JP2006202375A - 光ヘッド及び光ディスク再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
レーザー光源の温度変化に伴いレーザー光源の波長が変化すると、球面収差が発生し、光ディスク上のスポット品質が劣化する。
【解決手段】
光ヘッド近傍の温度を検出する温度検出手段、および球面収差補正素子を配置すると共に、前記球面収差補正素子を構成するレンズの位置を検出する位置検出手段を搭載し、前記温度検出手段の出力と前記位置検出手段からの出力との関係を示す情報を光ヘッドに付与する。そして、光ディスク再生装置において、前記情報に従い前記球面収差補正素子を駆動する。
【選択図】 図1
レーザー光源の温度変化に伴いレーザー光源の波長が変化すると、球面収差が発生し、光ディスク上のスポット品質が劣化する。
【解決手段】
光ヘッド近傍の温度を検出する温度検出手段、および球面収差補正素子を配置すると共に、前記球面収差補正素子を構成するレンズの位置を検出する位置検出手段を搭載し、前記温度検出手段の出力と前記位置検出手段からの出力との関係を示す情報を光ヘッドに付与する。そして、光ディスク再生装置において、前記情報に従い前記球面収差補正素子を駆動する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高密度光ディスクの記録または再生に用いられる光ヘッドに関する。
光ディスクは、非接触、大容量、低コスト等の特徴を有する情報メディアであり、音楽用、コンピュータ用等の様々な用途で広く用いられているコンパクトディスク(以下CDと表記)に続いて、CDの約7倍の容量を有するデジタルバーサタイルディスク(以下DVと表記)が登場した。
また、近年、25Mb/sクラスの信号を2時間以上記録することができるBlu-ray ディスク(以下BDと表記)が開発されている。BDでは、波長:408nm帯のレーザーダイオードと開口数(N.A.)=0.85の対物レンズを使用することにより、DVDの約5倍の容量を実現している。但し、使用するレーザーの短波長化に伴い以下に説明する不具合が生じる。
図15は、レンズに使用されるガラス材料の波長と屈折率との関係を示した一例である。波長変化に対する屈折率の変化は、波長が短い程急峻になるため、BD(波長:408nm帯)における波長変化に伴う屈折率変化量は、DVD(波長:655nm帯)やCD(波長785nm帯)よりもはるかに大きい。本傾向は、プラスチック材料に関しても同様である。このためBDでは、レンズに入射するレーザー光束の波長が設計中心値と異なる場合、大きな球面収差が発生し、光ディスク上のスポット品質が劣化する。また、BDは狭トラックピッチ、短ピット長であることから、その記録/再生特性に対するスポット品質の影響が大きい。
一般的な青紫色半導体レーザーでは、レーザー光源の温度が1℃上昇する毎に、0.04nm〜0.07nm程度、波長が長くなる。このため、光ヘッドの動作中における温度変化により、レーザーの波長が変化し、球面収差が増大することになる。この場合、光ディスク上における光スポットを十分に絞り込むことができなくなることから、信号の記録/再生特性が劣化することになる。
以上に説明した記録および再生特性の劣化は、光ヘッド使用中における温度変化により生じるため、光ヘッドの組み立て段階において、光学部品を厳密に位置調整し配置したとしても、防止することができない。
したがって、波長:408nm帯のレーザー光源を使用する光ヘッドにおいて、高い信号記録/再生特性を得るためには、温度変化に伴う球面収差の増大を補正する手段が必須となる。
従来技術においては、コリメートレンズに駆動手段を設け、これを駆動することにより温度変化に伴う収差の増大を抑制している(例えば、特許文献1参照)。
上記従来技術では、フォーカス検出誤差を調整してコリメートレンズの位置を決定するため、コリメートレンズの位置調整に長い時間を要する、という課題があった。即ち、従来の技術では、まずレンズの位置を変えてフォーカスエラー信号あるいはトラックエラー信号あるいは光ディスク上に記録されている情報信号(以下RF信号と表記)を検出し、レンズ位置と上記信号との関係を求めた後、最良の位置にレンズを移動させる、という方法をとっているため、レンズの位置調整に長い時間を要していたのである。
光ヘッド近傍の温度が一定量変化する毎に、上記位置調整を行うことが必要であること、および、データをリアルタイムで記録する場合、レンズの位置調整に長い時間を要すると、データ記録が中断されてしまうことを考慮すると、レンズ位置調整に長い時間を要することが課題となっている。
上記レンズの位置調整時間を短縮するための方法として、予め、光ヘッドに搭載した温度検出手段からの出力とレンズ位置との関係を格納しておき、温度が一定量変化した場合にフィードフォワード制御により、レンズの位置を所定量移動させる、という方法が考えられる。
本方法は、光ディスク再生装置に、温度検出手段からの出力とレンズ位置との関係を格納し、温度検出手段からの出力に対応してレンズ位置を移動させるような制御を行わせることにより、容易に実現可能である。
但し、光ディスク再生装置の製造時に、温度検出手段からの出力とレンズ位置との関係を導出する、という工程を入れるは困難である。即ち、光ディスク再生装置において、内部の温度を変えて、その温度における最適なレンズ位置を求める、という工程を導入することは、組み立て時間の増加や設備の確保といった点から極めて難しい。
一方、温度検出手段からの出力とレンズ位置との関係は、光ヘッド固有のものであることから、光ヘッドの組み立て時に、これらの関係を導出することは比較的容易である。上記関係に関する情報を光ヘッドに付加しておくと、本光ヘッドを光ディスク再生装置に搭載する際、上記情報を読み取り、メモリーに格納するだけでよいため、光ディスク再生装置の製造工程への負担がほとんど無い。その結果、上記フィードフォワード制御が容易に実現可能となり、温度変化に伴う記録/再生特性の劣化を低減することが可能となる。
一方、温度検出手段からの出力とレンズ位置との関係は、光ヘッド固有のものであることから、光ヘッドの組み立て時に、これらの関係を導出することは比較的容易である。上記関係に関する情報を光ヘッドに付加しておくと、本光ヘッドを光ディスク再生装置に搭載する際、上記情報を読み取り、メモリーに格納するだけでよいため、光ディスク再生装置の製造工程への負担がほとんど無い。その結果、上記フィードフォワード制御が容易に実現可能となり、温度変化に伴う記録/再生特性の劣化を低減することが可能となる。
本発明では、容易な球面収差補正素子の制御で球面収差を低減することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、波長408nm帯のレーザー光源と、前記レーザー光源から出射された光束を略平行光束にするコリメートレンズと、前記レーザー光源から出射された光束を光ディスク上に集光する対物レンズと、前記対物レンズを保持するアクチュエータと、前記光ディスクからの反射光を検出する光検出器と、光ヘッド近傍の温度を検出する温度検出手段と、前記レーザー光源と前記対物レンズとの光路中に正レンズと負レンズとの2群から構成される球面収差補正素子と、前記球面収差補正素子を構成するレンズの内、一方のレンズを光軸方向に駆動させる駆動手段と、前記駆動されるレンズの位置を検出する位置検出手段と、前記温度検出手段の出力と前記位置検出手段からの出力との関係を示す情報を光ヘッドに付与する構成とする。
