JP2006317284A - ポジションセンサ用の検出部、及びそれを用いたポジションセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】
使用環境による誘導電圧やインピーダンス変化等の影響を低減できるポジションセンサ用の検出部、及びそれを用いたポジションセンサを提供する。
【解決手段】
ポジションセンサ用の検出部1は、検出コイルLと、検出コイルLが巻装されるコイルボビン3と、検出コイルL内に出没自在に設けられ、検出コイルLに対してその中心軸(巻軸)方向に相対変位するコア2と、検出コイルLの外周面を覆う磁気シールド用のシールド部材4と、これら検出コイルLが巻装されたコイルボビン3とコア2とシールド部材4とが収納されるケース5とを備え、シールド部材4は、コイルボビン3に被嵌される内殻部4aと、内殻部4aの外周面を覆う外殻部4bとで構成されている。
【選択図】図1
使用環境による誘導電圧やインピーダンス変化等の影響を低減できるポジションセンサ用の検出部、及びそれを用いたポジションセンサを提供する。
【解決手段】
ポジションセンサ用の検出部1は、検出コイルLと、検出コイルLが巻装されるコイルボビン3と、検出コイルL内に出没自在に設けられ、検出コイルLに対してその中心軸(巻軸)方向に相対変位するコア2と、検出コイルLの外周面を覆う磁気シールド用のシールド部材4と、これら検出コイルLが巻装されたコイルボビン3とコア2とシールド部材4とが収納されるケース5とを備え、シールド部材4は、コイルボビン3に被嵌される内殻部4aと、内殻部4aの外周面を覆う外殻部4bとで構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ポジションセンサと、ポジションセンサ用の検出部に関する。
従来から、図6(a)に示すようなポジションセンサが提供されており、このようなポジションセンサは、検出部100と、駆動回路200と、信号処理回路300とで構成されている(特許文献1)。
ここで、検出部100は、図6(b)に示すように、中空の検出コイル101と、検出コイル101が外周面に巻装される円筒状のコイルボビン102と、コイルボビン102内(検出コイル101の巻線内)に出没自在に設けられ、検出コイル101に対してその中心軸(巻軸)方向に相対変位する磁性材料からなる棒状のコア103とを備えており、樹脂製のケースに収納された状態や、樹脂モールドされた状態で用いられる。
駆動回路200は、検出コイル101に所定の周波数及び振幅の定電流を出力する定電流回路であり、所定の振幅の直流電圧に所定の周波数及び振幅の交流電圧を重畳した定電圧を発生する発振回路201と、発振回路201が出力する定電圧を定電流に変換するV−I回路(電圧−電流変換回路)202とから構成されている。
信号処理回路300は、駆動回路200が出力する定電流及び検出コイル101のインピーダンスにより決まる検出コイルの両端電圧(検出信号)のピーク値V1に応じて、コア103と検出コイル101との位置情報を示す出力信号Voutを出力するものであり、ピークホールド回路301と、AD変換回路302と、レベルシフト部303a、温度補償部303b、及び増幅部303cを有するデジタル演算ブロック303とから構成されている。ピークホールド回路301では、検出コイル101の両端電圧のピーク値V1を抽出し、AD変換回路302では、ピーク値V1をデジタル信号DV1に変換するようになっている。そして、デジタル演算ブロック303では、デジタル信号演算としてレベルシフト部303aで所定のデジタル量を加算してレベルシフトを行ったデジタル信号DV2を出力し、温度補償部303bでは、温度補償を実行する演算をデジタル信号DV2に対して行い、増幅部303cでは、温度補償部303bが出力するデジタル信号を増幅して、デジタル信号の出力信号Voutを出力するようになっている。
特開2004−29002号公報(第27図、第43図)
上記のポジションセンサに用いられる検出部100は、樹脂製のケースに収納された状態や、樹脂モールドされた状態で用いられるので、ポジションセンサを設置した際に、検出部100の近傍に外部電線が存在すると、外部電線に流れる電流により発生する磁界の影響によって、検出コイル101に誘導起電力が発生する場合がある。特に、図6(a)に示すようなピークホールド回路301を備えるポジションセンサでは、このような誘導起電力によって出力電圧Voutが変動するおそれがある。
また、検出部100の周囲に鉄や、アルミニウム、真鍮等の金属が配置されている場合には、これら周囲金属によって検出コイル101のインピーダンスが変化してしまうので、設置場所ごとに検出コイル101のインピーダンスがばらつくおそれがある。
このようなポジションセンサの設置場所(つまりは使用環境)による影響は、一般的な電子機器であれば特に無視できる程度のものであった。しかしながら、自動車や航空機等、特別な安全性が要求される使用環境では、各種の環境試験に要求される試験条件が一般的な電子機器に比べて非常に厳しくなっている。たとえばセンサの出力値の変動許容値が一般的な電子機器に比べて小さくなっているので、上述した誘導起電力やインピーダンス変化によって、センサの出力値の変動が規定の変動許容値を超えてしまうおそれがある。このように、自動車や航空機等、特別な安全性が要求される使用環境では、センサの設置場所による影響が無視できなくなる。
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、使用環境による誘導起電力やインピーダンス変化等の影響を低減できるポジションセンサ用の検出部、及びそれを用いたポジションセンサを提供することである。
上記の課題を解決するために、請求項1のポジションセンサ用の検出部では、中空の検出コイルと、検出コイル内に出没自在に設けられ検出コイルに対してその中心軸方向に相対変位するコアと、少なくとも検出コイルの外周面を覆う磁気シールド用のシールド部材とを備え、シールド部材は、鉄系金属材料からなる内殻部と、前記鉄系金属材料よりも導電性が高い導電性材料からなる外殻部とで構成されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、シールド部材を備えているので、検出部の近傍に検出コイルの巻軸方向に交差する方向の外部電線が配置されていても、この外部電線から発生する磁界の磁束はほとんどがシールド部材中を通過することになって、シールド部材で覆われた検出コイルとは鎖交しないので、磁界によって検出コイルに誘導起電力が生じることを防止できる。また、シールド部材は磁性材料である鉄系金属材料からなる内殻部を有しているので、数百kHz〜数十MHzの輻射ノイズの影響を低減することができる。さらに、シールド部材は内殻部に加えて前記鉄系金属材料よりも導電性が高い導電性材料からなる外殻部を有しているので、検出部の近傍に配置された金属板等に起因する検出コイルのインピーダンス変化を内殻部だけの場合に比べて低減することができる。
請求項2のポジションセンサ用の検出部では、請求項1の構成に加えて、内殻部を構成する鉄系金属材料は、磁気焼鈍されていることを特徴とする。
