JP2006315059A - 銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 銅めっきワイヤ表面の形態を制御することによって、溶接時の給電チップとワイヤ表面との間に形成される摺動接点を安定的に溶融させ、連続溶接時に、摺動接点で突発的に凝固するようなことがなく、ワイヤ送給性とアーク安定性とが優れており、スパッタ及びヒュームが少ない良好な溶接作業性を有する銅めっき付きソリッドワイヤを提供する。
【解決手段】 ワイヤ表面に0.05乃至0.40質量%のめっき量の銅めっきが施されており、ワイヤの長手方向に垂直な断面においてワイヤ表面に開口する窪み1が形成されている。これらの窪み1の個数がワイヤの任意断面において40乃至400個であり、ワイヤ10kg当たり0.1乃至2gの量の植物油、動物油、合成油及び鉱物油からなる群から選択された1種又は2種以上の油がワイヤ表面及び前記窪みの開口部に存在する。銅めっき層2は、窪み1内でおりたたまれた状態で存在する。
【選択図】 図1

Description

本発明は,鉄骨、橋梁、造船及び自動車等の溶接に広く使用されるアーク溶接用のソリッドワイヤに関し、特に、コンジットライナ内部及び給電チップ内部での送給抵抗が小さく、アークが安定し、スパッタ及びヒューム発生量が少ない銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤに関する。
アーク溶接用ソリッドワイヤの送給性を向上させる方法としては、ワイヤの表面に滑り性を有する潤滑剤を塗布することが一般的である。従来、ワイヤ表面に塗布する潤滑剤としては、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、MoS、WS、PTFE、C、フッ化黒鉛又は金属石鹸が提案されている。これらの潤滑剤は全てワイヤの送給性を向上させ、且つ送給を安定化させるために塗布されている。
更に、特許文献3、特許文献4、特許文献5には、表面凹凸を制御することによって、ワイヤの送給性を向上させる技術が開示されている。特許文献6には、遊離カーボン又は二硫化モリブデンを使用して送給性、給電性及びアーク安定性を改善する技術が開示されている。
特開平6−285678号公報 特開平9−070684号公報 特開平8−001370号公報 特開平9−070685号公報 特願2000−117483号公報 特開2000−141080号公報
しかしながら、上述の各公報に記載の従来技術においては、ワイヤ表面に銅めっきを有するワイヤの給電チップとワイヤ表面間の摺動接点を安定化させるものではないので、従来の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤは、ワイヤ送給性とアーク安定性とが必ずしも十分ではなく、スパッタ及びヒュームが少ない良好な溶接作業性を有するようなものではない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、銅めっきワイヤ表面の形態を制御することによって、溶接時の給電チップとワイヤ表面との間に形成される摺動接点を安定的に溶融させ、連続溶接時に、摺動接点で突発的に凝固するようなことがなく、ワイヤ送給性とアーク安定性とが優れており、スパッタ及びヒュームが少ない良好な溶接作業性を有する銅めっき付きソリッドワイヤを提供することを目的とする。更に、本発明は、固体潤滑剤を補助的に使用する場合は、この固体潤滑剤をワイヤ表面上及び/又は表面直下に離脱することなく保持することができ、安定したワイヤ送給性とアーク安定性とを併せもち、スパッタ及びヒュームが少ない良好な溶接作業性を有する銅めっき付きソリッドワイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤは、ワイヤ表面に0.05乃至0.40質量%のめっき量の銅めっきを施された銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤにおいて、ワイヤの長手方向に垂直な断面においてワイヤ表面に開口する窪みを有し、これらの窪みの個数がワイヤの任意断面において40乃至400個であり、ワイヤ10kg当たり0.1乃至2gの量の植物油、動物油、合成油及び鉱物油からなる群から選択された1種又は2種以上の油がワイヤ表面及び前記窪みの開口部に存在することを特徴とする。
この銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤにおいて、通常、前記銅めっき層は前記窪み内でおりたたまれた状態で存在する。また、前記窪みの個数は、100乃至400個であることが好ましい。また、ワイヤ表面にMoS、WS、及びZnSからなる群から選択された1種又は2種以上の粉体が、ワイヤ10kg当たり、ワイヤ表面に0.05乃至0.8g存在することが好ましい。更に、前記窪みの内部に、MoS、WS、及びZnSからなる群から選択された1種又は2種以上の粉体が、ワイヤ10kg当たり、0.01乃至0.2g存在することが好ましい。また、ワイヤ表面に、MoS、WS、及びZnSからなる群から選択された1種又は2種以上の粉体が、ワイヤ10kg当たり、0.05乃至0.8g存在し、同時に前記窪みの内部に、MoS、WS及びZnSからなる群から選択された1種又は2種以上の粉体が、ワイヤ10kg当たり、0.01乃至0.2g存在するように構成してもよい。
又は、ワイヤ表面、窪み内部及び鋼地表面の1又は複数部位に、K化合物又はNa化合物が、夫々K量又はNa量に換算して、0.01乃至10.0質量ppm存在するか、又はK化合物及びNa化合物が、夫々K量及びNa量に換算したときの総量で0.01乃至10.0質量ppm存在することが好ましい。前記K化合物及び/又はNa化合物は、更に、K量及びNa量に換算して、単独で又は総量で0.1乃至5質量ppm存在することが好ましい。
本発明のソリッドワイヤは、ワイヤ表面の円周方向に測った中心線平均表面粗さ:Raが0.05乃至1.0μmであることが好ましい。
更に、前記ワイヤの組成は、例えば、C:0.01乃至0.12質量%、Si:0.2乃至1.2質量%、Mn:0.5乃至2.5質量%、P:0.001乃至0.03質量%及びS:0.001乃至0.03質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である。この場合に、更に、Ti+Zr:0.03乃至0.3質量%を含有することもでき、更に、Mo:0.01乃至0.6質量%を含有することもできる。
本発明によれば、銅めっきワイヤ表面の形態を制御することによって、溶接時の給電チップとワイヤ表面との間に形成される摺動接点を安定的に溶融させることができ、連続溶接時に、摺動接点で突発的に凝固するようなことがない。このため、ワイヤ送給性とアーク安定性とが優れており、スパッタ及びヒュームが少ない良好な溶接作業性を得ることができる。また、固体潤滑剤を補助的に使用する場合は、この固体潤滑剤をワイヤ表面上及び/又は表面直下に離脱することなく保持することができ、安定したワイヤ送給性とアーク安定性とを具備し、スパッタ及びヒュームが少ない良好な溶接作業性を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は溶接ワイヤの長手方向に垂直な断面において、ワイヤ表面に存在する窪みの形状を示す図である。この図1は、図2(a)に示す本発明のソリッドワイヤにおけるワイヤ横断面のマクロ組織の顕微鏡写真において、そのソリッドワイヤの表面と銅めっき層との境界をトレースしたものである。なお、図2(b)は、従来のソリッドワイヤにおけるワイヤ横断面のマクロ組織写真である。
図1に示すように、ソリッドワイヤの鋼地表面に窪み1が形成され、この窪み内部に銅めっき層2が存在し、同時に銅めっき層2は窪み1内で折りたたまれ、窪み1の内部に伸線加工を受ける前の銅めっき層2の表面が向かい合って存在している。鋼地表面に窪みがあって、その中を異なる厚さの銅めっきが単純に充填している構造とは大きく異なる。また、この窪み1はワイヤ長手方向に連続的に存在している。
