JP2006169618A - 希土類元素を含む鉄系磁石合金粉、およびその製造方法、得られるボンド磁石用樹脂組成物、ボンド磁石、並びに圧密磁石 - Google Patents

希土類元素を含む鉄系磁石合金粉、およびその製造方法、得られるボンド磁石用樹脂組成物、ボンド磁石、並びに圧密磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】磁石合金粉、ボンド磁石の耐食性を向上できる表面被覆磁石合金粉、その製造方法及びそれを用いて得られる機械強度に優れるボンド磁石用樹脂組成物、ボンド磁石の提供。
【解決手段】希土類元素を含む鉄系磁石合金粉が、鉄と希土類元素の金属リン酸塩からなる複合金属リン酸塩被膜(A)を有し、その表面上にシリケート被膜(B)が形成されている表面被覆磁石合金粉。シリケート被膜の表面には、さらに、カップリング剤処理被膜(C)を形成できる。希土類元素を含む鉄系磁石合金粗粉を、有機溶媒中で粉砕する際、又は粉砕後に、リン酸を添加し攪拌して、磁石合金粉の表面に複合金属リン酸塩被膜(A)を形成し、次いで、この磁石合金粉スラリーから溶液を分離除去した後、アルコキシシリケートを混合し攪拌し、アルコキシシリケートを加水分解して、被膜(A)の表面にシリケート被膜(B)を形成することを含む表面被覆磁石合金粉の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、希土類元素を含む磁石合金粉、およびその製造方法、得られるボンド磁石用樹脂組成物、ボンド磁石、並びに圧密磁石に関し、さらに詳しくは、表面被覆が施され腐食環境下でも錆が発生せず、耐食性および樹脂密着性に優れる希土類元素を含む磁石合金粉、その製造方法、及びそれを用いた機械強度に優れるボンド磁石用樹脂組成物、ボンド磁石、並びに圧密磁石に関するものである。
近年、フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石などが、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器をはじめとする種々の製品にモーターやセンサーなどとして組込まれ、使用されている。これら磁石は、主に焼結法で製造されるが、脆く、薄肉化しにくいため複雑形状への成形は困難であり、また焼結時に15〜20%も収縮するため寸法精度を高められず、研磨等の後加工が必要で、用途面で大きな制約を受けている。
これに対し、ボンド磁石(樹脂結合型磁石)は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの熱可塑性樹脂、あるいは、硬化剤との併用によりエポキシ樹脂、ビス・マレイミドトリアジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂をバインダーとし、これに磁石合金粉を充填して容易に製造できるため、新しい用途開拓が繰り広げられている。
希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を、樹脂バインダーと混練してボンド磁石を製造する場合、該磁石合金粉を数μm程度に粉砕する必要がある。粉砕は不活性ガスまたは有機溶媒中で行うが、粉砕後の磁石合金粉は極めて活性であり、大気に触れると該磁石合金粉は急激に酸化が進み磁気特性を劣化させるので、微粉砕後に、僅かな酸素を不活性雰囲気に導入して徐酸化する方法が採られている。
こうしたボンド磁石の中でも、特に、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を用いたボンド磁石は、塩水中で錆が発生しやすいため、例えば、成形体表面に熱硬化性樹脂等のコーティング膜を形成することで発錆を抑制したり、また、成形体表面にリン酸塩含有塗料による被覆処理を施すことで発錆を抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、上記方法で作製された磁石合金粉でも、塩水中のような腐食性の厳しい環境下では、錆の抑制に対して十分に満足できるものではなかった。
また、粉末表面にリン酸塩処理やクロム酸塩処理などの化成処理を行うこと(例えば、特許文献2参照)、亜鉛やアルミニウムを蒸着すること(例えば、特許文献3参照)、高分子皮膜を形成すること(例えば、特許文献4参照)、さらには、金属めっきをすること(例えば、特許文献5参照)などの技術も提案されている。
しかし、上記いずれかの方法をSm−Fe−N系ボンド磁石用合金粉末に適用すれば、耐酸化性は向上するものの、粉末表面の性状が荒れて磁気特性が劣化してしまう。また、皮膜として充分な耐酸化性効果を得るためには、数10μm程度の膜厚にする必要があることから、磁気特性を発現する材料の体積分率が低下し、磁気特性の低下を招いてしまう。また、上記いずれかの方法では、皮膜を形成する際に微粉末同士の凝集も起こることから、磁気異方性の方向が不揃いになり、磁石成形体の磁気特性の低下が避けられなかった。
従来、磁石合金粉を被膜処理する場合、粉砕溶媒中にリン酸を添加し、希土類や鉄のリン酸塩を合金粉表面に生成させる方法が検討されている(例えば、特許文献6参照)。しかし、この方法で作製した磁石合金粉は、高温高湿度の環境下では磁気特性の低下が非常に少ないものの、この磁石合金粉を用いて作製したボンド磁石を塩水中に24時間浸漬すると、赤錆の発生を多少は低減できるが完全になくすことはできなかった。また、この方法で作製した磁石合金粉は、バインダー樹脂との界面に射出成形時の熱歪に起因する応力集中が起こりやすく、また、バインダー樹脂との親和性が不充分であり、そのためボンド磁石としての成形体の機械強度が低く、厳しい加工を施すと破壊するなどの問題があった。
近年、家電機器用モーター、自動車用センサーやモーターにおいて、海外で部品を組み立てるため船などによる輸送が必要となり、その使用環境、輸送環境がさらに厳しくなり、また機器を小型化するため、上記課題とともに磁気特性にも優れた磁石粉末が要求されていた。
特開2000−208321号公報 特開平1−14902号公報 特開昭64−15301号公報 特開平4−257202号公報 特開平7−142246号公報 特開2002−8911号公報
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点に鑑み、表面被覆が施され腐食環境下でも錆が発生せず、耐食性および樹脂密着性に優れる希土類元素を含む磁石合金粉、その製造方法、及びそれを用いて得られる機械強度に優れるボンド磁石用樹脂組成物、ボンド磁石、並びに圧密磁石を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉末に、先ず、鉄と希土類元素の金属リン酸塩からなる複合金属リン酸塩被膜を形成し、次に、この複合金属リン酸塩被膜の表面に特定のシリケート被膜を形成することで、腐食環境下でも錆が発生せず、耐食性および樹脂密着性に優れる希土類元素を含む磁石合金粉が得られ、さらには、このシリケート被膜の表面上に、必要によりシラン系カップリング剤などの処理被膜を形成することで、その性能がより高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、希土類元素を含む鉄系磁石合金からなる磁石粉末の表面に、リン酸鉄と希土類金属リン酸塩を含む複合金属リン酸塩被膜(A)とシリケート被膜(B)とを順次被覆形成してなる希土類元素を含む鉄系磁石合金粉が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、磁石粉末の平均粒径が8μm以下であることを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、複合金属リン酸塩被膜(A)が、Al、Zn、Mn、Cu、又はCaから選ばれる1種以上を金属成分とする金属リン酸塩をさらに含有することを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、シリケート被膜(B)が、下記の一般式(1)で示されるポリアルコキシポリシロキサンを加水分解して得られることを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉が提供される。ただし、式(1)中、Rは同一あるいは異なる炭素数1〜6のアルキル基、nは2〜100である。
Figure 2006169618
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、シリケート被膜(B)の表面に、さらに、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、またはアルミニウム系カップリング剤から選ばれるいずれかのカップリング剤を用いたカップリング剤処理被膜(C)を被覆形成することを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、カップリング剤が、シラン系カップリング剤であることを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第1又は5の発明において、被膜の厚さの合計が1〜100nmであることを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉が提供される。
一方、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明に係り、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に、樹脂バインダーとして熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含有してなるボンド磁石用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明のボンド磁石用樹脂組成物を、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法又は射出プレス成形法から選ばれるいずれかの成形法により成形して得られるボンド磁石が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明に係り、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を圧密化して得られ、見かけの密度が真密度の85%以上であることを特徴とする圧密磁石が提供される。
