JP2006239777A - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Naoki Nakada
直樹 中田
Masanori Kitahama
正法 北浜
Hideyuki Nikaido
英幸 二階堂
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Abstract

【課題】シートバーの長手方向に生じる温度差を低減し、さらにはスラブ加熱温度や仕上圧延速度の制限を緩和して、とくに、シートバーコイラを用いたエンドレス圧延が適用される場合に材料全長にわたって仕上出側温度を目標範囲に収まらせるに好適な、効率的な熱延鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】所定温度に加熱したスラブを粗圧延し、粗圧延したシートバー1を巻き取り、巻き戻した後、その先端部を先行シートバーの尾端部に接合し、仕上圧延するにあたり、前記所定温度を、コイル長手方向中央部の仕上出側温度が目標の温度範囲内となるように設定し、接合後仕上圧延前にシートバーを巻き取りした際の最外巻きおよび最内巻きを含む部分を幅全体にわたり高周波誘導加熱装置6により加熱(加熱量は実測シートバー温度と仕上入側温度目標との差に応じて設定)し、コイル全長にわたり、仕上出側温度を目標の温度範囲内として仕上圧延する。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱延鋼板の製造方法に関し、特に、粗圧延後仕上圧延前にシートバー温度を有利に調整できる熱延鋼板の製造方法に関する。
熱延鋼板を製造する場合、粗圧延、仕上圧延を材料であるスラブ1本ずつに対して行う旧来のバッチ圧延では、製品の板厚が薄くなると、シートバー(粗圧延後の材料)先端部および尾端部の仕上圧延中にループや蛇行、絞りなどが発生しやすくなり、安定製造が困難になる。この困難を克服するために、複数のシートバーを順次直列に接合し、仕上スタンド間およびランアウトテーブルにおいてある程度の張力を付与しつつ連続的に仕上圧延するエンドレス圧延と称されるプロセスが開発された。このプロセスでは、粗圧延と仕上圧延との材料送り速度差を吸収するバッファとして、シートバーをコイル状に巻いて待機させ随時仕上圧延機に払いだす装置であるシートバーコイラが用いられる。なお、シートバーコイラ内の材料の待機時間は数十秒程度である。
シートバーコイラ内のコイル状材料は、常に大気に曝される最外巻き部分および最内巻き部分(シートバーの先尾端部分に相当)が最もよく冷え、仕上出側温度が低く外れやすい。このため、シートバーコイラを用いたエンドレス圧延で製品を製造する際には、先尾端部のシートバーコイラ内での温度降下を補償するためにスラブ加熱温度の嵩上げが行われる。例えば、仕上板厚が1.2mm 以下の薄物材で仕上出側温度(FDT)目標値がAr 変態点以上に設定される材料では、スラブ加熱温度を1260℃とバッチ圧延の場合よりも高く設定している。
一方、シートバーコイラ内で先尾端部分が冷えやすいという問題に対し、特許文献1に開示されるように、シートバーコイラの内側や入出側などに加熱装置を設置し、コイル状材料の最外巻き部分を加熱して当該部分の温度低下を防止するという方法もある。
特開昭61−119327号公報
前記のように、エンドレス圧延では、コイル状材料がシートバーコイラ内で数十秒間待機する。このため、図2(a)に示すように、その間に最外巻き部分および最内巻き部分が大気放冷され、仕上入側ではこれら部分以外の定常部と比べると温度が50〜100 ℃も低い状態になる。それゆえ、仕上出側温度目標をAr変態点以上とする材料、特に薄物では、先尾端部分で最低限必要なデスケーリングを行う以外、仕上圧延機内で水冷を行っていないにもかかわらず、目標の仕上出側温度が確保できず、目的とする材質を得ることができず、歩留りが悪かった。
