JP2006233285A - 蒸着マスク及び蒸着マスクを用いた有機el素子の製造方法 - Google Patents

蒸着マスク及び蒸着マスクを用いた有機el素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蒸着中に発生する蒸着源からの輻射熱の影響による蒸着位置精度の低下を抑制した蒸着マスク、およびこれを用いた有機EL素子の製造方法を提供する。
【解決手段】開口配列群を持つ蒸着マスクであって、蒸着マスクの少なくとも蒸着源側面の波長2μmにおける光反射率が90%以上であることを特徴とする蒸着マスク。
【選択図】なし

Description

本発明は、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、インテリアなどの分野に利用可能な有機EL素子の製造方法に関する。
有機EL素子は陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが両極に挟まれた有機発光層内で再結合することにより発光するものである。その代表的な構造は、ガラス基板上に透明な第一電極(陽極)、正孔輸送層、有機発光層、第二電極(陰極)を積層したものであり、駆動により生じた発光は第一電極およびガラス基板を通じて外部に取り出される。このような有機EL素子では薄型、低電圧駆動下での高輝度発光や、有機発光材料を選択することによる多色発光が可能であり、発光デバイスやディスプレイなどに応用する検討が盛んである。
正孔輸送層や発光層、電子輸送層などの有機薄膜は、真空蒸着法により形成されることが多い。これらの有機薄膜のパターン形成方法としては、パターン形成領域に対応した開口部を持つ蒸着マスクを、基板と蒸着源との間に配置し、この状態で蒸着源から有機材料を蒸着することにより、基板上の特定部位に有機薄膜を形成する方法が用いられる。蒸着源を加熱する時、蒸着源からは赤外線が放射され、この輻射熱により蒸着マスクの温度が上昇する。蒸着マスクの温度上昇はマスクの熱膨張を引き起こし、基板との位置ズレを起こすことから、有機薄膜のパターン形成の位置精度が悪化していた。また蒸着マスクの熱膨張が更に大きいときは、蒸着マスクがたわむことにより、蒸着マスクと基板の間に隙間が生じ、有機薄膜のパターン形成ができなくなる(パターニングボケという)問題があった。
上記に示した従来の問題に対し、解決する手段として、熱膨張係数の小さいセラミックスで蒸着マスクを作製する方法(特許文献1参照)や、蒸着マスクと基板の熱膨張係数を揃える方法(特許文献2参照)、蒸着源の射出口以外を覆う赤外線阻止体を設ける方法(特許文献3参照)、蒸着マスクフレームに冷却水を流す方法(特許文献4参照)などが知られている。
特開2003−170352号公報(請求項1) 特開2003−77660号公報(請求項2) 特開2004−214185号公報(請求項1) 特開2002−8859号公報(請求項1)
しかしながら、セラミックス製の蒸着マスクは脆いことから取り扱いが難しく、蒸着マスクと基板の熱膨張係数を揃える方法では、マスクが温度上昇によりたわむ際の蒸着マスクと基板の隙間発生が抑えられず、赤外線阻止体で蒸着源を覆う方法では射出口からの熱線を完全に防ぐことができず、蒸着マスクフレームに冷却水を流す方法は均一な冷却が困難であるなどの課題があった。
本発明はかかる課題を解決し、蒸着中に発生する蒸着源からの輻射熱の影響によるパターン位置精度の低下を抑制した蒸着マスク、およびこれを用いた有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、開口配列群を持つ蒸着マスクであって、蒸着マスクの少なくとも蒸着源側面の波長2μmにおける光反射率が、90%以上であることを特徴とする蒸着マスクである。
本発明によれば、蒸着源から発生する輻射熱を抑制することができるので、蒸着(有機薄膜パターン形成)時の蒸着マスクの熱膨張による位置精度の劣化を防ぐことができる。
以下では本発明を詳しく説明する。本発明は単一発光素子、セグメント型、単純マトリクス型、アクティブマトリクス型などの有機EL素子の形式や、カラー、モノクロなどの発光色数を問わず、製造工程に蒸着マスクを用いる製造方法に適用することが可能である。
