JP2006341204A - 近赤外線遮蔽体の製造方法、およびディスプレイ用板状体 - Google Patents

近赤外線遮蔽体の製造方法、およびディスプレイ用板状体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高温高湿な使用条件下における近赤外線吸収特性の経時劣化が抑制された、透光性の高い近赤外線遮蔽体およびそれをもちいたディスプレイ用板状体を提供する。
【解決手段】基材と、前記基材の一方の主面上に配置された近赤外線吸収層とを備えた近赤外線遮蔽体の製造方法であって、1種以上の近赤外線吸収化合物と溶媒とバインダー樹脂とを含む塗料を塗布することにより、前記近赤外線吸収層を形成する、近赤外線吸収層形成工程を含み、前記溶媒は、前記1種以上の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が0.01重量%以上1.5重量%未満の貧溶媒と、前記1種以上の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が1.5重量%以上の良溶媒とを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、近赤外線遮蔽体の製造方法、およびこの製造方法により作製された近赤外線遮蔽体を用いたディスプレイ用板状体(例えば、ディスプレイ用前面板)に関する。
近年、大型テレビをはじめとする種々の電子機器の表示パネルとして、プラズマディスプレイパネル(PDP)の需要が増大している。PDPにおいては、2枚のガラス板の間にキセノンとネオンとを含む混合ガスが封入されている。この混合ガスに高電圧をかけると紫外線が発生し、紫外線がガラス板に塗布された蛍光体にあたって、蛍光体が発光する。
しかし、この時、紫外線以外に、波長850nm〜1100nmの近赤外線や電磁波等も発生する。この近赤外線の波長領域は、近赤外線通信や電子機器のリモートコントロールに使用される波長領域と重複するため、PDPにおける近赤外線の発生が、電子機器の誤作動を引き起こす原因になる。そこで、PDPの前面板に、近赤外線を吸収する近赤外線遮蔽体を設けて、この近赤外線を吸収している。
この近赤外線遮蔽体の一例として、例えば、基材上に近赤外線吸収化合物を含む近赤外線吸収層が配置された構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。近赤外線吸収層は、近赤外線吸収化合物とバインダー樹脂と所定の有機溶媒とを含む塗料を基材上に塗布することにより形成される。しかし、上記有機溶媒として、バインダー樹脂の溶解度が高い有機溶媒を用いると、近赤外線吸収化合物の解離が進行しやすい。その結果、近赤外線吸収化合物を構成するイオン対間の結合力が弱まった状態で、近赤外線吸収化合物がバインダー樹脂に固定されるので、得られる近赤外線吸収層の近赤外線吸収能が低下してしまう。また、イオン対間の結合力が弱まった状態で近赤外線吸収化合物がバインダー樹脂に固定されると、近赤外線吸収特性の経時的な劣化の程度が大きくなる。特に、イオン結合性化合物および金属錯体化合物を近赤外線化合物として用いた場合、異なる化合物間で塩交換反応等が進行し、近赤外線吸収特性の経時的な劣化が顕著となる。更に、高温高湿等の条件下において近赤外線遮蔽体を長時間使用する場合には、近赤外線吸収特性の経時的な劣化はより顕著となる。
そこで、近赤外線吸収能が高く、かつ近赤外線吸収特性の経時劣化が抑制された近赤外線吸収層を得るための手段の一つとして、近赤外線吸収化合物の溶解度が低い有機溶媒を用いることが知られている。この場合、近赤外線吸収化合物の微粒子は、塗料に含まれる樹脂中において分散されることとなる(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−21715号公報 特開2001−19898号公報
しかし、この場合、近赤外線吸収化合物の微粒子により光の散乱が生じる。可視波長域において高い透光性が求められる用途では、上記光の散乱に起因して生じる近赤外線吸収層のHaze値の上昇が、問題となる。
本発明は、高温高湿な使用条件下における近赤外線吸収特性の経時劣化が抑制され、透光性の高い近赤外線遮蔽体を提供可能とする、近赤外線遮蔽体の製造方法を提供する。
本発明の近赤外線遮蔽体の製造方法は、基材と、前記基材の一方の主面上に配置された近赤外線吸収層とを備えた近赤外線遮蔽体の製造方法であって、1種以上の近赤外線吸収化合物と溶媒とバインダー樹脂とを含む塗料を塗布することにより、前記近赤外線吸収層を形成する、近赤外線吸収層形成工程を含み、前記溶媒は、前記1種以上の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が0.01重量%以上1.5重量%未満の貧溶媒と、前記1種以上の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が1.5重量%以上の良溶媒とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、高温高湿な使用条件下における近赤外線吸収特性の経時劣化が抑制された、透光性の高い近赤外線遮蔽体を提供できる。
以下に、本発明を図面を用いてより詳細に説明する。
(実施形態1)