上述の如く、ワイヤ表面に窪み1が存在し、ワイヤ表面の銅めっき層2が窪み1内で折り畳まれた形状を有していることにより、給電チップとワイヤ表面との間に形成される摺動接点を安定化させることができ、スパッタ及びヒュームの発生量を低減し、ロボット等を用いた自動溶接装置の稼働率を極めて高いレベルまで改善することができる。
特に、銅めっきを有するソリッドワイヤにおいては、溶接開始時及び溶接終了時はもとより、溶接途中であっても、給電チップと溶接ワイヤとが局所的に溶融凝固を繰り返し、安定した溶接を行うことができないという問題点が潜在的に存在する。これは、ワイヤ表面に銅めっきが施されていると、給電チップとワイヤ表面との間に形成される摺動接点において、溶融と凝固が繰返され、凝固が発生すると、ワイヤ表面の銅めっき層と給電チップの銅とが容易に固着してしまうからであると推察される。連続溶接時にこの瞬間的で局所的な固着が発生すると、ワイヤの送り速度が変動し、ワイヤ突き出し部でのジュール発熱が不安定になり、溶滴移行現象が不安定になって、瞬間短絡が発生する。これにより、スパッタ及びヒューム発生量が増加する。
また、ワイヤ表面に窪みがない状態で固体潤滑剤が塗布されると、送給ローラ又はコンジットライナ内部で離脱しやすく、固体潤滑剤が送給ローラ又はコンジットライナ内部で離脱すると、ワイヤの送給性を向上させる効果又はスパッタ発生量を低減する効果が減少してしまう。更に、送給ローラで離脱した固体潤滑剤はワイヤを送給するためのグリップ力を低下させ、コンジットライナ内部で離脱した固体潤滑剤は、コンジットライナ内部に堆積し、詰まりの原因となり、安定なワイヤ送給を阻害する。これにより、スパッタ及びヒューム発生量の低減とは別の課題が発生する。
これに対し、本発明においては、上述の如く、ソリッドワイヤの鋼地表面に窪み1が形成され、この窪み1の内部に銅めっき層2が窪み1内で折りたたまれた状態で、表面が向かい合って存在しているので、上述の問題点は生じない。
この鋼地表面の窪み1に銅めっき層2を折りたたまれた形態で存在させることは、通常の湿式潤滑剤を用いて穴ダイス伸線し、最終工程にて油スキンパスする方法では、決して安定して形成することができない。この銅めっき層2の存在形態は、極めて特殊な表面形態である。この窪み1は、例えば、原線段階でショットブラスト等で鋼素線表面に予め凹凸を形成し、その後の工程でめっきを施すことで、そのめっき表面が内部に折りたたまれた形状を製造することができる。
そうすると、鋼地表面に窪み1が形成され、この窪み1内部に銅めっきが存在し、同時に銅めっき層2は折りたたまれ、その内部に伸線加工を受ける前の表面が向かい合って存在し、なおかつこのような窪み1がワイヤ長手方向に連続的に存在するような形態となる。このような形態は、Na石鹸又はK石鹸を主成分とする粉体潤滑剤を使用し、なおかつマイクロミル又はローラーダイス等の圧延方式の冷間伸線をすることによって初めて形成可能となる。圧延ロールは2方、3方、4方等種々の枚数のものが使用可能である。なお、ローラーダイス圧延の方法は特開2005−095972号に、マイクロミル圧延の方法は特開平08−099116号に、それぞれ開示されている公知の方法であるが、本発明の方法では、それらの圧延工程を通過前に予め窪み1を形成しておき、銅めっき層2が折りたたまれた状態を造りだす工夫がある点が相違する。
最終工程で、線径調整のために、穴ダイスを使用してもかまわないが、減面率は20%未満が望ましい。また、穴ダイスで使用する潤滑剤も、潤滑性に優れるNa石鹸又はK石鹸を主成分とする粉体潤滑剤を使用すべきである。粉体潤滑剤を使用することで、良好な潤滑性を保つことができ、ロール圧延で形成された窪みが穴ダイスを通過しても効果的に保存される。
Na石鹸又はK石鹸を主成分とする粉体潤滑剤に、必要に応じて、アルカリ金属の亜硝酸塩及びリン酸塩等を添加し、軟化点調整を行うことが望ましい。高軟化点の粉体潤滑剤を使用することで、より効果的に窪み1を生成し、残留させることができる。
更に、必要に応じて、Na石鹸又はK石鹸を主成分とする粉体潤滑剤に、MoS、WS、ZnSを最大で20質量%添加し、伸線することにより、ワイヤ表面及び窪み内部にMoS、WS、ZnSを微量、均一に残留させることができる。
