JP2006190658A - 蛍光ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 輝度の低下を抑制しつつ、蛍光体層の剥がれにくい蛍光ランプを提供すること。
【解決手段】 ガラスバルブ16と、当該ガラスバルブ16内面側に形成された蛍光体層22とを有する蛍光ランプにおいて、前記蛍光体層22を、複数の蛍光体粒子24と、蛍光体粒子24を包囲すると共に、蛍光体粒子24間を連結する結着剤26であって、酸化イットリウムとアルカリ土類金属ホウ酸塩とを成分とする結着剤とで構成した。ここで、蛍光体粒子24の総重量100に対する、酸化イットリウムの総重量比をA、アルカリ土類金属ホウ酸塩の総重量比をBとした場合に、AとBとが、0.1≦A≦0.6かつ0.4≦(A+B)≦0.7の範囲に調整されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、蛍光ランプに関し、例えば、液晶ディスプレイ装置におけるバックライトユニットの光源として用いられる蛍光ランプに関する。
蛍光ランプの中でも、管状をしたガラスバルブの内面側に蛍光体層が形成され、両端部に内部電極として冷陰極が設けられてなる冷陰極蛍光ランプは、細径化に適している。このため、薄型化(小型化)が要求されるバックライトユニットの光源として好適に用いられている。
また、バックライトユニットの光源用途としては、特に、輝度維持率に優れていることが要求される。経時的に生じる輝度低下の主な要因として、蛍光体の劣化と水銀の消耗とが挙げられる。蛍光体の劣化と水銀の消耗は、以下のようにして発生すると考えられている。
従来、蛍光体層は、無数の蛍光体粒子と、これらの蛍光体粒子同士を連結する、例えば、CBB(アルカリ土類金属ホウ酸塩の一種)のみからなる結着剤とで構成されている。CBBの大半は、蛍光体粒子にスポット的に付着して蛍光体粒子間を連結し、このため、蛍光体粒子表面の大部分は、CBBから露出していると考えられている。
蛍光体層は、冷陰極蛍光ランプの点灯時に発生する水銀イオンの衝撃にさらされる。上記従来の蛍光体層の場合、蛍光体粒子は、露出部分で水銀イオンの衝撃を受け、その結晶構造が非発光の結晶構造に変化する。また、蛍光体粒子やCBBを叩いた水銀イオンの中には、そのまま、当該蛍光体粒子内やCBB内に留まるものがある。これにより、紫外線発光に寄与する水銀が徐々に消耗されることとなる。
そこで、特許文献1には、上記CBBに代え、水銀イオンの衝撃に耐えうる特性を有する酸化イットリウムを用いて蛍光体層を形成してなる蛍光ランプが開示されている。特許文献1には、「蛍光体層が、複数の蛍光体粒子と、この蛍光体粒子の接触部分(連結部分)に付着し、かつ蛍光体粒子の表面が部分的に露出するように配置された金属酸化物(酸化イットリウム)とを含む。」(括弧内は、本願出願人において追記した。)旨記載されている。すなわち、特許文献1の蛍光体層において、蛍光体粒子は、連結部分の表面と連結部分以外の表面の少なくとも一部が酸化イットリウムで覆われている。
特許文献1の蛍光体粒子は、連結部以外の表面が酸化イットリウムで覆われており、露出部分が上記従来の蛍光体粒子よりも少ない。このため、水銀イオンの衝撃による劣化も、蛍光体粒子内に水銀が留まることによる水銀の消耗も少なくなる。また、結着剤が酸化イットリウムで形成されているため、当該結着剤部分における水銀の消耗も少なくなる。これにより、上記従来の蛍光ランプよりも輝度維持率に優れたものとなる。
特再表WO2002/047112号公報(「発明の開示」欄) 特開2002−164018号公報
しかしながら、特許文献1の蛍光体層は、ガラスバルブ内面から剥がれ易いという問題が生じている。蛍光体層は、製造工程中や製品の包装、出荷後の運搬中にうける衝撃によって剥がれる可能性がある。蛍光体層が剥がれて脱落した部分は、点灯の際に影となって現れ、輝度むらの原因となる。蛍光体層の剥がれる可能性のある蛍光ランプは出荷前に検査して除くことができるが、歩留まりの低下を招くこととなる。
蛍光体層のガラスバルブに対する付着力を増強するには、蛍光体層に占める酸化イットリウムの割合を増やせばよいとも考えられる。しかし、酸化イットリウムには、蛍光体を励起する波長254nmの紫外光を僅かではあるが吸収する性質がある。したがって、酸化イットリウムを単に増加させただけでは、輝度が低下してしまうこととなる。
