JP2006284630A - 近赤外線吸収積層体 - Google Patents

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俊一 加藤
Yuko Fujisaki
祐子 藤崎
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Abstract

【課題】 本発明は、耐熱性、耐光性に優れる近赤外線吸収フィルターの形成に好適なコーティング剤であって、且つ近赤外線吸収フィルターの色変化も少ないコーティング剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)及びジイモニウム系化合物(B)を含有する近赤外線吸収性コーティング剤から形成される近赤外線吸収層が、基材に積層されてなる近赤外線吸収積層体であって、耐熱性試験(80℃で500時間静置)前後の波長850nm及び950nmにおける透過率の変化が±10%以下であり、前記耐熱性試験前後のxおよびy値の変化が±0.015以下であり、かつスーパーキセノンフェードメーターによる促進耐光性試験(100W/m、ブラックパネル温度60℃、湿度60%RH、24時間連続光照射)前後の波長850nm及び950nmにおける透過率の変化が±10%以下であり、前記耐光性試験前後のxおよびy値の変化が±0.015以下であることを特徴とする近赤外線吸収積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、近赤外線吸収積層体に関し、詳しくはプラズマディスプレイ装置などの画像出力装置などから発生される近赤外線を吸収し、プラズマディスプレイ装置の外部におかれる種々の電子機器に近赤外線が進入することを防止し、周辺電子機器の誤動作を防ぐ、近赤外線吸収積層体に関する。
近年、大型ディスプレイとして様々な形式のディスプレイが開発、商品化されている。プラズマディスプレイもその1つであり、特に40inchサイズ以上の大型化、薄型化及び軽量化の点から壁掛け用の大型ディスプレイとして注目されている。このプラズマディスプレイは、光源或いは放電部を構成する各々の画素部分の構造的要因により、可視光領域から赤外線波長領域にわたってカラー映像の3原色(赤、緑、青)の波長帯以外の光線を発する。例えば、プラズマディスプレイは、波長が820nm、880nm、980nm付近等に強い近赤外線を放出する。これら近赤外線は周辺電子機器、例えばテレビ、ビデオやクーラーのリモートコントローラー、携帯通信、パソコン等の近赤外線通信機器等の作動波長と合致している。そのためプラズマディスプレイが周辺機器の誤作動を招くという問題が生じる。
そこで、近赤外線を吸収する光学フィルターを利用することが提案されている。このような近赤外線吸収フィルターとしては、2価の銅イオンを含むリン酸塩含有ガラス製フィルターや、ガラス等の表面に金属(例えば銀)の薄い層を蒸着法、スパッター法やイオンプレーティング法その他の方法により形成したフィルターや、近赤外領域の波長を吸収する色素を樹脂中に添加したフィルター等を挙げることができる。
しかしながら、上記のような近赤外線吸収フィルターのうち、リン酸塩含有ガラス製フィルターは、製造が煩雑であり、しかも吸湿性し易いという問題がある。 また、ガラス等の表面に金属の薄い層を設ける場合は、近赤外線領域と比較すれば少ないものの、可視光領域の光も反射してしまうため金属層の膜厚を厚くしすぎると透過率が低下することや、製造コストが高い等の問題がある。
さらに、これらの方法はいずれも共通してガラスを用いるので、得られるフィルターが重く割れやすい、加工が困難等といった問題がある。
これに対し、近赤外線領域の波長を吸収する色素を樹脂中に添加したフィルターは、ガラスを用いたフィルターに比べ軽量であり、製造も簡便であるという様に利点が多い。
近赤外線領域の波長を吸収する色素としては、特許文献1〜3に示されるようなジイモニウム系化合物や特許文献4〜5に示されるようなフタロシアン系化合物等が知られている。
しかし、近赤外線領域の光を吸収する色素には、同時に可視光領域においても吸収を持つものが多く、これら色素を添加した近赤外線吸収フィルターは、多くの場合、近赤外線領域以外にも吸収を有する。可視領域の光の吸収は、プラズマディスプレイ等の画像表示装置にとっては大きな問題となる。従って、近赤外線領域の光を吸収する色素としては、できるだけ可視光領域の吸収の小さいものが望まれる。
近赤外線吸収領域の波長を吸収する色素のうち、ジイモニウム系化合物は、
(1)可視光領域における光吸収率が極めて小さく、
(2)紫外線領域を吸収し、
(3)近赤外線領域に有する極大吸収波長が極めて大きく、
(4)更に近赤外線吸収領域も850〜1200nmと広いので、
プラズマディスプレイ用近赤外線吸収フィルター用の色素としては特に好ましい。
しかしながら、ジイモニウム系化合物は、耐熱性、耐光性に劣るものが多い。
従って、例えばジイモニウム系化合物を各種樹脂に混練・成形して、近赤外線吸収フィルター、即ち近赤外線吸収フィルムを得ようとすると、混練・成形時の熱でジイモニウム系化合物が分解し、得られる近赤外線吸収フィルターの近赤外線領域の吸収が低下してしまう。
近赤外線領域の波長を吸収する色素を樹脂中に添加したコーティング剤を、プラスチックフィルム等の基材に塗布・乾燥し、近赤外線吸収層を設ける方法は、コーティング法、キャスト法等とも呼ばれ、このようなコーティング法の場合、上記の混練・成形法に比べ比較的低温でフィルターを製造することができる。
しかし、プラズマディスプレイは発光体基板表面が約50℃〜80℃となる。従って、その前面板に積層される近赤外線吸収フィルターも長時間加熱されることとなる。その結果、プラズマディスプレイの前面板に積層された後に、近赤外線吸収フィルターを構成する近赤外線吸収層中の色素が熱により分解し、近赤外線領域の吸収が低くなってしまう。更にフィルター自体の色目も緑みを帯びてくるという重大な問題があった。
ジイモニウム系化合物を含有する近赤外線吸収フィルターの耐熱性を改善する方法として、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂とジイモニウム系化合物を含有するコーティング剤の利用が、特許文献1〜2に記載されている(特許文献1:特開2000−206323号公報、特許文献2:特開平11−323121号公報参照)。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂とジイモニウム系化合物を含有するコーティング剤は、耐光性が劣るという問題があった。
また、ジイモニウム系化合物を含有する近赤外線吸収フィルターの耐光性を改善する方法として、メチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂とジイモニウム系化合物を含有するコーティング剤の利用が従来より提案されているが、充分な耐光性が得られず、更に耐熱性が悪いという欠点があった。
また、特定の不飽和単量体を共重合してなるアクリル樹脂と近赤外線吸収性色素を含有するコーティング剤、近赤外線吸収性塗膜が特許文献3〜4に記載されている(特許文献3:特開2002−294721号公報、特許文献4:特開2004−182793号公報)
しかしながら、上記近赤外線吸収色素は主にフタロシアニン系色素に関するものであり、ジイモニウム系色素に関する記載はない。
特開2000−206323号公報 特開平11−323121号公報 特開2002−294721号公報 特開2004−182793号公報
本発明は、可視光域の透過率が高く、プラズマディスプレイ装置から放出される近赤外線を吸収し、周辺電子機器の誤動作防止のための近赤外線吸収積層体であって、耐熱性、耐光性に優れる近赤外線吸収積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)及びジイモニウム系化合物(B)とを組み合わせることによって、これらの欠点を解消し得ることを見出し、本発明を完成した。
即ち、第1の発明は、シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)及びジイモニウム系化合物(B)を含有する近赤外線吸収性コーティング剤から形成される近赤外線吸収層が、基材に積層されてなる近赤外線吸収積層体であって、耐熱性試験(80℃で500時間静置)前後の波長850nm及び950nmにおける透過率の変化が±10%以下であり、前記耐熱性試験前後のxおよびy値の変化が±0.015以下であり、かつスーパーキセノンフェードメーターによる促進耐光性試験(100W/m、ブラックパネル温度60℃、湿度60%RH、24時間連続光照射)前後の波長850nm及び950nmにおける透過率の変化が±10%以下であり、前記耐光性試験前後のxおよびy値の変化が±0.015以下であることを特徴とする近赤外線吸収積層体である。
第2の発明は、共重合体(A)がベンゾトリアゾール基と重合性不飽和基とを有する単量体(a2)及び/又はピペリジニル基と重合性不飽和基とを有する単量体(a3)を構成成分とすることを特徴とする第1の発明に記載の近赤外線吸収積層体である。
第3の発明は、フタロシアニン系化合物(C)及び/又はジチオール金属錯体化合物(D)をさらに含有することを特徴とする第1〜第3の発明いずれか記載の近赤外線吸収積層体である。
第4の発明は、近赤外線吸収性コーティング剤が、シアニン系化合物(G)をさらに含有することを特徴とする第1〜第3の発明いずれか記載の近赤外線吸収積層体である。
第5の発明は、紫外線吸収剤及(E)及び/又はヒンダードアミン系光安定剤(F)をさらに含有することを特徴とする第1〜第4の発明いずれか記載の近赤外線吸収積層体である。
第6の発明は、紫外線吸収層、電磁波吸収層、傷つき防止層、反射防止層、色調補正層、放熱層、耐衝撃層からなる少なくとも1つの層が、基材側及び/又は近赤外線吸収層上に積層されてなる第1〜第5の発明いずれか記載の近赤外線吸収積層体である。
本発明の近赤外線吸収積層体は、近赤外線の波長領域を十分遮蔽でき、且つ高い可視光透過性を持ち、更に優れた耐熱性、耐光性を有しているため、長時間にわたって安定した近赤外線遮蔽効果があり、かつ色目の変化も少なく、プラズマディスプレイパネル用の近赤外線吸収フィルターとしても有効である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるシクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)は、近赤外線吸収性コーティング剤におけるバインダー樹脂を構成するものであり、1種または2種以上を用いることができる。
本発明におけるシクロアルキル基含有単量体(a1)は、脂肪族環状炭化水素構造(以下、脂環構造もしくは単に脂環という)基を有する単量体の意であり、
シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、シクロドデシル基等の脂環構造を1つ有する単量体;
ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンタン基等の複数の脂環構造を有する単量体等が挙げられる。
シクロアルキル基含有単量体(a1)としては、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシルメタアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−プロピルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−アセトキメチルシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−プロピルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−アセトキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、4−プロピルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、4−アセトキシメチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−エチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−プロピルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−ブチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−アセトキシメチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシメチルシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、4−メチルチルシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−アセトキシメチルシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、3−メチルチルシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、3−エチルシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、3−アセトキシメチルシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシメチルシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−メチルチルシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、4−アセトキシメチルシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3−メチルチルシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3−エチルシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3−メトキシシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3−アセトキシメチルシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシメチルシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−1−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,3−ジメチル−1−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,6−ジメチル−1−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−フェニル−1−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−フェニル−3−メチル−1−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−フェニル−4−メチル−1−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−フェニル−5−メチル−1−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−フェニル−6−メチル−1−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、異性体を含むものは、各異性体単独及び/又は各異性体混合物でもよい。これら、シクロアルキル基含有単量体(a1)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)は、近赤外線吸収性コーティング剤から成形される近赤外線吸収層の耐熱性、耐光性を向上させるために、ベンゾトリアゾール基と重合性不飽和基とを有する単量体(a2)及び/又はピペリジニル基と重合性不飽和基とを有する単量体(a3)をシクロアルキル基含有単量体(a1)と共重合してなるものであることが好ましく、ベンゾトリアゾール基と重合性不飽和基とを有する単量体(a2)とシクロアルキル基含有単量体(a1)との共重合体であることがより好ましい。
