JP2006193816A - 加工性および生産性に優れた鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 加工性および生産性に優れた鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 C、Si、Mn、P、S、Cr、Mo、Nb、Al、Nを所定範囲に限定し、さらに必要に応じてTi、V、Cu、Ni、B、REM 、Ca、Zr、Mgを添加した鋼において、X1=(Si/5+Mo+Cr/2)/(C+Mn/6)で表されるX1が0.5以上、X2=0.006t+0.8−Mnで表されるX2が0以上とした鋼を、水冷を必須とした製造方法で鋼板とすることにより、鋼を成する組織のうちビッカース硬さが170 HV以下である領域が30%以上90%以下を占め、ビッカース硬さが350 HV以上である領域が10%以上70%以下を占める鋼板とすることができ、これにより加工性に優れた鋼板が得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】 C、Si、Mn、P、S、Cr、Mo、Nb、Al、Nを所定範囲に限定し、さらに必要に応じてTi、V、Cu、Ni、B、REM 、Ca、Zr、Mgを添加した鋼において、X1=(Si/5+Mo+Cr/2)/(C+Mn/6)で表されるX1が0.5以上、X2=0.006t+0.8−Mnで表されるX2が0以上とした鋼を、水冷を必須とした製造方法で鋼板とすることにより、鋼を成する組織のうちビッカース硬さが170 HV以下である領域が30%以上90%以下を占め、ビッカース硬さが350 HV以上である領域が10%以上70%以下を占める鋼板とすることができ、これにより加工性に優れた鋼板が得られる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、加工性および生産性に優れた鋼板、特に板厚4〜50mm程度、引張強さの水準が780MPa程度の鋼板およびその製造方法に関するものである。この製法で製造した鋼板は、造船、橋梁、建築、海洋構造物、圧力容器、ラインパイプなどの溶接構造物一般に用いることができるが、特に構造物の製作時に曲げ加工や切削作業を必要とする分野での使用において有効である。
溶接構造物に使用される鋼板には、重量や施工コストを低減するために高い強度が要求されることが多く、引張強さが780MPa程度の鋼材は現在様々な領域で使われている。しかし、引張強さが780MPa程度の鋼材の製造方法は特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に提示されているようなオフラインの焼き入れ、焼き戻し処理を含むことが多いため、製造コストが高く、かつ工期が長くなる。
これを解決する手法として、圧延後直ちに水冷を実施するいわゆる直接焼き入れプロセスが特許文献5、特許文献6に開示されている。また、Cuの析出強化を活用して溶接性などの向上をはかった鋼材の製造方法が特許文献7、特許文献8、特許文献9に提示されている。これらの方法ではオフラインの焼き入れ処理は省略可能であるものの、オフラインの焼き戻し処理が必要なため、製造工期の大幅な短縮は望めない。
また、圧延後に直接焼き入れを実施し、その後水冷を常温よりも高い温度で停止することによってオフラインの焼き戻しを省略する方法が特許文献10、特許文献11に開示されている。しかし、水冷停止温度のばらつき等によって鋼板の形状不良が問題となり、さらに残留応力が高くなるため鋼板の切断時に変形を生じやすいという問題がある。
また、TiCの析出強化を活用して、圧延後空冷で製造する方法が特許文献12に提示されている。この方法ではオフラインの熱処理なしに製造が可能であるものの、低温の圧延が必要であるために生産性は低く、かつTiCの析出強化によって靱性が低下するという欠点を有する。
以上のことから、780MPa程度の引張強さと高い靭性を有する鋼板を高い生産性で製造することは現在の技術では不可能である。
以上のことから、780MPa程度の引張強さと高い靭性を有する鋼板を高い生産性で製造することは現在の技術では不可能である。
また、溶接構造物に使用される鋼板は、その製作の際に切削や曲げといった種々の加工を受ける。鋼板の強度が増大するにつれ、加工性は一般に低下するのが普通であり、特に引張強さが780Mpa程度の鋼材では、たとえば切削作業における工具寿命が短くなることや、切削時の工具回転速度を低く設定する必要が生じるなどの事情によって工期が長くなるなどの問題点が生じる。また、曲げ加工においても、割れを生じずに加工できる最小半径が大きくなるため、加工に制約が生じる。
以上のことから、780MPa程度の引張強さと優れた加工性、すなわち被削性や曲げ性を有する鋼板を高い生産性で製造することは現在の技術では不可能である。
特開平6−228636号公報
特開平6−41632号公報
特開昭53−29217号公報
特開昭53−29218号公報
特開平2−129317号公報
特開平9−13122号公報
特開昭62−54019号公報
特開平3−162523号公報
特開平3−260011号公報
特開2004−52063号公報
特開2003−147477号公報
特開昭59−110724号公報
以上のことから、780MPa程度の引張強さと優れた加工性、すなわち被削性や曲げ性を有する鋼板を高い生産性で製造することは現在の技術では不可能である。
解決しようとする問題点は、加工性に優れた板厚4〜50mm程度、引張強さの水準が780MPa程度の鋼板およびその鋼板を高い生産性で製造する方法を提供することである。
