JP2006265534A - 重合体コンポジット - Google Patents
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Abstract
【課題】有機半導体層の特性である移動度とオンオフ比の両方を向上させ、かつ、大気安定性に優れ、高移動度、高オンオフ比を長期間維持できる半導体素子を提供する。
【解決手段】置換および無置換の両方のチオフェン骨格を有する共役系重合体とカーボンナノチューブを有する重合体コンポジット。
【選択図】 なし
【解決手段】置換および無置換の両方のチオフェン骨格を有する共役系重合体とカーボンナノチューブを有する重合体コンポジット。
【選択図】 なし
Description
本発明は、共役系重合体中にカーボンナノチューブを分散した重合体コンポジット、および重合体コンポジットを半導体層素材として用いたトランジスタ素子に関する。
従来、電界効果型トランジスタ(以下、FET素子と言う)は、シリコンやゲルマニウム等の無機半導体を用いており、回路パターンを形成するのに、フォトリソグラフィーや真空蒸着等の製造コストのかかるプロセスが何段階もわたって必要だった。このような製造方法を採用してきた半導体産業では製造コスト削減や、表示装置における大面積化の要請が高まっている。しかし、製造装置の制約から無機半導体での低コスト化や大面積化が困難である。
このため、成形性に優れた有機高分子半導体を半導体層として用いたFET素子が提案されている。有機高分子半導体をインクとして利用することで、インクジェット技術やスクリーニング技術等により、基板上に直接回路パターンを形成することが可能になりつつある。
有機高分子半導体を半導体層としたFET素子の技術としては、ポリアセチレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフラニレンビニレンおよびそれらの置換誘導体から選択されるFET素子(特許文献1参照)や半導体層が第一のπ共役系高分子からなり、ソース電極が第二のπ共役系高分子から、ドレイン電極が第三のπ共役系高分子から、ゲート電極が第四のπ共役系高分子からなるFET素子(特許文献2参照)がある。
ここで、FET素子の性能を示す重要な指標として移動度とオンオフ比が挙げられる。移動度の向上は、すなわち、オン電流を増加させることを意味する。一方、オンオフ比の向上は、オン電流を増加させるとともにオフ電流を減少させることを意味する。これらはどちらもFET素子のスイッチング特性が向上することであり、例えば液晶表示装置においては高階調を実現させることにつながる。例えば液晶表示装置の場合、移動度0.1cm2/V・sec以上、オンオフ比105以上が求められる。
従来の技術では、有機高分子半導体を半導体層に用いるFET素子はこの移動度とオンオフ比の点で工業的要求に答えられる性能を達成することが困難であった。例えば上記の有機高分子半導体を用いたFET素子よりも性能の高いものとして、ポリチオフェンおよびその置換誘導体から選択されるFET素子が開示されている(特許文献3、非特許文献1参照)。その移動度が2.1×10−2cm2/V・secと実用性能に匹敵するものであるが、オンオフ比はNH3を暴露することで最大9×103にまで向上させているものの要求レベルに対しては不十分であった。
一方で、半導体層にポリ−3−ヘキシルチオフェンを用いた電界効果型トランジスタのオンオフ比を向上させる技術として、ポリ−3−ヘキシルチオフェン中に含まれる不純物を超臨界状態のCO2を用いて抽出除去する方法(特許文献4参照)や、ポリ−3−ヘキシルチオフェン中に含まれる低分子量成分を濾過によって除去する方法(特許文献5参照)が示されている。この方法によってオンオフ比を1.2×103まで向上することが示されているが、工業的要求レベルには不十分であった。
また、オンオフ比を向上させる他の技術では、半導体層に共役系重合体を用い、その中にカーボンナノチューブを分散させることによって移動度を向上させる方法(特許文献6参照)が開示されており、移動度とオンオフ比を向上させているが、用いている共役系重合体がポリ(3−ヘキシルチオフェン)であるため、大気下では、酸化的にドープされ、オフ電流が大きくなり、その結果オンオフ比が小さくなるという問題点があった。
上述の如く、既存の技術において移動度、オンオフ比ともに向上してはいるものの、半導体層の大気安定性が悪く、デバイス製造工程において環境酸素の影響を排除または最小にする必要があるため、製造コストの増大に繋がる。
大気中での安定性を向上させるため、ポリ−3−ヘキシルチオフェンの半導体層上面を酸化シリコン膜とポリフェニレンビニレン誘導体膜を覆った構成のFET素子があり、キャリア移動度約0.05cm2/V・sec、オンオフ比106以上が得られている(非特許文献2参照)。しかしながら、上記のFET素子は特殊な構成であり、しかも素子作製過程を窒素雰囲気下で行わなくてはいけない等の制約があるため、素子作製について様々な点で問題があった。
また、環境酸素の影響が小さいポリチオフェン類を用いた電界効果型トランジスタが示されており、キャリア移動度約0.02cm2/V・sec、オンオフ比105以上が得られた報告がなされている(非特許文献3)。しかしながら、上記のFET素子は有機半導体層としてポリチオフェン類のみの構成であり、これ以上の移動度の向上は困難である。例えば液晶表示装置の場合、移動度0.1cm2/V・sec以上、オンオフ比105以上が求められており、特に移動度が不十分であった。
特開昭64−36076号公報(特許請求の範囲)
特開平1−259563号公報(特許請求の範囲)
特開平10−190001号公報(特許請求の範囲)
特開2003−347624号公報(特許請求の範囲)
特開2003−347552号公報(特許請求の範囲)
特開2004−266272号公報(特許請求の範囲)
アプライド フィジクス レターズ(Applied Physics Letters)(米国)、1996年、69巻、4108頁
サイエンス(Science)1998年、280巻、1741頁
ケミカル マテリアル(Chemical Material)2005年、17巻、221頁
上述のように従来の有機高分子半導体を半導体層として用いた電界効果トランジスタは性能、安定性等の点で問題点があった。本発明の目的は、有機半導体層そのものの特性、すなわち有機半導体層の移動度とオンオフ比の両方を向上させ、かつ、大気安定性に優れ、大気下においても安定的に高移動度、高オンオフ比を長期間維持できる素材の提供を目的とする。
すなわち、本発明は上記本発明の目的を達成するために、以下の構成からなる。
一般式(1)で示される共役系重合体と、カーボンナノチューブを有する重合体コンポジットであり、それを用いた半導体素子および電界効果型トランジスタである。
一般式(1)で示される共役系重合体と、カーボンナノチューブを有する重合体コンポジットであり、それを用いた半導体素子および電界効果型トランジスタである。
R1、R2、R3は、各々独立に水素、炭素数1〜20の脂肪族基、置換脂肪族基、アルコキシ基から選ばれる。Aは炭素数6〜40の置換および無置換のアリーレン基から選ばれる。aは0〜2から選ばれる整数を表す。b、c、dは0〜5から選ばれる整数を表す。ただしa=0であるときは、b、c、dは1〜5から選ばれる整数であり、かつ、R1、R2、R3のうちの1つまたは2つは水素であり、残りは各々独立に水素、炭素数1〜20の脂肪族基、置換脂肪族基、アルコキシ基から選ばれる基である。また、a=1またはa=2であるときは、b、c、dは0〜5から選ばれ、かつb+c+d≧1を満たす整数である。nは2〜2000の範囲を表す。