上記ベンゾトリアゾール基と重合性不飽和基とを有する単量体(a2)としては、下記一般式(1)や一般式(2)で示される単量体が使用できる。なお、これらの単量体はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基、Rはアルキレン基、Rは水素原子又はメチル基を表す。X1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基を表す。)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基、Rはアルキレン基、Rは水素原子又はメチル基を表す。X2は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基を表す。)
上記一般式(1)におけるR及び一般式(2)におけるRのうち、炭素数1〜8の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖式炭化水素基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記一般式(1)におけるR及び一般式(2)におけるRのうち、アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の直鎖状アルキレン基;プロピレン基、2−メチルトリメチレン基、2−メチルテトラメチレン基等の分岐鎖状アルキレン基等が挙げられる。Rとしては炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、またRとしては炭素数2又は3のアルキレン基が好ましい。
上記一般式(1)におけるX及び一般式(2)におけるXのうち、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記一般式(1)におけるX及び一般式(2)におけるXのうち、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ペプトキ基等が挙げられる。
上記一般式(1)で示される単量体としては、例えば2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチル−3′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
上記一般式(2)で示される単量体としては、例えば2−[2′−ヒドロキシ−5′−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)−3′−tert−ブチルフェニル]−4−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
このようなベンゾトリアゾール基と重合性不飽和基とを有する単量体(a2)のうち一般式(1)で示されるものとしては、市販のRUVA−93(大塚化学製)が好適である。
シクロアルキル基含有単量体(a1)と共重合し得る、上記ピペリジニル基と重合性不飽和基とを有する単量体(a3)としては、下記一般式(3)又は一般式(4)で示される単量体が使用できる。なお、これらの単量体はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(式中、Rは水素原子又はシアノ基、R及びRは同一又は異なって水素原子又はメチル基、R10は水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Y1は酸素原子又はイミノ基を表す。)
(式中、R11は水素原子又はシアノ基を表す。R12、R13、R14及びR15は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。Y2は酸素原子又はイミノ基を表す。)
上記一般式(3)におけるR10のうち、炭素数1〜8の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖式炭化水素基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記一般式(3)で示される単量体としては、例えば4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
上記一般式(4)で示される単量体としては、例えば1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトニイル−4−クロトイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
ピペリジニル基と重合性不飽和基とを有する単量体(a3)のうち一般式(3)で示されるものとしては、市販のアデカスタブLA−82、アデカスタブLA−83(いずれも旭電化工業製)、FA−711MM、FA−712HM(いずれも日立化成工業製)が好適である。
シクロアルキル基含有単量体(a1)、ベンゾトリアゾール基と重合性不飽和基とを有する単量体(a2)及びピペリジニル基と重合性不飽和基とを有する単量体(a3)以外に共重合体(A)を得る際に用いることができる、その他の共重合可能な不飽和単量体(a4)としては、例えば
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基を有する不飽和単量体;
2−(メタ)アクリロイオキシエチルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル系不飽和単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート等の活性水素をもつ基を有する不飽和単量体;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ機を有する単量体等のエポキシ基を有する不飽和単量体;
(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の窒素原子を有する不飽和単量体;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の2個以上の重合性二重結合を有する不飽和単量体;
塩化ビニル等のハロゲン原子を有する不飽和単量体;
スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族不飽和単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;
また、ビニルエーテル基とラジカル重合性基とを共に有する単量体も使用できる。例えば(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキイソプロポキシ)プロピルのビニルエーテル等が挙げられる。
また、フッ素原子を有する不飽和単量体も使用できる。例えばフッ素原子を有する不飽和単量体としてはポリフルオロアルキル基又はポリフルオロエーテル基を有するラジカル重合性単量体が挙げられ、パーフルオロアルキル基としては、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロテトラデシル基等が挙げられる。このようなフッ素原子を有する単量体としては、CH=C(CH)COOCH(CFCF、CH=C(CH)COOCHCH(CFCF、CH=CHCOO(CFCF、CH=CHCOOCHCH(CFCF、CH=CHCOOCHCH(CFCF(CF、CH=C(CH)COOCH(OCOCH)CH(CFCF(CF、CH=CHCOOCHCH(OH)CH(CFCF(CF、CH=CHCOOCHCH(CFCF、CH=C(CH)COOCHCHNHCO(CFCF、CH=CHOCONHCO(CFCF(CFCl)CF、CH=CHCOOCHCHN(C)SO(CFCF、CH=CHCOOCHCHCHCH(CFCF、CH=C(CH)COOCHCHN(C)SO(CFCF、CH=CHCOOCHCHNHCO(CFCF、CH=CHCOO(CH(CFCF(CF、CH=CHCOOCH(CF10H、CH=C(CH)COOCH(CF10CFCl、CH=CHCONHCHCHOCOCF(CF)OC、CH=CHCONHCHCHOCOCF(CF)(OCOC等が挙げられる。
上記単量体(a1)〜(a3)以外に用いることができる、その他の共重合可能な不飽和単量体(a4)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)は、すべての単量体成分を100重量%とすると、共重合に使用するシクロアルキル基含有単量体(a1)は、5〜90重量%であることが好ましく、10〜80重量%であることがより好ましく、20〜70重量%であることがさらに好ましい。
共重合に使用するシクロアルキル基含有単量体(a1)が、5重量%未満であると得られる共重合体を含むコーティング剤から形成される近赤外線吸収層の耐熱性、耐光性が充分に向上しないおそれがある。90重量%を超えると、ガラス転移温度が低くなりすぎて耐熱性が悪くなるのみならず、ブロッキング等の問題が発生するおそれがある。
また、すべての単量体成分を100重量%とすると、共重合に使用する、ベンゾトリアゾール基と重合性不飽和基とを有する単量体(a2)やピペリジニル基と重合性不飽和基とを有する単量体(a3)は、0.1〜60重量%であることが好ましく、0.5〜40重量%であることがより好ましく、1〜30重量%であることがさらに好ましい。なお、単量体(a2)及び(a3)を併用する場合は、両方を合わせて上記範囲内であることが好ましい。
0.5重量%未満であると耐熱性、耐光性向上が充分ではなく、60重量%を超えると使用量に対する耐熱性、耐光性向上効果が少なくなり、且つコスト的にも不利になると共に、近赤外線吸収色素の溶解性、安定性が悪くなるおそれがある。
シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)を製造するための重合方法としては、例えば、重合開始剤を用いて、溶液重合、分散重合、懸濁重合、乳化重合等の従来公知の重合方法により行うことができる。溶液重合を行う場合の溶媒としては特に限定されず、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメタン、塩化メチレン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の1種または2種以上を用いることができる。
上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩2,2′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酢酸、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤等の通常のラジカル開始剤が挙げられる。また、この際還元剤として亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、ロンガリット、メタ重亜硫酸ナトリウム等を用いてレドックス系開始剤とすることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。使用量としては、重合体の分子量等、所望する重合体の特性値等から適宜設定すればよいが、例えば、全単量体成分を100重量%とすると、0.01〜50重量%とすることが好ましく、0.05〜20重量%がより好ましい。
また、必要に応じて重合促進剤も使用することができる。かかる重合促進剤としては、例えば種々の遷移金属イオン、具体的には、硫酸第二鉄、硫酸第二銅、塩化第二鉄、塩化第二銅等が挙げられる。
また、前記不飽和単量体を重合させる際、必要に応じて分子量を調節する目的で、連鎖移動剤や調節剤を用いることができる。かかる連鎖移動剤や調節剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メイルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類等があげられる。
前記連鎖移動剤や調節剤の使用量としては、例えば、全単量体成分を100重量%とすると0.01〜10重量%とすることが好ましく、0.02〜5重量%がより好ましい。
