JP2006307341A - 金属ナノ粒子の製造方法及び金属ナノ粒子 - Google Patents

金属ナノ粒子の製造方法及び金属ナノ粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】形態、粒子径が均一で高結晶性の金属ナノ粒子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】金属の塩から金属ナノ粒子を製造する製造方法において、金属配位性を有する有機化合物を含む第1の溶液に金属の塩を添加することにより金属の金属粒子を析出させる還元工程と、有機配位子を含む第2の溶液に金属粒子中の欠陥粒子を溶解させながら、金属粒子中の無欠陥粒子の結晶を成長させる熟成工程と、を備えることから成る金属ナノ粒子の製造方法である。金属ナノ粒子の平均粒子径は10〜30nmである。
【選択図】図7

Description

本発明は、金属ナノ粒子の製造方法及び金属ナノ粒子に関する。
携帯電話、パソコン等の電子機器の超小型化、多機能化に伴い、部品として使用される基盤上の金属配線パターンは高密度、高性能かつ多様であることが求められている。
従来の金属配線パターン形成方法としては、例えばエッチングによるものが挙げられる。ところが、エッチングでは高密度、高性能な金属配線パターンの形成に限界がある。また、エッチングは複雑な工程が多く、コストが高い等の問題もある。
近年、これらの問題点を解決する技術として、インクジェット技術が注目されている(例えば、特許文献1参照)。このインクジェット技術によれば、基板に直接金属材料を塗布して金属配線を形成させ、それを焼結させることにより金属配線パターンが形成される。
この技術によれば、低コスト、低環境負荷、省資源、省エネルギーでかつ製造プロセスが簡便化されるという新しいプロセスが可能となり、金属配線パターンの高密度化、高性能化、多様化を可能にする。
ところで、インクジェット技術においては、微細なノズルから金属材料を吐出させるので、ノズルの目詰まり防止の観点から、ナノサイズすなわち粒子径が数nmの金属粒子(以下「金属ナノ粒子」という。)が使用される。
このような金属ナノ粒子の製造方法としては、例えば、塩化銀や臭化銀等のハロゲン化銀に代表されるような不溶性の銀の塩から銀ナノ粒子を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
一方、酢酸銀、オレイルアミン及び有機溶媒を用いる銀ナノ粒子の製造方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
特開2004−273205号公報 特開2003−253311号公報 Hiriki Hiramatu & Frank E. Osterloh 「A Simple Large-Scale Synthesis of Nearly Monodisperse Gold and Silver Nanoparticles with Adjustable Sizes and with Exchangeable Suefactants 」American Chemistry Society、2004年6月29日、CHEMISTRY OF MATERIALS VOLUME 16, NUMBER 13.
しかしながら、上述した金属ナノ粒子には、以下のような課題がある。
(1)金属ナノ粒子の形態、粒子径が不均一であるため、金属ナノ粒子に有機配位子等の界面活性剤を混在させて用いた場合、金属ナノ粒子間に付着する界面活性剤が金属配線の焼結時に金属ナノ粒子を収縮させ、得られる金属配線が歪む傾向にある。
特に、インクジェット技術においては、エッチングのように基板に溝が形成されずに金属ナノ粒子が塗布されるため、上記歪みが起こりやすい。
(2)各金属ナノ粒子の結晶方位がそれぞれ異なるため、金属ナノ粒子同士が隣り合った場合、金属ナノ粒子間の導電率が低下する虞がある。
これらの金属配線の歪み、導電率の低下がインクジェット技術の実用化の妨げとなっている。
そこで、本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、形態、粒子径が均一で高結晶性の金属ナノ粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の金属ナノ粒子の製造方法は、金属の塩から金属ナノ粒子を製造する製造方法において、金属配位性を有する有機化合物を含む第1の溶液に金属の塩を添加することにより金属の金属粒子を析出させる還元工程と、有機配位子を含む第2の溶液に金属粒子中の欠陥粒子を溶解させながら、金属粒子中の無欠陥粒子の結晶を成長させる熟成工程と、を備えることを特徴とする。
ここで、金属配位性を有する有機化合物とは、金属と配位結合することができる有機化合物をいう。また、本発明において、欠陥とは面欠陥を意味し、欠陥粒子とは面欠陥を有する粒子を意味する。したがって、欠陥粒子は1つの粒子中に結晶方位が異なる複数の結晶を含む。
