JP2006329262A - 動圧軸受装置およびこの装置を備えたモータ、並びにこのモータを用いたディスク装置 - Google Patents

動圧軸受装置およびこの装置を備えたモータ、並びにこのモータを用いたディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
窒化処理によって形成される窒化処理層が欠落を起こしにくく、焼き付きが生じず、しかも長期間にわたって劣化しない動圧軸受装置およびこの装置を備えたモータ、並びにこのモータを用いたディスク装置を提供する。
【解決手段】
相対回転する軸部材とスリーブ部材とを備えた動圧軸受装置において、軸部材は、オーステナイト系ステンレスにより形成され、外周面に窒化処理層を有し、該窒化処理層中の窒化物はクロムを主体として形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は動圧軸受装置及びこれを用いたモータ並びにこのモータを備えたディスク装置に関し、より詳細には動圧軸受装置の軸部材をステンレスで形成したものに関する。
一般に、動圧軸受装置は、相対回転する軸部材とスリーブ部材とを備え、軸部材の外周面とスリーブ部材の内周面との少なくとも一方に動圧発生溝が形成されてなる。動圧軸受装置は、軸部材とスリーブ部材とが一旦高速で相対回転し始めると、動圧発生溝によって動圧力が生じ、回転側部材が高い剛性をもって高い芯振れ精度で回転するため、これを例えばハードディスクドライブ用モータの軸受装置として用いれば、高記録密度を得ることができる。
動圧軸受装置のうちのスリーブ部材としては、通常、加工容易性などの観点から銅合金が用いられている。一方、軸部材としては、上述した軸受部材を構成する銅合金との熱膨張性を一致させ、耐摩耗性を向上させるなどの理由から、ステンレス材、特にオーステナイト系のステンレス材が用いられることがある。
このような動圧軸受装置として、特許文献1に記載されているように、スリーブが銅合金で、軸がオーステナイト系ステンレス鋼からなり、軸の表面層に窒化処理を行って表面硬度を上げた動圧軸受が知られている。
特開平10−89345号公報
しかし、窒化処理は、ステンレス鋼がもっている不動体被膜を窒化鉄や窒化クロム等の窒化物で置き換える処理であるため、窒化処理を行うとステンレス鋼の表面の硬度は向上するものの、表面に脆弱な層も多く存在する。ステンレス鋼在中の鉄及びクロムが窒化された鉄窒化物とクロム窒化物が混在するため、モータの起動あるいは停止時等の低速回転状態では、必然的に発生する回転トルクの増大と動圧不足のため、軸部材とスリーブ部材とが接触し、鉄窒化物とクロム窒化物からなる窒化処理層の一部が欠落し易い。欠落した窒化層は軸受構成部内に入り込み、異物となって動圧面の摩耗を増大させ、また、軸部材とスリーブ部材の焼きつきが起こる原因となる。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、窒化処理によって形成される窒化処理層が欠落を起こしにくく、また焼き付きが生じず、しかも長期間にわたって劣化しない動圧軸受装置およびこの装置を備えたモータ、並びにこのモータを用いたディスク装置を提供することをその目的とするものである。
請求項1に記載の発明は、相対回転する軸部材とスリーブ部材とを備え、前記軸部材の外周面と前記スリーブ部材の内周面との間に動圧軸受部を構成し、該動圧軸受部による動圧作用により前記軸部材と前記スリーブ部材とを相対回転させる動圧軸受装置において、少なくとも前記軸部材は、オーステナイト系ステンレスにより形成され、外周面に窒化処理層を有し、該窒化処理層中の窒化物はクロムを主体として形成されている。
請求項2に記載の発明は、相対回転する軸部材とスリーブ部材とを備え、前記軸部材の外周面と前記スリーブ部材の内周面との間に動圧軸受部を構成し、該動圧軸受部による動圧作用により前記軸部材と前記スリーブ部材とを相対回転させる動圧軸受装置において、少なくとも前記軸部材は、オーステナイト系ステンレスにより形成され、外周面に窒化処理層を有し、前記軸部材の断面を切断し鏡面研磨及びエッジング処理を施した面は、表層の窒化処理層が基材の明色に比べて黒味を帯びた暗色の層である。
請求項3に記載の発明は、相対回転する軸部材とスリーブ部材とを備え、前記軸部材の外周面と前記スリーブ部材の内周面との間に動圧軸受部を構成し、該動圧軸受部による動圧作用により前記軸部材と前記スリーブ部材とを相対回転させる動圧軸受装置において、少なくとも前記軸部材は、オーステナイト系ステンレスにより形成され、外周面に窒化処理層を有し、前記軸部材の表層において、成分分析で0.6以下のN/Cr重量濃度比を有する。