洗浄後、ワイヤ表面に植物油、動物油、合成油及び鉱物油からなる群から選択された1種又は2種以上の油を、適量塗布する。更に、この塗布油に、MoS、WS、ZnSを最大で20質量%添加し、ワイヤ表面に均一に塗布することで、ワイヤ表面に存在するMoS、WS、ZnS量を、自由に制御することができる。
また、塗布油中に、ホウ酸カリ、オクチル酸カリ、ナフテン酸カリ等のK源を溶解、又は分散させ、ワイヤ表面に塗布することで、ワイヤのK量を適量に調整することができる。更に、原線径又は中間径での焼鈍に先立って、線材の表面にKCO,NaCO等のK化合物、Na化合物を水溶液として塗布することによって、銅めっきの下地である鋼表面に、K、Na原子の内部拡散層を形成させ、ワイヤ全体としてのK,Na量を適量に調整することもできる。
窪み1の個数は、ワイヤの横断面において、そのワイヤ全周長あたりの個数である。この窪み1の個数は、40乃至400である。窪み1の個数が40未満である場合は、溶接時に摺動接点が安定して溶融せず、安定した給電を行うことができない。窪み1の個数が400を超えると、鋼地と銅めっき層との密着性が悪くなり、銅めっき層が剥離しやすく、詰まりの原因となる。但し、窪み1の個数は100以上であることが好ましい。これにより、200A以下の比較的低い溶接電流においても摺動接点が安定して溶融し、給電安定性が更に増して、ヒューム発生量が低減する。
ワイヤ表面の銅めっき量は、0.05乃至0.40質量%である。銅めっき量が0.05質量%未満であると、銅めっき層がワイヤ表面の全長及び全周にわたって均一に覆うことができない。また、銅めっき量が0.40質量%を超えると、溶接金属の凝固割れ感受性が高くなる。
ワイヤ10kg当たり0.1乃至2gの量の植物油、動物油、合成油及び鉱物油からなる群から選択された1種又は2種以上の油がワイヤ表面及び窪み1の開口部に存在する。これらの油がワイヤ10kg当たり0.1g未満である場合は、コンジットライナー内での機械的滑り性に問題が発生し、2gを超える場合は、コンジットライナー内で油の脱落が生じて、溶接金属中の拡散性水素量が増加するという問題点がある。
ワイヤ表面に存在するMoS、WS、ZnSの1種又は2種以上の固体粉体の量は、総量で、ワイヤ10kgあたり、0.05乃至0.8gである。このワイヤ表面に存在する固体粉体の量が、0.05g未満であると、コンジットライナー内での機械的すべりが生じ、0.8gを超えると、コンジットライナー内への固体粉末の脱落が生じる。
また、ワイヤ表面の窪み1の内部に存在するMoS、WS、ZnSの1種又は2種以上の固体粉体の量は、総量で、ワイヤ10kgあたり、0.01乃至0.2gである。このワイヤ表面に存在する固体粉体の量が、0.01g未満であると、摺動接点の安定化効果が得られない。また、0.2gを超えると、固体粉体を窪み内部に保持しきれなくなり、詰まりの原因となる。
なお、ワイヤ表面と窪み1内部の双方に固体粉体が存在する場合は、これらの固体粉体の量は、夫々、個別に上記条件を満足する必要がある。ワイヤ表面と窪み1内部の夫々について、固体粉体の量が少なすぎると、コンジットライナー内での機械的すべり性と摺動接点の安定化が得られず、また、多すぎると、窪みの内外のいずれにあっても、詰まりの原因となる。
ワイヤ表面及び/又は窪み内部に、K化合物又はNa化合物が、夫々K量又はNa量に換算して、0.01乃至10.0質量ppm存在することが好ましい。K化合物及びNa化合物の双方が存在する場合は、夫々K量及びNa量に換算したときの総量で0.01乃至10.0質量ppm存在することが好ましい。好ましくは、前記K化合物及び/又はNa化合物は、K量及びNa量に換算して、単独で又は総量で0.1乃至5質量ppm存在する。これらの化合物がK又はNaの換算で0.01質量ppm未満である場合は、アーク安定化及び放電安定化の効果が得られない。これらの化合物が10.0質量ppmを超える場合は、アーク安定化効果はあるものの、K化合物及び/又はNa化合物がワイヤ表面から剥離しやすくなり、詰まりの原因となる。