本発明によれば、球面収差補正素子の制御を容易に行うことが可能となり、球面収差補正素子の調整に要する時間を短縮することができる。
以下、本発明による実施形態について、図を用いて詳細に説明する。ここでは、実施形態の一例として、BD用光ヘッドについて説明を行う。なお、レーザー光源から出射された光束が光ディスクに絞り込まれるまでの光路を往路、光ディスクからの反射光が光検出器に導かれるまでの光路を復路と記述する。
図7は、本発明の実施例に拘わる光ヘッドの概略構成を示したものである。
レーザー光源2からは、波長約408nmで、偏光方向が紙面に平行な向きの発散光が出射される。本発散光は1/2波長板3に入射し、後に説明するフロントモニター8への入射光量を確保する目的で、紙面に垂直な向きの偏光方向成分を有する偏光に変換される。1/2波長板3を出射した光束は、回折格子4により3つの光束に分割され、ディファレンシャルプッシュプル(以下、DPPと表記)方式を用いたトラックエラー信号検出に使用される。回折格子4を出射した光束は、コリメートレンズ5により略平行光束となった後、プリズム6に入射する。プリズム6は、波長約408nmの光束に対して、P偏光成分は略100%透過し、S偏光成分は略100%反射する。したがって、プリズム6に入射する光束のうち、大部分は透過し、のこりの部分が反射する。本反射光は集光レンズ7により集光され、フロントモニター8に入射する。本フロントモニター8は、レーザー光源2から出射されるレーザー光強度の変化を検出するために設けられており、フロントモニター8の出力をレーザー制御回路にフィードバックすることにより、レーザー光源2からの出射光強度を一定にしている。
レーザー光源2からは、波長約408nmで、偏光方向が紙面に平行な向きの発散光が出射される。本発散光は1/2波長板3に入射し、後に説明するフロントモニター8への入射光量を確保する目的で、紙面に垂直な向きの偏光方向成分を有する偏光に変換される。1/2波長板3を出射した光束は、回折格子4により3つの光束に分割され、ディファレンシャルプッシュプル(以下、DPPと表記)方式を用いたトラックエラー信号検出に使用される。回折格子4を出射した光束は、コリメートレンズ5により略平行光束となった後、プリズム6に入射する。プリズム6は、波長約408nmの光束に対して、P偏光成分は略100%透過し、S偏光成分は略100%反射する。したがって、プリズム6に入射する光束のうち、大部分は透過し、のこりの部分が反射する。本反射光は集光レンズ7により集光され、フロントモニター8に入射する。本フロントモニター8は、レーザー光源2から出射されるレーザー光強度の変化を検出するために設けられており、フロントモニター8の出力をレーザー制御回路にフィードバックすることにより、レーザー光源2からの出射光強度を一定にしている。
プリズム6を透過した光束は、凸レンズ9a(正レンズ)と凹レンズ9b(負レンズ)により構成されたビームエキスパンダー9に入射する。本ビームエキスパンダー9は、光ディスク15に基板厚誤差がある場合に発生する球面収差を補正することを主たる目的として搭載している。
ビームエキスパンダー9を構成する2枚のレンズの内、一方のレンズ9aはモーター18と接続されており、本モーター18を駆動することにより、レンズ9aを光軸方向に移動させることが可能となっている。レンズ9aの位置を変えると、ビームエキスパンダー9に入射する略平行光を、弱発散光、あるいは弱収束光に変換することができるため、対物レンズ14に弱発散光、あるいは弱収束光を入射することができる。この時、対物レンズ14を出射する光束には球面収差が発生することから、本球面収差により、光ディスク15に基板厚誤差がある場合に発生する球面収差を補正するのである。本光ヘッドでは、レーザー光源の波長変動により生じる球面収差の増大についても、ビームエキスパンダー9を用いて低減する。
本光ヘッドでは、ホール素子により構成された位置センサー19を搭載しており、これによりビームエキスパンダー9の可動レンズ9aの位置を検出することが可能となっている。なお、モーター18としてステッピングモーターを使用しており、モーター18に駆動電圧を印加しない場合、レンズ9bの位置は保存される。
ビームエキスパンダー9を構成する2枚のレンズの内、一方のレンズ9aはモーター18と接続されており、本モーター18を駆動することにより、レンズ9aを光軸方向に移動させることが可能となっている。レンズ9aの位置を変えると、ビームエキスパンダー9に入射する略平行光を、弱発散光、あるいは弱収束光に変換することができるため、対物レンズ14に弱発散光、あるいは弱収束光を入射することができる。この時、対物レンズ14を出射する光束には球面収差が発生することから、本球面収差により、光ディスク15に基板厚誤差がある場合に発生する球面収差を補正するのである。本光ヘッドでは、レーザー光源の波長変動により生じる球面収差の増大についても、ビームエキスパンダー9を用いて低減する。
本光ヘッドでは、ホール素子により構成された位置センサー19を搭載しており、これによりビームエキスパンダー9の可動レンズ9aの位置を検出することが可能となっている。なお、モーター18としてステッピングモーターを使用しており、モーター18に駆動電圧を印加しない場合、レンズ9bの位置は保存される。
ビームエキスパンダーを出射した光束は、反射ミラー10を反射した後、立ち上げミラー11により、紙面垂直方向に反射される(図中では、簡略のため2次元で表記)。なお、図7において、紙面内左右方向が光ディスク15の半径方向(=トラッキング方向)21、紙面内上下方向が光ディスク15の接線方向22であり、紙面に垂直な方向がフォーカシング方向23である。
立ち上げミラー11により反射された光束は、アクチュエータ13に搭載された1/4波長板12により円偏光に変換された後、対物レンズ14に入射し、光ディスク15の信号記録層に絞り込まれる。
立ち上げミラー11により反射された光束は、アクチュエータ13に搭載された1/4波長板12により円偏光に変換された後、対物レンズ14に入射し、光ディスク15の信号記録層に絞り込まれる。
光ディスク15からの反射光は、再び対物レンズ14を通過し、1/4波長板12により、往路系における偏光方向と略直交する向きの偏光方向を有する直線偏光に変換される。そして、立ち上げミラー11および反射ミラー10で反射され、ビームエキスパンダーを通過する。そして、プリズム6において反射され、検出レンズ16を通過した後、光検出器17に導かれる。
光検出器17に導かれた光は、電気信号に変換され、信号処理回路においてフォーカスエラー信号およびトラックエラー信号といったサーボ信号、およびRF信号の検出等に使用される。
ここでは、フォーカスエラー信号を検出するのに、非点収差方式を、トラックエラー信号を検出するのにDPP方式およびディファレンシャルフェイズディテクション方式を使用している。
