JP2006194598A - 歪センサとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁層と配線を同一平面に凹凸を抑えて形成することができ、配線の段差等による抵抗体ペーストの印刷性に対する影響を最小限に抑え、感歪抵抗体の特性バラツキをできるだけ少なくできる歪センサ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】基板21と、前記基板21上に複数の電極12を埋め込んだ絶縁層22を有し、前記電極12上に感歪抵抗体23を備え、前記感歪抵抗体23および前記電極の少なくとも一部を覆う保護層25を有することを特徴とする歪センサである。
【選択図】図1
【解決手段】基板21と、前記基板21上に複数の電極12を埋め込んだ絶縁層22を有し、前記電極12上に感歪抵抗体23を備え、前記感歪抵抗体23および前記電極の少なくとも一部を覆う保護層25を有することを特徴とする歪センサである。
【選択図】図1
Description
本発明は金属弾性体を用いた歪センサ及びその製造方法に関するものである。
従来から金属弾性体上に絶縁体を介して感歪抵抗体が形成されてなる歪センサが提案されていた。こうした歪センサは自動車用のスマートエアバッグ(助手席の乗員の体重によってエアバッグの開き方を調整する)等の用途に広く使われ、今後、更に高性能化、低コスト化が望まれる。
従来の歪センサとしては、図17に示すものがある。図17は従来の歪センサの構成を示す断面図である。図17に示すように基板1の上には絶縁層2を介して、感歪抵抗体3とその両端に接続された複数の凸状電極4が形成されている。そして感歪抵抗体3や凸状電極4を覆うように保護層5が形成される構成である。
また図18は、複数の感歪抵抗体素子が所定形状に接続されてブリッジ回路を形成する様子を示す図である。図18において、複数の感歪抵抗体素子6が所定のブリッジ回路を形成することで、センサの高感度化が可能になる。なお図18における感歪抵抗素子6は、図17における感歪抵抗体3とその両端に接続された凸状電極4に相当する。
しかし、このような構造の場合、図18に示す個々の感歪抵抗素子6の抵抗値バラツキを5%以内に抑えないと、ブリッジ回路としての特性が得られない。これはブリッジ回路を形成する複数の感歪抵抗素子6の抵抗値が互いにばらついた場合、ブリッジ回路に接続された半導体チップ(図18には図示していない)でキャリブレーションしきれない場合があるためである。
こうした課題に対して、従来から幾つかのアプローチがなされていた。図19は従来の対策の一例であり、特許文献1等で提案されたものである。図19において、第1の導電パターン7と第2の導電パターン8の間に抵抗体10を形成する場合、ダレ11が形成されやすい。このダレ11は、第1の導電パターン7や第2の導電パターン8が、基板上で厚み10〜30μm程度に凸状に盛り上がっているため、この上に印刷された抵抗体ペーストが印刷時に流れたり、にじんだりすることで発生するものである。そしてこのダレ11が抵抗値のバラツキの発生原因になるため、図19では凸状の接続部9を形成することで、抵抗値バラツキの低減を行おうとするものである。
しかしこれらの手法を用いても、導電パターンが盛り上がっている以上、どうしてもダレ11が発生してしまうことになる。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2004−55946号公報
しかしながら従来の構成では、図19に示すように抵抗体と第1の導電パターン7や第2の導電パターン8、あるいは凸状電極4は、本質的に絶縁層2の上に凸状に盛り上がっているために、どうしてもこれら電極の上に抵抗体ペーストを印刷すると、前記電極の厚みの影響を受けてダレ11が発生してしまい、複数の感歪抵抗素子6の抵抗値バラツキが発生しやすく、この結果、歪センサの歩留まりや特性に影響を与えてしまう可能性がある。
本発明は絶縁層と配線を同一平面に凹凸を抑えて形成することができ、配線の段差等による抵抗体ペーストの印刷性に対する影響を最小限に抑え、感歪抵抗体の特性バラツキをできるだけ少なくできる歪センサ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、前記基板上に複数の電極を埋め込んだ絶縁層を有し、前記電極上に感歪抵抗体を備え、前記感歪抵抗体および前記電極の少なくとも一部を覆う保護層を有することを特徴とする歪センサであり、感歪抵抗体を絶縁層に埋め込まれた複数の電極パターンの間に形成することで、前記感歪抵抗体の抵抗値を安定化でき、抵抗値バラツキも抑えられるため、歪センサの特性を安定にすると共に、その歩留りを高められるという作用効果が得られる。
金属弾性体上に形成された絶縁層に埋め込まれた複数の電極パターンの間に感歪抵抗体が形成され、更に前記感歪抵抗体及び前記電極の一部が保護層で覆われた歪センサであり、絶縁層と配線との表面を同一平面に互いに段差が最小になるように形成することで、抵抗体ペーストの印刷性が改善され、複数個の感歪抵抗体を一度に印刷形成した場合でも感歪抵抗体の特性のバラツキが抑えられ、歪センサの特性を安定にすることができるという作用効果が得られる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項1,2,13,14,17〜28の発明について図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項1,2,13,14,17〜28の発明について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1における歪センサの構成を示す断面図である。図1において、12は埋込電極であり、金属弾性体からなる基板21の上に形成された絶縁層22の中に、その表面だけが露出するように埋め込まれている。そして複数の埋込電極12の間に、感歪抵抗体23が形成され、前記感歪抵抗体23や前記埋込電極12が保護層25によって保護されている。図1に示すように、配線を埋込電極12として、絶縁層22の内部に埋め込むことで、絶縁層22と埋込電極12との間に段差が生じないため、前記埋込電極12の上に、抵抗体ペーストを印刷し、焼成することで感歪抵抗体23を形成した場合でも、ダレ等が発生しないため、ブリッジ回路を形成する複数の感歪抵抗体の抵抗値のバラツキを少なくできるため、ブリッジ回路の出力を安定化できる。
次に、図2〜図6を用いて、本発明の歪センサの製造方法について説明する。
図2(A)、(B)は、未焼成絶縁層の上に所定の電極パターンを形成する工程を示す断面図である。図2(A)において、13は例えば未焼成ガラスからなる未焼成絶縁層であり、金属弾性体からなる基板21の上に所定のガラスペーストが所定パターンに印刷された後、乾燥されてなるものである。図2(B)において、14は硬化済配線であり、未焼成絶縁層13の上に、所定の電極ペーストを所定パターンに印刷した後、前記電極ペーストを硬化させたものである。
図3は、硬化済配線を未焼成絶縁層に埋め込む工程を示す断面図である。図3において、基板21の上に形成された未焼成絶縁層の上には、硬化済配線14が形成されており、ヒーター17で所定温度に設定されたプレス装置16は、矢印18の方向に動き、防汚れフィルム15を介して、硬化済配線14を未焼成絶縁層13の内部に押し込むことになる。
このようにプレスの際に、防汚れフィルム15を使うことで、プレス装置16の表面に、未焼成絶縁層13や硬化済配線14から剥げ落ちた部材が付着することを防止でき、プレス工程の歩留りを高められる。また防汚れフィルム15として長尺のフィルム材料を用いることで、プレスの度に、防汚れフィルム15を少しずつ巻き取って、いつも新しい面が出るようにできる。このように少しずつ巻き取ることで、プレスによって防汚れフィルム15の表面にゴミや脱離した部材が付着したとしても、これが次のプレスに影響することがない。
図4は、硬化済配線を未焼成絶縁層の内部に押し込む工程を示す断面図である。図4において、プレス装置16が矢印18の方向に圧力をかけることで、硬化済配線14が、未焼成絶縁層13の内部に埋め込まれる。
