JP2006231813A - 重防食鋼材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 長期の防食耐久性を向上させた重防食鋼材を提供する。
【解決手段】 複数の有機樹脂層が積層された鋼材において、有機樹脂層のいずれかがエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層とすることによって長期の防食耐久性に優れる重防食鋼材を得る。さらに前記皮膜中に防錆顔料を選択する事によって、環境負荷の大きな物質を使用することなく長期耐久性に優れた重防食鋼材が得られる。
【選択図】 なし
【解決手段】 複数の有機樹脂層が積層された鋼材において、有機樹脂層のいずれかがエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層とすることによって長期の防食耐久性に優れる重防食鋼材を得る。さらに前記皮膜中に防錆顔料を選択する事によって、環境負荷の大きな物質を使用することなく長期耐久性に優れた重防食鋼材が得られる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、海洋、海岸等の腐食環境の厳しいところで用いられる重防食鋼材であり、特に環境に対して負荷の大きな物質を用いることなく長期の防食性に優れる重防食鋼材に関する。
激しい腐食環境に使用される海洋鋼構造物等の鋼材には、防食塗装や樹脂ライニングが用いられ、特に耐久性向上のためにクロムを含む物質が有効であることが知られている。特開平4−323383号公報(特許文献1)には、ブラスト処理を施した鋼材に、所定条件でクロメート処理層、プライマー処理層、ウレタン被覆層を順次積層させることにより、海水浸漬等の環境における耐水接着性、耐端部剥離性の改善を図る方法が開示されている。
特開平3−234527号公報(特許文献2)には、鋼材表面に、リン酸と無水クロム酸との混合水溶液を高分子還元剤で部分的に還元し、シリカ系微粒子、シランカツプリング剤を添加した混合物からなるクロメート処理剤を塗布して焼き付けたのち、プライマー、変性ポリオレフィン接着剤、ポリオレフィンの被覆を順次積層する。これにより高温での耐陰極剥離性と熱水浸漬後の密着性とが共に優れたポリオレフィン被覆鋼材が得られることが開示されている。このように、従来、ポリエチレン被覆、ウレタンエラストマー被覆のいずれもが、耐水密着性向上のためにクロメート処理が施されてきた。クロメートは、鋼材表面と反応し、鋼材表面を不動態化することで1次及び2次の密着性に寄与すると考えられている。
特開平9−131831号公報(特許文献3)には、鋼材の上に、プライマー層、変性ポリオレフィン層及びポリオレフィン層を順次積層したポリオレフィン被覆鋼材であって、前記プライマー層が、主剤樹脂としてビスフエノールF型エポキシ樹脂、硬化剤としてジシアンジアミド、触媒としてイミダゾール系化合物を用い、主剤樹脂に対する硬化剤配合量が28〜80mol%、触媒配合量が0.6〜3.0mol%であり、さらに防錆顔料としてストロンチウムクロメートが5〜90mol%配合された一液型エポキシ樹脂が塗工・焼き付けられてなるプライマー層であることを特徴とする二次密着性に優れたポリオレフィン被覆鋼材が開示されており、防錆顔料を含有したエポキシ樹脂プライマーを塗布して、二次密着性に優れたポリオレフィン被覆鋼材を提供する発明があるが、エポキシ樹脂中のクロメート顔料が耐久性向上に効果的であることが示されている。
特開2003−328163号公報(特許文献4)には、鋼材の表面に形成されたプライマー層と、接着性ポリオレフィン層を介して該プライマー層の上に形成されたポリオレフィン樹脂層から成る防食被覆層とを備えた重防食被覆鋼材であって、前記防食被覆層の周縁部において、少なくとも該防食被覆層と鋼材との境界部を、耐酸素透過層を含むシール材で被覆することが開示されている。端部からの被覆劣化に対してはある程度の効果が得られるが、製造方法が煩雑である。
本発明は、上記問題点を整理して検討し、環境負荷の高い物質を用いることなく長期の防食耐久性を向上させた重防食鋼材を提供することを目的とする。
鋼材の防食性には、腐食の原因となる酸素及び水の透過を抑えることが重要であると考えられる。そこで、低酸素透過性樹脂と必要に応じて防錆顔料を組み合わせることに着目し、低酸素透過性の樹脂溶液に防錆顔料の選択と組成を検討した結果、容易に製造可能で耐久性に優れた重防食鋼材を提供可能な本発明に至った。すなわち、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を溶解した樹脂液に必要に応じて適当な防錆顔料を添加した溶液を塗布乾燥することにより、複数の有機樹脂層を積層して形成されるいずれかの樹脂層に用いることにより、従来の環境負荷の大きなクロメート処理を用いた重防食鋼材の代替が可能である。
本発明は次のとおりである。
(1)鋼材の表面に複数の有機樹脂層を積層する重防食鋼材において、有機樹脂層のいずれかがエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層であることを特徴とする重防食鋼材。