請求項4に記載の発明は、前記窒化処理層は、外表面から深さ10μm以上有する。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の前記動圧軸受装置と、前記軸部材及び前記スリーブ部材の一方に固定されたコイルを有するステータと、前記軸部材及び前記スリーブ部材の他方に固定され、前記コイルに対向するマグネットを有する回転部材と、を備えたモータ。
請求項6に記載の発明は、情報を記録できる円板状記録媒体が装着されるディスク装置において、ハウジングと、当該ハウジング内部に固定され前記記録媒体を回転させるモータと、前記記録媒体の所要の位置に情報を書き込みまたは読み出すための情報アクセス手段とを有するディスク装置であって、前記モータは、請求項5に記載したモータである。
本発明によれば、軸部材にオーステナイト系ステンレスを用い、窒化処理が施されている。そして、軸部材の窒化処理層中の窒化物は、クロムを主体として形成され、鉄窒化物をほとんど含まない。故に、窒化処理層は窒化物が混成しておらず、粒界が明確になりにくい。そのため、窒化処理層が欠落を起こしにくい。
そのため、モータの起動あるいは停止時等の低速回転状態時に、軸部材とスリーブ部材とが接触しても、窒化物がクロムを主体として形成された窒化処理層を有する軸部材は窒化物の欠落を起こさない。
加えて、窒化処理層が窒化物の欠落を起こさないため、長期に安定した動圧軸受装置を提供することができる。
請求項4の発明によれば、本発明の窒化処理層が外表面から深さ10μm以上有する。そのため、動圧軸受装置の回転及び衝撃に十分に耐えうる硬度を有することができる。
請求項5の発明によれば、本発明のモータは上述の本発明の窒化処理層を有する動圧軸受装置を備える。そのため、長期にわたり安定して回転することができるモータを提供することができる。
請求項6の発明によれば、本発明のディスク装置は、上述の本発明のモータを備える。そのため、上述のモータを用いることで超寿命のディスク装置を実現することができる。
<スピンドルモータの構造>
本発明の一実施形態としてのスピンドルモータ100の概略構成を模式的に示す縦断面図を図1に示す。
このスピンドルモータ100は、記録ディスク駆動用のスピンドルモータであり、ハードディスク等の記録ディスク装置の一部を構成している。このスピンドルモータ100が用いられたハードディスク装置11の模式図を図2に示す。
なお、図1に示すO−Oがスピンドルモータ100の回転軸線である。また、本実施形態の説明では便宜上図1の上下方向を「軸線上下方向」とするが、スピンドルモータ100の実際の取付状態における方向を限定するものではない。
図1に図示されるスピンドルモータ100は、ブラケット101と、このブラケット101に設けられた中央開口内に一方の端部が外嵌固定されるシャフト102と、このシャフト102に対して相対的に回転自在なロータ103とを備える。ロータ103は、外周部に記録ディスク(図2においてディスク板13として図示)が載置されるロータハブ103aと、ロータハブ103aの内周側に位置し、オイルが保持される微小間隙を介してシャフト102に軸支持されるスリーブ103bとを備えている。ロータハブ103aの内周部には接着等の手段によってロータマグネット104が固着されており、このロータマグネット104と半径方向に対向してブラケット101にステータ105が装着されている。
スリーブ103bの略中央部には内周面がシャフト102の外周面との間にオイルが保持される微小間隙を形成するようスリーブ103bを軸線方向に貫通する貫通孔103cが形成され、シャフト102の上部及び下部には、半径方向外方に突出する環状の上部スラストプレート106及び下部スラストプレート107がそれぞれ取付けられている。
スリーブ103bの軸線方向両端部には、上部スラストプレート106及び下部スラストプレート107に対応して、これら上部及び下部スラストプレート106,107の外径よりも大径な上部スラスト面103d及び下部スラスト面103eが形成されている。この上部スラスト面103d及び下部スラスト面103eの外周部には、環状で且つ中空円筒状の上部ブッシュ部材108及び下部ブッシュ部材109が装着され、閉塞されている。
また、スリーブ103bの外周部には、半径方向外方側に突出する環状突部103fが形成されており、この環状突部103fの外周面とロータハブ103aの内周面とが、例えば圧入等の手段によって締結されている。