本光ヘッドでは、レーザー光源2の温度を検出するためにCMOS ICの温度センサー20を搭載している。なお、温度センサーとしては、熱電対等、他の手段を用いてもよい。
本光ヘッドでは、レーザー光源2の温度を検出するためにCMOS ICの温度センサー20を搭載している。なお、温度センサーとしては、熱電対等、他の手段を用いてもよい。
図2は、本光ヘッドのレーザー光源2近傍を示した概略図である。レーザー光源2は亜鉛製のLDホルダー32に圧入されており、LDホルダー32が亜鉛製のキャリッジ33に押し当てられ、固定されている。本光ヘッドにおいて温度センサー20は、レーザー光源2の温度を検出するためにLDホルダー32に取付けられている。
なお、温度センサーは、例えば点線で示す位置20'、即ち、LDホルダー32近傍のキャリッジ33等に取り付けてもよい。
図3は、レーザー光源2の温度とLDホルダー32に取り付けた温度センサー20の出力電圧との関係を示した一例である。本温度センサー20では、レーザー光源2の温度が高くなる程、出力電圧が小さくなるという特性を有する。
図4は、本発明光ヘッドにおけるビームエキスパンダー9の可動レンズ9aの位置と位置センサー19からの出力電圧との関係を示した一例である。同図において、25は位置センサー19近傍の環境温度が−20℃の時の特性、26は+20℃の時の特性、27は+60℃の時の特性を示している。位置センサー19からの出力電圧は、環境温度により変化する。ここに示した例では、温度が低くなる程、出力電圧が上がる傾向がある。これはホール素子の持つ温度特性によるものであり、一般的に、位置センサー19の温度特性は光ヘッド毎にばらつきがある。
図5は、本発明光ヘッドにおけるレーザー光源2の波長と光ディスク盤面上のスポットにおける波面収差との関係を示している。但し、ビームエキスパンダー9のレンズ間隔は、設計中心値、即ち、ビームエキスパンダー9に平行光束が入射した場合、平行光束が出射する場合の特性を示している。本光ヘッドでは、レーザー光源2の波長が408nmの場合に、最も収差が小さくなるように設計されている。したがって、レーザー光源2の波長と中心波長:408nmとの差が大きい程、光学部品の屈折率変化が大きくなり、波面収差が増大する。
図6は、本発明光ヘッドにおけるレーザー光源2の温度と光ディスク盤面上のスポットにおける波面収差との関係を示したものである。ここでは、レーザー光源2の温度が20℃の時に、レーザー光源2の波長が408nmとなる場合を示している。本光ヘッドでは、ビームエキスパンダー2のレンズ間隔が1.5mmの時、ビームエキスパンダーに入射した平行光束は、平行光束として出射する。
28は、ビームエキスパンダー9のレンズ間隔を1.5mmに固定した場合におけるレーザー光源2の温度と波面収差との関係を示している。この場合、レーザー光源2の温度変化に伴い、レーザー光源2の波長が変化するため、波面収差が増大する。
一方、29は、波面収差が最小になるように、ビームエキスパンダー9のレンズ間隔を最適化した場合における残留波面収差を示しており、30はその時のレンズ間隔を示している。同図に示すように、レーザー光源2の温度変化に対応して、ビームエキスパンダー9のレンズ間隔を変えることにより、波面収差を大幅に低減することが可能となる。
なお、レーザー光源2の波長は、常温において±5nm程度のばらつきが存在するが、これは後に説明する初期調整(ビームエキスパンダー9のレンズ間隔最適化)により低減できるため、問題とはならない。一方、上記レンズ間隔最適化を行った後にレーザー光源2の温度が変化した場合、レーザー光源2の波長が変化し、波面収差が増加する。このため、レーザー光源2が常温で有する波長ばらつきに拘わらず、レーザー光源2の温度変化に対応したビームエキスパンダー9のレンズ間隔最適化が必須となる。
表1は、本発明光ヘッドにおける、温度センサー20の出力電圧の増減量と位置センサー19の出力電圧の増減量との関係を示した一例である。表4に示す関係は、本光ヘッドを用いて光ディスクの信号再生を行い、温度センサー20の出力が0.24V変化する毎に、ジッタ―が最小となるようにビームエキスパンダー9のレンズ位置を最適化し、その時の位置センサー19の出力電圧を測定することにより、導出している。同表は、例えば、温度センサー20の出力電圧が初期値から0.24V以上、0.48V未満、増加した場合には、ビームエキスパンダー9を駆動し、位置センサー19の出力電圧が初期値から0.12V減少する位置にレンズ9aを移動させればよく、温度センサー20の出力電圧が初期値から0.48V以上、0.72V未満、増加した場合には、位置センサー19の出力電圧が初期値から0.25V減少する位置にレンズ9aを移動させればよいことを示している。
表1において、温度センサー20の出力電圧の増減量と位置センサー19の出力電圧の増減量とが比例していないが、これは主に、図4で説明したように、本光ヘッドに搭載した位置センサー19の温度特性によるものである。
なお、表1は、温度センサー20の出力電圧の増減量と位置センサー19の出力電圧の増減量との関係を示しているが、その理由は本発明光ディスク再生装置のところで説明する。
図1は、本発明光ヘッドの外観を示した概略図である。同図は、光ヘッドを底面から見た図であり、光ディスク再生装置では、紙面向こう側に光ディスクが配置される。なお、キャリッジ33は、ガイドシャフト34、35に沿って、光ディスクの半径方向21に送られる。
本発明光ヘッドでは、キャリッジ33の低面に2次元コードを印刷したシール36を貼り付けており、本2次元コードに、表1に示した情報を記録している。
前述した位置センサー19が有する温度特性のばらつきや、温度センサー20および位置センサー19の取付け位置のばらつき等に起因して、各光ヘッド毎に温度センサー20の出力と位置センサー19の出力との関係が異なる。そこで本発明光ヘッドでは、各光ヘッド毎に、両者の関係を測定して表1に示す関係を導出し、その情報を光ヘッドに付与している。
なお、温度センサー20の出力電圧と位置センサー19の出力電圧との関係がリニアに近い場合には、表2に示すように、温度センサー20出力電圧と位置センサー19出力電圧との割合のみを記録するようにしてもよい。
また、2次元コードシール36は、キャリッジ33にではなく、光ヘッドのFPC等に貼り付けてもよい。
また、本発明光ヘッドでは、2次元コードを使用すると情報を高密度に記録することができるという点から、温度センサー20の出力と位置センサー19の出力との関係を記録するのに2次元コードを使用しているが、数字を記載したシール、あるいはバーコードを記載したシール等を貼り付ける構成にしても良いことは言うまでもない。
以上に説明したように、本発明光ヘッドでは、搭載した温度センサーの出力電圧と、ビームエキスパンダーに設けられた位置センサーの出力電圧との関係を光ヘッドに付与している。これにより、本光ヘッドを光ディスク再生装置に搭載した際、レーザー光源の波長変動に伴う波面収差の増加を容易に低減することができ、高い記録/再生特性を得ることが可能となる。本発明では、球面収差補正素子の制御を容易に行うことが可能となり、球面収差補正素子の調整に要する時間を短縮することができる。
