JP7028927B2 - 顆粒の静電量を低減させる方法 - Google Patents
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Description
また、従来では、崩壊性を良好に保ちながら、錠剤の保存安定性を向上できるセルロース粉末は知られていない。
[1] 顆粒の静電量を低減させる方法であって、
活性成分にセルロース粉末を添加して造粒を行い、顆粒を形成させることを含み、
前記セルロース粉末の平均粒子径が17μm以上58μm以下であり、
前記セルロース粉末の4%硫酸を用いた121℃及び1時間の硫酸加水分解反応による加水分解物は、前記加水分解物中のグルコース、マンノース及びキシロースの合計質量に対するグルコースの含有量が87質量%以上99.3質量%以下であり、
前記加水分解物中のグルコース、マンノース及びキシロースの合計質量に対するマンノースの含有量が0.4質量%以上5.0質量%以下であり、
前記加水分解物中のグルコース、マンノース及びキシロースの合計質量に対するキシロースの含有量が1.6質量%以上8.0質量%以下であり、
前記マンノースの含有量及び前記キシロースの含有量は、高速液体クロマトグラフ法により測定されたものであり、
前記活性成分の含有量は、前記顆粒の総質量に対して50質量%以上99質量%以下であり、
前記活性成分の摩擦帯電量が+0.1nC/g以上、又は-0.1nC/g以下である、方法。
[2] 前記造粒が湿式造粒法で行われる、[1]に記載の方法。
セルロース粉末とは、一般に結晶セルロース、粉末セルロース等と称されるものであり、医薬品添加剤又は食品添加物として好適に用いられるものである。セルロース粉末として好ましくは、結晶セルロースである。結晶セルロースとしては、たとえば、食品添加物公定書第8版に記載された微結晶セルロースや、日本薬局方(第17改定)に記載に記載された結晶セルロース、米国薬局方、欧州薬局方などに記載された結晶セルロースが知られている。
平均粒子径が上記上限値以下であることにより、薬物等の活性成分と均一に混合されやすく、錠剤としたときの崩壊性がより良好になる。一方、平均粒子径が上記下限値以上であることにより、取り扱い性がより良好になる。
本実施形態の錠剤に含まれる多糖類の構成糖は、錠剤から多糖類を回収した後、当該多糖類を酸により加水分解し、得られた加水分解物を、高速液体クロマトグラフ法を用いて測定することで検出することができる。錠剤から多糖類を回収する方法としては、例えば、セルロース、ヘミセルロースが溶けない溶媒(アセトン、エタノール、冷水など)で錠剤を洗浄し、残渣を回収することが挙げられる。
機種:LC-20AD(島津製作所)
検出器:蛍光分光光度計RF-20Axs(島津製作所)、蛍光励起波長320nm、蛍光測定波長430nm
カラム:TSKgel SUGAR AXI、φ4.6mm×150mm(東ソー)
カラム温度:60℃
移動相:0.5mol/Lホウ酸緩衝液(pH8.7)、0.4mL/min
注入量:20μL
ポストカラム:反応液1w/v%のL-アルギニン溶液、反応液流量0.7mL/min、反応温度150℃
マンノースの含有量が上記下限値以上であることで、得られる顆粒の静電量をより低くすることができ、また錠剤の崩壊性がより良好になる傾向がある。一方で、マンノースの含有量が上記上限値以下であることで、錠剤中の活性成分の均一性がより良好になる傾向がある。また、錠剤の保存安定性がより良好になる傾向がある。
また、前記加水分解物中のグルコース、マンノース及びキシロースの合計質量に対するキシロースの含有量が0.5質量%以上であり、0.5質量%以上8.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上7.0質量%以下がより好ましく、1.3質量%以上6.5質量%以下がさらに好ましく、1.6質量%以上6.3質量%以下が特に好ましい。
キシロースの含有量が上記下限値以上であることで、原薬回収率により優れる錠剤が得られる。一方で、キシロースの含有量が上記上限値以下であることで、錠剤中の活性成分の均一性がより良好になる傾向がある。また、錠剤の崩壊性がより良好になる傾向がある。一方で、キシロースの含有量が上記上限値以下であることで、錠剤の保存安定性がより良好になる傾向がある。