また、ワイヤ表面の円周方向に測った中心線平均表面粗さ:Raが0.05乃至1.0μmであることが好ましい。Raが0.05μm未満である場合は、ワイヤ表面の油、粉体及び化合物が表面から剥離しやすく、この表面に付着していた物質が剥離してコンジットライナー内での詰まりの原因となる。Raが1.0μmを超える場合は、鋼地と銅めっき層との密着性が悪くなり、めっき層が剥離しやすくなり、同様にコンジットライナー内の詰まりの原因となる。
前記ワイヤの組成は、例えば、C:0.01乃至0.12質量%、Si:0.2乃至1.2質量%、Mn:0.5乃至2.5質量%、P:0.001乃至0.03質量%及びS:0.001乃至0.03質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である。
この場合に、前記ワイヤの組成は、更に、Ti+Zr:0.03乃至0.3質量%を含有することが好ましく、更には、前記ワイヤの組成は、Mo:0.01乃至0.6質量%を含有することができる。これらの化学組成範囲は、溶接金属の機械的特性、例えば、引張強さ、硬さ、靭性、伸び、更には、アーク溶接時の溶滴離脱性、溶融池形状、ビード形状等から決定される。
次に、本発明の実施例について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明し、本発明の効果について説明する。JISで規格されたYGW11の化学組成を有するソリッドワイヤを試作した。これらのYGW11の化学組成を夫々下記表1に示す。
Figure 2006315059
YGW−11ワイヤは直径が5.5mmになるまで熱間圧延にて縮径し、酸洗の後、電気めっきにより銅めっき層を所定量形成した。めっき後はNa石鹸を主成分とする粉体潤滑剤を使用し、ロール圧延によって直径1.25mmまで縮径し、穴ダイスを用いて直径1.19mmまで縮径した。洗浄後、油脂、粉体、K化合物をワイヤ表面に均一に塗布した。
ワイヤの性能評価は、溶接時のヒューム発生量によって評価した。YGW−11ワイヤによる溶接条件は、シールドガスが100%CO、電流が300A、電圧が36V、突出し長さが23mm±2mm、溶接速度が30cm/分の条件で、ビードオンプレート溶接したものである。溶接対象の鋼板は、JIS SM490A(厚さ12mm)であり、溶接電源は、サイリスター電源である。YGW−11ワイヤによる溶接の評価結果を下記表2に示す。
Figure 2006315059
この表2に示すように、本発明の実施例5乃至19の場合は、本発明の範囲から外れる比較例1乃至4の場合に比して、ヒューム発生量が低減した。特に、窪みの個数が100個以上の実施例8乃至19の場合は、更に、ヒューム発生量が低減した。
次に、JIS規格YGW18の溶接ワイヤを使用した場合の実施例について説明する。下記表3に示す化学組成を有するYGW18の溶接ワイヤを試作した。
Figure 2006315059
YGW−18の溶接ワイヤは、直径5.5mmの熱間圧延材を酸洗した後、冷間伸線にて直径2.4mmまで縮径し、KCOを塗布し、焼鈍後酸洗し、電気めっきにて銅めっき層を所定量形成した。めっき後は、Na石鹸を主成分とする粉体潤滑剤を使用し、ロール圧延によって直径1.25mmまで縮径し、穴ダイスを用いて直径1.19mmまで縮径した。洗浄後、油脂、粉体、K化合物をワイヤ表面に均一に塗布した。
YGW−18による溶接条件は、シールドガスが100%CO、電流が340A、電圧が36V、突出し長さが23mm±2mm、溶接速度が30cm/分の条件で、ビードオンプレート溶接したものである。溶接対象の鋼板は、JIS SM490A(厚さ16mm)であり、溶接電源は、サイリスター電源を使用した。YGW−18についての性能評価結果を下記表4に示す。
Figure 2006315059
この表4に示すように、本発明の実施例5乃至19の場合は、本発明の範囲から外れる比較例1乃至4の場合に比して、ヒューム発生量が低減した。特に、窪みの個数が100個以上の実施例8乃至19の場合は、更に、ヒューム発生量が低減した。
溶接ワイヤの横断面におけるワイヤ表面の窪み形状を示す図である。 本発明ワイヤと比較例ワイヤの表面の窪み形状を示す顕微鏡写真である。
符号の説明