本発明は、加工性に優れた板厚4〜50mm程度、引張強さの水準が780MPa程度の鋼板およびその鋼板を高い生産性で製造する方法を提供するものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)鋼が、質量%で、C:0.04〜0.15%、Si:0.01〜2%、Mn:0.01〜1.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Cr:0.01〜1%、Mo:0.01〜1%、Nb:0.001〜0.1%、Al:0.001〜0.1%、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成とし、X1=(Si/5+Mo+Cr/2)/(C+Mn/6)で表されるX1が0.5以上であり、X2=0.006t+0.8−Mnで表されるX2が0以上であり、さらに鋼を構成する組織のうちビッカース硬さが170HV以下である領域が30%以上90%以下を占め、ビッカース硬さが350HV以上である領域が10%以上70%以下を占めることを特徴とする、加工性および生産性に優れた鋼板。
(2)質量%で、さらに、Ti:0.001〜0.04%、V:0.001〜0.1%の1種または2種を含有することを特徴とする、前記(1)に記載の加工性および生産性に優れた鋼板。
(3)質量%で、さらに、Cu:0.005〜1%、Ni:0.01〜2%、B:0.0002〜0.005%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の加工性および生産性に優れた鋼板。
(4)質量%で、さらに、REM:0.0005〜0.1%、Ca:0.0005〜0.02%、Zr:0.0005〜0.02%、Mg:0.0005〜0.02%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の加工性および生産性に優れた鋼板。
(5)質量%で、C:0.04〜0.15%、Si:0.01〜2%、Mn:0.01〜1.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Cr:0.01〜1%、Mo:0.01〜1%、Nb:0.001〜0.1%、Al:0.001〜0.1%、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成とし、X1=(Si/5+Mo+Cr/2)/(C+Mn/6)で表されるX1が0.5以上であり、X2=0.006t+0.8−Mnで表されるX2が0以上である鋼片または鋳片を900℃以上1350℃以下に加熱した後に粗圧延を行い、その後に第一パス噛込温度をX3=40ln(X1)−20√t+960で表されるX3(℃)以下、最終パス噛込温度をAr3 点より50℃低い温度以上、全圧下率を30%以上、平均圧延パス間時間を20s以内とする仕上圧延を行い、圧延終了後1000s以内に、水量密度が0.3m3 /m2 ・min.以上5.0m3 /m2 ・min.以下の水冷を開始し、600℃以下250℃以上で水冷を終了することを特徴とする、加工性および生産性に優れた鋼板の製造方法。
(6)質量%で、さらに、Ti:0.001〜0.1%、V:0.001〜0.1%の1種または2種を含有することを特徴とする、前記(5)に記載の加工性および生産性に優れた鋼板の製造方法。
(7)質量%で、さらに、Cu:0.005〜1%、Ni:0.01〜2%、B:0.0002〜0.005%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(5)または(6)に記載の加工性および生産性に優れた鋼板の製造方法。
(8)質量%で、さらに、REM:0.0005〜0.1%、Ca:0.0005〜0.02%、Zr:0.0005〜0.02%、Mg:0.0005〜0.02%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(5)ないし(7)のいずれか1項に記載の加工性および生産性に優れた鋼板の製造方法。
本発明によれば、生産性の高い製造方法で、母材の強度が780MPa程度で加工性に優れた鋼板およびその製造方法を提供することが可能であり、産業上の価値の高い発明であるといえる。
本発明を詳細に説明する。
発明者らは、板厚4〜50mm程度、母材の強度が780MPa程度であり、加工性に優れた鋼材を、生産性の高い方法で製造する方法について鋭意検討を行った。この結果、フェライトを主体とする軟質組織、ベイナイトとマルテンサイトを主体とする硬質組織の複合組織を鋼の主要組織とすることと、Mnの添加量を低減することの組み合わせにより、大幅に加工性が向上することを見いだした。組織を前記の複合組織として、さらに母材靭性や溶接性にも同時に優れた鋼とするためには、C、Si、Mn、Cr、Mo、Nbを中心とした鋼成分の添加量およびその比率の調整と、仕上げ圧延温度と鋼成分の関係の規定、さらに水冷を必須とする製造方法の最適な組み合わせが必要であることも知見した。
発明者らは、板厚4〜50mm程度、母材の強度が780MPa程度であり、加工性に優れた鋼材を、生産性の高い方法で製造する方法について鋭意検討を行った。この結果、フェライトを主体とする軟質組織、ベイナイトとマルテンサイトを主体とする硬質組織の複合組織を鋼の主要組織とすることと、Mnの添加量を低減することの組み合わせにより、大幅に加工性が向上することを見いだした。組織を前記の複合組織として、さらに母材靭性や溶接性にも同時に優れた鋼とするためには、C、Si、Mn、Cr、Mo、Nbを中心とした鋼成分の添加量およびその比率の調整と、仕上げ圧延温度と鋼成分の関係の規定、さらに水冷を必須とする製造方法の最適な組み合わせが必要であることも知見した。
