JP2006219419A - パーフルオロビニルエーテルモノマーの製造法 - Google Patents

パーフルオロビニルエーテルモノマーの製造法 Download PDF

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星  信人
Masanori Ikeda
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Abstract

【課題】 耐熱性、耐酸化性パーフルオロスルホン酸ポリマーの原料であるパーフルオロビニルエーテルモノマーを、少ない工程数で収率よく製造すること。
【解決手段】
工程(a) 一般式(1)の化合物を異性化させ、下記一般式(3)で表される化合物とする工程。
Figure 2006219419

(式中、nは3〜8の整数である。) FCO(CFn−1SOF (3) (nは一般式(1)と同じ。)
工程(b) 一般式(3)の化合物にヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を付加させ、下記一般式(4)で表される化合物とする工程。
CFCF(COF)O(CFSOF (4) (nは一般式(1)と同じ。)
工程(c) 一般式(4)の化合物を脱炭酸して、一般式(2)のパーフルオロビニルエーテルモノマーとする工程。CF=CFO(CFSOF (2) (nは一般式(1)と同じ。)
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性や化学的安定性に優れたパーフルオロスルホン酸ポリマーの原料であるパーフルオロビニルエーテルモノマーの製造法に関する。詳しくは、燃料電池用途に適した高耐久性のパーフルオロスルホン酸ポリマーの原料であるパーフルオロビニルエーテルモノマーの製造法に関する。
現在、クロロアルカリや燃料電池分野では、下記一般式(6)
Figure 2006219419
(式中、k/l=3〜10)
においてm’=1、n’=2のパーフルオロスルホン酸ポリマーが主に採用されている。
このポリマーは、下記一般式(7)
Figure 2006219419
においてm’=1、n’=2のパーフルオロビニルエーテルモノマーと、テトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体を製膜した後、加水分解反応を施すことによって得られる。
しかし、燃料電池分野では、特に車載用で高温運転への対応が求められており、よりガラス転移温度が高い、一般式(6)においてm’=0のポリマーのほうが高温運転に適していることがわかっている。
そして、m’=0のポリマーの中でも、本発明者らの検討により、一般式(6)で表されるパーフルオロスルホン酸ポリマーにおいてm’=0でかつn’が3〜8、好ましくは4〜6の場合に、特に優れた耐熱性および耐酸化性が発現することが見出されている。したがってその原料である、一般式(7)においてm’=0、n’=3〜8であるパーフルオロビニルエーテルモノマー、すなわち一般式(2)のモノマーは極めて有用なものである。
本発明のパーフルオロビニルエーテルモノマーに関する公知の技術としては、該モノマー(一般式(2))を製造する方法として、これまで数件の報告しかされておらず、そのいずれもが工業生産上有利な方法ではない。
例えば、特許文献1にはテトラフルオロエチレンとジメチルカーボネートとナトリウムエチルメルカプチドを出発原料とした該モノマー(一般式(2))の製造方法が開示されているが、反応工程が7工程と長く全収率8%と低収率な上、n=3に限定された製造法である。
また特許文献2には、RfCHOCO(CHSOF(式中、Rfはエーテル基を含むパーフルオロアルキル基)を元素状フッ素で直接フッ素化してRfCFOCO(CFSOFとした後、KFで処理して、一般式(3)においてn=4の化合物を製造し、さらに2工程を経て一般式(2)で表されるモノマーを製造する方法が開示されている。しかしこの方法は、出発原料であるRfCHOCO(CHSOFの合成が繁雑で多段階の工程を経るものであり、公知化合物から出発原料を得るまでの工程も含めると一般式(2)のモノマーを得るまで全体で7工程必要となる。さらに加えて,全収率が16%と低いという問題もある。
一方、入手容易な工業製品であるスルトン化合物(一般式(5))を出発原料とする方法もある(特許文献3、4)。