上記還元工程において、上記金属の塩は金属配位性を有する有機化合物により還元される。これにより、金属の塩は金属粒子となり、第1の溶液中に析出される。このとき、析出される金属粒子のうちの多くが欠陥粒子となっている。
そして、上記熟成工程において、有機配位子を含む第2の溶液にこの金属粒子が存在すると、欠陥粒子が無欠陥粒子よりも溶解しやすい。このとき欠陥粒子は、有機配位子に溶解されながら、金属粒子として別の粒子表面に再析出される。その際、第2の溶液中には未だ溶解していない無欠陥粒子が残存しているため、熱力学的な安定性から、再び析出される金属粒子は残存する無欠陥粒子を核(種結晶)として無欠陥粒子の結晶を成長させる。なお、第1の溶液と第2の溶液とは同一の溶液であってもよい。
これにより得られる金属ナノ粒子は形態、粒子径が均一で高結晶性のものとなる。したがって、換言すると、本発明の金属ナノ粒子の製造方法によれば、形態、粒子径が均一で高結晶性の金属ナノ粒子が得られる。
上記熟成工程において、欠陥粒子が無欠陥粒子よりも先に溶解する理由については定かではないが、以下のように考えられる。
すなわち、無欠陥粒子を核として結晶が成長する際に、自由エネルギーに対する表面エネルギーの寄与の割合が高い粒子であっても、核が成長して粒子径が大きくなると表面エネルギーの寄与の割合が低下し、体積エネルギーの寄与の割合が増加する。このため、所定の粒子径未満では欠陥粒子がエネルギー的に安定であり、所定の粒子径以上では、欠陥粒子は無欠陥粒子と比較して自由エネルギーが高くなる。このことから、欠陥粒子の溶解度が無欠陥粒子の溶解度よりも高くなるため、欠陥粒子の方が優先的に溶解すると考えられる。なお、要因はこれに限定されない。
また、上記熟成工程において、無欠陥粒子の結晶が成長する理由についても定かではないが、以下のように考えられる。
すなわち、欠陥粒子が優先的に溶解するとすれば、無欠陥粒子が欠陥粒子よりも溶解度が低くなり、体積エネルギーを含めた形でのオストワルト熟成的な成長が無欠陥粒子にみられると考えられる。
言い換えると、溶解により欠陥粒子の粒子径が小さくなり、表面エネルギーの寄与が大きくなったとしても、無欠陥粒子の粒子径が大きいために、トータルの自由エネルギーは無欠陥粒子の方が小さく、このエネルギー差を利用すれば、いわゆるオストワルト熟成と同様の機構により欠陥粒子は減少し、無欠陥粒子の結晶が成長すると考えられる。なお、要因はこれに限定されない。
上記金属ナノ粒子の製造方法において、欠陥粒子が双晶粒子であり、無欠陥粒子が単結晶構造の粒子であることが好ましい。
この場合、形態、粒子径がより均一で高結晶性の金属ナノ粒子が得られる。
上記熟成工程において、有機化合物及び金属の塩を第2の溶液に更に添加することが好ましい。
この場合、有機化合物及び金属の塩が、残存する無欠陥粒子を核(種結晶)として、無欠陥粒子の結晶の成長を促進させるため、形態、粒子径が均一で高結晶性の金属ナノ粒子が製造される。
上記還元工程において、金属粒子中に含まれる無欠陥粒子の割合が1%以上であることが好ましい。
この場合、得られる金属ナノ粒子中への欠陥粒子の混入が抑制される。
上記熟成工程において、欠陥粒子を第2の溶液に更に添加することが好ましい。
この場合、欠陥粒子が、残存する無欠陥粒子を核(種結晶)として、無欠陥粒子の結晶の成長を促進させるため、形態、粒子径が均一で高結晶性の金属ナノ粒子が製造される。
上記金属ナノ粒子の製造方法において、還元工程における初期温度が150〜250℃であることが好ましい。
この場合、析出される金属粒子の粒子径を制御することができる。
上記金属ナノ粒子の製造方法において、金属が銀であることが好ましい。銀は導電性に優れ、比較的劣化し難いという利点がある。
上記金属ナノ粒子の製造方法において、有機化合物及び/又は有機配位子が脂肪族アミンであることが好ましい。
脂肪族アミンは反応条件等により、金属の塩を還元する還元剤、金属粒子を保護する保護剤、及び金属粒子を溶解する錯化剤としての機能を発揮する。したがって、本発明の金属ナノ粒子の製造方法において、脂肪族アミンは好適に用いられる。
上記金属ナノ粒子の製造方法において、第1の溶液中の溶媒及び/又は第2の溶液中の溶媒がオクタデセン又はジクロロベンゼンであることが好ましい。
この場合、金属ナノ粒子の形態、粒子径を調整できる。
上記金属ナノ粒子の製造方法において、金属の塩1質量部に対する、第1の溶液中の溶媒及び/又は第2の溶液中の溶媒の含有量が20〜350質量部であり、有機化合物及び/又は有機配位子の含有量が5〜350質量部であることが好ましい。
この場合、欠陥粒子を確実に溶解させることが可能となるため、粒子の凝集が減少される。
本発明の金属ナノ粒子は、上述した金属ナノ粒子の製造方法により得られることを特徴する。
上記金属ナノ粒子は、上述した金属ナノ粒子の製造方法により得られるため、形態、粒子径が均一で高結晶性のものが得られる。
