JP2006272011A - ボタン穴かがりミシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被縫製物に設けられた線状のボタン穴部に平行な平行縫製部分とボタン穴部の両端側の閂止め縫製部分とを、前記ボタン穴部の周囲を周回するように縫製する縫製手段を備えたボタン穴かがりミシンにおいて、前記縫製手段によりボタン穴部周囲の縫製を少なくとも2周行う縫製パターンを有し、該縫製パターンの実行に当たり、1周目の縫製時に前記閂止め縫製部分の縫製を行わず、2周目の縫製時に前記閂止め縫製部分の縫製を行う第1周閂止めまびき縫製機能を有する制御手段を備えた構成とした。
【選択図】図18
Description
ボタン穴かがりミシンは、布をY方向に前後動させる布送り手段と、ミシン針をX方向に振る針振り手段、並びに、布切りメスを布のボタン穴部に降下させて布を切断する布切り手段等を備え、上記布送り手段と針振り手段の協働によりボタン穴部の周囲にかがり縫いを行い、上記布切り手段により縫製中に布切りメスを作動させて布のボタン穴部を切断して、ボタン穴かがりを形成する。
図1は、この発明の実施の形態のボタン穴かがりミシン1の概観を示す斜視図、図2は、ボタン穴かがりミシン1の布送りと針の昇降機構を主に示す透視図、図3は、ボタン穴かがりミシン1の針の昇降機構と針振り機構を主に示す透視図である。
主針振り機構の針振り動作は、上軸6を介してミシン針9の昇降運動とリンクしており、ミシン針9の降下が奇数回目のときに針棒8を基線位置にもって行き、偶数回目のときに針棒8を基線から所定の振り幅量だけ左側の針振り位置にもって行くようになっている。
振り幅変更機構は、図7にも示すように、パルスモータ等からなる針振り送りパルスモータ41の回転により、リンク55,56を介して針振りカムレバー46の運動を決定している支点44bの位置を、振り幅量が変わる方向(ほぼ左右方向)に変更することでミシン針9の振り幅量を変更する。
基線変更機構は、図8にも示すように、パルスモータ等からなる基線送りパルスモータ40の回転により、基線変更用レバー43を支点43aを中心に回動させて、針振りカムレバー46の運動を決定している支点44bの位置を、揺動運動の原点が変わる方向(ほぼ上下方向)に変更することで、ミシン針9の針振りの基線位置を変更する。
布切り機構は、下端部に布切りメス16を取り付けたメス取付け板31、支軸35aを中心に回動自在に設けられメス取付け板31を上下に駆動する駆動アーム35、ミシンの上軸6にリンクされ上軸6の回転を伝達して一端部を常に高速に上下動させているメス駆動アーム36、このメス駆動アーム36に着脱可能に設けられメス駆動アーム36の上下駆動を駆動アーム35に伝達するためのメス駆動フック37、このメス駆動フック37と上記メス駆動アーム36とを連結/非連結とするソレノイド75等から構成される。
そして、常時は、ソレノイド75のプランジャ75aが押し出されて、メス駆動フック37とメス駆動アーム36とが非連結とされ、それにより布切りメス16が上方で停止した状態にされる。が、メス駆動の指令によりソレノイド75のプランジャ75aが引き戻されると、バネ37bの作用によりメス駆動フック37が引かれて、その係合凹部37aをメス駆動アーム36に係合させる。そして、メス駆動アーム36の上下運動が、メス駆動フック37および駆動アーム35と伝達されて、メス取付け板31を布上に下降させる。
操作パネル110は、各種の縫製パラメーターを設定入力したり、設定値の表示出力や縫製制御上のエラーの表示出力を行ったりするもので、例えば、ボタン穴かがりミシン1が載置されるミシンテーブルの上に設けられる。この操作パネル110を用いて設定入力されるパラメータには、2重縫いの際に1周目の縫い目と2周目の縫い目との重ね模様を選択する「2重縫い重ね選択」パラメータや、1周目に閂止め部の縫製を行わないように選択する「1周目閂止めまびき」パラメータなどが含まれており、上記操作パネル110によりそれらを選択する選択手段が構成されている。