次に、本発明による別の実施形態について、図を用いて説明する。
ここでは、実施形態の一例として、BD、DVD、CDの互換光ヘッドについて説明を行う。
図8は、本発明の実施例に拘わる光ヘッドの概略構成を示したものである。
まず、BDの光学系について説明する。
レーザー光源2からは、波長約408nmで、偏光方向が紙面に平行な向きの発散光が出射される。本発散光は1/2波長板3、回折格子4を通過した後、コリメートレンズ5により略平行光束となり、プリズム6に入射する。プリズム6に入射する光束のうち、大部分は透過してビームエキスパンダー9に入射し、残りの部分が反射してフロントモニター8に入射する。
まず、BDの光学系について説明する。
レーザー光源2からは、波長約408nmで、偏光方向が紙面に平行な向きの発散光が出射される。本発散光は1/2波長板3、回折格子4を通過した後、コリメートレンズ5により略平行光束となり、プリズム6に入射する。プリズム6に入射する光束のうち、大部分は透過してビームエキスパンダー9に入射し、残りの部分が反射してフロントモニター8に入射する。
ビームエキスパンダー9を出射した光束は、分離ミラー10aを反射した後、立ち上げミラー11aにより、紙面垂直方向に反射される(図中では、簡略のため2次元で表記)。なお、分離ミラー10aは、波長:408nm帯の光束をほぼ100%反射し、波長:655nm帯の光束および波長:785nm帯の光束をほぼ100%透過する特性を有している。また、立ち上げミラー11aは、上記3波長の光束をいずれも、ほぼ100%反射する特性を有している。立ち上げミラー11aにより反射された光束は、特殊波長板12aにより円偏光に変換された後、1群の互換対物レンズ14aに入射し、光ディスク15の信号記録層に絞り込まれる。
なお、特殊波長板12aは、BDおよびDVDでは1/4波長板として作用し、CDでは1波長板として作用する。また、互換対物レンズ14aは、BD、DVD、CD共、平行光束を入射することにより光ディスク15上に各光束を絞り込むことができる1群の特殊対物レンズである。
光ディスク15からの反射光は、再び互換対物レンズ14a、特殊波長板12aを通過し、立ち上げミラー11aおよび分離ミラー10aで反射され、ビームエキスパンダー9を通過する。そして、プリズム6において反射され、検出レンズ16を通過した後、光検出器17に導かれる。
本光ヘッドでは、ホール素子により構成された位置センサー19を搭載しており、これによりビームエキスパンダー9の可動レンズ9aの位置を検出することが可能となっている。また、BD用レーザー光源2の温度を検出するためにCMOS ICの温度センサー20を搭載している。
次に、DVDの光学系について説明する。
レーザー光源2aからは、波長約655nmで、偏光方向が紙面にほぼ平行な向きの発散光が出射される。本発散光は、回折格子4aにより3つの光束に分割され、プリズム6aにおいて大部分が反射され、プリズム6bを透過した後、コリメートレンズ5aで略平行光に変換される。また、プリズム6aに入射した光束の内、残りの部分は透過し、フロントモニター8aに入射する。コリメートレンズ5aを出射した光束は、分離ミラー10aをほぼ100%透過し、立ち上げミラー11aで反射された後、特殊波長板12aに入射する。特殊波長板12aに入射した光束は円偏光に変換された後、特殊対物レンズ14aにより、光ディスク15の信号記録層に絞り込まれる。
レーザー光源2aからは、波長約655nmで、偏光方向が紙面にほぼ平行な向きの発散光が出射される。本発散光は、回折格子4aにより3つの光束に分割され、プリズム6aにおいて大部分が反射され、プリズム6bを透過した後、コリメートレンズ5aで略平行光に変換される。また、プリズム6aに入射した光束の内、残りの部分は透過し、フロントモニター8aに入射する。コリメートレンズ5aを出射した光束は、分離ミラー10aをほぼ100%透過し、立ち上げミラー11aで反射された後、特殊波長板12aに入射する。特殊波長板12aに入射した光束は円偏光に変換された後、特殊対物レンズ14aにより、光ディスク15の信号記録層に絞り込まれる。
光ディスク15からの反射光は、再び特殊対物レンズ14aを通過し、特殊波長板12aにより、往路系における偏光方向と略直角な向きの偏光方向を有する直線偏光に変換される。そして、特殊波長板12aを出射した光束は、立ち上げミラー11aで反射され、分離ミラー10aを透過し、コリメートレンズ5aに入射する。コリメートレンズ5aを出射した光束は、プリズム6bで反射され、検出レンズ16aを通過した後、光検出器17aに導かれる。
次に、CDの光学系について説明する。
レーザー光源2bからは、波長約785nmで、偏光方向が紙面にほぼ垂直な向きの発散光が出射される。本発散光は、回折格子4bにより3つの光束に分割され、プリズム6a、およびプリズム6bを大部分が透過した後、コリメートレンズ5aで略平行光に変換される。また、プリズム6aに入射した光束の内、一部は反射し、フロントモニター8aに入射する。コリメートレンズ5aを出射した光束は、分離ミラー10aをほぼ100%透過し、立ち上げミラー11aで反射された後、特殊波長板12aに入射する。特殊波長板12aに入射した光束は特殊波長板12aを透過し、互換対物レンズ14aにより光ディスク15の信号記録層に絞り込まれる。
レーザー光源2bからは、波長約785nmで、偏光方向が紙面にほぼ垂直な向きの発散光が出射される。本発散光は、回折格子4bにより3つの光束に分割され、プリズム6a、およびプリズム6bを大部分が透過した後、コリメートレンズ5aで略平行光に変換される。また、プリズム6aに入射した光束の内、一部は反射し、フロントモニター8aに入射する。コリメートレンズ5aを出射した光束は、分離ミラー10aをほぼ100%透過し、立ち上げミラー11aで反射された後、特殊波長板12aに入射する。特殊波長板12aに入射した光束は特殊波長板12aを透過し、互換対物レンズ14aにより光ディスク15の信号記録層に絞り込まれる。
光ディスク15からの反射光は、再び互換対物レンズ14aを通過し、特殊波長板12aを透過する。本特殊波長板12aは、CD系の光束に対して1波長板として作用するため、復路系における偏光方向は、往路系における偏光方向とほぼ同一方向である。そして、特殊波長板12aを出射した光束は、立ち上げミラー11aで反射され、分離ミラー10aを透過し、コリメートレンズ5aに入射する。コリメートレンズ5aを出射した光束は、プリズム6bにおいて、透過光と反射光に分けられ、反射光は、検出レンズ16aを通過した後、光検出器17aに導かれる。
図8に示したBD、DVD、CDの互換光学系は、DVDおよびCDの特性も併せて確保しなければならないことから、図7に示したBD専用の光学系と比較して、波長408nm近傍におけるレーザー光源2の波長変動による球面収差がより増加する傾向がある。即ち、BD専用の光学系では、波長408nm近傍においてのみ特性の良い材料を使用して光学系を組むことができるため、波長408nm近傍の波長変動の影響を受け難いように各光学部品の材質等を選択することができる。それに対して、互換光学系では波長655nm帯および波長785nm帯における特性も考慮しなければならないため、各光学部品に使用する材質により大きな制限が生じ、その結果波長408nm近傍における、波長変動の影響がより大きくなるのである。したがって、互換光学系では補正すべき球面収差が増加し、本発明の効果がより顕著になる。