上記金属ナノ粒子において、平均粒子径が10〜30nmであり、且つ変動係数が20%以下であることが好ましい。また、吸収スペクトルの波長300〜800nmの領域における最大ピークの半値幅が38nm以下であることが好ましい。
ここで、変動係数とは、粒子径の標準偏差を平均粒子径で割った値を意味する。
この場合、金属ナノ粒子の形態、粒子径が均一となるため、金属ナノ粒子に有機配位子等の界面活性剤を混在させて用いた場合であっても、金属ナノ粒子間への余分な界面活性剤の付着が抑制される。これにより、金属配線の歪みが抑制される。
また、この場合、結晶方位が同じ金属ナノ粒子が隣り合うため、金属ナノ粒子間の導電率の低下が抑制される。
本発明によれば、形態、粒子径が均一で高結晶性の金属ナノ粒子及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明の金属ナノ粒子の製造方法は、金属の塩から金属ナノ粒子を製造する製造方法において、金属配位性を有する有機化合物を含む第1の溶液に金属の塩を添加することにより金属の金属粒子を析出させる還元工程と、有機配位子を含む第2の溶液に金属粒子中の欠陥粒子を溶解させながら、金属粒子中の無欠陥粒子の結晶を成長させる熟成工程と、を備える。
上記金属ナノ粒子の製造方法において、欠陥粒子と無欠陥粒子とは、TEMもしくはSTEM観察により区別できる。
なお、欠陥粒子と無欠陥粒子とを確実に分けるためには、金属粒子の形態が双晶構造の粒子が欠陥粒子、単結晶構造の粒子が無欠陥粒子とすることが好ましい。なお、後述するように金属が銀である場合、欠陥粒子は双晶構造の中でも五連双晶であるものとすることが好ましい。
本発明の金属ナノ粒子の製造方法によれば、形態、粒子径が均一で高結晶性の金属ナノ粒子が得られる。
以下、各工程について更に詳細に説明する。
(還元工程)
還元工程は、金属配位性を有する有機化合物を含む第1の溶液に金属の塩を添加することにより金属の金属粒子を析出させる工程である。
上記還元工程において、金属の塩は金属配位性を有する有機化合物により還元される。これにより、金属の塩は金属粒子となり、第1の溶液中に析出される。このとき、析出される金属粒子のうちの多くが欠陥粒子となっている。
上記金属配位性を有する有機化合物としては、脂肪族アミン、芳香族アミン、ピリジン誘導体等のアミン類、トリオクチルフォスフィンオキシド等のフォスフィン類、脂肪族カルボン酸等のカルボン酸類が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、脂肪族アミンであることが好ましい。脂肪族アミンは反応条件等により、金属の塩を還元する還元剤、金属粒子を保護する保護剤、及び金属粒子を溶解する錯化剤としての機能を発揮できる。
上記脂肪族アミンとしては、オレイルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン等の一級アミン、ジオクチルアミン等の二級アミン、トリオクチルアミン等の三級アミン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、安価であり、沸点が高いため蒸発し難く、上記機能を顕著に発揮できることから、オレイルアミンを用いることがより好ましい。
上記第1の溶液は、上記有機化合物を溶媒に溶解させることにより得られる。
かかる溶媒としては、金属粒子の溶解や析出を阻害しない溶媒であれば特に限定されないが、オクタデセン、ペンタデカン、オクタン、エチルナフタレン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、溶媒がオクタデセンやジクロロベンゼンであることが好ましい。
オクタデセンやジクロロベンゼンは、沸点が高いため、蒸発し難いという利点がある。
また、ジクロロベンゼンを用いると、さいころ状の金属ナノ粒子が得られ、粒子径もより均一化させることができる。
上記金属としては、銀、白金、金、銅、パラジウム、ニッケル等が挙げられる。これらの中でも銀であることが好ましい。銀は導電性に優れ、合成が行いやすく、比較的劣化し難いという利点がある。
また、塩としては、上記溶媒に溶解可能であれば、特に限定されないが、酢酸塩等のカルボン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、キレート錯体等が挙げられる。これらの中でも、安価であることから酢酸塩であることが好ましい。
すなわち、金属が銀であり、塩が酢酸塩であることが好ましいことから、金属の塩は酢酸銀であることが好ましい。
上記還元工程において、金属粒子中に含まれる無欠陥粒子の割合が1%以上であることが好ましい。
無欠陥粒子の割合が1%未満であると、割合が上記範囲にある場合と比較して、熟成工程において欠陥粒子も成長してしまい、得られる金属ナノ粒子中に欠陥粒子が混入してしまう傾向にある。