実施形態1では、本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法の一例を説明する。図1は、本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法の一例によって製造される近赤外線遮蔽体の一例の断面図である。図1に示した近赤外線遮蔽体は、基材1と、基材1の一方の主面上に配置された近赤外線吸収層2から構成されている。
本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法は、1種以上の近赤外線吸収化合物と溶媒とバインダー樹脂とを含む塗料を、基材1の一方の主面に塗布することにより、近赤外線吸収層を形成する、近赤外線吸収層形成工程を含む。上記溶媒は、1種以上の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が0.01重量%以上1.5重量%未満の貧溶媒と、1種以上の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が1.5重量%以上の良溶媒とを含んでいる。
本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法では、塗料を構成する溶媒として、上記貧溶媒と上記良溶媒とを含む混合溶媒を用いているので、溶媒が良溶媒のみからなる場合よりも、近赤外線吸収化合物の解離を抑制でき、溶媒が貧溶媒からなる場合よりも、近赤外線吸収化合物の微粒子による光の散乱を抑制できる。よって、後述する実施例に示すように、本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法により作製された近赤外線遮蔽体は、高温高湿な使用条件下における近赤外線吸収特性の経時劣化が抑制されており、透光性が高い。
基材1については、透光性を有する材料で形成されていれば、その形状や製造方法等について特に制限はない。基材1には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン酸系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂等の樹脂を、フィルム状又はシート状に加工したものを用いることができる。
上記樹脂をフィルム状又はシート状に加工する方法としては、例えば、押し出し成形、カレンダー成形、圧縮成形、射出成形、上記樹脂を溶剤に溶解させてキャスティングする方法等が挙げられる。基材1の厚さは、通常10μm〜500μm程度である。なお、上記樹脂には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤等の添加剤が添加されていてもよい。
塗料に含まれる近赤外線吸収化合物は、波長領域850nm以上1100nm以下に最大吸収波長を有する化合物であれば、その構造等について特に制限はない。近赤外線吸収化合物には、例えば、アミニウム系、アゾ系、アジン系、アントラキノン系、インジゴイド系、オキサジン系、キノフタロニン系、スクワリウム系、スチルベン系、トリフェニルメタン系、ナフトキノン系、ジイモニウム系、フタロシアニン系、シアニン系等の有機色素化合物を用いることができる。
塗料には、2種以上の近赤外線吸収化合物が含まれていてもよい。この場合、2種以上の近赤外線吸収化合物から選ばれる2種以上の近赤外線吸収化合物について、互いに最大吸収波長が相違していると好ましい。最大吸収波長が相違する2種以上の近赤外線吸収化合物を用いれば、1種の近赤外線吸収化合物を用いる場合よりも、近赤外線波長領域(850nm〜1100nm)のうちの、より広い波長域の光を吸収できるからである。近赤外線波長領域(850nm〜1100nm)の光をほぼ全て吸収可能なように、最大吸収波長が相違する2種以上の近赤外線吸収化合物を用いれば、より好ましい。
塗料を構成する溶媒が良溶媒のみからなると、イオン結合性化合物または金属錯体化合物である近赤外線吸収化合物は、塗料中(バインダー樹脂中)において、解離し易い状態となる。塗料に2種以上の近赤外線吸収化合物が含まれている場合には、異種の近赤外線吸収化合物間で塩交換反応等が生じ、近赤外線吸収能が低下するという問題が生じる。しかし、本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法では、良溶媒と貧溶媒とを含む混合溶媒を用いているので、溶媒が良溶媒からなる場合よりも、近赤外線吸収化合物の解離を抑制でき、異種の近赤外線吸収化合物間の塩交換反応等に起因する近赤外線吸収能の低下を抑制できる。
2種以上の近赤外線吸収化合物の組み合わせは、例えば、ジイモニウム系化合物(イオン結合性化合物)とフタロシアニン系化合物(金属錯体化合物)、シアニン系化合物(イオン結合性化合物)とフタロシアニン系化合物(金属錯体化合物)などが挙げられる。
塗料における近赤外線吸収化合物の含有量について特に制限はないが、例えば、バインダー樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上15重量部以下であると好ましい。また、2種以上の近赤外線吸収化合物を組み合わせて用いる場合、各近赤外線吸収化合物は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上5.0重量部以下であると好ましい。
