JP2006280483A - 血液処理フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】血液の濾過によるブラジキニン上昇性の低いフィルター基材を有する血液処理フィルターの提供。
【解決手段】アニオン性電荷を有する不織布の表面に、カチオン性電荷を有するカチオン化物質が保持されたカチオン化不織布からなるフィルター基材を有する血液処理フィルターであって、該フィルター基材の表面に、アニオン性電荷を有する色素を吸着させて測定した反射吸光度から求められる相対反射吸光度が0.05〜0.55である血液処理フィルター。
【選択図】なし

Description

本発明は、血液処理フィルターに関する。
近年、臨床輸血の場においては、必要な成分のみを分離した血液等や、さらに不必要な成分を除去した血液等が用いられている。例えば、頭痛、吐き気、悪寒、非溶血性発熱反応等の副作用を防止するために白血球を除去した血液等が挙げられる。
このような、必要な成分の分離や、不必要な成分の除去には、ポリエステル製不織布やコットン綿等からなるフィルターを有する血液処理フィルターが用いられる場合が多い。
しかし、上記の不必要な成分等を血液処理フィルターを用いて濾過し、除去したにも関わらず、処理後の血液等の使用により、上記のような副作用が発生する場合がある。
例えば、表面にアニオン性電荷を持つ材料からなるフィルターを有する血液処理フィルターを用いて濾過すると、濾過後の血液中のブラジキニンが上昇する場合がある。このブラジキニンは強い血圧降下作用を持つ物質であるので、上昇することは好ましくない。
ブラジキニンが上昇するのは、アニオン性電荷を持つ材料と血液とが接触すると、血液凝固第XII因子の活性化が起こり、活性化血液凝固第XII因子によってプレカリクレインからカリクレインが生成され、さらにカリクレインによって高分子量キニノーゲンが限定分解されてブラジキニンが生成されるためである。
このような血液等の濾過時にブラジキニンの上昇を起こさない濾過材を提供することを目的に、例えば、特許文献1には、平均孔径が1〜100μm、全細孔容積が0.4〜0.95ml/ml、細孔直径が1〜100μmの孔が全細孔容積の75%以上を占める高分子からなる多孔性の血液濾過材であって、表面に陰性荷電を有し、且つ三ヨウ化物錯イオンおよび/または陽性荷電を有する色素を用いる表面陰性荷電測定方法によって特定される総荷電量が−30μeq/g以上、−0.01μeq/g以下である血液濾過材に関して記載されている。そして、この総電荷量がこのような範囲であれば、ブラジキニン上昇性の低い血液濾過材料であると記載されている。
尚、ここでいう総電荷量とは、陽性荷電量をプラス(+)、陰性荷電量をマイナス(−)で表わした時の両荷電が相殺された後の荷電量、即ち、陽性荷電量から陰性荷電量を差し引いた荷電量である。
特許第3176752号公報
しかし、本発明者の研究により、特許文献1に記載されているような表面陰性荷電測定方法では、アニオン性電荷量を正確に把握することができない場合があることがわかった。
したがって、本発明の課題は、血液の濾過によるブラジキニン産生能の低いフィルター基材を有する血液処理フィルターを提供することにある。
尚、本発明において「血液」とは、血漿、白血球、赤血球、および血小板からなる群から選択される少なくとも1種を含む血液成分もしくは全血を意味する。
本発明者は、ブラジキニン産生能は、陽性荷電量(カチオン性電荷量)に相関することを見出した。
さらに、総荷電量ではなく、アニオン性電荷の存在下であったとしても、カチオン性電荷量のみを測定する方法を見出し、この方法により測定される表面のカチオン性電荷量が特定範囲であるフィルター基材を有する血液処理フィルターが、上記の課題を解決することを見出した。
即ち、本発明は、下記(1)〜(4)である。
(1)アニオン性電荷を有する不織布の表面に、カチオン性電荷を有するカチオン化物質が保持されたカチオン化不織布からなるフィルター基材を有する血液処理フィルターであって、該フィルター基材の表面に、アニオン性電荷を有する色素を吸着させて測定した反射吸光度から求められる相対反射吸光度が0.05〜0.55である血液処理フィルター。
(2)前記フィルター基材は、ゼータ電位が6〜30mVである上記(1)に記載の血液処理フィルター。
(3)白血球捕捉フィルターまたは凝集塊捕捉フィルターである上記(1)または(2)に記載の血液処理フィルター。