なお、上記と同様の問題は、内部電極に代えて、ガラスバルブの外周に外部電極を設けてなる外部電極蛍光ランプ(EEFL)においても生じうる。
上記の課題に鑑み、本発明は、輝度の低下を抑制しつつ、蛍光体層の剥がれにくい蛍光ランプを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る蛍光ランプは、ガラスバルブと、当該ガラスバルブ内面側に形成された蛍光体層とを有する蛍光ランプであって、前記蛍光体層は、複数の蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子を包囲すると共に、蛍光体粒子間を連結する結着剤であって、酸化イットリウムとアルカリ土類金属ホウ酸塩とを成分とする結着剤とを含むことを特徴とする。
また、前記アルカリ土類金属ホウ酸塩が、CBBであることを特徴とする。
さらに、前記蛍光体層において、前記蛍光体粒子の総重量100に対する、酸化イットリウムの総重量比をA、アルカリ土類金属ホウ酸塩の総重量比をBとした場合に、AとBとが、0.1≦A≦0.6、0.4≦(A+B)≦0.7の範囲にあることを特徴とする。
また、前記複数の蛍光体粒子は、赤色発光する蛍光体粒子と緑色発光する蛍光体粒子と青色発光する蛍光体粒子とを含み、赤色発光する蛍光体粒子の各々は、ユーロピウム付活イットリウムオキシサルファイト、ユーロピウム付活リン・バナジウム・酸化イットリウム、およびマンガン付活酸化マグネシウム・フッ化マグネシウム・酸化ゲルマニウムの中から選択される蛍光体材料で形成され、緑色発光する蛍光体粒子の各々は、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・マグネシウム、マンガン付活アルミン酸セリウム・マグネシウム・亜鉛、およびテルビウム付活アルミン酸セリウム・マグネシウムの中から選択される蛍光体材料で形成されていることを特徴とする。
本発明に係る蛍光ランプによれば、蛍光体粒子を包囲すると共に、蛍光体粒子間を連結する結着剤を、水銀イオンの衝撃に強い酸化イットリウムと、これよりも結着力に優れるアルカリ土類金属ホウ酸塩とを成分として構成したので、経時変化による輝度の低下を抑制しつつ、ガラスバルブ内面からの蛍光体層の脱落を抑制することができる。
また、アルカリ土類金属ホウ酸塩の内でも、CBBを用いることにより、水銀の吸着を低減でき、その結果、輝度低下を一層抑制することができる。
さらに、酸化イットリウムとアルカリ土類金属ホウ酸塩の総重量および両者の混合比を上記の範囲とすることにより、蛍光体層の脱落抑制に加え、製造工程において発生する結着剤の着色に起因する輝度の低下を抑制するといった効果が得られる。
また、各蛍光体粒子を形成する蛍光体材料に上記のものを選択することで、蛍光ランプが、より広範な色度範囲で発光することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、実施の形態に係る冷陰極蛍光ランプ10の概略構成を示す縦断面図である。なお、本図を含む全ての図において、各構成部材間の縮尺は統一していない。
冷陰極蛍光ランプ10は、円形断面を有するガラス管の両端部がリード線12、14で気密封止されてなるガラスバルブ16を有する。ガラスバルブ16は、硬質のホウケイ酸ガラスからなり、その全長は720mm、外径は3mm、内径は2mmである。
また、ガラスバルブ16の内部には、約2mgの水銀(不図示)と、アルゴン(Ar)ガスとネオン(Ne)ガスといった複数種の希ガスからなる混合ガス(不図示)が封入されている。
リード線12、14は、それぞれ、タングステンからなる内部リード線12A、14Aとニッケルからなる外部リード線12B、14Bの継線である。ガラス管は両端部共、内部リード線12A、14A部分で気密封止されている。内部リード線12A、14A、外部リード線12B、14Bは、共に円形断面を有している。内部リード線12A、14Aの線径は1mm、全長は3mmで、外部リード線12B、14Bの線径は0.8mm、全長は10mmである。
