JP2006234528A - 調速機構およびこれを備えた機械式時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】 てんぷの振り角の低下を最低限に抑え得る調速機構及びこれを備えた機械式時計を提供すること
【解決手段】 機械式時計の調速機構1の緩急針構造体3が、非磁性材料からなる。ここで、緩急針構造体3は、典型的には、緩急針体41、ひげ受45及びひげ棒44を含む緩急針40と、緩急針尾部50と、微動レバー90とを有する。好ましくは、このうち、少なくとも、緩急針40及び緩急針尾部50が非磁性材料からなる。但し、調速機構1のうちひげぜんまい30は磁性材料からなる。
【選択図】 図1

Description

調速機構及びこれを備えた機械式時計に関連する。
機械式時計の調速機構において、てんぷが、天真及びその付属品(ひげぜんまい、ひげ玉や振り座等)とてん輪とからなるとすると、機械式時計の調速機構は、てんぷとひげぜんまいとひげ持構造体と緩急針構造体とを含む。渦巻きばねの形態のひげぜんまいは、天真に圧入されたひげ玉に半径方向内側端部で固定され、ひげ持に半径方向外側端部で固定されると共に、該半径方向外側端部の近傍で該ひげぜんまいに当接するひげ棒あるいはひげ受を備えた緩急針によりその実効長が調整される。てんぷは、がんぎ車及びアンクルを含む脱進機の制御下で、大まかには、ひげぜんまいの実効長により規定される周期で、天真を中心として往復回動される。ひげ棒あるいはひげ受がひげぜんまいに当接する周方向位置の粗調整及び微調整を可能にする構造も周知である(例えば、特許文献1)。なお、てん輪の振り角(回転角度)の大きさがてんぷの往復回動の周期に影響を与え、時計の歩度に影響を与えることも、知られている。
てんぷの往復回動の際のロスを最低限に抑えるために、調速機構を構成する各部の構造や形状を最適化すると共に相対運動部の摩擦等を最低限に抑えるべく、各種の改良が長年にわたって成されてきた。改良には、てんぷの往復回動周期の温度依存性を最低限に抑えるためにひげぜんまいの熱膨張をヤング率の温度変化で相殺すべく、ヤング率の温度係数をプラスにするようにひげぜんまいを強磁性材料で形成することも含まれる。
一方、緩急針構造体および緩急針微調整構造体といった振動数調整構造は、時計の裏蓋を外した際に直ちに見えるものであることから、外観を考慮してきれいに磨けること、ムーブメントの厚みの増加を最低限に抑えるべく極力薄くすべきこと、及び大きな力が作用したときのみ回動位置が調整可能なように材料に強度が必要なこと等の種々の要請を満たすために、従来は、炭素鋼のように鉄を主成分とする材料で形成されていた。この材料は(強)磁性材料である。
また、ひげ持受という振動数設定構造についても、振動数調整構造と同様な理由のため、炭素鋼のように鉄を主成分とする材料で形成される場合があり、この材料は(強)磁性材料である。
他方、特許文献2においては、ガンギ歯車がアンクル受に設けた板状延長部の大部分で覆われている。このアンクル受は、高度の透磁性を有する材料を用いる。このようにすることで、通常の構成であれば55エールステッドで運行が不能になるところを、約80エールステッドまで運行することができるようになる。
本発明者は、てんぷの振動の特性を解析している際に、磁場がてんぷの往復動特性に影響を与える可能性があることに気づき、試験を行ったところ、驚くべきことに、緩急針構造体の磁化がてんぷの振り角に無視し難い影響を与えることを見出した(実験的に確認した)。
特開昭48−19262号公報 特公昭44−15925号公報
本発明は、前記した点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、てんぷの振り角の低下を最低限に抑え得る調速機構及びこれを備えた機械式時計を提供することにある。
本発明の調速機構は、ひげ持ち取付構造体を有する振動数設定機構と緩急針構造体を有する振動数調整機構とを有し、前記ひげ持ち取付構造体および前記緩急針構造体の少なくともいずれか一方が非磁性材料からなる
本発明における振動数設定機構は、てんぷ、ひげ持及びひげ持受構造体(ひげ持受とも言う)を有している。てんぷはてん真、てん輪、振り座、ひげ玉及びひげぜんまいを含む構造となっている。また、振動数調整機構は緩急針構造体(緩急針ともいう)のみ、あるいは、緩急針構造体と緩急針微動機構からなる構造である。緩急針構造体は緩急針体、ひげ受、ひげ棒を含んだ構造である。緩急針微動機構は、微動レバーと緩急針尾部を含む構造である。