上記無欠陥粒子の割合は、還元工程における初期温度や熟成工程における加熱温度の温度条件、これらの昇温速度、有機化合物や有機配位子の濃度、金属の塩の濃度等に起因して定まる。したがって、無欠陥粒子の割合を1%以上とするためにこれらの条件を適宜調整することが好ましい。
上記還元工程においては、金属の塩の濃度に応じてアミンの濃度を調整することが好ましい。具体的には、金属の塩の濃度が高い場合には、アミンの濃度を高くすることが好ましい。
上記還元工程は、高温環境下で行われることが好ましい。このときの温度は金属の塩の種類や有機化合物の種類、濃度により異なるが、初期温度が150〜250℃であることが好ましい。また、有機化合物が脂肪族アミンである場合、上記温度は170〜230℃であることがより好ましい。
この場合、析出される金属粒子の粒子径を7nm以下とすることができる。なお、析出される金属粒子の粒子径が7nmを超えると、欠陥粒子が溶解せずにそのまま成長するため、金属ナノ粒子中の残存する欠陥粒子の割合が多くなる傾向にある。
また、最終的に得られる金属ナノ粒子の粒子径は、上記初期温度によって制御でき、上述した無欠陥粒子の割合も制御できる。具体的には、初期温度を高くすることにより、得られる金属ナノ粒子の粒子径を大きくすることができる。
さらに、初期温度により、析出する無欠陥粒子の数も制御できる。すなわち、無欠陥粒子の数が多ければ熟成工程後に得られる金属ナノ粒子の粒子径は小さくなり、逆に無欠陥粒子の数が少なければ熟成工程後の金属ナノ粒子の粒子径は大きくなる。
初期温度が150℃未満であると、温度が上記範囲にある場合と比較して、析出速度が非常に低下するために金属粒子の還元が行われにくい。また、初期温度と熟成温度とを異なる温度条件とする場合、析出過程での金属粒子の析出率が50%以下であると、熟成過程で新たに金属粒子が多量に生成し、粒度分布が広がりやすくなる。
一方、初期温度が250℃を超えると、析出速度が高くなり加熱条件のばらつきが生じやすくなるため、析出直後の金属粒子の粒度分布が広がりやすくなる。また、次の熟成過程においても、粒子径差に依存するオストワルト熟成の影響を受けやすく粒度分布が広がりやすくなる。さらに、この場合、欠陥粒子の成長速度が速くなるため、欠陥粒子が金属ナノ粒子中に残存する傾向にある。さらにまた、有機化合物の保護効果が低下するため、凝集粒子を生じやすい傾向にある。
また、加熱時間は、7nmを超える欠陥粒子を多く析出させない条件であれば特に限定されないが、30秒〜80分であることが好ましい。加熱時間が30秒未満であると、加熱時間が上記範囲にある場合と比較して、金属粒子の析出率が低くなることから、後の熟成過程において、十分に析出しなかった金属粒子が析出する傾向にある。このため粒度分布が広がる傾向にある。
一方、加熱時間が80分を超えると、加熱時間が上記範囲にある場合と比較して、粒子径に依存するオストワルト熟成の影響を受けやすく、粒子径や形態が均一な金属ナノ粒子が得られにくい傾向にある。
(熟成工程)
熟成工程は、有機配位子を含む第2の溶液に金属粒子中の欠陥粒子を溶解させながら、金属粒子中の無欠陥粒子の結晶を成長させる工程である。
上記熟成工程においては、有機配位子を含む第2の溶液に上記金属粒子を加えると、欠陥粒子が無欠陥粒子よりも先に溶解する。このとき欠陥粒子は、有機配位子に溶解(酸化)されると、その後、再び還元され、金属粒子として再析出される。その際、第2の溶液中には未だ溶解していない無欠陥粒子が残存しているため、再び析出される金属粒子は、残存する無欠陥粒子を核(種結晶)として無欠陥粒子の結晶を成長させる。
上記有機配位子としては脂肪族アミン、トリオクチルフォスフィンオキシド等のフォスフィン類、オレイン酸等の脂肪族カルボン酸、オクチルリン酸等のリン酸類等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、脂肪族アミンであることが好ましい。脂肪族アミンは反応条件等により、金属の塩を還元する還元剤、金属粒子を保護する保護剤、及び金属粒子を溶解する錯化剤としての機能を発揮できる。
また、脂肪族アミンの中でも、有機配位子は熟成工程における加熱温度よりも沸点が高く、金属粒子の凝集を抑制し、金属粒子に強固に結合しないものであることが好ましい。具体的には、オレイルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン等が挙げられる。
上記脂肪族アミンとしては、オレイルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン等の一級アミン、ジオクチルアミン等の二級アミン、トリオクチルアミン等の三級アミン等が挙げられる。
これらの中でも、安価であり、沸点が高いため蒸発し難く、上記機能を顕著に発揮できることから、オレイルアミンを用いることがより好ましい。
なお、上記有機配位子は、上述した有機化合物と同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。この場合、還元工程と熟成工程とを連続して行うことができる。