ガラスバルブ16の端部に支持された内部リード線12A、14Aのガラスバルブ16内部側端部には、それぞれ、電極18、20がレーザ溶接等によって接合されている。電極18、20は、有底筒状をしたいわゆるホロー型電極であり、ニオブ棒を加工したものである。電極18、20として、ホロー型の電極を採用したのは、ランプ点灯時の放電によって生じる電極におけるスパッタリングの抑制に有効であるからである(詳細は、特開2002−289138号公報等を参照。)。
電極18、20は同じ形状をしており、図1(b)に示す各部の寸法は、電極長L1=5mm、外径p1=1.70mm、肉厚t=0.10mm、(内径p2=1.65mm)である。
ガラスバルブ16内面には、厚み約16μmの蛍光体層22が形成されている。
図2(a)は、蛍光体層22の拡大図を、図2(b)は、図2(a)に示すC部における蛍光体層22部分の断面図をそれぞれ示している。
蛍光体層22は、複数個の蛍光体粒子24と結着剤26とを含む。
蛍光体粒子24の各々は、赤色発光のユーロピウム付活酸化イットリウム[Y:Eu3+](略号:YOX)、緑色発光のセリウム・テルビウム付活リン酸ランタン[LaPO:Ce3+,Tb3+](略号:LAP)および青色発光のユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム[BaMgAl1627:Eu2+](略号:BAM)といった3種類の希土類蛍光体材料の内のいずれかで形成されている。
結着剤26は、アルカリ土類金属ホウ酸塩(以下、「CBB」という。)と酸化イットリウムとをその成分としている。結着剤26を構成する前記両成分共に、蛍光体粒子24同士を連結すると共に、蛍光体粒子24をガラスバルブ16内壁に固着する機能を有する。
この機能の他に、酸化イットリウムは、ランプ点灯時に電離してイオン化された水銀(水銀イオン)の衝撃から蛍光体粒子を保護する機能を有している。また、酸化イットリウムは、水銀から発せられる185nmと254nmといった2つの波長の紫外線の内、波長185nmの紫外線は遮断し(少なくとも70%を遮断)、波長254nmの紫外線は透過する(透過率約85%)。波長185nmの紫外線は蛍光体を劣化させる。波長254nmの紫外線が専ら蛍光体を励起して可視光に変換される。
一方、CBBは、専ら結着剤26の結着力を増強するために添加されている。なお、CBBも、波長254nmの紫外線に対しては透明である。
後述する製法によって形成される蛍光体層22において、複数個の(無数にある)蛍光体粒子24の内、図2(b)に符号24Aで示す蛍光体粒子のように、結着剤26でその表面全体が覆われているものもあれば、図示はしないが、表面の一部が結着剤で覆われ、残りの表面が露出している蛍光体粒子も存在するものと推察されている。しかしながら、いずれの蛍光体粒子も結着剤によって、全体的(完全)にしても部分的にしても、包囲されていることには変わりない。
次に、上記構成からなる冷陰極ランプ10の製造工程の内、蛍光体層22の形成に関わる工程について図3を参照しながら説明する。蛍光体層22の形成方法は、次に述べる懸濁液の構成が異なる以外は、基本的に前記特許文献1に記載の方法と同様である。したがって、その詳細については省略し要点のみについて説明する。
先ず、図3に示す工程Dでは、ガラスバルブ16の素材であるガラス管30の内面に蛍光体粒子を含む懸濁液を付着させる。
具体的には、懸濁液32の入ったタンク34を準備する。懸濁液32は、有機溶媒としての酢酸ブチルの中に、所定量の蛍光体粒子、イットリウム化合物としてカルボン酸イットリウム[Y(C2n+1COO)]、CBBの粒子、増粘剤としてニトロセルロース(NC)を加えたものである。
そして、ガラス管30を、垂直に立て下端部を懸濁液32に浸した状態で保持する。不図示の真空ポンプの吸引力によって、ガラス管30の上端からガラス管30内を排気して、ガラス管30内を負圧にして懸濁液32を吸い上げる。ガラス管30内の液面が上端に至る途中(所定の高さ)で吸い上げを止めて、ガラス管30を懸濁液32から引き上げる。
これにより、ガラス管30内周の所定領域に、懸濁液32が膜状に付着する。
ガラス管30内に乾燥した温風(25〜30℃)を吹き込んで、膜状に付着した懸濁液32を乾燥させた(この工程は不図示)後、工程Dにおいて懸濁液32の吸い込み側となった端部付近の乾燥膜を一部除去する(工程E)。