塗料に含まれるバインダー樹脂について、透光性を有していれば特に制限はないが、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース、ポリブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。また、これらの樹脂を2種以上ブレンドしたポリマーブレンドをバインダー樹脂としても用いてもよい。
バインダー樹脂には、近赤外線吸収化合物との相溶性が良いものを用いると好ましい。近赤外線吸収化合物をバインダー樹脂に強く固定でき、近赤外線吸収層の耐熱性を向上させることができるからである。
また、バインダー樹脂として、ガラス転移温度が80℃以上の樹脂を用いると好ましい。近赤外線吸収化合物が樹脂に強く固定化された状態を保つことができ、近赤外線吸収層の耐熱性を向上させることができるからである。また、疎水性成分を含む樹脂(例えば、イソボニルを含む共重合体など)と、ガラス転移温度が80℃以上の樹脂とを併用すれば、近赤外線吸収層の耐熱性および耐湿性を向上させることができるので、より一層好ましい。
塗料に含まれる溶媒には、貧溶媒と良溶媒とを含む混合溶媒を用いる。貧溶媒としては、塗料に含まれる1種以上の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が0.01重量%以上1.5重量%未満のものを用いる。良溶媒としては、塗料に含まれる1種以上の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が1.5重量%以上のものを用いる。なお、良溶媒に対する上記溶解度の上限について、特に制限はないが、通常50重量%以下である。
また、本願において、「近赤外線吸収化合物の溶解」とは、近赤外線吸収化合物が、溶媒中に溶け込み、固体の形状になく、イオン対または錯体の状態となることを意味する。一方「近赤外線吸収化合物の解離」とは、近赤外線吸収化合物が、イオン対または錯体をなさないほどに、さらに溶媒に溶け込むことを意味する。
実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法では、近赤外線吸収層形成工程において、基材1に塗布された塗料から、貧溶媒および良溶媒を可能な限り蒸発などにより除去するが、経時的に、良溶媒を貧溶媒よりも早く蒸発させると好ましい。仮に、貧溶媒が良溶媒よりも早く蒸発してしまうと、貧溶媒の減少に伴う良溶媒の配合割合の増大により、近赤外線吸収化合物の解離が生じ、得られる近赤外線吸収層の近赤外線吸収能が低くなるおそれがあるからである。したがって、良溶媒を貧溶媒よりも早く蒸発させ、良溶媒による近赤外線吸収化合物の解離を極力抑制した状態で、近赤外線吸収化合物をバインダー樹脂に固定させるべく、貧溶媒の沸点は、良溶媒の沸点よりも高いと好ましい。さらには、貧溶媒の蒸発速度が良溶媒の蒸発速度よりも小さいと好ましい。貧溶媒の沸点が良溶媒の沸点よりも高くても、貧溶媒の蒸発速度が良溶媒の蒸発速度よりも大きいと、稀ではあるが、貧溶媒が良溶媒よりも先に蒸発してしまう場合があるからである。
貧溶媒の沸点と良溶媒の沸点との差について、特に制限はないが、20℃以上50℃以下であると好ましい。差が小さすぎると、近赤外線吸収層形成工程において、良溶媒を貧溶媒よりも早く蒸発させるために、溶媒を蒸発させるための加熱処理における温度制御を厳密に行わなければならない。一方、差が大きすぎると、上記加熱処理における加熱温度が高くなり、塗膜に悪影響が及ぶ恐れがある。
貧溶媒と良溶媒の組み合わせは、それぞれが近赤外線吸収化合物の溶解度に関する条件を満たしていれば特に制限はない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ヘキサン、シクロヘキサン、ジアセトンアルコール、イソホロン、トルエン、キシレン、テトラヒドロキシフラン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、n-プチルアルコール、イソプチルアルコール、N、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、Nメチル2ピロリドン等から、適宜、貧溶媒と良溶媒とを選択すればよい。
溶媒における貧溶媒と良溶媒との混合割合としては、バインダー樹脂および色素の両者を溶解できる任意の割合であればよいが、例えば、貧溶媒と良溶媒との混合割合は、重量比で10:90〜90:10であると好ましい。良溶媒が少なすぎると、バインダー樹脂を十分に溶解させることができず、塗料の塗布性が悪くなる。一方、良溶媒が多すぎると近赤外線吸収化合物が解離し、その結果、得られる近赤外線吸収層の近赤外線吸収能が低下する。貧溶媒と良溶媒との混合割合が、10:90〜90:10であれば、近赤外線吸収能が高く、経時的な近赤外線吸収特性の劣化が抑制された近赤外線吸収層を形成できる。
塗料は、近赤外線吸収化合物の他に、波長領域580nm〜620nmに最大吸収波長を有する化合物をさらに含んでいるとこのましい。PDPでは、ネオンガスの放電に伴い、ネオンが赤橙色に発光する。ネオンの発光は、PDPの色再現性を低下させる原因の一つである。上記塗料が、上記化合物を含んでいれば、ネオンから生じた光を、本実施形態の近赤外線遮蔽体によって吸収することができ、PDPの赤色をより鮮やかに発色させることができる。
