JP2006219392A - ビスアントリル誘導基置換化合物および有機発光素子 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ビスアントリル誘導基置換化合物、及び該化合物を用いた発光素子に関する。
有機発光素子は、陽極と陰極間に蛍光性有機化合物を含む薄膜を挟持させて、各電極から電子およびホール(正孔)を注入することにより、蛍光性化合物の励起子を生成させ、この励起子が基底状態にもどる際に放射される光を利用する素子である。
1987年コダック社の研究(非特許文献1)では、陽極にITO、陰極にマグネシウム銀の合金をそれぞれ用い、電子輸送材料および発光材料としてアルミニウムキノリノール錯体を用い、ホール輸送材料にトリフェニルアミン誘導体を用いた機能分離型2層構成の素子で、10V程度の印加電圧において1000cd/m2程度の発光が報告されている(特許文献1〜3)。
また、蛍光性有機化合物の種類を変えることにより、紫外から赤外までの発光が可能であり、最近では様々な化合物の研究が活発に行われている(特許文献4〜11)。
さらに、上記のような低分子材料を用いた有機発光素子の他にも、共役系高分子を用いた有機発光素子が、ケンブリッジ大学のグループ(非特許文献2)により報告されている。この報告ではポリフェニレンビニレン(PPV)を塗工系で成膜することにより、単層で発光を確認している。共役系高分子を用いた有機発光素子の関連特許としては、特許文献12〜16が挙げられる。
このように有機発光素子における最近の進歩は著しく、その特徴は低印加電圧で高輝度、発光波長の多様性、高速応答性、薄型、軽量の発光デバイス化が可能であることから、広汎な用途への可能性を示唆している。
しかしながら、長時間の使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気などによる劣化等の耐久性の面で未だ多くの問題がある。さらにフルカラーディスプレイ等への応用を考えた場合、現状では更なる高輝度の光出力あるいは高効率の発光が必要であり、種々の提案がされている。
アントラセン環を含む材料および有機発光素子の例としては、特許文献17にフェニルアントラセン誘導体が開示されている。特に青色発光材料や電子注入輸送材料として用いた場合に、結晶性が低いため良好な有機膜を形成できるとしているが、発光効率および耐久寿命は実用上十分ではなかった。
特許文献18,19には、それぞれ、アミノアントラセン誘導体とジアミノアントラセン誘導体が開示されている。発光材料として用いて緑色発光が得られるとしているが、素子の発光効率は低く、また、耐久寿命に関しても実用上十分ではなかった。
ビアンスリル化合物を発光材料として用いた素子の例として、特許文献20が開示されており高輝度発光が得られるとしているが、発光効率や耐久寿命に関しての記載がない。
特許文献21にはオレフィン部位を含む特定のアントラセン化合物を発光材料として用いた素子が開示されており、黄色から赤色の発光が得られるとしているが、発光効率は実用上十分ではなかった。
特許文献22には、発光媒体層に特定構造のアントラセン誘導体と電子輸送性化合物とさらにその他の蛍光性化合物を含む素子が開示されている。信頼性を改善した赤色発光素子が得られるとしているが、発光効率は実用上十分ではなく、また、素子構成上青色発光を得ることが困難であった。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、極めて純度のよい発光色相を呈し、高効率で高輝度、高寿命の光出力を有する有機発光素子用化合物を提供することにある。さらには製造が容易でかつ比較的安価に作成可能な有機発光素子を提供する事にある。
本発明者等は、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のビスアントリル誘導基置換化合物は、下記一般式[1]または下記一般式[2]で示されることを特徴とする。
(Aは、芳香環、縮合多環、複素環を含む分子ユニットを示す。
Y1、Y2は、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよいし、異なるビスアントリル誘導基上のY1同士、Y2同士は同じであっても異なっていてもよい。また、Y1、Y2は、互いに結合し環を形成していてもよい。
Z1およびZ2は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、同じであっても異なっていてもよいし、異なるビスアントリル誘導基上のZ1同士、Z2同士は同じであっても異なっていてもよい。
Z3は、直接単結合、置換あるいは未置換のアリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、異なるビスアントリル誘導基上のZ3同士は同じであっても異なっていてもよい。
X1は、置換あるいは未置換のアリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよい。
X2は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルコキシ基及びスルフィド基、アリール基及び複素環基、置換のシリル基、ボラニル基からなる群より選ばれた基であり、異なるビスアントリル誘導基上のX2同士は同じであっても異なっていてもよい。
R1は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アルコキシ基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよい。
R2〜R5は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよく、異なるビスアントリル誘導基上のR2同士、R3同士、R4同士、R5同士は同じであっても異なっていてもよい。
mは0〜6の整数。a+b+n=6−m。ただしm+nは2以上の整数であり、m=0の場合、少なくとも一つのX2は水素原子、重水素原子、ハロゲン原子以外の置換基である。c〜fは1〜8の整数。)
(Y3〜Y6は、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよい。また、Y3、Y4およびY5、Y6は、互いに結合し環を形成していてもよい。
