JP2006287093A - インダクタンス部品およびその製造方法 - Google Patents

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仁 石本
Shinya Matsutani
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Abstract

【課題】高周波特性に優れた小型低背型のインダクタンス部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】コイル11と、このコイル11の芯部に形成したスルホール部16と、多層磁性体層1を備え、前記多層磁性体層1は前記スルホール部16の内壁とコイル11の上面及び下面に連続して配置したインダクタンス部品において、前記多層磁性体層1は第一の金属層3と、第一の金属磁性体層4と、中間層5と、第二の金属磁性体層6からなる積層構造とし、且つ前記中間層5が磁性相と金属酸化物相からなるグラニュラ膜で構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば携帯電話等の電源回路などに用いられるインダクタンス部品およびその製造方法に関するものである。
従来この種の電源回路、例えば携帯電話に用いられる電源回路は図5のようになっている。図5に示すように、電池101は入力電圧として4Vの電池を用い、電源回路の出力として2Vの出力電圧を得ることがこの電源回路では可能である。ここで、コイル102はチョークコイルと呼ばれ、このコイルを電源回路に入れることで安定した出力電圧を得ることができる。また、より出力電圧を安定化させるためにはコイル102のインダクタンスを大きくする必要がある。これにより、図5に示す電源回路は、より直流安定化された出力電圧を供給することができる。
また、一般的にコイル102のインダクタンスを大きくするためにはコイル102のコア断面積を大きくするとともに巻き数を多くする必要があり、その結果コイル102は大きな容積となってしまうという問題点があった。さらに、スイッチング周波数も高周波化が進み、数MHzで用いられる電源回路も出てきており、このスイッチング周波数の高周波化に伴ってコア損失の低減が求められている。
また、電子機器の小型低背化の要求に対して、更なるインダクタンス部品の小型低背化が求められており、例えば基板上の設置面積が5mm×5mm以下で厚さ1mm以下のインダクタンス部品が必要とされるとともに、電子機器の低電圧、大電流化に対応できる許容電流の大きなインダクタンス部品の要求が大きくなってきている。
前記問題点を解決するために、図6に示すようなインダクタンス部品が提案されている。このインダクタンス部品は、コイル111を多層磁性膜112で絶縁状態で挟持させ、磁性体113を充填したスルホール部114を前記コイル111の側面及び中央に配置した構成を有しており、このコイル111は銅などの高導電率材料を板状に巻くことで形成されるためにコイル111を薄くすることができる(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−223636号公報
しかしながら、前記従来の構成ではスルホール部114の中を磁性体113で形成するため、その磁性体113の断面積は大きなものとなる。このコイル111に電流を流すと、スルホール部114を垂直方向に貫く磁束が生じることによって磁性体113の水平面に渦電流が生じる。しかしながら、磁性体113の断面積が大きいことから、この渦電流が大きくなってしまい、結果としてスルホール部114を垂直方向に貫く磁束を打ち消してしまうことになる。その結果として、高周波帯域で用いることが困難であるという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、渦電流損失が少なく、小型低背化しても高周波特性に優れたインダクタンス部品およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、コイルと、このコイルの芯部に形成したスルホール部と、多層磁性体層を備え、前記多層磁性体層は前記スルホール部の内壁とコイルの上面及び下面に連続して配置したインダクタンス部品において、前記多層磁性体層は第一の金属層と、第一の金属磁性体層と、中間層と、第二の金属磁性体層からなる積層構造とし、且つ前記中間層が磁性相と金属酸化物相からなるグラニュラ膜で構成したインダクタンス部品とするものである。