なお、本発明における加工性とは、被削性や曲げ性を指すものとする。被削性は、工具寿命が長いほど、切削抵抗が低いほど、切屑処理が容易であるほど優れるものとする。曲げ性は、裂けきず等の発生しない最小の曲げ半径が小さいほど優れるものとする。溶接性とは、溶接割れと溶接熱影響部靭性の両方を指し、溶接割れが発生しにくいほど、また溶接熱影響部靭性が高いほど溶接性に優れるものとする。
本発明において最も重要なのは、鋼板の組織を軟質のフェライトと硬質のベイナイト、マルテンサイト主体の複合組織とすることである。特に、板厚4〜50mm程度の鋼板を対象とすることから、板厚方向の幅広い部位において軟質と硬質の複合組織となっていることが重要となる。組織をこのように制御すると、切削時には軟質部が容易に変形する一方で、軟質部と硬質部の界面近傍に応力集中が生じ、結果として極めて少ない塑性変形で切削が進行する。これにより、工具寿命は長くなり、切削抵抗は低下し、切屑処理は容易となる。また、曲げを行った場合には軟質部で容易に変形が進行するため、裂けきず等の発生なく曲げ加工を行うことが容易となる。
複合組織の規定を光学顕微鏡組織観察により行う場合、軟質のフェライトが析出強化や転位強化によって強化されているか否かが判断出来ないため、加工性に優れるかどうかを規定し得ない。そこで、本発明ではビッカース硬さによって規定する。発明者は、引張強さが780MPa程度の鋼板の硬さ分布と加工性を詳細に調べ、ビッカース硬さが170HV以下である領域が30%以上90%以下を占め、かつビッカース硬さが350HV以上である領域が10%以上70%以下である場合に加工性に極めて優れることを知見した。また、ビッカース硬さが170HV以下である領域が30%未満であったり、350HV以上である領域が70%超であったりした場合には加工性が著しく低下すること、さらにビッカース硬さが170HV以下である領域が90%超であったり、350HV以上である領域が10%未満である場合には引張強さが780MPaを下回ることを見いだした。よって、本発明においては、ビッカース硬さが170HV以下である領域が30%以上90%以下を占め、かつビッカース硬さが350HV以上である領域が10%以上70%以下であることと規定する。
本発明におけるビッカース硬さとは、JIS Z 2244に規定される方法に基づいて測定された値であり、規格で規定された以外の測定方法をここで詳述する。試験力は0.09807Nとする。測定面は、圧延方向と板厚方向がなす面(以後これをL面と呼ぶ)とする。板厚方向の測定部位は、鋼板の板厚の1/4、1/2、3/4に相当する長さだけ鋼板表面から鋼板内部に入った部位(以後それぞれt/4部、t/2部、3t/4部と呼ぶ)とする。各測定点を結んだ線分は板厚方向と平行になるようにする。幅方向の測定部位は、鋼板の幅方向の端部と、端部から板厚に相当する長さだけ内部に入った部位の間で測定するのを避け、極力幅方向の中心部に近い部位で測定する。測定は図1に示すように100μmの間隔で行い、測定点数を121点とする。つまり、t/4部、t/2部、3t/4部のそれぞれについて121点測定する。t/4部、t/2部、3t/4部のいずれにおいても、ビッカース硬さが170以下である測定点の個数が全測定個数121個に占める割合の百分率表示が30%以上90%以下であり、かつビッカース硬さが350HV以上である測定点の個数が全測定個数121個に占める割合の百分率表示が10%以上70%以下であることをもって、ビッカース硬さが170以下である領域が30%以上90%以下を占め、かつビッカース硬さが350HV以上である領域が10%以上70%以下を占めると定義する。
板厚が10mm以上の鋼板の場合、板厚方向のt/4部、t/2部、3t/4部のみでなく、鋼板表面から2mmだけ内部に入った部位と鋼板裏面から2mmだけ内部に入った部位(以後表面下2mm部、裏面下2mm部と呼ぶ)でもビッカース硬さが170以下である領域が30%以上90%以下を占め、かつビッカース硬さが350HV以上である領域が10%以上70%以下を占める場合には、さらに優れた加工性を示すことから、望ましくは板厚方向の表面下2mm部、裏面下2mm部、t/4部、t/2部、3t/4部についてビッカース硬さが170以下である領域が30%以上90%以下を占め、かつビッカース硬さが350HV以上である領域が10%以上70%以下を占めることとする。
さらに、加工性の向上にはMn量も重要である。Mnは、強度増大に有効な元素であり、本発明が対象とする引張強さ780MPa程度を達成するためには最低でも0.01%以上の添加が必要となるが、逆に1.0%を超えて添加するとフェライトの硬さが増大し、加工性が低下する。よって、Mnの添加量を0.01%以上1.0%以下と規定する。
さらに、加工性の向上にはMn量も重要である。Mnは、強度増大に有効な元素であり、本発明が対象とする引張強さ780MPa程度を達成するためには最低でも0.01%以上の添加が必要となるが、逆に1.0%を超えて添加するとフェライトの硬さが増大し、加工性が低下する。よって、Mnの添加量を0.01%以上1.0%以下と規定する。
軟質と硬質の複合組織からなる鋼板を、溶接性や母材靭性を低下させずに製造するためには、水冷による強度確保を通じた低合金化や組織微細化が必須となる。一方で、水冷をすることによって軟質のフェライトを生成させることが困難になることから、合金成分の添加バランス調整が必要となる。発明者は、780MPa程度の引張強さと優れた加工性、靱性、溶接性を併せて達成するための合金成分を、水冷を必須とする製造方法について鋭意検討し、C、Si、Cr、MoとMnの添加量のバランスが重要であることを見いだした。Si、Cr、Moの3元素は水冷を必須とする製造方法においてフェライトを生成させるのに対して有効な元素であり、逆にC、Mnはフェライトの生成を遅らせる効果が大きい。X1=(Si/5+Mo+Cr/2)/(C+Mn/6)であらわされるX1が0.5未満の場合はフェライトの安定的な確保が困難となって加工性が低下するため、X1を0.5以上と規定した。なお、X1を計算する際のSi、Mo、Cr、C、Mnはいずれも質量%で表示された添加量である。本発明においてCrは重要な元素であるが、合金コストを勘案の上必要に応じて添加される。