本発明によれば、高性能な有機高分子半導体素材を提供することができ、本素材を半導体層として用いることで高移動度、高オンオフ比を示し、かつ大気安定性に優れるため、長期に渡って高オンオフ比を維持可能な電界効果型トランジスタを提供することができる。
本発明は、一般式(1)で示される共役系重合体と、カーボンナノチューブ(以下CNTと記す)を有する重合体コンポジットであり、高性能な半導体特性を有している。特に重合体コンポジットを電界効果型トランジスタ(以下、FET素子と略す)の半導体素材として用いた場合には、高移動度、かつ、高オンオフ比を得ることができ、さらに大気安定性に優れるため、高オンオフ比を長期間維持できる。以下に重合体コンポジットと、FET素子の具体的な構成を述べる。
本発明においては、大気安定性に優れる共役系重合体中にCNTを分散することで半導体特性を向上でき、かつ、大気中においても高オンオフ比を維持できる。通常のポリチオフェン類は大気中で不安定であり、ドーピングを受けやすいため、FET素子においてオフ電流の制御が困難となりオンオフ比は著しく低下してしまう。
本発明に用いられる共役系重合体は一般式(1)で示される構造を含んでいる。
R1、R2、R3は、各々独立に水素、炭素数1〜20の脂肪族基、置換脂肪族基、アルコキシ基から選ばれる。Aは炭素数6〜40の置換および無置換のアリーレン基から選ばれる。aは0〜2から選ばれる整数を表す。b、c、dは0〜5から選ばれる整数を表す。ただしa=0であるときは、b、c、dは1〜5から選ばれる整数であり、かつ、R1、R2、R3のうちの1つまたは2つは水素であり、残りは各々独立に水素、炭素数1〜20の脂肪族基、置換脂肪族基、アルコキシ基から選ばれる基である。また、a=1またはa=2であるときは、b、c、dは0〜5から選ばれ、かつb+c+d≧1を満たす整数である。nは2〜2000の範囲を表す。
本発明では、共役系重合体の最高被占軌道(HOMO)エネルギーレベルを低くすることで、酸素分子などによるドーピングを抑制することができる。そのためには、aは0〜2の範囲で選択されるが、a=0であるとき、b、c、dは1〜5から選ばれる整数を表し、かつ、R1、R2、R3のうちの1つまたは2つは水素であり、残りは各々独立に水素、炭素数1〜20の脂肪族基、置換脂肪族基、アルコキシ基から選ばれる基である。上記の構造にはいずれも無置換チエニレン基が含まれているが、この無置換チエニレン基がポリマー主鎖の回転を自由にし、π共役の広がりを妨げ、酸化的ドーピングを抑制することができる。無置換チエニレン基が存在しないとπ共役が広がりHOMOエネルギーレベルが上がり、大気下で容易に酸素によってドーピングされ、FETのOFF電流を上昇させてしまう。また、無置換チエニレン基と同時に存在する置換チエニレン基の置換基(ポリマーの主鎖に対する側鎖に相当)は、ポリマーの溶媒への溶解性を向上させるため、例えばアルキル鎖などが選択される。さらに側鎖の位置規則性を高くすることで共役系重合体の配向性が高くなり、素子にしたときの移動度を向上させることができる。
また、a=1またはa=2であるとき、b、c、dは0〜5から選ばれ、b+c+d≧1を満たす整数を表し、R1、R2、R3は、各々独立に水素、炭素数1〜20の脂肪族基、置換脂肪族基、アルコキシ基から選ばれる。
一般式(1)のAはaの選択される整数に依らずいずれの場合も、炭素数6〜40の置換あるいは無置換のアリーレン基から選ばれる。アリーレン基として、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、フェナントレニレン基、ジヒドロフェナントレニレン基、フルオレニレン基、チエニルチアゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、キノキサリン基、チエノチオフェン基、チエニルチエノチオフェン基、フルオレン基、カルバゾール基やオリゴアリーレン等のアリーレン基が挙げられる。上記のアリーレン基を導入することで、共役系重合体のHOMOエネルギーレベルを低くすることができ、酸素分子などによるドーピングを抑制できる。
無置換アリーレン基でもHOMOエネルギーレベルを下げることができるが、更にHOMOエネルギーレベルを下げ、酸素などによるドーピングを抑制するために、アリーレン基がさらに置換基を有していてもよく、具体的にはハロゲン原子、アルデヒド基、エステル基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基などの電子受容性の置換基が好ましい。電子受容性の置換基の中でも、特にハロゲン原子が好ましく選ばれる。
R1、R2、R3の選択肢である炭素数1〜20の脂肪族基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基のような直鎖アルキル基、または、直鎖アルキル基の異性体である分岐アルキル基などが挙げられる。また置換脂肪族基としては、アルコキシアルキル基、シロキシ置換アルキル基、ハロゲン置換アルキル基などが挙げられる。アルコキシ基は上記のアルキル、アルキル誘導体を含むアルコキシ基である。
一般式(1)のnはポリマーの重合度を示し、2〜2000の範囲であるが、膜形成の容易さから溶媒に可溶な重合体であることが好ましく、nは2〜500がさらに好ましい。重合度は数平均分子量から求めることができ、数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定し、ポリスチレンの標準試料に換算して数平均分子量を求めることができる。また、上記重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、オリゴマーであってもよい。
本発明において用いられる上記の共役系重合体の側鎖の結合様式は、レジオレギュラーな構造を有し、一般式(1)に示される位置規則性を有する共役系重合体が好ましく選ばれる。レジオレギュラリティーとは、複数並んだモノマーユニットにおいて、側鎖の方向がどれだけ一方向に規則正しく並んで連結しているかを表す指標である。レジオレギュラリティーは核磁気共鳴分光装置(NMR)によって定量することが可能である。上記のように、共役系重合体のHOMOエネルギーレベルを下げるためには、アリーレン基の数aが0のときで(I)R1、R2がアルキル基、R3は水素原子、(II)あるいはR3はアルキル基、R1、R2は水素原子となる構造が好ましい。(I)、(II)のいずれの構造も一般式(1)の主骨格にアルキル置換チエニレン構造と無置換のチエニレン構造が同時に存在する。また、アリーレン基の数aが1または2であるときに存在する置換あるいは無置換のアリーレン基もHOMOエネルギーレベルを下げることができる。またアリーレン基に結合するチエニレン基は置換チエニレン基、無置換チエニレン基のいずれでも良い。
本発明に用いられる共役系重合体の具体例を以下に示す。なお、下記のRは炭素数1〜20のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。nは2〜2000の範囲を示す。
本発明で用いる共役系重合体の不純物を除去する方法は特に限定されないが、基本的には合成過程で使用した原料や副生成物を除去する精製工程であり、再沈殿法、ソクスレー抽出法、濾過法、イオン交換法、キレート法等を用いることができる。中でも低分子量成分を除去する場合には再沈殿法やソクスレー抽出法が好ましく用いられ、金属成分の除去には再沈殿法やキレート法、イオン交換法が好ましく用いられる。これらの方法のうち、1種を単独で用いるか、あるいは複数を組み合わせても良く、特に限定はされない。
