JP2006291186A - セルロースアシレートフィルム及びその製造方法、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム及びその製造方法、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Tei Daimatsu
禎 大松
Nobutaka Fukagawa
伸隆 深川
Hiroshi Nozoe
寛 野副
Takeichi Tatsuta
岳一 龍田
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Abstract

【課題】光学的異方性が小さく実質的に光学的等方性であり、光学特性が均質でムラが無く、好ましくは光学的異方性の波長分散が小さく、液晶表示装置等の画像表示装置に好適な高分子フィルムを提供すること。
【解決手段】フィルムの幅方向、長手方向のうち少なくともいずれか一方の引張弾性率が450kgf/mm(4510MPa)以上であり、かつフィルムのレターデションが下記式(1)0nm≦Re(λ)≦10nmおよび(2)−25nm≦Rth(λ)≦25nmを満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム(Re(λ)、Rth(λ)は、それぞれ波長λnmにおける正面および膜厚方向のレターデーションRth、λは400nm〜700nm)。
【選択図】なし

Description

本発明は液晶表示装置に有用なセルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムを用いた光学補償フィルム、これらの製造方法、偏光板等の光学材料および液晶表示装置に関する。
従来、セルロースアシレートフィルムはその強靭性と難燃性から写真用支持体や各種光学材料に用いられてきた。特に、近年は液晶表示装置用の光学透明フィルムとして多く用いられている。セルロースアシレートフィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置のための光学材料として優れており、これまで偏光膜の保護フィルムや、斜め方向からの見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられてきた。
液晶表示装置に用いられる偏光板は、偏光膜の少なくとも片側に偏光膜の保護フィルムが貼合されたものである。一般的な偏光膜は、延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素または二色性色素で染色することにより得られる。この偏光膜の保護フィルムは、光学的等方性に優れることが重要であり、偏光膜の保護フィルムの光学特性が偏光板の特性を大きく左右する。そのため、多くの場合、偏光膜の保護フィルムとしてはPVAに対して直接貼り合わせることができる、セルロースアシレートフィルム、なかでもトリアセチルセルロースフィルムが用いられている。
偏光膜に保護フィルムを貼り合わせる前には、偏光膜との接着性を良化させる目的で、保護フィルムの貼り合せ面に対し親水化処理等の表面処理を行うことがある。親水化処理としては、一般的にアルカリケン化処理が用いられることが多く、その他の方法としては、プラズマ処理、コロナ処理等による方法も提案されている。
一方、最近の液晶表示装置においては、視野角特性の改善がより強く要求されるようになっており、偏光膜の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、より光学的に等方性であることが求められている。光学的に等方性であるとは、すなわち光学フィルムの複屈折率と厚みとの積で表されるレターデーション値が小さいことである。とりわけ、斜め方向からの表示良化のためには、正面レターデーション(Re)だけでなく、膜厚方向のレターデーション(Rth)を小さくする必要がある。具体的には光学透明フィルムの光学特性を評価した際に、フィルム正面から測定したReが小さく、角度を変えて測定してもそのレターデーションが変化しないことが要求される。
また、液晶表示装置の使用環境がより多様化し、それによって視野角特性等の表示品質の環境依存性が小さいこと、さらに耐久性が良好であることへの要求がより高まっている。その結果、偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などに使用される光学透明フィルムが、使用環境によらず光学的に等方的であり、また偏光板用の保護フィルムとして用いられた場合にも偏光板の性能を耐久性良く維持できることが求められている。
従来、ReおよびRthを小さくしたセルロースアシレートフィルムとしては、例えば特許文献1及び特許文献2に、光学的等方性に優れたセルロースエステルが提案されている。しかし、これらに提案されたフィルムでは弾性率が低く、その結果、温湿度等の環境変化による光学性能の変化が大きく、また偏光板の保護フィルムとして使用した場合の耐久性が不足してしまうことが問題であった。これらの解決法として、より弾性率が高く、しかも光学的に等方的な光学フィルムが要求されている。
セルロースアシレートフィルムの製造方法として、溶解する溶剤系やドープを流延する支持体の温度条件等を適宜選択し、ゲル化を促進させてフィルムの生産性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。これらの技術により作製されたセルロースアシレートフィルムは、高い弾性率を示すが、その一方でフィルムの結晶化度が高いため、レタデーションが大きくなってしまい、結果的にこれらのフィルムを使用した画像表示パネルでは耐久性と視野角特性とを両立することができなかった。
特開2002−249599号公報 特開2001−247717号公報 特開昭62−115035号公報
本発明の目的は、光学的異方性が小さく実質的に光学的に等方性であり、更にフィルムの弾性率が高いセルロースアシレートフィルム、およびその製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、前記セルロースアシレートフィルムを用いた、視野角特性に優れ、更に耐久性や環境依存性に優れる光学補償フィルムや偏光板、前記偏光板を用いた液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは鋭意検討の結果、特定の溶剤組成と特定の化合物を含有するセルロースアシレート溶液を用いて流延し、更に流延工程の剥離後のドープ膜中の残留溶剤含率とドープ膜の乾燥工程における乾燥温度との関係が規定の範囲内になるように乾燥することにより、フィルムの結晶化を抑制し、高い弾性率と光学的等方性を両立したセルロースアシレートフィルムを提供でき、前期課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)フィルムの幅方向、長手方向のうち少なくともいずれか一方の引張弾性率が450kgf/mm(4410MPa)以上であり、かつフィルムのレターデションが下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(1) 0nm≦Re(λ)≦10nm
式(2) −25nm≦Rth(λ)≦25nm
ここで、Re(λ)、Rth(λ)は、それぞれ波長λnmで測定したフィルムの正面レターデションRe、および膜厚方向のレターデーションRthを表し、λは400nm〜700nmである。
(2)フィルムの幅方向と長手方向の引張弾性率の比が下記式(3)を満たすことを特徴とする上記(1)記載のセルロースアシレートフィルム。
式(3) 長手方向の引張弾性率/幅方向の引張弾性率 ≧ 1.1
(3)前記セルロースアシレートフィルムの正面レターデーションRe(λ)および膜厚方向のレターデーションRth(λ)(λは波長(nm)を示す)が、更に下記式(4)を満たすことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のセルロースアシレートフィルム。
式(4)(Re)−(Re)≦10nm
(Rth)−(Rth)≦30nm
(ここで、(Re)は25℃、10%RHの条件下でのRe(630)、(Re)は25℃、80%RHの条件下でのRe(630)、(Rth)は25℃、10%RHの条件下でのRth(630)、(Rth)は25℃、80%RHの条件下でのRth(630)を示す。)
(4)透湿度が1800g/m・day以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(5)アシレート置換度が2.50以上3.00以下であるセルロースアシレートを含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(6)少なくとも2種類のアルコール系溶剤と、少なくとも1種類の分子量が3000以下であってかつlogP値が0〜10である化合物とを含有するセルロースエステル溶液を支持体上に流延して支持体表面にセルロースエステル膜を形成する流延工程と、セルロースエステル膜を支持体表面より剥離する剥離工程と、剥離したセルロースエステル膜中の残留溶剤含率R(%)と剥離後の乾燥工程の乾燥風温度T(℃)との関係が、Rが60%以上の範囲では下記式(5)を満たす乾燥条件で乾燥する乾燥工程とを含む製造方法によって得られたことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
式(5) 5000≦T×R≦10000
(7)前記分子量が3000以下であってかつlogP値が0〜10である化合物が、下記一般式(1)〜一般式(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする上記(6)に記載のセルロースアシレートフィルム。
Figure 2006291186
[一般式(1)中、R1はアリール基を表す。RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、少なくとも一方はアリール基である。また、アルキル基およびアリール基はそれぞれ置換基を有していてもよい。]
Figure 2006291186
[一般式(2)中、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にアルキル基を表す。また、アルキル基はそれぞれ置換基を有していてもよい。]
一般式(3)
Figure 2006291186
[一般式(3)中、R、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。X、X、XおよびXは、それぞれ、単結合、−CO−および−NR−(Rは置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。a、b、cおよびdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。Qは(a+b+c+d)価の有機基を表す。]
一般式(4)
Figure 2006291186
[一般式(4)中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R1、R2およびR3の炭素原子数の総和は10以上である。]
一般式(5)
Figure 2006291186
[一般式(5)中、R4およびR5は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。R4およびR5の炭素原子数の総和は10以上である。]
Figure 2006291186
[一般式(6)中、R1は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、R2は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。L1は、2価〜6価の連結基を表し、nはL1の価数に応じた2〜6の整数を表す。]
一般式(7)
Figure 2006291186

[一般式(7)中、Rは水素原子、脂肪族アシル基または芳香族アシル基を表す。R、RおよびRはそれぞれ水素原子、脂肪族基または芳香族基を表す。]
(8)少なくとも2種類のアルコール系溶剤と、少なくとも1種類の分子量が3000以下であってかつlogP値が0〜10である化合物とを含有するセルロースエステル溶液を支持体上に流延して支持体表面にセルロースエステル膜を形成する流延工程と、セルロースエステル膜を支持体表面より剥離する剥離工程と、剥離したセルロースエステル膜中の残留溶剤含率R(%)と剥離後の乾燥工程の乾燥風温度T(℃)との関係が、Rが60%以上の範囲では下記式(5)を満たす乾燥条件で乾燥する乾燥工程とを含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
式(5) 5000≦T×R≦10000
(9)上記1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムに、正面レターデーションRe(λ)および膜厚方向のレターデーションRth(λ)(λは波長(nm)を示す)が下記式を満たす光学異方性層を積層したことを特徴とする光学補償フィルム。
0≦Re(630)≦200nm、かつ0≦|Rth(630)|≦400nm
(10)前記光学異方性層がポリマーフィルムを含有することを特徴とする上記(9)に記載の光学補償フィルム。
(11)固体ポリマーを溶媒に溶解させて液状化し、これを上記1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム上に展開して乾燥させた後、伸張処理および/または収縮処理を施して面内で分子を配向させたことを特徴とする上記(10)に記載の光学補償フィルム。
(12)ポリマーフィルムにおけるポリマーが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドから選択された少なくとも1種であることを特徴とする上記(10)または(11)に記載の光学補償フィルム。
(13)上記1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは上記(10)〜(12)のいずれかに記載の光学補償フィルムの少なくとも1枚を偏光子の保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板。
(14)上記1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、上記9〜12のいずれかに記載の光学補償フィルム又は上記13に記載の偏光板、のいずれかを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
(15)上記1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、上記9〜12のいずれかに記載の光学補償フィルム又は上記13に記載の偏光板、のいずれかを用いたことを特徴とするVAまたはIPSモードの液晶表示装置。
本発明によれば、光学的異方性が小さく実質的に光学的等方性であり、また弾性率が高く、液晶表示装置等の画像表示装置に好適なセルロースフィルムと、その製造方法を提供することができる。
また本発明によれば、このセルロースアシレートフィルムを用いた光学補償フィルムおよびその製造方法、視野角特性や耐久性に優れた偏光板、前記偏光板を用いた液晶表示装置を提供することができる。
以下に本発明のセルロースアシレートフィルムの詳細を説明する。
[セルロースアシレートフィルムの材質]
本発明のセルロースアシレートフィルムを形成する材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきたトリアセチルセルロースに代表されるセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を好ましく用いることが出来る。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載されているが、本発明は、該記載に制限されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
次に上述のセルロースを原料に製造される本発明のセルロースアシレートについて記載する。本発明のセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でも芳香族基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどの各基を挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどの各基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましい。
本発明者が鋭意検討した結果、上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基、プロピオニル基及びブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できることがわかった。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらにのぞましくは2.65〜3.00である。また、セルロースの水酸基に置換するアシル置換基がアセチル基のみからなる場合には、フィルムの光学異方性を低下できることに加え、更に添加剤との相溶性、使用する有機溶剤への溶解性の観点で置換度が2.80〜2.99であることが好ましく、2.85〜2.95であることがより好ましい。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明のセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下である。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%の含水率が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。本発明のこれらのセルロースアシレートの合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明に用いるセルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートフィルムの光学異方性を制御する添加剤]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルムの光学的異方性を十分に低下させ、ReおよびRthがゼロに近くなるようにするため、分子量が3000以下であって、logP値が0〜10の範囲内である化合物を含有する。これらの化合物は、セルロースアシレートと十分に相溶することにより、結果的にセルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させることができる。
[本発明の光学異方性を制御する化合物の効果]
これらの化合物を使用することにより、本発明の要件である前記した式(1)及び式(2);
式(1)0≦Re(λ) ≦10及び式(2)−25≦Rth(λ)≦25
(λは400nm以上700nm以下)、
を満たすことができる。また、後述する本発明の製造方法において、フィルムの高い弾性率と前記低い光学異方性を両立することができる。
Q:式(I)を式(1)、式(2)と分割変更して請求項1の表記に合わせました。
好ましくは、波長λが400nm以上700nm以下の領域において0≦Re(λ)≦5かつ−20≦Rth(λ)≦20であり、さらに好ましくは0≦Re(λ)≦2かつ−15≦Rth(λ)≦15である。
なお式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)である。
(logP値)
本発明のセルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜10である化合物が好ましい。logP値が10を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27巻,21頁(1987))、Viswanadhan's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29巻,163頁(1989))、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19巻,71頁(1984))などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27巻,21頁(1987))がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。なお本明細書に記載のlogPの値は、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27巻,21頁(1987))により求めたものである。
(分子量)
また、光学的異方性を制御する化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることがより好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
以下に本発明で好ましく用いられる分子量が3000以下であってlogP値が0〜10の範囲内の化合物の具体例として、下記一般式(1)〜(7)のいずれかで表される化合物が挙げられるが、本発明はこれら化合物に限定されない。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムでは、耐久性や製造および加工の工程適正を向上させる目的で、使用する添加剤に解離性基が無い方が好ましく、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物がより好ましく、一般式(2)又は(3)で表される化合物が更に好ましい。
まず、本発明一般式(1)で表される化合物に関して詳細に説明する。
上記一般式(1)において、Rはアリール基を表す。RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、少なくとも一方はアリール基である。Rがアリール基であるときRはアルキル基またはアリール基であるが、アルキル基であることがより好ましい。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1乃至20のものが好ましく、1乃至15のものがさらに好ましく、1乃至12のものが最も好ましい。アリール基は炭素原子数が6乃至36のものが好ましく、6乃至24のものがより好ましい。
次に、本発明の一般式(2)で表される化合物に関して詳細に説明する。
