JP2006176496A - 固形剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】実用的な硬度や崩壊時間を備え、経時的な安定性も備えた固形剤を提供する。
【解決手段】特定の水分含量のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用する。または、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として粉体を顆粒とし、さらにこれを調湿してから圧縮成形する。または、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用して顆粒状の賦形剤を造粒し、これを調湿してから圧縮成形に使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は医薬品、健康食品などの分野で好適に使用される固形剤(顆粒、錠剤)の製造方法と、該方法により製造された固形剤に関する。
医薬品、健康食品は、顆粒や錠剤などの固形剤の形態に成形されていることが多い。一般的な顆粒の製造方法としては、湿式造粒法と乾式造粒法とがある。
これら方法のうち湿式造粒法は、原料の粉体に、液状の結合剤を加えて造粒する方法であり、その造粒機構から、押出し、流動、転動、解砕、噴霧、撹拌などの方法がある。
乾式造粒法は、ローラーなどで原料の粉体を圧縮成形(以下、ロール圧縮成形という場合もある。)した後、各種の破砕機などで粗砕を行い、さらに篩い分けして目的の粒度を持つ造粒物、すなわち顆粒を得る方法である。乾式造粒法は、このように水や有機溶媒などの液状の湿潤剤を使用する必要がなく、加熱乾燥工程も不要であることから、湿潤剤による変質や加熱乾燥工程による分解の可能性のある医薬品有効成分や食品用保健機能を有する成分(以下、「食品用保健機能成分」という。)などの有効成分を含有する顆粒の製造に好適である。また、乾式造粒法は加熱乾燥工程が不要であるため乾燥設備が必要なく、消費エネルギー量も少ないことから、顆粒の製造コストが低いという長所を持つ。
これらの方法による顆粒の製造においては、共通して、有効成分などを含む原料の粉体をそのままで、または、これに賦形剤、結合剤、崩壊剤、他の適当な添加剤などを加えて混合したものを、適当な方法で粒状とし、できるだけ大きさの揃った顆粒としている。
このようにして得られた顆粒は、湿式造粒法または乾式造粒法のどちらで製造されたものであっても、顆粒剤または散剤として医薬品などの製剤とされたり、顆粒状の食品として用いられたり、打錠機を用いた圧縮成形法による錠剤の製造に用いられたりする。
一般的な錠剤の製造法には、直接粉末圧縮法(以下、直接打錠法と言う場合もある。)と、顆粒圧縮法とがある。そして、顆粒圧縮法には、顆粒の製造方法の違いに基づき、湿式顆粒圧縮法と乾式顆粒圧縮法とがある。
これら方法のうち直接打錠法は、基本的には、有効成分などを含む原料をそのまま圧縮成形するか、原料に、賦形剤、一般には乾式結合剤とも呼ばれる粉末状結合剤、崩壊剤、他の適当な添加剤などを加えて均一に混合したものを圧縮成形する方法である。この方法は、粉体を前処理しないで直接打錠する方法であり、粉体の圧縮成形性が良好な場合に採用されるが、なかには、直接打錠用原料として、有効成分を含む粉体や賦形剤などがあらかじめ成形性の改良のために加工されたものも市販されている。
一方、顆粒圧縮法は、まず、賦形剤などを用いて原料の粉体を含む顆粒を製造し、ついで、得られた顆粒に滑沢剤などを加えて、これを圧縮成形する方法である。顆粒を湿式造粒法で製造した場合には湿式顆粒圧縮法と呼ばれ、乾式造粒法で製造した場合には乾式顆粒圧縮法と呼ばれる。
直接打錠法は、上述した乾式造粒法における場合と同様に、製造される錠剤が水や熱に不安定な有効成分を含む場合に一般的に適用されるが、製造工程数は最も少なく、経済的な利点がある。
乾式顆粒圧縮法は、上述したように乾式造粒法により得られた顆粒を打錠に用いる方法であって、通常、成形する粉体の流動性や圧縮成形性などに問題があり、直接打錠法の適用が難しい場合に採用される。湿式顆粒圧縮法は最も一般的に用いられている錠剤の製法であって、圧縮成形が容易であり、得られる錠剤の質量偏差が小さく、含量均一性も良好であるという長所がある。
これら顆粒や錠剤の製造においては、各種の添加剤が使用される。そのなかで結合剤は、原料の粉体や、これを含む混合粉体に結合力を与え、圧縮成形を容易にするために用いられる添加剤である。結合剤には、デンプンのり液、ヒドロキシプロピルセルロース液、ポリビニルピロリドン液など液状のものが使用される場合が多いが、粉末状のものが使用される場合もあり、粉末状の結合剤としては結晶セルロースが汎用されている。
例えば、第十四改正日本薬局方解説書、A−64ページ、廣川書店(2001)には、「粉末として用いられる結合剤としては結晶セルロースが汎用される」との記載がある。同書A−65ページの乾式顆粒圧縮法の造粒に関する解説の中に「薬品に必要に応じて賦形剤、粉末状の結合剤、・・・を加えて混合物とし、・・・」との記載がある。また 津田恭介:医薬品開発基礎講座、XI、薬剤製造法、136ページ、地人書館(東京)、(1971)には、「直接粉末圧縮法の結合剤として、結晶セルロースの使用が一般的で、平均粒子径40μm,120μmの2種の粒度のものが市販されている。」との記載がある。このように直接打錠法や乾式造粒法における結合剤には粉末状のものが使用され、その例としては、水不溶性の結晶セルロースが汎用されている。
このように結合剤には、液状で使用されるものと粉末状で使用されるものとがあり、例示した文献などに記載されているように、後者の結合剤のことを「粉末として用いられる結合剤」または「粉末状の結合剤」と言う場合がある。本明細書においては、粉末状で使用される結合剤のことをまとめて「粉末状結合剤」と呼ぶ。すなわち、「粉末状結合剤」には、一般に「乾式結合剤」と呼ばれ、直接打錠法や乾式造粒法など溶媒を使わない操作で用いられる結合剤や、湿式造粒法において液状ではなく粉末状で加えられる結合剤も含まれる。
賦形剤は、有効成分を含む原料の粉体の量が少ない場合、顆粒や錠剤に一定の大きさと質量を与えるため、または、でき上がった顆粒や錠剤の質量をある程度大きくして、取り扱いや服用を容易にするための添加剤である。賦形剤としては、乳糖が最も汎用されるが、その他にデンプン、D−マンニトール、白糖などが用いられる。直接打錠法において使用される賦形剤は、流動性と圧縮成形性に優れていることが望まれ、例えば日本薬局方に収載されている乳糖の場合には、一般的な乳糖とは製法が異なる噴霧乾燥によるものや、一般的な製法により得られた乳糖を造粒したものが、この目的(流動性、圧縮成形性)に使用されている。
直接打錠用の賦形剤としての乳糖の製品は、乳糖単一成分で構成されるものが一般的であるが、このほかに複数成分から構成される賦形剤の例もあり、例えば医薬品添加物規格に収載されているものに、成分名として「乳糖造粒物」や、「合成ケイ酸アルミニウム・ヒドロキシプロピルスターチ・結晶セルロース」などがある。前者はヒドロキシプロピルセルロースと乳糖から成るものである。直接打錠法においては、直接打錠用の賦形剤を使用しても、硬度などの錠剤の性質が目的のレベルに達しない場合、粉末状結合剤がさらに使用される。
また、特許文献1〜3には、トウモロコシデンプンなどのデンプンを、直接打錠法などで錠剤成形する際の添加剤として使用して、崩壊性、嚥下性、圧縮特性などを高めようとする技術が開示されている。
特開平8−208523号公報 国際公開第00/47233号パンフレット 特開2002−12559号公報
上記のように、粉末状結合剤は、錠剤や顆粒を製造する際に使用されるものであり、水や有機溶媒には溶けない粉末状の結晶セルロースが一般的に使用されている。
しかし、結晶セルロースは、結合性の点では優れているが、保存中に徐々に黄褐色系に着色する性質がある。そのため、結晶セルロースを多く含む錠剤などには、着色変化が肉眼でも認められることがある。また、相互作用を起因として、有効成分の分解を促進することや、製剤の着色を促進することなどがある。
例えば、吉岡澄江著:医薬品の安定性、62ページ、南江堂(1995)には、セルロースおよびトウモロコシデンプンの存在下におけるフロモキセフの加水分解を比較した結果、セルロースの場合、水分の増加と共に急激に分解が速くなるのに対し、トウモロコシデンプンでは水分の増加と分解の速さの関係は緩慢であり、同一水分ではトウモロコシデンプンの方が分解が遅いデータが示されている。また、同書120ページには、「マレイン酸エナラプリルの安定性低下の原因である結晶セルロースとの相互作用など多くの薬物と添加剤との相互作用が熱分析によって検討されている。」との記載が見られる。このように結晶セルロースには、安定性の点で問題があった。
通常、製剤の処方設計において、医薬品添加物と薬物との相互作用などが原因で、得られる製剤が不安定になったり、その性質が不十分になったりする場合には、その添加剤の代替えとなり得る別の添加剤が選択される。しかし、結晶セルロースと同程度の結合性を持つ他の粉末状結合剤は、従来、存在しなかった。
さらに、従来の顆粒や錠剤の製造方法においては、以下の問題もある。
(1)打錠機などを使用した圧縮成形法により錠剤を成形する際に、粉末状結合剤として結晶セルロースを使用するとともに滑沢剤として硬化油を使用した場合、結晶セルロースの影響を受けて錠剤の崩壊が著しく遅くなる。また、それ以外の場合でも、実用可能な崩壊時間や錠剤硬度を備えた錠剤が得られない場合があった。
(2)乾式造粒法は、上述のとおり容易かつ簡便であり、製造コストは低いものであるが、破砕機などによる破砕工程において微粒子が生じやすく、粒度が揃った顆粒を高収率で得られないという問題があった。また、得られた顆粒を打錠して良好な錠剤物性の錠剤を得るためには、顆粒の物性が大きく関与する。一般には、不定形で硬度が低い顆粒は打錠時の圧縮成形性を高めるため、高い硬度の錠剤を成形でき、好ましいとされている。ところが、乾式造粒法でこのような特性の打錠用顆粒を得ようとすると、その際に多量の微粒子を発生してしまうため、粒度が揃った顆粒を高収率で得て、しかも得られた顆粒を使用して十分な硬の錠剤を安定して得ることは非常に困難であった。また、湿式造粒法において結合剤として汎用されているヒドロキシプロピルセルロースを粉末状結合剤として、乾式造粒法に用いた場合、錠剤の崩壊時間が著しく長くなるという問題があった。