本発明のインダクタンス部品およびその製造方法は、コイルのスルホール部の内壁に形成した磁性相を多層磁性体層とすることによって、磁性相の厚さ方向の断面積を小さくすることができるとともに、中間層に磁性を有する高抵抗なグラニュラ膜で構成することによって渦電流損失の少ない磁気特性を有する多層磁性体層を実現することにより、小型低背化しても高周波特性に優れ、十分にインダクタンスの大きいインダクタンス部品およびその製造方法を実現することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品およびその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品の斜視図であり、図2は図1のA−A部における断面図である。また、図3はインダクタンス部品の多層磁性体層1の拡大断面図である。
図1〜図3において、本実施の形態1におけるインダクタンス部品の構造はコイル絶縁部2の中に内蔵されるようにコイル11を配置しており、このコイル絶縁部2はコイル11がショートするのを防ぐためである。また、このコイル11は例えば銅や銀などの高導電率材料を樹脂フィルムなどからなるコイル絶縁部12の上にめっき法などでパターニングしながら薄型の平面コイルパターンを形成することができる。この他に、スパッタリングあるいは蒸着などによって薄型の平面コイルパターンを形成することができる。
そして、このコイル11は二段の平面コイルで形成しており、上段のコイル11はインダクタンス部品の一方の側面にある端子部10bから芯部へ向かって渦巻き状に巻かれた後、中心部でスルホール電極15を介して下段のコイル11に移り、他方の側面に設けた端子部10aに向かって今度は渦巻き状に広がるように形成している。
なお、このコイル11の上段と下段のコイルパターンの巻き軸は同じ方向でなければならない。これによって、コイル11の上段と下段で磁束を打ち消し合うことなくスルホール電極15を介してコイル11の上段から下段に電流が流れ、大きなインダクタンス値を実現することができる。
なお、このような構成の平面コイルパターンを順次積層することによって、より大きなインダクタンスを有する薄型の平面コイルを実現することができる。
さらに、この他にもコイル11の形成方法としては、大電流に対応できるコイルを実現するためには銅線の加工あるいは薄板状の金属板を加工した後、コイル絶縁部2に埋設することによりコイル11を形成することも可能である。そして、このコイル11の厚み(断面積)は用いられる用途の電子機器により異なるが、少なくとも大電流に対応するためには10μm以上の厚みが好ましい。
次に、前記コイル11の芯部にはスルホール部16を設けるとともに、このスルホール部16の内壁には多層磁性体層1を設けている。
さらに、この多層磁性体層1はコイル11の上面と下面にもスルホール部16に設けた多層磁性体層1に連続して設けている。
次に、この多層磁性体層1の構成について図3を用いて詳細に説明する。
この多層磁性体層1は平面コイルが埋設されたコイル絶縁部2の上に無電解めっきなどにより第一の金属層3を設け、この第一の金属層3の上に電解めっきなどによって第一の金属磁性体層4を形成する。この第一の金属層3は第一の金属磁性体層4を電解めっき法で形成しやすくするために設けたものであり、導電性に優れたCuなどの金属が好ましく、さらに磁性を有するFe、Ni、Coを用いることが磁気特性の観点からより好ましい。従って、磁性を有しないCuなどの金属を用いるときは第一の金属層3の厚みは薄いことが望ましい。
また、この第一の金属磁性体層4をFe、Ni、Coのうちの少なくとも一つを用いることが磁気特性の観点からより好ましい。
次に、前記第一の金属磁性体層4の上に電解めっきなどによって磁性相8と金属酸化物相9からなるグラニュラ膜である中間層5を形成する。このグラニュラ膜は、例えば磁性相8と絶縁性を有する金属酸化物相9が相分離した状態で存在する膜構造をしており、特にここでのグラニュラ膜構造とは強磁性を有する金属相が微細な粒子として絶縁体相中に分散した状態、あるいは強磁性を有する金属相が絶縁体相に包み込まれた状態で存在するような膜構造を表すものである。このような膜構造を有するグラニュラ膜としては、「Fe−M−O」(Mは3A族元素および4A族元素から選択される一種以上の元素)で表されるグラニュラ膜、「Co−M−O」(Mは3A族元素および4A族元素および5A族元素から選択される一種以上の元素)で表されるグラニュラ膜があり、特に中間層5に含まれる磁性相8としてはFe、Ni、Coからなる群のうちの少なくとも一つを含む金属組成の磁性相8が磁束密度、磁気損失の観点から好ましい。