次に、工程Fに示すように、ガラス管30を石英管36に挿入して横たわらせ、当該石英管36に空気38を送り込みながら、石英管36外部からバーナー40で加熱して、約5分間、焼成(シンター)をする。バーナー40による加熱温度は、ガラス管30内周面が650〜750℃となる程度に調整される。
この焼成によって、カルボン酸イットリウムは、熱分解を起こし、ガラス状をした酸化イットリウム(Y)が形成される。
また、上記焼成工程において、CBB粒子は溶融してガラス状の膜を形成することとなる。
以上説明したようにして、蛍光体層22(図1,2)が形成されることとなる。
(試験1)
本願発明者は、上記したように蛍光体層が蛍光体粒子と酸化イットリウムとCBBとからなる冷陰極蛍光ランプ10(実施例)の他に、比較のために、実施例とは蛍光体層の構成のみが異なる2種類の冷陰極蛍光ランプを作成した。
一つは、蛍光体層が蛍光体粒子とCBBとからなる冷陰極蛍光ランプ(比較例1)であり、もう一つは、蛍光体層が蛍光体粒子と酸化イットリウムからなる冷陰極蛍光ランプ(比較例2)である。
また、全蛍光体粒子の重量を100とした場合の、実施例、比較例1、比較例2のそれぞれにおける、酸化イットリウムおよび/またはCBBの総重量比は下記の通りとした。
実施例 … 酸化イットリウム:0.4、CBB:0.2
比較例1 … CBB:1.0
比較例2 … 酸化イットリウム:0.6
上記3種類のランプを延べ2000時間に渡って点灯させ、輝度の経時変化を調べた。
その結果を、図4に示す。
試験開始直後のランプの輝度(以下、「初期輝度」という。)は、比較例1が最も高く、次いで、実施例、比較例2の順になる。こうなることについては、以下の理由が考えられる。蛍光体発光に寄与する波長254nmの紫外線を、CBBは酸化イットリウムよりもよく透過する。また、比較例1のランプにおける蛍光体粒子が、他の二種類のランプの蛍光体粒子よりも、結着剤からの露出度が大きい。したがって、比較例1のランプにおける蛍光体粒子が、他の二種類の蛍光ランプよりも上記紫外線を多く受けることとなるので、初期輝度が一番高くなるものと思われる。
また、実施例と比較例2との間で初期輝度(それ以降の輝度においても)に差が生じている。この理由については、以下の事が考えられる。後述するように、酸化イットリウムだけで構成した結着剤(比較例2)の結着力は、これにCBBを加えて構成した結着剤(実施例)の結着力よりも弱い。したがって、比較例2では、蛍光体層の剥がれまでには至らなくても、蛍光体粒子の蛍光体層への定着率が悪く、蛍光体粒子が少なからず蛍光体層から脱落するものと推察される。これによって、両者の間に輝度差が生じるものと思われる。
比較例1においては、試験開始から急激に輝度が低下していることが分かる。これは、背景技術の欄で説明したように、比較例1の蛍光体粒子は露出部分が多いため、水銀イオンの衝撃を受けて劣化しやすく、また水銀が蛍光体粒子に吸着されやすい。また、CBBも水銀を吸着しやすい。したがって、輝度の急激な低下は、蛍光体の劣化と水銀の消耗が初期の段階で急激に進行するためであると考えられる。
図4に示すグラフを基にして、初期輝度を100%とした場合の輝度維持率の経時変化を表すグラフを作成したものを図5に示す。
図5から、試験開始から100時間を越えたあたりからの輝度維持率の低下率は、両者のグラフがほぼ平行になっていることから分かるように、実施例と比較例2とが略同等である。比較例1の輝度維持率の低下率は、実施例および比較例2よりも大きいことが分かる。
試験1の結果をまとめると、以下のようになる。
実施例は、比較例1よりも輝度維持率の点で優れる。すなわち、実施例は、比較例1よりも長寿命である。
実施例は、輝度維持率の点で、比較例2と同等か若干上回る性能を有する。
(試験2)
また、本願発明者は、蛍光体層における酸化イットリウムとCBBの混合比を変えて、衝撃に対する蛍光体層の脱落の有無を調べる衝撃試験を行った。
具体的には、全蛍光体粒子の重量を100とした場合の、酸化イットリウムの総重量比を0〜0.6の範囲で、CBBの総重量比を0〜0.7の範囲で、それぞれ0.1間隔で変化させた。そして、両重量比が異なる組み合わせの複数種類の試験ランプを、その種類毎に各20本製作し、これについて蛍光体層の衝撃試験を実施した。
