JP2006342250A - メタライジング用アンカーコート剤および積層体 - Google Patents

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浩史 藤田
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秀樹 合田
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Abstract

【課題】 プラスチックフィルム等の基材上に組成のバラツキが少ない無機層を形成でき、しかもガスバリア性、防湿性、透明性、耐熱性が優れ、かつ基材と無機層との密着性に優れた積層体を与えることのできるメタライジング用アンカーコート剤を提供すること。
【解決手段】 カルボキシル基不含有オレフィン系不飽和化合物(a1)とカルボキシル基含有オレフィン系化合物(a2)を重合させて得られるカルボキシル基含有共重合体(A)、および特定の構造を有するエポキシ化合物(b1)とメトキシシラン部分縮合物(b2)との脱メタノール反応によって得られるグリシジル基含有メトキシシラン部分縮合物(B)を、開環エステル反応させてなるメトキシ基含有シラン変性重合体(1)、ならびに有機溶剤(2)を含有することを特徴とするメタライジング用アンカーコート剤を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、メトキシ基含有シラン変性重合体を含有するメタライジング用アンカーコート剤および積層体に関する。
従来、アルミニウムなどの金属層またはシリカ、アルミナなどのセラミック層(以下、併せて無機層と称する)を基材上に形成する方法(メタライジング方法と総称する)として、真空蒸着、レーザアブレーション、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理的気相成長法(PVD);、熱CVD、光CVD、プラズマCVD等の化学的気相成長法(CVD);無電解メッキ法などが知られている。
上記メタライジング法を適用した機能性材料が各種用途に利用されている。例えば、前記の無機層を有する積層体は、医薬や食品などの包装材料、ガスまたは水蒸気バリヤーフィルム、電子部品やELなど素子の保護、自動車用の各種の内外装部品、エアコンハウジング、携帯電話、ノートパソコンなどの家電製品、プリント基板など、各種メッキ製品など多岐の用途に適用されている。
代表的な金属積層体であるアルミ蒸着フィルムは、食品などの包装材料として賞用されているが、基材との密着性が必ずしも満足しうるものではないため、例えば、アルミ蒸着フィルムをレトルト殺菌処理すると、デラミ現象が生じたり、蒸着部が熱水により酸化されて光沢低下や白化するなどの問題があった。これを解決するために、基材とアルミ層の間にアンカーコート層を介在させる方法、基材自体を修飾・変性する方法、アルミ層の上に保護コート樹脂を設けるなどの検討がなされているが、いずれも満足しうるものではない。
また、シリカ、アルミナなどのセラミック層を有する積層体では、該層の組成上のバラツキや、透明性、ガスバリア性、防湿性等の性能上のバラツキが大きい傾向があり、実用面で改善余地がある。
また、プラスチックなどの非導電性材料に、金属光沢を付与する方法として、プラスチックメッキ技術が知られている。プラスチックメッキは、プラスチック基材表面を無電解メッキで導電化した後、電気メッキする方法である。無電解メッキ法では、通常、基材の前処理の第一段階として、クロム酸等の強酸化性薬品もしくは強アルカリ性薬品による化学的な表面粗化、またはブラスト処理等の機械的な表面粗化等による投錨効果によって、非導電性材料とメッキ層との密着性を向上させる方法が採られている。また、前記のようなクロム酸など有害な物質を使用せず、銀鏡反応を利用した方法も知られている。
しかし、当該基材とメッキ層との密着性は不十分であるため、無電解メッキの前処理として、下地塗料を基材に塗布し、当該密着性を向上させる試みもなされている。
上記のように、いずれのメタライジング方法においても固有の問題点があるため、各種メタライジング方法に適用可能であり、且つ基材と無機層との密着性などの諸性能を簡易に改善できる新規方法の開発が切望されている。
本発明は、上記従来の欠点を解決するものであり、その目的とすることは、プラスチックフィルム等の基材上に組成のバラツキが少ない無機層を形成でき、しかもガスバリア性、防湿性、透明性、耐熱性が優れ、かつ基材と無機層との密着性に優れた積層体を与えることのできるメタライジング用アンカーコート剤を提供すること、および該基材上に該メタライジング用アンカーコート剤からなる層と無機層とが設けられてなる前記諸特性を有する積層体を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定の重合化合物を特定のメトキシシラン化合物で変性してなるメトキシ基含有シラン変性重合体と有機溶剤とを必須構成成分とする樹脂組成物を用いることにより、前記目的に合致したメタライジング用アンカーコート剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、カルボキシル基不含有オレフィン系不飽和化合物(a1)とカルボキシル基含有オレフィン系化合物(a2)を重合させて得られるカルボキシル基含有共重合体(A)、および一般式(1):