この化合物は、近赤外線吸収層2の、波長領域850nm〜1100nmにおける分光透過率を変化させない化合物であれば特に限定されない。上記化合物には、例えば、シアニン系、アズレニウム系、スクワリウム系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、オキサジン系、アジン系、チオピリウム系、ビオローゲン系、アゾ系、アゾ金属錯塩系、アザポルフィリン系、ビスアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機色素化合物を用いることができる。また、上記化合物には、バインダー樹脂と近赤外線吸収化合物との相溶性に悪影響を及ぼさない化合物を用いることが、より一層好ましい。
塗料を基材1の一方の主面に塗布する方法について、特に制限はないが、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等の塗工法、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法を用いることができる。
本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法により作製された近赤外線遮蔽体は、Haze値が1%以下であると好ましい。Haze値が1%以下であると、例えば、上記近赤外線遮蔽体をPDPの前面板の構成部材として使用した場合に、画像の鮮やかさが損なわれないからである。なお、Haze値は、曇価とも呼ばれ、プラスチックの内部や表面の曇りの度合いを表す値であり、低ければ低いほど好ましい。本願において、Haze値は、JIS K7105に規定の方法により測定した値である。
また、本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法により作製された近赤外線遮蔽体は、波長領域850nm〜1100nmにおける分光透過率が、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。分光透過率がこの範囲であれば、近赤外線遮蔽体によって電子機器の誤作動を十分に抑制できる。なお、上記分光透過率は低ければ低いほど好ましい。
近赤外線吸収層2の厚さは、2μm以上15μm以下であると好ましく、3μm以上10μm以下であるとより好ましい。近赤外線吸収層2の厚さが2μm未満の場合、波長領域850nm〜1100nmにおける分光透過率を15%以下にするためには、バインダー樹脂に対する近赤外線吸収化合物の添加量を増加させる必要がある。この場合、未溶解の近赤外線吸収化合物に起因する光の散乱が生じ、その結果、Haze値が大きくなるという問題が生じる場合がある。また、近赤外線吸収層2の厚さが15μmを越える場合、波長領域850nm〜1100nmにおける分光透過率を15%以下に維持できるものの、近赤外線吸収層2中に遊離した溶剤が残る場合がある。この残存溶剤は、近赤外線吸収化合物の再溶解または解離等を引き起こして、近赤外線吸収特性の経時劣化をもたらす。近赤外線吸収層2の厚さが、2μm以上15μm以下であれば、これらの問題が生じないため好ましい。なお、貧溶媒が、近赤外線吸収層2の膜中に5重量%より多く残存していても、近赤外線吸収化合物に影響を及ぼさない場合もある。
(実施形態2)
実施形態2では、本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法によって作製される近赤外線遮蔽体の他の例について説明する。図2は、本実施形態の近赤外線遮蔽体を示す断面図である。図2において、図1に示した近赤外線遮蔽体の構成部材と同じ構成部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、実施形態1と同様の構成については、本実施形態においても、同様の効果を奏する。
図2に示すように、本実施形態の近赤外線遮蔽体は、基材1と、基材1の一方の主面に配置された近赤外線吸収層2と、この基材1の他方の主面に配置されたハードコート層3と、このハードコート層3の上に配置された反射防止層4から形成されている。上記反射防止層4は、屈折率の異なる3つの膜から形成され、3つの膜は、ハードコート層3側から中屈折率膜4a、高屈折率膜4b、低屈折率膜4cの順に配置されている。
ハードコート層3の材料は、透光性を有し、基材1よりも高硬度の層を形成できれば特に限定されない。ハードコート層3の材料には、例えば、ウレタン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化型樹脂組成物、電磁波硬化型樹脂組成物等を用いることができる。特に表面硬度が高い電磁波硬化型樹脂組成物を用いることがより好ましい。また、ハードコート層3は、無機微粒子をさらに含んでいると好ましい。無機微粒子を含むことによって、より高い表面硬度を有するハードコート層3が得られるとともに、樹脂等の硬化による収縮を緩和できる。無機微粒子の材料としては、例えば、二酸化珪素(シリカ)、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、酸化ジルコニウム等を用いることができる。
基材1上にハードコート層3を形成する方法について、特に制限はないが、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等の塗工法、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法を用いることができる。ハードコート層3の厚さは、1μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上7μm以下がより好ましい。
