JP2006290830A - 皮膚閉鎖環境用エアゾール組成物及びエアゾール - Google Patents

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Abstract

【課題】 ギプス等で固定された皮膚は長期間にわたり閉鎖環境に置かれ、汗や垢により皮膚表面で菌が繁殖し、臭いや痒みが発生し易い。
【解決手段】5〜10重量部の低級アルコールと、10〜35重量部の水と、0.05〜15重量部の皮膚用薬剤及び50〜70重量部の噴射剤を含ませて皮膚閉鎖環境用エアゾール組成物とする。また、このエアゾール組成物を密閉容器に充填して皮膚閉鎖環境用のエアゾールとする。皮膚閉鎖環境にエクステンションチューブ4等を挿入し、このエアゾール組成物を噴射して供給する。この皮膚閉鎖環境において適度な冷却作用が生じ、発生する痒みの不快感を解消することができ、痒みの抑制効果を持続させ、また良好な消臭性を発揮することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、人体の皮膚表面における閉鎖環境となる部分で発生する臭い、痒み等の不快感を解消するための組成物に関する。特に、医療分野で長期間人体に適用されるギプス、キャスト、スプリント等の外固定材や、四肢や体幹に適用される装具の適用部位における臭い、痒み等を解消するために用いるものに関する。
従来から、骨折、捻挫、脱臼の治療や予防のために、水硬化性樹脂を使用したギプス、キャスト、スプリント等の外固定材が、患部に当てて固定したり、支持したり、保護したりして使用されている。また、四肢の機能の補助や不随意運動の防止、変形の予防や矯正のために、使用者の患部形状に合わせて成形された装具が使用されている。
これらの外固定材や装具は、人体における皮膚閉鎖環境を作り出し、さらに長期間適用されることが多いため、汗や垢により皮膚表面で菌が繁殖し、臭いや痒みが発生し易いという問題があった。
こうしたことから、キャスト内の皮膚炎症を除去するために、湿気吸収物質としてタルクと、抗菌物質としてトリクロサンを含有するスプレーが提供されている。(特許文献1)
しかし、タルクのような粒径の大きなものは、噴射時の拡散性が低く、広範囲への適用が困難であり、皮膚表面における拡散性も低い。また、湿気を吸収して凝集するため、使用中にスプレーの噴射ノズルが詰まり易い。さらに、繰り返しこのスプレーを使用した場合、多くのタルクが皮膚表面に蓄積され、このタルク中に水分が保持され易くなる結果、閉鎖環境内での放湿性が低下し、皮膚表面にべたつき感が生じる場合がある。
米国特許第5098693号明細書
また、市販されている汗や皮脂の臭いを抑えるための制汗エアゾール剤は、腋や胸元など開放された部位に使用されるもので、爽快感を与えるために冷却効果が非常に高く設定されている。その為、高い爽快感が得られるが、ギプスなどの皮膚閉鎖環境で使用した場合には、急激な温度低下を引起し、凍傷傾向になる可能性がある。また、過度の冷却によって、皮膚の生理機能に作用し、血流量があがって、温熱感を引き起こし却って痒み発生の原因となることもある。
本発明は、皮膚閉鎖環境内で適度の冷却効果を与えて、その効果が持続でき、皮膚用薬剤の皮膚への浸透性が高く、この閉鎖環境において発生する臭い、痒み等の不快感を解消することができる皮膚閉鎖環境用エアゾール組成物およびエアゾールを提供しようとするものである。
本発明は、5〜10重量部の低級アルコールと、10〜35重量部の水と、0.05〜15重量部の皮膚用薬剤と、50〜70重量部の噴射剤を含むようにすることによって皮膚閉鎖環境で使用することができるエアゾール組成物が提供され、またこのエアゾール組成物を密閉容器に充填することによって皮膚閉鎖環境用のエアゾールが提供され、上記の課題が解決される。
本発明によれば、皮膚閉鎖環境にこのエアゾール組成物を噴霧して供給すると、適度な冷却作用が生じ、閉鎖環境となる部分で発生する痒みの不快感を解消することができ、痒みの抑制効果を持続させ、また良好な消臭性を発揮することができる。
さらに、薬剤の皮膚への拡散性が高く、臭い、痒みの抑制効果が皮膚表面の広い部分で十分に発揮される。
また、上記医療分野に限らず、スポーツ分野、健康分野で使用するサポーターや、靴、靴下、ストッキング、おむつ等の装着により、長時間に亘って閉鎖環境となる部位の臭いや痒みを解消するためにも有効に使用することができる。
本発明の皮膚閉鎖環境用エアゾール組成物は、低級アルコールと、水と、皮膚用薬剤と、噴射剤を含んでいる。また、必要に応じて、その他の調整剤を添加することができる。
上記低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコールを挙げることができ、エタノールまたはイソプロパノールが好ましく、特にエタノールが好ましい。これらの低級アルコールは単独で使用してもよいし、2種以上のものを組み合わせて使用することもできる。
低級アルコールの配合量は、約5〜10重量部程度とする。5重量部より少ないと、噴射剤を含む組成物が一液化せず、均一な噴射ができない場合がある。また10重量部より多いと、過度の皮膚刺激を起こす可能性がある。