Figure 2006342250
(式中、Xは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)で表されるエポキシ化合物(b1)とメトキシシラン部分縮合物(b2)との脱メタノール反応によって得られるグリシジル基含有メトキシシラン部分縮合物(B)を、開環エステル反応させてなるメトキシ基含有シラン変性重合体(1)、ならびに有機溶剤(2)を含有することを特徴とするメタライジング用アンカーコート剤に関する。また本発明は、プラスチック基材上に、該メタライジング用アンカーコート剤からなる層と金属層又はセラミック層とを設けたことを特徴とする積層体に関する。
本発明のメタライジング用アンカーコート剤によれば、プラスチック基材上に金属層またはセラミック層(以下、無機層と総称することがある)を、組成のバラツキを小さく形成させることができ、またガスバリア性、防湿性、透明性、耐熱性が優れ、かつ基材と無機層との密着性に優れた積層体を提供できる。
本発明において、「メタライジング」とは、前記の無機層を形成させることをいう。当該無機層を形成させるには、例えば物理的気相形成法(PVD法)、化学的気相形成法(CVD法)があり、また金属層を形成させる方法であるメッキ法も含まれる。
本発明のメトキシ基含有シラン変性重合体(以下、本変性重合体(1)という)を構成するカルボキシ基含有共重合体(A)(以下、共重合体(A)という)としては、カルボキシル基不含有オレフィン系不飽和化合物(a1)(以下、モノマー成分(a1)という)とカルボキシル基含有オレフィン系化合物(a2)(以下、モノマー成分(a2)という)を必須構成成分とし、これら成分を重合させて得られる共重合体であればよく、当該モノマー成分の種類や使用割合については格別限定されない。また、共重合体(A)は、これらモノマー成分からなるランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。共重合体(A)の構成は、後述するエポキシ化合物(b1)(以下、成分(b1)という)とメトキシシラン部分縮合物(b2)(以下、成分(b2)という)との脱メタノール反応によって得られるグリシジル基含有メトキシシラン部分縮合物(B)(以下、縮合物(B)という)との反応性や、得られる本変性重合体(1)の硬化膜の諸性能を考慮して、適宜に決定できる。
より具体的には、共重合体(A)は、本変性重合体(1)の硬化膜の性能を考慮して、共重合体(A)のガラス転移点(Tg)が−10〜100℃になるよう構成するのがよい。Tgが−10℃未満では硬化膜にタックが生じやすくなり、また100℃を超えると硬化膜が割れやすくなる。従って、共重合体(A)がランダム共重合体である場合は、そのTgが前記範囲内であれば、構成単量体の種類は格別限定されない。
共重合体(A)の構成モノマー成分(a1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、C8−22直鎖脂肪族アルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマー;エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、酢酸ビニルなどのビニル系モノマーなどが挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
また、共重合体(A)の構成モノマー成分(a2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等を挙げることができる。モノマー成分(a2)の使用割合は、共重合体(A)の酸価が10〜150mgKOH/gになるように調整するのが好ましい。酸価が150mgKOH/gを超えると硬化膜の耐水性が低下し、また10mgKOH/g未満では、得られる本変性重合体(1)の硬化膜中に生じるシリカの割合が低くなる傾向がある。
共重合体(A)の製造は、従来公知のランダム共重合法やブロック共重合法を採用して、上記の各構成成分を重合させることにより行う。ランダム共重合法としては、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物や2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾビス系化合物などのラジカル重合開始剤を用いた溶液重合法があげられ、またブロック共重合法としては、異なる性質のポリマーを直鎖状に結合した直鎖状ブロック共重合体と、幹となるポリマーに異なる性質のポリマーが枝状に結合した櫛形ブロック共重合体を製造する方法などがあげられる。
直鎖状ブロック共重合体は、リビングラジカル重合法により、またはラジカル発生温度の異なるパーオキシド基を少なくとも2つ有する開始剤を用いる方法により製造できる。パーオキシド基を少なくとも2つ有する開始剤としては、例えば、日本油脂(株)製の商品名「パーヘキサMC」、「パーヘキサHMC」、「パーテトラA」などの開始剤を挙げることができる。
櫛形共重合体の製造方法としては、(メタ)アクリロイル基などのラジカル重合性に優れたエチレン性不飽和基をポリマー鎖の末端に導入されたマクロモノマーの単独重合、または当該マクロマーと他のエチレン性不飽和単量体とを共重合する方法がある(特公昭43−11224号公報参照)。