請求項2の発明によれば、鉄系金属材料の内部応力を低減して導磁率を向上させることができ、磁気シールド効果をより高めることができる。
請求項3のポジションセンサ用の検出部では、請求項1又は2の構成に加えて、外殻部は、内殻部の表面全面に設けられていることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、内殻部を構成する鉄系金属材料の防錆効果を得ることができる。
請求項4のポジションセンサ用の検出部では、請求項1〜3のいずれか1項の構成に加えて、コアを被検出体に連結する非磁性体のシャフトと、コアの可動範囲外において該シャフトを前記中心軸方向に摺動自在に支持する軸受け部とを有していることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、シャフトと軸受け部とによりコアの移動方向が検出コイルの中心軸方向のみに規制されるから、コアが前記中心軸方向以外の方向に移動して他の部材に当たることがなくなる。これによりコアに歪や応力が生じなくなるので、ビラリ効果によってコアの透磁率が変化することがなくなり、このような透磁率の変化に起因する検出コイルのインピーダンス変化を防止することができる。
請求項5のポジションセンサ用の検出部では、請求項1〜3のいずれか1項の構成に加えて、コアに固定されてコアと共動する第1摺動部と、検出コイルに固定されて第1摺動部が前記中心軸方向に摺動自在に当接される第2摺動部とで構成されるガイドを備え、第1摺動部とコアは、前記中心軸方向に並行していることを特徴とする。
請求項5の発明によれば、ガイドによってコアの移動方向が検出コイルの中心軸方向のみに規制されるから、コアが前記中心軸方向以外の方向に移動して他の部材に当たることがなくなる。これによりコアに歪や応力が生じなくなるので、ビラリ効果によってコアの透磁率が変化することがなくなり、このような透磁率の変化に起因する検出コイルのインピーダンス変化を防止することができる。しかも、第2摺動部に当接される第1摺動部とコアとが前記中心軸方向に並行しているので、コアの可動範囲内で両摺動部が当接することになり、これにより検出部を大型化しなくて済む。
請求項6のポジションセンサ用の検出部では、請求項1〜5のいずれか1項の構成に加えて、シールド部材は、コアの可動範囲全体を覆うように形成されていることを特徴とする。
請求項6の発明によれば、コアの可動範囲内ではコアがその位置によらずに常にシールド部材で覆われることになるので、外部磁界の磁束がコア中を通ることがなくなり、これにより、外部磁界の磁束によってコアの磁気特性が変化してしまうことを防止でき、コアの磁気特性の変化に起因するセンサの出力電圧の変動が生じることがなくなる。
請求項7のポジションセンサ用の検出部では、請求項5の構成に加えて、第1摺動部と第2摺動部は、コアの可動範囲内においてコアが検出コイルから最も離間した状態で両摺動部の当接部分が最も少なくなるとともに、コアの可動範囲内においてコアが検出コイル内に最も没入した状態で両摺動部の当接部分が最も多くなるように配置され、前記中心軸方向においてコアが検出コイルから離間する方向側の第2摺動部の端面は、検出コイルに固定されてコアと相対変位する部材の前記方向側の端面の中で最も前記方向側に位置し、前記方向側のコアの端面は、前記のコアが検出コイル内に最も没入した状態で前記方向側の第2摺動部の端面と前記中心軸方向で略同じ位置に位置していることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、コアの可動範囲内においてコアが検出コイル内に最も没入した状態で、前記中心軸方向においてコアが検出コイルから離間する方向側のコアの端面が、前記方向側の第2摺動部の端面と前記中心軸方向で略同じ位置に位置しているので、コアと被検出体とを連結するための部材の長さ寸法に、前記コアの端面と前記第2摺動部の端面との間の長さ寸法分を確保する必要がなくなり、これにより、検出部を小型化することが可能になる。
請求項8のポジションセンサ用の検出部では、請求項7の構成に加えて、コアに固定されてコアと共動するとともにシールド部材で覆われていないコアの部位を覆う強磁性体部を備えていることを特徴とする。
請求項8の発明によれば、外部磁界の磁束や輻射ノイズ等から常にコアを防護することができる。
請求項9のポジションセンサでは、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポジションセンサ用の検出部と、検出コイルに所定の周波数及び振幅の定電流を出力する駆動回路と、定電流及び検出コイルのインピーダンスにより決まる電圧信号をコアと検出コイルとの位置情報を示す出力信号に変換する信号処理回路とを備えていることを特徴とする。
請求項9の発明によれば、使用環境による誘導起電力やインピーダンス変化等の影響を低減できるポジションセンサを得ることができる。
請求項10のポジションセンサでは、請求項9の構成に加えて、シールド部材は、駆動回路又は信号処理回路の安定電位点に電気的に接続されていることを特徴とする。
請求項10の発明によれば、シールド部材が安定電位点に電気的に接続されているので、輻射ノイズに対してさらに大きなシールド効果を得ることができる。
本発明は、磁性材料である鉄系金属材料からなる内殻部と、前記鉄系金属材料よりも導電性の高い導電性材料からなる外殻部とで構成されたシールド部材を備えるので、検出部の近傍に検出コイルの巻軸方向に交差する方向の外部電線が配置されたとしても、外部電線の磁界によって検出コイルに誘導起電力が生じることを防止できるという効果があり、また、数百kHz〜数十MHzの輻射ノイズの影響を低減することができるという効果があり、さらに、検出部の近傍に配置された金属板等に起因する検出コイルのインピーダンス変化を低減できるという効果がある。
以下に、本発明の実施形態について図1〜図5を用いて説明する。尚、特に断りがない限りは、図1の上方を検出部の上方とし、図1の下方を検出部の下方とする。また尚、図1、4,5では説明の簡略化のために、図2とは縦横の比率を異ならせてある。
(実施形態1)
本実施形態のポジションセンサは、図1に示すように、中空の検出コイルLと、検出コイルL内に出没自在に設けられ検出コイルLに対してその中心軸(巻軸)方向(図1における上下方向)に相対変位するコア2と、検出コイルLの外周面を覆う磁気シールド用のシールド部材4とを備える検出部1を有するとともに、検出部1の検出コイルLに所定の周波数及び振幅の定電流を出力する駆動回路(図示せず)と、前記定電流及び検出コイルLのインピーダンスにより決まる電圧信号をコア2と検出コイルLとの位置情報を示す出力信号に変換する信号処理回路(図示せず)とを備えている。尚、上記の駆動回路及び信号処理回路は、図6(a)に示す従来例と同様のものを用いることができるので、これらの説明は省略する。