しかしながら、特許文献3,4に開示されたスルトン化合物を出発物質とする方法は、スルトン化合物(一般式(5)においてn=3,4)を無水フッ酸中で電解フッ素化して、酸フルオリド化合物(一般式(3)においてn=3,4)を製造する方法を開示したものであり、この方法は、わずか3工程で目的のパーフルオロビニルエーテルモノマーを製造できる点では優れているが、電解フッ素化反応であるため副反応が多く、収率が低い上に多量の副生物の廃棄処理を行う必要があるという問題があった。
このように、これまで、耐熱性や化学的安定性に優れたパーフルオロスルホン酸ポリマーの原料である一般式(2)で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマーを製造する、実用的な方法は知られておらず、効率的製造法の開発が待たれていた。
特開昭56−90054号公報 国際公開第WO04/094365号明細書 特開昭57−164991号公報 米国特許第6624328号明細書
本発明は、耐熱性や化学的安定性に優れたパーフルオロスルホン酸ポリマーの原料であるパーフルオロビニルエーテルモノマーを、少ない工程数で収率よく製造する方法を提供するものである。具体的には入手が容易な公知化合物(フッ素化スルトン化合物(一般式(1))から3工程、スルトン化合物(一般式(5))からでも4工程で収率よく製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、パーフルオロビニルエーテルモノマー(一般式(2))を、入手が容易なフッ素化スルトン化合物(一般式(1))を出発原料として、特定の工程を経ることで、わずか3工程、スルトン化合物(一般式(5))からでも4工程で収率よく製造する方法を見出し本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1、下記一般式(1)
Figure 2006219419
(式中、nは3〜8の整数である。)
で表される化合物を出発原料として、下記工程(a)〜(c)の操作により、下記一般式(2)
CF=CFO(CFSOF (2)
(nは一般式(1)と同じ。)
で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマーを製造する方法。
工程(a)
一般式(1)の化合物を異性化させ、下記一般式(3)
FCO(CFn−1SOF (3)
(nは一般式(1)と同じ。)
で表される化合物とする工程。
工程(b)
一般式(3)の化合物にヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を付加させ、下記一般式(4)
CFCF(COF)O(CFSOF (4)
(nは一般式(1)と同じ。)
で表される化合物とする工程。
工程(c)
一般式(4)の化合物を脱炭酸して、一般式(2)のパーフルオロビニルエーテルモノマーとする工程。
2、一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(5)
Figure 2006219419
(nは一般式(1)と同じ。)
で表される化合物をフッ素化剤で直接フッ素化することで製造されることを特徴とする、1、に記載の製造法。
3、一般式(5)で表される化合物の直接フッ素化が、20℃において一般式(5)で表される化合物を1質量%以上溶解することができる不活性媒体存在下で行われることを特徴とする、2、に記載の製造法に関する。
本発明の方法により、耐熱性や化学的安定性に優れたパーフルオロスルホン酸ポリマーの原料であるパーフルオロビニルエーテルモノマー(一般式(2))を少ない工程数で収率よく製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本発明の第一の製法である、一般式(1)で表されるフッ素化スルトン化合物から3工程を経て一般式(2)で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマーを製造する方法、について以下に説明する。
本発明者らは、先ず、一般式(3)で表される化合物(以下、酸フルオリド化合物(3)と称する)が、本発明の出発原料である一般式(1)で表される化合物(以下、フッ素化スルトン化合物(1)と称する)の異性化により、一段階で合成できることを見出した(工程(a))。すなわち、フッ素化スルトン化合物(1)は特定の条件で処理するだけで容易に異性化し、一般式(3)の酸フルオリド化合物(3)を収率よく生成することが分かった。
