JP2006225356A - マグネシウム吸収促進剤及びマグネシウム補給剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 マグネシウム吸収促進効果と共に、他の様々な生理活性機能をも期待できるマグネシウム吸収促進剤及びマグネシウム補給剤を提供する。
【解決手段】 このマグネシウム吸収促進剤及びマグネシウム補給剤は、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物であって、分子量500〜3000のペプチドを含有する。なお、上記ローヤルゼリー分解物の好ましい摂取量は、乾燥物換算で1日当たり0.5〜10gである。
【選択図】 なし
【解決手段】 このマグネシウム吸収促進剤及びマグネシウム補給剤は、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物であって、分子量500〜3000のペプチドを含有する。なお、上記ローヤルゼリー分解物の好ましい摂取量は、乾燥物換算で1日当たり0.5〜10gである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物を有効成分とするマグネシウム吸収促進剤及びそれを含有するマグネシウム補給剤に関する。
ローヤルゼリーは、若い働き蜂の分泌線(下咽頭線、大腮腺)から分泌される乳白色を帯びた強い酸味のある物質で、女王蜂を育てるための特別な餌となるものである。ローヤルゼリーの成分については、まだ不明の点もあるが、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、アセチルコリン、10−ヒドロキシデセン酸、ステロール、ホルモンなどの栄養成分をバランスよく含み、人体に対して好ましい生理活性を持つことが知られている。そのため古くから、生タイプ、カプセルタイプ、飲料タイプなどの健康食品、医薬品、化粧品等として利用されている。
ローヤルゼリーの生理的機能については、これまでにも種々の報告がなされている。例えば、村上らによりin vitroの系におけるローヤルゼリーのIgG、IgMの産生促進作用(Agric.Biol.Chem.,54[4],1087−1089,1990)、並びにIFN−γの産生促進作用(90’、91’ 農芸化学学会講演要旨集)が報告されている。また、米倉らによりヒト単球培養細胞の増殖促進効果(92’ 生化学会講演要旨集、No.2035)が報告されている。
また、下記特許文献1によると、生ローヤルゼリーを基質に対する作用部位の異なる二種類以上のプロテアーゼで処理することにより、生ローヤルゼリーと同様な成分を含有し、しかも透明で、安定性に優れ、飲料等にも添加しやすく、したがって経口摂取しやすい透明なローヤルゼリー分解物が得られることが開示されている。
更に、下記特許文献2にはローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物であって、分子量3000以下のペプチドを有効成分として含有する経口摂取用育毛剤が開示されており、下記特許文献3には、分子量3000以下のペプチドを有効成分として含有する感染防御機能増強剤が開示されており、下記特許文献4には、分子量3000以下のペプチドを有効成分として含有するカルシウム吸収促進剤が開示されている。
特開平4−21650号号公報
特開平8−104645号公報
特開平8−59499号公報
特開平11−269078号公報
マグネシウムの吸収の促進をもたらすものとして、例えば「メイオリゴW」(商品名;明治製菓製)、カゼインホスホペプチド、などが知られている。しかしながら、これらは、ローヤルゼリーのように様々な生理活性効果を期待できるものではない。なお、ローヤルゼリーに関するマグネシウム吸収促進効果については、本発明者が知る限り未だ報告された事例はない。
したがって、本発明の目的はマグネシウム吸収促進効果と共に、他の様々な生理活性機能をも期待できるマグネシウム吸収促進剤及びマグネシウム補給剤を提供することにある。
上記課題を解決するにあたって、本発明のマグネシウム吸収促進剤は、分子量500〜3000のペプチドを含有するローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物を有効成分とすることを特徴とする。
また、本発明のマグネシウム補給剤は、分子量500〜3000のペプチドを含有するローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物と、マグネシウム原料とを含有することを特徴とする。
ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物により、後述する実施例に示されるように優れたマグネシウムの吸収促進効果がもたらされる。また、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物は、前記特開平11−269078号に示されるように、カルシウムの吸収促進効果があり、また、前記特開平8−104645号に示されるように、育毛効果や前記特開平8−59499号に示されるように、病原性の細菌やウイルスに対する感染防御機能増強効果も有しており、各種の生理活性機能が期待できる。
本発明のマグネシウム補給剤は、前記マグネシウム原料として、ドロマイト、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、にがり、海藻抽出物、植物葉発酵物から選ばれた1種以上を含有することが好ましい。
また、前記原料に加えて、大豆イソフラボン及び乳タンパク分解物から選ばれた少なくとも一種を含有することが好ましい。これらを併用することで、マグネシウム吸収促進効果をより一層高めることができる。
また、本発明のマグネシウム補給剤は、特に飲料に好適である。すなわち、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物は、生ローヤルゼリーに比べて水に溶解したときに溶解しやすく、にごり等を生じることもないため、飲料に添加したときの品質安定性が優れているからである。
そして、本発明のマグネシウム補給剤は前記ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物と、前記マグネシウム原料とを、重量比で1:1〜20の配合比率で含有していることが好ましい。これによれば、マグネシウムの吸収量を効果的に高めることができる。
本発明のマグネシウム吸収促進剤は、分子量500〜3000のペプチドを含有するローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物を有効成分として含有することにより、マグネシウムの吸収促進効果をもたらすことができる。また、本発明のマグネシウム補給剤は、分子量500〜3000のペプチドを含有するローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物とマグネシウム原料とを含有することにより、マグネシウム補給効果に優れている。そして、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物は、マグネシウムの吸収促進効果だけでなく、前述のようにカルシウムの吸収促進効果も高く、骨粗しょう症や高血圧予防に効果的である。更には、育毛効果や、感染防御機能増強効果などの各種生理活性機能も期待できる。
以下、本発明について好ましい態様を挙げて、更に詳細に説明する。本発明のマグネシウム吸収促進剤の有効成分であるローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物(以下「ローヤルゼリー分解物」と略称する)は、ローヤルゼリーの懸濁液に、プロテアーゼ、好ましくは基質に対する作用部位の異なる二種類以上のプロテアーゼを、同時又は逐次添加して室温以上の温度に保持し、酵素反応させることにより得られる。
この場合、プロテアーゼとしては、微生物や植物起源の酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼや、ペプシン、パンクレアチン等の哺乳動物由来の消化酵素など、通常、食品加工に用いられているものを使用することができ、これらの中から基質に対する作用部位の異なる二種類以上を選択して用いることが好ましい。
プロテアーゼによる処理は、蛋白質の分解率を経時的に測定し、最終分解率は使用するプロテアーゼにより異なるが、分解率が好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上となるまで行うのがよい。なお、上記製造法の詳細は、特開平4−21650号に記載されている。
こうして得られたローヤルゼリー分解物は、分子量500〜3,000のペプチドを含有している。また、蛋白質が分解されてペプチド化している以外は、生ローヤルゼリーと同様な成分を含有している。このローヤルゼリーの分解物は、水溶液にしたときに透明で、安定性に優れており、したがって飲料等にも添加しやすく、経口摂取しやすいものである。なお、このローヤルゼリーの分解物は、そのまま溶液状で用いてもよく、凍結乾燥などの手段によって粉末化して用いてもよい。また、上記ローヤルゼリー分解物としては、例えば「バイオサンローヤル」(商品名、株式会社バイオックス製)などの市販品を用いることもできる。
本発明のマグネシウム補給剤は、上記ローヤルゼリー分解物と、マグネシウム原料とを含有するものである。マグネシウム原料としては、例えばドロマイト(炭酸カルシウムマグネシウム)、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、にがり、海藻抽出物、植物葉発酵物などが用いられる。なお、にがりとしては脱Na処理を施したものが好ましい。