ボタン穴かがりミシン1の制御装置は、図11に示すように、CPU(Central Processing Unit )100、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)101、各パルスモータの回転量をカウントするY送りカウンタ103、基線送りカウンタ104、および針振り送りカウンタ105、布切りメスの駆動数をカウントする布切りメスカウンタ106、各パルスモータの駆動を行うY送りパルスモータドライバ111、基線送りパルスモータドライバ112、および針振送りパルスモータドライバ113、各種センサーや各駆動部のドライバおよび操作パネル110等とCPU100とを接続するI/Oインターフェース109、ミシンを駆動するミシンモータ5の駆動制御を行うミシンモータドライバ115、ミシンモータ5の回転量を上軸6の回転角度としてコード付けするミシンモータエンコーダ119、糸調子器19の上糸張力VCM(ボイスコイルモータ)60を駆動するアクティブテンションドライバ120、布押さえ15を上昇させる押さえ上昇ソレノイド122を駆動する押さえ上昇ソレノイド駆動回路121、布切りメス16を下降させる布切りメス下降シリンダ30を駆動する布切りメス下降シリンダ駆動回路123、並びに、所定の割り込み条件(各パルスモータの回転量を示すカウンタ値、布の送り位置、上軸6の回転角度など)によりCPU100に割り込み信号を出力する割り込みコントローラ108等から構成される。
I/Oインターフェース109には、操作パネル110や各駆動部のドライバ並びに駆動回路のほか、布切りメス16の下降を検知するメス下降検知スイッチ34、布押さえ15の下降を検知する押え下降検知スイッチ28、布送り(布押さえ15と布保持板14)が原点位置にある状態を検出するY送り原点センサ26、針振り機構の基線位置が原点にあることを示す基線送り原点センサ57、針振り機構の振り幅が原点にあることを示す針振送り原点センサ58、布押さえ15の下降を指示する押さえスイッチ124、並びに、ミシンモータ5の駆動スタートを指示するスタートスイッチ125などが接続されている。
ROM101には、操作パネル110から各種の設定パラメータを入力する設定入力処理や、1重縫いや複数種類の2重縫い縫製パターンを演算する演算処理、並びに、縫製パターンに基づいてボタン穴かがりの縫製を実行する縫製処理などの制御データや制御プログラムが記憶されている。上記演算処理や縫製処理については後に詳述する。
図12には、操作パネルから入力可能なデータを示すデータテーブルのチャート図を、図13には縫製パターンの各部の長さを表すパラメータを説明する図を示す。
操作パネル110から入力可能なデータ内容は、同図のパラメータテーブルに示すとおりである。
そして、「1/2重切り換え」のデータ項目に「1」又は「2」を選択することで1重縫い又は2重縫いが選択され、「2重縫い重ね選択」のデータ項目に「0」又は「1」を選択することで2重縫いの際に並行縫製機能又はクロス縫製機能が選択され、「1周目閂止めまびき」のデータ項目に「1」又は「0」を選択することで2重縫いの際に1周目の閂止め部の縫製を行わない1周目閂止めまびき機能、又は第1周および第2周とも閂止め部を縫製する機能の何れかが選択され、「2重縫い時・1周目メス駆動」のデータ項目に「0」又は「1」を選択することで1周目にメスを駆動するか否かが選択されるようになっている。
設定データの各項目には、該項目に対応して入力可能なデータ値の範囲を示す設定範囲データが予め記憶されており、この設定範囲データから外れたデータが入力された場合にエラー判定が行われるようになっている。
上記の設定データは、縫製パターンナンバーに対応させて複数セット登録することが可能になっており、ユーザーが任意の縫製パターンナンバーを選択し呼び出すことで該ナンバーに対応した設定データのセットが読み込まれて実際の縫製制御に使用される。
図14と図15には、設定データに基づき演算される縫製パターンを縫製順序に沿って見た図を示す。