反射防止層4の平均反射率は、波長領域450nm〜650nmにおいては0.05%以上1%以下、波長領域650nm〜750nmにおいては0.05%以上1.5%以下であると好ましい。このような反射防止層4を用いることにより、広い波長領域において反射率が低い近赤外線遮蔽体が得られる。この近赤外線遮蔽体を備えたディスプレイ用前面板に用いれば、ディスプレイの表示品位を高品質化できる。
ハードコート層3上に反射防止層4を形成する方法について、特に制限はないが、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等の塗工法、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法を用いることができる。
中屈折率膜4aは、透光性を有し、かつ、その屈折率nが1.55以上1.65以下、さらには、1.57以上1.63以下であると好ましい。中屈折率膜4aの形成には、例えば、屈折率が相対的に低屈折率膜4cに含まれる無機微粒子よりも高い無機微粒子を、有機成分中に均一に分散させて得たコーティング組成物が好適に用いられる。有機物成分としては、熱硬化性樹脂組成物または光硬化性樹脂組成物等の架橋可能な有機物を用いることができる。コーティング組成物は、必要に応じて、重合開始剤や、各種添加剤を含んでいてもよい。
中屈折率膜4aに含まれる無機微粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、または酸化セリウム等の微粒子が用いられる。これらの微粒子は、単独で用いてもよいし二種以上組み合わせて用いてもよい。特に、高い導電性を有するITO微粒子又はATO微粒子を用いれば、中屈折率膜4aの帯電を防止する効果が得られるのでより好ましい。これらの無機微粒子の好ましい平均粒径は、3nm〜100nm、特に30nm〜80nmである。
中屈折率膜4aの屈折率nとその厚さdとの積n(光学厚さ)は、110nm以上163nm以下が好ましく、125nm以上150nm以下がより好ましい。
高屈折率膜4bは、透光性を有し、かつ、その屈折率nが、1.75〜1.85、さらには1.76〜1.84であると好ましい。高屈折率膜4bの形成には、例えば、屈折率が相対的に低屈折率膜4cに含まれる無機微粒子よりも高い無機微粒子(例えば、酸化チタン微粒子)を、有機物成分中に均一に分散させて得たコーティング組成物が好適に用いられる。有機物成分としては、熱硬化性樹脂組成物または光硬化性樹脂組成物等の架橋可能な有機物を用いることができる。コーティング組成物は、必要に応じて、重合開始剤や、各種添加剤を含んでいてもよい。
酸化チタン微粒子としては、光触媒作用が弱く、かつ、屈折率が高いルチル構造の酸化チタン微粒子を用いることが好ましい。アナターゼ構造の酸化チタン微粒子は、光触媒作用があり、紫外線の照射により高屈折率膜4bを構成する樹脂成分や基材等の有機物を分解してしまうからである。酸化チタン微粒子の含有量は、硬化後の高屈折率膜4bの全重量の50重量%以上65重量%以下が好ましい。
高屈折率膜4bの屈折率nとその厚さdとの積n(光学厚さ)は、225nm以上325nm以下が好ましく、250nm以上300nm以下がより好ましい。
高屈折率膜4b中の有機物成分の一部は、屈折率が1.60以上1.80以下、より好ましくは1.65以上1.75以下の有機物成分であることが好ましい。例えば、酸化チタン微粒子の量を低減しても、所望の屈折率を確保できるからである。また、酸化チタン微粒子の量を低減することにより、酸化チタン微粒子の添加に伴う有機物成分の架橋の低下を防止できる。よって、有機物成分の硬化を促進し、この層の耐擦傷性を向上させることができる。上記有機物成分の屈折率が1.60未満では、高屈折率膜4b中の微粒子量の低減効果が不十分となる。一方、上記有機物成分の屈折率が1.80を超えると反射光の黄色味が強くなる傾向があるので好ましくない。屈折率が1.60以上1.80以下の範囲にある有機物成分としては、芳香環、硫黄、臭素等を含む有機化合物等を用いることができ、より具体的には、例えば、ジフェニルスルフィドやその誘導体等を用いることができる。
低屈折率膜4cは、透光性を有し、かつ、その屈折率nが、1.30以上1.47以下、さらには1.35以上1.45以上であると好ましい。低屈折率膜4cの形成には、例えば、フッ素系又はシリコーン系有機化合物と、二酸化珪素(シリカ)、フッ化マグネシウム等の無機微粒子等とを、有機物成分中に均一に分散させて得たコーティング組成物を好適に用いることができる。上記有機物成分としては、例えば、熱硬化型樹脂組成物又は電磁波硬化型樹脂組成物等の架橋可能な有機物を用いることができる。特に、電磁波硬化型樹脂組成物として紫外線硬化型樹脂組成物を用いる場合には、窒素等の不活性ガスをパージして、酸素濃度が1000ppm以下になる条件下で、塗付されたコーティング組成物に対して紫外線照射を行うことが好ましい。これより、酸素による重合阻害を防止できる。
低屈折率膜4cの屈折率nとその厚さdlとの積nl(光学厚さ)は、110nm以上163nm以下が好ましく、125nm以上150nm以下がより好ましい。