1:窪み
2:銅めっき層

Claims (12)

  1. ワイヤ表面に0.05乃至0.40質量%のめっき量の銅めっきを施された銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤにおいて、ワイヤの長手方向に垂直な断面においてワイヤ表面に開口する窪みを有し、これらの窪みの個数がワイヤの任意断面において40乃至400個であり、ワイヤ10kg当たり0.1乃至2gの量の植物油、動物油、合成油及び鉱物油からなる群から選択された1種又は2種以上の油がワイヤ表面及び前記窪みの開口部に存在することを特徴とする銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  2. 前記銅めっき層が前記窪み内でおりたたまれた状態で存在することを特徴とする請求項1に記載の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  3. 前記窪みの個数は、100乃至400個であることを特徴とする請求項1又は2に記載の銅めっきを有する溶接用ソリッドワイヤ。
  4. ワイヤ表面にMoS、WS、及びZnSからなる群から選択された1種又は2種以上の粉体が、ワイヤ10kg当たり、ワイヤ表面に0.05乃至0.8g存在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  5. 前記窪みの内部に、MoS、WS、及びZnSからなる群から選択された1種又は2種以上の粉体が、ワイヤ10kg当たり、0.01乃至0.2g存在することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  6. ワイヤ表面に、MoS、WS、及びZnSからなる群から選択された1種又は2種以上の粉体が、ワイヤ10kg当たり、0.05乃至0.8g存在し、同時に前記窪みの内部に、MoS、WS及びZnSからなる群から選択された1種又は2種以上の粉体が、ワイヤ10kg当たり、0.01乃至0.2g存在することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  7. ワイヤ表面、窪み内部及び鋼地表面の1又は複数部位に、K化合物又はNa化合物が、夫々K量又はNa量に換算して、0.01乃至10.0質量ppm存在するか、又はK化合物及びNa化合物が、夫々K量及びNa量に換算したときの総量で0.01乃至10.0質量ppm存在することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  8. 前記K化合物及び/又はNa化合物は、K量及びNa量に換算して、単独で又は総量で0.1乃至5質量ppm存在することを特徴とする請求項7に記載の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  9. ワイヤ表面の円周方向に測った中心線平均表面粗さ:Raが0.05乃至1.0μmであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  10. 前記ワイヤの組成は、C:0.01乃至0.12質量%、Si:0.2乃至1.2質量%、Mn:0.5乃至2.5質量%、P:0.001乃至0.03質量%及びS:0.001乃至0.03質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  11. 前記ワイヤの組成は、更に、Ti+Zr:0.03乃至0.3質量%を含有することを特徴とする請求項10に記載の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  12. 前記ワイヤの組成は、更に、Mo:0.01乃至0.6質量%を含有することを特徴とする請求項11に記載の銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ。
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