上記一般式(2)において、R、R5およびRはそれぞれ独立にアルキル基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。Rは環状のアルキル基であることが好ましく、R5およびRの少なくとも一方が環状のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基は炭素原子数が1乃至20のものが好ましく、1乃至15のものがさらに好ましく、1乃至12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。
上記一般式(1)及び(2)におけるアルキル基およびアリール基は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
また、本発明の一般式(1)および(2)で表される化合物の添加量は、セルロース体100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、2乃至30質量部であることがより好ましく、2乃至25質量部であることがさらに好ましく、2乃至20質量部であることが最も好ましい。
次に、一般式(1)または一般式(2)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
なお、(A− )と付してある化合物が一般式(1)で表される化合物の具体例であり、(B− )と付してある化合物が一般式(2)で表される化合物の具体例である。
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
上述の化合物はいずれも既知の方法により製造することができる。すなわち、一般式(1)および一般式(2)の化合物は、縮合剤(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など)を用いたカルボン酸類とアミン類との脱水縮合反応、あるいはカルボン酸クロリド誘導体とアミン誘導体との置換反応などにより得ることができる。
次に、下記一般式(3)で表される化合物について、説明する。
一般式(3)
Figure 2006291186
[一般式(3)中、R、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。X、X、XおよびXは、それぞれ、単結合、−CO−および−NR−(Rは置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。a、b、cおよびdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。Qは(a+b+c+d)価の有機基を表す。)
前記(3)で表される化合物は、更に下記一般式(8)で表される化合物であることが
好ましい。
一般式(8)
Figure 2006291186
[一般式(8)中、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。X11、X12、X13およびX14は、それぞれ、単結合、−CO−および−NR−(Rは置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。k、l、mおよびnは0または1であり、k+l+m+nは2、3または4である。Qは2〜4価の有機基を表す。]
前記一般式(3)で表される化合物は、更に下記一般式(9)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(9)
Figure 2006291186
[一般式(9)中、R21およびR22は、それぞれ、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。YおよびYは、それぞれ、−CONR23−または−NR24CO−を表す(R23およびR24は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す)。Lは、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−NR25−(R25は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。)、アルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の有機基を表す。]
前記一般式(3)で表される化合物は、更に下記一般式(10)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(10)
Figure 2006291186
(一般式(10)中、R31、R32、R33およびR34はそれぞれ置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。Lは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−NR35−(R35は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。)、アルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の有機基を表す。)
前記一般式(3)で表される化合物は、更に下記一般式(11)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(11)
Figure 2006291186
[一般式(11)中、R41、R42、R43およびR44はそれぞれ置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。Lは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−NR45−(R45は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。)、アルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の有機基を表す。]
前記一般式(3)で表される化合物は、更に下記一般式(12)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(12)
Figure 2006291186
[一般式(12)中、R51、R52、R53およびR54はそれぞれ置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。Lは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−NR55−(R55は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。)、アルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の有機基を表す。]
以下、本発明一般式(3)で表される化合物についてさらに説明する。
上記一般式(3)において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。X1、X2、X3およびX4は、それぞれ、単結合、−CO−、−NR5−R5は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、無置換のものおよび/または脂肪族基がより好ましい。)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。X1、X2、X3およびX4の組み合わせは特に限定されないが、−CO−、−NR5−(から選ばれるのがより好ましい。
a、b、cおよびdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。a+b+c+dは、2〜8であることが好ましく、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4である。Q1は(a+b+c+d)価の有機基(環状のものを除く)を表す。Q1の価数は2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が最も好ましい。
有機基とは、有機化合物からなる基をいう。
また、上記一般式(3)としては、好ましくは上記一般式(8)で表される化合物である。
上記一般式(8)において、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。X11、X12、X13およびX14はそれぞれ独立に単結合、−CO−、−NR15−(R15はは置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、無置換のものおよび/または脂肪族基がより好ましい。)から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。それぞれX11、X12、X13およびX14の組み合わせは特に限定されないが、−CO−、−NR15−から選ばれるのがより好ましい。k、l、mおよびnは0または1であり、k+l+m+n=2、3または4である。Q1は2〜4価の有機基(環状のものを除く)を表す。Q1の価数は2〜4が好ましく、2または3がより好ましい。
上記一般式(3)としては、好ましくは上記一般式(9)で表される化合物である。
上記一般式(9)において、R21およびR22は、それぞれ、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。Y1およびY2はそれぞれ独立に−CONR23−または−NR24CO−を表し、R23およびR24は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表表し、無置換のものおよび/または脂肪族基がより好ましい。L1は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR25−、アルキレン基およびアリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の有機基(環状のものを除く)を表す。L1の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR25−、およびアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
上記一般式(3)としては、好ましくは上記一般式(10)で表される化合物である。
上記一般式(10)において、R31、R32、R33およびR34はそれぞれ置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。L2は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR35−(R35は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、無置換のものおよび/または脂肪族基がより好ましい。)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。L2の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR35−、およびアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
上記一般式(3)としては、好ましくは上記一般式(11)で表される化合物である。 上記一般式(11)において、R41、R42、R43およびR44は、それぞれ、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。L3は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR45−(R45は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、無置換のものおよび/または脂肪族基がより好ましい。)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。L3の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR45−、およびアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
上記一般式(3)としては、好ましくは上記一般式(12)で表される化合物である。 上記一般式(12)において、R51、R52、R53およびR54はそれぞれ置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。L4は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR55−(R55は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、無置換のものおよび/または脂肪族基がより好ましい。)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。L4の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR55−、およびアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
以下に一般式(3)及び一般式(8)〜(12)の置換基として述べた置換若しくは無置換の脂肪族基について説明する。脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、tert−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
以下に一般式(3)及び一般式(8)〜(12)の置換基として述べた芳香族基について説明する。芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどの各環基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルの各基が特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環が特に好ましい。
また、以下に上記各一般式式に係る前述の置換基Tに関して詳細に説明する。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、
アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
また、一般式(3)、特にび一般式(7)〜(11)ののいずれか1以上で表される化合物の添加量は、セルロース体に対して1〜30質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、2〜25質量%であることがさらに好ましく、2〜20質量%であることが最も好ましい。
一般式(3)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
本発明に用いられる化合物はいずれも既知の化合物より製造することができる。一般式(3)一般式(8)〜(11)のいずれか1以上で表される化合物は、例えば、カルボニルクロリドとアミンとの縮合反応により得られる。
次に、一般式(4)および(5)の化合物について説明する。
上記一般式(4)において、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R1、R2およびR3の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。
また、一般式(5)中、R4およびR5は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。また、R4およびR5の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1乃至25のものが好ましく、6乃至25のものがより好ましく、6乃至20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t-オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6乃至30のものが好ましく、6乃至24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。一般式(4)または一般式(5)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
以下、本発明一般式(6)で表される化合物について説明する。
上記一般式(6)において、R1は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、R2は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。置換基としては後述の置換基Tが挙げられる(以下、特に述べない限り同じ。)。L1は2〜6価の連結基を表す。L1の価数として好ましくは2〜4、より好ましくは2または3である。nはL1の価数に応じた2〜6の整数を表し、2〜4がより好ましく、2または3が特に好ましい。
1つの化合物の中に含まれる2つ以上のR1およびR2は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは同一である。
上記一般式(6)としては、好ましくは下記一般式(6a)で表される化合物である。
Figure 2006291186
上記一般式(6a)において、R4は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。R4として好ましくは置換若しくは無置換の芳香族基であり、さらに好ましくは無置換の芳香族基である。R5は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。R5として好ましくは水素原子または置換若しくは無置換の脂肪族基であり、さらに好ましくは水素原子である。L2は−O−、−S−、−CO−、−NR3−(R3は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。)、アルキレン基およびアリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。連結基の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR3−およびアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのが特に好ましい。また、連結基は、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれる2以上をからなる連結基が好ましい。
置換若しくは無置換の脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、tert−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
また、前述の置換基Tは上記の一般式(3)で説明したものと同義である。
また、上記一般式(6)として、下記一般式(6c)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2006291186
上記一般式(3)において、R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24およびR25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては上記の置換基Tが適用できる。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24およびR25としては、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12のものであり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられ、具体的には例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、アリールオキシカルボニルアミノ基である。これらの置換基はさらに置換されてもよく、置換基が2つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。R11とR21、R12とR22、R13とR23、R14とR24およびR15とR25はそれぞれ同一であることが好ましい。さらに、R11〜R25はいずれも水素原子である場合がより好ましい。
3は−O−、−S−、−CO−、−NR3−(R3は水素原子、脂肪族基または芳香族基を表す。)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。連結基の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR3−、およびアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのが特に好ましい。
また、連結基は、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれる2以上からなる連結基がさらに好ましい。
一般式(6)、とくに一般式(6a)〜一般式(6c)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
本発明に用いられる化合物はいずれも既知の化合物より製造することができる。一般式(6)特に一般式(6a)〜(6c)で表される化合物は、一般的には、スルホニルクロリドと多官能アミンとの縮合反応により得られる。
以下、本発明一般式(7)で表される化合物について説明する。
前記一般式(7)で表される化合物は、更に下記一般式(13)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(13)
Figure 2006291186
[一般式(13)中、R11は水素原子、脂肪族アシル基を表す。R12、R13およびR14はそれぞれ水素原子、または脂肪族基を表す。]
また、前記一般式(7)で表される化合物は、更に下記一般式(14)で表される化合物であることも好ましい。
一般式(14)
Figure 2006291186
[一般式(14)中、R21は水素原子、脂肪族アシル基を表す。R22、R23およびR24はそれぞれ水素原子、分岐構造若しくは環状構造を有する脂肪族基を表す。]