表3は、本発明光ヘッドにおける、温度センサー20の出力電圧の増減量と位置センサー19の出力電圧の増減量との関係を示した一例である。
本発明光ヘッドにおいても、図1と同様、表3に示した情報を記録した2次元コードをキャリッジ33の低面に貼り付けている。
次に、本発明による別の実施形態について、図を用いて説明する。
ここでは、実施形態の一例として、球面収差補正素子に液晶素子を使用したBD用光ヘッドについて説明する。
ここでは、実施形態の一例として、球面収差補正素子に液晶素子を使用したBD用光ヘッドについて説明する。
図9は、本発明の実施例に拘わる光ヘッドの概略構成を示したものである。
レーザー光源2からは、波長約408nmで、偏光方向が紙面に平行な向きの発散光が出射される。本発散光は1/2波長板3に入射し、紙面に垂直な向きの偏光方向成分を有する偏光に変換される。1/2波長板3を出射した光束は、回折格子4により3つの光束に分割され、コリメートレンズ5により略平行光束となった後、プリズム6に入射する。プリズム6に入射した光束のうち、大部分は透過し、のこりの部分が反射する。本反射光は集光レンズ7により集光され、フロントモニター8に入射する。
レーザー光源2からは、波長約408nmで、偏光方向が紙面に平行な向きの発散光が出射される。本発散光は1/2波長板3に入射し、紙面に垂直な向きの偏光方向成分を有する偏光に変換される。1/2波長板3を出射した光束は、回折格子4により3つの光束に分割され、コリメートレンズ5により略平行光束となった後、プリズム6に入射する。プリズム6に入射した光束のうち、大部分は透過し、のこりの部分が反射する。本反射光は集光レンズ7により集光され、フロントモニター8に入射する。
プリズム6を透過した光束は、反射ミラー10を反射した後、立ち上げミラー11により、紙面垂直方向に反射される(図中では、簡略のため2次元で表記)。
立ち上げミラー11により反射された光束は、アクチュエータ13に搭載された液晶素子31に入射する。本液晶素子31は、印加する電圧の大きさにほぼ比例した大きさの球面収差を発生することができ、光ディスク15に基板厚誤差がある場合に発生する球面収差を補正することを主たる目的として搭載している。本光ヘッドでは、レーザー光源2の波長変動により生じる波面収差の増大を、液晶素子31を用いて低減する。
なお、液晶素子は特定の方向の偏光方向にのみ作用することから、本液晶素子31では光ディスクの半径方向21の偏光に対して作用する液晶素子と光ディスクの接線方向22の偏光に対して作用する液晶素子とを重ねた構造となっている。これにより、往路系および復路系の両方において、球面収差を補正することが可能となっている。
液晶素子31を出射した光束は、1/4波長板12により円偏光に変換された後、対物レンズ14に入射し、光ディスク15の信号記録層に絞り込まれる。
光ディスク15からの反射光は、再び対物レンズ14を通過し、1/4波長板12により、往路系における偏光方向と略直交する向きの偏光方向を有する直線偏光に変換された後、液晶素子31を通過する。そして、立ち上げミラー11、反射ミラー10、プリズム6で反射され、検出レンズ16を通過した後、光検出器17に導かれる。
本光ヘッドでは、レーザー光源2の温度を検出するためにCMOS ICの温度センサー20を搭載している。
図10は本発明光ヘッドに搭載した液晶素子31の駆動方法を示したものである。液晶素子31に給電するためのFPC37には、3つの端子があり、1つは共通端子(COM:+2.5Vを供給)、残り2つがVA端子とVB端子となる。VA端子には、COMを中心として±V1(V)の矩形波を印加し、VB端子には、COMを中心として±V2(V)の矩形波を印加することにより、液晶素子31を駆動する。
表4は、本発明光ヘッドにおける、温度センサー20の出力電圧の増減量と液晶素子31への印加電圧の増減量との関係を示した一例である。表4に示す関係は、本光ヘッドを用いて光ディスク15の信号再生を行い、レーザー光源2の温度が変化し温度センサーの出力が0.24V変化する毎に、ジッタ―が最小となるように液晶素子31の駆動電圧を最適化することにより、導出している。
表4は、本発明光ヘッドにおける、温度センサー20の出力電圧の増減量と液晶素子31への印加電圧の増減量との関係を示した一例である。表4に示す関係は、本光ヘッドを用いて光ディスク15の信号再生を行い、レーザー光源2の温度が変化し温度センサーの出力が0.24V変化する毎に、ジッタ―が最小となるように液晶素子31の駆動電圧を最適化することにより、導出している。
本発明光ヘッドでは、図1と同様に、キャリッジ33の低面に2次元コードが記録されたシール36を貼り付けており、本2次元コードには、表4に示した情報が記録されている。
なお、液晶素子31に給電する端子に印加する電圧値のすべてを記録しておく必要はなく、例えば表4では、V1印加電圧増減量=−(V2印加電圧増減量)の関係があることから、V1またはV2の印加電圧増減量のみ記録しておいてもよい。また、温度センサー20の出力と液晶素子31への印加電圧との関係がリニアに近い場合には、表5に示すように、温度センサー20の出力電圧の増減量と液晶素子31への印加電圧の増減量との割合のみを記録するようにしてもよい。
なお、液晶素子31に給電する端子に印加する電圧値のすべてを記録しておく必要はなく、例えば表4では、V1印加電圧増減量=−(V2印加電圧増減量)の関係があることから、V1またはV2の印加電圧増減量のみ記録しておいてもよい。また、温度センサー20の出力と液晶素子31への印加電圧との関係がリニアに近い場合には、表5に示すように、温度センサー20の出力電圧の増減量と液晶素子31への印加電圧の増減量との割合のみを記録するようにしてもよい。
以上に説明したように、本発明光ヘッドでは、搭載した温度センサー20の出力電圧と、液晶素子への印加電圧との関係を光ヘッドに付与している。これにより、本光ヘッドを光ディスク再生装置に搭載した際、レーザー光源の波長変動に伴う波面収差の増加を容易に低減することができ、高い記録/再生特性を得ることが可能となる。
次に、本発明光ディスク再生装置について、図を用いて説明する。ここでは、実施形態の一例として、図7に示した光ヘッドを搭載した光ディスク再生装置について説明を行う。
図11は、本発明光ディスク再生装置の構成を示した概略図である(図は簡略のため2次元で表記)。
光ヘッド1において、レーザー光源2から出射された光束は、対物レンズ14により光ディスク15上に絞り込まれる。そして、光ディスク15からの反射光は、光検出器17に導かれ、電気信号に変換された後、信号処理回路45においてサーボ信号、およびRF信号等が検出される。