一方、賦形剤に汎用される乳糖は、アミノ基を持つ化合物とメイラード反応を起こすことがある。メイラード反応は、アミノ酸、ペプチド、たんぱく質のアミノ基と糖の配糖体形成能を有する水酸基との間に起こる反応と定義されるものであって、アミノ基を持つ化合物と乳糖を含む賦形剤とを共に含有する顆粒や錠剤では、メイラード反応により経時的に褐色に着色するという問題があった。そのため、このようなメイラード反応を起こさない賦形剤として知られているD−マンニトールを使用することがある。ところが、D−マンニトールは成形性が低いため、D−マンニトールを賦形剤として使用した場合には、顆粒の収率が低下する傾向があるとともに、実用可能な硬度を持つ錠剤が得られにくいという問題があった。このように、従来、乾式造粒法を適用して、アミノ基を持つ活性成分を含有する顆粒や錠剤を製造する際において、成形性と経時的な色の安定性とを両立することは困難であった。
(3)湿式造粒法で粉体を造粒し、得られた顆粒を打錠機などで圧縮成形し、錠剤を成形する湿式顆粒圧縮法では、得られる錠剤の硬度や崩壊時間が不十分となる場合があった。また、十分な硬度を発現させるために結晶セルロースを使用することも考えられるが、その場合には上述したような結晶セルロースの安定性に関する問題があった。
(4)打錠機などを使用した圧縮成形法により錠剤を成形する際には、賦形剤が使用されることが多く、賦形剤としては、上述したように多くの製品が市販されている。しかしながら、それらを用いた場合、錠剤中の有効成分量が高い場合などには得られる錠剤の硬度が不足し、粉末状結合剤の併用が必要となる場合も多い。この場合にも、結晶セルロースを粉末状結合剤として利用することが考えられるが、結晶セルロースには上述したような安定性に関する問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、錠剤や顆粒を製造する際の上述の問題点などを改善することを課題とする。より具体的には、以下の通りである。
(1)打錠機などを使用した圧縮成形法により錠剤を成形する場合において、経時的な着色が少なく経時的安定性に優れ、かつ滑沢剤に硬化油を使用した場合でも崩壊が遅くならず、実用可能な錠剤硬度と崩壊速度とを備えた錠剤の製造方法を提供する。
(2)乾式造粒法において、微粒子などが少なく粒度が揃った顆粒を高収率で得ることができ、しかも得られる顆粒は経時的な着色が少ない経時的安定性に優れたものとなる顆粒の製造方法、さらには、実用可能な錠剤硬度と崩壊時間とを備え、経時的安定性にも優れた錠剤を製造可能な顆粒の製造方法を提供する。
(3)湿式顆粒圧縮法において、実用可能な錠剤硬度と崩壊時間とを備え、経時的安定性にも優れた錠剤を製造可能な方法を提供する。
(4)打錠機などを使用した圧縮成形法により錠剤を成形する場合において、経時的安定性に優れ、粉末状結合剤を追加添加しなくても実用可能な錠剤硬度と崩壊速度とを備える錠剤の製造方法を提供する。
本発明者らはかかる課題を解決するために鋭意検討した結果、錠剤や顆粒を製造する際に、粉末状結合剤として、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を使用することが有用であることを見出した。すなわち、
(1)本発明の錠剤の製造方法は、水分含量6〜14質量%のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した圧縮成形法により、錠剤を成形することを特徴とする。
前記コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の水分含量は、9〜14質量%であることが好ましい。
前記錠剤は、医薬品有効成分および/または食品用保健機能成分を含有することが好ましい。
前記錠剤中のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の含有量は、5質量%以上であることが好ましい。
前記コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体は、加熱処理されてから前記水分含量に調整されたものであることが好ましい。
(2)本発明の顆粒の製造方法は、水分含量6〜14質量%のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した乾式造粒法により、粉体を造粒することを特徴とする。
前記コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の水分含量は、9〜14質量%であることが好ましい。
前記顆粒は、医薬品有効成分および/または食品用保健機能成分を含有することが好ましい。
前記顆粒中のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の含有量は、10質量%以上であることが好ましい。
結晶セルロース、粉末セルロースまたは低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの粉末からなる群から選択される少なくとも1種以上のセルロース系粉末状結合剤をさらに使用することが好ましい。
前記顆粒中の前記セルロース系粉末状結合剤の含有量は、10〜30質量%であることが好ましい。
D−マンニトールを賦形剤として使用することが好ましい。
前記コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体は、加熱処理されてから前記水分含量に調整されたものであることが好ましい。
本発明の顆粒は、前記製造方法により製造されたことを特徴とする。
また、本発明の錠剤は、前記顆粒を含有することを特徴とする。
(3)本発明の錠剤の製造方法は、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した湿式造粒法により粉体を造粒し、該造粒で得られた顆粒をその水分活性(aw)が0.4〜0.8になるように調湿してから、圧縮成形することを特徴とする。
前記錠剤は、医薬品有効成分および/または食品用保健機能成分を含有することが好ましい。
(4)本発明の錠剤の製造方法は、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した湿式造粒法により粉末状の賦形剤を造粒し、該造粒で得られた顆粒状の賦形剤をその水分活性(aw)が0.4〜0.8になるように調湿してから他の粉体と混合し、圧縮成形することを特徴とする。
前記錠剤は、医薬品有効成分および/または食品用保健機能成分を含有することが好ましい。
本発明の錠剤は、前記錠剤の製造方法のうち、いずれかの製造方法により製造されることを特徴とする。
本発明によれば、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の特性(優れた結合性、有効成分との相互作用の低さ)が最大限に発揮され、具体的には次のような効果が得られる。
(1)打錠機などを使用した圧縮成形法により錠剤を成形する場合において、錠剤硬度を高くすることが望まれる場合などに、経時的な着色が少なく経時的安定性に優れ、かつ滑沢剤に硬化油を使用した場合でも崩壊が遅くならず、実用可能な錠剤硬度と崩壊速度を備えた錠剤を製造できる。
(2)乾式造粒法において、微粒子が少なく粒度が揃った顆粒を高収率で得ることができる。しかも、得られる顆粒は経時的な着色が少ないなど経時的安定性にも優れている。また、得られる顆粒を用いることによって、実用可能な錠剤硬度と崩壊時間を備え、経時的安定性に優れた錠剤を製造できる。
(3)湿式顆粒圧縮法において、実用可能な錠剤硬度と崩壊時間を備え、経時的安定性にも優れた錠剤を製造できる。
(4)打錠機などを使用した圧縮成形法により錠剤を成形する場合において、経時的安定性に優れ、粉末状結合剤を追加添加しなくても実用可能な錠剤硬度と崩壊速度とを備える錠剤を製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、固形剤である錠剤や顆粒の製造において、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用することを特徴とするものであり、具体的には次のような方法より構成されものである。すなわち、
(1)打錠機などを使用した圧縮成形の際に、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用して、錠剤を成形する錠剤の製造方法であって、その際に粉末状結合剤として、水分含量が6〜14質量%、好ましくは9〜14質量%のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を使用する。以下、この製造方法を製造方法(1)という場合がある。
(2)乾式造粒法により粉体を造粒する顆粒の製造方法であって、その際に粉末状結合剤として、水分含量が6〜14質量%、好ましくは9〜14質量%のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を使用する。以下、この製造方法を製造方法(2)という場合がある。
(3)湿式顆粒圧縮法により粉体を圧縮成形する錠剤の製造方法であって、粉末状結合剤としてコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を使用した湿式造粒法により粉体を造粒して顆粒を得て、この顆粒をその水分活性(aw)が0.4〜0.8になるように調湿した後、圧縮成形する。以下、この製造方法を製造方法(3)という場合がある。
(4)打錠機などを使用した圧縮成形により錠剤を製造する際に、賦形剤として以下のものを使用する。すなわち、粉末状の賦形剤にコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として加え、これを湿式造粒法により造粒し、さらにその水分活性(aw)が0.4〜0.8になるように調湿したものを顆粒状の賦形剤とし、これを他の粉体と混合して圧縮成形する。以下、この製造方法を製造方法(4)という場合がある。
本発明の製造方法(1)と製造方法(2)においては、その際に粉末状結合剤として、水分含量が6〜14質量%、好ましくは9〜14質量%のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を使用する。
コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の水分含量は、粉体を圧縮成形する際の圧縮成形性や、粉体から顆粒や錠剤を製造する際の圧縮成形性、さらには顆粒から錠剤を成形する際の圧縮成形性などに影響を与えるものであって、水分含量が6質量%未満では十分な成形性が発現せず、顆粒を製造する場合にあっては、微粒子が少なく粒度の揃った顆粒を高収率で得られにくいうえ、得られた顆粒から錠剤を成形する場合にも、十分な硬度のものが得られにくい傾向がある。一方、14質量%を超えると、コメデンプンおよび/ またはコメデンプン誘導体の流動性が低下して、打錠機などでの圧縮成形法や乾式造粒法において操作性に支障を来たす場合(コメデンプンおよび/ またはコメデンプン誘導体が混合された混合粉体がホッパーから流出しない場合、打錠時にスティッキングなどの打錠障害を起こす場合、各種装置類の壁に付着する場合など)や、微生物の増殖が懸念される場合がある。
一方、製造方法(3)の湿式顆粒圧縮法の場合には、コメデンプンおよび/ またはコメデンプン誘導体を粉末結合剤として粉体に加え、造粒し、得られた顆粒の水分値をその水分活性(aw)が0.4〜0.8になるように調湿してから圧縮成形する。
すなわち、従来の一般の湿式顆粒圧縮法では、造粒された顆粒を乾燥工程で乾燥してから、圧縮成形するため、コメデンプンおよび/ またはコメデンプン誘導体を粉末結合剤として使用して造粒したとしても、乾燥工程において顆粒中のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の水分含量が低下し、その結果、得られる顆粒の圧縮成形性などが低下してしまうと考えられる。このように圧縮成形性の低い顆粒を使用しても、十分な硬度の錠剤は得られにくい。よって、圧縮成形性を確保するためには、圧縮成形の前に調湿して、顆粒の水分含量を調整することが重要であると考えられる。
水分含量の指標としては、水分活性(aw)を用いるのがよい。水分活性(aw)は、試料を容器に密封したとき、平衡状態に達した容器内の相対湿度を100で除して得られる値で、例えばフロイント産業(株)製の商品名「EZ−100」などの市販されている水分活性測定装置を用いることにより測定される。
製造方法(3)により粉体を圧縮成形する場合には、顆粒をその水分活性(aw)が0.4〜0.8になるように調湿するのがよい。水分活性(aw)が0.4未満では十分な成形性が発現せず、一方0.8を超えると、顆粒の流動性が低下して、打錠の際にホッパーから粉体が流出しない、打錠時にスティッキングなどの打錠障害を起こす、などの懸念がある。
また、同様の観点から、製造方法(4)の場合にも、顆粒状に成形された賦形剤をその水分活性(aw)が0.4〜0.8になるように調湿するのがよい。
日本薬局方には、デンプンに関する品目としてはコムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプンの4品目が収載されており、コメデンプンの乾燥減量(水分含量)の規格は、15.0%以下である。しかしながら、市場に流通する製品の場合、製造における乾燥や熱処理条件の違いから、これら規格範囲であっても実際の数値には大きくバラツキがある。例えば、デンプン中の雑菌を減らすために熱処理を行うと水分が1質量%以下にまで減少することがある。
そのため本発明においては、製造方法(1)および(2)においては、特に市販のコメデンプンおよび/コメデンプン誘導体を、その水分含量が6〜14質量%の範囲となるように必要に応じて適宜水分調整して使用する。
この場合、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体には、75℃以上の温度で少なくとも30分間加熱する加熱処理を行ってから、その水分含量を調整することが好ましい。なお、殺菌などを目的として、すでにこのような条件の加熱処理が行われている市販品などについては、再度加熱処理をしなくてもよい。本発明者らは、このような加熱処理を行ってから水分含量を調整することにより、得られるコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の成形性がより向上することを見出した。その理由は明らかではないが、このような処理により、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体のうち、少なくとも一部の粒子構造が変化し、その結果、結合力が向上すると考えられる。
コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の水分含量を低くする場合には、通常の方法でこれを乾燥すればよく、水分含量を高くする場合には、混合・撹拌装置内で撹拌しながらこれに水を噴霧する方法、調湿した空気をコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体に供給する方法などにより目標の水分範囲に到達させればよい。
また、製造方法(3)および(4)においては、市販のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体は、そのまま用いればよく、事前に水分調整の必要はない。なお、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の水分含量は、日本薬局方(第14改正)「乾燥減量試験法」に準じて、105℃の温度で6時間乾燥した際の質量減量により求められる。
ここで使用されるコメデンプンは、ウルチコメ、モチゴメを原料に製造されるものであって、各種の製造方法が知られているが、日本薬局方またはヨーロッパ薬局方などのコメデンプンの各条に適合するものであればどのような製造方法により製造されたものでもよい。
また、コメデンプン誘導体としては、例えばエステル化デンプン、エーテル化デンプン、酸化デンプンなどの誘導体が挙げられる。エステル化デンプン、エーテル化デンプンとして具体的には、コメデンプンの酢酸エステル、リン酸モノエステル、リン酸架橋(リン酸ジエステル)、オクテニルコハク酸エステル、酢酸アジピン酸架橋、ヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシプロピルエーテル、カルボキシメチルエーテルなどが挙げられる。さらには、酸処理デンプン、漂白処理デンプン、物理処理デンプン(湿熱処理デンプンなど)も使用できる。これらは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
デンプン類は、医薬品添加剤の分野では賦形剤、崩壊剤および結合剤として使用される。結合剤として使用される場合は、通常、5〜10%デンプンのり液の形で使用されるとの記載が第十四改正日本薬局方解説書、A−64ページ、廣川書店(2001)に見られる。しかし、デンプン類が粉末状で結合剤として使用されるとの記載は、従来、見られない。コメデンプンが他のデンプン類に比べて異なる点はその粒子径が微小であることである。不破英次他編:澱粉科学の事典、373ページ、朝倉書店(東京)(2003)には、各種デンプンの粒径が示されており、米澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉ではそれぞれ4.8μm、12.2μm、16.9μm、32.2μmとの記載がある。コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体は、このように、その粒子径が他のデンプン類と比較して著しく微小であるため、粒子間の接触面積が大きくなる。このような接触面積の増加が、粉末状結合剤としての結合性の向上に寄与するため、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体は、製造方法(1)〜(4)において好適に使用されると推察できる。
上記製造方法(1)〜(4)では、原料として、医薬品有効成分および/または食品用保健機能成分を含有するものが好適に使用でき、その結果、該成分を含有する顆粒や錠剤が得られる。
医薬品有効成分としては特に制限はないが、催眠・鎮痛剤、解熱鎮痛消炎剤、精神神経用剤、自律神経用剤、抗パーキンソン剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、動脈硬化用剤、鎮咳去痰剤、ビタミン剤、滋養強壮薬、抗生物質、胃腸薬などが挙げられる。
食品用保健機能成分としては、身体の生理学的機能などに影響を与え、食品に使用されるものであって、例えば、ビタミン類、ミネラル類、ハーブ類、たんぱく質、脂肪酸、食物繊維などの栄養成分、高麗にんじんなどの植物性食品、プロポリスなどの動物性食品、ビフィズス菌などの菌類、及びコエンザイムQ10など厚生労働省より通知された「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り食品と認められる成分本質リスト」に収載されている物質が挙げられる。
また、上記製造方法(1)〜(4)では、他の各種添加剤が使用でき、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体以外の粉末状結合剤(一般に乾式結合剤と呼ばれるもの)、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤などが挙げられる。また、必要があれば、錠剤や顆粒の製造に一般に用いられる流動化剤、香料、甘味料、着色料などを加えてもよい。
滑沢剤は、打錠機などによる圧縮成形時に、有効成分を含む原料の粉体や添加剤が杵や臼に付着しないようにするとともに、均一な圧縮成形性が得られるように働くものである。また、乾式造粒法においては、ロール圧縮成形の際に、成形物がロールに付着するのを防止するように働くものである。具体的には、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、タルクなどが使用できる。滑沢剤の添加量は、上記製造方法(1)〜(4)のいずれの場合でも、滑沢剤の種類や、原料の粉体やこれに各種添加剤が添加された混合粉体の性質などにより異なり、一様ではないが、錠剤や顆粒中0.1〜10質量%となる範囲が一般的である。