マンノース及びキシロースの合計含有量が上記下限値以上であることで、錠剤の崩壊性をより良好に保ちながら、原薬回収率により優れる錠剤が得られる。一方、マンノース及びキシロースの合計含有量が上記上限値以下であることで、錠剤中の活性成分の均一性がより良好になる傾向がある。また、錠剤の保存安定性がより良好になる傾向がある。
キシロース/マンノースが上記下限値以上であることで、崩壊性により優れる錠剤が得られる傾向があり、一方、上記上限値以下であることで、原薬回収率により優れる錠剤が得られる傾向がある。また、錠剤の保存安定性がより良好になる傾向がある。
ゆるみ嵩密度は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
かため嵩密度は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
圧縮度は、後述する実施例に記載の方法を用いて算出することができる。
なお、一次粒子とは単位粒子であり、一次粒子が凝集したものを二次粒子(aggregate,agglomerate)という。二次粒子は水中で分散させると、凝集が解け、一次粒子に戻すことができる。
一次粒子相当の平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
アスペクト比(L/D)は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
一方、安息角の上限としては、特に限定されないが、理論上は90°未満である。安息角は粉体の分野で一般的に用いられる流動性の指標であり、安息角が低いほど流動性に優れるものであり、薬効成分や他の成分と均一に混合しやすくなる。粉体回収量と流動性のバランスおよび崩壊性と流動性のバランスの観点から、安息角の上限値は80°が好ましく、70°がより好ましく、60°がさらに好ましい。
以下に本実施形態のセルロース粉末の製造方法について記述する。
本実施形態のセルロース粉末は、例えば、加水分解処理された天然セルロース系物質を適当な媒体に分散してセルロース水分散液を得る工程、該水分散液を乾燥する工程を含むことにより得られる。該セルロース水分散液の固形分濃度は特に限定されるものではなく、例えば、1質量%以上30質量%以下とすることができる。この場合、加水分解処理により得られる加水分解反応溶液から、加水分解処理されたセルロース系物質を含む固形分を単離し、別途これを適当な媒体に分散させて調製した分散液を乾燥してもよい。また、同加水分解溶液がそのままの状態で、セルロース分散液を形成している場合はこの分散液を直接乾燥することもできる。
加水分解の進行度は、攪拌機のモーター動力(P:単位W)と撹拌容量(L:単位L)を調整することで制御できる。例えば、下記式で表されるP/Vを調整することで、最終的に得られるセルロース粒子の平均粒子径を200μm以下に制御することが可能である。
前記の噴霧乾燥の際には、分散液の表面張力を下げる目的で、微量の水溶性高分子、界面活性剤を添加してもよく、媒体の気化速度を促進させる目的で分散液に発泡剤又はガスを添加してもよい。
本実施形態のセルロース粉末は、活性成分を含む組成物に配合することで、崩壊性を良好に保ちながら、原薬回収率に優れる錠剤が得られる。
<錠剤>
本実施形態の錠剤中の多糖類の含有量は、錠剤の総質量に対して1質量%以上49質量%以下であり、3質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量以下がより好ましく、7質量%以上17質量%以下がさらに好ましい。
多糖類の含有量が上記範囲内であることで、本実施形態の錠剤は崩壊性を良好に保ちながら、保存安定性に優れる。
本実施形態の錠剤中の薬効成分の含有量は、錠剤の総質量に対して、50質量%以上99質量%以下であり、50質量%以上95質量%以下が好ましい。本実施形態の錠剤は、薬効成分を50質量%以上と多く含むが、上記多糖類を含むことで、崩壊性を良好に保ちながら、保存安定性に優れる。
本明細書において、活性成分とは、混合粉体、成形物、加工物等に対して、医薬品、健康食品、食品、工業分野等で目的とする機能や効果を発揮させるために添加するものをいう。例えば、医薬品分野における活性成分は、医薬品薬効成分である。
本実施形態の錠剤に含まれる活性成分としては、本発明の効果を顕著に奏することができることから、帯電性の高い活性成分が好ましい。具体的には、摩擦帯電量が+0.1nC/g以上、又は、-0.1nC/g以下であることが好ましく、+0.5nC/g以上、又は、-0.5nC/g以下であることがより好ましく、1.0nC/g以上、又は、-1.0nC/g以下であることがさらに好ましい。なお、活性成分の摩擦帯電量は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