上記重合方法における重合条件としては、重合方法により適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、重合温度としては、室温〜200℃とすることが好ましく、40〜140℃がより好ましい。反応時間としては、単量体成分の組成や重合開始剤の種類等に応じて、重合反応が完結するように適宜設定すればよい。
シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)の重量平均分子量は、1000以上、1000000以下であることが好ましい。より好ましくは10000以上、600000以下である。なお、重量平均分子量は、ポリスチレン換算GPCでの測定値である。
本発明において使用するジイモニウム系化合物(B)は、下記一般式(5)で示される構造を有する。
一般式(5)中、R16〜R23はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、水素原子、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はフェニルアルキル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。アルケニル基としてはビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
これらの基に結合する置換基としては、シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;テトラヒドロフリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基エトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリルオキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルオニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、sec−ブチルスルホニルアミノ基、n−ペンチルスルホニルアミノ基、n−ヘキシルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカアルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、sec−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
これらのR16〜R23のうち、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、シアノ置換アルキル基が好ましく、炭素数2〜6の直鎖又は分鎖基を有するアルキル基が特に好ましい。かかる炭素数2〜6の直鎖又は分鎖基を有するアルキル基の具体例としては、例えばエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、iso−アミル基等が挙げられる。
また、R16〜R23の好ましい他の例として、フェニルアルキレン基を挙げることもできる。かかるフェニルアルキレン基のアルキレン基の炭素数は、1〜8であることが好ましい。更にフェニルアルキレン基におけるフェニル基は、置換基を有していなくてもよいが、アルキル基、水酸基、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、ハロゲン置換アルキル基及びハロゲンからなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。好ましくは置換基を有していないフェニル基である。
かかるフェニルアルキレン基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピレン基、フェニル−α−メチルプロピレン基、フェニル−β−メチルプロピレン基、フェニルブチレン基、フェニルペンチレン基、フェニルオクチレン基等が挙げられ、ベンジル基及びフェネチル基が好ましい。
一般式(5)における環A及びBは、1,4−位以外に1〜4個の置換基を有しても、いなくてもよい。
結合しうる置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等のC1〜C5のアルコキシ基が挙げられ、低級アルキルとしては、例えばメチル基、エチル基等のC1〜C5のアルキル基が挙げられる。好ましくはA及びBが置換基を有していないか、ハロゲン原子(特に塩素原子、臭素原子)、メチル基もしくはシアノ基で置換されたのもが好ましい。なお、Bに置換基を有する場合は、4つのB環がすべて同じであるもの、更に、置換基の位置はフェニレンジアミン骨格に結合する窒素原子に対して、m−位であるものが合成上好ましい。更に環A及びBには1,4−位以外に置換基を有していないものが合成上好ましい。
一般式(5)におけるXは、電荷を中和するのに必要なアニオンであり、アニオンが2価である場合には1分子、アニオンが1価の場合には2分子必要になる。これらのアニオンは、例えば有機酸アニオン又は無機アニオン等から選択される。具体的には、有機酸アニオンとしては、例えば酢酸イオン、乳酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、ステアリン酸イオン等の有機カルボン酸イオン;メタスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の有機スルホン酸イオン;及びテトラフェニルホウ酸イオン、ブチルトリフェニルホウ酸イオン等の有機ホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸イオン、ビス(ペンタフルオロエタン)イミド酸イオン、ペンタフルオロエタンスルホントリフルオロメタンスルホンイミド酸イオン、トリフルオロメタンスルホンヘプタフルオロプロパンスルホンイミド酸イオン、ノナフルオロブタンスルホントリフルオロメタンスルホンイミド酸イオン、1,3−ジスルホンニルヘキサフルオロプロピレンイミド酸イオン等のスルホンイミド酸イオン等が挙げられ、好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等のアルキルスルホン酸イオン、アルキルアリールスルホン酸イオン及びスルホンイミド酸イオンが挙げられる。
無機アニオンとしては、例えばフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン;チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イオン及びホウ酸イオン等が挙げられ、好ましいものとしては、過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン及びヘキサフルオロアンチモン酸イオン等が挙げられる。
これらのアニオンのうち、好ましいものとしては、例えば過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン及びスルホンイミド酸イオン等が挙げられる。
これらジイモニウム系化合物(B)の市販品のうち特に好ましいものとしては、「CIR−LR」(日本カーリット株式会社製)、「IRG−068」(日本化薬株式会社製)等があけられる。
本発明で使用される一般式(5)で示されるジイモニウム系化合物(B)は、例えば特公昭43−25335号広報に開示された次の様な方法で得ることができる。すなわち、p−フェニレンジアミンと1−クロロ−4−ニトロベンゼンをウルマン反応させて得られた生成物を還元することにより得られる、下記一般式(6)で表されるアミノ体を有機溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の水溶性極性溶媒中、30〜160℃、好ましくは50〜140℃で、所望のR〜Rに対応するハロゲン化化合物(例えば、Rがi−CのときはBrCHCH(CH)と反応させて、全ての置換基(R〜R)が同一である化合物(以下、全置換体と記す)を得ることができる。また、全置換体以外の化合物を合成する場合には、先に所定のモル数(たとえば一般式(6)のアミン体1モル当たり7モル)の試薬(BrCHCH(CH)と反応させてR〜Rのうち7つにiso−ブチル基を導入した後、残りの置換基(n−ブチル基)を導入するのに必要なモル数(一般式(6)のアミン体1モル当たり1モル)の試薬(BrC)と反応させ、R〜Rのうち7つにiso−ブチル基、残りの置換基にn−ブチル基が導入された化合物を得ることができる。
(式中、環A及びBは前記で定義された通りである。)
その後、上記で合成した化合物を、有機溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の水溶性極性溶媒中、0〜100℃、好ましくは5〜70℃で一般式(5)のXに対応する酸化剤(例えば銀塩)と添加して酸化反応を行う。酸化剤の当量を2当量にすれば本発明の一般式(5)で示されるジイモニウム系化合物が得られる。また上記で合成した化合物を硝酸銀、過塩素酸銀、塩化第二銅塩等の酸化剤で酸化した後、その反応液に、所望のアニオンの酸もしくは塩を添加して、塩交換を行う方法によっても本発明の一般式(5)で示されるジイモニウム系化合物が得られる。
本発明のコーティング剤中に含まれるジイモニウム系化合物(B)の含有量は、本発明の近赤外線吸収コーティング剤により形成される近赤外線吸収層が積層されてなる近赤外線吸収積層体を近赤外線吸収フィルターとして使用する場合、当該近赤外線吸収フィルターの厚さや要求される吸収能により決定される。
吸収能を一定とすれば、形成される近赤外線吸収層の膜厚が薄い場合は、コーティング剤中にジイモニウム系化合物を多く添加する必要があり、逆に形成される近赤外線吸収層の膜厚が厚い場合は、コーティング剤中のジイモニウム系化合物の添加量は少なくて良い。即ち、要求される近赤外線吸収能に応じて、コーティング剤中のジイモニウム系化合物の量及び形成される近赤外線吸収層の膜厚を決定することができる。
例えば、ジイモニウム系化合物(B)の添加量は、本発明のコーティング剤により形成される近赤外線吸収層の単位面積1m当たり、1〜1000mgが好ましく、より好ましくは5〜500mgである。
より具体的には、本発明のコーティング剤は、シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)100重量部に対し、ジイモニウム系化合物を0.1〜10重量部配合することが好ましく、0.5〜5重量部配合することがより好ましい。
ジイモニウム系化合物(B)の配合量が上記範囲未満の場合、所望の近赤外線吸収能を得るためには近赤外線吸収層の膜厚を相当厚くすることが好ましい。一方、ジイモニウム系化合物の配合量が上記範囲を超えると可視光の透過率が低下することがあるので、近赤外線吸収層の膜厚を相当薄くすることが好ましい。
尚、一般式(5)で表されるジイモニウム系化合物(B)は、850〜1200nmの範囲に近赤外線吸収能があり、特に1000nm前後の近赤外線吸収が強く、リモコン等に使用される近赤外線の波長の光以外にも、将来使用が見込まれるコンピューター通信の波長の光をも遮断し、この誤作動の防止にも効果が期待できる。
本発明のコーティング剤には、フタロシアニン系化合物(C)や後述するジチール金属錯体(D)、後述するシアニン系化合物(G)をさらに含有することが好ましい。
本発明において用いられるフタロシアニン系化合物(C)としては、フタロシアニン、フタロシアニン錯体、或いはフタロシアニン及びフタロシアニン錯体であってフタロシアニン骨格のベンゼン環上にOR、SR、NHR、又はNRR′のうちの1種以上有するものである。ここでR、R′は、同一もしくは異なって、置換基を有してもよいフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。なお置換基のうちの1個がNHRで置換されたフタロシアニンであることが好ましい。
本発明において用いられるフタロシアニン系化合物(C)は、下記一般式(7)で表される化合物であることが好ましい。一般式(7)で表される化合物は、溶媒溶解性に優れ、共重合体(A)との相溶性にも優れる。更に、一般式(7)で表されるフタロシアニン系化合物を用いた、近赤外線吸収コーティング剤により形成される近赤外線吸収層が積層されてなる近赤外線吸収積層体を近赤外線吸収フィルターとして使用する場合、特に可視光線透過率が高く、近赤外線吸収効率が高く、かつ耐熱性、耐光性にも優れた近赤外線吸収フィルターを得ることができる。
(式中、αは、同一もしくは異なって、SR28、OR29、NHR30又はハロゲン原子を表し、NHR30を必須とする。R28、R29及びR30は、同一もしくは異なって、置換基を有してもよいフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。βは、同一もしくは異なって、SR28、OR29又はハロゲン原子を表し、SR28、OR29を必須とする。Mは無金属、金属、金属酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。)
上記一般式(7)において、炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基等が挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
上記R28、R29及びR30におけるフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基は、置換基を1個又は2個以上有してもよい。このような置換基としては、例えばハロゲン原子、アシル基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールアミノ基、アリールカルボニルアミノ基カルボニル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
