JP2006295840A - ダウンコンバータ及びアップコンバータ - Google Patents

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Abstract

【課題】消費電力を軽減させつつ、低IF方式では充分なイメージ抑圧比を得ることができ、ゼロIF方式ではEVMの劣化を抑えることができるダウンコンバータおよびアップコンバータを提供する。
【解決手段】複素係数トランスバーサルフィルタ115は、入力されるRF信号の正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧し、RF信号を実数部と虚数部からなる複素RF信号へ変換して出力する。局部発振器181は、所定の周波数を有する実ローカル信号を出力する。半複素ミキサ118は、複素係数トランスバーサルフィルタ115と、局部発振器181とに接続され、複素係数トランスバーサルフィルタ115から出力される複素信号と、局部発振器181から出力される実ローカル信号とを乗算して周波数変換し、RF信号の周波数より所定の周波数離れた周波数の複素信号を出力する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、受信機において周波数変換を行うダウンコンバータ及び送信機において周波数変換を行うアップコンバータに関する。
(低IF方式のダウンコンバータの背景技術)
例えば、携帯電話機のように、受信機および送信機の両方の機能を具備する無線通信機において、受信機、すなわちダウンコンバータの機能として、通話内容およびデータ通信内容によってRF(Radio Frequency)信号を受信し、受信したRF信号を復調部に入力するための周波数に変換する機能がある。また、受信機において、目的の信号を選択するチャンネル選択を行うフロントエンドの方式として、以下のような方式が存在する。すなわち、RF信号を中間周波数(IF:Intemediate Frequency)信号に変換するヘテロダイン方式や、RFからDC(Direct Current)に変換するゼロIF方式(ダイレクトコンバージョンあるいはホモダイン方式と呼ばれる)や、イメージ周波数信号を抑圧するイメージリジェクション(抑圧)ミキサ(実入力複素出力半複素ミキサ)によってRF信号をDCよりわずかに離れたIF信号に変換する低IF方式といった3つの方式が存在する。
上記のような3つの方式が存在する背景について簡単に説明すると、RF信号の周波数を元の信号へ周波数変換するための最も単純な方式とは、RF信号の周波数と同じ周波数を乗算し、ベースバンド信号に直接周波数変換するゼロIF方式である。
しかし、RF信号などの高周波数領域において、ゼロIF方式を実現するためには、信号の直交性等を確保するために、非常に精度の高いPLL(Phase Locked Loop)回路等が必要となり高価なものとなってしまう。そこで、段階的に周波数を低下させて周波数変換することで、ゼロIF方式ほど部品に対する精度を要求しない周波数変換方式が提案され、それを具現化したものとしてヘテロダイン方式や低IF方式などが存在する。
これら3つの方式のうち、ヘテロダイン方式は、IF信号の周波数を高くし、周波数変換前のRF信号の処理部において、目的信号の周波数とイメージ周波数(目的信号の周波数から、IF信号の周波数の2倍の周波数分離れた低周波側に存在し、ダウンコンバートする際に目的信号に影響を与えるイメージ周波数信号の周波数)との差を大きくすることにより、RFフィルタによってイメージ周波数信号を抑圧し、イメージ周波数信号の妨害(以下、イメージ周波数信号妨害という)を回避している。
このようなヘテロダイン方式が適用される具体例となる送受信動作が同時に行われるフルデュープレックス(全二重)型の無線機においては、送信周波数信号や、送信および受信のローカル信号を共通化した時におけるイメージ周波数に近い送信信号(以下、イメージ周波数信号)を抑圧するが、RF信号からIF信号に変換するときに発生するイメージ周波数信号をRF信号のフィルタ(以下、RFフィルタという)で抑圧しきれない場合、イメージ周波数信号の周波数を変えるために、IF信号の周波数を無線通信方式毎に変え、RFフィルタにて抑圧できるようにしている。このため、複数の通信方式をサポートするマルチモード無線機においても、モード(通信方式)毎にチャンネル帯域幅が異なることに伴って、モード毎にIF信号の周波数を変えている。それゆえに、マルチモード無線機において、モード毎に中心周波数または通過周波数が異なるIF信号のフィルタ(以下、IFフィルタという)を用意する必要が生じ、回路規模が非常に大きくなるという問題があった。
一方、低IF方式では、図21の低IF方式のダウンコンバータ9に示すように、ローカル信号を出力する局部発振器であるLocal813が接続され、乗算器を備えたミキサI814及びQ815と、から構成されるイメージリジェクションミキサ810(実入力複素出力ミキサ)を用いて周波数変換を行う。なお、Local813とイメージリジェクションミキサ810とを合わせて周波数変換器が構成される。そして、ローカル信号の周波数を中心として、目的信号の周波数に対してIF信号の周波数の値だけ低周波側の対称の位置に存在する目的外信号、すなわちイメージ周波数信号をRFフィルタとIFフィルタの周波数特性に依存することなく抑圧する。ここで、イメージ周波数信号の抑圧比は、後述するイメージ抑圧比によって表され、イメージ抑圧比は、RFフィルタの特性に対する依存度が低く、IF信号の周波数を低くすることが可能となる。
また、IF信号の周波数がチャンネル間隔に等しい場合には、目的チャンネルのイメージ周波数は、目的チャンネルの次隣接チャンネルとなる。
例えば、ダウンコンバータを使用する無線通信方式において、IF信号の周波数から、該IF信号の周波数の2倍の周波数だけ離れたイメージ周波数信号に対するブロッキング等の要求仕様が、該低IF方式のダウンコンバータ9におけるイメージ抑圧比以下であるときに、このダウンコンバータ9は該無線方式の仕様を満足することになる。
また、低IF方式によれば、IF信号の周波数を低くすることができるので、IFフィルタをアクティブフィルタによって構成することができ、IC化による装置の小型化が容易である。また、マルチモード無線機においても、無線通信方式毎にIF信号の周波数を変える必要がなくなり、IFフィルタを容易に共通化することができる。
なお、上述したローカル信号の周波数を中心として、目的信号の周波数に対してIF信号の周波数の値だけ低周波側の対称の位置にイメージ周波数信号が存在するということは、IF信号の周波数の2倍の周波数が目的信号の周波数とイメージ周波数との周波数間隔になることと同じ意味である。
また、上述したようにマルチモード無線機では通信方式毎にチャンネル帯域幅が異なるため、IFフィルタの帯域幅は無線通信方式毎に変更せざるを得ないが、低IF方式ではトランジスタのトランスコンダクタンス(gm)を変化させることにより特性を必要に応じて変更するgmC(トランスコンダクタンス・キャパシタ)フィルタ等を用いることにより、IFフィルタの特性を容易に可変させることができる。そのため、マルチモード無線機に低IF方式を適用した場合には、ヘテロダイン方式のように複数のIFフィルタを必要とせず、1つのIFフィルタによって構成することができ、それによって回路規模を大きくすることなくマルチモード無線機を実現することができる。
しかしながら、上述したようにヘテロダイン方式に比べて優れた性能を有する低IF方式であっても、非特許文献1および非特許文献2において記載されるように、イメージ抑圧比は30dB程度しか保証されない。また、30dBというイメージ抑圧比自体も容易に実現できる値ではなく、その実現のために、使用するトランジスタの性能のばらつきによるミキサのイメージ抑圧比の劣化を抑えるため、該トランジスタのサイズを大きくする必要があり、消費電力の増大およびfT(遷移周波数:Transition Frequency:fTと呼ばれる)の低下を引き起こし、イメージ抑圧比以外の諸特性が劣化するという問題がある。
また、30dBというイメージ抑圧比自体が実現できたとしても、イメージ周波数信号に対するブロッキング等の仕様が甘い無線通信方式には適用が可能であるが、30dBを超える妨害耐性が要求される場合には、当該要求仕様を満足できず、低IF方式を適用することができないという問題がある。
例えば、GSM(Global System for Mobile Communication)(登録商標)においては、目的信号の周波数から300kHz以内の周波数におけるイメージ周波数信号に対するブロッキング等の妨害耐性の要求仕様が18dBであるので適用が可能である。
一方、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)は目的信号の周波数から5MHz離れた隣接チャンネルに対する妨害耐性の要求仕様が33dBであるので、上述した30dBのイメージ抑圧比では、実用上、要求使用に照らし合わせるとボーダーラインの性能となる。そのため、低IF方式において、当該要求仕様を満足するためには、装置に使用するミキサの選別やイメージ抑圧比を向上するための装置の精度向上策をとる必要があり、チップ面積を大きくしなければならない等、コスト上昇に繋がる問題がある。
また、さらに、GSM(登録商標)やW−CDMAにおいても、RF部における周波数変換の他に、デジタル部において複数のチャンネルからのチャンネル選択(以下、チャンネル選択という)を行うデジタルチューナやソフトウェア無線機のフロントエンドとして用いる場合がある。このような場合、例えば、GSM(登録商標)においては、目的信号の周波数から300kHz以上離れた周波数におけるイメージ周波数信号に対するブロッキング等の妨害耐性の要求仕様が50dB以上となり、W−CDMAにおいても同様に要求仕様がイメージリジェクションミキサによって実現できるイメージ抑圧比を超えることから、事実上、デジタル部におけるチャンネル選択が不可能になる。したがって、低IF方式を、デジタルチューナやソフトウェア無線機のフロントエンドに適用することはできない。
低IF方式におけるこれらの問題を解決するために、前述したイメージリジェクションミキサを用いて40dBを超えるイメージ抑圧比を低IF方式において得る手段として、以下の第1から第4の手段を採用することを考えることができる。
第1の手段は、IF信号の周波数を高くし、周波数変換前のRF部において、目的信号の周波数とイメージ周波数との差を大きくすることにより、RFフィルタによってイメージ周波数信号を抑圧する手段である。
第2の手段は、特許文献1および特許文献2に記載されているデジタル処理による補正処理や、特許文献3および特許文献4の論文に記載されているアナログ回路処理による補正処理等によって、イメージリジェクションミキサの特性を補正する手段である。
第3の手段は、非特許文献3および非特許文献4のFigure3.25(b)に記載されるように、RF部において位相器を設け、該位相器により90度の位相差を得て、RF信号を複素化し、複素化したRF信号を複素ローカル信号との複素乗算により周波数変換を行うことにより、イメージ周波数信号の抑圧を行う手段である。
第4の手段は、非特許文献4のFigure3.28およびFigure3.31に記載されているように、複素ローカル信号を用いたミキサにより、RF信号の周波数変換および信号の複素化を行い、複素ローカル信号との複素乗算を再度行うことにより、イメージ周波数信号の抑圧を行う手段である。
しかしながら、第1から第4の手段では、以下のような問題をそれぞれ包含している。まず、第1の手段では、周波数処理がデジタル処理によって行われる近年の無線機において、IF信号の周波数を高くすることにより、IF信号のデジタル化のためのAD(Analog Digital)コンバータ(ADC)および該ADコンバータの出力を処理するデジタル信号処理部のクロックが上昇することにより消費電力が増大するという問題がある(ダウンコンバータにおける第1の問題)。
なお、この問題の対応策として、サブナイキストサンプリング手法を用いることより、ADコンバータのクロックを低くすることができることは知られているが、この場合、ADコンバータの入力周波数帯域を広くすることにより、消費電力が増大するという別の問題が発生してしまうためサブナイキストサンプリング手法を実際に採用することは困難である。
また、第2の手段では、デジタル処理による補正においては、デジタル部における演算処理のため、消費電力が増大するという問題があり、アナログ処理による補正においては補正のための回路規模が大きくなり、また、補正精度がよくないという問題がある(ダウンコンバータにおける第2の問題)。
また、第3の手段では、位相器において発生する損失が問題になる。位相器の損失は、例えば帯域を広げるため、位相器の次数を上げると増大し、この損失のため、受信感度が低下する。また、RC(抵抗−コンデンサ)によって構成される位相器においては、周波数が高いRFにてRとCの値が小さくなるために、入出力インピーダンスも考慮すると、実用的な精度が得られないという問題がある(ダウンコンバータにおける第3の問題)。
また、第4の手段では、複素ローカル信号を用いたミキサによる複素化においては、ミキサとローカル信号発振器が増えることにより消費電力が増大する問題及びローカル信号発振器数が増えることによるスプリアス受信等の問題がある(ダウンコンバータにおける第4の問題)。
以上の第1から第4の問題に加えて、低IF方式では、図21に示すようにcosとsinの直交するローカル信号を出力する局部発振器であるLocal813と2つの乗算器、すなわちミキサ814とミキサ815が要求され回路規模が大きくなり、ローカル信号が単一で、ミキサもひとつでよいヘテロダイン方式に対し、消費電力が増大するという問題がある(ダウンコンバータにおける第5の問題)。
(低IF方式のアップコンバータの背景技術)
次に、携帯電話機などの無線通信機における送信機、すなわちアップコンバータの機能として、通話内容およびデータ通信内容などの情報を含むベースバンド信号をRF信号に変換するために、まず複素ベースバンド信号を複素ローカル信号とミキシングして実IF信号に変換し、実IF信号を実ローカル信号とミキシングして実RF信号に変換する機能がある。
アップコンバータでは、RFフィルタによってIF信号のイメージ周波数信号を抑圧するために、RF信号におけるシステム帯域幅の広帯域化に伴って、IF信号の周波数を高くすることが要求され、さらに、通信速度の高速化によるチャンネル帯域の広帯域化に伴うRF帯域の広帯域化により、IF信号の周波数をより高くすることが要求されるようになっている。そのため、IF信号の処理部において、コストアップおよび消費電力の増大を招くという問題がある。逆に、IF信号の周波数を可能な限り低くしようとすると、RFフィルタに対する要求仕様が厳しくなるという問題がある。
これらのアップコンバータに係る問題の対策として、アップコンバータにおいても、複素ベースバンド信号を全複素ミキサによって複素IF信号に変換し、該複素IF信号をイメージリジェクションミキサ(以下、半複素ミキサ)によって複素ローカル信号とミキシングすることにより、IF信号の周波数を低くしつつ、イメージ周波数信号を抑圧する構成(以下、第1の構成)を考えることができる。第1の構成によると、RFフィルタの阻止帯域減衰量に対する要求仕様は軽減され、従来2段必要であったRF信号のSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタが1段でよくなるという利点はある。
しかし、受信機において受信用として用いられる半複素ミキサのイメージ抑圧比の性能を参照すると、非特許文献1および非特許文献2において記載されるように、−30dBcのイメージ周波数信号が送信スプリアスとして存在すると推定される。この性能では、送信スプリアスの許容マスク(以下、スプリアスマスク)の仕様を超える恐れがあるため、仕様を満たすためには、イメージ周波数信号を抑圧するRFフィルタが必要となる。RFフィルタが必要となると、RFフィルタに対する要求仕様とIF信号の周波数の関係を考慮する必要が生じることとなり、結局のところ第1の構成でもIF信号の周波数を低くすることができず、高いIF信号周波数に起因する問題を解決することができない。
そこで、高いIF信号周波数に係る問題を解決する別の手段として上述したダウンコンバータにおいて用いた低IF方式の構成(以下、第2の構成)を用いることが考えられる。図32は、従来の低IF方式を適用したアップコンバータを示した図である。第2の構成をとると、半複素ミキサのイメージ周波数信号の抑圧効果によって、IF信号のイメージ周波数信号を抑圧するためのRFフィルタが不要、もしくはRF信号のSAWフィルタに対する要求仕様は大きく緩和され、要求仕様の条件によってはRF信号のSAWフィルタを不要とすることもできる。
しかしながら、第2の構成のアップコンバータにおいても、イメージ周波数信号を完全になくすことはできず、目的周波数の近くにイメージ周波数信号が現れる。図33は、図32の第2の構成のアップコンバータ35おいて、複素ベースバンドにおけるキャリア間隔1.6MHzのDSB(Double Side Band)信号を、中心周波数を5MHzとして周波数変換を行った複素IF信号(図33のS35)のスペクトルを示した図である。図34は、図33に示す複素IF信号を、実数部(同相成分:I:In phase component)である実数軸信号I、虚数部(直交成分:Q:QuADrature Phase component)である虚数軸信号Qの振幅間に10%の誤差がある複素ローカル信号(795MHz)とミキシングした実信号出力のスペクトルを示した図である。図34では、イメージ周波数(790MHz)において、目的信号(800MHz:S36)に対し、−26dBcのイメージ周波数信号(図34:S37)が発生している。
このため、上述した非特許文献1と2に記載されたミキサのように、イメージ抑圧比が−30dBc程度しか確保できない場合、第2の構成のアップコンバータでは目的信号近傍におけるスプリアスマスクの仕様を超えてしまう。仮に、当該スプリアスマスクの仕様を限界に近い状態で満たすようにできたとしても、半複素ミキサの性能のばらつきや環境条件の変動によるイメージ抑圧比の劣化により、安定して仕様を満足させることができないという問題がある。
イメージ抑圧比の劣化を改善する一つの方法として、ミキサに用いるトランジスタの製造誤差のばらつきをトランジスタのサイズを大きくすることによって改善する方法が存在する。しかし、トランジスタのサイズを大きくするとトランジスタの消費電力が増大し、fTが低下するために、イメージ抑圧比以外の諸特性が劣化してしまう。さらに、アナログ回路が有する不正確性のために、多くの場合において仕様を満足するイメージ抑圧比を得ることは難しい。そのため、トランジスタのサイズを大きくするという方法を取ることも困難であると考えられる。
そこで、上述した第1の構成及び第2の構成のアップコンバータに係る問題を解決するため、非特許文献3と非特許文献4のFigure3.28及びFigure3.31に記載される受信機で用いられているポリフェーズフィルタによる信号処理を低IF方式の送信機に適用する構成(以下、第3の構成)が考えられる。第3の構成では、複素IF信号と複素ローカル信号のミキシングを行うミキサを、複素RF信号を出力する全複素ミキサとし、ミキサ出力の複素RF信号の負の周波数成分を、ポリフェーズフィルタによって抑圧する。しかし、第3の構成は理論的には優れているが、ポリフェーズフィルタは、RCによって構成されるために損失が大きく、帯域が狭いので、高い減衰量もしくは広い帯域を得るために段数を増やしてしまうとさらに損失が増大してしまいフィルタ出力におけるイメージ抑圧比が低くなり、実用的でないという問題がある(アップコンバータにおける第1の問題)。
また、非特許文献4では、Figure3.28およびFigure3.31に記載されているように、半複素ミキサによってベースバンド信号を複素化することにより、上述した全複素ミキサに入力する複素IF信号を得る方法も示されている。しかし、この方法では、ミキサとローカル信号発振器が増えることにより消費電力が増大する問題と、ローカル信号発振器数が増えることによるスプリアス受信等の問題がある(アップコンバータにおける第2の問題)。
以上の第1及び第2の問題に加えて低IF方式のアップコンバータでは、図32に示すようにcosとsinの直交するローカル信号を出力するLocal401と2つの乗算器、すなわちミキサ402とミキサ403が要求され回路規模が大きくなり、ローカル信号が単一で、ミキサもひとつでよいヘテロダイン方式に対し、消費電力が増大するという問題がある(アップコンバータにおける第3の問題)。
(ゼロIF方式のダウンコンバータ及びアップコンバータの背景技術)
次に、RF信号またはIF信号を複素ベースバンド信号に変換するダウンコンバータ及びアップコンバータのうち、最も回路が簡略であり、小型化が容易である構成例として、ゼロIF方式のダウンコンバータ及びアップコンバータがある。
(ゼロIF方式のダウンコンバータ)
図44は、ゼロIF方式のダウンコンバータを示した図であり、図56は、ゼロIF方式のアップコンバータを示した図である。
図45は、図44に示すゼロIF方式のダウンコンバータ46におけるミキシングの処理を示した図である。実数RF信号(srf(t))(以下、実RF信号と呼ぶ)を、局部発振器602から出力される該実RF信号の周波数fと同一の周波数の複素ローカル信号(Lrf(t))と半複素ミキサ604によって乗算(半複素ミキシング)を行い、中心周波数が周波数ゼロ(DC)となる周波数変換を行いつつ、当該信号を複素化し、複素ベースバンド信号sbb(t)として復調部へ入力する。
このとき、実RF信号の正の成分のみをベースバンド信号に変換するはずの半複素ミキサ603の動作において、IQ間のインバランスのために発生するEVM(Error Vector Magnitude)の劣化のために発生する実RF信号の負の成分S1m(t)(正の成分の複素共役信号)と、複素ローカル信号の誤差成分(L1e(t))により複素ベースバンド(BB)信号(sbb(t))の周波数ゼロの付近で、目的信号(S1p(t)L(t))に対して実RF信号の負の周波数成分に基づく信号(S1m(t)L1e(t))が重なることになる。これにより目的となる信号のみを取り出すことが困難となる問題がある。
なお、図45に示す処理における実RF信号、複素ローカル信号、複素ベースバンド信号のそれぞれを数式で表すと、以下の式(1)、(2)、(3)として表される。
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
また、図57は、図56に示すゼロIF方式のアップコンバータ66におけるミキシングの処理を示した図である。複素ベースバンド信号(sbb(t))を、局部発振器910から出力されるRF信号(srf(t))の周波数fを有する複素ローカル信号(Lrf(t))と半複素ミキサ911によって乗算(半複素ミキシング)を行い、RF信号周波数fに周波数変換し、RF信号の実数部を出力する。当該処理においてもダウンコンバータの場合と同様に、EVMの劣化により、複素ローカル信号の誤差成分(L1e(t))と、複素ベースバンド信号(sbb(t))とにおいてRF信号周波数fの負の周波数、すなわちRF信号への周波数変換と逆方向の周波数変換が行われ、実数部を出力する際に、RF信号周波数fにおいて逆方向の周波数に変換された信号(S (t)L1e (t))がRF信号(S(t)L(t))と重なることになる。これにより目的となる信号のみを取り出すことが困難となる問題がある。
なお、図57に示す処理における複素ベースバンド信号、複素ローカル信号、複素RF信号のそれぞれを数式で表すと、以下の式(4)、(5)、(6)として表される。
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