乾燥物換算のローヤルゼリー分解物(デセン酸換算で生ローヤルゼリーと同濃度の乾燥ローヤルゼリー分解物)と、マグネシウム原料との配合比率は、マグネシウムの吸収量を効果的に高めるため、重量比で1:1〜40であることが好ましく、1:1〜20であることがより好ましい。
本発明のマグネシウム補給剤には、上記原料の他、大豆イソフラボン及び乳タンパク分解物から選ばれた少なくとも一種を含有させることが好ましい。これらの物質も、マグネシウム吸収促進に関与することが知られており、ローヤルゼリー分解物と併用することにより、マグネシウム吸収促進効果をより一層高めることが期待される。
大豆イソフラボンとしては、ダイゼイン、ゲニスティン、グリシティンなどが挙げられる。そして、大豆イソフラボンの含有量は、ローヤルゼリー分解物1質量部に対して、0.01〜0.1質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.05質量部である。
乳タンパク分解物としては、カゼインホスホペプチドなどが挙げられる。そして、乳タンパク分解物の含有量は、ローヤルゼリー分解物1質量部に対して、0.5〜5質量部とすることが好ましく、より好ましくは1〜4質量部である。
更に、カルシウム、亜鉛、鉄、セレン等の他のミネラル成分を加えて、ミネラル補給剤とすることもできる。カルシウム原料としては、乳精カルシウム、炭酸カルシウム等の各種カルシウム化合物の他、牛骨粉、卵殻粉、貝殻粉等が挙げられる。
また、本発明のマグネシウム補給剤には、セルロース、パインファイバー等の難消化性多糖類や、乳糖などの賦形剤や、香料、甘味料、着色料等を適宜添加することができる。
本発明のマグネシウム補給剤は、例えば錠剤、カプセル剤等の固形状の食品とすることもでき、ハチミツ、栄養ドリンク、清涼飲料等に溶解させて、飲料等の流動性食品にすることもできる。また、本発明のマグネシウム吸収促進剤の有効成分であるローヤルゼリー分解物の好ましい摂取量は、生ローヤルゼリー換算で、1日当たり0.3〜6gである。
また本発明のマグネシウム吸収促進剤に大豆イソフラボンを含む場合、大豆イソフラボンの好ましい摂取量は一日あたり20〜100mgであり、乳タンパク分解物を含む場合、乳タンパク分解物の好ましい摂取量は一日あたり80〜400mgである。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
<ローヤルゼリー分解物の製造例>
生ローヤルゼリー100gに温水を加えて、ローヤルゼリーの懸濁液1kgを調製し、20%水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを4に調製した。この懸濁液に、哺乳動物の消化酵素であるペプシン(1:10,000、シグマ社製)0.1gを添加し、45℃で、6時間酵素処理を行って、ペプシン処理液を得た。
生ローヤルゼリー100gに温水を加えて、ローヤルゼリーの懸濁液1kgを調製し、20%水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを4に調製した。この懸濁液に、哺乳動物の消化酵素であるペプシン(1:10,000、シグマ社製)0.1gを添加し、45℃で、6時間酵素処理を行って、ペプシン処理液を得た。
次に、このペプシン処理液を、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを8に調整した後、哺乳動物の消化酵素であるパンクレアチン(2,000,000 単位/g、シグマ社製)0.1gを添加し、45℃で、6時間酵素処理を行った。
酵素処理を終了した後、80℃で、10分間加熱して酵素を失活させ、次いで、濾過して異物や不溶性残渣を除去して、透明な溶液を得た。
次いで、得られた溶液を、初めに用いた生ローヤルゼリーと同じ重さである100gまで減圧濃縮して、透明な溶液状のローヤルゼリー分解物を得た。
酵素処理時間は、以下に示す方法で、酵素反応開始後0、2、4、6時間後にそれぞれ蛋白質の分解率を測定し、分解率が最高に達した時点とした。
蛋白質の分解率は、サンプル2.0mlに、等量の10%トリクロル酢酸(TCA)を加えて遠心分離を行い、この上清を希釈した後、ローリー法で比色定量し、TCA可溶性成分の量の推移を調べた。なお、ローヤルゼリー中の粗蛋白質は、TCA溶液のかわりに等量の水を加えた溶液を用い、同様に比色定量して求めた。そして、下記式(1)に基づいて、蛋白質の分解率を算出した。
a:ローヤルゼリー分解物の粗蛋白質含有量
b:ローヤルゼリー分解物のTCA可溶性成分の含有量
c:酵素処理サンプルのTCA可溶性成分の含有量
b:ローヤルゼリー分解物のTCA可溶性成分の含有量
c:酵素処理サンプルのTCA可溶性成分の含有量
