JP2006172871A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料電池の電極の下流側に過剰な水が蓄積することを防止することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 燃料電池に、触媒層に接する第1ガス拡散層と、第1ガス拡散層に接する第2ガス拡散層と、を設ける。また、この第2ガス拡散層に、第2ガス拡散層の下流側の端部を通る下端側ガス流路を設ける。ここで、下端側ガス流路の形状を、第2ガス拡散層のうちで下流側の端部における第2ガス拡散層部分の部材量が、上流側の端部における第2ガス拡散層部分の部材量よりも小さくなるように、構成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池に関するものである。
燃料電池では、反応ガス(例えば、酸化ガスとしての空気や、燃料ガスとしての水素ガス)の供給と排ガスの排出とを効率良く行うことが要求される。そのために、燃料電池にガスの流路を設ける方法が提案されている(特許文献1〜2参照)。
特開2000−123850号公報 特開平6−168728号公報
ところで、燃料電池では、電気化学反応によって電極で水が生成される。このような生成水は、排ガスとともに外に排出される。この際、電極の上流側で生成された生成水は下流側に移動する。その結果、電極の下流側に過剰な水が蓄積し、発電効率が低下する場合があった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池の電極の下流側に過剰な水が蓄積することを防止することができる技術を提供することを目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するために、この発明における燃料電池は、電解質層と、前記電解質層を挟むように配置された2つの電極と、を備え、前記2つの電極のうちの少なくとも一方の特定の電極は、前記電解質層に接して設けられた触媒層と、前記触媒層の前記電解質側の面とは反対側の面に接して設けられるとともに反応ガスが流れるガス透過層と、を有し、前記ガス透過層は、前記触媒層に接して設けられた第1ガス拡散層と、前記第1ガス拡散層の前記触媒層側の面とは反対側の面に接して設けられた第2ガス拡散層と、を有し、前記第2ガス拡散層は、前記第2ガス拡散層の下流側の端部を通るスリット状のガスの流路である下端側ガス流路を有し、前記下端側ガス流路の形状は、前記第2ガス拡散層のうちで下流側の端部における前記第2ガス拡散層部分の部材量が、上流側の端部における前記第2ガス拡散層部分の部材量よりも小さくなるように、構成されている。
この燃料電池は、触媒層に接して設けられた第1ガス拡散層と、第1ガス拡散層に接して設けられた第2ガス拡散層と、を有し、この第2ガス拡散層には、第2ガス拡散層の下流側の端部を通る下端側ガス流路が設けられ、この下端側ガス流路の形状は、第2ガス拡散層のうちで下流側の端部における第2ガス拡散層部分の部材量が、上流側の端部における第2ガス拡散層部分の部材量よりも小さくなるように、構成されているので、燃料電池の電極の下流側に過剰な水が蓄積することを防止することができる。
上記燃料電池において、前記ガス透過層は、さらに、前記第2ガス拡散層の前記第1ガス拡散層側の面とは反対側の面に接して設けられた第3ガス拡散層を有し、前記第3ガス拡散層は、前記第3ガス拡散層の上流側の端部を通るスリット状のガスの流路である上端側ガス流路を有することが好ましい。
この構成によれば、ガス透過層における圧損が過剰に高くなることを防止することができ、また、電極の上流側から水を過剰に排出することを防止することができる。
上記燃料電池において、前記上端側ガス流路は、前記下端側ガス流路と連通するように構成されていることが好ましい。
この構成によれば、ガス透過層での圧損の増大を抑制する効果が顕著となる。
上記各燃料電池において、前記下端側ガス流路は、前記第2ガス拡散層の下流側にのみ設けられ、前記上端側ガス流路は、前記第3ガス拡散層の上流側にのみ設けられていることとしてもよい。
この構成によれば、上端側ガス流路と下端側ガス流路とに積極的にガスを流すことが可能となるので、電極の下流側から水を効率よく排出し、さらに、電極の上流側から水を過剰に排出することを適切に防止することができる。
上記各燃料電池において、前記第1ガス拡散層と、前記第2ガス拡散層と、は撥水性を有し、前記第3ガス拡散層は親水性を有することとしてもよい。
この構成によれば、第3ガス拡散層を介して、電極の下流側から上流側へ水を移動させることが可能となるので、電極の上流側が過剰に乾燥することを防止することができる。
上記燃料電池において、前記第1ガス拡散層と、前記第2ガス拡散層と、前記第3ガス拡散層と、は、多孔質部材を用いて形成されており、前記第1ガス拡散層は、その気孔率が前記第2ガス拡散層の気孔率よりも小さくなるように形成され、前記第2ガス拡散層は、その気孔率が前記第3ガス拡散層の気孔率よりも小さくなるように形成されていることとしてもよい。
この構成によれば、触媒層に接する第1ガス拡散層では、水の過剰な排出を防止し、さらに、集電性を高めて電気的な抵抗が過剰に高くなることを防止することができる。また、触媒層から比較的遠い第3ガス拡散層では、ガスが比較的流れやすくなるので、圧損が過剰に高くなることを防止することができる。
上記各燃料電池において、前記第1ガス拡散層と、前記第2ガス拡散層と、前記第3ガス拡散層と、は撥水性を有することとしてもよい。
この構成によれば、各ガス拡散層から水が排出されやすくなるので、電極に過剰な水が蓄積することを防止する効果がより顕著となる。
上記燃料電池において、前記第1ガス拡散層と、前記第2ガス拡散層と、前記第3ガス拡散層と、は、多孔質部材を用いて形成されており、前記第1ガス拡散層は、その気孔率が前記第2ガス拡散層の気孔率よりも小さくなるように形成され、前記第2ガス拡散層は、その気孔率が前記第3ガス拡散層の気孔率よりも小さくなるように形成されていることとしてもよい。
この構成によれば、触媒層に接する第1ガス拡散層では、水の過剰な排出を防止し、さらに、集電性を高めて電気的な抵抗が過剰に高くなることを防止することができる。また、触媒層から比較的遠い第3ガス拡散層では、ガスが比較的流れやすくなるので、圧損が過剰に高くなることを防止することができる。