上記一般式(7)において、Rは水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族アシル基または置換若しくは無置換の芳香族アシル基を表し、水素原子または脂肪族アシル基であることがより好ましい。脂肪族アシル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが最も好ましい。芳香族アシル基は、芳香族炭化水素アシル基でも芳香族ヘテロ環アシル基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素アシル基である。芳香族炭化水素アシル基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。脂肪族アシル基および芳香族アシル基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。R、RおよびRはそれぞれ水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基がより好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、分岐または環状であることがより好ましく、環状であることが特に好ましい。脂肪族基の炭素原子数は、5〜24であることが好ましく、5〜15であることがより好ましく、5〜12であることが最も好ましい。芳香族基は、芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
また、上記一般式(7)としては、好ましくは上記一般式(13)で表される化合物である。
上記一般式(13)中、R11は水素原子、または置換若しくは無置換の脂肪族アシル基を表し、好ましくは水素原子または無置換の脂肪族アシル基である。脂肪族アシル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが最も好ましい。R12、R13およびR14はそれぞれ水素原子、または置換若しくは無置換の脂肪族基を表し、好ましくは、脂肪族基である。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、分岐または環状であることがより好ましく、環状であることが特に好ましい。脂肪族基の炭素原子数は、5〜24であることが好ましく、5〜15であることがより好ましく、5〜12であることが最も好ましい。
また、上記一般式(7)としては、好ましくは上記一般式(14)で表される化合物である。
上記一般式(14)中、R21は水素原子、または置換若しくは無置換の脂肪族アシル基を表す。脂肪族アシル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが最も好ましい。R22、R23およびR24はそれぞれ水素原子、または分岐構造若しくは環状構造を有する脂肪族基を表す。脂肪族基の炭素原子数は、5〜24であることが好ましく、5〜15であることがより好ましく、5〜12であることが最も好ましい。
以下に前述の置換若しくは無置換の脂肪族基について説明する。脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、tert−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
以下に前述の芳香族基について説明する。芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
また、以下に前述の置換基Tに関して詳細に説明する。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
また、一般式(7)・一般式(13)〜(14)のいずれか1以上で表される化合物の添加量は、セルロース体に対して1〜30質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、2〜25質量%であることがさらに好ましく、2〜20質量%であることが最も好ましい。
一般式(7)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
本発明に用いられる化合物はいずれも既知の化合物より製造することができる。一般式(7)一般式(13)〜(14)のいずれか1以上で表される化合物は、例えば、クエン酸とアルコールおよびカルボン酸との縮合反応により得られる。
一般式(1)ないし(7)の化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0ないし10である化合物が好ましい。logP値が10を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1ないし7であり、特に好ましい範囲は1.5ないし5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、前記したようにJIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、前記文献記載の方法が好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27巻,21頁(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
一般式(1)ないし(7)の化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
一般式(1)ないし(7)の化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。またレターデーションを低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
一般式(1)ないし(7)の化合物の添加量は、セルロースアシレートの0.01ないし30質量%であることが好ましく、1ないし25質量%であることがより好ましく、5ないし20質量%であることが特に好ましい。さらに、一般式(1)ないし(7)の個々の化合物ごとのより具体的な添加量については、各一般式の説明の個所に述べたとおりである。
一般式(1)ないし(7)の化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
一般式(1)ないし(7)の化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
一般式(1)ないし(7)の化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80−99%である。本発明の化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
[その他の添加剤]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、前記光学的異方性を低下する化合物の他、種々の添加剤(例えば、、波長分散調整剤、微粒子、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、光学特性調整剤など)を加えることができる。またその添加する時期はドープ作製工程(セルロースアシレート溶液の作製工程)における何れでも良いが、ドープ作製工程の最後に添加剤を添加し調製する工程を行ってもよい。
[波長分散調整剤]
セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる化合物(以下波長分散調整剤ともいう)について説明する。本発明のセルロースアシレートフィルムのRthの波長分散を低減させるためには、下記式(iii)で表されるRthの波長分散ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を、下記式(iv)、(v)をみたす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(iii)ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|
(iv)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(v)0.01≦B≦30
[式中、ΔRth(B)はRthの波長分散を低下させる化合物をB%含有したフィルムのΔRth(nm)、ΔRth(0)はRthの波長分散を低下させる化合物を含有しないフィルムのΔRth(nm)、Bはセルロースアシレートの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。]
上記式(iv)、(v)は
(vi)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
(vii)0.05≦B≦25
であることがよりのぞましく、
(viii)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
(ix)0.1≦B≦20
であることがさらにのぞましい。
フィルムの光学特性を上記範囲内とすることで、結果的に波長400nm〜700nmにおけるRe(λ)、Rth(λ)を所望の範囲内とすることができる。
上記の波長分散調整剤は、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|の双方を低下させる化合物が好ましく、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%使用するのがよい。
セルロースアシレートフィルムのレタデーション、特にRthの値は一般に可視域(400nm〜700nm)の短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe、Rthの波長分散が可視域の短波長側が大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのRthの波長分散を調節することができる。このためには波長分散を調整する化合物はセルロースアシレートに十分均一に相溶することが要求される。このような化合物の紫外領域の吸収帯範囲は200〜400nmが好ましいが、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
また、液晶表示装置に用いられる光学部材は、透過率が優れたものが要求されており、可視域における分光透過率が優れていることが要求される。本発明のセルロースアシレートフィルムが前記波長分散調節剤を含有する場合には、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることがのぞましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
また、これらの化合物は、取り扱い性とドープへの溶解性の観点で、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。またレターデーションを低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートに対し0.01ないし30質量%であることが好ましく、0.1ないし20質量%であることがより好ましく、0.2ないし10質量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上の化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
また波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ作製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。これらのうち、下記一般式(101)〜(103)で示される化合物が好ましく、一般式(101)または一般式(102)がより好ましく、一般式(101)がさらに好ましい。
一般式(101) Q1−Q2−OH
(式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環基、Q2は芳香族環基を表す。)
1は含窒素芳香族へテロ環基をあらわし、好ましくは5ないし7員の含窒素芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは5ないし6員の含窒素芳香族ヘテロ環基であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等の各環基があげられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環、またはトリアジン環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、1,3,5−トリアジンなどの各環が好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾール環または1,3,5−トリアジン環である。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)、更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環である。
2であらわされる芳香族環基として好ましくは芳香族炭化水素環基であり、より好ましくはナフタレン環基、ベンゼン環基であり、特に好ましくはベンゼン環基である。Q2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの各基が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどの各基が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどの各基が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどの各基が挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどの各基が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどの各基が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシの各基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどの各基が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどの各基が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどの各基が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどの各基が挙げられる。)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどの各基が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなの各基が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどの各基が挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(101)として好ましくは下記一般式(101−A)で表される化合物である。
一般式(101−A)
Figure 2006291186
[一般式(101−A)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。]
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2、およびR4として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
5およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
6およびR7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(101)としてより好ましくは下記一般式(101−B)で表される化合物である。
一般式(101−B)
Figure 2006291186
[一般式(101−B)中、R1、R3、R6およびR7は一般式(101−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。]
一般式(101)で表される化合物の、他の好ましい化合物は、下記一般式(U−11)で表される化合物である。
一般式(U−11) Q1−Q2−OH
(式中、Q1は1,3,5-トリアジン環、Q2は芳香族環を表す。)
一般式(U−11)中、Q1は1,3,5−トリアジン環を表し、更に置換基を有してもよく、置換基としては上記一般式(101)の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。Q2で表される芳香族環は一般式(101)のものと同義である。
一般式(101)としてさらに好ましくは下記一般式(I)で表される化合物である。
一般式(I)
Figure 2006291186
一般式(I)中さらに好ましくは、R1 は以下の(a)、(b)、(c)のいずれかを表す。すなわち、(a)炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、OH、炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、炭素原子数5ないし12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3ないし18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR4 、−O−CO−R5 、−O−CO−O−R6 、−CO−NH2 、−CO−NHR7 、−CO−N(R7 )(R8 )、CN、NH2 、NHR7 、−N(R7 )(R8 )、−NH−CO−R5 、フェノキシ基、炭素原子数1ないし18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、炭素原子数6ないし15のビシクロアルコキシ基、炭素原子数6ないし15のビシクロアルキルアルコキシ基、炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニルアルコキシ基、または炭素原子数6ないし15のトリシクロアルコキシ基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキル基;OH、炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数2ないし6のアルケニル基または−O−CO−R5 で置換された炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R9 または−SO2 −R10を表すか、あるいは、(b)R1 は1以上の酸素原子で中断されたおよび/またはOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3ないし50のアルキル基を表すか、あるいは、(c)R1 は−A;−CH2 −CH(XA)−CH2 −O−R12;−CR13R’13−(CH2 m −X−A;−CH2 −CH(OA)−R14;−CH2 −CH(OH)−CH2 −XA;
Figure 2006291186
−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15;−CR13R’13−(CH2 m −CO−X−A;−CR13R’13−(CH2 m −CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15または−CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)で表される。
2 は、互いに独立して、炭素原子数6ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;COOR4 ;CN;−NH−CO−R5 ;ハロゲン原子;トリフルオロメチル基;−O−R3 を表す。
3 は、R1 と同義である。R4 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表すか;あるいはR4 は1以上の−O−、−NH−、−NR7 −、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3ないし50のアルキル基を表す。
5 は、H;炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし18のアルケニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニル基;炭素原子数6ないし15のトリシクロアルキル基を表す。
6 は、H;炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表す。
7 およびR8 は互いに独立して炭素原子数1ないし12のアルキル基;炭素原子数3ないし12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4ないし16のジアルキルアミノアルキル基を表すか;または炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表し;あるいはR7 およびR8 は一緒になって炭素原子数3ないし9のアルキレン基、炭素原子数3ないし9のオキサアルキレン基または炭素原子数3ないし9のアザアルキレン基を表す。
9 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニル基;または炭素原子数6ないし15のトリシクロアルキル基を表す。
10は炭素原子数1ないし12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;または炭素原子数7ないし14のアルキルフェニル基を表す。
11は互いに独立してH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;ハロゲン原子;炭素原子数1ないし18のアルコキシ基を表す。