(4)アニオン性電荷を有する不織布の表面に、カチオン性電荷を有するカチオン化物質が保持されたカチオン化不織布からなるフィルター基材のカチオン化度を、該フィルター基材の表面にアニオン性電荷を有する色素を吸着させて反射吸光度を測定することで相対反射吸光度を求めて定量するカチオン化度測定方法。
本発明の血液処理フィルターは、血液の濾過によるブラジキニン産生能が低いので、その処理後の血液を利用した患者に悪影響を及ぼすことがない。
また、本発明のカチオン化度測定方法は、本発明の血液処理フィルターが有するフィルター基材の表面のカチオン化度を、反射吸光度という簡易な方法で定量できるという効果を奏する。ここで、カチオン化度とは、本発明のフィルター基材の表面のカチオン電荷の存在量を表しており、本発明では、このカチオン化度を相対反射吸光度として定量的に把握することができる。
本発明は、アニオン性電荷を有する不織布の表面に、カチオン性電荷を有するカチオン化物質が保持されたカチオン化不織布からなるフィルター基材を有する血液処理フィルターであって、該フィルター基材の表面に、アニオン性電荷を有する色素を吸着させて測定した反射吸光度から求められる相対反射吸光度が0.05〜0.55である血液処理フィルターである。
このような血液処理フィルターを、以下では「本発明の血液処理フィルター」ともいう。
また、この「アニオン性電荷を有する不織布」を、以下では「アニオン性不織布」ともいう。
アニオン性不織布は、アニオン性電荷を有する不織布であれば、その平均繊維径、目付け量、材質(材料)等、特に限定されない。
ここでアニオン性電荷とは、カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、亜硫酸基、次亜硫酸基、スルフィド基、フェノール基、ヒドロキシル基など中性のpHで陰性を示す酸性官能基をいう。この酸性官能基は例示であり、これに限定されるものではない。
このアニオン性電荷には、アニオン性不織布の材料自身が本来持つ陰性官能基、アニオン性不織布の材料の製造過程で、例えば熱、酸化物や酸、アルカリ溶液などの薬品、放射線などによって加水分解で生じたものを含む。
アニオン性不織布の平均繊維径、目付け量は特に限定されず、用途に応じて選択すればよい。
例えば、本発明の血液処理フィルターを白血球捕捉フィルターとして用いる場合であれば、アニオン性不織布の平均繊維径は1〜20μm、好ましくは2〜15μm、さらに好ましくは3〜10μmである。
また、目付け量は20〜100g/m、好ましくは40〜80g/m、さらに好ましくは45〜75g/mである。
また、例えば、本発明の血液処理フィルターを凝集塊捕捉フィルターとして用いる場合であれば、アニオン性不織布の平均繊維径は5〜30μm、好ましくは8〜20μm、さらに好ましくは10〜15μmである。
また、目付け量は30〜120g/m、好ましくは50〜100g/m、さらに好ましくは60〜80g/mである。
尚、凝集塊捕捉フィルターは、単独で用いることもできるが、白血球捕捉フィルターのプレフィルターとしても用いることができるものである。
アニオン性不織布を製造するために用いられる材料は、それを用いて製造したアニオン性不織布の表面に前記アニオン性電荷を生じる材料であればよい。
このような材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリオキシエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
これらの中で、特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系合成高分子材料が好ましい。また、不織布への成形性や、得られる不織布の繊維径、繊維によって形成される細孔状態等が制御し易く、白血球等の除去対象物質に合わせた最適な血液処理フィルターの製造が可能で好ましい。さらに、このポリエステル系合成高分子材料は、血液の濡れ性の点でも好ましい。
アニオン性不織布は、上記のような材料を用いて、次に示すような方法により製造することができる。
まず、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法、遠心力法、フラッシュ紡糸法、高電圧乾式紡糸法、フィルム法、エアレイ法、カード法、ガーネット機法等の従来法を適用して、不織布を製造する。