上部スラスト面103dと、上部スラストプレート106の下面(軸線方向内側面)との間には、オイルが保持される微小間隙が形成されており、上部スラスト軸受部1S1が構成されている。
また、下部スラスト面103eと、下部スラストプレート107の上面(軸線方向内側面)との間には、オイルが保持される微小間隙が形成されており、下部スラスト軸受部1S2が構成され、更に、貫通孔103cの内周面とシャフト102の外周面との間には、上部ラジアル軸受部1R1及び下部ラジアル軸受部1R2が構成されている。
<ハードディスク装置の構成、動作、及び特徴>
図2に、一般的なスピンドルモータ100を備えたハードディスク装置11の模式図を示す。
ハードディスク装置11は、各部がハウジング12に内包されており、主に、スピンドルモータ100、記録ディスク13、ヘッド移動機構14を備える。ハウジング12の内部は、塵埃が極度に少ない良好な環境を形成している。スピンドルモータ100のブラケット101は、ハウジング12の内面に当接固定されており、スピンドルモータ100とハウジング12との導通が図られている。
記録ディスク13は、磁気により情報を記録する円盤状の部材である。記録ディスク13は、スピンドルモータ100のロータ103の外周面に嵌合されている。
ヘッド移動機構14は、記録ディスク13に対して情報の読み書きを行う。ヘッド移動機構14は、ヘッド15、アーム16、アクチュエータ部17を有する。また、ヘッド移動機構14は、ハウジング12の内面に固定されているためハウジング12との導通が確保されている。このため、ヘッド移動機構14の各部とハウジング12とが導通している。
ヘッド15は、アーム16の一端に設けられることにより記録ディスク13の近傍に配され、記録ディスク13の読み書きを行う。アーム16は、ヘッド15を支持する部材である。アクチュエータ部17は、アーム16の他端を支持してアーム16の移動を行う。アクチュエータ部17により、アーム16が首振り移動を行い、ヘッド15を記録ディスク13の所要の位置に移動させることができる。
<別のスピンドルモータの構造>
また、本発明の他の実施形態としてのスピンドルモータ200の概略構成を模式的に示す縦断面図を図3に示す。
図2に図示されるスピンドルモータ200は、略円板状の上壁部201a(天板)と、この上壁部201aの外周縁部から下方に垂下する円筒状周壁部201bとから構成されるロータハブ201と、このロータハブ201の上壁部201aの中央部に一方の端部が外嵌固定されるシャフト202とから構成されるロータ203と、このシャフト202を回転自在に支持する中空円筒状のスリーブ204と、このスリーブ204の下部を閉塞するカバー部材205と、スリーブ204を保持する円筒部207が一体的に形成されたブラケット206と、を具備する。
ブラケット206の円筒部207の外周側には、ステータ208が配設され、ロータハブ201の円筒状周壁部201bの内周面には、このステータ208と半径方向に間隙を介して対向して、ロータマグネット209が固着される。
また、ロータハブ201の円筒状周壁部201bの外周面には、ハードディスク等の記録ディスク(図2において記録ディスク13として図示)が載置されるフランジ状のディスク載置部201cが設けられており、シャフト202は、スリーブ204のカバー部材205側をピン部材210で止められており、ロータ203の抜けを防止している。
ロータハブ201の底面とスリーブ204の上端面との間にロータ203の浮上力を発生するためのスラスト軸受部2Sを構成し、またロータハブ201に一体的に設けられたシャフト202の外周面とスリーブ204の内周面との間に、外気に連通する空気介在部211を介してロータ203の調心や倒れの防止に作用するための上部ラジアル軸受部2R1及び下部ラジアル軸受部2R2を構成している。
ブラケット206のロータマグネット209と軸線方向に対向する位置には、ステンレス鋼等の強磁性材からなるリング状部材212が配置されており、ロータマグネット209とリング状部材212との間に作用する磁気吸引力によってロータ203の浮上を抑制する方向の支持力を得ている。これらスラスト軸受部2S及び上部ラジアル軸受部2R1で発生する動圧によるロータ203に対する浮上力とロータマグネット209とリング状部材212との間に作用する磁気吸引力とをバランスさせて、ロータ203にかかる軸線方向荷重を支持している。