上記の方法により求めた6時間酵素処理後の蛋白質の分解率は、91.6%であった。また、得られたローヤルゼリー分解物と、生ローヤルゼリーとに含まれる粗蛋白質について分子量分布を測定し、比較した。なお、測定方法は高速液体クロマトグラフィーにて行った。その結果を図1に示す。図において、Aは製造例で得られたローヤルゼリー分解物の結果、Bは生ローヤルゼリーの結果を示す。
図1の結果から、製造例で得られた透明なローヤルゼリー分解物中の粗蛋白質の分子量分布を、生ローヤルゼリー中の粗蛋白質の分子量分布と比較すると、製造例で得られたローヤルゼリー分解物中には、分子量1万以上のものがほとんどなくなって、分子量500〜3000のペプチドが主成分となっている。このことは、電気泳動等の結果からも確認した。
すなわち、製造例で得られたローヤルゼリー分解物は、蛋白質が分解されてペプチド化している以外は、生ローヤルゼリーと同様な成分を含有し、ペプチドとしては、特に生理機能を有するといわれている分子量数百〜数千のペプチドを多く含有していることがわかる。そして、このローヤルゼリー分解物は、弱酸性の飲料に添加しても、生ローヤルゼリーのように凝集沈殿することなく容易に溶解し、また、そのまま食しても、喉を刺すような刺激もなく、むしろ若干の旨味と甘さがあるものであった。
<試験例>
マウスの体内から摘出した小腸を用いて、ローヤルゼリー分解物(以下「PRJ」と略称する)のマグネシウム吸収に対する影響を調べた。すなわち、PRJ及びマグネシウムを含む液を、摘出した小腸内に入れ、反転腸管法により吸収されて溶出するマグネシウム濃度を測定し、PRJのマグネシウム吸収に対する影響を比較した。実験に供した生ローヤルゼリー及びPRJは、下記表1に示す性状を有するものである。なお、以下の実験に用いたPRJは、上記工程により得られたローヤルゼリー分解物にデキストリンを添加して粉末化処理したものである。また、以下の実験に用いた生ローヤルゼリーは、PRJのデセン酸換含有量と同等となるように、適宜希釈したものである。
マウスの体内から摘出した小腸を用いて、ローヤルゼリー分解物(以下「PRJ」と略称する)のマグネシウム吸収に対する影響を調べた。すなわち、PRJ及びマグネシウムを含む液を、摘出した小腸内に入れ、反転腸管法により吸収されて溶出するマグネシウム濃度を測定し、PRJのマグネシウム吸収に対する影響を比較した。実験に供した生ローヤルゼリー及びPRJは、下記表1に示す性状を有するものである。なお、以下の実験に用いたPRJは、上記工程により得られたローヤルゼリー分解物にデキストリンを添加して粉末化処理したものである。また、以下の実験に用いた生ローヤルゼリーは、PRJのデセン酸換含有量と同等となるように、適宜希釈したものである。
以下、実験方法及び結果について説明する。
<1>試料の調製方法
以下に示す配合で(A)〜(G)の試料を調整した。
以下に示す配合で(A)〜(G)の試料を調整した。
(A)Mg1:生理食塩水中に、0.83mMのMgCl2・6H2O溶液を10ml添加し、pHが6.4、液量が50mlとなるように1NNaOH及び生理食塩水を加えた(以下「Mg1」とする)。
(B)Mg2:生理食塩水中に、0.83mMのMgCl2・6H2O溶液を10ml、及び0.298mg/mlのPRJ溶液を5ml添加し、pHが6.4、液量が50mlとなるように1NNaOH及び生理食塩水を加えた(以下「Mg2」とする)。
(C)Mg3:生理食塩水中に、0.83mMのMgCl2・6H2O溶液を10ml、及び0.596mg/mlのPRJ溶液を5ml添加し、pHが6.4、液量が50mlとなるように1NNaOH及び生理食塩水を加えた(以下「Mg3」とする)。
(D)Mg-Ca1:生理食塩水中に、0.83mMのMgCl2・6H2O溶液を10ml及び2.30mMのCaCl2・2H2Oを10ml添加し、pHが6.4、液量が50mlとなるように1NNaOH及び生理食塩水を加えた(以下「Mg‐Ca1」とする)。
(E)Mg-Ca2:生理食塩水中に、0.83mMのMgCl2・6H2O溶液を10ml、2.30mMのCaCl2・2H2Oを10ml及び0.298mg/mlのPRJを5ml添加し、pHが6.4、液量が50mlとなるように1NNaOH及び生理食塩水を加えた(以下「Mg‐Ca2」とする)。
(F)Mg-Ca3:生理食塩水中に、0.83mMのMgCl2・6H2O溶液を10ml、2.30mMのCaCl2・2H2Oを10ml及び0.596mg/mlのPRJを5ml添加し、pHが6.4、液量が50mlとなるように1NNaOH及び生理食塩水を加えた(以下「Mg‐Ca3」とする)。
(G)内液:蒸留水中に、25mMのKH2・PO4溶液を10ml、675mMのNaClを10ml添加し、pHが6.4、液量が50mlとなるように1NNaOH及び生理食塩水を加えた(以下「内液」とする)。
<2>実験工程
