JP2006188628A - 強化熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

強化熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 スチレン系樹脂を含むポリフェニレンエーテルとガラス繊維及び無機充填材との密着性を改良し、機械的強度に優れ、低異方性で外観に優れた強化熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で示される末端基を、フェニレンエーテルユニット100個に対し0.3個以上有し、極限粘度が0.44〜0.6dl/gであるポリフェニレンエーテル、スチレン系樹脂、ガラス繊維(C)及び無機充填材を配合した強化熱可塑性樹脂組成物。
【化1】
Figure 2006188628

(R1、R4は、それぞれ、H、低級アルキル、炭化水素オキシ基を、R2、R3は、それぞれ、H、低級アルキルを表わす。ただし、2つのR1は同時にHではない。)。
【選択図】 なし

Description

本発明は、強化熱可塑性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、スチレン系樹脂を含むポリフェニレンエーテル樹脂に強化充填材を配合した樹脂組成物において、樹脂成分と強化充填材との密着性が改善され、衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率等の機械的強度が向上し、異方性、外観に優れた強化熱可塑性樹脂組成物に関する。
スチレン系樹脂を含むポリフェニレンエーテル樹脂は、衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率等の機械的強度、荷重撓み温度等の耐熱性、難燃性等が優れた樹脂材料として幅広い分野で使用されているが、その機械的強度、耐熱性等をさらに向上させるために、ガラス繊維や炭素繊維のような繊維状無機強化材を配合することが広く行われている。しかしながら、アスペクト比の大きい繊維状無機強化材を樹脂に配合すると、得られた強化熱可塑性樹脂組成物の機械的強度は確かに改良されるが、該組成物からなる成形品は樹脂の流れ方向と直角方向とでの成形収縮率や線膨張係数の差(異方性)が大きく、その結果、反りが発生するという欠点があった。この欠点を解消するためアスペクト比の大きい繊維状無機強化材とアスペクト比の小さい繊維状無機充填材の併用、アスペクト比の大きい繊維状無機強化材と板状無機充填材を併用することが知られている。
例えば、特許文献1には、成形品の耐衝撃性を損なうことなく寸法精度を改良するため、スチレン系樹脂と低粘度のポリフェニレンエーテル樹脂にガラス繊維とマイカ、タルク等の板状フィラーを配合した樹脂組成物が開示されている。特許文献2には、色調・外観や電気特性を悪化させることなしに、樹脂成分と無機質充填材との接着性を改良するため、ポリフェニレンエーテル樹脂に共役非芳香族ジエン化合物、1個のジエノフィル基を有するジエノフィル化合物又はこれらのジエン又はジエノフィル化合物の前駆体より選択される変性剤を反応させて得られる官能化されたポリフェニレンエーテル樹脂とスチレン系樹脂に、ガラス繊維とマイカを配合した樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献3には、薄肉での難燃性、剛性、および熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物として、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂、タルク、マイカ、ワラストナイト、ガラス繊維から選ばれた1種以上の無機充填材、特定のアルコキシシラン化合物およびSi−H結合を含むシリコーン化合物から選ばれる少なくとも1種の含ケイ素化合物、並びにフィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーからなる熱可塑性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1〜特許文献3に開示されている熱可塑性樹脂組成物は、異方性は改良されているが、ガラス繊維及び無機充填材と樹脂成分との密着性が不十分なため、機械的強度の改良や成形品外観が不満足であった。
特開平08−183902号公報 特開2001−302903号公報 特開2003−82217号公報
本発明はかかる現状を解決することを課題とするものであって、スチレン系樹脂を含むポリフェニレンエーテル樹脂とガラス繊維及び無機充填材との密着性を改良し、衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率等の機械的強度に優れ、低異方性で、外観に優れた強化熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の末端基を特定の比率で有するポリフェニレンエーテル樹脂は、ガラス繊維及び無機充填材との密着性が著しく優れ、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明の要旨は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)20〜90重量%とスチレン系樹脂(B)80〜10重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、ガラス繊維(C)5〜150重量部及びタルク、マイカ、ワラストナイトから選ばれた少なくとも1種の無機充填材(D)5〜150重量部を配合した樹脂組成物であって、該ポリフェニレンエーテル樹脂(A)が、極限粘度が0.44〜0.6dl/gで、且つ、下記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、下記一般式(1)で示される末端基を0.3個以上有していることを特徴とする強化熱可塑性樹脂組成物に存する。