図5は、プレス後を示す断面図である。図5において、プレス装置16は矢印18の方向に引き上げられ、更に防汚れフィルム15も剥がされる。そして、基板21の未焼成絶縁層13の中に、硬化済配線14が埋め込まれることになる。
図6は、未焼成絶縁層と硬化済電極を同時焼成する工程を示す断面図である。図6(A)において、金属弾性体からなる基板21の上には、未焼成ガラスからなる未焼成絶縁層13と、そこに埋め込まれた硬化済配線14が形成されており、これが所定温度で焼成された後のものを図6(B)に示す。図6(B)において、基板21の上には、未焼成絶縁層13が焼成されてなる絶縁層22と、硬化済配線14が焼成されてなる埋込電極12が形成される。また未焼成絶縁層13と硬化済配線14は同時焼成されることで、互いに隙間無く充分な密着強度を有した状態で一体物として形成され、更にその表面には埋込電極12による凹凸の発生を防止できる。図6(C)は、埋込電極12の上に感歪抵抗体23を形成したものであり、この構成により感歪抵抗体23の形成時にダレ等の発生を防止できる。
更に詳しく説明する。まず、未焼成絶縁層13として、エチルセルロースやブチラール樹脂のような熱可塑性樹脂を用い、更に可塑剤等を添加させることで、柔らかくして押し付けるとめり込みやすいもの(あるいは、体積が変化しやすいもの、圧縮性の高いもの)を用いることが望ましい。また硬化済配線14として、硬化型樹脂を用いた電極ペーストを用いることで、硬化された後の配線を、硬くて変形しにくいもの(圧縮性の低いもの)を用いることが望ましい。
このように、未焼成絶縁層13と硬化済配線14の硬度差や圧縮性の違いを用いて、硬化済配線14を変形させることなく、未焼成絶縁層13の中に埋め込みやすくなる。また未焼成絶縁層13の中に埋め込まれた硬化済配線14によるバルジ(押し込まれた周辺が少し盛り上がること)の発生も防止できる。
次に具体的に説明する。まず未焼成絶縁層13としては、所定のガラス粉を樹脂溶液の中に分散してなるガラスペーストを作製した。ここで樹脂溶液は、ポリビニールブチラール樹脂を、αテルピネオールとBCA(ブチルカルビトールアセテート)の混合溶剤の中に溶かし、更にフタル酸系の高沸点溶剤を可塑剤として加えた。
そして、この樹脂溶液中に、前記ガラス粉を添加し、セラミック製3本ロールミルを用いて、均一に分散させた後、粘度調整した。最後に、市販のメッシュ(網)を用いて、前記ペーストをろ過し、ガラスペーストとして完成させた。このガラスペーストを、基板21の上に、スクリーン印刷方法を用いて所定パターン形状に印刷した後、約10分間レベリングさせ、最後に約200℃で10〜30分程度、乾燥させて、図2(A)に示すような未焼成絶縁層13を形成した。
なおスクリーン印刷時のピンホールや泡が、製品の歩留りに影響するのを防ぐため、未焼成絶縁層13は、印刷、乾燥、印刷、乾燥と繰り返し、複数層を形成することで対処した。なお、ガラス粉の平均粒径は、0.1〜10μmが望ましい。0.1μm未満のガラス粉は、高価であるので製品価格に影響する場合がある。また10μmを超える場合、確率的に20μmや30μm、場合によっては40μmと大粒のガラス粉が混在している場合があり、ガラスペーストの印刷時や焼成時に課題となる場合がある。
一方、硬化型配線14の材料としては、導電粉として市販の銀パラジウム粉を、硬化型樹脂溶液の中に分散してなる電極ペーストを作製した。ここで硬化型樹脂溶液としては、市販のエポキシ樹脂やキシレン樹脂といった硬化型樹脂を使い、必要に応じて粘度調整のためαテルピネオールやBCA(ブチルカルビトールアセテート)と言った溶剤を添加した。そして、この硬化型樹脂溶液の中に、前記銀パラジウム粉を添加し、3本ロールミルを用いて、前記銀パラジウム粉が変形しないように(ロールの間に挟まれて、銀パラジウム粉がフレーク状に潰れた場合、焼結性に影響を与える場合があるため)注意しながら均一に分散させた。そして粘度調整した後、最後に、市販のメッシュ(網)を用いて、このペーストをろ過し、電極ペーストとして完成させた。
そして、この電極ペーストを、図2(B)に示すように、未焼成絶縁層13の上に所定形状で印刷した。そして電極ペーストを200℃で10〜30分硬化させた。なおここで硬化型樹脂としては、熱硬化型以外に、UV(紫外線)硬化型、EB(電子線)硬化型、2液反応硬化型等を用いることができる。また硬化性樹脂としては、C、H、N、Oを主体としたものが望ましく、SやCl、P、Na、K等の元素が含まれていないことが望ましい。またこれら元素以外に金属原子も、場合によっては焼成後に特性に影響を与える場合がある。
こうして作製したサンプルを、図3、図4、図5に示すようにプレス装置を用いて、硬化済配線14を未焼成絶縁層13の内部に埋め込んだ。そして図6に示すように、未焼成絶縁層13に硬化済配線14を埋め込んだ状態で、これらを一括焼成し、埋込電極12が表面に埋め込まれた絶縁層22を形成した。
そして、この埋込電極12上に所定の感歪抵抗体ペーストを、所定形状で印刷したところ、にじみやダレと言った抵抗値バラツキの発生原因無しに高精度に形成できた。この結果、ブリッジ回路を構成する複数個の感歪抵抗体素子の抵抗値バラツキは、99.8%以上の高歩留りで、半導体チップで調整できる範囲内に抑えることができた。
比較のために、従来例として、図17に示す形状のものを作製した。まず上述した同じ部材を用いて、図2(A)、(B)と同じ順でサンプルを試作した後、図3、図4、図5のプレス工程を省略して、そのまま(未焼成絶縁層13の上に、硬化済配線14が凸状に盛り上がった状態のまま)、未焼成絶縁層13と硬化済配線14を同時焼成した。そして、この上に所定の感歪抵抗ペーストを印刷したところ、ダレやにじみが発生し、ブリッジ回路を構成する複数個の感歪抵抗体素子の抵抗値バラツキが大きくなり、半導体チップでは調整できない範囲のもの(スペックに収まらないもの)が、数%から数十%発生した。
そこで、図19に示したように、感歪抵抗体に接続される配線のパターン形状を工夫したが、ダレやにじみが発生してしまうことに変わりはなく、抵抗値バラツキがスペック内に収まらないサンプルが、一定量発生した。
また比較のために、硬化済配線14として、熱硬化性樹脂溶液の代わりに、ガラスペーストの作製に用いた樹脂溶液(ポリビニールブチラール樹脂を、有機溶剤や可塑剤の中に溶解したもの)を用い、ここに銀パラジウム粉を添加し、3本ロールミルで混練して、所定ペーストを作製し、これを図2(A)、(B)に示したように、未焼成絶縁層13の上に印刷した(以下、従来配線とする)。
そしてこれを図3、図4、図5のようにプレスしたところ、前記従来配線は、未焼成絶縁層13に食い込むことなく、その表面にパターンが広がるように潰れてしまった。そして、この潰れた従来配線を、未焼成絶縁層13と同時に焼成した。その後、同様にして感歪抵抗体23を形成した。しかしこうして作製されたサンプルで、ブリッジ回路を構成する複数個の感歪抵抗体の抵抗値バラツキを測定したところ、数十%以上、更には配線間でショートしているものもあり、製品歩留りは低かった。
このように、本発明の場合、電極パターンをプレスによって、未焼成絶縁層に埋め込む場合、未焼成絶縁層は柔らかく、圧縮性に優れたもの(あるいは空気透過性の高いもの)とすることが望ましく、一方の電極パターンとしては、硬く圧縮されにくいもの(プレスの力で変形しにくいもの)とすることが望ましい。
なお、図6(B)において絶縁層22の厚みは10〜500μmが望ましい。厚みが10μm未満の場合、基板21と埋込電極12の間で絶縁不良を生じる可能性がある。また厚みが500μmを超える場合、絶縁層22の材料費が高くなってしまうことがある。ここで絶縁層22の厚みは基板21と埋込電極12の間に挟まれた厚みとする。また絶縁層22を1層以上で形成することが望ましい。
例えば、絶縁層22を複数層で形成することで、絶縁層22にゴミの付着や泡が発生しても絶縁不良等の発生原因にはなりにくい。また図6(C)においてガラスペーストからなる絶縁層22の厚みは10〜500μmが望ましい。埋込電極12を覆うガラスペーストからなる絶縁層22の厚みが10μm未満の場合、ゴミやピンホールの影響を受けやすくなる場合がある。また厚みが500μmを超える場合、ガラスペーストの使用量が増加するためにコスト高になる可能性がある。