先尾端部分の仕上圧延速度を上げて仕上出側温度を確保しようとする案もあるが、仕上圧延後のコイルを切断し巻取機を切り替える作業を安定して行うには切断時の速度をある程度以下(例えば1000mpm 以下)に制限する必要があり、先尾端部分の仕上圧延速度もこれに律速される。したがって、速度アップによって先尾端部分の仕上出側温度を上げるのにも限界がある。
仕上出側温度目標をAr変態点以下とする材料では、先尾端部分の仕上出側温度を目標の範囲内とするようにスラブ加熱温度を設定するのは比較的容易だが、長手方向中央部の仕上出側温度がトップ速度(長手方向中央部での仕上圧延速度)を上げると仕上圧延機内の冷却設備を全て用いて水冷を行っても目標の範囲から高めに外れてしまうので、トップ速度が上げられない。さらに、エンドレス圧延ではバッチ圧延に比べてスラブ加熱温度が高いため、トップ速度が制限され、特に薄物の生産性が悪いという問題があった。
また、スラブ加熱温度を高くすれば、燃料コストが高くなるうえ加熱炉内の耐火物など設備の損傷が激しくなる。設備が劣化すると操業を停止させて修理を行わなくてはならなくなるため、設備の稼働時間が短くなり、生産能力が低下するなどの問題が発生する。したがって、加熱炉の設備保全性を高水準に維持するには、スラブ加熱温度をなるべく低く設定することが重要であって、望ましくは1200℃以下とした方がよい。
一方、前記特許文献1に開示されるようにシートバーコイラ内の材料を加熱して先端部の仕上出側温度を確保するのは、エンドレス圧延プロセスに採用する場合に加熱の効率が悪いという問題があった。すなわち、例えばシートバーコイラ内で図2(b)に斜線部で示すような加熱を行うのは、温度差の大きい時点でその温度差を埋めるように入熱しなければならず、しかもコイル状材料の最内巻き部分、最外巻き部分以外(コイル状材料内部側)への熱逃散が多大である。また、このような方法は、シートバーコイラを使用しないエンドレス圧延には適用困難であるほか、接合時にクランプされあるいはピンチロールで抑えられるシートバー部分(シートバーコイラ内の最外巻き部分、最外巻き部分に相当するとは限らない)の温度低下を防ぐことも困難である。
上記従来技術の諸問題に鑑み、本発明は、シートバーの長手方向に生じる温度差を効率のよい加熱手段によって低減し、さらにはスラブ加熱温度や仕上圧延速度の制限を緩和して、効率的な熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、とくに、エンドレス圧延、さらには、シートバーコイラを用いたエンドレス圧延が適用される場合に好適な前記方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、材料全長にわたって仕上出側温度を目標範囲に収まらせるに好適な前記方法を提供することを目的とする。
本発明の前提は、所定温度に加熱したスラブを粗圧延し、粗圧延したシートバーを巻き取り、巻き戻した後、その先端部を先行シートバーの尾端部に接合し、仕上圧延して熱延鋼板を製造する熱延鋼板の製造方法において、接合後仕上圧延前にシートバーの長手方向の少なくとも一部分を幅全体にわたり高周波誘導加熱装置により加熱することを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
本発明は、以下のとおりである。
1. 所定温度に加熱したスラブを粗圧延し、粗圧延したシートバーを巻き取り、巻き戻した後、その先端部を先行シートバーの尾端部に接合し、仕上圧延して熱延鋼板を製造する熱延鋼板の製造方法において、スラブを加熱する所定温度を、コイル長手方向中央部の仕上出側温度が目標の温度範囲内となるように設定し、接合後仕上圧延前にシートバーを巻き取りした際の最外巻きおよび最内巻きを含む部分を幅全体にわたり高周波誘導加熱装置により加熱し、コイル全長にわたり、仕上出側温度を目標の温度範囲内として仕上圧延することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