一般式(3)の酸フルオリド化合物(3)からは、下記する2工程(工程(b)、工程(c))を経て一般式(2)で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマー(以下、パーフルオロビニルエーテルモノマー(2)と称する)を製造することができる。
したがって、上記の方法により、一般式(1)で表されるフッ素化スルトン化合物(1)からわずか3工程で一般式(2)で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマー(2)を製造することが可能となった。
Figure 2006219419
尚、上記の製造方法で得られるパーフルオロビニルエーテルモノマー(2)中、目的のパーフルオロスルホン酸ポリマーにしたときの耐酸化性が優れること、工程(c)の操作、すなわち脱炭酸によるビニル化において環化反応の副反応がほとんどなく収率が高いことから、nが4以上の場合に本発明の効果がより顕著になる。一方、nが大きくなりすぎると最終目的のポリマーとしたときのガラス転移温度が低くなるのでnは6以下が好ましく、4以下がより好ましい。また、原料入手の容易さからはnは3または4が好ましく、いずれの条件も満たすことからn=4が最も好ましい。
以上、本発明の第一の製法の特徴について説明したが、より具体的に以下に説明する。
先ず、異性化を行う工程(a)について説明する。
一般式(1)で表されるフッ素化スルトン化合物(1)は、特定の範囲の各種の条件下で一般式(3)の酸フルオリド化合物(3)へ異性化させることが可能であり、本発明の方法においては、どの異性化条件を採用しても良い。
当該異性化条件の例としては、例えば、下記のような各種の異性化触媒存在下での処理が挙げられる。異性化触媒の例としては、例えば、RN(Rは炭化水素基、以下同様)型の3級アミン化合物や窒素原子等のヘテロ原子を含有する複素環化合物等の各種のルイス塩基化合物、KF、CsF、NaF、RNF、RPF、RSiF等のフッ化物イオン含有化合物、各種の無機酸化物、無機塩等が挙げられる。中でも、ルイス塩基化合物やフッ化物イオン含有化合物が好ましく、特にフッ化物イオン含有化合物が好ましい。
異性化処理する条件としては、通常は無水条件下、無溶媒または非プロトン性溶媒中で行なわれる。異性化触媒の量は、当量以上の過剰量を用いてもよいが、触媒量で行ってもよい。触媒量で行う場合、触媒の使用量はフッ素化スルトン化合物(1)に対して0.1〜100モル%が好ましく、1〜50モル%がより好ましい。反応温度は−30℃〜200℃が好ましく、20℃〜180℃がより好ましい。
溶媒を用いる場合、溶媒としてはスルホラン、アセトニトリル、グライム類等の多様な非プロトン性溶媒を用いることができる。得られた一般式(3)の酸フルオリド化合物(3)は、蒸留精製して次の工程に使用しても良いし、一般式(3)の酸フルオリド化合物(3)を含有する反応溶液を次の工程に使用しても良い。
次にHFPOを付加する工程(b)について説明する。
上記のように製造された一般式(3)の酸フルオリド化合物(3)は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)と反応させることにより一般式(4)で表される酸フルオリドのHFPO付加化合物(4)を製造することができる。
工程(b)は、ジグライムやテトラグライム等のエーテル系溶媒、アジポニトリル等のニトリル系溶媒等の各種極性溶媒存在下で実施するのが好ましい。これらの溶媒は、単独でも混合溶媒として用いてもよい。
反応には通常、アルカリ金属フルオリドや4級アンモニウムフルオリド等の各種のフッ化物イオン含有化合物が触媒として用いられ、中でもNaF、KFやCsFが好ましい。触媒の使用量は酸フルオリド化合物(3)に対して0.1〜100モル%が好ましく、1〜50モル%がより好ましい。
HFPOの使用量は酸フルオリド化合物(3)1モルに対して0.1〜3モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましく、0.9〜1.1モルが特に好ましい。反応温度は−30℃から50℃の範囲が好ましく、−20℃から30℃の範囲がより好ましい。
尚、工程(a)と工程(b)とで同一触媒を用いる場合には、同一の反応器で連続して行ってもよい。
次に脱炭酸を行う工程(c)について説明する。