また、例えば、溶融紡糸した繊維を、接着剤法、熱融着法(サーマルボンド法)、超音波接着法、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)、ステッチボンド法等により結合する従来法により製造することもできる。
次に本発明で用いるカチオン性電荷を有するカチオン化物質について説明する。
このカチオン化物質は、塩基性含窒素官能基を有する化合物であり、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基または第4級アンモニウム塩を有する塩基性含窒素化合物、もしくはピリジル基、イミダゾイル基等の含窒素芳香環基を有する塩基性含窒素化合物である。
主鎖または側鎖に4級窒素原子を有する塩基性含窒素化合物の例としては、下記式(1)で表される4級アンモニウムイオンをエステル基とした(メタ)アクリル酸系重合体のアルキルスルホナート(アルキルスルホン酸イオン)を対イオンとした化合物であってもよい。
Figure 2006280483
式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2 およびR7は互いに独立してメチル基または水素原子を表し、R3 は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R4 〜R6は互いに独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子を表し、nおよびmは整数(n>m)を表し、好ましくはnおよびmは合計で20〜4000である。
ここでカチオン化物質は、特に限定されないが、好ましくは前述の一般式(1)で表される4級アンモニウムイオンをエステル基とした(メタ)アクリル酸系重合体のアルキルスルホナート(アルキルスルホン酸イオン)を対イオンとしたカチオン性化合物である。
例えば、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルメチルアンモニウムメチルサルフェイトの共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジエチルメチルアンモニウムメチルサルフェイトの共重合体等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は、分子量が数千から数十万程度であればよく、好ましくは2,000〜500,000である。分子量が上記の範囲であれば、アニオン性不織布をカチオン化物質を含む溶液に浸漬する際の作業性が良好であり、かつアニオン性不織布から容易に脱離しない。
このようなカチオン化物質を、前記アニオン性不織布の表面に保持させる方法は、カチオン化物質をアニオン性不織布の表面に均一に保持させることができれば特に限定されない。
好ましい方法では、コーティング、ディッピング、スプレーあるいはスピンコートにより、アニオン性不織布の表面を、カチオン化物質を溶解させたコート液で被覆した後、60〜100℃で加熱乾燥することで、アニオン性不織布の表面にカチオン化物質を保持させる。
尚、アニオン性不織布の表面にカチオン化物質を保持させる方法は、ポリアクリル酸を主成分とした化合物の4級アミンエステル体を白血球除去フィルター基材表面に塗布し、加熱乾燥させ、アルキルスルホン酸ナトリウム溶液で処理したのでも良い。
尚、加熱乾燥後にアニオン性不織布を水洗し、溶出物の洗い出しを行えばさらに好ましい。
このような方法により、前記アニオン性不織布の表面に、前記カチオン化物質を備えるカチオン化不織布を得ることができる。
そして、本発明の血液処理フィルターが有するフィルター基材は、このようなカチオン化不織布からなる。
このカチオン化不織布から、このフィルター基材を得る方法は特に限定されず、従来法を適用することができる。例えば、前記カチオン化不織布にプレス圧縮や熱収縮を施し、その用途に応じて、後述するような総肉厚となるように積層し、使用時の最適な大きさ(例えば、使用するハウジングにセットするために適した大きさ)に打ち抜くという方法を挙げることができる。
また、前記フィルター基材は、ゼータ電位が6〜30mVであるのが好ましい。理由は、ゼータ電位がこの範囲であれば、ブラジキニンの産生能を抑制することができるからである。