クロス縫製機能は、左平行部Aと右平行部C(図26参照)の縫い目を1周目と2周目でずらして互いの縫い目を十字上に重ねる縫製パターンである。このクロス縫製機能により、例えば、左平行部Aの1周目の縫い目であるポイントP2〜P3(図14の(2))の縫い目と、2周目の縫い目であるポイントP7〜P8(図14の(7))の縫い目とが、送り方向にずらされて十字上に重ねられる。このずらしは、図14の(6)に示すように、2周目の左平行部Aの縫製開始時に、布送りを止めて針振り側に一針捨て縫いを行うことで遂行される。右平行部Cのクロス縫製についても同様である。
上記移行縫製の詳細は、図14の(3)に示すように、左平行部Aの終端ポイントP3から2針分閂止め部に入った後、布送りを停止し、次いで、針振り基線を右平行部C縫製用の基線に合わせて移行し、更に、布送りをY送り方向へ後退させながら、右平行部Cの開始ポイントP4まで移行するといったものである。右平行部Cから左平行部Aに移行する移行縫製(図14の(5))についても同様である。図14の(3),(5)中、白抜きのポイントにより基線側の針落ちを示している。
そして、最後に、上糸切り鋏み80により上糸が、針板下の糸切りメス(図示略)により下糸が切断されて、1個のボタン穴かがりが終了する。
図16は、ボタン穴かがりミシンの制御部により行われるボタン穴かがり処理のゼネラルフローの処理手順を示すフローチャートである。このボタン穴かがり処理は、例えば、ボタン穴かがりミシン1の起動とともに開始される。
ステップS2では、操作パネル110の縫製キー131がオン状態か否かを判定してオン状態であればステップS3に移行するが、オフ状態であればステップS1に戻って操作設定処理を繰り返す。
これらステップS1とステップS2の処理は、操作パネル110の縫製キー131が押されるまで、高速で繰り返し行われ、この繰り返しの間に、図12に示す全てのデータ項目のデータ入力が可能になっている。
ステップS4では、例えばRAM102中のエラーフラグを読み込んで、前段のステップでエラーが記録されているか否かを判定して、エラーの記録がなければそのままステップS6に移行し、エラーの記録があればステップS5に移行して操作パネル110の表示部140に対応するエラー表示を行いボタン穴かがり処理を中断する。
ステップS7では、Y送りパルスモータ20、基線送りパルスモータ40、針振り送りパルスモータ41の微動、および、Y送り原点センサ26、基線送り原点センサ57、針振り送り原点センサ58の検出出力を基に、布送り機構と針振り機構の各原点検索を行ってステップS8に移行する。
ステップS8では、ミシン針9が縫い始めの第1針落ち位置の上方に位置するように、Y送りパルスモータ20、基線送りパルスモータ40、針振り送りパルスモータ41を駆動して、ステップS9に移行する。
ステップS10では、縫製キー131のオン操作が行なわれたか判定して、オン状態であればそのままステップS11に移行し、オフ状態であればステップS1に戻る。
ステップS11では、押さえスイッチ124がオン状態か否かを判定して、オン状態であればそのままステップS12に移行するが、オフ状態であればステップS10に戻ってステップS10,S11の処理を繰り返す。
押さえスイッチ124が押されてステップS12に移行すると、該ステップで押え下降検知スイッチ28の検出出力を読み込んで、布押さえ15が上昇していれば、ステップS13に移行して布押さえ15を下降させる出力を行ってステップS15に移行する。が、布押さえ15が下降していれば、ステップS14に移行して布押さえ15を上昇させる出力を行って再びステップS10からの処理に戻る。
ステップS16では、縫製スタートを指示するスタートスイッチ125がオン操作されたか否かを判定して、オン操作されずにオフ状態のままであれば、ステップS15からの処理を繰り返し、オン操作された場合にステップS17に移行する。
ステップS17では,ステップS3の縫製データ作成処理で作成された縫製データに従い、ミシンモータ5を駆動して1個のボタン穴かがりの始めから終わりまでの縫製、布切りメス16の駆動、並びに、各縫製タイミングで糸調子器19に設定された張力を掛ける縫製処理を行い、その後、ステップS18に移行する。