本発明の調速機構は、非磁性材料からなるので、調速機構又は調速機構の一部が磁化されるおそれがない。従って、本発明の調速機構は、調速機構に組込まれた場合、緩急針構造体の磁化に起因するてんぷ振り角の低下のおそれがないから、てんぷの往復回動の振り角が最大限に維持され得る。その結果、緩急針構造体を含む調速機構が組込まれる装置(典型的には、時計)の姿勢や外部環境によって調速機構の動作が影響を受けるおそれが少なくなる。
調速機構が磁性材料からなり該調速機構が磁化した場合にてんぷの振り角が低下するのは、次のような理由によるものと考えられる。すなわち、磁性材料からなる調速機構が外部磁場の影響下で磁化された場合、調速機構の残留磁化により生成された不均一磁場の下で金属材料からなるてん輪が往復回動される際にてん輪に渦電流が生じ、てん輪の往復回動に対する制動力が発生することから、てんぷの振り角が小さくなる。但し、原因についてのこの解釈は、本発明に関する現時点での一つの見方を示したもので、本発明は、振り角の低下(減少)を避けるべく、緩急針構造体を非磁性材料で形成すること自体からなり、振り角の低下の主たる原因が上記渦電流の生起に起因するか否かに限定されるものではない。
非磁性材料としては、例えば、オーステナイト系(例えば、18Ni−8Cr系)のステンレス(例えば、SUS304やSUS316等)や、チタン又はその合金(例えば、Ti−6Al−4V)等が用いられる。但し、機械的な強度や研磨可能性等の要請を満たし得る限り、他のどのような非磁性材料でもよい。例えば、真鍮の如き銅合金のように他の種類の金属又は合金でもよい。
前記目的を達成する本発明の調速機構は、緩急針体、ひげ受及びひげ棒を含む緩急針と、緩急針尾部と、微動レバーとを有し、緩急針及び緩急針尾部が非磁性材料からなる。緩急針尾部を介して緩急針の位置を微調整する微動レバーも非磁性材料からなることが好ましいけれども、該微動レバーは相対的に比較的体積が小さく、且つてん輪との距離が離れれているため、場合によっては、磁性材料であってもよい。なお、磁性材料は、仮に一時的に磁化されることがあっても残留磁化が小さくなるように軟磁性材料であることが好ましいけれども、上記のようにその影響が比較的小さいことから炭素鋼のような硬磁性材料でもよい。
本発明を調速機構の観点で言えば、本発明の調速機構は、前記目的を達成すべく、ひげ持ち取付構造体を有する振動数設定機構と緩急針構造体および緩急針微調整構造体を有する振動数調整機構とを有し、前記ひげ持ち取付構造体、前記緩急針構造体および前記緩急針微調整構造体の少なくともいずれかが非磁性材料からなる。
本発明の調速機構では、調速機構が非磁性材料からなるので、調速機構又は調速機構の一部が磁化されるおそれがないから、時計を薄型化しても、緩調速機構の磁化に起因する磁場によりてん輪の往復回動の振り角が低下するおそれはない。すなわち、調速機構が磁性材料からなる場合には、時計の薄型化に伴い緩急針構造体とてん輪との距離を短くする必要があり、てん輪が往復回動する領域に緩急針構造体が生成する不均一磁場が強くなりてん輪の振り角を低下させるおそれがより高くなるけれども、本発明の調速機構では、そのような問題が生じるのを避け得る。
本発明の調速機構において、典型的には、てんぷが非磁性導電材料、ひげ持構造体が非磁性材料、ひげぜんまいが磁性材料からなる。
てんぷのてん輪は、典型的には、真鍮のような非磁性金属材料からなる。また、てん真は、炭素鋼のような磁性金属材料からなる。但し、所望ならば、金属でなくてもよい。ひげ持構造体は、典型的には、夫々非磁性材料製の、ひげ持受、ひげ持及びひげ持止めねじを含む。
一方、ひげぜんまいは、典型的には、ヤング率の温度係数がプラスになるΔE効果を利用することにより、ひげぜんまいの振動特性の温度依存性を最低限に抑えるべく、磁性材料すなわち強磁性材料で形成される。
本発明の機械式時計は、以上のような調速機構を有する。
次に、本発明の好ましい一実施の形態を添付図面に示した好ましい一実施例に基づいて説明する。
本発明の好ましい一実施例の調速機構1は、図1から図3に示したように、てんぷ2及びその上軸受60及び下軸受(図示せず)と、ひげぜんまい30と、ひげ持構造体80と、緩急針構造体3とを有する。てんぷ2は、中心軸線CのまわりでC1,C2方向に回転自在で、てん真10及びてん輪20を含む。