なお、基板21の厚みは1〜100mmが望ましい。基板21の厚みが1mm未満の場合、歪センサとして要求される耐力が得られない場合がある。また基板21の厚みが100mmを超える場合、基板21の加工(例えば、金型による打ち抜きやレーザー加工等)が困難となる。また基板21の面積は0.1〜1000cm2が望ましい。基板21の面積が0.1cm2以下の場合、絶縁層22と埋込電極12との表面の段差を±5μm以内とした場合でも0.1cm2という微少な面積に複数の感歪抵抗体23として、例えばブリッジ回路は4個の感歪抵抗体23が必要となり、印刷して形成することが難しくなる。また基板21の面積は1000cm2を超える場合、基板21の材料費が増加して歪センサのコストに影響を与える可能性がある。
また、硬化済配線14の厚みは50〜200μmが望ましい。厚みが5μm未満の場合、埋込電極12として抵抗値が高くなり歪センサとしての特性に影響を与える場合がある。また厚みが200μmより厚い場合、配線部材の量が多くなりコストアップの原因になる。なお埋込電極12にAgPd系の電極材料を用いることで耐半田喰われ性が改善でき、直接チップ部品や半導体チップ等を半田実装することも容易である。
また未焼成絶縁層13は1層以上とすることが望ましい。例えば未焼成絶縁層13を2層、3層と多層化することによりガラスペーストのゴミの付着やピンホール等の影響を低減することができる。
なお未焼成絶縁層13を多層化する場合、ガラスペーストを塗布し乾燥した上に更にガラスペーストを塗布することで形成することができる。また基板21と接する絶縁層22は結晶化ガラスであり、その結晶化率は40%以上であることが望ましい。基板21と接する絶縁層22が非晶質ガラスの場合、感歪抵抗体23の焼成時に軟化して基板21との界面の接着強度が低下する場合がある。
そのため基板21と接する絶縁層22を結晶化ガラスとすることで、感歪抵抗体23の焼成時に絶縁層22としてガラスが軟化しないため、基板21との界面の接着力が低下することはない。また結晶化ガラスを用いる場合、結晶化率は40%以上が望ましい。結晶化率が40%未満(つまり絶縁層の50%以上が非晶質ガラス)の場合、感歪抵抗体23の焼成時に非晶質ガラス成分が軟化して基板21との接着強度に影響を与える場合がある。
なお絶縁層22の結晶化率はX線回折等の設備を用いて評価することができる。なお結晶化率の上限は80%程度までで充分である。これは結晶化ガラスの結晶化率を80%以上とするには、結晶化率を高めるための焼成条件やガラス組成の最適化となり、プロセスコストに影響を与える場合があるためである。そのため、歪センサに用いる場合、結晶化率が40〜100%(実質的には80%以下で充分)が望ましい。
また、少なくとも埋込電極12の厚みは5〜100μmが望ましい。必要に応じて埋込電極12の一部にチップ部品が実装できるスペース(例えば、ランド等と呼ばれる半田付け実装部)を形成することが望ましい。このように埋込電極12の一部に感歪抵抗体23を形成し、他の一部に半導体や角チップ抵抗器等のチップ部品を実装することで歪センサの小型化や低コスト化が図れる。
本発明の実施の形態1において、必要に応じて半田付け等の実装部の埋込電極12は絶縁層22に埋め込むことも可能である。また埋込電極12の厚みが5μm未満の場合、配線抵抗が増加するため歪センサとしての特性に影響を与える可能性がある。また埋込電極12の厚みが100μmを超える場合、埋込電極12の形成部材の材料費が増加して製品コストを高める可能性がある。
なお、感歪抵抗体23の厚みは5〜50μmが望ましい。感歪抵抗体23の厚みが5μm以下の場合、絶縁層22と埋込電極12との表面の段差が±5μm以内とした場合でも感歪抵抗体23が微少な段差の影響を受ける可能性があり、更に感歪抵抗体23の下地となる絶縁層22の影響を(例えば、ガラス材料等の相互拡散等)を受けやすくなる。また感歪抵抗体23の厚みは50μmより厚い場合、感歪抵抗体23の材料費が増加するため製品コストを上げる可能性がある。また感歪抵抗体23の面積は0.1〜100mm2が望ましい。感歪抵抗体23の面積が0.1mm2未満の場合、本発明の歪センサのように絶縁層22と埋込電極12との表面の段差を±5μm以内とした場合でも感歪抵抗体23のパターンが小さくなりこの微少な段差の影響を受ける可能性がある。
また、感歪抵抗体23の面積が100mm2を超える場合、感歪抵抗体23の材料費が増加するため、製品コストを上げる可能性がある。感歪抵抗体23の抵抗値としては市販の酸化ルテニウムを用いた抵抗体ペーストからGF(Gauge Factor、ゲージファクター、歪に対する抵抗値の変化率)の高いものを選択して使うことができる。
また、少なくとも感歪抵抗体23及び埋込電極12の全面あるいは感歪抵抗体23と埋込電極12の一部を樹脂もしくはガラスにより厚み10〜500μmの保護層(図示せず)で覆うことができる。このように少なくとも感歪抵抗体23と埋込電極12の一部を保護層で覆うことで感歪抵抗体23や埋込電極12の外的環境から保護することができ、信頼性を高めることができる。
また、埋込電極12の一部を露出しておくことで埋込電極12を用いて各種チップ部品等を実装することができ、歪センサの小型化、低コスト化が可能になる。なお少なくとも感歪抵抗体23を覆う保護層の厚みは10〜500μmが望ましい。保護層の厚みが10μm未満の場合、保護層にピンホールが発生する可能性がある。また保護層の厚みが500μmを超えると、保護層の形成部材の材料費がコストに影響を与える場合がある。
ここで、保護層は樹脂もしくはガラスが望ましい。保護層に樹脂を用いた場合、保護層の形成温度を下げることができ保護層の形成時の熱によって感歪抵抗体23の特性に影響を与えることはない。また保護層にガラスを用いた場合、保護層の形成時の温度は感歪抵抗体23の焼成温度より100℃以上下げる(例えば、感歪抵抗体の焼成温度が850℃の場合、保護層のガラスの焼成温度は700℃未満にする)ことが望ましい。これは保護層となるガラス材料の焼成時の熱処理によって感歪抵抗体の特性への影響を抑えるためである。
また、図6(B)に示すように基板21はガラスペーストからなる絶縁層22とこの絶縁層22の表面に埋め込まれた埋込電極12が同時に焼成され、図6(C)に示す絶縁層22や埋込電極12が形成されるが、ここで焼成温度を500〜950℃とすることが望ましい。温度500℃未満の低温で埋込電極12とガラスペーストを同時焼成した場合、埋込電極12の焼結が不充分で配線抵抗が下がらない場合やガラスペーストの焼結強度が充分に得られない場合がある。また焼成温度が950℃より高くなると基板21が酸化し、変色して耐力が低下する場合がある。
なお、埋込電極12を形成するペーストに0.5〜20wt%の範囲でガラスペーストを予め添加しておいても有効である。こうして埋込電極12の内部に予めガラス成分を添加しておくことにより、ガラスペーストに埋め込んだ状態で埋込電極12を同時に焼成しても互いの界面で剥離や割れ等の発生を防止することができる。なおガラスペーストの添加量が0.5wt%未満の場合添加効果が得られない場合がある。また添加量が30wt%を超えると埋込電極12の抵抗値が増加し、歪センサとしての特性に影響を与える場合がある。
なお、図3、図4、図5等で示すプレス装置16は必要に応じて一定温度に加熱しておくことが望ましい。例えば温度50〜200℃、特に70〜150℃が望ましい。温度が高すぎると、未焼成絶縁層13が柔らかくなりすぎて変形しやすくなったり、防汚れフィルム15の表面に付着しやすくなる。そのためプレス装置16は加熱する場合、室温以上250℃以下の温度が望ましい。
またプレス時間は0.1秒〜10分が望ましい。プレス時間が0.1秒未満の場合、充分な埋込効果が得られない場合がある。またプレス時間が10分を超えると、生産性に影響を与える場合がある。
また、プレス圧力は1〜1000kg/cm2が望ましい。圧力が1kg/cm2未満の場合、硬化済配線14を未焼成絶縁層13の中に埋め込みにくい場合がある。またプレス圧力が1000kg/cm2を超える場合、剛性が高いため総圧力の大きな高価なプレス装置が必要となり製造コストを上げてしまうと共に、未焼成絶縁層13を変形させてしまう可能性がある。