2. シートバーの温度を実測し、この実測温度と仕上入側温度目標との差に応じた加熱量を高周波誘導加熱装置に設定することを特徴とする前項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
3. 仕上出側温度を仕上入側温度と仕上圧延履歴から予測することを特徴とする前項1または2に記載の熱延鋼板の製造方法。
4. スラブを加熱する所定温度を、コイル長手方向中央部の仕上出側温度が目標の温度範囲内となるように設定し、接合後仕上圧延前にシートバーを巻き取りした際の最外巻きおよび最内巻きを含む部分を幅全体にわたり高周波誘導加熱装置により加熱し、コイル全長にわたり、仕上出側温度をAr変態点以上の温度として仕上圧延する前項1〜3のいずれかに記載の方法。
5. スラブを加熱する所定温度を、コイル長手方向中央部の仕上出側温度が目標の温度範囲内となるように設定し、接合後仕上圧延前にシートバーを巻き取りした際の最外巻きおよび最内巻きを含む部分を幅全体にわたり高周波誘導加熱装置により加熱し、コイル全長にわたり、仕上出側温度をAr変態点以下の温度として仕上圧延する前項1〜3のいずれかに記載の方法。
6. スラブ加熱温度を1200℃以下とし、仕上圧延後の板厚を0.8 〜1.1mm とすることを特徴とする前項1〜5のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、ラインの適所に設けた高周波誘導加熱装置でシートバーを加熱することによりシートバー先尾端部分の仕上出側温度を所望の温度に制御できることから、スラブ加熱温度や圧延速度の制約を大幅に緩和して製品全長にわたって仕上出側温度ならびに材質を目標の範囲内に確保でき、高い歩留りで製品を製造できると共に、加熱に要するエネルギーコストも大幅に軽減できるという格段の効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態の一例を示す模式図であり、(a)は仕上圧延前のシートバー1が、高周波コイル62、高周波電源61からなる高周波誘導加熱装置6によって加熱されている外観を、(b)はコイル電流とシートバー断面内の誘導電流の経路を、(c)はシートバー厚み方向の電流分布をそれぞれ示す。誘導電流は、図2(b),(c)に示すように表皮効果、端面効果などによりシートバーの幅端部〜表層部〜幅端部を周回する向きに流れ、瞬時に発生するジュール熱によって材料温度を急速に上昇させる。このような加熱方式によれば、シートバーの長手方向に生じた温度差のある部分を幅全域にわたり均一にしかも急速に補償加熱することができるから、シートバー長手方向の温度不均一を速やかに解消することができる。
本発明では、シートバーコイラを用いたエンドレス圧延を行う場合に、接合後仕上圧延される前のシートバーに前記高周波加熱を施すのである。なかでも、シートバーコイラ内でコイル状に巻かれて待機中に定常部よりも冷えた最外巻き部分および最内巻き部分に相当するシートバー先尾端部分を、接合後仕上圧延前に加熱するのである。
従来のようにシートバーコイラ内でコイル状材料を加熱する方法では、加熱の不要な中巻き部(シートバー定常部に相当)が必要以上に加熱されてしまうが、本発明によれば板状材料を加熱するから、必要な部分に無駄なく熱を供給できて加熱効率に優れる。
これにより、薄物材の場合でも鋼板コイル全長にわたって仕上出側温度を目標の範囲内に収めることができ目的の材質を確保できて歩留りが向上する。
このときのスラブ加熱温度は鋼板コイル長手方向中央部の仕上出側温度が目標範囲内になるように設定する。したがってスラブ加熱温度の設定を従来より下げることができて、加熱エネルギーコストを大幅に低減することができる。さらには、トップ速度の設定を従来より高くすることも可能となる。