(2)鋼材の表面にエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層が存在し、さらにその表面にプライマー層、接着性ポリオレフィン樹脂層、ポリオレフィン樹脂から成る防食被覆層を順次積層してなることを特徴とする重防食鋼材。
(1)鋼材の表面に複数の有機樹脂層を積層する重防食鋼材において、有機樹脂層のいずれかがエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層であることを特徴とする重防食鋼材。
(2)鋼材の表面にエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層が存在し、さらにその表面にプライマー層、接着性ポリオレフィン樹脂層、ポリオレフィン樹脂から成る防食被覆層を順次積層してなることを特徴とする重防食鋼材。
(3)鋼材の表面にエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層が存在し、さらにその表面に、プライマー層、ウレタンエラストマーから成る防食被覆層を順次積層してなることを特徴とする重防食鋼材。
(4)前記のエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層がさらに防錆顔料を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の重防食鋼材にある。
(4)前記のエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層がさらに防錆顔料を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の重防食鋼材にある。
本発明は、鋼材の表面に有機樹脂層を複数積層することによって得られる重防食鋼材において、前記有機樹脂層のいずれかを、防錆顔料を含有するエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層とする重防食鋼材であり、エチレンビニルアルコール共重合樹脂の優れた低酸素透過性によって、耐水密着性等の防食耐久性が発揮される。必要に応じて適当な防錆顔料を添加することで、さらに防錆性の付与による相乗効果によって、さらなる長期耐久性が期待できる重防食鋼材を提供できる。
本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の重防食鋼材は、有機樹脂層を複数積層する構成において、有機樹脂層のいずれかをエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜とすることによって得られる。本発明に用いられる鋼材の組成は、特に限定されないが、一般構造用鋼や溶接構造用鋼等の普通鋼や低合金鋼が用いられる。その代表的な品種としては、重防食被覆が適用される鋼管、又は、海洋構造物等で使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板、H形鋼、線材等である。
本発明の重防食鋼材は、有機樹脂層を複数積層する構成において、有機樹脂層のいずれかをエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜とすることによって得られる。本発明に用いられる鋼材の組成は、特に限定されないが、一般構造用鋼や溶接構造用鋼等の普通鋼や低合金鋼が用いられる。その代表的な品種としては、重防食被覆が適用される鋼管、又は、海洋構造物等で使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板、H形鋼、線材等である。
この鋼材の表面に積層されるエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を主体とし、その他に体質顔料、着色顔料、防食顔料等の各種顔料を選択して添加できる。また、エチレンビニルアルコール共重合樹脂は、腐食を抑制する優れた低酸素透過性を示すが、さらに耐水密着性を付与するために、少量のフェノール樹脂等の樹脂を添加してもかまわない。この皮膜層の厚みは1〜50μmが好ましい。1μm未満では、鋼材表面を完全に覆うことが困難であり、50μm超でも性能上の問題はないが、実用上の塗布作業において困難である。エチレンビニルアルコール共重合樹脂は、エチレン共重合比率が25〜40mol%のものが、酸素透過度の性能から好ましい。
防錆顔料としては、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸ストロンチウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛カルシウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛カルシウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム、バナジン酸アンモン、シアナミド亜鉛カルシウム、ホウ酸亜鉛等が用いられる。防錆顔料添加の好ましい範囲は、樹脂皮膜当り、40質量%以下が好ましい。その他の顔料としては、体質顔料として知られる無水ケイ酸、アルミナ、バライト粉、ワラストナイト、マイカ、タルク、カオリナイト、ハロイサイト、沈降性硫酸バリウム、無彩色顔料である酸化チタンやカーボンブラック等を用いることができる。防錆顔料の量と体質顔料の量を合計した顔料の適正量は、樹脂皮膜当り、40質量%以下が好ましい。
エチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層の表面には、複数の樹脂層が積層できるが、更に積層する樹脂の密着向上のために熱硬化型のエポキシ樹脂又は常温硬化型のウレタン樹脂等の有機樹脂プライマー層が数10μm〜数百μmの厚みで用いられる。より好ましくは20μm〜100μmである。これらの有機樹脂プライマー中には、無水ケイ酸、ワラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料、酸化チタン等の白色顔料、カーボンブラック等の黒色顔料、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の防錆顔料等を含有してもかまわない。
有機樹脂プライマー層の表面に積層する樹脂として、常温硬化型の樹脂を塗布乾燥して順次積層が可能である。特に長期の防食や傷防止のためには、効率よく厚塗りが可能なウレタン樹脂からなるエラストマーを数百μm〜数mm、より具体的には500μm〜5mmの厚みで塗布硬化させることが有効である。また、有機樹脂プライマー層の表面に積層する樹脂としては、安価で取り扱い易いポリオレフィン系の樹脂が好ましく、ポリオレフィン系の樹脂を積層する一つの方法として、前記皮膜層の上に、有機樹脂プライマーとして熱硬化型のエポキシ樹脂を積層し、その上にポリオレフィン樹脂の一部をマレイン酸、アクリル酸、メタアクリル酸等の不飽和カルボン酸、又は、その酸無水物等を導入して変性したポリオレフィン接着剤層を100μm〜1000μmで積層した後、防食被覆層としてポリオレフィン樹脂が積層される。
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の従来公知のポリオレフィン、及びエチレン−プロピレンブロック又はランダム共重合体、ポリアミド−プロピレンブロック又はランダム共重合体等公知のポリオレフィン共重合体を含む樹脂である。耐熱性、耐候性対策としてカーボンブラック又はその他の着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を任意の組み合わせて添加されていても良い。
強度と経済性からの実用面において、接着剤層と防食被覆層を加えた厚みは、0.3〜5mmの厚みがあれば良い。以上の有機樹脂が積層された重防食鋼材の構成においては、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層と有機樹脂プライマー層を積層する順番を入れ替えても、効果が得られる。さらに、ステンレスやチタン、モネル等の0.1mm〜1mmの厚さの耐食性金属板を接着又は粘着によって最表面に積層することも可能であり、これによって更なる長期耐久性も付与できる。
次に、本発明の重防食被覆鋼材の製造方法について説明する。
本発明の重防食被覆鋼材の製造方法は、まず、鋼材表面をショットブラストあるいはサンドブラスト、研削、酸洗等によって、表面清浄を行うのが好ましい。鋼材を表面清浄した後、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を溶解したアルコール−水の混合溶液に、必要に応じて防錆顔料、体質顔料を添加して処理液とする。n−プロパノール/水=50質量部/50質量部近傍の混合溶液が良好である。この処理液を鋼材表面に塗布し、常温又は熱風によって乾燥することで、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層を積層する。
本発明の重防食被覆鋼材の製造方法は、まず、鋼材表面をショットブラストあるいはサンドブラスト、研削、酸洗等によって、表面清浄を行うのが好ましい。鋼材を表面清浄した後、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を溶解したアルコール−水の混合溶液に、必要に応じて防錆顔料、体質顔料を添加して処理液とする。n−プロパノール/水=50質量部/50質量部近傍の混合溶液が良好である。この処理液を鋼材表面に塗布し、常温又は熱風によって乾燥することで、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層を積層する。
この処理液の塗布方法は、スプレー、刷毛塗り、ローラー等いずれの方法であってもかまわない。また、この表面処理層の乾燥後の厚みは、1μm以上が好ましく、1μm未満では、表面処理層の欠陥が多くなる。表面処理層の厚みは、数百μm程度以下であれば問題ないが、処理液の固形分と溶液粘度の関係から、繰り返し塗布する回数も考慮すると50μm以下が実用的である。