本発明の重合体コンポジットは共役系重合体をマトリックスとし、その中にCNTが分散されている。CNTを分散する方法は特に限定されないが、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合させる方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させこの中にCNTを添加して混合させる方法、(III)CNTを溶媒中で予め超音波等で予備分散しておいた所に共役系重合体を添加し混合させる方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合させる方法等が挙げられる。本発明では、何れの方法を単独で用いるか、あるいは何れの方法を組み合わせても良く、特に限定されない。
本発明では、分散させるCNTの少なくとも一部に共役系重合体を付着させていても良い。これは重合体コンポジット中に効率よく、CNTがマトリックス(共役系重合体)内に均一に分散する作用を奏する。共役系重合体がCNTの少なくとも一部に付着した状態とは、CNT表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのはそれぞれの共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、被覆されたCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判別できる。定量的には元素分析によって付着物の存在とCNTに対する付着物の重量比を同定することができる。
また、フィルター(好ましくは0.1μm径)で上記CNTを濾過して捕集し、溶媒を用いてCNTを十分に洗浄することによって、余剰の共役系重合体が除去されて共役系重合体の付着したCNTのみを得ることができる。
上記のCNT表面の一部、あるいは全部に被覆した共役系重合体は、共役系重合体であれば良く、一般式(1)で表される共役系重合体の他に、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体などが挙げられる。これらの共役系重合体が直鎖状であるためには、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体はそれぞれチオフェン環、ピロール環の2、5位でモノマーユニットがつながる必要がある。また、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体ではフェニレン基のパラ位で重合体の骨格がつながっている必要がある。上記重合体は単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したものも用いられる。また、グラフト重合したものも用いることができる。上記重合体の中でも本発明においては、ポリチオフェン系重合体が特に好ましく使用される。
ポリチオフェン系重合体とはポリ−チオフェン構造の骨格を持つ重合体に側鎖が付いた構造を有するものである。具体例としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ(3,3”−ジアルキルターチオフェン)、ポリ[5,5’−ビス(3−アルキル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン]、ポリ[2,5−ビス(2−チエニル)−3,4−ジアルキルチオフェン]、ポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ〔2,3−b〕チオフェン](アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜16)、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン(アルコキシ基の炭素数はとくに制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェン(アルコキシ基およびアルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−チオヘキシルチオフェンやポリ−3−チオドデシルチオフェンなどのポリ−3−チオアルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)が挙げられ、1種もしくは2種以上を用いることができる。中でも、ポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ(3,3”−ジアルキルターチオフェン)、ポリ[5,5’−ビス(3−アルキル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン]、ポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ〔2,3−b〕チオフェン]、ポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましく、前者としては特にポリ−3−ヘキシルチオフェンが好ましい。またポリチオフェン系ユニットを含む共重合体とは、チオフェンユニットが並んだ間にアリーレンユニット、チエニルチアゾールユニット、チアゾールユニット、チエノチオフェンユニット、チエニルチエノチオフェンユニット、フルオレンユニット、カルバゾールユニットや、フタロシアニンユニット、または上記のユニットの誘導体をはさんだポリマー等が挙げられ、共役系の連続するものであれば好ましく用いることができる。好ましい分子量は数平均分子量で800〜100000である。また、上記重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、直鎖状共役系からなるオリゴマーであってもよい。
本発明では、CNTと大気安定性に優れた共役系重合体との重合体コンポジットであるが、CNTまたはCNTを含む溶液と、一般式(1)で表される共役系重合体、またはその重合体を有する溶液とを混合し、超音波を照射するなどして重合体コンポジットを得ることができる。また共役系重合体が付着したCNTを用いる場合は、共役系重合体が付着したCNTまたは共役系重合体が付着したCNTを含有する溶液と、一般式(1)で表される共役系重合体、またはその溶液とを混合し、上記と同様に重合体コンポジットを得ることができる。
本発明で用いるCNTには1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNTと、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNTと、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTとがあり、本発明においてはどれか1種を単独で、もしくは単層、2層、多層のうちの2種類または3種類を同時に用いることができる。CNTはその製造方法として、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等、数種類あり製法によって直径や長さや直線性などの形態が少しずつ異なっている。本発明に用いられるCNTはいずれの方法によって得られたものであってもよい。