崩壊剤は、水中または消化管液中で顆粒や錠剤に崩壊性を与える働きをするものであって、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチなどの一般的な崩壊剤の他、乳糖、D−マンニトール、ショ糖などの賦形剤を使用することができる。
さらに、製造方法(1)、(3)、(4)の各方法で得られた錠剤や、製造方法(2)で得られた顆粒を含有する錠剤には、医薬品有効成分または食品用保健機能成分に由来する不快な味のマスキング、安定性の改善、外観を美しくするなどの目的で、さらにフィルムコーティングを行ってもよい。
次に各製造方法(1)〜(4)について、個別にその方法を詳述する。
[製造方法(1)]
製造方法(1)は、一般に直接打錠法と呼ばれる方法に属するものであって、打錠などにより圧縮成形して錠剤を成形する際に、粉末状結合剤として、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を使用するものである。この製造方法(1)では、まず、例えば医薬品有効成分および/または食品用保健機能成分などの有効成分を含有する原料と、粉末状結合剤としてのコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体と、必要に応じて添加される各種添加剤などとを混合して混合粉体を調製する。ここで、原料は粉体状であってもよいし、直接打錠用原料として一般に市販されている顆粒状のものなど、予備的な加工が施されたものであってもよい。
原料の成形性は、それに含まれる有効成分の種類、量などにより異なるため、これらに応じて、使用するコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の量を適宜調整すればよいが、結合剤としての機能を確保する観点から、混合粉体中、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは5〜30質量%である。5質量%未満では、結合剤としての効果が不十分になり、30質量%を超えると、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体は流動性が低いことから、混合粉体の流動性も不足する。その結果、混合粉体の臼への充填量にばらつきが生じ、錠剤の質量偏差が大きくなることがある。
必要に応じて使用される添加剤としては、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体以外の粉末状結合剤、直接打錠用の賦形剤、崩壊剤、滑沢剤などが挙げられる。
ついで、得られた混合粉体を、単発打錠機、ロータリー打錠機など、臼と杵とを有する打錠機を用いて圧縮成形することにより、錠剤が得られる。
なお、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を原料や添加剤と混合する場合には、得られる混合粉体を均一にするため、あらかじめ原料や添加剤の一部と混合しておいてもよいし、適当な目開きの篩いを用いて篩い分けしてもよい。また、得られる錠剤の形状には制限はないが、断面が円形状のものならば直径6〜10mmで、1錠あたりの質量は100〜500mg程度が実用的である。また、この場合の打錠に適した圧力(圧縮圧)としては、おおむね15kN以下が望ましい。コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の混合粉体中における量を上記のように設定することにより、得られる錠剤中のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の量もそれぞれ5質量%以上、5〜30質量%となる。
このような製造方法(1)によれば、特定の水分含量のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した圧縮成形法により錠剤を製造するので、実用性のある十分な錠剤硬度を有し、たとえ滑沢剤に硬化油を用いた場合でも崩壊が遅くならない良好な崩壊時間の錠剤が得られる。また、得られた錠剤は、色の点における経時的安定性にも優れる。
[製造方法(2)]
コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した乾式造粒法により、粉体を造粒して顆粒を製造する具体的方法としては、まず、例えば医薬品有効成分および/または食品用保健機能成分などの有効成分を含有する原料の粉体と、粉末状結合剤としてのコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体と、必要に応じて添加される各種添加剤などを混合して混合粉体を調製する。
原料の粉体の成形性は、それに含まれる有効成分の種類、量などにより異なるため、これらに応じて、使用するコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の量を適宜調整すればよいが、粉末状結合剤としての機能を確保する観点から、混合粉体中、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは15〜50質量%である。コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の混合粉体中における量をこのように設定することにより、得られる顆粒中のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の量もそれぞれ10質量%以上、10〜90質量%、15〜50質量%となる。
ついで、この混合粉体をロール式高圧圧縮成形機などによりロール圧縮成形し、高密度の板状成形物(以下、フレークということもある。)とする。このとき、造粒条件(ロール圧縮成形の条件)としては、圧縮成形率が60〜95%となるような条件とする。ついで、目的の粒度となるように、この板状成形物を多段式ロール解砕機や各種の製粒機に通す粗砕工程を行うことにより、例えば粒径が1700μmよりも細かく、かさ密度が0.4〜0.8g/mLの顆粒が得られる。
得られた顆粒は、そのまま顆粒剤として用いたり、打錠機を用いた圧縮成形に用いたりすることも可能であり、必要があれば適当な粒度分布になるように篩い分けしてもよい。また、得られた顆粒には、その含有する水分量の低減が望まれる場合、引き続き公知の方法により乾燥を行ってもよい。
なお、圧縮成形率は、フレーク率とも呼ばれ、下記の測定法により求められる。
《圧縮成形率の測定法》
1.ロール圧縮成形を1分間行い、ロールを通過した板状成形物および微粉を、粗砕せずに直接容器等で受け取る。この質量を1分間の処理量(Ag)とする。
2.上記1で得られた板状成形物および微粉(Ag)を目開き1000μmの篩いに入れ、1000μm pass品を除去する。この目開き1000μmの篩い上に残った板状成形物の質量をBgとする。
3.次式により圧縮成形率(フレーク率)を算出する。
フレーク率(%)=(B/A)×100
得られた顆粒をさらに成形して錠剤を製造する場合には、まず、顆粒と、必要に応じて添加される滑沢剤、崩壊剤などの添加剤や他の成分とを混合する。そして、得られた混合物を単発打錠機、ロータリー打錠機など、臼と杵とを有する打錠機を用いて、使用する打錠機や錠剤の大きさに適した圧力で打錠する圧縮成形を行えばよい。この際、錠剤の形状には制限はないが、断面が円形状のものならば直径6〜10mmで、1錠あたりの質量は100〜500mg程度が実用的である。また、この場合の打錠に適した圧力(圧縮圧)としては、おおむね15kN以下が望ましい。
このように特定の水分含量のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用することによって、造粒時における粉体の圧縮成形性が非常に高くなるため、粗砕工程における微粉含量が少なくなり、粒度が揃った顆粒を高収率で得ることができる。さらにこのようにして製造された顆粒を成形して得られた錠剤は、実用可能な錠剤硬度、崩壊時間を備え、色の点における経時的安定性を備えたものとなる。
また、粉末状結合剤としてコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を含む顆粒やその顆粒から得られた錠剤は、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の含有量が多い場合であっても、粉末状結合剤として結晶セルロースを多量に使用した場合のような特性変化が少ないため、保存中などに着色することがなく経時的安定性に優れている。
さらに、アミノ基を有する有効成分を含む顆粒を製造するに際して、褐色の着色が伴うメイラード反応を避けるために成形性が不十分なD−マンニトールを賦形剤に使用した場合でも、粉末状結合剤としてコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を使用することによって成形性が向上し、粒度が揃った顆粒を高収率で得ることができ、成形性の向上効果と、メイラード反応を回避し変色を抑制する効果との両立が可能になる。
また、このように特定の水分含量のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を使用して得られた顆粒から錠剤を製造した場合、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の含有量の増加に伴って錠剤硬度が高まるが、同時に崩壊時間が長くなる傾向がある。その場合には、粉末状結合剤としてのコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体とともに、結晶セルロース、粉末セルロースまたは低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの粉末から選択される一種以上のセルロース系粉末状結合剤を併用することにより、崩壊時間を短縮することができる。また、このようにセルロース系粉末状結合剤を併用することによって、崩壊時間は短縮しても、錠剤硬度は低下せず、むしろ向上することを本発明者らは見出した。よって、粉末状結合剤としてコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体とともにセルロース系粉末状結合剤を併用することによって、錠剤硬度が高く、しかも崩壊時間が適度に改善された錠剤を得ることができる。