12は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1ないし8のアルキル基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、炭素原子数3ないし8のアルケノキシ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基で1ないし3回置換されたフェニル基を表すか;または炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;炭素原子数6ないし15のトリシクロアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルキルアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニルアルキル基;−CO−R5 を表すか、またはR12は1以上の−O−、−NH−、−NR7 −、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3ないし50のアルキル基を表す。
13およびR’13は互いに独立してH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;フェニル基を表す。
14は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す。
15、R’15およびR”15は互いに独立してHまたはCH3 を表し;R16はH;−CH2 −COO−R4 ;炭素原子数1ないし4のアルキル基;またはCNを表し、R17はH;−COOR4 ;炭素原子数1ないし17のアルキル基;またはフェニル基を表す。
Xは−NH−;−NR7 −;−O−;−NH−(CH2 p −NH−;または−O−(CH2 q −NH−を表し;および指数mは数0−19を表し;nは数1−8を表し;pは数0−4を表し;qは数2−4を表す;但し式I中、基R1 、R2 およびR11の少なくとも1つが2個以上の炭素原子を含む。
さらに一般式(I)の化合物を説明する。
アルキル基としての基R1 ないしR10、R12ないしR14、R16およびR17は、枝分かれもしくは枝分かれされたアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基またはオクタデシル基である。
炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基としてのR1 、R3 ないしR9 およびR12は例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基である。好ましいのもはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基およびシクロドデシル基である。
アルケニル基としてのR6 、R9 、R11およびR12は特にアリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−ペンタ−2,4−ジエチル基、3−メチル−ブテ−2−エニル基、n−オクテ−2−エニル基、n−ドデセ−2−エニル基、イソ−ドデセニル基、n−ドデセ−2−エニル基およびn−オクタデセ−4−エニル基が含まれる。
置換されたアルキル基、シクロアルキル基またはフェニル基は1回以上の置換できおよび結合している炭素原子において(α−位において)または他の炭素原子において置換基をもつことができ;置換基がヘテロ原子によって(例えばアルコキシ基)結合する場合、それは好ましくはα−位においてでなくおよび置換されたアルキル基は2、特には3個の、またはそれ以上の炭素原子を含む。2以上の置換基は好ましくは異なる炭素原子と結合する。
また、−O−、−NH−、−NR7 −、−S−により中断されたアルキル基はこれらの基の1以上で中断されていてもよく、それぞれの場合一般に一つの結合中に1つの基が挿入されており、およびヘテロ−ヘテロ結合、例えばO−O、S−S、NH−NH等は生じず;中断されたアルキル基がさらに置換されている場合、置換基は一般にヘテロ原子に対してα位にない。1つの基の中で2以上の−O−、−NH−、−NR7 −、−S−のタイプの中断する基が生じる場合、それらは一般に同一である。
アリール基は、一般に芳香族炭化水素基であり、例えばフェニル基、ビフェニルイル基またはナフチル基であり、好ましくはフェニル基およびビフェニルイル基である。アルアルキルは一般にアリール基、特にフェニル基により置換されたアルキル基であり;従って炭素原子数7ないし20のアルアルキルは、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基およびフェニルヘキシル基を含み;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基は好ましくはベンジル基、α−メチルベンジル基およびα,α−ジメチルベンジル基である。
アルキルフェニル基およびアルキルフェノキシ基はそれぞれアルキル基で置換されたフェニル基またはフェノキシ基である。
ハロゲン置換基となるハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、より好ましいものはフッ素原子または塩素原子であり特に塩素原子であることが好ましい。
炭素原子数1ないし20のアルキレン基は例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等である。ここにアルキル鎖はまた枝分かれでき、例えばイソプロピレン基である。
炭素原子数4ないし12のシクロアルケニル基は、例えば、2−シクロブテニ−2−イル基、2−シクロペンテニ−1−イル基、2,4−シクロペンタジエニ−1−イル基、2−シクロヘキセ−1−イル基、2−シクロヘプテニ−1−イル基、または2−シクロオクテニ−1−イル基である。
炭素原子数6ないし15のビシクロアルキル基は、例えば、ボルニル基、ノルボルニル基、[2.2.2]ビシクロオクチル基である。ボルニル基およびノルボルニル基、特にボルニル基およびノルボルニ−2−イル基が好ましい。
炭素原子数6ないし15のビシクロアルコキシ基は、例えばボルニルオキシ基またはノルボルニ−2−イルオキシ基である。
炭素原子数6ないし15のビシクロアルキル−アルキル基または−アルコキシ基は、ビシクロアルキル基で置換されたアルキル基またはアルコキシ基で、炭素原子の総数が6ないし15であるものであり;具体例はノルボルナン−2−メチル基およびノルボルニル−2−メトキシ基である。
炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニル基は、例えば、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基である。好ましいものは、ノルボルネニル基、特にノルボルネ−5−エン基である。
炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニルアルコキシ基は、ビシクロアルケニル基で置換されたアルコキシ基で、炭素原子の総数が6ないし15であるものであり;ある実例はノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基である。
炭素原子数6ないし15のトリシクロアルキル基は、例えば、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基である。好ましいものは1−アダマンチル基で示される。
炭素原子数6ないし15のトリシクロアルコキシ基は、例えば、アダマンチルオキシ基である。炭素原子数3ないし12のヘテロアリール基は、好ましくは、ピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニルまたはキノリニル基である。
一般式(I)で表される化合物はさらに好ましくは、R1 は下記(a)、(b)又は(c)のいずれかである。すなわち、(a)炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;炭素原子数3ないし12のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、OH、炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、炭素原子数5ないし12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3ないし18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR4 、−O−CO−R5 、−O−CO−O−R6 、−CO−NH2 、−CO−NHR7 、−CO−N(R7 )(R8 )、CN、NH2 、NHR7 、−N(R7 )(R8 )、−NH−CO−R5 、フェノキシ基、炭素原子数1ないし18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、ボルニルオキシ基、ノルボルニ−2−イルオキシ基、ノルボルニル−2−メトキシ基、ノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基、アダマンチルオキシ基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキル基;OH、炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数2ないし6のアルケニル基および/または−O−CO−R5 で置換された炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R9 または−SO2 −R10を表すか、(b)R1 は1以上の酸素原子で中断されたおよび/またはOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3ないし50のアルキル基を表すか、あるいは(c)−A;−CH2 −CH(XA)−CH2 −O−R12;−CR13R’13−(CH2 m −X−A;−CH2 −CH(OA)−R14;−CH2 −CH(OH)−CH2 −XA;
Figure 2006291186
−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15;−CR13R’13−(CH2 m −CO−X−A;−CR13R’13−(CH2 m −CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15または−CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)の一つを表す。
2 は炭素原子数6ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし6のアルケニル基;フェニル基;−O−R3 または−NH−CO−R5 を表し、R3 はR1 と同義でありかつ互いに独立している。R4 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表すか;あるいはR4 は1以上の−O−、−NH−、−NR7 −、−S−で中断されおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3ないし50のアルキル基を表す。
5 はH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし18のアルケニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表す。
6 はH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表す。
7 およびR8 は互いに独立して炭素原子数1ないし12のアルキル基;炭素原子数3ないし12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4ないし16のジアルキルアミノアルキル基を表すか;または炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表し;あるいはR7 およびR8 は一緒になって炭素原子数3ないし9のアルキレン基;炭素原子数3ないし9のオキサアルキレン基または炭素原子数3ないし9のアザアルキレン基を表す。
9 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表す。
10は炭素原子数1ないし12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;または炭素原子数7ないし14のアルキルフェニル基を表す。
11は互いに独立してH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;または炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基を表す。
12は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1ないし8のアルキル基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、炭素原子数3ないし8のアルケノキシ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基で1ないし3回置換されたフェニル基を表すか;または炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;1−アダマンチル基;2−アダマンチル基;ノルボルニル基;ノルボルナン−2−メチル−;−CO−R5 を表し;またはR12は1以上の−O−、−NH−、−NR7 −、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい炭素原子数3ないし50のアルキル基を表す。
13およびR’13は互いに独立してH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;フェニル基を表す。
14は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す。
15、R’15およびR”15は互いに独立してHまたはCH3 を表し;R16はH;−CH2 −COO−R4 ;炭素原子数1ないし4のアルキル基;またはCNを表し;R17はH;−COOR4 ;炭素原子数1ないし17のアルキル基;またはフェニル基を表す。
Xは−NH−;−NR7 −;−O−;−NH−(CH2 p −NH−;または−O−(CH2 q −NH−を表し、指数mは数0−19を表し、nは数1−8を表し、pは数0−4を表し、qは数2−4を表す。
一般式(U−11)および(I)で表される化合物は慣用の方法により、例えば欧州特許第434608号またはH.BrunettiおよびC.E.Luthi, Helv. Chim.Acta 55, 1566(1972) による刊行物に示される方法に従ってまたはそれと同様に、相当するフェノールへのハロトリアジンのフリーデル−クラフツ付加によって、公知の化合物と同様に得ることができる。
次に、一般式(101)、一般式(U−11)または一般式(I)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
また本発明に用いられる波長分散調整剤として、一般式(102)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(102)
Figure 2006291186
[一般式(102)中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。)、酸素原子または硫黄原子を表す。]
1およびQ2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
1およびQ2で表される芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2で表される芳香族ヘテロ環基として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のどれかひとつを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環基である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環及びキノリン環である。
1およびQ2であらわされる芳香族環基として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸基やスルホン酸基、4級アンモニウム基を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表し、Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、または酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
置換基Tは、一般式(101)のものと同義である。
一般式(102)として好ましくは下記一般式(102−A)で表される化合物である。
一般式(102−A)
Figure 2006291186
[一般式(102−A)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。]
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(102)としてより好ましくは下記一般式(102−B)で表される化合物である。
一般式(102−B)
Figure 2006291186
[一般式(102−B)中、R10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。]
10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換または無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換または無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n-ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換または無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(102)であらわされる化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
また本発明に用いられる波長分散調整剤として、一般式(103)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(103)
Figure 2006291186
[一般式(103)中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基を表す。]
1およびQ2であらわされる芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)、更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環及びキノリン環である。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、置換基Tが好ましい。置換基Tは、一般式(101)のものと同義である。
1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基を表す。X1およびX2で表される置換基は前述の置換基Tを適用することができる。また、X1およびX2で表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X1およびX2はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
1およびX2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(-C(=O)OR(Rは、炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として好ましくは下記一般式(103-A)で表される化合物である。
一般式(103-A)
Figure 2006291186
[一般式(103-A)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は一般式(103)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R2、R4、R5、R6、R7、R9、およびR10として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
3、およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(103)としてより好ましくは下記一般式(103-B)で表される化合物である。
一般式(103-B)
Figure 2006291186
[一般式(103-B)中、R3およびR8は一般式(103-A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X3は水素原子、または置換基を表す。]
3は水素原子、または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X3として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(-C(=O)OR(Rは、炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として更に好ましくは一般式(103-C)で表される化合物である。
一般式(103-C)
Figure 2006291186
[一般式(103-C)中、R3およびR8は一般式(103-A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R21は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
21として好ましくはR3およびR8が両方水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、tert-オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
21として好ましくはR3およびR8が水素以外の場合には、一般式(103-C)で表される化合物の分子量が300以上になり、かつ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