てん真10は、一端11が地板(図示せず)に装着されたてんぷ下軸受(図示せず)により回転自在に支持され、他端部12が耐震軸受の形態のてんぷ上軸受60によって回転自在に支持されている。従って、てん真10は、地板(図示せず)に対して中心軸線CのまわりでC1,C2方向に回転自在である。この例では、てんぷ上軸受60は、てんぷ上外枠61でてんぷ受70に嵌着され、該外枠61内のてんぷ上可動穴石枠体62、てんぷ上穴石63、てんぷ上受石64及びてんぷ上受石押さえばね65を含む。
てんぷ受70は、真鍮の如き非磁性材料製の厚肉板状体71からなり、開口72に嵌合される止めねじ73や位置決め用案内脚部(図示せず)により地板2に位置決め・固定される。てんぷ受70は、更に、てんぷ上軸受60の上外枠61が嵌着される穴74及びその突出周壁部75並びに後述の微動レバーが配置される凹部76及び穴77を含む。
真鍮製のてん輪20は、円形のリム部21、及び該リム部21と中央のボス部22との間で半径方向に延びた複数のアーム部23とを一体的に有し、ボス部22でてん真10に嵌着されている。
てん真10には、更に、ひげ玉14が装着され、ひげ受14には磁性材料からなるひげぜんまい30の半径方向内側端部31が固定されている。真鍮の如き非磁性材料からなる振り座15は振り石(図示せず)を備えると共に、図示しない脱進機(アンクル及びがんぎ車)に係合されている。
ひげぜんまい30の渦巻きの外側端部32は、真鍮の如き非磁性材料からなるひげ持構造体80に接着あるいはカシメなどにより取付けられている。ひげ持構造体80は、ひげ持受81と、ひげ持82と、ひげ持止めねじ83とを含む。ひげ持受81は、てんぷ受70の突出周壁部75の外周に嵌合されたリング状基端部84と、ひげ持82を受容する先端側穴部85とを有する。ひげぜんまい30の外側端部32を係止したひげ持82は、ひげ持受81の穴部85に嵌合され、止めねじ83でひげ持受81に固定されている。
図示の例では、振動数調整機構3は、該機構3の本体をなす緩急針40と、緩急針尾部50と、微動レバー90とからなる。緩急針40及び緩急針尾部50も真鍮の如き非磁性材料からなる。非磁性材料としては、真鍮の代わりに、オーステナイト系(例えば、18Ni−8Cr系)のステンレス(例えば、SUS304やSUS316等)や、チタン又はその合金(例えば、Ti−6Al−4V)等であってもよい。
ひげ持受81のリング状基端部84上で且つてんぷ上軸受60の上外枠61の円錐台状大径部66の外周には、緩急針尾部50が、C1,C2方向に相対回動可能に、ほぼL字状断面の環状部51で嵌合されている。緩急針尾部50は、環状部51から半径方向に延在したU字状の尾部本体部52を備え、該U字状尾部本体部52には、微動レバー90の円板状頭部91が係合している。
微動レバー90は、てんぷ受70の穴77に中心軸線DのまわりでD1,D2方向に嵌合された軸部92を備え、頭部91は、軸部92に対して偏心している。従って、微動レバー90の偏心頭部91を中心軸線DのまわりでD1,D2方向に回動させると、尾部本体部52が、中心軸線Cのまわりで、C1,C2方向(またはその逆にC1,C2方向)に微小量だけ回動される。微動レバー90も好ましくは真鍮の如き非磁性材料からなる。但し、場合によっては、磁性材料であってもよい。
ひげ持受81のリング状基端部84上で且つ緩急針尾部50の断面L字状環状部51の外周には、緩急針40の緩急針体41が、C1,C2方向に相対回動可能に、環状基端部部42で嵌合されている。従って、微動レバー90の回転により緩急針尾部50がC1,C2方向に回動させると、緩急針体41を含む緩急針40も該尾部50と一体的にC1,C2方向に回動される。
緩急針体41は、環状部42から半径方向に延在した腕部43を備え、腕部43の中間部の穴部43aにはひげ棒44が基端大径部44aで嵌着され、先端側の穴部43bにはひげ受45が基端小径部45aで嵌着されている。ひげ棒44は、軸線Cと平行に延在し、緩急針体の穴部43aと偏心した軸線Eを持つひげ棒本体46を備えている。ひげ棒腕部44aをe1、e2方向に回動させると、ひげ棒本体46がひげ受45との距離を可変するように回動する。てんぷ2の自由静止状態において、ひげぜんまい30の外周側部分の一箇所33は、ひげ棒本体46とひげ受45に接触しない位置に調整することもできるし、あるいは、ひげ棒本体46、もしくは、ひげ受45と接触しているように調整することも可能である。また、てんぷ2の回転角(振り角)に応じて、ひげ棒本体46あるいはひげ受45とひげぜんまいが接触と非接触状態を切り替えるように調整することも可能である。