なお、本発明の歪センサにおいて絶縁層22のガラスペーストに熱可塑性樹脂を使うことで熱接着性が得られる。この熱可塑性樹脂としてはPVB(ポリビニールブチラール)樹脂やアクリル系の樹脂を使うことができる。こうした樹脂はセラミックグリーンシートの製造に広く使われており、これらの中から基板21への接着性(あるいは熱転写性)の高いものを選択すればよい。
また、ガラスペーストからなる絶縁層22は樹脂及び有機溶剤よりなる樹脂溶液中に所定のガラス粉が40〜90wt%で分散するガラスペーストを用いることができる。これはガラスペースト中のガラス粉の割合が40wt%未満の場合、乾燥後にできる絶縁層22にピンホールが発生しやすくなる。またガラス粉の割合が90wt%を超える場合、樹脂溶液の割合が10wt%未満になりガラスペーストとしての流動性が低下し埋込電極12を覆う際に絶縁層22にピンホールが発生しやすくなる。
また、埋込電極12は樹脂及び溶剤よりなる樹脂溶液中に導電粉が40〜90wt%で分散される電極ペーストが樹脂フィルムの上で所定形状に印刷され、温度50〜200℃で乾燥されることが望ましい。電極ペースト中に含まれる導電粉が40wt%未満の場合、焼成後に埋込電極12の厚みが薄くなり配線抵抗が高くなり歪センサの特性に影響を与える。また導電粉が90wt%より多い場合、樹脂溶液の割合が10wt%未満と少なくなるため、電極ペーストの流動性が低下し、所定パターンの印刷に影響を与える。また電極ペーストの乾燥温度が50℃未満の場合、乾燥時間が長くなって生産コストを上げる可能性がある。また乾燥温度が200℃を超える場合、樹脂フィルムが熱変形する可能性がある。
なお、防汚れフィルム15は、プレスした後、剥がす必要はない。例えば、防汚れフィルム15に、燃えやすくて薄いものを用いた場合、そのまま防汚れフィルム15を未焼成絶縁層13の上に残したまま、未焼成絶縁層13や硬化済配線14と共に同時焼成してもよい。
このように、金属弾性体からなる基板上に、電極パターンが埋め込まれた未焼成絶縁層を、前記未焼成絶縁層と前記電極パターンを同時に焼成して、電極埋め込み絶縁層を形成した後、前記電極の上に感歪抵抗体を形成し、更に少なくとも前記感歪抵抗体と前記電極埋め込み絶縁層の一部を保護層で覆うことで、歪センサを安価に製造できる。
また同様に金属弾性体からなる基板上に未焼成絶縁層を形成した後、前記未焼成絶縁層の上に電極パターンを埋込み、前記未焼成絶縁層と前記電極パターンを同時に焼成して、電極埋め込み絶縁層を形成した後、前記電極の上に感歪抵抗体を形成し、更に少なくとも前記感歪抵抗体と前記電極埋め込み絶縁層の一部を保護層で覆うことで、歪センサを製造しても良い。また金属弾性体の上に未焼成絶縁層を形成し、前記未焼成絶縁層の上に電極パターンを形成し、プレス装置を用いて前記電極パターンを前記未焼成絶縁層に埋込んだ後、前記未焼成絶縁層と前記電極を同時に焼成して、電極埋め込み絶縁層を形成したあと、前記電極の上に感歪抵抗体を形成し、更に少なくとも前記感歪抵抗体と前記電極埋め込み絶縁層の一部を保護層で覆うことでも、本歪センサを製造することができる。
なお、未焼成絶縁層は、ガラス粉末が樹脂溶液に分散されてなるガラスペーストが、金属弾性体上に所定形状に印刷された後、50〜400℃の範囲で乾燥されることが望ましい。ガラスペーストが50℃未満では乾燥時間が長くなりすぎる。また400℃より高い温度の場合、ガラスペーストが硬化したり、ガラスペースト中の可塑剤が蒸発してしまったりして、硬化済配線を埋め込みにくい場合がある。またガラス粉末の粒度分布や樹脂量、あるいはガラスペーストの乾燥条件を調整することで、出来上がった未焼成絶縁層を空隙率が高い状態にすることができる。このように作製した未焼成絶縁層に対して、電極パターンを押し付けて埋め込んだとしても、バルジ(押し込まれた周辺が少し盛り上がること)の発生を防止できる。
また未焼成絶縁層の厚みは、10〜1000μmが望ましい。10μm未満の場合、所定の絶縁性が得られない場合がある。また厚みが1000μmを超えると材料費等が製品価格に影響を与える場合がある。
また未焼成絶縁層は、ガラス粉末及び樹脂、若干の可塑剤から形成されていることが望ましい。ガラス粉の平均粒径としては、0.5〜10μmが望ましい。ガラス粉の平均粒径が0.5μm未満の場合、ガラス粉の粉砕や分級に伴う費用が増加する。またガラス粉の平均粒径が10μmを超える場合、硬化済配線14を埋め込む場合、硬化済配線14のパターンにダメージを与える場合がある。また可塑剤として、市販のフタル系の高沸点溶剤(例えば、DOP、DBB、BBP等、色々なものが市販されている)を用いることができる。
またこうした可塑剤は、樹脂に対して、5〜500wt%の範囲で添加することが望ましい。可塑剤が5wt%未満の場合、可塑剤の添加効果(つまり、樹脂の軟化効果、あるいは樹脂のガラス転移温度を下げる効果)が得られない場合がある。また可塑剤の添加量が500wt%を超えると、未焼成絶縁層から可塑剤が浮き出す(あるいは、可塑剤が、表面にベタベタと染み出してしまう)場合がある。
なお樹脂によっては、可塑剤を加えなくとも、柔らかい場合がある。そのため用いる樹脂のガラス転移温度(Tgとも呼ばれ、熱分析によって測定できる)が、20℃以上の場合、可塑剤の添加が望ましい。またTgが0℃未満の場合、可塑剤の添加無しでも、使うことができる。しかしこのようにTgが低い材料の場合、室温でもゴム状であり、取り扱いにくい場合がある。そのため、望ましくは本発明に用いる樹脂としては、Tgが0〜100℃の樹脂に、可塑剤を5〜500wt%の範囲で添加したものを使うことが望ましい。
このような樹脂(あるいは樹脂+可塑剤)の組合せとすることで、室温では未焼成絶縁層は、硬く(少なくともゴム状にベタベタすることはなく)、一定温度に加熱したプレス装置(例えば100℃前後に設定した場合)プレス時に前記未焼成絶縁層が軟化(硬化済配線14がめり込みやすくなり)することができる。そして、プレス終了後(図5や図13に示す状態)では、プレスが離れた後、硬化済配線14が埋め込まれた未焼成絶縁層13が冷えやすく(必要に応じて、冷却装置や冷却板を用いることもできる)、プレスサイクルを早くすることができる。
特に、ベースフィルム20を剥離する場合、未焼成絶縁層13や硬化済配線14を冷却することで、ベースフィルム20からの硬化済配線14の剥離性をスムーズにできる。
このように、硬化済配線14として、導電粉が硬化型樹脂溶液に分散されてなる電極ペーストを所定形状に印刷した後、硬化することによって、未焼成絶縁層13の上に形成された場合(図3、図7等の場合)、ベースフィルムの上に形成された場合(図10や図11の場合)であっても、パターン形状にダメージを与えることなく、未焼成絶縁層13の表面に食い込ませることができる。なお硬化型樹脂溶液としては、硬化型樹脂を所定の有機溶剤に溶解したものを用いることができる。
また電極パターンの厚みは5〜200μmが望ましい。電極パターンの厚みが5μm未満の場合、各チップ抵抗器や半導体部品、あるいはコネクタ等の半田実装強度が影響される場合がある。また厚みが200μmを超えると材料費への影響を増加する。またこの電極パターンは、少なくとも未焼成絶縁層に押し付けられる(あるいは埋め込まれる)際、導電粉末及び硬化性樹脂から構成されていることが望ましい。この押し付け(あるいは埋込)の際に、電極パターン内に溶剤成分(あるいは可塑剤成分等)等が一定量以上残っていると、電極パターンが望ましくない方向に変形(例えば、パターンが潰れてしまう等)する場合がある。また導電粉末としては、銀やパラジウム、白金、金等の導電性金属粉末(あるいは合金粉末)を用いることができる。
また電極ペーストの硬化温度は、60〜400℃が望ましい。60℃未満では、充分な硬化が得られない(あるいは60℃未満の低温で硬化する樹脂材料は、室温でも硬化しやすいために、そのポットライフが短くなってしまう場合がある)場合がある。また硬化温度が400℃を超える場合、樹脂が熱で分解してしまう場合がある。また熱処理する時間は0.1秒〜30分が望ましい。0.1秒未満で熱硬化させようとすると、樹脂が特殊で高価なものを使う必要がある。また熱処理時間が30分を超えると、生産性に影響を与える場合があり、またその硬化自身をバッチ処理で行う必要があり、工程管理が煩雑になる。そのため熱処理時間を0.1秒〜30分(望ましくは1〜10分)とすることで、ロールtoロール等の生産性の高い工法を選ぶことができる。