また、スラブ加熱温度の設定を低くできることから、加熱炉内の耐火物などの劣化が比較的進みにくくなり、加熱炉補修の頻度が減り、補修コストを大幅に軽減できる。また、加熱炉内スラブの表面温度も下がるので、加熱炉内でのスケールロスが減少し、歩留りが改善される。さらに、スラブの在炉時間も短縮できるので、加熱炉の処理能力がアップする。一般に、エンドレス圧延による仕上圧延の処理能力は加熱炉の処理能力を上回るので、ライン全体としての生産能力も向上する。
また、本発明によれば、シートバーコイラ内で加熱するのではなく、その下流にある接合装置で接合した後に加熱するので、シートバーコイラから高周波誘導加熱装置入側まで先尾端部の温度を低いままにして搬送することができ、図2(c)斜線部に示すように、この搬送の間の輻射放熱差により図2(b)の従来例に比べて定常部との温度差が縮まった状態の先尾端部を加熱することができる。この斜線部は加熱に必要なエネルギーの大きさに対応するが、図2(c)の本発明例ではこれが図2(b)の従来例の2/3程度ですみ、エネルギーコストを軽減できると共に、加熱装置規模も小さくできるから設備コストも軽減できる。
また、本発明では、シートバーコイラから払いだしたシートバーの温度を実測してから、高周波誘導加熱装置がシートバー先尾端部に与える加熱量を設定することができるから、この実測温度と仕上入側温度目標との差に応じた加熱量を設定することで、従来よりも仕上入側温度を制御しやすくなる。
さらに、仕上出側温度と仕上入側温度とは仕上圧延履歴を介して一方から他方を予測可能であるから、本発明では、前記加熱量を仕上出側温度目標に応じて設定すること、すなわち、前記高周波誘導加熱装置による加熱は、加熱される部分の仕上出側温度が目標の温度になるように行うこととする。
図3は、本発明の実施に適した熱間圧延ラインの一例を示す模式図である。図3において、材料(スラブ)1は、加熱炉から抽出された後、粗圧延機3にて粗圧延される。この後、シートバーコイラ4に巻き取り、さらに払いだして接合装置5を通過する際に、先端部は先行材尾端に、尾端部は後行材先端に接合される。接合後、材料(シートバー)1先尾端部分が高周波誘導加熱装置6で誘導加熱され、仕上圧延機7にて仕上圧延される。仕上圧延後、材料(鋼板)1の温度を仕上出側温度計8にて計測し、図示しない演算器で製品材質確保に関する温度情報が管理される。
(実施例1)
図3の高周波誘導加熱装置は、実施例1で設置し、従来例では設置せず、熱間圧延ラインを用いて、仕上板厚1.1mm で仕上出側温度がAr変態点以上となるようにその目標範囲が850 ℃以上におかれた製品を、シートバー加熱を行わない従来例1、シートバー加熱をシートバーコイラ内で行う従来例2、シートバー加熱を仕上入側で行う実施例1の三通りの条件で製造し、互いの操業ファクタを比較した結果を表1に示す。表1中に示す温度は、熱間圧延ライン各位置での材料先端部温度の計測値であり、材料長手方向の被計測位置は図2(a)〜(c)のA点で示される。なお、尾端部の温度は先端部の温度にほぼ等しかった。
Figure 2006239777
表1より、シートバー加熱を行わない従来例1では、スラブを加熱炉で設定できる最高温度1260℃まで加熱した。粗圧延後のシートバー温度は1100℃であるが、シートバーコイラ内でコイル状材料の最外巻き部と最内巻き部(シートバー先尾端部分)が冷えて、この部分では、仕上入側温度が980 ℃に低下し、仕上出側温度が830 ℃となって目標の850 ℃を下回ったため目的の材質が得られなかった。また、スラブ加熱温度が1260℃と非常に高いため、加熱コストが高く、また加熱炉内の耐火物などの劣化が早く、週1回の加熱炉補修を要した。生産能力は450ton/時にとどまった。
シートバー加熱をシートバーコイラ内で行う従来例2では、スラブ加熱温度を1200℃に下げても、シートバーコイラ内でコイル状材料の先尾端部を加熱し、かつ加熱しなかった部分は仕上圧延機内での水冷を緩くすることにより長手方向全体にわたって仕上出側温度目標の850 ℃を確保できた。スラブ加熱温度を従来例1よりも下げ得たので加熱炉の補修は月1回で済んだ。生産能力は600ton/時に上がった。しかし、シートバーコイラ内での材料先尾端部の必要加熱代が90℃と大きく、大規模な加熱装置が必要で設備コストが高かったうえ、シートバー加熱エネルギーが大きかったので加熱コストの低減効果が十分でなかった。
