JP2006210229A - 色素増感型太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池およびその製造方法 Download PDF

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Shigenori Morita
成紀 森田
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Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】 色素増感型太陽電池の光利用効率を向上させうる新規な構成を提供する。また
、この色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】 透明基板1と、蛍光体層10と、これらの間に設けられた中間層11とを
有し、蛍光体層10の中間層側の主面の算術平均粗さをRa、蛍光体層10の屈折率をn
1、中間層11の屈折率をn2として、下記a)およびb)の少なくとも一方が成立する色
素増感型太陽電池14とする。
a)2nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.2≦n2
b)40nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.5≦n2
この色素増感型太陽電池14は、例えば太陽電池本体13の透明基板1の受光面側に、
上記物性関係を満たしつつ、中間層11を介して蛍光体層10を形成することにより製造
できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は色素増感型太陽電池およびその製造方法に関し、詳しくは蛍光体層を備えた色
素増感型太陽電池およびその製造方法に関する。
近年、エネルギー問題や環境問題の観点から、化石燃料に替わるクリーンなエネルギー
源として、太陽光発電が注目されている。これまでにシリコン系の太陽電池が実用化され
ているが、電池製造の低コスト化を図るため、入手が容易な二酸化チタンを光電変換の基
幹部品に用いる色素増感型太陽電池の研究が盛んである。
色素増感型太陽電池は、可視光領域に吸収をもつ光増感用色素を利用する技術であるが
、現在のところ、合成されている光増感用色素の吸収波長域、すなわち光電変換に利用で
きる光の波長域が狭く、シリコン系の太陽電池と比べると光利用効率に劣る。
広い吸収波長域をもつ光増感用色素の合成が期待されるものの、二酸化チタンの伝導体
や電解質の酸化還元電位とのエネルギーマッチングが難しく、未だ、シリコン系の太陽電
池に匹敵する程に広い吸収波長域を有する色素を合成するには到っていない。
そこで、別の側面から、入射光のうち、光増感用色素の吸収波長域の外にある光も活用
する技術として、太陽電池の作用極をなす透明基板の受光面に、所定の波長変換特性を有
する蛍光体層を設ける技術がある(特許文献1参照)。
特開2004−171815号公報
しかしながら、蛍光体層から射出される蛍光には全体としての指向性がないため、太陽
電池本体に入射する際に全反射する蛍光の比率が高くなる。このため、特許文献1に代表
される従来の色素増感型太陽電池では、光増感用色素にまで到達する光量が少なく、その
光利用効率を十分に向上できないという問題がある。
そこで、本発明は、蛍光体による波長制御性を利用しつつ、蛍光体による波長変換に付
随する入射光の全反射を低減しうる色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。ま
た、本発明の別の目的は、この色素増感型太陽電池の製造方法を提供することにある。
本発明者は、蛍光体層の表面の粗さに応じて、透明基板と蛍光体層との間に介在する中
間層の屈折率と、蛍光体層の屈折率との関係を制御することにより、色素増感型太陽電池
の特性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の色素増感型太陽電池は、透明基板と、前記透明基板の受光面側に設けられた蛍
光体層と、前記透明基板と前記蛍光体層との間に設けられた中間層とを有する色素増感型
太陽電池であって、前記蛍光体層の前記中間層側の主面の算術平均粗さをRa、前記蛍光
体層の屈折率をn1、前記中間層の屈折率をn2として、下記a)およびb)の少なくとも
一方が成立する。
a)2nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.2≦n2
b)40nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.5≦n2
本発明は、別の側面から、上記色素増感型太陽電池を製造するに適した方法として、透
明基板の受光面側に、中間層を介して蛍光体層を設ける工程を備えた色素増感型太陽電池
の製造方法であって、前記蛍光体層の前記中間層側の主面の算術平均粗さをRa、前記蛍