一方、本発明の第11の発明によれば、第1〜10のいずれかの発明において、希土類元素を含む鉄系磁石合金粗粉を有機溶媒中で粉砕する際、又は粉砕後に、リン酸を添加し攪拌して、磁石合金粉の表面に複合金属リン酸塩被膜(A)を形成する工程と、次いで、この磁石合金粉スラリーから溶液を分離除去した後、アルコキシシリケートを混合し攪拌し、アルコキシシリケートを加水分解して、被膜(A)の表面にシリケート被膜(B)を形成する工程とを含むことを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第11の発明において、有機溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、2−メトキシエタノール、エタノール、メタノール、又はイソプロピルアルコールから選ばれる1種以上であることを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第11の発明において、リン酸の添加量が、磁石合金粉の粉末重量当たり、0.1〜2mol/kgであることを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法が提供される。
また、本発明の第14の発明によれば、第11の発明において、複合金属リン酸塩被膜(A)を形成する工程において、さらに、Al、Zn、Mn、Cu、又はCaから選ばれる1種以上の金属を含む金属酸化物、複合酸化物、リン酸塩又はリン酸水素化合物を添加することを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法が提供される。
また、本発明の第15の発明によれば、第11の発明において、シリケート被膜(B)が形成された磁石合金粉を、100〜150℃で焼き付け乾燥させることを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法が提供される。
また、本発明の第16の発明によれば、第11の発明において、シリケート被膜(B)が形成された磁石合金粉に、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、またはアルミニウム系カップリング剤から選ばれるいずれかのカップリング剤を添加し、攪拌して、磁石合金粉の表面にカップリング剤処理被膜(C)を形成する工程をさらに含むことを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法が提供される。
また、本発明の第17の発明によれば、第11又は16の発明において、アルコキシシリケート、又はカップリング剤が、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.01〜5重量%の割合で添加されることを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第18の発明によれば、第11の発明において、磁石合金粉の表面にシリケート被膜(B)を形成する際に、さらにアルミニウムキレート化合物を添加することを特徴とする希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法が提供される。
本発明の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉は、安定な複合金属リン酸塩被膜によって均一に保護され、かつ、その表面に、より強固なシリケート被膜を有しているため、極めて耐食性に優れている。さらに、必要により該シリケート被膜の表面が、バインダー樹脂との親和性に優れるシラン系カップリング剤で覆われることで、この磁石合金粉を用いたボンド磁石用樹脂組成物は、成形体の機械強度に優れ、かつ5%塩水中でも錆の発生がなくなり、耐食性に優れ機械強度の高いボンド磁石の製造が可能となり、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の耐食性、耐酸化性および樹脂密着性に優れる希土類元素を含む鉄系磁石合金粉(以下、表面被覆磁石合金粉ともいう)、及びその製造方法、それを用いたボンド磁石用樹脂組成物、ボンド磁石、並びに圧密磁石について詳細に説明する。
1.表面被覆磁石合金粉
本発明の表面被覆磁石合金粉では、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉が、鉄と希土類元素の金属リン酸塩を含む複合金属リン酸塩被膜(A)で被覆され、その表面にシリケート被膜(B)が形成されている。また、このシリケート被膜(B)の表面上には、必要によりシラン系カップリング剤などによる処理被膜(C)を形成することができる。
磁石合金粉は、希土類元素を含む鉄系磁石合金の粉末であれば、特に制限されない。例えば、希土類−鉄−ほう素系、希土類−鉄−窒素系などの各種磁石合金粉を使用でき、中でも希土類−鉄−窒素系の磁石合金粉が好適である。希土類元素としては、Sm、Nd、Pr、Y、La、Ce、またはGd等が挙げられ、単独若しくは混合物として使用できる。これらの中では、特にSm又はNdを5〜40原子%、Feを50〜90原子%含有するものが好ましい。希土類元素を含む鉄系磁石合金粉(粗粉)は、溶解法あるいは還元拡散法等を用いて製造される。
希土類元素を含む鉄系磁石合金粉には、フェライト、アルニコなど、ボンド磁石や圧密磁石の原料となる各種磁石合金粉を混合してもよく、異方性磁石合金粉だけでなく、等方性磁石合金粉も対象となるが、異方性磁場(HA)が、4.0MA/m以上の磁石合金粉が好ましい。
また、上記磁石合金粉は、ボンド磁石や圧密磁石の原料であるため、平均粒径が8μm以下、特に5μm以下であることが望ましい。平均粒径が8μmを超えると、成形性が悪化するので好ましくない。
(A)複合金属リン酸塩被膜
本発明において、磁石合金粉は、その表面が鉄と希土類元素を金属成分として含む金属リン酸塩(a−1)で均一に被覆され、また、アルミニウム、亜鉛、マンガン、銅又はカルシウムのいずれか1種以上を金属成分として含む金属リン酸塩(a−2)が複合化した被膜で均一に被覆されていてもよい。
ここで、均一に被覆されるとは、磁石合金粉表面の80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上が複合金属リン酸塩被膜で覆われていることをいう。
金属リン酸塩(a−1)は、リン酸サマリウム、リン酸鉄などであり、これは磁石合金粉を構成する希土類や鉄にリン酸が反応して形成されたもので、これらが複合化した複合金属リン酸塩も含まれる。一方、金属リン酸塩(a−2)は、例えば、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸銅、リン酸カルシウム、又はこれらが2種以上複合化した金属塩などである。金属成分としては、アルミニウム、亜鉛、マンガン、銅およびカルシウム以外にも、クロム、ニッケル、マグネシウムなどでもよく、これらの金属リン酸塩が複合金属リン酸塩被膜に含まれていてもかまわない。
金属リン酸塩(a−1)、又はこれと金属リン酸塩(a−2)とが複合化した金属リン酸塩は、樹脂バインダーとの結合力を高め、磁石合金粉の耐食性を高める成分である。金属リン酸塩(a−1)だけでも充分な耐塩水性を得ることができるが、さらに耐塩水性を高めるためには、金属リン酸塩(a−2)の金属成分、すなわちアルミニウム、亜鉛、マンガン、銅又はカルシウムから選択された1種以上が、複合金属リン酸塩被膜(A)の金属成分全量に対して、30重量%以上、特に50重量%以上、より好ましくは80重量%以上含まれた複合金属リン酸塩とすることが好ましい。
(B)シリケート被膜
本発明の表面被覆磁石合金粉は、上記複合金属リン酸被膜の表面上に、シリケート被膜が形成されている。
このシリケート被膜は、その材料によって限定されるものではなく、シリカ粉を機械的に付着する方法、アルコキシシリケートを加水分解して被覆する方法、エチルシリケートを原料とするゾルゲル反応、又はプラズマ化学蒸着法で被覆する方法などによって得ることができるが、アルコキシシリケートを加水分解して得る方法が好適である。
アルコキシシリケートとは、アルコキシ基を有するシリケート化合物であり、具体的には、下記一般式(1)で示されるポリアルコキシポリシロキサンである。式(1)中、Rは同一あるいは異なる炭素数1〜6のアルキル基、nは2〜100である。
Figure 2006169618
このうち、Rが炭素数1〜3のアルキル基であり、nが2〜50のポリアルコキシポリシロキサン、さらには、Rが炭素数1〜2のアルキル基であり、nが2〜20のポリアルコキシポリシロキサンが好ましい。
上記アルコキシシリケートとしては、商品名;MKシリケートMS51(シリカ換算濃度が52重量%であるメチルシリケートオリゴマー、三菱化学(株)製)、商品名:MKシリケートMS56S(シリカ換算濃度が59重量%であるメチルシリケートオリゴマー、三菱化学(株)製)、商品名:ES40(ヒュルスジャパン社製)のようなエチルシリケートの部分加水分解縮合物などを挙げることができる。
ここに例示したシリケートオリゴマーは、ケイ素にアルコキシ基の結合したアルコキシシランを部分加水分解し、更に縮合してなるアルコキシシランのオリゴマーである。原料のアルコキシシランとしては、テトラアルコキシシランなど、加水分解縮合可能な基を2以上有するケイ素化合物が挙げられる。テトラアルコキシシラン、中でもテトラメトキシシランを用いれば容易にシリカ換算濃度を高くすることができる。
オリゴマー(低縮合物)を得る部分加水分解・縮合反応の際に、適宜触媒を加えることができる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸等を触媒として用いることができる。また、部分加水分解・縮合反応では、溶媒を存在させることができる。溶媒には、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等の水溶性の有機溶媒を用いることができる。溶媒の使用量は、テトラアルコキシシランに対して0.1〜10重量倍、好ましくは0.1〜1.5重量倍とする。テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合反応は、所定量の水を必要に応じて適宜攪拌しながら加えるとよい。加熱昇温して、還流状態で加水分解縮合反応を進行させる。還流温度は、溶媒の沸点に近い温度で行う。還流の反応時間は、触媒の種類にもよるが、通常0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間である。
次に、部分加水分解縮合反応により生成したアルコールを留出させる。この方法には各種の蒸留、蒸発操作が適用できる。すなわち、常圧又は減圧下でアルコールの沸点以上に加熱して留出させる方法、又は窒素、炭酸ガス、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを導入して留出させる方法などがある。工業的には、常圧で80〜200℃、好ましくは120〜180℃まで溶液で加熱、留去させる方法が適している。テトラアルコキシシランとしてテトラメトキシシランを用い、ポリメトキシポリシロキサンを得る場合は、この際の温度は80〜130℃、好ましくは100〜120℃である。留出時間は、特に制限はないが通常1〜5時間とする。工業的には、この範囲まで昇温した後、その温度を維持して0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間保ち、反応を完結させればよく、これにより多量の均一な生成物を効率的に得ることができる。