Z4およびZ5は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、同じであっても異なっていてもよい。
Z6およびZ7は、直接単結合、置換あるいは未置換のアリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、同じであっても異なっていてもよい。
X3は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、スルフィド基、アリール基及び複素環基、置換のボラニル基からなる群より選ばれた基である。
R6は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アルコキシ基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよい。
R7〜R10は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよい。
gは1〜3の整数。h〜kは1〜8の整数。)
本発明の有機発光素子は、少なくとも一方が透明か半透明な陽極および陰極からなる一対の電極間に侠持された一層または複数層の有機化合物を含む層より構成される有機発光素子において、前記有機化合物を含む層のうち少なくとも一層が、上記ビスアントリル誘導基置換化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする。
本発明によれば、極めて高輝度、高効率かつ経時安定性に優れた有機発光素子を提供することが可能となる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
まず、本発明のビスアントリル誘導基置換化合物について説明する。
本発明のビスアントリル誘導基置換化合物は、主に有機発光素子用材料として使用できる。その中で発光用として使用する場合、発光層において単独で用いてもよいし、ドーパント(ゲスト)材料、ホスト材料として用いてもよく、高色純度、高発光効率、高寿命素子を得ることができる。
本発明のビスアントリル誘導基置換化合物は、中心骨格に高効率発光ユニットとして少なくとも二つのビスアントリル基を配しており、一般式[2]で示される化合物は、二つのビスアントリル基上がアミノ基あるいは連結基を有するアミノ基で置換されていることを特徴とする。一般式[1]で示される化合物、一般式[2]で示される化合物のいずれにおいても、置換アミノ基を導入することにより、アミノ基上の置換基の変換により材料のHOMO/LUMOレベルを調節し、青、緑、さらにより長波長側の発光色を容易に得ることが可能となる。ドーパント材料として使用する場合、アミノ基上の置換基変換に関し、計算によるHOMO/LUMOレベルの予測を行い、ホスト材料のHOMO/LUMOレベルにあわせ、材料の設計、合成が容易に行える。ホスト材料として使用する場合も同様であり、またホール輸送層、電子輸送層とのエネルギーレベルの差も考慮した分子設計も容易である。アミノ基の置換に伴い、ホール輸送能の向上が期待できる。さらにアントリル基上のアミノ基により、高Tg化でき、スターバスト型のデンドリックな分子形状となることにより膜性及び熱安定性の良い材料を得ることができる。
また、素子寿命の向上のため、中心骨格、アントリル基、及びアミノ基上の置換基に立体障害基や、電気陰性度が大きく近接分子との静電反撥を生じやすいフッ素原子を導入することが好ましい。
以上の考察に加え、本発明のビスアントリル誘導基置換化合物は同位体効果により、分子振動を抑え、熱失活を抑制することを考慮し、重水素置換した分子ユニットを導入することが好ましい。
本発明のビスアントリル誘導基置換化合物は、以上のような考察のもとに分子設計されたものである。
上記一般式[1][2]における置換基、連結基の具体例を以下に示す。
置換あるいは未置換のアルキル基としては、メチル基、メチル−d1基、メチル−d3基、エチル基、エチル−d5基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、iso−プロピル基、iso−プロピル−d7基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ブチル−d9基、iso−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−オクチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、パーフルオロブチル基、5−フルオロペンチル基、6−フルオロヘキシル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、4−クロロブチル基、5−クロロペンチル基、6−クロロヘキシル基、ブロモメチル基、2−ブロモエチル基、ヨードメチル基、2−ヨードエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、4−フルオロシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは未置換のアラルキル基としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルイソプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−(2−ナフチル)エチル基、9−アントリルメチル基、2−(9−アントリル)エチル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは無置換のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基(2−プロペニル基)、1−プロペニル基、iso−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、スチリル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは無置換のアルキニル基としては、アセチレニル基、フェニルアセチレニル基、1−プロピニル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは未置換のアリール基としては、フェニル基、フェニル−d5基