これに対し、シートバー加熱を仕上入側で行う実施例1では、長手方向全体にわたって仕上出側温度目標が確保でき、スラブ加熱温度、加熱炉補修頻度、生産能力は従来例2と同レベルであって、なおかつ、材料先尾端部の必要加熱代が60℃に低減し、加熱装置の設備規模を縮小でき、シートバー加熱エネルギーは従来例2の2/3 となり加熱コストが十分低減した。
(実施例2)
図3の高周波誘導加熱装置は、従来例では設置せず、実施例2で設置した熱間圧延ラインを用いて、仕上板厚1.1mm で仕上出側温度がAr変態点以下となるようにその目標範囲が820 ℃以下におかれた製品を、シートバー加熱を行わない従来例3、シートバー加熱をシートバーコイラ内で行う従来例4、シートバー加熱を仕上入側で行う実施例2の三通りの条件で製造し、互いの操業ファクタを比較した結果を表2に示す。表2中に示す温度は、熱間圧延ライン各位置での材料先端部温度の計測値であり、材料長手方向の被計測位置は図2(a)〜(c)のA点で示される。なお、尾端部の温度は先端部の温度にほぼ等しかった。
Figure 2006239777
表2より、シートバー加熱を行わない従来例3では、スラブを1080℃まで加熱した。粗圧延後のシートバー温度は 950℃であるが、シートバーコイラ内でコイル状材料の最外巻き部と最内巻き部(シートバー先尾端部分)が冷えて、この部分では、仕上入側温度が870 ℃に低下し、仕上出側温度が800 ℃となって目標の820 ℃以下にすることはできたが、シートバーコイラ内での先尾端部の温度低下を見込んでスラブ加熱温度を高めにしていることから、仕上入側での定常部の温度が 920℃と比較的高く、仕上圧延で大幅に加速すると仕上出側温度がAr変態点を超えてしまうためトップ速度を1050mpm に抑えざるを得ず、生産能力が550ton/時にとどまった。
シートバー加熱をシートバーコイラ内で行う従来例4では、スラブ加熱温度を1000℃に下げても、シートバーコイラ内でコイル状材料先尾端部を加熱したので、この部分の仕上出側温度は800 ℃となった。スラブ加熱温度を従来例3よりも低くでき、トップ速度を1250mpm に上げても定常部の仕上出側温度を800 ℃に保持でき、生産能力が600ton/時に上がった。しかし、シートバーコイラ内での材料先尾端部の必要加熱代が60℃と大きく、大規模な加熱装置が必要で設備コストが高かったうえ、シートバー加熱エネルギーが大きかったので加熱コストの低減効果が十分でなかった。
これに対し、シートバー加熱を仕上入側で行う実施例2では、仕上出側温度目標が確保でき、スラブ加熱温度、トップ速度、生産能力は従来例4と同レベルであって、なおかつ、材料先尾端部の必要加熱代が40℃に低減し、加熱装置の設備規模を縮小でき、シートバー加熱エネルギーは従来例2の2/3 となり加熱コストが十分低減した。
(実施例3)
図3の高周波誘導加熱装置6は、実施例3で設置し、従来例では設置せず、熱間圧延ラインを用いて、仕上板厚 0.8mmで仕上出側温度がAr変態点以上となるようにその目標範囲が850 ℃以上におかれた製品を、シートバー加熱を行わない従来例5、シートバー加熱をシートバーコイラ内で行う従来例6、シートバー加熱を仕上入側で行う実施例3の三通りの条件で製造し、互いの操業ファクタを比較した結果を表3に示す。表3中に示す温度は、熱間圧延ライン各位置での材料先端部温度の計測値であり、材料長手方向の被計測位置は図2(a)〜(c)のA点で示される。なお、尾端部の温度は先端部の温度にほぼ等しかった。
Figure 2006239777