以下に、本実施形態の錠剤に含まれる活性成分として好適なものを例示する。
水難溶性で固体状の活性成分としては、例えば、アセトアミノフェン、イブプロフェン、安息香酸、エテンザミド、カフェイン、カンフル、キニーネ、グルコン酸カルシウム、ジメチルカプロール、スルフアミン、テオフィリン、テオプロミン、リボフラビン、メフェネシン、フェノバービタル、アミノフィリン、チオアセタゾン、クエルセチン、ルチン、サリチル酸、テオフィリンナトリウム塩、ピラピタール、塩酸キニーネ、イルガピリン、ジキトキシン、グリセオフルビン、フェナセチン等の解熱鎮痛薬、神経系医薬、鎮静催眠薬、筋弛緩剤、血圧硬化剤、抗ヒスタミン剤等;アセチルスピラマイシン、アンピシリン、エリスロマイシン、キサタマイシン、クロラムフェニコール、トリアセチルオレアンドマイシン、ナイスタチン、硫酸コリスチン等の抗生物質;メチルテストステロン、メチルアンドロステトロンジオール、プロゲステロン、エストラジオールベンゾエイト、エチニレストラジオール、デオキシコルチコステロン・アセテート、コーチゾンアセテート、ハイドロコーチゾン、ハイドロコーチゾンアセテート、ブレドニゾロン等のステロイドホルモン剤;ジエンストロール、ヘキサストロール、ジエチルスチルベステロール、ジエチルスチルベステロールジブロヒオネイト、クロロトリアニセン等の非ステロイド系卵黄ホルモン剤;その他脂溶性ビタミン類等の、「日本薬局方」、「局外基」、「USP」、「NF」、「EP」に記載の医薬品薬効成分等を挙げることができる。前記から選ばれる1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。水難溶性であれば、昇華性、表面極性の程度にかかわらず、本実施形態の錠剤に活性成分として配合することで、本発明の効果が得られるものである。
本実施形態の錠剤は、前記のセルロース粉末及び前記の活性成分に加えて、さらに他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤流動化剤、滑沢剤、矯味剤等が挙げられる。
本実施形態の錠剤では、上記多糖類を用いることで、崩壊剤の含有量をより低減することができ、崩壊性をより良好に保ちながら、保存安定性により優れる錠剤が得られる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等の「医薬品添加物事典2016」(薬事日報社(株)発行)に滑沢剤として分類されるものを挙げることができる。前記から選ばれる1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、l-メントール等の「医薬品添加物事典2016」(薬事日報社(株)発行)に矯味剤として分類されるものを挙げることができる。前記から選ばれる1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、リボフラビン等の「医薬品添加物事典2016」(薬事日報社(株)発行)に着色剤として分類されるものを挙げることができる。前記から選ばれる1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、ギリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等の「医薬品添加物事典2016」(薬事日報社(株)発行)に甘味剤として分類されるものを挙げることができる。前記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
以下に、1種以上の活性成分と本実施形態のセルロース粉末とを含む組成物を錠剤化して錠剤を製造する方法(本実施形態の錠剤の製造方法)について記述するが、これは一例であって、本実施形態の効果は、以下の方法に制限されるものではない。
造粒工程では、本実施形態のセルロース粉末と活性成分とを混合し、造粒する。本実施形態のセルロース粉末を用いることで、造粒工程で得られる造粒物の原薬回収率を良好にすることができる。造粒工程では、活性成分以外に、必要に応じて他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、例えば、前記に示す賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、溶解補助剤等の成分から選ばれる1種以上が挙げられる。