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エチルフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、メシチル基、4−tert−ブチルフェニル基、ジトリルアミノフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−ナフチル−d7基、2−ナフチル−d7基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、9−アントリル−d9基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、9−フェナントリル−d9基、1−ピレニル基、1−ピレニル−d9基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは未置換の複素環基としては、ピロリル基、ピリジル基、ピリジル−d5基、ビピリジル基、メチルピリジル基、ターピロリル基、チエニル基、チエニル−d4基、ターチエニル基、プロピルチエニル基、フリル基、フリル−d4基、インドリル基、1,10−フェナントロリン基、フェナジニル基、キノリル基、カルバゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは未置換のアルキレン基としては、メチレン基、メチレン−d2基、ジフルオロメチレン基、エチレン基、エチレン−d4基、パーフルオロエチレン基、プロピレン基、iso−プロピレン基、ブチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは未置換のアラルキレン基としては、ベンジレン基、2−フェニルエチレン基、2−フェニルイソプロピレン基、1−ナフチルメチレン基、2−ナフチルメチレン基、9−アントリルメチレン基、2−フルオロベンジレン基、3−フルオロベンジレン基、4−フルオロベンジレン基、4−クロロベンジル基、4−ブロモベンジレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは無置換のアルケニレン基としては、ビニレン基、iso−プロペニレン基、スチリレン基、1,2−ジフェニルビニレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは無置換のアルキニレン基としては、アセチレニレン基、フェニルアセチレニレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは未置換のアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、テトラフルオロフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基、テトラセニレン基、ペンタセニレン基、ペリレニレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは未置換の二価の複素環基としては、フリレン基、ピロリレン基、ピリジレン基、ターピリジレン基、チエニレン基、ターチエニレン基、オキサゾリレン基、チアゾリレン基、カルバゾリレン等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換または未置換のアミノ基(−NR‘R“)としては、R’およびR”が、水素原子、重水素原子、上記に示した置換または未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、置換あるいは未置換のアリーレン基あるいは二価の複素環基で連結されたアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基及びアミノ基、置換のシリル基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基で表され、例えばアミノ基、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−メチル−N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、アニリノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−フェニル−N−トリルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジアニソリルアミノ基、N−メシチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジメシチルアミノ基、N−フェニル−N−(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは未置換のアルコキシ基としては、上記記載の置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基を有するアルキルオキシ基、アラルキルオキシ基、上記記載の置換あるいは未置換のアリール基、複素環基を有するアリールオキシ基が挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−エチル−オクチルオキシ基、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、ベンジルオキシ基、チエニルオキシ基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは未置換のスルフィド基としては、上記記載の置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基を有するアルキルスルフィド基、アラルキルスルフィド基、上記記載の置換あるいは未置換のアリール基、複素環基を有するアリールスルフィド基が挙げられ、例えばメチルスルフィド基、エチルスルフィド基、フェニルスルフィド基、4−メチルフェニルスルフィド基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換のシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換のボラニル基としては、ジメシチルボラニル基、ジ(2、6−ジエチルフェニル)ボラニル基、ジ(2、6−ジイソプロピルフェニル)ボラニル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