本発明におけるゼータ電位は、流動電位法に基づくものである。具体的には、流動電位測定装置(円筒形状のテフロンセル:直径13mm、長さ5mm)を用いて、圧力範囲0〜50KPa、流動液として0.001MのKCl溶液(温度:25℃)を用いて測定した値である。
前記フィルター基材の平均孔径、総肉厚は特に限定されず、用途に応じて選択すればよい。
例えば、本発明の血液処理フィルターを白血球捕捉フィルターとして用いる場合であれば、総肉厚は3〜9mm、好ましくは5〜7mmである。
例えば、本発明の血液処理フィルターを凝集塊捕捉フィルターとして用いる場合であれば、総肉厚は0.3〜6mm、好ましくは0.6〜4.8mm、さらに好ましくは0.8〜3.6mmである。
上述したように、本発明の血液処理フィルターは、白血球捕捉フィルターまたは凝集塊捕捉フィルターとして用いることができる。白血球捕捉フィルターには、血小板捕捉タイプと血小板通過タイプがあるが、本発明の血液処理フィルターは、血小板捕捉タイプの白血球捕捉フィルターとして好適に用いることができる。
本発明の血液処理フィルターは、前記フィルター基材の表面に、アニオン性電荷を有する色素を吸着させて測定した反射吸光度から求められる相対反射吸光度が0.05〜0.55である血液処理フィルターである。
以下では、この反射吸光度(以下、「本発明の反射吸光度」ともいう)の測定方法、および相対反射吸光度の求める方法について詳細に示す。
まず、同じアニオン性電荷をその表面に有し、平均繊維径、目付け量、材質(材料)等も同じであるアニオン性不織布を2つ用意する。
そして、一方のアニオン性不織布には、上記の方法でカチオン化物質を導入し、本発明で用いるカチオン化不織布とする。
また、他方のアニオン性不織布には、カチオン化物質を導入しない。
次に、この一方のアニオン性不織布(本発明で用いるカチオン化不織布)と、他方のアニオン性不織布とに同じ加工を施して、実質的に同じ平均孔径、総肉厚等であるフィルター基材を作製する。
ここで、一方のアニオン性不織布(本発明で用いるカチオン化不織布)から作製されたフィルター基材は、本発明で用いるフィルター基材である。
また、他方のアニオン性不織布から作製されたフィルター基材を、以下では、ベース用フィルター基材という。
このようなフィルター基材およびベース用フィルター基材を、直径25mmの円形に打ち抜いたものの各々を、本発明の反射吸光度の測定用試料とする。以下では、図1を用いて、本発明の反射吸光度の測定方法を説明するが、各々を、試料5Aおよび試料5Bと記す。
本発明の反射吸光度の測定は、試料5Aまたは試料5Bを、図1に示すような血液フィルター装置にセットして行う。図1は、血液フィルター装置の分解斜視図である。
血液フィルター装置1は、流入口3と流出口4とを有するハウジング2内からなる。
このハウジング2の有効径は22mmである。
まず、試料5Aの反射吸光度を測定する方法を示す。
上記のようなハウジング2内に、図1に示すように試料5Aを配置する。
そして、アニオン性電荷を有する色素を、試料5Aに吸着させる。
具体的には、流入口3から、0.016mg/mlのトリパンブルー水溶液を、15ml/minで、1.5min通液する。
そして直ぐに、同様に、流入口3から蒸留水を25ml/minで2min、合計で50ml通液する。
そして、ハウジング2からアニオン性電荷を有する色素が吸着した試料5Aを取り出し、乾燥器を用いて、70℃、1時間乾燥する。
このような方法で得たアニオン性電荷を有する色素を吸着させた試料5Aの反射吸光度を、次のような方法で測定する。
まず、吸光度計(商品名:二波長クロマトスキャナーCS−930、株式会社島津製作所製)を用いて599nmでの反射吸光度を測定する。
次に、上記に示した方法と同じ方法で、試料5Bの反射吸光度を測定する。
そして、試料5Aの反射吸光度から、試料5Bの反射吸光度を差し引いて、相対反射吸光度を求める。この相対反射吸光度は、本発明においては「カチオン化度」ともいう。
本発明の血液処理フィルターは、このような方法で求められた相対反射吸光度(カチオン化度)が0.05〜0.55である。
このような範囲の相対反射吸光度を有する本発明の血液処理フィルターは、血液の濾過によるブラジキニン上昇性が低いので、その処理後の血液を利用した患者に悪影響を及ぼすことがない。
相対反射吸光度が0.55を超えると、血液処理フィルターによって血液を濾過する際に血液成分の通過性が低下する。
