JP2006322878A - サンプル中のリガンドの分析方法及びサンプル中のリガンドを分析する装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非特異吸着物質の影響を低減し、かつ高精度なリガンドの分析方法を提供する。
【解決手段】サンプルの分析方法において、リガンドを含むサンプルをそのリガンド特異的にレセプターと結合させる反応にて生じた非特異吸着物質を、外部振動を印加する事により、分離及び除去し、非特異吸着物質の分離及び除去により生じた変化を表面プラズモン共鳴角の安定した幅として検出することで、非特異吸着物質の分離及び除去の達成を確認できる事を特徴としたサンプル中のリガンドの分析方法。
【選択図】図3
【解決手段】サンプルの分析方法において、リガンドを含むサンプルをそのリガンド特異的にレセプターと結合させる反応にて生じた非特異吸着物質を、外部振動を印加する事により、分離及び除去し、非特異吸着物質の分離及び除去により生じた変化を表面プラズモン共鳴角の安定した幅として検出することで、非特異吸着物質の分離及び除去の達成を確認できる事を特徴としたサンプル中のリガンドの分析方法。
【選択図】図3
Description
本発明は、サンプル中のリガンドの分析方法及びサンプル中のリガンドを分析する装置に関するものである。
本発明は、サンプル中のリガンドの分析方法及びサンプル中のリガンドの分析装置に関し、より詳細には表面プラズモン共鳴の原理を用い、電気的振動、磁気的振動及び機械的振動の少なくとも一つを印加することにより、レセプターを振動させ、非特異吸着物質の分離及び除去し、分離及び除去の達成を確認する技術に関する。
本発明は、表面プラズモン共鳴装置に係わり、特に非特異吸着物質の分離及び除去により測定精度及び再現性の向上に好適に利用でき、さらには生体分子の分離及び精製方法及び装置に関し、外部振動を印加することにより、効率良い生体分子の分離及び精製装置に利用できるものである。
生化学的反応においては、レセプターとリガンドとの結合という反応が重要である。例えば抗原抗体反応では、レセプターとして抗体が、リガンドとして抗原と結合する。また、例えば酵素反応では、レセプターとして酵素が、リガンドとして酵素基体と結合する。このような反応を利用すれば、サンプル中に含まれるリガンドを、検出することが可能である。
例えば、金属薄膜表面に、レセプターを結合させておき、リガンドがレセプターに結合すると、その金属薄膜近傍の誘電率が変化する。表面プラズモン現象を利用して、その変化を検出し、リガンドとレセプターの結合量を分析する方法が知られている(非特許文献1参照)。この方法ではまず、前記のような金属薄膜に、レセプターが結合されている表面の裏から、全反射条件を満たす角度で光を照射する。その入射光により励起された表面プラズモンの波数と、励起光に由来するエバネッセント波の波数が一致する特定の入射角の時だけに、入射光の光量の一部が表面プラズモンの励起に使われ、反射光の光量が減少する。金属薄膜近傍の誘電率の変化を、例えば、入射光の角度を変化させて反射光を計測し、吸収が最大になる入射光の角度を求める方法や、入射光の角度を一定に保ち、吸収が最大になる反射光の角度を求める方法が知られている。また。レセプターが固定されている金属薄膜の裏面に電気的振動である電界を印加することで金属薄膜に資料の分離及び移動制御する技術(例えば、特許文献1参照)や金属薄膜の屈折率の変化を利用して多量の資料を一度に計測する技術(例えば、特許文献2参照)やレセプター領域に外部振動を印加することでレセプター分子の追従周波数を測定する技術が提案されている。
Anal.Chem.,1988,70,2019−2024) 特開2003−65947号公報
特開2003−75336号公報
Anal.Chem.,1988,70,2019−2024)
しかしながら、リガンドとレセプターとの結合反応を分析評価する従来の方法は、リガンド及び測定対象外物質が、レセプターの特異結合部位以外の箇所への吸着や、金属薄膜表面への吸着、そして、リガンド分子間で結合するなどの非特異吸着が発生し、その影響がゆえに、リガンドとレセプターとの結合反応を正確に分析評価することができず、再現性及び測定精度が得ることが困難であった。