この反応生成物は、通常、縮合度で2〜30程度の縮合物の混合物として得られる。その一部を分離し、あるいは分離せずにそのまま用いてもよい。なお、本発明においてシリケートオリゴマーのシリカ換算濃度は、特に限定されるものではないが、52重量%以上が好ましく、特に、アルコール換算OH濃度が0.5重量%以下、特に0.1重量%以下とした場合、液の保存安定性が極めて優れたものとなる。OHを0.5重量%以下とする方法も特に限定されるものではなく、例えば、シリケートオリゴマーのOHを縮合させるか、又はエステル交換反応によりアルコキシ基とする方法で調整できる。
また、この方法で得られるシリケートオリゴマーには、通常0.5〜10%程度の、テトラアルコキシシランのモノマーが残存しているので、このモノマーを留去するのが望ましい。テトラメトキシシランのモノマーは角膜等への刺激性等の毒性を有し作業環境上好ましくないだけでなく、オリゴマーの保存安定性に影響を及ぼすことがあるからである。1重量%以下、好ましくは0.2重量%以下にまでモノマーを除去すればよい。
また、シリケートオリゴマーには、これと縮合反応し得る官能基、及び/又は加水分解により縮合反応しうる基を有する反応性有機化合物を配合して、珪素含有組成物とすることができる。反応性有機化合物とは、シリケートオリゴマーの有するアルコキシ基と互いに縮合可能な基を有する有機化合物、及び/又は加水分解によりシリケートオリゴマーの有するアルコキシ基と互いに縮合可能な基を生じうる有機化合物である。このような反応性有機化合物としては、たとえば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基等を有するものが挙げられ、その分子量は2000以下のものが好ましい。
(C)カップリング剤処理被膜
本発明においては、上記磁石粉末のシリケート被膜(B)には、更に、樹脂バインダーに対して親和性のあるカップリング剤処理被膜(C)を形成することができる。
ここで、カップリング剤としては、磁性粉表面のシリケート被膜、更に詳しくは表面活性シラノール基(Si−OH)と縮合反応を起こすとともに樹脂と十分な親和性を有するものであれば使用でき、特に特定されるものではない。例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤のいずれかが挙げられ、このうちシラン系カップリング剤が好ましい。
本発明において、シラン系カップリング剤は、次の一般式(2)で示されるような、1〜3個の加水分解性基(アルコキシ基)と、1〜3個のアルキル基又は官能基を含有する有機シラン系化合物である。
(4−n)−Si−X(n) …(2)
式(2)中、Rは直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、或いは含酸素、含窒素又は含硫黄置換基をもつ官能基のいずれかで、Xは加水分解性基を表し、nは4未満の整数である。
ここで、アルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。シクロヘキシル環、ビニル基、フェニル基を含むものでもよい。官能基とは、含酸素、含窒素又は含硫黄置換基をもつメタクリロキシアルキル、エポキシアルキル、グリシドキシアルキル、アミノアルキル、メルカプトアルキルなどである。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど炭素数1〜5のアルコキシが挙げられる。
シラン系カップリング剤の具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、アクリルブチルトリメトキシシラン、メタクリルプロピルトリメトキシシラン、p−[N−(2−アミノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノメチル−3−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノメチル−3−アミノプロピルメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、N,N−ビス[(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N‘−ビス(トリメチルシリル)尿素、ジエチルトリメチルシリルアミン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジフェニルシランジオール、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メトキシシリル)プロピル]アミン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサメチルジシラザン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ノナメチルトリシラザン、テトラメチルシクロテトラシラザン、テトラメチルジシラザン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]トリエチレンテトラミン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]−m−フェニレンジアミン、N−トリメチルシリルアセトアミド、トリメチルシリルアジド、トリメチルシリルシアナイド、トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルフェニル尿素等のシラン系カップリング剤が挙げられる。
上記シラン系カップリング剤の中で、好ましいのは、炭素数3〜10の直鎖状アルキル基、又は炭素数1〜10の官能基を有するトリアルコキシ系シランである。
また、チタン系カップリング剤としては、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリテシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられ、アルミニウム系カップリング剤には、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等がある。
表面被覆磁石合金粉の複層処理被膜の膜厚は、平均で1〜100nm、特に10〜80nmであることが好ましい。すなわち、複合金属リン酸塩被膜(A)およびシリケート被膜(B)の厚さの合計、あるいは、複合金属リン酸塩被膜(A)、シリケート被膜(B)、シラン系カップリング剤処理被膜(C)の厚さの合計は、平均で1〜100nmであることが好ましい。平均厚さが1nm未満であると十分な耐塩水性、機械強度が得られず、一方、100nmを越えると磁気特性が低下し、またボンド磁石を作製する際には混練性や成形性が低下する。複層処理被膜膜厚は、上記複層処理被膜で被覆された希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の断面の電子顕微鏡写真から確認することができる。
本発明においては、被膜の厚さの合計が上記の範囲内にあれば、複合金属リン酸塩被膜(A)、シリケート被膜(B)、又はシラン系カップリング剤処理被膜(C)の個々の厚さが制限されるものではないが、複合金属リン酸塩被膜(A)、及びシリケート被膜(B)がいずれも5〜40nmであることがさらに好ましい。
上記複層処理被膜で被覆された希土類元素を含む鉄系磁石合金粉は、ボンド磁石用樹脂組成物の原料として使用され、このボンド磁石用樹脂組成物を、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法又は射出プレス成形法から選ばれるいずれかの成形法により成形することにより、ボンド磁石を製造することができる。また、上記複層処理被膜で被覆された希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を圧密化して、見かけの密度が真密度の85%以上の圧密磁石を作製することができる。
2.表面被覆磁石合金粉の製造方法
本発明の複層処理被膜で被覆された希土類元素を含む鉄系磁石合金粉(表面被覆磁石合金粉)は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を次の方法により処理することで製造される。
(1)複合金属リン酸塩被膜の形成
溶解法あるいは還元拡散法等を用いて得られた希土類元素を含む鉄系磁石合金粗粉は、通常平均粒径20μmを超える粉末を含んでいる。そこで、該平均粒径20μmを超える粉末を含む希土類元素を含む鉄系磁石合金粗粉は、有機溶媒中で、平均粒径8μm以下に粉砕する必要がある。この粉砕の際、又は粉砕後に、リン酸を添加した後、該溶液を攪拌することで複合金属リン酸塩被膜を形成する。この際、リン酸とともに、アルミニウム、亜鉛、マンガン、銅又はカルシウムから選ばれた1種以上の金属の酸化物、複合酸化物、リン酸塩又はリン酸水素化合物を添加することができる。
先ず、平均粒径20μmを超える希土類元素を含む鉄系磁石合金の粗粉末に、有機溶媒を加え、磁石合金粉の粉砕前、あるいは粉砕中に、リン酸を添加して、攪拌を続ける。また、粉砕後の場合、なるべく粉砕から時間をおかずに添加することが望ましい。攪拌は、通常1〜180分間続行することが好ましい。リン酸を添加するのは、磁石合金粉の平均粒径が8μm以下であれば、粉砕後であってもよい。
有機溶媒としては、特に制限はなく、2−メトキシエタノール、イソプロピルアルコール、エタノール、トルエン、メタノール、ヘキサン等のいずれか1種または2種以上の混合物を用いると良い。但し、メタノールは、リン酸と速やかに反応してエステル化し、良好な被膜が形成されるのを妨げる恐れがあるので取り扱いには注意を要する。
前記の金属成分が容易に金属イオンを生成し、磁石合金粉の溶解を適度に調整するためには、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド等の極性溶媒を混合することが望ましい。また、磁石合金粉の溶解を促進するために、有機溶媒に水や酸を混合しても良い。
リン酸としては、金属化合物と反応して金属リン酸塩を生成するオルトリン酸をはじめ、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、直鎖状のポリリン酸、環状のメタリン酸が使用できる。また、リン酸アンモニウム、リン酸アンモニウムマグネシウムなども使用できる。これら化合物は、単独でも複数種を組み合わせてもよく、通常、キレート剤、中和剤などと混合して処理剤とされる。