さらに、Mnの添加量は鋼板の最終板厚との関係においても規定される。本発明ではフェライト変態を促進することが重要となるが、鋼板を水冷する際の冷却速度は最終板厚毎に異なり、同一の水量密度であれば最終板厚が小さいほど冷却速度は上昇するため、フェライトの生成は抑制される。このため、板厚が小さいほどフェライト安定化のためにMn量を低減する必要が生じる。発明者らは、水量密度0.1〜10.0m3 /min.・m2 の場合にフェライトが生成する条件を探索し、最終板厚がt(mm)の場合には、Mnの添加量(質量%)が0.006t+0.80以下である必要があることを見出した。よって、X2=0.006t+0.8−Mnで表されるX2の値を0以上と規定した。なお、最終板厚とは、仕上げ圧延終了後に幅方向の中心部近傍で測定された鋼板の厚みを表し、鋼板の3箇所以上で測定した値の平均値を採用することが望ましい。
Cは、強度確保に必須の元素であるため、その添加量を0.04%以上とする。しかし、一方でC量の増大はフェライト生成量低下を通じた加工性の低下や、粗大析出物の生成による母材靱性、溶接性の低下を招くためその上限を0.15%とする。
Siは前記のように本発明において非常に重要な元素である。圧延後の水冷を前提とする 製造方法において軟質のフェライトと硬質のベイナイト、マルテンサイトを得るために有効な元素である。その効果を発揮するためには0.01%以上の添加が必要であり、2%超の添加は溶接性を低下させるため、添加量を0.01%以上2%以下とする。
Moは前記のように本発明において非常に重要な元素である。圧延後の水冷を前提とする製造方法において軟質のフェライトと硬質のベイナイト、マルテンサイトを得るために有効な元素であり、その効果を発揮するためには0.01%以上の添加が必要であり、1%超の添加は溶接性を低下させるため、添加量を0.01%以上1%以下とする。
Crは前記のように本発明において非常に重要な元素である。圧延後の水冷を前提とする製造方法において軟質のフェライトと硬質のベイナイト、マルテンサイトを得るために有効な元素であり、その効果を発揮するためには0.01%以上の添加が必要であり、1%超の添加は溶接性を低下させるため、添加量を0.01%以上1%以下とする。
さらに、本発明においては、制御圧延の効果を従来に比べて高めるための成分の規定としてMoとNbの複合添加が重要となる。Nb添加による制御圧延効果の増大は広く知られているところであるが、Mnを低減した成分系においてNb、Moを複合添加した場合、Nb単独添加の場合に比べ、熱間加工後の軟化が著しく抑制されることを今回新たに知見した。つまり、制御圧延によってフェライト生成の促進を図る場合、前記の成分調整に加え、NbとMoの複合添加が有効に働くことが判明した。この効果を発現させるためには、前記で規定したMnとMoの添加量の範囲において、Nb量が0.001質量%未満では効果がなく、一方0.05質量%を超える添加では脆化相の増大を通じて母材や溶接熱影響部の靱性を低下させえるため、Nbの添加量を0.001質量%以上0.05質量%以下と規定する。
Pは、不純物元素であり低い方が望ましい。0.02%を超える添加は母材の延性、靭性や溶接性を低下させるため、0.02%以下と規定する。
Sは、不純物元素であり低い方が望ましい。0.01%を超える添加はMnSの生成により母材靱性を低下させるため、0.01%以下と規定する。
Alは、脱酸材として有効な元素であり、その添加量を0.001%以上とする。しかし、一方でAl量の増大は母材靭性の低下を招くためその上限を0.1%とする。
Nは、不純物元素であり、0.01%を超える添加は母材靱性、溶接性を低下させるため、0.01%以下と規定する。
本発明においてはTi、Vも重要な元素である。Ti、Vは析出強化によって強度を増大するのに有効な元素であり、必要に応じて添加される。発明者は、軟質と硬質の複合組織からなる鋼板をこれら元素により強化したものについて、加工性を評価した。その結果、たとえ軟質と硬質の複合組織である場合でも、析出強化量が大きい場合には軟質部と硬質部の硬度差が減少し、加工性が低下することを見いだした。Ti、Vの添加量がそれぞれ 0.04%、0.1%を超えると加工性が顕著に低下し、一方0.001%未満の添加では強度増大の効果が得られないことから、Ti、Vの添加量をそれぞれ0.001%以上0.04%以下、0.001%以上0.1%以下とした。
Cu、Ni、Bは強度確保の観点から必要に応じて添加される。Cuは、強度確保に有効な元素である。0.005%未満の添加ではその効果は小さく、一方、1%を超える添加は溶接性を低下させるため、その範囲を0.005〜1%とする。Niは、強度確保のために必要に応じて添加される。0.01%未満の添加ではその効果は小さく、一方、2%を超える添加は溶接性を低下させるため、その範囲を0.01〜2%とする。Bは、焼入性の増大に有効な元素であり、その添加量を0.0002%以上とする。しかし、一方でB量の増大は粗大析出物の生成により母材靭性の低下を招くためその上限を0.005%とする。
REM、Ca、Zr、Mgの1種または2種以上の添加により、母材介在物制御、溶接熱影響部の加熱オーステナイトの微細化や粒内からの変態核生成を通じて母材靱性及び溶接熱影響部靱性を高めることができるため、必要に応じて添加される。この効果を発揮するためには、REM、Ca、Zr、Mgいずれも0.0005%以上の添加が必要である。一方、過剰に添加すると硫化物や酸化物が粗大化して母材靱性や延性の低下をもたらすため、その上限値をREMで0.1 %、Ca、Zr、Mgで0.02%とする。