上記置換基を結合する連結基としては、上記置換あるいは未置換のアリーレン基、二価の複素環基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基及びアミノ基、置換のシリル基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
分子ユニットAとしては、置換または無置換のベンゼン環、ビフェニル環、ターフェニル環、ナフタレン環、フェナンスレン環、アントラセン環、テトラセン環、ベンズアントラセン環、クリセン環、ピレン環、ペリレン環、コラヌレン環、トリフェニレン環、チオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピロール環、ターチオフェン環、ターピリジン環、ターピロール環、トリアジン環、カルバゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、ジフェニルメタン環、テトラフェニルシラン、テトラフェニルゲルマン、テトラフェニルメタン等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
上記置換基、連結基、分子ユニットAがさらに有しても良い置換基としては、重水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−オクチル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアルキル基、アラルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−エチル−オクチルオキシ基、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、トリフェニルアミノ基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等のアリール基、ピリジル基、ビピリジル基、メチルピリジル基、チエニル基、ターチエニル基、プロピルチエニル基、フリル基、キノリル基、カルバゾリル基、N−エチルカルバゾリル基等の複素環基、ハロゲン基、水酸基、シアノ基、ニトロ基が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
本発明のビスアントリル誘導基置換化合物の代表例を挙げる。ただし、これらの化合物に限定されるものではない。
次に、本発明の有機発光素子について詳細に説明する。
本発明の有機発光素子は、少なくとも一方が透明か半透明な陽極および陰極からなる一対の電極間に侠持された一層または複数層の有機化合物を含む層より構成される有機発光素子において、前記有機化合物を含む層の少なくとも一層が上記本発明のビスアントリル誘導基置換化合物の少なくとも一種を含有する。
本発明の有機発光素子は、ビスアントリル誘導基置換化合物の少なくとも一種を含有する層が発光層(発光領域を有する層)であることが好ましい。
また、ビスアントリル誘導基置換化合物の少なくとも一種を含有する発光層が、ビスアントリル誘導基置換化合物(第1の化合物)のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する第2の化合物を更に含有する場合、主に第1の化合物からの発光を有効に利用できる。
特に、第1の化合物の吸収波長域と第2の化合物の発光波長域に重なりがあるようにそれぞれの化合物を選択することが望ましく、これによって、第2の化合物から発光効率の高い第1の化合物へのエネルギー移動を促進でき、素子の発光効率を向上することが可能となる。逆に第2の化合物の方がバンドギャップが狭い場合には、効率の高い第1の化合物の発光を有効に利用できない可能性がある。
また、第1の化合物と第2の化合物の両者を用いる利点として、第1の化合物単体で用いる場合に比べ、
(1)第1の化合物の会合による濃度消光を抑える、
(2)第2の化合物の混合により成膜性が向上する、
(3)2種類の化合物を用いることにより、電子とホールのキャリアバランスをとることが容易になる、
等が挙げられる。
(1)第1の化合物の会合による濃度消光を抑える、
(2)第2の化合物の混合により成膜性が向上する、
(3)2種類の化合物を用いることにより、電子とホールのキャリアバランスをとることが容易になる、
等が挙げられる。
発光層中の第1の化合物の濃度は、好ましくは0.01wt%〜80wt%、より好ましくは1wt%〜40wt%である。第1の化合物は第2の化合物からなる層全体に均一あるいは濃度勾配を有して含まれるか、あるいはある領域に部分的に含まれて第1の化合物を含まない第2の化合物の領域があってもよい。
また、上述の効果を増強するために、さらに第3の化合物を添加することも可能である。この場合にも、第3の化合物は第1の化合物よりもバンドギャップが広いものを選択することが重要である。
尚、バンドギャップは紫外−可視光吸収スペクトルを測定することによって求めることができる。
第2の化合物としては、下記一般式[3]、[4]に示す化合物が望ましい。いずれの化合物も、剛直でかつ嵩高いユニットを中心にして、さらに電荷輸送特性や発光特性に優れる縮合多環芳香族基または縮合多環複素環基を有しており、結晶化などが起こりにくく経時安定性に優れ、かつ、素子の高効率発光を可能とする。
(R11〜R14は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基、またはハロゲン原子を表し、同じであっても異なっていても良い。Ar1〜Ar4は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表し、同じであっても異なっていても良い。
q、r、s、tは1〜3の整数を表す。)