試料(パルプ片又はセルロース粉末):0.6gを採取し、72%硫酸:5mLを加えて、室温にて1時間撹拌した。さらに、反応液を18倍希釈し(4%硫酸)、オートクレーブ中(121℃)で1時間反応させ、硫酸加水分解反応を行った。冷却後、2N水酸化ナトリウム水溶液で中和し、純水で定容(200mL)し、ろ紙で反応液を濾過した。
得られた濾液をグルコースの分析では純水で100倍希釈し、キシロース及びマンノースの分析では純水で2倍希釈した。
得られた希釈液を以下に示す条件の高速液体クロマトグラフ法にて分析し、各糖の含有量を定量した。各構成糖の比率は、グルコース、キシロース及びマンノースの合計に対する質量分率として求めた。
機種:LC-20AD(島津製作所)
検出器:蛍光分光光度計RF-20Axs(島津製作所)、蛍光励起波長320nm、蛍光測定波長430nm
カラム:TSKgel SUGAR AXI、φ4.6mm×150mm(東ソー)
カラム温度:60℃
移動相:0.5mol/Lホウ酸緩衝液(pH8.7)、0.4mL/min
注入量:20μL
ポストカラム:反応液1w/v%のL-アルギニン溶液、反応液流量0.7mL/min、反応温度150℃
[物性1]安息角
測定には、水分含有量を3.5質量%以上4.5質量%以下に調整したセルロース粉末を用いた。セルロース粉末の水分含有量の範囲が下側に外れた場合は、恒温恒湿機等でセルロース粉末に水分を吸湿させて調整した。また、上側に外れた場合は、熱風オーブンにて60℃の熱風をセルロース粉末に均等に与えて水分を範囲内に調整した。
セルロース粉末の安息角の測定には、杉原式安息角測定器(スリットサイズ:奥行10×幅50×高さ140mm、幅50mmの位置に分度器を設置)を使用した。セルロース粉末を定量フィーダーにて50cc/分の速度でスリットに投下し、装置底部にセルロース粉末を堆積させた。堆積したセルロース粉末が徐々に斜面を形成し、この斜面が安定した角度を形成するまでセルロース粉末の投入を継続した。投入したセルロース粉末が安定した斜面を形成したとき、この斜面と装置底部の成す角度を読み取った。この角度が安息角である。測定は5回実施し、平均値を求めた。
レーザー回折式粒度分布計(LA-950 V2(商品名)、堀場製作所製)を使用し、乾式測定モードにて圧縮空気圧0.10MPa、フィーダー速度160、フィーダー初速度係数1.2、屈折率1.51で測定した。測定により得られた累積体積50%粒子を、セルロース粉末の平均粒子径(μm)とした。
測定には、水分含有量を3.5質量%以上4.5質量%以下に調整したセルロース粉末を用いた。セルロース粉末の水分含有量は、「物性1」に記載の方法を用いて当該範囲に収まるように調整した。
セルロース粉末のゆるみ嵩密度の測定にはスコットボリュメーター(型式ASTM B-329-85、筒井理化学器械製)を使用し、篩(目開き1mm)を通じてセルロース粉末を25ccの円筒金属容器に充填した。25ccの円筒金属容器に入ったセルロース粉末を摺り切り、容器に入ったセルロース粉末の質量(g)を25ccで除して、ゆるみ嵩密度を求めた。測定は5回実施し、平均値を求めた。
測定には、水分含有量を3.5質量%以上4.5質量%以下に調整したセルロース粉末を用いた。セルロース粉末の水分含有量は、「物性1」に記載の方法を用いて当該範囲に収まるように調整した。粉体物性測定機(PT-R、ホソカワミクロン製)にて、かため嵩密度(かため見掛け比重)(g/cc)を計算した。使用した篩の目開きは710μm、ロートは金属製(静電防止スプレー塗布)の内径0.8cmのものを使用した。VIBRATIONは2.0(供給電源:AC100V、60Hz)で実施した。
下記に示す式により、各セルロース粉末の圧縮度を算出した。
セルロース粉末0.5gを純水10mLに入れ、10分間超音波照射(600W、40kHz)を行った後に、レーザー回折式粒度分布計(LA-950 V2(商品名)、堀場製作所製)を使用し、湿式測定モードにて屈折率1.20(セルロース屈折率1.59、水屈折率1.33)、前処理条件(超音波照射1分、超音波強度1)、循環速度7、撹拌速度5で測定した。測定により得られた累積体積50%粒子を、セルロース一次粒子相当粒径の平均粒子径(μm)とした。