光体層の屈折率をn1、前記中間層の屈折率をn2として、下記a)およびb)の少なくと
も一方が成立する色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
a)2nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.2≦n2
b)40nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.5≦n2
本発明の色素増感型太陽電池では、蛍光体層の中間層側の主面の粗さに応じて、透明基
板と蛍光体層との間に介在する中間層の屈折率と、蛍光体層の屈折率との関係が制御され
ているため、蛍光体による波長制御性を利用しつつ、蛍光体による波長変換に付随する入
射光の全反射を低減することができる。これにより、色素増感型太陽電池における光利用
効率を向上できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1の断面図で示す色素増感型太陽電池14は、対向する一対の基板1および9を有し
ており、それぞれの基板の内側の主面に接して導電膜2および8が設けられている。また
、一方の導電膜2に接してバリアー層3が、他方の導電膜8に接して触媒層7が設けられ
ている。また、この触媒層7に接して電解質層6が設けられている。そして、バリアー層
3と電解質層6との間に接して酸化物半導体多孔膜4が設けられている。さらに、基板1
の外側(受光面側)の主面に接して中間層11が設けられ、この中間層11に接して蛍光
体層10が設けられている。なお、以下では、基板1から酸化物半導体多孔膜4までの多
層構造体を光電極5と呼び、基板9から触媒層7までの多層構造体を対向電極12と呼び
、基板1から基板9までの多層構造体を色素増感型太陽電池の本体13と呼ぶ。
上記基板1の材料は、当該基板の光透過性を高くできるものほど好ましい。例えば、ガ
ラス板や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート
、ポリエチレンスルフィド、ポリイミドなどの樹脂シートを用いることができる。他方、
基板9は、金属板などの光透過性の低い基板としてもよいし、樹脂シートなどの光透過性
の高い基板としてもよい。
上記導電膜2の材料としては、光透過性が高く、電気抵抗率が低いものが好ましい。例
えば、酸化スズ、酸化亜鉛、ITO(スズドープ酸化インジウム)、FTO(フッ素ドー
プ酸化スズ)などを用いることができる。他方、導電膜8の材料としては、導電膜2と同
様の光透過性の高い材料を用いてもよいし、例えば、銅、ニッケル、銀、金、白金、タン
タル、チタン、ルテニウム、カーボンなどの光透過性の低い導電材料を用いてもよい。
なお、この導電膜2および8は、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法(CVD
法)、塗布法、ゾルゲル法などの公知の方法によって形成できる。また、基板1と導電膜
2との間には、透明性を損なわない程度で、銅などの導電材料からなる導電性薄膜を配し
てもよい。基板9を金属板とする場合には、導電膜8を省略してもよい。
上記酸化物半導体多孔膜4は、内部に無数の微細な空孔を有し、表面に微細な凹凸構造
を有した多孔質構造体(厚さ:約0.1〜100μm)である。この多孔膜4の材料とし
ては、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム
、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化タンタルなどの
金属酸化物微粒子(体積平均粒径:約1〜500nm)を用いることができる。
この酸化物半導体多孔膜4は、上記金属酸化物微粒子を分散させたコロイド液や分散液
等を、スクリーンプリント、インクジェットプリント、ロールコート、ドクターコート、
スピンコート、スプレーコートなどの塗布手段により、例えばバリアー層3の表面に塗布
した後、焼成して得ることができる。ただし、ここにおける焼成温度は600℃以下、好
ましくは350℃から500℃の範囲にあるため、基板を樹脂シートとする場合には、こ
れに代えて、100〜150℃の低温度帯で焼成できる金属酸化物ペーストを用いたり、
マイクロ波による焼成方法を用いたりして、基板の熱変形を防止することが好ましい。
また、この酸化物半導体多孔膜4には、電池の光電変換効率を高めるため、可視光領域
や赤外領域の吸収波長を有する顔料や染料等の公知の光増感用色素を、単独で、または混
合したものを担持させる。
導電膜2と電解質層6とが接触すると、漏れ電流が増大して光電変換効率が低下してし
まう場合がある。そのため、上記構造のようにバリアー層3を設けておくことが好ましい
。このバリアー層3の材料としては、酸化チタンや絶縁性高分子などを用いることができ
る。ただし、その厚みは、光増感用色素と酸化物半導体多孔膜との間で電荷分離した電子
が当該バリアー層を通過できる程度の薄さとしておく必要がある。具体的には10〜50