上記のゼロIF方式のダウンコンバータ及びアップコンバータは、上述したヘテロダイン方式などの多段階の周波数変換を行う方式と比較して小形となる利点があるが、上述したミキサと、ローカル信号における実数軸信号Iと虚数軸信号Qとミキサによる処理が完全に直交しないことによる不完全性によって生じるEVMの劣化という問題や、ミキサにおけるローカル信号のリークを自己受信することによるDCオフセットが発生するという問題や、ミキサの非直線性に起因する2次相互変調(IM2)が発生し、目的信号に干渉してしまうという問題などを抱えている。
また、ゼロIF方式のアップコンバータにおいても、上述した多段階の周波数変換を行うアップコンバータと比較して小形となる利点があるが、EVMの劣化という問題や、ゼロIF方式のダウンコンバータにおけるDCオフセットに相当するキャリアリークの問題を抱えている。これらの問題の中でも、EVMの劣化は、通信速度の高速化に伴って多値変調を行う際に、通信速度の限界に大きな影響を及ぼすため特に対処が必要となる。
上述したようにEVMの劣化は、ローカル信号、ミキサの処理後の信号における実数軸信号Iと虚数軸信号Qとが完全に直交しない不完全性によって生じる。EVMの劣化を防ぐための対策として、ローカル信号の実数軸信号Iおよび虚数軸信号Q間の振幅誤差と位相誤差の低減、ミキサを構成するトランジスタ間の誤差の低減といった回路上の特性改善を行う技術が開発されている。また、複素ベースバンド信号をデジタル化した後にデジタル信号処理により実数軸信号Iおよび虚数軸信号Q間の誤差を補償することによって劣化を防ぐ数多くの技術も開発されている。
しかしながら、回路上の特性改善については、アナログ回路が有する不完全性のために限界がある。特に、多値変調においては符号間干渉の劣化が生じ、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)においてはキャリア間干渉の劣化が生じることになり、これらの劣化によってゼロIF方式における通信速度の高速化の限界を生じさせている。また、デジタル信号処理による補償技術も、複雑な処理を行うため、消費電力の増大等を引き起こしており、上記の対策ではEVMの劣化を充分に防ぐことができていないという問題がある(ゼロIF方式における第1の問題)。
上述したゼロIF方式のダウンコンバータにおいて発生する実RF信号の負の周波数成分を抑圧する手段の一例として、ゼロIF方式のダウンコンバータと類似の構成を有する非特許文献3及び4(Figure3.25(b))のイメージ抑圧型ダウンコンバータのイメージ抑圧技術について考察する。この構成を有するダウンコンバータを一般化すると図46に示す構成となる。図46に示すダウンコンバータ47では、実RF信号を周波数変換前に正と負で周波数特性が異なる複素係数フィルタ513を用いることで、実RF信号の負の周波数成分を抑圧した複素RF信号srf(t)が得られる。全複素ミキサ610は該複素RF信号srf(t)と複素ローカル信号Lrf(t)とをミキシングして、複素IF信号sif(t)にダウンコンバートする。
図47は、図46のダウンコンバータ47において複素係数フィルタ513が存在しない場合の処理を示した図である。複素係数フィルタ513が存在しないと、複素ローカル信号Lrf(t)と全複素ミキサ610の不完全性によって負の周波数成分L1e(t)が生じ、該負の周波数成分はイメージ周波数信号(s1m(t)L1e(t)+s2m(t)L1e(t))を発生させる要素となってしまう。
図47に示す処理における実RF信号、複素ローカル信号、複素IF信号のそれぞれを数式で表すと、以下の式(7)、(8)、(9)として表される。
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
一方、複素係数フィルタ513で負の周波数成分を抑圧する場合には、イメージ周波数信号による妨害を改善することができる。図48は、この処理の様子を示した図であり、負の周波数成分が抑圧された複素RF信号s’rf(t)に基づく成分のみが周波数変換され複素IF信号sif(t)となる。ただし、図48においても実際には複素係数フィルタの減衰量が有限であるので完全には抑圧できないが、複素RF信号の負の周波数成分の信号による妨害は全複素ミキサ610単体のイメージ抑圧比に加えて、複素係数フィルタ513の負の周波数の減衰量だけ改善されることになる。
図48に示す処理における実RF信号、複素RF信号、複素ローカル信号、複素IF信号のそれぞれを数式で表すと、以下の式(10)、(11)、(12)、(13)として表される。
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
図46に示すダウンコンバータ47を、ゼロIF方式に適用するとミキシングの処理は、図49に示すように実RF信号の負の周波数成分が抑圧されることになり、目的信号のみが周波数ゼロの付近において得ることが可能となる。
図49に示す処理における実RF信号、複素RF信号、複素ローカル信号、複素ベースバンド信号のそれぞれを数式で表すと、以下の式(14)、(15)、(16)、(17)として表される。
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
(ゼロIF方式のアップコンバータ)
次に、ゼロIF方式のアップコンバータについて説明する。ゼロIF方式のアップコンバータにおいてもゼロIF方式のダウンコンバータと同じく、全複素ミキサと複素係数フィルタを用いることで、IQ間のインバランスのために発生するEVMの劣化による送信信号の歪みの誤差を抑圧することができる。
図58は、全複素ミキサ920と複素係数フィルタ710を備えたアップコンバータ67の構成を示した図である。当該構成のアップコンバータ67におけるミキシングの処理は図59に示すようになり、全複素ミキサ920は複素ベースバンド信号sbb(t)と複素ローカル信号Lrf(t)とをミキシングすることで複素RF信号srf(t)を出力する。そして、出力された複素RF信号に正と負で周波数特性が異なる複素係数フィルタ710を用いることで、複素RF信号の負の周波数成分を抑圧した後に実数部を取り出すことで目的とする実RF信号(1/2(s(t)L(t)+s (t)L (t)))を得ることが可能となる。
図59に示す処理における複素ベースバンド信号、複素ローカル信号、複素RF信号、実RF信号のそれぞれを数式で表すと、以下の式(18)、(19)、(20)、(21)として表される。
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
しかしながら、ローカル信号が単一で、ミキサもひとつでよいヘテロダイン方式に対し、従来のゼロIF方式における図44や図56の構成ではcosとsinの直交するローカル信号を出力する局部発振器(Local602やLocal910)と2つの乗算器、(ミキサ604、605やミキサ912、913)が必要となり、また、図46、図58や非特許文献4のFigure3.28およびFigure3.31の構成では複素係数フィルタやミキサの数が増えることから回路規模が大きくなる。そのため、ゼロIF方式では、ヘテロダイン方式に比べて消費電力が増大するという問題がある(ゼロIF方式における第2の問題)。
また、さらに、非特許文献4では、Figure3.28およびFigure3.31に記載されているように、半複素ミキサを用いて信号を複素化する方法も示されている。しかし、この方法では、ミキサとローカル信号発振器が増えることにより消費電力が増大する問題と、ローカル信号発振器数が増えることによるスプリアス受信等の問題がある(ゼロIF方式における第3の問題)。
特開2002−246847号公報 特開平6−188928号公報 特許第2988277号公報 特開2000−224497号公報 フィリップス社SA1920データシート フィリップス社SA1921データシート "Mixer Topology Selection for a Multi-Standard High Image-Reject Front-End",Vojkan Vidojkovic,Johan van der Tang,Arjan Leeuwenburgh and Arthur van Roermumd, ProRISC Workshop on Circuits, Systems and Signal Processing,pp. 526-530,2002 "CMOS WIRELESS TRANSCEIVER DESIGN",Jan Crols, Michiel Steyaert,Kluwer,International Series in Engineering and Computer Science,1997 "A Fully Integrated 900MHz CMOS Double Quadrature Downconver", Jan Crols, Michiel Steyaert,IEEE International Solid State Circuits Conference,ISSCC95 SESSION8 WIRELESS COMMUNICATION PAPER TA 8.1,pp136-137, 1995 "A 1.9GHz Si Direct Conversion Receiver IC for QPSK Modulation Systems", Chikau Takahashi, Ryuichi Fujimoto, Satoshi Arai, Tetsuro Itakura, Takashi Ueno, Hiroshi Tsurumi, Hiroshi Tanimoto, Shuji Watanabe, Kenji Hirakawa,IEEE International Solid State Circuits Conference,ISSCC95 SESSION8 WIRELESS COMMUNICATION PAPER TA 8.2,pp138-139, 1995
上述したように、低IF方式のダウンコンバータでは、5つの問題が存在し、また、低IF方式のアップコンバータでは3つの問題が存在し、ゼロIF方式のダウンコンバータ及びアップコンバータにおいて3つの問題が存在している。
ここで、上記の問題をまとめると、低IF方式のダウンコンバータ及びアップコンバータにおける主な問題は、充分なイメージ抑圧比が得られないこと及び消費電力の増大に起因する問題である。
また、ゼロIF方式のダウンコンバータ及びアップコンバータでの主問題は、EVMの劣化及び消費電力の増大に起因する問題である。
また、さらに、低IF方式及びゼロIF方式のダウンコンバータとアップコンバータにおいて、広帯域あるいはマルチバンドのRF信号の処理を可能とすることが市場のニーズとして高まってきていることから上記の低IF方式及びゼロIF方式に起因する問題を解決しつつ広帯域化、マルチバンド化を図らなければならないという問題もある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、その目的は、消費電力を軽減させつつ、低IF方式では充分なイメージ抑圧比を得ることができ、ゼロIF方式ではIQ間のインバランスによって発生するEVMの劣化を抑えることができ、さらに、広帯域なRF信号を処理することができるダウンコンバータおよびアップコンバータを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、RF信号を低周波数へ周波数変換するダウンコンバータであって、入力されるRF信号に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の実数部を生成し、前記入力されるRF信号に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の虚数部を生成し、正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して複素RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタと、所定の周波数を有する実ローカル信号を出力する局部発振器と、前記複素係数トランスバーサルフィルタ及び前記局部発振器に接続され、前記複素係数トランスバーサルフィルタから出力される前記複素RF信号及び前記局部発振器から出力される前記実ローカル信号を乗算して周波数変換し、前記RF信号の周波数より前記所定の周波数離れた周波数の複素信号を出力する複素ミキサと、を備えたことを特徴とするダウンコンバータである。
また、本発明は、RF信号を低周波数へ周波数変換するダウンコンバータであって、複数の出力端を備え入力されるRF信号を切り替えて出力する分配器と、前記分配器の出力端に一対一に対応して接続される複数のトランスバーサルフィルタであって、それぞれ異なる通過帯域周波数を有し、前記分配器から出力されるRF信号に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の実数部を出力し、前記分配器から出力されるRF信号に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の虚数部を出力することで正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を前記通過帯域周波数で抑圧して複素RF信号を出力する複数の複素係数トランスバーサルフィルタと、前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタの通過帯域周波数に応じた周波数の実ローカル信号を切り替えて出力する局部発振器と、前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタのそれぞれに一対一で接続される複数の複素ミキサであって、前記局部発振器に接続され、前記複素係数トランスバーサルフィルタから出力される前記複素信号と、前記局部発振器から出力される前記実ローカル信号とを乗算して周波数変換し、前記RF信号の周波数より前記所定の周波数離れた周波数の複素信号を出力する複数の複素ミキサと、前記複数の複素ミキサに接続され、前記複数の複素ミキサの接続を切り替えて前記複数の複素ミキサから出力される前記複素信号を出力する合成器と、を備えたことを特徴とするダウンコンバータである。
また、本発明は、複素信号をRF信号の周波数へ周波数変換するアップコンバータであって、所定の周波数を有する実ローカル信号を出力する局部発振器と、前記局部発振器に接続され、入力される前記複素信号と、前記局部発振器から出力される実ローカル信号とを乗算して周波数変換して複素RF信号を出力する複素ミキサと、前記複素ミキサに接続され、前記複素ミキサから出力される前記複素RF信号の実数部に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い、前記複素RF信号の虚数部に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行うことで正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して実数RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタと、を備えたことを特徴とするアップコンバータである。
また、本発明は、複素信号をRF信号の周波数に周波数変換するアップコンバータであって、複数の出力端を備え入力される前記複素信号を切り替えて出力する分配器と、前記分配器の出力端に一対一に対応して設けられ、それぞれ異なる通過帯域周波数を有し、入力される前記複素RF信号の実数部に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い、前記複素RF信号の虚数部に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行うことで正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を前記通過帯域周波数で抑圧して実数RF信号を出力する複数の複素係数トランスバーサルフィルタと、前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタの通過帯域周波数に応じた周波数の実ローカル信号を切り替えて出力する局部発振器と、前記分配器の出力端と前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタのそれぞれの入力とに一対一で接続される複数の複素ミキサであって、前記局部発振器に接続され、前記分配器から出力される前記複素信号と、前記局部発振器から出力される前記実ローカル信号とを乗算して周波数変換し、複素RF信号を対応する前記複素係数トランスバーサルフィルタに出力する複数の複素ミキサと、前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタに接続され、前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタから出力される前記実RF信号を切り替えて出力する合成器と、を備えたことを特徴とするアップコンバータである。
(低IF方式のダウンコンバータの原理)
次に、本発明における低IF方式のダウンコンバータの原理について、本発明における低IF方式のダウンコンバータの基本構成例を参照して説明する。図1は、本発明における低IF方式のダウンコンバータの第1の基本構成例であるダウンコンバータ1を示した図である。ダウンコンバータ1は、例えば、無線受信機であり、アンテナに接続される入力端TRFから入力したRF(Radio Frequency)信号をIF(Intermediate Frequency)信号に変換するIF生成部11と、IF生成部11から出力されるIF信号をベースバンド信号の実数軸成分Iおよび虚数軸成分Qに変換し、ベースバンド信号を取り出して復調部に出力するベースバンド生成部12とから構成される。
IF生成部11は、LNA(Low Noise Amplifier)111と、複素係数トランスバーサルフィルタ115と、実ローカル信号を出力する局部発振器であるLocal181と、半複素ミキサ118とから構成される。
IF生成部11において、複素係数トランスバーサルフィルタ115は、正の周波数または負の周波数成分を抑圧するためのフィルタであり、BPF(Band Pass Fileter)−I115aおよびBPF−Q115bによって構成される。複素係数トランスバーサルフィルタ115の入力端Irpは、BPF−I115aおよびBPF−Q115bの入力端に共通に接続され、複素係数トランスバーサルフィルタ115の出力端OrpIはBPF−I115aの出力端に接続され、出力端OrpQは、BPF−Q115bの出力端に接続される。
半複素ミキサ118は、RF信号を中間周波数(IF)へ周波数変換するためのものであり、乗算器であるミキサI182と、ミキサQ183とから構成される。Local181は、半複素ミキサ118の入力端Ihmからcosあるいはsinの実信号である実数のローカル信号(以下、実ローカル信号)を入力する。半複素ミキサ118は、入力端IhmIと入力端IhmQから入力される複素信号S11Bと実ローカル信号を乗算し、周波数ゼロより所定の周波数離れた周波数値であって、RF信号の信号帯域外の周波数の値へ周波数変換を行い、複素信号S11Cを出力する。
ここで、周波数ゼロより所定の周波数離れた周波数値であって、RF信号のチャネル信号帯域外の周波数の値、すなわち中間周波数は、RF信号のチャネル信号帯域外でRF信号の中心周波数からオフセット周波数離れた周波数(特許請求の範囲に記載のダウンコンバータにおける所定の周波数に対応)である。
ベースバンド生成部12は、IF生成部11と端子TI、TQにおいて接続され、BPF121、122と、AGCアンプ(Auto Gain Control Amplifier)123、124と、ADコンバータ(ADC:Analog/Digital Converter)125、126と、インバランス補正部127と、局部発振器であるLocal128と、全複素ミキサ129と、LPF(Low Pass Filter)130、131とから構成される。
BPF121及び122は、入力される複素信号S11Cの実数軸成分(S11CI)及び虚数軸成分(S11CQ)に対して中間周波数を中心とした所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行い、複素信号S12Aを出力する。
AGCアンプ123、124は入力端TAGCから印加される電圧に応じてゲイン(利得)を制御する。ADC125、126は、アナログ信号をデジタル信号へ変換する。
インバランス補正部127は、補償値メモリ132と、乗算器133とから構成され、AGCアンプ123の出力信号の振幅とAGCアンプ124の出力信号の振幅の差に基づくADコンバータ125の出力信号S12CIの振幅とADコンバータ126の出力信号S12CQの振幅との差をデジタル的に補正する。半複素ミキサ118の実数部と虚数部の信号が完全に直交している場合には、正と負の信号が干渉することはないが、ベースバンド生成部12で行われるフィルタ処理やAGCアンプ123、124、ADコンバータ125及び126において実数部と虚数部に振幅差が存在すると、イメージ周波数信号によるイメージ周波数妨害が発生する。そのため、当該インバランス補正部127によって補正を行うことにより、目的信号帯域全域でイメージ周波数妨害の発生を抑制することができる。
インバランス補正部127において、補償値メモリ132は、ADコンバータ126の出力信号S12CQの振幅とADコンバータ125の出力信号S12CIの振幅との比の値(補償値)が、ADコンバータ126の出力信号S12CQの振幅に対応して予め格納されている。乗算器133は、入力端IicQにてADコンバータ126の出力信号S12CQの振幅と、該振幅に応じて補償値メモリ132から入力した補償値とを乗算し、乗算結果を出力信号S12DQとして出力端OicQに出力する。なお、入力端IicIにおいて、ADコンバータ125の出力信号S12CIは、出力端OicIに出力信号S12DIとしてそのまま出力される。
全複素ミキサ129は、周波数変換するためのものであり、乗算器であるミキサII171と、ミキサIQ172と、ミキサQI174と、ミキサQQ175と、減算器173と、加算器176とから構成される。全複素ミキサ129は、入力端IcmcにおいてLocal128から実数軸ローカル信号cosが入力され、入力端IcmsにおいてLocal128から虚数軸ローカル信号sinが入力される。入力端IcmIおよびIcmQから入力された複素信号S12Dに対して周波数ゼロとなる周波数変換を行い、複素信号S12Eを出力する。
次に、上述したダウンコンバータ1の全体的な動作について説明する。アンテナから入力端TRFにて入力された実信号のRF信号がLNA111によって増幅され、実信号S11Aが出力される。当該信号が入力される複素係数トランスバーサルフィルタ115は、入力端Irpから入力される実信号S11Aに対してイメージ周波数信号を抑圧し、出力端OrpIおよびOrpQから、互いに90°の位相差を有する複素信号S11Bの実数軸成分S11BIおよび虚数軸成分S11BQを半複素ミキサ118に出力する。半複素ミキサ118は、Local181から入力されるcosあるいはsinの実信号に基づいて実数軸成分S11BIおよび虚数軸成分S11BQに対して周波数変換を行い、複素信号S11Cを出力する。