上記第2の溶液は、上記有機配位子を溶媒に溶解させることにより得られる。
かかる溶媒は、上述した溶媒と同義であり、上述した溶媒と同一であっても、異なっていてもよい。なお、かかる溶媒も上述した溶媒と同様に、オクタデセン又はジクロロベンゼンであることが好ましい。
上記熟成工程は、高温環境下で行われることが好ましい。かかる温度は金属の塩の種類や有機配位子の種類、濃度により異なるが、上記温度が160〜280℃であることが好ましく、170〜250℃であることがより好ましく、175〜225℃であることが更に好ましい。この場合、金属粒子の溶解度が上昇するため、熟成工程を加速させることができる。
また、有機配位子が脂肪族アミンである場合、上記温度は160〜250℃であることが好ましく、175〜225℃であることがより好ましい。
温度が160℃未満であると、温度が上記範囲にある場合と比較して、熟成による無欠陥粒子の溶解速度が遅くなり、更に粒子径の差によるオストワルト熟成の影響が顕著になって、粒度分布が広がる傾向にあり、温度が250℃を超えると、温度が上記範囲にある場合と比較して、有機配位子の保護効果が低下して凝集が起こりやすくなり、結果的に欠陥粒子が生じやすくなる傾向にある。
また、このときの加熱時間は30〜300分であることが好ましく、90〜300分であることがより好ましい。加熱時間が30分未満であると、加熱時間が上記範囲にある場合と比較して、無欠陥粒子の結晶が十分に成長せず、また、欠陥粒子の消失も十分ではないために高結晶性の金属ナノ粒子が得られない傾向にあり、加熱時間が300分を超えると、加熱時間が上記範囲にある場合と比較して、粒子径に依存するオストワルト熟成の影響が大きくなり、また、粒子同士が凝集する確率も大きくなるために、粒子径や形態が均一な金属ナノ粒子が得られない傾向にある。
上記熟成工程において、還元工程で用いた有機化合物及び金属の塩を第2の溶液に更に添加することが好ましい。
この場合、2回目以降に添加された金属の塩は核(種結晶)生成への寄与よりも核(種結晶)の成長に大きく寄与する。すなわち、有機化合物及び金属の塩が、残存する無欠陥粒子を核として、無欠陥粒子の結晶の成長を促進させる。このため、欠陥粒子の発生が抑えられ形態、粒子径が均一で高結晶性の金属ナノ粒子を製造できる。
なお、欠陥粒子の発生があっても、本発明の金属ナノ粒子の製造方法によれば、欠陥粒子を減少させ、無欠陥粒子の結晶を成長させることができる。
上記熟成工程において、別途作製した欠陥粒子(以下便宜的に「別の欠陥粒子」という。)を第2の溶液に更に添加することが好ましい。
この場合、別の欠陥粒子が、残存する無欠陥粒子を核として、無欠陥粒子の結晶の成長を促進させる。このため、形態、粒子径が均一で高結晶性の金属ナノ粒子を製造することができる。
なお、別の欠陥粒子の添加速度は、核(種結晶)となる無欠陥粒子の濃度および別の欠陥粒子の粒子径の大きさに依存する。
例えば、別の欠陥粒子の含有量を元の金属粒子全体の含有量と同量とした場合、別の欠陥粒子の添加時間は1分〜3時間であることが好ましく、10分〜1時間であることがより好ましい。
添加時間が1分未満であると、添加時間が上記範囲にある場合と比較して、添加速度が速くなるため、得られる金属ナノ粒子の粒度分布が広がる傾向にあり、添加時間が3時間を超えると、添加時間が上記範囲にある場合と比較して、添加速度が遅くなるため、無欠陥粒子のオストワルト熟成(小さい無欠陥粒子の粒子径が減少し、大きい無欠陥粒子の粒子径が増大する)により、粒度分布が広がる傾向にある。
本発明の金属ナノ粒子の製造方法において、金属の塩1質量部に対する、第1の溶液中の溶媒及び/又は第2の溶液中の溶媒の含有量が20〜350質量部であり、有機化合物及び/又は有機配位子の含有量が5〜350質量部であることが好ましい。また、有機化合物及び/又は有機配位子の含有量が30〜310質量部であることがより好ましい。
この場合、欠陥粒子を確実に溶解させることが可能となり、結果的に粒子の凝集を減少させることができる。
また、上記有機化合物及び/又は有機配位子の含有量が5質量部未満であると、含有量が上記範囲にある場合と比較して、金属粒子の凝集が起こりやすくなるため、欠陥粒子が多数生成する傾向にあり、有機化合物及び/又は有機配位子の含有量が350質量部を超えると、含有量が上記範囲にある場合と比較して、有機配位子の金属粒子表面への吸着が強くなり、欠陥粒子の溶解速度が遅くなる。そうすると、オストワルト熟成により欠陥粒子の成長が起こるために、最終的には欠陥の多い生成物になる傾向にある。
本発明の金属ナノ粒子の製造方法においては、得られた金属ナノ粒子を洗浄してもよい。かかる洗浄には、通常メタノール及び/又はエタノールが用いられる。
なお、過剰に洗浄すると、金属ナノ粒子を保護する有機化合物又は有機配位子が欠落するおそれがあるため、上記洗浄に低濃度の有機化合物又は有機配位子を添加して用いることが好ましい。