表3より、シートバー加熱を行わない従来例5では、スラブを加熱炉で設定出来る最高温度1260℃まで加熱した。粗圧延後のシートバー温度は1100℃であるが、シートバーコイラ内でコイル状材料の最外巻き部と最内巻き部(シートバー先尾端部分)が冷えて、この部分では、仕上入側温度が970 ℃に低下し、仕上出側温度が825 ℃となって目標の850 ℃を下回ったため目的の材質が得られなかった。また、スラブの加熱温度が1260℃と非常に高いため、加熱コストが高く、また加熱炉内の耐火物など劣化が早く、週1回の加熱炉補修を要した。生産能力は420ton/ 時にとどまった。
シートバー加熱をシートバーコイラ内で行う従来例6では、スラブ加熱温度を1240℃に下げても、シートバーコイラ内でコイル状材料の先尾端部を加熱し、かつ加熱しなかった部分は仕上圧延機内での水冷を緩くすることにより長手方向全体にわたって仕上出側温度目標の850 ℃を確保できた。スラブ加熱温度を従来例5よりも下げ得たので加熱炉の補修は月2回で済んだ。生産能力は470ton/ 時に上がった。しかし、シートバーコイラ内での材料先尾端部の必要加熱代が105 ℃と大きく、大規模な加熱装置が必要で設備コストが高かったうえ、シートバー加熱エネルギーが大きかったので加熱コストの低減効果が十分でなかった。
これに対し、シートバー加熱を仕上入側で行う実施例3では、長手方向全体にわたって仕上出側温度が目標どおり確保でき、スラブ加熱温度、加熱炉補修頻度、生産能力は従来例6と同レベルであって、なおかつ、材料先尾端部の必要加熱代が70℃に低減し、加熱装置の設備規模を縮少でき、シートバー加熱エネルギーは従来例6の2/3となり加熱コストが十分低減した。
(実施例4)
図3の高周波誘導加熱装置6は、従来例では設置せず、実施例4で設置した熱間圧延ラインを用いて、仕上板厚0.8 mmで仕上出側温度がAr変態点以下となるようにその目標範囲が820 ℃以下におかれた製品を、シートバー加熱を行わない従来例7、シートバー加熱をシートバーコイラ内で行う従来例8、シートバー加熱を仕上入側で行う実施例4の三通りの条件で製造し、互いの操業ファクタを比較した結果を表4に示す。表4中に示す温度は、熱間圧延ライン各位置での材料先端部温度の計測値であり、材料長手方向の被計測位置は図2(a)〜(c)のA点で示される。なお、尾端部の温度は先端部の温度にほぼ等しかった。
Figure 2006239777
表4より、シートバー加熱を行わない従来例7では、スラブを1100℃まで加熱した。粗圧延後のシートバー温度は970 ℃であるが、シートバーコイラ内でコイル状材料の最外巻き部と最内巻き部(シートバー先尾端部分)が冷えて、この部分では、仕上入側温度が880 ℃に低下し、仕上出側温度が800 ℃となって目標の820 ℃以下にすることはできたが、シートバーコイラ内での先尾端部の温度低下を見込んでスラブ加熱温度を高めにしていることから、仕上入側での定常部の温度が930 ℃と比較的高く、仕上圧延で大幅に加速すると仕上出側温度がAr変態点を越えてしまうためトップ速度を1100mpm に抑えざるを得ず、生産能力が480 ton/時にとどまった。
シートバー加熱をシートバーコイラ内で行う従来例8では、スラブ加熱温度を1000℃に下げてもシートバーコイラ内でコイル状材料の先尾端部を加熱したので、この部分の仕上出側温度は800 ℃となった。スラブ加熱温度を従来例7よりも低くでき、トップ速度を1300mpm に上げても定常部の仕上温度を800 ℃に保持でき、生産能力が520 ton/時に上がった。しかし、シートバーコイラ内での材料先尾端部の必要加熱代が80℃と大きく、大規模な加熱装置が必要で設備コストが高かったうえ、シートバー加熱エネルギーが大きかったので加熱コストの低減効果が十分でなかった。
これに対し、シートバー加熱を仕上入側で行う実施例4では、仕上出側温度が目標どおり確保でき、スラブ加熱温度、トップ速度、生産能力は従来例8と同レベルであって、なおかつ、材料先尾端部の必要加熱代が60℃に低減し、加熱装置の設備規模を縮小でき、シートバー加熱エネルギーは従来例8の3/4 となり加熱コストが十分低減した。