このようにしてできた表面処理層の表面に、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等のプライマーを刷毛塗り、ローラー又はスプレー等を用いて塗布し硬化させる。ウレタン樹脂の場合には常温でも硬化可能であるが、エポキシ樹脂の場合には必要に応じて加熱し硬化させる。硬化したプライマー層の厚みは、樹脂の種類によって異なり特に限定されないが、ウレタンプライマーの場合には20〜100μm、液状のエポキシ樹脂の場合には20〜100μm、粉体エポキシ樹脂の場合に50〜1000μm程度が実用的に可能である。
プライマー層中には、シリカ、酸化チタン、ワラストナイト、マイカ、タルク、カオリン等の体質顔料やホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の防錆顔料を添加してもかまわない。プライマー層の表面に、常温硬化型の樹脂を積層する場合には、樹脂をスプレーや刷毛等によって、塗布と乾燥を繰り返して積層すればよい。プライマー層の上層にポリオレフィン系樹脂を積層する場合には、有機プライマーとして耐熱性の高いエポキシ樹脂系のプライマーを用いるのが好ましい。プライマー表面上に粉体やシート状の接着性ポリオレフィン樹脂を積層し、接着性ポリオレフィン樹脂が溶融する温度以上に加熱保持させる。
次に、溶融した接着性ポリオレフィン樹脂層の表面には、ポリオレフィン樹脂を積層し、接着が可能となる温度に一定時間保持した後に冷却する。プライマーの表面に積層される接着性ポリオレフィンとポリオレフィン樹脂の形態は、上記以外に、初めから積層されたシート状の場合であっても、あるいは、Tダイ等から共押し出しした状態であってもかまわない。
一方、以上の製造方法において、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層とプライマー層の順番を入れ替えても効果が得られる。以上のように、製造された重防食鋼材は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を主体とする皮膜層を複数の有機樹脂層のいずれかに用いることにより、酸素の透過抑制と防食顔料による効果により、環境負荷が大きな物質を使用することなく安定した長期防食性能が期待できる。
以下、本発明の実施例を説明する。
9mm×150mm×150mmの熱延鋼板をブラスト処理した後に、表1〜表2に示す防錆顔料をエチレンビニルアルコール共重合樹脂溶液(日本合成化学工業製、ソアノール16D:樹脂固形分16mass%)に添加して、表面処理溶液とした。これらの表面処理液をスプレー塗布した後、常温で乾燥を行った。その乾燥厚みは、約5μmであった。その上に、表1、表2に示すプライマー、積層樹脂(樹脂1、樹脂2)を組み合わせて、試験片を作製した。
9mm×150mm×150mmの熱延鋼板をブラスト処理した後に、表1〜表2に示す防錆顔料をエチレンビニルアルコール共重合樹脂溶液(日本合成化学工業製、ソアノール16D:樹脂固形分16mass%)に添加して、表面処理溶液とした。これらの表面処理液をスプレー塗布した後、常温で乾燥を行った。その乾燥厚みは、約5μmであった。その上に、表1、表2に示すプライマー、積層樹脂(樹脂1、樹脂2)を組み合わせて、試験片を作製した。
表1のポリオレフィン樹脂系被覆の被覆条件は、上記の表面処理液を塗布乾燥した後、エポキシ樹脂(油化シェル製エピコート828相当)を30μmの厚さになるように、バーコーターで塗布した後、200℃で3分間硬化させた。その後、マレイン酸変性された接着性ポリオレフィンを塗布して、200℃で5分間養生した。その後、2mmの厚みの低密度ポリエチレン(宇部興産製)又はポリプロピレン(日本ポリプロ製)を積層して、5分間養生した後に水冷した。
表2のウレタン樹脂系被覆の被覆条件は、上記の表面処理液を塗布乾燥した後、プライマー用のウレタン樹脂(第一工業製薬製Macflex)を50μmの厚さになるように、主剤と硬化剤を2液混合型の塗装機により塗布して、10分間硬化させた。引き続いて、防食層用のウレタン樹脂(第一工業製薬製Macflex340)の主剤と硬化剤を2液混合型の塗装機により室温で吐出し、2mmの厚さになるように塗装した。試験片には、24時間養生したものを用いた。
(評価方法)
作製した重防食鋼材は、長期使用における剥離を模擬する目的で、裏面にはエポキシ樹脂でシール塗装を施して、50℃の人工海水中に180日間浸漬した。人工海水には、エアーを吹き込むことにより、攪拌と酸素の供給を行った。試験後、鋼材表面より積層被覆を剥がして、鋼材面が容易に露出する部分の距離を接着劣化距離として測定した。但し、露出する鋼材面は、接着力は低下していても腐蝕は生じておらず、防食面では接着が低下していても問題は見られなかった。
作製した重防食鋼材は、長期使用における剥離を模擬する目的で、裏面にはエポキシ樹脂でシール塗装を施して、50℃の人工海水中に180日間浸漬した。人工海水には、エアーを吹き込むことにより、攪拌と酸素の供給を行った。試験後、鋼材表面より積層被覆を剥がして、鋼材面が容易に露出する部分の距離を接着劣化距離として測定した。但し、露出する鋼材面は、接着力は低下していても腐蝕は生じておらず、防食面では接着が低下していても問題は見られなかった。