次に本発明の鋼板を製造する方法につき説明する。本製造方法においては、仕上げ圧延が最も重要となる。仕上げ圧延は、水冷を行う製造方法において、フェライトを安定生成させるために重要である。低温で圧延するほど、単位圧下歪当たりの導入転位密度が高く、かつ圧延パス間や圧延機から水冷設備までの搬送途上での回復が抑制されるため、フェライト生成を促進することができる。フェライトの生成挙動は合金成分の影響も強く受けるため、仕上げ圧延条件は成分との関係において規定される必要がある。発明者は、種々の成分の鋼について最適な仕上げ圧延の第一パス噛込温度の検討を行い、仕上げ圧延の第一パス噛込温度がX3=40ln(X1)−20√t+960で表されるX3(℃)以下である場合にフェライトが安定生成することを見いだした。よって、仕上げ圧延の噛込温度をX3(℃)以下と規定する。ここで、X1は、既に示した通りX1=(Si/5+Mo+Cr/2)/(C+Mn/6)で計算される値であり、tは最終板厚(mm)である。なお、仕上げ圧延の噛込温度がAr3 点を下回ると、フェライトの加工に伴う硬度増大を通じて加工性が低下するため、仕上げ圧延の噛込温度の下限をAr3 点とする。仕上げ圧延の最終パス直前の鋼板表面温度は、フェライトの加工に伴う加工性低下を極力抑制する観点から、その下限をAr3 点より50℃低い温度以上と規定し、上限をX3(℃)とする。
なお、本発明では粗圧延機で実施される圧延を粗圧延、仕上げ圧延機で実施される圧延を 仕上げ圧延とする。もし、粗圧延、仕上げ圧延を同一の圧延機で実施する場合には、圧延の前半と後半を分ける明確な設定温度が存在する場合は後半の圧延を指し、明確な温度設定が存在しない場合や2つ以上の設定温度が存在する場合は、圧延パス開始直前の鋼板表面温度が900℃以下の圧延を仕上げ圧延とみなす。仕上げ圧延噛込温度とは、仕上げ圧延の最初の圧下直前に鋼板表面で測定された温度を指す。仕上げ圧延の最終パス直前の鋼板表面温度とは、仕上げ圧延の最終パスの圧下直前に鋼板表面で測定された温度を指す。Ar3 点は直接測定することができないが、実際の製造条件を模擬した加工熱処理を、膨張曲線を測定しながら実施することで見積もることができる。なお、鋼板表面温度は、たとえば放射温度計を使用することで測定可能である。
仕上げ圧延の全圧下率もフェライトの安定化の観点から重要である。仕上げ圧延の全圧下率が30%以上であればフェライトの安定化によって加工性が向上する。一方、仕上げ圧延の全圧下率が90%を超えると大幅に生産性が低下する。よって仕上げ圧延の全圧下率を30%以上90%以下とする。なお、仕上げ圧延の全圧下率を60%以上とすることで加工性が一層向上することから、望ましくは仕上げ圧延の全圧下率を60%以上90%以下とする。なお、仕上げ圧延の全圧下率とは、仕上げ圧延前の板厚から最終板厚を引いた値を仕上げ圧延前の板厚で除した値の百分率表示とする。
仕上げ圧延時のパス間時間の規定も、回復による転位密度の低下を抑制する点から重要である。パス間時間の平均値が20sを超えると回復が進行して十分な転位密度が確保できないためフェライトが安定生成せず、加工性が低下する。よって、仕上げ圧延の平均パス間時間を20s以下とする。なお、パス間時間とは、ある圧延パスで鋼板の長手方向の中心部が圧下を受けた時点から、同一部位が次の圧延パスで圧下を受けるまでの時間を指し、仕上げ圧延の平均パス間時間とは、仕上げ圧延におけるパス間時間の合計を(仕上げ圧延パス数−1)で除した値である。
本発明においては、水冷の条件を規定することも重要である。これは、フェライトの安定生成による加工性の向上と、粒径の微細化による母材靭性の向上、低合金での強度確保を通じた溶接性の向上を同時に達成するためである。水冷は、仕上げ圧延の終了から1000s以内に開始するものと規定する。これは、水冷の開始までの時間が1000sを超えると、圧延によって導入された転位が回復により減少し、フェライトが安定生成せずに加工性が低下するためである。なお、仕上げ圧延の終了から100s以内に水冷を開始した場合には、フェライトがきわめて安定的に生成し、加工性が格段に向上することから、望ましくは仕上げ圧延の終了から100s以内に水冷を開始することとする。ここで、仕上げ圧延の終了とは、仕上げ圧延の最終パスにおいて鋼板の最前部が圧下を受けた時点を指し、水冷の開始とは、鋼板の最前部が水冷設備に達して水冷が開始された時点を指す。水冷時の水量密度は、0.3m3 /m2 ・min.を下回ると組織が粗大化して母材靭性が 低下し、一方5.0m3 /m2 ・min.を超えるとフェライトが安定生成しなくなって加工性が低下するため、水冷時の水量密度を0.3m3 /m2 ・min.以上5.0m3 /m2 ・min.以下と規定する。水冷の終了温度が600℃を超えると、フェライト生成後の残部オーステナイトが低温で変態せず、強度が低下し、水冷の終了温度が250℃を下回ると、母材の靱性が低下して、さらに引張試験の降伏棚が明瞭に現れなくなって降伏強度が低くなるため、水冷の終了温度を600℃以下250℃以上とする。水冷停止温度を前記の範囲にすることによって、以後のオフラインの熱処理が不要となり、生産性が大幅に高くなる。ここで、水冷の終了温度とは、水冷後複熱を待った後に測定された鋼板表面温度の最大値を指す。水冷後は、空冷するものとする。