以下に、本発明の血液処理フィルターに係る実施例を示す。尚、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ここでは、平均繊維径が3μm、目付け量が40g/mであるポリエチレンテレフタレート製不織布を用いた。以下、これを不織布aと記す。
この不織布aの表面に、カチオン化物質であるポリアクリル酸−ポリ2−(アクリロイルオキシ)エチルジエチルメチルアンモニウムメチルスルファートを導入した。
具体的には、カチオン化物質を蒸留水に溶解し10質量%水溶液とし、この水溶液の1000mlに30gの不織布aをステンレストレーで浸漬させた。浸漬時間は2分間とした。
そして、浸漬時間経過後、三角フラスコから取り出し、直ぐに蒸留水を用いたシャワー洗浄を行った。シャワー洗浄の流量は4L/minであり、シャワー洗浄時間は3時間とした。
さらに、洗浄時間経過後、乾燥器(品番:WFO−1000SD、EYELA社製)を用いて、70℃、1時間の乾燥を行った。
このような方法で製造した、表面にカチオン化物質を備えたカチオン化不織布を、不織布a1と記す。
このような不織布a1のゼータ電位、相対反射吸光度、ブラジキニン産生量、白血球除去率、および血小板除去率を、後述する方法で測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
上記の実施例1で用いたカチオン化物質の水溶液濃度を、1質量%としたものを用い、その他の条件を全て同じにした試験を行った。測定項目も実施例1と同様である。結果を表1に示す。尚、この実施例2で各測定に供した不織布を不織布a2と記す。
(実施例3)
上記の実施例1で用いたカチオン化物質の水溶液濃度を、0.1質量%としたものを用い、その他の条件を全て同じにした試験を行った。測定項目も実施例1と同様である。結果を表1に示す。尚、この実施例3で各測定に供した不織布を不織布a3と記す。
(実施例4)
上記の実施例1で用いたカチオン化物質の水溶液濃度を、0.01質量%としたものを用い、その他の条件を全て同じにした試験を行った。測定項目も実施例1と同様である。結果を表1に示す。尚、この実施例4で各測定に供した不織布を不織布a4と記す。
(比較例1)
上記の実施例1で用いたカチオン化物質の水溶液濃度を、0.005質量%としたものを用い、その他の条件を全て同じにした試験を行った。測定項目も実施例1と同様である。結果を表1に示す。尚、この比較例1で各測定に供した不織布を不織布a5と記す。
(実施例5)
上記の実施例1で用いた不織布aの代わりに、平均繊維径が11μm、目付け量が50g/mであるポリエチレンテレフタレート製不織布を用いた。以下、これを不織布bと記す。
そして、実施例1と同じ方法で製造した、表面にカチオン化物質を備えたカチオン化不織布を、不織布b1と記す。
このような不織布b1のゼータ電位、相対反射吸光度、ブラジキニン産生量、および凝集塊除去率を、後述する方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例6)
上記の実施例5で用いたカチオン化物質の水溶液濃度を、0.1質量%としたものを用い、その他の条件を全て同じにした試験を行った。測定項目も実施例5と同様である。結果を表2に示す。尚、この実施例6で各測定に供した不織布を不織布b2と記す。
(実施例7)
上記の実施例5で用いたカチオン化物質の水溶液濃度を、0.01質量%としたものを用い、その他の条件を全て同じにした試験を行った。測定項目も実施例5と同様である。結果を表2に示す。尚、この実施例7で各測定に供した不織布を不織布b3と記す。
(比較例2)
上記の実施例5で用いたカチオン化物質の水溶液濃度を、0.005質量%としたものを用い、その他の条件を全て同じにした試験を行った。測定項目も実施例5と同様である。結果を表2に示す。尚、この比較例2で各測定に供した不織布を不織布b4と記す。
<ゼータ電位の測定>
上記の不織布a1〜a5、および不織布b1〜b4の各々を、直径13mmの円形に打ち抜いたものを試料とし、流動電位測定装置(ZP−20H型、株式会社島津製作所製)を用いてゼータ電位を測定した。ここで、流動液は上述したものと同じ0.001MのKCl溶液を用いた。
<反射吸光度測定>
上述した本発明の反射吸光度の測定方法により反射吸光度を測定し、相対反射吸光度を求めた。
<ブラジキニン産生量>