本発明は、蒸着源からの輻射熱の影響を抑制することが可能な蒸着マスクである。蒸着時、蒸着源からは蒸着源温度に対応した波長の赤外線が放射される。例えば有機EL素子の蒸着工程においては、蒸着源の温度は500K(227℃)以上になるが、この時、波長2μmよりも長波長の赤外線がマスクの熱膨張に大きく影響する。このため本発明の蒸着マスクは、少なくとも蒸着源側面の光反射率が、波長2μmにおいて、90%以上を有する。反射率は大きい程、蒸着源からの輻射熱の影響を抑制することができるが、90%以上であれば充分その効果を発現することができる。以下、光反射率が、波長2μmにおいて、90%以上を有する本発明の蒸着マスクを光反射蒸着マスクとし、波長2μmにおける光反射率を赤外線反射率とする。
本発明における光反射蒸着マスクは、蒸着源側面の反射率が、波長2μmにおいて90%以上を有していればよく、さらに、蒸着源側面に上記の反射率を有する赤外線反射体を設けていることが好ましい。このとき、蒸着マスク本体と、赤外線反射体の同一の素材で形成されていても、また各々を構成する材料が互いに異なっていても良い。
高い赤外線反射率を有する材料としては、特に限定することはできないが、銀、銅、アルミニウム、金などが特に好適な材料として挙げることができ、これらを単独で、あるいは複数種類の材料の混合物(合金)としても用いることができる。上記に示したように、これらの材料で光反射蒸着マスクの主体部分を作製しても良い。また本発明では、図1に示すように、エッチング法、電鋳法など既存の方法で作製された蒸着マスク2に、赤外線反射体1を形成することにより、簡単に得ることができる。赤外線反射体を形成する材料としては、高い赤外線反射率を有する材料であれば特に限定されないが、銀、銅、アルミニウム、金などを特に好適な材料として挙げることができ、これらを単独で、あるいは複数種類の材料の混合物(合金)としても用いることができる。
既存の方法で作製された蒸着マスクは、主にニッケル合金、鉄合金などが使用されているため、開口精度に優れるものの比較的赤外線反射率が低い。この材料では蒸着源からの輻射熱の影響を受けやすく、熱膨張し易い。しかしながら、本発明では赤外線反射率の低い材料を用いた場合でも、その蒸着マスクの少なくとも蒸着源側面に赤外線反射体を設けることにより、高い輻射熱抑制効果を蒸着マスクに付与することができる。特に電鋳法で作製された従来のニッケル合金からなる蒸着マスクは、熱膨張係数が大きく、赤外線による輻射熱の影響を大きく受けるため、本発明による輻射熱抑制の効果は大きい。このように、蒸着マスクと、赤外線反射体を形成する材料をそれぞれ異なる材料から選択することにより、高い開口精度と輻射熱抑制効果を併せ持った蒸着マスクを容易に作製することができる。なお、赤外線反射体の反射率は、FT−IR、あるいは分光エリプソメトリー法などの既存の方法によって測定することができる。
蒸着マスク本体の波長2μmにおける光反射率を90%以上にする方法としては、銀、銅、アルミニウム、金などの高い赤外線反射率を有する材料をマスクの材料として用いることで作製することができる。具体的には、あらかじめ上記高反射率材料を単独で、あるいは既存のアーク溶解などの合金化法などにより他の材料に含有させたものをフィルム状に加工し、これをエッチング法や機械的研磨、サンドブラスト法、焼結法、レーザー加工法などにより蒸着マスク形状に加工することで作製することができる。他の材料との合金として蒸着マスクを作製するときは、合金の赤外線反射率が90%以上となるように組成を調整することが必要である。
蒸着マスクと赤外線反射体を構成する材料が各々異なる場合において、蒸着マスクに赤外線反射体を形成する方法としては、抵抗加熱線方式蒸着法、スパッタリング法などの真空蒸着法、メッキ法、印刷法などいずれの方法でも用いることができる。真空蒸着法で形成すれば、表面平坦性や、低不純物濃度の影響により特に高い赤外線反射率を得ることができるため最も好ましい方法である。赤外線反射体の膜厚は少なくとも5nm以上あれば輻射熱抑制効果が発現するが、膜厚の均一性を考慮すれば、10nm以上であることが望ましい。一方、膜厚が大きすぎれば「蒸着影」の問題が生じることから、50μm以下であることが望ましい。
以下、本発明の光反射蒸着マスクを用いた有機EL素子の製造方法について説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法では、基板上に第一電極を形成する工程と、第一電極上に少なくとも発光層を含む有機薄膜層を形成する工程と、有機薄膜層上に第二電極を順次形成し、前記発光層を、少なくとも蒸着源側面の波長2μmにおける光反射率が、90%以上である光反射蒸着マスクを用いてパターニングする。