Figure 2006188628
(式中、2つのR1は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭化水素オキシ基を表し、2つのR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。但し、2つのR1が共に水素原子になることはない。)、
Figure 2006188628
(式中、2つのR3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、2つのR4は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。但し、2つのR3が共に水素原子になることはない。)。
本発明組成物は、スチレン樹脂、ガラス繊維及び特定の無機充填材に、特定の末端基と特定の極限粘度を有するポリフェニレンエーテル樹脂を配合することにより、樹脂成分とガラス繊維及び無機充填材との密着性を改良したものであり、本発明組成物から形成される成形体は引張強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃強度等の機械的強度に優れ、外観に優れ、且つ、色調も良好である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられるポリフェニレンエーテル樹脂(A)は、前記一般式(2)で表わされる構造単位を主鎖に持つ重合体であって、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
ホモポリマーとしては、具体的には、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル等の2,6−ジアルキレンエーテルの重合体が挙げられ、コポリマーとしては、各種2,6−ジアルキルフェノール/2,3,6−トリアルキルフェノール共重合体が挙げられるが、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体が好ましい。
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル樹脂の製法は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルを製造する場合、モノマーの2,6キシレノールを第一銅塩とアミンの化合物の存在下トルエン等の溶媒中で酸化重合させることにより容易に製造できる。
本発明に使用されるポリフェニレンエーテル樹脂(A)は、その極限粘度が0.44〜0.6dl/gである。なお、本発明において、極限粘度は、クロロホルム中、30℃で測定した粘度から求められた極限粘度を意味する。極限粘度が0.44dl/g未満では樹脂組成物の機械的強度が不足し、0.6dl/gを越えると流動性が不足し、外観不良が発生することがある。かかる極限粘度のポリフェニレンエーテル樹脂は、酸化重合の反応条件、例えば反応温度、反応時間、触媒量等を調整することにより製造できる。
また、本発明に使用されるポリフェニレンエーテル樹脂は、前記一般式(2)で表わされる構造単位100個に対し、前記一般式(1)で示される末端基を0.3個以上有するものである。前記一般式(1)で示される末端基としては、具体的には、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基、3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル基、3,5−ジプロピル−4−ヒドロキシフェニル基、3−メチル−5−エチル−4−ヒドロキシフェニル基、3−メチル−5−プロピル−4−ヒドロキシフェニル基、2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
前記一般式(1)で示される末端基が0.3個未満のポリフェニレンエーテル樹脂を用いると、ガラス繊維及び無機充填材との密着性が低下するので、成形体の衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率等の機械的強度も低下する等の不都合が発生する。該末端基数は、好ましくは0.4〜2個、より好ましくは0.5〜1.5個である。末端基の数が2個を超えるとポリフェニレンエーテル樹脂の強度や熱安定性が低下しやすくなる。