上記実施例では、従来例と比較するために、仕上圧延機入側のシートバー加熱装置(高周波誘導加熱装置)で加熱する材料部分を、シートバーコイラ内コイル状材料の最外巻き部と最内巻き部に相当するシートバー先尾端部分に限ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、これに加えて仕上入側の材料長手方向で他の部分よりも低温の部分であればどの部分を加熱してもよいし、仕上圧延速度が相対的に低い部分全体を加熱するなどしてもよい。例えば、0.8mm 厚の製品を製造する場合、Ar変態点以上の仕上出側温度を確保するために、前記最外巻き部、最内巻き部よりもさらに奥の部分、具体的には先尾端からそれぞれ20〜30m程度の部分を加熱するのがよい。
また、接合装置のクランプによる温度低下部分を加熱して、この温度低下を補償することもできる。
また、上記実施例では、仕上出側温度目標をAr変態点をベースに設定する材料について示したが、本発明は、変態点をもたない材料、例えばステンレス鋼等の熱間圧延にも適用できる。
本発明の実施形態の一例を示す模式図である。 シートバーコイラ巻き取りから仕上出側までの材料長手方向温度履歴を(a)、(b)は従来例、(c)は本発明例について示すグラフである。 本発明の実施に適した熱間圧延ラインの一例を示す模式図である。
符号の説明
1 材料(スラブ,シートバー,鋼板)
2 加熱炉
3 粗圧延機
4 シートバーコイラ
5 接合装置
6 高周波誘導加熱装置
7 仕上圧延機
8 仕上出側温度計
61 高周波電源
62 高周波コイル

Claims (6)

  1. 所定温度に加熱したスラブを粗圧延し、粗圧延したシートバーを巻き取り、巻き戻した後、その先端部を先行シートバーの尾端部に接合し、仕上圧延して熱延鋼板を製造する熱延鋼板の製造方法において、スラブを加熱する所定温度を、コイル長手方向中央部の仕上出側温度が目標の温度範囲内となるように設定し、接合後仕上圧延前にシートバーを巻き取りした際の最外巻きおよび最内巻きを含む部分を幅全体にわたり高周波誘導加熱装置により加熱し、コイル全長にわたり、仕上出側温度を目標の温度範囲内として仕上圧延することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  2. シートバーの温度を実測し、この実測温度と仕上入側温度目標との差に応じた加熱量を高周波誘導加熱装置に設定することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
  3. 仕上出側温度を仕上入側温度と仕上圧延履歴から予測することを特徴とする請求項1または2に記載の熱延鋼板の製造方法。
  4. スラブを加熱する所定温度を、コイル長手方向中央部の仕上出側温度が目標の温度範囲内となるように設定し、接合後仕上圧延前にシートバーを巻き取りした際の最外巻きおよび最内巻きを含む部分を幅全体にわたり高周波誘導加熱装置により加熱し、コイル全長にわたり、仕上出側温度をAr変態点以上の温度として仕上圧延する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. スラブを加熱する所定温度を、コイル長手方向中央部の仕上出側温度が目標の温度範囲内となるように設定し、接合後仕上圧延前にシートバーを巻き取りした際の最外巻きおよび最内巻きを含む部分を幅全体にわたり高周波誘導加熱装置により加熱し、コイル全長にわたり、仕上出側温度をAr変態点以下の温度として仕上圧延する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  6. スラブ加熱温度を1200℃以下とし、仕上圧延後の板厚を0.8 〜1.1mm とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
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