JP2006175864A - 木質パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】大幅な軽量化を達成することができ、かつ十分な強度および剛性を維持することが可能な木質パネルを提供する。
【解決手段】木材薄片を構成要素とする木質パネルは、上方に位置する平板部と、下方に位置する平板部14と、上方に位置する平板部を保持する柱部16とによって構成され、内部に中空部を有している。また、柱部16を構成する木材薄片20bは、木材薄片20bの積層方向(図中矢印β)が柱部16の軸線方向(矢印α)と直交するように積層されている。
【選択図】図1
【解決手段】木材薄片を構成要素とする木質パネルは、上方に位置する平板部と、下方に位置する平板部14と、上方に位置する平板部を保持する柱部16とによって構成され、内部に中空部を有している。また、柱部16を構成する木材薄片20bは、木材薄片20bの積層方向(図中矢印β)が柱部16の軸線方向(矢印α)と直交するように積層されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、軽量でありながら剛性の高い木質パネルに関する。
従来より、天然木材板の代わりとなる工業材料として、木質パネルが利用されている。木質パネルとは、木材の削片や木繊維などの比較的小さな木材を構成要素とし、構成要素に接着剤や添加物などを混錬後、加熱・圧縮により板状に成形したものである。木質パネルは、天然木材板と比較して、原料に間伐材、製材屑、建築廃材などの有効利用が可能であるといったことや、添加物によって防腐性、防水性、防火性などの性能を付与できる、という長所を有するものである。このような木質パネルは、例えば床下地材として用いられる。
床下地材とは、建物の床構造にかかる一部材であり、フローリングなどの仕上げ張りの下に設けられる部材である。図12は、床構造の一例を示す図である。この図に示すように、コンクリートスラブなどの基礎床110上には、防振ゴム120を介して支持脚130が所定間隔を隔てて設置されている。また、支持脚130の上端は、支持部材140を介して、ほぼ水平となるようにパネル状の床下地材150を支持している。そして、床下地材150の上面には、仕上げ張り160が張られている。床下地材150のように建材として用いられる材料は、施工のしやすさや経済性などの観点より、可能な限り軽量なものが望ましい。また、木質パネルを軽量化する一般的な方法としては、木質パネル本体の厚みを薄くする方法や、木質パネルの構成要素を低密度の木材にする方法などがある。
しかしながら、これらのような方法によって軽量化が行なわれた木質パネルの場合、軽量化を進めるにつれ木質パネルの強度および剛性が低くなるため、当該木質パネルが使用に耐えられないものとなることがあった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、大幅な軽量化を達成することができ、かつ十分な強度および剛性を維持することが可能な木質パネルを提供することにある。
上記課題を解決するため、本件の発明に係る木質パネルにおいては、面に沿う一方向に繊維が揃えられた複数の木材薄片を、互いの面がほぼ平行になるように板状に積層して接合することにより柱部および平板状の第1、第2の平板部を形成し、前記柱部は、前記第1の平板部と前記第2の平板部とを平行に支持するとともに前記第1の平板部および前記第2の平板部と一体に形成され、前記柱部の木材薄片の面と前記第1、第2の平板部の木材薄片の面とが平行にならないように木材薄片が積層されていることを特徴とする。
この構成によれば、柱部の木材薄片の面と第1,第2の平板部の木材薄片の面が平行にならず異なる方向になるので、この木質パネルのたわみなどにより、柱部に水平方向のせん断力が作用しても、木材薄片の水平方向のずれは生じにくい。また、柱部に圧縮力が作用しても柱部の変形量が小さく、柱部に引っ張り力が作用しても柱部の木材薄片が剥離しにくい。以上から、この木質パネルは高い強度を有することができる。