また、洗浄された金属ナノ粒子は種結晶として用いることができる。すなわち、当該種結晶を金属の塩が添加された第1の溶液に添加して用いてもよく、臨界径以下の粒子径の欠陥粒子を分散させた第2の溶液に添加して用いてもよい。
上記金属ナノ粒子の製造方法においては、必要に応じて、第1の溶液又は第2の溶液に添加剤を添加してもよい。かかる添加剤としては、アミン化合物、カルボン酸化合物、チオール化合物等の錯化剤、保護剤として働く材料、塩化ナトリウム、塩化白金酸等の吸着により金属ナノ粒子の溶解や析出を制御したり、その形態に影響を与えるもの等が挙げられる。
こうして上述した金属ナノ粒子の製造方法により得られる本発明の金属ナノ粒子は、形態、粒子径が均一で高結晶性となる。
本発明の金属ナノ粒子の平均粒子径は10〜30nmであることが好ましく、10〜20nmであることがより好ましい。また、上記金属ナノ粒子の変動係数は、20%以下であることが好ましい。
かかる平均粒子径は、顕微鏡観察像を用いて測定できる。なお、これにより、粒子径分布の経時変化も測定できる。
この場合、金属ナノ粒子の粒子径が均一となるため、金属ナノ粒子に有機配位子等の界面活性剤を混在させて用いた場合であっても、金属ナノ粒子間への余分な界面活性剤の付着が抑制される。これにより、金属配線の歪みが抑制される。
また、結晶方位が同じ金属ナノ粒子が隣り合うため、金属ナノ粒子間の導電率の低下が抑制される。
上記金属ナノ粒子は、吸収スペクトルの波長300〜800nmの領域における最大ピークの半値幅が38nm以下であることが好ましい。
なお、半値幅が狭くなるほど、粒度分布が狭いこと、粒子表面の吸着種による屈折率のばらつきが小さいことを意味する。また、半値幅が経時的に減少していれば金属ナノ粒子の均一性が向上したことを意味する。
したがって、この場合の金属ナノ粒子は、半値幅が狭くなっているため、粒度分布が狭く、屈折率のばらつきが小さいものとなる。よって、かかる金属ナノ粒子はフィルム等に付与することにより、光フィルター等の用途に好適に用いられる。
上記金属ナノ粒子の形態は、結晶方位が同じであることが好ましく、具体的には六面体やプルズム状、平板状であることが好ましい。
この場合、表面エネルギーが低くなるため、安定した金属ナノ粒子となる。また、結晶方位が同じであるため、金属ナノ粒子間の導電率の低下が抑制される。
金属ナノ粒子の形態は、ナノサイズまで測定可能な高分解能を有する顕微鏡で測定できる。例えば、電界放射型走査型電子顕微鏡(S−5200,日立ハイテクノロジーズ製)または電界放射型透過型電子顕微鏡(Technai G2,FEI製)等が用いられる。
本発明の金属ナノ粒子は、金属配線用の金属インク、金属ペースト等の電子材料、光フィルターなどの光学材料等に好適に用いられる。
特に、インクジェット技術による金属配線形成に用いた場合、金属ナノ粒子の焼結による金属配線の縮みが抑制され、金属配線の形状のバラツキが小さくなる。また、多量に金属配線板を生産する場合、金属ナノ粒子の形態、粒子径等を調整することにより、金属配線の断線が抑制される。したがって、不良品の発生を大幅に抑止することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
[還元工程]
金属の塩として酢酸銀(AgCHCO)を用い、溶媒としてオクタデセン(CH(CH)15CH:CH)を用い、また有機化合物としてオレイルアミン(CH(CH)7CH=CH(CH)8NH)を用いて還元工程を行った。
各成分の配合割合が酢酸銀1質量部に対してオクタデセン300質量部、オレイルアミン100質量部となるように混合して混合液を作製した。そして、この混合液を200℃で加熱することにより硝酸銀を還元した。なお、加熱開始後1分以内に銀粒子の析出が確認された。
[熟成工程]
上記混合液から析出した銀粒子は取り出さずに、混合液に浸漬させたままの状態で還元工程を行った。なお、有機配位子は還元工程で用いたオレイルアミンをそのまま利用し、溶媒は還元工程で用いたオクタデセンをそのまま利用した。そして、上記混合液の温度を200℃にし、120分間熟成させた。
混合液中の銀ナノ粒子を取り出し、メタノールとエタノールの混合溶媒を用いて洗浄し、銀ナノ粒子を得た。得られた銀ナノ粒子は結晶が十分に成長したものであり、半値幅が38nmであり、平均粒子径が11nmであり、変動係数が13%であった。
熟成時間と生成した銀ナノ粒子の粒子径、粒子数の関係のグラフを図1に示す。また、熟成工程において、加熱開始後5分、60分、120分の銀ナノ粒子の電子顕微鏡写真を図2,3,4にそれぞれ示す。さらに、熟成時間と銀ナノ粒子の半値幅との関係のグラフを図5に示す。
〔実施例2〕
オクタデセンの代わりにジクロロベンゼンを用い、還元工程及び熟成工程における加熱温度を170℃としたこと以外は、実施例1と同様にして還元工程、熟成工程を行った。