上記各燃料電池において、前記各ガス拡散層のそれぞれは、別体のシートとして形成されていることとしてもよい。
この構成によれば、各ガス拡散層を容易に形成することが可能となる。
上記各燃料電池において、前記各ガス拡散層のそれぞれは、カーボン多孔質体を用いて形成されていることとしてもよい。
この構成によれば、各ガス拡散層を容易に形成することが可能となる。
なお、この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池用のガス透過層、そのガス透過層を有する電極、その電極を有する燃料電池、その燃料電池を備える車両等の移動体、等の態様で実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.第6実施例:
G.第7実施例:
H.変形例:
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての燃料電池100(「単セル」とも呼ぶ)の構造を示す分解図である。この単セル100は、電解質膜30と、電解質膜30の両側に接した状態で設けられたカソード電極80およびアノード電極70と、単セル100を積層する際にカソード電極80とアノード電極70との間に介挿されるセパレータ60とを有している。電解質膜30は、例えば固体高分子電解質で形成されている。セパレータ60は、水素透過性が低く導電性の良好な材料で形成されており、例えば樹脂に導電材料を混入して成形したものが用いられる。また、セパレータ60のアノード電極70と接する面には、複数の溝が形成されている(図示省略)。セパレータ60とアノード電極70とが接合されると、この溝によって燃料ガス(例えば、水素ガス)の流路が形成される。一方、カソード電極80と接する面は、平らに形成されている。酸化ガス(例えば、空気)の流路については後述する。
アノード電極70は、電解質膜30に接して設けられたアノード触媒層20と、アノード触媒層20に接して設けられたアノード透過層10と、で構成されている。また、カソード電極80は、電解質膜30に接して設けられたカソード触媒層40と、カソード触媒層40に接して設けられたカソード透過層50と、で構成されている。アノード触媒層20とカソード触媒層40とは、触媒を含み導電性の良好な材料で形成されており、例えば、触媒としての白金を担持したカーボン粉と、電解質膜30に用いられる電解質とを混ぜた樹脂を、膜状に成形したものが用いられる。また、アノード透過層10とカソード透過層50とは、ガス透過性(拡散性)と導電性とが良好な材料で形成されており、例えば、カーボン多孔質体で形成されている。
図2は、カソード電極80の詳細を示す分解図である。図2では、アノード電極70の図示が省略されている。カソード透過層50は、カソード触媒層40に接して設けられた第1ガス拡散層51と、第1ガス拡散層51に接して設けられた第2ガス拡散層52と、で構成されている。これらのガス拡散層51、52(すなわち、カソード透過層50)には、厚さ方向とは垂直な方向に酸化ガスが流される。第1ガス拡散層51は、溝やスリットのない平らなシート形状を有している。本実施例では、このようなシート形状のカーボン多孔質体として、カーボンペーパを用いている。同様に、第2ガス拡散層52もカーボンペーパを用いて形成されている。ただし、この第2ガス拡散層52の下流側には、複数のスリット522が設けられている。これらのスリット522のそれぞれは、第2ガス拡散層52の上流側端部と下流側端部とのほぼ中間位置から下流側へ向かってまっすぐに延び、下流側の端部に設けられた開口へ至る。すなわち、各スリット522は、第2ガス拡散層52を形成する多孔質体で閉じられてはおらず、カソード電極80の下流側に接続された排ガスの排出流路(図示せず)に連通している。これらのスリット522は、ガス(酸化ガスと排ガス)の流路として機能する(以下、スリット522のことを「下端側ガス流路522」とも呼ぶ)。
図3は、単セル100を側面(図2のS方向)から見た断面図である。このS方向は、酸化ガスの流れる方向と直交する方向である。また、図3では、単セル100のカソード電極80側の半分が示されている。また、この断面図は、スリット522を通る断面を示しており、左側が上流側を示し、右側が下流側を示している。
上流側から供給された酸化ガスは、第1ガス拡散層51と第2ガス拡散層52とを通って拡散され、カソード触媒層40に供給される。反応後の排ガスは、第1ガス拡散層51と第2ガス拡散層52とを通って排出される。また、カソード電極80において電気化学反応で生成された水の一部は排ガスとともに排出され、残りはカソード透過層50内に留まることとなる。
ここで、第1実施例の単セル100は、以下のような種々の特徴と利点とを有している。第1の特徴点は、第2ガス拡散層52の下流側にスリット522が設けられている点である。上流側で生成された水はガスの流れによって下流側に移動するので、カソード透過層50の下流側には、過剰な水が蓄積される可能性がある。ところが、生成水は、このスリット522を通って効率良く排出される。その結果、カソード透過層50の下流側に過剰な水が蓄積されることを防止することができるという利点がある。
第2の特徴点は、第1ガス拡散層51にはスリットが設けられていない点である。この構成により、カソード触媒層40と第1ガス拡散層51との接触面積が過剰に小さくなることを防止することができる。その結果、カソード触媒層40からの集電の効率が低下することを抑制することができる。また、カソード触媒層40上の位置による酸化ガス供給量の分布のバラツキが大きくなることを抑制することもできる。なお、第1ガス拡散層51の形状としてはスリットのない矩形状に限らず種々の形状を採用することができる。一般には、第1ガス拡散層51の形状を、第1ガス拡散層51とカソード触媒層40との接触面積が、第1ガス拡散層51と第2ガス拡散層52との接触面積よりも大きくなるような形状に設定することが好ましい。
