JP2006185855A - 電極触媒インクの製造方法および前記電極触媒インクから得られる電極触媒層 - Google Patents

電極触媒インクの製造方法および前記電極触媒インクから得られる電極触媒層 Download PDF

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Abstract

【課題】 白金黒を高分散した触媒層を作製するための電極触媒インクの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、高分子電解質およびフッ素化合物からなる混合液の温度を40〜70℃に調節し、前記混合液中に白金黒を添加することにより上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電極触媒インクの製造方法に関し、より詳細には白金黒を用いた電極触媒インクの製造方法に関する。
燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であるクリーンな発電システムであり、その中でも固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池と比較し低温で動作することから、自動車等の移動体用動力源として期待されている。
しかし燃料電池には、長時間の連続運転や起動停止などの様々な原因によって生じる燃料(アノード)極および酸素(カソード)極の電位の変化に伴い、電極触媒層中のカーボンを主成分とする触媒担体に腐食が発生して電極性能が低下するという、改善すべき点がある。例えば、固体高分子型燃料電池の燃料極および酸素極において、電極が貴な電位環境(>約1.0V)になった場合、電極触媒層中のカーボンの電気化学的な酸化反応、つまりカーボンの腐食が進行する。カーボンの腐食が進行すると、カーボンから剥離した白金が他の白金と凝集することにより、白金の表面積が低下し、有効に使用される触媒量が減少するため電池性能が低下する。カーボンの腐食反応は、下記化学式1に示すように水を酸化剤として二酸化炭素を生成する反応が進行していると考えられる。
Figure 2006185855
そこで、従来ではカーボンを主成分とする担体および触媒の代わりに、白金が非常に細かな海綿状になった白金黒を用いることにより、カーボン腐食の影響を受けない電極触媒層を作製しようとする試みがある。特許文献1には、含フッ素イオン交換樹脂と、含フッ素化合物溶媒とを含む溶液を調製し、次いで当該溶液に平均粒径3μmの白金黒を分散させ、得られる混合液の粘度を100〜20000cPとなるよう調製した前記混合液を電極触媒インクとして用い、電極触媒層を作製する方法が開示されている。
特開2002−151088号公報
しかしながら、従来の方法では電極触媒インクを調製する過程において白金黒の粒子が著しく凝集するため、触媒利用率およびガス拡散性に優れる電極触媒層を得ることが困難であった。特許文献1に記載の方法も、白金黒を加えたと同時に白金黒の粒子が凝集・沈降するため得られた電極触媒インクを基板上に塗布することが困難であり、さらに白金黒の粒子が凝集しているため白金黒を高分散した電極触媒層を得ることはできない。
本発明は、白金黒を高分散した電極触媒層を作製するための電極触媒インクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、電極触媒インクの製造方法を詳細に検討した結果、白金黒を添加する際の混合液の温度を調節することにより上記問題を解決できることを見出した。すなわち本発明は、高分子電解質およびフッ素化合物を含む混合液の温度を40〜70℃に調節し、前記混合液中に白金黒を添加することを特徴とする電極触媒インクの製造方法により上記課題を解決する。
本発明により白金黒の分散度の高い電極触媒インクを得ることができる。
本発明の第一は、高分子電解質、フッ素化合物および白金黒を含む電極触媒インクの製造方法であり、高分子電解質およびフッ素化合物からなる混合液の温度を40〜70℃にし、混合液中に白金黒を添加する電極触媒インクの製造方法である。
本発明の方法では、白金黒を添加する際の混合液の温度を40〜70℃、好ましくは50〜65℃とする。これにより、白金黒を高分散させた電極触媒インクが得られる。混合液の温度を上記範囲に調整することで白金黒の分散性が改善するメカニズムは明らかではないが、混合液の温度を上げることによって、フッ素化合物の分子鎖が十分に伸びた構造に変化し、これらが三次元的に空間配列することで白金黒の凝集・沈降を抑制した結果であると予想される。混合液の温度が上記範囲内であると、添加した白金黒が混合液中で凝集しにくく塗布性に優れるために好ましい。また、70℃を超過すると、電極触媒インクがゲル化するおそれがある。混合液を上記所定の温度に調節するには、ウォーターバス、オイルバスなどの手段を用いて行えばよい。