更に完全なブロック共重合とは言えないが、通常のラジカル重合性の開始剤を用い、モノマーの添加を2段階で行うこともできる。本発明では、これらいずれの方法を用いても、目的とする共重合体(A)を製造することができるが、アンカーコート層の透明性などが要求される場合には、ランダム共重合法を用いるほうが好ましい。
共重合体(A)の分子量は、特に限定されないが、通常は数平均分子量が5,000〜200,000程度であるのが好ましい。数平均分子量が5,000未満では硬化膜に割れを生じやすく、また200,000を超えるとカルボキシル基含有重合化合物(A)の溶液粘度が上がり、得られる本変性重合体(1)の固形分量が低下するため、いずれも好ましくない。
なお、共重合体(A)の製造時に、分子量の調整目的で、従来公知の連鎖移動剤を使用することもできる。当該連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のチオール類や、トリメトキシシリルチオール等のチオール基含有のシランカップリング剤があげられる。
共重合体(A)の製造において、重合温度及び時間は特に限定されず、用いるラジカル開始剤のラジカル発生温度、半減期によって適宜決定される。また共重合体(A)の製造時の重合熱を制御するためには、有機溶剤中で重合させることが好ましい。当該有機溶剤としては、モノマー成分(a1)および(a2)に対して非反応性であり、得られる共重合体(A)を溶解でき、且つ重合温度より高い沸点を有するものであれば、特に限定されず使用できる。なお、重合温度より低い沸点を有するものを併用しても差し支えはないが、ラジカル開始剤のラジカル発生温度より高い沸点を有する当該有機溶剤を70重量%以上使用することが好ましい。当該有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、MIBK、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;セロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジメチルジグリコール等のセロソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール溶剤などがあげられ、これらは単独または適宜に混合して使用できる。
本発明で使用される縮合物(B)は、一般式(1):
Figure 2006342250
(式中、Xは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)で表される成分(b1)という)と成分(b2)とを脱メタノール反応させて得られるものである。
成分(b1)としては、例えば、グリシドール、3,4−エポキシ−1−ブタノール、4,5−エポキシ−1−プロパノール、5,6−エポキシ−1−ヘキサノール、7,8−エポキシ−1−オクタノールなどが挙げられる。
成分(b2)としては、一般式(2):RSi(OCH4−m
(式中、mは0または1の整数を示し、Rは炭素数8以下のアルキル基またはアリール基を示す。)
で表される加水分解性メトキシシランモノマーを、酸または塩基触媒、および水の存在下で加水分解させ、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
成分(b2)の構成原料である加水分解性メトキシシランモノマーの具体的としては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のテトラ又はトリメトキシシラン類等が挙げられ、これらは単独または適宜に混合して使用できる。通常、これらのなかでも、特に成分(b1)との反応性が高いことから、テトラメトキシシランおよび/またはメチルトリメトキシシランから合成された部分縮合物が好ましい。
成分(b2)の数平均分子量は230〜2,000程度、1分子中のSiの平均個数は2〜11程度であることが好ましい。Siの平均個数が2未満であると、成分(b1)との脱メタノール反応の際、反応せずにアルコールと一緒に系外に流出するメトキシシラン類の量が増え、またSiの平均個数が11を超えると、得られる縮合物(B)の共重合体(A)に対する反応性が低下し、目的とする本変性重合体(1)が得られにくい。
本発明で用いる縮合物(B)は、前記のように、成分(b1)と成分(b2)を脱メタノール反応させることにより得られる。当該各成分の使用割合は、メトキシ基が実質的に残存するような割合であれば特に制限されないが、得られる縮合物(B)中のグリシジル基の割合が、通常は、成分(b1)中の水酸基の当量/成分(b2)中のメトキシ基の当量=0.01/1〜0.5/1となる仕込み比率とするのが好ましい。前記仕込み比率が少なくなるとエポキシ変性されていないメトキシシラン部分縮合物の割合が増加するため、得られる本変性重合体(1)の硬化膜が不透明化する傾向があるため、前記仕込み比率は、0.03以上/1とするのがより好ましい。また、前記仕込み比率が大きくなると、得られる縮合物(B)のグリシジル基が多官能化し、本変性重合体(1)の合成時にゲル化しやすくなるため、前記仕込み比率は、0.4以下/1とするのがより好ましい。