前記一般式(1)で示される末端基が0.3個以上のポリフェニレンエーテル樹脂を得る方法は特に限定されるものではないが、後述の実施例に具体的に示されるように、モノマーを第一銅塩とアミンを触媒として、溶媒中で酸化重合反応させ、得られたポリフェニレンエーテル溶液に例えば銅とキレート化合物を形成する化合物を添加して銅触媒を失活させた後、酸素の混入を避けた雰囲気で、さらに、該ポリフェニレンエーテル溶液を攪拌することにより得られる。なお、攪拌中の溶液の温度は50℃以上、好ましくは70℃以上に維持することが望ましい。
本発明組成物に使用されるスチレン系樹脂(B)としては、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体及びスチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体としては、例えば、AS樹脂等が挙げられ、スチレン系グラフト共重合体としては、例えば、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等が挙げられる。スチレン系共重合体の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、好ましくはスチレンである。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられ、好ましくは、シアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物の樹脂成分は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)20〜90重量%と、スチレン系樹脂(B)80〜10重量%からなり、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)が20重量%より少ないと、荷重撓み温度や機械的強度が低下する。また、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)が90重量%を越えると樹脂組成物の流動性が著しく低下し、成形工程において実用に堪えないものとなる。
本発明で使用されるガラス繊維(C)は、平均直径が20μm以下のものが好ましく、さらに5〜15μmのものが物性バランス(耐熱剛性、衝撃強度)をより一層高める点、並びに成形反りをより一層低減化させる点で好ましい。このガラス繊維の製造法は、例えば次のような方法による。先ず、溶解したガラスをマーブルと称する所定の大きさのガラス玉に成形し、それをプッシングと称する採糸炉にて加熱軟化せしめ、該炉テーブルの多数のノズルから流下させ、この素地を高速度で延伸しながら、その途中に設けた集束剤塗布装置にて浸漬で集束剤を付着させて集束し、乾燥して回転ドラムで巻き取る。この時のノズル径寸法と引き取り速度および引き取り雰囲気温度等を調節してガラス繊維の平均直径を所定の寸法にする。
ガラス繊維(C)の長さは特定されるものでないが3〜15mm程度のチョップドストランド等も好ましい。この場合の集束本数は通常100〜5000本が好ましい。原料ガラスの組成は、無アルカリのもの好ましく、例の一つにEガラスがある。ガラス繊維の平均直径が20μmを越えると、機械的強度の向上度が小さくなり、成形反り量が大きくなる傾向がある。
本発明組成物は、無機充填材(D)としてタルク、マイカ、ワラストナイトから選ばれる少なくとも1種を含有する。本発明に使用されるタルクは天然滑石を粉砕、分級したものであって、主成分はケイ酸マグネシウムで不純物としてカルシウム、鉄、ナトリウム、カリウム等の塩が含まれているものが一般的である。タルクの平均粒径は特に制限はないが通常、0.5μm〜20μmが好ましく、より好ましくは1μm〜15μm、とりわけ好ましくは1.5μm〜10μmである。平均粒径が0.5μm未満であると補強効果が小さく変形やソリが大きくなる惧れがあり、20μmを越えると成形品のウエルド強度が低下したり、外観不良となる惧れがある。
本発明で使用されるマイカは珪酸アルミニウム系の鉱物であり、例えばKAl(AlSi10)(OH)(白マイカ)、K(Mg,Fe)(AlSi10)(OH)(黒マイカ)、KMg(AlSi10)(OH)(金マイカ)、KLiAl(Si10)(OH)(鱗マイカ)、NaAl(AlSi10)(OH)(ソーダマイカ)、KMg(AlSi10)F(フッ素金マイカ)の化学式で示される種々のマイカが知られ、へき開性を有している。本発明で使用されるマイカ(C)は、樹脂組成物の剛性、反り改良、セルフタップ特性の点から平均粒径が3〜200μmが好ましく、より好ましくは5〜150μm、とりわけ好ましくは10〜100μmである。平均粒径が3μm未満では補強効果が小さく変形やソリが大きくなる惧れがあり、200μmを越えると成形品のウエルド強度の低下や表面外観の悪化が発生する可能性が強く好ましくない。
本発明で使用されるワラストナイトは、CaO・SiOで示され、天然に産出する白色針状結晶性鉱物であり、形状としては繊維状のものや塊状のものがあり、また合成したものであってもよい。繊維径の大きいワラストナイトは溶融混練中に折れやすいので、繊維径5μm以下の成分を80重量%以上、好ましくは95重量%以上含有している細かいワラストナイトを使用するのがよい。ワラストナイトの初期の繊維径は平均径2〜30μmが好ましく、より好ましくは3〜20μm、とりわけ好ましくは4〜15μmである。平均繊維径が2μm未満では加工中に破断しやすく、30μmを超えると補強効果が小さい。また、ワラストナイトの初期の繊維長は平均長20〜400μmが好ましく、より好ましくは25〜300μm、とりわけ好ましくは30〜250μmである。平均繊維長が20μm未満では補強効果が小さく、400μmを超えると加工中に破断しやすい。
