JP2006252875A - 透明導電性積層体及び透明タッチパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】従来透明タッチパネルに要求されていた筆記耐久性および透明タッチパネル端部領域での筆記耐久性(端押し耐久性)を向上させた透明タッチパネルを得るための透明導電性積層体及びこれを用いた透明タッチパネルを提供すること。
【解決手段】透明有機高分子基板上の少なくとも一方の面上にラテックスを10重量%以上含有するラテックス含有樹脂層、実質的にラテックスを含有しない硬化樹脂層−1、透明導電層が順次積層され、ラテックス含有樹脂層の膜厚d1、硬化樹脂層−1の膜厚d2がそれぞれ10μm以下であり、更に0.1≦d2/d1≦2.0である、透明導電性積層体及び該透明導電性積層体を用いた透明タッチパネル。
【選択図】なし
【解決手段】透明有機高分子基板上の少なくとも一方の面上にラテックスを10重量%以上含有するラテックス含有樹脂層、実質的にラテックスを含有しない硬化樹脂層−1、透明導電層が順次積層され、ラテックス含有樹脂層の膜厚d1、硬化樹脂層−1の膜厚d2がそれぞれ10μm以下であり、更に0.1≦d2/d1≦2.0である、透明導電性積層体及び該透明導電性積層体を用いた透明タッチパネル。
【選択図】なし
Description
本発明は、透明有機高分子基板の少なくとも一方の面上に透明導電層を有する透明導電性積層体に関する。さらに詳しくは、透明有機高分子基板の少なくとも一方の面上にラテックス含有樹脂層、硬化樹脂層、透明導電層が順次に積層された、透明タッチパネル用として好適な透明導電積層体に関するものである。
表示装置(display)と入力装置としての透明タッチパネルとを搭載した携帯型情報端末が広く普及し始めた。透明タッチパネルとして多く用いられる抵抗膜方式の透明タッチパネルは、透明導電層が形成された2枚の透明電極基板が、およそ10μm〜100μmの間隔で互いの透明導電層同士が向き合うように配置されて構成されており、外力を加える部分のみで互いの透明導電層表面同士が接触してスイッチとして動作するものであり、例えば表示画面上のメニュー選択、図形・文字入力等を行うことができる。
近年、液晶表示体などで狭額縁化が進み、これと同様に透明タッチパネルにも狭額縁化が進んできた。この狭額縁化に伴い従来透明タッチパネルに要求されていた筆記耐久性以外に、透明タッチパネル端部での筆記耐久性である端押し耐久性が要求される傾向が強くなった。
透明タッチパネルに要求される筆記耐久性を改善するために、特許文献1、特許文献2、特許文献3では、2枚の透明高分子フィルム基材の間に硬さ(またはヤング率)を規定した粘着剤または透明樹脂層を介して透明高分子フィルム基材を積層した透明導電性積層体が提案されている。いずれの方法でも筆記耐久性を改善することは知られているが、2枚の透明高分子フィルムを粘着剤または透明樹脂層を介して積層させるため生産工程が複雑となり生産効率が悪く、更に10インチを超える大型透明タッチパネルを作製すると構成上の観点から剛性が弱いため透明導電性積層体が撓む問題がある。
また、特許文献4では透明導電層下に硬さ(ダイナミック硬度が0.005〜2)を規定したクッション層を設けることも提案されているが、上記硬さの範囲では結晶質の透明導電層を得るための加熱処理時に透明導電層の結晶化に伴う体積変化を支持することが出来ず、透明導電性積層体のヘーズが上昇し、透明導電性積層体が白化または干渉模様が観察されるようになる問題がある。
更に、特許文献5には、透明プラスチックフィルム基材上に、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層と透明導電層を順次積層した透明導電性フィルム(透明導電性積層体)において透明導電層面の硬度を0.4〜0.8GPaとすることが提案され特許文献6には、プラスチック基材層と透明導電層との間に硬化皮膜層を有するプラスチック積層体において、導電層の硬度を1GPa以上とすることが提案されているが、このように透明導電層または透明導電層面の硬さを規定するだけでは、端押し耐久性試験時に硬化樹脂層または導電層にクラックが入り透明タッチパネルの電気特性(リニアリティー)が劣化する問題がある。
また、特許文献7、8及び9には、透明タッチパネルに要求される筆記耐久性を改善するために、透明有機高分子基板と透明導電層との間に硬化樹脂層を導入することが提案されているが、透明高分子基板と透明導電層の間に硬化樹脂層を導入するだけでは近年透明タッチパネルに要求されている端押し耐久性を満足することは出来ない。また、特許文献9では、非晶質な透明導電層と透明高分子基板との密着性を考慮して硬化樹脂成分としてアルキルアクリレートとアルキルメタクリレートを挙げている。
更に、特許文献10では透明導電層と高分子フィルムとの間に厚み10〜50μm、ビッカーズ硬さが38〜240N/mm2の応力緩和層を設けているが、先に記載したように、外部からの応力を緩和するような硬化樹脂層上に結晶質の透明導電層を形成する際に、透明導電層の体積変化を支持することが出来ず、透明導電層面に細かいしわが入り干渉模様が観察され透明導電性積層体のヘーズが上昇する問題がある。
本発明は従来透明タッチパネルに要求されていた筆記耐久性を向上させ、透明タッチパネル端部領域での筆記耐久性(端押し耐久性)を向上させた透明タッチパネルおよび該透明タッチパネル用として好適な透明導電積層体を提供することを目的としたものである。
前述のように透明有機高分子基板と透明導電層の間にラテックス層のみを導入した場合、透明導電層の結晶化に伴う体積変化を支持することが出来ず透明導電性積層体のヘーズが上昇し、透明導電性積層体が白化または干渉模様が観察されるようになる。一方、透明高分子基板と透明導電層の間に硬化樹脂層のみを導入した場合、端押し耐久性試験時に透明有機高分子基板と透明導電層間の硬化樹脂層にクラックが生じ透明タッチパネルとして電気特性(リニアリティー)を確保することが出来なくなる。
一般的に透明高分子基板上に硬化樹脂層を介して透明導電層形成した透明導電性積層体の場合、端押し耐久性試験や筆記耐久性試験中の透明導電性積層体は、曲げ変形により透明導電層形成面に寸法変化が見られる。曲げ変形による透明導電層形成面の寸法がある一定以上変化した場合、特に透明導電層が形成された面が伸びている状況では、透明導電層または透明導電層下にある硬化樹脂層が寸法変化(伸び)に耐えられず、クラック(マイクロクラック)が発生し透明タッチパネルの電気特性を劣化することが知られている。
そこで本発明者らは端押し耐久性試験や筆記耐久性試験時の透明導電層が形成された面側の寸法変化を小さくするために、透明高分子基板と硬化樹脂層の間にラテックスを含有する樹脂層を設けることにより、端押し耐久性試験時や筆記耐久性試験時の透明導電層または透明導電層下の硬化樹脂層の寸法変化によるクラックの発生を抑制することが可能となり、筆記耐久性試験や端押し耐久性試験での透明タッチパネルの電気特性の劣化を防ぐことに成功した。
本発明により透明タッチパネルに要求される筆記耐久性だけでなく、端押し耐久性についても高信頼性を確保できる透明タッチパネルおよび該透明タッチパネル用として好適な透明導電性積層体を提供することが可能となった。
すなわち本発明は、以下の通りである。
1.透明有機高分子基板上の少なくとも一方の面上にラテックスを10重量%以上含有するラテックス含有樹脂層、実質的にラテックスを含有しない硬化樹脂層−1、透明導電層が順次積層され、ラテックス含有樹脂層の膜厚d1、硬化樹脂層−1の膜厚d2がそれぞれ10μm以下であり、更に0.1≦d2/d1≦2.0である、透明導電性積層体。
1.透明有機高分子基板上の少なくとも一方の面上にラテックスを10重量%以上含有するラテックス含有樹脂層、実質的にラテックスを含有しない硬化樹脂層−1、透明導電層が順次積層され、ラテックス含有樹脂層の膜厚d1、硬化樹脂層−1の膜厚d2がそれぞれ10μm以下であり、更に0.1≦d2/d1≦2.0である、透明導電性積層体。
2.該硬化樹脂層−1と透明導電層との間に、透明導電層と接して、かつ膜厚が透明導電層より薄く、且つ膜厚が0.5nm以上10.0nm未満である金属化合物層を有する、請求項1記載の透明導電性積層体。
3.該硬化性樹脂層−1中に、平均1次粒子径が100nm以下の金属酸化物微粒子と、珪素原子を含有する有機化合物とを含有し、かつ硬化樹脂層−1の最表面(透明導電層側)に金属酸化物微粒子が偏析している、請求項1記載の透明導電性積層体。
4.該硬化樹脂層−1と透明導電層との間に、透明導電層と接して、かつ膜厚が透明導電層より薄く、且つ膜厚が0.5nm以上10.0nm未満である金属化合物層を有する、請求項3記載の透明導電性積層体。
5.該金属化合物層と該金属酸化物微粒子とに同一原子が含まれる、請求項4に記載の透明導電性積層体。
6.硬化樹脂層−1と透明導電層との間に屈折率が1.20〜1.55で且つ膜厚が0.05〜0.5μmの硬化樹脂層−2を有する、請求項1記載の透明導電性積層体。
7.硬化樹脂層−2は、平均1次粒子径が該硬化樹脂層−2の膜厚の1.1倍以上でかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の大きさの微粒子Bを含有し、該微粒子Bの含有量は硬化樹脂層−2を形成する硬化樹脂成分の0.5重量%以下である、請求項6記載の透明導電性積層体。
8.該硬化樹脂層−2と透明導電層との間に、透明導電層と接して、かつ膜厚が透明導電層より薄く、且つ膜厚が0.5nm以上10.0nm未満である金属化合物層を有する、請求項6または7記載の透明導電性積層体。
9.硬化樹脂層−1と透明導電層との間に少なくとも1層の低屈折率層と少なくとも1層の高屈折率層からなる光学干渉層を有し、かつ低屈折率層が透明導電層と接している、請求項1に記載の透明導電性積層体。
10.該光学干渉層と透明導電層との間に、透明導電層と接して、かつ膜厚が透明導電層より薄く、且つ膜厚が0.5nm以上10.0nm未満である金属化合物層を有する、請求項9記載の透明導電性積層体。
11.光学干渉層は、平均1次粒子径が該光学干渉層の膜厚の1.1倍以上でかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の大きさの微粒子Bを含有し、該微粒子Bの含有量は光学干渉層を形成する成分の0.5重量%以下である、請求項9または10記載の透明導電性積層体。
12.透明導電層が酸化インジウムを主成分とした結晶質の膜であり、かつ透明導電層の膜厚が5〜50nmである、請求項1〜11のいずれかに記載の透明導電性積層体。
13.少なくとも片面に透明導電層が設けられた2枚の透明電極基板が互いの透明導電層同士が向き合うように配置されて構成された透明タッチパネルにおいて、少なくとも一方の透明電極基板として請求項1〜12のいずれかに記載の透明導電性積層体を用いたことを特徴とする透明タッチパネル。
本発明によれば、特に、透明タッチパネル端部領域での筆記耐久性(端押し耐久性)が改善された透明タッチパネルおよび該透明タッチパネル用として好適な透明導電性積層体を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