表1に、エチレンビニルアルコール共重合樹脂と顔料の組合せに対して、ポリオレフィン被覆をした場合の端部からの鋼材露出面の距離を示す。比較例No.1のクロメート処理を用いた場合には、被覆端部からの接着劣化が生じ難い。一方、比較例No.2又はNo.3のように、クロメート処理が無い場合には、接着劣化距離が増大する。本発明例No.4又はNo.5のように、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を下地処理にすることにより、下地処理がない場合に比較して、接着劣化距離は小さくなるのが判る。
さらに、本発明例No.6〜16のように、エチレンビニルアルコール共重合樹脂中に防錆顔料を入れることにより、顔料を入れない場合に比較して、接着劣化距離はさらに小さくなる。また、本発明例No.17とNo.18のように、エチレンビニルアルコール共重合樹脂とエポキシプライマーの積層順番を変えた場合にも、接着劣化距離を小さくする効果が見られる。
また、表2に、エチレンビニルアルコール共重合樹脂と顔料の組合せに対して、ウレタン樹脂被覆の結果を示す。ウレタン被覆の場合にも、比較例No.19のクロメート処理を用いた場合には、被覆端部からの接着劣化が生じ難い。一方、比較例No.20のようにクロメート処理が無い場合には、接着劣化距離が増大する。これに対して、本発明例No.21のように、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を下地処理にすることにより、下地処理が無い場合に比較して、接着劣化距離は小さくなり、さらに、本発明例No.22〜29のように、エチレンビニルアルコール共重合樹脂中に防錆顔料を入れることにより、顔料を入れない場合に比較して、接着劣化距離はさらに小さくなる。
以上のように、クロメートの替わりにエチレンビニルアルコール共重合樹脂を下地処理に用いることにより、接着力劣化距離を小さくすることが可能であり、防錆顔料を入れることでさらに接着力劣化距離を小さくできる。
以上の結果は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を溶液として用いることから、クロメート処理を省略可能な処理に用いることができ、さらに顔料添加も可能な本発明の効果を示している。
以上の結果は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を溶液として用いることから、クロメート処理を省略可能な処理に用いることができ、さらに顔料添加も可能な本発明の効果を示している。
本発明は、海洋、海岸等の腐食環境の厳しいところで用いられる鋼製構造物として、特に長期にわたる防食性が必要とされる構造物のための重防食鋼材を提供できることから、社会資本の維持、充実に寄与できる。
特許出願人 新日本製鐵株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1
特許出願人 新日本製鐵株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1
Claims (4)
- 鋼材の表面に複数の有機樹脂層を積層する重防食鋼材において、前記有機樹脂層のいずれかがエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層であることを特徴とする重防食鋼材。
- 鋼材の表面にエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層が存在し、さらにその表面にプライマー層、接着性ポリオレフィン樹脂層、ポリオレフィン樹脂から成る防食被覆層を順次積層してなることを特徴とする重防食鋼材。
- 鋼材の表面にエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層が存在し、さらにその表面に、プライマー層、ウレタンエラストマーから成る防食被覆層を順次積層してなることを特徴とする重防食鋼材。
- 前記のエチレンビニルアルコール共重合樹脂を含む皮膜層がさらに防錆顔料を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重防食鋼材。
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JP2005052352A JP2006231813A (ja) | 2005-02-28 | 2005-02-28 | 重防食鋼材 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012206318A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-10-25 | Kuraray Co Ltd | 被覆金属体及びその製造方法 |
-
2005
- 2005-02-28 JP JP2005052352A patent/JP2006231813A/ja not_active Withdrawn
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