更に、初期の平均繊維長を初期の平均繊維径で除した値(=初期の平均アスペクト比)が、4〜50であることが好ましく、より好ましくは5〜40、とりわけ好ましくは6〜30である。平均アスペクト比が4未満では補強効果が小さく、50を超えると加工中に破断しやすくなる。
ガラス繊維(C)の集束剤は、通常、フィルム形成剤、界面活性剤、柔軟剤、帯電防止剤、潤滑剤等より構成されるが、表面処理剤のみでもよい。本発明で使用される特定の末端基を特定の比率で有するポリフェニレンエーテル樹脂(A)は、ガラス繊維(C)や無機充填材(D)との密着性に優れているが、さらに、樹脂成分とガラス繊維(C)や無機充填材(D)との親和性あるいは界面結合力を高める目的で、種々のカップリング剤を使用することもできる。カップリング剤としては通常はシラン系、クローム系、チタン系等のカップリング剤を含む。中でもγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリクロロシラン;γ―アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン等のシラン系カップリング剤を含むものが好ましい。この際、非イオン・陽イオン・陰イオン型等各種の界面活性剤や脂肪酸・金属石鹸・各種樹脂等の分散剤による処理を合わせて行うことが、機械的強度及び混練性の向上の点で好ましい。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物中のガラス繊維(C)の量は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)20〜90重量%とスチレン系樹脂(B)80〜10重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、5〜150重量部である。ガラス繊維(C)の量が5重量部未満では、機械的強度の改良効果が小さく、150重量部を越えると成形品の反りが大きくなり、流動性や外観が悪化することがあるので好ましくない。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物中の無機充填材(D)の量は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)20〜90重量%とスチレン系樹脂(B)80〜10重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、5〜150重量部である。無機充填材(D)の量が5重量部未満では、成形品の反りに対する改良効果が小さく、150重量部を越えると流動性や外観が悪化することがあるので好ましくない。無機充填材(D)は、タルク、マイカ、ワラストナイトの何れか1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、上記(A)〜(D)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で種々の樹脂添加剤を配合することが出来る。
本発明樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性を向上させる目的で、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種の安定剤(E)を配合することが好ましい。
安定剤(E)として使用されるヒンダードフェノール系化合物は、下記式(3)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006188628
(式中、R,Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なるものでもよく、Qは、エステル基、エーテル基、アミド基から選ばれた官能基及び/又はリン原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、Zは、酸素原子及び/又は窒素原子を含有してもよい炭素数1〜6の炭化水素基、イオウ原子又は単結合であり、gは、1〜4の整数を示す。)
式(3)で示されるヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)等が挙げられる。これらの中で、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3’,5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンが好ましい。
安定剤(E)として使用されるホスファイト系化合物は、好ましくは、下記式(4)
Figure 2006188628