そこで、本発明は、前記従来の課題を解決するもので、レセプター領域に定周波の外部振動を印加することにより、リガンドとレセプターとの反応で起こりうる非特異吸着物質を分離及び除去し、さらには非特異吸着物質の分離及び除去を確認することで、非特異吸着物質の影響を低減した測定精度が高く、かつ再現性が得られるサンプル中のリガンドの分析方法及びサンプル中のリガンドを分析する装置の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の分析方法は、リガンドを含むサンプルと、前記リガンドと特異的に結合しうるレセプターがその片面上に固定化され、その裏面に光学プリズムが配置された、表面プラズモン共鳴を起しうる金属薄膜と、計測光を照射する照射手段と、前記計測光の反射光を受光する受光手段と、前記レセプターと結合したリガンドを分析する分析手段と、前記レセプターが固定された面に外部振動を印加する印加手段を準備し、前記サンプルと前記金属薄膜とを接触させて前記サンプル中の前記リガンドを前記レセプターに結合させ、前記照射手段により、前記金属薄膜の前記レセプターが固定された面と逆の面に、計測光を照射し、前記受光手段により、前記金属薄膜の面上で反射された前記計測光の反射光を受光し、前記分析手段により、前記反射光から前記金属薄膜近傍の誘電率の変化により生じた表面プラズモン共鳴角の変化を検出し、さらに、前記外部振動印加手段により、前記金属薄膜の前記レセプターが固定された面に外部振動を印加することにより、その周波数特性を得、その周波数特性から前記レセプターと結合した前記サンプル中のリガンドを分析する方法において、定周波の外部振動を印加することにより前記金属薄膜に固定された前記レセプターを振動させ、リガンドの振動力及び電気的外部振動の際は、振動力に加えてクーロン力により非特異吸着物質を分離及び除去することを特徴とする。
また、前記レセプターの振動により、表面プラズモン共鳴角が変化し、表面プラズモン共鳴角に幅が生じる。非特異吸着物質の分離及び除去により、前記表面プラズモン共鳴角の幅は徐々に安定していく。前記安定した幅を検出した時点が非特異吸着物質の分離及び除去されたことであり、非特異吸着物質の分離及び除去の達成と確認することを特徴とする。
このように、本発明の分析方法及び装置では、定周波の外部振動を与えることにより、特異吸着物質と比較して結合力の弱い非特異吸着物質のみを選択的に分離及び除去することが可能となる。
また、本発明の免疫測定方法及び測定装置によれば、安定した表面プラズモン共鳴角の幅を確認することで、非特異吸着物質の影響を低減した測定を可能とすることができる。
さらに、複数物質が混合された試料において、振動直後の表面プラズモン共鳴角の幅と安定した表面プラズモン共鳴角の幅を測定することで、特異吸着物質と非特異吸着物質の割合を検出することができる。
本発明の分析方法および装置において、レセプターとリガンドとしては、少なくとも一方が、荷電を帯びているのが好ましい。外部振動として電気的振動を与える際に、前記金属薄膜表面の誘電率が変化しやすくなるからである。レセプターとリガンドの組み合わせとしては、例えば、抗原と抗体、抗体と抗原、ホルモンとホルモン受容体、ホルモン受容体とホルモン、ポリヌクレオチドとポリヌクレオチド受容体、ポリヌクレオチド受容体とポリヌクレオチド、酵素阻害剤と酵素、酵素と酵素阻害剤、酵素基質と酵素、酵素と酵素基質等が挙げられる。
金属薄膜近傍の誘電率変化のメカニズムを以下に説明する。前記レセプター及び前記リガンドに外部振動を与えると、金属薄膜に追従し、前記レセプター及び前記リガンドが前記薄膜表面に密集する。そうすると、前記金属薄膜におけるエバネッセント領域の分子密度が変化する。この分子密度の変化により、エバネッセント領域の誘電率が変化、すなわち前記金属薄膜近傍の誘電率が変化する。
本発明の分析方法において、前記印加手段は、電気的振動、磁気的振動及び機械的振動の少なくとも一つを印加する手段であるのが好ましく、少なくとも電気的振動を印加する手段であるのがより好ましい。