本実施形態のポジションセンサは、図1に示すように、中空の検出コイルLと、検出コイルL内に出没自在に設けられ検出コイルLに対してその中心軸(巻軸)方向(図1における上下方向)に相対変位するコア2と、検出コイルLの外周面を覆う磁気シールド用のシールド部材4とを備える検出部1を有するとともに、検出部1の検出コイルLに所定の周波数及び振幅の定電流を出力する駆動回路(図示せず)と、前記定電流及び検出コイルLのインピーダンスにより決まる電圧信号をコア2と検出コイルLとの位置情報を示す出力信号に変換する信号処理回路(図示せず)とを備えている。尚、上記の駆動回路及び信号処理回路は、図6(a)に示す従来例と同様のものを用いることができるので、これらの説明は省略する。
検出部1は、図2(a)に示すように、フェライト等の磁性材料を用いて長尺の丸棒状に形成されたコア2と、検出コイルLが巻装されたコイルボビン3と、検出コイルLの外周面を覆うシールド部材4と、これらコア2とコイルボビン3とシールド部材4とが収納されるケース5とで構成されている。
コイルボビン3は、たとえば熱硬化性樹脂等を用いて形成されており、図1に示すように、両端が開口した長尺円筒状の巻胴部3aと、巻胴部3aの上端側に形成される円環状の第1鍔部3bと、巻胴部3aの下端側に下端開口を閉塞するように形成される円盤状の第2鍔部3cと、第2鍔部3cの下端側に設けられる円盤状の台部3dとを一体に備えている。ここで、巻胴部3aは、軸方向(上下方向)の長さ寸法がコア2の軸方向(上下方向)の長さ寸法よりも大きく形成されるとともに、内径がコア2の外径よりも大きく形成されて、コア2がコイルボビン3内に自在に出没できるようになっている。また、台部3dは、第2鍔部3cよりも大きい外径を有しており、この台部3d上にはシールド部材4が載置される。
シールド部材4は、図1に示すように、コイルボビン3に被嵌される内殻部4aと、内殻部4aの表面(外周面)の全面を覆う外殻部4bとで構成されている。
内殻部4aは、たとえば、鉄を用いて長尺の円筒状に形成されている。また、内殻部4aは、内径がコイルボビン3の両鍔部3b,3cを内包できる程度の大きさに形成されるとともに、外径がコイルボビン3の台部3dの外径と略等しくなるように形成されており、軸方向(上下方向)の長さ寸法がコイルボビン3の第1鍔部3bと台部3dの上面間の距離と略等しくなるように形成されている。さらに、内殻部4aには、図2(a)に示すように、軸方向(上下方向)にスリット4cが形成されており、軸方向に交差する方向における内殻部4aの断面形状は略C字状となっている。
このように強磁性体金属である鉄を用いてシールド部材4の母材となる内殻部4aを形成することで、磁気シールド効果を得ることができる。ここで、内殻部4aを形成する際には、たとえば焼鈍温度850℃で鉄を磁気焼鈍しておくことが好ましく、このように磁気焼鈍することによって鉄の内部応力を低減して導磁率を向上させることができ、磁気シールド効果を一層高めることができる。
ところで、内殻部4aを形成する材料は、鉄に限られるものではなく、強磁性体である鉄系金属であってもよいが、以下の理由により鉄が最適である。つまり、一般的なポジションセンサは、数百kHz〜数十MHzの周波数帯に自己共振周波数を有しているために、数百kHz〜数十MHzの周波数帯の輻射ノイズの影響を受けやすいが、鉄は数百kHz〜数十MHzの周波数帯に対して大きなシールド効果を有しているので、鉄を用いることで上記の数百kHz〜数十MHzの周波数帯の輻射ノイズの影響を低減することが可能になる。また、鉄は様々な加工が可能である点も有益な点の1つである。ただし、鉄は錆を発生するため、悪環境で使用する場合には適切な防錆処理を行うことが望ましい。このような防錆処理としては、単純に防錆油を塗布するほか、亜鉛クロメートめっき等の適切なめっき処理を施す方法がある。
外殻部4bは、たとえば、内殻部4aの外周面の全面に形成された銅めっき層からなる。ここで、外殻部4bに用いられる金属材料は銅に限られるものではなく、内殻部4aに用いられる鉄系金属材料(本実施形態では鉄)よりも高い導電性を有する導電性材料(良導体)であればよい。たとえば、銅ニッケルめっき層や、銀めっき層、金めっき層等を外殻部4bとして用いることができ、また、その形成方法もめっき処理に限らず金属蒸着等、状況に応じて好適なものを採用することができる。
このように鉄製の内殻部4aの外周面に銅めっき層からなる外殻部4bを形成することで、検出コイルLの近傍に配置された金属板M(図3(a)〜(c)参照)による検出コイルLのインピーダンス変化を、内殻部4aだけの場合に比べて抑えることができることが後述する試験によりわかっている。
前述の試験は、以下に述べるセッティングA〜Cのそれぞれについて、金属板Mを配置していない場合の検出コイルLのインピーダンスと、検出コイルLの中心軸に所定の間隔d2を隔てて金属板Mを配置した場合の検出コイルLのインピーダンスとを測定し、その変動量を求めるものである。セッティングAは図3(a)に示すように検出コイルLにシールド部材4を配置していないものであり、セッティングBは図3(b)に示すように検出コイルLの中心軸に所定の間隔d1を隔てて鉄製の内殻部4aのみを配置したものであり、セッティングCは図3(c)に示すように検出コイルLの中心軸に所定の間隔d1を隔てて鉄製の内殻部4aと銅めっき層からなる外殻部4bを備えるシールド部材4を配置したものである。
また、金属板Mとしては、同じ板厚の鉄、アルミ、真鍮製の3種類の金属板を用い、各金属板についてそれぞれ同様に試験を行った。尚、その他の条件(コアの挿入量やインピーダンスの測定周波数等)は固定条件としている。
この試験により得られた結果を表1に示す。
この結果から明らかなように、鉄製の内殻部4aと、銅めっき層からなる外殻部4bとで構成されたシールド部材4を用いることで、周囲金属に起因する検出コイルLのインピーダンス変化を最も抑えることができることがわかる。
ケース5は、たとえば、絶縁性樹脂を用いて、上面が開口した有底の長尺円筒状に形成されている。また、ケース5は、内径がシールド部材4の外径と略等しくなるように形成されるとともに、軸方向(上下方向)の長さ寸法がコイルボビン3の軸方向(上下方向)の長さ寸法よりも大きく形成されている。
以上の部材により検出部1は構成されており、各部材は次のようにして取り付けられている。コイルボビン3の巻胴部3aには、検出コイルLがコイルボビン3の軸方向を中心軸方向(巻軸方向)として巻装されている。このように検出コイルLが巻装されたコイルボビン3には、検出コイルLの外周面を覆うようにしてシールド部材4が被嵌され、この状態では、図1に示すように、シールド部材4の内部にコイルボビン3の両鍔部3b,3cが配置され、シールド部材4の下端面が台部3dの上面に当接している。そして、コイルボビン3はシールド部材4とともにケース5に収納され、この後に検出コイルLの中心軸方向を移動方向とするコア2がコイルボビン3内(つまりは検出コイルL内)に出没自在に配置される。以上により図1に示す検出部1が得られ、この検出部1では、コア2、コイルボビン3、シールド部材4、及びケース5が同一の中心軸を有するように配置されている。