以下には仕上げ圧延と水冷以外の製造方法の条件を規定する。仕上げ圧延に先立っては、鋼片または鋳片を加熱し、粗圧延を実施する。加熱温度が900℃未満の場合、加熱前の組織の一部が未変態のまま残存し、材質が不均一となり、一方加熱温度が1350℃を超えると、オーステナイトが粗大化して最終的な組織も粗大化し、母材靭性が大幅に低下するのみでなく、フェライトの生成が抑制されて加工性が低下するため、加熱温度を900℃以上1350℃以下とする。なお、加熱温度とは、鋼片あるいは鋳片が加熱炉で到達する最大の鋼板表面温度を指すものとする。粗圧延は、オーステナイトを再結晶により微細化する観点から重要であり、粗圧延の全圧下率は30%以上であることが望ましい。粗圧延の噛込温度、粗圧延の最終パス直前の鋼板表面温度は、加熱温度と仕上げ圧延温度の条件を満たすものであれば任意に設定可能である。なお、粗圧延の全圧下率とは、粗圧延前の板厚から粗圧延後の板厚を引いた値を粗圧延前の板厚で除した値の百分率表示とする。
種々の化学成分の供試鋼材を用いて、種々の製造条件で製造した板厚16、40mmの鋼板について、母材の降伏応力、引張強さ、母材靭性、溶接熱影響部靱性、さらに加工性のうち被削性としての穴あけ特性と曲げ性を評価した。鋼板の化学成分、最終板厚、X1、X2、X3、種々の部位で測定したビッカース硬さが170HV以下である領域の分率、ビッカース硬さが350HV以上である領域の分率を表1に、製造条件を表2に、特性の評価結果を表3に示す。
降伏応力と引張強さはJIS Z 2241に記載の金属材料引張試験方法により測定した。試験片はJIS Z 2201に記載の金属材料引張試験片とし、板厚8mmの鋼板からは5号試験片、板厚40mmの鋼板からはt/4部から採取した10号試験片を使用した。試験片は、長手方向が圧延方向と垂直になるように採取した。降伏応力は下降伏応力あるいはオフセット法で算出した0.2%耐力とした。2本の試験を行い、平均値を採用した。
母材靭性は、JIS Z 2242に記載の金属材料衝撃試験方法により測定した。試験片は、JIS Z 2202に記載の金属材料衝撃試験片とし、板厚8mmの鋼板は板厚中心部から幅5mmのサブサイズ試験片を、板厚40mmの鋼板はt/4部から幅10mmの試験片を採取した。形状はいずれもVノッチ試験片とし、ノッチ底のなす線が板厚方向と平行になるように、また試験片の長手方向が圧延方向と垂直になるように採取した。試験温度は−5℃とし、3本の試験を行った平均値を採用した。
溶接熱影響部靱性はCO2 ガスシールドアーク溶接で作成した溶接継手からシャルピー試験片を採取して、−5℃における吸収エネルギーを測定した。溶接入熱は3kJ/mmとした。試験片は、溶接のボンド部がシャルピー試験片のノッチ位置に対応するように採取した。3本の衝撃吸収エネルギーの平均値を採用した。
被削性の評価として、ボール盤とハイスドリルを使用して穴あけ試験を行った。鋼板の表裏面を研削し、板厚8mmの鋼板は5枚積み重ねて30mm、板厚40mmは1枚で38mmとして試験を実施した。ドリルは、径6mmφのハイスドリルSKH51を用いて貫通穿孔を行った。回転速度は1610rpm、送り速度は190mm/min.、切削油は水溶性切削油を使用した。以上の条件で、穿孔不能となるまで穴あけを行い、限界までの穴あけ総個数を測定した。
曲げ性の評価は、JIS Z 2248に準拠して実施した。試験片は、JIS Z 2204に記載の1号試験片を使用し、曲げ角度180℃の曲げを行い、試験片の外側にきれつを生じない最小の内側半径を測定した。
発明例1は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚8mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例1は、発明例1と類似の成分および製造方法であるものの、C量およびビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、母材靱性、溶接性、加工性が低い。
発明例2は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚8mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ 加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例2は、発明例2と類似の成分および製造方法であるものの、Mn量とX2、さらにビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、加工性が低い。
発明例3は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚8mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例3は、発明例3と類似の成分および製造方法であるものの、P量が本発明の範囲を外れているため、母材靱性と溶接熱影響部靱性が低い。
発明例4は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚8mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例4は、発明例4と類似の成分および製造方法であるものの、Al量が本発明の範囲を外れているため、母材靱性と溶接熱影響部靱性が低い。
発明例5は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚8mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例5は、発明例5と類似の成分および製造方法であるものの、Mo量が本発明の範囲を外れているため、溶接熱影響部靱性が低い。
発明例6は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚8mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例6は、発明例6と類似の成分および製造方法であるものの、仕上げ圧延の第一パス噛込温度とビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、加工性が低い。