セルロース粉末をガラス板上に分散させ、マイクロスコープ(VHX-1000、キーエンス製)を用いて倍率500倍で撮影した。撮影した画像を、画像処理解析システムソフトウェア(Image HyperII、DigiMo製)を用いて以下の手順で解析して、粒子のアスペクト比(短径に対する長径の比;L/D)を測定した。少なくとも50個の粒子について測定を行い、平均値を求めた。
マイクロスコープで撮影した画像をモノクロで解析ソフトに取り込み、画像のスケールの設定を2点間距離法で行った。次に、2値化処理にて「大津法」を選択し、閾値の設定を行った。最適な閾値は画像ごとに異なるため、元画像と見比べつつ、なるべく元の粒子の形状と一致するよう、閾値を選択した。
撮影した元画像と見比べつつ、粒子同士が重なっているもの、画面からはみ出ている粒子、不鮮明で輪郭がぼやけている粒子等、適切な測定結果が得られない粒子は削除し、測定対象から除外した。
「穴埋め」のモードで、「近傍」は「8」を選択し、「穴埋め」を実行した。次に、再度、「2値画像手補正」にて元画像と比較を行い、正常に補正できているか確認した。正常に補正できていない場合は、再度手補正を行った。
削除画素数を「100」に設定し、「近傍」は「8」を選定した後、「画像計測」を実行した。測定粒子1個毎に「長径」及び「短径」の計測結果が、パソコン上にて表示される。「長径」を「短径」で除した数値をアスペクト比とした。
以下に示す方法を用いて、顆粒及び錠剤を作製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
エテンザミド(摩擦帯電量 +3.9nC/g、平均粒径20μm):210g、200メッシュ乳糖:420g、及びセルロース粉末:70gをポリエチレン袋中で1分間混合し、流動層造粒機(パウレック製、マルチプレックス、MP-01型)に投入し、HPC-L:14.0gを精製水219gに溶解した液を噴霧し、乾燥することで顆粒を得た。顆粒回収時は流動層造粒機のカラムを傾けるのみで顆粒を払出し、カラムの壁面に付着した微粒子をなるべく落とさないように回収した。
粉体回収率は、回収した顆粒の質量を仕込んだ粉体及び結合液に含まれる固形分の質量で割ることにより求めた。なお、粉体回収率の低いものでは、流動層造粒機の装置への粉付着が多かった。
流動層造粒の直後、造粒装置からサンプリングした粉体をファラデーケージ(メーカー
春日電機)にて帯電量(単位nC/g:単位重量あたりの電荷量)を測定した。なお、帯電量を優先して測定するため、流動層造粒装置からサンプリングした顆粒の質量は、粉体回収率を求める際に回収した粉体の質量に加えて、計算した。
作製した顆粒について、さらに、710μmの篩分けを行い、粗大粒子を除いた後、得られた顆粒を500mgずつ9か所サンプリングし、顆粒に含まれるエテンザミドの含有量を以下に示す方法を用いて測定し、原薬の平均含有量を求めた。
まず、エテンザミドの検量線を作成した。本実施例では、吸光度計にてエテンザミドの吸収スペクトルを測定し、ピークトップの波長を元に検量線を作成した(エテンザミドの波長:292nm)。顆粒500mgをサンプリングし、100mLメスフラスコに入れて日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)で100mLにメスアップした。得られた水溶液を樹脂フィルターにより濾過して不溶分を除去した後、濾液中の活性成分のサンプリングした顆粒質量に対するエテンザミドの含有量を吸光度法により定量した。顆粒は、合計9点を測定し、原薬の含有量の平均値を求めた。
次いで、(1)で得た原薬の平均含有量を仕込み時の原薬含有量(理論値)で割り、顆粒における原薬回収率を求めた。
顆粒:99質量部に対し、ステアリン酸マグネシウム:1質量部を添加し、ポリ袋内で30秒間ゆっくり混合した粉末を打錠用粉末としてロータリー打錠を行った。
ロータリー打錠機(型式:リブラ2、メーカー:菊水製作所、36本中12本杵使用、ターンテーブル回転数:30rpm、オープンフィードシュー使用)を用いて、直径8mm、質量200mg/錠を作製した。打錠圧力は打錠直後の錠剤硬度が60N以上70N以下となるように設定した。
錠剤1錠を精秤した後、「評価3」の(1)と同様の方法を用いて、原薬の平均含有量及び標準偏差を求めた。次いで、下記に示す式を用いて、均一性の尺度である変動係数(「原薬含有量CV値(%)」ともいう)を算出した。なお、変動係数が低いほど、原薬の含有量の均一性が良好である。