成分(b1)と成分(b2)との脱メタノール反応は、例えば、前記各成分を仕込み、加熱し、生成するメタノールを留去しながら進行させればよい。反応温度は50〜150℃程度、好ましくは70〜110℃であり、全反応時間は1〜15時間程度である。なお、110℃を超える温度で脱メタノール反応させると、過度の縮合が起こり易くなり、得られる縮合物(B)の高粘度化やゲル化の傾向があるが、このような場合には、脱メタノール反応を反応途中で停止させるなどの方法により高粘度化やゲル化を防止できる。
また、成分(b1)と成分(b2)との脱メタノール反応に際しては、反応促進のために従来公知のエステルと水酸基のエステル交換触媒の内、エポキシ環を開環しないものを使用することができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガン、ビスマスのような金属や、これら酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、メトキシド等があげられる。これらのなかでも、特に有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫などが有効である。
また、上記反応は溶剤中で行うこともできる。溶剤としては、成分(b1)と成分(b2)を溶解し、且つ成分(b1)のグリシジル基に対して不活性なものであれば、特に限定されない。このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトンなどの溶媒を用いるのが好ましい。
本発明の目的物である本変性重合体(1)は、前記共重合体(A)と前記縮合物(B)とを開環エステル反応させて得られる。共重合体(A)と縮合物(B)の使用割合は、格別限定されないが、(縮合物(B)中のグリシジル基の当量)/(共重合体(A)中のカルボキシル基の当量)が0.5〜10の範囲とするのが好ましい。上記数値が0.5未満であると本発明の効果が得られにくく、10を超えると本変性重合体(1)の硬化膜が不透明になる場合があるため好ましくない。
本変性重合体(1)の製造は、例えば、前記各成分を仕込み、実質的に無水状態で加熱して反応を行う。本反応は共重合体(A)中のカルボキシル基と、縮合物(B)中のグリシジル基との反応を主目的にしており、本反応中においては縮合物(B)中のメトキシシリル部位のゾル−ゲル反応によるシリカの生成を抑える必要がある。そのため反応温度は50〜120℃程度、好ましくは60〜100℃であり、全反応時間は1〜30時間程度で行うのが好ましい。
また、上記の開環エステル反応に際しては、反応促進のために従来公知の開環エステル化触媒を使用することができる。例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などを挙げることができる。該触媒は共重合体(A)の換算固形残分100重量部に対し、0.01〜5重量部の割合で使用するのが好ましい。
なお、上記反応は、有機溶剤中で行うことが好ましい。有機溶剤としては、共重合体(A)および縮合物(B)に対して非反応性であり、且つこれらを溶解できる溶剤であれば、特に限定はされない。このような有機溶剤としては、例えば、共重合体(A)や縮合物(B)の製造時に使用しうる溶剤を例示できる。
こうして得られた本変性重合体(1)は、その分子中にメトキシシラン部分縮合物(B)に由来するメトキシ基を有している。当該メトキシ基の含有量は、特に限定はされないが、このメトキシ基は溶剤の蒸発や加熱処理により、または水分(湿気)との反応により、ゾル−ゲル反応や脱アルコール縮合して、相互に結合した硬化物を形成するのに必要であるため、本変性重合体(1)は通常、メトキシシラン部分縮合物のメトキシ基の50〜95モル%程度、好ましくは60〜90モル%を未反応のままで保持しておくのがよい。
本変性重合体(1)から得られる硬化物は、前記成分(b2)に由来する部位がゲル化して生じた微細なシリカ部位(シロキサン結合の高次網目構造)を有するものである。また本変性重合体(1)は、共重合体(A)中のカルボキシル基が縮合物(B)によりシラン変性されてなる化合物を主成分とするが、本変性重合体(1)中には未反応のまま残存する共重合体(A)、成分(b2)、縮合物(B)や、当該反応に使用した溶剤や触媒が含有されていてもよい。なお、未反応の成分(b2)や縮合物(B)は、硬化時に、加水分解、重縮合によりシリカ硬化し、本変性重合体(1)と一体化する。
前記のようにして得られる本変性重合体(1)を用いて本発明のメタライジング用アンカーコート剤を調製するには、アンカーコート剤組成物に対する本変性重合体(1)の固形分含有率が通常、2〜20重量%程度となるよう有機溶剤(2)を配合する。有機溶剤(2)としては、共重合体(A)や縮合物(B)を製造する際に使用したと同様のものを挙げることができる。また、本発明のメタライジング用アンカーコート剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤、表面処理剤、難燃剤、溶剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、着色剤、安定剤、カップリング剤等の配合成分を使用しうる。