0nm、好ましくは50〜200nmの範囲とする。なお、このバリアー層3は、ゾルゲ
ル法、スパッタリング法、真空蒸着法、スピンコート法などを用いて形成できる。
上記電解質層6の構成としては特に限定されず、公知の電解質層としての構成とするこ
とができる。例えば、電解液のみの構成としてもよいし、公知の多孔質支持体に電解液を
保持させた構成としてもよい。また、固体電解質層の構成としてもよいし、無機あるいは
有機ホール輸送層の構成としてもよい。
上記電解液は、電解質を溶媒に溶解させて生成する。この電解質としては、酸化体と還
元体からなる一対の酸化還元系構成物質が溶媒中に含まれていれば、特に限定されない。
例えば、酸化体と還元体が同一電荷を持つ酸化還元系構成物質を用いることができる。こ
こで、この酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応において、可逆的に酸化体及び還元体
の形で存在する一対の物質を意味し、例えば塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、
臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イ
オン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)
、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マン
ガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロシアン化物、キノン−ヒ
ドロキノン、フマル酸−コハク酸などが挙げられる。
電解質を溶解する溶媒としては、酸化還元系構成物質を溶解できるとともに、イオン伝
導性に優れた化合物が好ましい。水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用できるが、酸化
還元系構成物質をより安定する側面からは有機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プ
ロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ガン
マーブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン
、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチルーテトラヒドラフラン等の
エーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環
化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合
物、スルフォラン、ジジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド等の非プロトン
性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもできるし、また、
2種類以上を混合して用いることもできる。
上記触媒層7の材料としては、電解質中の酸化還元系構成物質の酸化還元反応に対する
触媒作用を発揮するもの、例えば白金やカーボンなどを用いることができる。なお、この
触媒層7は、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法(CVD法)、塗布法、ゾルゲ
ル法などの公知の方法によって形成できる。なお、上記導電膜8を設けずに、触媒層7の
みを設けてもよい。
上記蛍光体層10は、蛍光材料が内部に分散された基体である。蛍光材料は無機材料で
あっても、有機材料であってもよいが、その分散によって、蛍光体層が350nm以下の
波長域の光を吸収して350nmを超える波長域の光を発光できる材料を選択することが
好ましい。一般に、ガラスを材料とする透明基板では、350nm以下の波長域の光が透
過阻害を受けやすい。それゆえ、このような蛍光材料を包含した蛍光体層によって入射光
の波長を350nmよりも長い波長域にシフトさせると、太陽電池における光利用効率を
向上することができる。
蛍光材料としては、例えば、ナフタルイミドを主材料とした、BASFジャパン社製の
Lumogen F violet570(商標)やLumogen F blue65
0(商標)などを用いることができる。
また、耐候性に優れた材料や、増感色素の量子効率が低い波長域の光を吸収してより量
子効率の高い波長域の光を発光できる材料を、蛍光材料として選択することも好ましい。
基体には、光透過性の材料を用いることが必須である。また、その材料としては、蛍光
強度を高める側面から、基体中に分散させる蛍光材料の吸収波長域とは異なる吸収波長域
を示すものを選択することが好ましい。具体的な材料としては、ガラス板や、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンスルフ
ィド、ポリイミドなどの樹脂シートが挙げられる。また、基体の形状としては、板状のよ
うな定形性の高い形状としてもよいし、フィルム状などの柔軟性の高い形状としてもよい
蛍光材料を分散させた蛍光体層は、例えば、液相にある樹脂やガラスなどの基体材料に
、公知の溶剤または分散剤とともに蛍光材料を混合した後、基体材料を硬化させることに
より作製してもよい。
蛍光体層の中間層側の主面には微細な凹凸構造が設けられており、当該主面の算術平均
粗さをRa(JIS B0601の規定による)、蛍光体層の屈折率をn1、中間層の屈
折率をn2として、下記a)およびb)の少なくとも一方が成立し、好ましくは下記a)
が成立し、より好ましくは下記a)およびb)がともに成立する。
a)2nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.2≦n2
b)40nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.5≦n2
このRaの上限値としては、600nm以下が好ましく、200nm以下がさらに好ま
しい。
また、Raの範囲は、n1−0.2≦n2の関係式が成立する場合に、40nm以上60
0nm以下であることが好ましく、40nm以上200nm以下であることがさらに好ま
しい。
このようにして蛍光体層の中間層側の主面の粗さに応じて、透明基板と蛍光体層との間
に介在する中間層の屈折率と、蛍光体層の屈折率との関係を制御すると、蛍光体による波
長変換に付随する入射光の全反射を低減することができる。
上記凹凸構造を形成するには、例えば、蛍光体層の中間層側の主面をレーザで加工した
り、ヤスリや刃物を用いて研削したり、溶剤や反応性プラズマによってエッチングしたり
、加熱により軟化させた後、所定の凹凸形状を有した鋳型を押圧したりすればよい。また
、蛍光体層の作製ともに凹凸構造を形成してもよく、例えば、樹脂の圧延時やガラスの硬
化時などに用いる鋳型として、所定の凹凸形状を有した鋳型を用いればよい。
上記中間層11は、固体層、液体層、気体層のいずれであってもよい。中間層の材料と
しては、光透過性の高いものほど好ましい。液体層の材料としては、例えばエタノール、
シリコーンオイル、グリセリンなどを用いることができる。気体層の材料としては、例え
ば空気や公知の不活性ガスなどを用いることができる。固体層の材料としては、例えば、
公知の接着剤や粘着剤を用いることができる。入射光の太陽電池内への透過性を高める側
面から、中間層の形態を固体層や液体層とする場合には、層内に気泡が残留しないように
して層を形成することが好ましい。
中間層の形態を液体層または気体層とする場合には、公知の材料からなる封止部材を用
いて中間層の周縁を取り囲み、その気密性を高めておくことが望ましい。中間層の形態を
固体層とする場合には、同様の封止部材を用いて透明基板上に蛍光体層を貼付してもよい
が、封止部材を設けずに固体層自体の粘着性を利用して貼付してもよい。例えば、蛍光フ
ィルムの内側主面(所定の算術平均粗さRaを有する)の上に接着剤層としての中間層が
設けられた蛍光テープを、透明基板に貼付する態様などが挙げられる。
また、上記中間層と透明基板とは、透明基板の屈折率をn3として、n2≦n3+0.5
の関係式を満たすことが好ましい。さらに、n2≦n3+0.2の関係式を満たすことがよ
り好ましい。このようにして中間層の屈折率と透明基板の屈折率との関係を制御すると、
中間層から透明基板への入射光の全反射を低減することができる。
各部材の屈折率は、公知の屈折率の制御方法により調整することができる。例えば、酸
化チタン、酸化ジルコニウム、酸化シリコンなどの無機微粒子を樹脂材料中に分散させる
方法などの、異なる屈折率を有した複数の材料を混合する方法を用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定
されるものではない。
(実施例1)
まず、フッ素がドープされたSnO導電性ガラス(日本板硝子社製OTE(商標))の
表面に、ゾルゲル法を用いてバリアー層としての酸化チタン薄膜(膜厚:100nm)を
形成した。なお、このガラスの屈折率は1.45である。次に、市販の二酸化チタン粉末
(日本エアロジル社製P25(商標)、体積平均一次粒径21nm)に、アセチルアセト
ン、純水、および界面活性剤(和光純薬製TritonX100(商標))を加えて混練
して作製したペーストを、この酸化チタン薄膜上に塗布し、これを乾燥させた後、450
℃で30分間焼成して、膜厚6μmのメソポーラス二酸化チタン多孔質膜を形成した。続
いて、このメソポーラス二酸化チタン多孔質膜を0.3mモル/Lのルテニウム色素のエ
タノール溶液に浸漬して、多孔質膜に光増感用色素を担持させ、光電極を作製した。
これと並行して、フッ素がドープされたSnO導電性ガラス(日本板硝子社製OTE(
商標))の表面に蒸着により白金膜(膜厚:14nm)を形成して、対向電極を作製した
。また、電解液注入孔としての貫通孔を形成した。