このように構成された検出部1は、シールド部材4を備えているので、図1に示すように検出コイルLの中心軸方向に交差する方向の外部電線Sが検出部1の近傍に配置されていたとしても、外部電線Sから発生する外部磁界Eの磁束はほとんどがシールド部材4中(主に内殻部4a)を通過することになる。そのため外部磁界Eの磁束は検出コイルLと鎖交せず、これにより外部磁界Eによって検出コイルLに誘導起電力が生じることを防止できる。
また、シールド部材4が、鉄製の内殻部4aと、内殻部4aの外周面を覆う銅めっき層からなる外殻部4bとで構成されているので、検出部1の近傍に金属板や、検出部1用の金属製の取付部材等が配置された際にも、このような周囲金属による検出コイルLのインピーダンス変化を内殻部4aだけの場合に比べて低減することができる(表1参照)。しかも、内殻部4aの外周面の全面に亘って外殻部4bを設けていることにより、内殻部4aの鉄の防錆効果を得ることができ、これにより内殻部4aに別途防錆処理を行わなくて済む。
一方、検出コイルLと対向するシールド部材4の内殻部4aは、導電性を有する鉄から形成されているので、検出コイルLが発生する磁界を打ち消す環状電流(渦電流)が内殻部4aに流れるおそれがあり、このような環状電流が流れると、検出コイルLのインピーダンスが減少して、センサの検出感度が悪化してしまうという問題が生じる。このような問題は、シールド部材4を検出コイルLから離し、シールド部材4と検出コイルLとの間に環状電流防止用の隙間を設けることで解決できていた。しかしながら、環状電流防止用の隙間を設けた場合には、検出部1の大型化という問題が新たに生じることになる。
かかる問題に対して、本実施形態では内殻部4aにスリット4cを設けて内殻部4aが周方向において不連続となるようにして、シールド部材4に周方向の電路が形成されないようにしているので、環状電流が内殻部4aに発生することがなくなる。これにより、シールド部材4と検出コイルLとの間に環状電流防止用の隙間を設けなくても、環状電流の発生を防止できるから、検出部1を大型化せずにセンサの検出感度の悪化を防止できる。尚、このようなスリット4cを通った外部磁界Eの磁束が検出コイルLに悪影響を与えてしまうことが懸念されるが、スリット4cの幅が十分に小さければ、検出コイルLへの影響は無視できる。
また、本実施形態のシールド部材4は、スリット4cを設けたものに限られず、図2(b)に示すように、スリット4cを有していない鉄製の内殻部4aと、銅めっき層からなる外殻部4bとで構成されたものを用いることができるが、当然ながらこのようなシールド部材4では環状電流の影響を抑える効果は弱くなる。
(実施形態2)
ところで、上記実施形態1では、図1に示すように、検出コイルLの外周面をシールド部材4で覆うようにしているので、外部電線Sの外部磁界Eによって検出コイルLに誘導起電力が生じることを防止できていたが、図4(a)に示すように、シールド部材4で覆われた検出コイルLからコア2が出ている場合には、コア2は磁性体であるため、外部磁界Eの磁束がコア2中を通ることになる。
ところで、上記実施形態1では、図1に示すように、検出コイルLの外周面をシールド部材4で覆うようにしているので、外部電線Sの外部磁界Eによって検出コイルLに誘導起電力が生じることを防止できていたが、図4(a)に示すように、シールド部材4で覆われた検出コイルLからコア2が出ている場合には、コア2は磁性体であるため、外部磁界Eの磁束がコア2中を通ることになる。
このとき、外部磁界Eが大きくその時間変化が遅いと、コア2の磁気特性が変化してしまう(透磁率が減少してしまう)場合がある。このような原因によりコア2の磁気特性が変化すると、コア2の検出コイルLに対する相対位置が変化しなくても検出コイルLのインピーダンスが変化し、これにより、センサの出力電圧が変動してしまうという問題があった。
本実施形態のポジションセンサは、かかる問題を解決するためのものであり、検出部10のシールド部材とケースの構成に特徴があり、その他の構成は上記実施形態1と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
シールド部材40は、図4(b)に示すように、内殻部40aと、内殻部40aの外周面の全面を覆う外殻部40bとで構成され、内殻部40aには軸方向にスリット(図示せず)が形成されている。内殻部40aは、上記実施形態1と同様の構成のものであるが、その軸方向の長さ寸法がコア2の可動範囲の長さ寸法以上となるようにすることで、コア2の可動範囲全体を覆うように形成されており、これにより、コア2の可動範囲内では、コア2の位置によらずにコア2の外周面を覆うことができるようになっている。外殻部40bは、上記実施形態1と同様にして内殻部40aの外周面に形成されている。
ケース50は、たとえば、絶縁性樹脂を用いて、上面が開口した有底の長尺円筒状に形成されており、内径がシールド部材40の外径と略等しくなるように形成されるとともに、軸方向(上下方向)の長さ寸法がシールド部材40の軸方向(上下方向)の長さ寸法よりも大きく形成されている。
以上述べたシールド部材40、及びケース50、並びに前述のコア2、コイルボビン3、及び検出コイルLにより検出部10は構成されており、各部材は次のようにして取り付けられている。コイルボビン3の巻胴部3aには、検出コイルLがコイルボビン3の軸方向(上下方向)を中心軸方向(巻軸方向)として巻装されている。このように検出コイルLが巻装されたコイルボビン3には、検出コイルLの外周面を覆うようにシールド部材40が被嵌され、この状態では、シールド部材40の内部にコイルボビン3の両鍔部3b,3cが配置され、シールド部材40の下端面が台部3dの上面に当接している。
そして、コイルボビン3はシールド部材40とともにケース50に収納され、この後に被検出体(図示せず)と連動するように設けられたコア2が検出コイルLの中心軸方向を移動方向としてコイルボビン3内に出没自在に配置される。これにより図4(b)に示す検出部10が得られ、この検出部10では、シールド部材40の軸方向の長さ寸法がコア2の可動範囲の長さ寸法以上となっているので、コア2の外周面は、変位位置によらず常にシールド部材40で囲まれるようになっている。
このように構成された検出部10は、上記実施形態1と同様に、鉄製の内殻部40aと、内殻部40aの外周面を覆う外殻部40bとで構成されるとともに、スリット(図示せず)を有するシールド部材40を備えているので、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
上記効果に加え、検出部10では、図4(b)に示すように、シールド部材40をコア2の可動範囲全体を覆うように形成して、コア2を常にシールド部材40で覆うようにしているので、外部磁界Eの磁束がコア2中を通ることがなくなる。これにより、外部磁界Eの磁束によってコア2の磁気特性が変化してしまう(透磁率が減少してしまう)ことを防止でき、コア2の磁気特性の変化に起因するセンサの出力電圧の変動が生じることがなくなる。
(実施形態3)