また、上述の構成に加え、輪郭の一部が前記柱部の側面によって形成される中空部を有する木質パネルであれば、木質パネルは、中空部を含むようになるので、上述の高強度化と同時に軽量化が可能であり、また、断熱性や防音性といった性能を付与することができる。
この構成によれば、柱部の木材薄片の面と第1,第2の平板部の木材薄片の面が平行にならず異なる方向になるので、この木質パネルのたわみなどにより、柱部に水平方向のせん断力が作用しても、木材薄片の水平方向のずれは生じにくい。また、柱部に圧縮力が作用しても柱部の変形量が小さく、柱部に引っ張り力が作用しても柱部の木材薄片が剥離しにくい。以上から、この木質パネルは高い強度を有することができる。
また、上述の構成に加え、輪郭の一部が前記柱部の側面によって形成される中空部を有する木質パネルであれば、木質パネルは、中空部を含むようになるので、上述の高強度化と同時に軽量化が可能であり、また、断熱性や防音性といった性能を付与することができる。
本発明によれば、大幅な軽量化を達成することができ、かつ十分な強度および剛性を維持することが可能な木質パネルが提供される。
以下、本発明における一実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態において、本発明の木質パネルの一例として、床下地材として使用される木質パネルについて説明する。
図2は、本実施形態にかかる木質パネルの一例を示す斜視図である。この図に示すように、木質パネル10は、木材薄片を積層して板状に成形したものであり、その内部には複数の柱部16を有するものである。柱部16は、木質パネル10の、上方に位置する平板部15と、下方に位置する平板部14とを連結して支えるために設けられるものである。また、木質パネル10は、その内部に中空部13を有している。中空部13は、その輪郭の一部が柱部16の側面によって形成される中空である。より詳細には、中空部13は、木質パネル10の、平板部15と平板部14との間に延在しており、その断面形状がほぼ台形である管状の中空である。このように木質パネル10に中空部13が形成されることにより、床下地材の軽量化が可能となる。また、中空部13が形成されても、木質パネル10の断面二次モーメントの減少量は少なく、必要充分な強度を有する。そして、中空部13が形成されることにより、断熱性や防音性といった性能を付与することができ、特に建材として使用される場合においては有効である。
次に、木質パネル10の構成要素である木材薄片について説明する。図3は、木材薄片の一例を示す図である。この図に示すように、本実施形態にかかる木材薄片20は、短冊形状をした薄片であり、繊維方向が木材薄片20の長手方向と同一方向に揃えられている。すなわち、木材薄片20の面に沿う一方向(この場合は長手方向)に繊維が揃えられている。言い換えれば、木材の繊維が木材薄片20の厚さ方向を向かないように形成されている。木材薄片20の原料となる樹種としては、例えば、アスペン、ラジアータパイン、ロッジポールパイン、スギ、ヒノキ、アカマツ、エゾマツ、トドマツなどが挙げられるが、特に樹種は問われない。
次に、木材薄片20の寸法について説明する。本実施形態にかかる木材薄片20は、厚さの絶対値が、0.05〜1.00mmであり、厚さの平均値が0.10〜0.45mmのものが好適である。また、木材薄片20の長さは、20.0〜150.0mmの範囲が好適である。さらに、木材薄片20の長さの絶対値は、目標長さ(平均値)に対して±10.0mm以内が好ましい。そして、木材薄片20の幅は、絶対値が1.00〜50.00mmであり、平均値が5.00〜35.00mmの範囲内のものが好適である。なお、木材薄片20は、上述の好適な寸法に限定されるものではなく、繊維方向が木材薄片20の厚さ方向に対して直交するような薄片であればよい。
ところで、天然の木材は、多数の細長い紡錘形の細胞が配列されることにより構成されている。そのため、木材ブロックにおいては、図4に示す3方向、すなわち、繊維方向(図中Z方向)と、半径方向(X方向)と、接線方向(Y方向)とによって異なった強度的性質や物理的性質を有している。このような、木材中の方向によって特性が異なることを異方性という。木材の異方性の度合いは、木材の種類や成育環境によって異なるため、一概には言えないが、例えば、圧縮強度は、繊維方向、半径方向、接線方向の順で低くなり、その比率は、おおむね20:2:1といわれている。