また、前記金属薄膜の前記レセプターが固定された面上で反射された前記計測光の反射光を受光する手段を準備し、表面プラズモン共鳴角の振動幅の安定した時点をもって非特異吸着物質の分離及び除去達成のメカニズムを以下に説明する。前記レセプター及び前記リガンドに定周波数の電気的外部振動である交流電界を印加することで前記リガンド及び前記レセプターは一定の周波数で振動する。その結果、前記金属薄膜におけるエバネッセント領域の誘電率が一定の変化を生じ、前記金属薄膜の前記レセプターが固定された面上で反射された計測光に含まれる表面プラズモン共鳴角に一定の幅を有した振動という変化が生じる。非特異吸着を生じた際は、定周波の電気的外部振動を印加することにより、前記レセプター及び前記リガンドが振動する。前記電気的外部振動により、前記レセプター及び前記リガンドが生じる振動力及び交流電界を印加することにより、発生するクーロン力が生じ、前記レセプターと前記リガンド間の特異的結合より結合の弱い非特異吸着物質のみが分離及び除去されるため、エバネッセント領域の誘電率の変化が安定し、前記金属薄膜の前記レセプターが固定された面上で反射された計測光に含まれる表面プラズモン共鳴角は、安定な幅として検出される。また、非特異吸着物質が除去及び分離されない場合は、所定の電圧を段階的に変動させる事で分離及び除去が可能となる。
図1は、本発明の第1の実施例における免疫測定装置の最適な形態を示す。
図1において、1は金属薄膜兼上部電極、2は下部電極、3は金属薄膜兼上部電極に固定されたレセプター、4はレセプターに特異吸着したリガンド、5はレセプターに非特異吸着した物質、6は交流源、7は交流源6の周波数を1/nに変換する分周器、8及び18は外部クロック周波数に比例して特定周波数のみを通す帯域通過型アクティブフィルタ、9は交流電界、10は光源、11はプリズム、12は計測光、13は受光装置、14は反射光、15はプラズモンの励起により光量の一部が減少した反射光暗部、16はコンデンサ、17は増幅器、19は表面プラズモン共鳴角の振動幅を検出する検出器、20は検出器19により得られたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータである。
金属薄膜兼上部電極1と下部電極2と金属薄膜兼上部電極1に固定されたレセプター3から構成されたものに試料を導入することで、レセプター3に特異吸着したリガンド4とレセプター3に非特異吸着した物質5が結合する。ここに金属薄膜兼上部電極1及び下部電極2に交流源6と分周器か7からなるユニットを接続する。交流源6によりnfの周波数を持った定周波数の電気的外部振動である交流電界9が印加され、レセプター3を分子の方向転換により振動させる。このレセプター3の振動により、リガンド4及び非特異吸着物質5も振動する。一般的に、レセプターと金属薄膜間結合は、レセプターとリガンドとの分子間の結合より結合力が強く、レセプターとリガンドとの特異結合は、レセプターと非特異結合より結合力が強い。そのため、電気的外部振動である交流電界9により、電極間にクーロン力が発生する。そして、レセプターの振動力とクーロン力により最も結合力の弱い非特異吸着物質5は、流体中に放出され、非特異吸着物質5を分離及び除去する。
光源10はROHM社製AlGaAsダブルへテロ接合可視光半導体レーザ、松下日東社製コリメートレンズ及びシグマ光機社製偏光ビームスプリッタから構成されており、そこから発せられた計測光12はビームスプリッタによりp偏光の光のみで、入射角θを変化させながら日本電子レーザ社製のプリズム11を通して日本電子レーザ社製の金で構成されている金属薄膜兼上部電極1に照射される。入射角を変化させる方法として、光源10を駆動させ、計測光12を金属薄膜兼上部電極1上に走査させてもよいし、光源10を固定させポリゴンミラースキャナ等の反射鏡を駆動させ計測光12を走査させてもよい。
金属薄膜兼上部電極1に照射された計測光12は金属薄膜兼上部電極1で全反射し、反射光14が生じる。ある特定の入射角θで金属薄膜兼上部電極1に計測光12が照射されると、エバネッセント波が発生し、表面プラズモン共鳴と言われるプラズモン波の励起に光量の一部が使われ、光量が減少した反射光暗部15が発生する。浜松ホトニクス社製の有効画素数1024×252のCCDエリアイメージセンサにナショナルセミコンダクタ社製オペアンプ及び抵抗素子を用いて反射光14の強度を電圧に変換する受光装置13を用いてその反射光14の強度を検出する。
ここでエバネッセント波領域の計測光に対する誘電率を支配しているのはレセプターが有する電子分極成分であるので、交流電界9により金属薄膜兼上部電極1表面のエバネッセント領域のレセプター3が方向転換すれば電子の密度中心も変化するので誘電率が変わり、よってプラズモン共鳴が生じる反射光暗部15の特定の角度も受光装置13を囲む範囲で振動する。