さらに、アミノ基を有する有効成分を含む顆粒を製造するに際して、メイラード反応を避けるためにD−マンニトールを賦形剤に使用した場合、上述したように粉末状結合剤としてコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を使用することによって成形性が向上するが、その際、粉末状結合剤として、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の粉末に加えてセルロース系粉末結合剤を併用することによって、より一層成形性が向上して粒径の揃った顆粒を高収率で得ることができる。また、得られた顆粒を成形することによって、優れた錠剤硬度、崩壊時間の錠剤を得ることができる。
また、このようなセルロース系粉末結合剤は、顆粒における医薬品有効成分または食品用保健機能成分の含量が30質量%以上と高くなる場合や、それら有効成分の成形性が劣る場合に使用することによって、成形性を高める効果も発揮する。
セルロース系粉末状結合剤の使用量は、顆粒中10〜30質量%となる範囲が好ましい。30質量%を超えて使用すると、得られる顆粒の色の変化など経時的変化が生じる可能性があり、10質量%未満では、十分な添加効果を発現しない可能性がある。
このような製造方法(2)によれば、特定の水分含量のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用することによって、通常は微粒子を生じやすく、粒度が揃った顆粒を高収率で得られにくい乾式造粒法において、微粒子が少なく粒度が揃った顆粒を高収率で得ることができる。さらに、得られた顆粒を打錠用顆粒として用いることにより、従来得ることが困難であった実用上十分な錠剤硬度を発現し、崩壊時間、色などの経時的安定性も良好な錠剤を得ることができる。また、アミノ基を有する有効成分を含む顆粒を製造する場合に賦形剤としてD−マンニトールを使用しても、十分な成形性を確保できるため、成形性と色の経時的安定性とを両立できる。
従来、デンプンとしてはトウモロコシデンプンが添加剤成分として広く利用されているが、トウモロコシデンプンは結合性が十分ではないため結合剤として使用されることがなく、乳糖などと混合して賦形剤として使用されるのが常であった。そして、乾式造粒法で顆粒を製造する際には、別の粉末状結合剤を添加することを余儀なくされるものであった。しかしながら、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体は、トウモロコシデンプンとは異なり、水分含量を特定の範囲にコントロールして用いることで著しく結合性に優れ、単独でも粉末状結合剤として使用できるものである。
[製造方法(3)]
製造方法(3)においては、まず、例えば医薬品有効成分および/または食品用保健機能成分などの有効成分を含有する原料の粉体と、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体と、必要に応じて乳糖、白糖、D−マンニトール、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体以外のトウモロコシデンプンなどのデンプン、ヒドロキシプロピルスターチなどのデンプン誘導体などの賦形剤、カルメロースカルシウムなどの崩壊剤などの添加剤成分を加えて混合粉体とする。
ついで、公知の湿式造粒法により造粒する。湿式造粒法としては、破砕型造粒法、撹拌造粒法、流動層造粒法、遠心転動造粒法、遠心転動流動層造粒法などが例示できる。
例えば破砕型造粒法の場合、混合粉体に液状の結合剤を添加して造粒機で適当な大きさの軟塊を作り、乾燥機で乾燥することで顆粒が得られる。また、この際、大きな顆粒は砕かれる。他に撹拌造粒法、流動層造粒法、遠心転動造粒法、遠心転動流動層造粒法など、公知の湿式造粒法を適用してもよい。
これらいずれの造粒法においても、液状の結合剤として、水や有機溶媒などの溶媒がそのままで使用される場合や、これら溶媒に例えばヒドロキシプロピルセルロースやポリビニルピロリドンなどの結合剤成分を溶解した溶液が使用される。
ついで、得られた顆粒をその水分活性(aw)が0.4〜0.8になるように調湿する。すなわち、上述したように従来の一般の湿式顆粒圧縮法では、造粒された顆粒を乾燥工程で乾燥するため、コメデンプンおよび/ またはコメデンプン誘導体を粉末結合剤として使用したとしても、乾燥工程において顆粒中のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の水分含量が低下し、その結果、顆粒の圧縮成形性や結合性が低下してしまうと考えられる。よって、これらの性能を確保するためには、圧縮成形の前に、調湿により顆粒の水分含量を調整することが重要であると考えられる。
調湿方法としては、例えば、顆粒を一定の温度と湿度にコントロールされた恒温恒湿の雰囲気下に放置する方法、混合・撹拌装置または流動層に充填し、撹拌または流動させながら、これに水を噴霧したり、調湿した空気を供給したりする方法がある。調湿により望ましい水分にするためには、水分活性(aw)が0.4〜0.8になるようにコントロールするのがよい。水分活性は、例えばフロイント産業(株)製の商品名「EZ−100」など、市販されている水分活性測定装置により測定される。
水分活性が0.4未満では、圧縮成形で得られた錠剤が十分な硬度を有さず、0.8を超えると、顆粒の流動性が低下する、打錠時にスティッキングなどの打錠障害を起こすなどの問題がある。
なお、得られる錠剤の硬度を実用可能な程度に高くしたり、錠剤の質量偏差を望ましい範囲内にコントロールしたり、錠剤の含量均一性を高めたりするためには、顆粒状の賦形剤の粒度を特定の範囲に調整することが好ましく、そのためには、調湿の前後に顆粒を篩分けする篩い工程を実施し、平均粒子径で50〜300μmとすることが好ましい。
こうして調湿された顆粒は、滑沢剤や、必要に応じて添加される崩壊剤など、製造方法(1)の場合と同様に、錠剤の製造に一般的に使用される添加剤が加えられた後、単発打錠機、ロータリー打錠機など、臼と杵とを有する打錠機により圧縮成形され、錠剤とされる。好ましい錠剤の大きさや、好ましい圧縮圧は製造方法(1)の場合と同様である。
コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の適切な添加量は、錠剤の5質量%以上であることが好ましい。上限には特に制限はないが、一般的な錠剤の場合は好ましくは50質量%以下である。5質量%未満では、粉末状結合剤としての効果が不十分になる傾向がある。また、50質量%を超えると崩壊時間が長くなる傾向があり、一般的な錠剤の場合は不利になる。しかし、特に、徐放性製剤を得る目的にはこの性質は好適であり、50質量%を超えて添加してもよいし、さらにヒドロキシプロピルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどの徐放性の基剤と組み合わせて用いることも出来る。
このような製造方法(3)によれば、湿式造粒法で得られた顆粒の水分活性を適切に制御してから、これを圧縮成形する。よって、高い圧縮成形性が発現され、実用可能な錠剤硬度、崩壊時間を有する錠剤を打錠障害など起こさずに製造できる。また、得られた錠剤は、色の点などの経時的安定性にも優れている。
[製造方法(4)]
この製造方法(4)は、圧縮成形法により錠剤を成形する際に、賦形剤として、あらかじめ顆粒状に成形された賦形剤を使用する方法である。すなわち、乳糖、D−マンニトール、白糖などの公知の粉末状の賦形剤とコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体とを含む混合粉体を湿式造粒法で造粒し、得られた顆粒状のものを賦形剤とし、これと有効成分を含む他の粉体とを混合したものを圧縮成形する。
湿式造粒法の具体的方法や、その際に使用される液状の結合剤としては、製造方法(3)で例示したものと同様のものを適用できる。しかしながら、賦形剤を造粒するにあたって、ヒドロキシプロピルセルロースやポリビニルピロリドンなどの結合剤成分を含有する液状の結合剤を使用すると、品質管理上の理由から顆粒を組成分析する際に、その分析が困難となる場合が多い。よって、分析に影響を与えないように、液状の結合剤として、水や有機溶媒などの溶媒のみを用いる方法が好ましい。また、特に、粉末状の賦形剤として乳糖、D−マンニトール、白糖を用いた場合には、同じものを水に溶かした液を結合剤として用いる方法も好ましい。
例えば、湿式造粒法として、流動層造粒法を採用する場合には、流動層造粒コーティング装置(例えばフロイント産業(株)製、商品名:フローコーター)に、乳糖またはD−マンニトールの粉末とコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体との混合粉体を仕込み、容器内で流動空気を供給し、混合粉体を浮遊流動させながら、仕込んだ乳糖またはD−マンニトールの粉末と同じ物質を水溶液としてスプレーすることにより造粒でき、顆粒状の賦形剤が得られる。
湿式造粒法における粉末状の賦形剤とコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体との混合比率は、得られる顆粒状の賦形剤中、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体が好ましくは3〜60質量%、より好ましくは5〜50質量%となる比率である。コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体が3質量%未満では、成形性の改善効果が不十分であり、60質量%を超えると、得られる錠剤の崩壊が遅くなることがある。
ついで、得られた顆粒を製造方法(3)と同様の方法で調湿し、その水分活性(aw)が0.4〜0.8となるようにする。
なお、得られる錠剤の硬度を実用可能な程度に高くしたり、錠剤の質量偏差を望ましい範囲内にコントロールしたり、錠剤の含量均一性を高めたりするためには、顆粒状の賦形剤の粒度を特定の範囲に調整することが好ましく、そのためには、調湿の前後に顆粒を篩分けする篩い工程を実施し、平均粒子径で50〜300μmとすることが好ましい。