ステップS19では、アクティブテンションドライバ120に信号出力を行って、糸調子器19に設定された糸切り時張力を掛けてステップS21に移行する。
ステップS22では、押え下降検知スイッチ28の検出出力を読み込んで、布押さえ15の上昇を確認した後、ステップS23に移行して、アクティブテンションドライバ120に信号出力を行って、糸調子器19の張力を開放してステップS10に戻って、再び、ステップS10からの処理を繰り返す。
このサブルーチンが開始されると、先ず、先の操作パネル設定処理(図16のステップS1)で入力された設定データと、ROM101中に記憶されている設定範囲(図12参照)とを比較して、設定データが設定範囲内に含まれるか否かのチェックを行う。そして、含まれない場合にRAM102中のエラーフラグを立ててステップS32に移行する。
ステップS32では、ステップS31でエラーフラグが立てられたか否かを判定して、立てられていればこのサブルーチンを終了してゼネラルフローに戻るが、立てられていなければ、順次、縫製パターンを演算するパターン演算のサブルーチン処理(ステップS33)、布切りメスの駆動タイミングを演算するメス駆動タイミング演算処理(ステップS34)を実行して、このサブルーチンを終了する。
このパターン演算処理が開始されると、先ず、ステップS41で、先の操作パネル設定処理(図17のステップS1)で入力されRAM102に記憶されている「縫い始め送り位置データ」と「縫い始め基線位置データ」を読み込んで、これらデータが指し指す座標を第1針落ち位置として、左平行部の開始位置まで導く複数針分の座標(図14のポイントP1〜P2)を演算し、ステップS42に移行する。
そして、2重縫いを行わない場合は、ステップS46の演算処理に、2重縫いで並行縫製、閂止めまびき無しの場合は、ステップS47,S48の演算処理に、2重縫いで並行縫製、閂止めまびきの場合は、ステップS49,S50の演算処理に、2重縫いでクロス縫製、閂止めまびき無しの場合は、ステップS51,S52の演算処理に、2重縫いで並行縫製、閂止めまびきの場合は、ステップS53,S54の演算処理にそれぞれ移行され、それぞれの演算処理を行った後にこのサブルーチンを終了して、縫製データ作成処理(図17)の次のステップに移行する。
演算Aの処理では、操作パネル設定処理(図16のステップS1)で入力された縫製データに基づき、先ず、ステップS61の左平行部演算で、左平行部の針振り基線位置「a1」(図14のポイントP2の基線位置)と、針振り幅「(d−b)/2」(図13参照)と、送りピッチ「e」(左平行部の長さを適当な整数で除算した値)の演算を行う。
その後、順次、ステップS62の第1閂止め部演算で、第1閂止め部の針振り基線位置「a2」(図15のポイントP9の基線位置)と、針振り幅「d」と、送りピッチ「f」(閂止め部の長さを適当な整数で除算した値)の演算を、右平行部演算(ステップS63)で、右平行部の針振り基線位置「a3」(図14のポイントP4の基線位置)と、針振り幅「(d−b)/2」と、送りピッチ「e」(左平行部の長さを適当な整数で除算した値)の演算を、第2閂止め部演算(ステップS64)で、第2閂止め部の針振り基線位置「a4」(図15のポイントP13の基線位置)と、針振り幅「d」と、送りピッチ「f」(閂止め部の長さを適当な整数で除算した値)の演算を、縫い終り演算(ステップS65)で、左平行部、第1閂止め部、右平行部および第2閂止め部の各長さを送りピッチで除算した総針数の演算をそれぞれ行う。
つまり、この演算Aの処理により、通常のボタン穴かがりの1周分の縫い目が演算される。
演算Bの処理では、先ず、左平行部演算(ステップS71)で、左平行部の針振り基線位置「a1」(図14のポイントP2の基線位置)と、針振り幅「(d−b)/2」(図13参照)と、送りピッチ「e」(左平行部の長さを適当な整数で除算した値)の演算を行う。