本実施形態の反射防止層4は、外光の反射を低減できるものであれば、上述の構成に特に限定されない。例えば、反射防止層の層数は、反射の程度と反射光の品位、コストに応じて、単層、二層、三層などから適宜選択すればよい。一般に、単層構造で反射防止を行うためには、屈折率と厚さの積である光学厚さを、λ/4(λは波長を示す。)とする。二層構造の場合に、人間の視感度の高い波長領域における反射率を低減させるためには、基材側から高屈折率膜、低屈折率膜の順に配置し、それぞれの光学厚さを、λ/4、λ/4とする。二層構造の場合に、広い波長領域における反射率を低くするためには、基材側から高屈折率膜、低屈折率膜の順に配置し、それぞれの光学厚さをλ/2、λ/4とする。三層構造の場合に、より広い波長領域における反射率を低くするためには、基材側から中屈折率膜、高屈折率膜、低屈折率膜の順に配置して、それぞれの光学厚さをλ/4、λ/2、λ/4とする。
なお、実施形態1の近赤外線遮蔽体でも、ディスプレイ用の前面板の構成部材として使用できるが、実施形態2に示したように、反射防止機能等の他の機能を備えた近赤外線遮蔽体を使用するほうがより好ましい。
(実施形態3)
実施形態3では、本発明のディスプレイ用板状体の一例について説明する。図3には、本発明のディスプレイ用板部材の一例として、ディスプレイ用前面板の一例の断面図を示している。本実施形態のディスプレイ用前面板11は、基板12と、基板12の一方の主面に配置された近赤外線遮蔽体13と、基板12の他方の主面に配置された電磁波遮蔽体14と、電極(アース)15とから形成されている。
基板12の材料は、透光性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、強化ガラス等を用いることができる。近赤外線遮蔽体13としては、例えば、実施形態2の近赤外線遮蔽体を用いることができる。
本実施形態のディスプレイ用前面板は、実施形態2の近赤外線遮蔽体を用いているので、高温高湿な使用条件下における近赤外線吸収特性の経時劣化が抑制されており、電磁波遮蔽機能を有している。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。
基材として、表裏両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製“U−34”)を準備した。また、近赤外線吸収層の形成に用いる塗料の材料として、ジイモニウム化合物(日本カーリット社製“CIR−1085”、最大吸収波長1074nm)6重量部、シアニン化合物(住友精化社製“SD50−E04N”、最大吸収波長877nm)1重量部、シアニン化合物(住友精化社製“SD50−E05N”、最大吸収波長833nm)1重量部、ポリエステル樹脂(ユニチカ社製“UE3690”)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)280重量部、トルエン280重量部を準備した。次に、これらの材料を混合・撹拌させて得た塗液を、バーコータで上記基材上に塗布した後、塗付された塗量を、110℃で3分間乾燥して、厚さ4μmの近赤外線吸収層とし、近赤外線遮蔽体を得た。
上記近赤外線遮蔽体の分光透過率を、分光光度計(日本分光社製“U−Best V−570”)にて測定したところ、波長領域850nm〜900nmにおける分光透過率は15%以下、波長領域900nm〜1100nmにおける分光透過率は10%以下であった。また、Haze値は0.9%であった。
基材として、表裏両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製“U−34”)を準備した。また、近赤外線吸収層の形成に用いる塗料の材料として、ジイモニウム化合物(日本カーリット社製“CIR−1085”、最大吸収波長1074nm)6重量部、フタロシアニン化合物(日本触媒社製“IR−10A”、最大吸収波長850nm)1.5重量部、及びフタロシアニン化合物(日本触媒社製“IR−12”、最大吸収波長830nm)1.0重量部、フタロシアニン化合物(日本触媒社製“IR−14”、最大吸収波長820nm)1.5重量部、ポリエステル樹脂(ユニチカ社製“UE3690”)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)280重量部、トルエン280重量部を準備した。次に、これらの材料を混合・撹拌して得た塗液を、バーコータで上記基材上に塗布した後、塗付された塗量を、110℃で3分間乾燥して、厚さ4μmの近赤外線吸収層とし、近赤外線遮蔽体を得た。
上記近赤外線遮蔽体の分光透過率を分光光度計(日本分光社製“U−Best V−570”)にて測定したところ、波長領域850nm〜900nmにおける分光透過率は15%以下、波長領域900nm〜1100nmにおける分光透過率は10%以下であった。また、Haze値は0.9%であった。
実施例1で使用した、近赤外線吸収層の形成に用いる溶媒(メチルエチルケトン(MEK)280重量部とトルエン280重量部とからなる混合溶媒)に代えて、メチルイソブチルケトン(MIBK)280重量部とトルエン280重量部とからなる混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、近赤外線遮蔽体を得た。
上記近赤外線遮蔽体の分光透過率を分光光度計(日本分光社製“U−Best V−570”)にて測定したところ、波長領域850nm〜900nmにおける分光透過率は15%以下、波長領域900nm〜1100nmにおける分光透過率は10%以下であった。また、Haze値は0.9%であった。
基材に、表裏両面に易接着処理が施された厚さ100μmの紫外線カット性PETフィルム(東レ社製“ルミラーQT58”)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして近赤外線遮蔽体を作製した。