得られた銀ナノ粒子は結晶が十分に成長したものであり、銀ナノ粒子の吸収ピーク半値幅が28nmであり、平均粒子径が18nmであり、変動係数が20%であった。
〔実施例3〕
オクタデセンの代わりにジクロロベンゼンを用い、還元工程及び熟成工程における加熱温度を170℃とし、熟成工程における加熱時間を19時間としたこと以外は、実施例1と同様にして還元工程、熟成工程を行った。
得られた銀ナノ粒子は結晶が十分に成長したものであり、平均粒子径が25nmであり、変動係数が15%であった。得られた銀ナノ粒子の電子顕微鏡写真を図6に示す。
〔実施例4〕
実施例1のおける熟成工程後の混合液に、金属の塩として酢酸銀(AgCHCO)と、有機化合物としてオレイルアミン(CH(CH)7CH=CH(CH)8NH)とを加え、実施例1と同様にして再び還元工程及び熟成工程とを行った。
なお、配合割合は、上記混合液中の銀ナノ粒子1質量部に対して、酢酸銀が2質量部、オレイルアミンが200質量部となるようにした。
得られた銀ナノ粒子は結晶が十分に成長したものであり、半値幅が35nmであり、平均粒子径が15nmであり、変動係数が9.8%であった。
最初の熟成工程後の銀ナノ粒子の粒度分布と、銀ナノ粒子を種結晶として酢酸銀及びオレイルアミンを添加し、還元工程、熟成工程を経た銀ナノ粒子の粒度分布との関係を図7に示す。
〔実施例5〜12〕
オレイルアミン及びオクタデセンの含有量を表1に示す量に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、還元工程、熟成工程を行った。なお、得られた銀ナノ粒子の半値幅、平均粒子径、変動係数も表1に示す。
〔表1〕
Figure 2006307341
〔実施例13〜25〕
還元工程における温度、時間の条件と、熟成工程における温度、時間の条件とを表2に示す条件としたこと以外は、実施例1と同様にして、還元工程、熟成工程を行った。なお、得られた銀ナノ粒子の半値幅、平均粒子径、変動係数も表2に示す。なお、表中の「−」は測定していないことを意味する。
〔表2〕
Figure 2006307341
〔比較例1〕
オレイルアミンの代わりにドデカノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、還元工程、熟成工程を行った。
得られた銀ナノ粒子は結晶が凝集したものであり、半値幅が300nmであり、平均粒子径が150nmであり、変動係数が350%であった。
〔比較例2〕
酢酸銀の代わりに銀粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、還元工程、熟成工程を行った。
得られた銀ナノ粒子には多くの欠陥が含まれており、半値幅が200nmであり、平均粒子径が約80nmであり、変動係数が300%であった。
〔評価方法〕
<半値幅の測定>
銀ナノ粒子の半値幅は、UV−VIS分光光度計(V−760、日本分光製)により測定した。すなわち、吸収スペクトルの波長300〜800nmの領域における最大ピークを特定し、その半値幅を算出した。
<平均粒子径の測定>
電子顕微鏡による直接観察により粒子径の確認を行った。
電子顕微鏡(S−5200,日立ハイテクノロジーズ製)により得られた粒子の写真から、300個をランダムに抽出し、平均粒子径を算出した。
<変動係数>
上記粒子径の標準偏差を求め、平均粒子径で割ることにより変動係数を算出した。
<形態観察>
電界放射型走査型電子顕微鏡(S−5200、日立ハイテクノロジーズ製)によりその形態を観察した。
また、結晶内部の欠陥の存在については、電界放射型透過型電子顕微鏡(Technai G2,FEI製)により観察を行い、粒子内の特徴的なコントラストにより下記基準に基づいて評価した。この形態観察の結果を表3に示す。なお、表3中、()内の数字は欠陥粒子の含有割合を示す。
○:欠陥粒子の数が殆ど認められない(全粒子中の欠陥粒子の割合:10%未満)
△:欠陥粒子の数が少ない(全粒子中の欠陥粒子の割合:10〜50%)
×:欠陥粒子の数が多い(全粒子の欠陥粒子の割合:50%を超える)
〔表3〕
Figure 2006307341
以上より、実施例1〜25の銀ナノ粒子では、欠陥粒子の数が殆ど認められないか、欠陥粒子の数が少なかった。一方、比較例1,2の銀ナノ粒子は凝集が認められ、欠陥粒子が多く認められた。
図1より、加熱開始後5分で、4nm程度のナノ粒子が生成していたが、その粒子径の粒子は加熱・熟成時間とともに粒子径を減少させながら徐々にその割合を減少させ、加熱開始後120分で消滅した。
一方、そのうちの一部の粒子は成長し、その割合は時間とともに増加し、加熱開始後120分で約13nmになった。
このことから、初期に生成した粒子の大部分は消滅し、その一部のみが成長していることが確認された。
図2より、5分後の粒子は、粒子径が4nmであり、そのほとんどは、図2の挿入図に示すように、五連双晶だった。