上述のような種々のモータに用いられる動圧軸受においては、スリーブとシャフトとの熱膨張差をなくして、温度変化による隙間の変化を少なくする必要がある。このような条件を満たす材料として、スリーブの材料としてはりん青銅などの銅系材料が用いられ、シャフトの材料としてはSUS303系、SUS304系などのオーステナイト系ステンレス鋼材が用いられている。ここで、軸に使用するオーステナイト形ステンレス鋼材は、焼入れ、焼戻しを行っても硬度を上げることはできないため、加工工程でのキズの発生やアブレシブ(ひっかき)摩耗を防止すべく、また軸の外表面を硬化するために窒化処理を施す必要がある。この窒化処理はいずれの方法を適用してもよく、例えば、ガス窒化、塩浴窒化、イオン窒化、プラズマ窒化等が挙げられる。
なお、本実施形態においては、窒化処理の一例として、比較的高温で処理が可能なNV窒化プロセス(エア・ウォータ株式会社製)を適用した。このNV窒化プロセスは、まず、例えばNF3などのフッ素系ガスを用いて、シャフトにフッ化処理を施した後、N2とNH3の混合ガス雰囲気中、加熱することで、シャフトにクロムの窒化層が形成されるように、窒化処理を行った。
このようにして得られる窒化処理を施したシャフトの表面は、凝着を防止するための切削加工及び研磨加工を施しても良い。
次に、本実施形態におけるシャフトの断面組織及び回転衝撃試験の評価に付いて説明する。
実施例1のシャフトの表面部分の金属顕微鏡による断面観察写真を図4に示す。実施例1は、結晶粒度が7のオーステナイト系ステンレスSUS304Seを用いた。上記の窒化条件で窒化処理を行なった後切断し、その切断面を鏡面研磨及びエッジング処理したものである。図4において、シャフトの基材(図示下方の白層)の上に、基材とは異なる相、すなわち窒化物がクロムを主体とする微細な層が表面側(図示上方の黒層)に確認された。また、窒化物がクロムを主体とする層の深さは、約10μmであった。表面硬度は、ビッカース硬度でおよそ1000から1200である。また、実施例1の窒化処理層は結晶粒度が7以上で構成されているため、より微細な窒化処理層を形成することができる。
次に、比較例1のシャフトの表面部分の金属顕微鏡による断面観察写真を図5に示す。実施例1と同様に、シャフトの表面側に基材(図示下方の白層)の上に、基材とは異なる相である窒化された層が確認される。しかし、実施例1(図4)と比較例1(図5)を比べると、比較例1に形成された窒化層は、クロム窒化物(黒色)と鉄窒化物(白色)の混在物であることが確認される。また、クロム窒化物(黒色)と鉄窒化物(白色)との粒界は明瞭に確認できる。
上述の実施例1及び比較例1のX線回折測定結果を図6に示す。本測定は、X線入射角は5°で測定し、銅の特性X線を用いた。実施例1と比較例1のX線回折の結果から、実施例1の窒化物はクロムを主体とした窒化層であり、比較例1は鉄窒化物を主体とした窒化層を有することが確認される。
図7には、実施例及び比較例の窒化処理を施したシャフトの欠け発生度合いを測定する回転衝撃試験を行なった結果を示す。
実施例1、実施例2及び比較例1は、SUS304Seに窒化処理を行なったシャフト102である。実施例1及び実施例2のシャフト102の表面部分は、窒化物がクロムを主体とする窒化層で形成され、比較例1のシャフト102の表面部分は、鉄窒化物及びクロム窒化物により形成された窒化層で形成される。それらのシャフト50個をそれぞれ回転機に入れ、回転数(1.8,5,10,20,30,40rpm)を変化させてシャフトに回転衝撃振動を加え、それぞれ10分間回転させた後に、その回転数での欠け発生箇所数を数えた。
図7に示す結果より、実施例1はほぼ欠けが発生しない即ち、回転衝撃に耐えることが可能なシャフトであり、実施例2も比較例1に比べてかけにくいことが確認された。また、比較例1は回転数が上がることに比例して、欠け発生箇所が大幅に増加する。比較例1は、鉄窒化物とクロム窒化物との混合窒化処理層であるため、その粒界から窒化物か欠落し易く、もろくなると推察される。このことから、窒化処理により形成されるクロム窒化物のシャフト表面に存在する割合及び鉄窒化物のシャフト表面に存在する割合は、欠け発生確率に影響を与えることが確認された。
また、実施例1、実施例2及び比較例1の窒化処理層をEDS(エネルギー分散型X線分析装置)分析を行なったところ、表1に示すとおり、クロムに対する窒素の存在割合、及び鉄に対する窒素の存在割合が異なる。分析条件は加速電圧15kV、倍率1000倍で面分析を行なった。従って、窒化層はN/Cr重量濃度比が低く、鉄窒化物をほとんど含まない方が、より回転衝撃に耐えることが可能なシャフトであり、欠けにくいことが確認された。特に、実施例2と比較例1を比較し、N/Cr重量濃度比が0.6以下である必要がある。また、N/Cr重量濃度比が0.4以下であると更に欠け発生確率が長期に低く維持できる、好ましい。