また、特にFeとNi、Coからなる群のうちの少なくとも一つを含むFe系合金すなわちFeNi、FeCo、FeNiCoのうち少なくとも一つを含む組成の磁性相8とすることにより高透磁率を実現できることからインダクタンスのより大きなインダクタンス部品とすることができる。さらに、その磁性相8の平均粒径を1000Å以下、より好ましくは500Å以下とした場合、優れた磁気特性(低保磁力;Hc<10Oe、高透磁率;μ>500)を実現できる中間層5を形成できることから、よりインダクタンスの大きいインダクタンス部品を得ることができる。
また、中間層5に含まれる金属酸化物相9として金属酸化物がZn、Ce、Mn、Cu、Fe、Ni、Coからなる群のうちの少なくとも一つを含む金属酸化物組成とすることにより、これらの金属酸化物相9をめっき法により形成することが可能になり、スルホール部16の内壁とコイル11の上下面に一括して形成できることから生産性に優れるとともに磁気特性の観点からも好ましい。
また、中間層5の比抵抗値を500μΩcm以上という比抵抗の大きな中間層5を実現することも可能であり、このような比抵抗値を有する中間層5を実現することにより、高周波特性に優れたインダクタンス部品を実現することができる。
また、この中間層5は第一の金属磁性体層4と第二の金属磁性体層6とを隔てるように設けており、この中間層5の比抵抗を第一および第二の金属磁性体層4、6より大きくすることによって、第一の金属磁性体層4と第二の金属磁性体層6にまたがる渦電流を遮断することができる。そのとき、中間層5の比抵抗値が500μΩcm以上であれば特にその効果は顕著となる。さらに、この中間層5を磁性相8を有するグラニュラ膜で構成することで、中間層5の上に形成する第二の金属磁性体層6を第一の金属磁性体層4と同じめっき法で形成するための給電層の役割を果たすことができるものである。
さらに、この中間層5の厚みは磁気特性の観点から薄いことが望ましく、例えばチョークコイルなどで30A程度の電流を流したいときには、この中間層5の厚みは1μmもあれば十分その機能を発揮することができる。
次に、この中間層5の上に電解めっきによって第二の金属磁性体層6を形成するが、その構成は第一の金属磁性体層4と同様である。ここで、多層磁性体層1の第一および第二の金属磁性体層4、6の組成は必ずしも同じである必要はなく、前記の通り主成分がFe、Ni、Coからなる群のうち少なくとも一つを含むことでその効果は得られる。
なお、この多層磁性体層1をいかなる方法で積層しても同じ効果が得られることは言うまでもない。
また、中間層5と第二の金属磁性体層6の積層体を基本として、この積層体を2層以上に積層することにより、よりインダクタンス値が大きく、且つ高周波特性に優れたインダクタンス部品とすることができる。
前記構成のインダクタンス部品について、以下その動作を説明する。
コイル11は、十分な長さの導電経路を有しており、さらには二段構造で巻き軸方向も一致していることから、電流をコイル11に流すと、強い磁束を得ることができ、インダクタンス部品のインダクタンスを大きくすることができる。これによって、小型低背化しても十分にインダクタンスの大きいインダクタンス部品を得ることができる。
また、コイル11は断面が円形ではなく四角形で構成していることから、コイル11の断面積を大きくすることによって高占積率なコイル11を実現しており、コイル11に発生する損失(銅損)も低減できる。
そして、このコイル11に電流を流すとインダクタンス部品には磁束が生じる。この磁束はスルホール部16の内壁と、コイル11の上面及び下面の面内方向に生じることによって渦電流が生じる。しかしながら、本発明のインダクタンス部品は、スルホール部16の内壁とコイル11の上面及び下面を多層磁性体層1で形成し、この多層磁性体層1は第一の金属層3と、第一の金属磁性体層4と、磁性相と金属酸化物相からなるグラニュラ膜で形成した中間層5と、第二の金属磁性体層6の積層構造とすることによって、多層磁性体層1の厚さ方向に生じる渦電流を抑制することができることから、高周波特性に優れた小型低背型のインダクタンス部品を実現することができる。