図2に、本発明における有機EL素子の製造方法の一例として単純マトリクス型の有機EL素子の製造方法を示す。基板5上に第一電極8をスパッタリング法など既知の方法でストライプ状にパターン形成した後に、基板の発光領域全面に正孔輸送材料9を真空蒸着法にて蒸着形成する。次に、あらかじめ赤外線反射体1として、銀、銅、アルミニウム、金などの高い赤外線反射率を有する材料を真空蒸着法によって形成した光反射蒸着マスク2を、光反射蒸着マスクの開口部と所望の第一電極が同位置になるように、位置合わせして配置した状態で蒸着源3を加熱し、第一の発光材料4を蒸着する。この時、蒸着源からは第一の発光材料4が基板5方向へ蒸着されるが、蒸着物7と同時に赤外線6(矢印で例示)が光反射蒸着マスク2に放射される。次に光反射蒸着マスクを基板上の第一電極に対して、1ピッチ分ずつ相対的に移動して、それぞれ第二、第三の発光材料を第一の発光材料と同様にして蒸着する。最後に、電子輸送材料を基板の発光領域全面に、第二電極を第一電極と直交するようにストライプ状にパターン形成して、3色発光の単純マトリクス型の有機EL素子を得ることができる。
光反射蒸着マスクに発光材料が厚く積層すると、積層した発光材料が蒸着源から放射される赤外線を吸収し、マスクがさらに蓄熱するようになる。すなわち赤外線反射体の反射率が低下する。このような時は一定回数の蒸着工程を経た後に、光反射蒸着マスクを洗浄するか、あるいは光反射蒸着マスクに積層した発光材料の上に再度赤外線反射体を形成することにより、赤外線反射体の反射率を初期状態にまで回復することができる。
光反射蒸着マスクの洗浄方法としては、有機溶媒に接触させるウェットプロセスや、UVオゾン処理などのドライプロセスなど、いかなる方法でも用いることができる。
有機EL素子に用いる第一電極と第二電極は素子の発光のために十分な電流を供給するための役割を有するものであり、光を取り出すために少なくとも一方は透明であることが望ましい。
好ましい透明電極材料としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、ITOなどをあげることができる。パターニングを施す目的からは、加工性に優れたITOを用いることが好ましい。
第一電極をパターニングする場合には、ウエットエッチングを伴うフォトリソグラフィ法を用いることができる。第一電極のパターン形状は特に限定されず、用途によって最適パターンを選択すればよい。本発明では一定の間隔をあけて配置された複数のストライプ状電極を好的な例として挙げることができる。
本発明の有機EL素子が具備する有機薄膜層は、発光層とその他の機能層とから構成される。発光層は発光が行われる機能層である。その他の機能層としては、発光層に電子を注入し若しくは電子を移送するための電子輸送層(該層に用いられる材料を以下電子輸送材料という。)や発光層に正孔を注入し若しくは正孔を移送するための正孔輸送層(該層に用いられる材料を以下正孔輸送材料という。)などが挙げられる。
正孔輸送性材料としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)やN,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)などに代表されるトリフェニルアミン類、N−イソプロピルカルバゾール、ビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体やフタロシアニン誘導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやポリスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリフェニレンビニレンなどが好ましいが、特に限定されるものではない。
発光層の材料は、アントラセンやピレン、そして8−ヒドロキシキノリンアルミニウムの他には、例えば、ビススチリルアントラセン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そしてポリチオフェン誘導体などが使用できる。また、発光層に添加するドーパントとしては、ルブレン、キナクリドン誘導体、フェノキサゾン660、DCM1、ペリノン、ペリレン、クマリン540、ジアザインダセン誘導体などがそのまま使用できる。