(R15およびR16は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、同じであっても異なっていても良い。R17およびR18は水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表し、同じであっても異なっていても良い。Ar5およびAr6は、ベンゼン環3個以上の置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基またはベンゼン環3個以上の置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表し、同じであっても異なっていても良い。pは1〜10の整数を表す。)
一般式[3]で示される化合物についてその代表例を以下に挙げる。
次に、一般式[4]で示される化合物についてその代表例を以下に挙げる。
図1〜図5に本発明の有機発光素子の基本的な素子構成例を示す。
図1は、本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。図1は、基板1上に、陽極2、発光層3及び陰極4を順次設けた構成のものである。ここで使用する発光素子は、それ自体でホール輸送能、エレクトロン輸送能及び発光性の性能を単一で有している場合や、それぞれの特性を有する化合物を混ぜて使う場合に有用である。
図2は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図2は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合は、発光物質はホール輸送性かあるいは電子輸送性のいずれか、あるいは両方の機能を有している材料をそれぞれの層に用い、発光性の無い単なるホール輸送物質あるいは電子輸送物質と組み合わせて用いる場合に有用である。また、この場合、発光層は、ホール輸送層5あるいは電子輸送層6のいずれかから成る。
図3は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図3は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、発光層3,電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。これは、キャリヤ輸送と発光の機能を分離したものであり、ホール輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した化合物と適時組み合わせて用いられ、極めて材料選択の自由度が増すとともに、発光波長を異にする種々の化合物が使用できるため、発光色相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層3に各キャリヤあるいは励起子を有効に閉じこめて、発光効率の向上を図ることも可能になる。
図4は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図4は、図3に対して、ホール注入層7を陽極2側に挿入した構成であり、陽極2とホール輸送層5の密着性改善あるいはホールの注入性改善に効果があり、低電圧化に効果的である。
図5は本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図5は、図3に対してホールあるいは励起子(エキシトン)が陰極4側に抜けることを阻害する層(ホール/エキシトンブロッキング層8)を、発光層3、電子輸送層6間に挿入した構成である。イオン化ポテンシャルの非常に高い化合物をホール/エキシトンブロッキング層8として用いる事により、発光効率の向上に効果的な構成である。
ただし、図1〜図5はあくまでごく基本的な素子構成であり、本発明の有機発光素子の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電極と有機層界面に絶縁性層を設ける、接着層あるいは干渉層を設ける、ホール輸送層がイオン化ポテンシャルの異なる2層から構成されるなど多様な層構成をとることができる。
本発明のビスアントリル誘導基置換化合物は、図1〜図5に示したいずれの基本的な形態においても使用することができる。
本発明は、特に発光層の構成成分として、本発明のビスアントリル誘導基置換化合物を用いるが、必要に応じてこれまで知られている低分子系およびポリマー系のホール輸送性化合物、発光性化合物あるいは電子輸送性化合物などを一緒に使用することもできる。
以下にこれらの化合物例を挙げる。
正孔(ホール)注入輸送性材料としては、陽極からのホールの注入を容易にし、また注入されたホールを発光層に輸送する優れたモビリティを有することが好ましい。正孔注入輸送性能を有する低分子および高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、およびポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
本発明のアントリル誘導基置換化合物以外に使用できる、主に発光機能に関わる材料としては、多環縮合芳香族化合物(例えばナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、ピレン誘導体、テトラセン誘導体、コロネン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、9,10−ジフェニルアントラセン誘導体、ルブレンなど)、キナクリドン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、ナイルレッド、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、スチルベン誘導体、有機金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体)およびポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体、ポリ(チエニレンビニレン)誘導体、ポリ(アセチレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
電子注入輸送性材料としては、陰極からの電子の注入を容易にし、注入された電子を発光層に輸送する機能を有するものから任意に選ぶことができ、ホール輸送材料のキャリア移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子注入輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