(式中、R、R及びRはそれぞれ水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基または炭素数6〜30の芳香族基の芳香族基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素数6〜30の芳香族基である。)で表される化合物が挙げられる。ホスファイト系化合物の具体例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)等が挙げられ、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等が好ましい。
本発明組成物には、安定剤(E)として酸化亜鉛を使用することもできる。本発明で使用される酸化亜鉛は、平均粒径が0.02〜1μmのものが好ましく、平均粒径が0.08〜0.8μmのものがより好ましく、平均粒径が0.2〜0.5μmのものが最も好ましい。ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、酸化亜鉛は1種のみを使用しても或いは2種以上を併用してもよい。
本発明組成物中の安定剤(E)の量は、ポリフェニレンエーテル樹脂とスチレン系樹脂からなる樹脂成分100重量部に対し、0.01〜5重量部である。安定剤の量が0.01未満では安定剤の効果が小さく、5重量部を越えるとモールドデボジットが発生するので好ましくない。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物には、さらに難燃性を賦与する目的でホスフェート系難燃剤を配合することができる。本発明で用いられるホスフェート系難燃剤としては、リン酸エステル化合物が挙げられる。リン酸エステル化合物としては、分子中に5価のリンを含むリン化合物であり、2種以上の化合物を併用することもできる。具体例としては、フェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル−p−tert−ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・キシレル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の縮合リン酸エステル化合物;リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニル2エチルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、リン酸トリブチル、リン酸ジフェニルクレジル等のオルトリン酸エステル;メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル等が挙げられる。これらの化合物は、公知の方法で、オキシ塩化燐等から製造することができる。
ホスフェート系難燃剤の配合割合は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)及びスチレン系樹脂(B)の合計100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部である。ホスフェート系難燃剤の配合割合が1重量部未満では、難燃効果が小さく、30重量部を越えると荷重撓み温度や機械的強度が低下するので好ましくない。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物には、さらに耐衝撃性を向上させる目的で熱可塑性エラストマーを配合することが好ましい。ここで用いられる熱可塑性エラストマーとしては、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等の共役ジエンゴム、スチレン−共役ジエンブロック共重合体及びそれらの水素添加物、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー、シリコンエラストマー、フッ素エラストマー、コアシェルタイプのエラストマー等が挙げられる。
本発明組成物中のエラストマーの量は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)及びスチレン系樹脂(B)の合計100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部である。エラストマーの配合割合が1重量部未満では、衝撃強度の改良効果が小さく、30重量部を越えると荷重撓み温度や剛性が低下する惧れがある。
本発明組成物には、上記のポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン系樹脂、ガラス繊維、無機充填材、安定剤、難燃剤、エラストマー以外に、必要に応じて他の成分を添加できる。他の成分としては、例えば、耐侯性改良剤、発泡剤、滑剤、流動性改良剤、帯電防止剤、染料、顔料、分散剤等が挙げられる。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物の製造法は、特に限定されないが、好ましくは溶融混練によるものであり、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練方法が適用できる。製造方法の例としては、例えば、上記のポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン系樹脂、ガラス繊維及び無機充填材、要すれば安定剤、更に必要に応じて他の成分をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラベンダー)等で混練する。各成分は混練機に一括でフィードしてもよく、混練機の上流部に樹脂成分と安定剤をフィードし、中流部から難燃剤やガラス繊維及び無機充填材をフィードし、溶融混合した後、ダイスから押出し、冷却後ペレット化して強化熱可塑性樹脂組成物を得てもよい。