膜厚の関係
本発明ではラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1を透明高分子基板上に順次積層させる時のラテックス含有樹脂層の膜厚d1と硬化樹脂層−1の膜厚d2が0.10≦d2/d1≦2.0が好ましく、更に好ましくは0.15≦d2/d1≦1.5であり、尚且つ各層の膜厚が0.5μm≦d1≦10μm、0.5μm≦d2≦10μmである。d2/d1<0.10の関係でラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1を透明有機高分子基板上に積層させた場合、硬化樹脂層−1の膜厚がラテックス含有樹脂層の膜厚より極端に薄くなるため、ラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1を積層後に透明導電層形成時や透明導電層を熱処理により結晶化させた後にラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1の積層体が透明導電層を支持することが出来ず、透明導電層が細かいしわ状模様になる。これよりヘーズが発生するため透明導電性積層体として適当ではない。
膜厚の関係
本発明ではラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1を透明高分子基板上に順次積層させる時のラテックス含有樹脂層の膜厚d1と硬化樹脂層−1の膜厚d2が0.10≦d2/d1≦2.0が好ましく、更に好ましくは0.15≦d2/d1≦1.5であり、尚且つ各層の膜厚が0.5μm≦d1≦10μm、0.5μm≦d2≦10μmである。d2/d1<0.10の関係でラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1を透明有機高分子基板上に積層させた場合、硬化樹脂層−1の膜厚がラテックス含有樹脂層の膜厚より極端に薄くなるため、ラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1を積層後に透明導電層形成時や透明導電層を熱処理により結晶化させた後にラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1の積層体が透明導電層を支持することが出来ず、透明導電層が細かいしわ状模様になる。これよりヘーズが発生するため透明導電性積層体として適当ではない。
また一方、d2/d1>2.0の関係でラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1を透明有機高分子基板上に積層させた場合、硬化樹脂層−1の膜厚がラテックス含有樹脂層の膜厚より極端に厚くなるため、ラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1の積層効果が現れず、このような透明導電性積層体を使用した透明タッチパネルの端押し耐久性は、硬化樹脂層−1のみを透明有機高分子基板に積層して作製した透明タッチパネルと同様に、硬化樹脂層−1にクラックが発生し透明タッチパネルの電気特性(リニアリティー)を確保することができない。
d1及びd2が0.5μm未満の場合、ラテックス含有樹脂層、硬化樹脂層―1いずれも層としての特性が発現しないため好ましくなく、d1及びd2が10μmを超える場合、加工性が悪くなるため適当ではない。
ラテックス含有樹脂層
本発明に用いられるラテックス含有樹脂層は、少なくとも1種類以上のラテックスを含有するラテックス含有樹脂層であり、ラテックス含有樹脂層中のラテックス含有量は、ラテックス含有樹脂層を形成する樹脂成分の総重量に対して10重量%以上含有することが好ましく、20重量%以上含有することがより好ましく、更に好ましくは30重量%以上含有する。ラテックス単独でラテックス含有樹脂層を形成しても構わない。ラテックス成分が10重量%未満の含有量では、筆記耐久性試験時や端押し耐久性試験時の透明導電層が形成された面の寸法変化を緩和することができない。
ラテックス含有樹脂層の膜厚は0.5μm≦d1≦10μmが好ましく、更に好ましくは1μm≦d1≦10μmである。
本発明に用いられるラテックス含有樹脂層は、少なくとも1種類以上のラテックスを含有するラテックス含有樹脂層であり、ラテックス含有樹脂層中のラテックス含有量は、ラテックス含有樹脂層を形成する樹脂成分の総重量に対して10重量%以上含有することが好ましく、20重量%以上含有することがより好ましく、更に好ましくは30重量%以上含有する。ラテックス単独でラテックス含有樹脂層を形成しても構わない。ラテックス成分が10重量%未満の含有量では、筆記耐久性試験時や端押し耐久性試験時の透明導電層が形成された面の寸法変化を緩和することができない。
ラテックス含有樹脂層の膜厚は0.5μm≦d1≦10μmが好ましく、更に好ましくは1μm≦d1≦10μmである。
ラテックスとしては、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロスルフォン化ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、ニトリルゴム、アクリロニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、部分水添ブタジエンゴム、部分水添スチレンブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、多硫化ゴム、アクリル酸エステル等が挙げられる。これらのブロックコポリマー、およびこれらを単独または複数を組み合わせて使用しても良い。
ラテックスのガラス転移点は−50℃〜100℃であり、−50℃未満では、形成した塗膜にタック性が残り加工性が悪くなり、100℃より大きい場合は、筆記耐久性試験時や端押し耐久性試験時の寸法変化を緩和することが出来ない。
ラテックスの平均分子量は5万〜35万であり、5万未満では形成した塗膜にタック性が残り加工性が悪くなり、35万より大きい場合は、筆記耐久性試験時や端押し耐久性試験時の寸法変化を緩和することが出来なくなる。
ラテックスの平均1次粒子径は、0.01〜1.5μmであり、特に下限値を設ける必要はないが、平均1次粒子径が1.5μmより大きい場合には形成した塗膜が白化し透明導電性積層体として適当ではない。ここで、平均1次粒子径はレーザー回析・散乱法粒度分布測定装置を用いて測定した体積中平均粒子径である。
ラテックスを単独で用いてラテックス含有樹脂層を形成しても問題はないが、電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等のラテックス以外の硬化性樹脂成分を混合してラテックス含有樹脂層を形成してもよい。
電離放射線硬化性樹脂を与えるモノマーとしては、例えばポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、変性スチレンアクリレート、メラミンアクリレート、シリコン含有アクリレート等の単官能及び多官能アクリレートを挙げることができる。
具体的なモノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性アクリレート、イソシアヌール酸アルキレンオキサイド変性アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エポキシ変性アクリレート、ウレタン変性アクリレート、エポキシ変性アクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。これらを単独で用いても、数種類を混合して用いてよく、また場合によっては、各種アルコキシシランの加水分解物を適量添加してもよい。なお、電離放射線によって樹脂層の重合を行う場合には公知の光重合開始剤が適量添加される。また必要に応じ光増感剤を適量添加してもよい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾイルベンゾエート、チオキサンソン類等が挙げられ、光増感剤としては、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のシラン化合物をモノマーとしたオルガノシラン系の熱硬化性樹脂やエーテル化メチロールメラミン等をモノマーとしたメラミン系熱硬化性樹脂、イソシアネート系熱硬化性樹脂、フェノール系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら熱硬化性樹脂を単独又は複数組み合わせて使用することも可能である。また必要に応じ熱可塑性樹脂を混合することも可能である。なお、熱によって樹脂層の架橋を行う場合には公知の反応促進剤、硬化剤を適量添加される。
反応促進剤としては、例えばトリエチレンジアミン、ジブチル錫ジラウレート、ベンジルメチルアミン、ピリジン等が挙げられる。硬化剤としては、例えばメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′―ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
ラテックス含有樹脂層の形成方法としては、ドクターナイフ、バーコーター、グラビアロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、スピンコータ−等の公知の塗工機械を用いる方法、スプレー法、浸漬法等が用いられる。実際の塗工法としては、前記のラテックス成分単独、又はラテックス成分と硬化性樹脂成分を各種有機溶剤に溶解して、濃度や粘度を調節した塗工液を用いて、透明有機高分子基板上に塗工後、放射線照射や加熱処理等により層を形成する方法が挙げられる。
有機溶剤としては、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好ましい。特に、キシレン、トルエン、ケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を使用するのが好ましい。この他に、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の極性溶媒も使用可能である。これらのものは単独で用いるか、あるいは2種類以上の混合溶剤として用いることが出来る。
ラテックス含有樹脂層の熱や光劣化を防止するために、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤等を添加することも可能である。
ラテックス含有樹脂層の熱や光劣化を防止するために、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤等を添加することも可能である。
硬化樹脂層−1
本発明に用いられる硬化樹脂層−1としては、電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等が挙げられる。