なお、酸化イットリウムの総重量比の上限を0.6にしたのは、以下の理由による。すなわち、既述したように、酸化イットリウムを増すほど、ランプの輝度が低下する。ランプ輝度低下は、結着剤にCBBのみを用いた従来のランプに対してある程度に抑制する必要がある。この場合に、輝度低下を3%以下に抑制できる、酸化イットリウムの総重量比の上限が0.6だからである。なお、3%以内の輝度低下であれば、実使用上問題のないレベルである。
衝撃試験に用いた試験装置50を図6に示す。
試験装置50は、ランプ支持台52と試験棒固定台54とを備える。ランプ支持台52と試験棒固定台54は、それぞれ基台56に固定されている。
ランプ支持台52は、紙面に垂直な方向に長い「Vブロック」状をしている。試験ランプTLは、ガラスバルブ部分がランプ支持台52のV字溝に沿うようにして、当該ランプ支持台52に載置される。
試験棒固定台54は、試験棒58をその一端で固定する。当該固定部は、固定支点となる。試験棒58は、コイルばね60とプラスチック棒62とからなる。コイルばね58の上記固定支点からプラスチック棒62との接続部までの長さL2は、30mmである。プラスチック棒62は、直径8mmの円柱状をしており、コイルばね60との接続部からV溝中心までの長さL3が20mmである。なお、プラスチック棒62は、テフロン(登録商標)からなる。
上記の構成からなる試験装置50による試験の手順は以下の通りである。
(i)ランプ支持台52に試験ランプTLを載置する。
(ii)プラスチック棒62を持ち上げ、その軸心が水平方向から角度α=45°傾く位置までコイルばね58を撓ませる。このときに、プラスチック棒62のガラスバルブ打撃部分に、当該プラスチック棒62の軸心と直交する方向に加えられる荷重が、0.1kgfとなる。
(iii)プラスチック棒62を解放し、コイルばね58を復元させて、プラスチック棒62で試験ランプTLに衝撃を加える。
(iv)試験ランプTLにおいて蛍光体層の脱落がないかどうかを目視で確認する。
試験ランプ1本に対し、上記(i)〜(iv)を20回繰り返し実施した。その結果、20本中の1本でも蛍光体層の脱落の生じた種類の試験ランプは不合格とし、20本全てにおいて蛍光体層の脱落の生じなかった種類の試験ランプは合格とした。
試験結果を、図7に示す。
図7中、「A」は酸化イットリウムの上記混合比を、「B」はCBBの上記混合比をそれぞれ示している。
図7において、「NG1」の文字が入っている箇所に対応する試験ランプが、上記衝撃試験において不合格になったものである。これ以外の試験ランプ(A=0、B=0では不実施)は、衝撃試験では合格となった。この結果から分かるように、B=0、すなわち、酸化イットリウムのみで結着剤を構成した場合には、試験の範囲では蛍光体層の脱落が生じることが確認された。また、A=0、すなわち、CBBのみで結着剤を構成した場合であっても、試験範囲のような、CBBの添加量の少ない場合には、蛍光体層の脱落が生じることが分かる。
図7から、蛍光体層の脱落を防止するといった観点からは、「0.1≦A」または「0.1≦B」で、かつ、「0.4≦(A+B)」であればよいことが分かる。
以上の結果から、蛍光体層の脱落を防止するといった観点からは、酸化イットリウムとCBBとを混合して結着剤を構成し、両者の合計総量を増やせばよいことが分かる。しかし、両者の合計総量がある限度を超えると、ガラスバルブを外部から観察した際に薄茶色に変色し、これが原因で輝度が低下することを、本願発明者が見出した。これは以下の原因によるものと推察される。前記一連の製造工程における焼成(シンター)工程において、カルボン酸イットリウムを熱分解すると、酸化イットリウムの他に、一般式C2n+2で表される炭化水素が生成される。一方で、CBBが溶融してガラス状になるのであるが、このときに、当該CBBが前記炭化水素を取り込んでしまって茶色に変色するものと思われる。
図7において、「NG2」の文字が入っている箇所に対応する試験ランプが、薄茶色に変色して、問題となるほど輝度が低下し、合格基準の輝度に満たず不合格となったランプである。合格基準は、上述した、蛍光体粒子の総重量に対する酸化イットリウムの重量比の上限を規定したのと同様である。すなわち、結着剤にCBBのみを用いた従来のランプの対して3%を超えて輝度が低下するものを不合格(NG2)とした。