ついで、水分活性(aw)が0.4〜0.8とされた顆粒状の賦形剤と、他の粉体(有効成分を含有する原料の粉体)と、滑沢剤や、必要に応じて添加される崩壊剤など、製造方法(1)の場合と同様の錠剤の製造に一般的な添加剤とを混合し、得られた混合物を単発打錠機、ロータリー打錠機などの打錠機により圧縮成形し、錠剤とする。好ましい錠剤の大きさや、好ましい圧縮圧は製造方法(1)の場合と同様である。
このような製造方法(4)では、湿式造粒法で顆粒状の賦形剤を得て、さらにその水分活性を適切に制御してから使用する。このような顆粒状の賦形剤は圧縮成形性に非常に優れるため、これを使用することによって、粉末状結合剤を追加添加しなくても、実用可能な錠剤硬度、崩壊時間を有する錠剤を打錠障害など起こさずに製造できる。また、得られた錠剤は、色の点などの経時的安定性にも優れている。
以下本発明について実施例を示して具体的に説明する。
なお、下記実施例と、上述した製造方法(1)〜(4)との対応について、以下に示す。
実施例1〜7、実施例34〜36:製造方法(1)
実施例8〜24:製造方法(2)
実施例25、28〜33:製造方法(3)
実施例26および27:製造方法(4)
なお、顆粒および錠剤の物性評価は下記の方法にて行った。
顆粒硬度:硬度測定器GRANO(岡田精工社製)を使用して、先端チップ径3mmφ(先端チップ形状:平円形)、荷重200g、測定速度100μm/秒の測定条件で顆粒が破壊するときの荷重をロードセルで測定した。
錠剤硬度:錠剤硬度計SCHLEUNIGER 6D(フロイント産業社製)を用いて測定した。
錠剤崩壊時間:日本薬局方(第14改正)の崩壊試験法(試験液、水)に準拠して測定した。
錠剤の白色度および黄色度:色差計SZ−Σ90(日本電色工業社製)を用い、固体表面色を測定する方法に従った。
色差:色差計SZ−Σ90(日本電色工業社製)を使用して、JIS Z −8729およびZ−8730に準拠してL表色系に基づき色差ΔEabを測定した。なお測定値には、黄色系へ変色した場合、色差の値に「+」を表記し、青色系へ変色した場合、色差の値に「−」を表記することとした。
水分含量:日本薬局方(第14改正)「乾燥減量試験法」に準じて、105℃で6時間乾燥した後の乾燥減量を測定し、水分含量とした。
[実施例1および比較例1〜3]
ビタミンCは、医薬品や健康食品における食品用保健機能成分として使用されている有効成分である。ビタミンCを97質量%含有する顆粒で、直接打錠用の製品として販売されている「BASF武田株式会社製、商品名:ビタミンC顆粒−97」を用い、表1に示す処方に従って打錠試験を行った。
コメデンプンとしては、水分含量:12.2質量%のもの、トウモロコシデンプンとしては水分含量:12.4質量%のものを用いた。結晶セルロースは、「旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:セオラスPH−101」を用いた。硬化油としては、「フロイント産業株式会社製、商品名:ラブリワックス−101」を用いた。
実施例1および比較例1〜3は、ともに粉末状結合剤であるコメデンプンと結晶セルロースの性能比較、ともにデンプンであるコメデンプンとトウモロコシデンプンとの性能比較を目的として実施した。
具体的には、表1に示す組成の混合粉体1kgのうち、滑沢剤である硬化油以外の成分を、V字型混合機V−10((株)徳寿製作所)により毎分40回転で20分間混合を行った。ついで、これに硬化油を加えて5分間混合を行い、打錠用混合粉体を得た。
そして、以下のような打錠条件で錠剤を得て、それについて、各種測定を実施した。測定結果を表2に示す。
Figure 2006176496
打錠条件は以下の通りである。
打錠機:ロータリー打錠機、HT−P15A−III型(畑鉄工所社製)
打錠圧:10kN、オープンフィードシュー使用
錠剤:径8mm、曲率半径6.5mmの円形錠、質量は1錠当たり180mg
Figure 2006176496
実施例1は製造方法(1)に基づくもので、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した錠剤の製造例である。表2に示すように、実施例1の錠剤の錠剤硬度と崩壊時間(10分以内)は、いずれも満足できるものであった。
比較例1は粉末状結合剤として結晶セルロースを用いた例であるが、錠剤硬度は実施例1とほぼ同一であるものの、崩壊時間は著しく長く、52分を要した。これは、結晶セルロースが、滑沢剤として使用された硬化油の影響を特異的に受けた結果であると考えられる。
比較例3は粉末結合剤としてトウモロコシデンプンを用いた例であるが、錠剤硬度はコメデンプン使用の場合に比べ著しく劣るものであった。
このように、コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した実施例1による錠剤が、総合的に最も優れた性質を示した。なお、比較例2は粉末状結合剤を加えずに打錠した例であるが、錠剤硬度は53Nと低く、崩壊時間も実施例1の錠剤よりも長いものであった。
また、それぞれの錠剤をガラス瓶に入れ、ふたをしない状態で40℃および相対湿度75%の恒温恒湿器に入れ、4週間放置し、放置前後における錠剤鏡面の白色度を測定した。その結果、放置前と後の白色度はそれぞれ、実施例1:98.4および90.8、比較例1:97.9および84.3、比較例2:96.6および89.3、比較例3:98.1および90.1であり、結晶セルロースを成分に含んだ比較例1の錠剤における着色変化が最も大きかった。
[実施例2〜7および比較例4〜6]
実施例1で使用したコメデンプンを所定時間80℃で乾燥、または、40℃および相対湿度80%の恒温恒湿器中に放置することにより、表3に示す各種水分含量のコメデンプンを得た。
各水分含量のコメデンプンを用いた以外は、実施例1と同じ組成の50gの混合粉体を得た。ただし、混合は次のように行った。始めに、ポリエチレン袋中で硬化油を加えない混合粉体を十分に均一になるように混合し、次いで硬化油を加えて30秒間振り混ぜた。
これら混合粉体を用いた打錠試験(モデル実験)として、油圧プレス式成形機を用いて、圧縮圧20kNの条件下、直径20mm、1錠当たり質量が2.0gの平型の錠剤を成形し、得られた錠剤の硬度を測定した。試験結果を表3に示す。
Figure 2006176496
水分含量が14.4質量%のコメデンプンを用いた比較例4では、成形後に打錠機の臼や杵に粉末の付着が認められ、次に成形するときにそれを取り除くことが必要であった。
また、上記結果に示されるように、コメデンプンの水分含量は錠剤の硬度に影響し、水分含量が低くなるに従って硬度は低くなる傾向があった。実施例1の処方においてコメデンプンを加えず、ビタミンC顆粒−97:100.0質量部と硬化油:3.0質量部からなる混合物を同様に圧縮成形したものでは、硬度が56Nであった。この結果を照合すると、水分含量が6質量%のコメデンプンを使用した比較例5および6では、錠剤硬度は著しく低く、コメデンプンが結合剤として作用していないことが示唆された。
[実施例8および比較例7]
表4に示す組成の混合粉体2kgのうち、ステアリン酸マグネシウム以外の成分を実施例1の条件に準じて20分間混合し、次いでステアリン酸マグネシウムを加えて5分間混合し、造粒用混合粉体を得た。
この混合粉体をローラーコンパクターTF−mini(フロイント産業(株)製)を用いたロール圧縮成形により4MPa(圧力シリンダー・ゲージ圧)の圧力で圧縮成形し、得られたフレーク部分をスクリーン付き整粒機で粗砕し、さらにロールグラニュレーターで整粒して打錠用顆粒を得た。
さらに得られた顆粒を用いて、実施例1と同じ打錠条件により錠剤を成形した。
Figure 2006176496
このような乾式造粒法により得られた顆粒を日本薬局方(第14改正)、粉体粒度測定法、第2法ふるい分け法に準拠し、目開き200号(75μm)の篩いを用いて篩分けし、篩いを通過した微粒子を75μm pass品とした。顆粒の篩分75μm pass品の含有率は、比較例7で30質量%であるのに対して、実施例8では25質量%となった。
また、得られた顆粒の硬度測定を行った結果、平均値で比較例7では25gであるのに対して、実施例8では45gとなった。
さらに、得られた錠剤の硬度と、日本薬局方に従った崩壊試験法による崩壊時間を試験した結果、平均値で比較例7では31Nおよび65秒であるのに対して、実施例8では52Nおよび185秒であった。
比較例7の組成は、滑沢剤を除いて乳糖とトウモロコシデンプンが7:3の混合物から成るものである。これに対して、実施例8の組成は乳糖とトウモロコシデンプンの混合物のうち20質量%をコメデンプンの粉末で置き換えたものである。
以上の結果から、実施例8では、微粉の比率が低く、硬度の高い重質な顆粒を高収率で得ることができた。また、実施例8による錠剤はやや崩壊時間は長くなったが、錠剤硬度は比較例7に対して大きく改善されていた。
[実施例9および比較例8]
実施例8に示した条件に準じ、表5に示す組成の混合粉体を用いて打錠用顆粒の乾式造粒を行い、得られた顆粒について顆粒の硬度測定を行った。さらにこれらの顆粒を用いて、実施例8と同じ打錠条件により錠剤を成形した。
Figure 2006176496
このような乾式造粒法により得られた顆粒の篩分75μm pass品の含有率は、比較例8では21質量%であるのに対して、実施例9では17質量%となった。また顆粒硬度は、比較例8では28gであるのに対して、実施例9では44gとなった。錠剤の硬度および崩壊時間については、平均値で比較例8では42Nおよび49秒であるのに対して、実施例9では77Nおよび177秒であった。
実施例9によるものは比較例8のトウモロコシデンプンをコメデンプンに置き換えたものであるが、以上の結果から、実施例9では、顆粒製造時の微粒子の含有率が低下し、比較例8に対して顆粒硬度の点で改善が認められた。さらに実施例9による錠剤は、比較例8に対して錠剤硬度についても改善され、実用上、十分に使用できる値であった。
[実施例10〜15および比較例9〜11]
実施例8に使用したコメデンプンを、所定時間80℃で乾燥、または、40℃および相対湿度80%の恒温恒湿器中に放置することにより、表6に示す各種の水分含量を有する試料を得た。各水分含量のコメデンプンを用いた以外は、実施例8と同じ組成の200gの混合粉体を得た。ただし、混合は、次のように行った。始めに、ポリエチレン袋中でステアリン酸マグネシウムを加えない混合粉体を十分に均一になるように混合し、次いでステアリン酸マグネシウムを加えて30秒間振り混ぜた。