混合液に白金黒を添加した後の攪拌時間は、白金黒の分散度合いや溶媒の揮発性などにより適宜決定することができるが、60分以上混合攪拌すると白金黒の分散性が向上するため好ましい。攪拌手段としてホモジナイザーなどを用いてもよいし、前記攪拌手段に加えてボールミル、ビーズミル、ジェットミル、超音波装置などを用いることもできる。このとき、電極触媒インク温度は上記所定の温度に維持する必要がある。
電極触媒インクの粘度は1〜20Pa・s(1,000〜20,000cps)であることが好ましく、より好ましくは1.2〜18Pa・s(1,200〜18,000cps)であり、更に好ましくは1.5〜15Pa・s(1,500〜15,000cps)である。電極触媒インクの粘度が1Pa・s(1,000cps)以上であると、白金黒が混合液中で凝集しにくく電極触媒インクの塗布性に優れるために好ましく、20Pa・s(20,000cps)以下であると、高分子電解質と白金黒とを均一に混合できることや、粘度が大きすぎず塗布性に優れるため好ましい。上述の粘度は電極触媒インクの温度が40〜70℃の際の値である。粘度は電極触媒インクの構成要素の比を変えることにより適宜調整することができ、粘度調整剤を用いることによっても適宜調整することができる。粘度の測定はB形粘度計、TV−10形粘度計、TV−20形粘度計などを用いて行うことができる。
次に、電極触媒インクの構成要素について詳細に説明する。
(白金黒)
本発明で用いられる白金黒の平均粒径は2〜20nmであることが好ましく、より好ましくは2〜18nm、更に好ましくは2〜15nmである。白金黒の平均粒径が2nm以上であると電極触媒インクを用いて作製した電極触媒層が貴な電位環境下に曝されても白金黒が溶解・溶出が進行しにくいため好ましく、20nm以下であると望ましい触媒活性を得られるため好ましい。
平均粒径は、X線回析における白金の回析ピークの半値幅より求められる結晶子径、または透過型電子顕微鏡における観察結果から得られる粒径をもとに、平均値を算出することで得られる。
(フッ素化合物)
フッ素化合物は、炭素数1〜6の含フッ素アルコール、炭素数1〜6の含フッ素エーテル、および炭素数1〜6の含フッ素アルカンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上述のフッ素化合物を用いることにより電極触媒インク中の白金黒の分散性を高めることができ、分散状態を安定化させることができる。
炭素数1〜6の含フッ素アルコールとして、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタノール、および1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールなどが挙げられる。炭素数1〜6の含フッ素化エーテルとして、2,2,3,3,3,−ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルフルオロメチルエーテル、および1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルなどが挙げられる。炭素数1〜6の含フッ素アルカンとして、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、および1,1,1−トリクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンなどが挙げられる。
フッ素化合物は、分子中にトリフルオロメチル基および/またはクロロジフルオロメチル基と、水酸基および/または水素とを有していることが好ましい。上述の官能基を有するフッ素化合物を用いることにより混合液の粘度を適切な範囲にすることができる。
電極触媒インクにおける白金黒とフッ素化合物との質量比は1:10〜1:500であることが好ましく、より好ましくは1:25〜1:350である。白金黒とフッ素化合物との質比量が上述の範囲内であると、混合液の粘度を好ましい範囲に維持することができ、その結果、白金黒の分散性に優れ、塗布性に優れる電極触媒インクを作製できるため好ましい。フッ素化合物は、電極触媒インクを乾燥させる際にフッ素原子を電極触媒層に残し、他の大部分は揮発する。燃料電池を長時間運転すると余剰な水分が電極触媒層内に蓄積され、フラッディングなどを引き起こすおそれがある。フッ素原子が電極触媒層内に残留することにより、余剰水分の除去能力を向上させることができる。