信号処理回路45において生成されたフォーカスエラー信号はフォーカス制御回路43に供給される。このフォーカス制御回路43において、アクチュエータ13の駆動信号を生成し、出力することにより、対物レンズ14はフォーカシング方向23に制御され、フィードバックループのフォーカス制御を実現して、常に光ディスク15の記録層に対して合焦点にいる状態を保つ。
一方、前記信号処理回路45において生成されたトラックエラー信号は、トラッキング制御回路44に供給される。このトラッキング制御回路44において、アクチュエータ13の駆動信号を生成し、出力することにより、対物レンズ14はトラッキング方向(=光ディスクの半径方向21)に制御され、フィードバックループのトラッキング制御を実現して、常に光ディスク15の記録層におけるトラック上にいる状態を保つ。
また、トラッキング制御回路44から出力された駆動信号は図示せぬスレッド制御回路にも供給される。そして、スレッド制御回路において、対物レンズ14のトラッキング方向へのずれ量に応じて図示せぬスレッドモータを制御する駆動信号が生成され、スレッドモータに出力される。これによって、スレッドモータを動かし、光ヘッド1全体を光ディスクの半径方向21に移動させる。
また、信号処理回路45では、光ディスク15から読み取った回転周期情報をスピンドル制御回路47に供給する。そして、スピンドル制御回路47において、上記回転周期情報に基づいてスピンドルモータ51を駆動する信号を生成し、これをスピンドルモータ51に出力する。
また、フロントモニター8の出力をレーザー制御回路42にフィードバックすることにより、レーザー光源2からの出射光強度を一定にしている。
マイクロコンピュータ(以下、マイコンと表記)46は、回路の初期化等を行うと共に、レーザー制御回路42に対してレーザー点灯/消灯およびレーザーパワーの指示を行う。また、フォーカス制御回路43に対して、フォーカスサーボループのオープン/クローズの指示、トラッキング制御回路44に対して、トラッキングサーボループのオープン/クローズの指示、スピンドル制御回路47に対してスピンドルの回転/停止および回転速度の指示等を行う。
また、マイコン46は、温度センサー20からの出力電圧に対応して、ビームエキスパンダーレンズ駆動モーター18の駆動回路41に対して、駆動信号の生成/非生成の指示を行う。以下に、ビームエキスパンダー9の駆動方法について、図を用いて詳細に説明する。
図12は、本発明光ディスク再生装置における可動レンズ9aの位置の概略制御フローを示したものである。
本光ディスク再生装置では、その製造工程において、光ヘッドに付与された情報に基づき、表6に示すパラメータテーブルをマイコン46に格納している。表6において、セル91〜97は温度センサー20出力電圧の初期値からの増減量を示し、セル91'〜97'は位置センサー19出力電圧の初期値からの増減量を示している。
まず、ステップ101において、光ディスク再生装置に電源を入れた後、光ディスク15を挿入する、或いは、光ディスク15が挿入された光ディスク再生装置に電源を入れる。
次に、ステップ102において、可動レンズ9aの初期位置調整を行う。ここでは、可動レンズ9aの位置とRF信号振幅との関係を求めた後、RF信号振幅が最大となる位置に可動レンズ9aを移動させる。本光ディスク再生装置では、初期調整においてのみ、RF信号振幅が最大となる位置を求める。なお、このような可動レンズ9a位置の最適化の方法としては、特開2002−342952に詳しく示されているので、ここでは説明を省略する。
本初期調整により、使用する光ディスク15のディスク基板厚誤差により発生する球面収差、並びに、この時点におけるレーザー光源2の波長が、本光ヘッドの所定波長(408nm)と異なることに起因して発生する球面収差が補正される。
次に、ステップ103として、上記初期調整終了時における温度センサー20の出力電圧並びに位置センサー19の出力電圧をマイコン46において記憶する。
なお、初期調整終了時における温度センサー20の出力電圧と位置センサー19の出力電圧との関係は、同一光ヘッドであっても1対1に対応しない。これは、使用する光ディスク15の基板厚誤差および初期調整時におけるレーザー光源2の波長により、可動レンズ9aの位置が変わり、位置センサー19の出力電圧が変わるためである。したがって、本光ディスク再生装置では、初期調整終了時における温度センサー20の出力電圧からの増減量に対応して、可動レンズ9aの位置を変える。
次に、ステップ104において、信号の記録、又は、再生を開始する。
次に、ステップ105において、温度センサー20からの出力電圧を検出する。
そして、ステップ106において、ステップ103で格納した温度センサー20の出力電圧の初期値と、ステップ105において検出した温度センサー20の出力電圧とを比較し、その差分を検出する。
次に、ステップ107において、マイコン46に格納しているパラメータテーブル(表6)を参照し、ステップ106において検出した差分が、セル91〜97の内、どのセルと一致するかを検出する。
次に、ステップ108において、ステップ107において検出したセルが、前回検出したセルと同じであるか否かを判断する。なお、初期状態では、ステップ107において検出したセルがセル95と同じであるか否かを判断する。セルが前回と同じ場合、可動レンズ9aを動かすことなく、ステップ105に移る。
次に、ステップ104において、信号の記録、又は、再生を開始する。
次に、ステップ105において、温度センサー20からの出力電圧を検出する。
そして、ステップ106において、ステップ103で格納した温度センサー20の出力電圧の初期値と、ステップ105において検出した温度センサー20の出力電圧とを比較し、その差分を検出する。
次に、ステップ107において、マイコン46に格納しているパラメータテーブル(表6)を参照し、ステップ106において検出した差分が、セル91〜97の内、どのセルと一致するかを検出する。
次に、ステップ108において、ステップ107において検出したセルが、前回検出したセルと同じであるか否かを判断する。なお、初期状態では、ステップ107において検出したセルがセル95と同じであるか否かを判断する。セルが前回と同じ場合、可動レンズ9aを動かすことなく、ステップ105に移る。
本光ヘッドでは、可動レンズ9aの駆動に、ステッピングモーターを使用しているため、ステッピングモーターに駆動電圧を加えなければ、可動レンズ9aの位置は保存される。したがって、ステップ108からステップ105に移る際、ステッピングモーターに駆動電圧は加えない。なお、可動レンズ9aの駆動に、例えばアクチュエータのように、電流を流し続けないと位置を保持できないような駆動手段を使用している場合には、ステップ108からステップ105に移る際にも、電流を流し続け位置を保持する。
一方、ステップ108において、セルが異なっている場合、ステップ109に移る。ステップ109では、マイコン46に格納しているパラメータテーブル(表6)を参照し、ステップ107において検出したセルに対応する位置センサー19出力電圧の増減量を検出する。本増減量が可動レンズ9aを動かす際の目標値となる。
ステップ110において、位置センサー19の出力電圧から初期値を減算した値が、ステップ109において検出した値と一致するように、可動レンズ9aの位置を移動させる。そして、再びステップ105に移る。