従って、従来レセプターとリガンドとの相互作用の検出の弊害となっていた非特異吸着物質において、電気的外部振動を与えることで、分離及び除去することが可能となり、非特異吸着物質の影響を低減したレセプターとリガンドとの結合を分析評価することが実現できる。さらに、反射光暗部15を含む反射光14は光検出器13で検出され、その交流成分が増幅器17を通し増幅される。アクティブフィルタ18で外部振動の信号成分以外が除去され、検出器19で外部振動の位相と反射光に含まれる外部振動の信号成分の位相が比較される。得られたアナログ信号はA/Dコンバータ20によりデジタル信号に変換される。
図1の実施例は金属薄膜兼電極を上部、電極を下部にしたが、上下を逆転または左右に配置しても有効であることは言うまでもない。
図1の実施例は、レセプターに結合した非特異吸着物質としたが、金属薄膜面への吸着、レセプターに結合したリガンドへの非特異吸着など測定を阻害する非特異吸着物質全般を含むことは言うまでもない。
図1の実施例は、レセプターに結合した非特異吸着物質としたが、金属薄膜面への吸着、レセプターに結合したリガンドへの非特異吸着など測定を阻害する非特異吸着物質全般を含むことは言うまでもない。
図2(a)から(b)に、本発明の装置の一例中、金属薄膜状にレセプターを設置せずに測定した表面プラズモン共鳴曲線と、レセプターとして水を設置して測定した表面プラズモン共鳴曲線の一例を示す。それぞれの図において、横軸は計測光12の入射角度であり、縦軸は、反射光5の強度を示す。図2(a)は、レセプター無しの場合、図2(b)は、レセプターとして水を用いた場合の表面プラズモン共鳴曲線である。なお、この測定においては、外部振動は印加していない。図2(a)および(b)に示されるように、レセプターの有無により、表面プラズモン共鳴の生じる角度が変化する。すなわち、本発明の装置の一例により、金属薄膜近傍の誘電率の変化に伴う表面プラズモン共鳴角の変化を測定できることが示されている。
図3は、電気的外部振動である交流電界による非特異吸着物質の分離及び除去の経時的変化を示す模式図である。
図3において、21及び29は金属薄膜兼電極、22及び30は交流電界、23及び31は金属薄膜兼電極21及び29に結合したレセプター、24及び32はレセプター23及び31に結合したリガンド、25及び33はレセプター23及び31に結合した非特異吸着物質、26及び34は計測光、27及び35は反射光、28及び36はプラズモンの励起により光量の一部が減少した反射光暗部、37は非特異吸着分離及び除去段階により不安定なプラズモン励起による光量の一部が減少した反射光暗部の幅、38は非特異吸着物質分離及び除去により安定になったプラズモン励起による光量の一部が減少した反射光暗部の幅である。
図3において、電気的外部振動である交流電界22を印加することにより、金属薄膜兼上部電極21近傍のレセプター23が振動する。レセプター23に結合した非特異吸着物質25が分離・除去される段階においては、プラズモン共鳴が生じる反射暗線部28の振動幅37は、不安定な振動が生じる。引き続き電気的外部振動である交流電界30を印加することにより、レセプター31に結合した非特異吸着物質33が、分離及び除去される。非特異吸着物質33が分離及び除去されるに従って、プラズモン共鳴が生じる反射暗線部36の振動がしだいに一定の安定幅38になる。この安定な振動幅38の最大値もしくは平均値を検出することで非特異吸着物質の分離及び除去が確認できる。なお、非特異吸着物質の分離及び除去の原理としては、交流電界印加により、レセプター31が振動する力及びクーロン力によるものである。
本発明で用いたサンプルは、リン酸(シグマアルドリッチ社製)に水酸化ナトリウムを添加し、pH7.0に調整した1%リン酸緩衝液に牛血清アルブミン(シグマアルドリッチ社製。リガンドとして使用)を10μg/mlになるように調製したものである。また、レセプターは、牛血清アルブミン抗体(シグマアルドリッチ社製)である。
図1及び図3は、定周波数の外部振動として電気的外部振動である交流電界を選択したが、磁気的振動、機械的外部振動でも可能であるが、電気的外部振動である交流電界を印加した方が効果的である。
以上のことから、外部振動を印加することにより非特異吸着物質を除去し、前記表面プラズモン共鳴角の安定した幅を検出することで、前記レセプター分子に非特異吸着した物質の分離及び除去の達成を確認できることを示した。