また未焼成絶縁層と、そこに埋め込まれた電極パターンは、同時に600〜1000℃で焼成されることが望ましい。焼成温度が600℃未満の場合、配線や絶縁層の焼結が不充分な場合がある。また焼成温度が1000℃を超えると、焼成炉が高価であり、また基板21にも高価な特殊部材を使う必要がある。
またプレス圧力は、1〜1000Kg/cm2が望ましい。プレス圧力が1Kg/cm2未満の場合、硬化済配線14が未焼成絶縁層13への埋込が充分できない場合がある。またプレス圧力が1000Kg/cm2を超えると、未焼成絶縁層13自身が異常変形したり割れたりする場合がある。
またプレス時間は、0.1秒〜10分が望ましい。プレス時間が0.1秒未満の場合、未焼成絶縁層13が弾性変形してしまい、プレスを外した後、埋め込まれるべき硬化済配線14が埋め込まれずに、表面に盛り上がってしまう(未焼成絶縁層13の弾力性で元に戻ってしまう)場合がある。またプレス時間が10分を超えると、生産性に影響を与える場合がある。そのため望ましくはプレス時間(被プレス面に実際にプレス圧力が発生している時間)は、1秒以上が望ましい。
またプレス温度は、20〜300℃が望ましい。プレスが20℃未満の場合、硬化済配線14が未焼成絶縁層13に充分食い込まない場合がある。またプレス温度が300℃以上の場合、未焼成絶縁層13が熱によって異常変形してしまう場合がある。そのため望ましくはプレス温度を80℃以上150℃の範囲とすることで、硬化済配線14を未焼成絶縁層13に埋込やすくできると共に、未焼成絶縁層13自体の熱変形(例えば、外形寸法が変化したり、割れたり、未焼成絶縁層13に形成したビア穴等の層間接続部分を潰してしまったり)する場合がある。
以上、上述した適切なプレス条件で、各部材(埋め込む電極パターン側は硬くて、埋め込まれる未焼成絶縁層は柔らかくてフワフワ)をプレスすることで、電極パターンの埋め込まれていない部分の未焼成絶縁層も、このプレスの際に緻密化することができ、未焼成絶縁層中の空隙率を減らせる。この結果、未焼成絶縁層が焼成されてできた絶縁体内部にボイド(小さな空隙や穴)が発生しにくく、絶縁抵抗や絶縁歩留り、更には各種信頼性を高められることは言うまでもない。
なお絶縁層に非晶質ガラスを使う場合、SiO2が40〜80wt%、CaOが5〜15wt%、PbOが3〜15wt%、Al2O3が1〜10wt%、ZrO2が2〜10wt%である非晶質ガラスを使うことができる。こうした非晶質ガラスは、感歪抵抗体とのマッチング性が高いため、感歪抵抗体の下地ガラスとすることができる。
ここで、SiO2の割合が40wt%未満や80wt%を超える場合、感歪抵抗体とのマッチング性が変化する場合がある(例えば、抵抗体の抵抗値やTCRが変化する場合がある。なおTCRとは抵抗値の温度依存性を意味する)。またCaOやPbOの割合が少ない場合(CaOが5wt%未満、PbOが3wt%未満)や多すぎる場合(CaOが15wt%以上、PbOが15wt%以上)、感歪抵抗体とのマッチング性に影響を与える場合がある。これは、これらCaOやPbOが、感歪抵抗体を構成するガラス元素の一部であるためと考えられている。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項15の発明について図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項15の発明について図面を参照しながら説明する。
図7〜図9は、プレス装置の表面に突起を設けることで、配線の所定部分だけを埋め込む方法を説明する断面図である。
図7において、プレス装置16の表面には突起が形成されている。そして図8のように、プレス装置16の突起部分を、未焼成絶縁層13の表面に押し付けることで、硬化済配線14の必要部分だけを、未焼成絶縁層13の内部に埋め込める。またこの際、プレス装置16の表面の突起部にRをつける(曲線状に滑らかにする)、台形にする(突起部が鋭くないように、なだらかにする)等の処理を行うことで、プレスされた際に、硬化済配線14へのダメージを抑えながら、必要部分だけを未焼成絶縁層13に埋め込むことができる。なお、図7から図9では、防汚れフィルム15等は省略している。
図10は、所定配線の一部だけを埋め込まれた製品を作製する様子を断面で示す図である。図10(A)において、基板21の上には、未焼成絶縁層13が形成され、未焼成絶縁層13の上には、一部が埋め込まれた硬化済配線14が形成されている。次に、未焼成絶縁層13と硬化済配線14を同時に焼成することで、図10(B)に示したように、基板21の上に絶縁層22と、一部が絶縁層22に埋め込まれた埋込電極12と凸状電極24が形成される。
なお図10において、埋込電極12と凸状電極24の違いは、絶縁層22に埋め込まれたかどうかだけであり、これは図7から図10(A)において、硬化済配線14が未焼成絶縁層13にプレスで埋め込まれたかどうかだけの差である。このように、硬化済配線14と未焼成絶縁層13を同時に焼成することで、互いの焼結収縮特性をマッチングさせやすく、互いにクラック(割れや剥がれ)や密着不足等の発生を防止できる。次に図10(C)に示すように埋込電極12の上に、感歪抵抗体23を形成する。最後に図10(D)に示すように、感歪抵抗体23や、埋込電極12、凸状電極24を覆うように、保護層25を形成する。
ここで図10(D)において、19は窓であり、保護層25の無い部分である。この保護層25に形成された窓19の内部には、所定の凸状電極24や、埋込電極12が露出しており、この窓19を用いることで各種チップ部品や半導体素子等を実装することができる。また保護層25として、ガラス系の材料を用いることで、凸状電極24や埋込電極12への水分の影響を抑えられるため、これら電極部材に銀系の材料を用いた場合でも、マイグレーションの発生を防止できる。
このように、プレス装置16の形状を工夫することで、硬化済配線14にダメージを与えることなく、必要部分だけを絶縁層22に埋め込めるため、様々な製品形態に対応することができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項16の発明について図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項16の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態3では、フィルム上に形成された配線部材を絶縁層に埋め込む工程について、図11から図13を用いて説明する。
図11はフィルム上に形成された配線部材を絶縁層に押し付ける前段階を示す断面図である。図11において、20はベースフィルムであり、ベースフィルム20の上には、所定パターンで硬化済配線14が形成されている。そして、図11に示すように、ヒーター17で所定温度に調整されたプレス装置16を矢印18の方向に動かす。
図12はフィルム上に形成された配線部材を絶縁層に押し付けている工程を示す断面図である。図12において、プレス装置16によって、ベースフィルム20上に形成された硬化済配線14は、未焼成絶縁層13の表面に押し付けられる。
図13はフィルム上に形成された配線部材を絶縁層に転写した様子を示す断面図である。図13において、プレス装置16を矢印18の方向に引き上げ、更にベースフィルム20を、未焼成絶縁層13から引き剥がすことで、ベースフィルム20の表面に形成されていた硬化済配線14を、未焼成絶縁層13の表面に埋め込める。
更に詳しく説明する。まずベースフィルムとしては、市販のPETフィルム等の樹脂フィルムを用いることができる。そして予め表面処理を行った樹脂ファイルをベースフィルム20として用いることで、図13に示すようなベースフィルム20を未焼成絶縁層13から引き剥がしやすくなる。ここで表面処理を行っていない場合、ベースフィルム20を未焼成絶縁層13から引き剥がす際、未焼成絶縁層13の形成部材が、ベースフィルム20に張付いて剥がれてしまう可能性がある。こうした表面処理としては、シリコーン処理、フッ素処理、あるいは樹脂コート等の色々な処理方法が、フィルムメーカー側から提案されており、これらの中から最適なもの(あるいは適切な品番)を選べばよい。