これらのうち、オルトリン酸が好ましい性能を発揮するが、その理由は、これが上記の金属化合物と反応しやすく、希土類系金属を成分とする磁石合金粉の表面に保護膜を形成しやすいためと考えられる。
リン酸は、磁石合金粉の粒径、表面積等に合わせて最適量を添加するが、通常は、粉砕する磁石合金粉に対して0.1〜2mol/kg(粉末重量当たり)であり、好ましくは0.15〜1.5mol/kg、さらに好ましくは0.2〜0.4mol/kgである。リン酸の添加量が0.1mol/kg未満であると、磁石合金粉の表面が十分に被覆されないために耐塩水性が改善されず、また大気中で乾燥させると酸化・発熱して磁気特性が極端に低下する。2mol/kgを超えると、磁石合金粉との反応が激しく起こって磁石合金粉が溶解する。リン酸の濃度は、特に制限されず、無水リン酸、50〜99%リン酸水溶液などが用いられる。
金属成分は、アルミニウム、亜鉛、マンガン、銅又はカルシウムなどのイオンの供給源であり、有機溶媒に溶け金属イオンを生成する酸化物、複合酸化物、リン酸塩又はリン酸水素化合物などの金属化合物である。これらの金属化合物は、溶媒中でイオン化し、磁石合金粉の成分である希土類金属や鉄が溶媒へ溶け出すにともない、磁石合金粉の表面で反応して金属リン酸塩(a−2)が複合した被膜を形成する。そのため、鉄と希土類元素の金属燐酸塩(a−1)単独の場合に比べて、シリケート被膜などとの結合力をさらに向上することが可能となる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムイオンの供給源となり、有機溶媒に溶ける化合物であれば、特に制限されず、例えば、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化アルミニウムアンモニウム、安息香酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、エチルアセト酢酸アルミニウム、ぎ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ナフテン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、しゅう酸アルミニウム、酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸水素アルミニウム、塩化カリウムアルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、硫化アルミニウム、フタロシアニンアルミニウム、又は酒石酸アルミニウムが例示される。特に好ましいのは、リン酸アルミニウム、あるいはリン酸水素アルミニウムである。
亜鉛化合物としては、亜鉛イオンの供給源となり、有機溶媒に溶ける化合物であれば、特に制限されず、例えば、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、安息香酸亜鉛、炭酸亜鉛、エチルアセト酢酸亜鉛、ぎ酸亜鉛、水酸化亜鉛、硝酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、しゅう酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸亜鉛四水和物、リン酸水素亜鉛、リン酸亜鉛カルシウム、塩化カリウム亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫化亜鉛、フタロシアニン亜鉛、又は酒石酸亜鉛が例示される。特に好ましいのは、酸化亜鉛、リン酸亜鉛四水和物、或いはリン酸水素亜鉛である。
マンガン化合物としては、マンガンイオンの供給源となり、有機溶媒に溶ける化合物であれば、特に制限されず、例えば、酢酸マンガン、硫酸マンガン、塩化マンガン、塩化マンガンアンモニウム、安息香酸マンガン、炭酸マンガン、エチルアセト酢酸マンガン、ぎ酸マンガン、水酸化マンガン、硝酸マンガン、ナフテン酸マンガン、オレイン酸マンガン、しゅう酸マンガン、酸化マンガン、リン酸マンガン、リン酸水素マンガン、塩化カリウムマンガン、ステアリン酸マンガン、硫化マンガン、フタロシアニンマンガン、又は酒石酸マンガンが例示される。特に好ましいのは、酸化マンガン、或いはリン酸水素マンガンである。
また、銅化合物としては、銅イオンの供給源となり、有機溶媒に溶ける化合物であれば、特に制限されず、例えば、酢酸銅、硫酸銅、塩化銅、塩化銅アンモニウム、安息香酸銅、炭酸銅、エチルアセト酢酸銅、ぎ酸銅、水酸化銅、硝酸銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、しゅう酸銅、酸化銅、リン酸銅、リン酸水素銅、塩化カリウム銅、ステアリン酸銅、硫化銅、フタロシアニン銅、または酒石酸銅などが用いられる。特に好ましいのは、酸化銅(I)、或いはリン酸水素銅である。
さらに、カルシウム化合物としては、カルシウムイオンの供給源となり、有機溶媒に溶ける化合物であれば、特に制限されず、例えば、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化カルシウムアンモニウム、安息香酸カルシウム、炭酸カルシウム、エチルアセト酢酸カルシウム、ぎ酸カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、しゅう酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、塩化カリウムカルシウム、ステアリン酸カルシウム、硫化カルシウム、フタロシアニンカルシウム、又は酒石酸カルシウムが例示される。特に好ましいのは、酸化カルシウム、或いはリン酸水素カルシウムである。
金属成分であるアルミニウム、亜鉛、マンガン、銅又はカルシウムから選ばれた1種以上の金属の酸化物、複合酸化物、リン酸塩又はリン酸水素化合物は、磁石合金粉の粒径、表面積等に合わせて最適量を添加するが、該磁石合金粉に対して、例えば、0.01〜1mol/kg(粉末重量当たり)とする。添加量が0.01mol/kg未満であると、磁石合金粉の表面が十分に被覆されないために耐塩水性が改善されず、1mol/kgを超えると磁化の低下が著しくなり、磁石としての性能が低下する。
金属成分を添加する場合、その添加時期は、いつでも良く、粉砕前に溶媒に溶かしておき、粉砕途中に一度に添加する方法、粉砕中、徐々に添加する方法などが用いられる。あるいは粉砕直後であってもよい。
これによって、溶液中に溶けだした希土類元素、鉄など磁石を構成する元素がリン酸塩を形成し、金属化合物と反応しあって、複合金属リン酸塩が磁石合金粉を被覆する。この反応が完結し、充分な膜厚の被膜を形成するには、金属化合物の種類などにもよるが、1〜180分間、好ましくは3〜150分、さらに好ましくは5〜60分の攪拌(粉砕)、保持時間が必要である。
平均粒径が20μmを超える粉末を含む鉄系磁石合金粗粉は、平均粒径8μm以下、好ましくは1〜5μmまで粉砕されることが好ましい。
(2)シリケート被膜の形成
複合金属リン酸塩被膜で被覆された磁石合金粉が含まれたスラリーは、一旦、減圧濾過した後、シリケート被膜の被覆形成処理を行う。シリケート被膜の被覆形成処理の方法は、特に限定されないが、予め脱水縮合反応により高分子化されたアルコキシシリケート溶液を混合、攪拌してシリケート層を定着させる方法が好ましい。
アルコキシシリケート溶液は、アルコキシ基を有するシリケート化合物を含む処理液であり、具体的には、前記一般式(1)で示されるポリアルコキシポリシロキサンである。アルコキシシリケート溶液は、濃度が希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.01〜5重量%となるように添加・混合することが好ましい。0.01重量%未満では磁石合金粉表面を完全に被覆することができず、5重量%を超えると被膜が厚くなりすぎて脆くなってしまう。
また、アルコキシシリケートを加水分解してシリケート被膜を形成する際に、脱水縮合反応を促進する触媒として、アルミニウムキレート化合物を添加すると、被膜形成に要する時間が大幅に短縮できるだけでなく、ボンド磁石を製造したとき磁気特性を高めるという効果がある。
磁石合金粉の表面に、アルコキシシリケートを加水分解してシリケート被膜(B)を形成した後は、乾燥せずに、引き続き、カップリング剤を投入し、攪拌して、カップリング剤処理被膜(C)を形成する方法;シリケート被膜(B)を形成した後、特定の温度で焼き付け乾燥を行ってから、その後、カップリング剤を投入し、攪拌して、カップリング剤処理被膜(C)を形成する方法の二通りの方法がある。
このうち、シリケート被膜(B)を形成した後、焼付け乾燥してからシラン系カップリング剤を投入して、カップリング剤処理被膜(C)を形成する後者の方法のほうが、強固なシリケート被膜にシラン系カップリング剤のシロキサン構造を形成させることができるので、より好ましい。
被膜形成を完全に行うためには常に磁石合金粉スラリーを攪拌し、また、被膜形成を十分に行えるように、焼付け乾燥温度は100〜150℃にすることが好ましい。処理温度は高いほど緻密で強固な被膜が得られるが、高過ぎると磁性粉の磁気特性、特に保磁力が低下するので注意が必要である。
アルコキシシリケートは、上記複合金属リン酸被膜で表面被覆された磁石合金粉の表面上に、速やかに付着し、乾燥後はシリケート被膜として強固に結合する。磁性粉表面にシリケート被膜が直接結合したとしても、その結合酸化安定性は低いが、下地に酸化安定性の高い複合金属リン酸被膜があることによって、シリケート層の結合安定性は飛躍的に向上する。また、従来、複合金属リン酸被膜は完全に緻密とは言えず、そのため腐食性イオンの透過が避けられなかったが、シリケート被膜と組み合わせると複合金属リン酸被膜欠陥部分は完全に封穴され、バリアー効果が相乗的に向上する。そのため、従来は複合金属リン酸被膜が形成されても発生することがあった錆の問題をなくすことができる。
(3)カップリング剤処理被膜の形成
次いで、上記磁石合金粉のシリケート被膜に、樹脂バインダーに対して親和性のあるカップリング剤処理被膜を形成する。その形成に用いられるカップリング剤としては、前記のとおり、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤のいずれかが挙げられる。
カップリング剤の添加量は、その成分の種類や濃度により異なるが、磁石粉末に対して0.01〜5重量%でよく、好ましくは0.1〜3重量%であり、0.5〜2重量%であることがより好ましい。添加量が0.01重量%未満の場合は、磁石粉末が十分に被覆されず、また5重量%を超えると密度の低下に伴う磁気特性の低下、機械強度の低下等のため、実用に耐えうる樹脂結合型磁石を得ることが困難になる。