BPF121およびBPF122は、複素信号S11Cの実数軸成分S11CIおよび虚数軸成分S11CQに対して正と負のIF信号の中間周波数を中心とした所定の範囲に帯域制限を行い、複素信号S12AをAGCアンプ123、124に出力する。AGCアンプ123、124は、複素信号S12Aの実数軸成分S12AIおよび虚数軸成分S12AQの振幅を、ADコンバータ125および126に入力するのに適切なレベルに調整し、複素信号S12BをADコンバータ125および126に出力する。ADコンバータ125および126は入力された信号をデジタル信号に変換し、複素信号S12Cをインバランス補正部127に出力する。
インバランス補正部127は、入力される複素信号S12Cの実数軸成分S12CIと虚数軸成分S12CQとの差をデジタル的に補正して、複素信号S12Dの実数軸成分S12DIおよび虚数軸成分S12DQを出力する。全複素ミキサ129は、複素信号S12Dを、Local128から出力される複素ローカル信号の実数軸ローカル信号cosおよび虚数軸ローカル信号sinによって、中心周波数が周波数ゼロとなる周波数変換を行い、複素信号S12DをLPF130および131に出力する。LPF130および131は複素信号S12Dの高周波成分の除去を行い複素ベースバンド信号の実数軸成分Iおよび虚数軸成分Qをそれぞれ出力端TOIとTOQへ出力する。
(低IF方式のダウンコンバータにおける複素係数トランスバーサルフィルタ)
次に、ダウンコンバータ1におけるIF生成部11内の複素係数トランスバーサルフィルタ115の設計法及びその詳細な動作について説明する。
複素係数トランスバーサルフィルタ115は、RF信号を、実信号から複素信号に変換する。複素係数トランスバーサルフィルタ115は、複素信号の実数軸信号の処理用として偶対称インパルスとのたたみ込み積分を行うバンドパスフィルタ(BPF−I115a)と、虚数数軸信号の処理用として奇対称インパルスとのたたみ込み積分を行うバンドパスフィルタ(BPF−Q115b)とから構成され、複素係数トランスバーサルフィルタ115は、2つのバンドパスフィルタの出力信号の間で90°の位相差を有するように出力する。
複素係数トランスバーサルフィルタ115は、例えば周波数シフト法によって設計される。すなわち、予め定められた通過帯域幅Bw/2、阻止帯域減衰量ATTの実係数LPFを設計し、この実係数LPFの係数にejωtを乗じて、中心周波数ω、通過帯域幅Bw、阻止帯域減衰量ATTのフィルタを得ることができる。ここでは、中心周波数ω=800MHz、阻止帯域減衰量ATT=39dBとし、さらに、サンプリング周波数を2.4GHzとして複素係数トランスバーサルフィルタ115を設計する。
図4は、複素係数トランスバーサルフィルタ115の実数部のインパルス応答を示した図であり、包絡線の中心に対して偶対称のインパルス応答(以下、偶対称インパルス応答と記載)を有する。図5は、複素係数トランスバーサルフィルタ115の虚数部のインパルス応答を示す図であり、包絡線の中心に対して奇対称のインパルス応答(以下、奇対称インパルス応答と記載)を有する。なお、図4及び図5の縦軸は、正規化された値である。
次に、IF生成部11内の複素係数トランスバーサルフィルタ115の動作について説明する。図1において、入力端TRFにて実信号のRF信号を入力することにより、複素係数トランスバーサルフィルタ115は、入力端IrpにてLNA111から実信号S11Aを入力し、出力端OrpIおよびOrpQから、複素信号S11Bの実数軸成分S11BIおよび虚数軸成分S11BQを、それぞれ出力する。
ここで、実信号S11Aが一例として以下のような2つの信号になるように、入力端TRFにて2つの実信号RFを入力する。すなわち、一方の信号は、中心周波数=800MHz、キャリア間隔=1.6MHz、各キャリアの電力=−20dBであるDSB信号であり、この信号を目的信号とする。また、他方の信号は、上述した目的信号より10MHz低い周波数である周波数=790MHz、電力=0dBのCW(Continuous
Wave)信号であり、この信号を目的外信号、すなわちイメージ周波数信号とする。
図2は、出力端OrpIおよびOrpQにおいて観測される複素信号S11Bのスペクトルを示した図である。図2において破線は複素係数トランスバーサルフィルタ115の周波数特性を示したものである。図2に示されるように上述した目的信号(図2のS1−1及びS1−2)およびイメージ周波数信号(図2のS2)は複素係数トランスバーサルフィルタ115の通過帯域内にあるが、負の周波数帯域に存在するイメージ周波数信号(図2のS4)及び目的信号(図2のS3−1、S3−2)は複素係数トランスバーサルフィルタ115の通過帯域外にあり、負の周波数帯域に存在するイメージ周波数信号(図2のS4)は、正の周波数帯に存在するイメージ周波数信号(図2のS2)に対して39dB抑圧されている。
(低IF方式のダウンコンバータにおける半複素ミキサの動作)
次に、ダウンコンバータ1における半複素ミキサ118の詳細な動作について説明する。まず、実信号のRF信号がLNA111によって増幅された信号をAsrf(t)とし、複素係数トランスバーサルフィルタ115によって出力されるRFの複素信号S11BをA(srfi(t)+jsrfq(t))とし、複素RF信号の実数部と虚数部の間の振幅誤差をAとする。また、半複素ミキサ118から出力されるIFの複素信号S11Cをsif(t)とし、Local181によって入力される実ローカル信号をL(t)とする。このとき、sif(t)は次の式(1−1)によって表され、複素RF信号の振幅誤差により目的の周波数変換に対し反対方向の周波数変換操作が行われる。
Figure 2006295840
ここで、実信号であるローカル信号は互いに複素共役な複素信号Loi(t)とLoq(t)の合成であるため、sif(t)は次式(1−2)によって表すことができる。式(1−2)に示すように、実ローカル信号は、複素RF信号の非誤差成分によりプラス方向の周波数変換操作が行われ、複素RF信号の誤差成分によりマイナス方向の周波数変換操作が行われる。
Figure 2006295840
そして、BPF121および122によって、ダウンコンバージョン操作(周波数ゼロに近い周波数に変換する操作)を行う項以外の項が抑圧されると、次式(1−3)の通りとなる。
Figure 2006295840
式(1−3)に示すように、式(1−3)の第1項は、RF信号の正の周波数に対してローカル信号によりマイナス方向へ周波数シフトされていることを示している。式(1−3)の第2項は、RF信号に誤差が存在することにより発生した負の周波数に対してローカル信号によりプラス方向へ周波数シフトされていることを示している。
このとき、目的のRF信号周波数よりも中間周波数の2倍の値、低周波数側の周波数に信号が存在すると、当該信号の負の周波数がプラス方向へ周波数シフトされ、シフトされた後の周波数は、中間周波数に変換される目的信号の周波数と一致し、イメージ周波数妨害が発生することになる。
ここで、位相誤差をφとした場合に、位相誤差をφによるイメージ抑圧比の劣化を考慮すると、イメージ抑圧比IMRmixは、次式(1−4)によって求められる。
Figure 2006295840
本発明においては、ミキサ182、183における誤差がないものと仮定すると、イメージ抑圧比は、RF信号における複素係数トランスバーサルフィルタ115の負の周波数における抑圧比と一致することになる。
次に、図21に示した従来のダウンコンバータ9における半複素ミキサ810のミキサI814及びミキサQ815からの出力と、本発明のダウンコンバータ1における半複素ミキサ118のミキサI182とミキサQ183からの出力について、具体的な周波数値を適用した一例を示し、その違いについて説明する。なお、本具体例の前提として、前記半複素ミキサ810と118のミキサは理想ミキサとしている。
本発明のダウンコンバータ1において、Local181によって入力される実ローカル信号としてRF信号周波数に近い795MHzの実ローカル信号を入力すると、ダウンコンバートされ、図2において、正の周波数帯に存在する目的信号(図2のS1−1及びS1−2)は、5MHz付近に周波数シフトされる(図3のS5−1及びS5−2)。一方、複素係数トランスバーサルフィルタ115によって39dB抑圧された負の周波数帯に存在するイメージ周波数信号(図2のS4)は、5MHzに周波数シフトされる(図3におけるS6)。一方、図22に示されているように従来のダウンコンバータ9では負の周波数帯に存在するイメージ周波数信号が26dB抑圧されている。
本発明のダウンコンバータ1の複素係数トランスバーサルフィルタ115と従来のダウンコンバータ9とにおけるBPF812はともに出力において90°の位相差が得られるものであるが、BPF812に適用されるポリフェーズフィルタなどから構成される位相器では製造偏差によるばらつきが多く、平均値はともかく、ワースト値は良好な特性を示すことがないため図22に示すように、26dB程度に留まる。一方、複素係数トランスバーサルフィルタ115は、例えば後述するSAWフィルタが適用されると、製造偏差によるばらつきが抑えられ、ワースト値と平均値の差が小さくなり39dBの値が得られることになる。
(複素係数SAWフィルタの原理)
次に、本発明における複素係数トランスバーサルフィルタ115の実現手段として、複素係数SAWフィルタによって実現する手段について説明する。一般的にトランスバーサルフィルタを実現する手段としては、SAWフィルタの他に、スイッチドキャパシタ回路、電荷領域素子等の手段によっても実現できるが、高い周波数のトランスバーサルフィルタの実現にはSAWフィルタが適している。そこで、以下にトランスバーサル型SAWフィルタの基本原理について説明する。
図6は、SAWフィルタの構造を示した図である。SAWフィルタ1150は、圧電基板1151と、圧電基板1151上に設けられた交差幅が場所ごとに異なるすだれ状電極(以下、IDT:Inter−digital Transducer:インターデジタルトランスデューサ)1152〜1155によって構成されている。各すだれ状の部分は電極指とも呼ばれる。IDT1152及び1154は、入力端に接続されており、インパルス電気信号が印加されると、圧電性により機械的歪みを生じ、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)が励振され、圧電基板1151の左右方向に伝搬することになる。IDT1153は、実数軸の成分を出力する出力端Iに接続され、IDT1152からの弾性表面波を受信できる位置に設けられる。また、IDT1155は虚数軸の成分を出力する出力端Qに接続され、IDT1154からの弾性表面波を受信できる位置に設けられている。
次に、当該SAWフィルタ1150の原理について説明する。インパルス電気信号が印加された場合に弾性表面波として出力されるSAW信号のインパルス応答は、各電極指での重み関数(交差幅)W、各電極指からの距離x、弾性表面波の位相速度vによって算出され、インパルス応答の周波数伝達関数H(ω)は、次式(1−5)によって示される。
式(1−5)は、重み関数Wの線形結合であり、トランスバーサルフィルタの基本原理と同じものになる。
Figure 2006295840
当該周波数伝達関数H(ω)を有するトランスバーサルフィルタは、Wとxを設計することで振幅特性と位相特性を独立に制御することができる。そのため、トランスバーサル型SAWフィルタのWとxを設計することで所望の特性の複素係数トランスバーサルフィルタを実現することができる。実数軸の成分を出力する出力端Iに接続されたIDT1153は、実数部のインパルス応答、すなわち偶対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して偶対称となるように各電極指が設けられる。虚数軸の成分を出力する出力端Iに接続されたIDT1155は、虚数部のインパルス応答、すなわち奇対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して奇対称となるように各電極指が設けられる。この構成によって、実RF信号を実数部と虚数部で90°の位相差を有する複素RF信号へ変換することが可能となる。
次に、SAWフィルタ1150の動作について説明する。最初に、入力端に実RF信号が入力されると、IDT1152とIDT1154において弾性表面波が励振され、弾性表面波の基づくSAW信号が伝搬される。IDT1152とIDT1154とから伝搬されるSAW信号は、それぞれの弾性表面波の伝搬方向に設けられたIDT1153とIDT1155によって受信され、それぞれに対応するインパルス応答に基づくたたみ込み積分が行われつつ再び電気信号に変換される。このとき、IDT1153では、RF信号の実数成分が出力端Iから出力され、IDT1155では、RF信号の虚数成分が出力端Qから出力される。これにより、負の周波数を抑圧しつつ、目的信号が存在する周波数側において目的信号の周波数帯域外を高い抑圧比で抑圧するフィルタが得られる。
なお、SAWフィルタは、図7に示すような構成によっても実現することが可能である。図7のSAWフィルタ1156は、図6では入力端側に2つのIDT1152と1154が設けられていたのに対して、出力側に接続されたIDT1153及び1155の両方の伝搬路に跨るように、入力側にIDT1157が設けられている点で構成が異なる。この構成により、入力端側のIDTを1つにすることができ、コスト削減を図ることが可能となる。
(低IF方式のダウンコンバータにおけるイメージ周波数信号の抑圧手段)
次に、本発明において、中間周波数(以下、IF)において、負の周波数の信号を抑圧することでイメージ周波数信号を抑圧する手段について説明する。最初に、IFにおける目的信号とイメージ周波数信号との関係について説明する。
IF信号において信号の振幅をBとし、実数部と虚数部の間の振幅の誤差Bとし、IF信号Sif(t)とした場合に、Sifi(t)とSifq(t)を用いて複素信号として表記すると次式(1−6)に示す通りとなる。
Figure 2006295840
式(1−6)に示すように、IF信号において実数部と虚数部に誤差が存在すると、誤差に比例した信号が負の周波数帯域に現れることになる。この信号を、目的信号とイメージ周波数信号に置き換えてみると、目的信号の場合にはイメージ周波数信号の周波数に誤差に比例した信号が表れ、イメージ周波数信号の場合には、目的信号の周波数に誤差に比例した信号が表れることになる。つまり、IFにおいても誤差が存在することによりイメージ周波数信号妨害が発生することになるため、イメージ周波数信号を抑圧することで、イメージ周波数信号妨害を軽減することが可能となる。
なお、図1のダウンコンバータ1において、中間周波数を複素係数トランスバーサルフィルタ115の通過帯域端の周波数とRF信号の周波数との差の半分の値を超える周波数することで、イメージ周波数信号をRF信号の複素係数トランスバーサルフィルタ115の通過帯域外とすることができる。これにより、RF信号の複素化に基づくイメージ抑圧を行うだけでなく、入力信号を減衰させるフィルタ効果によってイメージ周波数信号妨害の原因となる信号をも抑圧することが可能となる。図15は、ダウンコンバータ1において中間周波数を25MHzとした場合の半複素ミキサ118における出力スペクトルを示した図である。このとき、RF信号の周波数帯におけるイメージ周波数信号妨害を発生させるイメージ周波数信号の周波数は750MHzとなり、複素係数トランスバーサルフィルタ115の帯域外となるので39dBの抑圧を受けることになる。これにより、半複素ミキサ118以降のダイナミックレンジに対する要求条件が緩和されることになる。
また、目的信号に対してイメージ周波数信号妨害となるイメージ周波数信号は、複素係数トランスバーサルフィルタ115の出力における負の周波数信号のプラス方向への周波数変換によって発生し、負の周波数帯におけるフィルタの特性は一定であるため、図3において示した場合と同じイメージ周波数信号妨害が発生することになる。
(複素係数フィルタを用いたIF信号に対応するイメージ周波数信号の抑圧)
次に、本発明における複素係数フィルタを用いてIF信号に対応するイメージ周波数信号を抑圧する低IF方式のダウンコンバータについて説明する。図8は、IF信号を複素係数フィルタを用いてイメージ周波数信号を抑圧する低IF方式のダウンコンバータの第2の基本構成例を示した図である。図8のダウンコンバータ2において、図1のダウンコンバータ1と同じ機能を有する構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図8のダウンコンバータ2では、図1におけるベースバンド生成部12のBPF121と122が複素係数フィルタ120に置き換えられており、また当該複素係数フィルタ120によって、負の周波数が抑圧されるので、インバランス補正部127を必要としなくなる点でダウンコンバータ1とは構成が異なる。
図8において、複素係数フィルタ134は、正の周波数を通過帯域とし負の周波数を抑圧することを可能とするものであり、例えばポリフェーズフィルタや、図9に示すような複素係数トランスバーサルフィルタ1120を用いて実現することができる。
ポリフェーズフィルタの場合には、負の周波数の所定の範囲だけが阻止帯域とされ、それ以外の周波数帯域の周波数特性がフラットになる。また、複素係数トランスバーサルフィルタの場合には、複素信号においてバンドパス特性を備えることができるため、帯域制限フィルタとして動作させることができる。
ここで、図9に示す複素係数トランスバーサルフィルタ1120について説明する。複素係数トランスバーサルフィルタ1120は、目的信号付近、すなわち中間周波数付近の周波数帯を通過帯域とするBPF1121〜1124を備えている。
図10は、複素係数トランスバーサルフィルタ1120の出力スペクトルを示した図である。図10において、破線が当該複素係数トランスバーサルフィルタ1120の周波数特性であり、5MHzを中心とするバンドパス特性を有しており、正の周波数成分に対して、負の周波数成分が抑圧されている。すなわち、正の周波数帯域に存在する目的信号(図10のS10−1及び10−2)とイメージ周波数信号(図10のS11)に対する負の周波数帯域の信号の妨害を抑制することを可能としている。
図11及び図12は、サンプリング周波数150MHzにおける複素係数トランスバーサルフィルタ1120の実数部と虚数部のインパルス応答を示した図である。複素係数トランスバーサルフィルタ1120の設計は、例えば上述した複素係数トランスバーサルフィルタ115と同様の周波数シフト法によって行われる。この設計により、図11に示すように実数部のインパルス応答は偶対称インパルス応答となり、図12に示すように虚数部のインパルス応答は、奇対称インパルス応答となる。なお、図11及び図12の縦軸は正規化された値である。
(複素係数SAWフィルタを用いたIF信号に対応するイメージ周波数信号の抑圧)
次に、本発明におけるIF信号の負の周波数成分を抑圧する複素係数フィルタを複素係数SAWフィルタによって実現する手段について説明する。
図13は、IF信号の負の周波数成分を抑圧する複素係数SAWフィルタを備えたダウンコンバータの第3の基本構成例を示した図である。図13のダウンコンバータ3において、図8のダウンコンバータ2と同じ機能を有する構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図13におけるダウンコンバータ3は、図8におけるダウンコンバータ2の複素係数フィルタ120が複素係数SAWフィルタ140に置き換えられている点で異なる構成となっている。また、複素係数SAWフィルタ130の実数出力から虚数出力を減算する減算器141を設けている点及びそれに伴ってAGCアンプ124及びADコンバータ126が除かれている点で異なる構成となっている。また、全複素ミキサ129が半複素ミキサ190に置き換えられている点で異なる構成となっている。
複素係数SAWフィルタ140は、図14に示す構造を有している。図14に示す複素係数SAWフィルタ140は、圧電基板1141上にIDT1142〜1145が設けられており、IDT1142は、実数部の入力端Iに接続されており、IDT1144は、虚数部の入力端Qに接続されている。また、IDT1143は、実数部の出力端Iに接続されており、IDT1145は、虚数部の出力端Qに接続されている。実数軸の成分を出力する出力端Iに接続されたIDT1143は、実数部のインパルス応答、すなわち偶対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して偶対称となるように各電極指が設けられる。虚数軸の成分を出力する出力端Qに接続されたIDT1145は、虚数部のインパルス応答、すなわち奇対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して奇対称となるように各電極指が設けられる。この構成により、実数部と虚数部で90°の位相差を有する複素IF信号を出力することが可能となる。
次に、SAWフィルタ140の動作について説明する。最初に、入力端に実RF信号が入力されると、IDT1142とIDT1144において弾性表面波が励振され、弾性表面波の基づくSAW信号が伝搬される。IDT1142とIDT1144とから伝搬されるSAW信号は、それぞれの弾性表面波の伝搬方向に設けられたIDT1143とIDT1145によって受信され、それぞれに対応するインパルス応答に基づくたたみ込み積分が行われつつ再び電気信号に変換される。このとき、IDT1143では、RF信号の実数成分が出力端Iから出力され、IDT1145では、RF信号の虚数成分が出力端Qから出力される。
複素係数SAWフィルタ140を用いて、複素係数フィルタを実現することにより、例えば中間周波数が少なくとも40MHzとなり、中間周波数が高くなってしまうが、負の周波数を抑圧しつつ、目的信号が存在する周波数側において目的信号の周波数帯域外を高い抑圧比で抑圧するフィルタ効果を得ることが可能となる。
なお、上記の複素係数SAWフィルタ140では、出力側のIDT1143と1145に重み付けを施したが、入力側にIDT1143及びIDT1145を接続し、出力側にIDT1142とIDT1144を接続する構成として入力側に重み付けを施すようにしても同じ効果が得られる。
また、図13における複素係数SAWフィルタ140の出力端において減算器141を設けているが、この構成により、複素IF信号の実数部または虚数部のいずれか一方の信号を取り出して出力することを可能としている。これによりAGCアンプ123とADコンバータ125をそれぞれ1つしか必要とせず、消費電力の軽減及び小型化を図ることが可能となる。
なお、図13の構成において、複素係数SAWフィルタ140の虚数部の出力端を反転し、減算器141における処理を実数部から虚数部を減算するのではなく、実数部に虚数部を加算するように変更することで、複素係数SAWフィルタ140の特性は複素共役となり、正の周波数の信号を抑圧し、負の周波数を通過帯域とするバンドパス特性を得ることも可能である。
また、上記の低IF方式のダウンコンバータに用いられる複素係数フィルタにおいて、負の周波数帯域を抑制する構成について述べたが、正の周波数帯域を抑制し、取り出した負の周波数成分の信号に基づいて処理を行う構成としてもよい。
(低IF方式のアップコンバータの原理)
次に、本発明における低IF方式のアップコンバータがイメージ周波数信号を抑圧する原理について、本発明における低IF方式のアップコンバータの基本構成例を参照して説明する。図23は、本発明における低IF方式のアップコンバータの第1の基本構成例であるアップコンバータ30を示した図である。アップコンバータ30は、例えば、無線送信機であり、実数部と虚数部を有するデジタル入力TI及びTQから入力されるデジタル信号をアナログベースバンド信号に変換し、変換されたアナログベースバンド信号に対して中間周波数による周波数変換を行って複素IF信号を生成し、更に生成した複素IF信号を送信可能なRF信号の周波数に周波数変換し、複素RF信号の実数部のみを取り出して、アンテナ等が接続される出力端TRFに出力する。