ここで表面処理が強すぎる(撥水撥油処理が強い)場合は、ベースフィルム20の上に、硬化済配線14を形成しにくく(電極インキがはじかれたりして、うまく印刷できない場合がある)、更にベースフィルム20から硬化済配線14が剥がれやすくなったり(指先で触っただけでも剥がれて取れてしまう場合がある)使いづらい場合がある。
なおベースフィルム20としては、厚み10〜200μmの樹脂フィルムを用いることが望ましい。厚み10μm未満のフィルムの場合、フィルムの腰が無くて、取り扱いにくい場合がある。またフィルム厚が200μm以上の場合、フィルムコストが増加する。またフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PEN、ポリイミド等のフィルムを用いることができる。
またこうしたフィルム上への電極印刷には、スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法等を用いることで、連続的に高速形成可能である。またフィルム上に形成した電極パターンと、未焼成絶縁層13のアライメント(位置合わせ)には、画像認識(例えば、基板21に形成した穴やマーキングを読み取ることもできる)以外に、外形合わせ、スプロケット穴等のピンや穴を用いた位置合わせを行うことも可能である。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項3の発明について図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項3の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態4では、絶縁層の内部に内部電極を形成する場合について、図14を用いて説明する。図14は埋込電極の形成された絶縁層の内部に内部電極を形成した様子を示す断面図である。図14において、26は内部電極である。このように絶縁層22の内部に内部電極26を形成することで、歪センサの耐ノイズ性(外来ノイズ等で、センサ出力が影響を受けること)を改善できる。更に埋込電極12や凸状電極24(図14には省略している)の一部を必要に応じて、スルーホール等を介して、前記内部電極26に接続できるため、配線の多層化も容易であり、基板21の小型化が可能となり、製品コストを下げられる。
なお内部電極26の厚みは1〜50μmが望ましい。1μm未満の場合、抵抗値が高くなったり、パターンが切れやすくなる場合がある。また50μmより厚い場合は、内部電極26の材料費が製品コストに影響を与える場合がある。
また内部電極26を構成する部材としては、銀を主体とするものが望ましい。そして必要に応じてパラジウムや白金等を添加することで、内部電極26の焼結プロファイルをガラスのそれにマッチングさせやすくなり、その結果、内部電極26を構成する電極材料を未焼成絶縁層13と共に一括焼成した場合でも、デラミネーション(層間剥離)等の発生を防止できる。また必要に応じて、内部電極26にガラス部材を0.5〜20wt%の範囲内で添加することで、絶縁層22と内部電極26の接着強度を高めることができる。この場合、ガラス部材の添加量が0.5wt%未満の場合、添加効果が得られない場合がある。また添加量が20wt%を超えると、内部電極26の抵抗値が増加するため、出来上がった歪センサの特性に影響を与える場合がある。
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項4の発明について図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項4の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態5では、絶縁層を異なる部材の複数層で形成する場合について、図15を用いて説明する。図15は埋込電極の形成された絶縁層が、異なる部材の複数層からなる様子を示す断面図である。図15において、27は第1の絶縁層、28は第2の絶縁層である。このように、埋込電極12を第2の絶縁層28に形成し、基板21と第2の絶縁層28の間に、第1の絶縁層27を形成することで、埋込電極12と、基板21との絶縁歩留りを高められる。また絶縁層を複数層とすることで、基板21に接する第1の絶縁層27に、基板21との接着強度の高いものを選び、感歪抵抗体23と接する第2の絶縁層28に感歪抵抗体23とのマッチング性の高いものを選ぶことができる。
特に感歪抵抗体23は、その下地となる絶縁層とのマッチングの程度によって、抵抗値がクリープしたり(抵抗値が時間と共に変化する現象)、GFのリニアリティが影響を受けたり(言い換えると、歪に対する抵抗値変化率が一定でなくなること)、あるいは抵抗体のTCR(抵抗値の温度変化、もしくは温度によって抵抗値が変化すること)が大きくなることがある。
TCRが大きくなった場合、歪センサの温度によってその出力が影響を受けやすくなり、本歪センサを乗用車の助手席のスマートエアバッグ用に使用する場合、乗用車の室温によってその出力が影響を受けてしまう可能性がある。このように、感歪抵抗体23と、感歪抵抗体23の直下に形成された第2の絶縁層28のマッチングは、単なる材料設計だけでなくて、焼成時でのお互いの熱収縮あるいは熱膨張係数の違い等の影響も受けやすい。更に感歪抵抗体23自身も、GFやそのリヒアリティ、TCR等を考えると、実用に耐えうるのは極僅かの品番に絞られてしまう。こうした背景があるため、たとえ基板21の材質が変わったとしても、感歪抵抗体23や第2の絶縁層28はそのまま使わざるをえないことが多い。
こうした場合、実施の形態5を用いることで、新しい基板21の材質に合わせて、新しく第1の絶縁層27の材料を開発するだけよく、第2の絶縁層28や感歪抵抗体23は従来どおりのものを流用することができる。こうして、開発速度を上げると共に、ユーザーに安定した品質の歪センサを安価に提供することができる。
更に詳しく説明する。例えば、基板21に接する第1の絶縁層として、結晶質ガラスを用いることが望ましい。結晶質ガラスは、結晶化温度を超えることでガラスが結晶化し、結晶化した後の再溶解温度は1000℃以上となるものである。そのため結晶化ガラスは、一般の非晶質ガラスに比べて、高強度で割れにくく、銀等が拡散しにくいことが知られている。そのため、本発明に用いる結晶化ガラスは、結晶化温度が550〜750℃の範囲が望ましい。
結晶化ガラスの結晶化温度が、この範囲のものは、結晶化した後の再溶解温度が1200℃以上となるため、感歪抵抗体23を800〜900℃の高温で焼成したとしても、この結晶化ガラスは基板21の上で固化したままで再溶解しないため、感歪抵抗体23の焼成時にデラミネーション(層間剥離)やボイド(小さな穴)を発生させることはない。こうした結晶化ガラスとしては、MgO、B2O3、SiO2を主体とした結晶化ガラス組成を用いることが望ましい。こうした部材は、熱膨張係数が比較的大きい(例えば、90×10-7から130×10-7/℃)ため、基板21に耐熱性の優れたSUS材料(もしくはSUS鋼材料)を使うことができる。またこうしたSUS鋼は、耐力が高いため、こうして出来上がった歪センサの信頼性を高めることができる。
次に、複数の異なる部材からなる絶縁層の内部に内部電極を形成した場合について、図16を用いて説明する。図16は埋込電極の形成された絶縁層は、異なる部材の複数層からなり、更に前記絶縁層の中には内部電極が形成されている様子を示す断面図である。図16において、基板21の上には、第1の絶縁層27、第2の絶縁層28等、複数の絶縁層が形成されており、更に前記絶縁層の一部には内部電極26が内蔵されている。このように、第1の絶縁層27の内部に内部電極26を形成することで、内部電極26をシールド層やGND層(グランド層)として使うことができ、歪センサが筐体や各種設備、あるいは乗用車等に取り付けられた場合、こうした筐体からのノイズの影響を抑えられる。
更に詳しく説明する。まず基板21の上に、焼成後の絶縁層27となるように、結晶化ガラス粉を樹脂溶液に3本ロールを用いて分散して作製した第1のガラスペーストを所定形状で印刷した。さらにその上に、焼成後に内部電極26となるように、銀を主体とする内部電極ペーストを印刷した。更にこの電極ペーストの上に、焼成後に絶縁層27となるように、前記第1のガラスペーストを所定形状で印刷した。そして、この上に、非晶質ガラス粉を樹脂溶液に分散してなる、この上に第2のガラスペーストを所定形状で印刷した。