その後、順次、第1閂止め基線移動演算(ステップS72)で、第1閂止め部の針振り基線位置「a2」(図15のポイントP9の基線位置)の演算を、右平行部演算(ステップS73)で、右平行部の針振り基線位置「a3」(図14のポイントP4の基線位置)と、針振り幅「(d−b)/2」と、送りピッチ「e」(左平行部の長さを適当な整数で除算した値)の演算を、第2閂止め基線移動演算(ステップS74)で、第2閂止め部の針振り基線位置「a4」(図15のポイントP13の基線位置)の演算を、それぞれ行う。
つまり、この演算Bの処理により、閂止め縫いを行わないボタン穴かがりの1周分の縫い目の演算が行われる。
この演算Cの処理では、先ず、パルスモータ移動量0の1針演算(ステップS81)で、Y送りパルスモータ20を動作させずに1針縫い目(図14の(6)の縫い目)を形成するための演算を行う。
その後、順次、左平行部演算(ステップS82)で、左平行部の針振り基線位置「a1」(図14のポイントP2の基線位置)と、針振り幅「(d−b)/2」(図13参照)と、送りピッチ「e」(左平行部の長さを適当な整数で除算した値)の演算を、第1閂止め部演算(ステップS83)で、第1閂止め部の針振り基線位置「a2」(図15のポイントP9の基線位置)と、針振り幅「d」と、送りピッチ「f」(閂止め部の長さを適当な整数で除算した値)の演算を、それぞれ行う。
次いで、順次、パルスモータ移動量0の1針演算(ステップS84)で、Y送りパルスモータ20や針振り機構の各パルスモータを動作させずに1針縫い目(図15の(12)の縫い目)を形成するための演算を、右平行部演算(ステップS85)で、右平行部の針振り基線位置「a3」(図14のポイントP4の基線位置)と、針振り幅「(d−b)/2」と、送りピッチ「e」(左平行部の長さを適当な整数で除算した値)の演算を、第2閂止め部演算(ステップS86)で、第2閂止め部の針振り基線位置「a4」(図15のポイントP13の基線位置)と、針振り幅「d」と、送りピッチ「f」(閂止め部の長さを適当な整数で除算した値)の演算を、縫い終り演算(ステップS87)で、左平行部と、第1閂止め部と、右平行部および第2閂止め部の各長さを送りピッチで除算した総針数の演算を、それぞれ行う。
つまり、この演算Cの処理により、演算Aのボタン穴かがり縫い目に対して1針分ずらされた針落ち形状のボタン穴かがり1周分の縫い目の演算が行われる。
このメス駆動タイミング演算処理は、布切りメス16の駆動回数「n」、および、各駆動回数「1」〜「n」に対応した布切りメス16の駆動針数「M1」〜「Mn」(図23参照)を演算する処理である。
このメス駆動タイミング演算処理が開始されると、先ず、ステップS101において、設定データの「1/2重切り換えデータ」から1重縫いか2重縫いかを判定して、1重縫いであればステップS103に分岐し、2重縫いであればステップS102に分岐する。また、ステップS102に移行した場合には、設定データの「2重縫い時・1周目メス駆動データ」からメス駆動が1周目か2周目かを判定し、1周目であればステップS104に分岐し、2周目であればステップS105に分岐する。
また、上記分岐処理の結果、ステップS104に移行した場合には、パターン演算処理で作成した縫製パターンから1周目の右平行部の開始位置(図14のポイントP4)までの針数を変数Mに代入してステップS106に移行する。
また、上記分岐処理の結果、ステップS105に移行した場合には、パターン演算処理で作成した縫製パターンから2周目の右平行部の開始位置(図15のポイントP10)までの針数を変数Mに代入してステップS106に移行する。
つまり、このメス駆動タイミング演算処理によれば、上記ステップS103〜S105で行われる変数「M」への代入処理において、1周目の右平行部の開始針数を代入するか、2周目の右平行部の開始針数を代入することで、その後、同一の演算処理(ステップS106〜S113)により、1周目で布切りメス16を駆動させる場合の針数、或いは、2周目で布切りメス16を駆動させる場合の針数を得ることが出来る。