また、第1実施例では、電解質膜30が固体高分子電解質を用いて形成されている。従って、電解質膜30が乾燥すると発電効率が低下する場合があるので、電解質膜30の過剰な乾燥を防止することが重要となる。第1実施例では、電解質膜30に近い第1ガス拡散層51に蓄積された生成水によって、電解質膜30の乾燥が抑制されている。ここで、この第1ガス拡散層51にはスリットが設けられていないので、カソード触媒層40と接する部分、すなわち、電解質膜30(カソード触媒層40)に対して水を供給できる部分の面積が過剰に小さくなることが防止される。その結果、電解質膜30が過剰に乾燥し、発電効率が低下することを抑制することができる。また、第2ガス拡散層52の上流側にはスリット522が延びていないので、上流側の生成水が過剰に排出されて、カソード電極80の上流側、すなわち、電解質膜30の上流側が過剰に乾燥することを防止することができる。
第3の特徴点は、第1ガス拡散層51と第2ガス拡散層52とが、別体として、すなわち、別々のカーボン多孔質体のシート(以下「カーボン多孔質シート」とも呼ぶ)を用いて構成されている点である。この構成により、第2ガス拡散層52にスリット522を設ける際には、第1ガス拡散層51と同じカーボン多孔質シートに単純な打ち抜き加工を施せばよいので、単セル100の製造を容易なものとすることができる。また、第1実施例の単セル100は、各スリット522が途中で分岐していないという特徴も有している。この構成により、分岐した流路の間を仕切るための部材を用いることなく、1つの部材のみを用いて第2ガス拡散層52を形成することができる。その結果、単セル100の製造において、第1ガス拡散層51の表面に複数の部材を配置するといった手間を省略し、単セル100の製造コストを低減させることが可能となる。
B.第2実施例:
図4は、第2実施例の単セル100aのカソード電極80aの詳細を示す分解図である。図2に示す第1実施例の単セル100との差異は、カソード透過層50aが、さらに、第2ガス拡散層52に接して設けられた第3ガス拡散層53を有している点だけである。この第3ガス拡散層53は、第2ガス拡散層52とセパレータ60との間に挿入される。他の構成は、第1実施例の単セル100と同じである。
第3ガス拡散層53は、第2ガス拡散層52と同様のカーボン多孔質シートで形成されている。第2ガス拡散層52との差異は、下流側の代わりに上流側に複数のスリット532が設けられている点だけである。これらのスリット532のそれぞれは、第3ガス拡散層53の上流側端部と下流側端部とのほぼ中間位置から上流側へ向かってまっすぐに延び、上流側の端部に設けられた開口へ至る。すなわち、各スリット532は、第3ガス拡散層53を形成する多孔質体で閉じられておらず、カソード電極80aの上流側に接続された酸化ガスの供給流路(図示せず)に連通している。これらのスリット532は、ガス(酸化ガスと排ガス)の流路として機能する(以下、スリット532のことを「上端側ガス流路532」とも呼ぶ)。また、この上端側ガス流路532は、第3ガス拡散層53の中間位置において下端側ガス流路522と重なっている、すなわち、下端側ガス流路522と連通している。
図5は、単セル100aのカソード電極80a側の半分を側面からみた断面図である。この断面図は、図3の断面図と同様に、酸化ガスの流れる方向とは直交する方向(図4のSa方向)から見た断面図であり、下端側ガス流路522と上端側ガス流路532とを通る断面図である。
上流側(図5の左側)から供給された酸化ガスは、第1ガス拡散層51と第2ガス拡散層52と第3ガス拡散層53とを通って拡散され、カソード触媒層40に供給される。この際、酸化ガスは、カソード透過層50aの上流側から下流側まで連通するガス流路、すなわち、上端側ガス流路532と下端側ガス流路522とを経て、供給される。また、排ガスも、カソード透過層50aの上流側から下流側まで連通するガス流路を経て排出される。
以上説明したように、第2実施例の単セル100aは、上述した第1実施例の単セル100の種々の特徴に加えて、上流側に上端側ガス流路532を有する第3ガス拡散層53が、第2ガス拡散層52の外側に設けられているという特徴を有している。その結果、第2実施例の単セル100aは、上述した第1実施例の利点に加えて、カソード透過層50aにおける圧損(圧力損失とも呼ばれる)が過剰に高くなることを防止することが可能となるという利点を有する。また、上流側の上端側ガス流路532は、下流側の下端側ガス流路522と比べてより外側の層、すなわち、電解質膜30からより遠い第3ガス拡散層53に設けられている。従って、電解質膜30の上流側が過剰に乾燥することを防止することができる。また、第2実施例では、上端側ガス流路532と下端側ガス流路522とが連通しているので、カソード透過層50aでの圧損の増大を抑制する効果が顕著である。
また、第3ガス拡散層53にスリット532を設ける際には、第2ガス拡散層52のスリット522と同様に、第1ガス拡散層51と同じカーボン多孔質シートに単純な打ち抜き加工を施せばよいので、単セル100aの製造コストの上昇を抑えることが可能となる。
C.第3実施例:
図6は、第3実施例の単セル100bの断面図である。この断面図は、図5に示した第2実施例の断面図と同じ側面からみた断面図である。図4、図5に示した第2実施例の単セル100aとの差異は、カソード透過層50bを構成する3つの拡散層51b、52b、53bのそれぞれに、撥水処理が施されている点だけである。他の構成は、第2実施例の単セル100aと同じである。
第1ガス拡散層51bと、第2ガス拡散層52bと、第3ガス拡散層53bと、のそれぞれには、撥水処理が施されている。第3実施例では、撥水処理として、カーボン多孔質シートを、カーボンブラックとポリテトラフルオロチレン(PTFE)との混合物でコーティングする処理を採用している。コーティングの方法としては、スプレーを用いる方法や、含浸を用いる方法等を採用することができる。
以上説明したように、第3実施例の単セル100bは、上述した第2実施例の単セル100aの種々の特徴に加えて、カソード透過層50bを構成する各拡散層51b、52b、53bのそれぞれに、撥水処理が施されているという特徴を有している。その結果、第3実施例の単セル100bは、上述した第2実施例の利点に加えて、各層51b、52b、53b内において、生成水を効率よく排出することが可能になるという利点を有する。
また、3つの層51b、52b、53bのそれぞれを、撥水処理の施された同じカーボン多孔質シートを用いて形成することが可能であるので、単セル100bの製造コストの上昇を抑えることもできる。