本発明のメタライジング用アンカーコート剤の粘度は、その用途に応じて適宜に調整でき、通常は25℃で5〜2,000mPa・s程度とされる。また、本発明のメタライジング用アンカーコート剤に対しては、本変性重合体(1)の合成時に用いた成分(b2)や平均粒子径が100nm以下の微粒子無機充填剤(いわゆるナノフィラー)を配合することにより、得られる硬化膜の表面硬度や耐熱性を一層向上させることができる。なお平均粒子径が100nmを超える充填剤を配合した場合には、硬化膜の透明性が低下する傾向がある。上記のように配合される成分(b2)やナノフィラーは、本変性重合体(1)の硬化時に、当該重合体(1)と同様に加水分解、重縮合し、本変性重合体(1)として一体化してシリカ部位を形成する。本発明のメタライジング用アンカーコート剤を塗布・硬化させることにより、得られる硬化膜中には、本変性重合体(1)、未反応の成分(b2)や部分縮合物(B)、微粒子充填剤などに由来するシリカ部位が形成される。本発明のメタライジング用アンカーコート剤においては、得られる硬化膜中における、シリカ部位の割合が3〜50重量%程度になるように調整することが好ましい。前記割合が3重量%未満では本発明の特徴が十分には発現しない場合があり、50重量%を超えると硬化時に塗膜に割れを生じる場合がある。ここで硬化残分とは、メタライジング用アンカーコート剤中の溶剤成分が蒸発し、且つ、上記のゾル−ゲル反応や脱アルコール縮合を完了して生じる硬化物の重量割合である。
また、本変性重合体(1)のメトキシシリル部位を硬化させる際、加水分解、重縮合を促進するために、本発明のメタライジング用アンカーコート剤中に、少量の水や、有機錫、有機酸錫系触媒を含有させてもよい。またメタライジング用アンカーコート剤は、従来公知の水酸基やカルボキシル基と反応し得る潜在性硬化剤を混合しても構わない。このような潜在性硬化剤としては、メラミン系、ブロックイソシアネート系、エポキシ系硬化剤が挙げられる。またこれらの潜在性硬化剤の使用量は硬化膜中に20重量%以内であることが好ましい。
(アンカーコート層の作製)
アンカーコート層を作製するには、本発明のメタライジング用アンカーコート剤を所定のプラスチック基材に塗工する工程が採用される。該プラスチック基材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、エポキシ樹脂、ABS,SBR等が挙げられる。これらのプラスチック基材の形状については特に限定されず、例えばフィルム、各種成型物などを適宜に選択使用できる。該基材に本発明のメタライジング用アンカーコート剤を塗布する方法としては、格別限定はされず、プラスチック基材の形状によってスプレーコート、ダイコート、ナイフコート、グラビアコート等の公知各種方法を採用できる。
アンカーコート層の厚みは特に限定されないが、通常は0.1μm程度以上、10μm程度以下であるのが好ましい。0.1μm未満では、基材フィルムおよび金属薄膜層に対する密着強度が十分とならない傾向があり、また10μmを越えると、例えば真空蒸着により金属薄膜層を形成させる際に蒸着層に微細なクラックが発生したり、得られる金属薄膜層の外観が低下したりする場合がある。また、包装材として用いる場合、膜厚が0.1μm未満であれば、ガスバリア性が低下することがある。
該アンカーコート層の乾燥および硬化条件は、プラスチック基材が熱軟化しない温度範囲であれば特に制限はなく、アンカーコート層の膜厚によって表面タックが無くなることを目安に決定すればよい。通常、70〜150℃程度で1〜10分程度の条件で乾燥・硬化するのが好ましい。
(無機層の作製)
前記アンカーコート層が形成された積層体には、アンカーコート層の上に金属やセラミックから構成される無機層が形成され、本発明の積層体となる。無機層の形成方法としては、特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相形成法(PVD法)、各種の化学的気相形成法(CVD法)、さらには湿式メッキ法の何れもが適用でき、各種用途に応じて好適なメタライジング法を選択できる。
前記無機層を形成する材料としては、シリカ、アルミナ、ITO(インジウム錫酸化物)、ATO(アンチモン錫酸化物)などの無機酸化物、窒化珪素などの無機窒化物、更には酸化珪素と酸化アルミニウムとの混合物質などが挙げられる。なお、本発明の積層体は、アンカーコート層と無機層の2層構造にとどまらず、この繰り返しによる多層構造としてもよい。上記各種の気相形成法(蒸着法)では、該無機材料を分子状やクラスター状にして空間を飛ばし、フィルム上に積層させて行う。該無機層の形成により、ガスバリア性、耐汚染性、耐傷つき性に優れた透明な積層フィルムを得ることができる。
また、前記アンカーコート層の上に金属層を形成させるには、蒸着法とメッキ法を適宜選択して採用できる。前記金属層を形成する材料としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、金、銀、白金、錫、鉛、コバルト、タングステン、モリブテン、パラジウム及びこれらの合金が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記メッキ法としては、電解メッキと湿式メッキ(無電解メッキ)が採用できる。湿式メッキ法では、触媒となる金属を基材の表面及び内壁に析出させ、次いで目的とする金属を無電解メッキ法で析出させてメッキを施す方法である。得られる積層体を、例えばプリント基板等に用いる場合には、電解メッキ法を採用するのが好ましい。
本発明の積層体において、無機層の厚みは限定されず、当該層の形成方法に応じて適宜に決定すればよい。一般的には、蒸着膜では5nm〜3μm程度、好ましくは50nm〜1μm、さらに好ましくは100nm〜500nmである。湿式メッキ法では0.1μm〜100μm程度、好ましくは0.1μm〜20μm、さらに好ましくは0.1μm〜10μmである。