電子輸送材料は、電界を与えられた電極間において陰極からの電子を効率良く輸送することが必要で、電子注入効率が高く、注入された電子を効率良く輸送することが好ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質が好ましい。具体的には8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、ナフタレン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、ビピリジン、ターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、芳香族リンオキサイド化合物などがある。これらの電子輸送材料は単独でも用いられるが、異なる電子輸送材料と積層または混合して使用しても構わない。
以上の正孔輸送層、発光層、電子輸送層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
第二電極となる陰極は、電子を本発明の素子に具備される電子輸送層あるいは発光層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されない。従って、アルカリ金属などの低仕事関数金属の使用も可能であるが、電極の安定性を考えると、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、マグネシウム、インジウムなどの金属、またはこれら金属と低仕事関数金属との合金などが好ましい例として挙げられる。また、あらかじめ有機薄膜層に低仕事関数金属を微量ドーピングしておき、その後に比較的安定な金属を陰極として成膜することで、電極注入効率を高く保ちながら安定な電極を得ることもできる。これらの電極の作製法も抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法などのドライプロセスが好ましい。
なお上記では有機EL素子への適用例について説明したが、本発明は有機EL素子だけに限定されるものではなく、(有機、無機)TFT、太陽電池などを含む各種半導体デバイス製造工程、LCD、PDPなどの各種ディスプレイ製造工程、照明製造工程など、蒸着を必要とする様々な分野で用いることができる。また、有機EL素子においても、単一発光素子、セグメント型、単純マトリクス型、アクティブマトリクス型などの有機EL素子の形式や、カラー、モノクロなどの発光色数を問わず、製造工程に蒸着マスクを用いる製造方法に適用することが可能である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例1
発光層用光反射蒸着マスクの作製
ステンレス製の電鋳母型上にフォトリソグラフィ法でレジストパターンを形成した。次に、電鋳法によって電鋳母型上のレジストパターンがないマスク部分の領域にニッケル合金を析出させ、20〜28μmの厚さに形成した。レジストパターンを除去した後、電鋳母型から積層体を剥離し、張力を付加しながら幅4mmのステンレス鋼製フレームに接着して蒸着マスクを作製した。作製した蒸着マスクの外形は120×84mmである。図3において、開口部11と補強線12が示されている。開口部11は、幅100μm、長さ280μmの長方形であり、幅方向には300μmピッチで272個、長さ方向には300μmピッチで200個形成されている。補強線12幅は20μmである。
次に蒸着マスクを真空チャンバー(シンクロン(株)製)内に移し、真空度2×10−4Pa下で、蒸着マスクの蒸着源側全面に赤外線反射体として、銀(純度=99.99%以上、キシダ化学(株)製)を積層速度=0.5nm/sで、膜厚50nmになるように抵抗線加熱方式による真空蒸着で形成した。なお上記赤外線反射体を形成した光反射蒸着マスクの波長2μmにおける光反射率は、マスク端部の開口部のない箇所において、FT−IR法(FTIR−8000、島津製作所(株)製)により、乾燥窒素フロー下で測定した結果、98%であった。
有機EL素子の作製
第一電極は、120×100mmの大きさのITOガラス基板上にフォトレジストを塗布し、露光・現像を行ってITO膜を長さ90mm、幅80μmのストライプ状にパターニングした。このストライプ状第一電極は100μmピッチで816本配置されている。