アップコンバータ30において、DAコンバータ301及び302は、それぞれTI及びTQから入力されるデジタル信号をアナログベースバンド信号に変換する。LPF303、304は、DAコンバータ301、302から出力される複素信号(S30AI、S30AQ)の高周波成分を除去して、複素信号(S30BI、S30BQ)を出力する。
全複素ミキサ310は、中間周波数を有する信号へ周波数変換するものであり、乗算器によって構成されるミキサII311と、ミキサIQ312と、ミキサQI314と、ミキサQQ315と、減算器313と、加算器316とから構成される。全複素ミキサ310は、入力端IcmcにおいてLocal305から実ローカル信号cosが入力され、入力端IcmsにおいてLocal305から虚数軸ローカル信号sinが入力される。入力端IcmIおよびIcmQから入力された複素信号S30Bを、中間周波数を有する信号へ周波数変換を行い、出力端OcmIおよびOcmQから複素信号S30Cを出力する。
ここで、低IF方式のアップコンバータにおける中間周波数とは、Local305から出力されるローカル信号の周波数であり、当該ローカル信号の周波数とは、RF信号の中心周波数と当該ローカル信号の周波数との差に相当する周波数値が、RF信号のチャネル周波数帯域外となる周波数値である。
BPF320及び321は、入力される複素信号S30Cの実数軸成分(S30CI)及び虚数軸成分(S30CQ)のそれぞれに対して中間周波数を中心とした所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行い、目的信号の成分である複素信号S30Dを出力する。
半複素ミキサ330は、乗算器によって構成されるミキサI331と、ミキサQ332とから構成される。Local325は、半複素ミキサ330の入力端Ihmからcosあるいはsinの実信号であって目的となるRF信号の周波数より複素IF信号周波数分高いあるいは低い実ローカル信号(RF信号の周波数をωRF、IF信号の周波数をωIFとした場合、ローカル信号の周波数ωLO=ωRF±ωIFとなる。)を入力する。半複素ミキサ330は、入力端IhmI、IhmQから入力された複素信号S30Dと実ローカル信号を乗算し、複素信号S30Eを出力する。これによって、複素信号S30EはRF信号の周波数を有することになる。
ここで、半複素ミキサ330に入力される複素IF信号S30Dの中心周波数は、上記の中間周波数であり、RF信号周波数の中心周波数に中間周波数の周波数を加えた周波数値がRF信号周波数帯域外となる周波数値である(特許請求の範囲に記載のアップコンバータにおける所定の周波数)。
複素係数トランスバーサルフィルタ340は、負の周波数成分を抑圧するためのフィルタであり、BPF−I340a、BPF−Q340b及び減算器341によって構成される。
次に、上述したアップコンバータ30の全体的な動作について説明する。デジタル信号の入力端TI及びTQから入力されたデジタル信号の実数成分がDAコンバータ301によりアナログ信号S30AIに変換される。また、デジタル信号の虚数成分がDAコンバータ302によりアナログ信号S30AQに変換され、複素信号S30Aが生成される。複素信号S30AはLPF303、304により高周波成分が除去され、複素信号S30Bとして出力される。
全複素ミキサ310は、複素信号S30Bの実数軸成分S30BIおよび虚数軸成分S30BQを、Local305から出力される複素ローカル信号の実数軸ローカル信号cosおよび虚数軸ローカル信号sinによって中間周波数へ周波数変換を行い、複素信号S30CをBPF320および321に出力する。BPF320および321は複素信号S30Cにおいて中間周波数を中心とする所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行い、複素信号S30Dを半複素ミキサ330に出力する。
半複素ミキサ330は、Local325から入力されるcosあるいはsinの実ローカル信号に基づいて複素信号S30Dに対して周波数変換を行い、RF信号の周波数を有する複素信号S30Eを、複素係数トランスバーサルフィルタ340に出力する。
複素係数トランスバーサルフィルタ340は、BPF−I340aによって実数軸成分の入力端IrpIから入力される複素信号S30Eの実数軸成分S30EIのイメージ周波数信号を抑圧し、虚数軸成分の入力端IrpQから入力される複素信号S30Eの虚数軸成分S30EQのイメージ周波数信号を抑圧する。BPF−I340aから出力される実数成分とBPF−Q340bから出力される虚数成分とは互いに90°の位相差を有しており、減算器341により実数成分から虚数成分を減算し、実RF信号を取り出す。そして、取り出した信号をTRFに出力する。
(低IF方式のアップコンバータにおける半複素ミキサの動作)
次に、アップコンバータ30における半複素ミキサ330の詳細な動作について説明する。まず、RF信号をsrf(t)とし、半複素ミキサ330に入力される複素IF信号S30Dをsifi(t)+jsifq(t)で示される理想的な複素信号とし、Local325によって入力される実ローカル信号をL(t)とする。このとき、srf(t)は次の式(2−1)によって表される。
Figure 2006295840
ここで、実信号であるローカル信号は互いに複素共役な複素信号Loi(t)とLoq(t)の合成であるため、srf(t)は次式(2−2)によって表すことができる。
Figure 2006295840
式(2−2)に示すように、ローカル信号の正の信号成分による目的の周波数変換に対し、ローカル信号の負の信号成分により反対方向への周波数変換が行われる。
ここで、複素信号であるSrf(t)の実数部のみを取り出すと、次式(2−3)に示す通りとなる。
Figure 2006295840
式(2−3)に示すように、式(2−3)の第1項は、ローカル信号の正の成分によりプラス方向への周波数変換が行われた信号であり、第2項は、ローカル信号の負の成分によりマイナス方向への周波数変換が行われた信号の複素共役信号であることがわかる。
第2項はイメージ周波数信号となるため、実数部を取り出す前の複素信号の状態で複素係数トランスバーサルフィルタ340によって抑圧されることになる。
(低IF方式のアップコンバータにおける複素係数トランスバーサルフィルタ)
次に、アップコンバータ30における複素係数トランスバーサルフィルタ340の設計法及びその詳細な動作について説明する。
複素係数トランスバーサルフィルタ340は、実数軸信号の処理用として偶対称インパルスとのたたみ込み積分を行うバンドパスフィルタ(BPF−I340a)と、虚数数軸信号の処理用として奇対称インパルスとのたたみ込み積分を行うバンドパスフィルタ(BPF−Q340b)と、実数軸信号から虚数軸信号を減算し、実信号を出力する減算器341とから構成される。複素係数トランスバーサルフィルタ340は、2つのバンドパスフィルタの出力信号の間で90°の位相差を有するように出力する。
複素係数トランスバーサルフィルタ340は、例えば周波数シフト法によって設計される。すなわち、予め定められた通過帯域幅Bw/2、阻止帯域減衰量ATTの実係数LPFを設計し、この実係数LPFの係数にejωtを乗じて、中心周波数ω、通過帯域幅Bw、阻止帯域減衰量ATTのフィルタを得ることができる。ここでは、中心周波数ω=800MHz、阻止帯域減衰量ATT=39dBとし、さらに、サンプリング周波数を2.4GHzとして複素係数トランスバーサルフィルタ340を設計する。
図26は、複素係数トランスバーサルフィルタ340の実数部のインパルス応答を示す図であり、実数部のインパルス応答は、偶対称インパルス応答を有する。図27は、複素係数トランスバーサルフィルタ115の虚数部のインパルス応答を示す図であり、虚数部のインパルス応答は、奇対称インパルス応答を有する。なお、図26及び図27の縦軸は、正規化された値である。
次に、複素係数トランスバーサルフィルタ340の動作について説明する。上述したように複素係数トランスバーサルフィルタ340は、実数軸成分の入力端IrpI及び虚数軸成分の入力端IrpQから入力される複素信号に対してイメージ周波数妨害を抑圧し、実数成分のみのRF信号を取り出すものである。
ここで、複素係数トランスバーサルフィルタ340の動作を説明するために、上述した図33に示す複素IF信号がアップコンバータ30の半複素ミキサ330に入力される場合を想定する。図33に示すスペクトルを有する複素IF信号は、複素ベースバンドにおけるキャリア間隔1.6MHzのDSB信号が全複素ミキサ310によって中心周波数を5MHzとして周波数変換された信号(図33のS35)である。
半複素ミキサ330は、入力される複素IF信号(図33のS35)と、Local325から入力されるRF信号周波数に近い周波数である795MHzの信号を乗算し、目的周波数である800MHzのRF信号周波数にアップコンバートする。図24は、アップコンバートされたRF周波数信号(図24のS30)を示した図である。一方、実ローカル信号の複素共役信号のために、5MHzの複素IF信号に対して−795MHzの信号が乗算され、−790MHzの周波数に、800MHzの周波数に現れるRF周波数信号と同一レベルのイメージ周波数信号(図24のS31)が出力される。
図24に示す破線は、複素係数トランスバーサルフィルタ340の周波数特性を示しており、半複素ミキサ330から出力されるイメージ周波数信号は、RF周波数信号に対して39dB抑圧されることになる。図25は、複素係数トランスバーサルフィルタ340から最終的に出力される実信号を示した図であり、−39dBcイメージ周波数信号(図25のS33)が抑圧されたRF信号(図25のS32)が得られることになる。
一方、従来の技術の一例として上述したアップコンバータ35では、図34に示した通り、イメージ周波数(790MHz)において、目的信号(800MHz:S36)に対し、上述した通り−26dBcしかイメージ周波数信号(図34:S37)が抑圧されておらず、本発明におけるアップコンバータ30では、イメージ周波数信号による妨害を軽減することを可能としている。
なお、本発明の低IF方式のアップコンバータにおいて、複素係数トランスバーサルフィルタ340を実現する手段として、スイッチドキャパシタ回路、電荷領域素子、低IF方式のダウンコンバータで説明したSAWフィルタを用いるようにしてもよい。特に、SAWフィルタで構成することによって高い周波数のトランスバーサルフィルタの実現が可能となる。
また、上記の低IF方式のアップコンバータに用いられる複素係数フィルタにおいて、負の周波数帯域を抑制する構成について述べたが、正の周波数帯域を抑制し、取り出した負の周波数成分の信号に基づいて処理を行う構成としてもよい。
(ゼロIF方式ダウンコンバータの原理)
次に、本発明におけるゼロIF方式のダウンコンバータの原理について、本発明におけるゼロIF方式のダウンコンバータの基本構成例を参照して説明する。図35は、本発明におけるゼロIF方式のダウンコンバータの基本構成例であるダウンコンバータ40を示した図である。ダウンコンバータ40は、例えば、無線受信機であり、アンテナに接続される入力端TRFから入力したRF信号を、複素RF信号に変換し、当該複素RF信号を局部発振器から出力されるRF信号周波数と同じ周波数の実ローカル信号によって、複素ベースバンド信号を取り出して復調部に出力する。なお、図35では、後述する準ゼロIF方式のダウンコンバータとの対比のために、予めダウンコンバータ40の構成を、IF生成部51と、ベースバンド生成部52とに分け、それぞれに符号を付す。
ダウンコンバータ40において、複素係数フィルタ513は、例えば複素係数トランスバーサルフィルタが適用され、入力端IrpIとIrpQとから入力される信号に対して負の周波数成分を抑圧し、出力端OrpIおよびOrpQから、互いに90°の位相差を有する複素信号を出力する。
半複素ミキサ517は、RF信号を複素ベースバンド信号へ周波数変換するためのものであり、乗算器であるミキサI518と、ミキサQ519とから構成される。Local501は、半複素ミキサ118の入力端Ihmからcosあるいはsinの実信号であって、RF信号と同じ周波数の実ローカル信号を入力する。半複素ミキサ517は、入力端IhmI、IhmQから入力された複素RF信号S41Bと実ローカル信号を乗算し、中心周波数が周波数ゼロとなる複素ベースバンド信号へ周波数変換を行い、複素信号S41Cを出力する。
LPF521、522は、入力される複素ベースバンド信号S41Cの実数軸成分(S41CI)、虚数軸成分(S41CQ)に対して周波数ゼロを中心とした所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行い、目的信号である複素ベースバンド信号S42Aを出力する。
AGCアンプ523、524は入力端TAGCから印加される電圧に応じてゲイン(利得)を制御する。ADC525、526は、アナログの複素ベースバンド信号をデジタル信号へ変換する。
次に、ゼロIF方式のダウンコンバータ40の全体的な動作について説明する。アンテナから入力端TRFにて入力された実信号のRF信号がLNA511によって増幅され、実信号S41Aが出力される。当該信号が入力される複素係数フィルタ513は、入力端IrpI、IrpQから入力される実信号S41Aに対して負の周波数成分を抑圧し、出力端OrpIおよびOrpQから、互いに90°の位相差を有する複素信号S41Bの実数軸成分S41BIおよび虚数軸成分S41BQを半複素ミキサ517に出力する。半複素ミキサ517は、Local501から入力されるRF信号と同じ周波数のcosあるいはsinの実ローカル信号に基づいて複素信号S41Bに対して周波数変換を行うことにより生成された複素ベースバンド信号S41Cを、LPF521およびLPF522にそれぞれ出力する。
LPF521およびLPF522は、複素ベースバンド信号S41Cに対して周波数ゼロを中心とした所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行い、目的信号である複素ベースバンド信号S42AをAGCアンプ523、524に出力する。AGCアンプ523、524は、複素ベースバンド信号S42Aの実数軸成分S42AIおよび虚数軸成分S42AQの振幅を、ADコンバータ525および526に入力するのに適切なレベルに調整し、複素信号S42BをADコンバータ525および526に出力する。ADコンバータ525および526は入力された信号をデジタル信号に変換し、LPF527とLPF528とにそれぞれ出力する。
LPF527および528は複素ベースバンド信号S42Cの実数軸成分S42CIおよび虚数軸成分S42CQの高周波成分の除去を行い複素ベースバンド信号の実数軸成分Iおよび虚数軸成分Qをそれぞれ出力端TOIとTOQへ出力する。
図36は、図35に示すダウンコンバータ40におけるミキシングの処理を示した図である。複素係数フィルタ513は、実RF信号(srf(t))の負の周波数成分を抑圧し、複素RF信号(s1p(t)+s1m(t))を出力する。半複素ミキサ517は、Local501から出力されるRF信号(srf(t))の周波数fを有する実ローカル信号(L(t))と複素RF信号とを乗算(半複素ミキシング)し、RF信号周波数fの周波数変換を行い複素ベースバンド信号(s1p(t)L1m(t)+s1p(t)L1p(t))を出力する。当該処理により、複素係数フィルタ513によって、周波数変換される前の実RF信号の負の周波数を抑圧するため、複素ベースバンド信号において、実RF信号の負の周波数成分による干渉をなくすことができる。なお、図35に示す処理における実RF信号、複素RF信号、実ローカル信号、複素ベースバンド信号のそれぞれを数式で表すと、以下の式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)として表される。
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
(準ゼロIF方式のダウンコンバータの原理)
次に、準ゼロIF方式のダウンコンバータに上記のゼロIF方式において適用した実ローカル信号入力のミキサを用いるための原理について説明する。準ゼロIF方式とは、デジタルチューナ、デジタル受信機、ソフトウェア無線機などに利用することができる方式である。
上述したように、ゼロIF方式を実現するためには、RF信号を周波数変換するためのアナログ回路に完全性が求められるが、当該完全性を有するためには細かい周波数ステップでのチューニングを可能とするPLL回路が必要となる。また、細かい周波数ステップでのチューニングを行いながら、さらに高速な応答も必要とする場合には、高価なフラクショナルN−PLL回路が必要となり、従来の無線受信機では当該フラクショナルN−PLL回路が適用されている。
ところで、デジタルチューナ、デジタル受信機、ソフトウェア無線機などでは、内部のデジタル処理部にて細かい周波数ステップでのチューニングが可能であるため、フラクショナルN−PLL回路のような高価なものを適用することは、コストの面において効率的ではない。また、当該フラクショナルN−PLL回路のような回路を適用することはサイズの面においても効率的ではなく、簡単でかつコンパクトな構成とすることの方がデジタルチューナ、デジタル受信機、ソフトウェア無線機などでは望まれている。
つまり、準ゼロIF方式とは、ゼロIF方式に用いられるアナログ回路に上記のフラクショナルN−PLL回路ではなく、コスト的及びサイズ的な要求などを満たすインテジャーN−PLL回路を適用する方式である。インテジャーN−PLL回路を適用することで、周波数ゼロに対してオフセットが存在する中間周波数信号(準ベースバンド信号)がミキサから出力されることになるが、準ゼロIF方式では、デジタル処理部によってこの中間周波数信号からオフセット分を除去し、目的となる周波数ゼロを中心周波数とするベースバンド信号を得ることを可能としている。
上述した低IF方式と準ゼロIF方式の違いは、準ゼロIF方式はあくまでアナログ回路にて粗い周波数ステップで周波数変換し、デジタル回路にて細かい周波数ステップで周波数変換して周波数ゼロへ変換することを目的としており、中間周波数が、RF信号のチャネル信号帯域内の周波数値となるのに対して、低IF方式では、中間周波数が、RF信号のチャネル信号帯域外の周波数値となり、チャネル信号帯域とイメージ周波数帯域が重ならない点で異なる。
図37は、本発明における準ゼロIF方式のダウンコンバータの基本構成例であるダウンコンバータ41を示した図である。ダウンコンバータ41は、例えば、無線受信機であり、RF信号に対して精度の粗い周波数変換を行い、中間周波数を有する信号へ変換するIF生成部53と、精度の細かい周波数変換によりベースバンド信号を取り出すベースバンド生成部54とから構成される。IF生成部53は、例えばアンテナに接続される入力端TRFから入力したRF信号を、複素RF信号に変換する。また、IF生成部53は、当該複素RF信号を局部発振器から出力される周波数ゼロより所定の周波数離れた周波数値であって、RF信号の信号帯域内の周波数の値、離れた周波数の実ローカル信号によって、周波数変換を行う。当該周波数変換によって、複素信号の周波数は、周波数ゼロからRF信号の周波数と中間周波数の差の周波数値(以下、オフセット周波数と呼ぶ)、離れた複素IF信号へ変換する。ベースバンド生成部54は、IF生成部53から出力されるIF信号をベースバンド信号の実数軸成分Iおよび虚数軸成分Qに変換し、ベースバンド信号を取り出して復調部に出力する。
ここで、周波数ゼロより所定の周波数離れた周波数値であって、RF信号の信号帯域内の周波数の値、すなわち中間周波数とは、RF信号のチャネル信号帯域内でRF信号の中心周波数からオフセット周波数離れた周波数(特許請求の範囲に記載のダウンコンバータにおける所定の周波数)である。
IF生成部53は、LNA511と、複素係数フィルタ513と、実ローカル信号を出力する局部発振器であるLocal502と、半複素ミキサ517とから構成される。当該、IF生成部53は、局部発振器から出力される周波数を除いては、図35に示すゼロIF方式のダウンコンバータ40のIF生成部51と同じ機能と接続構成を有する。
ベースバンド生成部54は、IF生成部53と端子TIおよびTQにおいて接続され、複素係数フィルタ520と、AGCアンプ523、524と、ADコンバータ525、526と、局部発振器であるLocal540と、全複素ミキサ530と、LPF527、528とから構成される。
ダウンコンバータ41において、複素係数フィルタ513は、例えば複素係数トランスバーサルフィルタが適用され、入力端IrpIとIrpQとから入力される信号に対して負の周波数成分を抑圧し、出力端OrpIおよびOrpQから、互いに90°の位相差を有する複素信号を出力する。
半複素ミキサ517は、RF信号を周波数ゼロからオフセット周波数離れた周波数へ周波数変換するためのものであり、乗算器であるミキサI518と、ミキサQ519とから構成される。Local502は、半複素ミキサ118の入力端Ihmからcosあるいはsinの実信号であって、RF信号の信号帯域内でRF信号の中心周波数からオフセット周波数離れた周波数の実ローカル信号を入力する。半複素ミキサ517は、入力端IhmI、IhmQから入力された複素RF信号S41Bと実ローカル信号を乗算し、周波数ゼロからオフセット周波数離れた複素IF信号へ周波数変換を行い、複素信号S41Dを出力する。
複素係数フィルタ520は、入力される複素IF信号S41Dの実数軸成分(S41DI)及び虚数軸成分(S41DQ)に対して周波数ゼロを中心とした所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行うフィルタであり、複素IF信号S43Aを出力する。なお、周波数ゼロを中心とした所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行うことは、実係数のフィルタと同じ性能を有することになる。
AGCアンプ523、524は入力端TAGCから印加される電圧に応じてゲイン(利得)を制御する。ADC525、526は、アナログ信号をデジタル信号へ変換する。
全複素ミキサ530は、複素IF信号に含まれているオフセット周波数の値を周波数ゼロにする周波数変換を行うためのものであり、乗算器であるミキサII531と、ミキサIQ532と、ミキサQI533と、ミキサQQ535と、減算器533と、加算器536とから構成される。全複素ミキサ530は、入力端IcmcにおいてLocal540から実数軸ローカル信号cosが入力され、入力端IcmsにおいてLocal540から虚数軸ローカル信号sinが入力される。入力端IcmIおよびIcmQから入力された複素信号S43Cを、中心周波数が周波数ゼロとなる周波数変換を行い、複素IF信号S43Dを出力する。
次に、準ゼロIF方式のダウンコンバータ41の全体的な動作について説明する。アンテナから入力端TRFにて入力された実信号のRF信号がLNA511によって増幅され、実信号S41Aが出力される。当該信号が入力される複素係数フィルタ513は、入力端IrpI、IrpQから入力される実信号S41Aに対して負の周波数成分を抑圧し、出力端OrpIおよびOrpQから、互いに90°の位相差を有する複素信号S41Bの実数軸成分S41BIおよび虚数軸成分S41BQを半複素ミキサ517に出力する。半複素ミキサ517は、Local502から入力されるRF信号の中心周波数からオフセット周波数離れた周波数を有するcosあるいはsinの実ローカル信号に基づいて複素信号S41Bに対して周波数変換を行うことにより生成された複素IF信号S41Dを、複素係数フィルタ520に出力する。