一方、上記実施形態1,2では、コア2がコイルボビン3内を移動する際等に、コア2がコイルボビン3の内周面に当たってコア2に歪や応力が生じる場合があった。一般に、ポジションセンサのコア2として用いられるフェライト等の磁性金属体は、外力により歪や応力が加えられると透磁率が変化する性質(ビラリ効果)を有しているので、上述したようにコア2に歪や応力が生じた際には、コア2の透磁率が変化し、これにより検出コイルLのインピーダンスも変化してしまうという問題があった。また、場合によってはコア2が塑性変形してしまうおそれがあった。
一方、上記実施形態1,2では、コア2がコイルボビン3内を移動する際等に、コア2がコイルボビン3の内周面に当たってコア2に歪や応力が生じる場合があった。一般に、ポジションセンサのコア2として用いられるフェライト等の磁性金属体は、外力により歪や応力が加えられると透磁率が変化する性質(ビラリ効果)を有しているので、上述したようにコア2に歪や応力が生じた際には、コア2の透磁率が変化し、これにより検出コイルLのインピーダンスも変化してしまうという問題があった。また、場合によってはコア2が塑性変形してしまうおそれがあった。
本実施形態のポジションセンサは、かかる問題を解決するためのものであり、図5(a)に示すように、検出部11に、コア2を被検出体(図示せず)に連結するシャフト6と、コア2の可動範囲外においてシャフト6を検出コイルLの中心軸方向に摺動自在に支持する軸受け部7と、ケース50の上面開口に被着されるカバー8とを備えていることに特徴があり、その他の構成は上記実施形態2と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
シャフト6は、たとえば、非磁性体からコア2と略同程度の外径を有する長尺の丸棒状に形成されている。シャフト6は、下端部がコア2の上端部と連結されるとともに、シャフト6の図示しない上端側が被検出体に連結され、これによりコア2が被検出体と共動するようになっている。
軸受け部7は、図5(a)に示すように、両端が開口した円筒部7aと、円筒部7aの下端部から外方へ突出した環状のフランジ部7bとを一体に備えている。円筒部7aは、内径がシャフト6の外径と同程度に形成されており、これによりシャフト6が軸方向(上下方向)に摺動自在に挿通できるようになっている。また、フランジ部7bは、外径がケース50の内径と同程度に形成されている。
カバー8は、たとえば、絶縁性樹脂を用いて、ケース50の上面開口を閉塞できる程度の大きさの円盤状に形成されており、略中央部には、軸受け部7の円筒部7aが挿通される孔部8aが形成されている。
以上述べたシャフト6、軸受け部7、及びカバー8、並びに前述のコア2、コイルボビン3、検出コイルL、シールド部材40、及びケース50により検出部11は構成されており、各部材は次のようにして取り付けられている。コイルボビン3の巻胴部3aには、検出コイルLがコイルボビン3の軸方向を中心軸方向として巻装されている。このように検出コイルLが巻装されたコイルボビン3には、検出コイルLの外周面を覆うようにシールド部材40が被嵌され、この状態では、シールド部材40の内部にコイルボビン3の両鍔部3b,3cが配置され、シールド部材40の下端面が台部3dの上面に当接している。ここで、シールド部材40は上記実施形態2と同様のものであるから、コア2の変位位置によらずに常にコア2を覆うことができるようになっている。
そして、コイルボビン3はシールド部材40及び軸受け部7とともにケース50に収納される。このとき、軸受け部7は、フランジ部7bがシールド部材40の上端面に載置されるとともに、円筒部7aがケース50から上方へ突出された状態でケース50に収納されている。この後に、カバー8が、孔部8aから円筒部7aを突出させた状態でケース50の上面側に被着される。最後に、被検出体にシャフト6を介して連結されたコア2がコイルボビン3内に検出コイルLの中心軸方向を移動方向として出没自在に配置されるとともに、シャフト6が軸受け部7の円筒部7aを挿通するように配置されて、図5(a)に示す検出部11が得られる。
次に、この検出部11の動作について説明する。図5(a)は、コア2がコイルボビン3から離間した状態を示している。この状態から、被検出体の移動に伴ってシャフト6が下方へ移動していくと、シャフト6に押されてコア2が下方へと移動してコイルボビン3内へと入っていく。このとき、シャフト6は軸受け部7によってコイルボビン3の軸方向(つまりは検出コイルLの中心軸方向)に摺動自在に支持されているので、シャフト6と軸受け部7とによりコア2の移動方向が検出コイルLの中心軸方向のみに規制される。これによりコア2と検出コイルLとが軸ずれしたり、傾いたりすることが防止されて、コア2が検出コイルLに対して同一の軌道で相対変位することになる。この点は、被検出体の移動に伴なってシャフト6が上方へ移動する場合においても同様である。
以上述べた検出部11によれば、シャフト6と軸受け部7とによりコア2の移動方向が検出コイルLの中心軸方向のみに規制されるので、コア2がその移動方向以外の方向へ移動することがなくなる。そのため、コア2がコイルボビン3の内周面等に当たってコア2に歪や応力が生じることがなくなり、これによりビラリ効果によるコア2の透磁率の変化を防止でき、このような透磁率の変化に起因する検出コイルLのインピーダンス変化も防止することができる。
また、コア2の可動範囲外でシャフト6を軸受け部7に支持させているので、シャフト6にコア2の移動方向以外の方向の力が作用した際に、シャフト6に歪や応力が生じることがあっても、コア2が軸受け部7に当たってコア2に歪や応力が生じてしまうことがない。
(実施形態4)
上記の実施形態3では、コア2が軸受け部7に当たることがないように、コア2の可動範囲外でシャフト6を軸受け部7に支持させているが、軸受け部7をコア2の可動範囲外に設けた分だけ、検出部が大型化してしまうという問題が生じていた。
上記の実施形態3では、コア2が軸受け部7に当たることがないように、コア2の可動範囲外でシャフト6を軸受け部7に支持させているが、軸受け部7をコア2の可動範囲外に設けた分だけ、検出部が大型化してしまうという問題が生じていた。
本実施形態のポジションセンサは、かかる問題を解決するためのものであり、検出部12に上記実施形態3のような軸受け部7とカバー8とを設ける代わりに、図5(b)に示すようにコア2と共動する第1摺動部9aを備える共動部9、及びカバー80を設け、シールド部材40を第1摺動部9aとともにガイドを構成する第2摺動部として用いていることに特徴があり、その他の構成は上記実施形態3と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
共動部9は、たとえば、非磁性材料から形成されており、円筒状の第1摺動部9aと、第1摺動部9aの上面開口を閉塞する円盤状の連結部9bとを一体に備えている。第1摺動部9aの外径は、シールド部材40の内径(内殻部40aの内径)と略同程度の大きさに形成されており、連結部9bの略中央部には、シャフト6が挿通される孔部9cが形成されている。また、第1摺動部9aの軸方向(上下方向)の長さ寸法は、コア2の軸方向(上下方向)の長さ寸法よりやや大きくなるように形成されている。ここで、孔部9cと連結部9bの中心軸が一致するようにすれば、共動部9をケース50内で回転させることが可能になる点で好ましい。また、共動部9の第1摺動部9aが導電性を有しているならば、このような第1摺動部9aに上記シールド部材40と同様にスリットを形成して、検出コイルLの周方向において不連続となるようにし、これにより第1摺動部9aに環状電流が生じないようにすることが好ましい。さらに、この第1摺動部9aがシールド部材40のスリットと重複した際に第1摺動部9aを介してシールド部材40に環状電流が流れないように第1摺動部9aとシールド部材40との間には絶縁処理を施しておくことが好ましい。