混練温度と混練時間は、樹脂組成物や混練機の種類等の条件により、任意に選ぶことができるが、通常、混練温度は200〜350℃、好ましくは220〜320℃、混練時間は10分以下が好ましい。350℃又は10分を超えると、ポリフェニレンエーテル樹脂やスチレン系樹脂の熱劣化が問題となり、成形品の物性の低下や外観不良を生じることがある。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、すなわち射出成形、射出圧縮成形、中空成形、押出成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形、プレス成形等の各種成形法によって成形することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例で使用した原材料、ポリフェニレンエーテル樹脂の物性測定法、得られた強化熱可塑性樹脂組成物の評価法及び試験片の成形条件は次の通りである。
<原材料>
*PPE−A:ポリフェニレンエーテル樹脂、製造例1の方法で製造、極限粘度0.48dl/g、末端基数0.64個。
*PPE−B:ポリフェニレンエーテル樹脂、製造例2の方法で製造、極限粘度0.48dl/g、末端基数0.22個。
:スチレン系樹脂−1:ハイイインパクトポリスチレン(以下、HIPSと略記することがある)、分子量Mw=200,000、MFR=3.2g/10分、エー・アンド・エム社製、HT478。
*スチレン系樹脂−2:ポリスチレン(以下、GPPSと略記することがある)、分子量Mw=220,000、日本ポリスチレン製HF−77。
*ガラス繊維:繊維径10μm、オーエンスコーニング社製「123D−10P」。
*マイカ:平均粒径30μmの金マイカ、クラレ社製「325HK」。
*タルク:平均粒径2μmのタルク、林化成社製「ミクロンホワイト5000S」。
*ワラストナイト:平均繊維径8μm、平均繊維長136μm(平均アスペクト比17)、ナイコ社製「ナイグロス8」。
*安定剤A:ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガノックス1010」。
*安定剤B:ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、旭電化工業社製「PEP−36」。
*安定剤C:酸化亜鉛、本荘ケミカルの亜鉛華2種を使用。
*ホスフェート系難燃剤: トリフェニルホスフェート(以下、TPPと略記することがある)、大八化学工業(株)製。
*耐衝撃性改良材:スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)、分子量約20万、クラレ社製「セプトン8004」。
<ポリフェニレンエーテル樹脂の物性>
*極限粘度:ポリフェニレンエーテル樹脂をクロロホルムに溶解し、濃度0.5g/dl以下の異なる濃度の溶液を調製し、30℃において、ウベローデ型の粘度計を用いて異なる濃度における比粘度を測定し、比粘度と溶液濃度との比を計算し、濃度を0に外挿したときの粘度を算出し極限粘度とした。
*末端基の種類及び数:日本電子(株)製のJNM−A400を用い、CDClを溶媒、テトラメチルシランを基準とし、測定モードは13C−NMR完全デカップリングモードとして、ポリフェニレンエーテル樹脂の13C−核磁気共鳴吸収スペクトルを測定し、Macromolecules、1990,23,1318〜1329に記載の方法により、式(2)のフェニレンエーテルユニット100個に対する式(1)で示される末端基数を求めた。
<樹脂組成物の評価法>
(1)試験片の成形条件:実施例または比較例で得られた樹脂組成物のペレットを110℃で2時間乾燥後、住友重機械製SG125型射出成形機により金型温度90℃、シリンダー設定温度300℃、射出圧力98MPa、成形サイクル40秒で試験片を射出成形し、以下の(2)〜(9)の試験に使用した。
(2)引張り強さ:ISO527に準じて測定した。
(3)曲げ強さ及び曲げ弾性率:ISO178に準じて測定した。
(4)アイゾット衝撃強さ:ASTM−D256に準じて測定した(以下、衝撃強度と略記)。
(5)荷重撓み温度:負荷1.80MPaで、ISO75に準じて測定した。
(6)燃焼性:厚さ1.6mmの試験片を用い、UL94に準じて測定した。
(7)線膨張係数:測定温度23〜60℃とし、ASTM−D696に準じて測定した。
(8)樹脂とガラス繊維及び無機充填材との密着性:上記(2)の試験に供した試験片の引張り破壊面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によりガラスと樹脂の密着性を観察し、次の基準で評価した。
◎;密着性に優れる、○;密着性が良い、△;密着性が少し劣る、×;密着性が劣る、(以下、「樹脂との密着性」と略記)。