各錠剤の崩壊性を、第17改正日本薬局方、一般試験法「崩壊試験法」(試験液:水、ディスク有りの条件)に従って調べた。崩壊試験器(NT-40HS型(商品名)、富山産業製)を用い、37℃、純水中における崩壊時間(分)を求めた。試料6錠の平均値を錠剤の崩壊時間とした。以下の評価基準に従い、崩壊性を評価した。
〇:崩壊時間が15秒以内
×:崩壊時間が15秒超
実施例及び比較例で得た錠剤をガラス瓶に入れて密封し、温度40℃、湿度75%RHに設定した恒温恒湿機中で1ヶ月間保存した。保存後の錠剤について、類縁物発生量及び白色度変化を評価した。なお、前記2種の評価項目の全てが良好であるものを保存安定性が良好(〇)であると評価し、そうでないものを保存安定性が不良(×)であると評価した。
ここでいう「類縁物」とは、薬効成分が酸化又は水分による加水分解することで生じた化合物である。
実施例及び比較例で得た錠剤1錠を100mLの精製水に溶かし、0.45μmのセルロースアセテートフィルターでろ過した液を液体クロマトグラフィー(型式LC-20AD、島津製作所)により以下に示す条件に従い分析した。保存安定性試験の前後で得られたクロマトグラムを比較し、保存安定性試験後には見られず、保存安定性試験後に出現したピークを類縁物ピークとした。類縁物ピークが複数存在する場合は、類縁物ピークの面積の和を類縁物ピーク面積とした。類縁物発生量(%)は類縁物ピークの面積を薬効成分のピーク面積で割ることで求めた。以下に示す評価基準に従い、類縁物発生量を評価した。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:270nm)
カラム:内径6mm、長さ15cm、液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルカラム(シリカゲル粒径5μm)
カラム温度:40℃
移動相:25%メタノール水溶液(1%酢酸添加)
流量:アミノフィリンの保持時間が約5分になるように調整した。・アスコルビン酸
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:300nm)
カラム:Imtakt Unison UK-C18(3μm、4.6mm×150mm)
カラム温度:40℃
移動相(溶離液):2mM過塩素酸(HClO4)
溶離液流量:1.0mL/min
ポストカラム反応液:100mM水酸化ナトリウム(NaOH)、100mM水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)
ポストカラム反応液流量:0.5mL/min
良好:類縁物発生量が0.05%以下
不良:類縁物発生量が0.05%超
保存安定性試験前後の錠剤について、分光式色彩計(SE-2000、日本電色工業製)を用いて、明るさ(L)、彩度(緑~赤)(a)、彩度(青~黄)(b)の値を求め、下記に示す式により、白色度を算出した。次いで、保存安定性試験後の白色度から保存試験前の白色度を差し引くことで、白色度変化(%)を算出した。以下に示す評価基準に従い、白色度変化を評価した。
白色度変化 = 白色度(保存安定性試験後) - 白色度(保存安定性試験前)
良好:白色度変化が-20%以上0%以下
不良:白色度変化が-20%未満
[調製例1-1]湿フロックXの調製
市販のパルプのうち構成糖として、グルコース比率95%未満のパルプ(構成糖:グルコース90.8%、マンノース1.8%、キシロース7.4%)を選択した。選択したパルプを細断したもの2kgを低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、30LGL反応器(商品名))に入れ、加圧状態で予め反応温度に加熱しておいた温塩酸:30Lを反応器に投入し、攪拌しながら、加水分解し(反応条件:塩酸濃度0.5%、反応温度110℃、反応時間30分、撹拌速度350rpm)、酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、濾液の電気伝導度が100μS/cm未満になるまで純水(5℃冷水)で十分に洗浄した後、ろ過し、湿フロックXを得た。
市販のパルプ(構成糖:グルコース97.0%、マンノース0.6%、キシロース2.4%)を選択した。選択したパルプを細断したもの2kgを低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、30LGL反応器(商品名))に入れ、加圧状態で予め反応温度に加熱しておいた温塩酸:30Lを反応器に投入し、攪拌しながら、加水分解し(反応条件:塩酸濃度1.0%、反応温度130℃、反応時間60分、撹拌速度350rpm)、酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、濾液の電気伝導度が100μS/cm未満になるまで純水(90℃熱水)で十分に洗浄した後、ろ過し、湿フロックYを得た。