なお、各拡散層51b、52b、53dに撥水性を付与する方法としては、周知の種々の処理を採用することができる。例えば、各拡散層51b、52b、53dに、撥水性を有する材料(以下「撥水性材料」と呼ぶ)を付着させる処理(例えば、撥水性材料をスプレーして塗布する処理や、撥水性材料を含浸させる処理)を採用することができる。また、撥水性材料を、各拡散層51b、52b、53dの形成に用いる材料に添加する方法を採用してもよい。撥水性材料としては、例えば、カーボンブラックとフッ素樹脂(例えば、上述した「PTFE」や、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE))との混合物を用いることができる。
D.第4実施例:
図7は、第4実施例の単セル100cの断面図である。この断面図は、図6に示した第3実施例の断面図と同じ側面からみた断面図である。図6に示した第3実施例の単セル100bとの差異は、カソード透過層50cを構成する各拡散層51c、52c、53cの気孔率が互いに異なっている点だけである。他の構成は、第3実施例の単セル100bと同じである。
図7に示すように、第4実施例では、第1ガス拡散層51cの気孔率P51cは第2ガス拡散層52cの気孔率P52cよりも小さくなるように設定されている。さらに、第2ガス拡散層52cの気孔率P52cは第3ガス拡散層53cの気孔率P53cよりも小さくなるように設定されている(なお、以下の説明では、拡散層を表す符号の前に文字「P」を加えた符号を、その拡散層の気孔率を表す符号として用いる)。すなわち、第4実施例の単セル100cは、上述した第3実施例の単セル100bの種々の特徴に加えて、カソード透過層50cを構成する各拡散層51c、52c、53cのそれぞれの気孔率P51c、P52c、P53cが、電解質膜30に近い拡散層ほど小さくなるように設定されているという特徴を有している。その結果、第4実施例の単セル100cは、上述した第3実施例の利点に加えて、以下の種々の利点を有することとなる。具体的には、第1ガス拡散層51cでは、第1ガス拡散層51cとカソード触媒層40との電気的な接触抵抗の過剰な上昇を防止することができ、集電効率の過剰な低下を防止することができる。また、第1ガス拡散層51cでは、比較的に生成水が保持されやすくなるので、電解質膜30の過剰な乾燥を防止することが可能となる。また、第3ガス拡散層53cでは、比較的にガスが流れやすくなるので、カソード透過層50cでの圧損が過剰に高くなることを防止することが可能となる。
なお、第4実施例では、各拡散層51c、52c、53cの気孔率を、カーボン多孔質シートに対する撥水性材料の付着量を調整することによって、調整している。具体的には、付着量を多くすれば、カーボン多孔質シートの孔の内に入り込む撥水性材料の量が多くなるので、気孔率を小さくすることができる。このように、撥水性材料の付着量を調整して気孔率を調整する方法を採用すれば、同じカーボン多孔質シートを用いて各拡散層51c、52c、53cを形成することができるので、単セル100cの製造コストの上昇を抑えることが可能となる。なお、各拡散層51c、52c、53cの気孔率を調整する方法としては、周知の種々の方法を採用することができる。例えば、各拡散層51c、52c、53c毎に気孔率の異なるカーボン多孔質シートを用いることとしてもよい。カーボン多孔質シートの気孔率は、カーボン多孔質シートを形成する際に用いるカーボン繊維の量や太さなどを調整することによって変更可能である。なお、各拡散層51c、52c、53cの気孔率は、例えば超音波計測や密度計測によって計測することができる。
E.第5実施例:
図8は、第5実施例の単セル100dの断面図である。この断面図は、図7に示した第4実施例の断面図と同じ側面からみた断面図である。図7に示した第4実施例の単セル100cとの差異は、第3ガス拡散層53dには撥水処理の代わりに親水処理が施されている点だけである。他の構成は、第4実施例の単セル100cと同じである。
第1ガス拡散層51dと第2ガス拡散層52dとのそれぞれには、撥水処理が施されている。これらの拡散層51d、52dの構成は、第4実施例の拡散層51c、52cと同じである。一方、第3ガス拡散層53dには親水処理が施されている。第5実施例では、カーボン多孔質シートを、過酸化水素水中で煮沸処理して、カーボン表面に水酸基(−OH基)を導入することによって、親水性を付与している。その結果、この第3ガス拡散層53dには、生成水が染み込みやすくなる。また、第3ガス拡散層53dが親水性を有するので、この第3ガス拡散層53dに染み込んだ生成水は、ガスの流れに逆らって上流側に移動することが可能である。第3ガス拡散層53dを伝って上流側に移動した生成水は、第2ガス拡散層52d、第1ガス拡散層51d内を拡散して、カソード触媒層40(電解質膜30)に供給される。その結果、電解質膜30の上流側が過剰に乾燥することが防止される。
以上説明したように、第5実施例の単セル100dは、上述した第4実施例の単セル100cの種々の特徴に加えて、第3ガス拡散層53cに親水処理が施されているという特徴を有している。その結果、第5実施例の単セル100dは、上述した第4実施例の利点に加えて、電解質膜30の上流側が過剰に乾燥することを防止することが可能になるという利点を有する。
なお、第3ガス拡散層53dに親水性を付与する方法としては、周知の種々の方法を採用することができる。例えば、親水性を有する材料(以下「親水性材料」と呼ぶ)を、第3ガス拡散層53dの形成に用いる材料に添加する方法を採用してもよい。また、第3ガス拡散層53dの形成に用いる部材(例えば、カーボン多孔質シート)に親水性材料を付着させる処理(例えば、塗布処理や含浸処理)を採用してもよい。親水性材料としては周知の種々の材料を用いることが可能であり、例えば、酸化ケイ素や酸化チタンを用いることができる。
また、第3ガス拡散層53dの気孔率P53dを、第2ガス拡散層52dの気孔率P52dよりも大きくする方法としては、第2ガス拡散層52dへの撥水性材料の付着量を調整する方法を採用することができる。こうすれば、同じカーボン多孔質シートを用いて各拡散層51d、52d、53dを形成することができるので、単セル100dの製造コストの上昇を抑えることが可能となる。また、第3ガス拡散層53dへの親水性材料の付着量を調整することとしてもよく、各拡散層51d、52d、53d毎に気孔率の異なるカーボン多孔質シートを用いることとしてもよい。なお、各拡散層51d、52d、53dの気孔率を同じ値に設定してもよい。