複素係数フィルタ520は、複素IF信号S41Dの実数軸成分S41DIおよび虚数軸成分S41DQに対して周波数ゼロを中心とした所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行い、複素IF信号S43AをAGCアンプ523、524に出力する。AGCアンプ523、524は、複素信号S43Aの実数軸成分S43AIおよび虚数軸成分S43AQの振幅を、ADコンバータ525および526に入力するのに適切なレベルに調整し、複素信号S43BをADコンバータ525および526に出力する。ADコンバータ525および526は入力された信号をデジタル信号に変換し、複素IF信号S43Cの実数軸成分S43CIおよび虚数軸成分S43CQとして全複素ミキサ530へ出力する。
全複素ミキサ530は、複素信号S43Cの実数軸成分S43CIおよび虚数軸成分S43CQを、Local540から出力される複素ローカル信号の実数軸ローカル信号cosおよび虚数軸ローカル信号sinによって、中心周波数が周波数ゼロとなる周波数変換を行い、複素信号S43DをLPF527および528に出力する。LPF527および528は複素信号S43Dの高周波成分の除去を行い複素ベースバンド信号の実数軸成分Iおよび虚数軸成分Qをそれぞれ出力端TOIとTOQへ出力する。
図38は、本発明におけるダウンコンバータ40及びダウンコンバータ41の複素係数フィルタ513に適用される複素係数トランスバーサルフィルタの周波数特性の一例を示した図である。当該複素係数トランスバーサルフィルタは、上述した低IF方式のダウンコンバータに適用される複素係数トランスバーサルフィルタと同様の設計方法で設計することができ、ゼロIF方式及び準ゼロIF方式では、図38に示すようにRF信号周波数800MHzを中心とした一定の範囲の周波数帯に対してそれ以外の周波数帯では39dB抑圧するフィルタを構成する。
また、図39は、複素係数トランスバーサルフィルタの実数部のインパルス応答を示した図であり、偶対称インパルス応答を有する。図40は、複素係数トランスバーサルフィルタの虚数部のインパルス応答を示す図であり、奇対称インパルス応答を有する。これらのインパルス応答と入力信号とにたたみ込み積分を行うことで、負の周波数帯域を抑制しつつ、互いに90°の位相差を有する複素信号を出力することが可能となる。なお、図39及び図40の縦軸は、正規化された値である。
なお、上記のゼロIF方式及び準ゼロIF方式のダウンコンバータに用いられる複素係数フィルタにおいて、負の周波数帯域を抑制する構成について述べたが、正の周波数帯域を抑制し、取り出した正の周波数成分の信号に基づいて処理を行う構成としてもよい。
(ゼロIF方式アップコンバータの原理)
次に、本発明におけるゼロIF方式のアップコンバータの原理について、本発明におけるゼロIF方式のアップコンバータの基本構成例を参照して説明する。図50は、本発明におけるゼロIF方式のアップコンバータの第1の基本構成例であるアップコンバータ60を示した図である。アップコンバータ60は、例えば、無線送信機であり、実数部と虚数部を有するデジタル入力TI及びTQから入力されるデジタル信号をアナログベースバンド信号に変換し、変換されたアナログ信号に対してRF信号周波数による周波数変換を行って複素RF信号を生成し、更に生成した複素RF信号の実数部のみを取り出して、アンテナ等の出力端TRFから送信する。
アップコンバータ60において、DAコンバータ701及び702は、それぞれTI及びTQから入力されるデジタル信号をアナログベースバンド信号に変換する。LPF703、704は、DAコンバータ701、702から出力される複素信号S60Aの高周波成分を除去し、複素信号S60Bを出力する。
半複素ミキサ706は、乗算器によって構成されるミキサI707と、ミキサQ708とから構成される。Local741は、半複素ミキサ706の入力端Ihmからcosあるいはsinの実信号であって目的となるRF信号を有する周波数の実ローカル信号を入力する。半複素ミキサ706は、入力端IhmI、IhmQから入力された複素信号S60Bと実ローカル信号を乗算し、複素信号S60Cを出力する。これによって、複素信号S60CはRF信号の周波数を有することになる。
次に、上述したアップコンバータ60の全体的な動作について説明する。デジタル信号の入力端TI及びTQから入力されたデジタル信号の実数成分がDAコンバータ701によりアナログ信号S60AIに変換される。また、デジタル信号の虚数成分がDAコンバータ702によりアナログ信号S60AQに変換され、複素信号S60Aが生成される。複素信号S60AはLPF703、704により高周波成分が除去され、信号S60BQとして出力される。
半複素ミキサ706は、Local741から入力されるcosあるいはsinの実ローカル信号に基づいて複素信号S60Bに対して周波数変換を行い、RF信号の周波数を有する複素信号S60Cを、複素係数フィルタ710に出力する。
複素係数フィルタ710は、入力される複素RF信号60Cの負の周波数を抑圧しつつ、互いに90°位相が異なる複素RF信号S60Dの実数軸成分S60DIをOrpIから出力し、虚数軸成分S60DQをOrpQから出力する。減算器711は複素係数フィルタ710から出力される複素RF信号の実数軸成分S60DIから複素RF信号の虚数軸成分S60DQを減算し、実RF信号を取り出す。
図51は、図50に示すアップコンバータ60におけるミキシングの処理を示した図である。半複素ミキサ706は、Local741から出力されるRF信号の周波数fを有する実ローカル信号(L(t))と複素BB信号とを乗算(半複素ミキシング)し、RF信号周波数fに周波数変換して複素RF信号(srf(t))を出力する。
複素係数フィルタ710は、複素RF信号(srf(t))の負の周波数成分を抑圧し、減算器711による複素RF信号の実数成分から虚数成分を減算することにより、実RF信号(1/2(s(t)L1p(t)+s (t)L1p (t)))を出力する。当該処理により、複素係数フィルタ710によって複素RF信号の負の周波数成分を抑圧した後に減算器711による演算を行うことで、RF信号周波数fにおいて逆方向の周波数に変換された信号影響をなくすことができる。なお、図51に示す処理における複素BB信号、実ローカル信号、複素RF信号、実RF信号のそれぞれを数式で表すと、以下の式(3−5)、(3−6)、(3−7)、(3−8)として表される。
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
Figure 2006295840
(準ゼロIF方式のアップコンバータの原理)
次に、本発明における準ゼロIF方式のアップコンバータの原理について、本発明における準ゼロIF方式のアップコンバータの基本構成例を参照して説明する。図52は、本発明における準ゼロIF方式のアップコンバータの基本構成例であるアップコンバータ61を示した図である。アップコンバータ61は、例えば、無線送信機であり、実数部と虚数部を有するデジタル入力TI及びTQから入力されるデジタル信号をアナログベースバンド信号に変換し、変換されたアナログベースバンド信号に対して、第1の局部発振器から出力される第1のローカル信号によって、周波数ゼロからオフセット周波数の値、離れた中間周波数の複素IF信号へ変換する。更に第2の局部発振器から出力される第2のローカル信号に基づいて当該複素IF信号を送信可能なRF信号の周波数に周波数変換し、複素RF信号の実数部のみを取り出して、アンテナ等の出力端TRFから送信する。
ここで、準ゼロ方式のアップコンバータにおけるオフセット周波数とは、第1のローカル信号の周波数であり、第1のローカル信号の周波数とは、RF信号周波数に第1のローカル信号の周波数を加えた周波数値が、RF信号周波数帯域内となる周波数値である。
ゼロIF方式のアップコンバータでは、第2の局部発振器から出力される第2のローカル信号によって複素ベースバンド信号を複素RF信号へ周波数変換する構成を有するが、第2の局部発振器の分解度が粗い場合、当該第2のローカル信号とRF信号周波数との間に差が存在することが想定される。準ゼロIF方式のアップコンバータは、この差を補完するため、第1の局部発振器を設け、第1のローカル信号により、オフセット周波数を中心周波数とする精度の細かい周波数変換を行って準ベースバンド信号を最初に生成しておくことで、第2のローカル信号によって目的となるRF信号周波数を有する信号へ周波数変換することを可能とするものである。
アップコンバータ61において、DAコンバータ701、702以降については半複素ミキサ706に接続される局部発振器Local741がRF信号からオフセット周波数離れた周波数の信号を出力するLocal742に置き換えられている点を除いては、図50に示したアップコンバータ60と同じ構成を有する。以下、アップコンバータ60には備えられていない構成について説明する。
LPF720、721は、デジタル信号の高周波成分の除去を行う。
全複素ミキサ730は、上記のオフセット周波数を中心周波数とする信号へ周波数変換するものであり、乗算器によって構成されるミキサII731と、ミキサIQ732と、ミキサQI734と、ミキサQQ735と、減算器733と、加算器736とから構成される。全複素ミキサ730は、入力端IcmcにおいてLocal725から実数軸ローカル信号cosが入力され、入力端IcmsにおいてLocal725から虚数軸ローカル信号sinが入力される。入力端IcmIおよびIcmQから入力された複素信号S61Aを、オフセット周波数を中心周波数とする信号へ周波数変換を行い、複素IF信号S61Bを出力する。
半複素ミキサ706は、乗算器によって構成されるミキサI707と、ミキサQ708とから構成される。Local741は、半複素ミキサ706の入力端Ihmからcosあるいはsinの実信号であって目的となるRF信号を有する周波数の実ローカル信号を入力する。半複素ミキサ706は、入力端IhmI、IhmQから入力された複素信号S61Dと実ローカル信号を乗算し、複素信号S61Eを出力する。これによって、複素信号S61DはRF信号の周波数を有することになる。
ここで、半複素ミキサ706に入力される複素IF信号S61Dの中心周波数は、オフセット周波数であり、RF信号の中心周波数にオフセット周波数を加えた周波数値がRF信号周波数帯域内となる周波数値である(特許請求の範囲に記載のアップコンバータにおける所定の周波数)。
次に、上述した準ゼロIF方式のアップコンバータ61の全体的な動作について説明する。LPF702及び721は、デジタル信号の入力端TI及びTQから入力されたデジタル信号に対して高周波成分が除去し、それぞれ複素ベースバンド信号S61Aの実数軸成分S61AIと虚数軸成分S61AQとを出力する。
全複素ミキサ730は、複素信号S61Aの実数軸成分S61AIおよび虚数軸成分S61AQを、Local725から出力される複素ローカル信号の実数軸ローカル信号cosおよび虚数軸ローカル信号sinによってオフセット周波数を複素信号S61Aの中心周波数にする周波数変換を行い、複素IF信号S61Bの実数軸成分S61BIおよび虚数軸成分S61BQをDAコンバータ701および702に出力する。
全複素ミキサ730から出力された複素IF信号S61BがDAコンバータ701,702によりアナログ信号に変換され、アナログ信号化された複素IF信号S61Cが生成される。複素IF信号S61CはLPF703、704により高周波成分が除去され、複素信号S61Dとして出力される。
半複素ミキサ706は、Local742から入力されるcosあるいはsinの実数信号であって、RF信号周波数からオフセット周波数離れた周波数を有する実ローカル信号に基づいて複素IF信号S61Dに対して周波数変換を行い、RF信号の周波数を有する複素RF信号S61Eを、複素係数フィルタ710に出力する。
複素係数フィルタ710は、入力される複素RF信号S61Eの負の周波数を抑圧しつつ、互いに90°位相が異なる複素RF信号S61Fの実数軸成分S61FIをOrpIから出力し、虚数軸成分S61FQをOrpQから出力する。減算器711は複素係数フィルタ710から出力される複素RF信号の実数軸成分S61FIから複素RF信号の虚数軸成分S61FQを減算し、実RF信号を取り出す。そして、取り出した実RF信号をTRFに出力する。
なお、ゼロIF方式及び準ゼロIF方式のアップコンバータに用いられる複素係数フィルタ710としては、例えば複素係数トランスバーサルフィルタが適用される。複素係数トランスバーサルフィルタを用いる場合には、図39及び図40に示すインパルス応答を有し、具体的には図38に示す周波数特性を有する複素係数トランスバーサルフィルタなどを適用することができる。
また、上記のゼロIF方式及び準ゼロIF方式のアップコンバータの複素係数フィルタ714は、負の周波数帯域を抑制するとして説明したが、正の周波数帯域を抑制し、取り出した正の周波数成分の信号に基づいて処理を行う構成としてもよい。
また、上述した複素係数トランスバーサルフィルタに用いられる偶対称インパルス応答あるいは奇対称インパルス応答は、複素係数トランスバーサルフィルタにフラットな群遅延特性が要求される場合には、厳密に偶対称あるいは奇対称である必要があるが、群遅延特性が厳密にフラットであることを要求されない場合には、偶関数あるいは奇関数に基づいて生成される際に対称性が若干失われ、ほぼ偶対称あるいはほぼ奇対称であるようなインパルス応答であってもよい。
本発明におけるダウンコンバータでは、入力されるRF信号に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の実数部を生成し、入力されるRF信号に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の虚数部を生成し、正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して複素RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタと、所定の周波数を有する実ローカル信号を出力する局部発振器と、複素係数トランスバーサルフィルタ及び局部発振器に接続され、複素係数トランスバーサルフィルタから出力される複素RF信号及び局部発振器から出力される実ローカル信号を乗算して周波数変換し、RF信号の周波数より所定の周波数離れた周波数の複素信号を出力する複素ミキサと、を備えた構成とした。また、さらに、当該複素係数トランスバーサルフィルタにSAWフィルタを適用する構成とした。
これにより、実ローカル信号を用いることで、例えば、非特許文献5に示す複素ローカル信号を用いるダウンコンバータよりローカル信号を半減させ、消費電力を軽減させることができる。また、フィルタの特性をSAWフィルタのすだれ状電極の構造に基づいて設計することができ、現在の微細加工技術を用いれば、SAWフィルタの電極寸法を精度よく作成可能であるため、非特許文献6の実ローカル信号をポリフェーズフィルタに適用する場合よりも、ミキサやフィルタの製造偏差などによるばらつきを少なくした高性能なフィルタを得ることが可能となる。そのため、低IF方式では充分なイメージ抑圧比を得ることができ、ゼロIF方式ではIQ間のインバランスによって発生するEVMの劣化を抑えることができる。
また、本発明における低IF方式のダウンコンバータでは、複素ミキサの出力に接続される複素係数トランスバーサルフィルタを備える構成とし、当該複素係数トランスバーサルフィルタとしてSAWフィルタを用いる構成とした。SAWフィルタはパッシブ型のフィルタであるため電力を消費しないという効果があり、また、正の周波数あるいは負の周波数を抑圧し、かつ目的信号が存在する周波数側において目的信号が存在する帯域外を抑圧するフィルタ効果を得ることが可能となる。
また、本発明における低IF方式のダウンコンバータでは、複素ミキサから出力される複素信号の複素共役となる複素共役信号を生成する手段と、生成された複素共役信号のレベルを調整する手段と、複素ミキサから出力される複素信号と、レベルが調整された複素共役信号とを合成する手段とを備えた構成とした。そのため、周波数特性を有する実数部の信号と虚数部の信号との間における誤差によるイメージ抑圧比の周波数特性について、それぞれの周波数特性に応じた補正を行うことが可能となる。これにより、目的の信号帯域全域で良好なイメージ抑圧比を得ることが可能となる。
また、本発明におけるダウンコンバータでは、複数の出力端を備え入力されるRF信号を切り替えて出力する分配器と、分配器の出力端に一対一に対応して接続される複数のトランスバーサルフィルタであって、それぞれ異なる通過帯域周波数を有し、分配器から出力されるRF信号に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の実数部を出力し、入力されるRF信号に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の虚数部を出力することで正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を前記通過帯域周波数で抑圧して複素RF信号を出力する複数の複素係数トランスバーサルフィルタと、複数の複素係数トランスバーサルフィルタの通過帯域周波数に応じた周波数の実ローカル信号を切り替えて出力する局部発振器と、複数の複素係数トランスバーサルフィルタのそれぞれに一対一で接続される複数の複素ミキサであって、局部発振器に接続され、複素係数トランスバーサルフィルタから出力される複素信号と、局部発振器から出力される前記実ローカル信号とを乗算して周波数変換し、RF信号の周波数より前記所定の周波数離れた周波数の複素信号を出力する複数の複素ミキサと、複数の複素ミキサに接続され、複数の複素ミキサの接続を切り替えて複数の複素ミキサから出力される前記複素信号を出力する合成器と、を備える構成とした。これにより、複素係数トランスバーサルフィルタと複素ミキサが一対一に接続されるため、スイッチ等によるインバランスの劣化が無くなる。
また、この本発明におけるアップコンバータでは、所定の周波数を有する実ローカル信号を出力する局部発振器と、局部発振器に接続され、入力される複素信号と、局部発振器から出力される実ローカル信号とを乗算して周波数変換して複素RF信号を出力する複素ミキサと、複素ミキサに接続され、複素ミキサから出力される前記複素RF信号の実数部に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い、前記複素RF信号の虚数部に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行うことで正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して実数RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタと、を備える構成とした。また、さらに、当該複素係数トランスバーサルフィルタにSAWフィルタを用いる構成とした。そのため、複素ローカル信号を用いる従来のアップコンバータよりローカル信号を半減させ、消費電力を軽減させることができる。また、フィルタの特性をSAWフィルタのすだれ状電極の構造に基づいて設計することができ、現在の微細加工技術を用いれば、SAWフィルタの電極寸法を精度よく作成可能であるため、ミキサやフィルタの製造偏差などによるばらつきを少なくした高性能なフィルタを得ることが可能となる。また、複素係数トランスバーサルフィルタを用いる構成としたことで、実数部と虚数部の位相差を正確に90°にすることができ、また、バンドパスフィルタとしての機能を兼ね備えることができるため、アップコンバータの小型化が可能となる。
また、この本発明における低IF方式のアップコンバータでは、複素ミキサの入力側に複素係数トランスバーサルフィルタを備え、当該複素係数トランスバーサルフィルタにSAWフィルタを用いる構成とした。そのため、フィルタの特性をSAWフィルタのすだれ状電極の構造に基づいて設計することができる。そのため、SAWフィルタはパッシブ型のフィルタであるので電力を消費しないという効果がある。また、入力側に2つのすだれ状電極を並列に設けることで分配器の役目を行わせることもできるため、ダウンコンバータの小型化を図ることが可能となる。また、ミキサやフィルタの製造偏差などによるばらつきが少ないことから安定したイメージ抑圧比を得ることも可能である。
また、この本発明におけるアップコンバータでは、複数の出力端を備え入力される複素信号を切り替えて出力する分配器と、分配器の出力端に一対一に対応して設けられ、それぞれ異なる通過帯域周波数を有し、入力される複素RF信号の実数部に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い、複素RF信号の虚数部に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行うことで正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を通過帯域周波数で抑圧して実数RF信号を出力する複数の複素係数トランスバーサルフィルタと、複数の複素係数トランスバーサルフィルタの通過帯域周波数に応じた周波数の実ローカル信号を切り替えて出力する局部発振器と、分配器の出力端と前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタのそれぞれの入力とに一対一で接続される複数の複素ミキサであって、局部発振器に接続され、分配器から出力される複素信号と、局部発振器から出力される実ローカル信号とを乗算して周波数変換し、複素RF信号を対応する複素係数トランスバーサルフィルタに出力する複数の複素ミキサと、複数の複素係数トランスバーサルフィルタに接続され、複数の複素係数トランスバーサルフィルタから出力される実RF信号を切り替えて出力する合成器と、を備える構成とした。これにより、複素ミキサと複素係数トランスバーサルフィルタとが一対一に接続されるため、スイッチ等によるインバランスの劣化が無くなる。
(低IF方式のダウンコンバータの第1実施形態)
以下、本発明の低IF方式のダウンコンバータの実施形態を図面を参照して説明する。
図16は、低IF方式のダウンコンバータの第1実施形態を示したブロック図である。図16に示すダウンコンバータ5は、RF信号をIF信号に変換するIF生成部15と、IF信号をベースバンド信号の実数軸成分Iおよび虚数軸成分Qに変換し、ベースバンド信号を取り出して復調部に出力するベースバンド生成部16から構成されている。
なお、図16のダウンコンバータ5において、上述した図13のダウンコンバータ3と同じ機能を有する構成については同じ符号を付して説明を省略する。図16のダウンコンバータ5は、図13のダウンコンバータ3の複素係数トランスバーサルフィルタ115が図6のSAWフィルタ1150あるいは図7のSAWフィルタ1156によって実現された複素係数SAWフィルタ114に置き換えられている点と、ベースバンド生成部の複素係数SAWフィルタ140の出力段において、減算器141に加えて加算器142が設けられ、スイッチ143によって、正あるいは負のいずれかの周波数帯域を選択して出力することができる点で異なる構成となっている。
以下、ダウンコンバータ5の動作について説明する。IF生成部15のLNA111は、アンテナによって受信される実信号のRF信号が入力され、入力されたRF信号を増幅して出力する。複素係数SAWフィルタ114は、負の周波数を抑圧しつつ、LNA111から出力される増幅後の実RF信号を実数軸成分と虚数軸成分からなる複素RF信号に変換して半複素ミキサ118に出力する。半複素ミキサ118は、Local181から出力されるRF信号の周波数より中間周波数の値、低い周波数の実ローカル信号が入力され、当該実ローカル信号と、複素係数SAWフィルタ114から出力される複素RF信号の実数軸成分とをミキサI182によって乗算する。また、半複素ミキサ118は、当該実ローカル信号と、複素RF信号の虚数軸成分とをミキサQ183によって乗算し、複素RF信号を中間周波数を有する複素IF信号へ変換して出力する。ここで、複素係数SAWフィルタ114の通過帯域幅はRF信号周波数帯域幅、すなわち無線システム帯域幅である。