次に、ポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製、”OFPR−800”)をスピンコート法により第一電極を形成した基板上に厚さ3μmになるように塗布した。この塗布膜にフォトマスクを介してパターン露光し、現像してフォトレジストのパターニングを行い、現像後に200℃でキュアした。この絶縁層には、幅70μm、長さ250μmの開口部が幅方向には100μmピッチで816個、長さ方向には300μmピッチで200個配置されている。絶縁層はITOのエッジ部を覆い、かつ、その開口部からITOが露出している。
発光層を含む薄膜層は抵抗線加熱方式による真空蒸着法によって形成した。なお、蒸着時の真空度は2×10−4Paであり、蒸着中は蒸着源に対して基板を回転させた。まず、銅フタロシアニンを10nm、ビス(N−エチルカルバゾール)を60nm画素エリア全面に蒸着して正孔輸送層を形成した。
上記赤外線反射体を形成した発光層用光反射蒸着マスクを基板前方に配置して両者を密着させ、基板後方にはフェライト系板磁石(日立金属(株)製、YBM−1B)を配置した。この際、ストライプ状第一電極が蒸着マスクの開口部の中心に位置し、補強線が絶縁層上に位置し、かつ補強線と絶縁層が接触するように配置した。この状態で0.3重量%の1,3,5,7,8−ペンタメチル−4,4−ジフロロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(エキシントン社製 PM546)をドーピングしたアルミニウムキノリノール錯体(以降、Alq3と記載する)を20nm蒸着し、緑色発光層をパターニングした。
次に発光層用光反射蒸着マスクを1ピッチ分ずらした位置の第一電極パターンに位置合わせして、1重量%の4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジルスチリル)ピラン(DCJT)をドーピングしたAlq3を15nm蒸着して、赤色発光層をパターニングした。
さらに発光層用光反射蒸着マスクを1ピッチ分ずらした位置の第一電極パターンに位置合わせし、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ジフェニルを20nm蒸着して、青色発光層をパターニングした。なお、発光層蒸着中、蒸着源の温度は520〜700Kの範囲であり、基板と蒸着源の距離は20cmであった。
次に、バソクプロイン(フェナントロリン誘導体)を45nm基板全面に蒸着して電子輸送層を形成した。その後、薄膜層をリチウム蒸気に曝してドーピング(膜厚換算で0.5nm)した。
第二電極パターニング用として、マスク部分の一方の面と補強線との間に隙間が存在する構造のシャドーマスクを用いた。シャドーマスクの外形は120×84mm、マスク部分の厚さは100μmであり、長さ100mm、幅260μmのストライプ状開口部がピッチ300μmで200本配置されている。マスク部分の上には、幅38μm、厚さ35μm、対向する二辺の間隔が200μmの正六角形構造からなるメッシュ状の補強線が形成されている。隙間の高さはマスク部分の厚さと等しく100μmである。シャドーマスクは外形が等しい幅4mmのステンレス鋼製フレームに固定されている。
第二電極は、抵抗線加熱方式による真空蒸着法によって形成した。なお、蒸着時の真空度は3×10−4Pa以下であり、蒸着中は2つの蒸着源に対して基板を回転させた。発光層のパターニングと同様に、第二電極用シャドーマスクを基板前方に配置して両者を密着させ、基板後方には板磁石を配置した。この際、絶縁層がマスク部分に一致するように両者を配置する。この状態でアルミニウムを240nmの厚さに蒸着して、第二電極をパターニングした。
第二電極のパターニングを終了した基板を蒸着機から取り出し、露点−80℃以下のアルゴン雰囲気下に移した。この低湿雰囲気下で、基板と封止板とを硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせて封止した。