図9は、上述した第3〜第5実施例の各単セル100b〜100dの電流密度/電圧特性を示すグラフである。このグラフには比較例の特性も示されている。図10は、比較例の単セル100eのカソード電極80eの詳細を示す分解図である。各実施例の単セル100b〜100dとの差異は、カソード透過層50eに設けられたガスの流路と、電解質膜30と、の距離が、上流側と下流側とで同じである点である。このカソード透過層50eのセパレータ60と接する面には、上流側から下流側へ至る複数の溝502eが設けられている。これらの溝502eはガスの流路として機能する。また、このカソード透過層50eは、カーボン多孔質シートに撥水処理を施したものを用いて形成されており、また、このカソード透過層50eの厚みは、各単セル100b〜100dのカソード透過層50b〜50dの厚みとほぼ同じに設定されている。なお、アノード電極については、各実施例の単セル100b〜100dと、比較例の単セル100dとで共通である。
図9のグラフに示すように、各実施例の単セル100b〜100dについては、比較例の単セル100eと比べて、電流密度の高い範囲において高い電圧を示している。このように、カソード透過層の上流側では電解質膜30から比較的遠い第3ガス拡散層にガス流路(例えば、図6の上端側ガス流路532b)を設け、下流側では電解質膜30に比較的近い第2ガス拡散層にガス流路(例えば、図6の下端側ガス流路522b)を設けることによって、発電効率を向上させることが可能となる。
F.第6実施例:
図11は、第6実施例の単セル100fのカソード電極80fの詳細を示す分解図である。図6に示す第3実施例の単セル100bとの差異は、カソード透過層50fが、さらに、第3ガス拡散層53fに接して設けられた第4ガス拡散層54fを有している点である。この第4ガス拡散層54fには、親水処理が施されている。また、この第4ガス拡散層54fは、第3ガス拡散層53fとセパレータ60との間に挿入される。他の構成は、第3実施例の単セル100bと同じである。
第4ガス拡散層54fは、第1ガス拡散層51fと同様のカーボン多孔質シートで形成されており、第2ガス拡散層52fや第3ガス拡散層53fのようなスリットは設けられていない。また、第4ガス拡散層54fには、親水処理が施されている。親水処理としては、上述した第5実施例と同じ処理を用いることができる。その結果、生成水の一部は、この第4ガス拡散層54fに染み込むこととなる。第4ガス拡散層54fに染み込んだ生成水は、第4ガス拡散層54fを伝って上流側に移動することが可能である。上流側に移動した生成水は、第3ガス拡散層53f、第2ガス拡散層52f、第1ガス拡散層51fを伝って、カソード触媒層40(電解質膜30)に供給される。その結果、電解質膜30の上流側が過剰に乾燥することが防止される。
以上説明したように、第6実施例の単セル100fは、上述した第3実施例の単セル100bの種々の特徴に加えて、親水処理が施された第4ガス拡散層54fが設けられているという特徴を有している。その結果、第6実施例の単セル100fは、上述した第3実施例の利点に加えて、電解質膜30の上流側が過剰に乾燥することを防止することが可能になるという利点を有する。
G.第7実施例:
上述の各実施例において、第2ガス拡散層の下端側ガス流路の形状としては、種々の形状を採用することが可能である。例えば、図4に示す第2実施例において、下端側ガス流路522が途中で屈曲していてもよい。図12は、このような特徴を有する第2ガス拡散層52gを示す説明図である。図12には、第2ガス拡散層52gの、上面から(図4のU方向に沿って)見た上面図が示されている。また、図12には、第2ガス拡散層52gを含むカソード透過層からの排ガスが流れる排出流路710が示されている。この排出流路710は、第2ガス拡散層52gの下流側(右側)の端部の下側に接続されている。また、複数の下端側ガス流路522gのそれぞれは、第2ガス拡散層52gの中間位置から下流側の端部へ向かう途中で、下方向に向かってステップ状に屈曲している。このように、各下端側ガス流路522gは、排出流路710に近づく方向へ屈曲するという特徴を有している。その結果、各下端側ガス流路522gを排出流路710に近づけることができるので、圧損の上昇を抑えることが可能となる。なお、排出流路710の位置に拘わらずに、下端側ガス流路522gを屈曲させることとしてもよい。いずれの場合も、複数の下端側ガス流路522gの少なくとも一部を屈曲させれば、第2ガス拡散層52gの設計の自由度を向上させることができる。
また、下端側ガス流路の幅を、上流側よりも下流側の方が広くなるように設定してもよい。図13は、このような特徴を有する第2ガス拡散層52hの上面図である。この第2ガス拡散層52hが有する複数(図13の例は5つ)の下端側ガス流路522hのそれぞれの幅は、下流側ほど広くなるように設定されている。従って、下流側ほど、生成水が排出され易くなるので、第2ガス拡散層52hを含むカソード透過層の下流側に過剰な水が蓄積されることを防止することができる。なお、幅が変化する下端側ガス流路522hの形状としては、直線的に幅が拡がる形状以外の種々の形状を採用することができる。例えば、ステップ状に幅が拡がる形状を採用してもよい。いずれの場合も、複数の下端側ガス流路522hの少なくとも一部について、その幅を下流側ほど広くなるように設定すれば、カソード透過層の下流側に過剰な水が蓄積されることを防止することができる。
また、下流側へ向かって延びる下端側ガス流路が、その途中で、複数の流路に分岐していてもよい。図14は、このような特徴を有する第2ガス拡散層52iの上面図である。この第2ガス拡散層52iが有する複数(図14の例では3つ)の下端側ガス流路522iのそれぞれは、下流側(図14の右側)へ向かって延びる途中で2つのガス流路に分岐している。従って、下流側ほど、生成水が排出され易くなるので、第2ガス拡散層52iを含むカソード透過層の下流側に過剰な水が蓄積されることを防止することができる。なお、途中で分岐する下端側ガス流路522iの形状としては、1本から2本へ分岐する形状以外の種々の形状を採用することができる。例えば、分岐した後の2本の流路のそれぞれが、さらに、下流側に向かって2本に分岐してもよい。いずれの場合も、複数の下端側ガス流路522iの少なくとも一部について、下流側に向かって延びる複数の流路に分岐することとすれば、カソード透過層の下流側に過剰な水が蓄積されることを防止することができる。