このことよりシャフトに、欠けが発生しにくい窒化層を有するオーステナイト系ステンレス鋼材を用いることにより、高い剛性をもって高い芯振れ精度で回転することができ、流体動圧軸受装置内に欠けたステンレス鋼材が混入し、ロックを起こすまたは焼きつきを起こすことはない。そのため、長期にわたり安定して回転することができるスピンドルモータを提供することができる。また、上述のスピンドルモータを用いることで長寿命のディスク装置を実現することができる。
ここで、本実施形態において、スピンドルモータの一実施例として流体動圧軸受について説明したが、これに限らず、一般に用いられる摺動部材適用することが可能である。また、本実施形態においても、シャフトにオーステナイト系ステンレス鋼材を用い、窒化処理を行なったが、その他ロータハブやスリーブ、ブラケットにオーステナイト系ステンレス鋼材により形成し、窒化処理を施してもよい。
本発明の一実施形態としてのスピンドルモータ100の概略構成を模式的に示す縦断面図である。 スピンドルモータ100を備えたハードディスク装置11の模式図である。 本発明の他の実施形態としてのスピンドルモータ200の概略構成を模式的に示す縦断面図である。 実施例1のシャフトの表面部分の金属顕微鏡による断面観察写真である。 比較例1のシャフトの表面部分の金属顕微鏡による断面観察写真である。 実施例1及び比較例1の窒化処理層のX線回折結果を示す。 実施例及び比較例の窒化処理を施したシャフトの欠けにくさを測定する回転衝撃試験を行なった結果を示す図である。
符号の説明
100,200 スピンドルモータ
101,206 ブラケット
102,202 シャフト
103,203 ロータ
103b,204 スリーブ

Claims (6)

  1. 相対回転する軸部材とスリーブ部材とを備え、前記軸部材の外周面と前記スリーブ部材の内周面との間に動圧軸受部を構成し、該動圧軸受部による動圧作用により前記軸部材と前記スリーブ部材とを相対回転させる動圧軸受装置において、
    少なくとも前記軸部材は、オーステナイト系ステンレスにより形成され、外周面には窒化処理層を有し、該窒化処理層中の窒化物はクロムを主体として形成されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  2. 相対回転する軸部材とスリーブ部材とを備え、前記軸部材の外周面と前記スリーブ部材の内周面との間に動圧軸受部を構成し、該動圧軸受部による動圧作用により前記軸部材と前記スリーブ部材とを相対回転させる動圧軸受装置において、
    少なくとも前記軸部材は、オーステナイト系ステンレスにより形成され、外周面に窒化処理層を有し、前記軸部材の断面を切断し鏡面研磨及びエッジング処理を施した面は、表層の窒化処理層が基材の明色に比べて黒味を帯びた暗色の層であることを特徴とする動圧軸受装置。
  3. 相対回転する軸部材とスリーブ部材とを備え、前記軸部材の外周面と前記スリーブ部材の内周面との間に動圧軸受部を構成し、該動圧軸受部による動圧作用により前記軸部材と前記スリーブ部材とを相対回転させる動圧軸受装置において、
    少なくとも前記軸部材は、オーステナイト系ステンレスにより形成され、外周面に窒化処理層を有し、前記軸部材の表層において、成分分析で0.6以下のN/Cr重量濃度比を有することを特徴とする動圧軸受装置。
  4. 前記窒化処理層は、外表面から深さ10μm以上有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の動圧軸受装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の前記動圧軸受装置と、
    前記軸部材及び前記スリーブ部材の一方に固定されたコイルを有するステータと、
    前記軸部材及び前記スリーブ部材の他方に固定され、前記コイルに対向するマグネットを有する回転部材と、を備えたモータ。
  6. 情報を記録できる円板状記録媒体が装着されるディスク装置において、
    ハウジングと、
    当該ハウジング内部に固定され前記記録媒体を回転させるモータと、
    前記記録媒体の所要の位置に情報を書き込みまたは読み出すための情報アクセス手段とを有するディスク装置であって、
    前記モータは、請求項5に記載したモータであることを特徴とするディスク装置。
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