本発明者は、上記の結果を下記のメカニズムにより生じたものと推察している。図4は、電場によるリガンドの非特異吸着の分離及び除去を確認するための手順である。リン酸(シグマアルドリッチ社製)に水酸化ナトリウムを添加し、pH7.0に調整した1%リン酸緩衝液にリガンドを添加したものをサンプルとし、金属薄膜兼上部電極に固定化させたレセプターと反応させた。リガンドとして、牛血清アルブミン(シグマアルドリッチ社製。分子量66kDa、解離定数(Kd)6.6×10−12M)とインスリン(シグマアルドリッチ社製。分子量6kDa、解離定数(Kd)2×10−12M)の2種類をそれぞれ用意し、牛血清アルブミン含有サンプルには牛血清アルブミン抗体(シグマアルドリッチ社製。レセプターとして使用)と、インスリン含有サンプルにはインスリン抗体(シグマアルドリッチ社製。レセプターとして使用)とをそれぞれ反応させた。図4は、金属薄膜兼上部電極1から下部電極2の方向に電場を印加し、電圧を掃引することで、牛血清アルブミン及び牛血清アルブミン抗体とインスリン及びインスリン抗体との結合状態の影響を比較したものである。(a)がインスリン、(b)が牛血清アルブミンである。(A)は非特異吸着物質の分離及び除去段階、(B)はリガンドとレセプターとの結合の定常状態、(C)はリガンドの解離、(D)はリガンドが分離されたレセプターであると考えられる。図4は、各物質により電位勾配を牽引することで、リガンドとレセプターの解離状態が異なることを示している。インスリンとインスリン抗体の解離定数は2×10−12Mであり、牛血清アルブミンと牛血清アルブミン抗体の解離定数は、6×10−12Mであり、牛血清アルブミンと牛血清アルブミン抗体との解離定数が大きい。すなわち、牛血清アルブミンと牛血清アルブミン抗体と比較して、インスリンとインスリン抗体との結合が強いということが既知のデータから示されているが、今回の図4からも同様のことが示されている。すなわち、一般的にレセプターと金属薄膜間結合は、レセプターとリガンドとの特異結合より結合力が強く、レセプターとリガンドとの分子間の結合は、レセプターと非特異吸着物質間の結合より結合力が強いため、外部振動を印加することで、レセプターと金属薄膜との結合を解離することなく、非特異吸着物質を分離及び除去し、表面プラズモン共鳴角の安定した幅を検出することで非特異吸着物質の分離及び除去の達成を確認できることで非特異吸着物質の影響を低減したサンプル中のリガンドの分析が実現できると考えている。
本発明にかかるサンプル中のリガンドの分析方法及びサンプル中のリガンドを分析する装置は、外部振動をすることにより、非特異吸着物質を分離及び除去し、非特異吸着物質の分離及び除去の達成を確認することで、従来測定の弊害となっていた非特異吸着物質の影響を低減した測定が可能となる。
1、21、29 金属薄膜兼上部電極
2 下部電極
3、23、31 金属薄膜兼上部電極に固定されたレセプター
4、24、32 レセプターに特異吸着したリガンド
5、25、33 レセプターに非特異吸着した物質
6 交流源
7 交流源の周波数を分ける分周器
8、18 特定周波数のみを通すアクティブフィルタ
9、22、30 交流電界
10 光源
11 プリズム
12、26、34 計測光
13 受光装置
14、27、35 反射光
15、28、36 プラズモンの励起により光量の一部が減少した反射光暗部
16 コンデンサ
17 増幅器
19 表面プラズモン共鳴角の振動幅を検出する検出器
20 検出器19により得られたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ
37 非特異吸着分離及び除去段階により不安定なプラズモン励起による光量の一部が減少した反射光暗部の幅
38 非特異吸着物質分離及び除去により安定になったプラズモン励起による光量の一部が減少した反射光暗部の幅
2 下部電極
3、23、31 金属薄膜兼上部電極に固定されたレセプター
4、24、32 レセプターに特異吸着したリガンド
5、25、33 レセプターに非特異吸着した物質
6 交流源
7 交流源の周波数を分ける分周器
8、18 特定周波数のみを通すアクティブフィルタ
9、22、30 交流電界
10 光源
11 プリズム
12、26、34 計測光
13 受光装置
14、27、35 反射光
15、28、36 プラズモンの励起により光量の一部が減少した反射光暗部
16 コンデンサ
17 増幅器
19 表面プラズモン共鳴角の振動幅を検出する検出器
20 検出器19により得られたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ
37 非特異吸着分離及び除去段階により不安定なプラズモン励起による光量の一部が減少した反射光暗部の幅
38 非特異吸着物質分離及び除去により安定になったプラズモン励起による光量の一部が減少した反射光暗部の幅
Claims (11)
- リガンドを含むサンプルと、前記リガンドと特異的に結合しうるレセプターがその片面上に固定され、その裏面に光学プリズムが配置された、表面プラズモン共鳴を起しうる金属薄膜と、計測光を照射する照射手段と、前記計測光の反射光を受光する受光手段と、前記レセプターと結合したリガンドを分析する分析手段とを準備し、前記サンプルと前記金属薄膜とを接触させて前記サンプル中の前記リガンドを前記レセプターに結合させ、前記照射手段により、前記金属薄膜の前記レセプターが固定された面と逆の面に、計測光を照射し、前記受光手段により、前記金属薄膜の面上で反射された前記計測光の反射光を受光し、前記分析手段により、前記反射光から、前記金属薄膜近傍の誘電率の変化により生じた表面プラズモン共鳴角の変化を検出する、サンプル中の前記リガンドの分析方法であって、前記レセプターが固定された領域に外部振動を印加する印加手段を準備し、前記外部振動を印加することにより、前記リガンドと前記レセプターとの特異吸着を分離することなく、非特異吸着物質のみを分離及び除去が達成されたことを、前記受光手段から検出した信号成分である前記表面プラズモン共鳴角の振動幅の変化として検出することを特徴としたサンプル中のリガンドの分析方法。
- 前記サンプル中の前記リガンドを分析する方法として、前記レセプターが固定された領域に外部振動を印加する手段を準備し、前記照射手段により前記計測光を照射しながら、前記印加手段により、前記金属薄膜の前記レセプターが固定された面に前記外部振動を印加し、前記分析手段により、さらに、前記外部振動に対する表面プラズモン共鳴角の周波数特性を得、その周波数特性から前記レセプターと結合した前記サンプル中のリガンドを分析する手段を有したことを特徴とした請求項1記載のサンプル中のリガンドの分析方法。
- 前記レセプターと前記リガンドの少なくとも一方が電荷を帯びていることを特徴とした請求項2に記載のサンプル中のリガンドの分析方法。
- 前記印加手段が、電気的振動、磁気的振動及び機械的振動の少なくとも一つを印加する手段であることを特徴とした請求項2記載のサンプル中のリガンドの分析方法。
- 前記レセプターと結合した前記サンプル中の前記リガンドの量を分析することを特徴とした請求項2記載のサンプル中のリガンドの分析方法。
- 前記外部振動を印加する手段として、定周波数の外部振動を印加することを特徴とした請求項2記載のサンプル中のリガンドの分析方法。
- 前記レセプターと前記リガンドとの組み合わせが、抗原と抗体、抗体と抗原、ホルモンとホルモン受容体、ホルモン受容体とホルモン、ポリヌクレオチドとポリヌクレオチド受容体、ポリヌクレオチド受容体とポリヌクレオチド、酵素阻害剤と酵素、酵素阻害剤と酵素、酵素基質と酵素または酵素と酵素基質であることを特徴とした請求項2に記載のサンプル中のリガンドの分析方法。
- 前記計測光の反射光に含まれる前記外部振動の信号成分として、最大値もしくは平均値を用いることを特徴とした請求項2記載のサンプル中のリガンドの分析方法。
- 前記外部振動の印加方法として、外部振動による所定の力を段階的に変動させることを特徴とした請求項2記載のサンプル中のリガンドの分析方法。
- 前記表面プラズモンの振動幅の変化として、不安定な振動幅から安定した振動幅変化した時点を検出することを特徴とした請求項2記載のサンプル中のリガンドの分析方法。
- 請求項1〜請求項10記載のサンプル中のリガンド分析方法を用いたサンプル中のリガンドの分析装置。
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---|---|---|---|
JP2005147877A JP2006322878A (ja) | 2005-05-20 | 2005-05-20 | サンプル中のリガンドの分析方法及びサンプル中のリガンドを分析する装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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2005
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