カバー80は、たとえば、絶縁性樹脂を用いて、ケース50の上面開口を閉塞できる程度の大きさの円盤状に形成されており、略中央部には、コア2及びシャフト6の外径以上の内径を有する孔部80aが形成されている。また、本実施形態において、ケース50の上端面の内周縁部には、カバー80嵌入用の凹部50aが形成されている。
以上述べた共動部9、及びカバー80、並びに前述のコア2、コイルボビン3、検出コイルL、シールド部材40、ケース50、及びシャフト6とで検出部12は構成されており、各部材は次のようにして取り付けられている。検出コイルL、コイルボビン3、及びシールド部材40は、上記実施形態3と同様にしてケース50に収納されている。この後に、被検出体にシャフト6を介して連結されたコア2がコイルボビン3内に出没自在に配置されるのであるが、このシャフト6には共動部9が次のようにして固着されている。共動部9は、連結部9bの孔部9cにシャフト6の下端部を挿通させた状態でシャフト6に固着されており、これにより共動部9がコア2に固定されることになる。また、共動部9がコア2に固定された状態では、共動部9の第1摺動部9aとコア2とは、検出コイルLの中心軸方向に並行するとともに、第1摺動部9aの下端面がコア2の下端面よりもやや下方に位置している。
このようにシャフト6に固着された共動部9は、図5(b)に示すように、第1摺動部9aの外周面がシールド部材40の内周面に検出コイルLの中心軸方向に摺動自在に当接するように配置されており、第1摺動部9aとシールド部材40とによってコア2の移動方向を検出コイルLの中心軸方向のみに規制するガイドが構成されている。つまり、ここではシールド部材40が、第1摺動部9aを検出コイルLの中心軸方向に摺動自在に支持する第2摺動部として用いられている。
最後に、カバー80の孔部80aにシャフト6を挿通させるとともに、ケース50の凹部50aにカバー80を嵌入することで、図5(b)に示す検出部12が得られる。
次に、この検出部12の動作について説明する。図5(b)は、コア2がコイルボビン3から離間した状態を示している。この状態から、被検出体の移動に伴ってシャフト6及び第1摺動部9aが下方へ移動していくと、シャフト6に押されてコア2は下方へと移動してコイルボビン3内へと入っていく。このとき、第1摺動部9aはシールド部材40によってコイルボビン3の軸方向(つまりは検出コイルLの中心軸方向)に摺動自在に支持されているので、第1摺動部9aとシールド部材40とからなるガイドによりコア2の移動方向が検出コイルLの中心軸方向のみに規制される。これによりコア2と検出コイルLとが軸ずれしたり、傾いたりすることが防止されて、コア2が検出コイルLに対して同一の軌道で相対変位することになる。この点は、被検出体の移動に伴なってシャフト6が上方へ移動する場合においても同様である。
以上述べた検出部12によれば、第1摺動部9aと、第2摺動部であるシールド部材40とからなるガイドによりコア2の移動方向が検出コイルLの中心軸方向のみに規制されるので、上記実施形態3と同様に、ビラリ効果によるコア2の透磁率の変化を防止でき、透磁率の変化に起因する検出コイルLのインピーダンス変化も防止することができる。
加えて、第1摺動部9aとコア2を検出コイルLの中心軸方向に並行させることで、両摺動部の当接部位をコア2の可動範囲内に設けているので、上記実施形態3のようにコア2の可動範囲外でシャフト6を軸受け部7に支持させるものに比べて、検出部を大型化しなくて済むようになる。
(実施形態5)
上記実施形態4の場合、コア2が検出コイルL内に最も没入した状態では、検出コイルLに固定されてコア2と相対変位する部材の中で最も上方に位置する端面(つまりはカバー80の上面)よりもコア2の上端面が下方へ位置している。そのため、シャフト6の長さ寸法を少なくともコア2の上端面とカバー80の上面との間の長さ寸法以上とする必要があり、シャフト6の長さ寸法がこれより小さいと被検出体がカバー80にぶつかって被検出体の正しい変位を検出できなくなる。
上記実施形態4の場合、コア2が検出コイルL内に最も没入した状態では、検出コイルLに固定されてコア2と相対変位する部材の中で最も上方に位置する端面(つまりはカバー80の上面)よりもコア2の上端面が下方へ位置している。そのため、シャフト6の長さ寸法を少なくともコア2の上端面とカバー80の上面との間の長さ寸法以上とする必要があり、シャフト6の長さ寸法がこれより小さいと被検出体がカバー80にぶつかって被検出体の正しい変位を検出できなくなる。
つまり、上記実施形態4では、コア2の上端面と、検出コイルLに固定されてコア2と相対変位する部材の中で最も上方に位置する端面(カバー80の上面)との間の長さ寸法分だけシャフト6の長さ寸法を余分に大きくしなければならなかった。
本実施形態のポジションセンサはかかる問題を解決するためのものであり、検出部13は、後述するシールド部材41、及びケース51、並びに前述のコア2、コイルボビン3、検出コイルL、共動部9、及びシャフト6とで構成されている。
前述のシールド部材41は、図5(c)に示すように、内殻部41aと、内殻部41aの外周面の全面を覆う外殻部41bとで構成されている。内殻部41aは、上記実施形態1と同様の構成のものであり、軸方向(上下方向)の長さ寸法がコイルボビン3の軸方向(上下方向)の長さ寸法と同程度となるように形成されるとともに、軸方向にスリット(図示せず)が形成されている。また、外殻部41bは、上記実施形態1と同様にして内殻部41aの外周面に形成されている。
前述のケース51は、たとえば、絶縁性樹脂を用いて、上面が開口した有底の長尺円筒状に形成されており、内径がシールド部材41の外径と略等しくなるように形成されている。また、ケース51の軸方向(上下方向)の長さ寸法は、コイルボビン3とシールド部材41を収納した際に、シールド部材41の上端面とケース51の上端面とが同じ高さに位置するような大きさに設定されている。
これらシールド部材41、及びケース51、並びに前述のコア2、コイルボビン3、検出コイルL、共動部9、及びシャフト6によって検出部13は構成されており、各部材は次のようにして取り付けられている。上記実施形態1と同様にして検出コイルLが巻装されたコイルボビン3には、検出コイルLの外周面を覆うようにシールド部材41が被嵌されている。この状態では、シールド部材41の内部にコイルボビン3の両鍔部3b,3cが配置され、シールド部材41の下端面が台部3dの上面に当接している。また、シールド部材41の上端面がコイルボビン3の上端面よりもやや上方に位置している。