図3より、60分後の粒子は、3nm程度の粒子と10nm程度の粒子が混在していた。また、3nmの粒子は、ほとんどすべてが五連双晶であり、10nm程度の粒子は、ほとんどすべてが無欠陥粒子であった。
図1及び図3より、無欠陥粒子のみが優先的に成長していることが確認された。また、さらに熟成を続け、粒子径が120nmになると、図4に示すように、微小な五連双晶粒子は消滅し、ほぼすべての粒子が無欠陥粒子になることがわかった。
図5より、初期には70nm程度あった半値幅は、加熱・熟成時間とともに徐々に減少し、加熱開始後2時間で38nmになった。また、加熱開始後3時間で35nmになった。
図7より、銀ナノ粒子を種結晶として酢酸銀及びオレイルアミンを更に添加し、還元工程、熟成工程を経た銀ナノ粒子は、粒子径の均一性が高くなると共に、粒子径が大きくなることがわかった。
よって、本発明によれば、形態、粒子径が均一で高結晶性の金属ナノ粒子及びその製造方法を提供できることが確認された。
本発明は高結晶性金属ナノ粒子を製造する分野において好適に利用される。
図1は、実施例1における熟成時間と生成した銀ナノ粒子の粒子径、粒子数の関係を示すグラフである。 図2は、実施例1の熟成工程において、加熱開始後5分の銀ナノ粒子の電子顕微鏡写真を示す図である。 図3は、実施例1の熟成工程において、加熱開始後60分の銀ナノ粒子の電子顕微鏡写真を示す図である。 図4は、実施例1の熟成工程において、加熱開始後120分の銀ナノ粒子の電子顕微鏡写真を示す図である。 図5は、実施例1における熟成時間と銀ナノ粒子の半値幅との関係を示すグラフである。 図6は、実施例3で得られた銀ナノ粒子の電子顕微鏡写真を示す図である。 図7は、実施例4における最初の熟成工程後の銀ナノ粒子の粒度分布と、銀ナノ粒子を種結晶として酢酸銀及びオレイルアミンを添加し、還元工程、熟成工程を経た銀ナノ粒子の粒度分布との関係を示すグラフである。

Claims (13)

  1. 金属の塩から金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    金属配位性を有する有機化合物を含む第1の溶液に前記金属の塩を添加することにより前記金属の金属粒子を析出させる還元工程と、
    有機配位子を含む第2の溶液に前記金属粒子中の欠陥粒子を溶解させながら、前記金属粒子中の無欠陥粒子の結晶を成長させる熟成工程と、
    を備えることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記欠陥粒子が双晶構造の粒子であり、前記無欠陥粒子が単結晶構造の粒子であることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記還元工程において、前記金属粒子中に含まれる無欠陥粒子の割合が1%以上であることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。
  4. 前記熟成工程において、前記有機化合物及び前記金属の塩を前記第2の溶液に更に添加することを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  5. 前記熟成工程において、前記欠陥粒子を前記第2の溶液に更に添加することを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  6. 前記還元工程における初期温度が150〜250℃であることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  7. 前記金属が銀であることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  8. 前記有機化合物及び/又は前記有機配位子が脂肪族アミンであることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  9. 前記第1の溶液中の溶媒及び/又は前記第2の溶液中の溶媒がオクタデセン又はジクロロベンゼンであることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  10. 前記金属の塩1質量部に対する、前記第1の溶液中の溶媒及び/又は前記第2の溶液中の溶媒の含有量が20〜350質量部であり、前記有機化合物及び/又は前記有機配位子の含有量が5〜350質量部であることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法により得られることを特徴する金属ナノ粒子。
  12. 平均粒子径が10〜30nmであり、且つ変動係数が20%以下であることを特徴とする請求項11記載の金属ナノ粒子。
  13. 吸収スペクトルの波長300〜800nmの領域における最大ピークの半値幅が38nm以下であることを特徴とする請求項11記載の金属ナノ粒子。

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