本発明の有機発光素子において、アントリル誘導基置換化合物を含有する層およびその他の有機化合物からなる層は、一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマあるいは、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により薄膜を形成する。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択でき、例えば、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
陽極材料としては、仕事関数がなるべく大きなものがよく、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陽極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
一方、陰極材料としては、仕事関数の小さなものがよく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体あるいはリチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、マグネシウム−インジウム等、複数の合金として用いることができる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
また陽極および陰極は、少なくともいずれか一方が透明または半透明であることが望ましい。
本発明で用いる基板としては、特に限定するものではないが、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等の透明性基板が用いられる。また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜などを用いて発色光をコントロールする事も可能である。
なお、作成した素子に対して、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>[例示化合物No.7の製造方法]
(1)中間体(II)の合成
(1)中間体(II)の合成
窒素気流下、3,5−ジブロモトルエン15g(60mmol)、ビスアントラセンボロニックアシド95.5g(0.240mol)を、脱気したトルエン800ml、エタノール400mlの混合溶媒中に溶解、攪拌し、そこに無水炭酸ナトリウム40gを水350mlに溶解させ調整した炭酸ナトリウム水溶液を滴下した。窒素気流下、80℃に加熱したオイルバス上で1時間攪拌した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム3.47g(3mmol)を加えた。80℃に加熱したオイルバス上で約4時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻し、さらに5℃まで冷却し、析出した結晶をろ過した。結晶をトルエン、ヘキサン混合溶媒に加熱下溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:3)で精製して、中間体(I)を38g得た。
中間体(I)10g(12.5mmol)、クロロホルム300mlの溶液を5℃に冷却し、クロロホルム50mlに溶解した臭素5g(27.5mmol)をゆっくり滴下した。滴下後、室温で2時間攪拌し、さらにメタノールを300ml加えて5℃で2時間攪拌した。沈殿物をろ過し、沈殿物をアセトンで分散洗浄、その溶液を5℃に再冷却し、沈殿物をろ過し中間体(II)を9.2g得た。
(2)例示化合物No.7の合成
窒素雰囲気下、酢酸パラジウム162mg(0.722mmol)、トリ−o−トリルホスフィン1.06g(3.47mmol)をキシレン300mlに溶解させ、1時間室温で攪拌した。キシレン200mlをさらに加えた後、窒素気流下(II)3g(3.14mmol)加え、50℃に加熱したオイルバス上で5分攪拌した。N−(4−メチルフェニル)−N−[2−(9,9−ジメチルフルオレニル)]アミン2.16g(7.22mmol)をキシレン50mlに溶解させ滴下し、続いてtert−ブトキサイドナトリウム0.83g(8.66mmol)を加えた。150℃に加熱したオイルバス上で約5時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、水100mlを加え、水層と有機層を分離し、さらに水層をトルエン及び酢酸エチルで抽出し、前の有機層とあわせ硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘプタン=1:3)で精製して、例示化合物No.7を2.8g得た。
<実施例2>[例示化合物No.24の製造方法]
窒素気流下、中間体(II)1.91g(2mmol)、ビス(4−メチルフェニル)アミノベンゼン−4−ボロニックアシド2.14g(6.74mmol)を、脱気したトルエン120ml、エタノール60mlの混合溶媒中に溶解、攪拌し、そこに無水炭酸ナトリウム1.4gを水35mlに溶解させ調整した炭酸ナトリウム水溶液を滴下した。30分攪拌した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム345mg(0.299mmol)を加えた。80℃に加熱したオイルバス上で約4時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、水70ml、酢酸エチル70mlを加え、水層と有機層を分離し、さらに水層をトルエン及び酢酸エチルで抽出し、前の有機層とあわせ硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘプタン=1:3)で精製して、例示化合物No.24を2.2g得た。
<実施例3>
図3に示す構造の有機発光素子を以下に示す方法で作成した。
図3に示す構造の有機発光素子を以下に示す方法で作成した。
基板1としてのガラス基板上に、陽極2としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて120nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板として用いた。これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