従って、微動レバー90の回転により緩急針尾部50がC1,C2方向に回動され、緩急針40がC1,C2方向に回動されると、ひげ棒44及びひげ受45もC1,C2方向に回動されて、ひげぜんまい30の当接端部33の位置がC1,C2方向に変化し、ひげぜんまい30の実効長が変化することにより、てんぷ2の往復回動周期が変化し、調速機構1の調速が行われる。
以上のような調速機構1の動作は、てんぷ2の振り角が大きい程安定しており、振り角が小さくなると、調速機構1を備えた時計5の姿勢や該時計5が受ける衝撃(加速度)等により、てんぷ2の往復動作が変動し易くなる。
なお、機械式時計5では、より厳密には、ぜんまいのトルク(巻上げ状態)だけでなく、てんぷ2の「振り角」に依存して、脱進機(図示せず)で規制されたてんぷ2の往復回動の周期が僅かに変化し「歩度」(歩度の測定の際の振り角等の状態・環境が保たれた場合における1日あたりの時計5の進み又は遅れの量(秒/日))が変化する。従って、振り角の変動は、歩度を変動させるおそれもある。
[試験]
以上のような実施例で示した調速機構1について、緩急針構造体3を構成する緩急針40のうちの緩急針体41、緩急針尾部50及び微動レバー90として非磁性材料の代わりに磁性材料を用いるとすると、てんぷ2の振り角がどのように変化するかを、実験的に調べた。
[試料]
図5の(a)に示した各種試料を組込んだ時計5を準備して、磁化が調速機構に与える影響を調べる実験を行なった。実験に際しては、各試料ごとに、夫々、3個のサンプルを準備した。なお、図4に示したように、時計5に組込まれた状態では、緩急針40が時計1のケース6内において丁度8時と2時とを結ぶ方向に平行に延びていた。図4は、時計5の調速機構1の部分を裏蓋側から見た状態を示している。
試料5は、ひげ持受81及びひげ持82に加えて、緩急針体41、緩急針尾部50及び微動レバー90の全てが非磁性材料である真鍮からなるもの、試料4は微動レバー90のみが真鍮の代わりに強磁性材料である炭素鋼からなるもの、試料2又は試料3は、微動レバー90以外に、夫々、緩急針尾部50又は緩急針体41が真鍮の代わりに強磁性材料である炭素鋼からなるものである。一方、試料1は、従来から用いられているタイプのもので、緩急針体41、緩急針尾部50及び微動レバー90からなる緩急針構造体2の全体が、強磁性材料である炭素鋼からなるものである。ここで、試料5及び試料4が、実施例に対応し、試料1〜3は、比較例である。なお、試料1は、従来例である。
以上において、緩急針40のうちひげ棒44及びひげ受45はいずれの場合も真鍮製であるので、緩急針体41が真鍮製である場合(試料5、試料4及び試料2)、緩急針40の全体が真鍮製であることになる。
[試験条件]
(1)予め脱磁し、フル巻上げの状態にぜんまいを巻上げた各試料を、文字板が上に向く姿勢で試験台に載せ、外部磁場を徐々に上げて、1600A/m(200(Oe))の磁場下に放置し、1分経過した時点で磁場中から取出した。
(2)実験1〜3は、夫々、図4に示したように、印加磁場の向きが異なる。実験1では時計の6時から12時に向かう向きに磁場を印加し、実験2では時計の8時から2時に向かう向きに磁場を印加し、実験3では時計の7時から1時に向かう向きに磁場を印加した。
[測定]
(1)磁場を印加する前に、各試料毎に、「振り角」を測定した。振り角の測定は、ウィッチ(Witschi)社製のWatch Expert IIで行なった。
(2)磁場中から取出した各サンプルについても、同様に、「振り角」を測定した。
[振り角について実験結果]
磁場の印加前([測定]の(1))及び磁場中に曝した後([測定]の(2))の「振り角」から「振り角」の変化量を算出した。その結果は、図5の(b)に示したとおりである。なお、夫々の数値は、3個のサンプルについて得られた結果の平均値である。
[実験結果の評価]