本発明の重合体コンポジットに含まれるCNTの重量分率は、半導体特性を得るためには0.01〜3重量%であることが好ましい。0.01重量%よりも小さい場合には添加の効果が小さく、3重量%より大きい重量分率ではコンポジットの導電率が過剰に増加するため半導体層として用いるには不適当となる。より好ましくは1重量%以下である。1重量%以下にすることで高移動度と高オンオフ比の両立が得やすくなる。このように最適なCNTの重量分率範囲内の重合体コンポジットを用いることによって半導体特性の向上を図ることができる。
重合体コンポジットを半導体層として用いる場合、塗膜の形態で用いられる場合が多く、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法など何れの方法を用いることができ、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択すればよい。例えばスピンコート塗布を行う場合には重合体コンポジット溶液中のCNTと重合体が含まれる濃度は1〜20g/Lにすると良く、厚み5〜200nmの塗膜を得ることができる。このとき、重合体コンポジットを溶解させる溶媒としてはテトラヒドロフランやトルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどが好ましく用いられる。形成した塗膜に対して、減圧下または不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行ってもよい。
また、塗布膜が半導体として利用される場合には素子電極間の短絡を防ぐために、素子電極間の距離よりも短いCNTを使用することが望ましい。しかし、CNTは一般には紐状で生成されるので、短繊維状で使用するにはカットすることが望ましい。短繊維へのカットには、硝酸、硫酸などによる酸処理とともに超音波処理、または凍結粉砕法などが有効であり、またフィルターによる分離を併用することは純度を向上させる上でもさらに好ましい。なお、カットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも本発明により好ましく使用される。溶液の塗布より得られた分散体が半導体として利用される場合には、CNTの平均長さは電極間距離によるが、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。
CNTの数平均長さは、溶媒中に分散してCNT分散液とし、これを基板に塗布した塗膜の状態で、CNT形状を解析することで得られる。CNTの数平均長さは次の方法に基づいて測定する。作製したCNT分散液を、予め表面を洗浄処理したシリコンウエハーやガラス基板上にスピンコート法などによって塗布し、AFM(原子間力顕微鏡)やSEM(走査型電子顕微鏡)を用いてCNTを観察する。観察されるCNTの全数が100個程度となるように視野を決め、観察された全てのCNTの長さの合計値を、CNT全数で割ることで数平均長さを求める。
本発明で用いられるCNTの直径は特に限定されないが、1nm以上、100nm以下、より好ましくは50nm以下が良好に使用される。
本発明の重合体コンポジットを半導体に用いる例の1つとして、FET素子について説明する。図1、図2は、本発明のFET素子の例を示す模式断面図である。絶縁層3で覆われたゲート電極2を有する基板1上に、図1では通常のフォトリソグラフィー技術および真空蒸着法やスパッタリング法を用いて金等のソース電極5およびドレイン電極6が形成された後、スピンコート法によってCNTが分散している有機高分子半導体の半導体層4が形成されている。また、図2では前記基板上にスピンコート法によってCNTが分散している有機高分子半導体の半導体層4が形成された後、マスク蒸着法等によって金等のソース電極5およびドレイン電極6が形成されている。
基板1としては、例えば、シリコンウエハー、ガラス、アルミナ焼結体等の無機材料、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料が使用可能である。ここで基板洗浄以外の基板表面を改善する処理は特に行わなくとも、本発明のFET素子は従来のFET素子よりも高性能となるが、シリコンウエハー、ガラス基板等の酸化シリコン系基板の場合、シランカップリング剤に代表されるような表面改質剤で処理することによってFET素子の性能を上げる効果があり、本発明においても上記に説明した表面処理を行うことも可能である。
ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6としては、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン、低抵抗ポリシリコン、低抵抗アモルファスシリコン等の金属や錫酸化物、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、白金シリサイド、インジウムシリサイド等の無機化合物、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)等の有機化合物が使用できる。これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
上記ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6は蒸着、スパッタリング、めっき、各種CVD成長、スピンコート法とフォトリソグラフィー技術やエッチング等のいわゆる半導体プロセス技術、クラスタイオンビーム蒸着等により形成することができる。
前記の絶縁層3(ゲート絶縁膜)に用いる材料として、具体的には酸化シリコン、アルミナ等の無機材料、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルフェノール、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリマレイミド、または、上記の共重合体等の有機高分子材料、あるいは無機材料粉末と有機高分子材料の混合物を用いることができる。上記絶縁層は一種類でも複数種併用することもできる。上記絶縁層は、スパッタリング、蒸着、スピンコート法等により形成することができる。
また、半導体層に隣接して、配向を付与する機能を持つ配向性層を有することも可能である。配向性層には、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ヘテロ有機酸など、公知の技術を用いることができる。
本発明の重合体コンポジットをFET素子に用いる場合、当該重合体コンポジットに用いられるCNTは、長さが少なくともソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いことが必要である。これよりも長い場合、電極間を短絡させる原因となり、FET素子作製には不適当である。そのため、長さが少なくともソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いCNTを用いるか、またはCNTをチャネル長よりも短くする工程を経ることが好ましい。一般に市販されているCNTは長さに分布があり、チャネル長よりも長いCNTが含まれることがある。そこでCNTをチャネル長よりも短くする工程を加えたほうがよく、電極間の短絡を確実に防ぐことができる。
本発明では、CNTを溶媒中に均一分散させ、CNT分散液をフィルターによって濾過する工程を設けることが好ましい。フィルター孔径よりも小さいCNTを濾液から得ることで、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも小さくしたカーボンナノチューブを効率よく得られることができる。