また、木材の異方性は、寸法安定性にも現れる。すなわち、木材は、含水率が高ければ膨張し、低ければ収縮するという性質を有するが、収縮率も3方向(繊維方向、半径方向、接線方向)によって異なる。より詳細には、収縮率は、繊維方向、半径方向、接線方向の順で高くなり、その比率は、おおよそ1:15:25といわれている。
さて、このような木材の異方性は、本実施形態における木材薄片20のような薄片にも継承される。そのため、木材薄片20は、繊維方向について、最も強い圧縮強度を有し、また、最も寸法が安定しているという特性を有している。
本実施形態にかかる木質パネル10は、このような木材薄片20の特性を考慮して、以下のように木材薄片20の積層が行われている。ここで、図1は、図2における10Aの部分の拡大図である。この図に示されるように、木質パネル10がその平面が水平となるように設置された状態において、平板部14を構成する木材薄片20aは、木材薄片20aの面がほぼ水平となるよう積層される。これにより木材薄片20aの繊維方向は、ほぼ水平面上に存在する。また、図示せぬ平板部15も、平板部14と同様に木材薄片20の面が、ほぼ水平となるように木材薄片20が積層されている。
また、柱部16を構成する木材薄片20bは、矢印αで示される柱部16の軸線方向と矢印βで示される木材薄片20bの積層方向とがほぼ直交するように積層されている。本実施形態にかかる木質パネル10は、柱部16における木材薄片20bをこのように積層することにより、木質パネル10の強度および剛性が高いものとなる。
ここで、仮に、柱部を構成する木材薄片の積層方向が柱部の軸線方向と直交ではなく、ほぼ同一であるような木質パネルについて考えてみる。すなわち、木質パネルが水平となるように設置された状態において、柱部を構成する木材薄片の面が水平面上にあるような木質パネルについて考えてみる。図5は、そのような木質パネルが、たわんだ様子を示す図である。この図に示されるように、家具や人などの荷重が木質パネル30に作用すれば、木質パネル30は下側にたわむ。このように木質パネル30がたわめば、木質パネル30の上側の平板部35には圧縮力が生じ、下側の平板部34には引っ張り力が生じるため、柱部36の上方は図中左側、下方は右側に引っ張られる。このように柱部36に対して水平方向のせん断力が作用した場合、木材薄片31の面が水平となるよう木材薄片31が積層されていれば、木材薄片31の水平方向のずれが生じ易い。また、柱部36に圧縮力が作用した場合には、繊維方向が鉛直方向に延在する木材薄片が無いため、柱部36の変形量は大きいものとなる。そして、柱部36に引っ張り力が作用した場合には、引っ張り力はバインダによる木材薄片31の接着面に対して垂直に働くため、木材薄片31が比較的剥離しやすい。このような理由により、柱部36を構成する木材薄片31の面が水平方向に積層されている木質パネル30は、強度において弱点を有している。
一方、本実施形態における木質パネル10は、柱部16の木材薄片20bの面と、平板部14,15の木材薄片20の面とが平行とならず、異なる方向になるように構成されているため、この木質パネル10にたわみなどが発生し、柱部16に水平方向のせん断力が作用しても、木材薄片20bの水平方向のずれは生じにくい。また、柱部16に圧縮力が作用しても柱部16の変形量が小さく、柱部16に引っ張り力が作用しても柱部16の木材薄片20bが剥離しにくい。以上より、木質パネル10は、高い強度を有している。より詳細には、木質パネル10の柱部16を構成する木材薄片20bは、軸線方向と積層方向とが直交するように積層されるため、柱部16に作用する水平方向のせん断力に対して強い。また、柱部16に軸線方向の圧縮力が作用した場合においても、図13に示すように、木材薄片20bは、軸線方向の圧縮力Pの分解力をその繊維方向で受け持つことができるので、柱部16は強靭であり、かつ圧縮による変形がおこりにくい。さらに、柱部16に引っ張り力が作用した場合にも、バインダによる木材薄片20bの接着面に対して垂直な方向に働く引っ張り力の成分がほとんど無いため剥離しにくい。