上記一般式(7)中のMにおいて、無金属とは、金属以外の原子、例えば2個の水素原子であることを意味する。具体的には、フタロシアニン構造の中央部分に存在する、置換基を有してもよい、相対する2つの窒素原子に水素原子が結合している構造となる。金属としては、例えば鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、錫等が挙げられる。金属酸化物としては、例えばチタニル、バナジル等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、例えば塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化錫、塩化ケイ素等が挙げられる。Mとしては、金属、金属酸化物又は金属ハロゲン化物であることが好ましく、具体的には、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、鉄、バナジル、ジクロロ錫等が挙げられる。より好ましくは、亜鉛、銅、コバルト、バナジル、ジクロロ錫である。
上記一般式(7)で表されるフタロシアニン系化合物(C)の好ましい形態としては、8個のβのうち4〜8個が、同一もしくは異なって、SR28又はOR29である。より好ましくは、8個のβが全て、同一もしくは異なって、SR28又はOR29である。このようなフタロシアニン系化合物としては、例えば、ZnPc(PhS)(PhNH)、ZnPc(PhS)(PhNH)、ZnPc(PhS)(PhNH)、ZnPc(PhS)(PhCHNH)、ZnPc(PhS)(PhCHNH)、ZnPc(PhS)(PhCHNH)、CuPc(PhS)(PhNH)F、CuPc(PhS)(PhNH)、CuPc(PhS)(PhNH)、VOPc(PhO)(PhCHNH)、VOPc(PhO)(PhCHNH)、VOPc(PhO)(PhCHNH)、VOPc(PhS)(PhCHNH)、VOPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}F、VOPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)、CuPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)、CuPc(PhS){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)、VOPc(4−CNPhO){2,6−Br−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}、ZnPc(2,4−ClPhO){2,6−Br−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}Fの略号で表されるフタロシアニン化合物等が挙げられる。
またこれらの化合物の中でも8個のαのうち4個が、同一もしくは異なってNHR30又はハロゲン原子を表す化合物で、例えば、ZnPc(PhS)(PhNH)、ZnPc(PhS)(PhNH)、ZnPc(PhS)(PhCHNH)、VOPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}F、VOPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)、CuPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)、CuPc(PhS){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)、VOPc(4−CNPhO){2,6−Br−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}、ZnPc(2,4−ClPhO){2,6−Br−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}Fの略称で表されるフタロシアニン化合物等が好ましい。
なお、上記化合物の略号において、Pcはフタロシアニン核を表し、Pcの後には、β位に置換する8個の置換基を表し、その後にα位に置換する8個の置換基を表す。また、上記Phはフェニル基を表す。更に具体的には、上記略号は、中心金属:Pc:β位の8個の置換基:α位の8個の置換基を表す。例えば、VOPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}Fでは、中心金属がVO:フタロシアニン核:β位に2,5−ClPhOが8個置換:α位に2,6−(CHPhOが4個とPh(CH)CHNHが3個とFが1個置換したフタロシアニン系化合物を表す。
上記一般式(7)で表されるフタロシアニン系化合物の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適当に利用することができる。例えば、フタロニトリル化合物を、金属塩、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属から選ばれる一種と環化反応させた後、アミノ化合物と反応させることによって製造される。
上記一般式(7)で表されるフタロシアニン系化合物(C)の市販品としては、例えば、「イーエックスカラーIR10A」、「イーエックスカラーIR12」、「イーエックスカラーIR14」、「イーエックスカラーHA−1」、「イーエックスカラーHA−14」(いずれも日本触媒製)等があけられ、フタロシアニン系化合物の溶媒溶解性、共重合体(A)との相溶性の点より、近赤外線吸収フィルターとして使用する場合の可視光線透過率、近赤外線吸収効率の点より、「イーエックスカラーIR10A」、「イーエックスカラーIR12」、「イーエックスカラーIR14」が好ましい。
本発明の近赤外線吸収コーティング剤中に含まれるフタロシアニン系化合物(C)の含有量は、本発明の近赤外線吸収コーティング剤により形成される近赤外線吸収層が積層されてなる近赤外線吸収積層体を近赤外線吸収フィルターとして使用する場合、当該近赤外線吸収フィルターの厚さや要求される吸収能により決定される。
吸収能を一定とすれば、形成される近赤外線吸収層の膜厚が薄い場合は、コーティング剤中にフタロシアニン系化合物を多く添加する必要があり、逆に形成される近赤外線吸収層の膜厚が厚い場合は、コーティング剤中のフタロシアニン系化合物の添加量は少なくて良い。即ち、要求される近赤外線吸収能に応じて、コーティング剤中のフタロシアニン系化合物の量及び形成される近赤外線吸収層の膜厚を決定することができる。
例えば、フタロシアニン系化合物(C)の添加量は、本発明の近赤外線吸収コーティング剤により形成される近赤外線吸収層の単位面積1m当たり、1〜1000mgが好ましく、より好ましくは5〜500mgである。
より具体的には、本発明の近赤外線吸収コーティング剤は、シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)100重量部に対し、フタロシアニン系化合物を0.1〜10重量部配合することが好ましく、0.2〜5重量部配合することがより好ましい。
フタロシアニン系化合物の配合量が上記範囲未満の場合、所望の近赤外線吸収能を得るためには近赤外線吸収層の膜厚を相当厚くすることが好ましい。一方、フタロシアニン系化合物の配合量が上記範囲を超えると可視光の透過率が低下することがあるので、近赤外線吸収層の膜厚を相当薄くすることが好ましい。
これら一般式(7)で表されるフタロシアニン系錯体化合物(C)は、800〜900nmの近赤外線領域で吸収極大を持ち、且つ可視光領域での吸収が小さいという特徴を持つ。そこでジイモニウム系化合物と組み合わせることにより、両者の相乗効果で800〜1000nmの近赤外線領域を効率良く吸収遮蔽するので、プラズマディスプレイが発する不要な近赤外線を吸収することができる。
また、ジイモニウム系化合物は、一般に他の色素と混合した場合に、その耐熱性が著しく低下することが知られているが、フタロシアニン系化合物との混合においてはジイモニウム系化合物の耐熱性を低下することは少なく、この点においても両者の併用は好ましい。
本発明において用いられるジチオール金属錯体化合物(D)としては、一般的にジチオール金属錯体化合物と呼ばれるものであれば特に限定はないが、具体的には一般式(8)で表される金属錯体化合物である。
(一般式(8)中、R24〜R27は互いに同一もしくは相異なる水素原子、ハロゲン、シアノ基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換又は未置換のアルキル基、あるいは置換又は未置換のアリール基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよい。また、Mはニッケル、白金、パラジウム、又は銅の金属である。これら一般式(8)で表されるジチオール金属錯体化合物(C)は、1種類を使用しても2種類以上を使用してもよい。)
一般式(8)で表されるジチオール金属錯体化合物(D)中、R24〜R27で表される置換基について、以下に具体的に記載する。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
アシル基の例としては、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、p−t−ブチルベンゾイル基等が挙げられる。
アルキルアミノカルボニル基の例としては、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n−プロピルアミノカルボニル基、n−ブチルアミノカルボニル基、sec−ブチルアミノカルボニル基、n−ペンチルアミノカルボニル基、n−ヘキシルアミノカルボニル基、n−ヘプチルアミノカルボニル基、n−オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ−n−プロピルアミノカルボニル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニル基、ジ−sec−ブチルアミノカルボニル基、ジ−n−ペンチルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘキシルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘプチルアミノカルボニル基、ジ−オクチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、iso−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、iso−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、iso−ペンチルオキシカルボニル基、neo−ペンチルオキシカルボニル基、1,2−ジメチル−プロピルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、1,3−ジメチル−ブチルオキシカルボニル基、1−iso−プロピルプロピルオキシカルボニル基、1,2−ジメチルブチルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、1,4−ジメチルペンチロキシカルボニル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピルオキシカルボニル基、1−エチル−3−メチルブチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、3−メチル−iso−プロピルブチルオキシカルボニル基、2−メチル−1−iso−プロピルオキシカルボニル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基等の炭素数2〜20の直鎖又は分岐のアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基の例としては、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、トリオキシカルボニル基、キシリルオキシカルボニル基、クロロフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
置換又は未置換のアルキル基のうち、未置換のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、シクロペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状の炭化水素基が挙げられる。
置換アルキル基とは、上記の未置換のアルキル基の少なくとも1つの水素が種々の官能基に置換されたものである。
例えば、
未置換のアルキル基の水素がアルコキシ基に置換されたアルコキシアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアルコキシアルコキシ基に置換されたアルコキシアルコキシアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアルコキシアルコキシアルコキシ基に置換されたアルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がハロンゲンに置換されたハロゲン化アルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアミノ基に置換されたアミノアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアルキルアミノ基に置換されたアルキルアミノアルキル基やジアルキルアミノアルキル基、
その他アルコキシカルボニルアルキル基、アルキルアミノカルボニルアルキル基、アルコキシスルホニルアルキル基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、メトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、ジメトキシメチル基、ジエトチキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキシエチル基等が挙げられ、
ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ2−プロピル基等が挙げられる。
置換又は未置換のアリール基のうち、未置換のものとしては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、置換アリール基とは、上記の未置換のアリール基の少なくとも1つの水素が種々の官能基に置換されたものである。
例えば、置換フェニル基としては、
クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、フロロフェニル基、ペンタフロロフェニル基、ヨウ化フェニル基等のハロゲン化フェニル基、
トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、ジメチルエチルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、t−ブチルメチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、トリフロロメチルフェニル基等のアルキル誘導体置換フェニル基、
メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、イソプロポキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシフェニル基、メチルエトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、1−メトキシ−5−エトキシフェニル基、1−メトキシ−2−エトキシフェニル基、1−メトキシ−3−エトキシフェニル基、1−メトキシ−4−エトキシフェニル基、1−エトキシ−2−メトキシフェニル基、2−メトキシ−3−エトキシフェニル基、2−メトキシ−4−エトキシフェニル基、2−メトキシ−5−エトキシフェニル基、1−エトキシ−4−メトキシフェニル基、2−メトキシ−3−エトキシフェニル基、ジエトキシフェニル基、エトキシエトキシフェニル基、ジ(エトキシエトキシ)フェニル基、エトキシエトキシエトキシフェニル基、ジ(エトキシエトキシエトキシ)フェニル基、3−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)フェニル基、3−メトキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、3−エトキシ−4(2−メトキシエトキ)シフェニル基、3−エトキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、3−プロポキシ−4−(2−メトキシエトキシ)フェニル基、3−プロポキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、3−iso−プロポキシ−4−(2−メトキシエトキ)シフェニル基、3−iso−プロポキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、2−(2−ヒドロキシ)−3−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル基、クロロメトキシフェニル基、クロロエトキシフェニル基等のアルコキシ置換フェニル基、
メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、t−ブチルチオフェニル基、ジ−tert−ブチルチオフェニル基、2−メチル−1−メチルチオフェニル基等のアルキルチオ基置換フェニル基、
N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N,N−ジプロピルアミノフェニル基、N,N−ジブチルアミノフェニル基、N,N−ジアミルアミノフェニル基、N,N−ジヘキシルアミノフェニル基、N−メチル−N−エチルアミノフェニル基、N−ブチル−N−エチルアミノフェニル基、N−ヘキシル−N−エチルアミノフェニル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルフェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)−エチルフェニル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルフェニル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルフェニル基等のアルキルアミノフェニル基等が挙げられる。
また、置換ナフチル基としては、
クロロナフチル基、ジクロロナフチル基、トリクロロナフチル基、ブロモナフチル基、フロロナフチル基、ペンタフロロナフチル基、ヨウ化ナフチル基等のハロゲン化ナフチル基、
エチルナフチル基、ジメチルエチルナフチル基、iso−プロピルナフチル基、t−ブチルナフチル基、t−ブチルメチルナフチル基、オクチルナフチル基、ノニルナフチル基、トリフロロメチルナフチル基のアルキル誘導体置換ナフチル基、
メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロポキシナフチル基、ヘキシルオキシナフチル基、シクロヘキシルオキシナフチル基、オキチルオキシナフチル基、2−エチルヘキシルオキシナフチル基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシナフチル基、メチルエトキシナフチル基、ジメトキシナフチル基、クロロメトキシナフチル基、エトキシエトキシナフチル基、エトキシエトキシエトキシナフチル基等のアルコキシ基置換ナフチル基、
メチルチオナフチル基、エチルチオナフチル基、t−ブチルチオナフチル基、メチルエチルチオナフチル基、ブチルメチルチオナフチル基等のアルキルチオ基置換ナフチル基、
N,N−ジメチルアミノナフチル基、N,N−ジエチルアミノナフチル基、N,N−ジプロピルアミノナフチル基、N,N−ジブチルアミノナフチル基、N,N−ジアミルアミノナフチル基、N,N−ジヘキシルアミノナフチル基、N−メチル−N−エチルアミノナフチル基、N−ブチル−N−エチルアミノナフチル基、N−ヘキシル−N−エチルアミノナフチル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルナフチル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)−エチルナフチル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルナフチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルナフチル基等のアルキルアミノナフチル基が挙げられる。
置換又は未置換のアリール基としては、これらの他、置換又は未置換のp−ニトロフェニル基、置換又は未置換のピリジル基、置換又は未置換のピロジリル基、置換又は未置換のピペリジル基、置換又は未置換のモルホリン基、置換又は未置換のテトラヒドロピリジル基、置換又は未置換のチオフェニル基、置換又は未置換のイミダゾリル基、置換又は未置換のフリル基等も挙げられる。
一般式(8)で表されるチオール金属錯体化合物(D)のR24〜R27で表される置換基で特に好ましいものは、互いに同一もしくは相異なるアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、t−ブチルメチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N,N−ジブチルアミノフェニル基、エチルナフチル基、ジメチルエチルナフチル基、iso−プロピルナフチル基、t−ブチルナフチル基、t−ブチルメチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロポキシナフチル基、メチルチオナフチル基、エチルチオナフチル基、t−ブチルチオナフチル基、メチルエチルチオナフチル基、ブチルメチルチオナフチル基、N,N−ジメチルアミノナフチル基、N,N−ジエチルアミノナフチル基、N,N−ジプロピルアミノナフチル基、N,N−ジブチルアミノナフチル基等の炭素数3〜20の置換又は未置換のアルキル基、フェニル基或いはナフチル基であり、また、特に好ましいMはニッケルである。
これら一般式(8)で表されるジチオール金属錯体化合物(D)は、800〜900nmの近赤外線領域で吸収極大を持ち、且つ可視光領域での吸収が小さいという特徴を持つ。そこでジイモニウム系化合物と組み合わせることにより、両者の相乗効果で800〜1000nmの近赤外線領域を効率良く吸収遮蔽するので、プラズマディスプレイが発する不要な近赤外線を吸収することができる。
また、ジイモニウム系化合物は、一般に他の色素と混合した場合に、その耐熱性が著しく低下することが知られているが、ジチオール金属錯体化合物との混合においてはジイモニウム系化合物の耐熱性を低下することは少なく、この点においても両者の併用は好ましい。
本発明の近赤外線吸収コーティング剤中に含まれるジチオール金属錯体化合物(D)の含有量は、本発明の近赤外線吸収コーティング剤により形成される近赤外線吸収層が積層されてなる近赤外線吸収積層体を近赤外線吸収フィルターとして使用する場合、当該近赤外線吸収フィルターの厚さや要求される吸収能により決定される。
吸収能を一定とすれば、形成される近赤外線吸収層の膜厚が薄い場合は、コーティング剤中にジチオール金属錯体化合物を多く添加する必要があり、逆に形成される近赤外線吸収層の膜厚が厚い場合は、コーティング剤中のジチオール金属錯体化合物の添加量は少なくて良い。即ち、要求される近赤外線吸収能に応じて、コーティング剤中のジチオール金属錯体化合物の量及び形成される近赤外線吸収層の膜厚を決定することができる。
例えば、ジチオール金属錯体化合物(D)の添加量は、本発明の近赤外線吸収コーティング剤により形成される近赤外線吸収層の単位面積1m当たり、1〜1000mgが好ましく、より好ましくは5〜500mgである。
より具体的には、本発明の近赤外線吸収コーティング剤は、シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)100重量部に対し、ジチオール金属錯体化合物を0.05〜10重量部配合することが好ましく、0.2〜5重量部配合することがより好ましい。
ジチオール金属錯体化合物の配合量が上記範囲未満の場合、所望の近赤外線吸収能を得るためには近赤外線吸収層の膜厚を相当厚くすることが好ましい。一方、ジチオール金属錯体化合物の配合量が上記範囲を超えると可視光の透過率が低下することがあるので、近赤外線吸収層の膜厚を相当薄くすることが好ましい。
また、一般式(1)で表されるジイモニウム系化合物(B)、一般式(7)で表されるフタロシアニン系化合物(C)及び一般式(8)で表されるジチオール金属錯体化合物(D)との配合比は、この順で10:1:1〜1:1:1(重量比)とすると、近赤外線領域の波長を効率良く吸収するので好ましい。
本発明の近赤外線吸収コーティング剤中に含まれるシアニン系化合物(G)の含有量は、本発明の近赤外線吸収コーティング剤により形成される近赤外線吸収層が積層されてなる近赤外線吸収積層体を近赤外線吸収フィルターとして使用する場合、当該近赤外線吸収フィルターの厚さや要求される吸収能により決定される。
本発明において用いられるシアニン系化合物(G)としては、例えば、下記一般式(13)であることが好ましい。
一般式(13)
(式(13)中、R31〜R35は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、その具体例は、先述のものと同様なものが挙げられる。
nは、0以上の整数を表し、通常は、1〜3である。Z、Zは、それぞれ独立に、S原子、O原子、NR36、CR3738である。R36〜R38は、それぞれ独立に、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいフェニル基を表す。その具体例は、先述のものと同様なものが挙げられる。
、Lは、それぞれ独立に、5〜7員環を形成するものであって、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環などの芳香環である。
化合物(G)の具体例としては、例えば日本化薬社製CY17、住友精化社製SD50、林原生物化学研究所社製NK−5706などのシアニン系化合物を好適に用いることができる。上記は一例であり、これらに限定されるものではない。
化合物(G)は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜3.0重量部用いるのが好ましい。
また、本発明の近赤外線吸収コーティング剤には、ジイモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物及びジチオール金属錯体化合物の安定性を低下させない範囲で、他の近赤外線吸収化合物を添加することもできる。かかる、近赤外線吸収化合物としては、シアニン(ポリメチン)系、アズレニウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、オキサジン系、アジン系、トリスアゾトリフェニルアミン系、ナフタロシアニン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、トリフェニル(アリール)メタン系、インドアニリン系、アミニウム系等の近赤外線吸収色素の他、金属銅あるいは硫化銅等の銅塩、酸化亜鉛を主成分とする金属混合物、タングステン化合物、YbPO4、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(錫ドープ酸化アンチモン)等の微粒子を含む、周期律表の4,5又は6族に属する金属の酸化物、炭化物、ホウ化物等の微粒子も添加できる。これらの平均粒径は1μm以下、好ましくは0.2μm以下、更に好ましくは0.1μmであり、これらは単独で加えることもできるし、2種類以上を併用することもできる。
本発明のコーティング剤には、色調補正用色素を用いて色調を調節することも可能である。このような色調補正用色素としては、長時間安定であり後述の溶媒やシクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)に可溶で、可視光吸収領域が狭くそれ以外の波長での透過率が高いものが好ましい。色調補正用色素としては、シアニン(ポリメチン)系、キノン系、アゾ系、インジゴ系、ポリエン系、スピロ系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系等の色素が挙げられるがこれに限られたものではない。
本発明のコーティング剤には、紫外線吸収剤及(E)及び/又はヒンダードアミン系光安定剤(F)を更に含有することができる。
本発明に用いる紫外線吸収剤及(E)、ヒンダードアミン系光安定剤(F)としては、従来公知の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を使用することができる。