組成物中の水の配合量は、約10〜35重量部程度で、好ましくは、20〜30重量部である。10重量部より少ないと、組成物中の低級アルコール、噴射剤の配合量が相対的に増えるため、低級アルコールや噴射剤の影響により皮膚刺激を起こす可能性があり、また35重量部より多いと、水の蒸散性が悪い閉鎖環境に水分が残存して皮膚浸軟の可能性がある。
上記噴射剤としては、皮膚用薬剤に対して分解や変質等の影響を与えないものがよく、具体的にはエーテル系噴射剤(例えばジメチルエーテル等)、液化石油ガス(例えばエタン、プロパン、エチレン、イソブタン、ノルマルブタン、プロピレンなどのように容易に液化するガスまたはこれらの混合ガス等)、フロロカーボン(例えばフロロカーボン、クロロフロロカーボン、ブロモクロロフロロカーボンなど)、圧縮ガス(例えば二酸化炭素、窒素、空気またはこれらの混合ガス等)、またはフロンガス(例えばモノクロロジフルオロエタン、テトラフルオロエタン等)を例示することができる。なお、これらの噴射剤は単独で使用してもよいし、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはジメチルエーテルまたは液化石油ガスであり、特に好ましくはジメチルエーテルで、冷却作用を含めた使用感に優れている。
噴射剤の配合量は約50〜70重量部程度である。50重量部より少ないと噴射圧が低く、十分な冷却効果を得ることができないことがあり、又、組成物中に溶解または分散させている噴射剤以外の成分がエアゾール容器から噴射されずに残る可能性がある。また70重量部より多いと、高い噴射圧によって過剰冷却になり、痛みを感じたり、凍傷傾向になる可能性がある。
皮膚用薬剤は、組成物中に約0.05〜15重量部程度、好ましくは、0.1〜10重量部配合される。この皮膚用薬剤としては、痒み抑制に有効な物質や、保湿、老化防止、美白等の目的で皮膚の生理機能を調整する物質が挙げられる。
上記痒み抑制に有効な物質としては、例えば、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸モノグリコール、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ステアリル、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸メチル、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリセリン、グリチルレチン酸ピリドキシン、ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル、塩酸ピリドキシン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、ナフトール、メントール(L−メントール、DL−メントール)、カンフル(D−カンフル、DL−カンフル)、インドメタシン、フェルビナク、グアイアズレン、ピロキシカム、ケトプロフェン等が挙げられる。
上記保湿、老化防止、美白等の目的で皮膚の生理機能を調整する物質としては、例えば、油、多価アルコール、親水性高分子等が挙げられる。
上記油としては、植物油、鉱油、動物油及び合成油からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
植物油としては、例えば、ティーツリー油、ユーカリ油、ハッカ油、チョウジ油、ケイヒ油、ペパーミント油、ミント油、ラベンダー油、ローズマリー油、オレンジ油、オリーブ油、オリーブスクワラン、マカデミアナッツ油、ホホバ油、アーモンド油、落花生油、ひまし油、やし油、パーム油、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、硬化やし油、硬化パーム油、アボガド油、杏仁油、グレープシード油等を挙げることができる。特に、ティーツリー油、ユーカリ油、ハッカ油、チョウジ油、ケイヒ油、ペパーミント油、ミント油、ラベンダー油、ローズマリー油、オレンジ油等の芳香性の精油が好適に使用できる。
鉱油としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ナフテン油等を挙げる事ができる。
動物油としては、例えば、ラノリン、タートル油、ミツロウ、スクワレン、プリスタン等を挙げることができる。
また、合成油としては、例えば、グリセリントリ−2−エチルヘキサノエート等の脂肪酸トリグリセライド;ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、アミノシリコン等のシリコーンオイル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル等のエステル類;等を挙げることができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