なお、図14の第2ガス拡散層52iには、各下端側ガス流路522iを囲む主壁526iと、この主壁526iと分離した仕切壁524iとが設けられている。このような第2ガス拡散層52iを形成する方法としては、第1ガス拡散層51の上に主壁526iと仕切壁524iとを別々に配置して形成する方法や、1枚のカーボン多孔質シートに下端側ガス流路522iとしての溝を掘ることによって、第1ガス拡散層51と第2ガス拡散層52iとを一体に形成する方法等を採用すればよい。また、第2ガス拡散層において仕切壁524iと主壁526iとを一体に形成することとしてもよい。図15は、このような特徴を有する第2ガス拡散層52jの上面図である。図14の第2ガス拡散層52iとの差異は、仕切壁524jと主壁526jとを接続する接続部528jを有している点だけである。こうすれば、図4の第2ガス拡散層52と同様に、第2ガス拡散層52jを容易に形成することが可能となる。
なお、このように、第2ガス拡散層52jにおいて、下端側ガス流路522jが、第2ガス拡散層52jを形成する部材によって閉じられていても良い。この場合も、生成水は下端側ガス流路522jを通ることによって下流側へ移動し易くなるので、カソード透過層50に過剰な水が蓄積されることを防止することができる。ただし、図4や図12〜14に示した実施例のように、下端側ガス流路が、第2ガス拡散層を形成する部材によって閉じられておらず、カソード電極の下流側に接続された排ガスの排出流路(図示せず)に連通していることが、水を排出しやすくできる点と、圧損の上昇を抑えることができる点で好ましい。
また、下端側ガス流路が、第2ガス拡散層の上流側の端部まで延びることとしてもよい。図16は、このような特徴を有する第2ガス拡散層52kの上面図である。この第2ガス拡散層52kが有する複数(図16の例では5つ)の下端側ガス流路522kのそれぞれの幅は、上流側よりも下流側の方が広くなるように設定されている。さらに、各下端側ガス流路522kは、第2ガス拡散層52kの上流側(図16の左側)へ延びて、上流側の端部に設けられた開口へ至る。すなわち、各下端側ガス流路522kは、カソード電極の上流側に接続された酸化ガスの供給流路(図示せず)に連通している。その結果、圧損の上昇を抑えることが可能となる。ただし、図4や図12〜14に示した実施例のように、第2ガス拡散層(例えば、図4の第2ガス拡散層52)の上流側には下端側ガス流路(例えば、図4の下端側ガス流路522)を設けないこととすれば、上流側の生成水が過剰に排出されることを防止できる点で好ましい。
以上、図12〜図16に示した下端側ガス流路の種々の特徴は、図4に示した第2実施例に限らず、上述した各実施例に適用することが可能である。また、複数の特徴を適用して第2ガス拡散層を構成してもよい。一般には、第2ガス拡散層の下端側ガス流路が、第2ガス拡散層の下流側の端部を通るとともに、さらに、下端側ガス流路の形状が、第2ガス拡散層のうちで下流側の端部における第2ガス拡散層部分の部材量が、上流側の端部における第2ガス拡散層部分の部材量よりも小さくなるように、構成されていればよい。こうすれば、カソード透過層の下流側に過剰な水が蓄積されることを防止することができる。ここで、部材量としては、下端側ガス流路部分を除いた第2ガス拡散層部分の体積を用いてもよく、また、下端側ガス流路部分を除いた第2ガス拡散層部分の重量を用いてもよい。また、図2、図4に示した下端側ガス流路522のように、下端側ガス流路は、第2ガス拡散層の下流側にのみ設けられることが好ましい。こうすれば、電解質膜30の上流側が過剰に乾燥することを防止することができる。ここで、「下流側にのみ設けられる」とは、上流側の端部に達していないことを意味する。
また、上端側ガス流路(例えば、図4の上端側ガス流路532)の形状についても、種々の形状を採用することができる。例えば、図4に示す第2実施例において、上端側ガス流路532が、図12の下端側ガス流路522gと同様に、途中で屈曲していてもよい。こうすれば、第3ガス拡散層53の設計の自由度を高めることができる。ここで、上流側へ向かって延びる上端側ガス流路532を、カソード電極の上流側に接続された酸化ガスの供給流路(図示せず)に近づく方向に屈曲させれば、圧損の上昇を抑えることが可能となる。また、上端側ガス流路532を、途中で分岐させてもよい。
また、上端側ガス流路532が、図15の下端側ガス流路522jと同様に、第3ガス拡散層53を形成する部材によって閉じられていても良い。ただし、上端側ガス流路532が、第3ガス拡散層53を形成する部材によって閉じられておらず、カソード電極の上流側に接続された酸化ガスの供給流路(図示せず)に連通していることが、圧損の上昇を抑えることができる点で好ましい。
また、上端側ガス流路532が、図16の下端側ガス流路522kと同様に、第3ガス拡散層53の下流側の端部まで延びていてもよい。こうすれば、圧損の過剰な上昇を防止する効果が顕著となる。
以上説明した上端側ガス流路の種々の特徴は、図4に示した第2実施例に限らず、上述した各実施例に適用することが可能である。また、複数の特徴を適用して第3ガス拡散層を構成してもよい。一般に、第3ガス拡散層の上端側ガス流路は、第3ガス拡散層の上流側の端部を通るように構成されていればよい。こうすれば、圧損が過剰に高くなることを防止することができる。また、上端側ガス流路を、第2ガス拡散層の下端側ガス流路と連通するように構成すれば、圧損の過剰の上昇を防止する効果がより顕著となる。また、図4に示した上端側ガス流路532のように、上端側ガス流路は、第3ガス拡散層の上流側にのみ設けられることが好ましい。こうすれば、第2ガス拡散層の下端側ガス流路(例えば、図4の下端側ガス流路522)に積極的にガスを流すことができるので、カソード透過層(例えば、図4のカソード透過層50)の下流側に蓄積された生成水の排出効率を高める効果が顕著となる。なお、「上流側にのみ設けられる」とは、下流側の端部に達していないことを意味する。