(高分子電解質)
高分子電解質としては特に限定されず公知のものを用いることができるが、高いプロトン伝導性を有するものが好ましい。高いプロトン伝導性を有する高分子電解質としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体などが挙げられる。スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体としては、デュポン株式会社製NAFION(登録商標)、旭硝子株式会社製FLEMION(登録商標)、旭化成ケミカルズ株式会社製ACIPLEX(登録商標)などが挙げられる。
電極触媒インクにおける白金黒と高分子電解質との質量比は1:0.1〜1:10であることが好ましく、より好ましくは1:0.5〜1:5である。白金黒に対する高分子電解質の質量比が0.1以上であると、高分子電解質が白金黒を十分に被覆した電極触媒層が得られるため電池初期において十分な性能を得ることができる。一方、高分子電解質の質量比が10以下であると、得られる電極触媒層において反応ガスの拡散に必要な細孔を確保できフラッディングの発生を防止することができる。また、高分子電解質の質量比が10を超過すると、得られる電極触媒層において白金黒を被覆する高分子電解質の層が厚くなり、反応ガスの拡散速度が低下するおそれがある。
なお、高分子電解質とフッ素化合物とを混合する際に、高分子電解質は、固体高分子電解質を水および/またはメタノール、エタノール、プロパノールアルコール系溶媒に混合した溶液として用いてもよい。
上記電極触媒インクの構成要素の混合比を調整しても、希望する粘度が得られなかった場合には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,4−ジオキサン、n−プロピルエーテル、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒を混合液または電極触媒インクにさらに添加して粘度を調整してもよい。
電極触媒インクには、PTFE、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)などの撥水剤が含まれていてもよい。これらの撥水剤が含まれることにより、余剰水分の除去能力をより向上させることができる。
従来の方法により得られる電極触媒インクに含まれる白金黒の集合体の粒度分布のメジアン径は5〜30μmの範囲にあったが、本発明では、メジアン径が0.1〜2μmの範囲となるように白金黒を分散させることができ、白金黒を高分散させることができる。さらに、メジアン径が0.1〜2μmの範囲にあると電極触媒層の膜厚を後述の好ましい範囲にすることができる。
本発明の第二は上述の製造方法により得られることを特徴とする電極触媒インクである。
本発明の電極触媒インクは白金黒の分散性および塗布性に優れる。なお電極触媒インクはインク温度を40〜70℃に維持して攪拌を続けることにより白金黒が高分散した状態で保存することができる。また、上述の方法により得られた電極触媒インクはインク温度を39℃以下にしても、再び40〜70℃にして攪拌すると、沈殿した白金黒を再び高分散な状態にすることも可能である。
本発明の第三は上述の電極触媒インクから得られる電極触媒層である。
本発明の電極触媒層は白金黒が高分散しているため、触媒利用率が高くガス拡散性にも優れ、また、貴な電位環境下に曝されても電池性能が低下し難くい。本発明の電極触媒層は、上述した電極触媒インクを固体高分子電解質膜上などに塗布および乾燥させる従来公知の方法を用いて作製することができる。
電極触媒インクの塗布は、ダイコーター法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレー法、またはカーテンコーター法などを用いることができる。電極触媒層は固体高分子電解質膜の他に、ガス拡散層上に形成してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製シートなどの基材上に形成した場合には、電極触媒層が形成されたPTFE製シートを、固体高分子電解質膜と電極触媒層とが接触するように積層してホットプレスした後に、PTFE製シートのみを剥がすなどすればよい。電極触媒層の厚みは1〜40μmとなるよう形成することが好ましく、より好ましくは5〜35μmである。電極触媒層の厚みが1μm以上であると、均一に成膜することができるため好ましく、40μm以下であるとフラッディングを抑えることができるため好ましい。
前記電極触媒層は本発明の第一の方法により得られた電極触媒インクを用いることにより、白金黒の分散性に優れる。