また、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体を使用することができる。
上記の親水性高分子としては、天然親水性高分子、半合成親水性高分子、合成親水性高分子が使用できる。
天然親水性高分子としては、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、デンプン(例えばコメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子等が挙げられる。
半合成親水性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えばカルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(例えばメチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース等);アルギン酸系高分子(例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
合成親水性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えばポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えばポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えばポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
その他の生理機能を調整する物質として、例えば、デオキシリボ核酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、キチン、キトサン、アミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ヒドロキシプロリン、ベタイン、スフィンゴ脂質、セラミド、ビタミン類、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、γ-オリザノール、コエンザイムQ10、大豆イソフラボン、ポリフェノール、カテキン、アルブチン、トラネキサム酸、グルタチオン等を使用できる。又、その他の生理活性を与える物質として、ステビア、アロエ、米糠、ヨモギ、へちま、ローヤルゼリー等から抽出した動植物エキス等が使用できる。
その他必要に応じて、界面活性剤、粉体、pH調整剤、防腐剤、抗菌剤、香料、着色剤その他の調整剤を適宜配合することができる。
界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤が利用できる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー等のエーテル型;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型;脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型などを挙げることができる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石けん、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩;等を挙げることができる。
上記した粉体としては、例えば、ポリアクリル酸アルキルエステル系共重合体パウダー、ポリメタクリル酸アルキルエステル系共重合体パウダー等のアクリル系パウダー、ナイロンパウダー、フッ素コーティングパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、シルクパウダー、セルロースパウダー、マイカ、セリサイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。特に、アクリル系パウダー、ナイロンパウダー、フッ素コーティングパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素等の非水溶性の粉体は、エアゾール組成物の噴射後、皮膚表面にあって水を吸収せず、べたつき感を生じさせないので好ましく用いることができる。
これらの粉体の形状は、例えば球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等適宜のものでよい。
pH調整剤としては、公知のアルカリ金属水酸化物、有機酸の緩衝液が使用できる。正常な皮膚は通常pH4.0〜7.0であるので、pH調整剤でこの範囲に調整することが好ましい。
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸アルキルエステル、イソプロピルメチルフェノール、フェノキシエタノール等を用いるとよい。
また、必要に応じて、公知の抗菌剤、香料、着色剤を使用することができる。
この皮膚閉鎖環境用エアゾール組成物を、バルブやボタン等を有する公知のエアゾール容器1に充填、密封することによって、皮膚閉鎖環境用のエアゾールを製造することができる。