発明例7は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚8mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例7は、発明例7と類似の成分および製造方法であるものの、仕上げ圧延の全圧下率とビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、加工性が低い。
発明例8は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚8mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例8は、発明例8と類似の成分および製造方法であるものの、Si量が本発明の範囲を外れているため、靱性と溶接性が低い。
発明例9は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚8mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例9は、発明例9と類似の成分および製造方法であるものの、X1、X2、ビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、加工性が低い。
発明例10は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚8mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例10は、発明例10と類似の成分および製造方法であるものの、Cr量、加熱温度、ビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、母材靱性、溶接熱影響部靱性、加工性が低い。
発明例11は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を 達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚40mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例11は、発明例11と類似の成分および製造方法であるものの、Mn量、X2、ビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、加工性が低い。
発明例12は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚40mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例12は、発明例12と類似の成分および製造方法であるものの、S量が本発明の範囲を外れているため、母材靱性と溶接性が低い。
発明例13は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚40mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例13は、発明例13と類似の成分および製造方法であるものの、Nb量と加熱温度、粗圧延の全圧下率、ビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、母材靱性と溶接熱影響部靱性、加工性が低い。
発明例14は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚40mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例14は、発明例14と類似の成分および製造方法であるものの、仕上げ圧延の第一パス噛込温度と平均圧延パス間時間、ビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、加工性が低い。
発明例15は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で 板厚40mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例15は、発明例15と類似の成分および製造方法であるものの、ビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、加工性が低い。
発明例16は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚40mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例16は、発明例16と類似の成分および製造方法であるものの、仕上げ圧延の第一パス噛込温度、ビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、母材靱性と加工性が低い。
発明例17は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚40mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例17は、発明例17と類似の成分および製造方法であるものの、N量が本発明の範囲を外れているため、母材靱性と溶接性が低い。