濾過に用いるフィルターは、チャネル長よりも小さい孔径を有するフィルターであれば、メンブレンフィルター、セルロース濾紙、ガラス繊維濾紙など何れの種類のフィルターも用いることができる。中でもメンブレンフィルターは、濾紙内部で吸着されるCNTの量を減らすことができるので、濾液から収率よくCNTを回収できるので好ましく用いることができる。
濾過に用いるフィルターの孔径は、チャネル長よりも小さければ良く、例えばチャネル長が20μmの場合は、孔径10μmのフィルターを用いることで電極間の短絡を確実に防ぐことができる。実際には孔径0.5〜10μmのフィルターを好ましく用いることができ、チャネル長に応じて使い分けることができる。
他にCNTを短小化する方法として、酸処理によってCNTそのものを短くする方法が知られており、本発明に用いることができる。この場合、CNTを硫酸と硝酸との混酸の中に加え、超音波照射するか、100℃以上の熱処理をすることで短小化されたCNTを得ることができる。また、過酸化水素水中で加熱する方法も用いることができる。これらの方法を行った場合は、後処理として孔径0.1〜1μmのフィルターを用いて処理されたCNTを濾別し、水洗することで、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも小さくしたカーボンナノチューブを得ることができる。
また、別の方法では凍結粉砕工程を経て、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも小さくしたカーボンナノチューブを得ることができる。
CNTを溶液中に均一分散させるには、溶媒中にCNTと共にドデシルスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤、またはコイル状構造を有する高分子、または共役系重合体を加え、超音波照射または加熱環流する方法が好ましく用いられる。FET素子の特性を向上させることを考慮すれば、より半導体特性の優れた物質を用いることが好ましく、共役系重合体を用いることが特に好ましい。
半導体層の膜厚は特に限定されないが、中でも好ましくは10nm以上100nm以下がよい。この範囲以内であれば105以上のオンオフ比を実現することが可能になる。この範囲以上に膜厚が大きいとゲート電圧によって制御できないソース・ドレイン間電流が増加してしまい、FET素子のオンオフ比を低下させる。またこの範囲以下ではキャリア移動度が減少してしまう問題がある。
このようにして形成されたFET素子は、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流をゲート電圧を変化させることによって制御することができ、その特性から下記の(1)式を用いて移動度を算出することができる。
μ=(δId/δVg)L・D/(W・εr・ε・Vsd) (1)
ただしIdはソース・ドレイン間の電流、Vsdはソース・ドレイン間の電圧、Vgはゲート電圧、Dは絶縁層の厚み、Lはチャネル長、Wはチャネル幅、εrは絶縁層の比誘電率(ここではSiO2の3.9を使用)、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)である。
ただしIdはソース・ドレイン間の電流、Vsdはソース・ドレイン間の電圧、Vgはゲート電圧、Dは絶縁層の厚み、Lはチャネル長、Wはチャネル幅、εrは絶縁層の比誘電率(ここではSiO2の3.9を使用)、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)である。
また、あるマイナスのゲート電圧におけるId(オン電流)の値と、あるプラスのゲート電圧におけるId(オフ電流)の値の比からオンオフ比Yを求めることができる。通常、例えばポリ(3−ヘキシルチオフェン)などを、大気中で測定すると酸化的にドーピングされ、オフ電流が増大し、オンオフ比が低くなるが、本発明の重合体コンポジットは大気安定性に優れるため、大気中で測定しても高オンオフ比を維持可能である。高階調の液晶ディスプレイを得るためには、オンオフ比が105以上である必要があるが、本発明の重合体コンポジットを用いた電界効果型トランジスタはオンオフ比105以上を得ることができる。
なお、オンオフ比がどの程度維持できるかどうかの評価については、次のような手段もある。オンオフ比の変化の割合をZとし、下記(2)式で表す。
Z={LOG10Y}/{LOG10Y1} (2)
ここで、Yは作製した電界効果型トランジスタを大気中で5日間放置した後に、大気中で測定したオンオフ比であり、Y1は電界効果型トランジスタ作製直後に大気中で測定したオンオフ比である。本発明の重合体コンポジットを用いた電界効果型トランジスタでは、Zは0.8以上を得ることができる。
ここで、Yは作製した電界効果型トランジスタを大気中で5日間放置した後に、大気中で測定したオンオフ比であり、Y1は電界効果型トランジスタ作製直後に大気中で測定したオンオフ比である。本発明の重合体コンポジットを用いた電界効果型トランジスタでは、Zは0.8以上を得ることができる。
以上の方法によって得られる重合体コンポジットを各種有機半導体材料や薄膜の電界効果型トランジスタ、光起電力素子、スイッチング素子など、各種デバイスの製造に有利に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また実施例で評価したオンオフ比Zは、次の式に基づき算出した。
Z={LOG10Y}/{LOG10Y1} (2)
Y:作製した電界効果型トランジスタを大気中で5日間放置した後に、大気中で測定したオンオフ比
Y1:電界効果型トランジスタ作製直後に大気中で測定したオンオフ比。
Y:作製した電界効果型トランジスタを大気中で5日間放置した後に、大気中で測定したオンオフ比
Y1:電界効果型トランジスタ作製直後に大気中で測定したオンオフ比。
また実施例等で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
P3T−8:ポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)
P3HT:ポリ−3−ヘキシルチオフェン
PTFE:4フッ化エチレン
PQT−12:ポリ[5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン]
PTT−10:ポリ[2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ〔2,3−b〕チオフェン] 。
P3T−8:ポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)
P3HT:ポリ−3−ヘキシルチオフェン
PTFE:4フッ化エチレン
PQT−12:ポリ[5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン]
PTT−10:ポリ[2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ〔2,3−b〕チオフェン] 。
実施例1
実施例1で用いる下記のポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)(P3T−8)は、下記の方法に従って合成した。
実施例1で用いる下記のポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)(P3T−8)は、下記の方法に従って合成した。