(1)図5の(b)に示したとおり、緩急針体41及び緩急針尾部50のうちの少なくともいずれか一方が炭素鋼(磁性材料)からなる場合、試料1〜3の結果から判るように、磁場外への取出後のてんぷの振り角が大幅に低下した。これは、磁場中に配置されたことにより磁化した緩急針体40や緩急針尾部50が、てんぷ2の往復回動を妨害する抵抗として働いていることを示す。磁場の方向依存性は多少はあるもののそれ程顕著ではない。
(2) 振り角がこのように大幅に低下すると、時計5の姿勢や時計5が受ける衝撃等に対するてんぷ2の動作の安定性が低下するおそれがある。また、場合によっては、歩度が変化するおそれもある。
(3)てんぷ2の往復回動に対する抵抗は、緩急針体41や緩急針尾部50の残留磁化により生成された磁場の下でC1,C2方向に往復回動するてん輪20に生じる渦電流に起因すると考えられる。
すなわち、図1や図3からわかるとおり、調速機構1では、導電材料(真鍮)からなるてん輪20が、全体として細長い緩急針構造体40に近接したところで、C1,C2方向に往復回動されるので、仮に緩急針構造体40の主要部分41又は50が磁化された場合には、該磁化は、てん輪20が往復回動される領域に不均一磁場を生成し、該磁場中でてん輪20が往復回動されることになる。従って、てん輪20に渦電流が生じ、該渦電流が磁場の下でてん輪20の往復回動に対して制動力を及ぼすことになる。
但し、本発明は、この解釈に限定されるものではない。
(4)一方、図5の(b)からわかるように、緩急針構造体3の全ての部分40,50,90が非磁性材料(真鍮)からなる試料5については、振り角の変化はほとんどない。また、微動レバー90のみが磁性材料(炭素鋼)からなり他の部分が非磁性材料(真鍮)からなる試料4の場合には、僅かに磁場の影響があるけれども、その影響は、比較的小さい。従って、調速機構1のてんぷ2の振り角を大きく保ち且つ調速機構1を外部の擾乱に対して安定に保つためには、緩急針構造体3の全体を非磁性材料で形成することが好ましいことがわかる。但し、微動レバー90については、磁性材料であってもよい。
(5)時計5の薄型化等を目的として調速機構1を薄型化すると、必然的に緩急針体41や緩急針尾部50とてん輪20との距離が小さくなるので、緩急針体41や緩急針尾部50がてん輪20のところにつくる磁場が大きくなり、上記の影響はより大きくなるおそれがある。従って、緩急針構造体3の実質的部分又はその全体を非磁性材料で形成することの意義は大きいと考えられる。
(6)なお、以上において、例えば、緩急針構造体3の全体を非磁性材料で形成した場合(試料5)でも、ひげぜんまい30は磁性材料で出来ていることから、例えば、ひげぜんまい30の残留磁化がてんぷ2の往復回動に関連するひげぜんまい30の渦巻きの縮小・拡大動作に影響を与え、てんぷ2の振り角の変化に影響を及ぼしている可能性がある。
本発明による好ましい一実施例の調速機構の斜視説明図。 図1の調速機構のII−II線断面説明図。 図1の調速機構のIII−III線断面説明図。 外部磁場下にさらす実験条件を示した平面説明図。 各種試料についての磁場の影響の実験結果を示したもので、(a)は実験に用いた試料の種類の一覧を示した図表、(b)各種試料について磁場中から取出した後における振り角の変化量(磁場に曝す前の振り角との差異)を示した図表。
符号の説明
1 調速機構
2 てんぷ
3 緩急針構造体
5 機械式時計
10 天真
20 てん輪
30 ひげぜんまい
31 内側端部
32 外側端部
33 当接部
40 緩急針
41 緩急針体
44 ひげ棒
45 ひげ受
46 ひげ棒本体
50 緩急針尾部
60 てんぷ上軸受(耐震軸受)
70 てんぷ受
80 ひげ持構造体
81 ひげ持受
82 ひげ持
90 微動レバー
C 回転中心軸線
C1,C2 回転方向

Claims (3)

  1. ひげ持ち取付構造体を有する振動数設定機構と緩急針構造体を有する振動数調整機構とを有し、前記ひげ持ち取付構造体および前記緩急針構造体の少なくともいずれか一方が非磁性材料からなる調速機構。
  2. ひげ持ち取付構造体を有する振動数設定機構と緩急針構造体および緩急針微調整構造体を有する振動数調整機構とを有し、前記ひげ持ち取付構造体、前記緩急針構造体および前記緩急針微調整構造体の少なくともいずれかが非磁性材料からなる調速機構。
  3. 請求項1又は2に記載の調速機構を備えた機械式時計。
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