ベースバンド生成部16において、複素係数SAWフィルタ140は図14で示したSAWフィルタ140によって構成され、半複素ミキサ118から出力される複素IF信号の入力を受けて、当該複素IF信号の負の周波数信号を抑圧することによってイメージ周波数信号の除去を行う。ここで、複素係数SAWフィルタ140の通過帯域幅はチャンネル帯域幅である。減算器141は、複素係数SAWフィルタ140の実数部の出力から虚数部の出力を減算する。すなわち、減算器141は、正の周波数を選択して実数化する。一方、加算器142は、複素係数SAWフィルタ140の実数部の出力と虚数部の出力を加算する。すなわち、加算器142は、負の周波数を選択して実数化する。スイッチ143は、正の周波数(USB:Upper Side Band)あるいは負の周波数(LSB:Lower Side Band)を選択し、USBとLSBを分離しておくため、選択されない側の回路の電源は切断される。
そして、AGCアンプ123は、減算器141あるいは加算器142から出力される帯域制限されたIF信号をAGCによって印加される電圧に従い、ADコンバータ125の入力に適切なレベルにゲインを制御する。ADコンバータ125は、AGCアンプ123から出力されるIF信号をデジタルIF信号に変換して出力する。半複素ミキサ190は、ADコンバータ125から出力されるデジタル化されたIF信号を複素ベースバンド信号に変換する。変換された複素ベースバンド信号の実数部と虚数部は、それぞれLPF130とLPF131によって帯域制限された後に復調部に出力される。
(低IF方式のダウンコンバータの第2実施形態)
図17は、低IF方式のダウンコンバータの第2実施形態を示したブロック図である。
図17に示すダウンコンバータ6は、図16に示すダウンコンバータ5ではスイッチ143によってUSBあるいはLSBのいずれか一方を選択していたのに対して、USBとLSBの両方を同時に処理する点で構成が異なる。なお、図17のダウンコンバータ6において、図16のダウンコンバータ5と同じ機能を有する構成については同じ符号を付して説明を省略する。
ダウンコンバータ5と異なる構成は、LSB側を処理するために、新たに、AGCアンプ123a、ADコンバータ125a、ミキサI192a、ミキサQ193a、LPF130a、LPF131aを備えている点である。AGCアンプ123aの入力端と加算器142の出力端が接続され、ADコンバータ125aの入力端は、AGCアンプ123aの出力端と接続される。ミキサI192aは、一方の入力端でADコンバータ125aと接続され、他方の入力端でLocal191と接続される。また、ミキサQ193aは、一方の入力端でADコンバータ125aと接続され、他方の入力端でLocal191と接続される。LPF130aとLPF131aはそれぞれミキサI192aとミキサQ193aの出力端に接続される。なお、第2実施形態では、USBとLSBの周波数の絶対値が等しいものと仮定しており、Local191をUSBとLSBで共有する構成としているが、USBとLSBで周波数が異なる場合には、それぞれ別の局部発振器が必要となる。
USB側及びLSB側の処理は、図16のダウンコンバータ5において、スイッチ143をUSB側あるいはLSB側へ接続した場合と同様の処理が行われ、USB側の複素ベースバンド信号は復調部1へ出力され、LSB側の複素ベースバンド信号は復調部2へ出力される。
(低IF方式のダウンコンバータの第3実施形態)
図18は、低IF方式のダウンコンバータの第3実施形態を示したブロック図である。
図18に示すダウンコンバータ7は、図16に示すダウンコンバータ5では複素係数SAWフィルタ140の出力に接続された減算器141あるいは加算器142において演算を行う構成となっていたのに対し、複素係数SAWフィルタ内で実数部と虚数部の演算処理を行う複素係数SAWフィルタ145を設けた点で構成が異なる。なお、図18のダウンコンバータ7において、図16のダウンコンバータ5と同じ機能を有する構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図19は図18のダウンコンバータ7において新たに設けられた複素係数SAWフィルタ145の構成を示した図である。複素係数SAWフィルタ145は、圧電基板1146上に、IDT1147〜1149を有している。IDT1147は、実数部の入力Iに接続され、IDT1148は、虚数部の入力Qに接続されている。IDT1149は、出力端に接続されており、IDT1147とIDT1148の伝搬路に跨るように設けられている。
ここで、ローカル信号周波数が中間周波数よりも低い場合、USBを取り出す場合には、虚数部のIDT1148に対する重み付けを行う際に、インパルス応答の極性が反転するように設け、IDT1149において同相受信することで実数部から虚数部の減算を行うことが可能となる。
一方、ローカル信号周波数が中間周波数よりも高い場合、LSBを取り出す場合には、実数部と虚数部のインパルス応答に従ってIDT1147とIDT1148の重み付けを行い、IDT1149において同相受信することで実数部と虚数部の加算を行うことが可能となる。
なお、ダウンコンバータ7についての動作は、図16のダウンコンバータ5において、スイッチ143のUSB側と同様に行われる。
(低IF方式のダウンコンバータの第4実施形態)
図20は、低IF方式のダウンコンバータの第4実施形態を示したブロック図である。
上述した、図1に示すダウンコンバータ1では、正と負の周波数が同時に処理され、ADコンバータ125及び126でデジタル信号に変換された後に、デジタル部で正と負の周波数の選択あるいは、同時処理の選択が可能となっている。そして、図1のダウンコンバータ1では、AGCの制御電圧によって変動するAGCアンプ123及び124におけるイメージ周波数信号妨害を、インバランス補正部127によってADコンバータ125の出力信号S12CIの振幅とADコンバータ126の出力信号S12CQの振幅との差を固定的に補正していた。
第4実施形態に係るダウンコンバータ8では、固定的な補正処理ではなく、適応的な補正処理を行うために、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムに基づく適応フィルタとして動作するイメージ妨害キャンセラ150を、ADコンバータ125及び126と、全複素ミキサ129との間に挿入している点で構成が異なる。なお、図20のダウンコンバータ8において、図1のダウンコンバータ1と同じ機能を有する構成については同じ符号を付して説明を省略する。また、ダウンコンバータ1における複素係数トランスバーサルフィルタ115は、ダウンコンバータ8では、複素係数トランスバーサルフィルタ115をSAWフィルタによって実現した複素係数SAWフィルタ114が用いられている点で構成が異なる。
以下、ダウンコンバータ8におけるイメージ妨害キャンセラ150の構成について説明する。イメージ妨害キャンセラ150は、乗算器152と、LMSコア151と、アッテネータATT153及び154と減算器155及び156とから構成される。イメージ妨害キャンセラ150の実数部の入力端IcanIはADコンバータ125の出力端に接続され、虚数部の入力端IcanQはADコンバータ126の出力端に接続される。また、イメージ妨害キャンセラ150の実数部の出力端OcanIは、全複素ミキサ129の実数部の入力端に接続され、虚数部の出力端OcanQは、全複素ミキサ129の虚数部の入力端に接続されている。イメージ妨害キャンセラ150の実数部の入力端IcanIは、LMSコア151の実数部の入力端と、減算器155の正の入力端に接続されている。イメージ妨害キャンセラ150の虚数部の入力端IcanQは、乗算器152の一方の入力端と、減算器156の正の入力端に接続されている。乗算器152の他方の入力端には、“−1”が入力され、出力端はLMSコア151の虚数部の入力端に接続される。LMSコア151の実数部の出力端はアッテネータATT153に接続され、虚数部の出力端はアッテネータATT154に接続される。アッテネータATT153の出力端は、減算器155の負の入力端に接続され、アッテネータATT154の出力端は、減算器156の負の入力端に接続される。
次に、各ブロックの機能について説明する。乗算器152は、入力された複素IF信号の虚数部の信号に”−1”を乗算することで符号を反転させる。LMSコア151は、ADコンバータ125から入力される複素IF信号の実数部の信号と、乗算器152から入力される符号が反転された複素IF信号の虚数部の信号とから複素IF信号(S12CI及びS12CQ)に対する複素共役信号を生成する。LMSコア151は、適応フィルタの中心部分であり、減算器155及び156からの出力信号を誤差信号、生成された複素共役信号を参照信号として、LMSアルゴリズムに基づいてフィルタの係数を制御する。アッテネータATT153及び154は、LMSコア151の出力(イメージ周波数妨害キャンセル信号)のレベルを調整する。減算器155及び156は、アッテネータATT153とATT154により調整されたイメージ周波数妨害キャンセル信号を、ADコンバータ125と126のそれぞれから入力される複素IF信号(S12CI及びS12CQ)に合成する。
次に、イメージ妨害キャンセラ150の動作について説明する。イメージ妨害キャンセラ150による適応フィルタは、イメージ周波数信号の元の信号から乗算器152によって生成される複素共役信号を参照信号として、入力される複素IF信号に含まれるイメージ周波数信号と、参照信号との誤差を最小にするように動作する。誤差が完全に無いときイメージ周波数信号は完全に抑圧されるので、適応フィルタの適応精度限界までイメージ周波数妨害排除特性を向上させることができる。
また、イメージ妨害キャンセラ150による適応フィルタは、適応処理時にキャリブレーション信号を入力して適応フィルタの係数を求めても良い。さらに、アナログ部の特性変化が短い時間で生じることはないから、イメージ周波数信号が時間軸上で緩やかに変動する場合、適応処理を常に動作させる必要はなく、所定の時間だけ適応処理を行い、残りの時間は求めた係数により適応フィルタをイコライザとして動作させ、これを繰り返すことにより目的を達成しても良い。
LMSコア151の出力のレベルを調整する実数部のアッテネータATT153及び虚数部のアッテネータATT154は、LMSコア151のフィルタ係数語長を最小限の係数語長で動作させるために挿入する。また、適応フィルタに参照信号として入力される複素共役信号より、イメージ周波数信号の信号レベルが非常に小さくなるために、アッテネータATT153及び154を用いることができない場合は、LMSコア151において係数値の大きさを可変にすることにより、出力であるイメージ周波数妨害キャンセル信号をイメージ周波数信号と同一レベルに変化させることができる。ここで、LMSコア151の係数値を小さくすることは、フィルタ係数語長を短くすることと等しくなる。
上述した第1実施形態及び第2実施形態及び第3実施形態は、低消費電力が要求される用途に適している。中間周波数は少なくとも40MHzと高くなるが、SAWフィルタにより帯域制限されているので、ADコンバータに要求されるダイナミックレンジ及びビット数は小さくなるため消費電力が下がることになる。また、IF段の複素係数フィルタをポリフェーズフィルタとした場合には、SAWを用いる場合よりもフィルタ特性が劣化しダイナミックレンジが大きくなったとしても、中間周波数を下げることができるので、ADコンバータのサンプリング周波数の低下と入力帯域幅の低下による効果によって相殺されるかあるいはより低消費電力化を図ることが可能となる。また、第4実施形態は、狭帯域無線方式などの非常に高いイメージ抑圧比が要求される用途に適している。
また、上記の低IF方式のダウンコンバータの複素係数SAWフィルタは、負の周波数帯域を抑制するとして説明したが、正の周波数帯域を抑制し、取り出した正の周波数成分の信号に基づいて処理を行う構成としてもよい。
(低IF方式のアップコンバータの第1実施形態)
以下、本発明の低IF方式のアップコンバータの実施形態を図面を参照して説明する。
図28は、低IF方式のアップコンバータの第1実施形態を示したブロック図である。図28に示すアップコンバータ31において、上述した図23のアップコンバータ30と同じ機能を有する構成については同じ符号を付して説明を省略する。図28のアップコンバータ31は、図23のアップコンバータ30の複素係数トランスバーサルフィルタ340が複素係数SAWフィルタ350に置き換えられている点で異なる構成を有している。
図28におけるアップコンバータ31の動作を以下に説明する。変調部の実数部及び虚数部から出力されるデジタル信号は、DAコンバータ301及び302によってそれぞれアナログベースバンド信号に変換される。LPF303及び304は、DAコンバータ301及び302から出力されるアナログベースバンド信号の高周波成分の除去を行う。全複素ミキサ310は、Local350から入力される複素ローカル信号に基づいて、LPF303及び304から出力される複素信号を複素IF信号に変換する。BPF320及び321は、全複素ミキサ310から出力される複素IF信号に対して帯域制限を行って不要な信号を抑圧する。半複素ミキサ330は、Local325から入力される実ローカル信号に基づいて、BPF320及び321から出力される複素IF信号を複素RF信号に変換する。複素係数SAWフィルタ350は、半複素ミキサ330から出力される複素RF信号の負の周波数を抑圧し、抑圧後に実数部を取り出してRF信号を出力する。ここで、複素係数SAWフィルタ350の通過帯域幅は無線システム帯域幅である。
複素係数SAWフィルタ350に用いられるSAWフィルタは図29または図30に示す構成のものを用いる。SAWフィルタの原理は、上記の「課題を解決するための手段」において説明したものと同様であるためここでは説明を省略し、以下にアップコンバータ31において用いられるSAWフィルタの構成及び動作についてのみ説明する。
図29に示すSAWフィルタ1350は、圧電基板1351上に2つの伝搬路を有するように4つのIDT1352〜1355が設けられている。実数軸の成分が入力される入力端Iに接続されたIDT1352は、実数部のインパルス応答、すなわち偶対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して偶対称となるように各電極指が設けられる。虚数軸の成分が入力される入力端Qに接続されたIDT1354は、虚数部のインパルス応答、すなわち奇対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して奇対称となるように各電極指が設けられる。IDT1353は、出力端子に接続され、実数部のたたみ込み積分を行うIDT1352の伝搬路上に設けられている。また、IDT1355も出力端子に接続され、虚数部のたたみ込み積分を行うIDT1353の伝搬路上に設けられている。この構成により、入力側のIDT1352及び1354から励振される弾性表面波は互いに90°の位相差をもって伝搬され、出力側のIDT1353及び1355で受信される。IDT1353及び1355は互いに逆相になるように接続されているため、この構成によって実数成分から虚数成分が減算されることになり出力端から実RF信号が出力されることになる。
なお、インパルス応答に対応する重み付けがされたIDT1352及びIDT1354を出力端に接続し、入力端にIDT1352及び1354を設けるようにしても同様に実RF信号を出力することが可能である。
次に、SAWフィルタ1350の動作について説明する。最初に、入力端に複素RF信号が入力されると、IDT1352とIDT1354において、それぞれ実数部と虚数部におけるインパルス応答と複素RF信号とのたたみ込み積分が行われつつ、弾性表面波が励振され、SAW信号が伝搬される。IDT1352とIDT1354とから伝搬されるSAW信号は、それぞれの弾性表面波の伝搬方向に設けられたIDT1353とIDT1355によって受信され、それぞれ対応するインパルス応答とのたたみ込み積分が行われつつ再び電気信号に変換される。このとき、IDT1353は、RF信号の実数成分を出力し、IDT1355は、極性が逆になったRF信号の虚数成分を出力する。そして、出力端からは実数成分から虚数成分が減算された実RF信号が出力されることになる。この構成により図26及び図27に示したインパルス応答と複素RF信号とにたたみ込み積分を行うことで、複素RF信号の負の周波数帯域を抑制しつつ、実RF信号を出力することが可能となる。
図30に示すSAWフィルタ1356は、図29では出力端側に2つのIDT1353と1355が設けられていたのに対して、出力側に接続された1つのIDT1358によって、弾性表面波を受信する構成となっている。このとき、図28の入力側の虚数部に対応するIDT1354と極性を逆にしたIDT1357を設けることで、減算処理を実現することが可能である。なお、極性を逆にするのは虚数部に限られず、実数部の極性を逆にするようにしてもよい。この構成により、出力端側のIDTが1つでよくなる。
低IF方式のアップコンバータの第1の実施形態の構成にすることで、イメージ抑圧比が複素係数SAWフィルタ350の負の周波数の減衰量で決まることから、半複素ミキサ330までの回路を共通化し、目的に応じて複素係数SAWフィルタ350を変更することで、製造偏差によるばらつきを少なくでき、良好なイメージ抑圧比を得ることができる。
(低IF方式のアップコンバータの第2実施形態)
図31は、低IF方式のアップコンバータの第2実施形態を示したブロック図である。図31に示すアップコンバータ32は、図28に示したアップコンバータ31からLPF303及び304と全複素ミキサ310及びLocal305を除いた構成となっており、DAコンバータ301及び302から直接複素IF信号を出力する構成となっている。
低IF方式のアップコンバータの第2の実施形態の構成にすることで、アナログベースバンド信号を複素IF信号へ変換する構成を省略することができ、ローカル信号が半複素ミキサ330で用いられるLocal325のみとなり、小型かつ低消費電力なアップコンバータを実現することができる。
なお、上記の低IF方式のアップコンバータに用いられる複素係数SAWフィルタにおいて、負の周波数帯域を抑制する構成について述べたが、正の周波数帯域を抑制し、取り出した正の周波数成分の信号に基づいて処理を行う構成としてもよい。
(ゼロIF方式及び準ゼロIF方式のダウンコンバータの実施形態)
次に、本発明のゼロIF方式及び準ゼロIF方式のダウンコンバータの実施形態を図面を参照して説明する。図41は、本実施形態におけるダウンコンバータ42を示した図である。ダウンコンバータ42は、上述したゼロIF方式のダウンコンバータ40及び準ゼロIF方式のダウンコンバータ41と同じくIF生成部55とベースバンド生成部56とを備えている。IF生成部55は、局部発振器であるLocal503の発振周波数を切り替えることで、ゼロIF方式のIF生成部51または準ゼロIF方式のIF生成部53における処理を行うことが可能となっている。また、ベースバンド生成部56も同様に、切り替えスイッチ545及び546を切り替えることでゼロIF方式のベースバンド生成部52または準ゼロIF方式のベースバンド生成部54の機能を兼ね備える構成となっている。なお、ダウンコンバータ42において、ダウンコンバータ40及びダウンコンバータ41と同じ機能を有する構成については同じ符号を付し、以下、ダウンコンバータ42について説明する。
ダウンコンバータ42のIF生成部55において、半複素ミキサ503に接続される局部発振器として、ゼロIF方式と準ゼロIF方式に対応する周波数の信号を出力できるLocal503が接続されている。また、IF生成部55の複素係数フィルタとして複素係数SAWフィルタ515を適用し、LNA511と半複素ミキサ517とに接続されている。
ベースバンド生成部56において、ベースバンド生成部52とベースバンド生成部54とを、LPF521、522とAGCアンプ523、524と、ADコンバータ525と526を共通化して組み合わせた構成としている。また、ベースバンド生成部56において、ゼロIF方式の場合には全複素ミキサ530を接続せず、準ゼロIF方式の場合には全複素ミキサ530が接続されるように切り替えスイッチ545が、LPF527の入力端に接続され、一方の切り替え先端子TSI2が全複素ミキサ530の実数軸の出力端に接続され、他方の切り替え先端子TSI1がADC525の出力端に接続されるようになっている。また、切り替えスイッチ546が、LPF528の入力端に接続され、一方の切り替え先端子TSQ2が全複素ミキサ530の虚数軸の出力端に接続され、他方の切り替え先端子TSQ1がADC526の出力端子に接続されるようになっている。
また、ダウンコンバータ42では、新たにスイッチ制御部550が備えられている。スイッチ制御部550は、ゼロIF方式と準ゼロIF方式を切り替える制御を行う。スイッチ制御部550は、IF生成部55のLocal503とベースバンド生成部の切り替えスイッチ545及び546の切り替え元端子に接続され、Local503から出力される周波数がゼロIF方式に対応するものとした場合には、切り替えスイッチ545及び546のそれぞれが切り替え先端子TSI1及びTSQ1に接続されるように制御する。
また、Local503から出力される周波数が準ゼロIF方式に対応するものとした場合には、切り替えスイッチ545及び546のそれぞれが切り替え端子TSI2及びTSQ2に接続されるように制御する。
図42は、図41のダウンコンバータ42のIF生成部55の複素係数SAWフィルタ515に適用されるSAWフィルタの構造を示した図である。当該SAWフィルタの原理は、上記の「課題を解決するための手段」において説明したSAWフィルタと同様であるためここでは説明を省略し、以下にダウンコンバータ42において用いられるSAWフィルタの構成及び動作について説明する。
SAWフィルタ1510は、圧電基板1511と、圧電基板1511上に設けられた交差幅が場所ごとに異なるすだれ状電極1512〜1515によって構成されている。IDT1512及び1514は、入力端に接続されており、インパルス電気信号が印加されると、圧電性により機械的歪みを生じ、弾性表面波が励振され、圧電基板1511の左右方向に伝搬することになる。IDT1513は、実数軸の成分を出力する出力端Iに接続され、IDT1512からの弾性表面波を受信できる位置に設けられる。また、IDT1515は虚数軸の成分を出力する出力端Qに接続され、IDT1514からの弾性表面波を受信できる位置に設けられている。実数軸の成分を出力する出力端Iに接続されたIDT1513は、実数部のインパルス応答、すなわち偶対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して偶対称となるように各電極指が設けられる。虚数軸の成分を出力する出力端Iに接続されたIDT1515は、虚数部のインパルス応答、すなわち奇対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して奇対称となるように各電極指が設けられる。この構成によって、実RF信号を実数部と虚数部で90°の位相差を有する複素RF信号へ変換することが可能となる。
次に、SAWフィルタ1510の動作について説明する。最初に、入力端に実RF信号が入力されると、IDT1512とIDT1514において弾性表面波が励振され、SAW信号が伝搬される。IDT1512とIDT1514とから伝搬されるSAW信号は、それぞれの弾性表面波の伝搬方向に設けられたIDT1513とIDT1515によって受信され、それぞれに対応したインパルス応答に基づくたたみ込み積分が行われつつ再び電気信号に変換される。このとき、IDT1513では、RF信号の実数成分が出力端Iから出力され、IDT1515では、RF信号の虚数成分が出力端Qから出力される。この構成により図39及び図40に示したインパルス応答と実RF信号とにたたみ込み積分を行うことで、実RF信号の負の周波数帯域を抑制しつつ、互いに90°の位相差を有する複素RF信号を出力することが可能となる。