本発明に用いられる硬化樹脂層−1としては、電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂としては、前記ラテックス含有樹脂層の段落で例示したものと同じものを用いることができる。硬化樹脂層−1中に実質的にはラテックスを含有しないことが好ましいが、必要に応じラテックスを10重量%未満添加することも出来る。ラテックス成分を添加することにより、硬化樹脂成分の硬化収縮を緩和することが可能となり、透明導電性積層体の反りを抑制することが可能とある。ラテックス成分を10重量%以上添加すると硬化樹脂層−1の剛性が低下し、透明導電層形成時や透明導電層を熱処理により結晶化させる際にラテックス含有樹脂層と硬化樹脂層−1の積層体が透明導電層を支持することが出来ず、透明導電層が細かいしわ状模様になる。これよりヘーズが発生するため透明導電性積層体として適当ではない。
硬化樹脂層−1の膜厚は0.5μm≦d2≦10μmが好ましく、更に好ましくは0.5μm≦d2≦8μmである。
硬化樹脂層−1の膜厚は0.5μm≦d2≦10μmが好ましく、更に好ましくは0.5μm≦d2≦8μmである。
硬化樹脂層−1と透明導電層または金属化合物層の密着性を改善するために、硬化樹脂層−1中に珪素原子を含有する有機化合物と平均1次粒子径が100nm以下の酸化珪素微粒子等の金属酸化物微粒子を含有させ、更に該酸化珪素微粒子等の金属酸化物微粒子が表面に偏析した硬化樹脂層−1とすることも可能である。
珪素原子を含有する有機化合物としては、一般的なSi原子含有する界面活性剤やUV硬化樹脂成分である。
硬化樹脂層−1に滑り性を発現させるために、硬化性樹脂成分と相分離するような熱可塑性樹脂成分を添加することも可能である。
硬化樹脂層−1に滑り性を発現させるために、硬化性樹脂成分と相分離するような熱可塑性樹脂成分を添加することも可能である。
可動電極基板表面、固定電極基板表面がいずれも平坦である場合、透明タッチパネルを作製した時、可動電極基板からの反射光と固定電極基板からの反射光の干渉によるニュートンリングが観察されることがある。この反射光を光学的に散乱させることによりニュートンリングを防止するためにラテックス含有樹脂層または硬化樹脂層−1の表面を粗面化してもよい。ラテックス含有樹脂層または硬化樹脂層−1の表面を粗面化する手法としては、平均1次粒子径が0.001μm以上5μm以下の微粒子を単独で、または平均1次粒子径の異なる2種類以上の微粒子を組み合わせて、ラテックス含有樹脂層または硬化樹脂層−1に分散させる。またラテックス含有樹脂層は、ラテックス含有樹脂層形成時の加工条件を調整することにより粗面化することも可能である。前記手法によりラテックス含有樹脂層または硬化樹脂層−1の表面を粗面化した場合、JIS B0601−1982で定義される十点平均粗さ(Rz)は、好ましくは100nm以上1000nm未満であり、より好ましくは100nm以上800nm未満であり、更に好ましくは150nm以上500nm未満である。十点平均粗さ(Rz)が100nm未満である場合には、透明タッチパネルの可動電極基板と固定電極基板間に容易にニュートンリングが生じることがあり、十点平均粗さ(Rz)が1000nm以上となった場合には、ヘーズが大きくなり高精細ディスプレイ上に透明タッチパネルを設置すると、画素の色分離が生じてチラツキを起こすなどの理由から好ましくない。また、JIS B0601−1994準拠で定義される算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは30nm以上500nm未満であり、より好ましくは40nm以上400nm未満であり、さらに好ましくは50nm以上300nm未満である。算術平均粗さ(Ra)が30nm未満である場合には、透明タッチパネルの可動電極基板と固定電極基板間に容易にニュートンリングが生じることがある。算術平均粗さ(Ra)が500nm以上となった場合には、ヘーズが大きくなり高精細ディスプレイ上に透明タッチパネルを設置すると、画素の色分離が生じてチラツキを起こすなどの理由から好ましくない。
粗面化されたラテックス含有樹脂層または硬化樹脂層−1と透明高分子基板に基づくJIS K7136で定義されるヘーズは、1%以上8%未満であり、好ましくは1%以上5%未満であり、更に好ましくは1%以上3%未満である。ヘーズが1%未満である場合には、透明タッチパネルの可動電極基板と固定電極基板間に容易にニュートンリングが生じることがあり好ましくない。一方、ヘーズが8%以上の場合には透明タッチパネルをディスプレイ上に設置した際に映像や文字などの情報がぼやけるため好ましくない。
透明有機高分子基板
透明有機高分子基板を作製するのに用いられる有機高分子としては、耐熱性に優れた透明な有機高分子であれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリジアリルフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、セルロースアセテート樹脂、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。もちろんこれらはホモポリマー、コポリマーとして使用しても良い。また、上記有機高分子を単独で使用しても良いし、ブレンドしても使用し得る。これらの透明有機高分子基板は一般的な溶融押出し法もしくは溶液流延法等により好適に成形されるが、必要に応じて成形した透明有機高分子基板に一軸延伸もしくは二軸延伸を実施して、機械的強度を高めたり、光学的機能を高めたりすることも好ましく行われる。
透明有機高分子基板を作製するのに用いられる有機高分子としては、耐熱性に優れた透明な有機高分子であれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリジアリルフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、セルロースアセテート樹脂、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。もちろんこれらはホモポリマー、コポリマーとして使用しても良い。また、上記有機高分子を単独で使用しても良いし、ブレンドしても使用し得る。これらの透明有機高分子基板は一般的な溶融押出し法もしくは溶液流延法等により好適に成形されるが、必要に応じて成形した透明有機高分子基板に一軸延伸もしくは二軸延伸を実施して、機械的強度を高めたり、光学的機能を高めたりすることも好ましく行われる。
本発明の透明導電積層体を透明タッチパネルの可動電極基板として用いる場合には、透明タッチパネルをスイッチとして動作させるための可撓性と平坦性を保つ為の強度の点から、透明有機高分子基板として、厚みが75〜400μmのフィルム状のものが好ましい。固定電極基板として用いる場合は平坦性を保つ為の強度の点から透明有機高分子基板として、厚さが0.4〜4.0mmのシート状のものが好ましいが、厚さ50〜400μmのフィルム状のものを他のプラスチックシートと貼り合わせ、全体の厚さを0.4〜4.0mmになるような構成にして用いても良い。
本発明の透明導電積層体を透明タッチパネルの可動電極基板として用いた場合には、固定電極基板には前記透明有機高分子基板、ガラス基板あるいは透明有機高分子基板とガラス基板との積層体または透明有機高分子基板基板とプラスチックシートとの積層体上に透明導電層を形成したものを用いても良い。透明タッチパネルの強度、重量の点から、単層又は積層体よりなる固定電極基板の厚さは0.4〜4.0mmが好ましい。
また、最近では透明タッチパネルの入力側の面、すなわち使用者側の面上に、偏光板または偏光板+位相差フィルムを積層した構成の新しいタイプの透明タッチパネルが開発されている。この構成の利点は主として前記偏光板または、偏光板+位相差フィルムの光学的作用によって、透明タッチパネル内部における外来光の反射率を半分以下に低減し、透明タッチパネルを設置した状態でのディスプレイのコントラストを向上させることにある。
このようなタイプの透明タッチパネルでは、偏光が透明導電積層体を通過することから、透明有機高分子基板として光学等方性に優れたものを用いる事が好ましく、具体的には基板の遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、基板の厚みをd(nm)とした場合にRe=(nx−ny)×d(nm)で表される面内リターデーション値Reが少なくとも30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。なお、ここで基板の面内リターデーション値は分光エリプソメータ(日本分光株式会社製M−150)を用いて測定した波長590nmでの値で代表している。
この様に例示した透明導電性積層体を偏光が通過するタイプの透明タッチパネルの用途においては、透明電極基板の面内リターデーション値が非常に重要であるが、これに加えて透明電極基板の三次元屈折率特性、すなわち基板の膜厚方向の屈折率をnzとしたときにK={(nx+ny)/2−nz}×dで表されるK値が−250〜+150nmであることが好ましく、−200〜+100nmの範囲にあることが透明タッチパネルの優れた視野角特性を得る上でより好ましい。
これらの光学等方性に優れた透明有機高分子基板としては、例えば、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等の成型基板、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂の成形基板やアクリル樹脂等の電離放射線硬化性樹脂の成形基板等が挙げられる。成形性や製造コスト、熱的安定性等の観点から、例えばポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、シクロオレフィンポリマーおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等の成型基板が最も好ましく挙げられる。
より具体的には、ポリカーボネートとしては例えば、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、フルオレン−9,9−ジ(4−フェノール)、フルオレン−9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)等からなる群から選ばれる少なくとも一つの成分をモノマー単位とする重合体や共重合体であるか、または上記群から選ばれる少なくとも一つの成分をモノマー単位とする重合体または共重合体の混合物であり、平均分子量がおよそ15000〜100000の範囲のポリカーボネート(商品としては、例えば帝人化成株式会社製「パンライト」やバイエル社製「Apec HT」等が例示される)の成型基板が好ましく用いられる。
また非晶性ポリアリレートとしては、商品として株式会社カネカ製「エルメック」、ユニチカ株式会社製「Uポリマー」、イソノバ社製「イサリル」等の成型基板が例示される。
またシクロオレフィンポリマーとしては、商品として日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」やJSR株式会社製「アートン」等の成型基板が例示される。