酸フルオリドのHFPO付加化合物(4)からパーフルオロビニルエーテルモノマー(2)を製造する方法としては、該酸フルオリドのHFPO付加化合物(4)から直接に塩基性化合物や無機酸化物存在下で熱分解合成する方法、あるいは該酸フルオリドのHFPO付加化合物(4)から誘導されるアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルキルエステルあるいはシリルエステル等の各種誘導体を経た後、脱炭酸する方法等が採用可能であるが、これらのいずれの方法を用いてもよい。中でも、簡便で高収率にパーフルオロビニルエーテルモノマー(2)が得られることから、アルカリ金属塩を経由する方法が特に好ましい。
アルカリ金属塩を経由する方法としては、酸フルオリドのHFPO付加化合物(4)を溶媒中または無溶媒でアルカリ金属の炭酸塩と反応させてアルカリ金属塩とした後、加熱脱炭酸反応を行ってもよいし、酸フルオリドのHFPO付加化合物(4)を高温でアルカリ金属の炭酸塩と接触させて、中和反応と脱炭酸反応を同時に行ってもよい。アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましく、炭酸カリウムがより好ましい。
中和反応を行った後に加熱脱炭酸反応を行う場合は、使用されるアルカリ金属の炭酸塩の量は0.8〜1.5当量(0.4〜0.75モル倍)が好ましく、0.9〜1.2当量がより好ましい。また溶媒を用いて中和反応を行う場合は、各種の非プロトン性極性溶媒が採用可能であるが、その中でも、操作性や収率が良好な点から、アセトニトリル等のニトリル系の溶媒や、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒が好ましい。中和する温度は0〜80℃が好ましく、脱炭酸反応は溶媒をなるべく除去してから行うことが好ましく、脱炭酸反応は150〜250℃で行うことが好ましい。
中和反応と脱炭酸反応を同時に行う場合は、使用されるアルカリ金属の炭酸塩の量は1〜3当量(0.5〜1.5モル倍)が好ましく、1〜2.5当量がより好ましい。反応温度は200〜300℃が好ましい。
以上、本発明の第一の製法について説明をした。次に、本発明の第二の製法の特徴とその詳細について説明する。
本発明の第二の製法はパーフルオロビニルエーテルモノマー(2)の出発原料である一般式(1)で表されるフッ素化スルトン化合物(1)をスルトン化合物(5)から製造する方法である。
一般式(1)で表されるフッ素化スルトン化合物(1)は、非特許文献1(R. J. Lagow ら、Inorganic Chemistry, 30(1991),789)が開示するように一般式(5)(以下、スルトン化合物(5)と称する)の化合物を元素状フッ素で直接フッ素化し、一般式(1)のフッ素化スルトン化合物(1)とするような一般的な方法を利用することができる(非特許文献1ではフッ素化スルトン化合物(5)でn=4の製法のみ開示)。
具体的には、直接フッ素化反応に使用されるフッ素化剤として、元素状フッ素を始め、SFやXeF等の各種の公知フッ素化剤、あるいはこれらの混合物を用いるものであるが、元素状フッ素が好ましい。尚、フッ素化の際、光照射を行ってもよく、触媒を用いてもよい。元素状フッ素による直接フッ素化は、気相または液相でフッ素ガスと反応させればよい。用いるフッ素ガスは単独でもよいが、窒素、ヘリウム、アルゴン等のガスで希釈したものを用いてもよい。希釈する場合、フッ素ガス濃度は1容量%以上が好ましく、10容量%以上がより好ましく、20容量%以上がさらに好ましい。
フッ素の圧力は、常圧〜2MPaが好ましい。またフッ素化の温度は−100〜120℃の範囲が好ましく、−80〜80℃がより好ましく、−60〜50℃が特に好ましい。反応によって生成するHFを除去するために、NaF等のHF補足剤を共存させておくこともできる。フッ素化は、バッチ式、流通式のいずれの方法も採用することができる。またフッ素化の条件は、反応初期にはなるべく低温で、低濃度のフッ素ガスを用い、反応の進行とともに温度や濃度条件を高めるほうが好ましい。
また、上記のフッ素化反応では、一般に発熱が激しいので、フッ素化装置は除熱が効率的に行われる構造にしておくことが好ましい。一般に、反応熱が大きな反応においては、反応熱を効果的に除去して安定条件で目的反応を実施するためには、基質を溶媒に溶解・希釈して反応を実施するのが好ましい。ところが、スルトン化合物(5)のフッ素化反応においては、スルトン化合物(5)を溶解する炭化水素系溶媒は、反応中に溶媒自身のフッ素化反応が起きてしまうので当該フッ素化反応の溶媒には使用できない。一方、当該フッ素化反応条件下で安定なパーフルオロ炭化水素等の化合物を溶媒に使用しようとしても、パーフルオロ炭化水素等の溶媒はスルトン化合物(5)をほとんど溶解しないので、スルトン化合物(5)の溶解・希釈による除熱効果を得ることができないのである。