そして、図11から図13に示したように、前記第2のガラスペーストの表面に、硬化済配線14を埋め込んだ。そして第1のガラスペースト、内部電極ペースト、第2のガラスペースト、硬化済配線等を同時に焼成した。その後、この上に歪抵抗体ペーストを所定パターンで複数個がブリッジ回路を形成するように印刷し、850℃で焼成し、感歪抵抗体23を形成した。そして少なくとも感歪抵抗体23を覆うように、オーバーコート用ガラスペーストを所定パターンで印刷し、600℃で焼成した。
なおオーバーコート用のガラスペーストの焼成温度は500〜750℃が望ましい。750℃以上で焼成すると、感歪抵抗体内部に入っているPbO等のガラス成分が再溶解して、オーバーコート材料に拡散しやすく、その結果、抵抗値がずれてしまったり、抵抗値バラツキに影響を与える場合がある。また焼成温度が500℃未満の場合、出来上がったオーバーコート(図16では、保護層25に相当する)に、ピンホールや泡が発生する場合がある。このように、保護層25を形成するガラス部材としては、焼成温度を500〜750℃とすることで、感歪抵抗体の抵抗値に影響を与えにくい温度範囲で、保護層25を形成できるため、保護層25に泡やピンホールの発生を抑えられる(焼成温度が高いほど、保護層25に泡やピンホールは発生しにくいが、焼成温度が750を超えると、感歪抵抗体23の抵抗値が影響を受ける場合がある)。
(実施の形態6)
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項5〜9の発明について図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項5〜9の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態6では、本発明の絶縁層に用いる部材について詳しく説明する。まず絶縁層としては、ガラスもしくは、ガラスとセラミックからなるコンポジット材料を用いることができる。またその厚みは5〜500μmが望ましい。厚みが5μm未満の場合、電極パターンと金属弾性体の間に充分な絶縁特性が得られない場合がある。また厚みが500μmを超えると、絶縁層の材料費が製品コストに影響を与える場合がある。なお、ガラス材料としては、非晶質ガラスもしくは結晶質ガラスを単層、あるいは複数層組み合わせることができる。
結晶化ガラスを用いる場合、その組成はMgOが30〜55wt%、B2O3が5〜30wt%、SiO2が10〜25wt%、BaOが5〜30wt%、Al2O3が1〜30wt%、CaOが6wt%以下、ZrO2は5wt%以下のものが望ましい。
非晶質ガラスを用いる場合、その組成はSiO2が40〜80wt%、CaOが5〜15wt%、PbOが3〜15wt%、Al2O3が1〜10wt%、ZrO2が2〜10wt%のものが望ましい。SiO2が40wt%未満と少なすぎる場合や、80wt%を超える場合は、充分な焼結性が得られない場合がある。
また絶縁層として、これらガラス部材の中にセラミック部材を添加しておき、同時焼成してなるコンポジット材料を用いることもできる。
またここで用いるセラミック部材としては、SiO2、ZrO2、Al2O3、MgO、酸化カルシウムが酸化チタン等のセラミック粉を単体もしくは複数種を混合して用いることができる。この場合、これらセラミック粉の平均粒径は、0.01〜10μm未満が望ましい。平均粒径が0.01μm未満の場合、セラミック粉が高価になり製品コストに影響を与える場合がある。またその平均粒径が10μmを超えると、セラミック粉の分散が難しくなり、その結果、絶縁層の焼結性やその焼結均一性に影響を与える場合がある。このようにセラミック粉を絶縁層の中に一種のフィラーとして添加し、ガラス部材と同時焼成することで、出来上がった絶縁層の熱膨張係数を微調整できると共に、その低コスト化が可能になる。
またこれらガラスを複数層とする場合、互いにその組成の一部を異ならせることで、互いの焼結性に影響を与えることなくその熱膨張係数を最適化できる。例えば、複数のガラス層を絶縁層とする場合、ここに含まれているガラス成分(例えば、SiO2やMgOと言ったガラス成分)を、各層毎に最適化することができる。
また非晶質ガラスと結晶質ガラスを多層として用いる場合、下地になる方(つまり金属弾性体に近い側)を結晶質ガラスとすることが望ましい。結晶化ガラスは、金属弾性体上で焼成によって結晶化してしまった後は、後工程での熱処理で再溶解することはなく、非常に安定である。また銀等の拡散しやすい部材に対しても、その拡散を抑える効果が期待できる。その結果、図14に示したように、絶縁層22の内部に内部電極26を内蔵した場合でも、内部電極26の部材として、銀を主体としたものを選ぶことができ、その拡散による影響を抑えられる。
なお内部電極に銀を主体とする電極を用いる場合、その厚みは1〜50μmが望ましい。1μm未満の場合、必要な特性が得られない場合がある。また厚みが50μmを超えると、製品コストに影響を与える場合がある。また必要に応じて、内部電極にPdやPt、更にガラス部材を適量添加することで、その焼結収縮性を調整できるため、内部電極26と、それに隣接している絶縁層22を同時に焼成することができる(同時に焼成しても、層間剥離等の発生を防止できる)。
また感歪抵抗体としては、ルテニウム化合物を用いたものを使うことで、市販の金属箔ゲージ(GF=2)よりも高いGF(例えばGF=10〜20)を得ることができる。こうしたルテニウム化合物としては、酸化ルテニウム以外に、様々なルテニウム化合物を使うことができ、こうした材料としては市販されている抵抗体ペーストを用いることもできる。
なお、この場合、感歪抵抗体の厚みは、1〜100μmが望ましい。感歪抵抗体の厚みが1μm未満の場合、抵抗値がばらつきやすくなると共に、微細な抵抗体部材を用いる必要があり、GF値が低下する場合がある。また100μm以上の厚みの場合、製品コストに影響する場合がある。また感歪抵抗体内部に、酸化鉛を1〜70wt%の範囲で添加しておくことで、感歪抵抗体の焼結性を高められ、下地との密着強度も高められる。なお酸化鉛の添加量が1wt%未満の場合、添加効果が得られない場合がある。また70wt%を超えると、抵抗値が高くなりすぎたり、抵抗値の焼成温度に対する依存性が高くなって抵抗値が変動しやすくなる場合がある。
(実施の形態7)
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項10〜12の発明について図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項10〜12の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態7では、本発明で提案する歪センサに用いる感歪抵抗体について説明する。感歪抵抗体としてはRuO2もしくはRu化合物が10〜40wt%、PbOが40〜60wt%、SiO2が5〜20wt%、B2O3が2〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%含まれたものを使うことが望ましい。
RuO2もしくはRu化合物が10wt%未満の場合、抵抗値が高くなりすぎて歪センサとして使えない場合がある。またRuO2もしくはRu化合物の割合が40wt%を超えると、Ruは貴金属であることもあり製品価格に影響を与える場合がある。またPbOが40wt%未満の場合、GFが低くなることがある。またPbOが60wt%以上の場合、オーバーコートに用いるガラス材料の影響を受ける場合がある。またSiO2の割合が5wt%未満の場合や20wt%を超えた場合、抵抗体の特性が焼成温度の影響を受けやすくなる場合がある。またB2O3の割合が2wt%未満や10wt%を超える場合、Al2O3の割合は1wt%未満や10wt%を超える場合でも、抵抗体の特性が不安定化する場合がある。
また歪センサを構成するルテニウム化合物のうち、50%以上は大きさ0.1〜3μmのルテニウム化合物であることが望ましい。ルテニウム化合物の直径が0.1μm未満と小さいものが、ルテニウム化合物の50%以上を占める場合、GF値が小さくなる場合がある。ルテニウム化合物の大きさを測定するには、ペースト状態ではペーストを乾燥させた状態で、完成された歪センサの場合では製品断面をSEM(走査型電子顕微鏡)やXMA(X線マイクロ分析)を使って解析することで確かめられる。