またシクロオレフィンポリマーとしては、商品として日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」やJSR株式会社製「アートン」等の成型基板が例示される。
またこれらの高分子材料の成形方法としては、溶融押出法や溶液流延法、射出成型法等の方法が例示されるが、優れた光学等方性を得る観点からは、特に溶液流延法や溶融押出し法を用いて成形を行うことが好ましい。
硬化樹脂層−2
本発明の透明導電性積層体は、硬化樹脂層−1と透明導電層の間または硬化樹脂層−1と金属化合物層との間に、硬化樹脂層−2を有していてもよい。硬化樹脂層−2は上記層間の密着性および透明導電性積層体の光学特性、特に透過率を改良する。
硬化樹脂層−2としては、例えば電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等が挙げられる。
本発明の透明導電性積層体は、硬化樹脂層−1と透明導電層の間または硬化樹脂層−1と金属化合物層との間に、硬化樹脂層−2を有していてもよい。硬化樹脂層−2は上記層間の密着性および透明導電性積層体の光学特性、特に透過率を改良する。
硬化樹脂層−2としては、例えば電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えばポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、変性スチレンアクリレート、メラミンアクリレート、シリコン含有アクリレート等の単官能及び多官能アクリレート系電離放射性線硬化性樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えばメチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノシラン系の熱硬化性樹脂(アルコキシシラン)やエーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化性樹脂やイソシアネート系熱硬化性樹脂、フェノール系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら熱硬化型樹脂を単独又は複数組み合わせて使用することも可能である。また必要に応じ熱可塑性樹脂を混合して使用することも可能である。なお、熱によって樹脂層の架橋を行う場合には公知の反応促進剤、硬化剤が適量添加される。反応促進剤としては、例えばトリエチレンジアミン、ジブチル錫ジラウレート、ベンジルメチルアミン、ピリジン等が挙げられる。硬化剤としては、例えばメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′―ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
上記アルコキシシランはこれを加水分解ならびに縮合重合することにより硬化樹脂層−2を形成する。
上記アルコキシシランはこれを加水分解ならびに縮合重合することにより硬化樹脂層−2を形成する。
アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのアルコキシシランは、層の機械的強度や密着性及び耐溶剤性等の観点から二種類以上を混合して用いることが好ましく、特に耐溶剤性の観点から、アルコキシシランの全組成中に重量比率0.5〜40%の範囲で、分子内にアミノ基を有するアルコキシシランが含有されていることが好ましい。
アルコキシシランは、モノマーで用いてもあらかじめ加水分解と脱水縮合を行って適度にオリゴマー化して用いても良いが、通常、適当な有機溶剤に溶解、希釈した塗工液を基板上に塗工する。基板上に形成された塗工層は、空気中の水分等により加水分解が進行し、続いて、脱水縮合により架橋が進行する。
一般に、架橋の促進には適当な加熱処理が必要であり、塗工工程において100℃以上の温度で数分間以上の熱処理を施すことが好ましい。また場合によっては、前記熱処理と並行して、紫外線等の活性光線を塗工層に照射することにより、架橋度をより高めることが出来る。
有機溶剤としては、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好ましい。この他に、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル等の極性溶媒も使用可能である。これらのものは単独あるいは2種類以上の混合溶剤として用いることが出来る。
また塗工には、ドクターナイフ、バーコーター、グラビアロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、スピンコータ−等の公知の塗工機械を用いる方法、スプレー法、浸漬法等が用いられる。
硬化樹脂層−2の屈折率を調整するために、平均1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子Cまたは/及びフッ素系樹脂を単独または複数組み合わせて硬化樹脂層−2中に添加しても良い。硬化樹脂層−2の屈折率は、硬化樹脂層−1の屈折率より小さく、且つ屈折率が1.20〜1.55であることが好ましく、更に好ましくは1.20〜1.45である。硬化樹脂層−2の膜厚は0.05〜0.5μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.3μmである。
該超微粒子Cの平均1次粒子径は100nm以下が好ましく、更に好ましくは50nm以下である。該超微粒子Cの1次粒子径を100nm以下に制御すれば、塗工層が白化することがない。
該超微粒子Cとしては、例えばBi2O3、CeO2、In2O3、(In2O3・SnO2)、HfO2、La2O3、MgF2、Sb2O5、(Sb2O5・SnO2)、SiO2、SnO2、TiO2、Y2O3、ZnO、ZrO2などの金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子が例示される。これらのうち、好ましくはMgF2、SiO2等の屈折率が1.55以下の金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子である。
該超微粒子Cの含有量は、熱硬化性樹脂または/及び電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して、好ましくは10〜400重量部、より好ましく30〜400重量部、更に好ましくは50〜300重量部である。超微粒子Cの含有量が400重量部を超えると、硬化樹脂層―2の強度や密着性が不充分となる場合があり、一方超微粒子Cの含有量が10重量部未満では所定の屈折率が得られなくなる場合がある。
フッ素系樹脂としては、例えばフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、フルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等のフッ素原子を有するモノマー成分を5〜70重量%含有させたものが挙げられる。
フッ素系樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂または/及び電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して、好ましくは50〜300重量部、より好ましくは100〜300重量部、更に好ましくは150〜250重量部である。フッ素系樹脂の含有量が300重量部を超えると、硬化樹脂層―2の強度や密着性が不充分となる場合あり、一方フッ素系樹脂の含有量が50重量部未満では所定の屈折率が得られなくなる場合がある。
光学干渉層
本発明の透明導電性積層体は硬化樹脂層−1と透明導電層との間または硬化樹脂層−1と金属化合物層との間に、少なくとも1層の低屈折率層と少なくとも1層の高屈折率層とからなる光学干渉層をさらに有することができる。この場合、低屈折率層と透明導電層または低屈折率層と金属化合物層とが接している。
本発明の透明導電性積層体は硬化樹脂層−1と透明導電層との間または硬化樹脂層−1と金属化合物層との間に、少なくとも1層の低屈折率層と少なくとも1層の高屈折率層とからなる光学干渉層をさらに有することができる。この場合、低屈折率層と透明導電層または低屈折率層と金属化合物層とが接している。
上記のように、光学干渉層は、少なくとも一層の高屈折率層と少なくとも一層の低屈折率層より構成される。高屈折率層と低屈折率層の組み合わせ単位を二つ以上とすることも出来る。光学干渉層が一層の高屈折率層と一層の低屈折率層から構成される場合、光学干渉層の膜厚は30nm〜300nmが好ましく、更に好ましくは50nm〜200nmである。光学干渉層は、上記層間の密着性及び透明導電性積層体の光学特性、特に透過率と色調を改良する。
高屈折率層は、例えば金属アルコキシドを加水分解ならびに縮合重合して形成された層、または前記硬化樹脂層−2の段落に記載の金属アルコキシドを加水分解ならびに縮合重合してなる成分または/及び熱硬化性樹脂成分または/及び電離放射線硬化性樹脂成分のうちの少なくとも1種類と平均1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子Cとからなる層である。
金属アルコキシドとしては、例えばチタニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、アルコキシシランを挙げることができる。
チタニウムアルコキシドとしては、例えばチタニウムテトライソプロポキシド、テトラ−n−プロピルオルトチタネート、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタネート等が挙げられる。
ジルコニウムアルコキシドとしては、例えばジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド等が挙げられる。
アルコキシシラン、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂としては、前記硬化樹脂層−2の段落に記載したものと同じものが挙げられる。
チタニウムアルコキシドとしては、例えばチタニウムテトライソプロポキシド、テトラ−n−プロピルオルトチタネート、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタネート等が挙げられる。
ジルコニウムアルコキシドとしては、例えばジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド等が挙げられる。
アルコキシシラン、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂としては、前記硬化樹脂層−2の段落に記載したものと同じものが挙げられる。