例えば、紫外線吸収剤(E)としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
上記サリチル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシート、p−tert−ブチルフェニルサリシート、p−オクチルフェニルサリシートが挙げられる。これらサリチル酸系紫外線吸収剤の市販品としては、SAP(岩城製薬社製)、ザロール(Dow Chem.社製)、ザロールP(八代製薬社製)、TBS(Dow Chem.社製)、Viosorb−90(共同薬品社製)、SEESORB−201、SEESORB−202(いずれもシプロ化成社製)、ブチルザロール(岩城製薬社製)、OPS(イーストマン・ケミカル社製)等が挙げられる。
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4、4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等が挙げられる。
これらベンゾフェノン系紫外線吸収剤の市販品としては、ASL−23、ASL−40(いずれも湘南化学社製)、SEESORB−100、SEESORB−101、SEESORB−101S、SEESORB−102、SEESORB−103、SEESORB−105、SEESORB−106、SEESORB−107(いずれもシプロ化成社製)、ジスライザーO、ジスライザーE(いずれも三協化成社製)、Sumisorb−130(住友化学社製)、DHBA、DOPB(いずれもイーストマン・ケミカル社製)、Viosorb−100、Viosorb−105、Viosorb−110、Viosorb−111、Viosorb−130(いずれも共同薬品社製)、Uvinul−400、Uvinul−M−40、Uvinul−D−49、Uvinul−MS−40、UVA−633L、UVA−635L、UVA−935LH、UVA−383MA(いずれもBASF社製)、Cyasorb UV−9、Cyasorb UV−24(いずれもCytec社製)、オーソレクス360(メルク・ジャパン社製)、アデカスタブ1413、アデカスタブLA−51(いずれも旭電化工業社製)、Hostavin−ARO8(クラリアント社製)、トミソーブ−800(APIコーポレーション社製)等が挙げられる。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−5′−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2(2′−ヒドロキシ−5′−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−{(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}]、2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
これらベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、JF−77、JF−78,JF−79、JF−80、JF−86(いずれも城北化学社製)、Tinuvin−P、Tinuvin−PS、Tinuvin−320、Tinuvin−326、Tinuvin−327、Tinuvin−328、Tinuvin−384−2(いずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、SEESORB−701、SEESORB−702、SEESORB−703、SEESORB−704、SEESORB−705、SEESORB−706、SEESORB−709(いずれもシプロ化成社製)、Sumisorb−200、Sumisorb−250、Sumisorb−300、Sumisorb−340、Sumisorb−350、(いずれも住友化学社製)、Viosorb−510、Viosorb−520、Viosorb−550、Viosorb−580、Viosorb−582、Viosorb−583、Viosorb−590、Viosorb−591(いずれも共同薬品社製)、アデカスタブLA−29,アデカスタブLA−31、アデカスタブLA−32、アデカスタブLA−36(いずれも旭電化工業社製)、トミソーブ−100、トミソーブ−600、トミソーブ−700(いずれもAPIコーポレーション社製)等が挙げられる。
上記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。これらシアノアクリレート系紫外線吸収剤の市販品としては、Uninol3035(BASF社製)、Viosorb−910、Viosorb−920、(いずれも共同製薬社製)、SEESORB−501、SEESORB−502(いずれもシプロ化成社製)等が挙げられる。
上記ベンゾエート系紫外線吸収剤の市販品としては、Tinuvin−120(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、Sumisorb−400(住友化学社製)、SEESORB−712(シプロ化成社製)、Viosorb−80(共同製薬社製)等が挙げられる。
また、金属錯体系の紫外線吸収剤も使用できる。例えば、[2,2′−チオビス(4−tert―オクチルフェノレート)]−2エチルヘキシルアミンニッケル(II)等が挙げられ、市販品としては、SEESORB−612NH(シプロ化成社製)等が挙げられる。
また、マロン酸エステル系紫外線吸収剤やシュウ酸アニリド系紫外線吸収剤も使用できる。例えば、マロン酸エステル系紫外線吸収剤の市販品としては、HostavinPR−25(クラリアント社製)等が、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤の市販品としては、SanduvorVSU(クラリアント社製)等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤(F)としては、ヒンダードフェノール骨格を有さないヒンダードアミン系光安定剤とヒンダードフェノール骨格を有するヒンダードアミン系光吸収剤が挙げられる。
上記ヒンダードフェノール骨格を有さないヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、Sanol LS−770(三共社製)、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−63P、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−68LD、アデカスタブLA−77Y、アデカスタブLA−77G、アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87(いずれも旭電化工業社製)、Sumisorb−577(住友化学社製)、Viosorb−03,Viosorb−04(いずれも共同薬品社製)、Chimassorb944LD(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、Tinuvin−622LD(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、Goodrite UV−3034(Goodrich社製)等があげ、上記ヒンダードフェノール骨格を有するヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、Tinuvin−144(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
本発明で用いる紫外線吸収剤及(E)及び/又はヒンダードアミン系光安定剤(F)は合計で、共重合体(A)100重量部とすると0.1〜60重量部であることが好ましい。0.1重量部未満であると耐熱性、耐光性向上が充分ではなく、60重量部を超えると使用量に対する耐熱性、耐光性向上効果が少なくなり、且つコスト的にも不利になると共に、近赤外線吸収色素の溶解性、安定性が悪くなるおそれがある。
また、本発明のコーティング剤は、可塑剤、架橋剤、酸化防止剤、重合遅延剤等もさらに含有することができる。
本発明の近赤外線吸収性コーティング剤を製造するには、ジイモニウム系化合物(B)、及び必要に応じて使用される、フタロシアニン系化合物(C)及び/又はジチオール金属錯体化合物(D)を、シクロアルキル基含有単量体を必須の構成成分とする共重合体(A)に添加するだけでよく、その手段に特に制限はないが、上記共重合体(A)を溶解する溶媒を用いて共重合体溶液を得(溶液重合樹脂の場合は既に溶液である)、ジイモニウム系化合物(B)、及び必要に応じて使用されるフタロシアニン系化合物(C)やジチオール金属錯体化合物(D)を該共重合体溶液に添加し、溶解することが好ましい。更に、必要に応じて紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を添加して製造する。
本発明の近赤外線吸収性コーティング剤に含まれる溶媒としては、シクロアルキル基含有単量体を必須の構成成分とする共重合体を溶解し、且つジイモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物及びジチオール金属錯体化合物を溶解するものが使用できる。例えばトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメタン、塩化メチレン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の1種または2種以上を用いることができる。
上述の近赤外線吸収性コーティング剤から形成される近赤外線吸収層を基材に積層することによって、本発明の近赤外線吸収積層体を得ることができる。
具体的には上述の近赤外線吸収性コーティング剤を種々の方法で平たい状態の基材の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥し、コーティング剤中の溶剤を除去することによって、近赤外線吸収層を基材上に形成し、本発明の近赤外線吸収積層体を得ることができる。
本発明のコーティング剤を基材に塗工する方法としては、バーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースコーティング、ダイティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、ディッピング法などにより塗布し、タックフリーになるように加熱乾燥し、近赤外線吸収積層体を得ることができる。
本発明でいう基材としては、プラスチックフィルム、ガラスが挙げられるが、透明性が高いことはもちろんのこと、コスト、取り扱いやすさという点で、プラスチックフィルムが好ましい。具体的には、ポリエステル系、アクリル系、トリアセチルセルロース系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリオレフィン系、ポリシクロオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリカーボネート系、フェノール系、ウレタン系樹脂等から形成されたフィルムが挙げられ、物理的特性、光学特性、耐薬品性、環境負荷等の点からポリエステル系フィルムが好ましい。より具体的にはポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムともいう)が好ましい。
基材としては、ポリエステル系フィルムに、更にアクリル系樹脂、共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂、アクリルグラフトポリエステル樹脂等の樹脂層を設けたいわゆる易接着タイプのフィルムも用いることができる。
本発明の近赤外線吸収積層体は、耐熱性試験及び促進耐光性試験後において、近赤外線吸収性能の劣化及び積層体の色変化が少ないことを特徴としている。具体的には、耐熱性試験(80℃で500時間静置)前後の波長850nm及び950nmにおける透過率の変化が±10%以下であり、好ましくは±5%以下である。また前記耐熱性試験前後のy値の変化が±0.015以下であり、好ましくは±0.010以下である。更にスーパーキセノンフェードメーターによる促進耐光性試験(100W/m、ブラックパネル温度60℃、湿度60%RH、24時間連続光照射)前後の波長850nm及び950nmにおける透過率の変化が±10%以下であり、好ましくは±5%以下である。また、前記耐光性試験前後のy値の変化が±0.015以下であり、好ましくは±0.010以下である。なお、y値とは色彩色差計にて測色(Y,x、y)を行った値である。
本発明においては、上述のプラスチックフィルムに更に紫外線吸収層、電磁波吸収層、傷つき防止層、反射防止層、色調補正層、放熱層、耐衝撃層等種々の機能付与層を少なくとも1層積層してなるものを基材として使用することもできる。
あるいは、上述のプラスチックフィルムとプラスチックフィルムの間に紫外線吸収層、電磁波吸収層、傷つき防止層、反射防止層、色調補正層等を設けてなるフィルムも基材として用いることができる。例えば、種々の機能を有する粘着剤や接着剤を用いて、複数のプラスチックフィルムを貼り合わせることによって、このような多層プラスチックフィルムを得ることができる。
本発明のコーティング剤を、予めプラスチックフィルムに紫外線吸収層、電磁波吸収層、傷つき防止層、反射防止層、色調補正層、放熱層、耐衝撃層、を設けた機能性の基材に塗布する場合、前記各層の層間又は層上に設けることができる。また、電磁波吸収層が後述するようなメッシュ形状である場合、メッシュの開口部に塗布することにより設けても良い。
紫外線吸収層としては、400nm以下の波長の紫外線を効率よく吸収できるものであり、350nmの波長を80%以上吸収できるものが好ましい。紫外線吸収層は特に制限されないが、紫外線吸収剤を樹脂中に添加し、コーティング法、カレンダー法、キャスト法等によりプラスチックフィルムに成膜するのが好ましい。
樹脂としては、透明な高分子樹脂でプラスチックフィルムに接着すれば特に限定はなく、共重合ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アモルファスポリオレフィン、シクロオレフィン、ポリウレタン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース等の樹脂のほか、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルサルホン等の非晶性エンジニアプラスチック樹脂も使用できる。