また、有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、2−メトキシエタノール、エタノール、メタノール又はイソプロピルアルコールから選ばれた1種以上を用いることができる。
カップリング剤により磁石粉末を被覆するには、湿式処理法や乾式処理法などが採用でき、予め単独で被覆処理してもよく、樹脂バインダー等と磁石粉末との混合時に併せて添加、処理しても良い。このときメカノフュージョン法により予め単独で被覆処理を行えば、より安定した被覆磁石粉末を得ることができる。
上記複層被膜形成後、処理溶液と該磁石合金粉は、100〜500℃の真空オーブン中で1〜30時間乾燥させることが好ましい。この時、加熱処理を不活性ガス中または真空中で行うことが好ましい。100℃未満で加熱処理を施すと、該磁石合金粉の乾燥が十分進まずに、安定な表面被膜の形成が阻害される。また、500℃を超える温度で加熱処理を施すと、磁石合金粉が熱的なダメージを受け、保磁力がかなり低くなるという問題がある。上記したように、この複層処理被膜の合計の膜厚は、平均で1〜100nmの厚さが好ましい。平均厚さが1nm未満であると十分な耐塩水性、機械強度が得られず、一方、100nmを越えると磁気特性が低下し、またボンド磁石を作製する際には混練性や成形性が低下してしまう。
3.ボンド磁石用樹脂組成物
本発明のボンド磁石用樹脂組成物は、上記の表面被覆磁石合金粉に、樹脂バインダーとして熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を配合し、所望によりその他の添加剤を配合したものである。
樹脂バインダーは、磁石粉末の結合材として働く成分であり、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの熱可塑性樹脂、あるいは、エポキシ樹脂、ビス・マレイミドトリアジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、硬化反応型シリコーンゴムなどの熱硬化性樹脂が使用できるが、特に熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂の種類は、特に制限されず、従来樹脂バインダーとして公知のものを使用できる。熱可塑性樹脂の具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン612、芳香族系ナイロン、重合脂肪酸系ポリアミド樹脂、これらの分子を一部変性した変性ナイロン等のポリアミド樹脂;直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂、架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂、セミ架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂;低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ポリメチルペンテン樹脂;ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂;メタクリル樹脂;ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリルエーテルアリルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、酢酸セルロース樹脂、前出の各樹脂系エラストマー等が挙げられ、これらの単重合体や他種モノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、他の物質による末端基変性品等が挙げられる。
これら熱可塑性樹脂は、得られるボンド磁石に所望の機械的強度が得られる範囲で、溶融粘度や分子量が低いものが望ましい。また、熱可塑性樹脂の形状は、パウダー状、ビーズ状、ペレット状等、特に限定されないが、磁石合金粉と短時間に均一に混合される点で、パウダー状が望ましい。
熱可塑性樹脂の配合量は、磁石合金粉100重量部に対して、通常5〜100重量部、好ましくは5〜50重量部である。熱可塑性樹脂の配合量が5重量部未満であると、組成物の混練抵抗(トルク)が大きくなったり、流動性が低下して磁石の成形が困難となったりし、一方、100重量部を超えると、所望の磁気特性が得られなくなってしまう。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビス・マレイミドトリアジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、キシレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、熱硬化型シリコーン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、熱硬化型フッ素樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ケイ素樹脂などが例示される。
熱硬化性樹脂であれば、その取り扱い性、ポットライフの面から2液型が有利であり、2液を混合後は、常温から200℃までの温度で硬化しうるものが好ましい。その反応機構は、一般的な付加重合型でも縮重合型であってもよい。また、必要に応じて過酸化物等の架橋反応型モノマーやオリゴマーを添加しても差し支えない。
これらは、反応可能な状態にあれば、重合度や分子量に制約されないが、硬化剤や他の添加剤等との最終混合状態で、ASTM100型レオメーターで測定した150℃における粘度が500Pa・s以下、好ましくは400Pa・s以下、特に好ましくは、100〜300Pa・sである。粘度が500Pa・sを超えると、成形時に著しい混練トルクの上昇、流動性の低下を招き、成形困難になるので好ましくない。一方、粘度が小さくなりすぎると、磁石粉末と樹脂バインダーが成形時に分離しやすくなるため、0.5Pa・s以上であることが望ましい。
上記樹脂バインダーは、磁石合金粉100重量部に対して、3〜50重量部の割合で添加される。添加量は7〜30重量部、さらには、10〜20重量部がより好ましい。3重量部未満では、著しい混練トルクの上昇、流動性の低下を招いて、成形困難になり、一方、50重量部を超えると、所望の磁気特性が得られないので好ましくない。
本発明における樹脂バインダーには、滑剤、紫外線吸収剤、難燃剤や種々の安定剤等を添加できる。
滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類;ステアリン酸、1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩(金属石鹸類);ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル;エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポリエーテル類;ジメチルポリシロキサン、シリコングリース等のポリシロキサン類;弗素系オイル、弗素系グリース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物;窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪素、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられる。これらの滑剤は、一種単独でも二種以上組み合わせても良い。該滑剤の配合量は、磁石合金粉100重量部に対して、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;蓚酸アニリド誘導体などが挙げられる。
また、安定剤としては、ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3、5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7、7、9、9−テトラメチル−3−オクチル−1、2、3−トリアザスピロ[4、5]ウンデカン−2、4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン、こはく酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)イミノ−1、3、5−トリアジン−2、4−ジイル][(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[[2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ]]、2−(3、5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等のヒンダード・アミン系安定剤のほか、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系などの抗酸化剤等が挙げられる。これらの安定剤も、一種単独でも二種以上組み合わせても良い。該安定剤の配合量は、磁石合金粉100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部である。
混合方法は、特に限定されず、例えば、リボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の混合機、或いはバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機が使用できる。
4.ボンド磁石
上記のボンド磁石用樹脂組成物は、樹脂バインダーが熱可塑性樹脂の場合、その溶融温度で加熱溶融された後、所望の形状を有する磁石に成形される。その際、成形法としては、従来からプラスチック成形加工等に利用されている射出成形法、押出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、トランスファー成形法等の各種成形法が挙げられるが、これらの中では、特に射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、及び射出プレス成形法が好ましい。
一方、樹脂バインダーが熱硬化性樹脂の場合は、混合時の剪断発熱等によって硬化が進まないよう、剪断力が弱く、かつ冷却機能を有する混合機を使用することが好ましい。混合により組成物が塊状化するので、これを射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、圧延成形法、或いはトランスファー成形法等により成形する。