こうして得られた積層体は、さらにヒートシール層を設けることにより袋状の食品等の包装材として用いられたり、粘着剤層、接着剤層を設けてシール、ラベルとしたり、タグとして利用することもできる。また、フィルム−アンカーコート剤層間に印刷層や他の中間層を設けることもできる。
前記各種の方法で得られる本発明の積層体は、食品などの包装材料、ガスまたは水蒸気バリヤーフィルム、電子部品やELなど素子の保護、自動車用の各種の内外装部品、エアコンハウジング、携帯電話、ノートパソコンなどの家電製品、プリント基板など、各種メッキ製品に利用できる。
以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、各例中、%は特記なし限り重量基準である。
製造例1(カルボキシル基含有共重合体(A)の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み口を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトン923gを仕込み、90℃まで加熱した。ついで、メタクリル酸ブチル212g、アクリル酸ブチル170g、メタクリル酸42.5g、ジt−ブチルパーオキシド6.38gからなる混合液を滴下ロートより1時間かけて滴下した。滴下終了後、系内を120℃まで昇温し、同温度で7時間反応させ、カルボキシル基含有共重合体(A1)を得た。
製造例2(カルボキシル基含有共重合体(A)の製造)
製造例1で用いたと同様の反応装置に、メチルイソブチルケトン509gを仕込み、90℃まで加熱した。ついで、メタクリル酸ブチル46.9g、メタクリル酸メチル170g、メタクリル酸17.6g、ジt−ブチルパーオキシド3.52gからなる混合液を滴下ロートより1時間かけて滴下した。滴下終了後、120℃まで昇温し、同温度で8時間反応させ、カルボキシル基含有共重合体(A2)を得た。
製造例3(カルボキシル基含有共重合体(A)の製造)
製造例1で用いたと同様の反応装置に、メチルイソブチルケトン2410gを仕込み、90℃まで加熱した。ついで、スチレン990g、メタクリル酸110g、ジt−ブチルパーオキシド33gからなる混合液を滴下ロートより1時間かけて滴下した。滴下終了後、120℃まで昇温し、同温度で12時間反応させ、カルボキシル基含有共重合体(A3)を得た。
製造例4(グリシジル基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)の製造)
攪拌機、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、グリシドール(日本油脂(株)製,商品名エピオールOH)257gおよびテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製,商品名メチルシリケート51、Siの平均個数が4)1640gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温後、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.37gを加え、90℃で反応させた。反応中、メタノールを反応系内から分水器を使って留去し、その量が、約90gに達した時点で、冷却した。昇温後冷却までに要した時間は6時間であった。50℃に冷却後、窒素吹き込み栓と分水器を取り去り、減圧ラインを繋いで、13kPaで約15分間、系内に残存するメタノールを減圧によって除去した。この間、減圧によって約20gのメタノールが除去された。その後、フラスコを室温まで冷却し、グリシジル基含有アルコキシシラン部分縮合物(B1)を得た。
製造例5(グリシジル基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)の製造)
製造例4で用いたと同様の反応装置に、グリシドール100gおよびメチルトリメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製,商品名MTMS−A、Siの平均個数が3.2)451gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温後、触媒としてトリエチルアミン0.03g、ジブチル錫ジラウレート0.14gを加え、100℃で反応させた。反応中、メタノールを反応系内から分水器を使って留去し、その量が、約50gに達した時点で、冷却し、グリシジル基含有アルコキシシラン部分縮合物(B2)を得た。
実施例1(メタライジング用アンカーコート剤の製造)
製造例1で得たカルボキシル基含有共重合体(A1)の全量を用い、系内温度を90℃にした。ついで、メチルイソブチルケトン261g、メタノール121g、製造例4で得たグリシジル基含有アルコキシシラン部分縮合物(B1)228g、および2−メチルイミダゾール0.28gを加え、同温度で7時間反応を行い、メタライジング用アンカーコート剤(1)を得た。
実施例2(メタライジング用アンカーコート剤の製造)
製造例1で得たカルボキシル基含有共重合体(A1)の全量を用い、系内温度を90℃にした。ついで、メチルイソブチルケトン261g、メタノール121g、製造例5で得たグリシジル基含有アルコキシシラン部分縮合物(B2)167g、および2−メチルイミダゾール0.28gを加え、同温度で9時間反応を行い、メタライジング用アンカーコート剤(2)を得た。