図7から、輝度低下を防止するといった観点からは、「A≦0.6」または「B≦0.6」で、かつ、「(A+B)≦0.7」であればよいことが分かる。
以上、蛍光体層の脱落防止、輝度低下防止の両観点から、酸化イットリウムとCBBとを「0.1≦A≦0.6」(または、「0.1≦B≦0.6」)かつ、「0.4≦(A+B)≦0.7」となる範囲(図7において、太枠で囲んだ、「OK」の文字が入っている箇所)で混合して結着剤を構成すればよいこととなる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態とすることも可能である。
(1)上記実施の形態では、冷陰極蛍光ランプ(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)を例にとって説明したが、本発明は、これに限らず、いわゆる外部電極蛍光ランプにも適用可能である。外部電極蛍光ランプとは、内部電極に代えて、例えば、ガラスバルブの両端部分のガラスバルブ外周に外部電極を設け、ガラス管壁をキャパシタンスとして利用する誘電体バリア放電蛍光ランプ(EEFL:External Electrodes Fluorescent Lamp)である。
(2)アルカリ土類金属ホウ酸塩として、CBBの代わりに、さらにP(ピロリン酸カルシウム)を加えたCBBPを用いてもよい。この場合は、重量比で、CBBを1としたときに、Pが0.7以下の任意の割合となる比率で混合するのが好ましい。Pの割合が0.7を超えると、水銀の吸着が起き易くなり、ランプの輝度低下が早まるからである。換言すれば、アルカリ土類金属ホウ酸塩として、Pを含まないCBBを用いれば、CBBPを用いた場合よりも、水銀の吸着による輝度低下の抑制を図ることが可能となるのである。
(3)蛍光体粒子を形成する蛍光体材料も上記したもの(YOX、LAP、BAM)に限らない。
液晶TVで代表される液晶表示装置の近年における高画質化の一環としてなされる高色再現化に伴い、当該液晶表示装置のバックライトユニットの光源として用いられる冷陰極蛍光ランプや外部電極蛍光ランプにおいて、再現可能な色度範囲の拡大化の要請がある。
ここで、以下に記す蛍光体材料を用いることで、上記蛍光体材料を用いる場合よりも、色度範囲の拡大、すなわちCIE1931色度図内におけるNTSC三角(NTSCtriangle)の拡張が可能となる。
赤色蛍光体材料としては、
(i) ユーロピウム付活イットリウムオキシサルファイト[YS:Eu3+](略号:YOS)、色度座標:x=0.651、y=0.344
(ii) ユーロピウム付活リン・バナジウム・酸化イットリウム[Y(P,V)O:Eu3+](略号:YPV)、色度座標:x=0.658、y=0.333
(iii) マンガン付活酸化マグネシウム・フッ化マグネシウム・酸化ゲルマニウム[3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+](略号:MFG)、色度座標:x=0.711、y=0.287
の中から選択できる。
緑色蛍光体材料としては、
(i) ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・マグネシウム[BaMgAl1627:Eu2+,Mn2+](略号:BAMMn)、色度座標:x=0.139、y=0.574
(ii) マンガン付活アルミン酸セリウム・マグネシウム・亜鉛[Ce(Mg,Zn)Al1119:Mn2+](略号:CMZ)、色度座標:x=0.164、y=0.722
(iii) テルビウム付活アルミン酸セリウム・マグネシウム[CeMgAl1119:Tb3+](略号:CAT)、色度座標:x=0.267、y=0.663
の中から選択できる。
因みに、上記実施の形態で用いた蛍光体材料の色度座標は、以下の通りである。
YOX(x=0.644、y=0.353)、LAP(x=0.351、y=0.585)、BAM(x=0.148、y=0,056)
なお、YOXとLAPの両方を上記(i)〜(iii)の蛍光体材料に代えた場合は勿論のこと、一方のみを代えた場合にも色度範囲は拡大する。
(4)また、青色蛍光体材料として、BAMに代えて、以下のものを用いても良い。