一般式(103)で表される化合物はJounal of American Chemical Society 63巻 3452頁(1941)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(103)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレート溶液(ドープ液)と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤微粒子の添加量は1m3あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、本発明のセルロースアシレートフィルムには、前述のように、用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収剤としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れの時期でも良いが、ドープ作製工程の最後に添加剤を添加しするのがよい。更にまた、各添加剤の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
[化合物添加の比率]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらにのぞましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学的異方性を低下させる化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下がのぞましく、2000以下がよりのぞましく、1000以下がさらにのぞましい。これら化合物の総量が5質量%未満であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45質量%を越えると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する( フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。
本発明では、セルロースアシレート溶液を後述する流延工程にて金属支持体上に流延して形成した未乾燥状態のドープ膜のゲル化を促進させ、剥離性を良化させ、また一方で作製するフィルムの弾性率を高くする目的で、セルロースアシレートを溶解する有機溶媒(溶剤)として、少なくとも2種類以上のアルコール系溶剤を含有することが好ましい。アルコール系溶剤としては、炭素数1〜8のアルコールであればいずれのアルコールを用いても良い。また、少なくとも1種類は炭素数3〜8のアルコールであることが好ましく、炭素数4〜6であることがより好ましい。また、溶剤組成中のアルコール含率は0.1〜40%のいずれでも良く、1.0〜30%がより好ましく、2.0〜20%が更に好ましい。
また、本発明の主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。主溶剤としては、塩素系溶剤か、または酢酸エステルであることが好ましく、メチレンクロライド、または酢酸メチルであることがより好ましい。
以上本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としても良いし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としても良い。
その他、本発明のセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の公開特許公報に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876、特開平12−95877、特開平10−324774、特開平8−152514、特開平10−330538、特開平9−95538、特開平9−95557、特開平10−235664、特開平12−63534、特開平11−21379、特開平10−182853、特開平10−278056、特開平10−279702、特開平10−323853、特開平10−237186、特開平11−60807、特開平11−152342、特開平11−292988、特開平11−60752、特開平11−60752号の各公報などに記載されている。これらの公報によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
[溶解工程]
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
本発明のセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来のセルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
前記金属支持体としては、2つのドラムの間に張架したエンドレスのベルトを支持体とする方式か、もしくはドラムそのものをエンドレスの支持体とする方式が一般的であるが、生産性を向上させる観点ではドラムそのものをエンドレスの支持体として使用する方式のを用い、またドープ溶液として2種類以上のアルコール系溶剤を含有する溶剤を含むセルロースアシレート溶液を使用し、更にドラムの温度を適温とすることで、ウェブのゲル化を促進し、支持体からのウェブの剥離性を向上させ、結果的により生産性を向上させることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法においては、フィルムの高い弾性率と低いレタデーションを両立する目的で、金属支持体から剥離したドープ膜中の残留溶剤含率(R%)と剥離したドープ膜の乾燥工程における乾燥風温度(T℃)との積が、R%>60%の範囲内において、下記式(5)を満たすことが好ましい。
式(5)5000≦T×R≦10000
また、式(5)で表される条件は、より好ましくは、5500≦T×R≦9000であり、さらに好ましくは6000≦T×R≦8500であり、もっとも好ましくは6500≦T×R≦8000である。
温度T(℃)と残留溶剤含率R(%)の関係が上記式(5)の範囲より大きい場合は、残留溶剤含率に対する乾燥工程の乾燥風温度が高すぎ、乾燥工程におけるフィルムの結晶化が促進されてしまい、フィルムの脆性が悪化して取り扱い性が悪くなり、またレタデーションが上昇してしまう。また上記の範囲より小さい場合は、弾性率が低くなり、結果的に偏光板耐久性が劣化し、また乾燥に時間がかかることから生産性が劣る。
また、作製されるセルロースアシレートフィルムの厚さは10〜200μmが好ましく、20〜150μmがより好ましく、30〜100μmがさらに好ましい。
[高湿度処理後のフィルムの光学性能変化]
本発明のセルロースアシレートフィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃で90%RHの環境下に240時間状態調節したフィルムのRe(400)、Re(700)、Rth(400)およびRth(700)の変化量が0nm以上5nm以下であることが好ましい。より好まししくは0nm以上12nm以下であり、0nm以上10nm以下であることがさらに好ましい。
[高温度処理後のフィルムの光学性能変化]
また、80℃で240時間状態調節したフィルムのRe(400)、Re(700)、Rth(400)およびRth(700)の変化量が0nm以上15nm以下であることが好ましい。より好ましくは0nm以上12nm以下であり、0nm以上10nm以下であることがさらに好ましい。
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
本発明のセルロースアシレートフィルムにのぞましく用いることができる、Rthを低下させる化合物と、ΔRthを低下させる化合物は、80℃で240時間状態調節したフィルムからの化合物の揮散量が0%以上30%以下であることが好ましい。より好ましくは0%以上25%以下以下であり、0%以上20%以下であることがさらに好ましい。
なお、フィルムからの揮散量は、80℃で240時間状態調節したフィルムおよび状態調節しないのフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、高速液体クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出する。
揮散量(%)= {(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
[フィルムのガラス転移温度Tg]
本発明のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃である。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(例えばDSC2910、T.A.インスツルメント製)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出する。
[フィルムのヘイズ]
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは0.0%〜2.0%であることが好ましい。より好まししくは0.0%〜1.5%であり、0.0%〜1.0%であることがさらに好ましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定する。
[フィルムのRe、Rthの湿度依存性]
本発明のセルロースアシレートフィルムのReおよびRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、フィルムの正面レターデーションRe(λ)および膜厚方向のレターデーションRth(λ)(λは波長(nm)を示す)が、下記式(4)を満たすことが好ましい。
式(4)
(Rth)−(Rth)≦30nm、かつ(Re)−(Re)≦10nm、
(ここで、(Rth)は25℃および10%RHの条件下でのRth(630)、(Rth)は25℃および80%RHの条件下でのRth(630)を示す。また、(Re)は25℃および10%RHの条件下でのRe(630)、(Re)は25℃および80%RHの条件下でのRe(630)を示す。)
また、Rthについては、より好ましくは(Rth)−(Rth)が0〜25nmであり、さらに好ましくは0〜22nmであり、Reについては、より好ましくは(Re)−(Re)が0〜8nmであり、さらに好ましくは0〜5nmである。
[フィルムの平衡含水率]
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出した。
[フィルムの透湿度]
本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JIS Z0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜1800g/m2・24hであることが好ましい。500〜1600g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1500g/m2・24hであることが特に好ましい。1800g/m2・24hを越えると、フィルムのRe及びRthの湿度依存性が大きくなり、その絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、本発明のセルロースアシレートフィルムに液晶性化合物層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値及びRth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚の試料でも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求められる。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度を調湿後質量から調湿前質量を減じて求める。
[フィルムの寸度変化]
本発明のセルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃で90%RHの条件で24時間状態調節した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間状態調節した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0%以上0.5%以下であることが好ましい。より好ましくは0%以上0.3%以下であり、さらに好ましくは0%以上0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とする。1枚の試料を60℃で90%RHにて24時間状態調節した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定し、もう1枚の試料を90℃で5%RHにて24時間状態調節した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定する。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定する。60℃で90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃で5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、としてそれぞれの寸度変化率を求める。
[フィルムの音速]
本発明のセルロースアシレートフィルムの音速については、絶対値は特に限定しないが、幅方向の音速VTと長手方向の音速VMとの比R(VT/VM)が、1.05〜1.50であることが望ましい。
よりのぞましくは、比が1.06〜1.45である。さらにのぞましくは、比が1.07〜1.40である。比が1.50を超える場合には、耐久性試験時のカールや光学性能の変化が大きくなってしまう。音速の具体的な測定方法としては、NOMURA製音速測定装置SST−110を用い、25℃で55%RHの雰囲気中で6時間以上調湿したフィルムについて、25℃で55%RHの雰囲気にて、幅方向および長手方向の音速度を求め、それらの比を求める。
[フィルムの引張弾性率]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、長手方向と幅方向の引張弾性率のうち、少なくとも一方が450〜600kgf/mm2 (4.4kPa〜5.9kPa)、好ましくは460〜580kgf/mm2(4.5kPa〜5.7kPa)であり、より好ましくは470〜550kgf/mm2(4.6kPa〜5.4kPa)である。また、前記長手方向と前記幅方向の引張弾性率の比(MD/TD)が1.10〜1.80であり、好ましくは1.15〜1.50である。
引張弾性率の具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引張試験機STM T50BPを用い、23℃・70%RH雰囲気中、引張速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
[フィルムの貯蔵弾性率]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、幅方向と長手方向の貯蔵弾性率がともに15000〜80000kgf/cm2 (1.47GPa〜7.84GPa)であり、かつ、幅方向と長手方向の貯蔵弾性率の比が前者/後者として1.10〜1.80であることが好ましい。
より好ましくは、幅方向と長手方向の貯蔵弾性率がともに18000〜75000kgf/cm2(1.76GPa〜7.35GPa) であり、かつ、幅方向と長手方向の貯蔵弾性率の比が前者/後者として1.14〜1.60である。さらに好ましくは、搬送方向とフィルム面内で直交する方向、搬送方向ともに貯蔵弾性率が20000〜70000kgf/cm2(1.96GPa〜6.86GPa)であり、かつ、かつ、幅方向と長手方向の貯蔵弾性率の比が前者/後者として1.17〜1.50である。
具体的な測定方法は、温度を変化させながらの動的粘弾性測定より貯蔵弾性率をもとめた。
[フィルムの破断伸度、破断強度]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、破断伸度が10%以上60%以下が好ましく、より好ましくは15%以上50%以下、さらに好ましくは20%以上40%以下である。また破断強度は10kgf/mm2以上20kgf/mm2(98〜196MPa)以下が好ましく、より好ましくは11kgf/mm2 以上19kgf/mm2(108〜186MPa)以下、さらに好ましくは12kgf/mm2 以上18kgf/mm2(118〜176MPa) 以下である。
破断伸度、破断強度の具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引張試験機STM T50BPを用い、23℃で60%RHの雰囲気中、引張速度10%/分での延伸処理により破断点の伸度および破断点での強度を測定して求める。
[フィルムの光弾性係数]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、幅方向および長手方向の光弾性係数がともに25×10-13cm2/dyn(2.5×10-13N/m)以下であり、かつ、幅方向と長手方向の貯蔵弾性率の比が前者/後者として0.60〜0.97であることがのぞましい。
よりのぞましくは、搬送方向とフィルム面内で直交する方向の光弾性係数および搬送方向の光弾性係数がともに22×10-13cm2/dyn(2.2×10-13N/m)以下であり、かつ、幅方向と長手方向の貯蔵弾性率の比が前者/後者として0.65〜0.96である。
さらにのぞましくは、搬送方向とフィルム面内で直交する方向の光弾性係数および搬送方向の光弾性係数がともに20×10-13cm2/dyn(2.0×10-13N/m)以下であり、かつ、幅方向と長手方向の貯蔵弾性率の比が前者/後者として0.70〜0.95である。
具体的な測定方法としては、本発明のセルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの幅方向または長手方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
[延伸前後における正面レターデーション変化、遅相軸の検出]
帯状のフィルムから試料、長手方向100mm×幅方向100mmを切り出し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で長手方向(MD方向)と平行または巾方向(TD方向)と平行に延伸を行った。延伸前後における各試料の正面レターデーションReは自動複屈折計(例えばKOBRA21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。偏光膜直近に配置されるセルロースアシレートフィルムは、延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの正面レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの正面レターデーション(nm)としたときに、|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0を有することが好ましく、|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3以下がさらに好ましい。
[遅相軸を有する方向]
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光膜の保護フィルムに用いる場合、偏光膜が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍またはTD方向近傍にあることがのぞましい。遅相軸が偏光膜と平行または直交させることにより光漏れや色味変化を低減できる。近傍とは、遅相軸とMDまたはTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを表す。
[固有複屈折が正であるセルロースアシレートフィルム]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなる。このことは固有複屈折が正であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と垂直方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムがMD方向に遅相軸を有している場合にMDと垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMD方向と平行な搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。
上記したッセルロースアシレート及びそのフィルムに係わる各種物性は、後述する延伸処理または収縮処理等の配向処理条件を適宜調節することにより達成され得る。
[本発明のセルロースアシレートフィルムの評価方法]
本発明のセルロースアシレートフィルムの評価に当たって、以下の方法で測定して実施した。
(正面レターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)などの自動複屈折計において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHなどの自動複屈折計により判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHなどの自動複屈折計が算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHなどの自動複屈折計はnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx-nz)/(nx-ny)が更に算出される。
(透過率)
試料20mm×70mmを、25℃,60%RHで透明度測定器(AKA光電管比色計、KOTAKI製作所)で可視光(615nm)の透過率を測定する。
[フィルム表面の性状]
(表面形状)
本発明のセルロースアシレートフィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
(表面エネルギー)
本発明のセルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは以下の方法により測定できる。すなわち、試料を水平な台の上に水平にのせ、試料表面に一定量の水、およびヨウ化メチレンをのせてから一定時間後の試料表面での水、およびヨウ化メチレンの接触角を求める。測定した接触角から、Owensの方法により表面エネルギーを求める。
[セルロースアシレートフィルムのレターデーションの面内ばらつき]
本発明のセルロースアシレートフィルムは次の式を満たすことが好ましい。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
(式中、Re(MAX)、Rth(MAX)は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レター
デーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。)
[フィルムの保留性]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の保留性が要求される。具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムを80℃で90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
〈保留性の評価方法〉
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間状態調節後の質量を測定したのち、80±5℃で90±10%RHの条件下で48時間放置した。状態調節後の試料の表面を軽く拭き、23℃で55%RHで1日状態調節後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算する。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
[フィルムの力学特性]
(カール)
本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。また、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができて好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従って測定することができる。
(引裂き強度)
JIS K7128−2:1998の引裂き試験方法に基づく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)の値がが、本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上であることが好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。また、60μm厚み換算値で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
[フィルムの残留溶剤量]
本発明のセルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。残留溶剤量を1.5質量%以下とすることでカールを抑制できる。1.0質量%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による製膜時の残留溶剤量を少なくすると自由体積が小さくなることが主要な光学的、物性的効果要因になるためと思われる。
[フィルムの吸湿膨張係数]
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
[機能層]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、および該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。とくにIPSおよびVAが好ましい。
その際に前述の光学用途に本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[用途(偏光板)]
本発明のセルロースアシレートフィルムの用途について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは特に偏光板用の保護フィルム用として有用である。偏光板は偏光膜及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶セルへ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶セルへ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。プロテクトフィルムは、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いてもよい。
偏光膜は、Optiva社製のものに代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素または二色性色素からなる偏光膜が好ましい。
偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在、汎用の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。汎用の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてバインダー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、バインダー間を架橋することにより形成することができる。
架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行なうことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なってもよい。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例、ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネートおよびそれらのコポリマー(例、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体)が含まれる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールのケン化度は、70乃至100%が好ましく、80乃至100%がさらに好ましく、95乃至100%が最も好ましい。
ポリビニルアルコールの重合度は、100乃至5000が好ましい。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合変性では、変性基として、COONa、Si(OH)、N(CH・Cl、C19COO、SONa、C1225を導入することができる。連鎖移動変性では、変性基として、COONa、SH、SC1225を導入することができる。変性ポリビニルアルコールの重合度は、100乃至3000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。
ケン化度が85乃至95%の未変性ポリビニルアルコールおよびアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤は、多く添加すると、偏光膜の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、バインダーに対して架橋剤を50質量%以上添加すると、ヨウ素、もしくは二色性色素の配向性が低下する。架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1乃至20質量%が好ましく、0.5乃至15質量%がさらに好ましい。
バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。ただし、残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。バインダー層中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。すなわち、架橋剤の残留量が多い偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。二色性色素の例には、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリーン59、C.I.アシッド・レッド37が含まれる。二色性色素については、特開平1−161202号、同1−172906号、同1−172907号、同1−183602号、同1−248105号、同1−265205号、同7−261024号の各公報に記載がある。二色性色素は、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩として用いられる。二種類以上の二色性色素を配合することにより、各種の色相を有する偏光膜を製造することができる。偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)を用いた偏光膜、あるいは黒色を呈するように各種の二色性分子を配合した偏光膜または偏光板が、単板透過率および偏光率とも優れており好ましい。
本発明においては、偏光板の単板透過率、平行透過率、直交透過率はUV3100PC(島津製作所社製)を用いて測定した。測定では、25℃60%RH条件下、380nm〜780nmの範囲で測定し、単板、平行、直交透過率ともに、10回測定の平均値を用いた。偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けたものとの2種類の形態で次のように行った。偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に光学補償膜が挟まれるように組み合わせて直交させた同じものを2つ用意して測定した。ガラス貼り付け状態のものはガラスの上に偏光板を光学補償膜がガラス側にくるように貼り付けた試料(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板透過率測定ではこの試料のフィルムの側を光源に向けてセットして測定した。2つの試料をそれぞれ測定し、その平均値を単板の透過率とした。偏光性能の好ましい範囲としては単板透過率(TT)、平行透過率(PT)、直交透過率(CT)の順でそれぞれ、40.0≦TT≦45.0、30.0≦PT≦40.0、CT≦2.0であり、より好ましい範囲としては40.2≦TT≦44.8、32.2≦PT≦39.5、CT≦1.6であり、さらに好ましい範囲としては41.0≦TT≦44.6、34≦PT≦39.1、CT≦1.3である。
これらの透過率から偏光度Pは計算され偏光度Pが大きいほど、クロス配置したときの漏れ光がすくなくなり偏光板の性能が高いことを示している。偏光度Pは95.0%以上であることが好ましく、より好ましくは96.0%以上、さらに好ましくは97.0%以上である。
本発明の偏光板は、波長λにおける直交透過率をT(λ)としたときに、T(380)、T(410)、T(700)が下記式(e)〜(g)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(e)T(380)≦2.0
(f)T(410)≦1.0
(g)T(700)≦0.5
より好ましくはT(380)≦1.95、T(410)≦0.9、T(700)≦0.49であり、さらに好ましくはT(380)≦1.90、T((410))≦0.8、T(700)≦0.48である。
本発明の偏光板は、60℃95%RHの条件下に650時間静置した場合の直交単板透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(h)、(i)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(h)−0.6≦ΔCT≦0.6
(i)−0.3≦ΔP≦0.0
本発明の偏光板は、80℃の条件下に650時間状態調節した場合の直交単板透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(l)、(m)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(l)−0.6≦ΔCT≦0.6
(m)−0.3≦ΔP≦0.0
また偏光板耐久性試験ではその変化量はより小さい方が好ましい。
(液晶表示装置の構成)
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶セルが配置されているが、本発明のセルロースアシレートフィルムを適用した保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板の保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
本発明の偏光板を作製するにあたり、本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いるために、偏光膜と貼り合わせる側の表面とポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を良好にすることが必要である。接着性が不充分の場合は、偏光板を作製した後に液晶表示装置等のパネルに適宜用いるための加工性が不良であったり、または耐久性が不足して、長期の使用での剥れ等が問題となる。接着には、粘着剤を使用することもでき、粘着剤の成分としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系粘着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。接着性を考慮するには表面エネルギーを指標に考えれば良く、偏光膜の主成分であるポリビニルアルコールか、もしくはポリビニルアルコールかビニル系ラテックスを主成分とする粘着剤からなる粘着剤層の表面エネルギーと貼り合せる保護フィルムの表面エネルギーがより近ければ貼合性と貼合した偏光板の加工性と耐久性がより向上される。これらのことから、偏光膜または粘着剤と貼り合わせる側の表面エネルギーを親水化処理等の表面処理により所望の範囲内にすることで、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を充分に付与することができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、通常、光学異方性を低下させる化合物や、波長分散調整剤等の添加剤を含有しているため、フィルムの表面はより疎水的となっている。そのため上記の親水化処理による貼合性を向上させることが、偏光板の加工性と耐久性を付与する上でより必要となる。
親水化処理等の表面処理等を行う前の、製膜後のフィルムの表面エネルギーは、前記添加剤を使用するため疎水化されており、フィルムの光学特性や力学特性の湿度依存性や、前記貼合性を向上するための処理の容易性の観点から、30mN/m以上50mN/m以下が好ましく、40mN/m以上48mN/m以下がより好ましい。処理前の表面エネルギーが30mN/m未満では後述の親水化処理により貼合性を良好にするためには、大きなエネルギーが必要となり、結果的にフィルム特性を劣化させたり、または生産性との両立が困難となる。また処理前の表面エネルギーが50mN/mを超えると、フィルム自身の親水性が大きすぎて、フィルムの光学性能や力学特性の湿度依存性が大きすぎて問題となってしまう。
また、ポリビニルアルコール表面の表面エネルギーは、併用する添加剤や乾燥の程度や用いる粘着剤にもよるが60mN/m以上80mN/m以下の範囲にあることから、後述の親水化処理等の表面処理後の本発明のフィルムの、偏光膜と貼り合せる側の面の表面エネルギーとしては、50mN/m以上80mN/m以下が好ましく、60mN/m以上75mN/m以下がより好ましく、65mN/m以上75mN/m以下が更に好ましい。
[親水化処理等の表面処理]
本発明のフィルム表面の親水化処理は、公知の方法で行うことが出来る。例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torr(0.133〜2660Pa)の低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。上記のような条件においてプラズマ励起されるプラズマ励起性気体としては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[アルカリ鹸化処理]
これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアセテートフィルムの表面処理としては極めて有効である。処理方法として、以下の方法が挙げられる。
(1)浸漬法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/lであり、特に好ましくは1〜2mol/lである。好ましいアルカリ液の液温は25〜70℃、特に好ましくは30〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、フィルムの両面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
一方、浸漬法では保護フィルムが反射防止層を有する場合、その主面までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる反射防止層の受けるダメージの指標として、反対側の主面の支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に支持体がセルローストリアセテートであれば、好ましくは20度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。この範囲で、反射防止フィルムの受けるダメージに実害が無く、かつ偏光膜との接着性を保持できる。
(2)アルカリ液塗布法
上述の浸漬法における反射防止フィルムへのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を反射防止フィルムを有する主面と反対側の主面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。アルカリ液及び処理は、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに記載の内容が挙げられる。ただし、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。
[プラズマ処理]
本発明に用いられるプラズマ処理としては、真空グロー放電、大気圧グロー放電等によるものがあり、その他の方法としてフレームプラズマ処理等の方法があげられる。これらは、例えば特開平6−123062号公報、特開平11−293011号公報、同11−5857号公報等に記載された方法を用いることが出来る。
プラズマ処理によれば、プラズマ中においたプラスチックフィルムの表面を処理することで、これに強い親水性を与える事が出来る。例えば、上記のグロー放電によるプラズマ発生装置中においては相対する電極の間にこれらの親水性を付与しようとするフィルムを置き、この装置中にプラズマ励起性気体を導入し、電極間に高周波電圧を印加する事により、該気体をプラズマ励起させ電極間にグロー放電を行わせることにより表面処理が行える。中でも大気圧グロー放電によるものが好ましく用いられる。
[コロナ放電処理]
表面処理のうち、コロナ放電処理は、最もよく知られている方法であり、従来公知のいずれの方法、例えば特公昭48−5043号公報、同47−51905号公報、特開昭47−28067号公報、同49−83767号公報、同51−41770号公報、同51−131576号公報等に開示された方法により達成することができる。コロナ処理に使用するコロナ処理機としては、現在プラスチックフィルム等の表面改質の手段として使用されている市販の各種コロナ処理機の適用が可能であり、中でもSOFTAL(ソフタル)社のマルチナイフ電極を有するコロナ処理機は多数本の電極で構成され、さらに電極の間に空気を送る構造となっており、フィルムの加熱防止やフィルム表面に出てくる低分子の除去等がおこなえるので、エネルギー効率が非常に高く、高コロナ処理が可能となるので、本発明には特に有用なコロナ処理機である。
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板用保護フィルム等の目的で使用するためにはセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面の表面エネルギーを適当な範囲内にすることが必要であり、そのため前述のような表面処理を行う。一方、本発明のセルロースアシレートフィルムに表面処理を行うことにより、セルロースアシレートフィルム中に含有する添加剤の揮散/溶出/分解が発生する可能性があり、セルロースアシレートフィルムの光学性能やフィルム性能や耐久性が劣化する懸念がある。また揮散や溶出が発生する場合には更に処理系を汚染し処理性を低下させてしまい、連続的に処理を行うことができなくなる。そのため添加剤量の低下を抑制することが必要であり、表面処理による添加剤の添加量の変化量は、処理前の添加剤の全添加量の0.2%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることが更に好ましい。
[用途(光学補償フィルム)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムはRe(630)およびRth(630)が0≦Re≦10nmかつ|Rth(630)|≦25nmと光学的異方性が小さく、好ましくは|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35と波長分散が小さいため、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると光学異方性層の光学性能のみを発現することができる。
したがって本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合、併用する光学異方性層のRe(630)およびRth(630)はRe(630)=0〜200nmかつ|Rth(630)|=0〜400nmであることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でも良い。本発明のセルロースアシレートフィルムが使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destradeほか,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,71巻,111頁(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne ほか,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,頁1794(1985);J.Zhangほか,J.Am.Chem.Soc.,116巻,2655頁(1994))に記載の化合物が含まれる。