また、上端側ガス流路と下端側ガス流路とを連通させる場合には、第2ガス拡散層の中央部の位置で連通させることが好ましい。こうすれば、水の蓄積と排出とのバランスをとることが容易となる。この際、図4に示した第2実施例のように、下端側ガス流路を、第2ガス拡散層の下流側の端部から中央部に至るように構成すればよい。また、上端側ガス流路を、第3ガス拡散層の上流側の端部から中央部に至るように構成すればよい。
H.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
変形例1:
上述の各実施例において、各拡散層(例えば、図4の第1ガス拡散層51、第2ガス拡散層52、第3ガス拡散層53)を形成する材料としては、ガス透過性(拡散性)と導電性とが良好な種々の材料を採用することが可能である。このような材料としては、例えば、カーボン多孔質体を用いることができる。ここで、カーボン多孔質体は、カーボンペーパ、カーボンクロス、カーボンフェルト等のカーボン繊維を用いて形成されたものに限らず、カーボン粉末を用いて形成されたものも含んでいる。また、各拡散層を形成する材料としては、カーボン多孔質体に限らず、焼結金属や金属メッシュなどの金属多孔質体を用いてもよい。但し、カーボン多孔質体は加工し易いので、カーボン多孔質体を用いれば、燃料電池の製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
変形例2:
上述の各実施例において、拡散層(例えば、図6の第1ガス拡散層51b)が撥水性を有するか否かを判断する方法としては、周知の種々の方法を採用することができる。例えば、拡散層に水滴を滴下させたときの接触角が90度よりも大きい場合に、撥水性を有すると判断してもよい。また、拡散層が撥水性材料によって覆われている場合に、撥水性を有すると判断してもよい。また、拡散層の材料が撥水性材料を含んでいる場合に、撥水性を有すると判断してもよい。また、拡散層に撥水処理が施されている場合に、撥水性を有すると判断してもよい。
同様に、拡散層(例えば、図8の第3ガス拡散層53d)が親水性を有するか否かを判断する方法としても、周知の種々の方法を採用することができる。例えば、拡散層に水滴を滴下させたときの接触角が90度よりも小さい場合に、親水性を有すると判断してもよい。また、拡散層が親水性材料によって覆われている場合に、親水性を有すると判断してもよい。また、拡散層の材料が親水性材料を含んでいる場合に、親水性を有すると判断してもよい。また、拡散層に親水処理が施されている場合に、親水性を有すると判断してもよい。
変形例3:
上述の各実施例では、各拡散層(例えば、図4の第1ガス拡散層51、第2ガス拡散層52、第3ガス拡散層53)が、別体のシートとして形成されていたが、その代わりに、複数の拡散層を一体に形成することとしてもよい。例えば、図4の第2実施例において、第2ガス拡散層52と第3ガス拡散層53とを一体に形成することとしてもよい。この場合には、1枚のカーボン多孔質シートの1つの面に下端側ガス流路522としての溝を掘り、その裏面に、上端側ガス流路532としての溝を掘り、さらに、このカーボン多孔質シートに、下端側ガス流路522と上端側ガス流路532とを連通させるための穴を開ければよい。ただし、各拡散層を別体として形成すれば、各拡散層の加工が容易となるので、カソード透過層(例えば、図4のカソード透過層50)の製造コストの上昇を抑制することが可能となる。なお、この場合には、各拡散層を積層して接合させてもよく、また、各拡散層をホットプレスにより接合させてもよい。
変形例4:
カソード透過層の構成としては、上述した各実施例のカソード透過層の構成に限らず、種々の構成を採用することができる。例えば、図11に示す第6実施例において、第3ガス拡散層53fを省略した構成を採用してもよい。一般に、カソード透過層が、触媒層に接して設けられた第1ガス拡散層と、第1ガス拡散層に接して設けられるとともに下端側ガス流路を有する第2ガス拡散層(例えば、図4の第1ガス拡散層51、第2ガス拡散層52)と、を備えていれば、カソード電極の下流側に過剰な水が蓄積することを防止することができる。さらに、第2ガス拡散層に接して設けられるとともに上端側ガス流路を有する第3ガス拡散層(例えば、図4の第3ガス拡散層53)を設ければ、カソード拡散層における圧損が過剰に高くなることを防止でき、また、カソード電極の上流側から水を過剰に排出することを防止することができる。さらに、図11に示す第6実施例のように、カソード透過層50fが、第1ガス拡散層51f、第2ガス拡散層52f、第3ガス拡散層53f以外の層(この例では、第4ガス拡散層54f)を有することとしてもよい。
また、上述の各実施例において、上端側ガス流路(例えば、図4の上端側ガス流路532)と、下端側ガス流路(例えば、図4の下端側ガス流路522)とが互いに連通していない構成を採用してもよい。ただし、上端側ガス流路と下端側ガス流路とが連通していれば、圧損の過剰な上昇を容易に防止することが可能となる。
変形例4:
上述の各実施例において、さらに、アノード電極70のアノード透過層10(図1)が、カソード電極のカソード透過層(例えば、図2のカソード透過層50)と同様に、触媒層に接して設けられた第1ガス拡散層と、第1ガス拡散層に接して設けられるとともに下端側ガス流路を有する第2ガス拡散層と、を備えることとしてもよい。また、この場合には、セパレータ60のアノード電極70と接する面を平らに形成することが好ましい。こうすれば、セパレータ60の製造を容易なものとすることができる。
カソード電極(例えば、図1のカソード電極80)で生成された水の一部は、電解質膜30を介してアノード電極70に移動する。従って、アノード電極70の下流側にも過剰な水が蓄積する可能性がある。そこで、アノード透過層10に、第1ガス拡散層と、第2ガス拡散層と、を設ければ、アノード電極70の下流側に過剰な水が蓄積することを防止することができる。この際、アノード透過層10の構成としては、上述した各実施例のカソード透過層(例えば、図4のカソード透過層50aや、図6のカソード透過層50b)と同じ構成を採用することができる。また、アノード透過層10のみが、第1ガス拡散層と、第2ガス拡散層と、を備えることとしてもよい。ただし、通常の燃料電池では、アノード電極70と比べてカソード電極に蓄積される水の量が多い傾向があるので、少なくとも、カソード透過層が、第1ガス拡散層と、第2ガス拡散層と、を備えることが好ましい。