なお、SAWフィルタは、図43に示すような構成によっても実現することが可能である。図43のSAWフィルタ1516は、図42では入力端側に2つのIDT1512と1514が設けられていたのに対して、出力側に接続されたIDT1513及び1515の両方の伝搬路に跨るように、入力側にIDT1517が設けられている点で構成が異なる。この構成により、入力端側のIDTを1つにすることができる。
以下、図41に示したダウンコンバータ42の動作について説明する。最初にゼロIF方式として動作する場合について説明する。ゼロIF方式の場合、スイッチ制御部550は、最初にLocal503から出力される信号の周波数を入力されるRF信号の周波数と同じ値に設定する。そして、切り替えスイッチ545及び546がそれぞれTSI1及びTSQ1に接続されるように制御する。このとき、全複素ミキサ530は停止される。
IF生成部55のLNA511は、アンテナによって受信される実信号のRF信号が入力され、入力されたRF信号を増幅して出力する。複素係数SAWフィルタ515は、LNA511から出力される増幅後の実RF信号を、負の周波数帯域を抑制しつつ、互いに90°位相が異なる実数軸成分と虚数軸成分からなる複素RF信号に変換して半複素ミキサ517に出力する。ここで、複素係数SAWフィルタ515の通過帯域幅は無線システム帯域幅である。
半複素ミキサ517は、Local503から入力されるRF信号の周波数と同じ周波数の実ローカル信号が入力され、当該実ローカル信号と、複素係数SAWフィルタ515から出力される複素RF信号の実数軸成分とをミキサI518によって乗算する。また、半複素ミキサ517は、当該実ローカル信号と、複素RF信号の虚数軸成分とをミキサQ519によって乗算し、複素RF信号を周波数ゼロを中心周波数とする複素ベースバンド信号へ変換して出力する。
次にベースバンド生成部56において、LPF521およびLPF522は、複素ベースバンド信号に対して周波数ゼロを中心とした所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行い、複素ベースバンド信号をAGCアンプ523、524に出力する。AGCアンプ523、524は、複素ベースバンド信号の振幅を、ADコンバータ525および526に入力するのに適切なレベルに調整し、ADコンバータ525および526に出力する。ADコンバータ525および526は入力された信号をデジタル信号に変換し、切り替えスイッチ545及び546を介してLPF527とLPF528とにそれぞれ出力する。LPF527および528は複素ベースバンド信号の高周波成分の除去を行い複素ベースバンド信号の実数軸成分Iおよび虚数軸成分Qをそれぞれ出力端TOIとTOQへ出力する。
次に、ダウンコンバータ42が準ゼロIF方式として動作する場合について説明する。準ゼロIF方式の場合、スイッチ制御部550は、最初にLocal503から出力される信号の周波数を入力されるRF信号の周波数からオフセット周波数離れた値に設定する。そして、切り替えスイッチ545及び546がそれぞれTSI2及びTSQ2に接続されるように制御する。
アンテナから入力端TRFにて入力された実信号のRF信号がLNA511によって増幅され、実RF信号が出力される。当該信号が入力される複素係数SAWフィルタ515は、LNA511から出力される実RF信号の負の周波数成分を抑圧し、互いに90°位相が異なる実数軸成分と虚数軸成分からなる複素RF信号に変換して半複素ミキサ517に出力する。半複素ミキサ517は、Local503から出力されるRF信号の周波数からオフセット周波数離れた周波数の実ローカル信号が入力され、当該実ローカル信号と、複素係数SAWフィルタ515から出力される複素RF信号の実数軸成分とをミキサI518によって乗算する。また、半複素ミキサ517は、当該実ローカル信号と、複素RF信号の虚数軸成分とをミキサQ519によって乗算し、複素RF信号を周波数ゼロを中心周波数からオフセット周波数離れた複素IF信号へ変換して出力する。
次にベースバンド生成部56において、LPF521およびLPF522は、複素IF信号に対して周波数ゼロを中心とした所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行い、複素IF信号をAGCアンプ523、524に出力する。AGCアンプ523、524は、複素ベースバンド信号の振幅を、ADコンバータ525および526に入力するのに適切なレベルに調整し、ADコンバータ525および526に出力する。ADコンバータ525および526は入力された信号をデジタル信号に変換し、全複素ミキサ530に出力する。
全複素ミキサ530は、複素信号S43Cの実数軸成分S43CIおよび虚数軸成分S43CQを、Local540から出力される複素ローカル信号の実数軸ローカル信号cosおよび虚数軸ローカル信号sinによって、中心周波数が周波数ゼロとなる複素ベースバンド信号へ周波数変換を行い、変換後の複素ベースバンド信号を切り替えスイッチ545及び546を介してLPF527とLPF528とにそれぞれ出力する。LPF527および528は複素ベースバンド信号の高周波成分の除去を行い複素ベースバンド信号の実数軸成分Iおよび虚数軸成分Qをそれぞれ出力端TOIとTOQへ出力する。
上記のダウンコンバータ42の構成により、少ないスペースにおいてゼロIF方式と準ゼロIF方式を兼ね備えることが可能なダウンコンバータを実現することができ、例えばこれらの両方式を具備する携帯端末などへの適用を図ることが可能となる。
なお、ダウンコンバータ42において、LPF521及び522とADコンバータ525及び526の間発生するIQ信号間の誤差によってもEVMの劣化が生じるが、この誤差は、複素係数SAWフィルタ515と全複素ミキサ530の動作には無関係であり、当該誤差は既存のデジタル信号処理によるIQ信号間の誤差補償の手段を適用することでEVMの劣化を抑えることができる。
(ゼロIF方式及び準ゼロIF方式のアップコンバータの実施形態)
次に、本発明のゼロIF方式及び準ゼロIF方式のアップコンバータの実施形態を図面を参照して説明する。図53は、本実施形態におけるアップコンバータ62を示した図である。ダウンコンバータ62は、上述したゼロIF方式のアップコンバータ61及び準ゼロIF方式のアップコンバータ61の両方の機能を兼ね備えており、ゼロIF方式に対応する周波数を有する実ローカル信号と、準ゼロIF方式に対応する周波数を有する実ローカル信号とを出力できるLocal743を備え、切り替えスイッチ741及び742によってゼロIF方式と準ゼロIF方式とを切り替えることが可能となっている。また、半複素ミキサ706に接続される複素係数フィルタ710の実施形態として複素係数SAWフィルタ715を備えている。なお、図53に示すアップコンバータ62において、図50のアップコンバータ60及び図52のアップコンバータ61と同じ機能を有する構成については同じ符号を付して説明を省略する。
アップコンバータ62は、アップコンバータ60とアップコンバータ61の両方の機能を備えるために以下の構成を備えている。すなわち、入力端TIに接続されるLPF720と入力端TQに接続されるLPF721は、それぞれの出力端において分岐され、一方は、全複素ミキサ730に接続され、他方は切り替えスイッチ741、742の切り替え先端子TSI1及びTSQ1に接続されている。全複素ミキサ730の出力端はそれぞれ切り替えスイッチ741、742の切り替え先端子TSI2とTSQ2に接続されている。
また、アップコンバータ62では、スイッチ制御部750が備えられている。スイッチ制御部750は、ゼロIF方式と準ゼロIF方式を切り替える制御を行う。スイッチ制御部750は、半複素ミキサ706に接続されているLocal743と切り替えスイッチ741及び742の切り替え元端子に接続され、Local743から出力される周波数がゼロIF方式に対応するものとした場合には、切り替えスイッチ741及び742のそれぞれが切り替え先端子TSI1及びTSQ1に接続されるように制御する。
また、Local743から出力される周波数が準ゼロIF方式に対応するものとした場合には、切り替えスイッチ741及び742のそれぞれが切り替え端子TSI2及びTSQ1に接続されるように制御する。
図54は、図53のアップコンバータ62が具備する複素係数SAWフィルタ715に適用されるSAWフィルタの構造を示した図である。当該SAWフィルタの原理は、上記の「課題を解決するための手段」において説明したSAWフィルタと同様であるためここでは説明を省略し、以下にアップコンバータ62において用いられるSAWフィルタの構成及び動作について説明する。
図54に示すSAWフィルタ1710は、圧電基板1711上に2つの伝搬路を有するように4つのIDT1712〜1715が設けられている。実数軸の成分を出力する出力端Iに接続されたIDT1713は、実数部のインパルス応答、すなわち偶対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して偶対称となるように各電極指が設けられる。虚数軸の成分を出力する出力端Qに接続されたIDT1715は、虚数部のインパルス応答、すなわち奇対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して奇対称となるように各電極指が設けられる。IDT1713は、出力端子に接続され、IDT1712の伝搬路上に設けられている。また、IDT1715も出力端子に接続され、IDT1714の伝搬路上に設けられている。この構成により、入力側のIDT1712及び1714から励振される弾性表面波は、それぞれIDT1713及びIDT1715によって受信され、IDT1715及びIDT1713から互いに90°の位相差をもって出力される。IDT1713及び1715は互いに逆相になるように接続されているため、この構成によって実数成分から虚数成分が減算されることになり出力端から実RF信号が出力されることになる。
なお、インパルス応答に対応する重み付けがされたIDT1713及びIDT1715を入力端に接続し、出力端にIDT1712及び1714を設けるようにしても同様に実RF信号を出力することが可能である。
次に、SAWフィルタ1710の動作について説明する。最初に、入力端に複素RF信号が入力されると、IDT1712とIDT1714において、弾性表面波が励振され、SAW信号が伝搬される。IDT1712とIDT1714とから伝搬されるSAW信号は、それぞれの弾性表面波の伝搬方向に設けられたIDT1713とIDT1715によって受信され、それぞれに対応したインパルス応答に基づくたたみ込み積分が行われつつ再び電気信号に変換される。このとき、IDT1713では、複素RF信号の実数成分を出力し、IDT1715では、極性が逆にされた複素RF信号の虚数成分を出力する。そして、出力端からは複素RF信号の実数成分から虚数成分が減算された実RF信号が出力される。 この構成により図39及び図40に示したインパルス応答と複素RF信号とにたたみ込み積分を行うことで、複素RF信号の負の周波数帯域を抑制しつつ、実RF信号を出力することが可能となる。
図55に示すSAWフィルタ1716は、図54では出力端側にインパルス応答の重み付けがされた2つのIDT1713と1715が設けられていたのに対して、入力側にインパルス応答の重み付けがされたIDT1717とIDT1718が接続され、出力側には出力端に接続され、IDT1717と1718の伝搬路に跨るように設けられた1つのIDT1719を備えた構成となっている。このとき、図55の入力側の虚数部に対応するIDT1718の出力の極性を逆にしておくことで、IDT1719において減算処理を実現することが可能である。なお、極性を逆にするのは虚数部のIDT1718に限られず、実数部のIDT1717の極性を逆にするようにしてもよい。この構成により、出力端側のIDTが1つでよくなる。
以下、図53に示したアップコンバータ62の動作について説明する。最初にゼロIF方式として動作する場合について説明する。ゼロIF方式の場合、スイッチ制御部750は、最初にLocal743から出力される信号の周波数出力するRF信号の周波数と同じ値に設定する。そして、切り替えスイッチ741及び742がそれぞれTSI1及びTSQ1に接続されるように制御する。このとき、全複素ミキサ730は停止される。
デジタル信号の入力端TI及びTQから入力されたデジタル信号の実数成分は、LPF720及び721によって高周波成分が除去された後に、DAコンバータ701、702によりアナログ信号に変換され、複素信号が生成される。複素信号はLPF703、704により高周波成分が除去される。
半複素ミキサ706は、Local743から入力されるcosあるいはsinのRF信号周波数と同じ周波数を有する実ローカル信号に基づいて複素信号を周波数変換し、RF信号の周波数を有する複素RF信号を複素係数SAWフィルタ715に出力する。
複素係数SAWフィルタ715は、入力される複素RF信号の負の周波数を抑圧しつつ、複素RF信号の実数軸成分と虚数軸成分を生成し、実数軸成分から虚数軸成分を減算して、実RF信号を取り出す。ここで、複素係数SAWフィルタ715の通過帯域幅は無線システム帯域幅である。
次に、アップコンバータ62が準ゼロIF方式として動作する場合について説明する。準ゼロIF方式の場合、スイッチ制御部750は、最初にLocal743から出力される信号の周波数を入力されるRF信号の周波数からオフセット周波数離れた値に設定する。そして、切り替えスイッチ741及び742がそれぞれTSI2及びTSQ2に接続されるように制御する。
デジタル信号の入力端TI及びTQから入力されたデジタル信号の実数成分は、LPF720及び721によって高周波成分が除去され、全複素ミキサ730に出力される。
全複素ミキサ730は、入力される複素信号をLocal725から出力される複素ローカル信号の実数軸ローカル信号cosおよび虚数軸ローカル信号sinによってオフセット周波数を中心周波数とする周波数変換を行い、複素IF信号をDAコンバータ701および702に出力する。
全複素ミキサ730から出力された複素IF信号は、それぞれDAコンバータ701、702によりアナログ信号に変換され、アナログ信号化された複素IF信号が生成され、LPF703、704に出力される。そして、複素IF信号はLPF703、704により高周波成分が除去され、半複素ミキサ706に出力される。
半複素ミキサ706は、Local742から入力されるcosあるいはsinの実数信号であって、RF信号周波数からオフセット周波数離れた周波数を有する実ローカル信号に基づいて複素IF信号に対して周波数変換を行い、RF信号の周波数を有する複素RF信号を、複素係数SAWフィルタ715に出力する。
複素係数SAWフィルタ715は、入力される複素RF信号の負の周波数を抑圧しつつ、複素RF信号の実数軸成分から虚数軸成分を減算し、実RF信号を取り出す。
上記のアップコンバータ62の構成により、少ないスペースにおいてゼロIF方式と準ゼロIF方式を兼ね備えることが可能なアップコンバータを実現することができ、例えばこれらの両方式を具備する携帯端末などへの適用を図ることができる。
なお、アップコンバータ62において、DAコンバータ701及び702とLPF703及び704との間においてIQ信号間の誤差が発生する。当該誤差は半複素ミキサ706や全複素ミキサ730の動作には無関係であるが、RF信号としてそのまま出力されるおそれがある場合には、既存のデジタル信号処理によるIQ信号間の誤差補償の手段を適用することで改善することができる。
(ダウンコンバータにおける広帯域化、マルチバンド化手段)
低IF方式、ゼロIF方式及び準ゼロIF方式のいずれの方式のダウンコンバータにおいても、入力される実RF信号の周波数帯域が、LNAに接続される初段の複素係数フィルタの周波数帯域を超える場合がある。そのような場合には、ダウンコンバータを広帯域化、あるいはマルチバンド化する必要がある。
ダウンコンバータを広帯域化、あるいはマルチバンド化する手段として、異なる周波数特性を有する複素係数フィルタを複数設けておき、当該複数の複素係数フィルタをスイッチを用いて切り替える手段がある。切り替える箇所としては、受信フロントエンドを全て切り替える手段、LNAと複素係数フィルタのみを切り替える手段、LNAと複素係数フィルタと半複素ミキサを切り替える手段が考えられる。この3つの切り替え手段を、上述したゼロIF方式のダウンコンバータ40を基にそれぞれ適用し、以下に本発明における広帯域化、マルチバンド化したダウンコンバータについて説明する。なお、符号については、ダウンコンバータ40と同じ構成については同じ符号を付し、また、高周波数の帯域を処理する構成については低帯域を処理する構成に対応するように設けられるため、低周波数の帯域の構成の符号に更に「a」を加えた符号を高帯域を処理する構成の符号として付与する。例えば、複素係数フィルタ及び半複素ミキサにおいて、低周波数の帯域を処理するものを、複素係数フィルタ513、半複素ミキサ517とした場合、高周波数の帯域を処理するものに、複素係数フィルタ513a、半複素ミキサ517aのように符号を付与する。
図62は、ダウンコンバータ40に受信フロントエンドを全て切り替える手段を適用した場合の構成であるダウンコンバータ46を示した図である。図62に示すダウンコンバータ46は、LNA511、511aとアンテナに接続される入力端TRFの間に信号を分配するスイッチ560が設けられている。また、AGCアンプ523、524、523a、524aと出力端TI及びTQの間にAGCアンプ523、524、523a、524aからの出力を合成するスイッチ561が設けられている。受信フロントエンドを全て切り替える構成にすると、複素係数フィルタからAGCアンプまでの構成が2倍必要となり、コストが増大し、またサイズも大きくなってしまう。
図63は、ダウンコンバータ40にLNAと複素係数フィルタのみを切り替える手段を適用した場合の構成であるダウンコンバータ47を示した図である。図63に示すダウンコンバータ47は、LNA511、511aとアンテナに接続される入力端TRFの間に信号を分配するスイッチ560が設けられている。また、複素係数フィルタ513、513aと半複素ミキサ517の間に複素係数フィルタ513、513aの出力を合成するスイッチ561が設けられている。LNAと複素係数フィルタのみを切り替える構成にすると、入力端TRFとLNA511、511aの間にスイッチ560が必要となり、また、複素係数フィルタ513、513aと半複素ミキサ517の間にもスイッチ561が必要となり、これによってロスが増大し、感度の低下を招くことになる。さらに、複素係数フィルタ513、513aと半複素ミキサ517の間のスイッチ561のオン抵抗のばらつきや配線の影響によって振幅と位相の誤差が発生し、半複素ミキサ517に入力される信号において負の周波数の抑圧特性が劣化してしまう。
そこで、本発明では、ダウンコンバータ46や47で発生する問題を解消しつつ、広帯域化、マルチバンド化が図れるダウンコンバータの実施形態として図60に示すダウンコンバータ45を採用することとした。図60に示すダウンコンバータ45は、ダウンコンバータ40にLNAと複素係数フィルタと半複素ミキサを切り替える構成が適用されたものである。ダウンコンバータ45では、LNA511、511aとアンテナに接続される入力端TRFの間に信号を分配するスイッチ560が設けられている。また、半複素ミキサ517、517aとLPF521、522の間に半複素ミキサ517、517aの出力を合成するスイッチ561が設けられている。半複素ミキサ517、517aに接続される局部発振器であるLocal501、501aは、それぞれ複素係数フィルタ513、513aの通過周波数帯域に対応する周波数の実ローカル信号を出力する。
ダウンコンバータ45の動作について説明すると、最初にTRFから実RF信号が入力されると、スイッチ560はLNA511とLNA511aに実RF信号を分波する。ここで、選択されている側が低周波数の帯域の場合には、複素係数フィルタ513によって、負の周波数が抑圧されつつ実RF信号が複素RF信号に変換される。半複素ミキサ517は、Local501から入力される実ローカル信号に基づいて周波数変換を行い複素ベースバンド信号を生成し、スイッチ561に出力する。スイッチ561によって複素ベースバンド信号がLPF521、522に出力された後の処理はダウンコンバータ40と同様の処理により出力端TI及びTQに出力される。
なお、半複素ミキサ517と517aに接続される局部発振器を1台とし、局部発振器と半複素ミキサ517と517aの間に分配器あるいはスイッチを設けて、ローカル信号を切り替えて入力するようにしてもよい。
また、スイッチ560とスイッチ561をそれぞれ切り替えを伴わない分配器、合成器としてもよい。
また、上記の実施形態において、使用しない側の半複素ミキサには電源を供給しないようにしてもよいが、高速な切り替えが要求される場合には、両方に電源を供給するようにすることが好ましい。
また、上記の実施形態では、ゼロIF方式のダウンコンバータのみについて述べたが、本実施形態はこれに限られるものではなく、低IF方式や準ゼロIF方式のダウンコンバータにおいても適用することが可能である。
また、ダウンコンバータ45において、マルチバンド化する場合にはLNA511及び511aを切り返す必要があるが、広帯域化の場合にはLNAは共通とし、TRFにLNAを接続し、LNAにスイッチ560を接続する構成となる。
また、低IF方式ではIF段において複素係数フィルタを適用することができるが、その場合、スイッチ561をIF段の複素係数フィルタの後に接続することでIF段でのイメージ周波数妨害の発生を抑圧することができる。
上記の構成により、図63に示すダウンコンバータ47で問題となった複素係数フィルタと半複素ミキサの間におけるロスは低減される。また、スイッチのオン抵抗のばらつきや配線の影響による振幅と位相の誤差が発生しないため、半複素ミキサに入力される信号における負の周波数の抑圧特性の劣化を防ぐことができ、ダウンコンバータ全体での性能劣化をほどんと無くすことができる。また、ダウンコンバータ46に比べてコストを低く抑えることができ、またサイズも小さくすることができる。
(アップコンバータにおける広帯域化、マルチバンド化手段)
次に、ダウンコンバータと同様にアップコンバータについても広帯域化、マルチバンド化する手段について説明する。最初に、アップコンバータにおける切り替える箇所としては、送信フロントエンドを全て切り替える手段、複素係数フィルタのみを切り替える手段、半複素ミキサと複素係数フィルタを切り替える手段が考えられる。この3つの切り替え手段を、上述した準ゼロIF方式のアップコンバータ61を基にそれぞれ適用し、以下に本発明における広帯域化、マルチバンド化したアップコンバータについて説明する。なお、符号については、アップコンバータ61と同じ構成については同じ符号を付し、また、高周波数の帯域を処理する構成については低帯域を処理する構成に対応するように設けられるため、低周波数の帯域の構成の符号に更に「a」を加えた符号を高帯域を処理する構成の符号として付与する。すなわち、半複素ミキサ及び複素係数フィルタにおいて、低周波数の帯域を処理するものを、半複素ミキサ706、複素係数フィルタ714とした場合、高周波数の帯域を処理するものに、半複素ミキサ706a、複素係数フィルタ714aのように符号を付与する。