得られるボンド磁石においては、海水の塩分濃度付近である5%塩水中に24時間浸漬しても、ボンド磁石に赤錆は殆ど生じない。それは、こうして得られたボンド磁石は、磁石合金粉に形成した複合金属リン酸塩被膜とガラス質のシリケート層を有しており、さらには、それにシラン系カップリング剤などのカップリング剤が強固に結合すると、これらの相乗バリアー効果が得られ、水、酸素、腐食性イオンの浸透を抑制するためである。
また、前記したように、アルコキシシリケートは、複合金属リン酸被膜で表面被覆された磁石合金粉の表面上に、速やかに付着し、乾燥後はシリケート被膜として強固に結合する。磁性粉表面にシリケート被膜が直接結合しても、その結合酸化安定性は低いが、下地に酸化安定性の高い複合金属リン酸被膜があることによって、シリケート層の結合安定性は飛躍的に向上する。また、従来、複合金属リン酸被膜は完全に緻密とは言えず、そのため腐食性イオンの透過が避けられなかったが、シリケート被膜と組み合わせると複合金属リン酸被膜欠陥部分は完全に封穴され、バリアー効果が相乗的に向上する。
つまり、磁石合金粉に複合金属リン酸被膜、次いでシリケート層を形成し、そして必要によりナイロン樹脂等に高い親和性を有するカップリング剤を順次組み合わせて形成することによって、それらの各機能が相乗的に向上、理想的な界面構造が構築される。
従って、本発明によれば、希土類−鉄−窒素系合金磁石の保磁力が低下する問題がないため、このボンド磁石は、実用上重要な高温環境下で劣化を引き起こすという問題点が完全に克服されているだけでなく、機械強度に優れ、厳しい変形負荷にも割れることなく耐えることができる。
5.圧密磁石
本発明の圧密磁石は、上記の耐塩水性被膜を有する磁石合金粉を圧密化して製造される。その製造方法は、表面被覆磁石合金粉に高い圧縮力がかけられ、見かけ密度を真密度の85%以上としうる方法であれば、特に限定されない。見かけ密度が85%未満では磁気特性が低く、また、磁石合金粉の劣化要因である酸素や水分の経路となるオープンポアが多数発生するので好ましくない。本発明の磁石合金粉は、そのままで高い耐食性を示すが、この磁石合金粉を圧密化した圧密磁石は、オープンポアを無くすことによって、さらに高度な耐食性を実現でき、ボンド磁石と同様に高い耐塩水性を示す。
本発明の表面被覆磁石合金粉から圧密磁石を製造することで、上記の耐食性以外に磁気特性、特に磁石の保磁力が改善される。圧密化するとき、希土類−鉄−窒素系化合物の分解や脱窒素を防止するとともに、粒子間に非磁性体のリン酸塩被膜、シリケート被膜などが均一に存在するため保磁力の低下を防ぐことができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)成分
磁石合金粉:
・Sm−Fe−N系磁石合金粉[住友金属鉱山(株)製、平均粒径:30μm]
有機溶媒:
・イソプロピルアルコール(IPA)[関東化学(株)製]
被膜成分:
リン酸水溶液
・85%オルトリン酸水溶液[商品名:りん酸、関東化学(株)製]
・酸化亜鉛[関東化学(株)製]
シリケート溶液:
・MKシリケートMS51(商品名、シリカ換算濃度が52重量%であるメチルシリケートオリゴマー、三菱化学(株)製)
・MKシリケートMS56S(商品名、シリカ換算濃度が59重量%であるメチルシリケートオリゴマー、三菱化学(株)製)
・アルミニウムキレート化合物(商品名:アルミキレートD、川研ファインケミカル(株)社製)
シラン系カップリング剤:
・3−アミノプロピルトリエトキシシラン:日本ユニカー(株)製、A−1100
・ビニルトリエトキシシラン:日本ユニカー(株)製、A−151
・メタクリルプロピルトリメトキシシラン:日本ユニカー(株)製、A174
チタネート系カップリング剤:
・アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート:味の素ファインテクノ製
樹脂バインダー(ナイロン樹脂)
・ナイロン12(商品名、ダイアミドZ9005、ダイセル・デグサ(株)製)
(2)評価方法
得られた複層処理被膜で被覆された希土類元素を含む鉄系磁石合金粉について、以下の方法を用いて評価を行った。
(2−1)複層処理被膜の合計膜厚
上記複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆された希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。
(2−2)耐塩水性(耐食性)
得られた磁石合金粉試料とナイロン12を、200℃のラボプラストミル中で30分混練し、空冷後、各組成物をプラスチック粉砕機により粉砕して、それぞれ成形用ペレットとした。得られたペレットを射出成形機にて、7mm方向に560kA/mの配向磁界をかけながら、直径10mm×厚さ7mmの円柱状希土類系磁石を製造した。
これを5%NaCl水溶液中に成形体の半分までつかるようにして浸漬後、室温にて24時間放置し、錆の発生の有無を目視観察した。
(2−3)流動性(メルトインデックスMI法)
東洋精機(株)製メルトインデクサーを用い、測定温度:250℃、荷重:21.6kgで、ダイスウェル:直径2.1mm×厚さ8mmの中を所定重量のコンパウンドが通過する所要時間から、流動性(cm/sec)を評価した。この値が大きいほど流動性が高く、射出成形性が良好である。
(2−4)磁気特性
射出成形法により、直径20mm×厚さ15mmの円柱形磁石を成形し、パルス着磁機で5.6MA/m(70kOe)の外部磁場を印加して着磁した。その後、東英工業(株)製チオフィー型自記磁束計を用いて、磁石の残留磁化Br(T(kG))を測定した。
(2−5)機械的強度
寸法(幅W:15mm×長さL:8mm×厚みH:2mm)の板状試験片を支点間距離(Lv)7.5mmで支え、その中心に加重を加え、破断した時の加重(P)から次式で計算される曲げ強さ(σ)を機械強度とした。この値が大きいほど機械強度は高い。
曲げ強さの計算は以下の式による:
σ=3P/(2Wh
[実施例1〜3]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
表1の記載に従って、85%オルトリン酸水溶液を合金粉に0.3mol/kg添加、攪拌してスラリー化した(実施例2のみ、オルトリン酸水溶液に酸化亜鉛も添加した)。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入、シリケート溶液を添加、攪拌しながら真空中150℃に保持して2時間乾燥させた。アルコキシシリケートを含む溶液が、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.5重量%の割合になるように添加した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。実施例2は、Znを、複合金属リン酸塩被膜の金属成分に対して、5.0重量%含有していた。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表1に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表1の結果を得た。
[実施例4〜9]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
表1の記載に従って、85%オルトリン酸水溶液を合金粉に0.3mol/kg添加し、攪拌してスラリー化した(実施例5のみ、オルトリン酸水溶液に酸化亜鉛も添加した)。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入した。
その後、シリケート溶液(三菱化学MKシリケートMS51、またはMS56S)を添加し、攪拌しながら真空中130℃に保持して2時間乾燥させた。なお、実施例9は、シリケート溶液(三菱化学MKシリケートMS56S)にアルミニウムキレート化合物(川研ファインケミカル(株)社製、商品名:アルミキレートD)を0.05重量%含有させた。
こうしてシリケート被膜が形成された磁石合金粉を、室温まで冷却後、更にシラン系カップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン:日本ユニカーA−1100、ビニルトリエトキシシラン:日本ユニカーA−151、またはメタクリルプロピルトリメトキシシラン:日本ユニカーA174)のイソプロピルアルコール溶液を添加し、攪拌しながら真空中130℃で保持して2時間乾燥させた。アルコキシシリケート、シラン系カップリング剤を含む溶液は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、それぞれ0.5重量%の割合になるように添加した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。実施例5は、Znを、複合金属リン酸塩被膜の金属成分に対して、5.0重量%含有していた。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表1に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表1の結果を得た。
[実施例10]
実施例4と同様にして、85%オルトリン酸水溶液を合金粉に0.1mol/kg添加し、攪拌してスラリー化した。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入した。
その後、シリケート溶液(三菱化学MKシリケートMS56S)を、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.01重量%の割合になるように添加し、シラン系カップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン:日本ユニカーA−1100)を含む溶液を、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.5重量%の割合になるように添加した以外は、実施例4と同様にして、磁石合金粉に複層被膜を形成した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表1に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表1の結果を得た。
[実施例11]
実施例4と同様にして、85%オルトリン酸水溶液を合金粉に2mol/kg添加し、攪拌してスラリー化した。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入した。