ステップ110において、位置センサー19の出力電圧から初期値を減算した値が、ステップ109において検出した値と一致するように、可動レンズ9aの位置を移動させる。そして、再びステップ105に移る。
以上に示した手順により、本光ディスク再生装置では、可動レンズ9aを駆動する。
図13は、本光ディスク再生装置における温度センサー出力電圧の増減量と位置センサー出力電圧の増減量との関係を示したものである。ここでは、温度センサー出力電圧が0.24V変化する毎にビームエキスパンダーの位置を変えているため、ここに示すような階段型の関係となっている。
なお、ここに示したのは一例であり、ビームエキスパンダーの位置を変える頻度はこれに限定するものではない。
本発明光ディスク再生装置では、以上に説明した簡単な制御で、光ディスク上のスポット品質の劣化を防止し、高い記録/再生特性を実現している。
なお、球面収差補正素子として図9に示したように液晶素子を搭載している場合は、パラメータテーブルにある上記位置センサー19の出力電圧の増減量が、液晶素子の駆動電圧の増減量に変わり、可動レンズを動かすのではなく、パラメータテーブルの値に従い、液晶素子に印加する電圧を変化させることになる。基本的な制御は、同じであるため説明は省略する。
また、本光ディスク再生装置では、パラメータテーブルの格納、および検出電圧の比較等をマイコン46で行っているが、信号処理回路45で行う、あるいはマイコン46と信号処理回路45の両方で行う構成としても良いことはいうまでもない。
一方、特定の温度における位置センサー19の出力電圧の最適値を光ヘッドに付与する構成としてもよい。ここでは、室温において、ビームエキスパンダー9から出射する光束が平行光となる場合における、位置センサー19の出力電圧値を最適値として光ヘッドに付与している。なお、例えば室温において、信号を再生した場合におけるジッタが最小となる場合における位置センサー19の出力電圧値を付与してもよく、これ以外でも構わない。
そして、光ディスク再生装置において、図12で説明したステップ101とステップ102の間に、位置センサー19の出力電圧が上記最適値と一致するようにビームエキスパンダー9のレンズを移動させる、というステップを入れることにより、ステップ102の初期調整が容易になる。
そして、光ディスク再生装置において、図12で説明したステップ101とステップ102の間に、位置センサー19の出力電圧が上記最適値と一致するようにビームエキスパンダー9のレンズを移動させる、というステップを入れることにより、ステップ102の初期調整が容易になる。
光ヘッドに付与した最適値は、光ディスク再生装置の内部温度等の影響により本来の最適値と若干、異なることが予想されるため、ステップ102の初期調整を行うことは必須である。しかし、両者の差は小さいことから、位置センサー19の出力電圧が、光ヘッドに付与した最適値となるように、予めビームエキスパンダー9のレンズを移動させておくことで、フォーカスの引き込みが失敗する可能性を低減することができ、且つ、ステップ102の初期調整において、ビームエキスパンダー9のレンズ位置が大きくはずれた状態でのデータ採取を避けることができるのである。
このように、光ヘッドに付与した位置センサー19の出力電圧値を基に、ビームエキスパンダー9のレンズ位置を移動させることにより、球面収差補正素子の初期調整が容易になり、調整に要する時間も短縮できる。
図14は、本発明の光ディスク再生装置の概略斜視図である。
キャリッジ33上に光学部品が配置され、本発明光ヘッド1が構成されている。キャリッジ33は、ユニットメカシャ−シ56に搭載されたキャリッジ送り機構によって、ユニットメカシャ−シ56に配置された2本のガイドシャフト34、35に沿い、光ディスク15の半径方向21に移動可能となっている。
キャリッジ33上に光学部品が配置され、本発明光ヘッド1が構成されている。キャリッジ33は、ユニットメカシャ−シ56に搭載されたキャリッジ送り機構によって、ユニットメカシャ−シ56に配置された2本のガイドシャフト34、35に沿い、光ディスク15の半径方向21に移動可能となっている。
本発明光ディスク再生装置は、光ディスクトレイ53上に置かれた光ディスク15を、図示せぬ光ディスクロ−ディング機構により、装置内に送る、あるいは装置外に出す、という動作を行う。また、装置内に送られた光ディスク15は、スピンドルモ−タ−の回転軸に一体に構成されたタ−ンパラメータテーブル52に搭置され、クランパ−ホルダ−55に取付けられているクランパ−54によって吸引固定される。
スピンドルモ−タ−により、光ディスク15は回転し、光ディスク15上への信号の書き込み、あるいは、光ディスク15上に記録された信号の読み出しを、光ヘッド1によって行う。
ユニットメカシャ−シ56は、弾性部材で構成した防振脚58を介して、メカベ−ス57に取付けられている。また、装置全体にはボトムカバ−59とトップカバ−60が取付けられている。
ただし、光ディスク15としてカートリッジを用いた場合でもかまわない。また、光ディスク15をトレイに載せて挿入する方式以外に、光ディスク15あるいはカートリッジそれ自体を自動あるいは手動によって挿入する方式等、従来公知の各種方式を用いることができる。
1…光ヘッド、2…レーザー光源、3…1/2波長板、4…回折格子、5…コリメートレンズ、6…プリズム、7…集光レンズ、8…フロントモニター、9…ビームエキスパンダー、9a…正レンズ、9b…負レンズ、10…反射ミラー、11…立ち上げミラー、12…1/4波長板、13…アクチュエータ、14…対物レンズ、15…光ディスク、16…検出レンズ、17…光検出器、18…ビームエキスパンダーレンズ駆動モーター、19…位置センサー、20…温度センサー、21…光ディスクの半径方向(トラッキング方向)、22…光ディスクの接線方向、23…フォーカシング方向、31…液晶素子、32…LDホルダー、33…キャリッジ、34、35…ガイドシャフト、36…2次元コードシール、37…液晶素子のFPC、41…モーター駆動回路、42…レーザー制御回路、43…フォーカス制御回路、44…トラッキング制御回路、45…信号処理回路、46…マイコン、47…スピンドル制御回路、51…スピンドルモータ、52…ターンパラメータテーブル、53…光ディスクトレイ、54…クランパー、55…クランパーホルダー、56…ユニットメカシャーシ、57…メカベース、58…防振脚、59…ボトムカバー、60…トップカバー
Claims (14)
- 波長408nm帯のレーザー光源と、
前記レーザー光源から出射された光束を略平行光束にするコリメートレンズと、
前記レーザー光源から出射された光束を光ディスク上に集光する対物レンズと、
前記対物レンズを保持するアクチュエータと、
前記光ディスクからの反射光を検出する光検出器と、
光ヘッド近傍の温度を検出する温度検出手段と、
前記レーザー光源と前記対物レンズとの光路中に正レンズと負レンズとの2群から構成される球面収差補正素子と、
前記球面収差補正素子を構成するレンズの内、一方のレンズを光軸方向に駆動させる駆動手段と、
前記駆動されるレンズの位置を検出する位置検出手段と、
