JP2006327990A - ウレタン(メタ)アクリレート、放射線硬化性組成物、及びその硬化膜 - Google Patents
ウレタン(メタ)アクリレート、放射線硬化性組成物、及びその硬化膜 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 (B)下記式(1)で示される化合物、
m、nは0〜3の整数 (C)光重合開始剤、及び (E)溶剤を含有する放射線硬化性組成物。
【選択図】 なし
Description
また、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜の用途においては、上記要請に加えて、高屈折率の硬化膜を形成し得る放射線硬化性組成物が要請されている。
本発明によれば、以下の放射線硬化性組成物、その硬化物及び積層体を提供できる。
[2](B)下記式(2)で示される化合物、
(C)光重合開始剤、及び
(E)溶剤
を含有する放射線硬化性組成物。
[3]前記(B)成分が、上記[1]に記載の式(1)で示される化合物である、上記[2]に記載の放射線硬化性組成物。
[4](D)(B)成分以外の重合性不飽和基を有する化合物を含有する、上記[2]又は[3]に記載の放射線硬化性組成物。
[5](A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とし、重合性不飽和基を有する粒子を含有する、上記[2]〜[4]のいずれか一に記載の放射線硬化性組成物。
[6]前記(A)成分における重合性不飽和基を含む有機化合物が、重合性不飽和基に加えて、下記式(3)に示す基を有する上記[5]に記載の放射線硬化性組成物。
−U−C(=V)−NH− (3)
[式(3)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
[7]上記[2]〜[6]のいずれかに記載の放射線硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜。
[8]上記[7]に記載の硬化膜を含む積層体。
I.放射線硬化性組成物
本発明の放射線硬化性組成物は、(A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とし、重合性不飽和基を有する粒子、(B)式(2)で示される化合物、
(C)光重合開始剤、(D)(B)成分以外の重合性不飽和基を有する化合物及び(E)溶剤を含有することを特徴とするものである。これらの成分のうち、(B)、(C)及び(E)成分が必須成分であり、その他の成分は非必須成分である。
1.重合性不飽和基を有する金属酸化物粒子(A)
本発明に用いられる重合性不飽和基を有する金属酸化物粒子(A)は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とする粒子(以下、「酸化物粒子(Aa)」ということがある)と、重合性不飽和基を含む有機化合物(以下、「有機化合物(Ab)」ということがある)とを結合させてなる粒子である(以下、「反応性粒子」ともいう。)。
本発明に必要に応じて用いられる酸化物粒子(Aa)は、得られる放射線硬化性組成物の硬化被膜の無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とする粒子である。これらのうち、ジルコニウムやチタニウム等は屈折率が1.50以上と大きいため、これらの元素の酸化物粒子を用いることにより、硬化被膜の屈折率を高めると共に、耐擦傷性を改善することができる。また、亜鉛、インジウム、アンチモンの酸化物粒子として、それぞれアルミドープ酸化亜鉛、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ等の粒子を用いることにより、硬化被膜に導電性を付与することができる。
酸化物粒子(Aa)の数平均粒子径は、例えば、(株)堀場製作所製 動的光散乱式粒径分布測定装置によって測定することができる。
本発明に用いられる有機化合物(Ab)は、分子内に、重合性不飽和基を含む化合物であり、さらに、下記式(3)に示す基を含む特定有機化合物であることが好ましい。
−U−C(=V)−NH− (3)
[式(3)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
より好ましくは、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つを含むものであることが好ましい。また、この有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
有機化合物(Ab)に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
特定有機化合物に含まれる前記式(3)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(3)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物(以下、「シラノール基含有化合物」ということがある)又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物(以下、「シラノール基生成化合物」ということがある)であることが好ましい。このようなシラノール基生成化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基生成化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子(Aa)と結合する構成単位である。
有機化合物(Ab)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(4)に示す化合物を挙げることができる。
[(R3O)pR4 3−pSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
R5は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。
また、R6は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。
R7は、(q+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、qは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
この場合、反応性粒子(A)を構成する酸化物粒子(Aa)の組成物中の含有量は、65〜90質量%であることが好ましい。
尚、反応性粒子(A)の量は、固形分を意味し、反応性粒子(A)が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
(B)下記式(2)で示される化合物、
ウレタン結合を有する化合物(B)であるウレタン(メタ)アクリレートは、特に限定されないが、基本的には、(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させて得られる。ウレタン(メタ)アクリレートは、他のオリゴマーを主鎖として、それにウレタン結合したものであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、そのオリゴマーの主鎖に結合した(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個含有していなければならず、4個以上含有することが好ましく、6個以上含有することがさらに好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの合成に用いる(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーの使用割合は、(a)ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基1当量に対して、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーの水酸基が1.0〜2当量となるようにするのが好ましい。