正孔輸送材料として下記構造式で示される化合物を用いて、濃度が0.5wt%となるようにクロロホルム溶液を調整した。
この溶液を上記のITO電極上に滴下し、最初に500RPMの回転で10秒、次に1000RPMの回転で1分間スピンコートを行い膜形成した。この後10分間、80℃の真空オーブンで乾燥し、薄膜中の溶剤を完全に除去した。形成されたホール輸送層5の厚みは50nmであった。
次に、第1の化合物として例示化合物No.7と、第2の化合物として例示化合物No.3−7を共蒸着(重量比15:85)して20nmの発光層3を設けた。蒸着時の真空度は1.0×10-5Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
更に電子輸送層6としてバソフェナントロリン(BPhen)を真空蒸着法にて40nmの膜厚に形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-5Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件であった。
次に、アルミニウム−リチウム合金(リチウム濃度1原子%)からなる蒸着材料を用いて、先ほどの有機層の上に、真空蒸着法により厚さ10nmの金属層膜を形成し、更に真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム膜を設け、アルミニウム−リチウム合金膜を電子注入電極(陰極4)とする有機発光素子を作成した。蒸着時の真空度は1.0×10-5Pa、成膜速度は1.0〜1.2nm/secの条件で成膜した。
得られた有機EL素子は、水分の吸着によって素子劣化が起こらないように、乾燥空気雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、3.5Vの印加電圧で、発光輝度1300cd/m2、発光効率12lm/Wの緑色の発光が観測された。
さらに、この素子に窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期約3900cd/m2から100時間後に約3200cd/m2と輝度劣化は非常に少なかった。
また、紫外−可視光吸収スペクトルを測定した結果、第2の化合物のバンドギャップは第1の化合物のバンドギャップより大きかった。
<実施例4>
発光層3の第1の化合物として例示化合物No.2を第2の化合物として例示化合物No.4−1を蒸着した以外は実施例3と同様に有機発光素子を作成し、同様な評価を行った。
発光層3の第1の化合物として例示化合物No.2を第2の化合物として例示化合物No.4−1を蒸着した以外は実施例3と同様に有機発光素子を作成し、同様な評価を行った。
3.5Vの印加電圧で、発光輝度1900cd/m2、発光効率11lm/Wの緑色の発光が観測された。
さらに、この素子に窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期約3900cd/m2から100時間後に約3200cd/m2と輝度劣化は非常に少なかった。
また、紫外−可視光吸収スペクトルを測定した結果、第2の化合物のバンドギャップは第1の化合物のバンドギャップより大きかった。
<実施例5>
電子輸送層6に2,9−ビス[2−(9,9−ジメチルフルオレニル)]フェナントロリンを用い、発光層3の第1の化合物として例示化合物No.3を用い共蒸着(重量比20:80)した以外は実施例4と同様に有機発光素子を作成し、同様な評価を行った。
電子輸送層6に2,9−ビス[2−(9,9−ジメチルフルオレニル)]フェナントロリンを用い、発光層3の第1の化合物として例示化合物No.3を用い共蒸着(重量比20:80)した以外は実施例4と同様に有機発光素子を作成し、同様な評価を行った。
3.5Vの印加電圧で、発光輝度1700cd/m2、発光効率13lm/Wの緑色の発光が観測された。
さらに、この素子に窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期約4200cd/m2から100時間後に約3700cd/m2と輝度劣化は非常に少なかった。
また、紫外−可視光吸収スペクトルを測定した結果、第2の化合物のバンドギャップは第1の化合物のバンドギャップより大きかった。
<実施例6〜12>
第1の化合物として表1に示す化合物を用い共蒸着(重量比15:85)した以外は実施例5と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。その結果を表1に示す。
第1の化合物として表1に示す化合物を用い共蒸着(重量比15:85)した以外は実施例5と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。その結果を表1に示す。
紫外−可視光吸収スペクトルを測定した結果、いずれの実施例においても、第2の化合物のバンドギャップは第1の化合物のバンドギャップより大きかった。
<比較例1>
第1の化合物として下記化合物を用いた他は、実施例5と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。
第1の化合物として下記化合物を用いた他は、実施例5と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。
3.5Vの印加電圧で、発光輝度450cd/m2、発光効率4lm/Wの緑色の発光が観測された。
さらに、この素子に窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期約1400cd/m2から100時間後に約530cd/m2と輝度劣化が大きかった。
紫外−可視光吸収スペクトルを測定した結果、第2の化合物のバンドギャップは第1の化合物のバンドギャップより大きかった。
<実施例13〜16>
第1の化合物として例示化合物No.16を用い、第2の化合物として表1に示す化合物を用い共蒸着(重量比25:75)した以外は実施例5と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。その結果を表2に示す。