さらに、コイル11の上下面に設けている多層磁性体層1はスルホール部16の内壁に設けた多層磁性体層1を介して連続した積層膜として形成することができることにより、磁気ギャップが無くなるとともに漏洩磁束もより少なくなり、さらにインダクタンス値の大きなインダクタンス部品とすることができる。
なお、図2ではこのスルホール部16の隙間には絶縁層7を充填しているが、磁性体および樹脂フェライト等で充填することも可能であり、より磁気特性の向上が期待できる。
また、上下面の多層磁性体層1の一部あるいはスルホール部16の内壁に設けられている多層磁性体層1の一部に、スリットおよび切り欠きを入れることで高周波域での渦電流損失をさらに抑制することが可能となり、より高周波特性の向上が期待できる。
また、このような構成を有する多層磁性体層1はめっき法で一括して形成することが容易にできることから、生産性に優れたインダクタンス部品を提供することができる。例えば、スルホール部16の直径が1mm以下で、深さが0.1mm以上のスルホール部16にスパッタ、蒸着等で多層磁性体層1を形成することは困難であるが、めっき法で形成することにより容易に形成することができるインダクタンス部品とすることができる。
なお、コイル11は図2に示したような二段ではなく一段あるいは三段以上であっても良いことは言うまでもない。
また、絶縁層7は絶縁性を確保するという役割から、少なくとも多層磁性体層1の表層を被覆していれば良い。この絶縁層7はインダクタンス部品が実装基板などに搭載された場合、ショートするのを防ぐためである。そして、この絶縁層7の材料としてはエポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂あるいはこれらの混合物等の有機樹脂材料が好ましい。さらに、耐熱性と機械的強度を高めるために無機フィラーを混合しても良い。
以上のような構成とすることにより、多層磁性体層1の厚さ方向に生じる渦電流を抑制することができることからインダクタンス値を大きくすることができるとともに、インダクタンス部品からの発熱も抑制することができる。さらに、コイル11を平板状に形成することにより、より低背型のインダクタンス部品を実現することができるとともに、コイル11を多段にすることにより低背化しても十分にインダクタンス値の大きいインダクタンス部品を実現することができる。
また、このコイル11は銅あるいは銀などを用いてめっきで形成することができ、コイル11の断面が四角形であることから高占積率を有する低背型のコイル11を得ることができる。
特に、このようなパターニング技術により微細な電極パターンを平面上に形成することができることから、実施の形態1の構成に比較してより低背型のインダクタンス部品を実現することができる。
次に、このインダクタンス部品の製造方法について詳細に説明する。
前記構成を有するインダクタンス部品の製造方法は図4の製造フローチャートに示す製造プロセスを経て製造することができる。
まず、第一の工程Aとして、ポリイミドフィルムなどの基板の片面にコイル11の下段のコイルパターンになるようにレジスト膜を形成した後、銅あるいは銀などの高導電率を有する金属をめっき法により数10μmの厚みになるようにめっきすることによりコイル11の下段のコイルパターンを形成する。次に、形成したコイル11の下段のコイルパターンの上に再度レジスト膜を設けるとともに、スルホール電極15を形成する箇所にはエッチングなどによって孔加工をしておき、その後コイル11の上段のコイルパターンとスルホール電極15を形成するためのレジスト膜を基板の他面に形成し、再び前記めっき法により銅あるいは銀などの金属を数10μmの厚みになるように形成してコイル11の上段のコイルパターンとスルホール電極15を形成する。
その後、コイル11を絶縁する保護膜を形成することによって、図2に示したシート状のコイル絶縁部2に埋設されたコイル11を製造することができる。
次に、第二の工程Bとして、シート状のコイル11を形成した後、コイル11の芯部にパンチャーあるいはレーザー加工、エッチング加工などの方法により孔あけ加工によってスルホール部16を形成する。