変形例5:
上述の各実施例では、電解質として固体高分子電解質を用いたが、この他にも、固体酸化物電解質や、リン酸電解質や、アルカリ水溶液電解質や、溶融炭酸塩電解質等、種々のタイプの電解質を用いることができる。
本発明の一実施例としての燃料電池100の構造を示す分解図である。 カソード電極80の詳細を示す分解図である。 単セル100を側面(図2のS方向)から見た断面図である。 第2実施例のカソード電極80aの詳細を示す分解図である。 単セル100aのカソード電極80a側の半分を側面からみた断面図である。 第3実施例の単セル100bの断面図である。 第4実施例の単セル100cの断面図である。 第5実施例の単セル100dの断面図である。 電流密度/電圧特性を示すグラフである。 比較例の単セル100eのカソード電極80eの詳細を示す分解図である。 第6実施例の単セル100fのカソード電極80fの詳細を示す分解図である。 第2ガス拡散層52gを示す説明図である。 第2ガス拡散層52hの上面図である。 第2ガス拡散層52iの上面図である。 第2ガス拡散層52jの上面図である。 第2ガス拡散層52kの上面図である。
符号の説明
10...アノード透過層
20...アノード触媒層
30...電解質膜
40...カソード触媒層
50、50a、50b、50c、50d、50e、50f...カソード透過層
51、51b、51c、51d、51f...第1ガス拡散層
52、51b、52c、52d、52f、52g、52h、52i、52j、52k...第2ガス拡散層
53、53b、53c、53d、53f...第3ガス拡散層
54f...第4ガス拡散層
60...セパレータ
70...アノード電極
80、80a、80b、80c、80d、80e、80f...カソード電極
100、100a、100b、100c、100d、100e、100f...単セル(燃料電池)
502e...溝
522、522b、522c、522d、522f、522g、522h、522i、522j、522k...下端側ガス流路(スリット)
524i、524j...仕切壁
526i、526j...主壁
528j...接続部
532、532b...上端側ガス流路(スリット)
710...排出流路

Claims (10)

  1. 燃料電池であって、
    電解質層と、
    前記電解質層を挟むように配置された2つの電極と、を備え、
    前記2つの電極のうちの少なくとも一方の特定の電極は、
    前記電解質層に接して設けられた触媒層と、
    前記触媒層の前記電解質側の面とは反対側の面に接して設けられるとともに反応ガスが流れるガス透過層と、を有し、
    前記ガス透過層は、
    前記触媒層に接して設けられた第1ガス拡散層と、
    前記第1ガス拡散層の前記触媒層側の面とは反対側の面に接して設けられた第2ガス拡散層と、を有し、
    前記第2ガス拡散層は、前記第2ガス拡散層の下流側の端部を通るスリット状のガスの流路である下端側ガス流路を有し、
    前記下端側ガス流路の形状は、前記第2ガス拡散層のうちで下流側の端部における前記第2ガス拡散層部分の部材量が、上流側の端部における前記第2ガス拡散層部分の部材量よりも小さくなるように、構成されている、
    燃料電池。
  2. 請求項1に記載の燃料電池であって、
    前記ガス透過層は、さらに、
    前記第2ガス拡散層の前記第1ガス拡散層側の面とは反対側の面に接して設けられた第3ガス拡散層を有し、
    前記第3ガス拡散層は、前記第3ガス拡散層の上流側の端部を通るスリット状のガスの流路である上端側ガス流路を有する、
    燃料電池。
  3. 請求項2に記載の燃料電池であって、
    前記上端側ガス流路は、前記下端側ガス流路と連通するように構成されている、燃料電池。
  4. 請求項2ないし請求項3のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記下端側ガス流路は、前記第2ガス拡散層の下流側にのみ設けられ、
    前記上端側ガス流路は、前記第3ガス拡散層の上流側にのみ設けられている、
    燃料電池。
  5. 請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記第1ガス拡散層と、前記第2ガス拡散層と、は撥水性を有し、
    前記第3ガス拡散層は親水性を有する、
    燃料電池。
  6. 請求項5に記載の燃料電池であって、
    前記第1ガス拡散層と、前記第2ガス拡散層と、前記第3ガス拡散層と、は、多孔質部材を用いて形成されており、
    前記第1ガス拡散層は、その気孔率が前記第2ガス拡散層の気孔率よりも小さくなるように形成され、
    前記第2ガス拡散層は、その気孔率が前記第3ガス拡散層の気孔率よりも小さくなるように形成されている、
    燃料電池。
  7. 請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記第1ガス拡散層と、前記第2ガス拡散層と、前記第3ガス拡散層と、は撥水性を有する、燃料電池。
  8. 請求項7に記載の燃料電池であって、
    前記第1ガス拡散層と、前記第2ガス拡散層と、前記第3ガス拡散層と、は、多孔質部材を用いて形成されており、
    前記第1ガス拡散層は、その気孔率が前記第2ガス拡散層の気孔率よりも小さくなるように形成され、
    前記第2ガス拡散層は、その気孔率が前記第3ガス拡散層の気孔率よりも小さくなるように形成されている、
    燃料電池。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記各ガス拡散層のそれぞれは、別体のシートとして形成されている、燃料電池。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記各ガス拡散層のそれぞれは、カーボン多孔質体を用いて形成されている、
    燃料電池。
JP2004362934A 2004-12-15 2004-12-15 燃料電池 Pending JP2006172871A (ja)

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