該高屈折率層中には、前記記載の平均1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子Cを単独または2種類以上適当量添加することができる。該超微粒子Cを添加することにより該高屈折率層の屈折率を調整することが可能である。
該高屈折率層中に該超微粒子Cを添加する場合、該超微粒子Cと金属アルコキシドまたは/及び熱硬化性樹脂または/及び電離放射線硬化性樹脂の重量比率は、0:100〜66.6:33.3であることが好ましく、更に好ましくは0:100〜60:40である。該超微粒子Cと金属アルコキシドまたは/及び熱硬化性樹脂または/及び電離放射線硬化性樹脂の重量比率が66.6:33.3を超える場合は光学干渉層に必要な強度や密着性が不足することがあり、好ましくない。
該高屈折率層の厚さは、好ましくは15〜250nm、より好ましくは30〜150nmである。
また該高屈折率層の屈折率は、後述する低屈折率層及び第1硬化樹脂層の屈折率より大きく、その差が0.2以上であることが好ましい。
また該高屈折率層の屈折率は、後述する低屈折率層及び第1硬化樹脂層の屈折率より大きく、その差が0.2以上であることが好ましい。
本発明の光学干渉層を構成する低屈折率層は、前記硬化樹脂層−2の段落に記載した樹脂を用いて形成することが出来る。該低屈折率層の厚さは、好ましくは15〜250nm、より好ましくは30〜150nmである。
微粒子B
ラテックス含有樹脂層及び硬化樹脂層−1の表面が実質的に平坦な場合、硬化樹脂層−2中または光学干渉層を構成する高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも一層中に、前記超微粒子C(平均一次粒子径が100nm以下)とは異なる微粒子(以下微粒子Bという)を含有してもよい。硬化樹脂層−2の場合は、平均1次粒子径が硬化樹脂層−2の膜厚の1.1倍以上でなおかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の微粒子Bが好ましく用いられる。光学干渉層を構成する高屈折率層および/または低屈折率層の場合は、平均1次粒子径が光学干渉層の総膜厚の1.1倍以上でなおかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の微粒子Bが好ましくを用いられる。これにより、透明導電層表面が粗面化され、透明タッチパネルを構成する固定電極基板と可動電極基板の両透明導電層表面同士の引っ付き現象による誤作動を抑制することが可能となる。更に添加する微粒子Bの平均1次粒子径を制御することにより、液晶から出たRGB三原色光の散乱によるギラツキを生じない範囲で透明導電層表面を粗面化することができる。
ラテックス含有樹脂層及び硬化樹脂層−1の表面が実質的に平坦な場合、硬化樹脂層−2中または光学干渉層を構成する高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも一層中に、前記超微粒子C(平均一次粒子径が100nm以下)とは異なる微粒子(以下微粒子Bという)を含有してもよい。硬化樹脂層−2の場合は、平均1次粒子径が硬化樹脂層−2の膜厚の1.1倍以上でなおかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の微粒子Bが好ましく用いられる。光学干渉層を構成する高屈折率層および/または低屈折率層の場合は、平均1次粒子径が光学干渉層の総膜厚の1.1倍以上でなおかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の微粒子Bが好ましくを用いられる。これにより、透明導電層表面が粗面化され、透明タッチパネルを構成する固定電極基板と可動電極基板の両透明導電層表面同士の引っ付き現象による誤作動を抑制することが可能となる。更に添加する微粒子Bの平均1次粒子径を制御することにより、液晶から出たRGB三原色光の散乱によるギラツキを生じない範囲で透明導電層表面を粗面化することができる。
また、硬化樹脂層−2及び光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方に添加する微粒子Bの添加量を、微粒子Bが添加された層を構成する硬化樹脂成分の0.01〜0.5重量%にすることにより、白濁がない硬化樹脂層−2または光学干渉層を形成することができるだけでなく、透明タッチパネルを構成する可動電極基板、固定電極基板の両透明導電層表面同士の引っ付き現象による誤作動を抑制することが可能となる。前記微粒子Bを、過剰に硬化樹脂層−2または光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方に添加した場合、添加した微粒子Bが脱落しやすくなったり、あるいは硬化樹脂層−2または光学干渉層と硬化樹脂層−1との密着性が低下してタッチパネルに要求される筆記耐久性を満足できない場合がある。光学干渉層の場合、微粒子Bは、高屈折率層のみに含有されていることが好ましいが、高屈折率層と低屈折率層の両方に含有されていてもよい。
硬化樹脂層−2または光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方に添加する微粒子Bとしては、例えばシリカ微粒子、架橋アクリル微粒子、架橋ポリスチレン微粒子等が挙げられる。
該微粒子Bの平均1次粒子径は、硬化樹脂層−2または光学干渉層の総膜厚の1.1倍以上でなおかつ平均1次粒子径が1.2μm以下であることが好ましい。該微粒子Bの平均1次粒子径が硬化樹脂層−2または光学干渉層の総膜厚の1.1倍未満である場合、透明導電層表面を粗面化することは困難である。一方、該微粒子Bの平均1次粒子径が1.2μmを超える場合、硬化樹脂層−2または光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方にこの様な微粒子を添加した透明導電性積層体を用いた透明タッチパネルを高精細カラー液晶ディスプレイ上に設置し、透明タッチパネルを介して液晶ディスプレイを観察した時に、液晶ディスプレイはぎらついて見え、表示品位が低下してしまう。更に該微粒子Bの平均1次粒子径が1.2μmを超える場合、該微粒子Bを添加している硬化樹脂層−2または光学干渉層の膜厚より平均1次粒子径が極端に大きくなる為、添加した該微粒子Bが硬化樹脂層−2または光学干渉層から脱落しやすく、透明タッチパネルに要求される筆記耐久性を満足することが困難となる。
金属化合物層
本発明の透明導電性積層体は、硬化樹脂層−1と透明導電層との間、又は硬化樹脂層―2と透明導電層との間、又は光学干渉層と透明導電層との間に、透明導電層と接しかつ膜厚が透明導電層の膜厚よりも薄くそして0.5nm以上10nm未満、好ましくは1.0nm以上7.0nm未満、更に好ましくは1.0nm以上5.0nm未満である金属化合物層をさらに有していてもよい。
本発明の透明導電性積層体は、硬化樹脂層−1と透明導電層との間、又は硬化樹脂層―2と透明導電層との間、又は光学干渉層と透明導電層との間に、透明導電層と接しかつ膜厚が透明導電層の膜厚よりも薄くそして0.5nm以上10nm未満、好ましくは1.0nm以上7.0nm未満、更に好ましくは1.0nm以上5.0nm未満である金属化合物層をさらに有していてもよい。
ラテックス含有樹脂層、硬化樹脂層−1、(又は、ラテックス含有樹脂層、硬化樹脂層−1、硬化樹脂層―2、又は、ラテックス含有樹脂層、硬化樹脂層―1、光学干渉層)、膜厚が制御された金属化合物層、透明導電層を順次積層することにより密着性が大幅に改善され、該透明導電性積層体を用いた透明タッチパネルは、該金属化合物層がない場合と比較して、近年透明タッチパネルに要求される筆記耐久性及び端押し耐久性が向上する。金属化合物層の膜厚が10.0nm以上では、金属化合物層が連続体としての機械物性を示し始めることにより、透明タッチパネルに要求される端押し耐久性の向上は望めない。一方、0.5nm未満の膜厚では膜厚の制御が困難なことに加え、硬化樹脂層−1と透明導電層、硬化樹脂層―2と透明導電層、又は光学干渉層と透明導電層との密着性を十分発現させることが困難になり、端押し耐久性の向上は困難になる。
金属化合物層としては、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫等の金属酸化物の層が挙げられる。
これらの金属化合物層は、公知の手法にて形成することが可能であり、例えばDCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、パルスレーザーデポジション法等の物理的形成法(Physical Vapor Deposition、以下、PVD)等を用いることができるが、大面積に対して均一な膜厚の金属化合物層を形成するという工業生産性に着目すると、DCマグネトロンスパッタリング法が望ましい。なお、上記物理的形成法(PVD)のほかに、Chemical Vapor Deposition(以下、CVD)、ゾルゲル法などの化学的形成法を用いることもできるが、膜厚制御の観点からはやはりスパタリング法が望ましい。
これらの金属化合物層は、公知の手法にて形成することが可能であり、例えばDCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、パルスレーザーデポジション法等の物理的形成法(Physical Vapor Deposition、以下、PVD)等を用いることができるが、大面積に対して均一な膜厚の金属化合物層を形成するという工業生産性に着目すると、DCマグネトロンスパッタリング法が望ましい。なお、上記物理的形成法(PVD)のほかに、Chemical Vapor Deposition(以下、CVD)、ゾルゲル法などの化学的形成法を用いることもできるが、膜厚制御の観点からはやはりスパタリング法が望ましい。
スパッタリングに用いるターゲットは金属ターゲットを用いることが望ましく、反応性スパッタリング法を用いることが広く採用されている。これは、金属化合物層として用いる元素の酸化物、窒化物、酸窒化物が絶縁体であることが多く、金属化合物ターゲットの場合DCマグネトロンスパッタリング法が適応できないことが多いからである。また、近年では、2つのカソードを同時に放電させ、ターゲットへの絶縁体の形成を抑制するような電源が開発されており、擬似的なRFマグネトロンスパッタリング法を適応できるようになってきている。
本発明では、金属ターゲットを用いてDCマグネトロンスパッタリング法により上記金属化合物層を製膜する場合は、該金属化合物層を製膜する真空槽中の圧力(背圧)を一旦1.3×10−4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する製造方法にて形成することができる。金属化合物層を製膜する真空槽中の圧力を一旦1.3×10−4Pa以下にすることが、真空槽中に残留し、且つ金属化合物層の形成過程に影響を与えることが懸念される分子種の影響を低減できるので望ましい。より望ましくは、5×10−5Pa以下、さらに望ましくは2×10−5Pa以下である。