また、寸法安定性について、平板部14,15は、平板部14,15を構成する木材薄片20の繊維方向が水平面上に延在することより、平板部14,15の水平面内における寸法が安定したものとなる。一方、柱部16は、軸線方向と積層方向とが直交するように積層されるため、木材薄片20bの繊維方向が柱部16の側面と平行になり、柱部16の上下方向および図面前後方向の形状が安定したものとなる。
次に、本実施形態にかかる木質パネル10の製造方法および材料について具体的に説明する。まず、ディスクフレーカなどによって、原料となる木材から、所定寸法の木材薄片を作製する。そして、作製した木材薄片を、熱風乾燥機などによって含水率がおおよそ3%以下になるよう乾燥させる。
次に、乾燥させた木材薄片を、酢酸、無水酢酸、クロル酢酸などの気化蒸気に接触させることによりアセチル化する。このように木材薄片をアセチル化することによって、木材薄片20の各々について耐水性を付与し、成形後の木質パネル10の寸法安定性が得られる。
そして、アセチル化された木材薄片20の表面上に、木材薄片20を結合するためのバインダを塗布する。バインダを木材薄片20に塗布する方法としては、スプレー方式などの方法がある。スプレー方式とは、低速で回転する回転ドラム内に木材薄片20を入れ、回転ドラム内で木材薄片20が自然落下する際に、バインダを木材薄片20にスプレー塗布する方法である。木材薄片20に塗布するバインダとしては、発泡性バインダ樹脂、非発泡性バインダ樹脂およびこれらの混合物のいずれも使用可能である。特に、発泡性を有する発泡性バインダ樹脂であれば、木材薄片20を相互に結合させるとともに、それ自体が発泡することにより、木材薄片20同士の間隙を発泡セルで押し広げるように作用する。そのため、木材薄片20を相互に結合させるのに必要となる樹脂分の使用量が少なくなり、木質パネル10の低密度化を図れる。さらに、発泡セルによって、木質パネル10の断熱効果や防音効果を向上させることができる。
発泡性バインダ樹脂としては、自己発泡する発泡性樹脂、またはフェノール、ユリア、エポキシ、アクリルなどの非発泡性樹脂に発泡剤を加えた混合系発泡性樹脂のいずれを用いても良いが、剛性向上と低密度の木質パネル10を得る目的から自己発泡する発泡性樹脂を用いることが好ましい。自己発泡する発泡性樹脂としては、発泡性ポリウレタン樹脂、イソシアネート系樹脂を用いると、水分と反応しやすくなり、イソシアネート基(―NCO)が水分と反応して自己発泡するために反応時間が早くなる。そのため木質パネル10の熱圧成形にかかる時間を短縮することができる。
また、木材薄片20に対するバインダの割合は、木材薄片20の重量部100(絶乾重量)に対して、3.5〜20.0重量部とすることが望ましい。バインダの添加量を変更することにより、木質パネル10の密度および強度を変更することが可能である。なお、バインダには、必要に応じて硬化剤、硬化触媒、希釈剤、増粘剤、分散剤、撥水剤などを添加しても良い。
次に、バインダが塗布された木材薄片20を積層する工程について説明する。図6は、積層された木材薄片20の様子を示す図である。この図において、フォーミング用枠38,39は、高温や高圧により変形や変質をおこしにくいものであり、木質パネル10の外形を形成するための型枠である。また、図面前方および後方にも図示せぬフォーミング用枠が設けられている。
また、中子40a、40bの各々は、高温や高圧により変形や変質をおこしにくいものであり、木質パネル10の中空部13を形成するための部材である。本実施形態における中子40a、40bは、台形の断面形状を持つ棒状のものである。このうち中子40aは、木質パネル10の成形時に、断面の台形の長辺が下になるよう配置されるものである。一方、中子40bは、中子40aを上下反転したものであり、台形の長辺が上になるよう配置されるものである。なお、以下の説明において、中子40aと中子40bとを区別する必要のない場合は、中子40と記す。
まず、平板部14の構成要素となる木材薄片20aを、フォーミング用枠38の内部に、各々の木材薄片20aの面がほぼ水平となるように積層し、図中Aで示される第1層を積層する。
