    398 (14400)、225 (45800);
    6)赤外線吸収スペクトル(KBr):νmax cm−1
    KBrディスク法で測定した赤外線吸収スペクトルは、次の通りである:
    3398、1718、1626、1544、1517、1461、1404、1329、1311、1201、1108;
    7) 1H−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
    重メタノール溶液中で測定した核磁気共鳴スペクトル(500MHz)は、次の通りである。(TMSのシグナルを0.00 ppmとした。)
    1.47 (3H, s), 1.76 (3H, dd, J=1.9, 7.0 Hz), 2.16 (3H, s), 2.17 (3H, s), 5.06 (1H, d, J=13.2), 5.09 (1H, d, J=13.2 Hz), 5.30 (1H, s), 5.83 (1H, dq, J=1.9, 15.4 Hz), 6.27 (1H, s), 6.29 (1H, s), 6.47 (1H, dq, J=7.0, 15.4 Hz)
    8)13C−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
    重メタノール溶液中で測定した核磁気共鳴スペクトル(125MHz)は、次の通りである。(重メタノールのシグナルを49.0 ppmとした。)
    18.5, 23.3, 23.6, 24.8, 55.7, 65.3, 77.4, 105.3, 112.1, 114.1, 116.0, 116.4, 120.3, 125.8, 127.2, 128.4, 132.6, 133.3, 136.4, 141.4, 141.7, 146.1, 146.3, 155.7, 163.7, 194.5, 210.4
    9)比旋光度;
    [α]D 26 145° (c 1.0、メタノール)。
  4. 下記の1)乃至9)の物理化学的性質を示す化合物又はその塩:
    1)性質:酸性、黄色粉末;
    2)溶解性:ジメチルスルホキシド、メタノールに可溶;
    3)分子式:C2726
    4)分子量:494(ESI−TOFMSスペクトルにより決定);
    5)紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε)
    メタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは、次の通りである。
    367 (10200)、223 (44800);
    6)赤外線吸収スペクトル(KBr):νmax cm−1
    KBrディスク法で測定した赤外線吸収スペクトルは、次の通りである:
    3408、1720、1614、1518、1461、1400、1315、1238、1223、1199、1107;
    7) 1H−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
    重メタノール溶液中で測定した核磁気共鳴スペクトル(500MHz)は、次の通りである。(TMSのシグナルを0.00 ppmとした。)
    0.81 (3H, t, J=7.3 Hz), 1.46 (2H, sextet, J=7.3 Hz), 1.47 (3H, s), 2.13 (2H, t, J=7.3 Hz), 2.19 (3H, s), 2.20 (3H, s), 5.05 (1H, d, J=13.2), 5.09 (1H, d, J=13.2 Hz), 5.22 (1H, s), 6.28 (1H, s), 6.31 (1H, s)
    8)13C−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
    重メタノール溶液中で測定した核磁気共鳴スペクトル(125MHz)は、次の通りである。(重メタノールのシグナルを49.0 ppmとした。)
    13.7, 21.2, 23.4, 23.7, 24.7, 36.8, 55.7, 65.5, 77.3, 103.5, 112.0, 113.9, 116.0, 116.4, 119.3, 127.1, 128.4, 132.7, 133.3, 141.4, 141.7, 146.2, 146.3, 155.3, 172.0, 194.7, 210.5
    9)比旋光度;
    [α]D 31 85° (c 1.0、メタノール)。
  5. アスペルギルス(Aspergillus)属に属する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物の生産菌を培養し、その培養物より請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物を回収することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物の製造方法。
  6. アスペルギルス(Aspergillus)属に属する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物の生産菌がアスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor) SANK 21005株(FERM BP−10333)であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
  7. アスペルギルス(Aspergillus)属に属する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物を生産する微生物。
  8. アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor) SANK 21005株(FERM BP−10333)である請求項7に記載の微生物。
  9. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
  10. 感染症治療薬及び/または予防薬である請求項9に記載の医薬。
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