(9)滞留による色調変化と曲げ試験:上記(1)の条件で成形した曲げ試験片(A)と、上記(1)で成形を20分中断後に同条件で曲げ試験片(B)を2ショット=4本成形した。更に上記中断時間を30分として試験片(C)を成形した。目視により、試験片(A)と試験片(C)の色の比較を実施し、表中の「滞留色調変化」の項に観察結果を示した。尚、試験片(A)の色は薄い黄色であった。次に、曲げ試験片(B)を用いて、上記(3)に準じ、滞留後の曲げ強さと曲げ弾性率を試験した。
〔ポリフェニレンエーテル樹脂の製造例1〕
底部に酸素ガス含有ガス導入のためのスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフルを備え、上部のベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを底部に付属させた還流冷却器を備えた10Lのジャケット付きオートクレーブ反応器に、1.4172gの酸化第一銅、8.5243gの47%臭化水素水溶液、16.5277gのN,N―ジ−n−ブチルアミン、41.9196gのN,N―ジメチル−n−ブチルアミン、3.4139gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン及び2770.3gのトルエンをいれ初期仕込み液を作成した。次いで反応器気相部に窒素を導入し、反応器気相部の絶対圧力を0.108MPaに制御した。続いて、酸素を窒素で希釈して作った絶対圧力が0.108MPaでその酸素濃度が70%のガスをスパージャーより導入し、以後重合中も含めて反応器気相部に窒素を導入しながら、窒素と上記ガスとにより反応器気相部の絶対圧力が0.108MPaに維持される様にコントロールバルブを制御した。上記ガスの導入速度は3.45Nl/minでおこなった。上記ガスの導入を開始してから直ちに1100gの2,6−ジメチルフェノールを1056.9gのトルエンに溶かした溶液をプランジャーポンプを用いて30分で全量を投入し終わる速度で添加を開始した。重合温度は40℃を保つようにジャケットの熱媒体を通して調節した。ガス導入開始後約140分で酸素含有ガスに代えて窒素を導入すると共に、反応器にEDTA4ナトリウムが触媒銅に対し1.5倍モル量溶解した水溶液(水溶液量は重合反応液全量に対し0.2重量倍)を攪拌しながら反応液に加え、更に攪拌して反応を停止した。数分静置後に分離した水溶液を系外に排出し、更に水(500g)を反応液に添加して攪拌し数分静置後に分離した水溶液を系外に排出した。その後2時間程、反応溶液の温度が約60℃になる様に熱媒体でコントロールしながら、反応系の攪拌を継続した。その後反応系の温度を下げ、得られた反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。ポリフェニレンエーテルの沈殿をろ過し、更に適量のメタノールでポリフェニレンエーテルを洗浄した後に140℃で1時間強乾燥させ、粉末状ポリフェニレンエーテルを得た。得られたポリフェニレンエーテル樹脂は、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、前記一般式(1)で示される末端基を0.64個有し、極限粘度は0.48dl/gであった。得られたポリフェニレンエーテル樹脂をPPE−Aと略記することがある。
[ポリフェニレンエーテル樹脂の製造例2]
製造例1と同じ反応器に、製造例1と同じ初期仕込み液を仕込み、反応器気相部に窒素を導入し、反応器気相部の絶対圧力を0.108MPaに制御した。続いて、酸素を窒素で希釈して作った絶対圧力が0.108MPaでその酸素濃度が70%のガスと窒素を用い、製造例1と同様に反応器気相部の絶対圧力が0.108MPaに維持される様に制御し、ガスの導入を開始してから直ちに1100gの2,6−ジメチルフェノールを1056.9gのトルエンに溶かした溶液をプランジャーポンプを用いて30分で全量を投入し終わる速度で添加を開始した。重合温度は40℃を保つようにジャケットの熱媒体を通して調節した。ガス導入開始後約120分で酸素含有ガスに代えて窒素を導入すると共に反応器にEDTA4ナトリウムが触媒銅に対し1.5倍モル量溶解した水溶液(水溶液量は重合反応液全量に対し0.2重量倍)を攪拌しながら反応液に加え、更に攪拌し反応を停止した。数分静置後に分離した水溶液を系外に排出し、更に水(500g)を反応液に添加して攪拌し数分静置後に分離した水溶液を系外に排出した。その後反応系の温度を下げ、得られた反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。ポリフェニレンエーテルの沈殿をろ過し、更に適量のメタノールでポリフェニレンエーテルを洗浄した後に140℃で1時間強乾燥させ、粉末状ポリフェニレンエーテルを得た。得られたポリフェニレンエーテル樹脂は、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、前記一般式(1)で示される末端基を0.22個有し、極限粘度は0.48dl/gであった。得られたポリフェニレンエーテル樹脂をPPE−Bと略記することがある。
〔実施例1〜5、比較例1〜5〕