その後、シリケート溶液(三菱化学MKシリケートMS56S)を、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、5重量%の割合になるように添加し、シラン系カップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン:日本ユニカーA−1100)を含む溶液を、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.5重量%の割合になるように添加した以外は、実施例4と同様にして、磁石合金粉に複層被膜を形成した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表1に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表1の結果を得た。
[実施例12]
実施例4と同様にして、85%オルトリン酸水溶液を合金粉に0.1mol/kg添加し、攪拌してスラリー化した。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入した。
その後、シリケート溶液(三菱化学MKシリケートMS56S)を、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.5重量%の割合になるように添加し、シラン系カップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン:日本ユニカーA−1100)を含む溶液を、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.01重量%の割合になるように添加した以外は、実施例4と同様にして、磁石合金粉に複層被膜を形成した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表1に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表1の結果を得た。
[実施例13]
実施例4と同様にして、85%オルトリン酸水溶液を合金粉に2mol/kg添加し、攪拌してスラリー化した。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入した。
その後、シリケート溶液(三菱化学MKシリケートMS56S)を、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.5重量%の割合になるように添加し、シラン系カップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン:日本ユニカーA−1100)を含む溶液を、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、5重量%の割合になるように添加した以外は、実施例4と同様にして、磁石合金粉に複層被膜を形成した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表1に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表1の結果を得た。
[実施例14〜18]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
表2の記載に従って、85%オルトリン酸水溶液を合金粉に0.3mol/kg添加、攪拌してスラリー化した(実施例15のみ、オルトリン酸水溶液に酸化亜鉛も添加した)。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入、シリケート溶液(三菱化学MKシリケートMS51、またはMS56S)を添加、3分間攪拌後、シラン系カップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン:日本ユニカー製A−1100、ビニルトリエトキシシラン:日本ユニカーA−151、またはメタクリルプロピルトリメトキシシラン:日本ユニカーA−174)のイソプロピルアルコール溶液を添加、攪拌しながら真空中150℃保持して、2時間乾燥させた。アルコキシシリケート、シラン系カップリング剤を含む溶液は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、それぞれ0.5重量%の割合になるように添加した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。実施例15は、Znを、複合金属リン酸塩被膜の金属成分に対して、5.0重量%含有していた。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表2に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表2の結果を得た。
[実施例19]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
85%オルトリン酸水溶液を合金粉に0.3mol/kg添加し、攪拌してスラリー化した。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入した。その後、シリケート溶液を添加し、攪拌しながら真空中150℃に保持して2時間乾燥させた。室温まで冷却後、更にチタネート系カップリング剤(味の素ファインテクノ製、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート)のイソプロピルアルコール溶液を添加し、攪拌しながら真空中130℃に保持して2時間乾燥させた。アルコキシシリケート、カップリング剤を含む溶液は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、それぞれ0.5重量%の割合になるように添加した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表2に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表2の結果を得た。
[実施例20〜22]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
85%オルトリン酸水溶液を合金粉に0.3mol/kg添加し、攪拌してスラリー化した。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入した。その後、シリケート溶液を添加し、攪拌しながら真空中90℃、100℃、または160℃に保持して2時間乾燥させた。室温まで冷却後、更にシラン系カップリング剤(日本ユニカー製A−1100)のイソプロピルアルコール溶液を添加し、攪拌しながら真空中130℃保持して、2時間乾燥させた。アルコキシシリケート、シラン系カップリング剤を含む溶液は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、それぞれ0.5重量%の割合になるように添加した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表2に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表2の結果を得た。
[実施例23]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
85%オルトリン酸水溶液を合金粉に0.3mol/kg添加し、攪拌してスラリー化した。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入した。その後、シリケート溶液を添加し、攪拌しながら真空中150℃に保持して2時間乾燥させた。室温まで冷却後、更にシラン系カップリング剤(日本ユニカー製A−1100)のイソプロピルアルコール溶液を添加し、攪拌しながら真空中130℃に保持して2時間乾燥させた。アルコキシシリケート、シラン系カップリング剤を含む溶液は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、それぞれ0.5重量%の割合になるように添加した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金磁石粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。
次に、得られた磁石粉のうち10gを窒素雰囲気下でアルミニウムカプセルに充填し、1600kA/mの配向磁界をかけながら、50MPaで一軸加圧した。次に、この圧粉体をカプセルごと450℃、30分間、200MPaで等方性熱間圧縮成形(HIP)した。圧力媒体としては窒素ガスを用いた。得られた磁石試料の見かけ密度は97%となった。ここで、見かけ密度は真密度を7.67g/ccとして相対密度で表している。
得られた試料のさびの発生を上記方法で測定し、表2の結果を得た。本発明の磁石粉を見かけ密度85%以上に圧密化して得られた圧密磁石は、磁石のオープンポアを無くすことによって、ボンド磁石同様、高い耐塩水性を示している。
[比較例1〜2]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
表3の記載に従って、85%オルトリン酸水溶液を合金粉に0.3mol/kg添加、攪拌してスラリー化した(比較例2では、オルトリン酸水溶液に酸化亜鉛も添加した)。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入、攪拌しながら真空中150℃に保持して2時間乾燥させた。
得られた被膜の膜厚は、上記被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。比較例2は、Znを、複合金属リン酸塩被膜の金属成分に対して、5.0重量%含有していた。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表3に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表3の結果を得た。
[比較例3]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
表3の記載に従って、85%オルトリン酸水溶液を合金粉に0.3mol/kg添加、攪拌してスラリー化した。そのスラリーをろ過し、ろ過物をヘンシェルミキサーへ投入、攪拌しながら真空中150℃に保持して2時間乾燥させた。その後、シリケート溶液を添加せずに、シラン系カップリング剤(日本ユニカー製、A−1100)のイソプロピルアルコール溶液を添加し、攪拌しながら真空中130℃に保持して2時間乾燥させた。シラン系カップリング剤を含む溶液は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.5重量%の割合になるように添加した。