また、触媒粒子が導電性担体に担持されてなる電極触媒と固体高分子電解質とにより構成される従来一般的な電極触媒層の一部分、特に導電性担体の腐食が生じ易い部分に、本発明の電極触媒層が配置されてもよい。これによっても耐久性に優れる電極触媒層が得られる。
本発明の第四は、上述した電極触媒層を有する燃料電池用膜・電極接合体(単に「MEA」とも記載する)である。本発明の白金黒が高分散された電極触媒層によれば、耐久性および発電性能に優れるMEAが得られる。
MEAの構成は、特に制限されないが、固体高分子電解質膜の両側に、アノード側電極触媒層およびアノード側ガス拡散層と、カソード側電極触媒層およびカソード側ガス拡散層とが、それぞれ対向して配置された構成を有する。
本発明のMEAにおいて、上述した電極触媒層は、アノード側電極触媒層およびカソード側電極触媒層の少なくとも一方に用いられればよいが、カーボン担体の腐食が生じ易いカソード側電極触媒層に用いるのが好ましい。カソード側電極触媒層に上述した電極触媒層を用いた場合、アノード側電極触媒層には上述した電極触媒層の他、MEAに用いられる従来公知のアノード用電極触媒層を適用すればよい。しかし、耐久性などに優れることからアノード側電極触媒層およびカソード側電極触媒層の双方に、上述した本発明の電極触媒層が用いられるのがより好ましい。
なお、前記MEAは、上述した本発明の第三の電極触媒層を用いたことを特徴とするものであり、その他の固体高分子電解質膜、ガス拡散層などは従来公知のMEAにおいて一般的に用いられているものであれば特に制限なく用いることができる。従って、固体高分子電解質膜、ガス拡散層などの詳細な説明を省略する。
本発明の第五は、上述したMEAを有する燃料電池である。述した通り本発明の電極触媒層は各特性に優れることから、これらを用いることにより高い発電性能を有する燃料電池が得られる。
前記燃料電池の種類としては、小型かつ高密度・高出力化が可能である固体高分子型燃料電池が好ましく挙げられる。
前記燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的にはMEAをセパレータで挟持した構造を有する。MEAを挟持するセパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流路溝が形成されてもよい。セパレータの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
以下、本発明に関して実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例のみに限定されることはない。
(実施例1)
[ガス拡散層の作製]
カーボンペーパー(東レ株式会社製TGP−H−060、厚さ180μm)を、55×55mm角に打ち抜いた後、PTFEの水性ディスパージョン溶液(ダイキン工業株式会社製D1、PTFE60質量%含有)を純水で所定の濃度に希釈した溶液中に2分浸漬させた後、オーブン内にて60℃、10分間乾燥させ、カーボンペーパーを撥水処理した。このとき、カーボンペーパー中のPTFE含有量は25質量%であった。
次に、撥水処理されたカーボンペーパー片側に、カーボンブラック(Cabot社製バルカンXC72R、比表面積220m/g)とポリテトラフルオロエチレン(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)とを2−プロパノール(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)に均一に分散させたスラリー溶液を、スプレー法により塗布した。次に、乾燥させて、カーボンペーパー上にカーボン層(膜厚50μm)が形成されたガス拡散層を得た。ガス拡散層は、さらに不活性ガス雰囲気下350℃にて5分間熱処理を行った。カーボン層におけるカーボンとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)との質量比は50:50であった。
[電極触媒層の作製]
20℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器に、高分子電解質溶液(デュポン株式会社製ナフィオン溶液DE520、高分子電解質含量5質量%)2.0gを加え、次いで2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール(アルドリッチ株式会社製)8.0gを徐々に滴下し、ホモジナイザーを用いて10分間混合・攪拌した。次いで、ウォーターバスの温度を50℃まで上昇させ、30分間混合・攪拌を行った。次に、この溶液に市販の白金黒触媒(ジョンソン・マッセイ株式会社製、HISPEC1000、平均粒径10nm)80mgを加え、50℃で3時間混合・攪拌を行い、電極触媒インクとした。この時の電極触媒インクの粘度は10Pa・s(10,000cps)であった。粘度は50℃で、B形粘度計(株式会社東京計器製、型番B−8L)を用いて測定を行った。この電極触媒インクを、固体高分子電解質膜(商品名ナフィオン112、デュポン株式会社製、膜厚50μm)の両面にダイコーター法により塗布、風乾し、電極触媒層を得た。得られた燃料極、酸素極の電極触媒層は、それぞれ、白金黒担持量0.50mg/cm、電極触媒層の厚み20μm、塗布面積50×50mm、固体高分子電解質と白金黒との質量比(固体高分子電解質/白金黒)は1.25であった。
[MEAおよび単セルの組立て]
燃料極電極触媒層と酸素極電極触媒層とが両面に形成された固体高分子電解質膜を、予め作製しておいたガス拡散層2枚を用いて挟持した。その後、120℃、20kgf/cmの条件で、3分間ホットプレスすることによりMEAを作製し、これをグラファイト製セパレータで挟持し、さらに金メッキしたステンレス製集電板で挟持して、評価用単セルとした。
[初期特性と耐久性の評価]
燃料電池の初期特性と耐久性評価は、大気圧、セル温度70℃、燃料に水素ガス、酸化剤に空気ガスを用い、いずれのガスともに60℃で加湿を行い、セルへ供給した。この条件下で電流密度0.5A/cm時のセル電圧を測定した。一方、耐久性評価としては、上記と同じ条件で10分間連続発電を行った後、発電を終了し、終了時には燃料極、酸素極ともに単セルへのガス供給を停止し、10分間単セルを放置して、再度同条件で連続運転を行った。この操作を起動停止の条件とし、5,000回実施し、初期のセル電圧に対する起動停止後のセル電圧の保持率{(起動停止5,000回後のセル電圧/初期のセル電圧)×100(%)}を耐久性評価とした。その時の初期セル電圧は0.70Vであり、セル電圧保持率は97%であった。
(実施例2)
実施例1の2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノールの重量を8.0gから4.0gとして電極触媒層を作製した以外は実施例1と同様にして、燃料電池単セルを組み立てて評価を行った。初期セル電圧は0.72Vであり、セル電圧保持率は92%であった。
(実施例3)
実施例1の2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノールの重量を8.0gから20gとして電極触媒層を作製した以外は実施例1と同様にして、燃料電池単セルを組み立てて評価を行った。このとき、50℃で測定した際の電極触媒インクの粘度は10Pa・s(10,000cps)であった。初期セル電圧は0.67Vであり、セル電圧保持率は94%であった。
(実施例4)
実施例1の2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノールを2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタノールにして電極触媒層を作製した以外は実施例1と同様にして、燃料電池単セルを組み立てて評価を行った。このとき、50℃で測定した際の電極触媒インクの粘度は10Pa・s(10,000cps)であった。初期セル電圧は0.70Vであり、セル電圧保持率は97%であった。
(実施例5)
実施例1の高分子電解質溶液の重量を2.0gから3.0gにして電極触媒層を作製した以外は実施例1と同様にして、燃料電池単セルを組み立てて評価を行った。このとき、50℃で測定した際の電極触媒インクの粘度は10Pa・s(10,000cps)であった。初期セル電圧は0.72Vであり、セル電圧保持率は92%であった。
(実施例6)
実施例1の高分子電解質溶液の重量を2.0gから5.0gにして電極触媒層を作製した以外は実施例1と同様にして、燃料電池単セルを組み立てて評価を行った。このとき、50℃で測定した際の電極触媒インクの粘度は10Pa・s(10,000cps)であった。初期セル電圧は0.73Vであり、セル電圧保持率は91%であった。
(実施例7)
実施例1のウォーターバスの温度を50℃から65℃にして電極触媒層を作製した以外は実施例1と同様にして、燃料電池単セルを組み立てて評価を行った。このとき、65℃で測定した際の電極触媒インクの粘度は14Pa・s(14,000cps)であった。初期セル電圧は0.67Vであり、セル電圧保持率は94%であった。
(実施例8)
実施例1のウォーターバスの温度を50℃から65℃にし、2−プロパノールを使用して、65℃で測定した際の電極触媒インクの粘度を10Pa・s(10,000cps)に調製して電極触媒層を作製した以外は実施例1と同様にして、燃料電池単セル評価を行った。初期セル電圧は0.70Vであり、セル電圧保持率は97%であった。