次に、第1層の上に、中空部13を形成するための中子40aを、断面の台形の長辺が下になるよう所定の間隔を空けて配置する。より詳細には、中子40aの間隙に中子40bを配置可能な間隔を空けて中子40aを配置する。
中子40aが配置されたならば、第1層および中子40aの上に、柱部16の構成要素となる木材薄片20bを、木材薄片20bの面がほぼ水平となるように積層し、図中Bで示される第2層を積層する。
さらに、第2層の上に、中空部13を形成するための中子40bを、断面の台形の長辺が上になるよう所定の間隔を空けて配置する。より詳細には、積層された木材薄片20が、フォーミング用枠38,39によって垂直方向に圧縮された場合に、中子40aの間隙に中子40bが位置するよう、中子40bを配置する。
このように中子40bが配置されれば、第2層および中子40bの上に、平板部15の構成要素となる木材薄片20cを積層する。より詳細には、各々の木材薄片20cの面がほぼ水平となるように積層し、図中Cで示される第3層を積層する。そして、第3層の上にフォーミング用枠39を載せる。
このようにバインダが塗布された木材薄片20がフォーミング用枠38,39内に積層されると、次に、木材薄片20の積層体を温度140〜220℃、圧力15〜40kg/cm2の下で加熱・圧縮する。図7は、木材薄片20a,20b,20cの積層体の加熱・圧縮による成形が完了した様子を示す図である。この図に示すように、木質パネル10の平板部14,15を構成する木材薄片20a,20cは、木材薄片20a,20cの面がほぼ水平となるように圧縮される。一方、中子40aと中子40bとの間隙に積層され柱部16を構成する木材薄片20bは、木材薄片20bの面と、中子40aの側面あるいは中子40bの側面とがほぼ平行になるよう圧縮される。これにより、柱部16を構成する木材薄片20bは、軸線方向と積層方向とが直交するように積層される。
そして、加熱・圧縮によって木質パネル10が成形されたならば、木質パネル10を冷却した後、中子40を引き抜く。そして、中子40を引き抜いた後、木質パネル10の外面を、チップソーなどによりトリミングすることによって、中空部13を有する木質パネル10を得る。
以上説明したように、本実施形態によれば、木質パネル10の内部に中空部13を設けることによって、木質パネルの大幅な軽量化が図れる。また木質パネル10の断面二次モーメントの減少量が比較的小さいため、木質パネル10の剛性の低下が少ない。
また、本実施形態における木質パネル10は、柱部16を構成する木材薄片20bが、軸線方向と積層方向とが直交するように積層されることにより、柱部16は、水平方向のせん断力に対して強い。また、柱部16に圧縮力が作用した場合においても、その分解力を各々の木材薄片20bの繊維方向により受け持つことが可能となるため、柱部16は、強靭であり、かつ圧縮変形しにくい。さらに、柱部16に引っ張り力が作用した場合にも、バインダによる木材薄片20bの接着面に対して、垂直な方向に働く引っ張り力の成分がほとんど無いため剥離しにくい。このように柱部16の剛性および強度が高いため、木質パネル10の強度および剛性は高いものとなる。
そして、木質パネル10の鉛直方向の寸法安定性については、平板部14、15より影響力をもつ柱部16が鉛直方向の寸法安定性を有するため、木質パネル10の鉛直断面の形状は比較的安定したものとなる。一方、木質パネル10の水平方向の寸法安定性については、柱部16より影響力を持つ平板部14、15が水平方向の寸法安定性を有するため、木質パネル10の水平断面の形状は比較的安定したものとなる。このように木質パネル10が寸法安定性を有するため、長期的な使用における湿度の変化を起因とする、木質パネル10の劣化の可能性は低いものとなる。
<変形例>
上述した実施形態は、あくまでも例示であって、本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変更可能である。そこで以下に、各種の変形例について説明する。