上記メソポーラス二酸化チタン多孔質膜の周縁に、封止部材としてのポリオレフィン系
樹脂のホットメルト剤(三井化学社製ハイミラン(商標))を配した後、110℃に加熱
して、上記光電極と対向電極との間に熱圧着した。
電解液注入孔より電解液を注入した後、当該注入孔を上記ホットメルト剤およびカバー
ガラスを用いて封孔し、色素増感型太陽電池の本体を作製した。なお、この電解液は、0
.1M ヨウ化リチウム、0.3M ヨウ化1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリ
ウム 、0.05M ヨウ素および0.5M t−ブチルピリジンを溶質とし、溶媒とし
てのメトキシアセトニトリルに溶解させて生成した。
この本体の光電極側のSnO導電性ガラス上に、中間層としてのエタノール(屈折率:
1.36)を介して蛍光体層を貼り付けて、色素増感型太陽電池を完成させた。なお、充
填したエタノールは、その周縁部を上記ホットメルト剤で取り囲み、蛍光体層とガラス基
板との間に封入した。
上記蛍光体層としては、市販の蛍光材料(BASFジャパン社製Lumogen F
violet570(商標))を質量濃度200ppmで、ポリメタクリル酸メチルを材
料とする基体中に分散したものを用いた。なお、この蛍光体層の内側主面の算術平均粗さ
(Ra)は5.7nmであり、屈折率は1.49である。上記Lumogen F vi
olet570は、250nm〜400nmの光で励起され、400nm〜500nmの
光を発光する蛍光材料である。
(実施例2)
Raが54.4nmである蛍光体層を用いたこと以外は、実施例1と同様の色素増感型
太陽電池である。
(実施例3)
Raが553.8nmである蛍光体層を用いたこと以外は、実施例1と同様の色素増感
型太陽電池である。
(実施例4)
エタノールに代えて空気(屈折率:1)を充填したこと以外は、実施例2と同様の色素
増感型太陽電池である。
(実施例5)
エタノールに代えて空気を充填したこと以外は、実施例3と同様の色素増感型太陽電池
である。
(比較例1)
中間層および蛍光体層を設けずに、色素増感型太陽電池の本体をそのまま用いたこと以
外は、実施例1と同様の色素増感型太陽電池である。
(比較例2)
エタノールに代えて空気を充填したこと以外は、実施例1と同様の色素増感型太陽電池
である。
上記の各電池について、短絡電流を以下のようにして調べた。
〔短絡電流の測定〕
キセノンランプ(ウシオ電機株式会社製SX−UI1501XQ)からの射出光から、
分光器(ツリー応用化学株式会社製MC−10N)を用いて波長290nmの光を分光し
、これを試験光(1mW/cm2)とした。太陽電池の光電極側から試験光を照射しなが
ら、光電極と対向電極との間に電圧0V印加時に流れる電流を電流計(アドバンテスト株
式会社製R8340A)で測定し、短絡電流とした。
実施例1〜5および比較例1〜2の短絡電流を下記表1にまとめて示す。
Figure 2006210229
この表1で示すように、実施例1〜5では、いずれも1.77μA以上の短絡電流値が
得られた。なかでも、実施例1〜3では2.83μA以上の高い短絡電流値が得られた。
また、特に、実施例2では3.19μAもの高い短絡電流値が得られた。他方、比較例1
〜2では、いずれも1.69μA以下の短絡電流値しか得られなかった
ここで、実施例1〜5と比較例1との比較から、中間層側の主面(以下、内側主面と呼
ぶ)が所定のRa範囲にある蛍光体層を、中間層を介するとともに、所定の屈折率の関係
を満たして太陽電池の光電極側に設けることにより、色素増感型太陽電池の短絡電流値を
向上できることが判った。
他方、実施例1〜5と比較例2との比較から、中間層を介して蛍光体層が設けられてい
ても、蛍光体層の内側主面のRaが5.7nmであり、蛍光体層の屈折率(n1)に対す
る中間層の屈折率(n2)の差(n1−n2)が0.49である場合には、短絡電流値の向
上効果を得られないことが判った。
さらに、実施例1と比較例2との比較から、蛍光体層の内側主面のRaが5.7nmに
一致していても、n1−n2が0.13である場合には、n1−n2が0.49である場合に
比して、短絡電流値が1.37μA向上することが判った。
また、実施例4と比較例2との比較から、n1−n2が0.49に一致していても、蛍光
体層の内側主面のRaが54.4nmである場合には、当該Raが5.7nmである場合
に比して、短絡電流値が0.2μA向上することが判った。
また、実施例2と実施例4との比較から、蛍光体層の内側主面のRaが54.4nmで
ある場合には、n1−n2が0.13であると、n1−n2が0.49である場合に比して、
短絡電流値が1.42μA向上することが判った。また、実施例3と実施例5との比較か
ら、蛍光体層の内側主面のRaが553.8nmである場合には、n1−n2が0.13で
あると、n1−n2が0.49である場合に比して、短絡電流値が1.42μA向上するこ
とが判った。
また、実施例1または3と実施例2との比較から、n1−n2が0.13である場合には