不活性アルゴン雰囲気下、無水塩化鉄(III)0.32g(1.97mmol)を無水クロロベンゼン1mL中に懸濁させた。攪拌した懸濁液に、3,3”−ジオクチル−2,2’,5’,2”−ターチオフェン0.34g(0.72mmol)の無水クロロベンゼン溶液6mLを投入した。オイルバスを80℃にして90時間攪拌した。得られた重合溶液をクロロホルム20mLで希釈し、メタノール1000mL、10wt%のアンモニア水400mLの混合溶液に投入した。得られた混合溶液を2時間攪拌し洗浄した。洗浄後、1μmのメンブレンフィルターで濾過した。濾過物をクロロホルム100mLに溶解させ、再びメタノール1400mL、10wt%のアンモニア水100mLの混合溶液に投入した後、1μmのメンブレンフィルターで濾過した。得られた濾過物をメタノール、ヘキサン、クロロホルム、クロロベンゼンの順でソックスレー抽出を行い、得られたクロロホルム溶液をエバポレーターによって濃縮し、メタノール400mLと10wt%のアンモニア水50mLの混合溶液に投入した。1μmのメンブレンフィルターで濾過して得られた濾過物をクロロホルムに溶解させ、再びメタノール400mLと10wt%のアンモニア水50mLの混合溶液に投入した。1μmのメンブレンフィルターで濾過して得られた濾過物をクロロホルムに溶解させ、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過し、濾液を400mLのメタノールに投入した。1μmのメンブレンフィルターで濾過して得られた濾過物を真空乾燥機で乾燥させ、目的物のポリマー(3,3”−ジオクチルターチオフェン)を120mg得た。得られたポリマーをゲルパーミュレーションクロマトグラフィ(GPC)法を用いた絶対検量線法によって、数平均分子量を決定した。なお、GPC装置はクロロホルムを送液したTOSOH社製、高速GPC装置HLC−8220GPCを用いた。重量平均分子量23300、数平均分子量10600、重合度は22.5量体であった。なお、重合度は以下の式で算出した。{(数平均分子量)/(モノマー1ユニットの分子量)}。
ポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、レジオレギュラー、以下P3HTと略す)100mgをクロロホルム5mLの入ったフラスコの中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で超音波撹拌することによりP3HTのクロロホルム溶液を得た。次いでこの溶液をスポイトにとり、メタノール20mLと0.1規定塩酸10mLの混合溶液の中に0.5mLずつ滴下して、再沈殿を行った。固体になったP3HTを0.1μm孔径のPTFE(4フッ化エチレン)製メンブレンフィルターによって濾別捕集し、メタノールで良くすすいだ後、真空乾燥により溶媒を除去した。さらにもう一度溶解と再沈殿を行い、90mgの再沈殿P3HTを得た。
次に、CNT(CNI社製、単層CNT、純度95%、以下単層CNTという)0.6mgと、再沈殿P3HT0.6mgを30mLのクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザー(SONICS社製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波攪拌することで単層CNT分散液Aを得た。ついで分散液を孔径10μmのPTFE製メンブレンフィルターを用いてろ過を行い、長さ10μm以上の単層CNTを除去した。得られたろ液(CNT分散液Bとする)0.6mL中にP3T−8を3mg加え、液温が35℃にして超音波洗浄機で30分間超音波攪拌し、クロロベンゼンを0.4mL加え、さらに超音波洗浄機で10分間超音波攪拌し、重合体コンポジットの溶液を得た。重合体コンポジット溶液に含まれるCNTの量はP3T−8に対し0.4重量%である。
次いで、上述の重合体コンポジットの溶液をスピンコート塗布(1000rpm×30秒)して、図1に示すFET素子を作製した。基板1は熱酸化膜(膜厚300nm)付きのアンチモンドープシリコンウエハー(抵抗率0.02Ωcm以下)であり、基板であると同時に、ゲート電極2であり、熱酸化膜は絶縁層3となる。次に以下の手順に基づき、金のソース電極5およびドレイン電極6を形成した。電極の作製法を以下に述べる。熱酸化膜付きのシリコンウエハー上にポジ型レジスト溶液を滴下し、スピナーを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで乾燥し、レジスト膜を形成した。次いで露光機を用いて、フォトマスクを介した紫外線照射を行った。次いでレジスト膜の付いたウエハーをアルカリ水溶液に浸漬し、紫外線照射部を除去し、櫛形電極が抜けた形状になっているレジスト膜を得た。真空蒸着は、前述のレジスト膜付きのウエハー上に、クロムを厚み5nmになるよう蒸着し、次いで金を厚み45nmになるように蒸着した。次いで、金/クロムとレジストの付いたウエハーをアセトン中に浸漬し、超音波洗浄機で超音波照射することによって、レジスト上の余分な金/クロムを除去した。このようにして、ウエハー上に金の両櫛形電極を形成した。
これら両電極の幅(チャネル幅)は0.5cm、両電極の間隔(チャネル長)は20μm、電極高さは50nmとした。電極が形成された基板上に上述の重合体コンポジットの溶液を0.1mL滴下し、スピンコート塗布(1000rpm×30秒)によって厚み25nmの半導体層を形成した。電極にリード線を取り付けた後、得られた素子を真空オーブン中で110℃、2時間の熱処理を行い、50℃以下になるまで徐冷してから大気解放し、FET素子を測定ボックスに移動させ、大気中で静置した。
次に、上記FET素子のゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定にはヒューレット・パッカード社製ピコアンメータ/ボルテージソース4140Bを用い、大気下で測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.6×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ3.6×105であった。
次に作製したFET素子を大気下に5日放置後、大気下でFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.1×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ1.8×105であった。オンオフ比の変化の割合を表すZを求めたところ、0.95であった。
実施例2
下記のポリ[5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン](PQT−12と略す、アメリカンダイソース(ADS)社製、公称値重量平均分子量20000〜50000)100mgをジクロロベンゼン5mLの入ったフラスコの中に加え、超音波洗浄機中で超音波撹拌することによりPQT−12のジクロロベンゼン溶液を得た。次いでこの溶液をメタノール100mLと0.1規定塩酸50mLの混合溶液の中に滴下して、再沈殿を行った。固体になったPQT−12を0.1μm孔径のPTFE製メンブレンフィルターによって濾別捕集し、メタノールで良くすすいだ後、真空乾燥により溶媒を除去した。さらにもう一度溶解と再沈殿を行い、90mgの再沈殿PQT−12を得た。