次に、第三の工程Cとして、コイル絶縁部2の上下面とスルホール部16の内壁に連続した多層磁性体層1を形成する。そのために、平面コイルが埋設されたコイル絶縁部2の表層に第一の金属層3として無電解めっきを用いて、厚み0.2〜0.5μmのNi層を形成する。
次に、この第一の金属層3を給電層としてこの上に電解めっきにより厚みが20μmのFe−Ni合金を第一の金属磁性体層4として形成する。このFe−Ni合金膜の形成に用いるめっき浴にはFe−Ni合金膜を形成するために必要な金属イオンを溶解させておくことが好ましい。このめっき浴を用いて通常の電解めっき法によってFe−Ni合金膜を形成するが、陽極を分離しためっき装置や磁場中でめっきを行う等の工夫をすることで磁気特性に優れたFe−Ni合金膜を形成することが可能となる。
次に、この第一の金属磁性体層4の上に、電解めっきにより磁性相8と金属酸化物相9からなるグラニュラ膜を中間層5として形成する。このグラニュラ膜の形成に用いるめっき浴には磁性相8を形成するために必要な金属イオンと、金属酸化物相9を形成するために必要な金属イオンとを混合して溶解させておく。さらに、めっき浴の各種添加剤として、応力緩和剤、ピット防止剤、錯化剤を入れておくことが好ましい。この応力緩和剤としてはサッカリンが有名であり、スルホン酸塩を含有する物質でその効果を発揮することができる。また、錯化剤としては各種金属イオンを安定化するためにアミノ酸、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸をはじめとした有機分子や無機分子を含有させることで金属イオンと安定な錯体を形成することができる。
このようなめっき浴を用いて、析出膜近傍のpHを金属酸化物が発生しやすくなるpH3.5以上とし、Fe、Co、Ni等の金属が析出する電解電位である−0.4V(Ag/AgClを基準電位として)より負の電位に設定することが望ましい。このような条件で電位電解および定電流電解を行うことで溶液中から磁性相8と金属酸化物相9の両方を同時に析出させることができるのでグラニュラ膜を形成することが可能となる。
なお、第一の金属磁性体層4と中間層5との密着性を確保するために層間にバッファ層を入れること、あるいは第一の金属磁性体層4の組成を工夫すること、また第一の金属磁性体層4の表面に処理を行う工程を導入するなど様々な工夫を凝らすことで密着性の確保を行うことが可能である。
次に、前記中間層5の上に第二の金属磁性体層6を形成するのであるが、その形成方法は第一の金属磁性体層4の形成方法と同様の製造方法によって形成することができる。
なお、第一および第二の金属磁性体層4、6の一層あたりの厚みはスイッチング周波数によっても異なるが、数100kHzから数10MHzを想定した場合には1μmから50μmが好ましく、さらに中間層5の一層あたりの厚みは中間層5の比抵抗値にもよるが、0.1〜10μmが好ましい。
また、中間層5の比抵抗値も高ければ高いほどよいが、第一および第二の金属磁性体層4、6との比抵抗値の比が103以上とすることがより好ましい。
さらに、前記中間層5と第二の金属磁性体層6の積層体を形成する成膜プロセスを繰り返すことによって、より多層化された多層磁性体層1を製造することができ、よりインダクタンス値の大きなインダクタンス部品を製造することが可能である。
その後、必要に応じてエポキシ樹脂などをこの多層磁性体層1の表面に絶縁層7として被覆することで絶縁保護膜の形成を行うことによって、インダクタンス部品が実装基板などに搭載された場合にもショートすることのないインダクタンス部品の製造法を提供することができる。
次に、第一の工程〜第三の工程を経て、ダイシング工法やエッチング工法を用いて個片化処理を行い、個別のインダクタンス部品を得ることができる。
以上説明してきたような製造方法を実現することによって、設備が比較的安価なめっき装置により製造することが可能となる。すなわち、第一の金属層3を無電解めっきで形成し、この第一の金属層3を給電層として第一の金属磁性体層4を電解めっきで形成し、その後グラニュラ膜である中間層5を電解めっきで形成し、さらにこの中間層5を給電層として、第二の金属磁性体層6を電解めっきで形成することによって、多層磁性体層1の全ての工程をめっきプロセスで製膜することが可能となるものである。さらに、このめっき法を用いることによって成膜速度を速くすることができるとともに、小さな孔径を有するスルホール部16の内壁にも均一な膜質の多層磁性体層1を連続して形成することが可能となる。