そして、コイルボビン3はシールド部材41とともにケース51に収納され、この状態では、図5(c)に示すように、シールド部材41の上端面とケース51の上端面とが略同じ高さに位置している。すなわち、検出コイルLの中心軸方向においてコア2が検出コイルLから離間する方向側のシールド部材41の端面(つまりはシールド部材41の上端面)が、検出コイルLに固定されてコア2と相対変位する部材(ここでは、コイルボビン3、シールド部材41、ケース51)の上端面の中で最も上側に位置している。
この後に、被検出体にシャフト6を介して連結されたコア2がコイルボビン3内に出没自在に配置されるのであるが、このシャフト6には、共動部9が上記実施形態4と同様にして固着されている。共動部9は、図5(c)に示すように、第1摺動部9aの外周面がシールド部材41の内周面に検出コイルLの中心軸方向に摺動自在に当接するように配置され、第1摺動部9aと、シールド部材41とによりコア2の移動方向を検出コイルLの中心軸方向のみに規制するガイドが構成されている。
ここで、第1摺動部9aと、第2摺動部であるシールド部材41とは、コア2の可動範囲内においてコア2が検出コイルLから最も離間した状態で両者の当接部分が最も少なくなり、コア2の可動範囲内においてコア2が検出コイルL内に最も没入した状態で両者の当接部分が最も多くなるように配置されており、検出コイルLに対するコア2の相対変位によって所謂入れ子式に運動することになる。また、前記のコア2が検出コイルL内に最も没入した状態では、コア2の上端面がシールド41の上端面と上下方向で略同じ位置に位置している。
以上により、図5(c)に示す検出部13が得られ、次に、この検出部13の動作について説明する。図5(c)は、コア2の可動範囲内においてコア2が検出コイルLから最も離間した状態を示している。この状態では、第1摺動部9aとシールド部材41は、第1摺動部9aの下端部とシールド部材41の上端部でのみ当接しており、第1摺動部9aとシールド部材41の当接部分が最も少なくなっている。このようにコア2が検出コイルLから最も離間した状態でも第1摺動部9aとシールド部材41とを当接させていることにより、ガイドの機能が失われないようにしている。
この状態から、被検出体の移動に伴ってシャフト6が下方へ移動していくと、シャフト6に押されてコア2は下方へと移動し、コイルボビン3内へと入っていく。同時に、シャフト6に固着されている共動部9も下方へと移動し、これに伴ない第1摺動部9aとシールド部材41の当接部分が増えていく。尚、共動部9は上記実施形態4と同様にシールド部材41とともにガイドを構成しているので、コア2を同一の軌道で移動させることが可能になる。
そして、コア2が検出コイルL内に最も没入した状態では、第1摺動部9aはシールド部材41内に収納され、第1摺動部9aとシールド部材41の当接部分が最も多くなっている。また、コア2の上端面がシールド41の上端面と略同じ高さ位置に位置しており、この状態での検出部13の上下方向の長さ寸法は、シャフト6を除けばケース51の軸方向(上下方向)の長さ寸法に等しくなる。一方、この状態から、被検出体の移動に伴なってシャフト6が上方へ移動する場合は、共動部9が徐々に上方へ移動するとともに、第1摺動部9aとシールド部材41の当接部分が少なくなっていき、やがて図5(c)に示す状態となる。
以上述べた検出部13によれば、コア2の可動範囲内においてコア2が検出コイルL内に最も没入した状態で、コア2の上端面がシールド部材41の上端面と略同じ高さ位置に位置するようになっているので、シャフト6の長さ寸法に、コア2の上端面とシールド部材41の上端面との間の長さ寸法分を確保する必要がなくなり、これにより、上記実施形態4よりもシャフト6を短くして検出部を小型化することが可能になる。
また、共動部9をシールド部材と同様に鉄等の強磁性体金属を用いて形成すれば、常にコア2を磁束や輻射ノイズ等から防護することができ、また、共動部9を樹脂や非磁性体金属等のシールド効果のない材料から形成した際にも、共動部9にコア2を覆うような強磁性体部を付設することで同様の効果を得ることができる。また尚、第1摺動部9aを備える共動部9がシールド部材41から抜け出ないように、第1摺動部9aをシールド部材41に抜け止めするようにしてもよい。
(実施形態6)
本実施形態のポジションセンサは、検出部の構成に特徴があり、その他の構成は上記実施形態2と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態のポジションセンサは、検出部の構成に特徴があり、その他の構成は上記実施形態2と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、検出部14は、図5(d)に示すように、コア2と、検出コイルLが巻装されたコイルボビン30と、検出コイルLの外周面を覆うシールド部材42と、駆動回路及び信号処理回路が実装されたプリント基板Pと、これらコア2とコイルボビン30とシールド部材42とプリント基板Pとが収納されるケース52とで構成されている。
ここで、コイルボビン30は、たとえば熱硬化性樹脂等を用いて形成されており、図5(d)に示すように、両端が開口した長尺円筒状の巻胴部30aと、巻胴部30aの上端側に形成される円環状の第1鍔部30bと、巻胴部30aの下端側の開口を閉塞するようにして巻胴部30aの下端側に形成される円盤状の第2鍔部30cとを一体に備えている。また、巻胴部30aは、軸方向(上下方向)の長さ寸法がコア2の軸方向(上下方向)の長さ寸法よりも大きく形成されるとともに、内径がコア2の外径よりも大きく形成されており、コア2がコイルボビン30内に自在に出没できるようになっている。
シールド部材42は、図5(d)に示すように、コイルボビン30に被嵌される内殻部42aと、内殻部42aの外周面の全面を覆う外殻部42bとで構成されている。
内殻部42aは、たとえば、鉄を用いて長尺の円筒状に形成されている。また、内殻部42aは、内径がコイルボビン30の両鍔部30b,30cを内包できる程度の大きさに形成されるとともに、軸方向(上下方向)の長さ寸法がコア2の可動範囲の長さ寸法以上となるように形成されている。したがって、内殻部42aは、上記実施形態2と同様にコア2の可動範囲全体を覆うようになっており、これによりコア2の位置によらずにコア2を覆うことができるようになっている。さらに、内殻部42aの下端部には、下方へ向けて突片42cが一体に突設されている。一方、外殻部42bは、上記実施形態1と同様にして内殻部40aの外周面に形成されている。尚、上記実施形態1と同様に、内殻部42aには軸方向(上下方向)にスリット(図示せず)が形成されている。
プリント基板Pは、たとえば、図6(a)に示すような、検出コイルLに所定の周波数及び振幅の定電流を出力する駆動回路と、定電流及び検出コイルLのインピーダンスにより決まる電圧信号をコア2と検出コイルLとの位置情報を示す出力信号に変換する信号処理回路とを構成する電子部品が表面側(図5(d)における下面側)に実装されたプリント配線板からなり、裏面側(図5(d)における上面側)にグラウンド等の安定電位点用の配線パターンが形成されている。