下記のポリ[5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン](PQT−12と略す、アメリカンダイソース(ADS)社製、公称値重量平均分子量20000〜50000)100mgをジクロロベンゼン5mLの入ったフラスコの中に加え、超音波洗浄機中で超音波撹拌することによりPQT−12のジクロロベンゼン溶液を得た。次いでこの溶液をメタノール100mLと0.1規定塩酸50mLの混合溶液の中に滴下して、再沈殿を行った。固体になったPQT−12を0.1μm孔径のPTFE製メンブレンフィルターによって濾別捕集し、メタノールで良くすすいだ後、真空乾燥により溶媒を除去した。さらにもう一度溶解と再沈殿を行い、90mgの再沈殿PQT−12を得た。
次に、再沈殿したPQT−12(3mg)を0.2mLのジクロロベンゼンに溶解させた。この溶液に、実施例1で得られたCNT分散液Bを0.6mL加え、重合体コンポジット溶液を得た。PQT−12に対するCNTの含有量は0.4重量%である。
次いで、図1に示すFET素子を実施例1と同様に作製した。電極が形成された基板上に上述の重合体コンポジットの溶液を0.1mL滴下し、スピンコート塗布(1000rpm×30秒)によって厚み35nmの半導体層を形成した。電極にリード線を取り付けた後、得られた素子を真空オーブン中で145℃、2時間の熱処理を行い、50℃以下になるまで徐冷してから大気開放し、FET素子を測定ボックスに移動させ、大気下で測定した。
次いで、図1に示すFET素子を実施例1と同様に作製した。電極が形成された基板上に上述の重合体コンポジットの溶液を0.1mL滴下し、スピンコート塗布(1000rpm×30秒)によって厚み35nmの半導体層を形成した。電極にリード線を取り付けた後、得られた素子を真空オーブン中で145℃、2時間の熱処理を行い、50℃以下になるまで徐冷してから大気開放し、FET素子を測定ボックスに移動させ、大気下で測定した。
Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、3.2×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ3.1×105であった。
次に作製したFET素子を大気下に5日放置後、大気下でFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、2.9×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ1.9×105であった。オンオフ比の変化の割合を表すZを求めたところ、0.96であった。
実施例3
実施例3で用いる下記のポリ[2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ〔2,3−b〕チオフェン](以下PTT−10と略す)は、下記の方法に従って合成した。
実施例3で用いる下記のポリ[2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ〔2,3−b〕チオフェン](以下PTT−10と略す)は、下記の方法に従って合成した。
不活性アルゴン雰囲気下、5,5’−ジブロモ−4,4’−ジデシルビチオフェン(363mg、0.6mmol)、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チエノ[2,3−b]チオフェン(281mg、0.6mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(11mg、2mol%)、トリ(o−トリル)ホスフィン(30mg、16mol%)を無水クロロベンゼン(10ml)に投入した。
オイルバスを140℃にした後5分間、継いで160℃にした後5分間、さらに継いで180℃にした後5分間、最後に200℃にした後15分間攪拌した。得られた重合溶液を、メタノール100mLと濃塩酸5mLの混合溶液に投入した。得られた混合溶液を12時間攪拌し洗浄した。洗浄後、1μmのメンブレンフィルターで濾過した。濾過物をクロロベンゼンに溶解させ、再びメタノール100mLと濃塩酸5mLの混合溶液に投入した後、1μmのメンブレンフィルターで濾過した。得られた濾過物をメタノール、ヘキサン、クロロホルム、の順でソックスレー抽出を行い、得られたクロロホルム溶液をエバポレーターによって濃縮し、メタノール100mLと濃塩酸5mLの混合溶液に投入した。1μmのメンブレンフィルターで濾過して得られた濾過物をクロロベンゼンに溶解させ、再びメタノール100mLと濃塩酸5mLの混合溶液に投入した。1μmのメンブレンフィルターで濾過して得られた濾過物をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過し、濾液を100mLのメタノールに投入した。1μmのメンブレンフィルターで濾過して得られた濾過物を真空乾燥機で乾燥させ、目的物のPTT−10を170mg得た。得られたポリマーについて、GPC法を用いた絶対検量線法によって、数平均分子量を決定した。重量平均分子量27000、数平均分子量13000であった。重合度は22.3量体であった。
上記の方法によって得られたPTT−10(3mg)を0.2mLのジクロロベンゼンに溶解させた。この溶液に、実施例1で得られたCNT分散液Bを0.6mL加え、重合体コンポジット溶液を得た。PTT−10に対するCNTの含有量は0.4重量%である。
次いで、図1に示すFET素子を実施例1と同様に作製した。電極が形成された基板上に上述の重合体コンポジットの溶液を0.1mL滴下し、スピンコート塗布(1000rpm×30秒)によって厚み35nmの半導体層を形成した。電極にリード線を取り付けた後、得られた素子を真空オーブン中で125℃、2時間の熱処理を行い、50℃以下になるまで徐冷してから大気開放し、FET素子を測定ボックスに移動させ、大気下で測定した。
Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.3×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ1.9×105であった。
次に作製したFET素子を大気下に5日放置後、大気下でFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.2×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ1.2×105であった。オンオフ比の変化の割合を表すZを求めたところ、0.96であった。
実施例4
実施例1で用いたP3T−8(0.6mg)と単層CNT(0.6mg)を30mLのクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザーを用いて出力250Wで30分間超音波攪拌することで単層CNT分散液Cを得た。ついで分散液を孔径10μmのPTFE製メンブレンフィルターを用いてろ過を行い、長さ10μm以上の単層CNTを除去した。得られたろ液をCNT分散液Dとする。
実施例1で用いたP3T−8(0.6mg)と単層CNT(0.6mg)を30mLのクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザーを用いて出力250Wで30分間超音波攪拌することで単層CNT分散液Cを得た。ついで分散液を孔径10μmのPTFE製メンブレンフィルターを用いてろ過を行い、長さ10μm以上の単層CNTを除去した。得られたろ液をCNT分散液Dとする。
次に、再沈殿したP3T−8(3mg)を0.2mLのクロロベンゼンに溶解させた。この溶液に、CNT分散液Dを0.6mL加え、重合体コンポジット溶液を得た。P3T−8に対するCNTの含有量は0.4重量%である。