得られた複層処理被膜の合計膜厚は、上記複層処理被膜で被覆されたSmFeN合金粉の断面の電子顕微鏡写真から測定した。また、磁石合金粉の耐塩水性(さびの発生)、流動性を測定し、これらの結果を表3に記した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表3の結果を得た。
[比較例4]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
表3の記載に従って、シリケート溶液(三菱化学MKシリケートMS56S)を添加し、攪拌しながら真空中150℃に保持して2時間乾燥させた。シリケートを含む溶液は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.5重量%の割合になるように添加した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表3の結果を得た。
[比較例5]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
表3の記載に従って、シリケート溶液を添加せずに、シラン系カップリング剤(日本ユニカー製、A−1100)のイソプロピルアルコール溶液を添加し、攪拌しながら真空中150℃に保持して2時間乾燥させた。シラン系カップリング剤を含む溶液は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.5重量%の割合になるように添加した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表1の結果を得た。
[比較例6]
容器内部を窒素で置換したアトライタを用い、回転数200rpmで、還元磁石合金粉(Sm−Fe−N系)1kgを1.5kgの有機溶媒中で2時間粉砕し、平均粒径3μmの磁石合金粉を作製した。
表3の記載に従って、シリケート溶液(三菱化学MKシリケートMS56S)を添加し、攪拌しながら真空中130℃に保持して2時間乾燥させた。
こうしてシリケート被膜が形成された磁石合金粉を、室温まで冷却後、更にシラン系カップリング剤(日本ユニカーA−1100)のイソプロピルアルコール溶液を添加し、攪拌しながら真空中130℃で保持して2時間乾燥させた。アルコキシシリケート、シラン系カップリング剤を含む溶液は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、それぞれ0.5重量%の割合になるように添加した。
次に、得られた磁石合金粉を用いて、磁粉体積率が60%となるように、ナイロン12を添加し、ラボプラストミルで混練後に、200℃にて射出成形してボンド磁石を作製した。得られた磁石試料の磁化および機械強度を上記方法で測定し、表3の結果を得た。
Figure 2006169618
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Figure 2006169618
「評価」
表1から、実施例1〜3は、本発明の磁石合金粉を成形して得られたボンド磁石であるが、磁石合金粉の表面が安定な複合金属リン酸塩被膜によって均一に保護され、かつ強固なシリケート被膜で表面が覆われているため、従来品に比べて十分な磁気特性が確保されており、機械特性、耐食性も改善されている。
また、実施例4〜18、20〜22のボンド磁石は、磁石合金粉が安定な複合金属リン酸塩被膜によって均一に保護され、かつ強固なシリケート被膜で覆われているだけでなく、最表面が樹脂との親和性に優れるシラン系カップリング剤で覆われているため、成形体の機械強度に優れ、かつ5%塩水中でも錆の発生がないことが分かる。また、実施例19のボンド磁石も、磁石合金粉の表面が安定な複合金属リン酸塩被膜によって均一に保護され、かつ強固なシリケート被膜と樹脂との親和性に優れるチタネート系カップリング剤で最表面が覆われているため、上記と同様に成形体の機械強度に優れ、かつ5%塩水中でも錆の発生がないことが分かる。
また、実施例20、22は、本発明の磁石合金粉を成形して得られたボンド磁石であり、十分な磁気特性が確保されているが、焼付け乾燥温度を90℃、160℃としたために機械特性、耐食性がやや劣っていた。
さらに、実施例23は圧密磁石の例であるが、焼付け乾燥温度を150℃として製造した本発明の磁石合金粉を用いており、前記同様に錆の発生は見られなかった。
これに対して、表3から、比較例1、2のボンド磁石は、磁石合金粉に複合金属リン酸塩被膜が形成されているものの、磁気特性も若干低めであり、耐食性が劣っている。また、成形体の機械強度も低く、これはシリケート被膜を有していないために、磁石合金粉と樹脂との親和性が低下したものと考えられる。比較例3、5のボンド磁石は、磁石合金粉にカップリング剤処理被膜が形成されているが、複合金属リン酸塩被膜又はシリケート被膜を有していないために、磁石合金粉の耐食性が低くなるか、磁石合金粉と樹脂との親和性が低くなったものと考えられる。さらに、比較例4、6のボンド磁石は、磁石合金粉にシリケート被膜が形成されているため磁石合金粉と樹脂との親和性が向上しているが、複合金属リン酸塩被膜を有していないために、磁石合金粉の耐食性が低くなったものと考えられる。

Claims (18)

  1. 希土類元素を含む鉄系磁石合金からなる磁石粉末の表面に、リン酸鉄と希土類金属リン酸塩を含む複合金属リン酸塩被膜(A)とシリケート被膜(B)とを順次被覆形成してなる希土類元素を含む鉄系磁石合金粉。
  2. 磁石粉末の平均粒径が8μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉。
  3. 複合金属リン酸塩被膜(A)が、Al、Zn、Mn、Cu、又はCaから選ばれる1種以上を金属成分とする金属リン酸塩をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉。
  4. シリケート被膜(B)が、下記の一般式(1)で示されるポリアルコキシポリシロキサンを加水分解して得られることを特徴とする請求項1に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉。
    Figure 2006169618
    (式中、Rは同一あるいは異なる炭素数1〜6のアルキル基、nは2〜100である)
  5. シリケート被膜(B)の表面に、さらに、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、またはアルミニウム系カップリング剤から選ばれるいずれかのカップリング剤を用いたカップリング剤処理被膜(C)を被覆形成することを特徴とする請求項1に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉。
  6. カップリング剤が、シラン系カップリング剤であることを特徴とする請求項5に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉。
  7. 被膜の厚さの合計が1〜100nmであることを特徴とする請求項1又は5に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に、樹脂バインダーとして熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含有してなるボンド磁石用樹脂組成物。
  9. 請求項8に記載のボンド磁石用樹脂組成物を、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法又は射出プレス成形法から選ばれるいずれかの成形法により成形して得られるボンド磁石。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を圧密化して得られ、見かけの密度が真密度の85%以上であることを特徴とする圧密磁石。
  11. 希土類元素を含む鉄系磁石合金粗粉を有機溶媒中で粉砕する際、又は粉砕後に、リン酸を添加し攪拌して、磁石合金粉の表面に複合金属リン酸塩被膜(A)を形成する工程と、次いで、この磁石合金粉スラリーから溶液を分離除去した後、アルコキシシリケートを混合し攪拌し、アルコキシシリケートを加水分解して、被膜(A)の表面にシリケート被膜(B)を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法。
  12. 有機溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、2−メトキシエタノール、エタノール、メタノール、又はイソプロピルアルコールから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項11に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法。
  13. リン酸の添加量が、磁石合金粉の粉末重量当たり、0.1〜2mol/kgであることを特徴とする請求項11に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法。
  14. 複合金属リン酸塩被膜(A)を形成する工程において、さらに、Al、Zn、Mn、Cu、又はCaから選ばれる1種以上の金属を含む金属酸化物、複合酸化物、リン酸塩又はリン酸水素化合物を添加することを特徴とする請求項11に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法。
  15. シリケート被膜(B)が形成された磁石合金粉を、100〜150℃で焼き付け乾燥させることを特徴とする請求項11に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法。
  16. シリケート被膜(B)が形成された磁石合金粉に、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、またはアルミニウム系カップリング剤から選ばれるいずれかのカップリング剤を添加し、攪拌して、磁石合金粉の表面にカップリング剤処理被膜(C)を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法。
  17. アルコキシシリケート、又はカップリング剤が、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉に対して、0.01〜5重量%の割合で添加されることを特徴とする請求項11、又は16に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法。
  18. 磁石合金粉の表面にシリケート被膜(B)を形成する際に、さらにアルミニウムキレート化合物を添加することを特徴とする請求項11に記載の希土類元素を含む鉄系磁石合金粉の製造方法。
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