このようなウレタン(メタ)アクリレート(B)を製造する具体的方法としては、例えば(c)ポリオール化合物、(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを一括して仕込んで反応させる方法;(c)ポリオール化合物及び(a)ポリイソイアネート化合物を反応させ、次いで(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させる方法;(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させ、次いで(c)ポリオール化合物を反応させる方法;(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させ、次いで(c)ポリオール化合物を反応させ、最後にまた(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させる方法等が挙げられる。
本発明の組成物においては、前記ウレタン結合を有する化合物(B)及び後記する溶剤(E)、さらに、必要に応じて配合される前記反応性粒子(A)と共に、光重合開始剤(C)を配合する。
好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
本発明の組成物において、必要に応じて用いられる化合物(D)は、(B)成分以外の重合性不飽和基を有する化合物(以下、「化合物(D)」又は「(D)成分」ということがある)である。この化合物(D)は組成物の成膜性を高めるために好適に用いられる。化合物(D)としては、分子内に重合性不飽和基を2以上含むものであれば特に制限はないが、例えば、メラミンアクリレート類、(メタ)アクリルエステル類、ビニル化合物類を挙げることができる。この中では、(メタ)アクリルエステル類が好ましい。
(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、及びこれらの出発アルコール類へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。この中では、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、下記式(10)で示される化合物が好ましい。
本発明に用いることができる溶剤としては、溶剤以外の成分の溶解性・分散性を阻害しない限り特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。また、この溶剤の使用量は、特に制限されないが、溶剤を除く組成物全量100質量部に対して、通常5〜100,000質量部、好ましくは10〜10,000質量部である。
溶剤で希釈することにより、塗膜の厚さを調節することができる。例えば、反射防止膜や被覆材として用いる場合の粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
本発明の放射線硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合できる。
本発明の組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらコーティングにおける塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.01〜400μmであり、好ましくは、0.1〜200μmである。
本発明の組成物は、放射線によって硬化させることができる。放射線の線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、Co60等の核***物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
本発明の硬化膜は、前記放射線硬化性組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、上述の、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。放射線による場合、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cm2であり、より好ましくは、0.1〜2J/cm2である。また、好ましい電子線の照射条件は、加圧電圧は10〜300KV、電子密度は0.02〜0.30mA/cm2であり、電子線照射量は1〜10Mradである。また、基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ノルボルネン系樹脂(JSR株式会社製アートン等)を挙げることができる。
反応容器に、メチルエチルケトン50部、ジブチルスズラウレート1部及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1部を導入した。反応容器に乾燥空気を投入しながら反応溶液を密閉した。その後、攪拌しながら2,4−トルエンジイソシアネートを10部投入し、温度を20℃とした。ここにテトラメチロールメタントリアクリレートを30部滴下ロートにて滴下し、反応温度を20℃〜30℃に保ったまま1時間反応を行った。その後、ポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル10部を滴下ロートで滴下し、滴下終了後反応温度を40℃〜50℃に保ち、1時間反応させた。イソシアナート含量が0.1部以下であることを確認して目的とする前記式(1)で示される化合物を得た。この合成後サンプルをアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、49.5%であった。
反応容器に、ジブチルスズラウレート1部及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1部を導入した。その後、2,4−トルエンジイソシアネートを18.9部投入し、温度を20℃とした。さらに反応容器に乾燥空気を投入しながら反応溶液を密閉した。ここにテトラメチロールメタントリアクリレートを55.6部滴下ロートにて滴下し、滴下終了後反応温度を20℃〜30℃に保ったまま1時間反応を行った。その後、下記式(11)で示される化合物25.4部をメチルエチルケトン115.4部に溶かして、滴下ロートで滴下し、滴下終了後反応温度を40℃〜50℃に保ち、1時間反応させた。イソシアナート含量を測定し、0.1部以下であることを確認して目的とする前記式(1)で、m=n=1の場合に示される化合物を得た。この合成後サンプルをアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、44%であった。