図64は、アップコンバータ61に送信フロントエンドを全て切り替える手段を適用した場合の構成であるアップコンバータ66を示した図である。図64に示すアップコンバータ66は、全複素ミキサ730の出力が低周波数帯域を処理する回路と高周波数帯域を処理する回路に分岐される。また、複素係数フィルタ714、714aと出力端TRFとの間に複素係数フィルタ714、714aの出力を合成するスイッチ761が設けられている。図64に示す通り、送信フロントエンドを全て切り替える構成にすると、DAコンバータから複素係数フィルタまでの構成が2倍必要となり、コストが増大し、またサイズも大きくなってしまう。
図65は、アップコンバータ61に複素係数フィルタのみを切り替える手段を適用した場合の構成であるアップコンバータ67を示した図である。図65に示すアップコンバータ67は、半複素ミキサ706と複素係数フィルタ714、714aの間に信号を分配するスイッチ760が設けられている。また、複素係数フィルタ714、714aと出力端TRFの間に複素係数フィルタ714、714aの出力を合成するスイッチ761が設けられている。複素係数フィルタのみを切り替える構成にすると、半複素ミキサ706と複素係数フィルタ714、714aの間にスイッチ760が必要となり、また、複素係数フィルタ714、714aと出力端TRFの間にもスイッチ761が必要となり、これによってロスが増大し、感度の低下を招くことになる。さらに、半複素ミキサ706と複素係数フィルタ714、714aの間のスイッチ760のオン抵抗のばらつきや配線の影響によって振幅と位相の誤差が発生し、複素係数フィルタ714において負の周波数の抑圧特性が劣化してしまう。
そこで、本発明では、アップコンバータ66や67で発生する問題を解消しつつ、広帯域化、マルチバンド化が図れるダウンコンバータの実施形態として図61に示すアップコンバータ65を採用することとした。図61に示すアップコンバータ65は、アップコンバータ61に半複素ミキサと複素係数フィルタを切り替える構成が適用されたものである。アップコンバータ61では、LPF703、704と半複素ミキサ706、706aの間に信号を分配するスイッチ760が設けられている。また、複素係数フィルタ714、714aと出力端TRFの間に複素係数フィルタ714、714aの出力を合成するスイッチ761が設けられている。半複素ミキサ706、706aに接続される局部発振器であるLocal742、742aは、それぞれ複素係数フィルタ714、714aの通過周波数帯域に対応する周波数の実ローカル信号を出力する。
アップコンバータ65の動作について説明すると、最初に、デジタル信号の入力端TI及びTQから入力されたデジタル信号の実数成分は、LPF720及び721によって高周波成分が除去され、全複素ミキサ730に出力される。
全複素ミキサ730は、入力される複素信号をLocal725から出力される複素ローカル信号の実数軸ローカル信号cosおよび虚数軸ローカル信号sinによってオフセット周波数を中心周波数とする周波数変換を行い、複素IF信号をDAコンバータ701および702に出力する。
全複素ミキサ730から出力された複素IF信号は、それぞれDAコンバータ701、702によりアナログ信号に変換され、アナログ信号化された複素IF信号が生成され、LPF703、704に出力される。そして、複素IF信号はLPF703、704により高周波成分が除去され、スイッチ760に出力される。このとき、低周波数側が選択されているとすると、半複素ミキサ706は、スイッチ760から出力される複素IF信号をLocal742から入力される実ローカル信号に基づいて周波数変換を行い複素RF信号を生成し、複素係数フィルタ714に出力する。複素係数フィルタ714は、負の周波数成分を抑圧しつつ複素RF信号を実RF信号へ変換し、スイッチ761に出力する。スイッチ761は、実RF信号を出力端TRFに出力する。
なお、半複素ミキサ706と706aに接続される局部発振器を1台とし、局部発振器と半複素ミキサ706と706aの間に分配器あるいはスイッチを設けて、ローカル信号を切り替えて入力するようにしてもよい。
また、スイッチ760とスイッチ761をそれぞれ切り替えを伴わない分配器、合成器としてもよい。
また、上記の実施形態において、使用しない側の半複素ミキサには電源を供給しないようにしてもよいが、高速な切り替えが要求される場合には、両方に電源を供給するようにすることが好ましい。
また、上記の実施形態では、準ゼロIF方式のアップコンバータのみについて述べたが、本実施形態はこれに限られるものではなく、低IF方式やゼロIF方式のアップコンバータにおいても適用することが可能である。
また、低IF方式の場合に、IF段において複素係数フィルタを適用することができるが、その場合、スイッチ760の前に複素係数フィルタを挿入すると回路の増大は無いが、スイッチ760においてイメージ抑圧特性の劣化が発生する可能性がある。そのため、IF段の複素係数フィルタはスイッチ760の後に接続することが望ましい。
また、上述した複素係数トランスバーサルフィルタに用いられる偶対称インパルス応答あるいは奇対称インパルス応答は、複素係数トランスバーサルフィルタにフラットな群遅延特性が要求される場合には、厳密に偶対称あるいは奇対称である必要があるが、群遅延特性が厳密にフラットであることを要求されない場合には、偶関数あるいは奇関数に基づいて生成される際に対称性が若干失われ、ほぼ偶対称あるいはほぼ奇対称であるようなインパルス応答であってもよい。
上記の構成により、アップコンバータ66で問題となった半複素ミキサと複素係数フィルタの間におけるロスは低減される。また、スイッチのオン抵抗のばらつきや配線の影響による振幅と位相の誤差が発生しないため、複素係数フィルタにおける負の周波数の抑圧特性の劣化を防ぐことができ、アップコンバータ全体での性能劣化をほとんど無くすことができる。また、アップコンバータ67に比べてコストを低く抑えることができ、またサイズも小さくすることができる。
本発明における低IF方式のダウンコンバータの第1の基本構成を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータに用いられる複素係数トランスバーサルフィルタの出力スペクトルとフィルタ特性を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータに用いられる半複素ミキサの出力スペクトルを示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータに用いられる複素係数トランスバーサルフィルタの実数部のインパルス応答を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータに用いられる複素係数トランスバーサルフィルタの虚数部のインパルス応答を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータに用いられる複素係数SAWフィルタの構造(その1)を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータに用いられる複素係数SAWフィルタの構造(その2)を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータの第2の基本構成を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータのIF段に用いられる複素係数トランスバーサルフィルタを示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータのIF段に用いられる複素係数トランスバーサルフィルタの出力スペクトルとフィルタ特性を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータのIF段に用いられる複素係数トランスバーサルフィルタの実数部のインパルス応答を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータのIF段に用いられる複素係数トランスバーサルフィルタの虚数部のインパルス応答を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータの第3の基本構成を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータのIF段に用いられる複素係数SAWフィルタの構造を示した図である。 本発明における第1の基本構成例の低IF方式のダウンコンバータにおいて中間周波数を25MHzとした場合の半複素ミキサの出力スペクトルを示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータの第1実施形態を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータの第2実施形態を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータの第3実施形態を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータの第3実施形態に用いられるSAWフィルタの構造を示した図である。 本発明における低IF方式のダウンコンバータの第4実施形態を示した図である。 従来の低IF方式のダウンコンバータの構成を示した図である。 従来の低IF方式のダウンコンバータの半複素ミキサの出力スペクトルを示した図である。 本発明における低IF方式のアップコンバータの基本構成を示した図である。 本発明における低IF方式のアップコンバータの半複素ミキサの出力スペクトルと複素係数トランスバーサルフィルタの周波数特性を示した図である。 本発明における低IF方式のアップコンバータの複素係数トランスバーサルフィルタの出力スペクトルを示した図である。 本発明における低IF方式のアップコンバータに用いられる複素係数トランスバーサルフィルタの実数部のインパルス応答を示した図である。 本発明における低IF方式のアップコンバータに用いられる複素係数トランスバーサルフィルタの虚数部のインパルス応答を示した図である。 本発明における低IF方式のアップコンバータの第1実施形態を示した図である。 本発明における低IF方式のアップコンバータの第1実施形態に用いられるSAWフィルタ(その1)の構造を示した図である。 本発明における低IF方式のアップコンバータの第1実施形態に用いられるSAWフィルタ(その2)の構造を示した図である。 本発明における低IF方式のアップコンバータの第2実施形態を示した図である。 従来の低IF方式のアップコンバータの構成を示した図である。 従来の低IF方式のアップコンバータ及び本発明における低IF方式のアップコンバータに入力される複素IF信号のスペクトルを示した図である。 従来の低IF方式のアップコンバータの半複素ミキサの出力スペクトルを示した図である。 本発明におけるゼロIF方式のダウンコンバータの基本構成を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式のダウンコンバータのミキシングの処理を示した図である。 本発明における準ゼロIF方式のダウンコンバータの基本構成を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式及び準ゼロIF方式のダウンコンバータに用いられる複素係数フィルタの周波数特性を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式及び準ゼロIF方式のダウンコンバータに用いられる複素係数フィルタの実数部のインパルス応答を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式及び準ゼロIF方式のダウンコンバータに用いられる複素係数フィルタの虚数部のインパルス応答を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式及び準ゼロIF方式のダウンコンバータの実施形態を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式及び準ゼロIF方式のダウンコンバータの実施形態の複素係数SAWフィルタに適用されるSAWフィルタ(その1)の構造を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式及び準ゼロIF方式のダウンコンバータの実施形態の複素係数SAWフィルタに適用されるSAWフィルタ(その2)の構造を示した図である。 従来のゼロIF方式のダウンコンバータの構成を示した図である。 従来のゼロIF方式のダウンコンバータにおけるミキシングの処理を示した図である。 従来のイメージ抑圧型のダウンコンバータの構成を示した図である。 従来のイメージ抑圧型のダウンコンバータにおけるミキシングの処理を示した図(その1)である。 従来のイメージ抑圧型のダウンコンバータにおけるミキシングの処理を示した図(その2)である。 従来のイメージ抑圧型のダウンコンバータにおけるミキシングの処理を示した図(その3)である。 本発明におけるゼロIF方式のアップコンバータの基本構成を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式のアップコンバータのミキシングの処理を示した図である。 本発明における準ゼロIF方式のアップコンバータの基本構成を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式及び準ゼロIF方式のアップコンバータの実施形態を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式及び準ゼロIF方式のアップコンバータの実施形態の複素係数SAWフィルタに適用されるSAWフィルタ(その1)の構造を示した図である。 本発明におけるゼロIF方式及び準ゼロIF方式のアップコンバータの実施形態の複素係数SAWフィルタに適用されるSAWフィルタ(その2)の構造を示した図である。 従来のゼロIF方式のアップコンバータの構成を示した図である。 従来のゼロIF方式のアップコンバータにおけるミキシングの処理を示した図である。 従来の複素係数フィルタを備えたゼロIF方式のアップコンバータの構成を示した図である。 従来の複素係数フィルタを備えたゼロIF方式のアップコンバータのミキシングの処理を示した図である。 本発明における切り替え構成を有するダウンコンバータの一実施形態を示した図である。 本発明における切り替え構成を有するアップコンバータの一実施形態を示した図である。 ダウンコンバータの切り替え構成の一例を示した図(その1)である。 ダウンコンバータの切り替え構成の一例を示した図(その2)である。 アップコンバータの切り替え構成の一例を示した図(その1)である。 アップコンバータの切り替え構成の一例を示した図(その2)である。
符号の説明
1 ダウンコンバータ
115 複素係数トランスバーサルフィルタ
118 半複素ミキサ
181 局部発振器

Claims (14)

  1. RF信号を低周波数へ周波数変換するダウンコンバータであって、
    入力されるRF信号に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の実数部を生成し、前記入力されるRF信号に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の虚数部を生成し、正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して複素RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタと、
    所定の周波数を有する実ローカル信号を出力する局部発振器と、
    前記複素係数トランスバーサルフィルタ及び前記局部発振器に接続され、前記複素係数トランスバーサルフィルタから出力される前記複素RF信号及び前記局部発振器から出力される前記実ローカル信号を乗算して周波数変換し、前記RF信号の周波数より前記所定の周波数離れた周波数の複素信号を出力する複素ミキサと、
    を備えたことを特徴とするダウンコンバータ。
  2. 前記複素係数トランスバーサルフィルタは、SAWフィルタによって構成されることを特徴とする請求項1に記載のダウンコンバータ。
  3. 前記所定の周波数は、前記RF信号のチャネル信号帯域外の周波数値であることを特徴とする請求項1または2に記載のダウンコンバータ。
  4. 前記複素ミキサに接続され、前記複素ミキサから出力される前記複素信号の正の周波数あるいは負の周波数を抑圧して出力する第2の複素係数トランスバーサルフィルタを更に備えたことを特徴とする請求項3に記載のダウンコンバータ。
  5. 前記第2の複素係数トランスバーサルフィルタは、SAWフィルタによって構成されることを特徴とする請求項4に記載のダウンコンバータ。
  6. 前記複素ミキサから出力される前記複素信号が入力され、当該複素信号の虚数軸側信号の符号を反転させ、前記複素信号の複素共役となる複素共役信号を生成する手段と、
    前記複素共役信号のレベルを調整する手段と、
    前記複素ミキサから出力される前記複素信号と、レベルが調整された前記複素共役信号を合成する手段と、
    を更に備えたことを特徴とする請求項4から5のいずれか1つに記載のダウンコンバータ。
  7. 前記RF信号周波数より前記所定の周波数離れた周波数を、前記複素係数トランスバーサルフィルタの通過帯域端の周波数と前記RF信号周波数との差の半分の値を超える周波数とすることを特徴とする請求項4から6のいずれか1つに記載のダウンコンバータ。
  8. RF信号を低周波数へ周波数変換するダウンコンバータであって、
    複数の出力端を備え入力されるRF信号を切り替えて出力する分配器と、
    前記分配器の出力端に一対一に対応して接続される複数のトランスバーサルフィルタであって、それぞれ異なる通過帯域周波数を有し、前記分配器から出力されるRF信号に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の実数部を出力し、前記分配器から出力されるRF信号に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素RF信号の虚数部を出力することで正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を前記通過帯域周波数で抑圧して複素RF信号を出力する複数の複素係数トランスバーサルフィルタと、
    前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタの通過帯域周波数に応じた周波数の実ローカル信号を切り替えて出力する局部発振器と、
    前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタのそれぞれに一対一で接続される複数の複素ミキサであって、前記局部発振器に接続され、前記複素係数トランスバーサルフィルタから出力される前記複素信号と、前記局部発振器から出力される前記実ローカル信号とを乗算して周波数変換し、前記RF信号の周波数より前記所定の周波数離れた周波数の複素信号を出力する複数の複素ミキサと、
    前記複数の複素ミキサに接続され、前記複数の複素ミキサの接続を切り替えて前記複数の複素ミキサから出力される前記複素信号を出力する合成器と、
    を備えたことを特徴とするダウンコンバータ。
  9. 複素信号をRF信号の周波数へ周波数変換するアップコンバータであって、
    所定の周波数を有する実ローカル信号を出力する局部発振器と、
    前記局部発振器に接続され、入力される前記複素信号と、前記局部発振器から出力される実ローカル信号とを乗算して周波数変換して複素RF信号を出力する複素ミキサと、
    前記複素ミキサに接続され、前記複素ミキサから出力される前記複素RF信号の実数部に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い、前記複素RF信号の虚数部に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行うことで正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して実数RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタと、
    を備えたことを特徴とするアップコンバータ。
  10. 前記複素係数トランスバーサルフィルタは、SAWフィルタによって構成されることを特徴とする請求項9に記載のアップコンバータ。
  11. 前記複素信号は、前記RF信号周波数の値と前記所定の周波数の値との差の周波数を有し、かつ前記RF信号周波数に前記差の値を加えた値が前記RF信号のチャネル信号帯域外であることを特徴とする請求項9または10に記載のアップコンバータ。
  12. 前記複素ミキサの入力側に接続され、入力される複素信号の実数部に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素信号の実数部を生成し、前記入力される複素信号の虚数部に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い複素信号の虚数部を生成し、正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して複素信号を前記複素ミキサに出力する第2の複素係数トランスバーサルフィルタを更に備えたことを特徴とする請求項11に記載のアップコンバータ。
  13. 前記第2の複素係数トランスバーサルフィルタは、SAWフィルタによって構成されることを特徴とする請求項11または12に記載のアップコンバータ。
  14. 複素信号をRF信号の周波数に周波数変換するアップコンバータであって、
    複数の出力端を備え入力される前記複素信号を切り替えて出力する分配器と、
    前記分配器の出力端に一対一に対応して設けられ、それぞれ異なる通過帯域周波数を有し、入力される前記複素RF信号の実数部に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行い、前記複素RF信号の虚数部に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答によりたたみ込み積分を行うことで正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を前記通過帯域周波数で抑圧して実数RF信号を出力する複数の複素係数トランスバーサルフィルタと、
    前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタの通過帯域周波数に応じた周波数の実ローカル信号を切り替えて出力する局部発振器と、
    前記分配器の出力端と前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタのそれぞれの入力とに一対一で接続される複数の複素ミキサであって、前記局部発振器に接続され、前記分配器から出力される前記複素信号と、前記局部発振器から出力される前記実ローカル信号とを乗算して周波数変換し、複素RF信号を対応する前記複素係数トランスバーサルフィルタに出力する複数の複素ミキサと、
    前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタに接続され、前記複数の複素係数トランスバーサルフィルタから出力される前記実RF信号を切り替えて出力する合成器と、
    を備えたことを特徴とするアップコンバータ。

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