次いで、図1に示すFET素子を実施例1と同様に作製した。電極が形成された基板上に上述の重合体コンポジットの溶液を0.1mL滴下し、スピンコート塗布(1000rpm×30秒)によって厚み35nmの半導体層を形成した。電極にリード線を取り付けた後、得られた素子を真空オーブン中で110℃、2時間の熱処理を行い、50℃以下になるまで徐冷してから大気開放し、FET素子を測定ボックスに移動させ、大気下で測定した。
Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.4×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ3.2×105であった。
次に作製したFET素子を大気下に5日放置後、大気下でFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.2×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ2.6×105であった。オンオフ比の変化の割合を表すZを求めたところ、0.98であった。
比較例1
P3T−8を用いないで再沈殿P3HTとCNTの重合体コンポジットのクロロホルム溶液を用いて有機半導体層を形成し、真空オーブン中で110℃、2時間の熱処理を行った後、減圧下(1torr以下)で18時間静置後、減圧下において測定した以外は、実施例1と同様にしてFET素子を形成し、特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.8×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ2.1×105であった。
P3T−8を用いないで再沈殿P3HTとCNTの重合体コンポジットのクロロホルム溶液を用いて有機半導体層を形成し、真空オーブン中で110℃、2時間の熱処理を行った後、減圧下(1torr以下)で18時間静置後、減圧下において測定した以外は、実施例1と同様にしてFET素子を形成し、特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.8×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ2.1×105であった。
次に作製したFET素子を大気下に5日放置後、大気下でFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、2.2×10−2cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ6であった。オンオフ比の変化の割合を表すZを求めたところ、0.15であった。
比較例2
P3T−8のみのクロロベンゼン溶液を用いて有機半導体層を形成した以外は、実施例1と同様にしてFET素子を形成し、大気下においてFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、4×10−4cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ3.6×104であり、FET素子作製時において105以上を達成することができなかった。また、移動度も本発明の重合体コンポジットを用いた電界効果型トランジスタより低い値であった。
P3T−8のみのクロロベンゼン溶液を用いて有機半導体層を形成した以外は、実施例1と同様にしてFET素子を形成し、大気下においてFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、4×10−4cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ3.6×104であり、FET素子作製時において105以上を達成することができなかった。また、移動度も本発明の重合体コンポジットを用いた電界効果型トランジスタより低い値であった。
比較例3
PQT−12のみのジクロロベンゼン溶液を用いて有機半導体層を形成した以外は、実施例2と同様にしてFET素子を形成し、大気下においてFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、8×10−4cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ1.5×104であり、FET素子作製時において105以上を達成することができなかった。また、移動度も本発明の重合体コンポジットを用いた電界効果型トランジスタより低い値であった。
PQT−12のみのジクロロベンゼン溶液を用いて有機半導体層を形成した以外は、実施例2と同様にしてFET素子を形成し、大気下においてFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、8×10−4cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ1.5×104であり、FET素子作製時において105以上を達成することができなかった。また、移動度も本発明の重合体コンポジットを用いた電界効果型トランジスタより低い値であった。
比較例4
PTT−10のみのジクロロベンゼン溶液を用いて有機半導体層を形成した以外は、実施例3と同様にしてFET素子を形成し、大気下においてFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、2×10−4cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ4.2×104であり、FET素子作製時において105以上を達成することができなかった。また、移動度も本発明の重合体コンポジットを用いた電界効果型トランジスタより低い値であった。
PTT−10のみのジクロロベンゼン溶液を用いて有機半導体層を形成した以外は、実施例3と同様にしてFET素子を形成し、大気下においてFET特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、2×10−4cm2/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ4.2×104であり、FET素子作製時において105以上を達成することができなかった。また、移動度も本発明の重合体コンポジットを用いた電界効果型トランジスタより低い値であった。
本発明の重合体コンポジットおよび重合体コンポジットから得られた薄膜は有機半導体を含有する電界効果型トランジスタや、その他有機トランジスタに用いられる。
1 基板
2 ゲート電極
3 絶縁層
4 半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極
2 ゲート電極
3 絶縁層
4 半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極
Claims (5)
- 一般式(1)で示される共役系重合体と、カーボンナノチューブを有する重合体コンポジット。
- カーボンナノチューブの含有率が0.01〜3重量%である請求項1記載の重合体コンポジット。
- カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである請求項1または2記載の重合体コンポジット。
- 請求項1〜3のいずれか記載の重合体コンポジットを薄膜化し、半導体層として搭載した半導体素子。
- 請求項1〜3のいずれか記載の重合体コンポジットを薄膜化し、半導体層として搭載した電界効果型トランジスタ。
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