次に、シリカ超微粒子を含有したアクリレート系紫外線硬化型ハードコート材(JSR社製“デソライトZ7501”)100重量部と、メチルイソブチルケトン35重量部とを混合・撹拌してコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を上記PETフィルムの近赤外線吸収層側とは反対の表面に、マイクログラビアコータを用いてコーティングした。その後、コーティングされたコーティング組成物を乾燥し、300mJ/cm2の強度で紫外線を照射して、ハードコート材を硬化させ、上記PETフィルムの表面に厚さ4μmのハードコート層を形成した。
次に、無機超微粒子を含有したアクリレート系紫外線硬化型コート材(JSR社製“オプスターTU4005”)100重量部と、多官能アクリレート(日本化薬社製“DPHA”)5重量部と、シクロヘキサノン200重量部とを混合・撹拌してコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を上記ハードコート層の上に、マイクログラビアコータを用いてコーティングした、その後、コーティングされたコーティング組成物を乾燥し、300mJ/cmの強度で紫外線を照射して、コート材を硬化させ、上記ハードコート層の表面に厚さ72μmの中屈折率膜(屈折率1.60)を形成した。
続いて、酸化チタン超微粒子(石原テクノ社製“TTO55(A)”)30重量部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート(共栄社化学社製“ライトエステルDM”)1重量部と、リン酸基含有メタクリレート(日本化薬社製“KAYAMER PM−21”)4重量部と、シクロヘキサノン65重量部とを混合して得た組成物を、サンドグラインドミルを用いてさらに混合して、酸化チタン超微粒子分散体を調製した。この酸化チタン超微粒子分散体に、アクリレート系紫外線硬化型ハードコート材(三洋化成工業社製“サンラッドH−601R”)15重量部と、メチルイソブチルケトン600重量部とを混合してコーティング組成物を調製した。このコーティング組成物を上記中屈折率膜の上に、マイクログラビアコータを用いてコーティングした。その後、コーティングされたコーティング組成物を乾燥し、500mJ/cmの強度で紫外線を照射して、ハードコート材を硬化させ、上記中屈折率膜の表面に、厚さ130μmの高屈折率膜(固形分中に占める酸化チタン微粒子の量60重量%、屈折率1.80)を形成した。
さらに、フッ素系ポリマー含有熱硬化型低屈折率反射防止材(JSR社製“オプスターTT1006”)100重量部と、メチルイソブチルケトン20重量部とを混合・撹拌してコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を上記高屈折率膜の上に、マイクログラビアコータを用いてコーティングした。その後、コーティングされたコーティング組成物を乾燥し、120℃で6分間加熱して、厚さ92μmの低屈折率膜(屈折率1.41)とした。以上のように、実施例3の近赤外線遮蔽体を作製した。
次に、この近赤外線遮蔽体の反射率を分光光度計(日本分光社製“U−Best V−570”)を用いて測定したところ、波長領域450nm〜650nmにおける平均反射率は1%以下、波長領域650nm〜750nmにおける平均反射率は1.5%以下であった。また、実施例1と同様の方法で、本実施例の近赤外線遮蔽体の分光透過率を測定したところ、波長領域850nm〜900nmにおける分光透過率は15%以下、波長領域900nm〜1100nmにおける分光透過率は15%以下であった。また、Haze値は0.9%であった。
(比較例1)
実施例1で使用した、近赤外線吸収層の形成に用いる塗料の溶媒(メチルエチルケトン280重量部とトルエン280重量部とからなる混合溶媒)に代えて、メチルエチルケトン(MEK)280重量部とシクロヘキサノン280重量部とからなる混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の近赤外線遮蔽体を得た。
(比較例2)
実施例1で使用した、近赤外線吸収層の形成に用いる塗料の溶媒(メチルエチルケトン280重量部とトルエン280重量部とからなる混合溶媒)に代えて、メチルエチルケトン580重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例2の近赤外線遮蔽体を得た。
(比較例3)
実施例1で使用した、近赤外線吸収層の形成に用いる塗料の溶媒(メチルエチルケトン280重量部とトルエン280重量部とからなる混合溶媒)に代えて、メチルエチルケトン(MEK)280重量部とメチルイソブチルケトン(MIBK)280重量部とからなる混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の近赤外線遮蔽体を得た。
実施例および比較例にて使用した溶媒の沸点、蒸発速度、近赤外線吸収化合物の各溶媒(25℃)の溶解度(重量%)を表1に示している。
なお、本願において、溶解度は、溶媒(液温25℃)に対して近赤外線吸収化合物が溶けうる最大量を、重量%で表した値である。溶媒(液温25℃)に近赤外線吸収化合物を徐々に溶解させながら、その様子(溶媒の着色)を目視により確認することにより、溶解限界量、すなわち、飽和溶液中の溶質量を決定し、近赤外線吸収化合物の濃度(溶解度)を決定した。