市販のパルプのうち構成糖として、グルコース比率95%未満のパルプ(構成糖:グルコース93.0%、マンノース2.7%、キシロース4.3%)を選択した。選択したパルプを細断したもの30gと、塩酸水溶液200mLとをマイクロ波試料前処理装置(マイルストーンゼネラル株式会社、ETHOS ONE(製品名))を用いて、加水分解し(反応条件:塩酸濃度0.5%、反応温度110℃、反応時間30分、撹拌速度200rpm)、酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、濾液の電気伝導度が100μS/cm未満になるまで純水(5℃冷水)で十分に洗浄した後、ろ過し、湿フロックZ1を得た。
市販のパルプのうち構成糖として、グルコース比率95%未満のパルプ(構成糖:グルコース93.0%、マンノース1.0%、キシロース6.0%)を選択した以外は、調製例1-3と同様の方法を用いて、湿フロックZ2を得た。
市販のパルプのうち構成糖として、グルコース比率95%未満のパルプ(構成糖:グルコース93.0%、マンノース3.5%、キシロース3.5%)を選択した以外は、調製例1-3と同様の方法を用いて、湿フロックZ3を得た。
市販のパルプのうち構成糖として、グルコース比率95%未満のパルプ(構成糖:グルコース88.0%、マンノース4.6%、キシロース7.4%)を選択した。選択したパルプを細断したもの30gと、塩酸水溶液200mLとをマイクロ波試料前処理装置(マイルストーンゼネラル株式会社、ETHOS ONE(製品名))を用いて、加水分解し(反応条件:塩酸濃度0.5%、反応温度105℃、反応時間30分、撹拌速度200rpm)、酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、濾液の電気伝導度が100μS/cm未満になるまで純水(5℃冷水)で十分に洗浄した後、ろ過し、湿フロックZ4を得た。
[実施例1-1]セルロース粉末Aの製造
調製例1-1で得た湿フロックXを90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が25質量%になるように純水を加え、スリーワンモータで攪拌しながら、アンモニア水で中和し(中和後pH7.5以上8.0以下)、これを噴霧乾燥して(条件:分散液供給速度6kg/時間、入口温度180℃以上220℃以下、出口温度50℃以上70℃以下)、セルロース粉末Aを得た。
調製例1-1及び調製例1-2で得た湿フロックX及び湿フロックYを60:40(固形分質量比率)で90Lポリバケツに導入した以外は、実施例1-1と同様の方法を用いて、セルロース粉末Bを得た。
調製例1-1及び調製例1-2で得た湿フロックX及び湿フロックYを20:80(固形分質量比率)で90Lポリバケツに導入した以外は、実施例1-1と同様の方法を用いて、セルロース粉末Cを得た。
調製例1-3で得た湿フロックZ1を2Lポリビーカーに導入し、全固形分濃度が7質量%になるように純水を加え、スリーワンモータで攪拌しながら、アンモニア水で中和し(中和後pH7.5以上8.0以下)、これを噴霧乾燥機(東京理化機械、SD-1000(型式))にて乾燥して(条件:分散液供給速度4mL/min、入口温度180℃以上190℃以下、出口温度90℃℃以上100℃以下)、セルロース粉末Dを得た。
調製例1-4で得た湿フロックZ2を2Lポリビーカーに導入した以外は、実施例1-4と同様の方法を用いて、セルロース粉末Eを得た。
調製例1-5で得た湿フロックZ3を2Lポリビーカーに導入した以外は、実施例1-4と同様の方法を用いて、セルロース粉末Fを得た。
調製例1-6で得た湿フロックZ4を2Lポリビーカーに導入した以外は、実施例1-4と同様の方法を用いて、セルロース粉末Gを得た。
実施例1-3で製造したセルロース粉末Cをジェットミル(粉砕圧0.4MPa)で粉砕し、セルロース粉末Hを得た。
実施例1-5で製造したセルロース粉末Eをジェットミル(粉砕圧0.4MPa)で粉砕し、セルロース粉末Iを得た。
[比較例1-1]セルロース粉末Jの製造
調製例1-2で得た湿フロックYを90Lポリバケツに導入した以外は、実施例1-1と同様の方法を用いて、セルロース粉末Jを得た。