表1と2に示す割合にて秤量した各成分(但し、ガラス繊維及びワラストナイトは除く)をタンブラーミキサーにて均一に混合し、二軸押出機(スクリュウ径30mm、L/D=42)のホッパーに投入し、シリンダー温度270℃、スクリュー回転数400rpmの条件にて、溶融混合させた。尚、ガラス繊維及びワラストナイトは所要量を上記二軸押出機の途中からサイドフィーダーで溶融樹脂に添加混合した。溶融樹脂を定法に従ってペレット化した。このペレットを用い上記(1)により試験片を成形し、(2)〜(9)の評価法により評価し、その結果を表1と表2に示した。表1と表2の比較対照から、本発明に係わる実施例の強化熱可塑性樹脂組成物は樹脂とガラス繊維及び無機充填材との密着性が改善され、衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率等の機械的強度や滞留熱安定性に優れ、低異方性で、成形品表面へのガラス繊維及び無機充填材の露出がなく、外観に優れていることが明らかになった。
Figure 2006188628
線膨張係数*1:組成物の流れ方向と平行方向の線膨張係数で、単位は10-5・k-1
線膨張係数*2:組成物の流れ方向と直角方向の線膨張係数で、単位は10-5・k-1
Figure 2006188628
線膨張係数*1:組成物の流れ方向と平行方向の線膨張係数で、単位は10-5・k-1
線膨張係数*2:組成物の流れ方向と直角方向の線膨張係数で、単位は10-5・k-1
〔実施例6〜7、比較例6〜7〕
表3に示す割合にて秤量した原材料各成分(但し、ガラス繊維およびマイカを除く)をタンブラーミキサーにて均一に混合し、二軸押出機(スクリュウ径30mm、L/D=42)のホッパーに投入して、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数400rpmの条件にて溶融混合させ、ガラス繊維及びマイカをサイドフィードしてペレット化した。このペレットを前記評価法により評価し、その結果を表3に示した。表3の実施例と比較例の対照から、本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は樹脂とガラス繊維及び無機充填材との密着性が改善され、衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率等の機械的強度や滞留熱安定性に優れ、低異方性で、成形品表面へのガラス繊維及び無機充填材の露出がなく、外観に優れていることが明らかになった。
Figure 2006188628
線膨張係数*1は組成物の流れ方向と平行方向の線膨張係数で、単位は10-5・k-1
線膨張係数*2は組成物の流れ方向と直角方向の線膨張係数で、単位は10-5・k-1
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、樹脂成分とガラス繊維及び無機充填材の密着性が改善され、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃強さ、色調、外観に優れているので、自動車、電気・電子・OA機器、その他各種機器のハウジング、構造部品、機構部品との材料として使用することが出来る。

Claims (2)

  1. ポリフェニレンエーテル樹脂(A)20〜90重量%とスチレン系樹脂(B)80〜10重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、ガラス繊維(C)5〜150重量部及びタルク、マイカ、ワラストナイトから選ばれた少なくとも1種の無機充填材(D)5〜150重量部を配合した樹脂組成物であって、該ポリフェニレンエーテル樹脂(A)が、極限粘度が0.44〜0.6dl/gで、且つ、下記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、下記一般式(1)で示される末端基を0.3個以上有していることを特徴とする強化熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2006188628
    (式中、2つのR1 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭化水素オキシ基を表し、2つのR2 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。但し、2つのR1 が共に水素原子になることはない。)、
    Figure 2006188628
    (式中、2つのR3 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、2つのR4は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。但し、2つのR3 が共に水素原子になることはない。)。
  2. ポリフェニレンエーテル樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)からなる樹脂成分100重量部に対し、さらにヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、酸化亜鉛、硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種の安定剤(E)を0.01〜5重量部配合することを特徴とする請求項1に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
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