上述した実施形態は、あくまでも例示であって、本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変更可能である。そこで以下に、各種の変形例について説明する。
まず、上述した本実施形態においては、木質パネル10の中空部13は、その断面形状が台形であるものを説明したが、中空部の断面形状は、台形に限定されるものではない。すなわち、図8に示すように、木質パネルの中空部の断面形状は、楕円や正円などの円形であっても良いし、三角形や四方形などの多角形であっても良い。なお、図中矢印αは軸力方向、矢印βは積層方向を示している。
また、本実施形態においては、柱部16を構成する木材薄片20bについて、木材薄片20bの繊維方向は軸線方向と平行であれば任意である例を説明したが、これに加えて、各々の木材薄片20bの繊維方向を同一方向に揃えた木質パネルであっても良い。すなわち、図9に示すように、柱部16を構成する木材薄片20bの繊維方向と、柱部16における軸線方向(矢印α)とが同一方向にほぼ平行となるよう積層された木質パネル85であっても良い。これにより、木材薄片20bの繊維方向が、軸力の作用する方向を向くため、圧縮力、引張り力、水平方向に働くせん断力などに対する柱部16の強度が更に増す。
次いで、本実施形態における木質パネル10は、全ての中空部13の軸線方向が同一方向に平行となるように、中空部13が配置されたものを説明したが、さらに、図10に示すように、軸線方向が同一方向に平行である中空部91に加え、中空部91の軸線方向と異なる軸線方向を有する中空部92を設けた木質パネル90であっても良い。これにより、木質パネル90の剛性がより高いものとなる。なお、この図に示される木質パネル90は、中空部91の軸線方向と中空部92の軸線方向とは直交し、中空部91,92の断面形状が長方形であるものを示している。
くわえて、図11に示すように、木質パネル100は、木質パネルの使用目的に応じて、中空部101に加え、鋼棒やFRP(Fiber Reinforced Plastics)などの補強材102が配置されたものであっても良い。これにより、さらに木質パネル100が、曲げや、引っ張りに対して強いものとなる。なお、この図に示される木質パネル100は、中空部101の断面形状が円のものを示している。
そして、上述した実施形態およびその変形例においては、本発明にかかる木質パネルの一例として、床下地材として用いる木質パネルを示したが、木質パネルの用途を、床下地材、さらには建材に限定するものではない。
10…木質パネル、13…中空部、14,15…平板部、16…柱部、α…軸線方向、β…積層方向、20…木材薄片、20a…平板部14を構成する木材薄片、20b…柱部16を構成する木材薄片、20c…平板部15を構成する木材薄片、38,39…フォーミング用枠、40a,40b…中子、81…中空部が楕円の木質パネル、82…中空部が正円の木質パネル、83…中空部が三角形の木質パネル、84…中空部が長方形の木質パネル、91…中空部、92…中空部、101…中空部、102…補強材。
Claims (4)
- 面に沿う一方向に繊維が揃えられた複数の木材薄片を、互いの面がほぼ平行になるように板状に積層して接合することにより柱部および平板状の第1、第2の平板部を形成し、
前記柱部は、前記第1の平板部と前記第2の平板部とを平行に支持するとともに前記第1の平板部および前記第2の平板部と一体に形成され、前記柱部の木材薄片の面と前記第1、第2の平板部の木材薄片の面とが平行にならないように木材薄片が積層されていることを特徴とする木質パネル。 - 輪郭の一部が前記柱部の側面によって形成される中空部を有することを特徴とする請求項1に記載の木質パネル。
- 前記柱部の構成要素である前記木材薄片は、前記木材薄片の積層方向が前記柱部の軸線と直交することを特徴とする請求項1または2に記載の木質パネル。
- 前記柱部の構成要素である前記木材薄片は、前記木材薄片の繊維方向が前記柱部の軸線と同一方向に揃えられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の木質パネル。
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