、蛍光体層の内側主面のRaが54.4nmであると、当該Raが5.7nmまたは55
3.8nmである場合に比して、短絡電流値が一層向上することが判った。
比較例1において短絡電流が1.69μAと低かった理由としては、透明基板によって
試験光の一部が吸収されてしまい、多孔膜内部の光増感用色素に到達する光の絶対量が減
少したためと考えられる。また、比較例2において短絡電流が1.53μAと低かった理
由としては、n1−n2が0.49であるため、蛍光体層と中間層との界面における全反射
角が狭く、Raが5.7nm程度で蛍光体層の内側主面を粗面化しても、入射光の全反射
率を十分に引き下げられるまでにはその入射角を制御できなかったためと考えられる。
なお、上記実施例では、蛍光体層の内側主面のRaが5.7nm〜553.8nmの範
囲にあり、n1−n2が0.13である場合(0.1≦n1−n2≦0.2)、または、当該
Raが54.4nm〜553.8nmの範囲にあり、n1−n2が0.49である場合(0
.4≦n1−n2≦0.5)を示したが、下記a)およびb)の少なくとも一方が成立する
限り、優れた短絡電流の向上効果が得られることを確認している。
a)2nm≦蛍光体層の内側主面のRa≦1μm、かつ、n1−0.2≦n2
b)40nm≦蛍光体層の内側主面のRa≦1μm、かつ、n1−0.5≦n2
さらに、蛍光体層の内側主面のRaが600nm以下、好ましくは200nm以下であ
ると、さらに優れた短絡電流の向上効果が得られることを確認している。また、n1−0
.2≦n2の関係式が成立する場合に、蛍光体層の内側主面のRaが40nm以上600
nm以下、より好ましくは40nm以上200nm以下の範囲にあると、一層優れた短絡
電流の向上効果が得られることを確認している。
本発明は、蛍光体による波長制御性を利用しつつ、蛍光体による波長変換に付随する入
射光の全反射を低減することができるため、色素増感型太陽電池の光利用効率を向上する
ことにも適用できる。
本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 基板
2 導電膜
3 バリアー層
4 酸化物半導体多孔膜
5 光電極
6 電解質
7 触媒層
8 導電膜
9 基板
10 蛍光体層
11 中間層
12 対向電極
13 本体
14 色素増感型太陽電池

Claims (9)

  1. 透明基板と、前記透明基板の受光面側に設けられた蛍光体層と、前記透明基板と前記蛍
    光体層との間に設けられた中間層とを有する色素増感型太陽電池であって、
    前記蛍光体層の前記中間層側の主面の算術平均粗さをRa、前記蛍光体層の屈折率をn
    1、前記中間層の屈折率をn2として、下記a)およびb)の少なくとも一方が成立する色
    素増感型太陽電池。
    a)2nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.2≦n2
    b)40nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.5≦n2
  2. 前記蛍光体層が、350nm以下の光を吸収して350nm以上の光を発光する請求項
    1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記透明基板が、350nm以下の光を吸収する材料からなる請求項2に記載の色素増
    感型太陽電池。
  4. 前記透明基板の材料が、ガラスである請求項3に記載の色素増感型太陽電池。
  5. 前記Raが600nm以下の範囲にある請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  6. 前記Raが200nm以下の範囲にある請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  7. 前記透明基板の屈折率をn3として、前記a)およびb)において、n2≦n3+0.5
    の関係式が成立する請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  8. 前記a)およびb)がともに成立する請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  9. 透明基板の受光面側に、中間層を介して蛍光体層を設ける工程を備えた色素増感型太陽
    電池の製造方法であって、
    前記蛍光体層の前記中間層側の主面の算術平均粗さをRa、前記蛍光体層の屈折率をn
    1、前記中間層の屈折率をn2として、下記a)およびb)の少なくとも一方が成立する色
    素増感型太陽電池の製造方法。
    a)2nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.2≦n2
    b)40nm≦Ra≦1μm、かつ、n1−0.5≦n2

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