反応容器に、ジブチルスズラウレート1部及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1部を導入した。その後、2,4−トルエンジイソシアネートを18.9部投入し、温度を20℃とした。さらに反応容器に乾燥空気を投入しながら反応溶液を密閉した。ここにテトラメチロールメタントリアクリレートを58.4部滴下ロートにて滴下し、滴下終了後反応温度を20℃〜30℃に保ったまま1時間反応を行った。その後、下記式(12)で示される化合物21.6部をメチルエチルケトン122部に溶かして、滴下ロートで滴下し、滴下終了後反応温度を40℃〜50℃に保ち、1時間反応させた。イソシアナート含量を測定し、0.1部以下であることを確認して目的とする前記式(1)で、m=n=0の場合に示される化合物を得た。この合成後サンプルをアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、47%であった。
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレ−ト1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)を得た。生成物中の残存イソシアネ−ト量をFT−IRで分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザ−の吸収ピ−ク及び原料イソシアネ−ト化合物に特徴的な2260カイザ−の吸収ピ−クが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660カイザ−のピ−ク及びアクリロキシ基に特徴的な1720カイザ−のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、前記式(5)で示される化合物及び前期式(6)で示される化合物の混合物(Ab)が合計で773部と、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が得られた。
製造例3で製造した重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)2.23部、ジルコニア粒子分散液(Aa)(ジルコニア粒子33.3質量%のメチルエチルケトン分散液)97.37部、イオン交換水0.03部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.02部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル0・34部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子(分散液(A−1))を得た。この分散液(A−1)をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、34.5%であった。また、分散液(A−1)を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、85.8%であった。
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、製造例3と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、前記式(10)で示される化合物が75部と、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が得られた。
実施例1
製造例4で製造した反応性ジルコニア粒子分散液50.1部(反応性ジルコニア粒子(A)として15.3部(ジルコニア粒子(Aa)15部と粒子に結合した有機化合物(Ab)0.285部からなる。)、製造例1で製造した前記式(1)で示される化合物のメチルエチルケトン溶液を174.1部(前記式(1)で示される化合物81.83部を含む)、p−メトキシフェノールを0.01部、前記式(10)で示される製造例5で製造した多官能アクリレート0.4部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート0.26部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.2部、メチルエチルケトン140.7部を25℃で1時間撹拌することで均一な組成物を得た。このうち、ペンタエリスリトールテトラアクリレートは、有機化合物(Ab)及び前記式(10)で示される製造例5で得た多官能アクリレートに混在するペンタエリスリトールテトラアクリレートに由来する。この組成物の固形分含量を求めたところ、30%であった。
表1に示す組成に変えたこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例2〜4及び比較例1〜2の各組成物を得た。比較例にある式(13)は下記に示される構造である。
1.測定試料の調製
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた組成物を、膜厚に応じたワイヤーバーコータ(#30)を装着したコータを用いて、TACフィルム(膜厚80μm、)に塗工し、オーブン中、80℃、3分間の条件で乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素下中、高圧水銀ランプを用いて、0.2J/cm2の光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、膜厚6〜7μmの硬化膜を形成した。
2.透明性(ヘイズ)
須賀製作所(株)製 カラーヘイズメーターを用い、ASTM D1003に従いヘイズ値(%)を測定し、基材フィルム込みの値として評価した。
JIS K5600−5−4に準拠し、500g荷重で、ガラス基板上で硬化させた被膜を評価した。
589nmでの屈折率をアッベ屈折率計にて25℃で測定した。
5.外観
塗工膜の外観を目視により、塗工膜の白化の有無と塗工方向のバーコータによる縦筋の有無を確認し、透明性が高く縦筋の無いものを○、白化しておりバーコータによる縦筋があるものを×とした。
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure184;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)
Claims (8)
- 下記式(1)で示される化合物。
- (B)下記式(2)で示される化合物、
(C)光重合開始剤、及び
(E)溶剤
を含有する放射線硬化性組成物。 - 前記(B)成分が、請求項1に記載の式(1)で示される化合物である、請求項2に記載の放射線硬化性組成物。
- (D)(B)成分以外の重合性不飽和基を有する化合物を含有する、請求項2又は3に記載の放射線硬化性組成物。
- (A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とし、重合性不飽和基を有する粒子を含有する、請求項2〜4のいずれか一に記載の放射線硬化性組成物。
- 前記(A)成分における重合性不飽和基を含む有機化合物が、重合性不飽和基に加えて、下記式(3)に示す基を有する請求項5に記載の放射線硬化性組成物。
−U−C(=V)−NH− (3)
[式(3)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。] - 請求項2〜6のいずれか一に記載の放射線硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜。
- 請求項7に記載の硬化膜を含む積層体。
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