実施例3(メタライジング用アンカーコート剤の製造)
製造例2で得たカルボキシル基含有共重合体(A2)の全量を用い、系内温度を90℃にした。ついで、メチルイソブチルケトン144g、メタノール50.8g、製造例4で得たグリシジル基含有アルコキシシラン部分縮合物(B1)69.1g、および2−メチルイミダゾール0.15gを加え、同温度で10時間反応を行い、メタライジング用アンカーコート剤(3)を得た。
実施例4(メタライジング用アンカーコート剤の製造)
製造例2で得たカルボキシル基含有共重合体(A2)の全量を用い、系内温度を90℃にした。ついで、メチルイソブチルケトン143g、メタノール64.9g、製造例5で得たグリシジル基含有アルコキシシラン部分縮合物(B2)94.6g、および2−メチルイミダゾール0.15gを加え、同温度で11時間反応を行い、メタライジング用アンカーコート剤(4)を得た。
実施例5(メタライジング用アンカーコート剤の製造)
製造例3で得たカルボキシル基含有共重合体(A3)の全量を用い、系内温度を90℃にした。ついで、メチルイソブチルケトン709g、メタノール170g、製造例4で得たグリシジル基含有アルコキシシラン部分縮合物(B1)331g、および2−メチルイミダゾール0.70gを加え、同温度で7時間反応を行い、メタライジング用アンカーコート剤(5)を得た。
比較例1(比較用メタライジング用アンカーコート剤)
製造例1で得たカルボキシル基含有共重合体(A1)をそのまま用いた。
比較例2(比較用メタライジング用アンカーコート剤)
製造例2で得たカルボキシル基含有共重合体(A2)をそのまま用いた。
実施例1〜4及び比較例1、2で得られたメタライジング用アンカーコート剤を各種プラスチックフィルム上に、それぞれ乾燥膜厚5μmになるように塗工し、100℃で30分間熱風乾燥させた。当該硬化膜につき、碁盤目セロハンテープ剥離試験(JIS K−5400)を行い、以下の基準で判定した。評価結果を表1に示す。
○:100/100、△:(99〜80)/100、×:79未満/100
Figure 2006342250
表1中、PET:ポリエチレンテレフタレート、PC:ポリカーボネート、
PP:ポリプロピレン、PES:ポリエーテルスルホン を示す。
表1からも明らかなように、各実施例に記載の本発明のメタライジング用アンカーコート剤は、プラスチック基材への密着性については、比較例1より格段に優れ、また比較例2と同等である。
実施例6(積層体の作製:真空蒸着法)
メタライジング用アンカーコート剤(1)をポリプロピレンフィルム上に、乾燥膜厚5μmになるように塗工し、80℃で30分間熱風乾燥した。得られたアンカーコート剤塗布フィルムに、真空蒸着法によりアルミ薄膜を200nm形成し、積層体を得た。蒸発源には純度5N5の純アルミを用い、真空度は1×10−2Pa以下の真空中で、前記の純アルミを加熱蒸発させた。
実施例7(積層体の作製:イオンビームスパッタリング法)
実施例6と同様にして得られたアンカーコート剤塗布フィルムに、イオンビームスパッタリング法によりアルミ薄膜を200nm形成し、積層体を得た。このとき、フィルムは無酸素銅製のホルダーに固定し、水冷プレート上にターゲットに対向して設置した。ターゲットには純度5N5の純アルミを用い、スパッタガスには高純度アルゴンを用いた。到達真空度は1×10−4Pa以下、成膜中の真空度は5×1×10−2Paとした。フィラメント電流は3A、放電電流、電圧はそれぞれ、0.67A、38V、アルゴンイオンのビーム電流、電圧はそれぞれ25mA、1000Vとした。
実施例8(積層体の作製:マグネトロンスパッタリング法)
メタライジング用アンカーコート剤(4)をPETフィルム上に、乾燥膜厚5μmになるように塗工し、120℃で30分間熱風乾燥した。得られたアンカーコート剤塗布フィルムにマグネトロンスパッタリング法によりITO薄膜を200nm形成し、積層体を得た。フィルムは無酸素銅製のホルダーに固定し、水冷プレート上にターゲットに対向して設置した。ターゲットには粉末焼結ITOターゲットを用い、スパッタガスには高純度アルゴンと酸素の混合ガスを用いた。
実施例9(積層体の作製:高周波スパッタリング法)
メタライジング用アンカーコート剤(4)をPESフィルム上に、乾燥膜厚5μmになるように塗工し、120℃で30分間熱風乾燥した。得られたアンカーコート剤塗布フィルムに、高周波スパッタリング法により、窒化珪素膜60nmを形成し、積層体を得た。成膜は、シリコンターゲット、または窒化珪素粉末焼結ターゲットを用いて、アルゴン窒素混合ガス中にて行った。
実施例10(積層体の作製:湿式銀メッキ法)
メタライジング用アンカーコート剤(4)をABS試験片上に、乾燥膜厚5μmになるように塗工し、120℃で30分間熱風乾燥した。表面に0.2%塩化第一スズ水溶液を塗布した後、水洗した。水洗後の試験片にアンモニア性硝酸銀水溶液((株)アドバンス製、商品名「SX−A」)および還元剤水溶液((株)アドバンス製、商品名「SX-B」および「SX-C」の1:1混合液)を同時にスプレー塗布することによって、銀メッキ層を形成させ、残留分を水洗除去することにより、銀メッキ処理試験片(メッキ膜厚さ200nm)を得た。
実施例11(積層体の作製:湿式銅メッキ法)