XMAで解析する場合、Ru(ルテニウム)とPb(鉛)の蛍光X線の波長が近いため、設備によってはRuとPb元素を綺麗に分離できず、ルテニウム化合物の形や大きさまで判別できない場合がある。この場合は、エネルギー分散型ではなくて、波長分散型のXMA装置を用いることで、より正確にRu化合物の大きさを測定できる。またRu化合物の大きさの分布は、抵抗体の任意の断面をXMAで観察し、ここに観察されるRu化合物を10個〜100個程度サンプリングし、各々の寸法をXMAのマッピングデータから測定し(この場合、個々のRu化合物の真の大きさではなくて、Ru化合物の断面での大きさになるが、この測定方法が便利であり、この方法を使うことが望ましい)、その結果を元に、Ru化合物の寸法分布を求めれば良い。
なお発明者らの実験によるとペースト状態(Ru化合物が未焼成の状態)でも、Ru化合物がガラス中に閉じ込められ、その断面(Ru化合物もその断面で、その寸法が測定されることになる)で測定した場合でも、特に差は見られなかった。なおRu化合物としては、Ruの酸化物だけに限定する必要は無い。また必要に応じて、K2OやCaO、CuOを0.1〜3wt%の範囲で添加することで、抵抗体の感歪特性を高めたり、安定化しやすくなる。この場合これら、微量元素の添加量が0.1wt%未満の場合、添加量のコントロールが難しく、また添加効果が得られない場合がある。また添加量が3wt%を超えると、特性が不安定になる場合がある。またB2O3を1から10wt%の範囲で添加することで、感歪抵抗体の焼成温度に対する依存性を抑えることもできる。この場合、B2O3の添加量が1wt%未満の場合、添加効果が得られない場合がある。また10wt%を超えると、抵抗体の他の特性に影響を与える場合がある。
本発明にかかる歪センサ及びその製造方法は、歪センサの特性を決める感歪抵抗体を高精度かつ安定して形成することができるため、歪センサの特性を安定化できると共にその生産性を高めることができ、製品品質の安定化と低コスト化ができるという効果を有し、高精度な歪センサを低コストで市場に供給することができる。
12 埋込電極
13 未焼成絶縁層
14 硬化済み配線
15 防汚れフィルム
16 プレス装置
17 ヒーター
18 矢印
19 窓
20 ベースフィルム
21 基板
22 絶縁層
23 感歪抵抗体
24 凸状電極
25 保護層
26 内部電極
27 第1の絶縁層
28 第2の絶縁層
13 未焼成絶縁層
14 硬化済み配線
15 防汚れフィルム
16 プレス装置
17 ヒーター
18 矢印
19 窓
20 ベースフィルム
21 基板
22 絶縁層
23 感歪抵抗体
24 凸状電極
25 保護層
26 内部電極
27 第1の絶縁層
28 第2の絶縁層
Claims (28)
- 基板と、前記基板上に複数の電極を埋め込んだ絶縁層を有し、前記電極上に感歪抵抗体を備え、前記感歪抵抗体および前記電極の少なくとも一部を覆う保護層を有することを特徴とする歪センサ。
- 基板は、金属弾性体からなる請求項1に記載の歪センサ。
- 絶縁層の内部に内部電極が形成され、この内部電極は銀を主体とするものにガラスが添加されたものであり、厚みが1〜50μmである請求項1に記載の歪センサ。
- 絶縁層は、結晶化ガラスと非晶質ガラスが各々3〜300μmの厚みで積層されている請求項1に記載の歪センサ。
- 絶縁層は、ガラスもしくはガラスとセラミックからなるコンポジット材料であり、その厚みが5〜500μmである請求項1に記載の歪センサ。
- 電極は銀もしくは銀とパラジウムを主体とするものにガラスが添加されたものであり、その厚みが1〜100μmである請求項1に記載の歪センサ。
- 保護層は、ガラスもしくはガラスとセラミックからなるコンポジット材料であり、その厚みが5〜500μmである請求項1に記載の歪センサ。
- 絶縁層は、少なくともMgOが30〜55wt%、B2O3が5〜30wt%、SiO2が10〜25wt%、BaOが5〜25wt%、AL2O3が1〜30wt%、CaOは6wt%以下であり、結晶化率は40〜80%の結晶化ガラスである請求項1,5,7に記載の歪センサ。
- 絶縁層は、少なくともSiO2が40〜80wt%、CaOが5〜15wt%、PbOが3〜15wt%、AL2O3が1〜10wt%、ZrO2が2〜10wt%の非晶質ガラスである請求項1,5,7に記載の歪センサ。
- 感歪抵抗体は、ルテニウム化合物にガラスが添加されたものであり、その厚みが1〜100μmである請求項1記載の歪センサ。
- 感歪抵抗体は、少なくともRuO2が10〜40wt%、PbOが40〜60wt%、SiO2が5〜20wt%、B2O3が2〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%含まれている請求項1に記載の歪センサ。
- 感歪抵抗体を構成するルテニウム化合物のうち、50%以上は大きさ0.1〜3μmのルテニウム化合物である請求項1記載の歪センサ。
- 基板上に、あらかじめ複数の電極を埋め込んだ未焼成絶縁層を積層し、次に前記未焼成絶縁層を前記電極と同時に焼成することにより電極埋め込み層を形成し、その後前記電極上に感歪抵抗体を形成し、次に前記感歪抵抗体および前記電極埋め込み絶縁層の少なくとも一部を保護層で覆うことを特徴とする歪センサの製造方法。
- 基板上に未焼成絶縁層を形成し、次に前記未焼成絶縁層の上に電極パターンを形成し、その後プレス装置を用いて前記電極パターンを前記未焼成絶縁層に埋込み、次に前記未焼成絶縁層と前記電極を同時に焼成し、その後電極埋め込み絶縁層を形成し、次に前記電極の上に感歪抵抗体を形成し、更に前記感歪抵抗体と前記電極埋め込み絶縁層の少なくとも一部を保護層で覆うことを特徴とする歪センサの製造方法。
- プレス装置は、プレスを行う側の面に突起を設けていることを特徴とする歪センサの製造方法。
- フィルム上に所定の電極パターンを形成し、このフィルムを未焼成絶縁層が表面に形成された基板の上にセットし、次にプレス装置を用いて前記フィルム側から前記電極パターンを前記未焼成絶縁層の上に押し付けて埋め込み、その後前記フィルムのみを剥離し、次に前記未焼成絶縁層と前記電極パターンを同時に焼成し、その後電極埋め込み絶縁層を形成し、次に前記電極の上に感歪抵抗体を形成し、更に前記感歪抵抗体と前記電極埋め込み絶縁層の少なくとも一部を保護層で覆う歪センサの製造方法。
- 基板は、金属弾性体からなるものを用いた、請求項13〜16に記載の歪センサの製造方法。
- 未焼成絶縁層は、ガラス粉末が樹脂溶液に分散されてなるガラスペーストが、金属弾性体上に所定形状に印刷された後、50〜400℃の範囲で乾燥されたものである請求項13〜16に記載の歪センサの製造方法。
- 未焼成絶縁層の厚みが10〜1000μmである請求項13〜16に記載の歪センサの製造方法。
- 未焼成絶縁層は、ガラス粉末及び樹脂、可塑剤からなる請求項13〜16に記載の歪センサの製造方法。
- 電極パターンは、導電粉が硬化型樹脂溶液に分散されてなる電極ペーストを、所定形状に印刷した後、硬化されたものである請求項13〜16に記載の歪センサの製造方法。
- 電極パターンの厚みが5〜200μmである請求項13〜16に記載の歪センサの製造方法。
- 電極パターンは、導電粉末および硬化性樹脂からなる請求項13〜16に記載の歪センサの製造方法。
- 電極パターンは、所定電極ペーストが60〜400℃の温度で、0.1秒〜30分の時間で硬化もしくは溶剤不要化されたものである請求項13〜16に記載の歪センサの製造方法。
- 未焼成絶縁層と電極パターンは、同時に600〜1000℃で焼成される請求項13〜16に記載の歪センサの製造方法。
- プレス圧力は、1〜1000Kg/cm2である請求項14〜16に記載の歪センサの製造方法。
- プレス時間は、0.1秒〜10分である請求項14〜16に記載の歪センサの製造方法。
- プレス温度は、20〜300℃である請求項14〜16に記載の歪センサの製造方法。
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