この縫製処理が開始されると、順次、「残糸数」パラメータにパターン演算処理で演算された縫製パターンの総針数を割り当てる処理(ステップS131)、ミシンモータ5を駆動させるミシン起動出力(ステップS132)を行い、ステップS133に移行する。
ステップS133では、ミシンの状態が回転中か否かを判定し、回転中であればステップS134に移行するが、回転中でなけば回転状態になるまで待機する。
その後、ミシンの状態が停止するまで、ステップS134〜ステップS141の高速ループ処理を繰り返し、このループ処理の繰り返しの中で実際の縫製処理を行っていく。
ステップS135では、TG発生器118に基づく上軸6の回転角度を監視して、所定の回転角度になったタイミングでステップS136に移行する。そして、ステップS136において、Y送りパルスモータ20、基線送りパルスモータ40、針振り送りパルスモータ41を駆動して、演算して得た縫製パターンに従って針落ち位置を移動させていく。つまり、このステップS135,S136の処理により、縫製パターンに従って布が送られ実際の縫製が行われていく。
ステップS137では、針上位置センサ116の出力に基づき針棒8が所定位置より上方に上がった場合に、ステップS138に移行し、該ステップで針数をカウントしていくと共に、針数が布切りメス16の駆動回数「M1」〜「Mn」になった場合に、布切りメス16の駆動処理を行う。
ステップS139では、送り基準位置センサ117からの出力により送り基準割り込み信号が入力された場合にステップS118に移行し、該ステップで布送りが基準位置にきた場合の設定処理を、ステップS141では、針数カウントが布切りメス16の駆動回数である場合に、布切りメス16の駆動チェックを行う。
また、このクロス縫製は、クロス縫製が効果的に目立つ平行縫製部分のみに行われるので、無駄な縫製が省かれ、縫製サイクルの時間や針数を必要最小限にすることができる。
また、「2重縫い重ね選択」の設定パラメータの選択により、並行縫製機能による従来の2重縫いの縫製パターンと、クロス縫製機能による縫い目とが選択できるので、縫製パターンのバリエーションが豊富である。
また、「1周目閂止めまびき」の設定パラメータの選択により、閂止め部も2重に縫う従来の縫製パターンと、第1周閂止めまびき縫製機能による縫製パターンとが選択できるので、縫製パターンのバリエーションが豊富になる。
すなわち、この実施の形態では、2重縫いを行う処理手順として、縫製パターン演算時に2重縫いの縫製パターンを演算し、この縫製パターンに従って縫製処理を行うことで2重縫いを行うようにしたが、このような処理手順に限られず、例えば、図25に示すように、1周目の縫製処理(ステップS201)が終了した段階で、2重縫いを行うか否かを判定し(ステップS202)、行う場合には2周目の縫製処理(ステップS202)を実行する一方、行わない場合には縫製処理を終了し、その後、布押さえ15を上昇させて(ステップS204)、ボタン穴かがり処理を終了するといった処理手順としても良い。
6 上軸
8 針棒
9 ミシン針
14 布保持板
15 布押さえ
18 針棒揺動台
20 Y送りパルスモータ(Y送り駆動手段)
40 基線送りパルスモータ(X送り駆動手段)
41 針振り送りパルスモータ(X送り駆動手段)
80 上糸切り鋏み
100 CPU(制御手段)
110 操作パネル(選択手段)
Claims (1)
- 被縫製物に設けられた線状のボタン穴部に平行な平行縫製部分と、
ボタン穴部の両端側の閂止め縫製部分とを、前記ボタン穴部の周囲を周回するように縫製する縫製手段を備えたボタン穴かがりミシンにおいて、
前記縫製手段によりボタン穴部周囲の縫製を少なくとも2周行う縫製パターンを有し、該縫製パターンの実行に当たり、1周目の縫製時に前記閂止め縫製部分の縫製を行わず、2周目の縫製時に前記閂止め縫製部分の縫製を行う第1周閂止めまびき縫製機能を有する制御手段を備えたことを特徴とするボタン穴かがりミシン。
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