前記温度検出手段の出力と前記位置検出手段からの出力との関係を示す情報を光ヘッドに付与したことを特徴とする光ヘッド。 - 波長408nm帯のレーザー光源を含む少なくとも1つのレーザー光源と、前記レーザー光源から出射された光束を略平行光束にする少なくとも1つのコリメートレンズと、前記レーザー光源から出射された光束を光ディスク上に集光する少なくとも1つの対物レンズと、前記対物レンズを保持するアクチュエータと、前記光ディスクからの反射光を検出する少なくとも1つの光検出器を有すると共に、
光ヘッド近傍の温度を検出する温度検出手段、および前記レーザー光源と前記対物レンズとの光路中に正レンズと負レンズとの2群から構成される球面収差補正素子を配置すると共に、前記収差補正素子を構成するレンズの内、一方のレンズを光軸方向に駆動する駆動手段と前記駆動するレンズの位置を検出する位置検出手段を有した光ヘッドであって、
前記温度検出手段の出力と前記位置検出手段からの出力との関係を示す情報を光ヘッドに付与したことを特徴とする光ヘッド。 - 前記温度検出手段の出力と前記位置検出手段からの出力との関係を示す前記情報は、2次元コードにより記録されており、前記2次元コードは光ヘッドに貼り付けられていることを特徴とする請求項2記載の光ヘッド。
- 前記レーザー光源は金属のホルダーに挿入されており、前記温度検出手段は、前記ホルダーまたはその近傍に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の光ヘッド。
- アクチュエータに搭載された前記少なくとも1つの対物レンズに、波長408nm帯の光束および波長655nm帯の光束および波長785nm帯の光束を入射することを特徴とする請求項2に記載の光ヘッド。
- 請求項2に記載した光ヘッドを搭載した光ディスク再生装置であって、前記温度検出手段の出力と前記位置検出手段の出力との関係を格納したパラメータテーブルを有し、前記温度検出手段の出力値と前記パラメータテーブルとから前記位置検出手段の出力の目標値を導き出し、前記目標値に基づき前記球面収差補正素子を駆動することを特徴とする光ディスク再生装置。
- 波長408nm帯のレーザー光源を含む少なくとも1つのレーザー光源と、前記レーザー光源から出射された光束を略平行光束にする少なくとも1つのコリメートレンズと、前記レーザー光源から出射された光束を光ディスク上に集光する少なくとも1つの対物レンズと、前記対物レンズを保持するアクチュエータと、前記光ディスクからの反射光を検出する少なくとも1つの光検出器を有すると共に、
光ヘッド近傍の温度を検出する温度検出手段、および前記レーザー光源と前記対物レンズとの光路中に正レンズと負レンズとの2群から構成される球面収差補正素子を配置すると共に、前記収差補正素子を構成するレンズの内、一方のレンズを光軸方向に駆動する駆動手段と前記駆動するレンズの位置を検出する位置検出手段を有した光ヘッドであって、
特定の温度における前記位置検出手段からの出力値を示す情報を光ヘッドに付与したことを特徴とする光ヘッド。 - 前記特定の温度における前記位置検出手段からの出力値を示す情報は、2次元コードにより記録されており、前記2次元コードは光ヘッドに貼り付けられていることを特徴とする請求項7記載の光ヘッド。
- 請求項7に記載した光ヘッドを搭載した光ディスク再生装置であって、光ヘッドに付与した前記特定の温度における前記位置検出手段からの出力値を目標値として、前記球面収差補正素子を駆動することを特徴とする光ディスク再生装置。
- 波長408nm帯のレーザー光源を含む少なくとも1つのレーザー光源と、前記レーザー光源から出射された光束を略平行光束にする少なくとも1つのコリメートレンズと、前記レーザー光源から出射された光束を光ディスク上に集光する少なくとも1つの対物レンズと、前記対物レンズを保持するアクチュエータと、前記光ディスクからの反射光を検出する少なくとも1つの光検出器を有すると共に、
光ヘッド近傍の温度を検出する温度検出手段、および前記レーザー光源と前記対物レンズとの光路中に液晶を用いた球面収差補正素子を配置した光ヘッドであって、
前記温度検出手段の出力と前記球面収差補正素子に印加する出力との関係を示す情報を光ヘッドに付与したことを特徴とする光ヘッド。 - 前記温度検出手段の出力と前記球面収差補正素子に印加する出力との関係を示す前記情報は、2次元コードにより記録されており、前記2次元コードは光ヘッドに貼り付けられていることを特徴とする請求項10記載の光ヘッド。
- 前記レーザー光源は金属のホルダーに挿入されており、前記温度検出手段は、前記ホルダーまたはその近傍に取り付けられていることを特徴とする請求項10記載の光ヘッド。
- アクチュエータに搭載された前記少なくとも1つの対物レンズに、波長408nm帯の光束および波長655nm帯の光束および波長785nm帯の光束を入射することを特徴とする請求項10に記載の光ヘッド。
- 請求項10に記載した光ヘッドを搭載した光ディスク再生装置であって、前記温度検出手段の出力と前記球面収差補正素子に印加する出力との関係を格納したパラメータテーブルを有し、前記温度検出手段の出力値と前記パラメータテーブルとから前記前記球面収差補正素子に印加する出力値を導き出し、前記出力値に基づき前記球面収差補正素子を駆動することを特徴とする光ディスク再生装置。
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---|---|---|---|
JP2005011037A Pending JP2006202375A (ja) | 2005-01-19 | 2005-01-19 | 光ヘッド及び光ディスク再生装置 |
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JP (1) | JP2006202375A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009238345A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-15 | Sanyo Electric Co Ltd | 光ピックアップ装置 |
JP2010205320A (ja) * | 2009-03-02 | 2010-09-16 | Sony Computer Entertainment Inc | 光ディスク装置、その制御方法、プログラム及び情報記憶媒体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS5932462A (ja) * | 1982-08-17 | 1984-02-21 | ジェイエスアール株式会社 | 揮発性有効成分含有液体揮散用容器 |
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-
2005
- 2005-01-19 JP JP2005011037A patent/JP2006202375A/ja active Pending
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