また、セルロース粉末A~G(実施例1-1~1-9)において、マンノースの含有量が多くなるほど、顆粒の静電量が低くなり、粉体回収率がより優れる傾向が見られ、キシロースの含有量が多くなるほど、原薬回収率がより優れる傾向が見られた。
また、セルロース粉末A~C(実施例1-1~1-3)において、マンノース及びキシロースの合計含有量が少なくなるほど、圧縮度が低くなり、錠剤の原薬含有量CV値がより低くなる、すなわち、錠剤中の原薬含有量の均一性がより優れる傾向が見られ、マンノース及びキシロースの合計含有量が多くなるほど、錠剤の崩壊性がより優れる傾向が見られた。
また、セルロース粉末D~F(実施例1-4~1-6)において、マンノースに対するキシロースの質量比(キシロース/マンノース)が小さくなるほど、錠剤の崩壊性がより優れる傾向が見られた。
また、セルロース粉末C、E、H及びI(実施例1-3、1-5、1-8及び1-9)において、平均粒子径が小さくなるほど、顆粒の静電量が低くなり、粉体回収率がより優れ、さらに、原薬回収率もより優れる傾向が見られた。
実施例1-2で製造したセルロース粉末Bにおいて、薬物をアセトアミノフェン(摩擦帯電量-16.7nC/g、平均粒径20μm)とし、吸光度の測定波長を244nmに変更した以外は、上記顆粒及び錠剤の評価方法と同様の方法を用いて、顆粒及び錠剤の評価を行った。結果を表1-2に示す。
実施例1-2で製造したセルロース粉末Bにおいて、薬物をサリチル酸ナトリウム(摩擦帯電量-1.4nC/g、平均粒径20μm)とし、吸光度の測定波長を302nmに変更した以外は、上記顆粒及び錠剤の評価方法と同様の方法を用いて、顆粒及び錠剤の評価を行った。結果を表1-2に示す。
[実施例2-1]
アミノフィリン:250g、セルロース粉末A:75g、乳糖:167.5g、及びクロスポビドン:2.5gをポリエチレン袋に入れて、3分間混合し、ステアリン酸マグネシウム5gを加え、さらに30秒間混合し、打錠用粉末としてロータリー打錠を行った。ロータリー打錠機(型式:リブラ2、メーカー:菊水製作所、36本中12本杵使用、ターンテーブル回転数:30rpm、オープンフィードシュー使用)を用いて、直径8mm、質量200mg/錠を作製した。打錠圧力は打錠直後の錠剤硬度が60N以上70N以下となるように設定した。得られた錠剤について、上記方法を用いて各種評価を行った。結果を表2-2に示す。
表2-2に示す組成及び配合比率となるようにした以外は、実施例2-1と同様の方法を用いて、各錠剤を作製した。得られた各錠剤について、上記方法を用いて各種評価を行った。結果を表2-2に示す。
また、セルロース粉末A~Cのいずれかを用いた以外は同じ処方である錠剤(実施例2-1~2-3)において、マンノース及びキシロースの合計含有量が多くなるほど、崩壊性により優れる傾向が見られた。これは、マンノース及びキシロースを構成糖とするヘミセルロースが吸水しやすい性質を有することから、崩壊剤の働きを助けることによるものと推察される。一方で、マンノース及びキシロースの合計含有量が少なくなるほど、類縁物発生量及び白色度変化がより減少し、保存安定性により優れる傾向が見られた。
Claims (2)
- 顆粒の静電量を低減させる方法であって、
活性成分にセルロース粉末を添加して造粒を行い、顆粒を形成させることを含み、
前記セルロース粉末の平均粒子径が17μm以上58μm以下であり、
前記セルロース粉末の4%硫酸を用いた121℃及び1時間の硫酸加水分解反応による加水分解物は、前記加水分解物中のグルコース、マンノース及びキシロースの合計質量に対するグルコースの含有量が87質量%以上99.3質量%以下であり、
前記加水分解物中のグルコース、マンノース及びキシロースの合計質量に対するマンノースの含有量が0.4質量%以上5.0質量%以下であり、
前記加水分解物中のグルコース、マンノース及びキシロースの合計質量に対するキシロースの含有量が1.6質量%以上8.0質量%以下であり、
前記マンノースの含有量及び前記キシロースの含有量は、高速液体クロマトグラフ法により測定されたものであり、
前記活性成分の含有量は、前記顆粒の総質量に対して50質量%以上99質量%以下であり、
前記活性成分の摩擦帯電量が+0.1nC/g以上、又は-0.1nC/g以下である、方法。 - 前記造粒が湿式造粒法で行われる、請求項1に記載の方法。
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