これら混合粉体を、ローラーコンパクターTF−LABO(フロイント産業(株)製)を用いたロール圧縮成形により4MPa(圧力シリンダー・ゲージ圧)の圧力で圧縮成形し、得られたフレーク部分をスクリーン付き整粒機で整粒し、顆粒を得た。
これら顆粒を用いた打錠試験(モデル実験)として、油圧プレス式成形機を用いて圧縮圧20kNの条件下、直径20mm、1錠当たり質量が2.0gの平型の錠剤を成形し、得られた錠剤の硬度を測定した。試験結果を表6に示す。
Figure 2006176496
水分含量が14.2質量%のコメデンプンを用いた比較例9では、混合粉体の流動性が悪く、乾式造粒の際にホッパーからの供給がスムースではなかった。また上記結果に示されるように、コメデンプンの水分含量は錠剤の硬度に影響し、水分含量が低くなるに従って硬度は低くなり、水分含量が6質量%を下回る比較例10および11では錠剤硬度は著しく低くなり、実用に供することはできないことが示唆された。
[実施例16および比較例12〜14]
表7の組成、実施例10の条件で乾式造粒を行った。得られた顆粒を用いた打錠試験(モデル実験)として、油圧プレス式成形機を用い、圧縮圧20kNの条件下、直径10mm、1錠当たりの質量が300mgの平型の錠剤を成形した。さらに、得られた錠剤をガラス瓶に充填して密栓し、50℃の恒温器内に1週間放置した。この加速試験前後の錠剤について各種物性試験を行った。結果を表8に示す。
Figure 2006176496
Figure 2006176496
表8の結果より、比較例13の錠剤は、結晶セルロースを使用していない比較例12の錠剤と比較して錠剤硬度が向上している。ところが、比較例13の錠剤は、50℃における加速試験後には崩壊時間が遅延し、さらに色も黄色方向への変化が大きい。このことから、比較例13は経時的安定性が低いと予想できる。また、比較例14の錠剤は、比較例12の錠剤に比較して崩壊時間が顕著に長くなっているため、崩壊性の改善等が必要である。
実施例16のものは、結晶セルロースを結合剤に用いた比較例13のものと比較して同等の錠剤硬度を示し、さらに、50℃における加速試験の前後でも、物性の変化は認められなかった。これらの結果から、実施例16の錠剤は、他の結合剤を用いた錠剤と比較して経時的安定性に優れており、実用に適していると言える。
[実施例17および比較例15]
表9に示す組成、実施例10の条件で打錠用顆粒の乾式造粒および錠剤の成形を行った。そして、得られた錠剤を40℃および75%RHの雰囲気で4週間放置し、放置前後における錠剤の硬度および色差の測定を行った。
Figure 2006176496
硬度測定の結果、比較例15は放置前11.5N、放置後4.1Nであるのに対して、実施例17では放置前18.6N、放置後11.2Nとなった。また放置前後における錠剤の色差は、比較例15で+11.4であるのに対して、実施例17では+0.7となった。比較例15の組成は、錠剤硬度を高くする目的で結晶セルロースの含有量を著しく上げたものであるが、錠剤硬度および錠剤への着色の経時的な変化は大きく、実用に供するのは困難であることが示唆された。一方、実施例17の組成は、比較例15の粉末状結合剤として用いている結晶セルロースの一部をコメデンプンで置き換えたものであるが、多少の錠剤硬度の低下が認められたものの、錠剤の色調の変化は極めて小さく、経時的に安定で実用に適していると言える。
[実施例18および比較例16]
表10に示す組成、実施例8の条件に従って打錠用顆粒の乾式造粒および錠剤の成形を行った。
Figure 2006176496
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、比較例16は48Nおよび2分20秒であるのに対して、実施例18では121Nおよび2分30秒であり、実施例18によるものは比較例16に対して錠剤硬度の点で著しい改善が認められた。また、一般に成形性が低いとされているマンニトールを含有した実施例18の組成についても、マンニトールを含まず乳糖およびトウモロコシデンプンを使用した比較例16の組成と同等の崩壊時間を示した。
また、それぞれの錠剤を50mLのガラス瓶に充填し、50℃の恒温器に入れて24時間放置した。これらの錠剤について加熱前後での錠剤の色を測定した結果、加熱前後における色差は比較例16で+12.3、実施例18で+4.1となった。実施例18と比較して比較例16の方が色調の変化度が大きく、メイラード反応により着色していることが明らかであった。よって、実施例16によるものは、加速試験における変化が少なく、経時的安定性に優れていた。
[実施例19〜22]
ビタミンCの粉末50質量%、実施例8と同じコメデンプンの粉末29.5質量%、ステアリン酸マグネシウム0.5質量%および残り20質量%を表10に示す成分とし、実施例10に示される条件に従って乾式造粒および錠剤の成形を行った。各例での錠剤硬度および崩壊時間を表11に示す。
Figure 2006176496
上記結果より、粉末状結合剤としてコメデンプンを単独で使用した場合よりも、その一部を結晶セルロース、粉末セルロースまたは低置換度ヒドロキシプロピルセルロースで置き換えることにより、錠剤の硬度は高くなり、崩壊時間は短くなることが明らかになった。
[実施例23および比較例17]
表12に示す組成、実施例8の条件に従って打錠用顆粒の乾式造粒および錠剤の成形を行った。
Figure 2006176496
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、比較例17は74Nおよび70秒であるのに対して、実施例23が139Nおよび4分10秒となった。実施例23によるものは、比較例17のトウモロコシデンプンをコメデンプンに置き換えた組成であるが、比較例17に対して錠剤硬度の点で大きな改善が認められた。
[実施例24]
表13に示す組成、実施例8の条件に従って打錠用顆粒の乾式造粒を行い、得られた顆粒93質量部に硬化油6質量部と二酸化ケイ素1質量部を加え、実施例8の条件に従って錠剤の成形を行った。なお、二酸化ケイ素としては、フロイント産業(株)製 商品名:アドソリダー101を使用した。
Figure 2006176496
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は103Nおよび19分であり、実用可能なものであった。
[実施例25および比較例18〜19]
医薬品有効成分としてアミノフィリンを、賦形剤にD−マンニトールとしてロケット(ROQUETTE)社製、商品名:パーリトール(PEARLITOL)35を用い、表14の処方に従い、湿式顆粒圧縮法を適用した錠剤を調製した。造粒法としては破砕型造粒法を適用した。そして、粉末状結合剤としてコメデンプンまたは結晶セルロースを用いた場合と、これらを用いない場合とを比較した。なお、アミノフィリンは強心薬であり、多くの物質と配合変化があることが知られている物質である。
具体的には、滑沢剤であるステアリン酸マグネシウム以外の成分を混合し、その2kgを5Lのニーダーに仕込み、それぞれに水を加えて混練した。混練したものを取り出し、スクリーン型破砕型造粒機(岡田精鋼(株)社製、商品名:ニュースピードミル)に口径が1.2mmのスクリーンを装着してこれを破砕し、さらに50℃の乾燥機中で乾燥し、500μmの篩いで篩い分け、顆粒を得た。
実施例25の場合は、得られた顆粒を30℃、相対湿度60%の恒温恒湿器に16時間入れ調湿し、水分活性(aw)を0.63にした。水分活性(aw)の測定には、フロイント産業(株)製、商品名:EZ-100を用いた。
得られた顆粒にステアリン酸マグネシウムを混合し、下記条件にて打錠を行った。
打錠条件は以下の通りである。
打錠機:単式打錠機、FY−SS−7(富士薬品機械(株))
打錠圧:10kN
錠剤:径10mmの平形錠、質量は1錠当たり350mg
Figure 2006176496
Figure 2006176496
粉末状結合剤が使用されなかった比較例19では、打錠試験において、打錠開始からまもなくスティッキングの打錠障害が見られ、打錠の継続は困難であった。また、初期に得られた錠剤の硬度は著しく低く、実用的なレベルではなかった。
比較例18で得られた錠剤は、硬度および崩壊性に関しては実施例25に劣らないものであったが、わずかに黄色がかった着色があり、さらに40℃、相対湿度75%RH下に放置した結果、その着色は著しく増大した。この現象はアミノフィリンと結晶セルロースの相互作用に起因すると考えられる。
[実施例26および比較例20]
顆粒状に成形され、水分活性(aw)が調整された賦形剤の有用性を示すために、次のような実施例26と比較例20を実施した。
グレード200MのDMV社製乳糖1kgを3kgの温水(70℃)に溶かし、25質量%濃度の溶液を得た。同じ乳糖3.5kgと実施例1のコメデンプン0.5kgを流動層造粒コーティング装置(フロイント産業(株)製、商品名:フローコーターFLO−5)に仕込み、前記溶液を全量スプレーすることにより造粒を行い、さらに目開き500μmの篩いで篩い分け、平均粒子径98μmの顆粒を得た。
得られた顆粒をステンレス製バットに入れ、30℃、相対湿度60%の恒温恒湿器に24時間入れ調湿し、水分活性(aw)が0.58になったものを、打錠機で圧縮成形して錠剤を得た。具体的には、この顆粒状の賦形剤99.3質量部にステアリン酸マグネシウム0.7質量部を混合し、実施例1と同じ条件で打錠を行った。
得られた錠剤の物性を試験したところ、錠剤硬度は125Nであり、崩壊時間は57秒であった。対照として(比較例20)DMV社製の噴霧乾燥法により製造されている直接打錠用乳糖DCL−11を同じ条件で打錠したところ、錠剤硬度は82N、崩壊時間は12分40秒であった。
このように実施例26で得られた錠剤の方が硬度は高く、崩壊時間は短かった。よって、実施例26の顆粒状の賦形剤は、いわゆる直接打錠用の賦形剤として優れていることが示された。
[実施例27および比較例21]
顆粒状に成形され、水分活性(aw)が調整された賦形剤の有用性を示すために、次のような実施例27と比較例21を実施した。
実施例25で使用したものと同じD−マンニトールとコメデンプンが質量比8:2で混合された混合粉体2kgを、実施例25と同様の破砕型造粒法により造粒し、乾燥、篩い分けも同様に行って顆粒(平均粒子径143μm)を得た。