紫外線吸収剤としては、無機系あるいは有機系のいずれも使用できるが、有機系の紫外線吸収剤が実用的である。有機系の紫外線吸収剤としては、300〜400nmの間に極大吸収を有し、その領域の光を効率よく吸収ものであり、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、オギザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいが、数種類組み合わせて用いることがより好ましい。また、上記紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤、あるいは酸化防止剤をブレンドすることで安定化が向上できる。また、紫外線吸収剤を含有する(練り込み等)プラスチックフィルムを基材として使用することで、紫外線吸収剤層の代替とすることもできる。
電磁波吸収層は、プラズマディスプレイからでる電磁波を遮断するものであり、それらの作成方法は特に制限を受けない。例えば、電磁波吸収層は、透明な導電フィルムであり、プラスチックフィルムに金属、金属酸化物、金属塩等の薄膜を蒸着したものが好ましく用いられる。導電フィルムの面抵抗が低いほど、電磁波の吸収能は高いが、逆に蒸着層が厚くなると可視光透過率は低下する。また、スクリーン印刷等で導電性の塗料をメッシュ状に印刷したものや、プラスチックフィルムに導電性金属を張り合わせこれをエッチング等により導電性金属をメッシュ状に形成したものも使用できる。
傷つき防止層は、プラズマディスプレイの表面の傷つきを防止するものであり、紫外線硬化型、電子線硬化型、熱硬化型等の樹脂を用いることができるが、それらの作成方法は特に制限を受けない。例えば、種々の(メタ)アクリレート類、光重合開始剤及び必要に応じて有機溶剤を主成分とするコート剤により形成することができる。種々の(メタ)アクリレート類としては、ポリウレタン(メタ)アクリレートやエポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート、あるいは他の多官能(メタ)アクリレート類を好適に使用することができる。
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂のエポキシ基を(メタ)アクリル酸でエステル化し官能基を(メタ)アクリロイル基としたものであり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物、ノボラック型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物等がある。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを、水酸基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることができる。あるいは、ポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させてなる水酸基含有ウレタンプレポリマーを、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることもできる。
ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサントリオール、トリメリロールプロパン、ポリテトラメチレングリコール、アジピン酸とエチレングリコールとの縮重合物等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
水酸基をもつ(メタ)アクリレート類としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリテート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート等が挙げられる。
その他の多官能の(メタ)アクリレート類は、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するものであり、分子内に3個以上のアクリロイル基を有するものが好ましい。具体的にはトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロイルキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロイルキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ゲンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられ、これらの光重合開始剤は2種以上を適宜併用することもできる。
傷つき防止層形成用コート剤に用いられる有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−iso−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−iso−ブチル等のエステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル等のエーテル類、2−メトキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類が挙げられ、またこれらの2種以上を混合して使用することもできる。
また、上記成分の他、耐摩耗性向上のため、コロイド状金属酸化物、あるいは有機溶剤を分散媒としたシリカゾル等を加えることもできる。傷つき防止層は、上記コート剤の塗工液をバーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースコーティング、ダイティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、ディッピング法等の塗工方法で塗工した後、溶剤を乾燥させ、更に活性エネルギー線を照射することにより塗工したコート剤を架橋硬化せしめることによって形成される。前記活性エネルギー線としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線あるいは、通常20〜2000KeVの電子線加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線等を用いることができる。このようにして形成される傷つき防止層は、通常1〜50μm、好ましくは3〜20μmの厚みとする。
反射防止層は、表面反射を防ぎ、可視光線透過率を上げると同時にギラツキを防止するものであり、形成方法に任意の加工方法選択することができ特に制限はない。外光を乱反射させることにより視感反射率を低減させる方法、例えばプラスチックフィルムの片面に二酸化ケイ素、アクリル、メラミン等の微粒子を塗料化してコーティングすることにより光の乱反射が生じる反射防止膜を形成する方法、またはプラスチックフィルムの片面に硬化膜を形成し、その上にフッ化マグネシウム層を蒸着法により反射防止層を形成する方法、もしくはプラスチックフィルムの片面または両面に薄膜の低屈折率層、または屈折率の異なる多層薄膜を形成し薄膜の表面反射光と界面における屈折反射光との光の干渉により反射率を低減する方法等が一般的である。
また、特にプラズマディスプレイ、CRT、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイのような蛍光体を用いる表示装置では、塗布した蛍光体に電子線や紫外線を照射して、蛍光体を発光させ、蛍光面を透過あるいは反射した光により表示を行う。蛍光体は一般に白色で反射率が高いため、蛍光面での外部光の反射が多い。そのため、外部光の写り込みによる表示コントラストの低下問題は、蛍光体を用いる表示装置において、特に深刻である。蛍光面での反射を防止することは技術的に難しい。そこで、蛍光体を用いる表示装置では、更に別の対策として反射光を吸収するために、ニュートラルグレーのフィルターをディスプレイ前面に設置することが行われる。ニュートラルグレーのフィルターは、NDフィルターとも呼ばれ、その透過率は一般に40〜80%である。
また、表示色の色バランスを補正するため、色調整フィルターをディスプレイ前面に設置することが行われている。以上のように、プラズマディスプレイ表示装置では、表示のコントラストを改善したり表示品位を向上させる目的で色調整フィルター、ニュートラルグレーのフィルター等色調補正フィルターをディスプレイ前面に設置することが多い。特に色調整を主目的とした、色調補正フィルターは重要である。この色調補正フィルターはプラスチックフィルムに色調補正層を積層して形成される。
かかる色調補正層としては、色調補正用色素を樹脂中に添加し、コーティング法、カレンダー法、キャスト法等によりプラスチックフィルムに成膜するのが好ましい。樹脂としては、透明な高分子樹脂でプラスチックフィルムに接着すれば特に限定はなく、紫外線吸収層で記載している樹脂が使用できる。色調補正用色素としては、シアニン(ポリメチン)系、キノン系、アゾ系、インジゴ系、ポリエン系、スピロ系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系等の色素が挙げられるがこれに限られたものではない。
本発明の近赤外線吸収積層体は、近赤外線吸収層を設けた後に、紫外線吸収層、電磁波吸収層、傷つき防止層、反射防止層、色調補正層、放熱層及び耐衝撃層からなる群より選ばれる少なくとも1つの層をさらに積層することができる。
即ち、近赤外線吸収層上に上記種々の機能を有する層をさらに積層することもできるし、基材上、即ち近赤外線吸収層とは反対の面に上記種々の機能層を設けることもできる。近赤外線吸収層とは反対の面に種々の機能層を設ける場合、プラスチックフィルム上に種々の機能層を設けることもできるし、近赤外線吸収層を設ける際に種々の機能層を既に設けたものを基材として用いた場合、既積層機能層上にさらに種々の機能層を形成することもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら具体例のみに限定されるものではない。なお、例中[部]とあるのは[重量部]を示す。
[合成例1]
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに、メチルエチルケトン120部、メチルメタクリレート60部、シクロヘキシルメタクリレート40部を仕込み、窒素気流下にて環流温度まで昇温させた。これに、tert−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノート0.05部とメチルエチルケトン30部の混合物を1時間かけて連続滴下し、その後環流温度で2時間反応した。さらに、tert−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノート0.05部を2時間ごとに3回添加し、反応を続けた。滴下終了から14時間後にトルエン83部を添加し反応を終了し、不揮発分30%、粘度1,300mPa・s(25℃)、重量平均分子量315,000の共重合体(1)溶液を得た。
[合成例2〜4]
合成例1において使用した重合性単量体を表4に示した通りにする以外は、合成例1と同様の操作を行い、共重合体(2)〜(4)溶液を得た。得られた共重合体(2)〜(4)溶液の不揮発分、粘度、重量平均分子量を表1に示した。
なお、表1中の略号はつぎの通りである。
CHMAとはシクロヘキシルメタクリレート、
MMAとはメチルメタクリレート、
2EHAとは2−エチルヘキシルアクリレート、
RUVA93(商品名)とはベンゾトリアゾール基と重合性不飽和基とを有する単量体である2−(2′−ヒドロキシ−5−メタクリロイルエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学社製)、
アデカスタブLA−82(商品名)とはピペリジニル基と重合性不飽和基とを有する単量体である4−メタアクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(旭電化工業社製)である。
不揮発分、粘度、重量平均分子量は以下のように測定した。
(不揮発分)試料約1gを秤量、150℃−20分乾燥し、乾燥残量を不揮発分として、乾燥全重量に対する比率を重量%で表示した。
(粘度)BM型回転粘度計(東京精器株式会社製)により、25℃にて測定した。ローター、回転数は粘度に応じて選定した。
(重量平均分子量)Shodex GPC SYSTEM21型ゲルパーエミーションクロマトグラフィー(昭和電工株式会社製)にてカラムとしてShodex GPC KF−802L、同KF−803L及び同KF−805L(いずれも昭和電工株式会社製)を直列に使用し測定(ポリスチレン換算)した。
[実施例1]
合成例1で得られた共重合体(1)溶液100部(固形分:約30部)にメチルエチルケトン50部を添加し、不揮発分20重量%の溶液を得た。
これに、ジイモニウム化合物[商品名IRG−068(日本化薬株式会社製)]を0.6部、及び下記式(9)で表されるジチオール金属錯体化合物[商品名MIR−101(みどり化学株式会社製)]を0.17部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポンフィルム株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚13μmの近赤外線吸収積層体(1)を得、以下のようにして耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[耐熱性評価]
得られた近赤外線吸収積層体(1)について、分光光度計(日本分光株式会社製、V−570型)にて850nmと950nmの各波長での透過率(%)を測定した(試験前の透過率)後、恒温槽中に80℃で500時間静置した後の透過率(%)を上記と同様に測定した(試験後の透過率)。試験前後における透過率変化の評価の基準は以下の通りである。
試験前後の透過率の差が±5未満:良好
試験前後の透過率の差が±5以上10以下:やや良好、
試験前後の透過率の差が±10を超えたもの:不良