蒸発速度とは、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合の相対値である。
Figure 2006341204
<保存試験>
次に、実施例と比較例の近赤外線遮蔽体について、温度60℃90%RHで500時間保存する試験を行い、この試験前後の分光透過率を分光光度計(日本分光社製“U−Best V−570”)を用いて測定した.その結果を表2に示している。
Figure 2006341204
表1および表2に示すように、複数種の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が0.01重量%以上1.5重量%未満の貧溶媒と、複数の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が1.5重量%以上の良溶媒とからなる混合溶媒を用いた実施例1の近赤外線遮蔽体では、比較例1の近赤外線遮蔽体に比べ、保存試験の前後における、波長850nm、1000nm及び1100nmにおける分光透過率変化が小さいことが分かった。すなわち、実施例1の近赤外線遮蔽体は、比較例1の近赤外線遮蔽体よりも、高温高湿な使用条件下における近赤外線吸収特性の経時的な劣化が抑制されていることが分かった。
実施例1において用いた、複数種の近赤外線吸収化合物(シアニン系化合物、ジイモニウム系化合物)は、いずれもイオン結合性化合物であるが、実施例2では、金属錯体化合物であるフタロシアニン系化合物とイオン結合性化合物であるジイモニウム系化合物を用いた。
表2に示すように、実施例2の近赤外線遮蔽体についても、高温高湿な使用条件下における近赤外線吸収特性の経時的な劣化が抑制されていた。これにより、近赤外線吸収化合物として、イオン結合性化合物と金属錯体化合物の双方を用いた場合でも、近赤外線吸収特性の経時劣化が抑制されることが確認できた。
実施例1の近赤外線吸収化体では、近赤外線吸収化合物の解離や、異種の近赤外線吸収化合物間における塩交換が抑制されているものと思われる。実施例2の近赤外線吸収化体では、近赤外線吸収化合物(イオン結合性化合物および金属錯体化合物)の解離が抑制されているものと思われる。
また、塗料に含まれるすべての近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が、1.5重量%以上の良溶媒を用いた比較例1〜3では、いずれも、高温高湿な使用条件下における近赤外線吸収特性の経時的な劣化の程度が、実施例1〜4よりも大きいことが確認できた。
また、表2に示すように、貧溶媒の沸点(トルエン:110℃)が良溶媒の沸点(MEK:80℃)よりも高い場合(実施例1、2および4)では、貧溶媒の沸点(MIBK:115℃)が良溶媒の沸点(トルエン:110℃)よりも低い場合(実施例3)よりも、高温高湿な使用条件下における近赤外線吸収特性の経時的な劣化がより抑制されることが確認できた。
以上説明したように、高温高湿な使用条件下における近赤外線吸収特性の経時劣化が抑制された近赤外線遮蔽体をおよびディスプレイ用板状体(例えば、ディスプレイ前面板)を提供できるので、本発明は有用である。
本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法の一例により作製された近赤外線遮蔽体の一例を示す断面図 本実施形態の近赤外線遮蔽体の製造方法の他の例により作製された近赤外線遮蔽体の一例を示す断面図 本実施形態のディスプレイ用前面板の一例を示す断面図
符号の説明
1 基材
2 近赤外線吸収層
3 ハードコート層
4 反射防止層
4a 中屈折率膜
4b 高屈折率膜
4c 低屈折率膜
11 ディスプレイ用前面板
12 基板
13 近赤外線遮蔽体
14 電磁波遮蔽体
15 電極

Claims (6)

  1. 基材と、前記基材の一方の主面上に配置された近赤外線吸収層とを備えた近赤外線遮蔽体の製造方法であって、
    1種以上の近赤外線吸収化合物と溶媒とバインダー樹脂とを含む塗料を塗布することにより、前記近赤外線吸収層を形成する、近赤外線吸収層形成工程を含み、
    前記溶媒は、前記1種以上の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が0.01重量%以上1.5重量%未満の貧溶媒と、前記1種以上の近赤外線吸収化合物のうちの少なくとも1種の近赤外線吸収化合物の25℃における溶解度が1.5重量%以上の良溶媒とを含むことを特徴とする近赤外線遮蔽体の製造方法。
  2. 2種以上の前記近赤外線吸収化合物を含み、
    前記2種以上の近赤外線吸収化合物から選ばれる2種の近赤外線吸収化合物について、互いに最大吸収波長が相違する請求項1に記載の近赤外線遮蔽体の製造方法。
  3. 前記近赤外線吸収化合物は、イオン結合性化合物および金属錯体化合物から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の近赤外線遮蔽体の製造方法。
  4. 前記貧溶媒の沸点は、前記良溶媒の沸点よりも高い請求項1に記載の近赤外線遮蔽体の製造方法。
  5. 前記貧溶媒の蒸発速度は、前記良溶媒の蒸発速度より小さい請求項4に記載の近赤外線遮蔽体の製造方法。
  6. 基板と、前記基板上に配置された請求項1〜5のいずれかの項に記載の近赤外線遮蔽体の製造方法により作製された近赤外線遮蔽体とを含むディスプレイ用板状体。
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