第1の化合物として例示化合物No.16を用い、第2の化合物として表1に示す化合物を用い共蒸着(重量比25:75)した以外は実施例5と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。その結果を表2に示す。
紫外−可視光吸収スペクトルを測定した結果、いずれの実施例においても、第2の化合物のバンドギャップは第1の化合物のバンドギャップより大きかった。
<実施例17>
第1の化合物として例示化合物No.7を用い、第2の化合物として例示化合物No.4−1を用い共蒸着(重量比35:65)した以外は実施例5と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。
第1の化合物として例示化合物No.7を用い、第2の化合物として例示化合物No.4−1を用い共蒸着(重量比35:65)した以外は実施例5と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。
3.5Vの印加電圧で、発光輝度2300cd/m2、発光効率17lm/Wの緑色の発光が観測された。
また、紫外−可視光吸収スペクトルを測定した結果、第2の化合物のバンドギャップは第1の化合物のバンドギャップより大きかった。
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層
7 ホール注入層
8 ホール/エキシトンブロッキング層
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層
7 ホール注入層
8 ホール/エキシトンブロッキング層
Claims (8)
- 下記一般式[1]で示されることを特徴とするビスアントリル誘導基置換化合物。
Y1、Y2は、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよいし、異なるビスアントリル誘導基上のY1同士、Y2同士は同じであっても異なっていてもよい。また、Y1、Y2は、互いに結合し環を形成していてもよい。
Z1およびZ2は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、同じであっても異なっていてもよいし、異なるビスアントリル誘導基上のZ1同士、Z2同士は同じであっても異なっていてもよい。
Z3は、直接単結合、置換あるいは未置換のアリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、異なるビスアントリル誘導基上のZ3同士は同じであっても異なっていてもよい。
X1は、置換あるいは未置換のアリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよい。
X2は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルコキシ基及びスルフィド基、アリール基及び複素環基、置換のシリル基、ボラニル基からなる群より選ばれた基であり、異なるビスアントリル誘導基上のX2同士は同じであっても異なっていてもよい。
R1は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アルコキシ基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよい。
R2〜R5は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよく、異なるビスアントリル誘導基上のR2同士、R3同士、R4同士、R5同士は同じであっても異なっていてもよい。
mは0〜6の整数。a+b+n=6−m。ただしm+nは2以上の整数であり、m=0の場合、少なくとも一つのX2は水素原子、重水素原子、ハロゲン原子以外の置換基である。c〜fは1〜8の整数。) - 下記一般式[2]で示されることを特徴とするビスアントリル誘導基置換化合物。
Z4およびZ5は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、同じであっても異なっていてもよい。
Z6およびZ7は、直接単結合、置換あるいは未置換のアリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、同じであっても異なっていてもよい。
X3は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、スルフィド基、アリール基及び複素環基、置換のボラニル基からなる群より選ばれた基である。
R6は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アルコキシ基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよい。
R7〜R10は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、同じであっても異なっていてもよい。
gは1〜3の整数。h〜kは1〜8の整数。) - 重水素原子を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1または2に記載のビスアントリル誘導基置換化合物。
- 少なくとも一方が透明か半透明な陽極および陰極からなる一対の電極間に侠持された一層または複数層の有機化合物を含む層より構成される有機発光素子において、前記有機化合物を含む層のうち少なくとも一層が、請求項1〜3のいずれかに記載のビスアントリル誘導基置換化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする有機発光素子。
- 前記ビスアントリル誘導基置換化合物の少なくとも一種を含有する層が発光層であることを特徴とする請求項4に記載の有機発光素子。
- 前記発光層が、ビスアントリル誘導基置換化合物のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する第2の化合物を更に含有することを特徴とする請求項5に記載の有機発光素子。
- 前記第2の化合物が下記一般式[4]で示されることを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
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