SD系5週齢雄マウスを、18時間絶食させた後、屠殺し、腹大動脈より脱血処理を行った。次に、Treitz’s ligamentから盲腸接合部を摘出し、Treitz’s ligament部位から20cmを空腸部位として分離した。そして、この空腸部位から10cm切り取り、ガラス棒を用いて腸の上方から腸管を裏返し、一方の端部を糸で結紮した。そして、結紮部位から約6cmの部位にフッ素樹脂系のチューブを装着したシリンジを挿入してもう一方の他端部を結紮した。その後、液温を37℃で保温した試料(G)(内液)を1ml注入し、シリンジを抜き取ると共に、端部を糸で結紮した。次いで、37℃に保温した(A)〜(F)の試料(外液)10mlにそれぞれの腸管を浸漬させ、37度で30分間、5%炭酸ガス含有酸素を通じながら緩やかに振とうした。
SD系5週齢雄マウスを、18時間絶食させた後、屠殺し、腹大動脈より脱血処理を行った。次に、Treitz’s ligamentから盲腸接合部を摘出し、Treitz’s ligament部位から20cmを空腸部位として分離した。そして、この空腸部位から10cm切り取り、ガラス棒を用いて腸の上方から腸管を裏返し、一方の端部を糸で結紮した。そして、結紮部位から約6cmの部位にフッ素樹脂系のチューブを装着したシリンジを挿入してもう一方の他端部を結紮した。その後、液温を37℃で保温した試料(G)(内液)を1ml注入し、シリンジを抜き取ると共に、端部を糸で結紮した。次いで、37℃に保温した(A)〜(F)の試料(外液)10mlにそれぞれの腸管を浸漬させ、37度で30分間、5%炭酸ガス含有酸素を通じながら緩やかに振とうした。
30分間振とう後、結紮間の長さを測定したのち、内液を採取し、生理食塩水でさらに腸管内部を洗浄して、内液と混合した。そしてこの混合溶液を湿式灰化した後、塩酸処理を施して50mlに定量調整し、ストロンチウムをさらに0.1%添加して測定試料を調整した。そして、この調整した測定試料を、原子吸光光度計(Varian Tectrem Pty LTD:Varian AA−975)を用い、原子吸光光度法により混合溶液(内液)中のカルシウム濃度及びマグネシウム濃度を測定した。
マグネシウムの吸収量は、外液中のマグネシウム量に対する内液に移行したマグネシウムの量とし、腸管の長さ及び反応時間あたりの内液中のマグネシウムの量を下記式(2)に基づいて算出した。
また、カルシウムの吸収量は、外液中のカルシウム量に対する内液に移行したカルシウムの量とし、腸管の長さ及び反応時間あたりの内液中のカルシウムの量を下記式(3)に基づいて算出した。
各試料のマグネシウムの吸収量を図2に、カルシウムの吸収量を図3に図示し、数値を表2に示す。
上記結果より、Mg1、Mg2、及びMg3を比較すると、ローヤルゼリー分解物を併用していないMg1のマグネシウム吸収量は6.0(μmol/cm/h)であるのに対し、ローヤルゼリー分解物と併用したMg2のマグネシウム吸収量は8.9(μmol/cm/h)であり、Mg2よりさらに高濃度のローヤルゼリー分解物を使用したMg3のマグネシウム吸収量は9.8(μmol/cm/h)であった。このことから、ローヤルゼリー分解物はマグネシウムの吸収を促進する作用があることがわかる。
また、Mg‐Ca1、Mg‐Ca2、及びMg‐Ca3を比較すると、ローヤルゼリー分解物と併用したMg‐Ca2、及びMg‐Ca3はMg‐Ca1に比べマグネシウムの吸収量が多く、かつカルシウムの吸収量の多いものであった。
よって、分子量500〜3000のペプチドを含有するローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物は、カルシウムの吸収を阻害することなくマグネシウムの吸収を促進することができることが認められた。
Claims (6)
- 分子量500〜3000のペプチドを含有するローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物を有効成分とすることを特徴とするマグネシウム吸収促進剤。
- 分子量500〜3000のペプチドを含有するローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物と、マグネシウム原料を含有することを特徴とするマグネシウム補給剤。
- 前記マグネシウム原料として、ドロマイト、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、にがり、海藻抽出物、植物葉発酵物から選ばれた1種以上を含有する請求項2記載のマグネシウム補給剤。
- 前記原料に加えて、大豆イソフラボン及び乳タンパク分解物から選ばれた少なくとも一種を含有する請求項2又は3に記載のマグネシウム補給剤。
- 飲料である請求項2又は3記載のマグネシウム補給剤。
- 前記ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物と、前記マグネシウム原料とを、重量比で1:1〜20の配合比率で含有する請求項2〜4のいずれか1つに記載のマグネシウム補給剤。
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