次いで導入される不活性ガスとしては、例えばHe、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子量の大きな不活性ガスほど形成される金属化合物層へのダメージが少なく表面平坦性が向上すると言われている。しかし、コスト面を考えるとArが望ましい。この不活性ガスには層中に取り込まれる酸素濃度を調整するために、分圧に換算して1.3×10−3〜7×10−2Pa台の酸素を添加しても構わない。さらに、酸素の他にO3、N2、N2O、H2O、NH3等を目的に応じて用いることができる。
また、本発明では、金属化合物層を製膜する真空槽中の水の分圧を1.3×10−4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する製造方法にて形成することができる。水の分圧は、より望ましくは、4×10−5Pa以下、さらに望ましくは2×10−5Pa以下に制御できる。膜中に水素を取り込ませることで金属化合物層内部の応力を緩和するために、水を意図的に1.3×10−4〜3×10−2Paの範囲で導入しても構わない。この調整は、一旦真空を形成した後に、バリアブルリークバルブやマスフローコントローラーを用いて水を導入することで行っても良い。また、真空槽の背圧を制御することによっても実施することができる。
本発明における水分圧を決定するときには、差動排気型のインプロセスモニターを用いても良い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa台の圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用いても良い。また、一般的に、1.3×10−5Pa程度の真空度においては、その圧力を形成しているのは水である。よって、真空計によって計測された値をそのまま水分圧と考えても構わない。
本発明においては、透明有機高分子基板を用いるため、基板温度を該透明有機高分子基板の軟化点温度より上昇させることはできない。よって、金属化合物層を形成するためには、透明有機高分子基板の温度は室温以下程度から軟化点温度以下とする必要がある。代表的な透明有機高分子基板であるポリエチレンテレフタレートの場合、特別な処理を行わないときは基板温度を80℃以下の温度に保ったまま金属化合物層を形成することが望ましい。より望ましくは50℃以下の基板温度にて、さらに望ましくは20℃以下である。また、耐熱性高分子基板の上であっても、該高分子基板からのアウトガスの制御という観点より80℃以下、より望ましくは50℃以下、さらに望ましくは20℃以下に設定した基板温度で形成することが望ましい。
透明導電層
本発明においては、硬化樹脂層−1上、硬化樹脂層−2上、光学干渉層上、または金属化合物層上に接して透明導電層が設けられる。硬化樹脂層−1上、硬化樹脂層−2上、光学干渉層上、または金属化合物層上に接して透明導電層を設けることにより、透明導電性積層体を用いた透明タッチパネルの筆記耐久性等の機械特性が向上する。ここで透明導電層としては、酸化錫を2〜20重量%含むITO層やアンチモンまたはフッ素等をドープした酸化錫層がある。透明導電層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法あるいは塗工法、印刷法、CVD法が採用できるが、PVD法またはCVD法が好ましい。PVD法またはCVD法の場合、透明導電層の厚さは、透明性と導電性の点から5〜50nmが好ましく、更に好ましくは10〜30nmである。透明導電層の膜厚が10nm未満では抵抗値の経時安定性に劣る傾向が有り,また30nmを超えると透明導電性積層体の透過率が低下するため好ましくない。透明タッチパネルの消費電力の低減と回路処理上の必要等から、膜厚10〜30nmにおいて表面抵抗値が100〜2000Ω/□(Ω/sq)、より好ましくは140〜2000Ω/□(Ω/sq)の範囲を示す透明導電層を用いることが好ましい。更に、透明導電層は、酸化インジウムを主成分とした結晶質の膜であることが好ましく、特に結晶質のITOからなる層が好ましく用いられる。また結晶粒径は3000nm以下であることが好ましい。結晶粒径が3000nmを超えると筆記耐久性が悪くなるため好ましくない。ここで結晶粒径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)下で観察される多角形状または長円状の各領域における対角線または直径の中で最大のものと定義される。
本発明においては、硬化樹脂層−1上、硬化樹脂層−2上、光学干渉層上、または金属化合物層上に接して透明導電層が設けられる。硬化樹脂層−1上、硬化樹脂層−2上、光学干渉層上、または金属化合物層上に接して透明導電層を設けることにより、透明導電性積層体を用いた透明タッチパネルの筆記耐久性等の機械特性が向上する。ここで透明導電層としては、酸化錫を2〜20重量%含むITO層やアンチモンまたはフッ素等をドープした酸化錫層がある。透明導電層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法あるいは塗工法、印刷法、CVD法が採用できるが、PVD法またはCVD法が好ましい。PVD法またはCVD法の場合、透明導電層の厚さは、透明性と導電性の点から5〜50nmが好ましく、更に好ましくは10〜30nmである。透明導電層の膜厚が10nm未満では抵抗値の経時安定性に劣る傾向が有り,また30nmを超えると透明導電性積層体の透過率が低下するため好ましくない。透明タッチパネルの消費電力の低減と回路処理上の必要等から、膜厚10〜30nmにおいて表面抵抗値が100〜2000Ω/□(Ω/sq)、より好ましくは140〜2000Ω/□(Ω/sq)の範囲を示す透明導電層を用いることが好ましい。更に、透明導電層は、酸化インジウムを主成分とした結晶質の膜であることが好ましく、特に結晶質のITOからなる層が好ましく用いられる。また結晶粒径は3000nm以下であることが好ましい。結晶粒径が3000nmを超えると筆記耐久性が悪くなるため好ましくない。ここで結晶粒径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)下で観察される多角形状または長円状の各領域における対角線または直径の中で最大のものと定義される。
本発明において“酸化インジウムを主成分とした”とは、ドーパントとして錫、テルル、カドミウム、モリブデン、タングステン、フッ素、亜鉛等を含有する酸化インジウム、或いはドーパントとして錫の他に更に、珪素、チタン、亜鉛等を含有する酸化インジウムを意味する。
また、“結晶質の膜”とは、ドーパントを含有する酸化インジウムからなる層の50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくはほぼ100%が結晶相で占められていることを意味する。
ハードコート層
本発明の透明導電性積層体を可動電極基板として用いた場合は、透明タッチパネルで外力が加わる面には、ハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層を形成するための材料としては、例えばメチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノシラン系の熱硬化性樹脂、エーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化性樹脂、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の多官能アクリレート系電離放射線硬化性樹脂等があり、必要に応じて、これにSiO2やMgF2等の微粒子等を混合したものを用いることができる。ハードコート層の厚さは、可撓性、耐摩擦性の点から2〜5μmが好ましい。
本発明の透明導電性積層体を可動電極基板として用いた場合は、透明タッチパネルで外力が加わる面には、ハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層を形成するための材料としては、例えばメチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノシラン系の熱硬化性樹脂、エーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化性樹脂、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の多官能アクリレート系電離放射線硬化性樹脂等があり、必要に応じて、これにSiO2やMgF2等の微粒子等を混合したものを用いることができる。ハードコート層の厚さは、可撓性、耐摩擦性の点から2〜5μmが好ましい。
ハードコート層は塗工法により形成することが出来る。実際の塗工法としては、前記の化合物を各種有機溶剤に溶解して、濃度や粘度を調節した塗工液を用いて、透明有機高分子基板上に塗工後、電離放射線照射や加熱処理等により塗工層を硬化させる。塗工方式としては例えば、マイクログラビヤコート法、マイヤーバーコート法、ダイレクトグラビヤコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、コンマコート法、ダイコート法、ナイフコート法、スピンコート法等が挙げられる。
なお、ハードコート層は透明有機高分子基板上に直接、もしくは適当なアンカー層を介して積層される。こうしたアンカー層としては例えば、該ハードコート層と透明有機高分子基板との密着性を向上させる機能を有する層や、K値が負の値となる三次元屈折率特性を有する層等の各種の位相補償層、水分や酸素の透過を防止する機能もしくは水分や酸素を吸収する機能を有する層、紫外線や赤外線を吸収する機能を有する層、基板の帯電性を低下させる機能を有する層等が好ましく挙げられる。
以下、本発明の具体例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例において、リニアリティー測定方法、筆記耐久性試験方法、端押し耐久性試験方法は次の通りである。
リニアリティー測定方法
可動電極基板上又は固定電極基板上の平行電極間に直流電圧5Vを印加する。平行電極と垂直の方向に5mm間隔で電圧を測定する。測定開始位置Aの電圧をEA、測定終了位置Bの電圧をEB、Aからの距離Xにおける電圧実測値EX、理論値をET、リニアリティーをLとすると、下記式により求められる。
[数1]
ET = (EB−EA) × X/(B−A)+EA
L(%)=(|ET−EX|)/(EB−EA) × 100
可動電極基板上又は固定電極基板上の平行電極間に直流電圧5Vを印加する。平行電極と垂直の方向に5mm間隔で電圧を測定する。測定開始位置Aの電圧をEA、測定終了位置Bの電圧をEB、Aからの距離Xにおける電圧実測値EX、理論値をET、リニアリティーをLとすると、下記式により求められる。
[数1]
ET = (EB−EA) × X/(B−A)+EA
L(%)=(|ET−EX|)/(EB−EA) × 100
端押し耐久性試験方法
作製した透明タッチパネルの可動電極基板の周囲の絶縁層から2.0mm及び1.5mmの位置を絶縁層と平行して先端が0.8Rのポリアセタール製のペンを用いて450g荷重で直線1万回往復の筆記耐久性試験を行う。端押し耐久性試験前後のリニアリティー変化量が1.5%以上となるものをNGとした。