(i) 酸化ランタン付着ユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム[BaMgAl1627:Eu2+にLaを付着](略号:LaBAM+Laコート)、色度座標:(x=0.148、y=0.156)を用いることも可能である。
LaBAMは、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウムからなる粒子に金属酸化物である酸化ランタンからなる微粒子が付着してなるものであり、前記BAMよりも高い輝度維持率を示す。
(ii) ストロンチウム・カルシウム・クロロアパタイト[(Sr,Ca,Ba)(POCl:Eu2+](略号:SCA)、色度座標:x=0.151、y=0.065
なお、上記(3)、(4)で示した色度座標値は各々の蛍光体材料における代表値であり、測定方法(測定原理)等に起因して、各蛍光体材料が示す色度座標値は、上掲した値と若干異なる場合があり得る。
(5)赤、緑、青の各色を発光させるために用いる蛍光体材料は1種類に限らず、複数種類を組み合わせて用いることとしても構わない。
本発明に係る蛍光ランプは、蛍光体層の脱落に起因する輝度むらが少なく、長寿命であることが特に必要とされる、例えば、液晶ディスプレイパネルにおけるバックライトユニットの光源として好適に利用可能である。
(a)は、実施の形態に係る冷陰極蛍光ランプの縦断面図であり、(b)は、当該冷陰極蛍光ランプの構成部材の一つである電極の寸法を説明するための図である。 (a)は、上記冷陰極蛍光ランプにおける蛍光体層の拡大模式図であり、(b)は、(a)におけるC部の断面図である。 上記冷陰極蛍光ランプの製造工程の一部を示す図である。 比較例1、比較例2および実施例における各冷陰極蛍光ランプの、輝度の経時変化を表すグラフである。 上記図4に示すグラフを基にして作成した、初期輝度を100%とした場合の輝度維持率の経時変化を表すグラフである。 衝撃による蛍光体層の脱落試験を行う試験装置を示す図である。 上記脱落試験の結果等を示す図である。
符号の説明
10 冷陰極蛍光ランプ
16 ガラスバルブ
22 蛍光体層
24 蛍光体粒子
26 結着剤

Claims (4)

  1. ガラスバルブと、当該ガラスバルブ内面側に形成された蛍光体層とを有する蛍光ランプであって、
    前記蛍光体層は、
    複数の蛍光体粒子と、
    前記蛍光体粒子を包囲すると共に、蛍光体粒子間を連結する結着剤であって、酸化イットリウムとアルカリ土類金属ホウ酸塩とを成分とする結着剤と、
    を含むことを特徴とする蛍光ランプ。
  2. 前記アルカリ土類金属ホウ酸塩が、CBBであることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
  3. 前記蛍光体層において、
    前記蛍光体粒子の総重量100に対する、酸化イットリウムの総重量比をA、アルカリ土類金属ホウ酸塩の総重量比をBとした場合に、AとBとが、
    0.1≦A≦0.6
    0.4≦(A+B)≦0.7
    の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の蛍光ランプ。
  4. 前記複数の蛍光体粒子は、赤色発光する蛍光体粒子と緑色発光する蛍光体粒子と青色発光する蛍光体粒子とを含み、
    赤色発光する蛍光体粒子の各々は、ユーロピウム付活イットリウムオキシサルファイト、ユーロピウム付活リン・バナジウム・酸化イットリウム、およびマンガン付活酸化マグネシウム・フッ化マグネシウム・酸化ゲルマニウムの中から選択される蛍光体材料で形成され、
    緑色発光する蛍光体粒子の各々は、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・マグネシウム、マンガン付活アルミン酸セリウム・マグネシウム・亜鉛、およびテルビウム付活アルミン酸セリウム・マグネシウムの中から選択される蛍光体材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光ランプ。
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