この顆粒をバットに入れ、40℃、相対湿度70%の恒温恒湿器に6時間入れて調湿し、水分活性(aw)が0.55になったものを、打錠機で圧縮成形して錠剤を得た。具体的には、この顆粒状の賦形剤99.0質量部にステアリン酸マグネシウム1.0質量部を混合し、実施例25と同じ条件で打錠を行った。
得られた錠剤の物性を試験したところ、錠剤硬度は93Nであり、崩壊時間は108秒であった。対照(比較例21)としてロケット(ROQUETTE)社製の噴霧乾燥法により製造されているといわれる直接打錠用D-マンニトール200SDDを同じ条件で打錠したところ、錠剤硬度は76N、崩壊時間は198秒であった。
このように実施例27で得られた錠剤の方が硬度は高く、崩壊時間は短かった。よって、実施例27の顆粒状の賦形剤は、いわゆる直接打錠用の賦形剤として優れていることが示された。
[実施例28〜33および比較例22〜24]
医薬品有効成分として、あらかじめ目開き75μmの篩いで篩い分けした解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェンの粉末30質量部を用い、これに実施例1で使用したものと同じコメデンプン20質量部と、乳糖50質量部とを混合し、混合粉体を得た。
混合粉体200gを乳鉢に入れ、水を加えて混練し、混練物を得た。この混練物を500μmの篩いで篩い分け、50℃で5時間乾燥し、さらに目開き250μmの篩いを通し、平均粒径が138μmの顆粒を得た。得られた顆粒を40℃、相対湿度75%RHまたは40℃、相対湿度90%RHの恒温恒湿機に入れ、適当な時間が経過した後に取り出し、各種の水分活性(aw)を持つ試料を得た。
このように調湿された試料99.5質量部とステアリン酸マグネシウム0.5質量部を混合し、これを、油圧プレス式成形器を用い、圧縮圧10kNの条件で圧縮成形する直接打錠法により、直径10mm、1錠剤当たり400mgの錠剤を得た。得られた錠剤の水分活性および錠剤の硬度を表16に示した。
Figure 2006176496
表16から明らかなように、水分活性(aw)が0.4未満では、得られる錠剤の硬度が著しく低く、実用は困難と考えられた。また、比較例22で得られた水分活性(aw)0.83の試料はしっとり感があり、流動性を欠くものであった。
これらの結果から、製造方法(3)において顆粒を調湿する際には、水分活性(aw)が0.4〜0.8の範囲とすることが適切であると示唆された。
[実施例34]
健康食品に用いられるラクトフェリン20質量部と、粉末状結合剤として、実施例24と表13に記載されたアセチル化モチゴメコメデンプン20質量部と、造粒乳糖(フロイント産業(株)製、商品名 ダイラクトーズ-S)55質量部と、カルメロースカルシウム2質量部と、ショ糖脂肪酸エステル3質量部との混合粉体を、実施例1のロータリー打錠機を用いて75kNの打錠圧で打錠し、径8mm、1錠当たり200mgの錠剤を得た。
この錠剤の硬度は115Nであり、崩壊時間は6分20秒であり、実用可能な性質を備えていた。
[実施例35〜36および比較例25]
表17に示す組成の混合粉体を打錠機で圧縮成形する直接打錠法で錠剤を製造した。
実施例35では、加熱処理をしていない実施例1で使用したものと同じコメデンプン(水分含量12.2質量%)を粉末状結合剤として使用した。
実施例36では、実施例1で使用したものと同じコメデンプンを加熱処理した後、水分含量を調整し、粉末状結合剤として使用した。具体的には、コメデンプン4kgを流動層造粒コーティング装置(フロイント産業(株)製、商品名:フローコーターFLO−5)に仕込み、吸気部温度140℃で60分間流動させ、加熱処理を行った。ついで、吸気部温度30℃で水をスプレーしながら、60分間流動させる調湿操作を行い、水分含量を調整した。なお、加熱処理においては、加熱温度に相当する流動層部分の温度は、流動開始時には67℃であったが、12分後には80℃となり、その後、徐々に上昇して60分後には107℃に達した。よって、加熱処理においては、80℃以上の温度で48分間維持されたこととなる。また、調湿操作では、合計830mlの水をスプレーした。こうして、加熱処理された後に調湿操作されたコメデンプンの水分含量は、12.4質量%であった。
比較例25では、比較例1で使用したものと同じ結晶セルロースを用いた。
なお、D−マンニトール造粒物としては、直接打錠用の賦形剤であるロケット(ROQUETTE)社製、商品名:PEARLITOL 200SDを使用した。
また、有効成分としては、抗ヒスタミン剤であるマレイン酸クロルフェニラミンを使用した。
Figure 2006176496
打錠条件は以下の通りである。
打錠機:ロータリー打錠機
打錠圧:7kN
錠剤:質量は1錠当たり200mg
Figure 2006176496
表18から、実施例36の錠剤の硬度が実施例35の錠剤よりもやや高く、加熱処理によりコメデンプンの成形性が向上することが示唆された。比較例25の錠剤の硬度は、実施例35の錠剤と同程度であった。
錠剤の崩壊時間は、各例間であまり差がなかった。これは、加熱処理したコメデンプンを使用すると、崩壊時間に影響を与えることなく、錠剤硬度を高められることを示している。
また、各例で得られた錠剤をそれぞれガラス瓶に入れ、密栓をした状態で50℃の恒温器に入れ、4週間放置し、放置前後における錠剤表面の黄色度を比較したところ、結晶セルロースを含んだ比較例25の錠剤で変化が大きかった。これは、結晶セルロースの着色変化に由来すると考えられる。

Claims (20)

  1. 水分含量6〜14質量%のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した圧縮成形法により、錠剤を成形することを特徴とする錠剤の製造方法。
  2. 前記コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の水分含量が、9〜14質量%であることを特徴とする請求項1に記載された錠剤の製造方法。
  3. 前記錠剤が、医薬品有効成分および/または食品用保健機能を有する成分を含有することを特徴とする請求項1または2に記載された錠剤の製造方法。
  4. 前記錠剤中のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の含有量が、5質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載された錠剤の製造方法。
  5. 前記コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体は、加熱処理されてから前記水分含量に調整されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載された錠剤の製造方法。
  6. 水分含量6〜14質量%のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した乾式造粒法により、粉体を造粒することを特徴とする顆粒の製造方法。
  7. 前記コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の水分含量が、9〜14質量%であることを特徴とする請求項6に記載された顆粒の製造方法。
  8. 前記顆粒が、医薬品有効成分および/または食品用保健機能を有する成分を含有することを特徴とする請求項6または7に記載された顆粒の製造方法。
  9. 前記顆粒中のコメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体の含有量が、10質量%以上であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載された顆粒の製造方法。
  10. 結晶セルロース、粉末セルロースまたは低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの粉末からなる群から選択される少なくとも1種以上のセルロース系粉末状結合剤をさらに使用することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載された顆粒の製造方法。
  11. 前記顆粒中の前記セルロース系粉末状結合剤の含有量が、10〜30質量%であることを特徴とする請求項10に記載の顆粒の製法。
  12. D−マンニトールを賦形剤として使用することを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載された顆粒の製造方法。
  13. 前記コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体は、加熱処理されてから前記水分含量に調整されたものであることを特徴とする請求項6乃至12のいずれか1項に記載された顆粒の製造方法。
  14. 請求項6乃至13のいずれか1項に記載された顆粒の製造方法により製造されたことを特徴とする顆粒。
  15. 請求項14に記載の顆粒を含有することを特徴とする錠剤。
  16. コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した湿式造粒法により粉体を造粒し、該造粒で得られた顆粒をその水分活性(aw)が0.4〜0.8になるように調湿してから、圧縮成形することを特徴とする錠剤の製造方法。
  17. 前記錠剤が、医薬品有効成分および/または食品用保健機能を有する成分を含有することを特徴とする請求項16に記載された錠剤の製造方法。
  18. コメデンプンおよび/またはコメデンプン誘導体を粉末状結合剤として使用した湿式造粒法により粉末状の賦形剤を造粒し、該造粒で得られた顆粒状の賦形剤をその水分活性(aw)が0.4〜0.8になるように調湿してから他の粉体と混合し、圧縮成形することを特徴とする錠剤の製造方法。
  19. 前記錠剤が、医薬品有効成分および/または食品用保健機能を有する成分を含有することを特徴とする請求項18に記載された錠剤の製造方法。
  20. 請求項1乃至5および請求項16乃至19のいずれか1項に記載された錠剤の製造方法により製造されたことを特徴とする錠剤。

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