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、同95/24455号パンフレット、同97/00600号パンフレット、同98/23580号パンフレット、同98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸のような伸張処理により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。また、後述する光学補償フィルムおよび偏光板の生産性の観点から、テンター延伸、または二軸延伸がより好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
[ポリマーの塗布による光学異方性層の形成]
本発明におけるポリマーの塗布による光学異方性層の形成は、溶媒に溶解させて液状化したポリマーを本発明のセルロースアシレートフィルム上に展開して乾燥させ、得られた積層体に、その面内で分子を配向させる処理を施して行うことができる。これにより、所望の光学特性を付与した光学補償フィルムが得られる。分子配向処理としては、伸張処理、収縮処理あるいはこれらの両方が挙げられるが、生産性と制御の容易さの観点から伸張処理が好ましい。この際、本発明のセルロースアシレートフィルムは光学異方性が小さいため、均一な延伸フィルムが形成でき、また光学異方性層による光学補償効果に影響が無く、光学補償フィルムの光学設計も容易となる。
前記ポリマーについては特に限定はなく、光透過性の適宜なものを1種または2種以上用いることができる。中でも、光透過率が75%以上、特に85%以上の透光性に優れるフィルムを形成しうるポリマーが好ましい。またフィルムの安定した量産性等の点より、延伸方向のレターデーションが大きくなる正の複屈折性を示す固体ポリマーが好ましく用いることができる。
ちなみに前記した固体ポリマーの例としては、ポリアミドやポリエステル(たとえば特表平10−508048号公報)、ポリイミド(たとえば特表2000−511296号公報)、ポリエーテルケトンや特にポリアリールエーテルケトン(たとえば特開2001−49110号公報)、ポリアミドイミド(たとえば特開昭61−162512号公報)やポリエステルイミド(たとえば特開昭64−38472号公報)などがあげられる。複屈折性フィルムの形成には、その固体ポリマーの1種、または2種以上を混合したものなどを用いうる。固体ポリマーの分子量について特に限定はないが、一般にはフィルムへの加工性などの点より質量平均分子量に基づいて2000〜100万、好ましくは1500〜75万、さらに好ましくは1000〜50万である。
ポリマーフィルムの形成に際しては、安定剤や可塑剤や金属類等からなる種々の添加剤を必要に応じて配合することができる。また固体ポリマーの液状化には、熱可塑性の固体ポリマーを加熱して溶融させる方式や、固体ポリマーを溶媒に溶解させて溶液とする方法などの適宜な方式を採ることができる。
セルロースアシレートフィルム上に展開したポリマー(展開層)の固体化は、前者の溶融液ではその展開層を冷却させることにより、また後者の溶液ではその展開層より溶媒を除去して乾燥させることにより行うことができる。その乾燥には自然乾燥(風乾)方式や加熱乾燥方式、特に40〜200℃の加熱乾燥方式、減圧乾燥方式などの適宜な方式の1種または2種以上を採ることができる。製造効率や光学的異方性の発生を抑制する点からはポリマー溶液を塗工する方式が好ましい。
前記の溶媒としては、例えば塩化メチレンやシクロヘキサノン、トリクロロエチレンやテトラクロロエタン、N−メチルピロリドンやテトラヒドロフランなどの適宜なものを1種または2種以上用いることができる。溶液は、フィルム形成に適した粘度の点より、溶媒100質量部に対してポリマーを2〜100質量部、好ましくは5〜50質量部、特に10〜40質量部溶解させたものが好ましい。
液状化したポリマーの展開には、例えばスピンコート法やロールコート法、フローコート法やプリント法、ディップコート法や流延成膜法、バーコート法やグラビア印刷法等のキャスティング法、押出法などの適宜なフィルム形成方式を採ることができる。中でも、厚さムラや配向歪ムラ等の少ないフィルムの量産性などの点より、キャスティング法等の溶液製膜法が好ましく適用することができる。とくに、セルロースアシレートフィルム上に、溶媒に溶解させて液状化したポリマーを、共流延法により積層し成膜するのが好ましい。なおその場合、ポリイミドとしては芳香族二無水物とポリ芳香族ジアミンから調製された溶媒可溶性のもの(特表平8−511812号公報参照)が好ましく用いうる。
前記のポリマーを液状化してセルロースアシレートフィルム上に展開し伸張または収縮処理する本発明の製造方法は、セルロースアシレートフィルム上層の展開層の形成過程でRthを制御し、積層体を伸張または収縮処理することにより分子を配向させReを制御する。かかる役割分担方式には、例えば二軸延伸方式等の従来のRzとReを同時的に制御する方法に比べて少ない延伸率で目的を達成でき、RzとReの特性や光学軸の各精度に優れた二軸性光学補償フィルムが得られやすいという設計と製造における利点がある。
前記の分子配向処理は、フィルムの伸張処理または/及び収縮処理として施すことができ、その伸張処理は、例えば延伸処理などとして施すことができる。延伸処理には逐次方式や同時方式等による二軸延伸方式、自由端方式や固定端方式等の一軸延伸方式などの適宜な方式の1種または2種以上を適用することができる。ボーイング現象を抑制する点よりは一軸延伸方式が好ましい。
この際、延伸処理温度は、従来に準じることができ、例えば前記固体ポリマーのガラス転移温度の近傍、ガラス転移温度以上が一般的である。また、本発明の延伸されたセルロースアシレートフィルムのレターデーションをより小さくする目的では、延伸温度はセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgの近傍である方がよく、Tg−20℃以上で延伸することが好ましく、Tg−10℃以上で延伸することがより好ましく、Tg以上で延伸することが更に好ましい。
また、好ましい延伸倍率の範囲としては、延伸前のフィルム長に対する延伸後のフィルム長の倍率で、1.03倍以上、2.50倍以下が好ましく、より好ましくは、1.04倍以上、2.20倍以下であり、更に好ましくは1.05倍以上1.80倍以下である。延伸倍率が1.05倍以下の場合には、前述の光学異方性層を形成する目的から延伸倍率として不足してしまい、また2.50倍以上となる場合には、フィルムの耐久性試験後のカールや光学特性の変化が大きくなってしまう。
一方、収縮処理は、例えば高分子フィルムの塗工形成を基材上で行って、その基材の温度変化等に伴う寸法変化を利用して収縮力を作用させる方式などにより行うことができる。その場合、熱収縮性フィルムなどの収縮能を付与した基材を用いることもでき、そのときには延伸機等を利用して収縮率を制御することが望ましい。
上記の方法により作製される複屈折性フィルムは、液晶表示装置の視野角特性を改善する光学補償フィルムとして好適に用いられ、更に液晶表示装置の薄型化と生産工程数の低減による生産性向上のため、偏光板の保護フィルムとして偏光子に直接貼り合わせた形態で用いることが好ましい。この際、上記の光学補償フィルムを用いた偏光板をより低コストで生産性良く提供できることが求められ、偏光板までの作製工程をより生産性良く低コスト化することが望まれている。ここで、本発明の光学補償フィルムは、光学異方性層の面内のReの発現方向が偏光板の吸収軸に対し直行する方向になるように偏光子と貼り合わせた形態で使用される。また、ヨウ素とPVAからなる一般的な構成の偏光子は縦一軸延伸により作製され、偏光子の吸収軸は長手方向となる。更に、上記の複屈折フィルムからなる光学補償フィルムを用いた偏光板を生産性良く低コストで提供するためには、上記の作製工程を一貫してロールtoロールで行うことがまず求められる。
これらの要因で、とくに生産性の観点から、上記の複屈折フィルムからなる光学補償フィルムの作製方法としては、本発明のセルロースアシレートフィルム上に上記のポリマーからなる展開層を積層した後、展開層のポリマーが幅方向に配向し、幅方向にReが発現するように伸張処理または収縮処理を行うことが好ましい。このようにして作製したロール状の光学補償フィルムを偏光子の保護フィルムとして用いることで、そのままロールtoロールで有効な光学補償機能を有する偏光板の作成を行うことができる。
ここで、本発明におけるロール状のフィルムとは長手方向に1m以上の長さを有し、さらに長手方向に3周回以上巻かれた状態のフィルムを示す。またロールtoロールとは、ロール状のフィルムに対し、製膜や他のロール状フィルムとの積層/貼り合せや、表面処理、加熱/冷却処理、伸張処理/収縮処理、といった実施可能なあらゆる処理を施す前後でロール状の形態を維持することであり、特に生産性やコスト、取り扱い性の観点から、ロールtoロールで処理を行うことが好ましい。
得られる複屈折性フィルムにおけるRthとReの大きさは、固体ポリマーの種類や、液状化物の塗工方式等の展開層の形成方式、乾燥条件等の展開層の固体化方式や、形成する透明フィルムの厚さなどにて制御することができる。透明フィルムの一般的な厚さは、0.5〜100μm、就中1〜50μm、特に2〜20μmである。
また、上記の方法により得られる複屈折性フィルムにおける本発明のセルロースアシレートフィルムの音速、引張弾性率、貯蔵弾性率、光弾性係数等の物性値の搬送方向とフィルム面内で直交する方向/搬送方向の比は前述の範囲内となる。
この方法にて作製した複屈折フィルムはそのまま用いても良いし、粘着剤等によりその他のフィルムに貼合しても良い。
(一般的な液晶表示装置の構成)
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光板の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、および該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys..36巻(1997)143頁や、Jpn.J.Appl.Phys.36巻(1997)1068頁)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムのRe(630)を0乃至150nmとし、Rth(630)を70乃至400nmとすることが好ましい。Re(630)は、20乃至70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth(630)は70乃至250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth(630)は150乃至400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体、または偏光板の保護膜としても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、前記偏光板の保護膜と保護膜と液晶セルの間に配置された光学異方性層のレターデーションの値は、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。またRth(630)値の絶対値|Rth(630)|は、25nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下に設定するのが好ましいため、本発明のセルロースアシレートフィルムが有利に用いられる。
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償フィルムの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.38巻(1999)2837頁)に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償フィルムとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kumeほか, SID 98 Digest 1089頁(1998))に記載がある。
(自発光型表示装置)
本発明による光学補償フィルム、偏光板等は、自発光型の表示装置に設けて表示品位の向上などを図ることもできる。その自発光型の表示装置については特に限定はない。ちなみにその例としては、有機ELやPDP、FEDなどがあげられる。自発光型フラットパネルディスプレイにReが1/4波長の複屈折性フィルムを適用することにより直線偏光を円偏光に変換して、反射防止フィルターを形成することができる。
前記において液晶表示装置等の表示装置の形成部品は、積層一体化されていてもよいし、分離状態にあってもよい。また表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板や保護板などの適宜な光学素子を適宜に配置することができる。かかる素子は、光学補償フィルムと積層してなる上記した光学部材の形態にて表示装置の形成に供することもできる。
(ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。
(写真フィルム支持体)
さらに本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用できる。それらの技術については、特開2000−105445号公報にカラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
(透明基板)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリア性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、あるいは塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079号公報や特開2000−227603号公報などに公開されている。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されない。
[実施例1]セルロースアシレートフィルムの作製
<セルロースアシレート溶液の調製>
表3に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液T−1〜T−11を調製した。
表3 セルロースアシレート溶液成分表(単位:質量部)
Figure 2006291186
<添加剤溶液の調製>
ミキシングタンクに、表4記載の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液U−1〜U−5を調製した。
Figure 2006291186
<セルロースアシレートフィルム試料001の作製>
セルロースアシレート溶液T−1の477質量部に、添加剤溶液U−1の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。調整したドープをバンド流延機を用いて流延した。流延したドープ膜をバンド上で68℃の乾燥風により乾燥させ、残留溶媒含率35質量%の状態でバンドより剥離し、フィルムの幅方向(流延方向に対して直交する方向)の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、残留溶剤含率が10%以下となるまで110℃の乾燥風で乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料001を、長手方向(流延方向)100m、幅方向1mの大きさで作製した。
<セルロースアシレートフィルム試料002の作製>
セルロースアシレート溶液T−2の477質量部に、添加剤溶液U−1の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。流延したドープ膜をドラム上で30℃の乾燥風により乾燥させ、溶媒含有率70質量%の状態でドラムより剥離し、フィルムの幅方向(流延方向に対して直交する方向)の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、残留溶剤含率が10%以下となるまで110℃の乾燥風で乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料002を、長手方向(流延方向)100m、幅方向1mの大きさで作製した。また、セルロースアシレートフィルムの生産性は、フィルム試料001の生産性の約2倍であった。
<セルロースアシレートフィルム試料003の作製>
セルロースアシレート溶液T−2を477質量部に、添加剤溶液U−2の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。作製したドープを使用する以外はフィルム試料002と同様の方法によりセルロースアシレートフィルム試料003を作製した。また、セルロースアシレートフィルムの生産性は、フィルム試料002の生産性と同様に良好であった。
<セルロースアシレートフィルム試料004の作製>
セルロースアシレート溶液T−3を477質量部に、添加剤溶液U−1の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。流延したドープ膜をドラム上で30℃の乾燥風により乾燥させ、溶媒含有率80質量%の状態でドラムより剥離し、フィルムの幅方向(流延方向に対して直交する方向)の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、残留溶剤含率が10%以下となるまで150℃の乾燥風で乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料004を、長手方向(流延方向)100m、幅方向1mの大きさで作製した。また、セルロースアシレートフィルムの生産性は、フィルム試料001の生産性の約2倍であった。
<セルロースアシレートフィルム試料101の作製>
セルロースアシレート溶液T−3を477質量部に、添加剤溶液U−1の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。作製したドープを用い、それ以外はセルロースアシレートフィルム試料002の作製と同様の方法により、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料101を作製した。また、セルロースアシレートフィルムの生産性は、フィルム試料002の生産性と同様に良好であった。
<セルロースアシレートフィルム試料102〜110の作製>
セルロースアシレート溶液T−3と添加剤溶液U−3の代わりに、表5に記載のセルロースアシレート溶液と添加剤溶液の組み合わせを使用する以外は、セルロースアシレートフィルム試料101の作製と同様の方法により、厚み約80μmのセルロースアシレートフィルム試料102〜110を作製した。また、セルロースアシレートフィルムの生産性は、いずれの場合もフィルム試料002の生産性と同様に良好であった。
<セルロースアシレートフィルム試料111の作製>
セルロースアシレート溶液T−3を477質量部に、添加剤溶液U−4の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。流延したドープ膜をドラム上で30℃の乾燥風により乾燥させ、溶媒含有率75質量%の状態でドラムより剥離し、フィルムの幅方向(流延方向に対して直交する方向)の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、残留溶剤含率が10%以下となるまで115℃の乾燥風で乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料111を、長手方向(流延方向)100m、幅方向1mの大きさで作製した。また、セルロースアシレートフィルムの生産性は、フィルム試料001の生産性の約2倍であった。
<セルロースアシレートフィルム試料112の作製>
セルロースアシレート溶液T−3を477質量部に、添加剤溶液U−4の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。流延したドープ膜をドラム上で30℃の乾燥風により乾燥させ、溶媒含有率70質量%の状態でドラムより剥離し、フィルムの幅方向(流延方向に対して直交する方向)の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、残留溶剤含率が10%以下となるまで90℃の乾燥風で乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料112を、長手方向(流延方向)100m、幅方向1mの大きさで作製した。また、セルロースアシレートフィルムの生産性は、フィルム試料001の生産性の約2倍であった。
<セルロースアシレートフィルム試料113の作製>
セルロースアシレート溶液T−3を477質量部に、添加剤溶液U−4の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。流延したドープ膜をドラム上で30℃の乾燥風により乾燥させ、溶媒含有率80質量%の状態でドラムより剥離し、フィルムの幅方向(流延方向に対して直交する方向)の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、残留溶剤含率が10%以下となるまで115℃の乾燥風で乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料112を、長手方向(流延方向)100m、幅方向1mの大きさで作製した。また、セルロースアシレートフィルムの生産性は、フィルム試料001の生産性の約2倍であった。
<セルロースアシレートフィルム試料201の作製>
セルロースアシレート溶液T−11を477質量部に、添加剤溶液U−5の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。作製したドープを用い、それ以外はセルロースアシレートフィルム試料001と同様の方法により、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料201を作製した。また、セルロースアシレートフィルムの生産性は、フィルム試料001の生産性と同等であった。
<セルロースアシレートフィルム試料202の作製>
セルロースアシレート溶液T−1の477質量部に、添加剤溶液U−1の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。このドープを用いる以外はセルロースアシレートフィルム試料101と同様の方法により流延を行い、セルロースアシレートフィルム試料の作成を行った。その結果、ドラム上からのドープ膜の剥離性が悪く、面状が悪く一部がドラム上に残ったままとなってしまい、良好なフィルム試料を作成することができなかった。この際、剥離部のドープ膜の残留溶剤含率は68%だった。また、この際使用したセルロースアシレート溶液の溶剤のI/O値は0.339となった。
Figure 2006291186
<光学性能の評価>