この皮膚閉鎖環境用エアゾール組成物は、まず噴射剤を除いた上記各成分を上記の割合で混合する。そして、この混合物を公知の方法でエアゾール容器に充填し、次いで噴射剤を充填すればエアゾールを得ることができる。
上記エアゾール容器1は、例えばアルミニウム、ブリキ、ステンレス等の金属、硝子、プラスチックなどの耐圧性の材質のものを用いることができる。容器の耐圧性、耐衝撃性、耐腐蝕性、製剤安定性を向上又は改善するために、樹脂コーティング又は金属コーティングをすると好ましいことがある。
エアゾール容器、組成物を噴射させるためのエアゾール容器1内に内蔵されたバルブ(図示略)、噴射ボタン3等の各孔径、形態、サイズ等は、内容物の組成や使用部位に応じて適宜に設定することができる。容器の容積は、通常約30〜400cm程度が好ましく、さらに好ましくは約50〜200cm程度である。容器の高さは約5〜15cm程度、直径は約3〜5cm程度が使い易い。
このエアゾールは、使用する際にキャップ2を外し、噴射ボタン3にエクステンションチューブ4を取り付けるようにすれば、このエクステンションチューブ4をギプス6、キャスト、スプリント等の固定材と皮膚表面の間に挿入することによって、上記ギプス6等で覆われている患部へエアゾール組成物を容易かつ的確に噴霧し、適用することができる(図2)。このエクステンションチューブ4は、約5〜20cm程度の長さがあると使い易い。
このエクステンションチューブ4から噴射された皮膚閉鎖環境用エアゾール組成物は、皮膚表面に広く拡散するようにするのが好ましく、拡散範囲の直径が約4.5cm以上あるようにすると好ましい。こうした拡散性を得るために、必要によりエクステンションチューブ4の先端に拡散用チップ5を取り付けるようにするとよい。
この皮膚閉鎖環境用のエアゾールを噴射した場合、噴射された部分の皮膚表面温度が20℃以上低下し、且つ表面温度が−20℃以下にならないようにすることが好ましい。表面温度が20℃以上低下しないと冷却による痒み抑制効果が得難く、表面温度が−20℃以下に低下すると、過剰冷却により痛みを生じ、凍傷状態になる可能性がある。
エアゾールを噴射すると、エアゾール組成物が対象部位に広く拡散し、先ず噴射剤による冷却作用によって即効的に痒みが抑制される。次いで低級アルコールと水の気化が始まり、その気化熱により冷却効果を持続させることができ、併せて消臭、殺菌、抗菌の作用が働く。さらに、噴射によって送り込まれた皮膚用薬剤は皮膚表面に付着して残留し、これによって痒みや臭いの発生を持続的に抑制しているものと推定される。
(実施例1)
図3に示す配合に基づいて、噴射剤以外の成分(図3において原液と表示している)を常法に従って混合調整し、高さ122mm、直径35mmのアルミニウム製のエアゾール耐圧容器にこの原液を充填し、次いで噴射剤のジメチルエーテルを所定量充填しエアゾールを作成した。
(実施例2、実施例3)
図3に示す配合組成に従って配合し、その他は実施例1と同様にしてエアゾールを作成した。
(評価試験)
上記実施例について、下記する比較例を用意し、下記する評価方法に従って評価試験を行った。
(比較例1、比較例2)
図3に示す配合組成に従って配合し、その他は実施例1と同様にしてエアゾールを作成した。
(比較例3)
上記特許文献1に挙げた米国特許第5098693号明細書の実施品と考えられる市販の「Castblast(キャストブラスト)」(商品名,タッグインダストリーズ社製)タルク含有エアゾールを使用した。
(比較例4)
市販の制汗エアゾール剤「エイトフォー(8×4)」(商品名,花王株式会社製)を使用した。
(評価方法)
(1)皮膚刺激性評価
成人7名に対して、実施例及び市販品を含む比較例のエアゾール組成物約30μlを皮膚感作テスト用テープ(商品名:フィンチャンバー,大正富山薬品社製)の濾紙に滴下し、それを被験者の上腕部内側に貼付し24時間放置する。その後テスト用テープを剥がし、その時点から、1時間、24時間、48時間後の皮膚状態を観察し、紅斑、浮腫、丘疹、小水疱、大水疱等の反応があるか否かを調べ、反応の程度によって以下の3段階評価し、該当人数の多い評価を評点とした。
○:反応なし
△:紅斑あり
×:浮腫、丘疹、小水疱、大水疱あり
(2)組成物の相溶性評価
エアゾール組成物中の各成分が均一に溶解又は分散しているかを、組成物を耐圧ガラス容器に充填し評価した。
○:組成物中の成分が均一に溶解又は分散している
×:組成物中の成分が均一に溶解又は分散しない
(3)冷却性評価
温度23℃、湿度65%の恒温・恒湿度の部屋にて以下の試験を実施した。
先ず厚さ5mm、内径5cm、外径6cm、長さ40cmアクリル樹脂性シリンダー内に水780mlを入れて蓋をし、そのシリンダーを32℃の恒温槽にて6時間以上加温する。
次に加温したシリンダーを恒温槽から取り出し、シリンダーの外表面中央にアルミシールを貼付し、その上に熱電対式温度計を載置し、さらにその上からアルミシールを貼付して固定する(熱電対:日本計量器工業株式会社製。温度計:安立計器株式会社製データコントローラー。)。2分間静置後、熱電対の温度を測定し、その時の温度を初期表面温度として記録する。