(比較例1)
ウォーターバスの温度を20℃のまま維持する以外は実施例1と同様に電極触媒インクを調製したが、白金黒を添加したと同時に、ガラス容器内の電極触媒インク中で白金黒が凝集・沈降した。そのため、ダイコーター法による塗布ができず、ドクターブレード法による塗布も試みたが、白金黒の凝集・沈降が激しく、塗布を行うことができなかった。このため、比較例1の電極触媒インクでは所望の電極触媒層の形成はできず、膜・電極接合体を得ることはできなかった。
(比較例2)
2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノールの代わりに、同質量のエタノールを使用した以外は実施例1と同様に電極触媒インクを調製したが、白金黒を添加したと同時に、ガラス容器内の電極触媒インク中で白金黒が凝集・沈降した。そのため、ダイコーター法による塗布ができず、ドクターブレード法による塗布も試みたが、白金黒の凝集・沈降が激しく、塗布を行うことができなかった。このため、比較例2の電極触媒インクでは所望の電極触媒層の形成はできず、膜・電極接合体を得ることはできなかった。
(比較例3)
イオン交換容量が1.1meq/gであるテトラフルオロエチレンに基づく重合単位と、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOHに基づく重合単位とからなる共重合体をエタノールに溶解させた。得られた混合液における共重合体の濃度を9.0wt%とすることにより高分子電解質溶液とした。この溶液に2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール40.4gを添加して、溶液を調製した。次に、20℃で保持されたこの溶液11.1gに白金黒0.4gを添加したが、添加と同時に、溶液中で凝集・沈降が進んだ。また、20℃で測定した際の電極触媒インクの粘度は24Pa・s(24,000cps)であった。この電極触媒層インクでは、固体高分子電解質膜の両面にダイコーター法により塗布できなかったので、ドクターブレード法により電極触媒層を得た。他の条件は、実施例1に合わせて、膜・電極接合体を作製し、燃料電池単セル評価を行った。初期セル電圧は0.62Vであり、セル電圧保持率は84%であった。
実施例1〜8および比較例1〜3の結果を表1に示す。表1において、本願でいうフッ素化合物は溶媒の欄に記載してある。
Figure 2006185855

Claims (11)

  1. 高分子電解質、フッ素化合物および白金黒を含む電極触媒インクの製造方法であり、
    高分子電解質およびフッ素化合物を含む混合液の温度を40〜70℃に調節し、
    前記混合液中に白金黒を添加することを特徴とする電極触媒インクの製造方法。
  2. 前記白金黒の平均粒径が2〜20nmであることを特徴とする請求項1に記載の電極触媒インクの製造方法。
  3. 前記電極触媒インクの粘度が1〜20Pa・sであることを特徴とする請求項1または2に記載の電極触媒インクの製造方法。
  4. 前記フッ素化合物は、炭素数1〜6の含フッ素アルコール、炭素数1〜6の含フッ素エーテル、および炭素数1〜6の含フッ素アルカンからなる群より選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極触媒インクの製造方法。
  5. 前記フッ素化合物は、トリフルオロメチル基および/またはクロロジフルオロメチル基と、水酸基および/または水素原子と、を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電極触媒インクの製造方法。
  6. 前記白金黒と前記フッ素化合物との質量比が1:10〜1:500であることを特徴とする請求項1〜5に記載のいずれか電極触媒インクの製造方法。
  7. 前記白金黒と前記高分子電解質との質量比が1:0.1〜1:10であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電極触媒インクの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする電極触媒インク。
  9. 請求項8に記載の電極触媒インクから得られる電極触媒層。
  10. 請求項9記載の電極触媒層を有するMEA。
  11. 請求項10に記載のMEAを有する燃料電池。
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