非特許文献1が開示するフッ素化スルトン化合物(1)の製造方法は、原料をフッ化ナトリウム粉末に分散させ、−78℃の低温で、かつ1週間以上かけてゆっくり行っているにもかかわらず固体に分散させただけでは除熱効果が不十分なため収率が低かったと推定できる。
そこで、本発明者らは、当該フッ素化反応を高選択率で進行させる条件について鋭意検討した結果、以下に示す媒体が当該フッ素化反応条件下において不活性でありながらスルトン化合物(5)を溶解する媒体であり、このような媒体中で当該フッ素化反応を実施すると反応の選択性が飛躍的に向上するという特徴を有することを見出した。
すなわち、該媒体は、当該フッ素化反応条件下において不活性であって、20℃においてスルトン化合物(5)を1質量%以上溶解するものであればどんなものでもよく、5質量%以上溶解することがより好ましく、10質量%以上溶解することがさらに好ましい。ここで、上記の「当該フッ素化反応条件下において不活性」とは、当該フッ素化条件下で、該媒体中のC−H結合からC−F結合への変換反応が起こらないことを意味する。
該媒体は、フッ素化の条件で液体であることが好ましく、融点が0℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましく、−50℃以下であることがさらに好ましい。
このような媒体としては、例えば、無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水ヘプタフルオロ酪酸等のパーフルオロカルボン酸の無水物、無水トリフルオロメタンスルホン酸、無水ペンタフルオロエタンスルホン酸等のパーフルオロスルホン酸の無水物、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド等のビスパーフルオロアルキルスルホニルイミド化合物、トリフルオロメタンスルホンアミド等のパーフルオロアルキル酸アミド化合物、あるいはこれらの化合物の混合物、さらには、これらの化合物とパーフルオロ炭化水素等の溶媒(酸素、窒素等のヘテロ原子を含んでいてもよい)の混合物を例示することができる。これらの媒体化合物中の炭素原子数は、15以下が好ましく、12以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましい。また、これらの媒体化合物のパーフルオロアルキル部にエーテル結合が含まれていても良い。
該媒体を用いる場合、媒体の量は、スルトン化合物(5)に対して1〜300質量倍が好ましく、5〜200質量倍がより好ましく、10〜100質量倍が特に好ましい。
尚、スルトン化合物(5)からフッ素化スルトン化合物(1)へのフッ素化反応は、収率向上と反応熱希釈という観点からスルトン化合物(5)の部分フッ素化物存在下で実施してもよいし、生成物の抽出分離という観点からパーフルオロ炭化水素等の溶媒(酸素、窒素等のヘテロ原子を含んでいてもよい)存在下で実施しても良い。
以上、本発明の第二の製法であるフッ素化スルトン化合物(1)をスルトン化合物(5)から製造する方法について説明した。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
[実施例1]
非特許文献1記載の方法に従い、1,4−ブタンスルトン(一般式(5)においてn=4の化合物)を無水フッ化ナトリウムに分散させた状態で、非特許文献1およびその引用文献に記載の装置内の反応ゾーンに仕込み、直接フッ素化による反応を行った。その結果、単離収率25%でパーフルオロ−1,4−ブタンスルトン(一般式(1)においてn=4)を得た。
次に、50mlの3つ口フラスコに窒素気流中、5gのパーフルオロ−1,4−ブタンスルトン、1.4gのKF、20mlのスルホランを仕込み、100℃で12時間攪拌した。減圧下で低沸点成分を留出させ、4.1gの液体を得た(収率82%)。
この液体は19F―NMRによりFOC(CFSOFであることが確認された。
19F−NMR δ(CFCl基準):44.3ppm(1F)、22.5ppm(1F)、−109.8ppm(2F)、−119.5ppm(2F)、−122.4ppm(2F)