上記の不織布a1〜a5、および不織布b1〜b4の1gを、ポリプロピレン製試験管中において6mlの濃厚赤血球(CRC−MAP)に浸漬させた。この濃厚赤血球は採血、調整後4日間、4℃で保存したものである。そして25℃、5分間インキュベートした後、直ちにポリプロピレン製試験管中から5mlの濃厚赤血球をブラジキニンサンプル用インヒビターカクテル(SRL社製)に採取した。そして4℃、4.54×10G、6分の条件で遠心分離した後、RIA法で、ブラジキニンの測定を行った。
<白血球除去率、血小板除去率>
上記の不織布a1〜a5の各々を、直径30mmの円形に30枚打ち抜き、この30枚を各々のサンプルごとに積層したもの(総厚3.0mm)を、図1に示したものと同形のハウジングに各々セットした。
ここで用いたハウジングは図1と同じ形状であり、その血液処理フィルター装着部は円筒形である。断面は直径30mmの円形である。
このようにして得た血液処理フィルター装置を用いて、落差40cm(上流側20cm、下流側20cm)の条件で保存日数が4日の濃厚赤血球(CRC−MAP)を60ml濾過した。
濾過前後の血液の質量は、電子天秤を用いて測定した。また、濾過前後の血小板濃度、および濾過前の白血球濃度を多項目自動血球分析装置(SYSMEX XE−2100、シスメックス社製)を用いて測定した。そして、濾過後の白血球濃度については、ナジェット(Nageotte)法を用いて測定した。さらに、以下の式を用いて白血球および血小板除去率を求めた。
白血球除去率(%)=(1−(濾過後白血球濃度×濾過後血液量)/(濾過前白血球濃度×濾過前血液量))×100
血小板除去率(%)=(1−(濾過後血小板濃度×濾過後血液量)/(濾過前血小板濃度×濾過前血液量))×100
<凝集塊除去率>
上記の不織布b1〜b4の各々を、直径30mmの円形に10枚打ち抜き、この10枚を各々のサンプルごとに積層したもの(総厚3.0mm)を、図1に示したものと同形のハウジングに各々セットした。
ここで用いたハウジングは図1と同じ形状であり、その血液処理フィルター装着部は円筒形である。断面は直径30mmの円形である。
このようにして得た血液処理フィルター装置を用いて、落差40cm(上流側20cm、下流側20cm)の条件で保存日数が21日の濃厚赤血球(CRC−MAP)を60ml濾過した。
そして、濾過前後の血液の質量を、電子天秤を用いて測定した。また、濾過前後の15〜45μmの凝集塊数を、コールターカウンターZ2(ベックマンコールター社製)を用いて測定した。そして、以下の式を用いて凝集塊除去率を求めた。
凝集塊除去率(%)=(1−(濾過後凝集塊濃度×濾過後血液量)/(濾過前凝集塊濃度×濾過前血液量))×100
Figure 2006280483
Figure 2006280483
表1、表2から、本発明で用いるカチオン化不織布または本発明で用いるフィルター基材には、ブラジキニンの上昇がほとんど認められず、また、血液処理フィルターとして用いた場合の性能も備えていることが確認できた。
図1は、本発明の反射吸光度の測定方法に用いる血液フィルター装置の斜視断面図である。
符号の説明
1 血液フィルター装置
2 ハウジング
3 流入口
4 流出口
5A、5B 測定用試料

Claims (4)

  1. アニオン性電荷を有する不織布の表面に、カチオン性電荷を有するカチオン化物質が保持されたカチオン化不織布からなるフィルター基材を有する血液処理フィルターであって、
    該フィルター基材の表面に、アニオン性電荷を有する色素を吸着させて測定した反射吸光度から求められる相対反射吸光度が0.05〜0.55である血液処理フィルター。
  2. 前記フィルター基材は、ゼータ電位が6〜30mVである請求項1に記載の血液処理フィルター。
  3. 白血球捕捉フィルターまたは凝集塊捕捉フィルターである請求項1または2に記載の血液処理フィルター。
  4. アニオン性電荷を有する不織布の表面に、カチオン性電荷を有するカチオン化物質が保持されたカチオン化不織布からなるフィルター基材のカチオン化度を、
    該フィルター基材の表面にアニオン性電荷を有する色素を吸着させて反射吸光度を測定することで相対反射吸光度を求めて定量するカチオン化度測定方法。
JP2005102039A 2005-03-31 2005-03-31 血液処理フィルター Withdrawn JP2006280483A (ja)

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