その後、熱電対の上方3cmから2秒間エアゾールを噴射し、噴射終了後から計測される最低温度と3分経過後の温度とを記録する。また、初期表面温度と最低温度との差を記録する。上記噴射は、エアゾール容器1の噴射ボタン3に、先端に拡散用チップ5を有する長さ11cmのエクステンションチューブ4を取り付け実施した(以下同じ)。
(4)拡散性評価
温度23℃、湿度65%の恒温恒湿度の部屋にて、エアゾールの噴射口から15cmの距離に、縦30cm×横30cmの正方形で厚さ0.5mmのゴム膜を設置し、1秒間噴射したときエアゾール組成物が広がった範囲の縦、横の長さを計測した。
(5)使用感の官能評価
成人7名に対し、手首にチューブ状の綿包帯を被せ、その上からポリエステル不織布包帯を巻き、さらにその上から水硬化性キャスト材(商品名:キャストライトα,アルケア株式会社製)を10cm幅で3.6m分巻いて硬化させキャストで手首を固定した。キャスト装着3日目から、チューブ状の綿包帯の下にエクステンションチューブを挿入しエアゾールを2秒間噴射した。その時の使用感を次の3段階で評価し、該当人数の多い評価を評点とした。
○:痒みが長時間抑制され非常に心地よい
△:痒みが抑制され心地よい
×:過冷却により痛みを感じる
(6)消臭評価
試験に先立って0.005%のイソ吉草酸水溶液をマグネチックスターラーが入った500ml三角フラスコに5μl滴下し、栓をする。120分間マグネチックスターラーを回転させた後、被験者(6人)の鼻をフラスコ開口に近づけ、開栓した後、以下の9段階の不快度を評価したところ、被験者6人の平均点は−2.3点であった。この−2.3点と評点されたイソ吉草酸水溶液を使用し、消臭性を次のように評価した。
この0.005%のイソ吉草酸水溶液5μlとマグネチックスターラーが入った500ml三角フラスコに、上記実施例及び比較例のエアゾール組成物を0.5g含浸させたポリエステル不織布(8cm×6cmの長方形、重量0.5g)を、フラスコの栓に吊り下げた状態で封入する。
120分間マグネチックスターラーを回転させた後、被験者の鼻をフラスコ開口に近づけてもらい、開栓した後、前述の下記9段階で評価し、被験者6人の平均点を評点とした。
+4:極端に快
+3:非常に快
+2:快
+1:やや快
0:快でも不快でもない
−1:やや不快
−2:不快
−3:非常に不快
−4:極端に不快
(評価結果)
上記評価試験の結果を図4に示す。
(考察)
実施例1〜3においては、全ての評価試験項目において良好な結果が得られている。すなわち、皮膚刺激性がなく、組成物の相溶性もよく、適度な冷却効果が得られたため、使用感も良好であった。特に、3分後の表面温度の結果から、冷却作用が持続することが分かる。また、エアゾール組成物の拡散性や消臭効果も良好な結果を示している。
一方、比較例1では、噴射剤が組成物中で均一に原液に溶解せず2層に分離した。
比較例2では、皮膚刺激が感じられ、皮膚刺激性の評価において良好な結果が得られなかった。比較例3及び比較例4では、最低温度が低く、過冷却による痛みの発生があり、凍傷の前兆状態と感じられた。また、使用感も好ましいものでなかった。比較例4では、冷却性が持続し難い。
このように、比較例1〜4においては、全ての評価試験項目を充足するような良好な結果を得ることができていない。
本発明の皮膚閉鎖環境用エアゾールの斜視図である。 本発明の皮膚閉鎖環境用エアゾールの使用状態を示す説明図である。 本発明の実施例及び比較例の配合組成を示す図表である。 実施例及び比較例の評価試験の結果を示す図表である。
符号の説明
1 エアゾール容器
2 キャップ
3 噴射ボタン
4 エクステンションチューブ
5 拡散用チップ
6 ギプス

Claims (4)

  1. 5〜10重量部の低級アルコールと、10〜35重量部の水と、0.05〜15重量部の皮膚用薬剤及び50〜70重量部の噴射剤を含む皮膚閉鎖環境用エアゾール組成物。
  2. 上記低級アルコールがエタノール、噴射剤がジメチルエーテルである請求項1記載の皮膚閉鎖環境用エアゾール組成物。
  3. 非水溶性の粉体をさらに含有する請求項1または2記載の皮膚閉鎖環境用エアゾール組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の組成物を密閉容器に充填した皮膚閉鎖環境用エアゾール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012120986A1 (ja) * 2011-03-09 2012-09-13 興和株式会社 エアゾール容器用噴射装置および靴用エアゾール製品
KR101566545B1 (ko) 2013-07-17 2015-11-06 윤덕중 깁스에 의한 가려움증 해소장치
KR102420180B1 (ko) 2022-01-24 2022-07-14 대구보건대학교산학협력단 쿨링 깁스

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