上記の方法を繰り返して得たFOC(CFSOF22.1gを、テトラグライム1mL、アジポニトリル10mL、フッ化カリウム0.6gとともに100mLのオートクレーブに入れ、0℃で攪拌しながら、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)13gを導入した。導入開始から3時間後、ゲージ圧が0MPaになった時点で反応混合物を静置すると2層に分離した。下層を分液後、減圧蒸留(沸点91℃/23kPa)により、CFCF(COF)O(CFSOFが29g得られた(収率82%)。
次に、窒素気流下、滴下ロート、リービッヒ冷却管、捕集フラスコを備えた100mLの4つ口フラスコにあらかじめ乾燥させた炭酸カリウム5.6gと、無水1,2−ジメトキシエタン10mLを入れ、40℃のオイルバスで加熱しながら、上記CFCF(COF)O(CFSOF15gをゆっくり滴下した。発泡が止まってからさらに50℃で1.5時間攪拌後、19F−NMRにより完全に原料が中和され、CFCF(COK)O(CFSOFに変換したことを確認した。この反応混合物から1,2−ジメトキシエタンを減圧留去し、さらに残渣を140℃に加熱して減圧下で乾燥させた。
乾燥させたCFCF(COK)O(CFSOFを含む残渣を減圧(12kPa)下、170℃に加熱すると脱炭酸反応が起こり、液体が留出し始めた。さらに徐々に温度を上げていき、最終的には185℃まで上昇させた。得られた液体は蒸留精製(沸点57℃/13.3kPa)により、CF=CFO(CFSOFが10g得られた(収率80%)。
19F−NMR δ(CFCl基準):43.8ppm(1F)、−87.0ppm(2F)、−110.0ppm(2F)、−116.9ppm(1F)、−122.2ppm(2F)、−124.4ppm(1F)、−127.0ppm(2F)、−138.4ppm(1F)
[実施例2]
実施例1と同様に1,4−ブタンスルトンを無水フッ化ナトリウムに分散させた状態で仕込み、次に1,4−ブタンスルトンの15質量倍の無水トリフルオロ酢酸を、装置内の同じ反応ゾーンに凝集させた。その状態で実施例1と同様に直接フッ素化を行って収率50%でパーフルオロ−1,4−ブタンスルトンを得た。
尚、1,4−ブタンスルトン1gと無水トリフルオロ酢酸1gとを20℃で混合したところ、均一に溶解しあった。
耐熱性、耐酸化性パーフルオロスルホン酸ポリマーの原料として有用な、一般式(2)で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマーを、少ない工程数で収率よく製造することができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2006219419
    (式中、nは3〜8の整数である。)
    で表される化合物を出発原料として、下記工程(a)〜(c)の操作により、下記一般式(2)
    CF=CFO(CFSOF (2)
    (nは一般式(1)と同じ。)
    で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマーを製造する方法。
    工程(a)
    一般式(1)の化合物を異性化させ、下記一般式(3)
    FCO(CFn−1SOF (3)
    (nは一般式(1)と同じ。)
    で表される化合物とする工程。
    工程(b)
    一般式(3)の化合物にヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を付加させ、下記一般式(4)
    CFCF(COF)O(CFSOF (4)
    (nは一般式(1)と同じ。)
    で表される化合物とする工程。
    工程(c)
    一般式(4)の化合物を脱炭酸して、一般式(2)のパーフルオロビニルエーテルモノマーとする工程。
  2. 一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(5)
    Figure 2006219419
    (nは一般式(1)と同じ。)
    で表される化合物をフッ素化剤で直接フッ素化することで製造されることを特徴とする、請求項1に記載の製造法。
  3. 一般式(5)で表される化合物の直接フッ素化が、20℃において一般式(5)で表される化合物を1質量%以上溶解することができる不活性媒体存在下で行われることを特徴とする、請求項2に記載の製造法。
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