作製した透明タッチパネルの可動電極基板の周囲の絶縁層から2.0mm及び1.5mmの位置を絶縁層と平行して先端が0.8Rのポリアセタール製のペンを用いて450g荷重で直線1万回往復の筆記耐久性試験を行う。端押し耐久性試験前後のリニアリティー変化量が1.5%以上となるものをNGとした。
筆記耐久性試験方法
作製した透明タッチパネルの可動電極基板の中央部を対角線方向に先端が0.8Rのポリアセタール製のペンを用いて450g荷重で直線10万往復の筆記耐久性試験を行う。筆記耐久性前後の透明タッチパネルのリニアリティー変化量が1.5%以上となるものをNGとした。
作製した透明タッチパネルの可動電極基板の中央部を対角線方向に先端が0.8Rのポリアセタール製のペンを用いて450g荷重で直線10万往復の筆記耐久性試験を行う。筆記耐久性前後の透明タッチパネルのリニアリティー変化量が1.5%以上となるものをNGとした。
[実施例1]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ5μmのハードコート層1を形成した。
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ5μmのハードコート層1を形成した。
合成ラテックス Nipol LX857X2(日本ゼオン(株)製)をハードコート層1の反対面にバーコート法により塗工、90℃2分間乾燥し、膜厚が7.0μmのラテックス含有樹脂層(a)を形成した。
ウレタンアクリレート NKオリゴ U−9HA(新中村化学工業(株)製)100重量部とイルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)5重量部をメチルイソブチルケトン(MIBK)、1-メトキシ−2−プロパノール(1M2P)の1:1混合液へ溶解し塗工液Aを作製した。塗工液Aをラテックス含有樹脂層(a)上に膜厚が3.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(a)を形成した。
次にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシラン(信越化学工業(株)製 「KBM403」)とメチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 「KBM13」)を1:1のモル比で混合し、酢酸水溶液(pH=3.0)により公知の方法で前記アルコキシシランの加水分解を行いアルコキシシラン加水分解物1を得た。アルコキシシラン加水分解物1の固形分20重量部に対して、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメトキシシラン(信越化学社製 「KBM603」)を固形分1重量部の比率で添加し、更にイソプロピルアルコールとn−ブタノールの混合溶液で希釈を行い、アルコキシシラン塗工液Bを作製した。
前記硬化樹脂層−1(a)上にアルコキシシラン塗工液Bをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、硬化樹脂層−2(a)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−2(a)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分の熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)であった。
他方、厚さ1.1mmのガラス板の両面にSiO2ディップコートを行った後、スパッタリング法により、同様な方法で厚さ18nmのITO膜を形成した。次にITO膜上に高さ7μm、直径70μm、ピッチ1.5mmのドットスペーサを形成することにより、固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板とを用いて図1の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行い、試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[実施例2]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ5μmのハードコート層1を形成した。
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ5μmのハードコート層1を形成した。
実施例1と同様にしてラテックス含有層(a)と硬化樹脂層−1(a)を順次積層した後、硬化樹脂層−1(a)上にSiターゲットを用いてスパッタリング法により膜厚が2nmの酸化珪素層を形成した。更にこの酸化珪素層上に酸化インジウムと酸化錫が重量比97:3の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は20nm、製膜後の表面抵抗値は約550Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃45分間の熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約450Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板とを用いて図2の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行い、試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[実施例3]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
合成ラテックス Nipol SX1706A(日本ゼオン(株)製)をハードコート層1の反対面にバーコート法により塗工、90℃2分間乾燥し、膜厚が6.0μmのラテックス含有樹脂層(b)を形成した。
ウレタンアクリレート NKオリゴ U−9HA(新中村化学工業(株)製)50重量部と多官能アクリレート アロニックス M400(東亞合成(株)製)50重量部とイルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)5重量部をメチルイソブチルケトン(MIBK)、1-メトキシ−2−プロパノール(1M2P)の1:1混合液へ溶解し塗工液Cを作製した。塗工液Cをラテックス含有樹脂層(b)上に膜厚が1.5μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(b)を形成した。
前記硬化樹脂層−1(b)上に実施例1で使用した塗工液Bをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、硬化樹脂層−2(b)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−2(b)上にSiターゲットを用いてスパッタリング法により膜厚が2nmの酸化珪素層を形成した。更にこの酸化珪素層上に酸化インジウムと酸化錫が重量比97:3の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は20nm、製膜後の表面抵抗値は約550Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃45分間の熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約450Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板とを用いて図3の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行い、試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[実施例4]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
合成ラテックス Nipol SX1706A(日本ゼオン(株)製)をハードコート層1の反対面にバーコート法により塗工、90℃2分間乾燥し、膜厚が6.0μmのラテックス含有樹脂層(c)を形成した。
実施例3で作成した塗工液Cに、硬化樹脂成分100重量部に対してオルガノシランアクリレート AF#2(浅井物産(株)製)と平均1次粒子径が15nmであるSiO2微粒子(扶桑化学工業(株)製、MEK、10%分散液)をそれぞれ3重量部添加して塗工液Dを作成した。塗工液Dをラテックス含有樹脂層(c)上に膜厚が1.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(c)を形成した。
前記硬化樹脂層−1(c)上にSiターゲットを用いてスパッタリング法により膜厚が2nmの酸化珪素層を形成した。更にこの酸化珪素層上に酸化インジウムと酸化錫が重量比97:3の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は20nm、製膜後の表面抵抗値は約550Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃45分の熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約450Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板とを用いて図2の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行い、試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[実施例5]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
イソシアヌール酸EO変性アクリレート アロニックス M215(東亜合成(株)製)とイルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)5重量部をイソプロピルアルコール(IPA)、イソブチルアルコール(IBA)の1:1混合液へ溶解し塗工液Eを作製した。
次に合成ラテックス Nipol SX1105A(日本ゼオン(株)製)をエタノール(EtOH)とイソブチルアルコール(IBA)で希釈した液と塗工液Eを固形分比率10:1となるように混合して塗工液Fを作成した。塗工液Fをハードコート層1の反対面にバーコート法により塗工、90℃2分間乾燥し、膜厚が4.0μmのラテックス含有樹脂層(d)を形成した。
実施例4で作成した塗工液Dをラテックス含有樹脂層(d)上に膜厚が3.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(d)を形成した。