以上のように、本発明のインダクタンス部品およびその製造方法によれば、安価な設備で量産性に優れるとともに、中間層5を高抵抗なグラニュラ膜で形成することによって渦電流損失を低減することができることから、小型低背化しても高周波特性に優れ、且つ十分にインダクタンスの大きいインダクタンス部品およびその製造方法を提供することができる。
以上のように、本発明にかかるインダクタンス部品およびその製造方法は、高周波特性に優れるとともに小型低背化しても充分なインダクタンスを有するインダクタンス部品およびその製造方法を実現できることから、例えば携帯用の電子機器の電源回路などに有用である。
本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品の斜視図 同断面図 同多層磁性体層の拡大断面図 同製造方法を説明するための製造フローチャート 従来の電源回路の回路図 従来のインダクタンス部品の断面図
符号の説明
1 多層磁性体層
2 コイル絶縁部
3 第一の金属層
4 第一の金属磁性体層
5 中間層
6 第二の金属磁性体層
7 絶縁層
8 磁性相
9 金属酸化物相
10a 端子部
10b 端子部
11 コイル
15 スルホール電極
16 スルホール部

Claims (14)

  1. コイルと、このコイルの芯部に形成したスルホール部と、このスルホール部の内壁とコイルの上面及び下面に連続して配置した多層磁性体層とを備え、前記多層磁性体層は第一の金属層と、第一の金属磁性体層と、中間層と、第二の金属磁性体層からなる積層構造とし、且つ前記中間層が磁性相と金属酸化物相からなるグラニュラ膜であるインダクタンス部品。
  2. 多層磁性体層を中間層と第二の金属磁性体層からなる積層体を2層以上に積層した多層磁性体層とした請求項1に記載のインダクタンス部品。
  3. 第一の金属層をFe、Ni、Coのうちの少なくとも一つを含んだ金属層とした請求項1に記載のインダクタンス部品。
  4. 第一および第二の金属磁性体層をFe、Ni、Coのうちの少なくとも一つを含んだ金属磁性体層とした請求項1に記載のインダクタンス部品。
  5. グラニュラ膜の磁性相をFe、Ni、Coのうちの少なくとも一つを含んだ磁性相とした請求項1に記載のインダクタンス部品。
  6. グラニュラ膜の磁性相をFeとNi、Coのうちの少なくとも一つを含んだFe系合金からなる磁性相とした請求項1に記載のインダクタンス部品。
  7. グラニュラ膜の金属酸化物相をZn、Ce、Mn、Cu、Fe、Ni、Coのうちの少なくとも一つを含んだ金属酸化物相とした請求項1に記載のインダクタンス部品。
  8. 中間層の比抵抗を500μΩcm以上とした請求項1に記載のインダクタンス部品。
  9. 多層磁性体層の最表面を絶縁層にて被覆した請求項1に記載のインダクタンス部品。
  10. コイルを形成する第一の工程と、このコイルの芯部にスルホール部を形成する第二の工程と、前記スルホール部の内壁とコイルの上面及び下面に連続して配置するように多層磁性体層を形成する第三の工程を少なくとも含むインダクタンス部品の製造方法において、前記多層磁性体層を形成する工程を第一の金属層と、第一の金属磁性体層と、中間層と、第二の金属磁性体層を形成するとともに、前記中間層を磁性相と金属酸化物相からなるグラニュラ膜で形成するインダクタンス部品の製造方法。
  11. 第三の工程において、第一の金属磁性体層の上に、中間層と第二の金属磁性体層の積層体を2層以上に積層して形成する請求項10に記載のインダクタンス部品の製造方法。
  12. 第三の工程において、多層磁性体層の形成をめっき法で形成する請求項10に記載のインダクタンス部品の製造方法。
  13. 第三の工程において、第一の金属層をFe、Ni、Coのうちの少なくとも一つを含んだめっき液を用いて、めっき法で形成する請求項10に記載のインダクタンス部品の製造方法。
  14. 第三の工程において、磁性相と金属酸化物相からなるグラニュラ膜をめっき法で形成する請求項10に記載のインダクタンス部品の製造方法。
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