作製した各試料について、本明細書に記載の方法にて、Re(630)、Rth(630)、|Re(400)−Re(700)|及び|Rth(400)−Rth(700)|の光学性能の評価を行った。
<光学性能の湿度依存性の評価>
作製した各試料について、測定時の雰囲気を25℃で10%RH、または25℃で80%RHとし、それぞれの条件下にて6時間以上調湿した試料を用いて測定を行い、得られた光学特性値の差、(Rth)−(Rth)を求めることによりRthの湿度依存性の評価を行った。また、Reについても同様にしてReの湿度依存性の評価を行った。
<フィルム性能の評価>
作製した各試料について、本明細書に記載の方法にて長手方向および幅について引張弾性率、音速及び破壊点伸度、の評価を行った。
<表面処理>
次に、作製した延伸フィルム試料001に対し下記表面処理を行った。
作製した延伸フィルム試料001を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をアルカリケン化した試料を作製した。
<偏光板耐久性の評価>
<偏光板貼合試験>
作製した表面処理後の試料に対し、下記の偏光板貼合試験を行った。すなわち、作製した試料の表面に対し、下記の粘着剤塗布液をそれぞれ20ml/m塗布し、100℃5分乾燥して粘着剤付きフィルム試料とした。
(粘着剤塗布液)
下層塗布液A:
下記水溶性ポリマー(m) 0.5g
アセトン 40ml
酢酸エチル 55ml
イソプロパノール 5ml
上層塗布液B:
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製ゴーセノール
NH−26) 0.3g
サポニン(メルク社製界面活性剤) 0.03g
純水 57ml
メタノール 40ml
メチルプロピレングリコール 3ml
Figure 2006291186
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ30μmの偏光膜を得た。上記の粘着剤付きフィルム試料001に対し粘着剤を塗設した側に偏光膜がくるように貼り付け、さらに偏光膜のもう一方の側に市販のセルロールアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re(630)は3nm、|Rth(630)|は50nm)を上記と同様の方法によりアルカリケン化処理を行った後、粘着剤層を塗設してから貼り合わせて偏光板試料を作製した。
作製した表面処理後のセルロースアシレートフィルム試料002〜004、101〜111、201についても、同様にして偏光板試料を作製した。
<偏光板耐久性1>
作製した偏光板試料の耐久性試験を以下の方法で試験した。すなわち、偏光板試料を60℃で95%RHの条件下に650時間放置し、放置後の偏光度の変化とムラの有無で評価した。偏光度の解消は、耐久性試験後の偏光板試料の偏光度を本文中に記載の方法で測定し、耐久性試験前の偏光度との差を指標とした。また、ムラについては耐久性試験後の偏光板同士をクロスニコルに配置し、目視で確認できるムラについて評価した。
<ムラ>
○:ムラが極めてわずかであり良好
△:ムラがわずかながら見られる
×:ムラが大きい
<偏光板耐久性2>
作製した偏光板試料の耐久性試験を以下の方法で試験した。すなわち、偏光板試料を80℃の条件下に650時間放置し、放置後の偏光度の解消とムラについて、耐久性試験1と同様の方法で評価した。
作製した各試料の評価結果を表6〜表8に示す。なお、表6中、Re(λ)は、Re(630)を、Rth(λ)は、|Rth(630)|を、ΔRe(λ)は|Re(400)−Re(700)|を、ΔRth(λ)は|Rth(400)−Rth(700)|を表す。
Figure 2006291186
Figure 2006291186
Figure 2006291186
[実施例2]光学補償フィルム
(光学補償フィルム試料002の作製)
2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'一ジアミノビフェニルから合成されたポリイミド(重量平均分子量(Mw)6万)の17重量%シクロヘキサノン溶液を上記で作製したセルロースアシレートフイルム試料001上に塗布し、95℃で12分間乾燥処理して、残存溶媒量が6重量%で、厚さが6μm、|Rth(630)|が233nmであり、Re(630)が0nmの透明フィルムを得た後、試料001フィルム上に積層した状態で高分子フィルムのガラス転移温度(Tg)−5℃で18%の横一軸延伸処理を行い、Re(630)が55nm、|Rth(630)|が238nmの光学異方性層を有する光学補償フィルム001を得た。
(光学補償フィルム試料002〜004、101〜111、201の作製)
また、セルロースアシレートフィルム試料002〜004、101〜111、201についても、同様の方法により光学補償フィルム試料を作製した。
<アルカリケン化処理>
得られた光学補償フィルム試料001に対し、実施例1と同様の方法によりアルカリケン化処理を行い、表面処理済み光学補償フィルム試料001を作製した。
(試料002〜003、101〜111、201の作製)
また、光学補償フィルム試料002〜003、101〜111、201についても、同様の方法により表面処理済み光学補償フィルム試料002〜003、101〜111、201を作製した。
(偏光板作製)
上記の表面処理済み試料001〜004、101〜111、201に対し、偏光板試料001の作製法と同様にして、偏光板試料を作製した。この際、表面処理済み試料の貼り合わせる面としては、表面処理済み試料の光学異方性層が塗設されていない側のセルロースアシレートフィルム表面に粘着剤層を設け、粘着剤層を塗設した面と偏光膜と貼り合わせ、さらに偏光膜のもう一方の側に市販のセルロールアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re(630)は3nm、|Rth(630)|は50nm)を上記と同様の方法によりアルカリケン化処理を行った後、粘着剤層を塗設して貼り合わせ、偏光板試料001〜004、101〜111、201を作製した。
更に、偏光膜の両側に市販のセルロールアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re値は3nm、Rth値は50nm)を上記と同様の方法によりアルカリケン化処理、粘着剤層の塗設、偏光膜との貼り合わせを行い、偏光板試料301を作製した。
(VA型液晶表示装置への実装評価)
<垂直配向液晶セルの作製>
ポリビニルアルコール3質量%水溶液に、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(カップリング剤)を1質量%添加した。これを、ITO電極付きのガラス基板上にスピンコートし、160℃で熱処理した後、ラビング処理を施して、垂直配向膜を形成した。ラビング処理は、2枚のガラス基板において反対方向となるように実施した。セルギャップ(d)が約4.3μmとなるように2枚のガラス基板を向かい合わせた。セルギャップに、エステル系とエタン系を主成分とする液晶性化合物(Δn:0.06)を注入し、垂直配向液晶セルを作製した。Δnとdとの積は260nmであった。
この液晶セルに、上記の偏光板試料001の光学異方性層側を液晶セル側にし、粘着剤により貼り付け、更に液晶セルの片側に対向の偏光板と吸収軸が直交するように偏光板301を粘着剤により貼り付けVA型液晶表示装置を作製した。
そのほかの偏光板試料002〜003、101〜111、201に関しても同様にVA型液晶表示装置を作製した。
<評価試験>
[パネル評価]
<光学補償フィルムの評価および作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
作成した液晶表示装置の透過率の視野角依存性を測定した。抑角は正面から斜め方向へ10°毎に80°まで、方位角は水平右方向(0°)を基準として10°毎に360°まで測定した。黒表示時の輝度は正面方向から抑角が増すにつれ漏れ光による上昇が見られ、抑角70°近傍で最大値をとることがわかった。また黒表示時の輝度が増すことで、コントラストが悪化することもわかった。そこで、正面の黒表示時の輝度と抑角60°の輝度の方位角0〜360°における最大値の差を光漏れ量として、視野角のコントラスト変化を評価することにした。
光漏れ=(抑角60°の輝度の最大値)−(正面の輝度)
また、耐久性試験として、60℃90%で150時間の処理を行った後の表示ムラの観察を行った。ムラはパネルの四隅に主に発生していた。
得られた結果を表9に示す。
Figure 2006291186
表9の結果から、本発明の試料を用いることで、液晶表示の視野角特性がよく、また、パネルに現れるムラも少ないことが分かる。
<ムラ評価>
○:ムラが極めてわずかであり良好
△:ムラがわずかながら見られる
×:ムラが大きい
以上の結果より、本発明のセルロースアシレートフィルムは、高い弾性率と低いレタデーション(Re、Rth)を両立し、結果的に偏光板の保護フィルムとして使用した場合の耐久性と、液晶表示装置用の偏光板の保護フィルムとして使用した場合の視野角特性と経時でのムラに対し効果があることがわかった。一方、製造方法が本発明の条件を満たさない場合には、高い弾性率と低いレタデーション(Re、Rth)を両立できず、または脆性が不十分で取り扱い性に懸念があり、結果的に偏光板性能や、液晶表示装置の偏光板として使用した場合の表示性能や、これらの耐久性におとることがわかった。
[実施例3](IPS型液晶表示装置への実装評価)
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム試料001を用いて、液晶表示装置へ実装評価してその光学性能が十分であるか確認した。なお本実施例ではIPS型液晶セル、他の実施例ではVA型、OCB型液晶セルを用いるが、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板または光学補償フィルムの用途は液晶表示装置の動作モードに限定されることはない。
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム試料001から作製した実施例2に示した偏光板試料001に対し、アートンフィルム(JSR社製)を一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能を持たせた。この際、光学補償フィルムの正面レターデーションの遅相軸を偏光板試料001の透過軸と直交させることで、正面特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムの正面レターデーションRe(630)は270nm、膜厚方向のレターデーションRth(630)は0nmでNzファクターは0.5のものを用いた。
作製した上記の偏光板001と光学補償フィルムの積層体を2組作製し、光学補償フィルムが各々液晶セル側となるように、「偏光板001と光学補償フィルムの積層体+IPS型の液晶セル+偏光板001と光学補償フィルムの積層体」の順番に重ね合わせて組み込んだ表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板001の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
同様にして、実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム試料002、101〜111,201についても、偏光板001と同様にして、実施例2と同様の方法により偏光板を作製後、光学補償フィルムを貼合した積層体を2組用意して、IPS液晶セルと組み込んだ表示装置を作製した。
作成した液晶表示装置の輝度の視野角依存性を実施例2と同様の方法で測定した。その結果、本発明のフィルム試料を用いた液晶表示装置はいずれも光漏れ率が小さく、コントラスト変化が少なく、また、表示装置の色味変化が小さくなった。これは本発明のセルロースアシレートフィルム試料のRe、Rthが小さく、更に波長分散性が優れている(波長依存性が小さい)ために、どの波長においても同様の光学補償性能を持つことを示している。これらのことより、本発明の製造方法により作製されたセルロースアシレートフィルムを用いた液晶表示装置は、実施例2に示した偏光板の性能と同様にいずれも良好な表示性能を得られることが分かった。
また、耐久性試験として、65℃95%で200時間の処理を行った後の表示ムラの観察を行った。ムラはパネルの四隅に主に発生していた。作製した各フィルム試料からなるパネルを実施例2と同様にして評価したところ、本発明の試料では、例2と同様に耐久性試験後のパネルに現れる経時ムラも実施例2と同様に少ないことが分かった。
[実施例4](VA型、OCB型液晶表示装置への実装評価)
実施例1で得た本発明の各セルロースアシレートフィルム試料を用いて、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置での評価をしたところ、本発明の実施例においては、いずれの場合においてもコントラスト視野角と色味視野角が良好であり、また耐久性試験後のムラについても良好な性能が得られた。
[実施例5](光学補償フィルム性能)
実施例1で得た本発明の各セルロースアシレートフィルム試料を用いて、特開平7−333433号公報の実施例1に記載の方法により光学補償フィルム試料を作製した。得られたフィルターフィルムは左右上下に優れた視野角を有するものであった。したがって、本発明のセルロースアシレートフィルムが、光学的用途として優れたものであることが判った。
本実施例より、2種類以上のアルコール系溶剤と本発明の化合物とを含有するセルロースアシレート溶液を用い、また流延工程における乾燥条件を規定の範囲内とすることで、光学的に等方的であり、さらに弾性率の高いセルロースアシレートフィルムを作製することができ、偏光板等の保護フィルムとして用いた場合に、偏光板性能と耐久性に優れ、品質の高い偏光板を作製可能であることがわかった。さらに、本発明のセルロースアシレートフィルムを支持体として用いた偏光板を使用することにより、液晶表示装置等のパネルの光学補償フィルムとして、視野角特性と耐久性に優れる光学補償フィルムを提供できることがわかった。一方、2種類以上のアルコール系溶剤を使用しない場合には弾性率が低く結果的に偏光板性能の耐久性が不十分であり、また流延工程における乾燥条件が規定の範囲とならない場合には、Rthがより上昇し、また破断点伸度/破断強度とも低下し、脆性が不十分で取り扱い性に問題があることがわかった。

Claims (15)

  1. フィルムの幅方向、長手方向のうち少なくともいずれか一方の引張弾性率が450kgf/mm(4410MPa)以上であり、かつフィルムのレターデションが下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    式(1) 0nm≦Re(λ)≦10nm
    式(2) −25nm≦Rth(λ)≦25nm
    ここで、Re(λ)、Rth(λ)は、それぞれ波長λnmで測定したフィルムの正面レターデションRe、および膜厚方向のレターデーションRthを表し、λは400nm〜700nmである。
  2. フィルムの幅方向と長手方向の引張弾性率の比が下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1記載のセルロースアシレートフィルム。
    式(3) 長手方向の引張弾性率/幅方向の引張弾性率 ≧ 1.1
  3. 前記セルロースアシレートフィルムの正面レターデーションRe(λ)および膜厚方向のレターデーションRth(λ)(λは波長(nm)を示す)が、更に下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。
    式(4)(Re)−(Re)≦10nm
    (Rth)−(Rth)≦30nm
    (ここで、(Re)は25℃、10%RHの条件下でのRe(630)、(Re)は25℃、80%RHの条件下でのRe(630)、(Rth)は25℃、10%RHの条件下でのRth(630)、(Rth)は25℃、80%RHの条件下でのRth(630)を示す。)
  4. 透湿度が1800g/m・day以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  5. アシレート置換度が2.50以上3.00以下であるセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  6. 少なくとも2種類のアルコール系溶剤と、少なくとも1種類の分子量が3000以下であってかつlogP値が0〜10である化合物とを含有するセルロースエステル溶液を支持体上に流延して支持体表面にセルロースエステル膜を形成する流延工程と、セルロースエステル膜を支持体表面より剥離する剥離工程と、剥離したセルロースエステル膜中の残留溶剤含率R(%)と剥離後の乾燥工程の乾燥風温度T(℃)との関係が、Rが60%以上の範囲では下記式(5)を満たす乾燥条件で乾燥する乾燥工程とを含む製造方法によって得られたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
    式(5) 5000≦T×R≦10000
  7. 前記分子量が3000以下であってかつlogP値が0〜10である化合物が、下記一般式(1)〜一般式(7)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項6記載のセルロースアシレートフィルム。
    Figure 2006291186
    [一般式(1)中、R1はアリール基を表す。RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、少なくとも一方はアリール基である。また、アルキル基およびアリール基はそれぞれ置換基を有していてもよい。]
    一般式(2)
    Figure 2006291186
    [一般式(2)中、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にアルキル基を表す。また、アルキル基はそれぞれ置換基を有していてもよい。]
    一般式(3)
    Figure 2006291186
    [一般式(3)中、R、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。X、X、XおよびXは、それぞれ、単結合、−CO−および−NR−(Rは置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。a、b、cおよびdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。Qは(a+b+c+d)価の有機基を表す。]
    一般式(4)
    Figure 2006291186
    [一般式(4)中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R1、R2およびR3の炭素原子数の総和は10以上である。]
    Figure 2006291186
    [一般式(5)中、R4およびR5は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。R4およびR5の炭素原子数の総和は10以上である。]
    Figure 2006291186
    [一般式(6)中、R1は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、R2は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。L1は、2価〜6価の連結基を表し、nはL1の価数に応じた2〜6の整数を表す。]
    一般式(7)
    Figure 2006291186

    [一般式(7)中、Rは水素原子、脂肪族アシル基または芳香族アシル基を表す。R、RおよびRはそれぞれ水素原子、脂肪族基または芳香族基を表す。]
  8. 少なくとも2種類のアルコール系溶剤と、少なくとも1種類の分子量が3000以下であってかつlogP値が0〜10である化合物とを含有するセルロースエステル溶液を支持体上に流延して支持体表面にセルロースエステル膜を形成する流延工程と、セルロースエステル膜を支持体表面より剥離する剥離工程と、剥離したセルロースエステル膜中の残留溶剤含率R(%)と剥離後の乾燥工程の乾燥風温度T(℃)との関係が、Rが60%以上の範囲では下記式(5)を満たす乾燥条件で乾燥する乾燥工程とを含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
    式(5) 5000≦T×R≦10000
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムに、正面レターデーションRe(λ)および膜厚方向のレターデーションRth(λ)(λは波長(nm)を示す)が下記式を満たす光学異方性層を積層したことを特徴とする光学補償フィルム。
    0≦Re(630)≦200nm、かつ0≦|Rth(630)|≦400nm
  10. 前記光学異方性層がポリマーフィルムを含有することを特徴とする請求項9に記載の光学補償フィルム。
  11. 固体ポリマーを溶媒に溶解させて液状化し、これを請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム上に展開して乾燥させた後、伸張処理および/または収縮処理を施して面内で分子を配向させたことを特徴とする請求項10に記載の光学補償フィルム。
  12. ポリマーフィルムにおけるポリマーが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項10または11に記載の光学補償フィルム。
  13. 請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは請求項9〜12のいずれかに記載の光学補償フィルムの少なくとも1枚を偏光子の保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板。
  14. 請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、請求項9〜12のいずれかに記載の光学補償フィルム又は請求項13に記載の偏光板、のいずれかを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
  15. 請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、請求項9〜12のいずれかに記載の光学補償フィルム又は請求項13に記載の偏光板、のいずれかを用いたことを特徴とするVAまたはIPSモードの液晶表示装置。
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