このようにして、ピッチ100μm、本数816本のITO膜からなるストライプ状第一電極上に、パターニングされた緑色発光層、赤色発光層および青色発光層が形成され、第一電極と直交するようにピッチ300μmのストライプ状第二電極が200本配置された単純マトリクス型カラー有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子の発光層パターニング精度は、蛍光顕微鏡観察により、第一電極と各色発光層の位置ズレ量を測定することにより評価した。測定ポイントは得られた有機EL素子発光領域の4角部と中央部の計5点で、赤、青、緑各色の位置ズレ量の最大値を測長した。この結果、発光層のパターニングズレ量は最大6μmであり、極めて良好な精度が得られた。また有機EL素子は発光領域全面で混色もなく、均一に発光することができた。
実施例2
赤外線反射体として、銅(純度=99.99%以上、三菱マテリアル(株)製)をDCスパッタリング(アルバック(株)製)法により、真空度=0.2Paのアルゴン雰囲気中、積層速度=1nm/sで50nm形成する以外は、実施例1と同様にして発光層用光反射蒸着マスクを作製した。得られた光反射蒸着マスクの波長2μmにおける反射率は、FT−IR法(FTIR−8000、島津製作所(株)製)により、乾燥窒素フロー下で測定した結果、96%であった。次に得られた光反射蒸着マスクを用いて実施例1と同様に有機EL素子を作製し、評価した。その結果、発光層のパターニングズレ量は最大10μmであり、良好なパターニング精度が得られた。また有機EL素子は発光領域全面で混色もなく、均一に発光することができた。
実施例3
赤外線反射体として、銀をアルミニウム(純度=99%以上、ミツワ化学(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にして発光層用光反射蒸着マスクを作製した。得られた光反射蒸着マスクの波長2μmにおける反射率は、FT−IR法(FTIR−8000、島津製作所(株)製)により、乾燥窒素フロー下で測定した結果、93%であった。次に得られた光反射蒸着マスクを用いて実施例1と同様に有機EL素子を作製し、評価した。その結果、発光層のパターニングズレ量は最大12μmであり、良好なパターニング精度が得られた。また有機EL素子は発光領域全面で混色もなく、均一に発光することができた。
比較例1
赤外線反射体を形成しないこと以外は実施例1と同様にして、発光層用蒸着マスクを作製した。得られた蒸着マスクの波長2μmにおける反射率は、FT−IR法(FTIR−8000、島津製作所(株)製)により、乾燥窒素フロー下で測定した結果、表面はニッケル合金であるため84%であった。次に得られた蒸着マスクを用いて実施例1と同様に有機EL素子を作製し、評価した。その結果、発光層のパターニングズレ量は最大20μmであり、部分的に隣接する発光層同士の混色が見られた。また発光領域の一部で、マスクが蒸着中に、熱膨張によりたわんだことを示唆するパターニングボケが見られた。
本発明における蒸着マスクと蒸着源を示した概略図。 本発明における蒸着手段を示した概略図。 蒸着マスクの概略図。
符号の説明
1 赤外線反射体
2 蒸着マスク
3 蒸着源
4 発光材料
5 基板
6 赤外線
7 蒸着物
8 第一電極
9 正孔輸送材料
10 フレーム
11 開口部
12 補強線

Claims (5)

  1. 開口配列群を持つ蒸着マスクであって、蒸着マスクの少なくとも蒸着源側面の波長2μmにおける光反射率が、90%以上であることを特徴とする蒸着マスク。
  2. 蒸着マスクの少なくとも蒸着源側面に赤外線反射体を設けたことを特徴とする請求項1記載の蒸着マスク。
  3. 蒸着マスクの少なくとも蒸着源側面に赤外線反射体を設け、赤外線反射体を構成する材料とマスク基体を構成する材料が各々異なることを特徴とする請求項1記載の蒸着マスク。
  4. 赤外線反射体が、銀、銅、アルミニウム、金から少なくとも1種選ばれる金属を含むことを特徴とする請求項2または3記載の蒸着マスク。
  5. 基板上に第一電極を形成する工程と、第一電極上に少なくとも発光層を含む有機薄膜層を形成する工程と、有機薄膜層上に第二電極を順次形成してなる有機EL素子の製造方法であって、前記発光層を、少なくとも蒸着源側面の波長2μmにおける光反射率が、90%以上である蒸着マスクを用いてパターニングすることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
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