メタライジング用アンカーコート剤(4)をABS試験片上に、乾燥膜厚5μmになるように塗工し、パラジウム触媒溶液で処理した後、無電解銅メッキを施し厚さ0.5μmの銅メッキ層を形成させた。更に電気銅メッキを施し、厚さ20μmの銅メッキ層を持つ銅メッキ試験片を得た。
比較例3(比較用積層体の作製)
実施例6と同様にして得られたアンカーコート剤塗布フィルムをポリプロピレンフィルムに変えた他は、実施例7と同じイオンビームスパッタリング法にてアルミ蒸着(厚さ200nm)を実施し、アルミ蒸着フィルムを得た。
比較例4(比較用積層体の作製)
メタライジング用アンカーコート剤(4)を塗工しない他は、ABS試験片に実施例10と同じ方法にて銀メッキ(厚さ200nm)を実施し、銅メッキ試験片を得た。
比較例5(比較用積層体の作製)
メタライジング用アンカーコート剤(4)を塗工しない他は、ABS試験片に実施例11と同じ方法にて銅メッキ(厚さ20μm)を実施し、銅メッキ試験片を得た。
上記実施例6、7、10、11および比較例3〜5で得た、アルミ蒸着フィルムの密着性、耐熱性および耐湿性を評価した。結果を表2に示す。
密着性:碁盤目セロハンテープ剥離試験(JIS K−5400)
○:100/100、△:(99〜80)/100、×:79未満/100
耐熱性:80℃のホットプレートにアルミ蒸着したフィルムを蒸着面が上になるように乗せ、蒸着面を布で擦った。
○:剥がれない、△:一部が剥がれた、×:大部分が剥がれた
耐湿性:60℃、湿度90%にて24時間放置後、密着性の低下を測定した。判定は密着性と同じ評価を行った。
Figure 2006342250
上記結果から明らかなように、プラスチック基材および無機層のいずれに対しても密着性に優れ、かつ耐熱性、耐湿性に優れたメタライジング用アンカーコート剤が得られる。

Claims (12)

  1. カルボキシル基不含有オレフィン系不飽和化合物(a1)とカルボキシル基含有オレフィン系化合物(a2)を重合させて得られるカルボキシル基含有共重合体(A)、および一般式(1):
    Figure 2006342250
    (式中、Xは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)で表されるエポキシ化合物(b1)とメトキシシラン部分縮合物(b2)との脱メタノール反応によって得られるグリシジル基含有メトキシシラン部分縮合物(B)を、開環エステル反応させてなるメトキシ基含有シラン変性重合体(1)、ならびに有機溶剤(2)を含有することを特徴とするメタライジング用アンカーコート剤。
  2. 前記オレフィン系不飽和化合物(a1)がアクリル系モノマー、スチレン系モノマーおよびビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のメタライジング用アンカーコート剤。
  3. 前記オレフィン系化合物(a2)がアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載のメタライジング用アンカーコート剤。
  4. カルボキシル基含有共重合体(A)の酸価が10〜150mgKOH/gである請求項1〜3のいずれかに記載のメタライジング用アンカーコート剤。
  5. カルボキシル基含有共重合体(A)の数平均分子量が5,000〜200,000である請求項1〜4のいずれかに記載のメタライジング用アンカーコート剤。
  6. エポキシ化合物(b1)がグリシドール、3,4−エポキシ−1−ブタノール、4,5−エポキシ−1−プロパノール、5,6−エポキシ−1−ヘキサノール、7,8−エポキシ−1−オクタノールのいずれか少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載のメタライジング用アンカーコート剤。
  7. メトキシシラン部分縮合物(b2)がテトラメトキシシランおよび/またはトリメトキシシランから得られるものである請求項1〜6のいずれかに記載のメタライジング用アンカーコート剤。
  8. グリシジル基含有メトキシシラン部分縮合物(B)におけるエポキシ化合物(b1)とメトキシシラン部分縮合物(b2)の仕込み比率が、エポキシ化合物(b1)中の水酸基の当量/成分(b2)中のメトキシ基の当量=0.01/1〜0.5/1である請求項1〜7のいずれかに記載のメタライジング用アンカーコート剤。
  9. グリシジル基含有メトキシシラン部分縮合物(B)とカルボキシル基含有共重合体(A)の使用割合が、該縮合物(B)中のグリシジル基の当量)/該共重合体(A)中のカルボキシル基の当量=0.5〜10である請求項1〜8のいずれかに記載のメタライジング用アンカーコート剤。
  10. プラスチック基材上に、請求項1〜9のいずれかに記載の当該メタライジング用アンカーコート剤からなる層と金属層又はセラミック層とを設けたことを特徴とする積層体。
  11. プラスチック基材の上に前記メタライジング用アンカーコート剤を塗工し加熱硬化させてアンカーコート層を形成させ、次いで気相形成法、湿式メッキ法から選ばれる少なくとも1種のメタライジング法で金属またはセラミック層を設けた請求項10に記載の積層体。
  12. プラスチック基材上のアンカーコート層が0.1〜10μmの膜厚である請求項11記載の積層体。
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