また、耐熱性試験の前後の近赤外線吸収積層体(1)に関して、色彩色差計(ミノルタ株式会社製、CR−300)にて測色(Y,x、y)を行った。
試験前後の積層体の色変化は下記の基準で評価した。
試験前後のy値の差(Δy)が±0.005未満:非常に良好
試験前後のy値の差(Δy)が±0.005以上、0.010以下:良好
試験前後のy値の差(Δy)が±0.010を超えて、0.015以下:やや良好
試験前後のy値の差(Δy)が±0.015を超えたもの:不良
[耐光性評価]
得られた近赤外線吸収積層体(1)について、分光光度計(日本分光株式会社製、V−570型)にて850nmと950nmの各波長での透過率(%)を測定した(試験前の透過率)後、強エネルギーキセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社社製、SC700−WN)を用い促進耐光性試験(光照射のみ、100W/m、ブラックパネル温度60℃、湿度60%RH、24時間連続光照射)した後の透過率(%)を上記と同様に測定した(試験後の透過率)。試験前後における透過率変化の評価の基準は、耐熱評価の場合と同様である。
また、耐光性試験の前後の近赤外線吸収積層体(1)に関して、色彩色差計(ミノルタ株式会社製、CR−300)にて測色(Y,x、y)を行った。試験前後における色変化の評価の基準は、耐熱評価の場合と同様である。
[実施例2]
合成例1で得られた共重合体(1)溶液100部(固形分:約30部)にメチルエチルケトン50部を添加し、不揮発分20重量%の溶液を得た。
これに、ジイモニウム化合物[商品名IRG−068(日本化薬株式会社製)]を0.6部、及びフタロシアニン系化合物(C1)[構造略号:VOPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}F]を0.3部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポンフィルム株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚12μmの近赤外線吸収積層体(2)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[実施例3]
合成例2で得られた共重合体(2)溶液100部(固形分:約30部)にメチルエチルケトン50部を添加し、不揮発分20重量%の溶液を得た。
これに、ジイモニウム化合物[商品名IRG−068(日本化薬株式会社製)]を0.6部、及びフタロシアニン系化合物(C2)[構造略号:VOPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(Ph(CHNH)]を0.3部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポンフィルム株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚12μmの近赤外線吸収積層体(3)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[実施例4]
合成例2で得られた共重合体(2)溶液100部(固形分:約30部)にメチルエチルケトン50部を添加し、不揮発分20重量%の樹脂溶液を得た。
これに、ジイモニウム化合物[商品名IRG−068(日本化薬株式会社製)]をを0.6部、及びフタロシアニン系化合物(C3)[構造略号:CuPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(Ph(CHNH)]を0.3部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポンフィルム株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚13μmの近赤外線吸収積層体(4)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[実施例5]
合成例1で得られた共重合体(1)溶液100部(固形分:約30部)にメチルエチルケトン50部を添加し、不揮発分20重量%の溶液を得た。
これに、ジイモニウム系化合物[商品名CIR−RL(日本カーリット株式会社製)]を0.6部、及びフタロシアニン系化合物[商品名イーエックスカラーIR−10A(日本触媒株式会社製)]を0.3部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポンフィルム株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚11μmの近赤外線吸収積層体(5)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[実施例6]
合成例1で得られた共重合体(2)溶液100部(固形分:約30部)100部にメチルエチルケトン50部を添加し、不揮発分20重量%の溶液を得た。
これに、ジイモニウム系化合物[商品名IRG−068(日本化薬株式会社製)]を0.6部、及びフタロシアニン系化合物[商品名イーエックスカラーIR−14(日本触媒株式会社製)]を0.3部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポンフィルム株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚12μmの近赤外線吸収積層体(6)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[実施例7]
合成例3で得られた共重合体(3)溶液100部(固形分:約30部)にメチルエチルケトン50部を添加し、不揮発分20重量%の樹脂溶液を得た。
これに、ジイモニウム系化合物[商品名CIR−RL(日本カーリット株式会社製)]を0.6部、及びフタロシアニン系化合物[商品名イーエックスカラーIR−10A(日本触媒株式会社製)]を0.3部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポン株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚11μmの近赤外線吸収積層体(7)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[実施例8]
合成例4で得られた共重合体(4)溶液100部(固形分:約30部)にメチルエチルケトン50部を添加し、不揮発分20重量%の樹脂溶液を得た。
これに、ジイモニウム系化合物[商品名CIR−RL(日本カーリット株式会社製)]を0.6部、及びフタロシアニン系化合物[商品名イーエックスカラーIR−10A(日本触媒株式会社製)]を0.3部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポン株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚12μmの近赤外線吸収積層体(7)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[実施例9]
合成例1で得られた共重合体(1)溶液100部(固形分:約30部)にメチルエチルケトン50部、を添加し、不揮発分20重量%の溶液を得た。
これに、紫外線吸収剤Tinuvin−384−2(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)を0.16部、ジイモニウム系化合物[商品名CIR−RL(日本カーリット株式会社製)]を0.6部、及びフタロシアニン系化合物[商品名イーエックスカラーIR−10A(日本触媒株式会社製)]を0.3部を加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポンフィルム株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚12μmの近赤外線吸収積層体(9)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[比較例1]
合成例5で得られた重合体(5)溶液100部(固形分:約30部) にメチルエチルケトン50部を添加し、不揮発分20重量%の溶液を得た。
これに、ジイモニウム系化合物[商品名IRG−068(日本化薬株式会社製)]を0.6部、及び実施例1で用いたのと同様に式(9)で表されるジチオール金属錯体化合物[商品名MIR−101(みどり化学株式会社製)]を0.17部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポンフィルム株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚11μmの近赤外線吸収積層体(10)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[比較例2]
1,3−ジオキソラン100部に、ポリアリレート樹脂[商品名U−100(ユニチカ株式会社製)]17.6部を溶解し、不揮発分15重量%の樹脂溶液を得た。
これに、ジイモニウム系化合物[商品名IRG−068(日本化薬株式会社製)]0.35部、及び実施例1で用いたのと同様に式(9)で表されるジチオール金属錯体化合物[商品名MIR−101(みどり化学株式会社製)]を0.1部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポンフィルム株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚12μmの近赤外線吸収積層体(11)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
[比較例3]
トルエン50部及びメチルエチルケトン50部の混合溶媒に、ポリエステル樹脂[商品名バイロン200(東洋紡績株式会社製)]25部を溶解し、不揮発分20重量%の樹脂溶液を得た。
これに、ジイモニウム系化合物[商品名IRG−068(日本化薬株式会社製)]を0.5部、及び実施例1で用いたのと同様に式(9)で表されるジチオール金属錯体化合物[商品名MIR−101(みどり化学株式会社製)]を0.14部加え溶解し、近赤外線吸収コーティング剤を調製した。
このコーティング剤を厚さ100μmの易接着層を有する紫外線吸収PETフィルム[商品名HBF8W(帝人デュポンフィルム株式会社製)]の易接着面にバーコーターを用いて塗工し、100℃で1分乾燥させ、塗膜厚12μmの近赤外線吸収積層体(12)を得、耐熱性、耐光性を評価した。その結果を表2に表す。
表2に示すように実施例1〜9で得られた近赤外線吸収積層体は、耐熱性試験及び耐光性試験の両試験において、試験前後の透過率の差が小さいばかりでなく色変化も小さく、耐熱性に優れると共に耐光性にも優れていることがわかる。
それに対して、比較例1〜3で得られた近赤外線吸収積層体は、耐熱性試験及び耐光性試験のいずれかにおいて、試験前後の透過率の差又は色変化が大きく、耐熱性、耐光性を両立するものは無い。
本発明の近赤外線吸収性コーティング剤よりなる近赤外線吸収性積層物は、可視光線の透過率が高く、近赤外線の遮蔽が良好で、且つ耐熱性、耐光性も優れるため、光学フィルターとして有用である。

Claims (6)

  1. シクロアルキル基含有単量体(a1)を必須の構成成分とする共重合体(A)、及びジイモニウム系化合物(B)を含有する近赤外線吸収性コーティング剤から形成される近赤外線吸収層が、基材に積層されてなる近赤外線吸収積層体であって、
    耐熱性試験(80℃で500時間静置)前後の波長850nm及び950nmにおける透過率の変化が±10%以下であり、前記耐熱性試験前後のxおよびy値の変化が±0.015以下であり、かつスーパーキセノンフェードメーターによる促進耐光性試験(100W/m、ブラックパネル温度60℃、湿度60%RH、24時間連続光照射)前後の波長850nm及び950nmにおける透過率の変化が±10%以下であり、前記耐光性試験前後のxおよびy値の変化が±0.015以下であることを特徴とする近赤外線吸収積層体。
  2. 共重合体(A)が、ベンゾトリアゾール基と重合性不飽和基とを有する単量体(a2)及び/又はピペリジニル基と重合性不飽和基とを有する単量体(a3)を構成成分とすることを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸収積層体。
  3. 近赤外線吸収性コーティング剤が、フタロシアニン系化合物(C)及び/又はジチオール金属錯体化合物(D)をさらに含有することを特徴とする請求項1または2記載の近赤外線吸収積層体。
  4. 近赤外線吸収性コーティング剤が、シアニン系化合物(G)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の近赤外線吸収積層体。
  5. 近赤外線吸収性コーティング剤が、紫外線吸収剤及(E)及び/又はヒンダードアミン系光安定剤(F)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の近赤外線吸収積層体。
  6. 紫外線吸収層、電磁波吸収層、傷つき防止層、反射防止層、色調補正層、放熱層、耐衝撃層からなる少なくとも1つの層が、基材側及び/又は近赤外線吸収層上に積層されてなる請求項1〜5いずれか記載の近赤外線吸収積層体。
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JP2018077503A (ja) * 2017-12-26 2018-05-17 株式会社ユピテル 表示装置
KR101869644B1 (ko) * 2017-03-02 2018-06-20 공주대학교 산학협력단 적외선 흡수율이 증진된 절삭용 필름을 이용하는 도자기 절삭방법
US11333809B2 (en) 2017-09-12 2022-05-17 Samsung Electronics Co., Ltd. Composition for near-infrared light-absorbing films, near-infrared light-absorbing layers, camera modules, and electronic devices

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