発明例18は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚40mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例18は、発明例18と類似の成分および製造方法であるものの、圧延終了後に水冷を開始するまでの時間、水量密度とビッカース硬さが本発明の範囲を外れているため、加工性が低い。
発明例19は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚40mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態 が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例19は、発明例19と類似の成分および製造方法であるものの、水冷時の水量密度と水冷停止温度が本発明の範囲を外れているため、強度が低い。
発明例20は、引張強さ780MPa程度の鋼板で高い加工性、靭性、溶接性と生産性を達成するため、合金成分のバランス、仕上げ圧延条件、水冷条件等を制御した製造方法で板厚40mmの鋼板を製造したものであり、特に仕上げ圧延の全圧下率、仕上げ圧延後水冷を開始するまでの時間が望ましい範囲にある。フェライトの安定生成と残部の低温変態が達成されているため、軟質と硬質の複合組織となり、引張強さは780MPa程度で、かつ加工性、母材靭性、溶接熱影響部靭性に優れている。一方、比較例20は、発明例20と類似の成分および製造方法であるものの、水冷時の水冷停止温度が本発明の範囲を外れているため、降伏応力と母材靱性が低い。
以上の実施例から、本発明により製造された鋼材である発明例1〜20の鋼板は、引張強さが780MPa程度で、加工性に優れた鋼材であることは明白である。
以上の実施例から、本発明により製造された鋼材である発明例1〜20の鋼板は、引張強さが780MPa程度で、加工性に優れた鋼材であることは明白である。
Claims (8)
- 鋼が、質量%で、
C :0.04〜0.15%、
Si:0.01〜2%、
Mn:0.01〜1.0%、
P :0.02%以下、
S :0.01%以下、
Cr:0.01〜1%、
Mo:0.01〜1%、
Nb:0.001〜0.1%、
Al:0.001〜0.1%、
N :0.01%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成とし、X1=(Si/5+Mo+Cr/2)/(C+Mn/6)で表されるX1が0.5以上で、X2=0.006t+0.8−Mnで表されるX2が0以上であり、さらに、鋼を構成する組織のうちビッカース硬さが170HV以下である領域が30%以上90%以下を占め、ビッカース硬さが350HV以上である領域が10%以上70%以下を占めることを特徴とする、加工性および生産性に優れた鋼板。 - 質量%で、さらに、
Ti:0.001〜0.04%、
V:0.001〜0.1%の1種または2種を含有することを特徴とする、請求項1に記載の加工性および生産性に優れた鋼板。 - 質量%で、さらに、
Cu:0.005〜1%、
Ni:0.01〜2%、
B :0.0002〜0.005%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の加工性および生産性に優れた鋼板。 - 質量%で、さらに、
REM:0.0005〜0.1%、
Ca:0.0005〜0.02%、
Zr:0.0005〜0.02%、
Mg:0.0005〜0.02%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の加工性および生産性に優れた鋼板。 - 質量%で、
C :0.04〜0.15%、
Si:0.01〜2%、
Mn:0.01〜1.0%、
P :0.02%以下、
S :0.01%以下、
Cr:0.01〜1%、
Mo:0.01〜1%、
Nb:0.001〜0.1%、
Al:0.001〜0.1%、
N :0.01%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成とし、X1=(Si/5+Mo+Cr/2)/(C+Mn/6)で表されるX1が0.5以上で、X2=0.006t+0.8−Mnで表されるX2が0以上である鋼片または鋳片を900℃以上1350℃以下に加熱した後に粗圧延を行い、その後に第一パス噛込温度をX3=40ln(X1)−20√t+960で表されるX3(℃)以下、最終パス噛込温度をAr3 点より50℃低い温度以上、全圧下率を30%以上、平均圧延パス間時間を20s以内とする仕上圧延を行い、圧延終了後1000s以内に、水量密度が0.3m3 /m2 ・min.以上5.0m3 /m2 ・min.以下の水冷を開始し、600℃以下250℃以上で水冷を終了することを特徴とする、加工性および生産性に優れた鋼板の製造方法。 - 質量%で、さらに、
Ti:0.001〜0.1%、
V :0.001〜0.1%の1種または2種を含有することを特徴とする、請求項5に記載の加工性および生産性に優れた鋼板の製造方法。 - 質量%で、さらに、
Cu:0.005〜1%、
Ni:0.01〜2%、
B :0.0002〜0.005%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項5または6に記載の加工性および生産性に優れた鋼板の製造方法。 - 質量%で、さらに、
REM:0.0005〜0.1%、
Ca:0.0005〜0.02%、
Zr:0.0005〜0.02%、
Mg:0.0005〜0.02%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の加工性および生産性に優れた鋼板の製造方法。
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