ケース52は、上面及び下面が開口した円筒状の本体部53と、本体部53の下面開口を閉塞する円盤状の底板部54とで構成されている。
本体部53は、たとえば、絶縁性樹脂を用いて、上面及び下面が開口した長尺円筒状に形成されるとともに、一体に形成された中板部55によって内部が上下に仕切られており、中板部55より上側の第1収納部53aには、コア2、コイルボビン30、及びシールド部材42が収納され、中板部55より下側の第2収納部53bには、プリント基板Pが収納される。ここで、第1収納部53aの内径は、シールド部材42の外径と同程度となるように形成されるとともに、軸方向(上下方向)の長さ寸法がシールド部材42の軸方向(上下方向)の長さ寸法よりも大きく形成されている。また、第2収納部53bの側壁部の一部には、プリント基板Pに外部電源等の接続線を接続するための切欠部53cが形成されている。
中板部55の上面側には、シールド部材42の下端部が嵌入される環状の凹部55aが形成されるとともに、凹部55aの底部の一部には、シールド部材42の突片42cを第2収納部53b側へ露出させるための貫通孔55bが形成されている。また、中板部55の上面中央部には、コイルボビン30の第2鍔部30cが嵌入される円形状の穴部55cが形成されている。
そして、各部材が次のようにして取り付けられて検出部14が構成されている。コイルボビン30の巻胴部30aには、検出コイルLがコイルボビン30の軸方向(上下方向)を巻軸方向(上下方向)として巻装されている。このように検出コイルLが巻装されたコイルボビン30は、図5(d)に示すように、第2鍔部30cを中板部55の穴部55cに嵌入した状態でケース52の第1収納部53aに収納される。また、シールド部材42は、下端部を凹部55aに嵌入するとともに、突片42cを貫通孔55bから第2収納部53bに露出させた状態で、第1収納部53aに収納され、この状態では、シールド部材42の内部にコイルボビン30の両鍔部30b,30cが配置されている。一方、プリント基板Pは、中板部55の下面側に取り付けられた状態で、第2収納部53bに収納されるのであるが、この収納時にはシールド部材42の突片42cとプリント基板Pの安定電位点用の配線パターンとを半田付け、圧接、溶接等によって電気的に接続しておく。そして、コイルボビン30、シールド部材42、及びプリント基板Pが収納された本体部53に、底板部54を取り付けるとともに、コア2を所定の位置に配置することで、図5(d)に示す検出部14が得られる。
この検出部14によれば、シールド部材42がスリットを有する鉄製の内殻部42aと、銅めっき層からなる外殻部42bとで構成されるとともに、シールド部材42によってコア2がその変位位置によらずに常に覆われているので、実施形態1,2と同様の効果を得ることができる。
加えて、シールド部材42が突片42cを介してプリント基板Pの安定電位点に電気的に接続されているので、輻射ノイズに対してさらに大きなシールド効果を得ることができる。
尚、プリント基板Pの安定電位点に接続される突片42cの下面に半田めっき又は金めっき等を施せば、プリント基板Pとの接触信頼性を向上できるため、突片42cには半田めっき又は金めっきを施すことが望ましい。
以上述べた本実施形態のポジションセンサ、及び実施形態1〜5のポジションセンサは、直線型(直線運動タイプ)のポジションセンサであったが、本発明のポジションセンサは、このような直線型のものに限られるものではなく、回転型のポジションセンサにも採用できる。また、状況に応じて検出コイルの数を増やしてもよい。
1 検出部
2 コア
3 コイルボビン
4 シールド部材
4a 内殻部
4b 外殻部
5 ケース
L 検出コイル
2 コア
3 コイルボビン
4 シールド部材
4a 内殻部
4b 外殻部
5 ケース
L 検出コイル
Claims (10)
- 中空の検出コイルと、検出コイル内に出没自在に設けられ検出コイルに対してその中心軸方向に相対変位するコアと、少なくとも検出コイルの外周面を覆う磁気シールド用のシールド部材とを備え、シールド部材は、鉄系金属材料からなる内殻部と、前記鉄系金属材料よりも導電性が高い導電性材料からなる外殻部とで構成されていることを特徴とするポジションセンサ用の検出部。
- 内殻部を構成する鉄系金属材料は、磁気焼鈍されていることを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサ用の検出部。
- 外殻部は、内殻部の表面全面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポジションセンサ用の検出部。
- コアを被検出体に連結する非磁性体のシャフトと、コアの可動範囲外において該シャフトを前記中心軸方向に摺動自在に支持する軸受け部とを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポジションセンサ用の検出部。
- コアに固定されてコアと共動する第1摺動部と、検出コイルに固定されて第1摺動部が前記中心軸方向に摺動自在に当接される第2摺動部とで構成されるガイドを備え、第1摺動部とコアは、前記中心軸方向に並行していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポジションセンサ用の検出部。
- シールド部材は、コアの可動範囲全体を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポジションセンサ用の検出部。
- 第1摺動部と第2摺動部は、コアの可動範囲内においてコアが検出コイルから最も離間した状態で両摺動部の当接部分が最も少なくなるとともに、コアの可動範囲内においてコアが検出コイル内に最も没入した状態で両摺動部の当接部分が最も多くなるように配置され、前記中心軸方向においてコアが検出コイルから離間する方向側の第2摺動部の端面は、検出コイルに固定されてコアと相対変位する部材の前記方向側の端面の中で最も前記方向側に位置し、前記方向側のコアの端面は、前記のコアが検出コイル内に最も没入した状態で前記方向側の第2摺動部の端面と前記中心軸方向で略同じ位置に位置していることを特徴とする請求項5に記載のポジションセンサ用の検出部。
- コアに固定されてコアと共動するとともにシールド部材で覆われていないコアの部位を覆う強磁性体部を備えていることを特徴とする請求項7に記載のポジションセンサ用の検出部。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポジションセンサ用の検出部と、検出コイルに所定の周波数及び振幅の定電流を出力する駆動回路と、定電流及び検出コイルのインピーダンスにより決まる電圧信号をコアと検出コイルとの位置情報を示す出力信号に変換する信号処理回路とを備えていることを特徴とするポジションセンサ。
- シールド部材は、駆動回路又は信号処理回路の安定電位点に電気的に接続されていることを特徴とする請求項9に記載のポジションセンサ。
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