前記硬化樹脂層−1(d)上にSiターゲットを用いてスパッタリング法により膜厚が2nmの酸化珪素層を形成した。更にこの酸化珪素層上に酸化インジウムと酸化錫が重量比97:3の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は20nm、製膜後の表面抵抗値は約550Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃45分の熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約450Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板とを用いて図2の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行い、試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[実施例6]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ5μmのハードコート層1を形成した。
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ5μmのハードコート層1を形成した。
ウレタンアクリレート NKオリゴ U7100(新中村化学工業(株)製)とイルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)5重量部をイソプロピルアルコール(IPA)、イソブチルアルコール(IBA)の1:1混合液へ溶解し塗工液Gを作製した。
次に合成ラテックス Nipol SX1105A(日本ゼオン(株)製)をエタノール(EtOH)とイソブチルアルコール(IBA)で希釈した液と塗工液Gを固形分比率10:1となるように混合して塗工液Hを作成した。塗工液Hをハードコート層1の反対面にバーコート法により塗工、90℃2分間乾燥し、膜厚が4.0μmのラテックス含有樹脂層(e)を形成した。
ウレタンアクリレート NKオリゴ U−9HA(新中村化学工業(株)製)50重量部とイソシアヌール酸アクリレート アロニックス M215(東亞合成(株)製)50重量部とイルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)5重量部をメチルイソブチルケトン(MIBK)、1-メトキシ−2−プロパノール(1M2P)の1:1混合液へ溶解し塗工液Iを作製した。塗工液Iをラテックス含有樹脂層(e)上に膜厚が4.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(e)を形成した。
実施例1で用いたアルコキシシラン塗工液Bに1次粒子径が20nmのTiO2超微粒子(シーアイ化成(株)製、15%、IPA分散液)をTiO2超微粒子と金属アルコキシドの固形分重量比率が50:50となるように混合した塗工液Jを作製した。塗工液J中に平均1次粒子径が0.5μmのシリカ微粒子を塗工液Jの固形分100重量部に対して0.3重量部となるように混合し塗工液Kを作製した。
上記硬化樹脂層−1(e)面上に、塗工液Kをバーコート法でコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚が55nmの高屈折率層を形成した。
上記硬化樹脂層−1(e)面上に、塗工液Kをバーコート法でコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚が55nmの高屈折率層を形成した。
前記高屈折率層上に低屈折率層として実施例1で使用したアルコキシシラン塗工液Bをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚が60nmの低屈折率層を形成し光学干渉層を作製した。さらにこの光学干渉層上に、Siターゲットを用いてスパッタリング法により膜厚が2nmの酸化珪素層を形成した。更にこの酸化珪素層上に酸化インジウムと酸化錫が重量比97:3の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は20nm、製膜後の表面抵抗値は約550Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃45分の熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約450Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板とを用いて図4の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行い、試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[比較例1]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
実施例5で使用した塗工液Eをハードコート層1の反対面に膜厚が2.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(f)を形成した。
前記硬化樹脂層−1(f)上に実施例1で使用したアルコキシシラン塗工液Bをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、硬化樹脂層−2(f)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−2(f)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分の熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板とを用いて図5の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行い、試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[比較例2]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)の片面に紫外線硬化性多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
合成ラテックス Nipol SX1706A(日本ゼオン(株)製)をハードコート層1の反対面にバーコート法により塗工、90℃2分間乾燥し、膜厚が6.0μmのラテックス含有樹脂層(g)を形成した。
前記ラテックス含有樹脂層−1(g)上に実施例1で使用したアルコキシシラン塗工液Bをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、硬化樹脂層−2(g)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−2(g)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。しかし透明導電層が形成された面に細かいしわが発生しヘーズ上昇が確認した。これ以上の評価は実施しなかった。
1 ハードコート層
2 ポリエチレンテレフタレートフィルム
3 ラテックス含有樹脂層
4 硬化樹脂層−1
5 硬化樹脂層−2
6 高屈折率層
7 低屈折率層
8 透明導電層
9 ガラス基板
10 ドットスペーサ
11 金属化合物(酸化珪素)層
2 ポリエチレンテレフタレートフィルム
3 ラテックス含有樹脂層
4 硬化樹脂層−1
5 硬化樹脂層−2
6 高屈折率層
7 低屈折率層
8 透明導電層
9 ガラス基板
10 ドットスペーサ
11 金属化合物(酸化珪素)層
Claims (13)
- 透明有機高分子基板上の少なくとも一方の面上にラテックスを10重量%以上含有するラテックス含有樹脂層、実質的にラテックスを含有しない硬化樹脂層−1、透明導電層が順次積層され、ラテックス含有樹脂層の膜厚d1、硬化樹脂層−1の膜厚d2がそれぞれ10μm以下であり、更に0.1≦d2/d1≦2.0である、透明導電性積層体。
- 該硬化樹脂層−1と透明導電層との間に、透明導電層と接して、かつ膜厚が透明導電層より薄く、かつ膜厚が0.5nm以上10.0nm未満である金属化合物層を有する、請求項1記載の透明導電性積層体。
- 該硬化性樹脂層−1中に、平均1次粒子径が100nm以下の金属酸化物微粒子と、珪素原子を含有する有機化合物とを含有し、かつ硬化樹脂層−1の最表面(透明導電層側)に金属酸化物微粒子が偏析している、請求項1記載の透明導電性積層体。
- 該硬化樹脂層−1と透明導電層との間に、透明導電層と接して、かつ膜厚が透明導電層より薄く、かつ膜厚が0.5nm以上10.0nm未満である金属化合物層を有する、請求項3記載の透明導電性積層体。
- 該金属化合物層と該金属酸化物微粒子とに同一原子が含まれる、請求項4に記載の透明導電性積層体。
- 硬化樹脂層−1と透明導電層との間に屈折率が1.20〜1.55で且つ膜厚が0.05〜0.5μmの硬化樹脂層−2を有する、請求項1記載の透明導電性積層体。
- 硬化樹脂層−2は、平均1次粒子径が該硬化樹脂層−2の膜厚の1.1倍以上でかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の大きさの微粒子Bを含有し、該微粒子Bの含有量は硬化樹脂層−2を形成する硬化樹脂成分の0.5重量%以下である、請求項6記載の透明導電性積層体。
- 該硬化樹脂層−2と透明導電層との間に、透明導電層と接して、かつ膜厚が透明導電層より薄く、且つ膜厚が0.5nm以上10.0nm未満である金属化合物層を有する、請求項6または7記載の透明導電性積層体。
- 硬化樹脂層−1と透明導電層との間に少なくとも1層の低屈折率層と少なくとも1層の高屈折率層からなる光学干渉層を有し、かつ低屈折率層が透明導電層と接している、請求項1に記載の透明導電性積層体。
- 該光学干渉層と透明導電層との間に、透明導電層と接して、かつ膜厚が透明導電層より薄く、且つ膜厚が0.5nm以上10.0nm未満である金属化合物層を有する、請求項9記載の透明導電性積層体。
- 光学干渉層は、平均1次粒子径が該光学干渉層の膜厚の1.1倍以上でかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の大きさの微粒子Bを含有し、該微粒子Bの含有量は光学干渉層を形成する成分の0.5重量%以下である、請求項9または10記載の透明導電性積層体。
- 透明導電層が酸化インジウムを主成分とした結晶質の膜であり、かつ透明導電層の膜厚が5〜50nmである、請求項1〜11のいずれかに記載の透明導電性積層体。
- 少なくとも片面に透明導電層が設けられた2枚の透明電極基板が互いの透明導電層同士が向き合うように配置されて構成された透明タッチパネルにおいて、少なくとも一方の透明電極基板として請求項1〜12のいずれかに記載の透明導電性積層体を用いたことを特徴とする透明タッチパネル。
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